説明

代謝異常の治療のための化合物

インスリン抵抗性症候群、糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群、脂質異常症、脂肪肝疾患、悪質液、肥満、アテローム性動脈硬化及び動脈硬化等の様々な代謝疾患の治療に有用な物質を開示する。物質は、式(I)の化合物である。式中、mは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり、Rは、水素又は1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、Rは、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、又は1〜3個の炭素原子を有するアルコキシである。Aは、ハロ、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル、パーフルオロメチル、1又は2個の炭素原子を有するアルコキシ、及びパーフルオロメトキシから選択される1又は2個の基により置換された、又は未置換のフェニル;3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、前記シクロアルキルは未置換であるか、1又は2個の環炭素が独立してメチル又はエチルで単置換されたシクロアルキル;N、S及びOから選択される1又は2個の環ヘテロ原子を有し、環炭素で式Iの化合物の残りの部分と共有結合している5若しくは6員環の芳香族複素環である。或いは、前記生物活性化合物は、式Iの化合物の薬物的に許容される塩であってもよい。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
糖尿病は、罹患率及び死亡率の主な原因である。慢性的に上昇した血糖値は、以下の消耗性の合併症を導く:多くの場合透析又は腎移植が必要となる腎症;末梢神経障害;失明につながる網膜症;切断につながる下肢の潰瘍;肝硬変に至る脂肪肝疾患;及び冠動脈疾患及び心筋梗塞に対する脆弱性。
【0002】
糖尿病には主に2つのタイプがある。I型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病(IDDM)は、膵島内のインスリンを生産するベータ細胞の自己免疫破壊によるものである。この疾患は、通常幼児期又は青年期に発症する。治療は、主に、日に複数回のインスリン注射と、インスリンの用量を調節するための、頻繁な血糖値の検査との組合せからなる。過剰なインスリンは、低血糖、及びその結果として脳やその他の機能の障害を招く。
【0003】
II型糖尿病、又はインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)は、典型的に成人期に発症する。NIDDMは、脂肪組織、筋肉及び肝臓等の、グルコース利用組織のインスリンの作用に対する抵抗性と関連している。先ず、膵島ベータ細胞は、過剰にインスリンを分泌して調節を行う。最終的な膵島の衰弱は、代償不全及び慢性高血糖を導く。反対に、中度の膵島の不全は、末梢インスリン抵抗性に先行するか、或いはそれと同時に起きる場合がある。NIDDMの治療には有用な複数の種類の薬剤がある:1)インスリン放出剤(insulin releaser);低血糖の危険性を伴いつつ直接インスリンの放出を刺激する。2)食事インスリン放出剤(prandial insulin releaser);グルコース誘導性インスリン分泌を促進し、毎食前に服用する必要がある。3)メトホルミンを含むビグアニド;(糖尿病で逆説的に上昇している)肝臓でのグルコース新生を低減する;4)インスリン増感剤;例えば、チアゾリジンジオン誘導体ロジグリタゾン、及びピオグリタゾン;インスリンの末梢反応性を改善するが、体重増加、浮腫、偶発的肝臓毒性等の副作用がある;5)インスリン注射;膵島が慢性過剰刺激状態となる末期のNIDDMでは多くの場合必要となる。
【0004】
インスリン抵抗性は、著しい高血糖なしに発症することもあり、一般的に、アテローム性動脈硬化、肥満、脂質異常症、及び本態性高血圧と併発する。この異常な状態が集まって、「メタボリック症候群」又は「インスリン抵抗性症候群」を構成している。インスリン抵抗性は、慢性炎症(NASH;「非アルコール性脂肪肝」)、線維症、及び肝硬変へと進行する可能性のある、脂肪肝とも併発する。累積的に、糖尿病を含むがそれに限定されないインスリン抵抗性症候群は、40歳以上の人間の罹患率及び死亡の主な原因となっている。
【0005】
前記薬剤の存在にも関わらず、糖尿病は依然として、重大でかつ関心が高まる公衆衛生問題となっている。糖尿病後期の合併症は、国立医療財源の多くを消費している。既存の薬剤より副作用が少ない若しくは軽い、インスリン抵抗性及び膵島障害の一次欠陥に対して効果的に対処する、新しい経口治療薬が必要である。
【0006】
現在、脂肪肝疾患に対する、安全で有効な治療法がない。したがって、そのような治療法は、この疾患を治療するのに有効となろう。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、以下に記載する生物活性物質を提供する。本発明は、以下に記載する生物活性物質の、インスリン抵抗性症候群、糖尿病、悪質液、脂質異常症、脂肪肝疾患、肥満、アテローム性動脈硬化又は動脈硬化を治療するための医薬の製造における使用に関している。本発明は、インスリン抵抗性症候群、糖尿病、悪質液、脂質異常症、脂肪肝疾患、肥満、アテローム性動脈硬化又は動脈硬化を罹患した哺乳類の対象を治療する方法であって、以下に記載する生物活性物質の有効量を前記対象に投与することを含む方法を提供する。本発明は、以下に記載する生物活性物質と薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0008】
本発明の生物活性物質は、式Iの化合物である。
【0009】
【化1】

