説明

位置情報検出装置および位置情報検出方法

【課題】測定対象物に電磁波を照射することにより測定対象物からの反射波を受信して信号処理を行い、測定対象物の位置情報を求めるとき、簡易な装置構成で、高速で信号処理を行う。
【解決手段】2−1(Mは自然数)の符号長さの符号化系列の信号の電磁波を測定対象物に照射し、そのときの反射信号と符号化系列の信号との相互相関関数を算出することにより、測定対象物の位置情報を求める。そのとき、幅×深さが2×2(K及びLは自然数)のサイズの2次元のメモリを用い、このメモリに、符号化系列の信号の値が、1つの符号化系列を1単位として複数単位記憶されている。このメモリの深さ方向のアドレス位置が呼び出し開始位置として指定されて、上記値がメモリの幅方向の順番に沿って呼び出され、照射する電磁波の符号化系列の信号が生成される。メモリ容量2K+Lは、(2−1)・N+N(Nは自然数)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を測定対象物に照射し測定対象物からの反射波を受信することにより測定対象物の位置情報を取得する位置情報検出装置および位置情報検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地下埋蔵物の情報探査、地中の情報把握、あるいはコンクリート構造物の検査診断等において、レーダ装置が一般的に用いられている。また、レーザ光を用いたレーダ装置も種々提案されている。
下記特許文献1では、PN符号を用いて、測定対象物の距離解析を行うレーダ装置が提案されている。
【0003】
すなわち、当該特許文献のレーダ装置は、PN符号等の疑似雑音信号によって帯域が拡散された電波を送信し、この電波に基づく物体からの反射波を受信し、この受信信号を前記疑似雑音信号で逆拡散し、該逆拡散された受信信号の周波数を所定周波数の信号に変換し、該周波数変換された信号に基づいて前記物体の速度測定、該物体までの距離測定を行う装置である。このとき、測定対象物までの距離の情報を、PN符号等の擬似雑音信号の相関関数から得られる遅延時間を用いて算出する。
【0004】
このような距離の情報の算出において、擬似雑音信号を用いて上記遅延時間を求めるとき、当該文献1に記載されるように、擬似雑音信号の発生にPNジェネレータが用いられる。このPNジェネレータの構成は当該文献には記載は無いが、複数個(M個)のシフトレジスタと加算器を用いて構成されたM系列符号を発生させる符号発生器が一般的に用いられる。
【0005】
このような符号発生器を用いたレーザ装置を、0〜10GHzまでの広帯域のバンド幅で用いる場合を想定したとき、送信側のPNジェネレータおよび参照信号の生成のためのPNジェネレータを2つ設けることで高速化を図る必要がある。しかし、複数個(M個)のシフトレジスタと加算器とで構成されるPNジェネレータを2つ用いる場合、装置構成が複雑になる他、2つの信号の生成の動作を、タイミングを合わせて行って高速で信号処理を行うことは難しい、といった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−153654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記問題を解決するために、測定対象物に電磁波を照射することにより測定対象物からの反射波を受信して信号処理を行い、測定対象物の位置情報を求めるとき、簡易な装置構成で、高速で信号処理ができる位置情報検出装置および位置情報検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、測定対象物に電磁波を照射することにより測定対象物からの反射波を受信して信号処理を行い、測定対象物の位置情報を求める、以下の記載の位置情報検出装置で達成される。
すなわち、位置情報検出装置は、
(A)測定対象物に電磁波を照射するとき、所定の信号の電磁波を出射する電磁波出射部と、
(B)電磁波の照射された測定対象物からの反射波を受信して反射信号を出力する受信部と、
(C)前記所定の信号として、1ビット信号値が符号化された信号であって、ビット方向にビット単位でシフトすることにより、シフト前の信号とシフト後の信号とが互いに略直交するように構成される、2−1(Mは自然数)の符号長さの符号化系列の信号を所定回数繰り返し生成した後、直前に生成した符合化系列の信号に対して1ビットシフトすることにより得られるシフトした符合化系列の信号を、前記所定の信号として、前記所定回数繰り返し生成するシフト処理を繰り返し行う第1の符号発生部と、
(D)前記所定の信号として最初に生成する符号化系列の信号と前記反射信号との間で相互相関関数の値を算出し、この算出結果に基づいて、測定対象物の位置情報を求める信号処理・演算部と、を有する。
(E)その際、前記第1の符号発生部は、幅×深さが2×2(K及びLは自然数)のサイズの2次元のメモリと、このメモリの深さ方向のアドレス位置を指定するアドレスコントローラと、を備え、前記メモリには、前記符合化系列の値が前記符合化系列を1単位として複数単位繰り返し記憶されており、前記メモリのメモリ容量2K+Lは、(2−1)・N+N(Nは自然数)であり、
(F)前記第1の符号発生部は、前記アドレスコントローラにより指定された前記メモリの深さ方向のアドレス位置から前記メモリの幅方向の順番に沿って前記符合化系列の値を呼び出すことにより、前記シフト処理で用いるシフトした符合化系列の信号を生成する。
【0009】
その際、前記第1の符号発生部は、前記メモリから呼び出した値を用いてシリアル信号を生成する複数の第1のシリアライザを備え、さらに、生成した前記シリアル信号を1つの信号にまとめて前記符合化系列の信号を生成する第2のシリアライザを備えることが好ましい。
そのとき、前記第1のシリアライザの個数をP個(Pは2以上の自然数)としたとき、前記第2のシリアライザで生成される前記符合化系列の信号が前記符合化系列の順番の信号となるように、前記メモリには、前記符合化系列の隣り合う値がP個おきに配置されて記憶されていることが好ましい。
