説明

伝送線路パターンがケースに埋め込まれる電子装置及びその製造方法

【課題】本発明は、伝送線路パターンがケースに埋め込まれる電子装置及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明の一実施例による電子装置は、ケースの内部に埋め込まれ、部品間の電気的接続のための線路パターンが形成された線路パターン形成体と、線路パターンと電気的に接続される部品の端子に対応する位置において、ケースの底面から露出形成される端子部と、端子部と部品の端子とを接続する接続部材と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送線路パターンがケースに埋め込まれる電子装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路技術と情報通信技術の目覚ましい発展に伴い、携帯電話、携帯用マルチメディア再生装置(PMP;Portable Multimedia Player)、個人用の情報端末機(PDA;Personal Digital Assistant)、スマートフォン(Smart Phone)、ノート型パソコン(laptop)などの各種携帯用電子装置が現代生活の必需品として位置付けられている。
【0003】
また、携帯用電子装置の普遍化によりユーザの要求はますます多様化してきており、これによって多くの機能をさらに便利に使用できる携帯用電子装置が開発されつつある。例えば、デジタル放送受信(例えば、DMB(digital multimedia broadcasting))、ナビゲーション、ワイブロ(Wibro)、ワイファイ(WIFI)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの様々な機能が携帯用電子装置に組み込まれている。
【0004】
最近、携帯用電子装置の小型化及び薄型化の傾向に伴って、携帯用電子装置の限定された内部空間に多様な機能を有する回路を集積化させる必要があり、このような内部空間の活用を極大化するために空間的に分離された部品、例えば印刷回路基板(PCB)、アンテナ、インターフェースカードなどが用いられるようになった。
【0005】
しかしながら、このような場合、PCB間のデジタル信号またはアンテナに伝送される高周波信号などの信号を伝達するためには、フレキシブル回路基板(FPCB)または同軸ケーブルのような接続媒体を用いなければならず、携帯用電子装置の内部にこれら接続媒体のための空間を割り当てなければならないため、空間活用が非効率的であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記のような従来技術の問題点を解決するためのものであって、空間的に分離された部品間の電気的接続のための伝送線路パターンをケース内部に埋め込むことにより、上記部品間の電気的接続のための空間を別途に割り当てる必要がなく、電気的接続のための組立工程を必要としない電子装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例による電子装置は、ケースの内部に埋め込まれ、部品間の電気的接続のための線路パターンが形成された線路パターン形成体と、上記線路パターンと電気的に接続される部品の端子に対応する位置において、上記ケースの底面から露出形成される端子部と、上記端子部と上記部品の端子とを接続する接続部材と、を含むことができる。
【0008】
また、本発明の一実施例による電子装置は、上記線路パターン形成体が上記ケースの内部に埋め込まれるようにする線路パターン形成体フレームをさらに含むことができる。
【0009】
また、本発明の一実施例による電子装置は、上記線路パターン形成体フレームの一面を覆って、上記線路パターンが上記線路パターン形成体フレームとの間に埋め込まれるようにするケースフレームをさらに含むことができる。
【0010】
また、本発明の一実施例による電子装置において、上記接続部材は、上記端子部と上記部品の端子に弾性結合してもよい。
【0011】
この時、上記接続部材は、C−クリップ(C−Clip)またはポゴピン(Pogo−pin)で形成されてもよい。
【0012】
また、本発明の一実施例による電子装置において、上記接続部材は、一端が上記部品の端子に接合され、他端が上記端子部に弾性接触されてもよい。
【0013】
また、本発明の一実施例による電子装置において、上記線路パターン形成体は、フレキシブル印刷回路基板(FPCB)であってもよい。
【0014】
また、本発明の一実施例による電子装置において、上記線路パターンは、ストリップライン(Strip line)、マイクロストリップライン(Microstrip line)、CPW(Coplanar waveguide)、CPW with GND(Coplanar waveguide with ground)、CPS(Coplanar strip)、スロットライン(Slot line)、または平行線路(Parallel line)であってもよい。
