位相同期装置および位相同期回路の周波数キャリブレーション方法、並びにプログラム
【課題】アナログ特性を容易な設計で高速なデジタルアシストが可能な位相同期装置および位相同期回路の周波数キャリブレーション方法、並びにプログラムを提供する。
【解決手段】デジタルアシストキャリブレーション回路は、探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と目的値との大小関係を確認する順次探索と、探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみその半分の検索範囲の検索値の中央値と目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて二分探索を行い、残りの過程では順次探索処理を行う。
【解決手段】デジタルアシストキャリブレーション回路は、探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と目的値との大小関係を確認する順次探索と、探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみその半分の検索範囲の検索値の中央値と目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて二分探索を行い、残りの過程では順次探索処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相同期回路(PLL)の出力周波数調整のデジタルアシスト機能を有する位相同期装置および位相同期回路の周波数キャリブレーション方法、並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、半導体の微細化が進み、半導体製造工程である酸化工程・イオン注入工程・不純物拡散工程・堆積工程・フォトリソグラフィ工程・エッチング工程等の局所ばらつき・大域ばらつきが目立つようになっている。
これにより、不純物密度・実効チャネル長・実効チャネル幅・酸化膜圧・移動度等の物理特性がばらつき、トランジスタの電流特性であるIDS-VGS特性やIDS-VDS特性がばらつくことにより、アナログ回路特性のばらつきが目立つようになった。
【0003】
ばらつきのあるアナログ回路特性を補償するための技術としてデジタルアシスト技術があり、このデジタルアシスト技術はアナログ回路特性を補償するために必須となっている。
デジタルアシスト技術の具体例としてPLLの出力周波数調整のデジタルアシスト等が挙げられる。
これらのデジタルアシストには迅速かつ高精度で行われることが望まれる。
このデジタルアシストの実現方法として順次探索や二分探索等のアルゴリズムが用いられている。
【0004】
順次探索による周波数キャリブレーションにおいて、最小の検索単位(精度)を1とし、範囲0〜2Nまでを検索するとし、目的値をAとする。
そして、端となる0(もしくは2N)から検索値と目的値Aとの大小関係を確認し、順番に検索値を大きく(小さく)し、目的値を超えるまで順番に検索を続ける。
検索値が目的値を超えた後、前回の検索値の場合と目的値を超えた検索値の場合とで、それぞれの検索値と目的値の差が、どちらが小さいかを判断し、目的値に近い検索値を採用する。
この検索方法により最小の検索単位である±0.5での精度での検索が可能となる。
【0005】
バイナリ方式二分探索による周波数キャリブレーションでは、順次探索と比較し検索時間を短くすることを目的とする。
この場合も最小の検索単位を1とし、範囲0〜2Nまでを検索したいとし、目的値をAとする。
まず、検索範囲中央の値2N−1と、目的値Aとの大小関係を確認する。目的値Aと中央値2N−1の大小関係を確認後、目的値Aの方中央値2N−1よりも大きければ、目的値Aは2N−1〜2Nの範囲に、小さければ0〜2N−1の範囲に含まれることとなる。
中央値と目的値の比較により一度の検索で、目的値の含まれない半分の要素を判別、無視することが可能となる。
次に、狭められた半分の範囲での中央値と目的値を比較し、目的値を検索する。
最小の検索単位1まで、同様の過程を続けることで検索精度1での検索が可能となる。このバイナリ方式二分探索での検索時間はNとなり、順次探索の最大検索時間2Nと比較し速い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、順次探索方法は、最小検索単位と検索時間が比例するため、最小検索単位を小さくすることによる検索の高精度化や、検索範囲の拡大に対し、検索時間が比例して大きくなる。
このため、PLLの出力周波数調整に必要な検索時間が長くなりやすく、また、量産時の機能確認等のコストアップにつながる。
【0007】
バイナリ方式二分探索では、順次探索と比較し検索時間を短くすることが可能であるが、検索単位の実現をアナログ回路で行った場合、半導体製造工程のばらつきにより、理想の値の検索単位の実現は困難である。つまり、検索単位の大きさはばらつく。
【0008】
順次探索・バイナリ方式二分探索ともに、最小検索単位LSBの検索精度を保つため、各検索単位のアナログばらつきは最小検索単位LSB以下に抑えることが前提となる。
上記した順次探索の場合、端から順番に最小検索単位ごとに検索を行うため、検索の単調性が保たれる利点を持つ。
しかし、バイナリ方式二分探索の場合、端から順番に検索を行うのではなく、検索範囲をその中央値により二分し、目的値を含まない片側を無視するという方法をとる。
このため、各検索単位がばらついた場合、探索範囲の中央値を正確に二分することができず、検索できない領域が存在する可能性があり、検索精度に違いがでる。
検索に使用した検索単位側の検索範囲は検索できるが、残り半分の検索範囲を、実際には検索していないことが原因である。
【0009】
本発明は、アナログ特性を容易な設計で高速なデジタルアシストが可能な位相同期装置および位相同期回路の周波数キャリブレーション方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点の位相同期装置は、発振出力信号と基準信号との位相比較情報に基づく電圧制御信号に応じた周波数で発振する電圧制御発振器を含む位相同期回路と、探索範囲においてあらかじめ設定される目的値と検索値とを比較して探索することにより、上記電圧制御発振器の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるための電圧補正機能を有するデジタルアシストキャリブレーション回路と、を有し、上記デジタルアシストキャリブレーション回路は、探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と上記目的値との大小関係を確認する順次探索と、探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、上記目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみ当該半分の検索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて上記二分探索を行い、残りの過程では上記順次探索処理を行う。
【0011】
本発明の第2の観点の位相同期回路の周波数キャリブレーション方法は、発振出力信号と基準信号との位相比較情報に基づく電圧制御信号に応じた周波数で発振する電圧制御発振器を含む位相同期回路に対して、探索範囲においてあらかじめ設定される目的値と検索値とを比較して探索することにより、上記電圧制御発振器の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるためのデジタルアシストキャリブレーションステップを有し、上記デジタルアシストキャリブレーションステップにおいて、探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と上記目的値との大小関係を確認する順次探索と、探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、上記目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみ当該半分の検索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて上記二分探索を行い、残りの過程では上記順次探索処理を行う。
【0012】
本発明の第3の観点は、発振出力信号と基準信号との位相比較情報に基づく電圧制御信号に応じた周波数で発振する電圧制御発振器を含む位相同期回路に対して、探索範囲においてあらかじめ設定される目的値と検索値とを比較して探索することにより、上記電圧制御発振器の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるためのデジタルアシストキャリブレーション処理を有し、上記デジタルアシストキャリブレーション処理において、探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と上記目的値との大小関係を確認する順次探索と、探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、上記目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみ当該半分の検索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて上記二分探索を行い、残りの過程では上記順次探索処理を行う位相同期回路の周波数キャリブレーション処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アナログ特性を容易な設計で高速なデジタルアシストが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係るデジタルアシスト機能を含む位相同期装置の構成例を示す図である。