【0010】
式中、mは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり、Rは、水素又は1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、Rは、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、又は1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり;Aは、ハロ、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル、パーフルオロメチル、1又は2個の炭素原子を有するアルコキシ、及びパーフルオロメトキシから選択される1又は2個の基により置換された、又は未置換のフェニル;3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、前記シクロアルキルが未置換であるか、1又は2個の環炭素が独立してメチル又はエチルで単置換されたシクロアルキル;N、S及びOから選択される1又は2個のヘテロ環原子を有し、環炭素で式Iの化合物の残りの部分と共有結合している5若しくは6員環の芳香族複素環である。或いは、前記生物活性化合物は、式Iの化合物の薬物的に許容される塩であってもよい。
【0011】
本発明は、本発明の生物活性物質である4−(3−(2,6−ジメチルベンゾイルオキシ)フェニル)−4−オキソブタン酸が、ヒト糖尿病及びインスリン抵抗性症候群の構築されたモデル動物である、以下に記載する生物活性アッセイにおいて活性を示した知見に基づいている。
【0012】
発明の詳細な説明
定義
本発明において、「アルキル」なる用語は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を意味する。一定数の炭素原子を有すると特定されたアルキル基は、特定数の炭素を有する全てのアルキル基を意味する。例えば、3個の炭素原子を有するアルキルは、プロピル又はイソプロピルであってもよく、4個の炭素原子を有するアルキルは、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、又はt−ブチルであってもよい。
【0013】
本発明において、「ハロ」なる用語は、1又は2以上のフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
【0014】
本発明において、パーフルオロメチル又はパーフルオロメトキシにおける「パーフルオロ」なる用語は、問題の基が、全ての水素原子の代わりにフッ素原子を有することを意味する。
【0015】
本発明において、「Ac」は、CHC(O)−基である。
【0016】
いくつかの化学化合物は、本明細書中、化学名又は以下に示す2文字の記号で示される。対応する構造は、化学名の下に示す。化合物DPは、上記式Iの範囲に包含される。
DP 4−(3−(2,6−ジメチルベンゾイルオキシ)フェニル)−4−オキソブタン酸
【0017】
本発明において、暫定的な用語である「comprising(を含む)」には、制約がない。この用語を使用する請求項は、該請求項に列記される以外の要素を含んでもよい。
【0018】
本発明の化合物
上記要約に記載された物質、使用、方法又は医薬組成物の1つの実施態様において、mは2又は4である。本発明の1つの実施態様において、Rは水素である。本発明の1つの実施態様において、Aは、ハロ、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル、パーフルオロメチル、1又は2個の炭素原子を有するアルコキシ、及びパーフルオロメトキシから選択される1又は2個の基により置換された、又は未置換のフェニルである。さらに具体的な実施態様において、Aは、上記の置換基を有する、2,6−二置換フェニルである。2位及び6位における置換基が、独立に、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル、パーフルオロメチル、1又は2個の炭素原子を有するアルコキシ、及びパーフルオロメトキシからなる群より選択される時にエステラーゼによる開裂に対する保護が付与される。より高い活性及びエステラーゼによる開裂に対する保護には、2位及び6位におけるクロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル、及びパーフルオロメチル置換が好ましい。さらに具体的な実施態様において、Aは、2,6−ジメチルフェニルである。本発明の具体的な実施態様において、化合物は、4−(3−(2,6−ジメチルベンゾイルオキシ)フェニル)−4−オキソブタン酸である。
【0019】
本発明の生物活性物質の1つの実施態様において、物質は、実質的に(少なくとも98%)純粋である。
【0020】
反応スキーム
mが0であり、Rが水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシ、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、Rが水素又は1〜3個の炭素原子を有するアルキルである、式Iの化合物、すなわち以下の式の化合物において
【0021】
【化2】

【0022】
式中Aが上記の通りであるとき、化合物は、スキーム1の反応によって調製することができる。スキーム1の反応スキームにおいて、A、R、及びRは上記の通りである。Yはクロロ又はブロモ基であり、好ましい基はクロロである。
【0023】
式IIの化合物は、ステップ(a)の反応によって、IIIとIIとの縮合を利用して、例えば1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩のカップリング試薬を、触媒量の4−ジ(メチルアミノ)ピリジンの存在下で使用して、式Vの化合物に変換される。他方の脱水剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミドを含むが、これに限定されない。反応は、例えばジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド等の適切な溶媒中で行われる。このようなカップリング反応で通常使用される全ての条件は、ステップ(a)の反応を行うのに使用することができる。
【0024】
式Vの化合物は、式IIの化合物と式Vの化合物のアシル化によって、例えば水素化ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン等の適切な塩基を使用して、ステップ(b)の反応によって調製することができる。ヒドロキシ基とハロ基をアシル化するために通常使用される全ての条件は、ステップ(b)の反応を行うのに使用することができる。式IVの化合物が容易に入手できる場合、ステップ(a)よりもステップ(b)の反応が好ましい。
【0025】
式Vの化合物は、ピリジンの存在下で、メチル基を二酸化セレン(VI)で酸化するステップ(c)の反応によって式VIIの化合物に変換される。一般的に、反応は、25℃〜100℃の温度で行われる。このような酸化反応で通常使用される全ての条件は、ステップ(c)の反応を行うのに使用することができる。
【0026】
式VIIの化合物は、mが0であり、RがHである、式Iの化合物である。
【0027】
式VIIの化合物は、例えばトリエチルアミン、ピリジン等の塩基の存在下で、C−Cアルキルクロロギ酸エステルを使用したエステル化、又は触媒量の4−ジ(メチルアミノ)ピリジンの存在下で、例えば1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩の脱水試薬を使用して、又はジシクロヘキシルカルボジイミドの脱水試薬を使用して、又は例えばHSO、TsOH等の触媒量の酸の存在下で、式VIIの化合物をC−Cアルキルアルコールと直接反応させて、Rが1〜3個の炭素原子を有するアルキルである、式Iの化合物に変換することができる。一般的に、反応は、酢酸エチル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中で行われる。一般的に、反応は、0℃〜25℃の温度で行われる。このようなエステル化反応において通常使用される全ての条件は、ステップ(d)の反応を行うのに使用することができる。
【0028】
Aが、1又は2基のヒドロキシルで置換されたフェニルである場合、ヒドロキシ基を、反応中ヒドロキシ基を保護する適切な保護基で保護することが一般的に好ましい。適切な保護基は、T. GreeneのProtective Groups in Organics Synthesisに記載されている。RがHである式Iの化合物の場合、酸化後に保護基を取り除いてもよいが、Rが1〜3個の炭素原子を有するアルキルである化合物には、ステップ(d)の反応後、T. GreeneのProtective Groups in Organics Synthesisに記載されているような、適切な脱保護試薬を使用して脱保護を行うことができる。
【0029】
各ステップの生成物は、抽出、蒸発、クロマトグラフィー、及び再結晶化等の技術によって単離及び精製することができる。
【0030】
反応スキーム1
【0031】
【化3】

【0032】
mが1であり、Rが水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシ又は1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、Rが水素、1〜3個の炭素原子を有するアルキルである式Iの化合物、即ち、以下の式の化合物において
【0033】
【化4】

