説明

会話記録ブログ化装置

【課題】会話記録手段を備えた携帯端末装置を用い、ブログの作成を容易にするための情報をより簡単に得るための新たな装置や方法を提供すること。
【解決手段】利用者の携帯端末(例えば、携帯電話機やICレコーダなどの音声記録部を備えた携帯端末)に記憶された会話記録(通話記録や、会話録音)を入力として受け付け、会話記録の音声データの部分のみを分離して取り出す。この分離された音声データは、記録された会話の特徴を表す要点語を抽出する。この抽出した要点語を利用者に提示し、ブログに掲載するためのコメントの作成の元データとする。そして、このデータを元に利用者に編集させて日々のブログ記事として、ブログサイトのWebサーバにアップロードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会話記録ブログ化装置に関する。更に詳しくは、携帯電話、携帯録音機等を用いたブログ作成のための支援装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、インターネット上でいわゆるブログ(blog:weblogの略称)と呼ばれる、簡易ホームページが急速に普及している。ブログは、単なる個人の日記的なホームページではなく、時事ニュースや専門的トピックスに関して自らの専門や立場に根ざした分析や意見を表明したり、他のサイトの著者と議論したりする形式が多く、様々なコミュニケーション・ツール、知識マネージメント・ツール、及び広告媒体としての役割が高まってきている。
【0003】
ブログの特徴としては、(1)記事毎に時間記録(timestamp)を持つ、(2)記事が時系列に並ぶので最新の記事が常に上段に位置する、(3)記事毎にリンクできる、(4)リンクとコメントを通して相互コミュニケーションが可能、といったことである。こういった特徴をベースに、ブログの作成者、閲覧者が急激に増加している。
【0004】
ブログを作成するためには、PCや携帯電話等で、ブログの記事となる文章を入力し、写真等の画像と共にアップロードする、という方法が一般に用いられる。しかし、毎日毎日、ブログ作成者にとって出来事が起こるたびに文章を入力し、アップロードすることはかなり面倒なことである。このため、日々のブログをできるだけ簡単に作成・更新するためのツールが登場してきている。例えば、特許文献1には、利用者が特定の行為を行った際、自機(携帯通信装置)の位置情報を取得し、当該行為の日時及びその位置情報から利用者のイベント情報を記憶し、後で利用者が選択したイベント情報をサーバに送信することにより、利用者が容易にブログを作成する携帯通信装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−301884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような方法では、利用者が特定の行為(例えば、電子マネー、電子定期券、電子チケットなどを使用したときや、カメラで撮像したとき等)を予めイベントとして指定しておかなければならず、指定した特定の行為以外のイベントは記録されない。また、これらのイベントを多数記憶、蓄積する必要があり、それらのイベントの各項目毎に、ブログにアップロードするコメントを自動生成するかどうかをON/OFFで指定する煩わしさがある。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑み、携帯電話機や携帯録音機(ICレコーダなど)のように会話記録手段を備えた携帯端末装置を用い、ブログの作成を容易にするための情報をより簡単に得るための新たな装置や方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では以下のような解決手段を提供する。
【0008】
(1) 音声会話記録を用いて会話記録の要点作成のための装置であって、
利用者の携帯端末に記憶された会話記録を入力として受け付ける会話記録入力部と、
前記会話記録の音声データを、前記利用者の発話部分と前記利用者と会話する他の者の発話部分とに分離する会話分離部と、
前記分離された音声データをテキスト・データに変換する音声テキスト変換部と、
前記テキスト・データから会話の特徴を表す要点語を抽出する要点語抽出部と、
前記抽出した要点語を前記利用者に表示する表示部と、
を備える装置。
【0009】
