説明

位相同期回路を設定する方法およびシステム

位相同期回路(PLL)設定は、種々の方法および装置を用いて実行される。1つの実施例によれば、1組の所望の位相同期回路特性を満たすPLL回路について低電力設定が決定される。PLL回路(110)は、第1の分周器(112、119)、フィードバック分周器(118)およびフラクショナル−Nモード(111)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、位相同期回路に関連し、特に、複数の分周回路を有するプログラム可能な位相同期回路に関する。
【背景技術】
【0002】
位相ロックループ回路(PLL)は、周期的な入力信号に対して一定の位相関係を有する周期的な出力信号を生成する回路である。PLLは、多くの種類の測定、マイクロプロセッサおよび通信用途に広く用いられている。PLLの設計者は、往々にして、複雑な操作上の制約を有するPLLの具現化に関して大きな課題を有する。PLL設定がリアルタイムに変化するような場合に、これは特に困難になり得る。
【0003】
PLLは、一般的に、入力信号の周波数および位相を同期目的のために取得した後に、出力信号を生成させるために用いられる。最終的には、出力信号の周波数は、入力信号の周波数に同期されるが、入力信号と出力信号との間には、静的位相オフセット(別名静的オフセット誤差)が存在する。位相周波数検出器(PFD)は、入出力信号間の位相および周波数を比較するために用いられる。PFDによって発生するパルス列は、位相誤差に比例し、チャージポンプに供給され、そのチャージポンプの出力がループフィルタで積分され、その出力が電圧制御発信機(VCO)又は電流制御発信機(CCO)を制御する。
【0004】
VCO/CCOは、周期的な出力信号を生成する。VCO/CCOからのクロックエッジ(フィードバック・エッジと称される)が、入力信号のクロックエッジに対して遅延する場合、位相比較器はチャージポンプによって、発振器を加速させるように、制御電圧を変化させる。同様にして、フィードバック・エッジが、基準クロックに対して先行する場合、位相比較器はチャージポンプによって、発振器を減速させるように、制御電圧を変化させる。低域フィルタが、チャージポンプからの急な制御入力を平滑化するため、システムは、位相検出器が極めて小さい補正を行う状態になる。
【0005】
多くの場合、PLLは、PLL回路の種々の構成要素で使用される信号の周波数を制御するために使用される分周回路を含む。その様な周波数分周回路の1つは、基準信号と位相比較器への基準信号入力部との間のN分周回路(プレ分周器)である。N分周回路は、N(Nは整数)パルス毎に1つのパルスを送出し、Nは通常プログラム可能である。他の要因がなければ、N分周回路の効果は、PLLが同期する際に、基準信号がVCO/CCO出力のN倍になることである。
【0006】
他の分周回路は、VCO/CCOと位相比較器へのフィードバック入力部との間のM分周回路(フィードバック分周器)である。M分周回路は、M(Mは整数)パルス毎に1つのパルスを送出し、Mは通常プログラム可能である。M分周回路による効果は、PLLが同期する際に、VCO/CCOが位相比較器における基準入力のM倍になることである。
【0007】
他の分周回路は、VCO/CCOとPLL回路の出力との間のP分周回路(ポストデバイダ)である。P分周回路は、P(Pは整数)パルス毎に1つのパルスを送出し、Pは通常プログラム可能である。P分周回路による効果は、VCO/CCO出力がPLL出力のP倍になることである。
【0008】
位相同期回路の操作についての課題の1つは、位相同期ループ設定のリアルタイム変更に伴い、種々の位相同期ループ構成要素のための最適な設定を決定することである。これら及び他の制限は、位相同期ループの具現化に対する課題を提示する。
【発明の開示】
【0009】
本発明の様々な態様は、PLL回路とともに使用され、該PLL回路のための低電力設定を決定する方法に適用できる。第1分周器の可能な設定値の範囲から、第1分周器の設定値のサブセットを決定する。PLL回路の所望の利得に対応する分数を、前記第1分周器の設定値のサブセットに基づいて決定する。前記分数を、前記第1分周器の設定値のサブセットとフィードバック分周器の可能な設定値の範囲とを用いて表現できるか否かについて、決定を行う。この分数を表現できる場合、この分数に基づいて、第1分周器の設定値のための1組の値と、フィードバック分周期器の設定値のための1組の値を計算する。少なくとも1つの所望のPLL回路特性に基づいて、上記複数の組の値から1組の値を選択する。
【0010】