【図2】順次探索の検索過程を模式的に示す図である。
【図3】順次検索のフローチャートである。
【図4】二分探索の検索過程を模式的に示す図である。
【図5】二分検索のフローチャートである。
【図6】面積効率を考慮したアナログ回路での検索単位の実現例を示す図である。
【図7】図6の表記を利用した順次探索の検索過程を模式的に示す図である。
【図8】バイナリ方式二分探索において検索単位がばらついた場合の検索結果例を示す図である。
【図9】順次探索において検索単位がばらついた場合の検索結果例を示す図である。
【図10】サーモメータコード方式二分探索の探索過程を模式的に示す図である。
【図11】本実施形態に係るハイブリッド方式の検索過程を模式的に示す図である。
【図12】本実施形態に係るハイブリッド方式のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.位相同期装置の全体の構成例
2.順次探索による周波数キャリブレーション
3.バイナリ方式二分探索による周波数キャリブレーション
4.サーモメータコード方式二分探索による周波数キャリブレーション
5.本実施形態に係るハイブリッド方式の周波数キャリブレーション
【0016】
<1.位相同期装置の全体の構成例>
図1は、本実施形態に係るデジタルアシスト機能を含む位相同期装置の構成例を示す図である。
【0017】
本実施形態に係る位相同期装置10は、位相同期回路(PLL)20、およびデジタルアシストキャリブレーション回路30を含んで構成されている。
【0018】
PLL20は、基準信号REFに位相同期するように発振周波数が制御された信号を出力する。
PLL20は、位相比較器(PFD)21、チャージポンプ(CP)22、ループフィルタ(LP)23、および電圧制御発振器(VCO)24を含んで構成されている。
【0019】
位相比較器21は、電圧制御発振器24の出力信号S24と基準信号REFとの位相差を示す位相比較情報S21をチャージポンプ22に出力する。
チャージポンプ22は、位相比較器21による位相比較情報を電流に変換する。
ループフィルタ23は、チャージポンプ22から電流を流し込み、電流情報を電圧情報に変換し、電圧情報を電圧制御信号S23として電圧制御発振器24に出力する。
【0020】
電圧制御発振器24は、電圧制御信号S23の電圧情報に応じて発振周波数を変化させ、その周波数の信号S24を出力する。
電圧制御発振器24は、デジタルアシストキャリブレーション回路30により周波数キャリブレーションを行うためのキャリブレーション電圧VCALが供給される。
なお、電圧制御発振器24の出力信号S24の位相比較器21への帰還経路には、たとえば仕様に応じた分周器を配置することも可能である。
【0021】
デジタルアシストキャリブレーション回路30は、PLL20の電圧制御発振器24の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるための電圧補正機能を有する。
【0022】
デジタルアシストキャリブレーション回路30は、周波数カウンタ31、第1の記憶回路32、比較回路33、二分探索回路34、順次探索回路35、第2の記憶回路36、およびスイッチ回路37,38、およびシーケンス制御回路39を有する。
そして、デジタルアシストキャリブレーション回路30は、周波数ゲイン調整回路40を含んで構成されている。
【0023】
周波数カウンタ31は、PLL20の電圧制御発振器24の発振出力信号S24の出力周波数をカウントする。
第1の記憶回路32は、たとえば発振出力信号S24の出力周波数の目的値Aが設定され、その設定値を比較回路33に供給する。
【0024】
比較回路33は、周波数カウンタ31のカウント結果と出力周波数である目的値Aと比較し、比較結果をスイッチ回路37,38、および順次探索回路35の探索方向選択機能部351に出力する。
【0025】
二分探索回路34は、シーケンス制御回路39の制御の下、スイッチ回路37を介して供給される比較回路33の比較結果に応じた二分探索処理を行い、処理結果を第2の記憶回路36に出力する。
【0026】
順次探索回路35は、シーケンス制御回路39の制御の下、探索方向選択機能部351で選択された探索方向で、スイッチ回路38を介して供給される比較回路33の比較結果に応じた二分探索処理を行い、処理結果を第2の記憶回路36に出力する。
【0027】
第2の記憶回路36は、二分探索を行う二分探索回路34の探索結果と順次探索を行う順次探索回路35の探索結果を保持しておく。
【0028】
スイッチ回路37は、端子aが比較回路33の出力に接続され、端子bが二分探索回路34の入力端子に接続され、シーケンス制御回路39によりオンオフ制御される。スイッチ回路37は、二分探索を行う探索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいてオン状態に制御される。
【0029】
スイッチ回路38は、端子aが比較回路33の出力に接続され、端子bが順次探索回路35の入力端子に接続され、シーケンス制御回路39によりオンオフ制御される。スイッチ回路38は、二分探索を行う探索過程以外の過程にオン状態に制御される。
【0030】
シーケンス制御回路39は、二分探索を行う二分探索回路34と順次探索を行う順次探索回路35の使用するタイミングを決定し、スイッチ回路37,38、第2の記憶回路36を制御する。
【0031】
周波数ゲイン調整回路40は、第2の記憶回路36の保持データに従って、探索結果をPLL20の電圧制御発振器24にフィードバックするための発振周波数を変化させる調整信号S40を電圧制御発振器24に供給する。
【0032】
本位相同期装置10においては、順次探索と二分探索の双方を組み合わせ、順次探索の利点である探索の単調性と二分探索の利点である探索速度の高速化を活かしたPLLの出力周波数調整のデジタルアシストキャリブレーション回路が構成されている。
本実施形態の位相同期装置10は、順次探索と基本的な二分探索と後述するサーモメータコード方式二分探索のアルゴリズムの特徴を備えたハイブリッド方式としてデジタルアシストキャリブレーション回路30が構成されている。
本実施形態におけるPLLの出力周波数調整のデジタルアシストキャリブレーション方法は、アナログ回路設計コストを上げる検索単位の冗長性を持たせる必要なく、実現可能な規模に制限のない、検索時間を通常の順次探索よりも約2〜4倍速くなる方法である。 本実施形態においては、探索過程における最初の過程と最後の過程にのみ、二分探索を採用し、それ以外の検索過程を順次探索とする。
【0033】
以下においては、まず、順次探索とバイナリ方式二分探索と後述するサーモメータコード方式二分探索のアルゴリズムの基本的な特徴を説明する。
そして、それに関連付けて本実施形態の探索過程における最初の過程と最後の過程にのみ、二分探索を採用し、それ以外の検索過程を順次探索とするハイブリッド方式について説明する。
【0034】
<2.順次探索による周波数キャリブレーション>
まず、順次探索回路35において行われる順次探索による周波数キャリブレーションについて、図2および図3に関連付けて説明する。
図2は、順次探索の検索過程を模式的に示す図である。
図3は、順次検索のフローチャートである。
【0035】
最小の検索単位(精度)を1とし、範囲0〜2Nまでを検索するとし、目的値をAとする。
端となる0(もしくは2N)から(ST1)検索値Bと目的値Aとの大小関係を確認し(ST2)、順番に検索値を大きく(小さく)し(ST3)、目的値Aを超えるまで順番に検索を続ける(ST1〜ST3)。
検索値Bが目的値Aを超えた後(ST2)、前回の検索値の場合と目的値を超えた検索値の場合とで、それぞれの検索値と目的値の差が、どちらが小さいかを判断し、目的値に近い検索値Bを採用する(ST4)。
この検索方法により最小の検索単位である±0.5での精度での検索が可能となる。
【0036】
具体例として、図2にN=4,A=11のときの順次探索の検索過程を、図3に順次探索実現のフローチャート一例を示している。
この順次探索方法では、端から順番に最小検索単位ごとに検索を行うため、検索の単調性が保たれるという利点を持つ。
1度の検索に時間1かかるとすると、検索に必要な時間は最大で2Nとなり、最小検索単位と検索時間が比例する。
【0037】
<3.バイナリ方式二分探索による周波数キャリブレーション>
次に、バイナリ方式二分探索による周波数キャリブレーションについて、図4および図5に関連付けて説明する。
図4は、二分探索の検索過程を模式的に示す図である。
図5は、二分検索のフローチャートである。
図6は、面積効率を考慮したアナログ回路での検索単位の実現例を示す図である。
図7は、図6の表記を利用した順次探索の検索過程を模式的に示す図である。
【0038】
上記した順次探索では検索精度と検索時間が比例する。
バイナリ方式二分探索では順次探索と比較し検索時間を短くすることを目的とする。
最小の検索単位を1とし、範囲0〜2Nまでを検索するとし、目的値をAとする(ST11)。
まず、検索範囲中央の値2N−1と、目的値Aとの大小関係を確認する(ST12〜ST13)。
目的値Aと中央値2N−1の大小関係を確認後、目的値Aの方中央値2N−1よりも大きければ、目的値Aは2N−1〜2Nの範囲に、小さければ0〜2N−1の範囲に含まれることとなる。
中央値と目的値Aの比較により一度の検索で、目的値の含まれない半分の要素を判別、無視することが可能となる。
次に、狭められた半分の範囲での中央値と目的値Aを比較し(ST12〜ST15)、目的値を検索する。