このような構成によれば、本装置は、利用者の携帯端末(例えば、携帯電話機やICレコーダなど音声記録部を備えた携帯端末)に記憶された会話記録(通話記録や、会話録音)を入力として受け付け、会話記録の音声データの部分(発話部分)のみを分離して取り出す。この分離された音声データに対して音声テキスト変換を行い、その変換後のテキスト・データから、記録された会話の特徴を表す「要点語」(要点キーワード)を抽出する。音声テキスト変換がたとえ不完全であっても、会話の中に高い頻度(実際には重み付けられた頻度)で出現する要点語のみを抽出することは可能である。このことにより、利用者の毎日の記録を、携帯端末に音声で記憶された会話記録に基づいて、その記録中に含まれる要点語を抽出して、利用者に時系列にテキストとして表示できる。このような要点語のテキストは、後に様々な用途に利用できる。
【0010】
(2)音声会話記録を用いてブログの作成を支援するための装置であって、
利用者の携帯端末に記憶された会話記録を入力として受け付ける会話記録入力部と、
前記会話記録の音声データを、前記利用者の発話部分と前記利用者と会話する他の者の発話部分とに分離する会話分離部と、
前記分離された音声データをテキスト・データに変換する音声テキスト変換部と、
前記テキスト・データから会話の特徴を表す要点語を抽出する要点語抽出部と、
前記抽出した要点語を前記利用者に表示する表示部と、
前記要点語に基づいて前記利用者に、ブログに掲載するコメントを編集させるブログデータ編集部と、
前記コメントを含むブログデータをサーバに送信するブログデータ送信部と、
を備える装置。
【0011】
このような構成によれば、本装置は、利用者の携帯端末(例えば、携帯電話機やICレコーダなど音声記録部を備えた携帯端末)に記憶された会話記録(通話記録や、会話録音)を入力として受け付け、会話記録の音声データの部分(発話部分)のみを分離して取り出す。この分離された音声データに対して音声テキスト変換を行い、その変換後のテキスト・データから、記録された会話の特徴を表す「要点語」(要点キーワード)を抽出する。この抽出した要点語を利用者に提示し、ブログに掲載するためのコメント作成の元データとする。そして、この元のデータを利用者に編集させる手段を備えて、ブログ記事(ブログコメント)として、ブログサイトのWebサーバにアップロードする。
【0012】
このことにより、利用者の毎日の記録を、携帯端末に記憶された会話記録に基づいて、その記録中に含まれる要点語を抽出して利用者に表示できる。更に、場合によっては、その会話記録を聞きながら、その日の出来事を思い出してブログ記事に反映することもできる。これらの会話記録は、時系列に記憶されているので、ブログの特徴である記事毎のtimestamp情報も容易に取り出せる。また、利用者個人の思考や感想だけでなく、会話の相手方(通話の相手や面談記録の相手)からの情報も同時に抽出できるという特徴もある。
【0013】
(3)前記会話記録は、携帯電話機を用いた通話記録である、(1)〜(2)に記載の装置。
【0014】
このような構成によれば、会話記録として、今日広く普及している携帯電話機に通話記録を備えれば、これを会話記録の情報源として利用し、上記の機能を実現できる。
【0015】
(4)前記会話記録は、前記携帯端末に記録された会話録音データである、(1)〜(2)に記載の装置。
【0016】
このような構成によれば、携帯電話の通話記録でなく、利用者が意図的に録音した記録、例えば、特定の出来事に対するインタビューや面談の録音記録に基づいて、(1)〜(2の機能を実現できる。もちろん、携帯電話機に通話記録以外に録音機能が備えられていれば、通話記録と録音記録を一つの携帯電話機で実現することができる。
【0017】
(5)前記要点語の抽出は、前記テキスト・データからTFIDF値を計算することによって求める、(1)〜(4)に記載の装置。
【0018】
このような構成によれば、音声テキスト変換された通話記録又は録音記録からTFIDF法を用いて、その会話の特徴を表す要点語を抽出することができる。なお、TFIDFについては後述する。
【0019】
(6)前記TFIDF値は、前記利用者の発話部分のテキスト・データと、会話の相手側の発話部分のテキスト・データのそれぞれ又は両データ全体に対して計算する、(5)に記載の装置。
【0020】
このような構成によれば、会話記録に利用者自身の発話内容と相手側(通話相手又は面談相手)の発話内容の双方が記録されていることを利用して、異なる2つの側面から要点語を抽出することが可能となる。例えば、利用者自身の発話部分のみを利用して要点語を抽出したり、相手側のみの発話記録のみを利用したり、あるいは、両者を共に利用したりといった利用する情報の選択の幅が広がることになる。
