位置推定システム
【課題】ユーザが移動しても確率モデルを変更することなくユーザ位置を推定する。
【解決手段】本発明は、タグリーダを有するユーザの位置の確率を、固定タグからの電波強度を使用して推定し(S1〜S4)、移動可能タグからの電波強度を使用して、推定された確率に対する重み付けを算出(S5、S6)することによりユーザの位置を推定するユーザ位置推定システムである。
【解決手段】本発明は、タグリーダを有するユーザの位置の確率を、固定タグからの電波強度を使用して推定し(S1〜S4)、移動可能タグからの電波強度を使用して、推定された確率に対する重み付けを算出(S5、S6)することによりユーザの位置を推定するユーザ位置推定システムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置推定システムに関し、特に、固定タグ及び移動可能タグの検出に基づいて、位置推定対象の位置を推定する位置推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無線タグの電波強度を用いてユーザの位置検出を行なう方式が提案されているが、無線タグの電波強度は環境の影響を受け易く、3台以上の無線タグリーダで受信した電波強度を用いた単純な三角測量で位置計測をしても精度は低い。
無線タグの電波強度に着目し、確率的なアプローチを用いて移動ロボットの位置推定を行なう手法が開発されている(非特許文献1参照。)。また、事前に取得したユーザの位置姿勢と、そこでの電波強度を確率分布で表わし、位置推定時には得られた電波強度から確率的に位置推定を行なう手法がある。この手法は、電波強度のみを位置推定に使用しており、ユーザの位置の過去履歴を合わせて用いることで、より高い位置推定を行なうことができる(非特許文献2参照。)。
【0003】
【非特許文献1】D Hahnel, W.Burgard, D.Fox, K. Fishkin, M.Philipose, "Mapping and Location with RFID Technology", Proc. of 2004 IEEE Int. Conf. On Robotics and Automation, pp.1015-1020, 2004
【0004】
【非特許文献2】伊藤、川口、”実環境における無線LANを用いた位置推定システムとその応用” 情報処理学会 研究報告、2004-MBL-30, pp.33-40, 2004/9/17
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載されたような無線タグの電波強度に着目した確率的なアプローチを用いた手法は、移動ロボットのオドメトリと併用する手法であり、ユーザの位置推定には適用することができない。また、非特許文献2に記載されたような手法は、位置推定対象であるユーザが移動した場合に、再度推定モデルを変更しなければならないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、位置推定対象が移動しても確率モデルを変更することなくユーザ位置を推定することができる位置推定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明によれば、タグリーダによって読み取られた予め固定位置が定められている固定タグ及び固定位置の定められておらず移動可能な移動可能タグからの電波強度及びタグの識別情報を受信する手段と、前記受信した固定タグからの電波強度及び固定タグの識別情報に基づいて、タグリーダの第1の推定位置を推定する第1の推定手段と、前回推定されたタグリーダの位置と、前記タグリーダの移動速度及び推定時間間隔に基づいて推定される移動距離とに基づいて、タグリーダの第2の推定位置を推定する第2の推定手段と、前記第1の推定位置及び前記第2の推定位置からタグリーダの位置の確率を算出する手段と、前記受信した移動可能タグからの電波強度、移動可能タグの識別情報及び前回推定された移動可能タグの位置とに基づいて、前記算出された確率が所定の確率以上の位置の中からタグリーダの位置を推定する推定位置算出手段とを具備することを特徴とする位置推定システム、である。
【0008】
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記第1の推定手段は、前記受信した固定タグからの電波強度から前記受信した固定タグの識別情報によって示される固定タグと前記タグリーダとの間の第1の距離を算出する手段をさらに具備し、前記第1の推定位置は、前記受信した固定タグの識別情報によって示される固定タグの位置を中心とした前記第1の距離を半径とする円周からの距離に基づいて推定され、前記第2の推定位置は、前回推定されたタグリーダの位置を中心とし、前記移動距離を半径とする円周内であることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記第1の推定位置は、固定タグの位置を中心とした前記第1の距離を半径とする円周からの距離にしたがって、異なる値の投票値が定義され、前記第2の推定位置は、前記前回推定されたタグリーダの位置を中心とし、前記移動距離を半径とする円周内に、所定の値の投票値が定義され、前記算出された確率は、前記第1の推定位置及び第2の推定位置において定義された投票値に基づいて決定されることを