位相板の製造方法及び3Dディスプレイパネル
【課題】本発明は以下のステップを含む位相板の製造方法を提供する。
【解決手段】S1、ディスプレイパネルの上偏光板の表面に配向層を塗布する。S2、前記配向層に配向処理を行い、前記配向層が少なくとも二種類の異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにする。S3、配向処理が完了した配向層上に反応性メソゲン(Reactive Mesogens)を塗布し、前記反応性メソゲンを配向させた後硬化させ、位相板を形成する。本発明は他に3Dディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】S1、ディスプレイパネルの上偏光板の表面に配向層を塗布する。S2、前記配向層に配向処理を行い、前記配向層が少なくとも二種類の異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにする。S3、配向処理が完了した配向層上に反応性メソゲン(Reactive Mesogens)を塗布し、前記反応性メソゲンを配向させた後硬化させ、位相板を形成する。本発明は他に3Dディスプレイパネルを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位相板の製造方法及び3Dディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
立体ディスプレイは、ディスプレイの領域における発展方向となっている。立体ディスプレイの基本原理は視差を利用し立体効果を生み出すことにあり、即ち、使用者の左目が左目画像を、右目が右目画像を観察するようにすることである。左目、右目画像は視差のある一組の立体画像である。
【0003】
立体ディスプレイを実現する一つの方法は直列方式であり、即ち第一の時刻においてディスプレイは左目画像を表示し、このとき観察者の左目のみが表示画像を観察できるようにする。第二の時刻においてディスプレイは右目画像を表示し、このとき観察者の右目のみが表示画像を観察できるようにする。画像は目の網膜に一定時間保留されるため、左目、右目が同時に左目、右目画像を観察しているように認識され、これにより立体感が形成される。
【0004】
立体ディスプレイを実現するもう一つの方法は並列方式であり、即ち同一時刻において、ディスプレイ上の一部の画素は左目画像を表示し、別の一部の画素は右目画像を表示する。回折格子、偏光メガネ等の部品により表示された右目画像は右目のみに観察され、かつ表示された左目画像は左目のみに観察されるようにし、これにより立体感が形成される。
【0005】
偏光メガネ式立体ディスプレイは従来の立体ディスプレイ領域における主流技術であり、この技術の基本構成はディスプレイパネルの前に出射光の偏光方向を調節できる部品を設置するものである。この部品は一つの位相板または液晶セル、あるいは他の異なる画素の出射光の偏光方向を調節できる部品であることができる。位相板立体ディスプレイの原理は図1に示すように、上から下へそれぞれ、ディスプレイパネルが表示する画像、位相板、出射画像、及び観察用の偏光メガネとなる。ディスプレイパネルにおいて、一行は右目画像を表示し、次の一行は左目画像を表示する。ディスプレイパネルの前に一つの位相板を設置し、一行はλ/2遅延(λは光の波長)、次の一行は0遅延とする。画素の出射光は位相板を通り、λ/2遅延の部分に対応する画素の出射光の偏光方向が90°回転される。この場合、左目、右目の偏光方向が直交する偏光メガネを着用すれば、右目は右目画素の発する光のみ、左目は左目画素の発する光のみ観察でき、これにより立体効果が形成される。また、一行はλ/4遅延、次の一行は3λ/4遅延とする方案もある。
【0006】
様々な偏光メガネ式立体ディスプレイにおいて、位相板を使用する技術が最も好まれている。その基本構成は、ディスプレイパネル上において精密に位置合わせた後、一つの位相板を貼り付け、位相板上の異なる領域により異なる位相遅延を形成することができることを利用し、これにより異なる画素の光が異なる偏光方向で出射されるようにし、観察者が偏光メガネを着用すれば3D効果を得ることができる。
【0007】
従来では、位相板による3Dディスプレイパネルの製造方法は、まず位相板基板(例えば、ガラスまたは薄膜基材)上に位相板を作成し、そして位相板を両面テープあるいは他の粘着剤によりディスプレイパネルに貼り付けるものである。図2に示すように、その基本構造は位相板基板1上に作成した位相板2が粘着剤3によりディスプレイパネル5の上偏光板4上に貼り付けられたものである。
【0008】
前記位相板の製造工程における問題点は、位相板をディスプレイパネルに対応するように貼り付ける際、精密に対応させるのは難しく、精度が低いため、この方式により製造される3D製品は良品率が低く、クロストークが激しいこと、また一層の粘着剤3と位相板基板1を増やしたため、光の損失につながることにある。また、発光点(ディスプレイ基板上の赤、緑、青の発光点)と位相板の距離を増やしたため、視野角を狭めることになる。これらの問題は位相板式3Dディスプレイの発展の大きな妨げとなっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例は、ディスプレイパネルの上偏光板の表面に配向層を塗布するステップS1と、前記配向層に対して配向処理を行い、前記配向層が少なくとも二種類の異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにするステップS2と、配向処理が完了した配向層上に反応性メソゲン(Reactive Mesogens)を塗布し、前記反応性メソゲンを配向させた後硬化させ、位相板を形成するステップS3と、を含む位相板の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の他の一つの実施例は、ディスプレイパネルと、ディスプレイパネルの上下表面に貼り付けられる上偏光板及び下偏光板、及び前記上偏光板の上を直接覆う位相板を含む3Dディスプレイパネルを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術における位相板により3Dディスプレイを実現する原理を示す図である。
【図2】従来技術における貼り付けの方式により位相板を偏光板に貼り付ける構造を示す図である。
【図3】ディスプレイパネルのセル形成工程と偏光板の貼り付けが完了した後のモデル図であり、(a)は上面図であり、(b)は断面図である。