最小の検索単位1まで、同様の過程を続けることで検索精度1での検索が可能となる(ST16)。
【0039】
このバイナリ方式二分探索での検索時間はNとなり、順次探索の最大検索時間2Nと比較し速い。
具体例として、図4にN=4,A=11をバイナリ方式二分探索の検索過程を、図5にバイナリ方式二分探索実現のフローチャート一例を示している。
以下、図4について説明する。
【0040】
N=4となるため、検索範囲は2N=16となる。最初の検索での中央値は2N−1=8となり、この値と目的値11(A)を比較する。
比較結果は検索値8<目的値11となり、目的値Aが大きく、次の検索範囲は2N−1〜2Nまでの8〜16に絞られる。
このときの中央値は2N−1+2N−2=12となる。この値を検索値とし、目的値11と比較して、二度目の検索を行う。
比較結果は検索値12>目的値11である。目的値が小さく、次の検索範囲は2N−1〜2N−1+2N−2である8〜12に絞られる。値8〜12の中間値である2N−1+2N−3=10を次の検索値とし、三度目の検索を行う。
検索値10<目的値11となり、目的値Aが大きい。次の検索範囲は2N−1+2N−3〜2N−1+2N−2の10〜12となる。
4度目の検索の中央値は2N−1+2N−3+2N−4=11である。N=4のため、この検索が最小検索単位での比較となる。検索値11=目的値11となり、検索終了となる。
【0041】
バイナリ方式二分探索の場合、図4での具体例のように、検索過程で使用する検索単位は2N,2N−1,…21,20の組み合わせであり、それぞれが準備できればよい。
このとき、20となる最小の検索単位をLSBと呼び、2N−1となる最大の検索単位をMSBと呼ぶ。
【0042】
このそれぞれの検索単位をアナログ回路で実現する場合、面積比例での実現が一般的である。半導体アナログ回路の面積はそのままコストに直結する。面積効率を考え、検索単位の配置は図6のような配置で実現することが多い。
この検索単位の使用は順次探索でも採用は可能であり、図2を書き改め、図7のように示すことが可能である。
【0043】
[順次検索、二分探索の検索単位についての考察]
図8は、バイナリ方式二分探索において検索単位がばらついた場合の検索結果例を示す図である。
図9は、順次探索において検索単位がばらついた場合の検索結果例を示す図である。
【0044】
検索単位の実現をアナログ回路で行った場合、半導体製造工程のばらつきにより、理想の値の検索単位の実現は困難である。つまり、検索単位の大きさはばらつく。
順次探索およびバイナリ方式二分探索ともに、最小検索単位LSBの検索精度を保つため、各検索単位のアナログばらつきは最小検索単位LSB以下に抑えることが前提となる。
順次探索の場合、端から順番に最小検索単位ごとに検索を行うため、検索の単調性が保たれる利点を持つ。
これに対して、バイナリ方式二分探索の場合、端から順番に検索を行うのではなく、検索範囲をその中央値により二分し、目的値を含まない片側を無視するという方法をとる。
このため、バイナリ方式二分探索では、各検索単位がばらついた場合、探索範囲の中央値を正確に二分することができず、検索できない領域が存在する可能性があり、検索精度に違いがでる。
検索に使用した検索単位側の検索範囲は検索できるが、残り半分の検索範囲を、実際には検索していないことが原因である。
【0045】
以下に、検索単位がばらついた場合の、バイナリ方式二分探索の検索結果・順次探索の検索結果の具体例を示し、説明する。ともにN=4,A=8とし、ばらつきにより最大検索単位が+σ、それ以外の検索単位が−σずれるとする。
【0046】
バイナリ方式二分探索の場合の検索結果を図8に、順次探索の検索結果を図9に示している。
バイナリ方式二分探索の探索結果は、図8に示すように、{20−σ+21−σ+22−σ}となり、順次探索の探索結果は、図9に示すように、23+σとなる。
このとき、ばらつきσは最小検索単位LSB以下であるという前提のため、順次探索では最小検索単位以下の精度での検索が可能であるが、二分探索では最小検索単位以下の精度での検索が不可能なことが分かる。
【0047】
バイナリ方式二分探索ではこのような傾向にありその回避策が必要となる。
回避策として用いられる方法の1つは、各々の検索単位の冗長性の確保である。
図8のような現象を防ぐには各検索単位Xと、それ以下の検索単位の合計値Yを比較しX<Yとすることができれば、検索しない領域をなくすことができるため、最小検索単位の精度での検索が可能となるという考え方である。
図8の例を適用した場合、X=23+σ,Y=22−σ+21−σ+20−σとなりX<Yを満たすことができない。
よって、最小検索単位を固定したまま、検索範囲を固定したまま、X<Yを満たすには各検索単位にスケーリング係数Zをかけ、検索範囲分割数を決めるNを大きくする必要がある。
したがって、バイナリ方式二分探索は、上記設計のため、設計コストが上がる傾向にあり、また、各検索単位にスケーリング係数をかけ、2のべき乗での実現が困難な場合がある。このため、図6のような面積効率を考慮した配置が困難となる場合があり、さらに、検索範囲分割数Nが増えるため、検索時間が伸び、量産時の機能確認等が必要になる。
そこで、本実施形態では、次に説明するサーモメータコード方式二分探索による周波数キャリブレーション方法を採用すると良い。
【0048】
<4.サーモメータコード方式二分探索による周波数キャリブレーション>
次に、サーモメータコード方式二分探索による周波数キャリブレーションについて説明する。
図10は、サーモメータコード方式二分探索の探索過程を模式的に示す図である。
【0049】
上述したように、バイナリ方式二分探索方法では冗長性確保のため、アナログ回路の低コストでの設計や小面積化が困難となる場合がある。
検索精度、検索時間を変えないまま、その点を改良した方法がこのサーモメータコード方式である。
バイナリ方式二分探索での冗長性を持たせる必要がある要因は次の通りである。
バイナリ方式二分探索では、検索単位が検索ごとに変わり、その検索単位で検索範囲を二分するが、アナログ特性のばらつきのため、正確に二分できないため、検索しない領域が発生することであり、順次比較のような線形性を保った検索ができない。
逆に、常に同じ検索単位を用いて検索を行うことができれば、線形性を確保することができ、冗長性を持つ必要はない。
【0050】
面積効率を考えた図6の検索単位の使用方法を、図10に示す検索単位の使用方法に変更することで、線形性を保つことが可能であり、冗長性を回避することが可能である。
図6の場合では各検索単位2N,2N−1,…20を1つにまとめて配置し使用した。
図10ではこれを最小検索単位で分割し、その使用個数を制御することによって2N,2N−1,…20の検索単位を実現する。
その使用個数の制御を以下のように工夫することで検索しない領域の発生を防ぎ線形性を確保する。
二分探索により、検索範囲を二分し、次の検索に進む際、以前に使用した最小検索単位をそのまま用いるようにする。
つまり、二分探索により目的値A>検索値Bとなった場合には、以前使用したものと同じ最小検索単位と残りの領域の半分の最小検索単位を使用し、目的値<検索値となった場合には、以前使用した最小検索単位の半分を使用する制御方法を採用する。
この方法を採用すれば、たとえアナログ特性がばらついたとしても、検索しない領域の発生を防ぎ、線形性を保つことが可能となる。
【0051】
ところで、順次探索やバイナリ方式二分探索の場合は、図6のように検索単位を配置し、2N,2N−1,…20、それぞれの検索単位に制御線を準備すればよく、合計N本の制御線で実現できた。
サーモメータコード方式での実現の場合、各最小検索単位に制御線を準備する必要があり、合計2Nの制御線が必要となる。
【0052】
<5.本実施形態に係るハイブリッド方式の周波数キャリブレーション>
次に、本実施形態に係るハイブリッド方式の周波数キャリブレーションについて、図11および図12に関連付けて説明する。
図11は、本実施形態に係るハイブリッド方式の検索過程を模式的に示す図である。
図12は、本実施形態に係るハイブリッド方式のフローチャートである。
【0053】
本実施形態では、順次探索とバイナリ方式二分探索とサーモメータコード方式二分探索のアルゴリズムの特徴を備えたハイブリッド方式を採用している。
そして、本実施形態に係るハイブリッド方式では、探索過程における最初の過程(ST21、ST22)と最後の過程(ST29〜ST31)にのみ、二分探索を採用し、それ以外の検索過程(ST23〜ST28)を順次探索とする。
【0054】
本実施形態に係る方法では、アナログ回路設計コストを上げる検索単位の冗長性を持たせる必要なく、実現可能な規模に制限のない、検索時間を順次探索よりも約2〜4倍速くなる。
図11に本実施形態のハイブリッド方式での検索過程を具体例としてN=4,A=11として示し、図12にそのフローチャートを示している。
【0055】
最初の一度目の検索に二分探索を用いる。このとき、デジタルアシストキャリブレーション回路30では、シーケンス制御回路39によりスイッチ回路37がオンに制御され、比較回路33の出力は二分探索回路34に供給される。
目的値Aが検索範囲の大きい側、小さい側の片方に絞り、大きい側であれば検索範囲の最大値2Nから検索、小さい側であれば検索範囲の最小値0から検索することで、検索時間を順次探索と比較し最大半分にすることが可能となる。
最小検索単位1、検索範囲を2Nとし、目的値をAとしたとき、2N−1<Aの場合、検索を2Nから降順で目的値Aまで順次探索を行い、2N−1>Aの場合、検索を0から昇順で目的値Aまで順次探索を行う。このとき、デジタルアシストキャリブレーション回路30では、シーケンス制御回路39によりスイッチ回路38がオンに制御され、比較回路33の出力は順次探索回路35に供給される。