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記推定位置算出手段は、前記受信した移動可能タグからの電波強度から前記受信した移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグと前記タグリーダとの間の第2の距離を算出する手段と、前記受信した移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグの位置を中心とした前記第2の距離を半径とする円周から所定距離にしたがって、異なる値の投票値を投票する手段と、前記投票された投票値のうち、所定の投票値以上が定義された推定された位置の重みを、所定の投票値以上が定義された推定された位置の投票値に基づいて算出する手段と、前記算出された重み及び確率に基づいて、前記タグリーダの位置を算出する手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、前記移動可能タグのうち、所定の投票値以上が定義された位置に投票することのできない移動可能タグから受信した電波強度から、前記投票することのできない移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグと前記タグリーダとの間の第3の距離を算出する手段と、前記タグリーダの位置を中心とした前記第3の距離を半径とする円周から所定距離にしたがって、異なる値の投票値を所定の推定タイミング毎に投票する手段と、前記投票することのできない移動可能タグの属性に基づいて、所定の値の投票値を所定の位置に投票する手段と、前記投票することができない移動可能タグについて投票された投票値から、前記投票することができない移動可能タグの位置を推定する手段とをさらに具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、位置推定対象が移動しても確率モデルを変更することなくユーザ位置を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る位置推定システムについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる位置推定システムの使用環境を説明するための図である。
同図において、ユーザ1はタグリーダ2を有する。タグリーダ2は、移動しない物(壁3、机4、5、スタンド6)や移動物(椅子7、8)に取り付けられた無線タグ11−1〜11−6からのタグの識別情報及び電波強度を検出して、位置推定を行なう後述する位置算出サーバに出力する。
【0014】
本実施の形態においては、壁や机などの移動しない物に付けられた無線タグを固定タグとし、椅子などの移動することが可能な物に付けられた無線タグを移動可能タグとする。また、前提条件として、各無線タグ11−1〜11−6の初期位置は座標系A上のマップで既知である。ユーザは、タグリーダ2をもって移動し、無線タグ11−1〜11−6からの識別情報及び電波強度を検出する。
【0015】
本発明の実施の形態においては、移動可能タグのうち、いくつかのタグの位置が移動した場合でも、移動した移動可能タグの位置を更新しながらユーザの位置推定を行なうものである。
図2は、位置推定システムのハードウェア環境を説明するための図である。
【0016】
同図に示すように、インターネットなどのネットワーク21には、アクセスポイント22及び位置推定サーバ23が接続されている。タグリーダ2は、検出したタグの識別情報及び電波強度をアクセスポイント22及びネットワーク21を介して位置推定サーバ23に送信する。
【0017】
位置推定サーバ23は、タグリーダ2から送られてくるタグの識別情報及び電波強度に基づいて、本発明の実施の形態に係る位置推定処理を行なう。
図3は、位置推定サーバの構成を示す図である。
同図に示すように、バス31にはCPU32、通信I/F33、メモリ34及び記憶装置35が接続されている。
【0018】
CPU32は、記憶装置35に記憶された位置推定プログラム41と協働して、本発明の実施の形態に係る位置推定処理を行なう。
通信I/F33は、ネットワーク21を介した通信の制御を司る。メモリ34は、位置推定プログラムを実行する際のワークエリアなどとして使用される。
【0019】
記憶装置35は、位置推定プログラム41及びデータベース42を記憶する。位置推定プログラム41は、本発明の実施の形態に係る位置推定処理を実現するためのものである。データベース42はタグ識別情報、電波強度、タグ属性情報、検出時刻、各タグの位置情報、タグリーダの位置情報などの本発明の実施の形態における位置推定処理を実行するのに必要な情報を互いに関連付けて格納する。タグ属性情報は、タグの属性、例えば、固定タグ、移動可能タグの種別の他、机、椅子などのタグが付される対象を示し、予め定められたタグ識別情報の定義から把握されるものである。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態に係る位置推定処理を説明するためのフローチャートである。
同図に示すように、位置推定処理が開始されると、まず、タグリーダにより、各無線タグからの識別情報及び電波強度の読み取りが行なわれる(S1)。次に、読み取られた無線タグのうち、固定タグの電波強度及び識別情報から、当該固定タグとタグリーダとの間の距離を算出する。この距離の算出方法は、種々の方法が考えられるが、例えば、特開2004−53510号公報に開示された方法や、予め電波強度と距離とを実測して用いても良い。