【0010】
さらに、測定対象物の位置する測定範囲の上限を設定する条件設定部を有し、前記第1の符号発生部は、前記条件設定部で設定された前記上限に応じて前記符号化系列の信号のシフト量の上限値を定め、
前記第1の符号発生部は、前記シフト処理における前記符号化系列の信号のシフト量が前記上限値に達したとき、前記シフト処理を終了することが好ましい。
【0011】
さらに、予め設定された基準位置にある測定対象物からの反射信号と前記符合化系列信号の相互相関関数の値が最大となるように、前記符号化系列の信号のシフト量を基準シフト量として定める条件設定部を有し、
前記第1の符号発生部は、定めた前記基準シフト量に対応した数だけビットシフトした符号化系列の信号を、前記第1の符号発生部が、前記所定の信号として最初に生成する符号化系列の信号とすることが好ましい。
【0012】
さらに、前記第1の符号発生部が前記シフト処理を行う最中、前記第1の符号発生部が生成する符合化系列の信号と同じタイミングで、前記所定の信号として最初に生成する符合化系列の信号と同じ信号を生成する第2の符号発生部を有し、この第2の符号発生部で生成する信号は、前記相互相関関数の値の算出のために用いられることが好ましい。
【0013】
前記メモリの深さ方向のアドレス位置の1つには、前記メモリの幅方向に沿ってすべて0の値が記録されていることが好ましい。
【0014】
また、上記目的は、測定対象物に電磁波を照射することにより測定対象物からの反射波を受信して信号処理を行い、測定対象物の位置情報を求める、以下の記載の位置情報検出装置で達成される。
すなわち、位置情報検出装置は、
(G)測定対象物に電磁波を照射するとき、所定の信号の電磁波を出射する電磁波出射部と、
(H)電磁波の照射された測定対象物からの反射波を受信して反射信号を出力する受信部と、
(I)前記所定の信号として、1ビット信号値が符号化された信号であって、ビット方向にビット単位でシフトすることにより、シフト前の信号とシフト後の信号とが互いに略直交するように構成される、2−1(Mは自然数)の符号長さの符号化系列の信号を繰り返し生成する第1の符号発生部と、
(J)前記符号化系列の信号を所定回数繰り返し生成した後、直前に生成した符合化系列の信号を1ビットシフトすることにより得られるシフトした符合化系列の信号を前記所定回数繰り返し生成するシフト処理を繰り返し行い、前記シフト処理により符号化系列の信号をシフトする度に、このシフトした符号化系列の信号と前記反射信号との間で相互相関関数の値を算出し、この算出結果に基づいて、測定対象物の位置情報を求める信号処理・演算部と、を有する。
(K)その際、前記第1の符号発生部は、幅×深さが2×2(K及びLは自然数)のサイズが定められた2次元のメモリと、このメモリの深さ方向のアドレス位置を指定するアドレスコントローラと、を備え、前記メモリに、前記符合化系列の値が前記符合化系列を1単位として複数単位に繰り返し記憶されており、前記メモリのメモリ容量2K+Lは、(2−1)・N+N(Nは自然数)であり、
(L)前記第1の符号発生部は、前記アドレスコントローラにより指定された前記メモリの深さ方向のアドレス位置から前記メモリの幅方向の順番に沿って前記符合化系列の値を呼び出すことにより、前記シフト処理でシフトした符合化系列の信号を生成する。
【0015】
さらに、上記目的は、測定対象物に電磁波を照射することにより測定対象物からの反射波を受信して信号処理を行い、測定対象物の位置情報を求める、以下に記載の位置情報検出方法により達成される。
すなわち、位置情報検出方法は、
(M)測定対象物に電磁波を照射するとき、1ビット信号値が符号化された信号であって、ビット方向にビット単位でシフトすることにより、シフト前の信号とシフト後の信号とが互いに略直交するように構成される、2−1(Mは自然数)の符号長さの符号化系列の信号を、所定回数繰り返し生成した後、直前に生成した符合化系列の信号を1ビットシフトすることにより得られるシフトした符合化系列の信号を前記所定回数繰り返し生成するシフト処理を繰り返し行うことにより、生成した符合化系列の信号の電磁波を照射するステップと、
(N)前記符合化系列の信号として最初に生成される符合化系列の信号と同じ信号と、前記反射信号との間で相関関数の値を算出し、この算出結果に基づいて、測定対象物の位置情報を求めるステップと、を有する。
(O)その際、幅×深さが2×2(K及びLは自然数)のサイズが定められ、前記符合化系列の値が前記符合化系列を1単位として複数単位繰り返し記憶されている2次元のメモリから、前記符合化系列の値が、指定されたメモリの深さ方向のアドレス位置から、幅方向の順番に沿って呼び出されることにより、前記シフト処理は行われ、
(P)前記メモリのメモリ容量2K+Lは、(2−1)・N+N(Nは自然数)である。
【0016】
また、上記目的は、測定対象物に電磁波を照射することにより測定対象物からの反射波を受信して信号処理を行い、測定対象物の位置情報を求める、以下に記載の位置情報検出方法により達成される。
すなわち、位置情報検出方法は、
(Q)測定対象物に電磁波を照射するとき、1ビット信号値が符号化された信号であって、ビット方向にビット単位でシフトすることにより、シフト前の信号とシフト後の信号とが互いに略直交するように構成される、2−1(Mは自然数)の符号長さの符号化系列の信号の電磁波を、所定回数繰り返し生成して照射するステップと、
(R)前記符号化系列の信号と同じ信号を所定回数繰り返し生成した後、直前に生成した符合化系列の信号を1ビットシフトすることにより得られるシフトした符合化系列の信号を前記所定回数繰り返し生成するシフト処理を繰り返し行い、前記シフト処理により符号化系列の信号をシフトする度に、このシフトした符号化系列の信号と前記反射信号との間で相互相関関数の値を算出し、この算出結果に基づいて、測定対象物の位置情報を求めるステップと、を有する。
(S)その際、幅×深さが2×2(K及びLは自然数)のサイズが定められ、前記符合化系列の値が前記符合化系列を1単位として複数単位繰り返し記憶されている2次元のメモリから、前記符合化系列の値が、指定されたメモリの深さ方向のアドレス位置から、幅方向の順番に沿って呼び出されることにより、前記シフト処理は行われ、