【図4】図3のモデル上において位相板配向層を形成した後の状態を示す図であり、そのうち配向層はいくつかの垂直のストリップ状領域に分けられ、(a)は上面図であり、(b)はA−Aに沿った断面図である。
【図5】図4のモデルの配向層上を反応性メソゲン(RM)により覆った後の状態を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)はA−Aに沿った断面図である。
【図6】図5における複数のディスプレイを単独のディスプレイパネルに切り出した後の状態を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)はA−Aに沿った断面図である。
【図7】図3のモデル上において位相板配向層を形成した後の状態を示す図であり、そのうち配向層はいくつかの水平のストリップ状領域に分けられ、(a)は上面図であり、(b)はB−Bに沿った断面図である。
【図8】図7のモデルの配向層上を反応性メソゲン(RM)により覆った後の状態を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)はB−Bに沿った断面図である。
【図9】図8における複数のディスプレイを単独のディスプレイパネルに切り出した後の状態を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)はB−Bに沿った断面図である。
【図10】位相板を使用する方式により3Dディスプレイ画像の表示を実現する際の効果を示す図である。
【図11】ディスプレイパネルの上偏光板の表面において位相板を形成した後の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面と実施例に基づき、本発明の具体的な実施方法について更に詳細な説明を行う。以下の実施例は本発明を説明するためのもので、本発明の範囲を限定するものではない。
【0013】
本発明の実施例による位相板の製造方法は以下のステップを含む。
【0014】
ステップS301において、ディスプレイパネルの上偏光板の表面に位相板配向層を塗布する。この配向層の材料は偏光板の上表面の材料と反応せず、かつそれに対し強い粘着力を有するものが好ましい。本発明の各実施例における偏光板(上偏光板と下偏光板を含む)は、光の偏光作用を実現できる全ての光学部品のことであり、従来の偏光板を含むがこれに限らない。
【0015】
ステップS302において、前記配向層に対して配向処理を行い、配向層が少なくとも二種類の異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにする。具体的な配向処理の方法は、配向層上にマスクを設置し、紫外線照射を使用し配向処理を行い、露光後の配向層が異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにするものである。もちろん、具体的な配向処理の方法は前記紫外線照射を使用する方法以外、本領域において多用される他の方法であっても良い。本実施例において、例えば、配向層が二種類の異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにすることができる。具体的な配向処理の方法は、配向層上にマスクを設置し、紫外線照射を使用し配向処理を行い、露光後の配向層が異なる二種類の配向方向である複数の領域に分かれるようにするものである。例えば、二種類の配向方向の間の角度は45°〜135°とすることができ、90°であることが好ましい。さらに、一つの配向方向は上偏光板の出射光の偏光方向と平行で、もう一つの配向方向は上偏光板の出射光の偏光方向と垂直である。前記配向方向の間の角度は90°であることが好ましいのは、従来における偏光メガネの異なるレンズの偏光方向の間の角度は90°であることを前提とした好ましい設計方案である。本実施例において、ディスプレイパネルの上偏光板、位相板、偏光メガネの三者の偏光方向が合わせば3Dディスプレイ効果を実現できることは、当業者が理解すべきである。偏光メガネの偏光方向の間の角度が90°でない場合(例えば60°でも良い)、配向方向の間の好ましい角度も90°ではない(例えば60°であるのも可能)。
【0016】
配向層において、この二種類の異なる配向方向である領域は、配向方向が異なる任意の二つの領域に分かれることができ、例えば、上偏光板上に所定の配向の角度が存在するいくつかのストリップ状領域を形成し、かつ隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なる。ストリップ状領域は水平方向、垂直方向あるいは他の任意の方向に沿って延びるようにすることができる。製造の便宜上、本実施例において配向層はいくつかの垂直のストリップ状領域に分けられ、かつ隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なる。例えば、二種類の異なる配向方向である二種類の領域は順次交互に配列することができる。図3、4に示すように、図3における(a)、(b)はディスプレイパネルのセル形成工程及び偏光板の貼り付けが完了した後の状態を図示する。通常、パネル(Panel)を製造する際、一つの大きなガラス板(マザーボード)上において複数のパネルを製造するため、四つのパネルを製造する場合の状態を図面に示す。もちろん、本技術手段は一つのみのパネルに対しても実現できる。本実施例におけるディスプレイパネルは液晶パネル(LCD)である以外、有機エレクトロルミネッセンスパネル(EL)及びプラズマディスプレイパネル(PDP)等他のディスプレイパネルであっても良い。図4における(a)、(b)は上偏光板4において塗布及び配向を行った後の配向層21を図示し、この配向層21はいくつかの垂直のストリップ状領域に分けられ、隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なる。即ち、配向方向が異なる領域は交互に配列する。表示の効果を確保するため、それぞれ一列のサブピクセル上は一種類のみのストリップ状領域(即ち、一種類の配向方向である領域)で覆い、それぞれのストリップ状領域は一列のサブピクセルの一部または全部、あるいは一列以上のサブピクセルを覆うようにしても良い。より優れた表示効果を得るため、それぞれのストリップ状領域は少なくとも一列のサブピクセルを覆うことが好ましい。
【0017】