【0021】
そして、算出された距離及び位置が既知の固定タグからの電波強度を使用して、タグリーダの位置を投票する(S2)。この投票は、図5に示すように、推定領域をX軸方向にn等分、Y軸方向にm等分した座標系Aをとり、例えば、各固定タグの位置ベクトル[XNo,YNo」を中心とし、電波強度から得られたタグリーダまでの距離rNoを半径とする円が通る領域X(i,j)に2を加算する。
【0022】
また、各固定タグの位置ベクトル[XNo,YNo」を中心とし、電波強度から得られたタグリーダまでの距離rNoを半径とする円と、同一中心上で、rNo±drを半径とする円の間の領域X(i,j)に1を加算する。図6は、位置が既知の固定タグ11−1〜11−3からタグリーダ2の位置を投票した場合を示す図である。
【0023】
次に、過去(時刻t−1)の時点のタグリーダの位置から現在(時刻t)のタグリーダ2の推定位置を投票する(S3)。この投票は、まず、タグリーダがあると推定される領域を求める。具体的には、タグリーダがあると推定される領域は、例えば、時刻tと時刻t−1間の経過時間と人間の歩く速度から移動距離hを求める。
【0024】
すると、時刻tにおけるタグリーダの位置は、時刻t−1におけるタグリーダの位置ベクトルXuser t-1を中心とし、半径hの円内と推定することができる。次に、時刻tにおいてタグリーダがあると推定される領域X(i,j)に投票する。投票は、タグリーダがあると推定できる円内の領域X(i,j)に1を加算する。図7は、時刻t−1の時点のタグリーダの位置から現在のタグリーダの推定位置を投票した場合を示す図である。
【0025】
その後、固定タグの投票結果と時刻tにタグリーダがあると予想される領域への投票結果から、現在の時刻tのタグリーダの位置の確率pijを式(1)に基づいて求める(S4)。
pij=qij/Σqij …(1)
ただし、qijは、領域X(i,j)へ投票された値の合計値
次に、移動可能タグからの電波強度と、マップ上の移動可能タグの位置からタグリーダの位置を投票する(S5)。
【0026】
具体的には、まず、検出された移動可能タグからの電波強度eM_No(M_Noは、移動可能タグのID)から移動可能タグとタグリーダ間の距離rM_Noを算出する。この距離の算出方法は、種々の方法が考えられるが、例えば、特開2004−53510号公報に開示された方法や、予め電波強度と距離とを実測して用いても良い。
【0027】
そして、投票が行なわれる。この時、固定タグで投票された確率pij>α(α:定数)以上の領域X(i,j)に投票できない移動可能タグは、移動可能性があると判断して、投票を行なわない。
投票は、各移動可能タグの位置ベクトル[XM_No,YM_No]を中心とし、電波強度から得られたタグリーダまでの距離rM_Noを半径とする円が通る領域X(i,j)に2を加算する。また、各移動可能タグの位置ベクトル[XM_No,YM_No]を中心とし、電波強度から得られたタグリーダまでの距離rM_Noを半径とする円と同一中心で、rM_No±drを半径とする円の間の領域X(i,j)に1を加算する。図8は、所定の確率以上の領域に投票することができる移動可能タグによる投票を説明するための図である。その後、得られた移動可能タグの投票値<βとなる領域の投票値を0とする。図9は、図8において投票値<β(=3)となる領域を0とした場合を説明するための図である。
【0028】
次に、投票値からタグリーダの位置の重みwijを算出する(S6)。
S6における重みの算出処理は、投票値β≧3となる領域について行なわれる。重みの算出は、下記式(2)に基づいて行なわれる。
wij=pijdij/Σpkldkl …(2)
(k=1,2,3,...,n, l=1,2,3,...,m)
ここで、pijは移動可能タグの確率、dijは移動可能タグの投票で得られた領域X(i,j)への投票値である。図10は、重み付け処理を行なうための投票値β≧3となる領域を示す図である。
【0029】
次に、S6において算出された重みに基づいて、タグリーダの位置を式(3)に基づいて算出する。
pt=Σwklxkl …(3)
(k=1,2,3,...,n, l=1,2,3,...,m)
これにより、タグリーダの位置を推定することができる。図11は、推定されたタグリーダの位置を示す図である。
【0030】
次に、移動した可能性のある移動可能タグの位置の投票を行なう(S8)。
この投票は、まず、移動可能性があると判断された移動可能タグの電波強度から移動タグ候補ベクトルm_xitを作成する。
m_xit={xt,mit) …(4)
ただし、mitは、時刻tのタグリーダ位置xtで計測された移動した可能性のある移動可能タグiの電波強度を示す。次に、移動可能性があると判断された移動可能タグの過去の移動タグ候補ベクトルを用いて投票を行なう。
【0031】
例えば、時刻t=s0から時刻t=s1までの移動タグ候補ベクトルm_xit(t=s0〜s1)で、移動候補タグiの位置を投票する。本実施の形態では、例えば、各時刻のタグリーダの位置ベクトル[Xt,Yt]を中心とし、電波強度mitから得られたタグリーダまでの距離ritを半径とする円が通る領域X(i,j)に2を加算する。また、各時刻のタグリーダの位置ベクトル[Xt,Yt]を中心とし、電波強度mitから得られたタグリーダまでの距離ritを半径とする円と、同一中心でrit±drを半径とする円の間の領域X(i,j)に1を加算する。図12は、移動した可能性のある移動可能タグの各時刻における投票結果を説明するための図である。