【0015】
また、本発明の一実施例による電子装置において、上記線路パターンが電気的に接続する上記部品は、所定の機能を有する素子を実装したPCB、アンテナとインターフェースカードまたはアンテナとマッチング回路を有するPCBであってもよい。
【0016】
一方、本発明の他の実施例による伝送線路パターンがケースに埋め込まれる電子装置は、ケースの内部に埋め込まれ、信号を伝送する線路パターンが形成された線路パターン形成体と、上記ケースの内部に上記線路パターンの一端に接続して埋め込まれ、信号を送受信するアンテナパターン部が形成される放射体と、上記線路パターンの他端に形成され、上記放射体と信号を送受信するPCBの端子に対応する位置において、上記ケースの底面から露出形成される端子部と、上記端子部と上記PCBの端子とを接続する接続部材と、を含むことができる。
【0017】
他の実施形態において、本発明の一実施例による伝送線路パターンがケースに埋め込まれる電子装置を製造する方法は、部品間の電気的接続のための線路パターンと上記線路パターンの両端部に端子部とを有する線路パターン形成体を製造する段階と、上記線路パターンがケース内部に埋め込まれ、上記端子部が上記ケースの底面から露出するように上記線路パターン形成体を上記ケースに埋め込む段階と、上記部品の端子と上記線路パターンの上記端子部とを接続部材を用いて電気的に接続する段階と、を含むことができる。
【0018】
また、本発明の一実施例による伝送線路パターンがケースに埋め込まれる電子装置を製造する方法において、上記線路パターン形成体を上記ケースに埋め込む段階は、上記線路パターン形成体をインサート射出成形して行われることができる。
【0019】
また、本発明の一実施例による伝送線路パターンがケースに埋め込まれる電子装置を製造する方法において、上記線路パターン形成体を上記ケースに埋め込む段階は、上記線路パターンが内部に埋め込まれ、上記端子部が露出するように上記線路パターン形成体をインサート射出成形して線路パターン形成体フレームを製造する段階と、上記線路パターン形成体フレームの上記端子部が露出した面の反対面を覆うようにインサート射出成形してケースフレームを製造する段階と、を含むことができる。
【0020】
また、本発明の一実施例による伝送線路パターンがケースに埋め込まれる電子装置を製造する方法において、上記線路パターン形成体フレームを製造する段階は、上記線路パターン形成体を上記線路パターン形成体フレームの製造金型内の一面に接触するように配置し、上記線路パターン形成体フレームの製造金型内に樹脂材を充填して行われ、上記ケースフレームを製造する段階は、上記線路パターン形成体フレームを上記ケースフレームの製造金型内の一面に接触するように配置し、上記ケースフレームの製造金型内に樹脂材を充填して行われる。
【0021】
また、本発明の一実施例による伝送線路パターンがケースに埋め込まれる電子装置を製造する方法において、上記電気的に接続する段階は、上記部品の端子に上記接続部材の一端を接合する工程と、上記接続部材の他端を上記端子部に弾性接触する段階と、を含むことができる。
【0022】
また、本発明の一実施例による伝送線路パターンがケースに埋め込まれる電子装置を製造する方法において、上記線路パターン形成体を製造する段階は、フレキシブル印刷回路基板(FPCB)に導電性物質を用いて上記線路パターンに対応するパターンをスクリーン印刷、スパッタリング、またはメッキする方法により行われることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明による電子装置及びその製造方法によれば、空間的に分離された部品間を接続する接続媒体のための空間や、接続媒体を組み立てるための工程が不要であることから、電子装置の内部空間の活用度が高いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例による電子装置の移動通信端末機の概略分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例による電子装置の移動通信端末機のケースの底面図である。
【図3】本発明の一実施例による電子装置の移動通信端末機の概略断面図である。
【図4a】本発明の一実施例による電子装置の移動通信端末機の線路パターン形成体の平面図である。
【図4b】本発明の一実施例による電子装置の移動通信端末機の線路パターン形成体の平面図である。
【図5a】本発明による線路パターンの一形態を示す断面図である。
【図5b】本発明による線路パターンの一形態を示す断面図である。
【図5c】本発明による線路パターンの一形態を示す断面図である。
【図5d】本発明による線路パターンの一形態を示す断面図である。
【図5e】本発明による線路パターンの一形態を示す断面図である。
【図5f】本発明による線路パターンの一形態を示す断面図である。
【図5g】本発明による線路パターンの一形態を示す断面図である。
