説明

伝達装置とその伝達装置をガイド面に押しつけるように付勢するばねとを備えたタッチプローブ

ケーシング(1)内に支持された可動アームセット(3)に結合されたアーム(13)を備えたタッチプローブは、ケーシングに取り付けられたハウジング(33)と、アームの変位を機械的に伝達する機械的伝達装置(61)とを備えた電気的スイッチ(31)を含み、その機械的伝達装置(61)は、小さな導電性ボール(51)を2つの導電性固定バー(44、45)から離れさせ、それによって、電気的検出回路を開く。機械的伝達装置の細長い機械的本体(63)は、細長い機械的本体の変位を正確にかつクリアランスなしに案内するために、トラック(71)に押しつけるように横方向に付勢される球状エレメント(67)を含む。屈曲板ばね(73)は、トラックに押しつける横方向スラストを実現し、かつ、細長い機械的本体の回転を阻止するために、球形伝達エレメントの平坦な部分に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチプローブに関し、そのタッチプローブは、縦方向幾何軸を規定するケーシングと、縦方向対称軸を規定するケーシング内に収容された可動アームセットと、可動アームセットにしっかりと結合され、かつ、端部がケーシングから外へ突き出たアームと、アームの前記端部に結合されたフィーラーと、ケーシングに対する可動アームセットの変位を検出するように構成された電気的スイッチとを含み、その電気的スイッチは、ハウジングと、少なくとも1つの固定接点と、可動接点と、および、可動アームセットの変位を可動接点に伝達するように構成された機械的伝達装置とを含み、その機械的伝達装置は、可動アームセットと可動接点との間に配置され、実質的に縦方向に沿って配置されかつ移動することのできる細長い機械的本体と、細長い機械的本体と協働するガイドエレメントとを含む。
【背景技術】
【0002】
機械加工された部材または機械加工されるべき部材、工具、工作台、などに検査を実施するために、フィーラーを備えた可動アームセットを有するタッチプローブが、座標測定器において、および、工作機械において、より詳細には、複合工作機械および旋盤において、使用されている。これらのプローブのそれぞれにおいて、フィーラーと例えば機械的部材との接触が、ケーシングに対する可動アームセットの特定の変位を検出しかつ機械の滑動部に取り付けられたトランスデューサの読み取りを制御する適切な装置によって、監視され、それらの装置は、基準点または原点に対する測定値を提供する。
【0003】
プローブ検出監視装置は、電気回路およびそれに関連する(少なくとも1つの)スイッチを利用することを予見することができ、そのスイッチは、可動アームとケーシングとの間に発生する変位の結果として機械的に作動させられると、回路を閉じ、あるいは、より一般的には、回路を開く。
【0004】
米国特許第5,299,360号は、請求項1の前文に記載されたプローブを開示しており、それらのプローブのそれぞれは、可動アームセットと協働する自由端を有するステムを備えたマイクロスイッチを含む。より詳細には、前記プローブのそれぞれにおいて、可動アームセットと固定ケーシングとの間の結合は、フィーラーの縦方向または横方向における変位に加えて、マイクロスイッチの近くに存在する可動アームセットの当接面を持ち上げ、その結果として、ステムを押し込み、接点を離れさせ、電気回路を開くことを発生させるような結合である。
【0005】
タッチプローブが有するべききわめて重要な特性は、高い水準の繰り返し精度、すなわち、フィーラーによって得られる特定の位置と電気回路を開くこととの密接な相関関係である。
【0006】
前記特性を改善するために、スイッチの構成部品同士の配置は、とりわけ、一般的には球形である可動接点とステムとのスラストばねの縦軸に沿った整列に関する限り、正確に規定される。しかしながら、米国特許第5,299,360号に開示されるプローブは、良好な繰り返し精度を保証するが、スイッチの構成部品同士をまったく申し分なく整列させることはできない。さらに、縦方向ガイドシステムにおけるクリアランスおよび/またはステムの軸を中心にしたステムの発生するかもしれない回転に起因するステムとマイクロスイッチのその他の構成部品とのお互いの位置の変動は、きわめて小さな存在ではあるが、プローブの繰り返し精度に悪影響を及ぼすことがある。このことは、繰り返し精度誤差が、とりわけ、小さく、1μmよりも相当に小さいことが要求されるような最近の高精度な分野にとりわけ当てはまることである。
【0007】