(T)前記メモリのメモリ容量2K+Lは、(2−1)・N+N(Nは自然数)である。
【発明の効果】
【0017】
上記位置情報検出装置および位置情報検出方法は、幅×深さが2×2(K及びLは自然数)のサイズの2次元のメモリを用い、このメモリに、2−1(Mは自然数)の符号長さの符号化系列の信号の値が、1つの符号化系列を1単位として複数単位繰り返されて配置されて記憶されている。このメモリの深さ方向のアドレス位置が呼び出し開始位置として指定されて、上記値が配置された順番に呼び出される。メモリ容量2K+Lは、(2−1)・N+N(Nは自然数)である。このため、簡易な装置構成で、高速で信号処理が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の位置情報検出装置の一実施形態の概略の構成を示す図である。
【図2】図1に示す装置で生成される信号のタイミングチャートである。
【図3】図1に示す装置で生成される信号の具体的な信号の例を示す図である。
【図4】図1に示す装置の符号発生ユニットの概略の構成を示す図である。
【図5】図4に示す符号発生ユニットのメモリを説明する図である。
【図6】図4に示すアドレスコントローラが指定するアドレス位置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の位置情報取得装置および位置情報検出方法について、添付の図面に示される実施形態を基に詳細に説明する。以下に示す実施形態は、アンテナから所定の信号の電磁波を放射するレーダ装置であるが、本発明は、所定の信号で変調したレーザ光(電磁波)を用いて測定対象物の位置情報を検出するレーザレーダ装置に適用することもできる。
【0020】
図1は、本発明の位置情報取得装置の一実施形態であるレーダ装置(以降、装置という)10の概略構成図である。
装置10は、測定対象物Obに照射した電磁波のうち測定対象物Obからの反射波を受信することにより得られる測定対象物Obの反射信号を用いて、測定対象物Obまでの奥行き方向に関する位置情報を求める装置である。
装置10は、レーダ本体部20と演算装置(コンピュータ)22とを有して構成される。
レーダ本体部20は、測定対象物に照射する電磁波の信号である、M系列の符合化系列信号(以下、単にM系列信号という)を生成して、この信号の電磁波をベースバンド方式で照射するとともに、受信した信号を用いて信号処理を行う部分である。M系列信号は、1ビット信号値が符号化された信号であって、ビット方向にビット単位でシフトすることにより、シフト前の信号とシフト後の信号とが互いに略直交するように構成される、2−1(Mは自然数)の符号長さの信号である。ベースバンド方式は、搬送信号を用いた強度変調、周波数変調、位相変調等で電磁波を放射するのではなく、M系列信号の電磁波を直接放射する方式である。
【0021】
レーダ本体部20は、符号発生ユニット24,26と、増幅器28,30と、アンテナ32,34と、信号処理部36と、クロック発生器38と、トリガパルス発生器40と、を主に有する。信号処理部36は、M系列信号とアンテナ34で受信して得られる反射信号とを混合してIF信号を生成する。
【0022】
符号発生ユニット24は、M系列信号を送信信号(M系列送信信号)として生成する部分である。符号発生ユニット24は、M系列送信信号を所定回数(X回)繰り返し生成した後、直前に生成したM系列送信信号に対して1ビットシフトすることにより得られるシフトしたM系列送信信号をX回、繰り返し生成するシフト処理を繰り返し行う。したがって、シフト処理により生成されるM系列送信信号の電磁波がアンテナ32から測定対象物Obに向けて照射される。符号発生ユニット24の構成は後述する。
【0023】
符号発生ユニット26は、符号発生ユニット24と同様に、M系列信号を参照信号(LO信号)として生成する部分である。参照信号は、信号処理部36においてアンテナ34からの受信符号列の信号と混合してIF信号を生成するために用いられる。符号発生ユニット26は、符号発生ユニット24において行うM系列信号として最初に生成されるM系列信号M(0)(図2参照)を、符号発生ユニット24のM系列信号の生成と同じタイミングで生成する。符号発生ユニット26の構成は、符号発生ユニット24と同様の構成である。符号発生ユニット26の構成は、符号発生ユニット24の構成とともに後述する。
【0024】
増幅器28は、M系列信号を所定のゲインで増幅する部分である。増幅器30は、アンテナ34で受信して得られる受信符号列の信号を所定のゲインで増幅する部分である。
アンテナ32は、増幅したM系列信号の電磁波を、ベースバンド方式により出射する部分である。アンテナ32は、1つのアンテナで構成されているが、複数のアンテナが配列されて構成されたマルチパスアレーアンテナで構成されてもよい。この場合、複数のアンテナの中から1つのアンテナを選択するRFスイッチが増幅器28とアンテナ32との間に設けられる。
アンテナ34は、測定対象物Obで反射した電磁波を受信する部分である。アンテナ34も、アンテナ32と同様に、1つのアンテナで構成されているが、複数のアンテナが配列されて構成されたマルチパスアレーアンテナで構成されてもよい。この場合、複数のアンテナの中から1つのアンテナを選択するRFスイッチがアンテナ34と増幅器30との間設けられる。
【0025】
信号処理部36は、ミキサ42と、ローパスフィルタ44と、増幅器46と、AD変換器48とを有する。
ミキサ42は、増幅器30により増幅された受信符号列の信号と参照信号(LO信号)とを混合しIF信号を生成する。ローパスフィルタ44は、IF信号から、ノイズ成分等を除去する。増幅器46は、IF信号を所定のゲインで増幅する。AD変換器48は、増幅されたIF信号をデジタル信号に変換して、演算装置22に供給する。
【0026】