【図6a】本発明による線路パターン形成体フレームを示す概略断面図である。
【図6b】本発明による線路パターン形成体フレームの製造金型に樹脂材が充填される状態を示す概略断面図である。
【図7a】本発明による線路パターンが内部に埋め込まれたケースフレームを示す概略断面図である。
【図7b】本発明による線路パターンが内部に埋め込まれたケースフレームの製造金型に樹脂材が充填される状態を示す概略断面図である。
【図8】本発明の他の実施例による電子装置の移動通信端末機の概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。但し、本発明は提示される実施例に制限されず、本発明を理解する当業者は同一の範囲内で他の構成要素を追加、変更、削除することにより他の発明や本発明の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができ、これも本願発明の範囲内に含まれるといえる。
【0026】
また、各実施例の図面に示す同一の範囲内の同一の機能を有する構成要素は、同一または類似する参照符号を用いて説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施例による電子装置の移動通信端末機の概略分解斜視図であり、図2は、上記移動通信端末機のケースの底面図であり、図3は、上記移動通信端末機の概略断面図であり、図4a及び図4bは、上記移動通信端末機の線路パターン形成体の平面図である。
【0028】
図1から図4を参照すると、本発明の一実施例による電子装置の移動通信端末機100は、信号伝送のための線路パターン214,224が形成された線路パターン形成体210,220が埋め込まれたケース120、空間的に分離されたPCB130,150、及び上記PCBを収容するメインケース140を含むことができる。
【0029】
線路パターン形成体は、端子部が線路パターンと同一線上に形成された第1線路パターン形成体210及び端子部が線路パターンと垂直に形成された第2線路パターン形成体220を含むことができ、これは接続しようとする部品の配置位置に応じて選択される。
【0030】
第1線路パターン形成体210は、第1PCB130と第2PCB150の所定の回路間の信号伝送のための第1線路パターン214と、上記第1線路パターン214の両端部に電気的接続のために形成された第1及び第2端子部211,212と、を含むことができる。
【0031】
上記ケース120の表面から上記第1及び第2端子部211,212が露出され、上記第1線路パターン214は上記ケース120の内部に埋め込まれる。
【0032】
第2線路パターン形成体220は、第1PCB130と第2PCB150の所定の回路間の信号伝送のための第2線路パターン224と、上記第2線路パターン224の両端部に電気的接続のために形成された第3及び第4端子部221,222と、を含むことができる。
【0033】
同様に、上記ケース120の表面から上記第3及び第4端子部221,222が露出され、上記第2線路パターン224は上記ケース120の内部に埋め込まれる。
【0034】
第1PCB130と第2PCB150の所定の回路の端子には、上記第1線路パターン214及び第2線路パターン224の端子部との電気的接続のための接続部材が接続されてもよい。
【0035】
具体的に、第1線路パターン214により第1PCB130と第2PCB150の所定の回路間に信号を伝送するように、第1端子部211に接続する第1接続部材310、第2端子部212に接続する第2接続部材320を含むことができる。
【0036】
また、第2線路パターン224により第1PCB130と第2PCB150の所定の回路間に信号を伝送するように、第3端子部221に接続する第3接続部材330、第4端子部222に接続する第4接続部材340を含むことができる。
【0037】
上記第1から第4接続部材310〜340は、一端が第1PCB130と第2PCB150の所定の回路の端子に接続され、他端が第1から第4端子部211,212,221,222にそれぞれ接続される。
【0038】
この時、上記第1から第4接続部材310〜340は弾性部材からなり、第1PCB130と第2PCB150の所定の回路の端子または第1から第4端子部211,212,221,222に弾性結合することができる。例えば、上記第1から第4接続部材310〜340は、C−クリップ(C−Clip)またはポゴピン(Pogo−pin)であってもよい。
【0039】
上記第1から第4接続部材310〜340は、第1PCB130と第2PCB150に一体的に形成されてもよく、別途の部材で形成されて第1PCB130と第2PCB150の所定の回路の端子に接合されてもよい。
【0040】