【0021】
(7)前記ブログデータ編集部は、前記ブログの表示形式を編集する機能を備え、前記利用者からの指示によって、前記サーバに送信する、(2)に記載の装置。
【0022】
このような構成によれば、本装置は、ブログ内容のみならずブログの表示形式(例えばHTML形式やXML形式)そのものを編集する機能を有するので、本装置側でアップロードする内容をプレビューしたり、ブログに掲載する形式でアップロードすることが可能となる。
【0023】
(8)前記携帯端末は、対象物を撮像する手段を備える、(1)〜(7)に記載の装置。
【0024】
このような構成によれば、例えば、携帯端末にデジタル・カメラを備えることによって、ブログ記事と共にアップロードする画像を容易に取得することができる。
【0025】
(9)前記携帯端末は、自らの位置情報を取得する手段を備え、前記会話記録を作成した場所の位置情報を前記会話記録と関連付けて記録する、(1)〜(8)に記載の装置。
【0026】
このような構成によれば、携帯端末にGPS等の位置情報取得手段を備え、写真を撮影した日時と共に撮影場所情報等を容易にブログに利用することができる。
【0027】
(10)音声発話記録を用いてブログの作成を支援するための装置であって、
利用者の携帯端末に記憶された発話記録を入力として受け付ける発話記録入力部と、
前記発話記録の音声データを、前記利用者の発話部分とそれ以外の部分とに分離する発話分離部と、
前記分離された音声データをテキスト・データに変換する音声テキスト変換部と、
前記テキスト・データから発話の特徴を表す要点語を抽出する要点語抽出部と、
前記抽出した要点語を前記利用者に表示する表示部と、
前記要点語に基づいて前記利用者に、ブログに掲載するコメントを編集させるブログデータ編集部と、
前記コメントを含むブログデータをサーバに送信するブログデータ送信部と、
を備える装置。
【0028】
通話相手や面談相手がいない場合であっても、利用者自身の単独の口述記録(自己録音)を用いて(2)と同様な機能を実現することができる。これは、ブログを作成するための音声メモとも考えられる。
【0029】
(11) 音声会話記録を用いて会話記録の要点作成のための方法であって、
コンピュータ・システムにおいて、
利用者の携帯端末に記憶された会話記録を入力として受け付けるステップと、
前記会話記録の音声データを、前記利用者の発話部分と前記利用者と会話する他の者の発話部分とに分離するステップと、
前記分離された音声データをテキスト・データに変換するステップと、
前記テキスト・データから会話の特徴を表す要点語を抽出するステップと、
前記抽出した要点語を前記利用者に表示するステップと、
を含む方法。
【0030】
このような構成によれば、(1)の装置の機能をコンピュータ・システムにおける方法の発明としてとらえ、(1)と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0031】
このように、本発明によれば、携帯電話機や携帯録音装置など、会話記録部を備えた携帯端末装置を用いてブログの作成を容易にするための要点語などを容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0033】
図1は、本発明の一つの実施形態であるブログ作成に係る会話記録装置10の機能ブロックを示した図である。なお、説明の便宜上、会話記録装置10のみならず、これと接続される携帯電話機30やICレコーダ、Webサーバ20も同時に図示している。会話記録装置10は、主に、携帯電話機30、又はICレコーダ31等の録音機に記録された会話記録を入力として受け付ける会話記録入力部11、入力した会話記録を自分の会話と相手の会話と無音部分に分離する会話分離部12、分離した会話音声部をテキストに変換する音声テキスト変換部13、変換されたテキストからその特徴を表す要点語を抽出する要点語抽出部14、要点語を元に利用者にブログデータを編集させるブログデータ編集部15、及び編集したブログデータをブログサイトであるWEBサーバ20に送信するブログデータ送信部16を備える。また、会話記録装置10は、一般的なオーディオ・スピーカ17、利用者のための表示部18(液晶表示装置等)、操作部19(キーボード、マウス等)、及び必要ならば音声入力のためのマイク(図示せず)を備える。