よく知られているプローブ、例えば、上述した米国特許第5,299,360号に開示されるものだけではなく、それに類似するようなプローブにおいて発生するその他の不都合は、マイクロスイッチの電気的接点の信頼性に関するものである。実際に、プローブは、様々な種類のガスケットによって保護されているが、それらのプローブは、一般的に、密閉されていると考えることはできない。より詳細には、ゴムガスケットは、酸素および水蒸気を完全には密閉しない。これらの2つの要素、すなわち、酸素および水蒸気は、一緒になって、あるいは、単独で、マイクロスイッチの電気的接点の酸化プロセスに協力し、それによって、誤動作を発生させ、その誤動作は、プローブの信頼性に悪影響を及ぼすことがある。これらの好ましくないプロセスが発生するのを回避するために、マイクロスイッチの内部において、接点を保護するための潤滑性流体(「油」)を使用することが知られている。しかしながら、油の存在は、接点の信頼性を相当に改善するが、プローブの度量衡学的性能を阻害し、とりわけ、プローブの信頼性に悪影響を及ぼすことがある。実際に、きわめて小さな電圧が印加された接点が開いたことが検出される瞬間は、油が接点に存在するために、予測不可能に変化することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、実質的に変更されないよく知られている構造を維持することによって、また、きわめて簡単かつ安価な手段を使用することによって、性能を改善し、かつ、とりわけ、きわめて高い水準の繰り返し精度を達成するタッチプローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載のプローブによって達成される。
【0010】
本発明が提供する大きな利点は、きわめて簡単かつ安価な手段を使用することによって、プローブの性能を効果的に改善することであり、それによって、前記プローブによって制御される部材をより正確に機械加工することができる。
【0011】
本発明のその他の有益な特徴が、添付の図面を参照して、限定するものではない例としての以下の詳細な説明から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に示されるプローブは、縦方向幾何軸を規定するケーシング1を備えた支持手段と、ケーシング1内に収容および支持された可動アームセット3とを含み、そのケーシング1は、中空であり、実質的に円筒形であり、また、例えば、複数のお互いに組み立てられた部分からなる。ケーシング1は、可動アームセットのための2つの基準領域、より詳細には、実質的に円錐台である受座5と平坦な環状表面を備えた当接領域7とを含む。そして、可動アームセット3は、縦方向の対称軸を規定し、そして、球帯を規定する球台の形状を実質的に有する中央基準部分9と環状表面を備えた当接フランジ11とを含む。アーム13は、可動アームセット3に結合され、フィーラー15が、アーム13の自由端に取り付けられる。
【0013】
コイルばね17は、可動アームセット3およびケーシング1の一部である2つの平坦な表面にそれぞれ当接するそれの端部を有し、中央基準部分9を受座5に押しつけるように付勢する。
【0014】
可動アームセット3が、ケーシング1によって規定される縦方向幾何軸に対して対称に配置された図1の非動作状態にあるとき、実質的に球帯である中央部分9は、お互いが実質的に円形に接触した状態で受座5に収容され、当接フランジ11の環状表面は、ケーシング1の当接領域7から数ミクロンの距離を置いて離れている。図面では確認することのできないこのクリアランスの存在は、より詳細な説明を得るために参照されてもよい上述した米国特許第5,299,360号に要点が詳細に説明されるように、開示される実施形態によるヘッドの正確な動作を発生させる。
【0015】
その代わりとして、以下の説明においてより詳細に開示される本発明の異なる実施形態は、プローブが、非動作状態にあるとき、当接フランジ11が、ケーシング1の当接領域7に接触し、ばね17のスラストによって付勢されることを予見していることに注意されたい。この場合、数ミクロンの半径方向のクリアランスが、可動アームセット3の中央部分9と受座5との間に存在する。
【0016】
上述した縦方向対称軸を中心にした可動アームセット3の回転を防止するように構成された回転阻止装置は、アームセット3と、ケーシング1にしっかりと結合された(例えば、接着剤で接合された)適切な機械的結合エレメントまたはバケット20とに取り付けられた金属ベローズ19を含む。バケット20は、軸に沿った開口21を有し、そして、ベローズ19の内部と連絡する凹部22をケーシング1の内面とともに規定するような形で、ケーシング1に結合される。