【0034】
式中、Aが上記の通りであるとき、前記化合物は、スキーム2の反応によって調製することができる。スキーム2の反応スキームにおいて、A及びRは上記の通りである。Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキルである。
【0035】
式Vの化合物は、スキーム1のステップ(a)又は(b)の反応に関連して、前述したと同様に合成される。式Vの化合物は、式VIIIの化合物と、水素化ナトリウム、ナトリウムエトキシド等の塩基の存在下でアルキル化される。一般的に、反応は、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドラフラン等の溶媒中で行われる。かかるアルキル化の通常の条件は、ステップ(e)の反応を行うのに使用できる。
式IXの化合物は、Rが1〜3個の炭素原子を有するアルキルである、式Iの化合物である。
【0036】
式IXの化合物は、例えば水酸化リチウム水溶液(aqueous lithium hydroxide)等によってステップ(f)の反応によって塩基エステル加水分解(basic ester hydrolysis)を行いRがHである式1の化合物に変換することができる。かかるエステル加水分解の通常の条件は、RがHである式1の化合物を製造するのに使用することができる。
【0037】
Aが1又は2個のヒドロキシ基で置換されたフェニルである場合、一般的にヒドロキシ基を、反応中ヒドロキシ基を保護する適切な保護基で保護することが好ましい。適切な保護基は、T. GreeneのProtective Groups in Organics Synthesisに記載されている。保護基は、T. GreeneのProtective Groups in Organics Synthesisに記載されている適切な脱保護試薬を使用して取り除くことができる。各ステップの生成物は、抽出、蒸発、クロマトグラフィー、及び再結晶化等の技術によって単離及び精製することができる。
【0038】
反応スキーム2
【0039】
【化5】

【0040】
mが2〜8であり、Rが水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシ又は1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、かつRが水素又は1〜3個の炭素原子を有するアルキルである式Iの化合物、すなわち以下の式の化合物において
【0041】
【化6】

【0042】
Aが上記の通りである場合、前記化合物は、スキーム3の反応によって調製することができる。
【0043】
スキーム3の反応スキームにおいて、A、R及びRは上記の通りである。Rは、ベンジル基であり、pは1〜7である。
【0044】
式Vの化合物は、スキーム1のステップ(a)又は(b)の反応に関連して前述したのと同じ方法で合成することができる。式Vの化合物は、式Vの化合物を式Xの化合物でアルキル化するステップ(g)の反応によって、式XIの化合物に変換される。この反応は、アセトフェノンから3−ケトエステル(すなわち、ガンマ−ケトエステル)に変換するおよそ等モル量の通常の塩基の存在下で行われる。この反応を行うには、リチウムビス−(トリメチルシリル)アミド等のヘキサメチルジシランのアルカリ金属塩を使用することが好ましいが、これに限定されない。一般的にこの反応は、テトラヒドロフラン:1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン等の不活性溶媒中で行われる。通常反応は、−65℃から25℃の温度で行われる。かかるアルキル化反応の通常の条件は、ステップ(g)の反応を行うのに使用してもよい。
【0045】
式XIの化合物は、(h)の反応ステップによって、水素化して式XIIの化合物に変換される。水素化の通常の方法は、例えば酢酸エチル、エタノール等の不活性溶媒中、水素ガスと共に、例えばPd−C等の触媒の存在下で式XIの化合物を処理することからなる。かかる水素化反応で通常使用される条件は、ステップ(h)の反応を行うのに使用することができる。
【0046】
式XIIの化合物は、Rが水素である、式Iの化合物である。
【0047】
式XIIの化合物は、スキーム1のステップ(d)の反応に関連して上述したのと同じ方法で、ステップ(i)の反応によってRが1〜3個の炭素原子を有するアルキルである式1の化合物に変換することができる。
【0048】
Aが1又は2個のヒドロキシ基で置換されたフェニルである場合、一般的にヒドロキシ基を、反応中ヒドロキシ基を保護する適切な保護基で保護することが好ましい。適切な保護基は、T. GreeneのProtective Groups in Organics Synthesisに記載されている。保護基は、RがHである式1の化合物の場合アルキル化の後に取り除くことができるが、Rが1〜3個の炭素原子を有するアルキルである式の化合物の場合には、T. GreeneのProtective Groups in Organics Synthesisに記載されている適切な脱保護試薬を使用してステップ(i)の反応後に脱保護を行うことができる。
【0049】
各ステップの生成物は、抽出、蒸発、クロマトグラフィー、及び再結晶化等の技術によって単離及び精製することができる。
【0050】
反応スキーム3
【0051】
【化7】

【0052】
が水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルコキシ、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキルである、式IIの化合物、すなわち、以下の式の化合物は、
【0053】
【化8】

【0054】
スキーム4の反応によって調製することができる。スキーム4の反応において、Rは上記の通りである。式IIの化合物は、George M Rubottom et al., のJ. Org. Chem. 1983, 48, 1550-1552の方法にしたがって合成することができる。
【0055】
生成物は、抽出、蒸発、クロマトグラフィー、及び再結晶化等の技術によって単離及び精製することができる。
【0056】
反応スキーム4
【0057】
【化9】

【0058】
がハロである、式XIIIの化合物、すなわち以下の式の化合物
【0059】
【化10】

【0060】
は、市販されてもいるし、以下の文献に記載の方法で調製することができる。
【0061】
1.3−Br又はF−2−OHCCO
Canadian Journal of Chemistry (2001), 79(11), 1541-1545.
2.4−Br−2−OHCCO
WO99/16747又は特開平04−154773
3.2−Br−6−OHCCO
特開昭47−039101.
4.2−Br−3−OHCCO
WO96/28423.
5.4−Br−3−OHCCO
WO2001/002388.
6.3−Br−5−OHCCO
Journal of labelled Compounds and Radiopharmaceuticals (1992), 31(3), 175-82.
7.2−Br−5−OHCCOH及び3−Cl−4−OHCCO
WO94/05153及びUS5519133
8.2−Br−4−OHCCOH及び3−Br−4−OHCCO
WO2002/2018323
9.2−Cl−6−OHCCO
特開平06−293700
10.2−Cl−3−OHCCO
Proceedings of the Indiana Academy of Science (1983), Volume date 1982, 92, 145-51.
11.3−Cl−5−OHCCO
WO2002/000633及びWO2002/044145
12.2−Cl−5−OHCCO
WO97/45400.
13.5−I−2−OHCCOH及び3−I,2−OHCCO
Z. Chem. (1976), 16(8), 319-320.
14.4−I−2−OHCCO
Journal of Chemical Research, Synopses (1994), (11), 405.
15.6−I−2−OHCCO
US 4932999.
16.2−I−3−OHCCOH及び4−I−3−OHCCO
WO99/12928
17.5−I−3−OHCCO
J. Med. Chem. (1973), 16(6), 684-7.
18.2−I−4−OHCCO
Collection of Czechoslovak Chemical Communications, (1991), 56(2), 459-77.
19.3−I−4−OHCCO
J.O.C. (1990), 55(18), 5287-91.
【0062】
が1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり、置換基が以下のように配置されている、式XIIIの化合物
【0063】
【化11】