図3に示すように、上記第1及び第2接続部材310,320が別途の部材で形成され、一端が第1PCB130と第2PCB150の所定の回路の端子に接合され、他端が第1及び第2端子部211,212に弾性接触するが、本発明はこれに限らず、第1から第4接続部材310〜340の一端が第1から第4端子部211,212,221,222に接合され、他端が第1PCB130と第2PCB150の所定の回路の端子に弾性接触されてもよい。また、第1から第4接続部材310〜340が第1線路パターン214及び第2線路パターン224に一体的に形成されてもよく、要求される条件及び設計仕様に応じて多様に変更されてもよい。
【0041】
図4aに示すように、第1線路パターン形成体210は、信号を伝送するための第1線路パターン214と、上記第1線路パターン214の両端部に上記ケース120の底面から露出する第1及び第2端子部211,212と、を含むことができる。第1線路パターン214と第1及び第2端子部211,212は同一線上に位置してもよい。
【0042】
第1線路パターン形成体210は、FPCB上に導電性物質を用いてスパッタリング(sputtering)、印刷(printing)、メッキ(plating)、スタンピング(stamping)、ドローイング(drawing)、またはディスペンシング(dispensing)することにより、上記第1線路パターン214に対応する形状の導体パターンが形成される。
【0043】
上記FPCBとしては、低温同時焼成セラミック基板(Low Temperature Co−fired Ceramic、LTCC)または高温同時焼成セラミック基板(High Temperature Co−fired Ceramic、HTCC)などが用いられる。
【0044】
上記第1線路パターン214により、デジタル信号またはアンテナに伝送される高周波信号のような信号が伝送される。
【0045】
図4bに示すように、第2線路パターン形成体220は、信号を伝送するための第2線路パターン224と、上記第2線路パターン224と垂直に形成される第3及び第4端子部221,222と、を含むことができる。第2線路パターン224の両端部と第3及び第4端子部221,222との間には、これらを互いに接続するように第3及び第4端子部221,222から延長される第1及び第2接続部225,226が形成される。
【0046】
本実施例では、線路パターン形成体210,220が第1PCB130と第2PCB150の所定の機能を有する回路間に信号を伝送することを図示して説明したが、本発明はこれに限らず、マッチング回路を有するPCBとアンテナとの間に高周波信号を伝送してもよく、アンテナとインターフェースカードとの間に信号を伝送してもよい。
【0047】
図5aから図5gは本発明による線路パターンの様々な形態を示す断面図である。
【0048】
図5aを参照すると、本発明による線路パターンは、マイクロストリップライン(Microstrip line)であってもよい。すなわち、所定の厚さhと誘電率εを有するFPCB410の一面に所定の厚さtと幅wを有する第1導体パターン414が形成され、上記一面の反対面に上記第1導体パターン414よりも広幅の第2導体パターン412が形成される。ここで、上記第2導体パターン412は接地金属板であってもよい。
【0049】
図5bに示すように、本発明による線路パターンは、ストリップライン(Strip line)であってもよい。すなわち、所定の厚さbと誘電率εを有するFPCB420の内部に所定の厚さtと幅wを有する中心導体パターン424が形成され、上記FPCB420の一面に第1表面導体パターン421が形成され、上記FPCB420の一面の反対面に第2表面導体パターン422が形成される。
【0050】
図5cに示すように、本発明による線路パターンは、CPW(Coplanar waveguide)であってもよい。すなわち、所定の厚さhと誘電率εを有するFPCB430の一面に所定の厚さtと幅sを有する中心導体パターン433が形成され、上記中心導体パターン433が形成された面と同一の面に上記中心導体パターン433から所定間隔w離れて上記中心導体パターン433を挟んでいる第1接地導体431a及び第2接地導体431bが形成される。
【0051】
ここで、第1接地導体431aと上記中心導体パターン433との間の第1ガイドスロット434aと、第2接地導体431bと上記中心導体パターン433との間の第2ガイドスロット434bは、同一の間隔wをもって形成される。また、上記中心導体パターン433、第1接地導体431a、及び第2接地導体431bは、互いに平行するように形成される。
【0052】
図5dに示すように、本発明による線路パターンは、CPWG(Coplanar waveguide with ground)であってもよい。CPWGは、図5cに示されたCPWの下面に接地金属板をさらに備えたものである。すなわち、所定の厚さ(h)と誘電率εを有するFPCB440の一面に所定の厚さtと幅sを有する中心導体パターン443が形成され、上記中心導体パターン443が形成された面と同一の面に上記中心導体パターン443から所定間隔w離れて上記中心導体パターン443を挟んでいる第1接地導体441a及び第2接地導体441bが形成され、上記FPCB440の上記中心導体パターン443が形成された面の反対面に接地金属板442が形成される。