S303において、配向処理が完了した配向層上に反応性メソゲン(Reactive Mesogens、略称RM)を塗布し、このRMを配向した後硬化させ、位相板を形成する。本実施例において、RMは液晶ポリマーである。図5における(a)、(b)に示すように、RM22は配向層21の上を覆う。RM22は硬化する前、配向層21の配向方向の影響を受けるため、RM22が硬化した後の配向方向はその真下の配向層21の配向方向と一致する。つまり、硬化した後のRMも配向方向が異なる領域が交互に配列する状態に形成され、これにより位相板2を形成する。図6は一つのパネルを切り出した後の状態を示す。位相板基板による保護が得られず、切り出す工程あるいは運搬の過程において位相板を傷めることを防ぐため、ステップS303の後に位相板の表面に保護膜を一層貼り付けるステップを含むようにしても良い。
[実施例2]
【0018】
図7、8、9に示すように、本実施例における実施例2と異なる点は、ステップS302において配向層に対して配向処理を行った後、配向層はいくつかの水平のストリップ状領域に分けられ、かつ隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なることである。つまり、配向方向が異なるストリップ状領域は垂直方向において交互に配列する。表示の効果を確保するため、それぞれ一行のサブピクセル上は一種類のみのストリップ状領域(即ち、一種類の配向方向である領域)で覆い、それぞれのストリップ状領域は一行のサブピクセルの一部または全部、あるいは一行以上のサブピクセルを覆うようにしても良い。それぞれのストリップ状領域は丁度、一行のサブピクセルを覆うことが好ましい。
【0019】
位相板に水平のストリップ状領域を用いる場合の表示効果は垂直のストリップ状領域を用いる場合より優れる。図13に示すように、一つの画素のみを例に使用者の観察効果を説明する。図に示すように、一つの画素の前にはいくつかのストリップ状領域が存在し、この画素は左目画像の内容を提供するものとすると、この画素が左斜め線に沿って発する光は左目の偏光レンズにより選択されるが、右斜め線に沿って発する光はクロストークを引き起こす。図面からわかるように、配向が異なる領域が水平ストリップ状である場合、OK領域とクロストーク領域は垂直方向において交互に出現し、配向が異なる領域が垂直ストリップ状である場合、OK領域とクロストーク領域は水平方向において交互に出現する。人の両目は水平に分布しており、また上下移動するのは比較的少なく、左右移動するのは比較的多い。よって、位相板に垂直ストリップ状領域を用いる場合、OK領域とクロストーク領域は水平方向において交互に出現し、左目はOK領域に位置するが、右目はクロストーク領域に位置する、あるいは少し移動しただけでクロストーク領域に入る可能性が発生し、観賞に影響を及ぼす。位相板に水平ストリップ状領域を用いる場合、OK領域とクロストーク領域は垂直方向において交互に出現する。この場合、同じ位置に座っていれば、両目は常にOK領域に位置する。
【0020】
位相板に水平のストリップ状領域を用いる場合の表示効果は垂直のストリップ状領域を用いる場合より優れる。図10に示すように、一つの画素のみを例に使用者の観察効果を説明する。図に示すように、一つの画素の前にはいくつかのストリップ状領域が存在し、この画素は左目画像の内容を提供するものとすると、この画素が左斜め線に沿って発する光は左目の偏光レンズにより選択されるが、右斜め線に沿って発する光はクロストークを引き起こす。図面からわかるように、配向が異なる領域が水平ストリップ状である場合、OK領域とクロストーク領域は垂直方向において交互に出現し、配向が異なる領域が垂直ストリップ状である場合、OK領域とクロストーク領域は水平方向において交互に出現する。人の両目は水平に分布しており、また上下移動するのは比較的少なく、左右移動するのは比較的多い。よって、位相板に垂直ストリップ状領域を用いる場合、OK領域とクロストーク領域は水平方向において交互に出現し、左目はOK領域に位置するが、右目はクロストーク領域に位置する、あるいは少し移動しただけでクロストーク領域に入る可能性が発生し、観賞に影響を及ぼす。位相板に水平ストリップ状領域を用いる場合、OK領域とクロストーク領域は垂直方向において交互に出現する。この場合、同じ位置に座っていれば、両目はOK領域に始終位置する。
【0021】
実際、とくに携帯端末製品において、パネルが回転した場合、画面も従って回転することが良くあり、回転後の位相板のストリップ状領域は水平から垂直、あるいは垂直から水平に変わる可能性がある。このため、実施例2と3において実現した3Dディスプレイ効果は相互に切り替えことができる。
[実施例3]
【0022】
本実施例において、3Dディスプレイを提供する。図11に示すように、この3Dディスプレイパネルは、ディスプレイパネル5と、ディスプレイパネル5の上下表面に貼り付けられる上偏光板4と下偏光板4’と、及び上偏光板4の上を直接覆う位相板2とを含む。本実施例において、位相板が上偏光板の上を直接覆うのは、上偏光板の上に位相板を形成することを指し、位相板と偏光板を一体的に形成しても良く、引き続く工程により従来の偏光板上において位相板を形成しても良い。さらに、位相板2の表面に一層の保護膜を貼り付けても良い。ディスプレイパネル5は液晶パネル(LCD)である以外、有機エレクトロルミネッセンスパネル(EL)及びプラズマディスプレイパネル(PDP)等他のディスプレイパネルであっても良い。
【0023】
本実施例における位相板2は上偏光板4に直接接触する配向層を含む。この配向層は少なくとも二種類の異なる配向方向である複数の領域に分けられる。配向層の表面は一層の反応性メソゲン(Reactive Mesogens、略称RM)に覆われていても良く、この反応性メソゲンは複屈折性を備え、配向と硬化を行うことができる。前記RMは液晶ポリマーであることが好ましい。硬化後の反応性メソゲンの配向方向はその真下に位置する配向層領域の配向方向と同じであるため、配向層の異なる領域に対応するように、硬化後の反応性メソゲンも配向方向の異なる複数の領域を形成する。具体的に、配向層はいくつかのストリップ状領域に分けられ、かつ隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なる。前記いくつかのストリップ状領域は水平方向、垂直方向あるいは他の任意の方向に沿って延びるようにすることができ、水平方向に延びるのが好ましい。
【0024】
表示の効果を確保するため、それぞれ一列(一行)のサブピクセル上は同じ種類の配向方向のストリップ状領域(即ち、一種類の配向方向である領域)のみで覆い、それぞれのストリップ状領域は一列(一行)のサブピクセルの一部または全部、あるいは一列(一行)以上のサブピクセルを覆うようにしても良い。より優れた表示効果を得るため、それぞれのストリップ状領域は少なくとも一列(一行)のサブピクセルを覆うことが好ましい。
