説明

伝送装置、伝送システム、経路選択方法、及び経路選択プログラム

【課題】 伝送時間が短い経路を自動でデフォルトに選択する。
【解決手段】 伝送装置200が、送信側の伝送装置300と、送信側伝送装置300から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側の伝送装置であって、送信側の伝送装置300から現用系及び予備系の経路によって伝送されるマルチフレームの情報を付加したフレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定手段201と、伝送遅延判定手段201が決定したデフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定手段202を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの伝送技術に関し、特に、通常時に現用系として使用するデフォルト経路を自動選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークを構成する場合、装置建設や障害発生時でも通信を中断させないために、伝送路を二重化する冗長構成をとることがある。二重化された伝送路は、一方が現用系、もう一方が予備系として運用される。
【0003】
現用系と予備系は、異なる経路で引かれるため、経路の長さの違いにより、伝送時間に差が生じる。データの伝送を考えた場合、一般的に、データの伝送はより遅延が少なく行われることが望まれるため、現用系には伝送時間の短い経路が選択されることが望ましい。
【0004】
ここで、1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)のRevertiveモードという冗長構成を考える。
【0005】
1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)のRevertiveモードでは、二重化された伝送路の一方をデフォルトの経路と定義し、障害が発生していない状態のときは、デフォルトの経路を現用系、もう一方を予備系として動作する。
【0006】
デフォルト側に障害が発生した場合は、プロテクションが動作し予備系であった経路を現用系として使用して通信を継続するが、デフォルト側の経路の障害が復旧した場合には、自動的にデフォルト側の経路に現用系を切替えて動作する。
【0007】
ここで、背景技術による伝送システム500の構成例を図4に示す。
【0008】
ここで、関連技術として、複数の経路のうち伝送遅延時間の短い経路を用いてデータの伝送を行う技術が、特許文献1に開示されている。
【0009】
特許文献1に開示の技術では、伝送遅延の短い経路を用いてデータの伝送を実現する方法として、マスタールータが、経路の伝送時間を測定するためのパケットデータを送信し、閉ループ内に存在する各ルータは、ルータへのパケットの入力時刻、出力時刻、及び転送先の回線速度の情報を該パケットデータに書き込み転送する。
【0010】
マスタールータは、パケット内の情報から、伝送遅延時間が最短と成る経路を判定し、送信ノードに対して経路情報を伝えると共に、経路情報のデータをルータ内のメモリに記憶する。
【0011】
また、他の関連技術として、伝送遅延時間を測定する技術が特許文献2に開示されている。
【0012】
特許文献2に開示の技術では、レンジング方式と呼ばれる測定方法を用いる。該測定方法は、OLT(Optical Line Terminal:光加入者端局装置)、からONU(Optical Network Unit:光加入者終端装置)に対して、伝送遅延時間を測定するためのデータを送信し、データが戻ってくるまでの時間を測定する方法である。
【0013】
OLTには複数のONUが接続されており、OLTと各ONUとの間の伝送遅延時間を測定し、それら伝送遅延時間を比較することによって、ONUが上り信号を送信するタイミングを制御している。
【0014】
また、他の関連技術として、二重化された伝送路において、伝送遅延の短い経路を用いてデータの伝送を行う技術が特許文献3に開示されている。
【0015】
特許文献3に開示の技術では、伝送遅延の短い経路を用いてデータの伝送を実現する方式として、送信ノードは、データのフレームに対し、ある一定時間内においてユニークな管理番号を付与して両方の経路に送信し、受信ノードは、2つの経路のうち、先に受信した経路のデータを下流に転送し、後から受信した経路のデータを破棄する。
【0016】
データフレームの先着/後着を判定する方法として、先に受信したフレームから管理番号を取り出しメモリに記憶する。後から受信したフレームからも管理番号を取り出すが、メモリ内に同じ番号が記憶されているため、後着フレームと判定しデータを廃棄する。
【0017】
そして、同じ管理番号を持ったフレームを二つ受信したと判断し、メモリ内から該当する管理番号を削除する。あるいは、ある一定時間が経過した後、メモリ内から該当の管理番号を削除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平07−221778号公報
【特許文献2】特開2009−232008号公報
【特許文献3】特開平05−145569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、背景技術による1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)のRevertiveモードとういう冗長構成には次のような課題がある。
【0020】