【0017】
2つの柔軟性のある保護密閉エレメント23および24が、アーム13とケーシング1との間に配置される。
【0018】
フィーラー15と部材Wとの間に発生する接触は、縦方向における所定のプリストロークが完了した後に、あるいは、フィーラー15が横方向に変位した場合に、例えば、ねじ込み継手32およびリングガスケット(または、「O−リング」)30によってプローブのケーシング1にしっかりと結合された電気的スイッチまたはマイクロスイッチ31を含む検出装置によって、ケーシング1の幾何軸とアームセット3の対称軸との間の所定の角度で検出される。
【0019】
図2および図3にも示されるマイクロスイッチ31は、異なる径を有する2つの円筒形開口34および35を規定する縦方向の貫通孔を備えたハウジング33を含む。絶縁材料からなる密閉プレート37が、リベットまたはねじ43によってハウジング33に取り付けられ、そして、リングガスケット(または、「O−リング」)36を適切な受座に押しつけることによって、開口34に存在する貫通孔の端部を密閉する。プレート37は、それの外面に、図2に断面図として概略的に示される導電性トラック38および39を備える。
【0020】
例えば、プラスチックからなる円筒形の絶縁エレメント41が、開口34に挿入され、その開口34に嵌め込まれ、縦方向幾何軸と実質的に同心をなす位置に結果的に配置される軸方向ガイドホール42を規定する。
【0021】
固定接点が、絶縁エレメント41によって一部分が規定されかつ開口34の内面によって一部分が規定された対応するお互いに平行な横方向受座46および47に挿入されかつ嵌め込まれた2つの円筒形の導電性バー44および45によって実現され、絶縁材料からなるディスクが、それらの間に配置され、そのディスクは、図2においては、太線によって概略的に示され、符号49によって識別される。ディスク49は、バー44および45をハウジング33から電気的に絶縁し、そのハウジング33は、導電性材料から製造される。
【0022】
導電性材料からなる小さなボール51は、可動接点を提供し、小さなクリアランスを備えて孔42内に収容される。同様に孔42内に挿入された圧縮ばね53は、小さなボール51をバー44および45に押しつけるようにして付勢する。小さなボール51が、両方のバー44および45に接触しているときには、マイクロスイッチ31は、閉じており、小さなボール51が、バー44および45の少なくとも一方から離れているときには、マイクロスイッチ31は、開いている。
【0023】
図面には便宜上示されない電気的に導電性のエレメントまたはワイヤが、縦方向孔55(図面には、一方が、示される)内に収容され、バー44および45を2つの導電性トラック38および39にそれぞれ電気的に接続し、そして、それらの導電性トラック38および39は、マイクロスイッチ31を図示しないよく知られている制御計測検出ユニットに恐らくは無線送信装置、インターフェース装置等によって接続するために、図示しないケーブルからなるリード線に結合される。
【0024】
さらに、マイクロスイッチ31は、円筒形の開口35内に実質的に収容されたアクチュエータまたは機械的伝達装置61を含み、そのアクチュエータ61は、可動アームセット3の変位を可動接点51に伝達する。伝達装置61の細長い機械的な本体63は、実質的に縦方向に沿って配置され、開口35の向かい合った端部から突き出た2つの当接端部を含み、2つの当接端部は、それぞれ、開口34内の小さなボール51と伝達ピン25の端部と協働し、その伝達ピン25は、可動アームセット3の一部であり、かつ、実質的に縦方向対称軸に沿って整列させられる。
【0025】
細長い機械的本体63は、押し込みステム65と、実質的に球面を備えた伝達エレメント67とを含み、その伝達エレメント67は、例えば、接着剤によって、押し込みステム65の端部に一体的に結合される。
【0026】
また、機械的な伝達装置61は、本体63のためのガイドエレメントを含む。より詳細には、例えばサファイアから製造されたそれ自体がよく知られているブッシュ69が、開口34と開口35との間の小さな径を備えた中間部分において、ハウジング33の内部に取り付けられ、小さなボール51の近傍におけるステム65の縦方向の変位を限られたクリアランスで案内するのを助ける。開口35の内面は、トラック71を実現する実質的に縦方向のガイド面を規定し、前記ガイド面は、図示される実施形態においては、前記開口35の内部に接着剤で接合され、かつ、並べて配置された一対の円筒形バー70および72からなる左右のバーである。円筒形バー70および72は、例えば、酸化ジルコニウムから製造され、その酸化ジルコニウムは、サファイアと同様に、導電性がなく、かつ、固有の硬度特性、小さな摩擦係数、および、大きな耐腐食性および耐摩耗性を有する材料である。