この検索の最初に行う二分探索は目的値Aが検索範囲の中央値と離れるほど検索時間の短縮効果が大きくなる。
検索単位1、検索範囲2Nでの順次比較の場合、最大の検索時間は2Nであり、これは検索範囲の中央値と一番離れた条件である。
【0056】
最初に二分探索を行うことで、この最大の条件の時間を半分にすることが可能である。
二分探索のため、半導体アナログ回路での実現の場合、冗長性を持つ必要がある。
しかし、最初の一度目のみで昇順、降順の検索の方向を決めるのみであり、実際には順次探索を行うため、単調性が保たれており、冗長性確保の必要はない。
バイナリ方式二分探索のような回路実現時に冗長性をもつアナログ設計を必要としない利点を持ち、かつ、検索時間の短縮が可能な方法として、本実施形態では探索の最初の過程では二分探索を採用する。
【0057】
また、検索の最後に二分探索を行うことで、最初と最後以外の検索である順次探索においては、検索単位2で検索を行うことが可能となり、検索単位1での順次比較よりも半分の時間で検索が可能となる。
図12の例では、ステップST24,ST25において、検索単位2はC=−2,+2とすることで、ステップ幅を大きくしている。
最後に二分探索を行うことにより、冗長性を保つ必要を検討する必要があるが、最後の一度だけは二分探索にしても冗長性の確保は困難である。
冗長性確保として、各検索単位Xと、それ以下の検索単位の合計値Yを比較しX<Yとすることを条件としていた。ただし、最後の検索に関してはY=0のため、条件を満たすことはそもそも困難であり、最後の検索に求められる条件は最小検索単位を満たすことであり、この条件は順次探索においても必要な条件である。
よって、本実施形態では冗長性確保が必要なく、かつ、検索時間の短縮な方法として、最後の検索に二分探索を行う方法を採用する。
【0058】
上記のように最初と最後に二分探索を行うことで冗長性確保の必要なく検索時間を短縮することが可能となる。
順次探索のみの場合と比較し二分探索を最初と最後の二度行うことで順次探索の検索時間を1/4、二分探索を二度行うことで+2、つまり2N−2+2の検索時間に短縮することが可能となる。
また、冗長性を考える必要が無いため、アナログ設計コストを抑え、また、図6に示した配置が面積効率を考慮した検索単位の配置が可能であり、制御線の本数もNで十分である。
さらに、上記説明では最初と最後に一度のみ二分探索を行うことで、これらの二分探索の回数を任意とすることにより検索時間、回路規模のトレードオフの実現が容易となる。
したがって、本実施形態によれば、アナログ特性を容易な設計で高速なデジタルアシストが可能となる。
【0059】
上述した本実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り、適宜、変更しうることはいうまでもない。
【0060】
また、以上詳細に説明した方法は、上記手順に応じたプログラムとして形成し、CPU等のコンピュータで実行するように構成することも可能である。
また、このようなプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記録媒体、この記録媒体をセットしたコンピュータによりアクセスし上記プログラムを実行するように構成可能である。
【符号の説明】
【0061】
10・・・位相同期装置、20・・・位相同期回路(PLL)、21・・・位相比較器(PFD)、22・・・チャージポンプ(CP)、23・・・ループフィルタ(LP)、電圧制御発振器(VCO)、30・・・デジタルアシストキャリブレーション回路、31・・・周波数カウンタ、32・・・第1の記憶回路、33・・・比較回路、34・・・二分探索回路、35・・・順次探索回路、36・・・第2の記憶回路、37,38・・・スイッチ回路、39・・・シーケンス制御回路、40・・・周波数ゲイン調整回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相同期回路(PLL)の出力周波数調整のデジタルアシスト機能を有する位相同期装置および位相同期回路の周波数キャリブレーション方法、並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、半導体の微細化が進み、半導体製造工程である酸化工程・イオン注入工程・不純物拡散工程・堆積工程・フォトリソグラフィ工程・エッチング工程等の局所ばらつき・大域ばらつきが目立つようになっている。
これにより、不純物密度・実効チャネル長・実効チャネル幅・酸化膜圧・移動度等の物理特性がばらつき、トランジスタの電流特性であるIDS-VGS特性やIDS-VDS特性がばらつくことにより、アナログ回路特性のばらつきが目立つようになった。
【0003】
ばらつきのあるアナログ回路特性を補償するための技術としてデジタルアシスト技術があり、このデジタルアシスト技術はアナログ回路特性を補償するために必須となっている。
デジタルアシスト技術の具体例としてPLLの出力周波数調整のデジタルアシスト等が挙げられる。
これらのデジタルアシストには迅速かつ高精度で行われることが望まれる。
このデジタルアシストの実現方法として順次探索や二分探索等のアルゴリズムが用いられている。
【0004】
順次探索による周波数キャリブレーションにおいて、最小の検索単位(精度)を1とし、範囲0〜2Nまでを検索するとし、目的値をAとする。
そして、端となる0(もしくは2N)から検索値と目的値Aとの大小関係を確認し、順番に検索値を大きく(小さく)し、目的値を超えるまで順番に検索を続ける。
検索値が目的値を超えた後、前回の検索値の場合と目的値を超えた検索値の場合とで、それぞれの検索値と目的値の差が、どちらが小さいかを判断し、目的値に近い検索値を採用する。
この検索方法により最小の検索単位である±0.5での精度での検索が可能となる。
【0005】
バイナリ方式二分探索による周波数キャリブレーションでは、順次探索と比較し検索時間を短くすることを目的とする。
この場合も最小の検索単位を1とし、範囲0〜2Nまでを検索したいとし、目的値をAとする。
まず、検索範囲中央の値2N−1と、目的値Aとの大小関係を確認する。目的値Aと中央値2N−1の大小関係を確認後、目的値Aの方中央値2N−1よりも大きければ、目的値Aは2N−1〜2Nの範囲に、小さければ0〜2N−1の範囲に含まれることとなる。
中央値と目的値の比較により一度の検索で、目的値の含まれない半分の要素を判別、無視することが可能となる。
次に、狭められた半分の範囲での中央値と目的値を比較し、目的値を検索する。
最小の検索単位1まで、同様の過程を続けることで検索精度1での検索が可能となる。このバイナリ方式二分探索での検索時間はNとなり、順次探索の最大検索時間2Nと比較し速い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、順次探索方法は、最小検索単位と検索時間が比例するため、最小検索単位を小さくすることによる検索の高精度化や、検索範囲の拡大に対し、検索時間が比例して大きくなる。
このため、PLLの出力周波数調整に必要な検索時間が長くなりやすく、また、量産時の機能確認等のコストアップにつながる。
【0007】
バイナリ方式二分探索では、順次探索と比較し検索時間を短くすることが可能であるが、検索単位の実現をアナログ回路で行った場合、半導体製造工程のばらつきにより、理想の値の検索単位の実現は困難である。つまり、検索単位の大きさはばらつく。
【0008】
順次探索・バイナリ方式二分探索ともに、最小検索単位LSBの検索精度を保つため、各検索単位のアナログばらつきは最小検索単位LSB以下に抑えることが前提となる。
上記した順次探索の場合、端から順番に最小検索単位ごとに検索を行うため、検索の単調性が保たれる利点を持つ。
しかし、バイナリ方式二分探索の場合、端から順番に検索を行うのではなく、検索範囲をその中央値により二分し、目的値を含まない片側を無視するという方法をとる。
このため、各検索単位がばらついた場合、探索範囲の中央値を正確に二分することができず、検索できない領域が存在する可能性があり、検索精度に違いがでる。
検索に使用した検索単位側の検索範囲は検索できるが、残り半分の検索範囲を、実際には検索していないことが原因である。
【0009】
本発明は、アナログ特性を容易な設計で高速なデジタルアシストが可能な位相同期装置および位相同期回路の周波数キャリブレーション方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点の位相同期装置は、発振出力信号と基準信号との位相比較情報に基づく電圧制御信号に応じた周波数で発振する電圧制御発振器を含む位相同期回路と、探索範囲においてあらかじめ設定される目的値と検索値とを比較して探索することにより、上記電圧制御発振器の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるための電圧補正機能を有するデジタルアシストキャリブレーション回路と、を有し、上記デジタルアシストキャリブレーション回路は、探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と上記目的値との大小関係を確認する順次探索と、探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、上記目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみ当該半分の検索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて上記二分探索を行い、残りの過程では上記順次探索処理を行う。
【0011】