他の実施例によれば、本発明は、位相同期ループ特性を受信する入力と、PLL設定データを提供する出力と、PLL回路のためのPLL設定データを決定する回路配置を有する、PLL設定システムに関する。PLL回路は、第1分周器、フィードバック分周器およびフラクショナル−Nモードを有する。前記回路配置は、受信された1組のPLL回路特性を満たすPLL回路のための低電力設定を決定する。第1分周器の設定値のサブセットが、第1分周器の可能な設定値の範囲から選択される。PLL回路の所望の利得に対応する分数が第1分周器の設定のサブセットに基づいて決定される。この分数を第1分周器の設定値のサブセットとフィードバック分周器の可能な設定値の範囲とを用いて表現できるか否か決定される。この分数を表現できる否かの決定に応じて、この分数に基づいて、第1分周器の設定値のための1組の値及びフィードバック分周器の設定値のための1組の値が計算される。所望のPLL回路特徴のうちの少なくとも1つに基づいて、これらの組の値の組から1組の値が選択される。
【0011】
上記の本発明の要約は、本発明のそれぞれの実施態様又はあらゆる実施例を記載することを目的とするものではない。本発明の利点及び効果は、本発明のより完全な理解と共に、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を添付の図面とともに参照すると、明確に理解されよう。
【0012】
本発明の様々な実施形態についての以下の詳細な説明を添付の図面と関連して考慮することで、本発明は、より完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、様々な変更例及び変形例が可能であるが、それらの特定の例が図面に例示され、且つ、詳述される。しかし、本発明の特定の実施態様の制限を意図するものではないことを理解されたい。むしろ、添付の特許請求の範囲により定義される、本発明の範囲内に属する全ての変更、同等の物、代案は本発明の範囲内であると意図している。
【0014】
本発明は、多様な回路及び方法、例えば、電子通信、周波数多重、周波数トラッキング、信号合成、及び、アクティブ・フィードバック及び/又は制御を用いる他の用途に応用できると考えられる。本発明は、必ずしも上記用途に限定されるものではなく、上記のような環境における実施例の説明を通じて、本発明の多様な態様が最も正確に認識される。
【0015】
PLL周波数合成器は、通信およびコンピュータ・システムの重要な基礎的要素である。無線周波数(RF)トランシーバ回路内の周波数変換及びコンピュータ・システムにおけるクロック生成は、両方とも通常は正確な高性能PLLシステムを使用している。
【0016】
1つの実施例に従うと、本発明の方法は、PLL回路で使用すべき、プレ分周値(N)、ポスト分周値(P)、フィードバック分周値(M)を決定することを含む。必要に応じて、分数分周モードを示すフラクショナル−N(K)も決定される。これらの分周値は、PLL回路の特に所望される特性、例えば、PLL回路の電力消費又は入出力周波数にある程度依存して決定される。この方法は、少なくともいくつかの決定すべきPLL値の可能な範囲を限定することによって、分周値を決定する過程を促進する。所望のPLL機能が、N値、P値及びM値のみを用いて実現できない場合には、所望の機能を実現するためにK値が決定される。
【0017】
一般的なシステムにおいて、PLL分周値の決定は、プロセッサまたは電気回路を使用して実行される。例えば、ソフトウェアコードをプロセッサ及びメモリを用いて実行してPLL分周値を決定することができ、あるいは、電気回路を同様の機能を実行するように構成することもできる。
【0018】
FinとFoutの周波数の比(Fout/Fin)は、FinとFoutとの間の周波数の変化を示すため、しばしば、PLLの利得と称される。一般的なPLLの利得は、分周回路を用いて制御され、それぞれの分周回路はPLLの内部信号の周波数を変更することができる。一般的な分周回路の回路特性は、分周回路の分周能力を特定の範囲内の整数値に制限する。このように、PLL回路の利得は分数として表現され、その分子及び分母は整数の分周値により得ることができる。
【0019】
図1に、本発明に従う、PLLシステム(100)及びPLL分周値決定装置(120)を具えるシステムの簡略ブロック図を示す。PLLシステム(100)は、PLL回路(110)を具え、入力周波数Finから導出される出力周波数Foutを有する信号を出力する。PLL分周値決定装置は、PLL回路へのクロック分周入力P、M又はNのうちの少なくとも1つの値の範囲を制限する。理想的には、前記範囲は、最適化中のPLL回路特性に最大の影響を与えるクロック分周器入力に対して制限される。