【0027】
ガイドエレメントに加えて、弾性スラストエレメント、より詳細には、トラック71を規定する表面の反対側の位置において開口35内に同様に収容された屈曲板ばね73が、存在する。より詳細には、ハウジング33は、開口35によって終端する部分において、縦方向スリット75を含む。そのスリット75内には、板ばね73が、前記板ばね73のより大きな端部74がスリット75から外へ横方向に突き出るような形で挿入される(図3)。環状固定エレメント76(例えば、弾性部材)が、ハウジング33の外面の適切な環状受座に配置され、板ばね73の脱落を防止する。屈曲板ばね73は、一方の側において、ハウジング33と協働し(より大きな端部74とスリット75の壁との間の横方向スラスト)、また、他方の側において、別の部分は球状である伝達エレメント67の表面の実質的に平坦な部分77において、伝達エレメント67と協働する。
【0028】
板ばね73は、エレメント67の縦方向変位をクリアランスのないトラック71の表面によって案内するに足るきわめて限られた力(例えば、ほんの数グラムの力)によって、伝達エレメント67をトラック71の表面に押しつけるように横方向へ付勢する。さらに、機械的な本体63の特有の幾何学的特徴および配置は、ばね73が伝達エレメント67に加えるスラストのおかげで、トラック71の反対側において、押し込みステム65が、ブッシュ69のガイド面の同一領域に繰り返し可能にもたれかかることを発生させ、それによって、本体63の全体の縦方向変位が、規定された運動学的軌道に従って、クリアランスなしに、かつ、繰り返し可能に案内されることを実現する。
【0029】
上述した伝達ピン25は、可動アームセット3の中央部分に調節可能に結合される。より詳細には、ピン25は、ねじ付きダウエル26と一体であり、そして、そのねじ付きダウエル26は、アームセット3の軸方向貫通孔27の第1のねじ付き端部にねじ込まれる。貫通孔27は、異なる径を有するいくつかの部分を有し、それらの中には、アーム13を結合するための第2のねじ付き端部、および、密閉ねじ28の本体を収容する中間ねじ付き領域がある。密閉ねじ28の頭部は、リング状ガスケット(O−リング)29を押しつけ、軸方向貫通孔27を密閉する。
【0030】
貫通孔27のプローブの内面に面した部分、ベローズ19によって規定される空間、凹部22、および、マイクロスイッチ31のハウジング33の縦方向貫通孔(開口34および35)は、不活性ガス、より詳細には、窒素(N2)を満たされた密閉されたチャンバーを規定する。そのガスは、ねじ28およびO−リング29によって密閉される前に、孔27を介してチャンバー内に挿入される。
【0031】
上述したように、本発明によるプローブは、非動作状態にある可動アームセット3とケーシング1とのお互いの配置に関する限り、別の実施形態を予見することができる。非動作状態においてフランジ11とケーシング1との間にクリアランスを備えた米国特許第5,299,360号に開示されているいくつかの特徴を含む実施形態(以下、「プローブA」と呼ぶ)に代わるものとして、前記非動作状態において当接フランジ11がケーシング1の当接領域7上に着座する実施形態(以下、「プローブB」と呼ばれる実施形態)を予見することができる。図1は、第1の場合には当接フランジ11と領域7との間に存在しまた第2の場合にはアームセット3の中央部分9とケーシング1の受座5との間に存在するマイクロメーターのクリアランスを確認することのできない両方の実施形態(プローブAおよびプローブB)を表現しようとするものであることに注意されたい。
【0032】
2つの実施形態によるプローブの動作は以下の通りである。
【0033】
フィーラー15と検査されるべき部材Wとが接触していないとき、可動アームセット3は、アームセット3の部分9と受座5との間(プローブA)に存在する円錐球型結合によってケーシング1内に支持され、または、当接フランジ11と当接領域7との間(プローブB)において支持され、そして、機械的本体63の端部は、それぞれ、小さなボール51および伝達ピン25の端部に面する。2つのエレメント(小さなボール51およびピン25)の少なくとも一方は、図面には便宜上示されないきわめて限られた量の間隔によって、本体63の対応する端部から分離される。導電性バー44、45および小さなボール51が含まれる電気回路は、閉じられる。