【0032】
次に、移動可能タグの属性に基づいて、移動候補タグの位置を投票する(S9)。本実施の形態においては、移動候補タグ=椅子であり、タグ11−3とタグ11−2は机であり、椅子は机の周辺にあるとして、中心を、タグ11−3とタグ11−2として、所定の半径Rの円内の領域X(i,j)に1を加算する。図13は、図12に示した領域に固定タグ11−2,11−3を中心とした半径Rの円内の領域に投票を行なった場合を示す図である。
【0033】
次に、移動候補タグiの存在確率m_pimnを式(5)に基づいて算出する(S10)。
m_pimn=m_qimn/Σm_qikl …(5)
(k=1,2,3,...,n, l=1,2,3,...,m)
ただし、m_qimnは、位置X(m,n)におけるタグiの投票値である。
【0034】
S10における処理後、移動候補タグiの重みを算出する(S11)。
この重みの算出は、確率m_pimn>γ(γ:所定値)以上の位置X(m,n)において、重みm_wimnを下記式(6)に基づいて算出する。図14は、図13に示した領域において、重みが付与される領域を示す図である。
【0035】
m_wimn=m_pimn/Σm_pikl …(6)
(k=1,2,3,...,n, l=1,2,3,...,m)
その後、移動した可能性のある無線タグiの位置を式(7)に基づいて算出し、マップにおいて移動可能タグiの位置を更新する(S12)。具体的には、算出された移動可能タグの位置情報をデータベースに登録する。
【0036】
m_xi=Σm_wklxkl …(7)
(k=1,2,3,...,n, l=1,2,3,...,m)
これにより、移動したタグの位置も自動的に更新することができ、固定タグ及び移動可能タグが混在する環境において、ユーザの位置を継続的に把握することができる。図15は、移動可能タグの位置を更新した領域を示す図である。
【0037】
本発明の実施の形態によれば、固定タグの電波強度と、予め与えられているタグ位置及び過去のユーザの位置から推定されるユーザの存在領域から、現在のタグリーダを保持したユーザの存在領域を確率分布で表現する。そして、移動可能タグの電波強度と、予め定められている予め定められているタグ位置と、ユーザの存在領域の確率分布とからユーザの存在領域の重みを算出し、重みの重心位置をユーザの位置と推定する。
【0038】
本発明の実施の形態によれば、移動可能タグのうちのユーザの存在領域に投票できない移動可能タグの電波強度を排除することで、ユーザの位置推定を高精度に行なうことができる。また、ユーザの移動履歴と各時点での電波強度からユーザの存在領域に投票できない移動可能タグの位置を推定することができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0040】
また、実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態にかかる位置推定システムの使用環境を説明するための図である。
【図2】位置推定システムのハードウェア環境を説明するための図である。
【図3】位置推定サーバの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る位置推定処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】推定領域の座標系を説明するための図である。
【図6】位置が既知の固定タグからの電波強度からタグリーダの位置を投票した場合を示す図である。
【図7】時刻t−1の時点のタグリーダの位置から現在のタグリーダの位置を投票した場合を示す図である。
【図8】所定の確率以上の領域に投票することができる移動可能タグによる投票を説明するための図である。
【図9】図8において投票値<β(=3)となる領域を0とした場合を説明するための図である。
【図10】重み付け処理を行なうための投票値β≧3となる領域を示す図である。
【図11】推定されたタグリーダの位置を示す図である。
【図12】移動した可能性のある移動可能タグの各時刻における投票結果を説明するための図である。
【図13】図12に示した領域に固定タグを中心とした半径の円内の領域に投票を行なった場合を示す図である。
【図14】図13に示した領域において、重みが付与される領域を示す図である。
【図15】移動可能タグの位置を更新した領域を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1…ユーザ、2…タグリーダ、3…壁、4、5…机、6…スタンド、7,8…椅子、11−1〜11−6…無線タグ、21…ネットワーク、22…アクセスポイント、23…位置推定サーバ、31…バス、32…CPU、33…通信インターフェイス、34…メモリ、35…記憶装置、41…位置推定プログラム、42…データベース。
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置推定システムに関し、特に、固定タグ及び移動可能タグの検出に基づいて、位置推定対象の位置を推定する位置推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無線タグの電波強度を用いてユーザの位置検出を行なう方式が提案されているが、無線タグの電波強度は環境の影響を受け易く、3台以上の無線タグリーダで受信した電波強度を用いた単純な三角測量で位置計測をしても精度は低い。