【0020】
該当するPLL回路制約(102)がPLL分周値決定装置に提供される。1つの実施形態では、制約(102)は、ソフトウェアおよびプロセッサを用いて分周値の決定を実施するコンピュータに入力される。本発明に従う代替実施形態では、制約(102)は、分周値(位相同期ループ設定データ)を出力するように構成されている回路に入力される。入力は、ユーザによって手動で供給してもよく、また回路等からのリアルタイム入力にしもよい。出力は、ディスプレイ(例えば、モニタ又はプリントアウト)を用いて実施してもよく、また出力信号を例えばIICバス等を介してPLL回路又は装置に供給することによって実施してもよい。
【0021】
そして、PLL分周値決定装置(120)からの分周値が、PLL回路(110)を設定するために用いられる。1つの実施態様では、PLL回路を分周値に従うように設計することによってPLL回路を設定することができる。他の実施形態では、プログラム可能なPLL装置を使用してPLL回路を設定することができる。PLL分周値決定装置(120)は分周値を人に出力し、その人がプログラム可能なPLL装置をプログラムするようにでき、また装置(120)がプログラム可能なPLL装置を自動的に設定することもできる。その様な1つの実施態様では、PLL分周値決定装置(120)はプログラム可能なPLL装置のリアルタイム設定を行うことができる。
【0022】
図1Aは、本発明を用いて設定することができる例示的なPLL装置のブロック図を示す。図1Aは、信号分周器(112、118及び119)、位相比較器(114)、電圧(又は電流)制御発振器(116)及び、フラクショナル−Nモード(111)を含んでいる。
【0023】
一般に、それぞれの信号分周器は、受信した信号の周波数を整数倍数で分周し、ブロック112、118および119ではそれぞれN、M及びPで分周する。従って、この回路の利得は、ほぼ、M/(N×P)に等しい。多くのプログラム可能なPLL装置は、M、NおよびPの値を、有限の組の整数値に制限する。従って、可能な回路利得の精度は信号分周器の値の範囲により制限され、結果として、いくつかの利得は、M、N及びPの値のみを用いて実現できる。更に、いくつかの利得は無理数を用いて示され、従って、M、N及びPの整数値を用いて表現できない。M、N、Pによって表すことができない利得を近似するために、図1Aの回路はブロック111に示されるようなフラクショナル−Nモードを実装する。このフラクショナル−Nモードは、複数の信号分周器のうちの1つの値を2つの整数値の間で交代させるために使用される。例えば、フラクショナル−Nモードは、平均的なフィードバック分周値が所望の分数値に等しくなるように、フィードバック分周器の整数値を擬似ランダムに変化させるために使用することができる。
【0024】
図1Bは、本発明の例示的実施態様にしたがう、分周回路値を決定するための方法の実施態様を示す。1つのその様な実施態様では、ステップ1の間に、プロセッサ又は電気回路は、Fcco及びFrefのユーザ制約と、PLL設計制約方程式とを利用して、プレ分周器(N)及びポスト分周器(P)のパラメータの範囲の限界を計算する。これらの方程式は、特定のPLL設計の特性を示し、P、Fcco及びFoutの間の関係、並びに、N、Fref及びFinの間の関係を定める。最初にN及びPについて可能な値を減らすことによって、後続のステップをより迅速に実行できる。例えば、一般的なPLLは、以下の特性方程式を有するかもしれない。
Fout=Fcco/2P
ここで、FoutはPLLの出力周波数であり、Fccoは、PLLの電流制御発振器の周波数である。
Fref=Fin/N
ここで、Frefは位相周波数検出器への参照周波数入力であり、FinはPLLに対する入力周波数である。
【0025】
Fccoは、PLL設計によって制限される範囲を有し、一般に、PLLの全電力消費の重要な寄与因子である。このため、低電力の用途では、Fccoを可能な周波数の内で最も低い値に制約することが望ましいことが時々ある。例えば、PLL設計がFccoを100MHzおよび200MHzの範囲に制限する場合、Fccoを100MHzから125MHzの間の値に制約することによって、アルゴリズムをより低い電力のPLL設定を選択する様に駆動させることができる。同様に、低いFrefの値は電力消費を低減させるが、Frefは一般にFccoより値が低いため、その効果は非常に少ない。PLL同期時間はFrefに反比例し、Frefに対する制約はPLL設計パラメータの範囲内でなければならず、通常は最小許容同期時間に対応する。