【0064】
は、スキーム5の反応によって合成することができる。スキーム5の反応において、Rは上記の通りであり、Rは、1〜2個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0065】
式XIVの化合物は、アルデヒドを1級アルコールに還元して、式XVの化合物に変換することができる。この反応を行うときには、還元試薬として水素化ホウ素ナトリウムを使用することが好ましいが、これに限定されない。かかる還元反応に適切な条件は、ステップ(k)の反応を行うのに使用してもよい。
【0066】
式XVの化合物は、1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサンを使用して、1,3−ジオールを保護するステップ(l)の反応によって、式XVIの化合物に変換することができる。この保護基に適切な条件は、T. GreeneのProtective Groups in Organics Synthesisに記載されている。
【0067】
式XVIの化合物は、臭化ベンジルを使用してフェノール基を保護するステップ(m)の反応によって、式XVIIの化合物に変換することができる。この保護基に適切な条件は、T. GreeneのProtective Groups in Organics Synthesisに記載されている。
【0068】
式XVIIの化合物は、ステップ(n)の反応によって、フッ化テトラブチルアンモニウムを使用してシリル基を脱保護して式XVIIIの化合物に変換することができる。この脱保護に適切な条件は、T. GreeneのProtective Groups in Organics Synthesisに記載されている。
【0069】
式XVIIIの化合物は、酸化するステップ(o)の反応によって式XIXの化合物に変換することができる。1級アルコールを酸に変換する任意の酸化基、例えば酸化クロム等は、ステップ(o)の反応を行うのに使用してもよい。
【0070】
式XIXの化合物は、メタノール又はエタノールでの式XIXのエステル化によって、式XXに変換することができる。反応は、例えばHSO、TsOH等の触媒を使用するか、或いは例えばジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水試薬を使用して行うことができる。かかるエステル化反応で使用される通常の条件は、ステップ(p)の反応を行うのに使用してもよい。
【0071】
式XXの化合物は、例えば炭酸カリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン等の適切な塩基を使用して、ハロゲン化メチル又はハロゲン化エチルで、式XXをエーテル化又はアルキル化して、式XXIの化合物に変換することができる。反応は、通常の溶媒、例えばテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン等で行われる。反応は、一般的に0℃から40℃の温度で行われる。かかるアルキル化反応に適切な条件は、ステップ(q)の反応を行うのに使用してもよい。
【0072】
式XXIの化合物は、エステル及びベンジル基を脱保護するステップ(r)の反応によって、式XIIIの化合物に変換することができる。適切な脱保護の条件は、T. GreeneのProtective Groups in Organics Synthesisに記載されている。
【0073】
生成物は、抽出、蒸発、クロマトグラフィー、及び再結晶化等の技術によって単離及び精製することができる。
【0074】
反応スキーム5
【0075】
【化12】

【0076】
が1〜3個の炭素原子を有するアルコキシである式XIIIの化合物であって、置換基が別の位置に配置されている化合物、すなわち、以下の式の化合物
【0077】
【化13】

【0078】
は、市販されてもいるし、以下の文献に記載の方法で調製することができる。
【0079】
1.2−OMe−4−OHCCO
US2001034343又はWO97/25992
2.5−OMe−3−OHCCO
J.O.C (2001), 66(23), 7883-88.
3.2−OMe−5−OHCCO
US6194406(96ページ)及び Journal of the American Chemical Society (1985), 107(8), 2571-3.
4.3−OEt−5−OHCCO
Taiwan Kexue (1996), 49(1), 51-56.
5.4−OEt−3−OHCCO
WO96/26176
6.2−OEt−4−OHCCO
Takeda Kenkyusho Nempo (1965), 24,221-8.
特開平7−070025
7.3−OEt−4−OHCCO
WO96/26176
8.3−OPr−2−OHCCO
特開平07−206658、DE 2749518
9.4−OPr−2−OHCCO
Farmacia (Bucharest) (1970), 18(8), 461-6.
特開平08−119959
10.2−OPr−5−OHCCOH及び2−OEt−5−OHCCO
ヨウ化プロピル及びヨウ化エチルを使用するUS6194406(96ページ)の合成を適用。
11.4−OPr−3−OHCCO
WO96/26176の合成を適用。
12.2−OPr−4−OHCCO
ハロゲン化プロピルを使用するTakeda Kenkyusho Nempo (1965), 24,221-8の合成を適用。
13.4−OEt−3−OHCCO
Biomedical Mass Spectrometry (1985), 12(4), 163-9.
14.3−OPr−5−OHCCO
ハロゲン化プロピルを使用するTaiwan Kexue (1996), 49(1), 51-56 の合成を適用。
【0080】
が、1〜3個の炭素原子を有するアルキルである、式XIIIの化合物、すなわち、以下の式の化合物
【0081】
【化14】

【0082】
は、市販されてもいるし、以下の文献に記載の方法で調製することができる。
【0083】
1.5−Me−3−OHCCOH及び2−Me−5−OHCCO
WO96/19437
J.O.C. 2001, 66, 7883-88.
2.2−Me−4−OHCCO
WO85/03701
3.3−Et−2−OHCCOH及び5−Et−2−OHCCO
J. Med. Chem. (1971), 14(3), 265.
4.4−Et−2−OHCCO
Yaoxue Xuebao (1998), 33(1), 67-71.
5.2−Et−6−OHCCOH及び2−n−Pr−6−OHCCO
J. Chem. Soc., Perkin Trans 1 (1979), (8), 2069-78.
6.2−Et−3−OHCCO
特開平10−087489 及び WO96/28423
7.4−Et−3−OHCCO
J.O.C. 2001, 66, 7883-88.
WO95/04046
8.2−Et−5−OHCCO
J.A.C.S (1974), 96(7), 2121-9.
9.2−Et−4−OHCCOH及び3−Et−4−OHCCO
特開平04−282345
10.3−n−Pr−2−OHCCO
J.O.C (1991), 56(14), 4525-29.
11.4−n−Pr−2−OHCCO
EP279630.
12.5−n−Pr−2−OHCCO
J. Med. Chem (1981), 24(10), 1245-49.
13.2−n−Pr−3−OHCCO
WO95/09843及びWO96/28423
14.4−n−Pr−3−OHCCO
WO95/04046
15. 2−n−Pr−5−OHCCO
エチルアルファホルミル吉草酸を使用するJ.A.C.S (1974), 96(7), 2121-9の合成を適用。
16.3−n−Pr−4−OHCCO
Polymer (1991), 32(11) 2096-105.
17.2−n−Pr−4−OHCCO
【0084】
3−プロピルフェノールは、3−プロピルアニソールにメチル化され、その後4−メトキシ−3−ベンズアルデヒドにホルミル化されてもよい。アルデヒドは、ジョーンズ試薬によって酸化され、対応する酸を産出し、BBrによるメチル基の脱保護により、標題化合物を得ることができる。
【0085】
18.1.3−Et−5−OHCCOH及び3−Pr−n−5−OHCCO
2−エチルアクロレイン及び2−プロピルアクロレインを使用するJ.O.C. 2001, 66, 7883-88の合成を適用。
【0086】
pが1〜7であり、Rがベンジル基である式Xの化合物、すなわち、
Br-(CH2)p-CO2R4
【0087】
の式の化合物は、市販されてもいるし、スキーム6の反応スキームによって調製することができる。
【0088】
反応スキーム6
【0089】
【化15】