【0053】
図5eに示すように、本発明による線路パターンは、CPS(Coplanar strip)であってもよい。CPSはCPWの反対構造を有する線路パターンである。すなわち、所定の厚さhと誘電率εを有するFPCB450の一面に所定の厚さtと幅wを有する第1導体パターン454aと第2導体パターン454bがスロット453により所定間隔s離れて平行するように形成される。
【0054】
図5fに示すように、本発明による線路パターンは、スロットライン(Slot line)であってもよい。スロットラインは広い金属板に形成された溝に沿って信号が伝送される形態である。すなわち、所定の厚さhと誘電率εを有するFPCB460の一面に所定の厚さtを有する導体板が形成され、上記導体板に所定の幅wを有する溝464が形成され、上記溝464により上記導体板は第1部分461a及び第2部分461bに分けられる。
【0055】
図5gに示すように、本発明による線路パターンは、平行線路(Parallel line)であってもよい。平行線路は、信号線と接地線の構造が同一である対称(balanced)伝送線路である。すなわち、所定の厚さhと誘電率εを有するFPCB470の一面に所定の厚さtと幅wを有する第1導体パターン474aを形成し、上記FPCB470の一面の反対面に上記第1導体パターン474aの構造と同一である第2導体パターン474bを平行するように形成することができる。ここで、第1導体パターン474aが信号線であり、第2導体パターン474bが接地線であってもよい。
【0056】
以下では本発明の一実施例による電子装置の移動通信端末機を製造する方法を説明する。
【0057】
先ず、本発明の好ましい製造方法を概略的に説明すると、線路パターンと端子部を有する線路パターン形成体を製造し、上記線路パターンがケースの内部に埋め込まれ、上記端子部が露出するように上記線路パターン形成体をインサート射出成形し、接続部材を用いて上記端子部と本体部品を電気的に接続することにより、本発明による電子装置が完成される。
【0058】
図6a及び図6bは、本発明による線路パターン形成体フレーム及びその製造金型に樹脂材が充填される状態を示す概略断面図である。
【0059】
図6a及び図6bを参照すると、FPCBの一面に導電性物質を塗布して本体の部品間に信号を伝送する線路パターン214を形成し、上記線路パターン214の両端部に第1及び第2端子部211,212を形成して線路パターン形成体210を製造する。
【0060】
この時、PCBの一面への導電性物質の塗布は、上記線路パターン214に対応するパターンをスパッタリング(sputtering)、印刷(printing)、メッキ(plating)、スタンピング(stamping)、ドローイング(drawing)、またはディスペンシング(dispensing)する方法により行われる。
【0061】
また、上記第1端子部211と第2端子部212は、電気的に接続しようとする本体の部品、例えば、PCBとPCB、PCBとアンテナ、アンテナとインターフェースカードの端子に対応する位置に形成されることが好ましい。
【0062】
上記線路パターン形成体210を線路パターン形成体フレームの製造金型500内に配置し、上記線路パターン形成体フレームの製造金型500の内部空間530に樹脂材を充填する。
【0063】
上記線路パターン形成体フレームの製造金型500は、上記線路パターン形成体210のFPCBにおける線路パターン214が形成された面と、その反対面が接触配置される上部金型510と、内部に樹脂材が充填される下部金型520と、を含む。
【0064】
上記上部金型510と上記下部金型520に上記線路パターン形成体210が配置されて合型されると、図6bに示すように、上記上部金型510と上記下部金型520の合型により形成された内部空間530に注入口540を通して樹脂材を充填する。
【0065】
この時、上記下部金型520の底面は、第1端子部211と第2端子部212に対応する部分が突出形成され、上記第1端子部211と第2端子部212に対応する部分以外の部分には樹脂材が充填される溝部522が形成される。
【0066】
したがって、樹脂材が上記内部空間530に充填されると、上記第1端子部211及び第2端子部212が形成された部分だけを除いて樹脂材が充填され、上記線路パターン形成体フレームの製造金型500から線路パターン形成体フレーム230を分離すると、上記第1端子部211及び第2端子部212が上記線路パターン形成体フレーム230の底面から露出することができる。
【0067】
ここで、線路パターン形成体フレーム230は線路パターン214をケースの内部に埋め込まれるようにする1次射出物として機能することができる。
【0068】
図7a及び図7bは本発明による線路パターンが内部に埋め込まれたケースフレーム及びその製造金型に樹脂材が充填される状態を示す概略断面図である。
【0069】