本発明の第2の観点の位相同期回路の周波数キャリブレーション方法は、発振出力信号と基準信号との位相比較情報に基づく電圧制御信号に応じた周波数で発振する電圧制御発振器を含む位相同期回路に対して、探索範囲においてあらかじめ設定される目的値と検索値とを比較して探索することにより、上記電圧制御発振器の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるためのデジタルアシストキャリブレーションステップを有し、上記デジタルアシストキャリブレーションステップにおいて、探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と上記目的値との大小関係を確認する順次探索と、探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、上記目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみ当該半分の検索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて上記二分探索を行い、残りの過程では上記順次探索処理を行う。
【0012】
本発明の第3の観点は、発振出力信号と基準信号との位相比較情報に基づく電圧制御信号に応じた周波数で発振する電圧制御発振器を含む位相同期回路に対して、探索範囲においてあらかじめ設定される目的値と検索値とを比較して探索することにより、上記電圧制御発振器の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるためのデジタルアシストキャリブレーション処理を有し、上記デジタルアシストキャリブレーション処理において、探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と上記目的値との大小関係を確認する順次探索と、探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、上記目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみ当該半分の検索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて上記二分探索を行い、残りの過程では上記順次探索処理を行う位相同期回路の周波数キャリブレーション処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アナログ特性を容易な設計で高速なデジタルアシストが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係るデジタルアシスト機能を含む位相同期装置の構成例を示す図である。
【図2】順次探索の検索過程を模式的に示す図である。
【図3】順次検索のフローチャートである。
【図4】二分探索の検索過程を模式的に示す図である。
【図5】二分検索のフローチャートである。
【図6】面積効率を考慮したアナログ回路での検索単位の実現例を示す図である。
【図7】図6の表記を利用した順次探索の検索過程を模式的に示す図である。
【図8】バイナリ方式二分探索において検索単位がばらついた場合の検索結果例を示す図である。
【図9】順次探索において検索単位がばらついた場合の検索結果例を示す図である。
【図10】サーモメータコード方式二分探索の探索過程を模式的に示す図である。
【図11】本実施形態に係るハイブリッド方式の検索過程を模式的に示す図である。
【図12】本実施形態に係るハイブリッド方式のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.位相同期装置の全体の構成例
2.順次探索による周波数キャリブレーション
3.バイナリ方式二分探索による周波数キャリブレーション
4.サーモメータコード方式二分探索による周波数キャリブレーション
5.本実施形態に係るハイブリッド方式の周波数キャリブレーション
【0016】
<1.位相同期装置の全体の構成例>
図1は、本実施形態に係るデジタルアシスト機能を含む位相同期装置の構成例を示す図である。
【0017】
本実施形態に係る位相同期装置10は、位相同期回路(PLL)20、およびデジタルアシストキャリブレーション回路30を含んで構成されている。
【0018】
PLL20は、基準信号REFに位相同期するように発振周波数が制御された信号を出力する。
PLL20は、位相比較器(PFD)21、チャージポンプ(CP)22、ループフィルタ(LP)23、および電圧制御発振器(VCO)24を含んで構成されている。
【0019】
位相比較器21は、電圧制御発振器24の出力信号S24と基準信号REFとの位相差を示す位相比較情報S21をチャージポンプ22に出力する。
チャージポンプ22は、位相比較器21による位相比較情報を電流に変換する。
ループフィルタ23は、チャージポンプ22から電流を流し込み、電流情報を電圧情報に変換し、電圧情報を電圧制御信号S23として電圧制御発振器24に出力する。
【0020】
電圧制御発振器24は、電圧制御信号S23の電圧情報に応じて発振周波数を変化させ、その周波数の信号S24を出力する。
電圧制御発振器24は、デジタルアシストキャリブレーション回路30により周波数キャリブレーションを行うためのキャリブレーション電圧VCALが供給される。
なお、電圧制御発振器24の出力信号S24の位相比較器21への帰還経路には、たとえば仕様に応じた分周器を配置することも可能である。
【0021】
デジタルアシストキャリブレーション回路30は、PLL20の電圧制御発振器24の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるための電圧補正機能を有する。
【0022】
デジタルアシストキャリブレーション回路30は、周波数カウンタ31、第1の記憶回路32、比較回路33、二分探索回路34、順次探索回路35、第2の記憶回路36、およびスイッチ回路37,38、およびシーケンス制御回路39を有する。
そして、デジタルアシストキャリブレーション回路30は、周波数ゲイン調整回路40を含んで構成されている。
【0023】
周波数カウンタ31は、PLL20の電圧制御発振器24の発振出力信号S24の出力周波数をカウントする。
第1の記憶回路32は、たとえば発振出力信号S24の出力周波数の目的値Aが設定され、その設定値を比較回路33に供給する。
【0024】
比較回路33は、周波数カウンタ31のカウント結果と出力周波数である目的値Aと比較し、比較結果をスイッチ回路37,38、および順次探索回路35の探索方向選択機能部351に出力する。
【0025】
二分探索回路34は、シーケンス制御回路39の制御の下、スイッチ回路37を介して供給される比較回路33の比較結果に応じた二分探索処理を行い、処理結果を第2の記憶回路36に出力する。
【0026】
順次探索回路35は、シーケンス制御回路39の制御の下、探索方向選択機能部351で選択された探索方向で、スイッチ回路38を介して供給される比較回路33の比較結果に応じた二分探索処理を行い、処理結果を第2の記憶回路36に出力する。
【0027】
第2の記憶回路36は、二分探索を行う二分探索回路34の探索結果と順次探索を行う順次探索回路35の探索結果を保持しておく。
【0028】
スイッチ回路37は、端子aが比較回路33の出力に接続され、端子bが二分探索回路34の入力端子に接続され、シーケンス制御回路39によりオンオフ制御される。スイッチ回路37は、二分探索を行う探索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいてオン状態に制御される。
【0029】
スイッチ回路38は、端子aが比較回路33の出力に接続され、端子bが順次探索回路35の入力端子に接続され、シーケンス制御回路39によりオンオフ制御される。スイッチ回路38は、二分探索を行う探索過程以外の過程にオン状態に制御される。
【0030】
シーケンス制御回路39は、二分探索を行う二分探索回路34と順次探索を行う順次探索回路35の使用するタイミングを決定し、スイッチ回路37,38、第2の記憶回路36を制御する。
【0031】
周波数ゲイン調整回路40は、第2の記憶回路36の保持データに従って、探索結果をPLL20の電圧制御発振器24にフィードバックするための発振周波数を変化させる調整信号S40を電圧制御発振器24に供給する。
【0032】
本位相同期装置10においては、順次探索と二分探索の双方を組み合わせ、順次探索の利点である探索の単調性と二分探索の利点である探索速度の高速化を活かしたPLLの出力周波数調整のデジタルアシストキャリブレーション回路が構成されている。
本実施形態の位相同期装置10は、順次探索と基本的な二分探索と後述するサーモメータコード方式二分探索のアルゴリズムの特徴を備えたハイブリッド方式としてデジタルアシストキャリブレーション回路30が構成されている。
本実施形態におけるPLLの出力周波数調整のデジタルアシストキャリブレーション方法は、アナログ回路設計コストを上げる検索単位の冗長性を持たせる必要なく、実現可能な規模に制限のない、検索時間を通常の順次探索よりも約2〜4倍速くなる方法である。 本実施形態においては、探索過程における最初の過程と最後の過程にのみ、二分探索を採用し、それ以外の検索過程を順次探索とする。
【0033】
以下においては、まず、順次探索とバイナリ方式二分探索と後述するサーモメータコード方式二分探索のアルゴリズムの基本的な特徴を説明する。
そして、それに関連付けて本実施形態の探索過程における最初の過程と最後の過程にのみ、二分探索を採用し、それ以外の検索過程を順次探索とするハイブリッド方式について説明する。
【0034】
<2.順次探索による周波数キャリブレーション>
まず、順次探索回路35において行われる順次探索による周波数キャリブレーションについて、図2および図3に関連付けて説明する。