【0034】
携帯電話機30やICレコーダ31との接続は、USBなどの汎用インターフェースを用いてもよいし、SDカードやSMARTカードなどの携帯型メモリを着脱して、データをやり取りするようにしてもよい。
【0035】
会話記録装置10は、ネットワーク40(典型的には、インターネットであるが、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)であってもよい)を介して、Webサーバ20と接続される。Webサーバ20は、ブログの内容を格納するサーバであり、会話記録装置10からのデータを受信するブログデータ受信部21、Webページ形式に編集するブログ記録部22、及びデータを格納するWebページDB23を備える。
【0036】
なお、これらの構成は、ほんの一例を示したに過ぎず、機能的に同等であれば他の構成を含んでもよいし、元の構成と置換してもよい。
【0037】
図2は、本発明の一つの実施形態に係る会話記録装置10の処理フローを示した図である。ここでは、入力として携帯電話機30の場合で説明するが、ICレコーダ31等の他の記録装置の場合であっても基本的な流れは同様である。
【0038】
まず、ステップS1において、携帯電話機30より通話記録を取得する。このデータの取得は、前述したように、会話記録装置10と携帯電話機30をUSBや専用ケーブルで接続して行ってもよいし、SDメモリカード等を利用してもよい。
【0039】
次に、ステップS2において、利用者(ブログ作成者)自身の発話部分と通話の相手方の発話部分、及び無音部分を分離する。この分離技術自体は、任意の公知技術を用いてよい。会話全体を自分と相手の部分に分離するのは、発音の違う話者が混在することで、音声認識(次のステップS3)の誤変換率を少なくするためだけでなく、自分と相手方の思考パターンの違いによる用語の使用の違いを分析しやすくするためでもある。無音部分を除去するのは、後で録音内容を再生するときの時間を少なくするためである。
【0040】
次にステップS3において、分離した音声データをテキストに変換する。この変換、すなわち音声認識は公知の技術(例えば、特開平―230295など参照)を用いてよいが、複数の話者が存在することを考慮すると、音声パターンや辞書を複数切り替えることができるものが好ましい。
【0041】
次に、ステップS4において、変換されたテキストを形態素分割する。形態素(morpheme)とは、意味を持つ最小の言語単位のことで、自然言語で書かれた文章を分割する際に利用される言語単位である。例えば、「今日はいい天気です」は、「今日/は/いい/天気/です」に分割される。
【0042】
更に、ステップS5において、形態素分割されたテキストは、そのテキスト全体(通話全体)を文書集合ととらえ、更に、適切な通話単位(例えば一定時間)を文書ととらえて、その文書で特徴となる要点語(キーワード)を抽出する。この要点語は、単なるテキスト全体における出現頻度でなく、特定の文書に偏って出現する語を抽出する。具体的には、例えば、TFIDF値を計算し、その値が所定の値よりも高いものを示す語を要点語として抽出する。TFIDF法は、語の出現頻度に基づいてキーワードを重みづける方法である。TFIDFはTFとIDFに分かれる。TFはTerm Frequency (語彙頻度)であり、IDFはInverse Document Frequency(文書頻度の逆数)である。すなわち、TFIDFとは、TFとIDFの積をあらわす。以下の実施例では、TFIDFを主体に説明しているが、要点語の抽出はTFIDF以外にもテキスト・マイニングでは多数知られており、(例えば文書クラスタリング)、それらの公知技術を用いることを排除するものではない。
【0043】
そして、ステップS6において、記録された全ての通話記録についてステップS2〜S5の処理を繰り返す。こうすることで、記録された通話記録がテキストに変換できる。なお、音声テキストの変換精度が低い場合は、ステップS4の処理を行う前に、認識されたテキストのチェックを利用者に行わせ、必要ならば修正を行うようにさせてもよい。
【0044】
次に、ステップS7において、通話記録毎に抽出された要点語を利用者に表示する。このとき、要点語をブログ記事のタイトルの候補として表示してもよいし、通話記録のtimestampから記事の発生時刻を表示してもよい。また、カメラで写した写真や、GPSから取り込んだ位置情報を表示させるようにしてもよい。これらの各種の情報に基づいて利用者がブログ記事を作成するブログ編集画面を表示する。テキスト変換された通話記録を同時に表示し、ブログ記事の原型としてもよい。このようにしてブログ記事を作成する各種の情報が本発明の会話記録装置10によって得られる。