【0034】
プローブと部材Wとのお互いの変位に加えて、また、フィーラー15と部材Wの表面との接触に加えて、アーム13およびアームセット3は、一体となって、ケーシング1に対して変位する。
【0035】
縦方向(図1における矢印Z)に沿ってフィーラー14と部材Wとの間に接触が発生した場合、プローブAおよびプローブBのいずれの場合にも、可動アームセット3を、より詳細には、伝達ピン25の端面を実質的に並進運動変位でもって持ち上げることが発生する。逆に、横方向(図1における矢印X)に沿ってフィーラー15と部材Wとの間に発生した接触の場合、プローブAの場合、一般的には、円錐球結合によって実現されるアームセット3の第1の限られた回転が発生し、実質的にフランジ11の環状表面と領域7の環状表面との間の点においてなされる接触は、接触の前記点を中心にしてアームセット3を傾けることに加えて、ピン25の端面を持ち上げること(換言すれば、縦方向成分を含む変位)を発生させる。
【0036】
プローブBの場合、横方向Xにおけるフィーラー15と部材Wとの接触は、一般的には、中央部分9と受座5との間に存在するクリアランスによって実現されるアームセット3の第1の限られた並進運動、それに続く、フランジ11の環状表面が領域7の表面から離れる変位を発生させ、2つの表面は、実質的にアームセット3がそれを中心にして傾く点において、接触を維持する。この場合もまた、アームセット3が、傾くことは、ピン25の端面を持ち上げること(換言すれば、縦方向成分を含む変位)を発生させる。
【0037】
簡単に説明したすべての場合において、ピン25の端面は、伝達エレメント67の球面に接触し、機械的本体63を押し込み、その本体63は、エレメント67とトラック71とが協働することによって、縦方向に並進運動し、かつ、クリアランスなしに案内される。エレメント67およびトラック71は、ばね73のスラストによって、お互いを押しつけるようにして保持され、そのばね73は、また、ステム65が、ブッシュ69のガイド面に横方向に繰り返し可能にもたれかかることを発生させる。プリストロークが完了すると、押し込みステム65は、小さなボール51を押し込み、ばね53の作用に抗して電気回路を開く。電気回路が開くことは、それは、フィーラー15と部材Wとの接触の発生を指示するが、制御計測検出ユニットにおいて監視される。
【0038】
本体63の縦方向並進運動変位は、以前に強調したクリアランスなしに案内されることに加えて、板ばね73と伝達エレメント67の実質的に平坦な部分77との結合によって制約される。実際には、この結合は、本体63がそれの軸を中心にして回転するのを実質的に制限し、より正確には、防止する。その結果として、一方において、最低限であるとはいえ避けることのできないマイクロスイッチ31の縦軸に沿った構成部品(ステム65、小さなボール51の中心、および、バー44とバー45との中間点)のミスアライメント、および、他方においては、本体63の端面の形状欠陥、製造欠陥、または、摩耗欠陥を組み合わせた作用による誤差を除去し、あるいは、少なくとも相当に減少させる。類似する形状欠陥は、本体63の端面と小さなボール51との間に存在する距離および本体63の端面と伝達ピン25との間に存在する距離それぞれの理論的な値に対するマイクロメータによる計測値の変動を発生させることがある。本体63の軸回転を防止することによって、前記距離の値は、上述したミスアライメントおよび形状欠陥に依存することはなく、プローブの動作中に、実質的に変化することはない。このように、プローブの動作中、細長い本体63を押し込むことによって、小さなボール51を導電性バー44および45から引き離し、それによって、回路を開くことを発生させるために、ピン25の表面が移動すべき距離は、実質的に不変である。
【0039】
すべてのこれらの結果は、プローブの繰り返し精度特性における大きな改善である。
【0040】
上述したように、マイクロスイッチ31のハウジング33は、窒素を充填された密閉されたチャンバーの一部である。これは、実質的に湿気および酸素のない環境に電気的な接点44、45、および、51を保持することを可能にし、それによって、酸化による悪影響を防止し、時間が経過しても一定のままであるプローブの高い水準の繰り返し精度を保証する。他方において、窒素は、接点を酸化から保護するために油性流体を使用するよく知られている装置において発生することとは逆に、プローブの度量衡学的性能を阻害しない。
【0041】