図2は、順次探索の検索過程を模式的に示す図である。
図3は、順次検索のフローチャートである。
【0035】
最小の検索単位(精度)を1とし、範囲0〜2Nまでを検索するとし、目的値をAとする。
端となる0(もしくは2N)から(ST1)検索値Bと目的値Aとの大小関係を確認し(ST2)、順番に検索値を大きく(小さく)し(ST3)、目的値Aを超えるまで順番に検索を続ける(ST1〜ST3)。
検索値Bが目的値Aを超えた後(ST2)、前回の検索値の場合と目的値を超えた検索値の場合とで、それぞれの検索値と目的値の差が、どちらが小さいかを判断し、目的値に近い検索値Bを採用する(ST4)。
この検索方法により最小の検索単位である±0.5での精度での検索が可能となる。
【0036】
具体例として、図2にN=4,A=11のときの順次探索の検索過程を、図3に順次探索実現のフローチャート一例を示している。
この順次探索方法では、端から順番に最小検索単位ごとに検索を行うため、検索の単調性が保たれるという利点を持つ。
1度の検索に時間1かかるとすると、検索に必要な時間は最大で2Nとなり、最小検索単位と検索時間が比例する。
【0037】
<3.バイナリ方式二分探索による周波数キャリブレーション>
次に、バイナリ方式二分探索による周波数キャリブレーションについて、図4および図5に関連付けて説明する。
図4は、二分探索の検索過程を模式的に示す図である。
図5は、二分検索のフローチャートである。
図6は、面積効率を考慮したアナログ回路での検索単位の実現例を示す図である。
図7は、図6の表記を利用した順次探索の検索過程を模式的に示す図である。
【0038】
上記した順次探索では検索精度と検索時間が比例する。
バイナリ方式二分探索では順次探索と比較し検索時間を短くすることを目的とする。
最小の検索単位を1とし、範囲0〜2Nまでを検索するとし、目的値をAとする(ST11)。
まず、検索範囲中央の値2N−1と、目的値Aとの大小関係を確認する(ST12〜ST13)。
目的値Aと中央値2N−1の大小関係を確認後、目的値Aの方中央値2N−1よりも大きければ、目的値Aは2N−1〜2Nの範囲に、小さければ0〜2N−1の範囲に含まれることとなる。
中央値と目的値Aの比較により一度の検索で、目的値の含まれない半分の要素を判別、無視することが可能となる。
次に、狭められた半分の範囲での中央値と目的値Aを比較し(ST12〜ST15)、目的値を検索する。
最小の検索単位1まで、同様の過程を続けることで検索精度1での検索が可能となる(ST16)。
【0039】
このバイナリ方式二分探索での検索時間はNとなり、順次探索の最大検索時間2Nと比較し速い。
具体例として、図4にN=4,A=11をバイナリ方式二分探索の検索過程を、図5にバイナリ方式二分探索実現のフローチャート一例を示している。
以下、図4について説明する。
【0040】
N=4となるため、検索範囲は2N=16となる。最初の検索での中央値は2N−1=8となり、この値と目的値11(A)を比較する。
比較結果は検索値8<目的値11となり、目的値Aが大きく、次の検索範囲は2N−1〜2Nまでの8〜16に絞られる。
このときの中央値は2N−1+2N−2=12となる。この値を検索値とし、目的値11と比較して、二度目の検索を行う。
比較結果は検索値12>目的値11である。目的値が小さく、次の検索範囲は2N−1〜2N−1+2N−2である8〜12に絞られる。値8〜12の中間値である2N−1+2N−3=10を次の検索値とし、三度目の検索を行う。
検索値10<目的値11となり、目的値Aが大きい。次の検索範囲は2N−1+2N−3〜2N−1+2N−2の10〜12となる。
4度目の検索の中央値は2N−1+2N−3+2N−4=11である。N=4のため、この検索が最小検索単位での比較となる。検索値11=目的値11となり、検索終了となる。
【0041】
バイナリ方式二分探索の場合、図4での具体例のように、検索過程で使用する検索単位は2N,2N−1,…21,20の組み合わせであり、それぞれが準備できればよい。
このとき、20となる最小の検索単位をLSBと呼び、2N−1となる最大の検索単位をMSBと呼ぶ。
【0042】
このそれぞれの検索単位をアナログ回路で実現する場合、面積比例での実現が一般的である。半導体アナログ回路の面積はそのままコストに直結する。面積効率を考え、検索単位の配置は図6のような配置で実現することが多い。
この検索単位の使用は順次探索でも採用は可能であり、図2を書き改め、図7のように示すことが可能である。
【0043】
[順次検索、二分探索の検索単位についての考察]
図8は、バイナリ方式二分探索において検索単位がばらついた場合の検索結果例を示す図である。
図9は、順次探索において検索単位がばらついた場合の検索結果例を示す図である。
【0044】
検索単位の実現をアナログ回路で行った場合、半導体製造工程のばらつきにより、理想の値の検索単位の実現は困難である。つまり、検索単位の大きさはばらつく。
順次探索およびバイナリ方式二分探索ともに、最小検索単位LSBの検索精度を保つため、各検索単位のアナログばらつきは最小検索単位LSB以下に抑えることが前提となる。
順次探索の場合、端から順番に最小検索単位ごとに検索を行うため、検索の単調性が保たれる利点を持つ。
これに対して、バイナリ方式二分探索の場合、端から順番に検索を行うのではなく、検索範囲をその中央値により二分し、目的値を含まない片側を無視するという方法をとる。
このため、バイナリ方式二分探索では、各検索単位がばらついた場合、探索範囲の中央値を正確に二分することができず、検索できない領域が存在する可能性があり、検索精度に違いがでる。
検索に使用した検索単位側の検索範囲は検索できるが、残り半分の検索範囲を、実際には検索していないことが原因である。
【0045】
以下に、検索単位がばらついた場合の、バイナリ方式二分探索の検索結果・順次探索の検索結果の具体例を示し、説明する。ともにN=4,A=8とし、ばらつきにより最大検索単位が+σ、それ以外の検索単位が−σずれるとする。
【0046】
バイナリ方式二分探索の場合の検索結果を図8に、順次探索の検索結果を図9に示している。
バイナリ方式二分探索の探索結果は、図8に示すように、{20−σ+21−σ+22−σ}となり、順次探索の探索結果は、図9に示すように、23+σとなる。
このとき、ばらつきσは最小検索単位LSB以下であるという前提のため、順次探索では最小検索単位以下の精度での検索が可能であるが、二分探索では最小検索単位以下の精度での検索が不可能なことが分かる。
【0047】
バイナリ方式二分探索ではこのような傾向にありその回避策が必要となる。
回避策として用いられる方法の1つは、各々の検索単位の冗長性の確保である。
図8のような現象を防ぐには各検索単位Xと、それ以下の検索単位の合計値Yを比較しX<Yとすることができれば、検索しない領域をなくすことができるため、最小検索単位の精度での検索が可能となるという考え方である。
図8の例を適用した場合、X=23+σ,Y=22−σ+21−σ+20−σとなりX<Yを満たすことができない。
よって、最小検索単位を固定したまま、検索範囲を固定したまま、X<Yを満たすには各検索単位にスケーリング係数Zをかけ、検索範囲分割数を決めるNを大きくする必要がある。
したがって、バイナリ方式二分探索は、上記設計のため、設計コストが上がる傾向にあり、また、各検索単位にスケーリング係数をかけ、2のべき乗での実現が困難な場合がある。このため、図6のような面積効率を考慮した配置が困難となる場合があり、さらに、検索範囲分割数Nが増えるため、検索時間が伸び、量産時の機能確認等が必要になる。
そこで、本実施形態では、次に説明するサーモメータコード方式二分探索による周波数キャリブレーション方法を採用すると良い。
【0048】
<4.サーモメータコード方式二分探索による周波数キャリブレーション>
次に、サーモメータコード方式二分探索による周波数キャリブレーションについて説明する。
図10は、サーモメータコード方式二分探索の探索過程を模式的に示す図である。
【0049】
上述したように、バイナリ方式二分探索方法では冗長性確保のため、アナログ回路の低コストでの設計や小面積化が困難となる場合がある。
検索精度、検索時間を変えないまま、その点を改良した方法がこのサーモメータコード方式である。
バイナリ方式二分探索での冗長性を持たせる必要がある要因は次の通りである。
バイナリ方式二分探索では、検索単位が検索ごとに変わり、その検索単位で検索範囲を二分するが、アナログ特性のばらつきのため、正確に二分できないため、検索しない領域が発生することであり、順次比較のような線形性を保った検索ができない。
逆に、常に同じ検索単位を用いて検索を行うことができれば、線形性を確保することができ、冗長性を持つ必要はない。
【0050】
面積効率を考えた図6の検索単位の使用方法を、図10に示す検索単位の使用方法に変更することで、線形性を保つことが可能であり、冗長性を回避することが可能である。
図6の場合では各検索単位2N,2N−1,…20を1つにまとめて配置し使用した。
図10ではこれを最小検索単位で分割し、その使用個数を制御することによって2N,2N−1,…20の検索単位を実現する。
その使用個数の制御を以下のように工夫することで検索しない領域の発生を防ぎ線形性を確保する。
二分探索により、検索範囲を二分し、次の検索に進む際、以前に使用した最小検索単位をそのまま用いるようにする。
つまり、二分探索により目的値A>検索値Bとなった場合には、以前使用したものと同じ最小検索単位と残りの領域の半分の最小検索単位を使用し、目的値<検索値となった場合には、以前使用した最小検索単位の半分を使用する制御方法を採用する。
この方法を採用すれば、たとえアナログ特性がばらついたとしても、検索しない領域の発生を防ぎ、線形性を保つことが可能となる。