無線タグの電波強度に着目し、確率的なアプローチを用いて移動ロボットの位置推定を行なう手法が開発されている(非特許文献1参照。)。また、事前に取得したユーザの位置姿勢と、そこでの電波強度を確率分布で表わし、位置推定時には得られた電波強度から確率的に位置推定を行なう手法がある。この手法は、電波強度のみを位置推定に使用しており、ユーザの位置の過去履歴を合わせて用いることで、より高い位置推定を行なうことができる(非特許文献2参照。)。
【0003】
【非特許文献1】D Hahnel, W.Burgard, D.Fox, K. Fishkin, M.Philipose, "Mapping and Location with RFID Technology", Proc. of 2004 IEEE Int. Conf. On Robotics and Automation, pp.1015-1020, 2004
【0004】
【非特許文献2】伊藤、川口、”実環境における無線LANを用いた位置推定システムとその応用” 情報処理学会 研究報告、2004-MBL-30, pp.33-40, 2004/9/17
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載されたような無線タグの電波強度に着目した確率的なアプローチを用いた手法は、移動ロボットのオドメトリと併用する手法であり、ユーザの位置推定には適用することができない。また、非特許文献2に記載されたような手法は、位置推定対象であるユーザが移動した場合に、再度推定モデルを変更しなければならないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、位置推定対象が移動しても確率モデルを変更することなくユーザ位置を推定することができる位置推定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明によれば、タグリーダによって読み取られた予め固定位置が定められている固定タグ及び固定位置の定められておらず移動可能な移動可能タグからの電波強度及びタグの識別情報を受信する手段と、前記受信した固定タグからの電波強度及び固定タグの識別情報に基づいて、タグリーダの第1の推定位置を推定する第1の推定手段と、前回推定されたタグリーダの位置と、前記タグリーダの移動速度及び推定時間間隔に基づいて推定される移動距離とに基づいて、タグリーダの第2の推定位置を推定する第2の推定手段と、前記第1の推定位置及び前記第2の推定位置からタグリーダの位置の確率を算出する手段と、前記受信した移動可能タグからの電波強度、移動可能タグの識別情報及び前回推定された移動可能タグの位置とに基づいて、前記算出された確率が所定の確率以上の位置の中からタグリーダの位置を推定する推定位置算出手段とを具備することを特徴とする位置推定システム、である。
【0008】
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記第1の推定手段は、前記受信した固定タグからの電波強度から前記受信した固定タグの識別情報によって示される固定タグと前記タグリーダとの間の第1の距離を算出する手段をさらに具備し、前記第1の推定位置は、前記受信した固定タグの識別情報によって示される固定タグの位置を中心とした前記第1の距離を半径とする円周からの距離に基づいて推定され、前記第2の推定位置は、前回推定されたタグリーダの位置を中心とし、前記移動距離を半径とする円周内であることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記第1の推定位置は、固定タグの位置を中心とした前記第1の距離を半径とする円周からの距離にしたがって、異なる値の投票値が定義され、前記第2の推定位置は、前記前回推定されたタグリーダの位置を中心とし、前記移動距離を半径とする円周内に、所定の値の投票値が定義され、前記算出された確率は、前記第1の推定位置及び第2の推定位置において定義された投票値に基づいて決定されることを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記推定位置算出手段は、前記受信した移動可能タグからの電波強度から前記受信した移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグと前記タグリーダとの間の第2の距離を算出する手段と、前記受信した移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグの位置を中心とした前記第2の距離を半径とする円周から所定距離にしたがって、異なる値の投票値を投票する手段と、前記投票された投票値のうち、所定の投票値以上が定義された推定された位置の重みを、所定の投票値以上が定義された推定された位置の投票値に基づいて算出する手段と、前記算出された重み及び確率に基づいて、前記タグリーダの位置を算出する手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、前記移動可能タグのうち、所定の投票値以上が定義された位置に投票することのできない移動可能タグから受信した