【0045】
最後に、ステップS8において、編集済みのブログデータを利用者の指示に基づいてWebサーバに送信(アップロード)する。アップロードされたブログデータは、ブログサイトで閲覧しやすい形式(HTML変換等)に加工されてWebページDB23に格納される。
【0046】
図3は、会話記録として、携帯電話機30における通話記録の一例を示した図である。図の通話記録は、利用者(ブログ作成者)Aさんが、友人のBさんと交わした携帯電話の通話内容である。ここでは、Aさんが、偶然立ち寄ったケーキ屋の話題が盛り上がっているが、このような印象に残った出来事をブログ記事として、後でアップロードすることはよく行われることである。このとき、通話記録には、timestampが含まれるので、これを時系列に編集することはブログ作成にとって非常に便利である。また、今日の携帯電話機には、カメラやGPS(Global Positioning System)を備えたものも多く、カメラで撮像したその場所での画像や、その時刻、位置なども、ブログにアップロードするのには有用な情報である。例えば、そのとき、たまたま食べたケーキなどの感想やその写真、お店の位置情報(地図)をブログに載せると、それを見た人が多くそのお店を訪れるようになることも十分にあり得る。
【0047】
図4は、図3で示した通話記録を元に、通話記録の要点データ(要点語の集まり)を抽出したテーブルを示した図である。この表には、前述の通話記録から抽出した語(キーワード)が、出現頻度、TFIDFの値と共に格納され、TFIDF値の高い語ほど特徴を表す要点語として上位に並べられる。なお、ここではTFIDF値は、通話全体を文書集合として計算した例を示すが、自分(Aさん)と友人(Bさん)の発話部分に分け、それぞれに対してTFIDF値を示してもよい。例えば、同じ意味でもAさんとBさんは、用いる用語が異なると、Aさんの発話部から得た要点語と、Bさんの発話部から得た要点語では当然結果が異なる。このことを分析することによって、ブログ記事を作成するときに、会話の相手方の意見を取り込んだり、逆に取り込まなかったりするといったような選択の余地を広げることができる。それによって、Aさん、Bさんの使う用語のばらつきを分析することができる。また、通話全体を一つの文書にするのではなく、適当な区切り(例えば無音時間が長く続くとき)を検出し、その区切り毎に別の文書として扱ってもよい。あるいは、一定時間、例えば3分毎などに通話を区切って、それぞれを一つの文書と扱うようにしてもよい。このように同じ通話記録からでも様々な文書単位を定義できるので、TFIDF値をそれごとに計算し、要点語の分析に役立てることができる。
【0048】
図5は、会話記録として、ICレコーダ31のような録音機における録音記録(インタビュー)を示した図である。この例では、図3の携帯電話機30での通話の後、AさんとBさんが実際のお店を訪れて、そのお店の店長にインタビューを行ったときの会話が記録されている。携帯電話機30での通話と違って、インタビューは、ブログに掲載することを前提に会話が行われると考えられるので、ブログの記事になりやすいような記録が得られる可能性が高い。ここで得られた会話記録は、携帯電話機30の通話記録と同様に会話記録装置10に入力され、音声テキスト変換されてブログ記事の元データとなる。なお、このようなインタビューの録音は、ICレコーダ31のような録音専用機でなくとも、録音機能を備えていれば、携帯電話機30でも代用できる。また、相手方がいなくとも、利用者が記事を口述し、その口述記録を会話記録装置10の入力として用いることもできる。
【0049】
図6は、図5の録音記録を元に、録音記録の要点データ(要点語の集まり)を抽出したテーブルを示した図である。この表には、前述の図4のテーブルと同様に、録音記録から抽出した語(キーワード)が、出現頻度、TFIDFの値と共に格納され、TFIDF値の高い語ほど特徴を表す要点語として上位に並べられる。TFIDF値の計算方法も、同様である。ただし、通話の内容と、録音内容がこの例のように関連している場合は、通話記録を文書1、録音記録を文書2として、両文書全体からTFIDF値を計算し、その値に基づいて要点語を抽出することができる。もちろん、文書1、文書2に対してそれぞれ別々にTFIDF値を求め、それらの値に基づいて要点語を抽出してもよい。このようにすることで、異なる角度からの要点語抽出を可能にする。例えば、会話の相手方が有用な情報を発言せず、ただ相槌を打っているような場合には、相手方の発話部分を抽出の対象から外すことができる。