【0025】
配向方向が異なる複数の領域は、二種類の異なる配向方向を含む領域であることが好ましい。配向層の領域が二種類の異なる配向方向を含む場合、二種類の異なる配向方向の間の角度は45°〜135°とすることができ、90°であることが好ましい。さらに、一つの配向方向は上偏光板の出射光の方向と平行で、もう一つの配向方向は上偏光板の出射光の方向と垂直である。前記配向方向の間の角度は90°であることが好ましいのは、現在における偏光メガネの二つのレンズの偏光方向の間の角度は90°であることを前提とした好ましい設計方案である。本領域の技術者が理解すべきことに、本実施例において、ディスプレイパネルの上偏光板、位相板、偏光メガネの三者の偏光方向が合わせば3Dディスプレイ効果を実現できる。偏光メガネの二つのレンズの偏光方向の間の角度が90°でない場合(例えば60°でも良い)、配向方向の間の好ましい角度も90°ではない(例えば60°であるのも可能)。
【0026】
本実施例において3Dディスプレイの上偏光板上を覆う位相板は、前記実施例1あるいは実施例2の方法により形成される位相板であることができる。
【0027】
本発明の実施例は上偏光板上において直接位相板を形成し、位相板をディスプレイパネル上に貼り付ける工程を必要とせず、露光の方法を使用し配向層の配向を行い、貼り付けの工程における機械を使用し位置を合わせる方式に比べ精度が高く、位相板とディスプレイパネルの対応精度及び製品の良品率を高めることができる。また、位相板基板と粘着剤の使用を減らし、コストを抑えるとともに、透過光の損失を減らし、可視角度を増やすことができる。
【0028】
本実施例は他に、前記3Dディスプレイパネルを含む3Dディスプレイ機器を提供する。この3Dディスプレイ機器はテレビ、ノートパソコン、携帯電話、PSP等の電子機器であることができる。もちろん、より一般的な視点からすれば、前記3Dディスプレイパネル自身も3Dディスプレイ機器に属する。
【0029】
本実施例の3Dディスプレイ機器(前記3Dディスプレイパネルを含む)には、製造コストが低く、表示効果に優れる利点がある。
【0030】
以上、本発明の実施例は例示的なものでしかない。例えば、前記位相板は配向層と配向層の上の反応性メソゲンを含む。実際、配向層自体により位相板の機能が実現可能であり、このため本発明の実施例による位相板は配向層のみを含み、反応性メソゲン層は含まないようであっても良い。
【0031】
以上の実現方法は本発明を説明するためのみのものであり、これを制限するものではなく、本技術分野の一般技術者は、本発明における趣旨と範囲を逸脱しないうえで変更や同等変換を加えられるため、同等な発明は全て、本発明の保護範囲に含まれるべきであり、本発明の特許保護範囲は特許請求により限定すべきである。
【符号の説明】
【0032】
1 位相板基板
2 位相板
3 粘着剤
4 上偏光板
4’ 下偏光板
5 ディスプレイパネル
21 配向層
22 RM
【技術分野】
【0001】
本発明は位相板の製造方法及び3Dディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
立体ディスプレイは、ディスプレイの領域における発展方向となっている。立体ディスプレイの基本原理は視差を利用し立体効果を生み出すことにあり、即ち、使用者の左目が左目画像を、右目が右目画像を観察するようにすることである。左目、右目画像は視差のある一組の立体画像である。
【0003】
立体ディスプレイを実現する一つの方法は直列方式であり、即ち第一の時刻においてディスプレイは左目画像を表示し、このとき観察者の左目のみが表示画像を観察できるようにする。第二の時刻においてディスプレイは右目画像を表示し、このとき観察者の右目のみが表示画像を観察できるようにする。画像は目の網膜に一定時間保留されるため、左目、右目が同時に左目、右目画像を観察しているように認識され、これにより立体感が形成される。
【0004】
立体ディスプレイを実現するもう一つの方法は並列方式であり、即ち同一時刻において、ディスプレイ上の一部の画素は左目画像を表示し、別の一部の画素は右目画像を表示する。回折格子、偏光メガネ等の部品により表示された右目画像は右目のみに観察され、かつ表示された左目画像は左目のみに観察されるようにし、これにより立体感が形成される。
【0005】
偏光メガネ式立体ディスプレイは従来の立体ディスプレイ領域における主流技術であり、この技術の基本構成はディスプレイパネルの前に出射光の偏光方向を調節できる部品を設置するものである。この部品は一つの位相板または液晶セル、あるいは他の異なる画素の出射光の偏光方向を調節できる部品であることができる。位相板立体ディスプレイの原理は図1に示すように、上から下へそれぞれ、ディスプレイパネルが表示する画像、位相板、出射画像、及び観察用の偏光メガネとなる。ディスプレイパネルにおいて、一行は右目画像を表示し、次の一行は左目画像を表示する。ディスプレイパネルの前に一つの位相板を設置し、一行はλ/2遅延(λは光の波長)、次の一行は0遅延とする。画素の出射光は位相板を通り、λ/2遅延の部分に対応する画素の出射光の偏光方向が90°回転される。この場合、左目、右目の偏光方向が直交する偏光メガネを着用すれば、右目は右目画素の発する光のみ、左目は左目画素の発する光のみ観察でき、これにより立体効果が形成される。また、一行はλ/4遅延、次の一行は3λ/4遅延とする方案もある。
【0006】
様々な偏光メガネ式立体ディスプレイにおいて、位相板を使用する技術が最も好まれている。その基本構成は、ディスプレイパネル上において精密に位置合わせた後、一つの位相板を貼り付け、位相板上の異なる領域により異なる位相遅延を形成することができることを利用し、これにより異なる画素の光が異なる偏光方向で出射されるようにし、観察者が偏光メガネを着用すれば3D効果を得ることができる。
【0007】
従来では、位相板による3Dディスプレイパネルの製造方法は、まず位相板基板(例えば、ガラスまたは薄膜基材)上に位相板を作成し、そして位相板を両面テープあるいは他の粘着剤によりディスプレイパネルに貼り付けるものである。図2に示すように、その基本構造は位相板基板1上に作成した位相板2が粘着剤3によりディスプレイパネル5の上偏光板4上に貼り付けられたものである。
【0008】