電波強度から、前記投票することのできない移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグと前記タグリーダとの間の第3の距離を算出する手段と、前記タグリーダの位置を中心とした前記第3の距離を半径とする円周から所定距離にしたがって、異なる値の投票値を所定の推定タイミング毎に投票する手段と、前記投票することのできない移動可能タグの属性に基づいて、所定の値の投票値を所定の位置に投票する手段と、前記投票することができない移動可能タグについて投票された投票値から、前記投票することができない移動可能タグの位置を推定する手段とをさらに具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、位置推定対象が移動しても確率モデルを変更することなくユーザ位置を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る位置推定システムについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる位置推定システムの使用環境を説明するための図である。
同図において、ユーザ1はタグリーダ2を有する。タグリーダ2は、移動しない物(壁3、机4、5、スタンド6)や移動物(椅子7、8)に取り付けられた無線タグ11−1〜11−6からのタグの識別情報及び電波強度を検出して、位置推定を行なう後述する位置算出サーバに出力する。
【0014】
本実施の形態においては、壁や机などの移動しない物に付けられた無線タグを固定タグとし、椅子などの移動することが可能な物に付けられた無線タグを移動可能タグとする。また、前提条件として、各無線タグ11−1〜11−6の初期位置は座標系A上のマップで既知である。ユーザは、タグリーダ2をもって移動し、無線タグ11−1〜11−6からの識別情報及び電波強度を検出する。
【0015】
本発明の実施の形態においては、移動可能タグのうち、いくつかのタグの位置が移動した場合でも、移動した移動可能タグの位置を更新しながらユーザの位置推定を行なうものである。
図2は、位置推定システムのハードウェア環境を説明するための図である。
【0016】
同図に示すように、インターネットなどのネットワーク21には、アクセスポイント22及び位置推定サーバ23が接続されている。タグリーダ2は、検出したタグの識別情報及び電波強度をアクセスポイント22及びネットワーク21を介して位置推定サーバ23に送信する。
【0017】
位置推定サーバ23は、タグリーダ2から送られてくるタグの識別情報及び電波強度に基づいて、本発明の実施の形態に係る位置推定処理を行なう。
図3は、位置推定サーバの構成を示す図である。
同図に示すように、バス31にはCPU32、通信I/F33、メモリ34及び記憶装置35が接続されている。
【0018】
CPU32は、記憶装置35に記憶された位置推定プログラム41と協働して、本発明の実施の形態に係る位置推定処理を行なう。
通信I/F33は、ネットワーク21を介した通信の制御を司る。メモリ34は、位置推定プログラムを実行する際のワークエリアなどとして使用される。
【0019】
記憶装置35は、位置推定プログラム41及びデータベース42を記憶する。位置推定プログラム41は、本発明の実施の形態に係る位置推定処理を実現するためのものである。データベース42はタグ識別情報、電波強度、タグ属性情報、検出時刻、各タグの位置情報、タグリーダの位置情報などの本発明の実施の形態における位置推定処理を実行するのに必要な情報を互いに関連付けて格納する。タグ属性情報は、タグの属性、例えば、固定タグ、移動可能タグの種別の他、机、椅子などのタグが付される対象を示し、予め定められたタグ識別情報の定義から把握されるものである。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態に係る位置推定処理を説明するためのフローチャートである。
同図に示すように、位置推定処理が開始されると、まず、タグリーダにより、各無線タグからの識別情報及び電波強度の読み取りが行なわれる(S1)。次に、読み取られた無線タグのうち、固定タグの電波強度及び識別情報から、当該固定タグとタグリーダとの間の距離を算出する。この距離の算出方法は、種々の方法が考えられるが、例えば、特開2004−53510号公報に開示された方法や、予め電波強度と距離とを実測して用いても良い。
【0021】
そして、算出された距離及び位置が既知の固定タグからの電波強度を使用して、タグリーダの位置を投票する(S2)。この投票は、図5に示すように、推定領域をX軸方向にn等分、Y軸方向にm等分した座標系Aをとり、例えば、各固定タグの位置ベクトル[XNo,YNo」を中心とし、電波強度から得られたタグリーダまでの距離rNoを半径とする円が通る領域X(i,j)に2を加算する。
【0022】
また、各固定タグの位置ベクトル[XNo,YNo」を中心とし、電波強度から得られたタグリーダまでの距離rNoを半径とする円と、同一中心上で、rNo±drを半径とする円の間の領域X(i,j)に1を加算する。図6は、位置が既知の固定タグ11−1〜11−3からタグリーダ2の位置を投票した場合を示す図である。
【0023】
次に、過去(時刻t−1)の時点のタグリーダの位置から現在(時刻t)のタグリーダ2の推定位置を投票する(S3)。この投票は、まず、タグリーダがあると推定される領域を求める。具体的には、タグリーダがあると推定される領域は、例えば、時刻tと時刻t−1間の経過時間と人間の歩く速度から移動距離hを求める。