トリガパルス発生器40は、エンコーダパルス等の外部トリガパルスの入力を受けると、トリガパルス信号を発生して、符号発生ユニット24,26に供給する。トリガパルス信号の発生により、同じタイミングで符号発生ユニット24,26のM系列信号の生成を開始する。
クロック発生器38は、クロック信号を発生して符号発生ユニット24,26に供給する。供給されたクロック信号により、符号発生ユニット24,26は同じタイミングでM系列信号を生成する。
【0027】
演算装置22は、条件設定部50と、位置情報算出部52と、を有する。
条件設定部50は、測定対象物Obの測定のための各種条件を設定する部分である。具体的には、M系列信号の繰り返し回数Xを設定し、符号発生ユニット24の生成するM系列信号のシフト量の上限値を定める他、予め設定された基準位置にある測定対象物からの反射信号と参照信号であるM系列信号の相互相関関数の値が最大となるように、送信信号であるM系列送信信号のシフト量を基準シフト量として定める部分である。また、クロック発生器38で生成するクロック信号のクロック38周波数を設定することもできる。
【0028】
各種条件の設定は、図示されないマウスやキーボード等の入力操作系を用いた指示入力に基づいて行われる。
M系列信号のシフト量の上限値は、後述するシフト処理におけるM系列信号のシフト量が上限値に達したとき、シフト処理を終了するように、用いられる。
シフト量の上限値を設定するのは、測定対象物Obの位置の情報がある程度判っている場合、M系列信号のビット単位のシフト量を必要以上に大きく設定したM系列信号の生成を防止するためである。これにより、測定対象物Obの測定は迅速に行うことができる。
また、上記基準シフト量は、測定対象物を基準位置において、装置10で予め測定することにより求められて設定される。あるいは、予め記憶されている設定する基準位置と基準シフト量の対応関係のデータを用いて、指示入力された基準位置から基準シフト量は設定される。この基準シフト量は、この基準シフト量に対応した数だけビットシフトしたM系列信号を、符号発生ユニット24がM系列信号として最初に生成する信号とするように、用いられる。クロック信号のクロック周波数は、M系列信号のデータ間隔を定める。このデータ間隔の変更により、測定対象物Obの位置情報の範囲や測定分解能を自在に変更することができる。
【0029】
位置情報算出部52は、IF信号から、相互相関関数を算出し、この算出結果に基づいて、測定対象物Obの位置情報を求める部分である。位置情報算出部52は、同じシフト量のM系列信号を生成する期間中、AD変換器48を介して供給されるIF信号の値を積算する。この積算により、シフト量に対応する遅延時間を横軸とする相互相関関数の各値を求める。位置情報算出部52は、この相互相関関数を用いて測定対象物Obの位置情報を求める。遅延時間に電磁波の伝播速度を乗算した結果の半分の値が測定対象物Obの奥行き方向の位置情報である。
【0030】
図2は、外部トリガとして入力されるエンコーダパルスと、生成されるトリガパルスと、M系列の送信符号列と、ローカル符号列である参照信号(LO信号)のタイミングチャートを示す図である。
エンコーダパルスが入力されると、トリガパルス発生器40においてトリガパルスが生成され、このトリガパルスが符号発生ユニット24,26に供給される。供給されたトリガパルスにしたがって符号発生ユニット24,26は、同時に立ち上がり、クロック発生器38のタイミングにあわせてM系列信号を生成する。
【0031】
まず、符号発生ユニット24では、送信符号列のビットシフトが0のM系列信号M(0)がX(Xは自然数)回繰り返し生成される。X回繰り返し生成された後、1ビットシフトしたM系列信号M(1)がX回繰り返し生成される。この後、さらに、1ビットシフトしたM系列信号M(2)がX回繰り返し生成される。こうして、条件設定部50で設定されたビット単位のシフト量の上限値nになるまで、M系列信号M(k)(k=0〜nの整数)がX回繰り返し生成される。
【0032】
一方、符号発生ユニット26では、ローカル符号列の信号である参照信号(LO信号)が、最初に生成されたM系列信号M(0)が、符号発生ユニット24で生成されるM系列信号M(0),M(1),・・・M(n)の生成のタイミングにあわせて(n・X)回繰り返し生成される。このように、符号発生ユニット24において、M系列信号M(0)に対してkビットシフトしたM系列信号M(k)をX回繰り返し生成しつつ、ビット単位のシフト量を1つずつ大きくしていくシフト処理が行われるように符号発生ユニット24は構成されている。
【0033】
図3は、図2のタイミングチャートをより具体化した例を示す図である。
ここでは、M系列信号に用いるM系列符号は、{0011101}である。
M系列符号は、1ビットの値で作られ、ビット方向にビット単位でシフト(ビットシフト)することにより、シフト前の信号とシフト後の信号とが互いに略直交するように構成された、擬似ランダム性を有する系列符号である。このM系列符号は以下のようにして生成される。mod2におけるk次の原始多項式h(x)の係数をhj(j=1〜kの自然数)とし、初期値としてa1〜akの値が与えられるとき、ai(i=k+1以上の自然数)は、下記式(1)に従って求められる。
i=h1・ai-1 +h2・ai-2++h3・ai-3+・・・+hk・ai-k
このとき、a1〜akおよびai(i=k+1以上の自然数)は、周期2k−1で繰り返し同じ値が生成される。したがって、この符号列の符号長さは2k−1である。この値で構成される符号列がM系列符号である。
例えば、k=3のときのM系列符号が上記{0011101}である。
図3では、繰り返し数Xを3としている。
【0034】
受信符号列の信号は、測定対象物Obの位置に応じてM系列信号が遅延した信号となる。したがって、この受信符号列の信号とローカル符号列の信号(LO信号)とを混合することにより、IF信号が生成される。上述したように、M系列信号は、シフト量が異なれば直交性により値が極めて小さくなる。このため、図3では、ローカル符号列の信号と、受信符号列の信号とが、同じシフト量0のとき、概略一定の値を持つが、それ以外では、値が極めて小さい。このIF信号の値が、演算装置22で相互相関関数を求めるときに用いられる。