【0051】
ところで、順次探索やバイナリ方式二分探索の場合は、図6のように検索単位を配置し、2N,2N−1,…20、それぞれの検索単位に制御線を準備すればよく、合計N本の制御線で実現できた。
サーモメータコード方式での実現の場合、各最小検索単位に制御線を準備する必要があり、合計2Nの制御線が必要となる。
【0052】
<5.本実施形態に係るハイブリッド方式の周波数キャリブレーション>
次に、本実施形態に係るハイブリッド方式の周波数キャリブレーションについて、図11および図12に関連付けて説明する。
図11は、本実施形態に係るハイブリッド方式の検索過程を模式的に示す図である。
図12は、本実施形態に係るハイブリッド方式のフローチャートである。
【0053】
本実施形態では、順次探索とバイナリ方式二分探索とサーモメータコード方式二分探索のアルゴリズムの特徴を備えたハイブリッド方式を採用している。
そして、本実施形態に係るハイブリッド方式では、探索過程における最初の過程(ST21、ST22)と最後の過程(ST29〜ST31)にのみ、二分探索を採用し、それ以外の検索過程(ST23〜ST28)を順次探索とする。
【0054】
本実施形態に係る方法では、アナログ回路設計コストを上げる検索単位の冗長性を持たせる必要なく、実現可能な規模に制限のない、検索時間を順次探索よりも約2〜4倍速くなる。
図11に本実施形態のハイブリッド方式での検索過程を具体例としてN=4,A=11として示し、図12にそのフローチャートを示している。
【0055】
最初の一度目の検索に二分探索を用いる。このとき、デジタルアシストキャリブレーション回路30では、シーケンス制御回路39によりスイッチ回路37がオンに制御され、比較回路33の出力は二分探索回路34に供給される。
目的値Aが検索範囲の大きい側、小さい側の片方に絞り、大きい側であれば検索範囲の最大値2Nから検索、小さい側であれば検索範囲の最小値0から検索することで、検索時間を順次探索と比較し最大半分にすることが可能となる。
最小検索単位1、検索範囲を2Nとし、目的値をAとしたとき、2N−1<Aの場合、検索を2Nから降順で目的値Aまで順次探索を行い、2N−1>Aの場合、検索を0から昇順で目的値Aまで順次探索を行う。このとき、デジタルアシストキャリブレーション回路30では、シーケンス制御回路39によりスイッチ回路38がオンに制御され、比較回路33の出力は順次探索回路35に供給される。
この検索の最初に行う二分探索は目的値Aが検索範囲の中央値と離れるほど検索時間の短縮効果が大きくなる。
検索単位1、検索範囲2Nでの順次比較の場合、最大の検索時間は2Nであり、これは検索範囲の中央値と一番離れた条件である。
【0056】
最初に二分探索を行うことで、この最大の条件の時間を半分にすることが可能である。
二分探索のため、半導体アナログ回路での実現の場合、冗長性を持つ必要がある。
しかし、最初の一度目のみで昇順、降順の検索の方向を決めるのみであり、実際には順次探索を行うため、単調性が保たれており、冗長性確保の必要はない。
バイナリ方式二分探索のような回路実現時に冗長性をもつアナログ設計を必要としない利点を持ち、かつ、検索時間の短縮が可能な方法として、本実施形態では探索の最初の過程では二分探索を採用する。
【0057】
また、検索の最後に二分探索を行うことで、最初と最後以外の検索である順次探索においては、検索単位2で検索を行うことが可能となり、検索単位1での順次比較よりも半分の時間で検索が可能となる。
図12の例では、ステップST24,ST25において、検索単位2はC=−2,+2とすることで、ステップ幅を大きくしている。
最後に二分探索を行うことにより、冗長性を保つ必要を検討する必要があるが、最後の一度だけは二分探索にしても冗長性の確保は困難である。
冗長性確保として、各検索単位Xと、それ以下の検索単位の合計値Yを比較しX<Yとすることを条件としていた。ただし、最後の検索に関してはY=0のため、条件を満たすことはそもそも困難であり、最後の検索に求められる条件は最小検索単位を満たすことであり、この条件は順次探索においても必要な条件である。
よって、本実施形態では冗長性確保が必要なく、かつ、検索時間の短縮な方法として、最後の検索に二分探索を行う方法を採用する。
【0058】
上記のように最初と最後に二分探索を行うことで冗長性確保の必要なく検索時間を短縮することが可能となる。
順次探索のみの場合と比較し二分探索を最初と最後の二度行うことで順次探索の検索時間を1/4、二分探索を二度行うことで+2、つまり2N−2+2の検索時間に短縮することが可能となる。
また、冗長性を考える必要が無いため、アナログ設計コストを抑え、また、図6に示した配置が面積効率を考慮した検索単位の配置が可能であり、制御線の本数もNで十分である。
さらに、上記説明では最初と最後に一度のみ二分探索を行うことで、これらの二分探索の回数を任意とすることにより検索時間、回路規模のトレードオフの実現が容易となる。
したがって、本実施形態によれば、アナログ特性を容易な設計で高速なデジタルアシストが可能となる。
【0059】
上述した本実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り、適宜、変更しうることはいうまでもない。
【0060】
また、以上詳細に説明した方法は、上記手順に応じたプログラムとして形成し、CPU等のコンピュータで実行するように構成することも可能である。
また、このようなプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記録媒体、この記録媒体をセットしたコンピュータによりアクセスし上記プログラムを実行するように構成可能である。
【符号の説明】
【0061】
10・・・位相同期装置、20・・・位相同期回路(PLL)、21・・・位相比較器(PFD)、22・・・チャージポンプ(CP)、23・・・ループフィルタ(LP)、電圧制御発振器(VCO)、30・・・デジタルアシストキャリブレーション回路、31・・・周波数カウンタ、32・・・第1の記憶回路、33・・・比較回路、34・・・二分探索回路、35・・・順次探索回路、36・・・第2の記憶回路、37,38・・・スイッチ回路、39・・・シーケンス制御回路、40・・・周波数ゲイン調整回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振出力信号と基準信号との位相比較情報に基づく電圧制御信号に応じた周波数で発振する電圧制御発振器を含む位相同期回路と、
探索範囲においてあらかじめ設定される目的値と検索値とを比較して探索することにより、上記電圧制御発振器の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるための電圧補正機能を有するデジタルアシストキャリブレーション回路と、を有し、
上記デジタルアシストキャリブレーション回路は、
探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と上記目的値との大小関係を確認する順次探索と、
探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、上記目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみ当該半分の検索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、
検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて上記二分探索を行い、残りの過程では上記順次探索処理を行う
位相同期装置。
【請求項2】
上記デジタルアシストキャリブレーション回路は、
最初の過程における上記二分検索では、次に続く順次探索処理における昇順、降順の検索の方向を決定する
請求項1記載の位相同期装置。
【請求項3】
上記デジタルアシストキャリブレーション回路は、
上記順次探索処理において、検索幅である検索単位を変更可能である
請求項1または2記載の位相同期装置。
【請求項4】
上記デジタルアシストキャリブレーション回路は、
最後の過程における上記二分探索では、検索幅である検索単位を最小検索単位とする
請求項1から3のいずれか一に記載の位相同期装置。
【請求項5】
上記デジタルアシストキャリブレーション回路は、
最初の過程と最後の過程の上記二分探索を1または複数回処理可能である
請求項1から4のいずれか一に記載の位相同期装置。
【請求項6】
前記デジタルアシストキャリブレーション回路は、
上記電圧制御発振器の出力周波数をカウントする周波数カウンタと、
上記周波数カウンタのカウント結果と出力周波数である目的値と比較する比較回路と、
上記比較回路の比較結果を受けて、上記二分探索を行う二分探索回路と、
上記順次探索を行う順次探索回路と、
上記比較回路の比較結果を受けて、上記二分探索回路と上記順次探索回路を選択的に使用するタイミングを決定するシーケンス制御回路と、
上記二分探索回路の探索結果と上記順次探索回路の探索結果を上記電圧制御発振器にフィードバックするための発振周波数を変化させる調整信号を上記電圧制御発振器に出力する周波数ゲイン調整回路と、を含む
請求項1から5のいずれか一に記載の位相同期装置。
【請求項7】
発振出力信号と基準信号との位相比較情報に基づく電圧制御信号に応じた周波数で発振する電圧制御発振器を含む位相同期回路に対して、
探索範囲においてあらかじめ設定される目的値と検索値とを比較して探索することにより、上記電圧制御発振器の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるためのデジタルアシストキャリブレーションステップを有し、