【0024】
すると、時刻tにおけるタグリーダの位置は、時刻t−1におけるタグリーダの位置ベクトルXuser t-1を中心とし、半径hの円内と推定することができる。次に、時刻tにおいてタグリーダがあると推定される領域X(i,j)に投票する。投票は、タグリーダがあると推定できる円内の領域X(i,j)に1を加算する。図7は、時刻t−1の時点のタグリーダの位置から現在のタグリーダの推定位置を投票した場合を示す図である。
【0025】
その後、固定タグの投票結果と時刻tにタグリーダがあると予想される領域への投票結果から、現在の時刻tのタグリーダの位置の確率pijを式(1)に基づいて求める(S4)。
pij=qij/Σqij …(1)
ただし、qijは、領域X(i,j)へ投票された値の合計値
次に、移動可能タグからの電波強度と、マップ上の移動可能タグの位置からタグリーダの位置を投票する(S5)。
【0026】
具体的には、まず、検出された移動可能タグからの電波強度eM_No(M_Noは、移動可能タグのID)から移動可能タグとタグリーダ間の距離rM_Noを算出する。この距離の算出方法は、種々の方法が考えられるが、例えば、特開2004−53510号公報に開示された方法や、予め電波強度と距離とを実測して用いても良い。
【0027】
そして、投票が行なわれる。この時、固定タグで投票された確率pij>α(α:定数)以上の領域X(i,j)に投票できない移動可能タグは、移動可能性があると判断して、投票を行なわない。
投票は、各移動可能タグの位置ベクトル[XM_No,YM_No]を中心とし、電波強度から得られたタグリーダまでの距離rM_Noを半径とする円が通る領域X(i,j)に2を加算する。また、各移動可能タグの位置ベクトル[XM_No,YM_No]を中心とし、電波強度から得られたタグリーダまでの距離rM_Noを半径とする円と同一中心で、rM_No±drを半径とする円の間の領域X(i,j)に1を加算する。図8は、所定の確率以上の領域に投票することができる移動可能タグによる投票を説明するための図である。その後、得られた移動可能タグの投票値<βとなる領域の投票値を0とする。図9は、図8において投票値<β(=3)となる領域を0とした場合を説明するための図である。
【0028】
次に、投票値からタグリーダの位置の重みwijを算出する(S6)。
S6における重みの算出処理は、投票値β≧3となる領域について行なわれる。重みの算出は、下記式(2)に基づいて行なわれる。
wij=pijdij/Σpkldkl …(2)
(k=1,2,3,...,n, l=1,2,3,...,m)
ここで、pijは移動可能タグの確率、dijは移動可能タグの投票で得られた領域X(i,j)への投票値である。図10は、重み付け処理を行なうための投票値β≧3となる領域を示す図である。
【0029】
次に、S6において算出された重みに基づいて、タグリーダの位置を式(3)に基づいて算出する。
pt=Σwklxkl …(3)
(k=1,2,3,...,n, l=1,2,3,...,m)
これにより、タグリーダの位置を推定することができる。図11は、推定されたタグリーダの位置を示す図である。
【0030】
次に、移動した可能性のある移動可能タグの位置の投票を行なう(S8)。
この投票は、まず、移動可能性があると判断された移動可能タグの電波強度から移動タグ候補ベクトルm_xitを作成する。
m_xit={xt,mit) …(4)
ただし、mitは、時刻tのタグリーダ位置xtで計測された移動した可能性のある移動可能タグiの電波強度を示す。次に、移動可能性があると判断された移動可能タグの過去の移動タグ候補ベクトルを用いて投票を行なう。
【0031】
例えば、時刻t=s0から時刻t=s1までの移動タグ候補ベクトルm_xit(t=s0〜s1)で、移動候補タグiの位置を投票する。本実施の形態では、例えば、各時刻のタグリーダの位置ベクトル[Xt,Yt]を中心とし、電波強度mitから得られたタグリーダまでの距離ritを半径とする円が通る領域X(i,j)に2を加算する。また、各時刻のタグリーダの位置ベクトル[Xt,Yt]を中心とし、電波強度mitから得られたタグリーダまでの距離ritを半径とする円と、同一中心でrit±drを半径とする円の間の領域X(i,j)に1を加算する。図12は、移動した可能性のある移動可能タグの各時刻における投票結果を説明するための図である。
【0032】
次に、移動可能タグの属性に基づいて、移動候補タグの位置を投票する(S9)。本実施の形態においては、移動候補タグ=椅子であり、タグ11−3とタグ11−2は机であり、椅子は机の周辺にあるとして、中心を、タグ11−3とタグ11−2として、所定の半径Rの円内の領域X(i,j)に1を加算する。図13は、図12に示した領域に固定タグ11−2,11−3を中心とした半径Rの円内の領域に投票を行なった場合を示す図である。
【0033】
次に、移動候補タグiの存在確率m_pimnを式(5)に基づいて算出する(S10)。
m_pimn=m_qimn/Σm_qikl …(5)
(k=1,2,3,...,n, l=1,2,3,...,m)
ただし、m_qimnは、位置X(m,n)におけるタグiの投票値である。
【0034】
S10における処理後、移動候補タグiの重みを算出する(S11)。