【0050】
図7は、本発明の一つの実施形態に係る会話記録装置10におけるブログ記事編集画面の一例を示した図である。ここでは、携帯電話の通話記録の場合について説明する。符号50で示される通話記録選択バーから、対象となる通話記録等を選択する。通話記録は複数選択してもよい。領域51には、選択された通話に関連する情報として、通話開始時間、通話相手、通話時間等が表示される。更に、領域52には、前述の手法に基づいて抽出された要点語(要点キーワード)が表示される。ここではTFIDF値の高い順に表示するようにしてもよい。また、領域53には音声テキスト変換部13によって、テキストに変換された通話記録の音声認識結果が表示される。このテキスト中、下線部の部分は誤認識、又は認識できなかった部分を示している。利用者は、この正しく認識されなかった語を特に修正しなくともよい。領域54(ブログ記事見出し部)には、例えば、領域51の通話関連情報と、領域52の要点キーワードから作成されたブログ記事のタイトル部分が表示される。もちろん、利用者がこのタイトル部分を編集するようにしてもよい。領域55は、抽出された要点語を、ブログ記事の内容(コメント)の要点として表示する領域である。もちろん、この部分は、利用者がこれらの要点語を元に編集してもよいし、場合によっては、領域53の通話記録を直接編集して作成することもできる。
【0051】
領域56〜59は、ブログに同時にアップロードする写真等の画像を編集するためのものである。すなわち、領域56の写真選択バーから写真のファイルを選択し、領域57(写真付随情報)には、撮影時刻や場所を表示する。GPSを備えた携帯電話機を使用している場合は、場所の位置情報を取得するようにしてもよい。領域58には、写真を編集するための各種ツールボタン等が配置され、アップロードされるべき写真が領域59に表示されるようにする。図示していないが、編集前の写真と編集後の写真を並べて表示するようにしてもよい。
【0052】
このようにして作成したブログ記事の文章と写真等の画像は、利用者が、領域60(ブログ選択メニュー)においてアップロード先のブログを選択し、アップロード・ボタン62を押下することによって所定のブログサイトに掲載される。また、ブログの表示形式(例えば、HTMLやXML)を編集する機能を持たせることによって、アップロードする前に、閲覧イメージを、プレビューボタン61を押下することによって表示させるようにしてもよい。
【0053】
[会話記録装置のハードウェア構成]
図8は、本発明の一つの実施形態に係る会話記録装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0054】
会話記録装置10は、制御部101を構成するCPU(Central Processing Unit)110(マルチプロセッサ構成ではCPU120等複数のCPUが追加されてもよい)、バスライン105、通信I/F140、メインメモリ150、BIOS(Basic Input Output System)160、USBポート190、I/Oコントローラ170、並びにキーボード及びマウス180等の入力手段や表示装置122を備える。また、必要に応じてマイク・スピーカ173を備えていてもよい。USBポート190には、携帯電話機30やICレコーダ31などが接続されようにして、通話記録データを会話記録装置10に取り込むようにしてもよい。
【0055】
I/Oコントローラ170には、テープドライブ172、ハードディスク174、光ディスクドライブ176、半導体メモリ178、等の記憶手段を接続することができる。
【0056】
BIOS160は、会話記録装置10の起動時にCPU110が実行するブートプログラムや、会話記録装置10のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0057】
記憶部102を構成するハードディスク174は、会話記録装置10が装置として機能するための各種プログラム及び本発明の機能を実行するプログラムを記憶しており、更に必要に応じて各種データベースを構成可能である。
【0058】