【0090】
スキーム6の反応において、pは上記の通りである。
【0091】
式XXIIの化合物は、式XXIIの化合物をベンジルアルコールで処理して、ステップ(s)の反応によって、式Xの化合物に変換することができる。反応は、例えばHSO、TsOH等の触媒を使用して、或いは触媒量の4−ジ(メチルアミノ)ピリジン又はジシクロヘキシルカルボジイミド等の存在下で、例えば1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩を脱水試薬として使用して行うことができる。
かかるカップリング反応における通常の条件をステップ(s)の反応を行うのに使用してもよい。
【0092】
生成物は、抽出、蒸発、クロマトグラフィー、及び再結晶化等の技術によって単離及び精製することができる。
【0093】
治療方法における使用
本発明は、インスリン抵抗性症候群、糖尿病(I型糖尿病又はII型糖尿病等の1次性本態性糖尿病及び2次性非本態性糖尿病)及び多嚢胞性卵巣症候群からなる群より選択される疾患を有する哺乳類の対象を治療する方法であって、前記対象に疾患を治療するために有効であると本明細書中に記載された量の生物活性物質を投与することを含む方法を提供している。本発明の方法にしたがって、糖尿病の症状又は、アテローム性動脈硬化、肥満、高血圧、脂質異常症、脂肪肝疾患、腎症、神経障害、網膜症、足潰瘍又は白内障等、それぞれ糖尿病と併発している糖尿病の症状を発症する危険性を低減させることができる。本発明は、また疾患を治療するために有効であると本明細書中に記載された量の生物活性物質を対象に投与することを含む、脂質異常症を治療する方法も提供する。化合物は、脂質異常症の動物の血清トリグリセリド及び遊離脂肪酸を低減する。本発明は、悪質液を治療するために有効であると本明細書中に記載された量の生物活性物質を対象に投与することを含む、悪質液を治療する方法も提供する。本発明は、疾患を治療するために有効であると本明細書中に記載された量の生物活性物質を対象に投与することを含む、肥満を治療する方法も提供する。
【0094】
本発明は、アテローム性動脈硬化又は動脈硬化から選択される疾患を治療する方法であって、前記疾患を治療するための本明細書中に記載される量の生物活性物質を投与することを含む方法も提供する。本発明の活性物質は、対象が糖尿病又はインスリン抵抗性症候群を有しているか否かに関わらず、脂質異常症、脂肪肝疾患、悪質液、肥満、アテローム性動脈硬化又は動脈硬化を治療するのに有効である。物質は、通常のどの全身投与経路で投与されてもよい。好ましくは、物質は経口投与される。したがって、薬剤は経口投与用に製剤化されるのが好ましい。本発明で使用される他の投与経路には、直腸、非経口、注射(例えば静脈内、皮下、筋肉内、又は腹腔内注射)又は鼻腔が含まれる。
【0095】
本発明の使用及び治療方法のさらなる態様には、上記の生物活性物質のいずれかの態様を投与することを含む。不要な冗長を避けるために、かかる物質及び物質の群を繰り返さないが、それらが繰り返されているのと同様に、使用及び治療方法の記載に組み込まれる。
【0096】
本発明の化合物が対応する多くの疾患又は障害は、2つの広い分類に分けられる。インスリン抵抗性症候群及び、慢性高血糖がもたらす結果である。燃料代謝の調節異常、特にインスリン抵抗性は、糖尿病(持続性高血糖)そのものに罹患していなくても起こり得、脂質異常症、アテローム性動脈硬化、肥満、本態性高血圧、脂肪肝疾患(NASH;非アルコール性脂肪肝炎)、及び特にガン又は全身性炎症性疾患に関連する悪液質を含む様々な症状を併発する。悪液質は、I型糖尿病又はII型糖尿病後期においても発症することがある。組織燃料代謝を改善することによって、本発明の活性物質は、インスリン抵抗性と併発した疾患及び症状を予防又は改善するために有用である。インスリン抵抗性と併発する多くの兆候及び症状が一人の患者で共存しうるが、インスリン抵抗性が影響する多くの生理学システムの脆弱性はそれぞれ異なるため、多くの場合は1つの症状だけが中心となる。しかし、インスリン抵抗性は、多くの疾患の主要原因であるため、この細胞欠陥及び分子欠陥に対応する薬剤は、インスリン抵抗性に起因する、若しくはインスリン抵抗性によって悪化する全ての器官系の症状の予防又は改善に実質的に有用である。
【0097】
インスリン抵抗性、及び並行する膵島による不十分なインスリン産生が深刻である場合、慢性高血糖となり、それはII型糖尿病(NIDDM)の発症を意味する。上記のインスリン抵抗性に関連する代謝疾患に加えて、NIDDMを有する患者において高血糖の2次的疾患症状が発症する。それには、腎症、末梢腎症、網膜症、細小血管疾患、四肢の潰瘍、タンパク質の非酵素的糖化がもたらす結果、例えばコラーゲン及びその他の結合組織への損傷が含まれる。高血糖の低減は、これらの糖尿病が引き起こす疾患の発症率及び重症度を低減する。本発明の活性物質及び組成物は、糖尿病における高血糖を低減するため、慢性高血糖の併発の予防及び改善に有用である。
【0098】
本発明の治療方法によって、ヒト及び非ヒト哺乳類両方の対象を治療することができる。特定の対象に対する、本発明の特定の活性物質の最適な用量は、熟練した医師が臨床の場で決定することができる。インスリン抵抗性、糖尿病、脂質異常症、脂肪肝疾患、悪質液又は肥満に関連した疾患を治療するためのヒトへの経口投与においては、前記物質は、通常1日当たりの用量が1mgから400mgで投与され、1日1回又は2回投与される。マウスへの経口投与においては、物質は、通常1日当たりの用量が体重1キロ当たり1〜300mgで投与される。本発明の活性物質は、糖尿病又はインスリン抵抗性症候群において単独療法として、或いはかかるタイプの疾病において使用される1又は2以上の薬剤、例えばインスリン放出薬剤、食事前インスリン放出剤、ビグアニド、又はインスリンそのものと組み合わせて使用することができる。かかる追加薬剤は、標準的な臨床基準に従って投与される。場合によっては、本発明の物質は、他のクラスの薬剤の効能を高め、患者に投与される物質の用量を低減(つまり毒性を低くし)して好ましい治療結果を出している。ヒトにおける代表的な化合物の構築された安全で有効な用量は、以下の通りである。メトホルミン 500〜2550mg/日;グリブリド 1.25〜20mg/日;GLUCOVANCE(メトホルミンとグリブリドとが組み合わさった製剤) グリブリド 1.25〜20mg/日及びメトホルミン 250〜2000mg/日;アトルバスタチン 10〜80mg/日;ロバスタチン 10〜80mg/日;プラバスタチン 10〜40mg/日;及びシンバスタチン 5〜80mg/日;クロフィブレート 2000mg/日;ゲムフィブロジル 1200〜2400mg/日;ロシグリタゾン 4〜8mg/日;ピオグリタゾン 15〜45mg/日;アカルボース 75〜300mg/日;レパグリニド 0.5〜16mg/日。
【0099】
I型糖尿病
I型糖尿病患者は、初期は1日当たり1回から数回の用量のインスリンを自己投与して、かつインスリン投与の用量と投与時期を適切に調整するために血糖値を頻繁に管理して疾患を処置する。慢性高血糖は、腎症、神経障害、網膜症、足潰瘍、及び早死等の合併を導く。過剰なインスリンの用量は、認知機能障害又は認知的無意識を起こす場合がある。I型糖尿病の患者は、錠剤又はカプセル状の本発明の活性物質を一日当たり1〜400mgを単回投与又は分割投与して治療される。予想される効果は、許容範囲内の血糖値を維持するためのインスリン用量若しくは投与頻度の低減、及び高血糖による事象の発症率と重症度の低減である。臨床転帰は、血糖値と糖化ヘモグロビン(数ヶ月間にわたる血糖管理の適正の指標)の測定、さらに典型的な糖尿病の合併症の発症率及び重症度の低減によってモニタリングされる。本発明の生物活性物質は、膵島移植の抗糖尿病作用を維持するために、膵島移植と併せて投与することができる。
【0100】
II型糖尿病
典型的なII型糖尿病患者(NIDDM)は、食事及び運動の管理と、メトホルミン、グリブリド、レパグリニド、ロシグリダゾン、又はアカルボース等の薬剤を摂取して疾患を処置する。かかる薬剤は、患者によっては血糖管理を改善するが、どの薬剤も副作用や疾患の進行による最終的な治療の失敗がない訳ではない。膵島の衰弱は、NIDDM患者において徐々に起こり、大多数の患者でインスリン注射の必要性が生じる。本発明の活性物質による毎日の治療は(抗糖尿病薬剤の追加の有無によらず)、血糖管理を改善し、膵島の衰弱率を低減し、典型的な糖尿病の症状の発症及び重症度を低減すると予想される。さらに、本発明の活性物質は、上昇した血清トリグリセリド及び脂肪酸を低減し、糖尿病患者の主要な死因である心血管疾患のリスクを低減する。他の糖尿病の全ての治療薬のように、用量の最適化は、必要に応じて、臨床結果、及び副作用の影響に応じ個々の患者に対して行われる。
【0101】
脂質異常症
多くの人々で血液中のトリグリセリド及び遊離脂肪酸のレベルが上昇しており、これはアテローム性動脈硬化及び心筋梗塞の重要な危険因子である。本発明の活性物質は、脂質異常症の患者で循環するトリグリセリド及び遊離脂肪酸を低減するために有用である。脂質異常症患者は、しばしば血中コレステロール値が高く、心血管疾患のリスクが高くなる。HMG−CoA還元酵素阻害剤(『スタチン』)等のコレステロール低下剤は、任意で同一の医薬組成物に組み込んで、本発明の物質に加えて脂質異常症の患者に投与することができる。
【0102】
脂肪肝疾患
多くの人々が、非アルコール性脂肪肝(NASH)としても知られる脂肪肝疾患に罹患している。NASHはしばしば肥満及び糖尿病と併発している。肝細胞にトリグリセリド滴が存在する脂肪肝変性は、肝臓に慢性的な炎症を起こし(炎症性白血球の浸潤等の生検標本において検出)、線維症及び肝硬変に至ることがある。脂肪肝疾患は、通常肝細胞傷害の指標として有用なトランスアミナーゼALT及びAST等の肝臓特異的酵素において観察される血清値の上昇、及び肝臓領域における疲労及び痛みを含む症状によって検出されるが、最終的な診断には、しばしば生検が必要となる。予想される利点は、肝臓の炎症及び脂肪含量の低減であり、その結果線維症及び肝硬変に至るNASHの進行の遅延、停止又は逆行が起きる。
【0103】
医薬組成物
本発明は、本明細書中に記載される生物活性物質と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物のさらなる態様には、上記の生物活性物質のいずれかの態様を含む。不必要な冗長を避けるために、かかる物質及び物質の群は繰り返さないが、繰り返されていると同様に、医薬組成物の記載に組み込まれる。
【0104】
好ましくは、組成物は、例えば、錠剤、被膜錠剤、糖衣錠、硬又は軟ゼラチンカプセル、液剤、エマルジョン、又は懸濁液の形状で経口投与に適している。一般的に、経口用組成物は、かかる物質を1mgから400mg含有する。1日当たり、1〜2個の錠剤、被膜錠剤、糖衣錠、又はゼラチンカプセルを服用することは、対象にとって都合がよい。しかし、組成物は、例えば座薬の形態で直腸投与、例えば注射剤の形態で非経口投与、又は鼻腔投与等、他のあらゆる一般的な全身投与に応用することができる。
【0105】
生物活性化合物は、医薬組成物の製造において、薬学的に不活性な担体、無機担体又は有機担体で処理することができる。ラクトース、コーンスターチ、又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩を用いることができ、例えば錠剤、被膜錠剤、糖衣錠、及び硬ゼラチンカプセル等の担体を使用することができる。軟ゼラチンカプセルに適した担体には、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオール等が含まれる。活性成分の性質によって、軟ゼラチンカプセルには、軟ゼラチンそのもの以外の担体は通常必要ない。液剤及びシロップの製造に適した担体としては、例えば、水、ポリオール、グリセロール、植物油等が含まれる。座薬に適した担体としては、例えば天然油又は硬化油、ワックス、脂肪、半固体又は液体ポリオール等が含まれる。
【0106】
医薬組成物は、さらに、防腐剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、風味剤、浸透圧を変更するための塩、緩衝剤、コーティング剤又は抗酸化物質を含んでもよい。さらに治療に有益な物質、特に本発明の化合物の効果の基本となっているもの以外のメカニズムを通して作用する抗糖尿病物質又は脂質低下薬を含んでもよい。単一の製剤として本発明の化合物と有利に組み合わせてもよい物質には、メトホルミン等のビグアニド、スルホニル尿素インスリン放出剤グリブリド及びその他のスルホニル尿素インスリン放出剤等のインスリン放出剤、アトロバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン及びシンバスタチン等の『スタチン』HMG−CoA還元酵素等のコレステロール低下剤、クロフィブレート及びゲムフィブロジル等のPPAR−アルファアゴニスト、チアゾリジンジオン(例えばロシグリダゾン、ピオグリタゾン)等のPPAR−ガンマアゴニスト、(でんぷん消化を阻害する)アカルボース等のアルファグリコシダーゼ阻害剤、レパグリニド等の食事前インスリン放出剤が含まれるが、これに限定されない。単一の製剤として、本発明の化合物と組み合わされる補助剤の量は、標準的な臨床診療において用いられる用量と同じである。いくつかの代表的な化合物に構築された安全で効果的な用量の範囲は、上述してある。
【0107】
本発明は、本発明を説明する以下の実施例を参照してよりよく理解されるであろうが、これに限定されない。
【0108】
[実施例]
【実施例1】
【0109】
化合物DPの合成
【0110】
【化16】