すなわち、背景技術による1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)のRevertiveモードとういう冗長構成では、デフォルト側の経路を決定する際に、伝送遅延の小さい経路をデフォルト側の経路とするためには、ネットワーク管理者が、2つの経路内のNode数や伝送距離などの情報から、伝送時間の短い経路を判断し、手動でデフォルト側の経路を登録する必要があることである。
【0021】
また、特許文献1に開示の技術は、遅延時間を測定するためのパケットデータを送受信して遅延時間を判定する仕組みと、その結果を保持する回路が必要となるという課題がある。
【0022】
また、特許文献2に開示の技術は、伝送遅延時間を測定するためのデータを送受信する仕組みが必要となるという課題がある。
【0023】
また、特許文献3に開示の技術は、受信ノードに、管理番号の監視により先着/後着を判定する仕組みと、ある一定期間管理番号を保持しておくことが出来るメモリを備えておく必要があるという課題がある。また、管理番号を保持する数が増えれば増えるほど、大きなメモリが必要となるという課題がある。
【0024】
(発明の目的)
本発明の目的は、上述の課題を解決し、1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)のRevertiveモードという冗長構成において、伝送時間が短い経路を自動でデフォルトに選択する伝送装置、伝送システム、経路選択方法、及び経路選択プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の第1の伝送装置は、送信側の伝送装置と、送信側伝送装置から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側の伝送装置であって、送信側の伝送装置から現用系及び予備系の経路によって伝送されるマルチフレームの情報を付加したフレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定手段と、伝送遅延判定手段が決定したデフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定手段を備える。
【0026】
本発明の第1の伝送システムは、送信側伝送装置と、送信側伝送装置から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側伝送装置を含む伝送システムであって、送信側伝送装置が、マルチフレームの情報を付加したフレームを現用系及び予備系の経路それぞれで送信し、受信側伝送装置が、現用系及び予備系の経路それぞれから伝送されるマルチフレームの情報を含む各フレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定手段と、伝送遅延判定手段が決定したデフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定手段を備える。
【0027】
本発明の第1の経路選択方法は、送信側の伝送装置と、送信側伝送装置から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側の伝送装置による経路選択方法であって、送信側の伝送装置から現用系及び予備系の経路によって伝送されるマルチフレームの情報を付加したフレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定ステップと、決定したデフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定ステップとを有する。
【0028】
本発明の第1の経路選択プログラムは、送信側の伝送装置と、送信側伝送装置から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側の伝送装置として機能するコンピュータ上で動作する経路選択プログラムであって、コンピュータに、送信側の伝送装置から現用系及び予備系の経路によって伝送されるマルチフレームの情報を付加したフレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定処理と、決定したデフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)のRevertiveモードという冗長構成において、伝送時間が短い経路を自動でデフォルトに選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態による伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態による伝送システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明による伝送システムの最小限の構成を示すブロック図である。
【図4】背景技術による伝送システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)をRevertiveモードで実施する通信ノード装置及び冗長切替制御方式にて、冗長を構成する2つの通信経路のうち、伝送時間の短い経路を選択して極力伝送遅延の少ない通信経路を選択可能とする、通信経路の伝送遅延時間計測手段を具備し、これを用いて伝送遅延時間の短い経路を自動で選択する機能を実現可能にすることを特徴とする。
【0032】