前記位相板の製造工程における問題点は、位相板をディスプレイパネルに対応するように貼り付ける際、精密に対応させるのは難しく、精度が低いため、この方式により製造される3D製品は良品率が低く、クロストークが激しいこと、また一層の粘着剤3と位相板基板1を増やしたため、光の損失につながることにある。また、発光点(ディスプレイ基板上の赤、緑、青の発光点)と位相板の距離を増やしたため、視野角を狭めることになる。これらの問題は位相板式3Dディスプレイの発展の大きな妨げとなっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例は、ディスプレイパネルの上偏光板の表面に配向層を塗布するステップS1と、前記配向層に対して配向処理を行い、前記配向層が少なくとも二種類の異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにするステップS2と、配向処理が完了した配向層上に反応性メソゲン(Reactive Mesogens)を塗布し、前記反応性メソゲンを配向させた後硬化させ、位相板を形成するステップS3と、を含む位相板の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の他の一つの実施例は、ディスプレイパネルと、ディスプレイパネルの上下表面に貼り付けられる上偏光板及び下偏光板、及び前記上偏光板の上を直接覆う位相板を含む3Dディスプレイパネルを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術における位相板により3Dディスプレイを実現する原理を示す図である。
【図2】従来技術における貼り付けの方式により位相板を偏光板に貼り付ける構造を示す図である。
【図3】ディスプレイパネルのセル形成工程と偏光板の貼り付けが完了した後のモデル図であり、(a)は上面図であり、(b)は断面図である。
【図4】図3のモデル上において位相板配向層を形成した後の状態を示す図であり、そのうち配向層はいくつかの垂直のストリップ状領域に分けられ、(a)は上面図であり、(b)はA−Aに沿った断面図である。
【図5】図4のモデルの配向層上を反応性メソゲン(RM)により覆った後の状態を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)はA−Aに沿った断面図である。
【図6】図5における複数のディスプレイを単独のディスプレイパネルに切り出した後の状態を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)はA−Aに沿った断面図である。
【図7】図3のモデル上において位相板配向層を形成した後の状態を示す図であり、そのうち配向層はいくつかの水平のストリップ状領域に分けられ、(a)は上面図であり、(b)はB−Bに沿った断面図である。
【図8】図7のモデルの配向層上を反応性メソゲン(RM)により覆った後の状態を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)はB−Bに沿った断面図である。
【図9】図8における複数のディスプレイを単独のディスプレイパネルに切り出した後の状態を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)はB−Bに沿った断面図である。
【図10】位相板を使用する方式により3Dディスプレイ画像の表示を実現する際の効果を示す図である。
【図11】ディスプレイパネルの上偏光板の表面において位相板を形成した後の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面と実施例に基づき、本発明の具体的な実施方法について更に詳細な説明を行う。以下の実施例は本発明を説明するためのもので、本発明の範囲を限定するものではない。
【0013】
本発明の実施例による位相板の製造方法は以下のステップを含む。
【0014】
ステップS301において、ディスプレイパネルの上偏光板の表面に位相板配向層を塗布する。この配向層の材料は偏光板の上表面の材料と反応せず、かつそれに対し強い粘着力を有するものが好ましい。本発明の各実施例における偏光板(上偏光板と下偏光板を含む)は、光の偏光作用を実現できる全ての光学部品のことであり、従来の偏光板を含むがこれに限らない。
【0015】
ステップS302において、前記配向層に対して配向処理を行い、配向層が少なくとも二種類の異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにする。具体的な配向処理の方法は、配向層上にマスクを設置し、紫外線照射を使用し配向処理を行い、露光後の配向層が異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにするものである。もちろん、具体的な配向処理の方法は前記紫外線照射を使用する方法以外、本領域において多用される他の方法であっても良い。本実施例において、例えば、配向層が二種類の異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにすることができる。具体的な配向処理の方法は、配向層上にマスクを設置し、紫外線照射を使用し配向処理を行い、露光後の配向層が異なる二種類の配向方向である複数の領域に分かれるようにするものである。例えば、二種類の配向方向の間の角度は45°〜135°とすることができ、90°であることが好ましい。さらに、一つの配向方向は上偏光板の出射光の偏光方向と平行で、もう一つの配向方向は上偏光板の出射光の偏光方向と垂直である。前記配向方向の間の角度は90°であることが好ましいのは、従来における偏光メガネの異なるレンズの偏光方向の間の角度は90°であることを前提とした好ましい設計方案である。本実施例において、ディスプレイパネルの上偏光板、位相板、偏光メガネの三者の偏光方向が合わせば3Dディスプレイ効果を実現できることは、当業者が理解すべきである。偏光メガネの偏光方向の間の角度が90°でない場合(例えば60°でも良い)、配向方向の間の好ましい角度も90°ではない(例えば60°であるのも可能)。
【0016】