【0111】
4−(3−(2,6−ジメチルベンゾイルオキシ)フェニル)−4−オキソブタン酸
ステップA:2,6―ジメチル安息香酸クロリドの調製
2,6−ジメチル安息香酸(15g、99.88mmol)を無水CHCl(20ml)に0℃にて加え、その後アルゴン下で塩化オキサリル(CHCl中2M,14.14g)を滴下した。反応混合物は、同じ温度で30分間攪拌し、その後1時間室温に昇温し、濃縮し、精製せずに使用した。
【0112】
ステップB:3−アセチルフェニル 2,6−ジメチル安息香酸の調製
無水CHCl (50ml)に3’−ヒドロキシアセトフェノン(4.84g, 35.5mmol)を攪拌した溶液に、室温でピリジン(25ml)を加え、その後2,6−ジメチル安息香酸クロリド(ステップA、6g、35mmol)の無水CHCl(10 ml)溶液をアルゴン下で加えた。反応混合物を16時間攪拌し、減圧下で濃縮し、CHClで希釈し、1MのHCl、水、生理食塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮し、酢酸エチル:ヘキサン(1:2)で溶出したフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、表題化合物を得た。
1H NMR (270 MHz, CDCl3): 2.5 (s, 6H); 2.6 (s, 3H); 7.1 (m, 2H); 7.25 (m, 1H); 7.4-7.6 (m, 2H); 7.8-7.9 (m, 2H).
【0113】
ステップC:3−(4−(ベンゾイルオキシ)−4−オキソブタノイル)フェニル2,6−ジメチル安息香酸
乾燥THF(50ml)及びDMPU(17ml)中の3−アセチルフェニル2,6−ジメチル安息香酸(ステップB、2.90g、10.8mmol) に、アルゴン下で−65℃にてリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0M、11.89 ml)を加えた。−65℃で10分攪拌した後、ブロモ酢酸ベンジル(3.72g、16.24mmol)を素早く加えた。反応混合物をさらに10分間攪拌し、その後4時間室温に昇温した。粗混合物を酢酸エチルに取り出し、水及び生理食塩水で洗浄した。水層をさらに1回酢酸エチルで抽出した。組み合わさった有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル、4:1)でフラッシュクロマトグラフィーを行い精製し、表題化合物を得た。
1H NMR (270 MHz, CDCl3): 2.45 (s, 6H); 2.7 (t, 2H); 3.4 (t, 2H); 5.15 (s, 2H); 7.1 (m, 2H); 7.35-7.45 (m, 6H); 7.5-7.6 (m, 2H); 7.8-7.9 (m, 2H).
【0114】
ステップD:4−(3−(2,6−ジメチルベンゾイルオキシ)フェニル)−4−オキソブタン酸の調製
攪拌した3−(4−(ベンゾイルオキシ)−4−オキソブタノイル)フェニル2,6−ジメチル安息香酸(ステップC、2.75g、6.6mmol)の酢酸エチル溶液に、Pd−C(5%、230g)をアルゴン下で加えた。出発物質は、Hatmで14時間水素化し、セライトパッドで濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲルカラム(クロロフォルム:メタノール、92.5:7.5、酢酸と混合)でフラッシュクロマトグラフィーを行い精製し、表題化合物を得た。
1H NMR (270 MHz, CDCl3): 2.45 (s, 6H); 2.85 (t, 2H); 3.4 (t, 2H); 7.1 (m, 2H); 7.35 (m, 1H); 7.45-7.6 (m, 2H); 7.8-7.9.5 (m, 2H).
【実施例2】
【0115】
db/dbマウスにおける化合物DPの抗糖尿病効果
db/dbマウスは、レプチンシグナリングに欠陥があり、過食症、肥満及び糖尿病につながる。さらに、C57BL/6Jバックグラウンドを持つob/obマウスと異なり、C57BLKSバックグラウンドのdb/dbマウスは、インスリンを産生する膵島細胞が欠損し、その結果、高インスリン血症(末梢インスリン抵抗性と合併)から低インスリン性糖尿病へと進行する。
【0116】
約8週齢のオスの肥満(db/dbホモ接合体)C57BL/KsolaマウスをJackson Labs (Bar Harbor, ME)から入手し、体重(40〜45g)及び血清グルコース値(給餌された状態で300mg/dl以上)がグループ間で同様となるように、5〜7匹ずつランダムに分けた。オスの痩せた(db/+ヘテロ接合体)マウスをコホートコントロールとした。最低7日間を到着後の適応期間とした。全ての動物を温度(23℃)、相対湿度(50±5%)及び光(7:00〜19:00)を管理した状態に維持し、標準食(Formulab Diet 5008, Quality Lab Products, Elkridge, MD)及び水を自由に摂取させた。
【0117】
マウスに、2週間にわたり毎日ビヒクル又は化合物DP(100 mg/kg/日)を経口投与した。治療期間終了後、後方の眼窩洞から100μlの静脈血をヘパリン化カテーテルに採取し、血清化学分析を行った。2週間毎日経口投与したところ、化合物DPは、血清グルコース及びトリグリセリドの著しい減少を導いた(表1)。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【化1】