図7a及び図7bを参照すると、線路パターン形成体フレーム230をケースフレームの製造金型600内に配置し、上記ケースフレームの製造金型600内に樹脂材を充填して上記線路パターン214が内部に埋め込まれたケースフレーム120(またはケース)を製造することができる。
【0070】
ケースフレームの製造金型600は、ケースフレーム120を形成する樹脂材が充填される内部空間630が形成された上部金型610と、上記線路パターン形成体フレーム230が配置される内部空間が形成された下部金型620と、を含む。
【0071】
上記上部金型610には、内部に配置される上記線路パターン形成体フレーム230の一面との間に上記内部空間630が形成されるように溝612が形成され、上記下部金型620の底面は上記線路パターン形成体フレーム230の上記第1端子部211及び第2端子部212が形成された面と同一の形態を有することができる。
【0072】
これにより、上記線路パターン形成体フレーム230の上記第1端子部211及び第2端子部212が形成された面に樹脂材が充填されることが防止され、第1端子部211及び第2端子部212がケースフレーム120の底面から露出することができる。
【0073】
上記下部金型620に線路パターン形成体フレーム230を配置して上部金型610を合型した後、上記合型により形成された内部空間630に注入口640を通して樹脂材を注入し、上記線路パターン形成体フレーム230の上記端子部211,212が露出した面と、その反対面を樹脂材が覆うように充填する。このように樹脂材が充填された部分がケースフレーム120を構成する。
【0074】
ここで、ケースフレーム120は、線路パターン214をケースの内部に埋め込まれるようにする2次射出物として機能することができる。
【0075】
本実施例では線路パターン形成体フレーム230とケースフレーム120をインサート射出成形により形成することを図示して説明したが、これは例示的なもので、本発明はこれに限らず、線路パターン形成体210を所定の形状を有するフレームに付着して線路パターン形成体フレーム230を製造してもよく、このように製造された線路パターン形成体フレーム230を予め製造したケースの形状を有するフレームに付着してケースフレーム120を製造してもよい。
【0076】
上述したように、線路パターン214を内部に埋め込んでいるケース120が完成すると、接続部材310,320を用いて本体のPCB130,150の回路を電気的に接続する。
【0077】
これは別途の組立工程が不要であり、単に上記ケース120を本体側のメインケース140と結合することにより行われる。
【0078】
例えば、図1に示すように、第1接続部材310の一端を第2PCB150の端子に結合し、第2接続部材320の一端を第1PCB130の端子に結合した後、上記ケース120をメインケース140に結合すると、第1及び第2接続部材310,320の他端がそれぞれ第1及び第2端子部211,212に弾性接触することにより、第1PCB130の回路と第2PCB150の回路が電気的に接続することになる。
【0079】
この時、第1接続部材310の一端が第2PCB150の端子に結合することと、第2接続部材320の一端が第1PCB130の端子に結合することは接着剤による接合により行われることができる。
【0080】
また、第2線路パターン224と第1PCB130の回路と第2PCB150の回路間の電気的接続も同様である。
【0081】
本実施例では第1線路パターン214が形成された第1線路パターン形成体210を製造し、上記第1線路パターン形成体210をインサート射出成形して第1線路パターン形成体フレーム230を形成し、上記第1線路パターン形成体フレーム230をインサート射出成形してケースフレーム120を形成する段階を図示して説明したが、第2線路パターン224が形成された第2線路パターン形成体220を製造し、これをケース120の内部に埋め込む段階も上記段階に対応する工程により行われてもよいのは明らかである。
【0082】
上述したように、本実施例ではケース120とメインケース140の結合により、第1PCB130の回路と第2PCB150の回路との間で電気的接続が行われるため、接続媒体を用いた別途の組立工程が不要となり、線路パターンをケース120の内部に埋め込むため、接続媒体のための別途の空間が不要となり、空間活用の極大化が可能になる。
【0083】
図8は、本発明の他の実施例による電子装置の移動通信端末機の概略分解斜視図である。
【0084】
図8に示された本発明の他の実施例による移動通信端末機は、伝送線路パターンにより接続される部品が、ケースに埋め込まれたアンテナとマッチング回路を有するPCBであり、それ以外の構成は図1に示された本発明の一実施例による電子装置と実質的に同一であるため、これら構成に対する詳細な説明は省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0085】