【0035】
このようにビットシフトしながら、X回繰り返しM系列信号を生成するシフト処理は、以下に示す符号発生ユニット24により実現される。符号発生ユニット26についても同様の構成を有する。
【0036】
図4は、符号発生ユニット24の概略の構成を示す図である。符号発生ユニット26も同様の構成を有するので、その説明は省略する。なお、符号発生ユニット24は、周期28−1のM系列符号を生成する場合を例にして説明する。
符号発生ユニット24は、FPGA(Field Programmable Gate Array)54と、シリアライザ62と、分配器64と、を有する。
【0037】
FPGA54には、アドレスコントローラ56と、メモリ58と、シリアライザ60a1〜60a16とが形成されている。
アドレスコントローラ56は、メモリ58の深さ方向のアドレス位置を指定する部分である。具体的には、アドレスコントローラ56は、トリガパルスを受けるまで、幅方向に沿って信号値0が記憶されている深さ方向のアドレス位置を指定するとともに、トリガパルスを受けると、アドレスコントローラ56は、M系列信号が記憶されている深さ方向のアドレス位置を指定する。これにより、M系列信号の生成が開始される。
【0038】
メモリ58は、幅方向に64(=26)ビット、深さ方向に256(=28)ビットのサイズで定められている。メモリ58のメモリ容量2K+L(K=6,L=8)は、(2−1)・N+N(Nは自然数)となっている。すなわち、符号長さ(2−1)のN倍に、数Nを加算した値となっている。これは後述するように、深さ方向の第1番目のアドレス位置0(幅方向の右端の位置)には、全ての位置に値0を記憶させるためである。
このメモリ58には、16個のシリアライザ60a1〜60a16が接続されており、シリアライザ60a1〜60a16のそれぞれは、メモリ58から呼び出された4つの値を1つのシリアル信号として生成する。シリアライザ60a1〜60a16のそれぞれで生成された合計16個のシリアル信号は、シリアライザ62によってさらに1つの信号にされて、M系列信号となるので、シリアライザ60a1〜60a16のそれぞれで生成されるシリアル信号の値は、M系列符号の順番において16個置きの値である。例えば、シリアライザ60a1は、M系列符号の0番目、16番目、32番目、48番目の値がシリアル信号として生成され、シリアライザ60a2は、M系列符号の1番目、17番目、33番目、49番目の値がシリアル信号として生成され、シリアライザ60a(sは自然数)は、M系列符号の(s−1)番目、(s+15)番目、(s+31)番目、(s+47)番目の値がシリアル信号として生成される。
したがって、メモリ58には、シリアライザ62で生成されるM系列信号がM系列符号の順番の信号となるように、M系列符号の隣り合う値が16個おきに配置されて記憶されている。すなわち、シリアライザ60a1〜60a16を第1のシリアライザといい、シリアライザ62を第2のシリアライザといい、第1のシリアライザの個数をP個(Pは2以上の自然数)としたとき、第2のシリアライザで生成されるM系列信号がM系列符号の順番の信号となるように、メモリ58には、M系列符号の隣り合う値がP個おきに配置されて記憶されている。
【0039】
図5は、メモリ58とM系列符号の値の割り当て方が示されている。
メモリ58では、図中の右上端から左方向(ビット幅方向)に沿ってM系列符号の値が、複数回(複数単位)繰り返し記憶されている。その際、M系列符号の値のメモリ58には、上述したようにM系列符号の隣り合う値が16個おきに配置されて記憶されている。このとき、M系列符号が複数回繰り替えされるときの、最後のM系列符号の値と最初の値も隣り合う値とする。
深さ方向の第1番目のアドレス位置0には、幅方向位置0〜63の全ての位置に値0が記憶されている。深さ方向のアドレス位置1(第2番目の位置)には、幅方向位置0(幅方向の右端の位置)から、M系列符号の隣り合う値が16個おきに、M系列符号の値が記憶されている。深さ方向のアドレス位置1、幅方向位置63の次は、深さ方向のアドレス位置2、幅方向位置0に記憶されている。このように、幅方向位置が63の次は、深さ方向のアドレス位置が1つ下がって、幅方向位置0から幅方向に沿って記憶されている。
ここで、M系列符号の符号長さは255(=28−1)であり、2のべき乗より1小さいので、深さ方向のアドレス位置1、幅方向位置0から順番に記憶したM系列符号の最終の値M254はビット幅方向位置63に位置しない。この状態で、M系列符号の値を隙間無く繰り返して詰めて記憶されて、図5に示すように配置されている。メモリ58では、アドレスコントローラ50により指定されたメモリ58の深さ方向のアドレス位置からメモリ58の幅方向の順番に沿って値が呼び出され、上述したようなシリアル信号が生成される。
【0040】
また、メモリ58中の深さ方向位置255の幅方向位置63には、M系列符号の最終の値M254が記憶されている。したがって、アドレスコントローラ56が指定する深さ方向のアドレス位置を、深さ方向のアドレス位置1からビット深さ方向に沿って順次移動させることで、M系列符号M(0)が64回(64単位)繰り返し生成することができる。さらに、アドレス位置255の次にアドレス位置1に戻るようにアドレスコントローラ56が指定することで、M0から始まるM系列信号を無限に繰り返すことができる。しかし、繰り返し回数Xが条件設定部50で設定されているので、M系列符号の繰り返し回数がXに達すると、直前に生成したM系列信号に対して1ビットシフトしたM系列符号M(1)の生成のために、アドレス位置5がアドレス開始位置として、アドレスコントローラ56から指定される。
【0041】