本発明によるプローブにおいては、窒素を異なる物質に、より詳細には、例えば、ヘリウム(He)またはアルゴン(Ar)のような不活性ガスに置き換え、同一の結果を達成することができることを認識されたい。
【0042】
さらに、不活性ガスの挿入、一般的には、取り扱いは、環境汚染の防止に関する限り、油性流体の取り扱いに比較して、大きな利点を提供する。なぜなら、不活性ガスは、明らかに「より清浄な」ものであることをもたらし、取り扱うのがそれほど面倒なものではないからである。
【0043】
当然ながら、プローブの製造特徴は、より詳細には、様々な部品同士の結合および材料の選択に関する限り、本発明の範囲から逸脱することなく、図示されたものおよび上で説明されたものと異なってもよい。
【0044】
さらに、マイクロスイッチ31の構造は、上で図示および説明されたものとは異なる別の形態を有してもよい。例えば、バー44および45のどちらか一方だけが電気的な接触を提供し、他方は、非導電性材料から製造され、そして、小さなボール51は、非動作状態において電気回路を閉じるために、また、小さなボール51と導電性バー(44または45)との係合が解除されたときに回路が開くのを検出するのを可能にするために、孔55内の導体に結合されることを予見することができる。
【0045】
ここで説明された有益な特徴をいくつかでも備えたプローブは、本発明の範囲に存在する。より詳細には、図面に示されるマイクロスイッチ31を備えたプローブは、密閉されたチャンバー内に窒素またはその他の不活性ガスを含んでもよく、あるいは、含まなくてもよい。
【0046】
また、類似した電気的スイッチ検出装置を使用したプローブは、たとえそれらのプローブが例えばアームセット3をケーシング1内に支持することを考えることのできる図1に示される実施形態(プローブAおよびプローブB)と異なる構造上の大きな相違点を有するにしても、本発明の範囲に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるタッチプローブの縦断面図であり、いくつかの細かな部分が、正面図として示される。
【図2】図1に示されるプローブの構成要素の拡大縦断面図である。
【図3】図2に示される矢印IIIによって示される方向において底面から見た図2の構成要素を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチプローブが、
縦方向幾何軸を規定するケーシング(1)と、
ケーシング(1)内に収容され、かつ、縦方向対称軸を規定する可動アームセット(3)と、
可動アームセット(3)にしっかりと結合され、ケーシングから外へ突き出た端部を備えたアーム(13)と、
アーム(13)の前記端部に結合されたフィーラー(15)と、
ケーシング(1)に対する可動アームセット(3)の変位を検出するように構成された電気的スイッチ(31)と、を含み、
前記電気的スイッチ(31)が、
ハウジング(33)と、
少なくとも1つの固定接点(44、45)と、
可動接点(51)と、
可動アームセット(3)の変位を可動接点(51)に伝達するように構成された機械的伝達装置(61)と、を含み、
前記機械的伝達装置(61)が、
可動アームセット(3)と可動接点(51)との間に配置され、実質的に縦方向に沿って配置されかつ移動することのできる細長い機械的本体(63)と、
細長い機械的本体(63)と協働するガイドエレメント(69〜73、77)と、を含むタッチプローブであって、
ガイドエレメント(69〜73、77)が、前記ハウジング(33)と一体化された実質的に縦方向のガイド面(70〜72)と、細長い機械的本体(63)を前記ガイド面(70〜72)に押しつけるように付勢する弾性スラストエレメント(73)とを含む、
タッチプローブ。
【請求項2】
電気的スイッチ(31)が、可動接点(51)を前記少なくとも1つの固定接点(44、45)に押しつけるように付勢するばね(53)を含む、請求項1に記載のタッチプローブ。
【請求項3】
前記電気的スイッチ(31)が、少なくとも2つの固定接点(44、45)を含み、前記ばね(53)が、可動接点(51)を2つの固定接点(44、45)に押しつけるように付勢するように構成された、請求項2に記載のタッチプローブ。
【請求項4】
前記実質的に縦方向のガイド面(70〜72)が、トラック(71)を実現し、細長い機械的本体(63)が、前記弾性スラストエレメント(73)によって横方向に沿って付勢される前記トラック(71)と協働するように構成された適切な表面を含む、請求項1または3のいずれか一項に記載のタッチプローブ。
【請求項5】