すなわち、現用系と予備系の伝送時間の差を測定する機能を追加し、現用系と予備系のどちらの経路の伝送時間が短いかを自動で判断し、伝送時間の短い経路を自動で現用系として選択する機能を追加する。
【0033】
また、本発明は、上記機能の実現方式として、マルチフレーム信号を用いる。送信側ノードではマルチフレーム情報を書き込まれたフレームが現用系、予備系の2つの経路に送信される。受信側ノードでは、それぞれの経路を通って伝送されてきたフレームからマルチフレーム情報を取り出してマルチフレームカウンタで記憶し、2つのマルチフレームカウンタの値を比較することにより、どちらの経路のフレームの伝送遅延時間が短いかを判断する。
【0034】
本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点を明確にすべく、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を以下に詳述する。なお、上述の本願発明の目的のほか、他の技術的課題、その技術的課題を解決する手段及びその作用効果についても、以下の実施形態による開示によって明らかとなるものである。
【0035】
なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0036】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態による伝送システム100の構成を示すブロック図である。
【0037】
伝送システム100は、伝送装置200及び300を備える。
【0038】
伝送装置200は、冗長構成された伝送路(経路a、経路b)を介してデータを受信する。
【0039】
伝送装置300は、自身が受信したフレームにマルチフレーム情報を付加し、該フレームをコピーして経路a、経路bの2つの経路で伝送する送受信手段301を備える。
【0040】
なお、マルチフレーム情報とは、ITU−T G.709勧告に示されているマルチフレーム情報をいう。
【0041】
経路a、経路bは、それぞれ1つ以上の伝送装置を介して伝送装置300から伝送装置200へフレームを送信する。経路a、経路b上の伝送装置は背景技術による伝送装置を用いることが可能であるため、詳細な説明を省略する。
【0042】
なお、経路a、経路bは、伝送装置を介さずに直接伝送措置300と伝送装置200を繋ぐ場合であってもよい。
【0043】
伝送装置200は、伝送遅延判定手段201と、切り替え判定手段202と、監視手段203(203−1、203−2)と、切替トリガ204(204−1、204−2)と、セレクタ205と、を含む。
【0044】
監視手段203は、経路a又は経路bを使用して伝送されてきた信号を監視する。
【0045】
より詳細には、監視手段203は、経路a又は経路bを使用して伝送されてきたフレームのオーバーヘッドを監視し、障害が発生していた場合は、切替トリガ204を検出する。
【0046】
なお、オーバヘッドの監視方法は、背景技術を用いることができる。
【0047】
また、監視手段203は、伝送されてきたフレームからマルチフレーム情報を取り出し、該情報を伝送遅延判定手段201に送信する。
【0048】
伝送遅延判定手段201は、経路a、及び、経路bの監視手段203から送られてきたマルチフレーム情報から、経路a、及び経路bのうち、どちらの経路の伝送遅延が小さいか判定を行う。そして、判定した結果、伝送遅延が小さいほうの経路を、デフォルト経路として決定する。
【0049】
より詳細には、伝送遅延判定手段201は、監視手段203から受け取ったマルチフレーム情報をマルチフレームカウンタで記憶し、2つのマルチフレームカウンタの値を比較することによりどちらの経路のフレームの伝送遅延時間が短いかを判断する。
【0050】
また、伝送遅延判定手段201は、決定したデフォルト経路の情報を切替判定手段202に送信する。
【0051】
切替判定手段202は、伝送遅延判定手段201から受信したデフォルト経路の設定に従い、デフォルト経路を設定する。
【0052】
また、切替判定手段202は、監視手段203から送られてきた切替トリガ204を元に、切替判定を行う。
【0053】
セレクタ205は、切替判定手段202の判定に従い、経路aと経路bの何れかを選択する。
【0054】
(第1の実施の形態の動作の説明)
次に、本実施の形態による伝送システム100の動作について、図1及び図2を参照して詳細に説明する。
【0055】
図2は、本実施の形態による伝送システム100の動作を示すフローチャートである。
【0056】
まず、伝送装置300の送受信手段301が、自身が所定の通信ノードからフレームを受信すると(ステップS201”YES”)、受信したフレームにマルチフレームを示す情報を付加したマルチフレームを生成する(ステップS202)。
【0057】
次いで、送受信手段301は、マルチフレームをコピーして経路a、経路bの2つの経路で伝送する(ステップS203)。
【0058】
伝送装置200は、マルチフレームを受信すると(ステップS204”YES”)、まず、監視手段203が、マルチフレームのオーバヘッドを監視し、マルチフレームが正常か否かをチェックする(ステップS205)。
【0059】
より詳細には、監視手段203−1が経路aで送られてきたマルチフレームが正常か否かをチェックし、監視手段203−2が経路bで送られてきたマルチフレームが正常か否かをチェックする。
【0060】
マルチフレームが異常である場合(ステップS205”NO”)、監視手段203は、障害が発生したと判断し、切替トリガ204を検出する(ステップS206)。
【0061】