(式中、mは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり、
は、水素、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、又は1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり、
Aは、ハロ、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル、パーフルオロメチル、1又は2個の炭素原子を有するアルコキシ及びパーフルオロメトキシから選択される1又は2個の基により置換された、又は未置換のフェニル;
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、未置換であるか、1又は2個の環炭素が独立してメチル又はエチルで単置換されたシクロアルキル;又は
N、S、及びOから選択される1又は2個のヘテロ環原子を有し、環炭素で式Iの化合物の残りの部分と共有結合している5若しくは6員環の芳香族複素環である)
【請求項2】
mが2又は4であり、Rが水素であり、及び
Aが、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル及びパーフルオロメチルからなる群より選択される置換基で2位及び6位のそれぞれで独立に置換されたフェニルである、請求項1に記載の化合物又は塩。
【請求項3】
Aが、2,6−ジメチルフェニルである、請求項2に記載の化合物又は塩。
【請求項4】
化合物が、4−(3−(2,6−ジメチルベンゾイルオキシ)フェニル)−4−オキソブタン酸である、請求項3に記載の化合物又は塩。
【請求項5】
インスリン抵抗性症候群、I型糖尿病及びII型糖尿病を含む糖尿病、及び多嚢胞性卵巣症候群からなる群より選択される疾患を治療するための薬剤;又は、
糖尿病と併発するアテローム性動脈硬化、動脈硬化、肥満、高血圧、脂質異常症、脂肪肝疾患、腎症、神経障害、網膜症、足潰瘍又は白内障を治療若しくはその発症の可能性を低減するための薬剤;又は脂質異常症、悪液質及び肥満からなる群より選択される疾患を治療するための薬剤の製造における生物活性物質の使用であって、
前記物質が、以下の式の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩である使用。
【化2】