【0026】
これらの制約をFcco及びFref、並びに、所望のFin及びFout周波数に与えると、対応するN及びPの範囲をPLL特性方程式を用いて計算することができる。
【0027】
所望の周波数利得Fout/Finは、有理数、無理数又は偽有理数であってもよい。有理数は、分子及び分母が整数である分数として表すことができる。無理数は、整数分数として表されない。偽有理数は、(許容誤差範囲内の)整数分数として近似的に表すことができる。大部分のシステムが、ある程度の周波数誤差を許容できるので、偽有理数は最適PLL設定を決定するための有理数とみなされる。
【0028】
ステップ2によって表されるように、プロセッサまたは電気回路は、所望の周波数利得に対応する既約分数を決定する。既約分数は、例えば、利得の分数近似を決定するように設計されたアルゴリズムを用いて求めることができる。1つのその様なアルゴリズムは、与えられたX(利得)のより正確な分数近似値を逐次計算する。各逐次分数近似値Aの方程式は以下の通りである。
k=2について、
=integer(X)、
kの後続値について、
=integer(1/(X−Ak−1))であり、
=D×Tk−1+Tk−2
=D×Bk−1+Bk−2
=T/B
ここで、
k=2,3,4,・・・、
=元の数Xとその前の近似値との差の逆数値の整数部分、
=現在の反復近似値の分子、
=現在の反復近似値の分母、
である。
反復ループは、T=0、B=1、T=1、B=0によって初期化されなければならない。反復ループは、元の数Xと近似値Aとの差が許容周波数誤差よりも小さいとき、又は、T及びBの値がN、P及びMに対する決められた有効範囲の値で実現するには大き過ぎるときに終了する。前者の場合、周波数利得は有理数又は偽有理数であり、アルゴリズムは最終的な整数モード設定を決定するためにステップ3へ進む。後者の場合、利得は無理数であるとみなされ、アルゴリズムはステップ4にフラクショナル−Nモード設定が計算されるステップ4へ移動する。
【0029】
整数の分子及び分母が決定され、それらの商が所望の周波数利得に等しくなったとき、試行手順を用いて、この利得Xをもたらす、有効なN、P及びM値を決定する。一般的なPLLのための特性利得方程式は、以下の通りである。
X=M/(N×P)
ステップ2により、整数の分子(T)と分母(B)は、下式になる周波数利得に等しく決定される。
T/B=M/(N×P)
T×m1=M
B×m2=N×P(このとき、m1=m2=mである)
【0030】
これらの又は類似の方程式を用いて、プロセッサまたは電気回路は、Mの有効範囲並びにステップ1で決定されたN及びPの調節された範囲を用いて、乗数m1及びm2の最大値を計算する。例えば、最大分子乗数は、式m1max=Mmax/Tを使用して決定でき、最大分母乗数は、式m2max=Nmax×Pmax/Bを用いて決定できる。乗数m1max及びm2maxのうちで小さいほうが乗数値「m」として選択される。最小の乗数値は1である。最小電力は決定された最小/最大の範囲内の最小のP値及び最大のm値によって達成されるため、連続的により大きいP値及び連続的により小さいm値を反復選択するループが実現される。これらのループは、分母方程式を用いてNについての整数値が求められるまで、反復される。Nについて求められた第1の整数値を生じるmの値は、次にMについての値を計算するために分子方程式で用いられる。有効なN、P及びM値が計算されると、アルゴリズムは終了する。
【0031】
Nのための整数値が、M及びPのための値の有効な範囲内で求められない場合、又は、Mについて計算された値がMの許容範囲を超えた場合、アルゴリズムはステップ4へ進み、フラクショナル−Nモードが呼び出される。フラクショナル−Nモードステップは、低電力消費を維持しながら所望の利得を達成するN、P、M及びKの値を計算する。上記の利得方程式を用い、小さいP値及び大きいN値を代入することによって、Mの無理数値を決定することができる(即ち、Mi=X×Psmall×Nlarge)。
従って、フラクショナル−NモードのPLL設定は、
N=Nlarge
P=Psmall
M=integer(Mi)
K=Mi−integer(Mi)
である。
【0032】
上述のように、フラクショナル−Nモードは、平均フィードバック分周器値がMiの無理数値に等しくなるように、フィードバック分周器の整数値を擬似ランダムに変化させるために使用することができる。
【0033】