配向層において、この二種類の異なる配向方向である領域は、配向方向が異なる任意の二つの領域に分かれることができ、例えば、上偏光板上に所定の配向の角度が存在するいくつかのストリップ状領域を形成し、かつ隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なる。ストリップ状領域は水平方向、垂直方向あるいは他の任意の方向に沿って延びるようにすることができる。製造の便宜上、本実施例において配向層はいくつかの垂直のストリップ状領域に分けられ、かつ隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なる。例えば、二種類の異なる配向方向である二種類の領域は順次交互に配列することができる。図3、4に示すように、図3における(a)、(b)はディスプレイパネルのセル形成工程及び偏光板の貼り付けが完了した後の状態を図示する。通常、パネル(Panel)を製造する際、一つの大きなガラス板(マザーボード)上において複数のパネルを製造するため、四つのパネルを製造する場合の状態を図面に示す。もちろん、本技術手段は一つのみのパネルに対しても実現できる。本実施例におけるディスプレイパネルは液晶パネル(LCD)である以外、有機エレクトロルミネッセンスパネル(EL)及びプラズマディスプレイパネル(PDP)等他のディスプレイパネルであっても良い。図4における(a)、(b)は上偏光板4において塗布及び配向を行った後の配向層21を図示し、この配向層21はいくつかの垂直のストリップ状領域に分けられ、隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なる。即ち、配向方向が異なる領域は交互に配列する。表示の効果を確保するため、それぞれ一列のサブピクセル上は一種類のみのストリップ状領域(即ち、一種類の配向方向である領域)で覆い、それぞれのストリップ状領域は一列のサブピクセルの一部または全部、あるいは一列以上のサブピクセルを覆うようにしても良い。より優れた表示効果を得るため、それぞれのストリップ状領域は少なくとも一列のサブピクセルを覆うことが好ましい。
【0017】
S303において、配向処理が完了した配向層上に反応性メソゲン(Reactive Mesogens、略称RM)を塗布し、このRMを配向した後硬化させ、位相板を形成する。本実施例において、RMは液晶ポリマーである。図5における(a)、(b)に示すように、RM22は配向層21の上を覆う。RM22は硬化する前、配向層21の配向方向の影響を受けるため、RM22が硬化した後の配向方向はその真下の配向層21の配向方向と一致する。つまり、硬化した後のRMも配向方向が異なる領域が交互に配列する状態に形成され、これにより位相板2を形成する。図6は一つのパネルを切り出した後の状態を示す。位相板基板による保護が得られず、切り出す工程あるいは運搬の過程において位相板を傷めることを防ぐため、ステップS303の後に位相板の表面に保護膜を一層貼り付けるステップを含むようにしても良い。
[実施例2]
【0018】
図7、8、9に示すように、本実施例における実施例2と異なる点は、ステップS302において配向層に対して配向処理を行った後、配向層はいくつかの水平のストリップ状領域に分けられ、かつ隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なることである。つまり、配向方向が異なるストリップ状領域は垂直方向において交互に配列する。表示の効果を確保するため、それぞれ一行のサブピクセル上は一種類のみのストリップ状領域(即ち、一種類の配向方向である領域)で覆い、それぞれのストリップ状領域は一行のサブピクセルの一部または全部、あるいは一行以上のサブピクセルを覆うようにしても良い。それぞれのストリップ状領域は丁度、一行のサブピクセルを覆うことが好ましい。
【0019】
位相板に水平のストリップ状領域を用いる場合の表示効果は垂直のストリップ状領域を用いる場合より優れる。図13に示すように、一つの画素のみを例に使用者の観察効果を説明する。図に示すように、一つの画素の前にはいくつかのストリップ状領域が存在し、この画素は左目画像の内容を提供するものとすると、この画素が左斜め線に沿って発する光は左目の偏光レンズにより選択されるが、右斜め線に沿って発する光はクロストークを引き起こす。図面からわかるように、配向が異なる領域が水平ストリップ状である場合、OK領域とクロストーク領域は垂直方向において交互に出現し、配向が異なる領域が垂直ストリップ状である場合、OK領域とクロストーク領域は水平方向において交互に出現する。人の両目は水平に分布しており、また上下移動するのは比較的少なく、左右移動するのは比較的多い。よって、位相板に垂直ストリップ状領域を用いる場合、OK領域とクロストーク領域は水平方向において交互に出現し、左目はOK領域に位置するが、右目はクロストーク領域に位置する、あるいは少し移動しただけでクロストーク領域に入る可能性が発生し、観賞に影響を及ぼす。位相板に水平ストリップ状領域を用いる場合、OK領域とクロストーク領域は垂直方向において交互に出現する。この場合、同じ位置に座っていれば、両目は常にOK領域に位置する。
【0020】
位相板に水平のストリップ状領域を用いる場合の表示効果は垂直のストリップ状領域を用いる場合より優れる。図10に示すように、一つの画素のみを例に使用者の観察効果を説明する。図に示すように、一つの画素の前にはいくつかのストリップ状領域が存在し、この画素は左目画像の内容を提供するものとすると、この画素が左斜め線に沿って発する光は左目の偏光レンズにより選択されるが、右斜め線に沿って発する光はクロストークを引き起こす。図面からわかるように、配向が異なる領域が水平ストリップ状である場合、OK領域とクロストーク領域は垂直方向において交互に出現し、配向が異なる領域が垂直ストリップ状である場合、OK領域とクロストーク領域は水平方向において交互に出現する。人の両目は水平に分布しており、また上下移動するのは比較的少なく、左右移動するのは比較的多い。よって、位相板に垂直ストリップ状領域を用いる場合、OK領域とクロストーク領域は水平方向において交互に出現し、左目はOK領域に位置するが、右目はクロストーク領域に位置する、あるいは少し移動しただけでクロストーク領域に入る可能性が発生し、観賞に影響を及ぼす。位相板に水平ストリップ状領域を用いる場合、OK領域とクロストーク領域は垂直方向において交互に出現する。この場合、同じ位置に座っていれば、両目はOK領域に始終位置する。
【0021】
実際、とくに携帯端末製品において、パネルが回転した場合、画面も従って回転することが良くあり、回転後の位相板のストリップ状領域は水平から垂直、あるいは垂直から水平に変わる可能性がある。このため、実施例2と3において実現した3Dディスプレイ効果は相互に切り替えことができる。
[実施例3]
【0022】