より詳細には、経路aで送られてきたマルチフレームが異常である場合は、監視手段203−1が切替トリガ204−1を検出し、経路bで送られてきたマルチフレームが異常である場合は、監視手段203−2が切替トリガ204−2を検出する。
【0062】
なお、マルチフレームの異常とは、マルチフレームの異常、マルチフレーム情報の異常の双方を含む。
【0063】
次いで、切替判定手段202が、該切替トリガ204に基づき、切替判定を行う(ステップS207)。
【0064】
より詳細には、切替判定手段202は、例えば切替トリガ204−1が検出された場合は、該切替トリガ204−1に対応する経路aを予備系に切り替えるという判定をする。
【0065】
すなわち、障害が発生した経路が現用系の経路である場合に、経路の切替が行われる。
【0066】
次いで、セレクタ205が、該判定に基づき、経路を選択する(ステップS208)。上記の例の場合は、セレクタ205は、経路bを現用系として選択し、動作させる。
【0067】
マルチフレームが正常である場合(ステップS205”YES”)、伝送遅延判定手段201が、監視手段203−1及び203−2から送られてきたマルチフレーム情報から、経路a、及び経路bのうち、どちらの経路の伝送遅延が小さいか判定し、伝送遅延が小さいほうの経路を、デフォルト経路として決定する(ステップS209)。
【0068】
次いで、切替判定手段202が、伝送遅延判定手段201の決定に基づき、デフォルト経路を現用系に切り替えるという判定をする(ステップS210)。
【0069】
次いで、セレクタ205が、該判定に基づき、デフォルト経路を現用系として選択、動作させる(ステップS211)。
【0070】
(第1の実施の形態による効果)
【0071】
本実施の形態によれば、1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)のRevertive モードという冗長構成において、伝送時間がより短い経路を現用系に自動で選択する機能を追加することにより、従来手動で行っていた設定を削減することが出来、ネットワーク管理者の運用コストを削減することが出来る。
【0072】
また、本実施の形態によれば、マルチフレームカウンタとその値を比較する仕組みを備えるだけでよいため、遅延時間を測定するためのパケットデータを送受信して遅延時間を判定する仕組みや、その結果を保持する回路を必要としない。
【0073】
なお、本発明の課題を解決できる最小限の構成を図3に示す。伝送装置200が、送信側の伝送装置300と、送信側伝送装置300から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側の伝送装置であって、送信側の伝送装置300から現用系及び予備系の経路によって伝送されるマルチフレームの情報を付加したフレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定手段201と、伝送遅延判定手段201が決定したデフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切替を行うか否かを判定する切替判定手段202を備えることで、伝送時間が短い経路を自動でデフォルトに選択することができ、上述した本発明の課題を解決することができる。
【0074】
本発明の伝送装置200の各機能は、プログラムを組み込んだ、LSI(Large Scale Integration)等のハードウェア部品である回路部品を実装することにより、その動作をハードウェア的に実現することは勿論として、伝送装置200が少なくともCPU及び記憶装置、及び主記憶部を含み、その機能を提供するプログラムを、該記憶装置に格納し、そのプログラムを主記憶部にロードしてCPUで実行することにより、ソフトウェア的に実現することも可能である。
【0075】
以上好ましい実施の形態をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも、上記実施の形態に限定されるものでなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0076】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0077】
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0078】
また、本発明の方法およびコンピュータプログラムには複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の手順を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明の方法およびコンピュータプログラムを実施する時には、その複数の手順の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0079】
また、本発明の方法およびコンピュータプログラムの複数の手順は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある手順の実行中に他の手順が発生すること、ある手順の実行タイミングと他の手順の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【0080】
さらに、上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、これに限定されない。
【0081】
(付記1)
送信側伝送装置と、前記送信側伝送装置から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側伝送装置を含む伝送システムであって、