代替実施形態では、ここに述べられる本発明のさまざまな実施態様は、プレ分周器とフィードバック分周器のみか、又は、ポスト分周器とフィードバック分周器のみを有するPLL回路を構成するために用いることができる。このプロセスは、不在の分周器の値を1に設定することによって、又は、不在の分周器の許容範囲を1に制限することによって行われる。その後上記の方法を実行して、存在する分周回路のための分周値を決定する。
【0034】
上で説明され且つ図で示された実施形態は例示にすぎず、本発明を制限するものとして解釈されるべきものではない。上記説明および具体例に基づいて、当業者は、ここに示されている本発明の例示的実施形態及び応用例に厳密に従うことなく、さまざまな変形や変更を本発明に加えることができることが理解されよう。例えば、電力の減少以外の応用例を類似の方法を用いて実施することができる。加えて、1つ又は複数の上記の例示的実施態様及び実施例は、デジタル及び/又はアナログ回路及び/又はソフトウェアベースの方法を含む多様な方法により実施できる。上記の例示的実施態様及び実施例は、メモリ転送、通信、誘導制御及び周波数追跡と関連して用いられる、多様な回路、機器、システム及び方法と統合することもできる。これらの方法は、本発明の多様な例示的実施形態と関連して実施される。この様な変形や変更は、以下の請求項に記載される本発明の真の範囲から逸脱しない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の1つの実施例に従う、PLLシステムのブロック図を示す。
【図1A】本発明の1つの実施例に従う、PLL回路のブロック図を示す。
【図1B】本発明の1つの実施例に従う、PLL回路のための設定情報を決定する方法のフローチャートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1分周器、フィードバック分周器及びフラクショナル−Nモードを有する位相同期回路と共に用い、1組の所望の位相同期回路特性を満たす前記位相同期回路のための低電力設定を決定する方法であって、
第1分周器の可能な設定値の範囲から、第1分周器の設定値のサブセットを決定するステップと、
前記位相同期回路の所望の利得に対応する分数を前記第1分周器の設定値のサブセットに基づいて決定するステップと、
前記分数を前記第1分周器の設定値のサブセットとフィードバック分周器の可能な設定値の範囲とを用いて表現可能か否かを決定するステップと、
前記分数が表現可能か否かに関する判定に応じて、前記分数に基づいて、前記第1分周器の設定値のための1組の値及び前記フィードバック分周器の設定値のための1組の値を計算するステップと、
前記所望の位相同期回路特性のうちの少なくとも1つに基づいて、前記複数の組の値から1組の値を選ぶステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記位相同期回路がポスト分周器を含み、前記第1分周器がプレ分周器であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポスト分周器の可能な設定値の範囲から、ポスト分周器の設定値のサブセットを決定するステップを更に含み、
前記位相同期回路の所望の利得に対応する分数を決定する前記ステップは、前記第1分周器の設定値のサブセット及び前記ポスト分周器の設定値のサブセットに基づいて行い、
前記分数が表現可能か否かを決定する前記ステップは、前記ポスト分周器の設定値のサブセットを用いて行い、
前記プレ分周器の設定値のための1組の値を計算する前記ステップは、前記ポスト分周器の設定値のための1組の値を計算する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所望の位相同期回路特性の前記少なくとも1つが、前記位相同期回路の電力消費を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記分数が反復アルゴリズムを使用して決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記分数が表現可能であるという決定に応じて、前記分数と前記計算された複数の組の値から得られた分数との差を補償するために、フラクショナル−Nモード値を計算するステップを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1組の所望の位相同期回路特性は、前記位相同期回路への入力、制御可能な発振器への入力、前記制御可能な発振器からの出力及び前記位相同期回路からの出力信号に対する制約を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記1組の所望の位相同期回路特性を受信することに応じて、リアルタイムに完了されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