本実施例において、3Dディスプレイを提供する。図11に示すように、この3Dディスプレイパネルは、ディスプレイパネル5と、ディスプレイパネル5の上下表面に貼り付けられる上偏光板4と下偏光板4’と、及び上偏光板4の上を直接覆う位相板2とを含む。本実施例において、位相板が上偏光板の上を直接覆うのは、上偏光板の上に位相板を形成することを指し、位相板と偏光板を一体的に形成しても良く、引き続く工程により従来の偏光板上において位相板を形成しても良い。さらに、位相板2の表面に一層の保護膜を貼り付けても良い。ディスプレイパネル5は液晶パネル(LCD)である以外、有機エレクトロルミネッセンスパネル(EL)及びプラズマディスプレイパネル(PDP)等他のディスプレイパネルであっても良い。
【0023】
本実施例における位相板2は上偏光板4に直接接触する配向層を含む。この配向層は少なくとも二種類の異なる配向方向である複数の領域に分けられる。配向層の表面は一層の反応性メソゲン(Reactive Mesogens、略称RM)に覆われていても良く、この反応性メソゲンは複屈折性を備え、配向と硬化を行うことができる。前記RMは液晶ポリマーであることが好ましい。硬化後の反応性メソゲンの配向方向はその真下に位置する配向層領域の配向方向と同じであるため、配向層の異なる領域に対応するように、硬化後の反応性メソゲンも配向方向の異なる複数の領域を形成する。具体的に、配向層はいくつかのストリップ状領域に分けられ、かつ隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なる。前記いくつかのストリップ状領域は水平方向、垂直方向あるいは他の任意の方向に沿って延びるようにすることができ、水平方向に延びるのが好ましい。
【0024】
表示の効果を確保するため、それぞれ一列(一行)のサブピクセル上は同じ種類の配向方向のストリップ状領域(即ち、一種類の配向方向である領域)のみで覆い、それぞれのストリップ状領域は一列(一行)のサブピクセルの一部または全部、あるいは一列(一行)以上のサブピクセルを覆うようにしても良い。より優れた表示効果を得るため、それぞれのストリップ状領域は少なくとも一列(一行)のサブピクセルを覆うことが好ましい。
【0025】
配向方向が異なる複数の領域は、二種類の異なる配向方向を含む領域であることが好ましい。配向層の領域が二種類の異なる配向方向を含む場合、二種類の異なる配向方向の間の角度は45°〜135°とすることができ、90°であることが好ましい。さらに、一つの配向方向は上偏光板の出射光の方向と平行で、もう一つの配向方向は上偏光板の出射光の方向と垂直である。前記配向方向の間の角度は90°であることが好ましいのは、現在における偏光メガネの二つのレンズの偏光方向の間の角度は90°であることを前提とした好ましい設計方案である。本領域の技術者が理解すべきことに、本実施例において、ディスプレイパネルの上偏光板、位相板、偏光メガネの三者の偏光方向が合わせば3Dディスプレイ効果を実現できる。偏光メガネの二つのレンズの偏光方向の間の角度が90°でない場合(例えば60°でも良い)、配向方向の間の好ましい角度も90°ではない(例えば60°であるのも可能)。
【0026】
本実施例において3Dディスプレイの上偏光板上を覆う位相板は、前記実施例1あるいは実施例2の方法により形成される位相板であることができる。
【0027】
本発明の実施例は上偏光板上において直接位相板を形成し、位相板をディスプレイパネル上に貼り付ける工程を必要とせず、露光の方法を使用し配向層の配向を行い、貼り付けの工程における機械を使用し位置を合わせる方式に比べ精度が高く、位相板とディスプレイパネルの対応精度及び製品の良品率を高めることができる。また、位相板基板と粘着剤の使用を減らし、コストを抑えるとともに、透過光の損失を減らし、可視角度を増やすことができる。
【0028】
本実施例は他に、前記3Dディスプレイパネルを含む3Dディスプレイ機器を提供する。この3Dディスプレイ機器はテレビ、ノートパソコン、携帯電話、PSP等の電子機器であることができる。もちろん、より一般的な視点からすれば、前記3Dディスプレイパネル自身も3Dディスプレイ機器に属する。
【0029】
本実施例の3Dディスプレイ機器(前記3Dディスプレイパネルを含む)には、製造コストが低く、表示効果に優れる利点がある。
【0030】
以上、本発明の実施例は例示的なものでしかない。例えば、前記位相板は配向層と配向層の上の反応性メソゲンを含む。実際、配向層自体により位相板の機能が実現可能であり、このため本発明の実施例による位相板は配向層のみを含み、反応性メソゲン層は含まないようであっても良い。
【0031】
以上の実現方法は本発明を説明するためのみのものであり、これを制限するものではなく、本技術分野の一般技術者は、本発明における趣旨と範囲を逸脱しないうえで変更や同等変換を加えられるため、同等な発明は全て、本発明の保護範囲に含まれるべきであり、本発明の特許保護範囲は特許請求により限定すべきである。
【符号の説明】
【0032】
1 位相板基板
2 位相板
3 粘着剤
4 上偏光板
4’ 下偏光板
5 ディスプレイパネル
21 配向層
22 RM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルの上偏光板の表面に配向層を塗布するステップS1と、
前記配向層に対して配向処理を行い、前記配向層が少なくとも二種類の異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにするステップS2と、
配向処理が完了した配向層上に反応性メソゲン(Reactive Mesogens)を塗布し、前記反応性メソゲンを配向させた後硬化させ、位相板を形成するステップS3と、
を含む位相板製造方法。
【請求項2】
前記ステップS2は、前記配向層に対して配向処理を行い、前記配向層が二種類の異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにするステップであることを特徴とする請求項1記載の位相板製造方法。
【請求項3】
前記二種類の異なる配向方向の間の角度は45°〜135°であることを特徴とする請求項2記載の位相板製造方法。
【請求項4】
前記二種類の異なる配向方向のうち、一つの配向方向は前記上偏光板の出射光の偏光方向と平行し、もう一つの配向方向は前記上偏光板の出射光の偏光方向と垂直することを特徴とする請求項3記載の位相板製造方法。
【請求項5】
前記ステップS2において配向層に対して配向処理を行った後、配向層はいくつかの垂直あるいは水平のストリップ状領域に分けられ、かつ隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の位相板製造方法。
【請求項6】
前記ステップS2において、前記配向層上にマスクを設置し、紫外線照射を使用し前記配向処理を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の位相板製造方法。