図8を参照すると、本発明の他の実施例による移動通信端末機100は、信号を伝送する線路パターン244が形成された線路パターン形成体240と、これに接続されたアンテナパターン部162が形成された放射体160が埋め込まれたケース120と、PCB170を収容するメインケース140と、を含むことができる。
【0086】
上記放射体160は上記線路パターン244の一端に形成された第1端子部241に接続して上記ケース120の内部に埋め込まれ、上記アンテナパターン部162からの信号伝送、または上記アンテナパターン部162への信号伝送が上記線路パターン244を介して上記PCB170との間で行われる。
【0087】
線路パターン形成体240は、線路パターン244が上記ケース120の内部に埋め込まれるように、上記線路パターン244を支持するためのもので、線路パターン244の形状に対応する形状を有することができる。
【0088】
本実施例でアンテナパターン部162の端子とPCB170の端子172が一直線上に位置していないため、線路パターン244及び線路パターン形成体240が屈曲している。すなわち、線路パターン244及び線路パターン形成体240は、アンテナパターン部162の端子に接続する第1端子部241からケース120の長手方向に平行するように延長される第1延長部と、上記第1延長部の端部から垂直に屈曲される屈曲部と、上記屈曲部の端部からケース120の長手方向に平行するように再び屈曲延長される第2延長部と、を含むことができる。
【0089】
PCB170は、アンテナパターン部162から、またはアンテナパターン部162に伝送される信号をマッチングするためのマッチング回路を備え、端子172に弾性を有する接続部材350が配置されてもよい。
【0090】
上記接続部材350は、一端が上記端子172に結合し、他端が線路パターン244の第2端子部242に弾性接触することができる。接続部材350は、PCB170または線路パターン形成体240に一体的に形成されてもよく、接続部材350の自由端部がPCB170の端子172または線路パターン244の第2端子部242に弾性接触してもよい。
【0091】
上記ケース120の製造は、アンテナパターン部162が形成された放射体160と線路パターン244が形成された線路パターン形成体240とを接続し、これをインサート射出成形して第1フレームを形成し、上記第1フレームを再びインサート射出成形してケースフレームを形成することにより行われてもよい。
【0092】
上述したように、本実施例ではケース内部に埋め込まれたアンテナを製造する時、線路パターンもアンテナに接続して同時に製作することができるため、線路パターンをケースに埋め込む工程が不要となり、工程を簡単に行うことができる。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施例を詳細に説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野で通常の知識を有する者であれば、多様な変形及び均等な他の実施例が可能であることを理解することができる。例えば、本発明で別途の接続部材がPCBの端子に接合される構成は、単に例示されたものであり、PCBに一体的に形成されてもよく、線路パターンの端子部に接合されてもよく、線路パターンの端子部に一体的に形成されてもよい。したがって、本発明の技術的保護範囲は、添付した特許請求の範囲により決定されるべきである。
【符号の説明】
【0094】
100 移動通信端末機
120 ケース
130,150 PCB
140 メインケース
210,220 線路パターン形成体
310,320,330,340 接続部材
410,420,430,440,450,460,470 FPCB
500 線路パターン形成体フレームの製造金型
600 ケースフレームの製造金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの内部に埋め込まれ、部品間の電気的接続のための線路パターンが形成された線路パターン形成体と、
前記線路パターンと電気的に接続される部品の端子に対応する位置において、前記ケースの底面から露出形成される端子部と、
前記端子部と前記部品の端子とを接続する接続部材と
を含む電子装置。
【請求項2】
前記線路パターン形成体が前記ケースの内部に埋め込まれるようにする線路パターン形成体フレームをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記線路パターン形成体フレームの一面を覆って、前記線路パターンが前記線路パターン形成体フレームとの間に埋め込まれるようにするケースフレームをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記接続部材は、前記端子部と前記部品の端子に弾性結合することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記接続部材は、C−クリップ(C−Clip)またはポゴピン(Pogo−pin)で形成されることを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記接続部材は、一端が前記部品の端子に接合され、他端が前記端子部に弾性接触することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記線路パターン形成体は、フレキシブル印刷回路基板(FPCB)であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記線路パターンは、ストリップライン(Strip