前記送信側伝送装置が、マルチフレームの情報を付加したフレームを前記現用系及び前記予備系の経路それぞれで送信し、
前記受信側伝送装置が、
前記現用系及び前記予備系の経路それぞれから伝送されるマルチフレームの情報を含む各フレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定手段と、
前記伝送遅延判定手段が決定した前記デフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定手段を備えることを特徴とする伝送システム。
【0082】
(付記2)
前記伝送遅延判定手段が、
前記各フレームのマルチフレームの情報をマルチフレームカウンタでそれぞれ記憶し、当該マルチフレームカウンタの値を比較することにより、どちらの経路のフレームの伝送遅延時間が短いかを判定することを特徴とする付記1に記載の伝送システム。
【0083】
(付記3)
前記切替判定手段が、
前記デフォルト経路と決定された経路が予備系の経路で動作している場合、現用系と予備系の切り替えを行うと判定することを特徴とする付記1又は付記2に記載の伝送システム。
【0084】
(付記4)
前記受信側伝送装置が、
前記各フレームを受信したときに、当該各フレームのオーバヘッドを監視することで前記各経路の障害の有無を判断する監視手段を備え、
前記監視手段は、
各経路が正常な場合に、前記各フレームから取り出した前記マルチフレームの情報を前記伝送遅延判定手段に渡し、
前記伝送遅延判定手段は、
前記監視手段から受け取った当該マルチフレームの情報に基づいて、前記デフォルト経路を決定することを特徴とする付記1から付記3の何れか1項に記載の伝送システム。
【0085】
(付記5)
前記監視手段が、
前記経路の障害を検知した場合、障害が発生した経路に対応する切替トリガを検出し、
前記切替判定手段が、
前記切替トリガに基づいて、現用系と予備系の切り替えを行うか否かを判定することを特徴とする付記4に記載の伝送システム。
【0086】
(付記6)
前記切替判定手段は、
前記切替トリガが現用系の経路に対応するものであった場合、現用系と予備系の切り替えを行うと判定することを特徴とする付記5に記載の伝送システム。
【0087】
(付記7)
前記現用系と予備系の異なる2つ経路が、1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)のRevertiveモードで構成されていることを特徴とする付記1から付記6の何れか1項に記載の伝送システム。
【0088】
(付記8)
送信側の伝送装置と、前記送信側伝送装置から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側の伝送装置であって、
前記送信側の伝送装置から前記現用系及び前記予備系の経路によって伝送されるマルチフレームの情報を付加したフレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定手段と、
前記伝送遅延判定手段が決定した前記デフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定手段を備えることを特徴とする伝送装置。
【0089】
(付記9)
前記伝送遅延判定手段が、
前記各フレームのマルチフレームの情報をマルチフレームカウンタでそれぞれ記憶し、当該マルチフレームカウンタの値を比較することにより、どちらの経路のフレームの伝送遅延時間が短いかを判定することを特徴とする付記8に記載の伝送装置。
【0090】
(付記10)
前記切替判定手段が、
前記デフォルト経路と決定された経路が予備系の経路で動作している場合、現用系と予備系の切り替えを行うと判定することを特徴とする付記8又は付記9に記載の伝送装置。
【0091】
(付記11)
前記各フレームを受信したときに、当該各フレームのオーバヘッドを監視することで前記各経路の障害の有無を判断する監視手段を備え、
前記監視手段は、
各経路が正常な場合に、前記各フレームから取り出した前記マルチフレームの情報を前記伝送遅延判定手段に渡し、
前記伝送遅延判定手段は、
前記監視手段から受け取った当該マルチフレームの情報に基づいて、前記デフォルト経路を決定することを特徴とする付記8から付記10の何れか1項に記載の伝送装置。
【0092】
(付記12)
前記監視手段が、
前記経路の障害を検知した場合、障害が発生した経路に対応する切替トリガを検出し、
前記切替判定手段が、
前記切替トリガに基づいて、現用系と予備系の切り替えを行うか否かを判定することを特徴とする付記11に記載の伝送装置。
【0093】
(付記13)
前記切替判定手段は、
前記切替トリガが現用系の経路に対応するものであった場合、現用系と予備系の切り替えを行うと判定することを特徴とする付記12に記載の伝送装置。
【0094】
(付記14)
前記現用系と予備系の異なる2つ経路が、1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)のRevertiveモードで実現されていることを特徴とする付記8から付記13の何れか1項に記載の伝送装置。
【0095】
(付記15)
送信側の伝送装置と、前記送信側伝送装置から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側の伝送装置による経路選択方法であって、
前記送信側の伝送装置から前記現用系及び前記予備系の経路によって伝送されるマルチフレームの情報を付加したフレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定ステップと、