上記デジタルアシストキャリブレーションステップにおいて、
探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と上記目的値との大小関係を確認する順次探索と、
探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、上記目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみ当該半分の検索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、
検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて上記二分探索を行い、残りの過程では上記順次探索処理を行う
位相同期回路の周波数キャリブレーション方法。
【請求項8】
最初の過程における上記二分検索では、次に続く順次探索処理における昇順、降順の検索の方向を決定する
請求項7記載の位相同期回路の周波数キャリブレーション方法。
【請求項9】
上記順次探索処理において、検索幅である検索単位を変更可能である
請求項7または8記載の位相同期回路の周波数キャリブレーション方法。
【請求項10】
最後の過程における上記二分探索では、検索幅である検索単位を最小検索単位とする
請求項7から9のいずれか一に記載の位相同期回路の周波数キャリブレーション方法。
【請求項11】
最初の過程と最後の過程の上記二分探索を1または複数回処理可能である
請求項7から10のいずれか一に記載の位相同期回路の周波数キャリブレーション方法。
【請求項12】
発振出力信号と基準信号との位相比較情報に基づく電圧制御信号に応じた周波数で発振する電圧制御発振器を含む位相同期回路に対して、
探索範囲においてあらかじめ設定される目的値と検索値とを比較して探索することにより、上記電圧制御発振器の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるためのデジタルアシストキャリブレーション処理を有し、
上記デジタルアシストキャリブレーション処理において、
探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と上記目的値との大小関係を確認する順次探索と、
探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、上記目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみ当該半分の検索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、
検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて上記二分探索を行い、残りの過程では上記順次探索処理を行う
位相同期回路の周波数キャリブレーション処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項1】
発振出力信号と基準信号との位相比較情報に基づく電圧制御信号に応じた周波数で発振する電圧制御発振器を含む位相同期回路と、
探索範囲においてあらかじめ設定される目的値と検索値とを比較して探索することにより、上記電圧制御発振器の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるための電圧補正機能を有するデジタルアシストキャリブレーション回路と、を有し、
上記デジタルアシストキャリブレーション回路は、
探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と上記目的値との大小関係を確認する順次探索と、
探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、上記目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみ当該半分の検索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、
検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて上記二分探索を行い、残りの過程では上記順次探索処理を行う
位相同期装置。
【請求項2】
上記デジタルアシストキャリブレーション回路は、
最初の過程における上記二分検索では、次に続く順次探索処理における昇順、降順の検索の方向を決定する
請求項1記載の位相同期装置。
【請求項3】
上記デジタルアシストキャリブレーション回路は、
上記順次探索処理において、検索幅である検索単位を変更可能である
請求項1または2記載の位相同期装置。
【請求項4】
上記デジタルアシストキャリブレーション回路は、
最後の過程における上記二分探索では、検索幅である検索単位を最小検索単位とする
請求項1から3のいずれか一に記載の位相同期装置。
【請求項5】
上記デジタルアシストキャリブレーション回路は、
最初の過程と最後の過程の上記二分探索を1または複数回処理可能である
請求項1から4のいずれか一に記載の位相同期装置。
【請求項6】
前記デジタルアシストキャリブレーション回路は、
上記電圧制御発振器の出力周波数をカウントする周波数カウンタと、
上記周波数カウンタのカウント結果と出力周波数である目的値と比較する比較回路と、
上記比較回路の比較結果を受けて、上記二分探索を行う二分探索回路と、
上記順次探索を行う順次探索回路と、
上記比較回路の比較結果を受けて、上記二分探索回路と上記順次探索回路を選択的に使用するタイミングを決定するシーケンス制御回路と、
上記二分探索回路の探索結果と上記順次探索回路の探索結果を上記電圧制御発振器にフィードバックするための発振周波数を変化させる調整信号を上記電圧制御発振器に出力する周波数ゲイン調整回路と、を含む
請求項1から5のいずれか一に記載の位相同期装置。
【請求項7】
発振出力信号と基準信号との位相比較情報に基づく電圧制御信号に応じた周波数で発振する電圧制御発振器を含む位相同期回路に対して、
探索範囲においてあらかじめ設定される目的値と検索値とを比較して探索することにより、上記電圧制御発振器の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるためのデジタルアシストキャリブレーションステップを有し、
上記デジタルアシストキャリブレーションステップにおいて、
探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と上記目的値との大小関係を確認する順次探索と、
探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、上記目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみ当該半分の検索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、
検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて上記二分探索を行い、残りの過程では上記順次探索処理を行う
位相同期回路の周波数キャリブレーション方法。
【請求項8】
最初の過程における上記二分検索では、次に続く順次探索処理における昇順、降順の検索の方向を決定する
請求項7記載の位相同期回路の周波数キャリブレーション方法。
【請求項9】
上記順次探索処理において、検索幅である検索単位を変更可能である
請求項7または8記載の位相同期回路の周波数キャリブレーション方法。
【請求項10】
最後の過程における上記二分探索では、検索幅である検索単位を最小検索単位とする
請求項7から9のいずれか一に記載の位相同期回路の周波数キャリブレーション方法。
【請求項11】
最初の過程と最後の過程の上記二分探索を1または複数回処理可能である
請求項7から10のいずれか一に記載の位相同期回路の周波数キャリブレーション方法。
【請求項12】
発振出力信号と基準信号との位相比較情報に基づく電圧制御信号に応じた周波数で発振する電圧制御発振器を含む位相同期回路に対して、
探索範囲においてあらかじめ設定される目的値と検索値とを比較して探索することにより、上記電圧制御発振器の周波数キャリブレーションを行うに当たり電圧制御発振器に適切なキャリブレーション電圧を与えるためのデジタルアシストキャリブレーション処理を有し、
上記デジタルアシストキャリブレーション処理において、
探索範囲を所定の値から順番に検索値を変更して、検索値と上記目的値との大小関係を確認する順次探索と、
探索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認し、上記目的値が含まれる側の半分の検索範囲に対してのみ当該半分の検索範囲の検索値の中央値と上記目的値との大小関係を確認して、目的値を検索していく二分探索と、を選択的に処理可能で、
検索過程における最初の過程と最後の過程のうち、少なくとも最初の過程と最後の過程のいずれかにおいて上記二分探索を行い、残りの過程では上記順次探索処理を行う
位相同期回路の周波数キャリブレーション処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−209670(P2012−209670A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72319(P2011−72319)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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