これにより、深さ方向位置5、幅方向位置0から、幅方向の順番に沿ってメモリ58に記憶された値が呼び出され、深さ方向に沿って順次アドレス位置が移動し、1ビットシフトしたM系列符号M(1)の生成が、繰り返し回数がXに達するまで繰り返される。この後、アドレスコントローラ56が、ビット深さ方向位置9をアドレス開始位置として指定することにより、M2の値から始まるM系列信号M(2)、すなわち、直前に生成したM系列信号M(1)に対して1ビットシフトしたM系列符号M(2)の生成が、繰り返し回数がXに達するまで繰り返し行われる。このようなM系列符号M(s)(sは自然数)のX回の繰り返しの生成は、ビット単位のシフト量を表すsが条件設定部50で定めた上限値に達するまで行われる。この後、アドレス位置0が指定されて、M系列信号の生成が終了する。
【0042】
このように、アドレスコントローラ56がアドレス位置を、メモリの呼び出し開始位置として指定するだけで、直前に生成したM系列信号M(s)(sは自然数)に対して1ビットシフトしたM系列符号M(s+1)の生成を行うことができる。
【0043】
図6には、アドレスコントローラ56にメモリの呼び出し開始位置として記憶されている、メモリ58の深さ方向のアドレス位置が示されている。アドレスコントローラ56は、ます、ビットシフト0のM系列信号M(0)の生成のために、深さ方向のアドレス位置を1に指定し、次に1ビットシフトしたM系列信号M(1)の生成のために、深さ方向のアドレス位置を5に指定し、次にさらに1ビットシフトしたM系列信号M(2)の生成のために、深さ方向のアドレス位置を9に指定し、以降、同様の指定を行うようになっている。
このようにアドレスコントローラ56は、1ビットずつシフトしたM系列信号を生成するために、深さ方向のアドレス開始位置を指定するだけでよく、以降、深さ方向のアドレス位置を順に移動するだけでよい。
【0044】
呼び出されるメモリ58の値は、4つの値毎に、シリアライザ60a1〜a16に順番に振り分けられ、シリアライザ60a1〜a16毎にシリアル信号が作られるように構成される。
【0045】
シリアライザ62は、シリアライザ60a1〜a16毎に生成されるシリアル信号を1つの信号まとめてM系列送信信号を生成する部分である。分配器64は、クロック信号をFPGA54とシリアライザ62に分配して供給する。クロック信号のタイミングにあわせてメモリ58から呼び出される値から、クロック信号の周波数に対して高速の周波数でM系列信号が生成される。
【0046】
上述の説明では、M系列信号の生成が、ビットシフト0のM系列信号M(0)の生成から行われるが、予め設定された基準シフト量s0だけビットシフトしたM系列信号M(s0)の生成から行ってもよい。例えば、測定対象物Obの測定を開始する前に、予め設定された基準位置にある測定対象物からの反射信号とM系列信号の相互相関関数の値が最大となるように、M系列信号のシフト量を基準シフト量s0として定める。この基準シフト量s0に対応した数だけビットシフトしたM系列信号M(s0)を最初に生成する信号とするように、深さ方向のアドレス位置を指定するとよい。例えば基準シフト量s0が3の場合、図6に示すように、メモリ呼び出し開始位置としての深さ方向のアドレス位置は9に指定される。この後に続けて行うシフト処理では、メモリ呼び出し開始位置として深さ方向のアドレス位置13、17.・・・・を指定するとよい。このように、基準シフト量s0を定めるのは、ビット単位のシフト量の上限値を定めてシフト処理を途中で終了する場合、ビット単位のシフト量の上限値に達する以前に、相互相関関数の値が最大となるシフト量を確実に見出すようにするためである。また、符号発生ユニット24,26において同じタイミングでM系列信号を生成しても、信号がミキサ42に到達するまでの伝送時間や各素子の作動時間等が異なるため、測定対象物Obの位置に応じた位相遅れの他に伝送時間や作動時間の違いによる位相遅れも生じるためである。すなわち、基準シフト量s0を指定することは、測定対象物Obを効率よく測定するためのゼロ点調整を行うことに相当する。
このような基準シフト量s0は、予め装置10を用いて測定されて演算装置22の図示されないメモリに、基準位置と基準シフト量との対応関係のデータを記憶保持していることが好ましい。
以上が、装置10の構成の説明である。
【0047】
このような装置10では、以下の測定対象物Obの位置情報検出方法が実施される。
まず、オペレータから、測定のための各種条件が設定される。具体的には、基準シフト量s0の設定のための測定対象物の基準位置の設定、M系列信号の繰り返し回数Xの設定、シフト量の上限値の設定、さらには、クロック周波数の設定等が行われる。
【0048】
次に、測定対象物Obに電磁波を照射する。このとき、符号発生ユニット24で基準シフト量s0に基づいて定められるM系列信号の電磁波が、繰り返し回数X回、繰り返し生成される。この後、直前に生成した符合化系列の信号を1ビットシフトすることにより得られるシフトしたM系列信号の電磁波を前記所定回数繰り返し照射するシフト処理が繰り返し行われる。シフト処理におけるビット単位のシフト量hが上限値になるまで、シフト処理が行われる。こうして生成された信号は、増幅されて、アンテナ32から電磁波となって測定対象物Obに照射される。測定対象物Obから到来する電磁波の反射波が、アンテナ34で受信されて受信符号列が生成され、増幅されてミキサ42に送られる。
【0049】
シフト処理を行って電磁波を測定対象物Obに照射する一方、符号発生ユニット26では、符号発生ユニット24によるM系列信号の生成の開始にあわせて、同じタイミングで最初に生成されるM系列信号と同じ信号M(s0)が参照信号(LO信号)として生成され、ミキサ42に送られる。
ミキサ42では、参照信号と受信符号列が混合され、IF信号が生成される。このIF信号は、ローパスフィルタ44でろ過された後、増幅され、さらに、AD変換器48でデジタル信号に変換されて、演算装置22に送られる。デジタル変換のサンプリング周波数は、符号発生ユニット24,26で用いるクロック周波数と同期していることが、後述する相互相関関数の値を正確に算出する点で、好ましい。
演算装置22では、IF信号を用いてM系列信号の1周期分の値が積算することにより、参照信号と受信符号化列との間の相互相関関数の値が算出される。この算出結果に基づいて、相互相関関数が最大となるシフト量の情報を用いて、測定対象物Obの位置情報が求められる。