光ディスクドライブ176としては、例えば、DVD−ROMドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−RAMドライブ、CD−RAMドライブを使用することができる。この場合は各ドライブに対応した光ディスク177を使用する。光ディスク177から光ディスクドライブ176によりプログラム又はデータを読み取り、I/Oコントローラ1070を介してメインメモリ150又はハードディスク174に提供することもできる。また、同様にテープドライブ172に対応したテープメディア171を主としてバックアップのために使用することもできる。
【0059】
会話記録装置10に提供されるプログラムは、ハードディスク174、光ディスク177、又はメモリカード等の記録媒体に格納されて提供される。このプログラムは、I/Oコントローラ170を介して、記録媒体から読み出され、又は通信I/F140を介してダウンロードされることによって、会話記録装置10にインストールされ実行されてもよい。
【0060】
前述のプログラムは、内部又は外部の記憶媒体に格納されてもよい。ここで、記憶部102を構成する記憶媒体としては、ハードディスク174、光ディスク177、又はメモリカードの他に、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体を用いることができる。また、専用通信回線やインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク174又は光ディスクライブラリ等の記憶装置を記録媒体として使用し、通信回線を介してプログラムを会話記録装置10に提供してもよい。
【0061】
ここで、表示装置122は、ユーザにデータの入力を受け付ける画面を表示したり、会話記録装置10による演算処理結果の画面を表示したりするものであり、ブラウン管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)等のディスプレイ装置を含む。
【0062】
ここで、入力手段は、ユーザによる入力の受け付けを行うものであり、キーボード及びマウス180等により構成してよい。
【0063】
また、通信I/F140は、会話記録装置10を専用ネットワーク又は公共ネットワークを介して端末と接続できるようにするためのネットワーク・アダプタである。通信I/F140は、モデム、ケーブル・モデム及びイーサネット(登録商標)・アダプタを含んでよい。
【0064】
以上の例は、会話記録装置10について主に説明したが、コンピュータに、プログラムをインストールして、そのコンピュータをサーバ装置として動作させることにより上記で説明した機能を実現することもできる。したがって、本発明において一実施形態として説明したサーバにより実現される機能は、上述の方法を当該コンピュータにより実行することにより、あるいは、上述のプログラムを当該コンピュータに導入して実行することによっても実現可能である。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一つの実施形態に係る会話記録装置10の機能ブロックを示した図である。
【図2】本発明の一つの実施形態に係る会話記録装置10の処理フローを示した図である。
【図3】会話記録として、携帯電話機における通話記録の一例を示した図である。
【図4】図3の通話記録を元に、通話記録の要点データ(要点語の集まり)を抽出したテーブルを示した図である。
【図5】会話記録として、ICレコーダのような録音機における録音記録(インタビュー)を示した図である。
【図6】図5の録音記録を元に、録音記録の要点データ(要点語の集まり)を抽出したテーブルを示した図である。
【図7】本発明の一つの実施形態に係る会話記録装置10におけるブログ記事編集画面の一例を示した図である。
【図8】本発明の一つの実施形態に係る会話記録装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
10 会話記録装置
11 会話記録入力部
12 会話部分離部
13 音声テキスト変換部
14 要点語抽出部
15 ブログデータ編集部
16 ブログデータ送信部
17 スピーカ
18 表示部
19 操作部
20 Webサーバ
21 ブログデータ受信部
22 ブログ記録部
23 WebページDB
30 携帯電話機
31 ICレコーダ
40 ネットワーク
50 通話記録選択バー
51 通話関連情報
52 抽出要点語
53 通話記録(テキスト変換後)
54 ブログ記事見出し部
55 ブログ記事内容
56 写真選択バー