決定した前記デフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定ステップと
を有することを特徴とする経路選択方法。
【0096】
(付記16)
前記伝送遅延判定ステップで、
前記各フレームのマルチフレームの情報をマルチフレームカウンタでそれぞれ記憶し、当該マルチフレームカウンタの値を比較することにより、どちらの経路のフレームの伝送遅延時間が短いかを判定することを特徴とする付記15に記載の経路選択方法。
【0097】
(付記17)
前記切替判定ステップで、
前記デフォルト経路と決定された経路が予備系の経路で動作している場合、現用系と予備系の切り替えを行うと判定することを特徴とする付記15又は付記16に記載の経路選択方法。
【0098】
(付記18)
前記各フレームを受信したときに、当該各フレームのオーバヘッドを監視することで前記各経路の障害の有無を判断する監視ステップを有し、
前記監視ステップで、
各経路が正常な場合に、前記各フレームから取り出した前記マルチフレームの情報を前記伝送遅延判定ステップに渡し、
前記伝送遅延判定ステップで、
前記監視ステップから受け取った当該マルチフレームの情報に基づいて、前記デフォルト経路を決定することを特徴とする付記15から付記17の何れか1項に記載の経路選択方法。
【0099】
(付記19)
前記監視ステップで、
前記経路の障害を検知した場合、障害が発生した経路に対応する切替トリガを検出し、
前記切替判定ステップで、
前記切替トリガに基づいて、現用系と予備系の切り替えを行うか否かを判定することを特徴とする付記18に記載の経路選択方法。
【0100】
(付記20)
前記切替判定ステップで、
前記切替トリガが現用系の経路に対応するものであった場合、現用系と予備系の切り替えを行うと判定することを特徴とする付記19に記載の経路選択方法。
【0101】
(付記21)
前記現用系と予備系の異なる2つ経路が、1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)のRevertiveモードで実現されていることを特徴とする付記15から付記20の何れか1項に記載の経路選択方法。
【0102】
(付記22)
送信側の伝送装置と、前記送信側伝送装置から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側の伝送装置として機能するコンピュータ上で動作する経路選択プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記送信側の伝送装置から前記現用系及び前記予備系の経路によって伝送されるマルチフレームの情報を付加したフレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定処理と、
決定した前記デフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定処理と
を実行させることを特徴とする経路選択プログラム。
【0103】
(付記23)
前記伝送遅延判定処理で、
前記各フレームのマルチフレームの情報をマルチフレームカウンタでそれぞれ記憶し、当該マルチフレームカウンタの値を比較することにより、どちらの経路のフレームの伝送遅延時間が短いかを判定することを特徴とする付記22に記載の経路選択プログラム。
【0104】
(付記24)
前記切替判定処理で、
前記デフォルト経路と決定された経路が予備系の経路で動作している場合、現用系と予備系の切り替えを行うと判定することを特徴とする付記22又は付記23に記載の経路選択プログラム。
【0105】
(付記25)
前記コンピュータに、
前記各フレームを受信したときに、当該各フレームのオーバヘッドを監視することで前記各経路の障害の有無を判断する監視処理を実行させ、
前記監視処理で、
各経路が正常な場合に、前記各フレームから取り出した前記マルチフレームの情報を前記伝送遅延判定処理に渡し、
前記伝送遅延判定処理で、
前記監視ステップから受け取った当該マルチフレームの情報に基づいて、前記デフォルト経路を決定することを特徴とする付記22から付記24の何れか1項に記載の経路選択プログラム。
【0106】
(付記26)
前記監視処理で、
前記経路の障害を検知した場合、障害が発生した経路に対応する切替トリガを検出し、
前記切替判定処理で、
前記切替トリガに基づいて、現用系と予備系の切り替えを行うか否かを判定することを特徴とする付記25に記載の経路選択プログラム。
【0107】
(付記27)
前記切替判定処理で、
前記切替トリガが現用系の経路に対応するものであった場合、現用系と予備系の切り替えを行うと判定することを特徴とする付記26に記載の経路選択プログラム。
【0108】
(付記28)
前記現用系と予備系の異なる2つ経路が、1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)のRevertiveモードで実現されていることを特徴とする付記22から付記27の何れか1項に記載の経路選択プログラム。
【符号の説明】
【0109】
100:伝送システム
200:伝送装置
201:伝送遅延判定手段
202:切替判定手段
203(203−1、203−2):監視手段
204(204−1、204−2):切替トリガ
205:セレクタ
300:伝送装置