【0050】
その際、シフト処理に用いるメモリ58は、幅×深さが2×2(K及びLは自然数)のサイズが定められ、M系列の値が、複数回(複数単位)繰り返し記憶されており、M系列の値が、指定されたメモリ58の深さ方向のアドレス位置をメモリの呼び出し開始位置として、幅方向の順番に沿って呼び出されことにより、シフト処理が行われる。しかも、メモリ58のメモリ容量2K+Lは、(2−1)・N+N(Nは自然数)となるように、メモリ58の幅さ方向および深さ方向のサイズ及び容量が定まっている。
【0051】
このようにアドレスコントローラ56は、シフト処理において、メモリ58の深さ方向のアドレス位置を、メモリ呼び出し開始位置として指定するだけで、図2に示すようなM系列信号(送信符号列)を生成することができる。しかも、シリアライザを用いて、高速に信号を生成することができる。したがって、簡易な装置構成で、高速で信号処理が可能となる。
【0052】
なお、上述の実施形態では、図2に示すように、符号発生モジュール24がM系列信号M(s0)を生成するとともに、sビットシフトしたM系列信号M(s0+s)(s=1〜上限値)を生成するシフト処理を行い、符号発生モジュール26が、符号発生モジュール24で最初に生成されたM系列信号M(s0)を常に生成する。しかし、この実施形態の他に、符号発生モジュール26がM系列信号M(s0)を生成するとともに、sビットシフトしたM系列信号M(s0+s)(s=1〜上限値)を生成するシフト処理を行い、符号発生モジュール24が、符号発生モジュール24で最初に生成されたM系列信号M(s0)を常に生成するように構成することもできる。この場合、シフト処理を施すとき、メモリの呼び出し開始位置を、図6に示す矢印と逆方向に順次進ませることにより、相互相関関数の算出結果を同じにすることができる。
【0053】
以上、本発明の位置情報取得装置および位置情報検出方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0054】
10 レーダ装置
20 レーダ本体部
22 演算装置(コンピュータ)
24,26 符号発生ユニット
28,30,46 増幅器
32,34 アンテナ
36 信号処理部
38 クロック発生器
40 トリガパルス発生器
42 ミキサ
44 ローパスフィルタ
48 AD変換器
50 条件設定部
52 位置情報算出部
54 FPGA(Field Programmable Gate Array)
56 アドレスコントローラ
58 メモリ
60a1〜a16,62 シリアライザ
64 分配器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に電磁波を照射することにより測定対象物からの反射波を受信して信号処理を行い、測定対象物の位置情報を求める位置情報検出装置であって、
測定対象物に電磁波を照射するとき、所定の信号の電磁波を出射する電磁波出射部と、
電磁波の照射された測定対象物からの反射波を受信して反射信号を出力する受信部と、
前記所定の信号として、1ビット信号値が符号化された信号であって、ビット方向にビット単位でシフトすることにより、シフト前の信号とシフト後の信号とが互いに略直交するように構成される、2−1(Mは自然数)の符号長さの符号化系列の信号を所定回数繰り返し生成した後、直前に生成した符合化系列の信号に対して1ビットシフトすることにより得られるシフトした符合化系列の信号を、前記所定の信号として、前記所定回数繰り返し生成するシフト処理を繰り返し行う第1の符号発生部と、
前記所定の信号として最初に生成する符号化系列の信号と前記反射信号との間で相互相関関数の値を算出し、この算出結果に基づいて、測定対象物の位置情報を求める信号処理・演算部と、を有し、
前記第1の符号発生部は、幅×深さが2×2(K及びLは自然数)のサイズの2次元のメモリと、このメモリの深さ方向のアドレス位置を指定するアドレスコントローラと、を備え、前記メモリには、前記符合化系列の値が前記符合化系列を1単位として複数単位繰り返し記憶されており、前記メモリのメモリ容量2K+Lは、(2−1)・N+N(Nは自然数)であり、
前記第1の符号発生部は、前記アドレスコントローラにより指定された前記メモリの深さ方向のアドレス位置から前記メモリの幅方向の順番に沿って前記符合化系列の値を呼び出すことにより、前記シフト処理で用いるシフトした符合化系列の信号を生成する、ことを特徴とする位置情報検出装置。
【請求項2】
前記第1の符号発生部は、前記メモリから呼び出した値を用いてシリアル信号を生成する複数の第1のシリアライザを備え、さらに、生成した前記シリアル信号を1つの信号にまとめて前記符合化系列の信号を生成する第2のシリアライザを備える、請求項1に記載の位置情報検出装置。
【請求項3】
前記第1のシリアライザの個数をP個(Pは2以上の自然数)としたとき、前記第2のシリアライザで生成される前記符合化系列の信号が前記符合化系列の順番の信号となるように、前記メモリには、前記符合化系列の隣り合う値がP個おきに配置されて記憶されている、請求項2に記載の位置情報検出装置。
【請求項4】
さらに、測定対象物の位置する測定範囲の上限を設定する条件設定部を有し、前記第1の符号発生部は、前記条件設定部で設定された前記上限に応じて前記符号化系列の信号のシフト量の上限値を定め、
前記第1の符号発生部は、前記シフト処理における前記符号化系列の信号のシフト量が前記上限値に達したとき、前記シフト処理を終了する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置情報検出装置。
【請求項5】
さらに、予め設定された基準位置にある測定対象物からの反射信号と前記符合化系列信号の相互相関関数の値が最大となるように、前記符号化系列の信号のシフト量を基準シフト量として定める条件設定部を有し、