(式中、mは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり、
は、水素、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、又は1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり、
Aは、ハロ、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル、パーフルオロメチル、1又は2個の炭素原子を有するアルコキシ及びパーフルオロメトキシから選択される1又は2個の基により置換された、又は未置換のフェニル;
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、未置換であるか、1又は2個の環炭素が独立してメチル又はエチルで単置換されたシクロアルキル;又は
N、S、及びOから選択される1又は2個のヘテロ環原子を有し、環炭素で式Iの化合物の残りの部分と共有結合している5若しくは6員環の芳香族複素環である)
【請求項6】
mが2又は4であり、Rが水素であり、及び
Aが、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル、及びパーフルオロメチルからなる群より選択される置換基で2位及び6位のそれぞれで独立に置換されたフェニルである、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
Aが、2,6−ジメチルフェニルである、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
化合物が、4−(3−(2,6−ジメチルベンゾイルオキシ)フェニル)−4−オキソブタン酸である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
薬剤が、経口投与用に製剤化されている、請求項5〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
インスリン抵抗性症候群、糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群、脂質異常症、脂肪肝疾患、悪液質、肥満、アテローム性動脈硬化及び動脈硬化からなる群より選択される疾患を有する哺乳類対象を治療する方法であって、
前記対象に一定量の生物活性物質を投与することを含み、
前記物質が、以下の式の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩である方法。
【化3】

(式中、mは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり、
は、水素、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、又は1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり、
Aは、ハロ、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル、パーフルオロメチル、1又は2個の炭素原子を有するアルコキシ及びパーフルオロメトキシ、から選択される1又は2個の基により置換された、又は未置換のフェニル;
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、未置換であるか、1又は2個の環炭素が独立してメチル又はエチルで単置換されたシクロアルキル;又は
N、S、及びOから選択される1又は2個のヘテロ環原子を有し、環炭素で式Iの化合物の残りの部分と共有結合している5若しくは6員環の芳香族複素環である)
【請求項11】
mが2又は4であり、Rが水素であり、及び
Aが、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル及びパーフルオロメチルからなる群より選択される置換基で2位及び6位のそれぞれで独立に置換されたフェニルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Aが、2,6−ジメチルフェニルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
化合物が、4−(3−(2,6−ジメチルベンゾイルオキシ)フェニル)−4−オキソブタン酸である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
対象がヒトである、請求項10〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
物質が、1日当たり1ミリグラム〜400ミリグラムの量で経口投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
疾患が、インスリン抵抗性症候群又はII型糖尿病である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
治療が、糖尿病の症状を低減、又は糖尿病の症状を発症する可能性を低減し、前記症状が、糖尿病と併発するアテローム性動脈硬化、肥満、高血圧、脂質異常症、脂肪肝疾患、腎症、神経障害、網膜症、足潰瘍及び白内障からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
薬学的に許容される担体と、1ミリグラム〜400ミリグラムの生物活性物質とを含む、経口投与に適した医薬組成物であって、
前記物質が、以下の式の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩である、医薬組成物。
【化4】

(式中、mは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり、
は、水素、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、
は、水素、ハロ、1〜3個の炭素原子を有するアルキル、又は1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであり、
Aは、ハロ、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル、パーフルオロメチル、1又は2個の炭素原子を有するアルコキシ、及びパーフルオロメトキシから選択される1又は2個の基により置換された、又は未置換のフェニル;
3〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキルであって、未置換であるか、1又は2個の環炭素が独立してメチル又はエチルで単置換されたシクロアルキル;又は
N、S、及びOから選択される1又は2個のヘテロ環原子を有し、環炭素で式Iの化合物の残りの部分と共有結合している5若しくは6員環の芳香族複素環である)
【請求項19】
mが2又は4であり、Rが水素であり、及び
Aが、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、1又は2個の炭素原子を有するアルキル、及びパーフルオロメチルからなる群より選択される置換基で2位及び6位のそれぞれで独立に置換されたフェニルである、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
Aが、2,6−ジメチルフェニルである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
化合物が、4−(3−(2,6−ジメチルベンゾイルオキシ)フェニル)−4−オキソブタン酸である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
経口ユニット剤形である、請求項18〜21のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項23】
インスリン抵抗性症候群、糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群、脂質異常症、脂肪肝疾患、悪液質、肥満、アテローム性動脈硬化、及び動脈硬化からなる群より選択される疾患の治療に使用される、請求項18〜21のいずれかに記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2011−509942(P2011−509942A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542415(P2010−542415)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/030845
【国際公開番号】WO2009/091732
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(501056821)ウェルスタット セラピューティクス コーポレイション (32)
【Fターム(参考)】