位相同期回路設定システムであって、
位相同期回路特性を受信する入力と、
位相同期回路設定データを提供する出力と、
第1の分周器、フィードバック分周器及びフラクショナル−Nモードを有する位相同期回路に対して位相同期回路設定データを決定する回路配置と、
を備え、
前記回路配置は、
第1の分周器の可能な設定値の範囲から、第1分周器の設定値のサブセットを決定するステップ、
前記位相同期回路の所望の利得に対応する分数を前記第1分周器の設定値のサブセットに基づいて決定するステップ、
前記分数を前記第1分周器設定値のサブセットとフィードバック分周器の可能な設定値の範囲とを用いて表現可能か否かを決定するステップ、
前記分数が表現可能か否かに関する判定に応じて、前記分数に基づいて、前記第1分周器の設定値のための1組の値及び前記フィードバック分周器の設定値のための1組の値を計算するステップ、及び
前記所望の位相同期回路特性のうちの少なくとも1つに基づいて、前記複数の組の値から1組の値を選ぶステップ、
を実行して、受信した1組の位相同期回路特性を満たす位相同期回路のための低電力設定を決定する、
ことを特徴とする位相同期回路設定システム。
【請求項10】
前記位相同期回路がポスト分周器を含み、前記第1分周器がプレ分周器であることを特徴とする、請求項9に記載の位相同期回路設定システム。
【請求項11】
前記回路配置は、ポスト分周器の可能な設定値の範囲から、ポスト分周器設定値のサブセットを決定し、
前記位相同期回路の所望の利得に対応する分数を決定する前記ステップは、前記第1分周器の設定値のサブセット及び前記ポスト分周器の設定値のサブセットに基づいて行い、
前記分数が表現可能か否かを決定する前記ステップは、前記ポスト分周器の設定値のサブセットを用いて行い、
前記プレ分周器設定値のための1組の値を計算する前記ステップは、前記ポスト分周器の設定値のための1組の値を計算する、
ことを特徴とする請求項10に記載の位相同期回路構成システム。
【請求項12】
前記所望の位相同期回路特性の前記少なくとも1つが、前記位相同期回路の電力消費を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記分数が反復アルゴリズムを使用して決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記分数が表現可能であるという決定に応じて、前記分数と前記計算された複数の組の値から得られた分数との差を補償するために、フラクショナル−Nモード値を計算するステップを更に含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記1組の所望の位相同期回路特性が、前記位相同期回路への入力、制御可能な発振器への入力、制御可能な発振器からの出力及び前記位相同期回路からの出力信号に対する制約を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、前記1組の所望の位相同期回路特性を受信することに応じて、リアルタイムに完了されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の分周器、前記フィードバック分周器及び前記フラクショナル−Nモードを有する位相同期回路と共に用い、1組の所望の位相同期回路特性を満たす前記位相同期回路のための低電力設定を決定する回路配置であって、
前記位相同期回路特性を受信する入力手段と、
前記位相同期回路のための位相同期回路設定データを決定する手段と、
位相同期回路設定データを提供する出力手段と、
を備える、回路配置。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2009−533931(P2009−533931A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504890(P2009−504890)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051313
【国際公開番号】WO2007/116379
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【氏名又は名称原語表記】NXP B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 60, NL−5656 AG Eindhoven, Netherlands
【Fターム(参考)】