301:送受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側の伝送装置と、前記送信側伝送装置から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側の伝送装置であって、
前記送信側の伝送装置から前記現用系及び前記予備系の経路によって伝送されるマルチフレームの情報を付加したフレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定手段と、
前記伝送遅延判定手段が決定した前記デフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定手段を備えることを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
前記伝送遅延判定手段が、
前記各フレームのマルチフレームの情報をマルチフレームカウンタでそれぞれ記憶し、当該マルチフレームカウンタの値を比較することにより、どちらの経路のフレームの伝送遅延時間が短いかを判定することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記切替判定手段が、
前記デフォルト経路と決定された経路が予備系の経路で動作している場合、現用系と予備系の切り替えを行うと判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の伝送装置。
【請求項4】
前記各フレームを受信したときに、当該各フレームのオーバヘッドを監視することで前記各経路の障害の有無を判断する監視手段を備え、
前記監視手段は、
各経路が正常な場合に、前記各フレームから取り出した前記マルチフレームの情報を前記伝送遅延判定手段に渡し、
前記伝送遅延判定手段は、
前記監視手段から受け取った当該マルチフレームの情報に基づいて、前記デフォルト経路を決定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の伝送装置。
【請求項5】
前記監視手段が、
前記経路の障害を検知した場合、障害が発生した経路に対応する切替トリガを検出し、
前記切替判定手段が、
前記切替トリガに基づいて、現用系と予備系の切り替えを行うか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の伝送装置。
【請求項6】
前記切替判定手段は、
前記切替トリガが現用系の経路に対応するものであった場合、現用系と予備系の切り替えを行うと判定することを特徴とする請求項5に記載の伝送装置。
【請求項7】
前記現用系と予備系の異なる2つ経路が、1+1 SNCP(Sub Network Connection Protection)のRevertiveモードで実現されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の伝送装置。
【請求項8】
送信側伝送装置と、前記送信側伝送装置から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側伝送装置を含む伝送システムであって、
前記送信側伝送装置が、マルチフレームの情報を付加したフレームを前記現用系及び前記予備系の経路それぞれで送信し、
前記受信側伝送装置が、
前記現用系及び前記予備系の経路それぞれから伝送されるマルチフレームの情報を含む各フレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定手段と、
前記伝送遅延判定手段が決定した前記デフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定手段を備えることを特徴とする伝送システム。
【請求項9】
送信側の伝送装置と、前記送信側伝送装置から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側の伝送装置による経路選択方法であって、
前記送信側の伝送装置から前記現用系及び前記予備系の経路によって伝送されるマルチフレームの情報を付加したフレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定ステップと、
決定した前記デフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定ステップと
を有することを特徴とする経路選択方法。
【請求項10】
送信側の伝送装置と、前記送信側伝送装置から現用系と予備系の異なる2つ経路を介してデータを受信する受信側の伝送装置として機能するコンピュータ上で動作する経路選択プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記送信側の伝送装置から前記現用系及び前記予備系の経路によって伝送されるマルチフレームの情報を付加したフレームの当該マルチフレームの情報に基づいて、伝送遅延時間を判定し、当該伝送遅延時間が小さいほうの経路を、通常時に現用系の伝送路として使用するデフォルト経路と決定する伝送遅延判定処理と、
決定した前記デフォルト経路の情報に基づいて、現用系と予備系の経路の切り替えを行うか否かを判定する切替判定処理と
を実行させることを特徴とする経路選択プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−205136(P2012−205136A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68704(P2011−68704)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】