57 写真付随情報
58 写真編集用ツールボタン
59 写真
60 ブログ選択メニュー
61 ブレビュー・ボタン
62 アップロード・ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声会話記録を用いて会話記録の要点作成のための装置であって、
利用者の携帯端末に記憶された会話記録を入力として受け付ける会話記録入力部と、
前記会話記録の音声データを、前記利用者の発話部分と前記利用者と会話する他の者の発話部分とに分離する会話分離部と、
前記分離された音声データをテキスト・データに変換する音声テキスト変換部と、
前記テキスト・データから会話の特徴を表す要点語を抽出する要点語抽出部と、
前記抽出した要点語を前記利用者に表示する表示部と、
を備える装置。
【請求項2】
音声会話記録を用いてブログの作成を支援するための装置であって、
利用者の携帯端末に記憶された会話記録を入力として受け付ける会話記録入力部と、
前記会話記録の音声データを、前記利用者の発話部分と前記利用者と会話する他の者の発話部分とに分離する会話分離部と、
前記分離された音声データをテキスト・データに変換する音声テキスト変換部と、
前記テキスト・データから会話の特徴を表す要点語を抽出する要点語抽出部と、
前記抽出した要点語を前記利用者に表示する表示部と、
前記要点語に基づいて前記利用者に、ブログに掲載するコメントを編集させるブログデータ編集部と、
前記コメントを含むブログデータをサーバに送信するブログデータ送信部と、
を備える装置。
【請求項3】
前記会話記録は、携帯電話機を用いた通話記録である、請求項1乃至2に記載の装置。
【請求項4】
前記会話記録は、前記携帯端末に記録された会話録音データである、請求項1乃至2に記載の装置。
【請求項5】
前記要点語の抽出は、前記テキスト・データからTFIDF値を計算することによって求める、請求項1乃至4に記載の装置。
【請求項6】
前記TFIDF値は、前記利用者の発話部分のテキスト・データと、会話の相手側の発話部分のテキスト・データのそれぞれ又は両データ全体に対して計算する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ブログデータ編集部は、前記ブログの表示形式を編集する機能を備え、前記利用者からの指示によって、前記サーバに送信する、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記携帯端末は、対象物を撮像する手段を備える、請求項1乃至7に記載の装置。
【請求項9】
前記携帯端末は、自らの位置情報を取得する手段を備え、前記会話記録を作成した場所の位置情報を前記会話記録と関連付けて記録する、請求項1乃至8に記載の装置。
【請求項10】
音声発話記録を用いてブログの作成を支援するための装置であって、
利用者の携帯端末に記憶された発話記録を入力として受け付ける発話記録入力部と、
前記発話記録の音声データを、前記利用者の発話部分とそれ以外の部分とに分離する発話分離部と、
前記分離された音声データをテキスト・データに変換する音声テキスト変換部と、
前記テキスト・データから発話の特徴を表す要点語を抽出する要点語抽出部と、
前記抽出した要点語を前記利用者に表示する表示部と、
前記要点語に基づいて前記利用者に、ブログに掲載するコメントを編集させるブログデータ編集部と、
前記コメントを含むブログデータをサーバに送信するブログデータ送信部と、
を備える装置。
【請求項11】
音声会話記録を用いて会話記録の要点作成のための方法であって、
コンピュータ・システムにおいて、
利用者の携帯端末に記憶された会話記録を入力として受け付けるステップと、
前記会話記録の音声データを、前記利用者の発話部分と前記利用者と会話する他の者の発話部分とに分離するステップと、
前記分離された音声データをテキスト・データに変換するステップと、
前記テキスト・データから会話の特徴を表す要点語を抽出するステップと、
前記抽出した要点語を前記利用者に表示するステップと、
を含む方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−146461(P2008−146461A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334557(P2006−334557)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】