細長い機械的本体(63)が、お互いに一体的に結合された押し込みステム(65)と伝達エレメント(67)とを含み、伝達エレメント(67)が、トラック(71)と協働するように構成された前記表面を規定する、請求項4に記載のタッチプローブ。
【請求項6】
弾性スラストエレメント(73)が、前記ハウジング(33)の表面と伝達エレメント(67)の実質的に平坦な部分(77)との間に配置され、伝達エレメント(67)が、トラック(71)と協働するように構成された実質的に球面を規定する、請求項5に記載のタッチプローブ。
【請求項7】
弾性スラストエレメントが、屈曲板ばね(73)を含む、請求項6に記載のタッチプローブ。
【請求項8】
電気的スイッチ(31)のハウジング(33)が、縦方向スリット(75)を含み、屈曲板ばね(73)が、前記縦方向スリット(75)内に少なくとも部分的に収容および固定された、請求項7に記載のタッチプローブ。
【請求項9】
屈曲板ばね(73)が、前記縦方向スリット(75)から部分的にかつ横方向にケーシング(33)の外へ突き出た大きな端部(74)を規定し、電気的スイッチ(31)が、屈曲板ばね(73)がハウジング(33)から脱落するのを防止するためにハウジング(33)の外面と協働するように構成された環状固定エレメント(76)を含む、請求項8に記載のタッチプローブ。
【請求項10】
ガイドエレメント(69〜73、77)が、一対の円筒形バー(70、72)を含み、前記円筒形バー(70、72)が、前記トラック(71)を実現するガイド面を規定する、請求項4から9のいずれか一項に記載のタッチプローブ。
【請求項11】
可動アームセット(3)が、実質的に前記縦方向対称軸に沿って整列しかつ調節することのできる伝達ピン(25)を含み、伝達ピン(25)が、アーム(13)の変位に加えて、電気的スイッチ(31)の機械的伝達装置(61)と協働するように構成された、請求項1から10のいずれか一項に記載のタッチプローブ。
【請求項12】
前記伝達ピン(25)の端部が、アーム(13)の変位に加えて、細長い機械的本体(63)の伝達エレメント(67)に接触するように構成された請求項5から9のいずれか一項に従属する、請求項11に記載のタッチプローブ。
【請求項13】
可動アームセット(3)が、円錐球結合(9、5)によって、ケーシング(1)内に支持され、可動アームセットおよびケーシングが、環状表面(7、11)を規定し、それらの環状表面(7、11)は、お互いに接触し、かつ、アーム(13)の変位に加えて、可動アームセット(3)の縦方向変位を発生させるように構成され、その縦方向変位は、前記機械的伝達装置(61)によって電気的スイッチ(31)の可動接点(51)に伝達されるのに適したものである、請求項1から12のいずれか一項に記載のタッチプローブ。
【請求項14】
可動アームセット(3)が、平坦な環状表面(7、11)同士の結合によって、ケーシング(1)内に支持され、可動アームセット(3)およびケーシング(1)が、それぞれ、実質的に球状の部分(9)および実質的に円錐台状の受座(5)を規定し、それらの球状部分(9)および円錐台状受座(5)は、お互いに接触し、かつ、アーム(13)の変位に加えて、平坦な環状表面(7、11)間の部分的な分離およびその結果としての可動アームセット(3)の縦方向変位を発生させるように構成され、その縦方向変位は、前記機械的伝達装置(61)によって電気的スイッチ(31)の可動接点(51)に伝達されるのに適したものである、請求項1から12のいずれか一項に記載のタッチプローブ。
【請求項15】
ケーシング(1)が、不活性ガスを充填された密閉されたチャンバー(19、22、34、35)を取り囲み、電気的スイッチ(31)が、前記密閉されたチャンバー(19、22、34、35)内に配置された請求項1から14のいずれか一項に記載のタッチプローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−502380(P2006−502380A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540741(P2004−540741)
【出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010806
【国際公開番号】WO2004/031685
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(500200708)マーポス、ソチエタ、ペル、アツィオーニ (33)
【氏名又は名称原語表記】MARPOSS S.P.A.
【Fターム(参考)】