【請求項7】
前記反応性メソゲンは複屈折性を備え、配向と硬化を行うことができる物質であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の位相板製造方法。
【請求項8】
前記反応性メソゲンは液晶ポリマーであることを特徴とする請求項7記載の位相板製造方法。
【請求項9】
ディスプレイパネルと、
ディスプレイパネルの上下表面に貼り付けられる上偏光板と下偏光板と、
前記上偏光板の上を直接覆う位相板とを含む3Dディスプレイパネル。
【請求項10】
前記位相板は前記上偏光板に直接接触する配向層を含み、前記配向層は少なくとも二種類の異なる配向方向である複数の領域に分けられることを特徴とする請求項9記載の3Dディスプレイパネル。
【請求項11】
前記配向層は二種類の異なる配向方向である複数の領域に分けられることを特徴とする請求項10記載の3Dディスプレイパネル。
【請求項12】
前記二種類の異なる配向方向の間の角度は45°〜135°であることを特徴とする請求項11記載の3Dディスプレイパネル。
【請求項13】
前記二種類の異なる配向方向のうち、一つの配向方向は前記上偏光板の出射光の偏光方向と平行し、もう一つの配向方向は前記上偏光板の出射光の偏光方向と垂直することを特徴とする請求項12記載の3Dディスプレイパネル。
【請求項14】
前記配向層は複数の垂直あるいは水平のストリップ状領域に分けられ、かつ隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なることを特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載の3Dディスプレイパネル。
【請求項15】
前記位相板は他に、前記配向層表面に設置される一層の反応性メソゲン(Reactive Mesogens)を含み、前記反応性メソゲンは複屈折性を備え、配向と硬化を行うことができる物質であることを特徴とする請求項9から14のいずれか1項に記載の3Dディスプレイパネル。
【請求項1】
ディスプレイパネルの上偏光板の表面に配向層を塗布するステップS1と、
前記配向層に対して配向処理を行い、前記配向層が少なくとも二種類の異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにするステップS2と、
配向処理が完了した配向層上に反応性メソゲン(Reactive Mesogens)を塗布し、前記反応性メソゲンを配向させた後硬化させ、位相板を形成するステップS3と、
を含む位相板製造方法。
【請求項2】
前記ステップS2は、前記配向層に対して配向処理を行い、前記配向層が二種類の異なる配向方向である複数の領域に分かれるようにするステップであることを特徴とする請求項1記載の位相板製造方法。
【請求項3】
前記二種類の異なる配向方向の間の角度は45°〜135°であることを特徴とする請求項2記載の位相板製造方法。
【請求項4】
前記二種類の異なる配向方向のうち、一つの配向方向は前記上偏光板の出射光の偏光方向と平行し、もう一つの配向方向は前記上偏光板の出射光の偏光方向と垂直することを特徴とする請求項3記載の位相板製造方法。
【請求項5】
前記ステップS2において配向層に対して配向処理を行った後、配向層はいくつかの垂直あるいは水平のストリップ状領域に分けられ、かつ隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の位相板製造方法。
【請求項6】
前記ステップS2において、前記配向層上にマスクを設置し、紫外線照射を使用し前記配向処理を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の位相板製造方法。
【請求項7】
前記反応性メソゲンは複屈折性を備え、配向と硬化を行うことができる物質であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の位相板製造方法。
【請求項8】
前記反応性メソゲンは液晶ポリマーであることを特徴とする請求項7記載の位相板製造方法。
【請求項9】
ディスプレイパネルと、
ディスプレイパネルの上下表面に貼り付けられる上偏光板と下偏光板と、
前記上偏光板の上を直接覆う位相板とを含む3Dディスプレイパネル。
【請求項10】
前記位相板は前記上偏光板に直接接触する配向層を含み、前記配向層は少なくとも二種類の異なる配向方向である複数の領域に分けられることを特徴とする請求項9記載の3Dディスプレイパネル。
【請求項11】
前記配向層は二種類の異なる配向方向である複数の領域に分けられることを特徴とする請求項10記載の3Dディスプレイパネル。
【請求項12】
前記二種類の異なる配向方向の間の角度は45°〜135°であることを特徴とする請求項11記載の3Dディスプレイパネル。
【請求項13】
前記二種類の異なる配向方向のうち、一つの配向方向は前記上偏光板の出射光の偏光方向と平行し、もう一つの配向方向は前記上偏光板の出射光の偏光方向と垂直することを特徴とする請求項12記載の3Dディスプレイパネル。
【請求項14】
前記配向層は複数の垂直あるいは水平のストリップ状領域に分けられ、かつ隣接する二つのストリップ状領域の配向方向は異なることを特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載の3Dディスプレイパネル。
【請求項15】
前記位相板は他に、前記配向層表面に設置される一層の反応性メソゲン(Reactive Mesogens)を含み、前記反応性メソゲンは複屈折性を備え、配向と硬化を行うことができる物質であることを特徴とする請求項9から14のいずれか1項に記載の3Dディスプレイパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−252334(P2012−252334A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−124171(P2012−124171)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(510280589)京東方科技集團股▲ふん▼有限公司 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(510280589)京東方科技集團股▲ふん▼有限公司 (35)
【Fターム(参考)】
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