前記第1の符号発生部は、定めた前記基準シフト量に対応した数だけビットシフトした符号化系列の信号を、前記第1の符号発生部が、前記所定の信号として最初に生成する符号化系列の信号とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の位置情報検出装置。
【請求項6】
さらに、前記第1の符号発生部が前記シフト処理を行う最中、前記第1の符号発生部が生成する符合化系列の信号と同じタイミングで、前記所定の信号として最初に生成する符合化系列の信号と同じ信号を生成する第2の符号発生部を有し、この第2の符号発生部で生成する信号は、前記相互相関関数の値の算出のために用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の位置情報検出装置。
【請求項7】
前記メモリの深さ方向のアドレス位置の1つには、前記メモリの幅方向に沿ってすべて0の値が記録されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の位置情報検出装置。
【請求項8】
測定対象物に電磁波を照射することにより測定対象物からの反射波を受信して信号処理を行い、測定対象物の位置情報を求める位置情報検出装置であって、
測定対象物に電磁波を照射するとき、所定の信号の電磁波を出射する電磁波出射部と、
電磁波の照射された測定対象物からの反射波を受信して反射信号を出力する受信部と、
前記所定の信号として、1ビット信号値が符号化された信号であって、ビット方向にビット単位でシフトすることにより、シフト前の信号とシフト後の信号とが互いに略直交するように構成される、2−1(Mは自然数)の符号長さの符号化系列の信号を繰り返し生成する第1の符号発生部と、
前記符号化系列の信号を所定回数繰り返し生成した後、直前に生成した符合化系列の信号を1ビットシフトすることにより得られるシフトした符合化系列の信号を前記所定回数繰り返し生成するシフト処理を繰り返し行い、前記シフト処理により符号化系列の信号をシフトする度に、このシフトした符号化系列の信号と前記反射信号との間で相互相関関数の値を算出し、この算出結果に基づいて、測定対象物の位置情報を求める信号処理・演算部と、を有し、
前記第1の符号発生部は、幅×深さが2×2(K及びLは自然数)のサイズが定められた2次元のメモリと、このメモリの深さ方向のアドレス位置を指定するアドレスコントローラと、を備え、
前記メモリに、前記符合化系列の値が前記符合化系列を1単位として複数単位繰り返し記憶されており、前記メモリのメモリ容量2K+Lは、(2−1)・N+N(Nは自然数)であり、
前記第1の符号発生部は、前記アドレスコントローラにより指定された前記メモリの深さ方向のアドレス位置から前記メモリの幅方向の順番に沿って前記符合化系列の値を呼び出すことにより、前記シフト処理でシフトした符合化系列の信号を生成する、ことを特徴とする位置情報検出装置。
【請求項9】
測定対象物に電磁波を照射することにより測定対象物からの反射波を受信して信号処理を行い、測定対象物の位置情報を求める位置情報検出方法であって、
測定対象物に電磁波を照射するとき、1ビット信号値が符号化された信号であって、ビット方向にビット単位でシフトすることにより、シフト前の信号とシフト後の信号とが互いに略直交するように構成される、2−1(Mは自然数)の符号長さの符号化系列の信号を、所定回数繰り返し生成した後、直前に生成した符合化系列の信号を1ビットシフトすることにより得られるシフトした符合化系列の信号を前記所定回数繰り返し生成するシフト処理を繰り返し行うことにより、生成した符合化系列の信号の電磁波を照射するステップと、
前記符合化系列の信号として最初に生成される符合化系列の信号と同じ信号と、前記反射信号との間で相関関数の値を算出し、この算出結果に基づいて、測定対象物の位置情報を求めるステップと、を有し、
幅×深さが2×2(K及びLは自然数)のサイズが定められ、前記符合化系列の値が前記符合化系列を1単位として複数単位繰り返し記憶されている2次元のメモリから、前記符合化系列の値が、指定されたメモリの深さ方向のアドレス位置から、幅方向の順番に沿って呼び出されることにより、前記シフト処理は行われ、前記メモリのメモリ容量2K+Lは、(2−1)・N+N(Nは自然数)であることを特徴とする位置情報検出方法。
【請求項10】
測定対象物に電磁波を照射することにより測定対象物からの反射波を受信して信号処理を行い、測定対象物の位置情報を求める位置情報検出方法であって、
測定対象物に電磁波を照射するとき、1ビット信号値が符号化された信号であって、ビット方向にビット単位でシフトすることにより、シフト前の信号とシフト後の信号とが互いに略直交するように構成される、2−1(Mは自然数)の符号長さの符号化系列の信号の電磁波を、所定回数繰り返し生成して測定対象物に照射するステップと、
前記符号化系列の信号と同じ信号を所定回数繰り返し生成した後、直前に生成した符合化系列の信号を1ビットシフトすることにより得られるシフトした符合化系列の信号を前記所定回数繰り返し生成するシフト処理を繰り返し行い、前記シフト処理により符号化系列の信号をシフトする度に、このシフトした符号化系列の信号と前記反射信号との間で相互相関関数の値を算出し、この算出結果に基づいて、測定対象物の位置情報を求めるステップと、を有し、
幅×深さが2×2(K及びLは自然数)のサイズが定められ、前記符合化系列の値が前記符合化系列を1単位として複数単位繰り返し記憶されている2次元のメモリから、前記符合化系列の値が、指定されたメモリの深さ方向のアドレス位置から、幅方向の順番に沿って呼び出されることにより、前記シフト処理は行われ、前記メモリのメモリ容量2K+Lは、(2−1)・N+N(Nは自然数)であることを特徴とする位置情報検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−169530(P2010−169530A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12286(P2009−12286)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】