line)、マイクロストリップライン(Microstrip line)、CPW(Coplanar waveguide)、CPWG(Coplanar waveguide with ground)、CPS(Coplanar strip)、スロットライン(Slot line)、または平行線路(Parallel line)であることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の電子装置。
【請求項9】
前記線路パターンが電気的に接続する前記部品は、所定の機能を有する素子を実装したPCB、アンテナとインターフェースカードまたはアンテナとマッチング回路を有するPCBであることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の電子装置。
【請求項10】
ケースの内部に埋め込まれ、信号を伝送する線路パターンが形成された線路パターン形成体と、
前記ケースの内部に前記線路パターンの一端に接続して埋め込まれ、信号を送受信するアンテナパターン部が形成される放射体と、
前記線路パターンの他端に形成され、前記放射体と信号を送受信するPCBの端子に対応する位置において、前記ケースの底面から露出形成される端子部と、
前記端子部と前記PCBの端子とを接続する接続部材と
を含む電子装置。
【請求項11】
部品間の電気的接続のための線路パターンと、前記線路パターンの両端部に含まれる端子部とを有する線路パターン形成体を製造する段階と、
前記線路パターンがケース内部に埋め込まれ、前記端子部が前記ケースの底面から露出するように前記線路パターン形成体を前記ケースに埋め込む段階と、
前記部品の端子と前記線路パターンの前記端子部とを接続部材を用いて電気的に接続する段階と
を含む電子装置の製造方法。
【請求項12】
前記線路パターン形成体を前記ケースに埋め込む段階は、前記線路パターン形成体をインサート射出成形して行われることを特徴とする請求項11に記載の電子装置の製造方法。
【請求項13】
前記線路パターン形成体を前記ケースに埋め込む段階は、
前記線路パターンが内部に埋め込まれ、前記端子部が露出するように前記線路パターン形成体をインサート射出成形して線路パターン形成体フレームを製造する段階と、
前記線路パターン形成体フレームの前記端子部が露出した面の反対面を覆うようにインサート射出成形してケースフレームを製造する段階と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の電子装置の製造方法。
【請求項14】
前記線路パターン形成体フレームを製造する段階は、前記線路パターン形成体を前記線路パターン形成体フレームの製造金型内の一面に接触するように配置し、前記線路パターン形成体フレームの製造金型内に樹脂材を充填して行われ、
前記ケースフレームを製造する段階は、前記線路パターン形成体フレームを前記ケースフレームの製造金型内の一面に接触するように配置し、前記ケースフレームの製造金型内に樹脂材を充填して行われることを特徴とする請求項13に記載の電子装置の製造方法。
【請求項15】
前記電気的に接続する段階は、
前記部品の端子に前記接続部材の一端を接合する段階と、
前記接続部材の他端を前記端子部に弾性接触する段階と、を含むことを特徴とする請求項11から14の何れか1項に記載の電子装置の製造方法。
【請求項16】
前記線路パターン形成体を製造する段階は、フレキシブル印刷回路基板(FPCB)に導電性物質を用いて前記線路パターンに対応するパターンをスパッタリング(sputtering)、印刷(printing)、メッキ(plating)、スタンピング(stamping)、ドローイング(drawing)、またはディスペンシング(dispensing)する方法により行われることを特徴とする請求項11から15の何れか1項に記載の電子装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【図5g】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−44640(P2012−44640A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83001(P2011−83001)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】