この重みの算出は、確率m_pimn>γ(γ:所定値)以上の位置X(m,n)において、重みm_wimnを下記式(6)に基づいて算出する。図14は、図13に示した領域において、重みが付与される領域を示す図である。
【0035】
m_wimn=m_pimn/Σm_pikl …(6)
(k=1,2,3,...,n, l=1,2,3,...,m)
その後、移動した可能性のある無線タグiの位置を式(7)に基づいて算出し、マップにおいて移動可能タグiの位置を更新する(S12)。具体的には、算出された移動可能タグの位置情報をデータベースに登録する。
【0036】
m_xi=Σm_wklxkl …(7)
(k=1,2,3,...,n, l=1,2,3,...,m)
これにより、移動したタグの位置も自動的に更新することができ、固定タグ及び移動可能タグが混在する環境において、ユーザの位置を継続的に把握することができる。図15は、移動可能タグの位置を更新した領域を示す図である。
【0037】
本発明の実施の形態によれば、固定タグの電波強度と、予め与えられているタグ位置及び過去のユーザの位置から推定されるユーザの存在領域から、現在のタグリーダを保持したユーザの存在領域を確率分布で表現する。そして、移動可能タグの電波強度と、予め定められている予め定められているタグ位置と、ユーザの存在領域の確率分布とからユーザの存在領域の重みを算出し、重みの重心位置をユーザの位置と推定する。
【0038】
本発明の実施の形態によれば、移動可能タグのうちのユーザの存在領域に投票できない移動可能タグの電波強度を排除することで、ユーザの位置推定を高精度に行なうことができる。また、ユーザの移動履歴と各時点での電波強度からユーザの存在領域に投票できない移動可能タグの位置を推定することができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0040】
また、実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態にかかる位置推定システムの使用環境を説明するための図である。
【図2】位置推定システムのハードウェア環境を説明するための図である。
【図3】位置推定サーバの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る位置推定処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】推定領域の座標系を説明するための図である。
【図6】位置が既知の固定タグからの電波強度からタグリーダの位置を投票した場合を示す図である。
【図7】時刻t−1の時点のタグリーダの位置から現在のタグリーダの位置を投票した場合を示す図である。
【図8】所定の確率以上の領域に投票することができる移動可能タグによる投票を説明するための図である。
【図9】図8において投票値<β(=3)となる領域を0とした場合を説明するための図である。
【図10】重み付け処理を行なうための投票値β≧3となる領域を示す図である。
【図11】推定されたタグリーダの位置を示す図である。
【図12】移動した可能性のある移動可能タグの各時刻における投票結果を説明するための図である。
【図13】図12に示した領域に固定タグを中心とした半径の円内の領域に投票を行なった場合を示す図である。
【図14】図13に示した領域において、重みが付与される領域を示す図である。
【図15】移動可能タグの位置を更新した領域を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1…ユーザ、2…タグリーダ、3…壁、4、5…机、6…スタンド、7,8…椅子、11−1〜11−6…無線タグ、21…ネットワーク、22…アクセスポイント、23…位置推定サーバ、31…バス、32…CPU、33…通信インターフェイス、34…メモリ、35…記憶装置、41…位置推定プログラム、42…データベース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグリーダによって読み取られた予め固定位置が定められている固定タグ及び固定位置の定められておらず移動可能な移動可能タグからの電波強度及びタグの識別情報を受信する手段と、
前記受信した固定タグからの電波強度及び固定タグの識別情報に基づいて、タグリーダの第1の推定位置を推定する第1の推定手段と、
前回推定されたタグリーダの位置と、前記タグリーダの移動速度及び推定時間間隔に基づいて推定される移動距離とに基づいて、タグリーダの第2の推定位置を推定する第2の推定手段と、
前記第1の推定位置及び前記第2の推定位置からタグリーダの位置の確率を算出する手段と、
前記受信した移動可能タグからの電波強度、移動可能タグの識別情報及び前回推定された移動可能タグの位置とに基づいて、前記算出された確率が所定の確率以上の位置の中からタグリーダの位置を推定する推定位置算出手段と
を具備することを特徴とする位置推定システム。
【請求項2】
前記第1の推定手段は、前記受信した固定タグからの電波強度から前記受信した固定タグの識別情報によって示される固定タグと前記タグリーダとの間の第1の距離を算出する手段をさらに具備し、
前記第1の推定位置は、前記受信した固定タグの識別情報によって示される固定タグの位置を中心とした前記第1の距離を半径とする円周からの距離に基づいて推定され、
前記第2の推定位置は、前回推定されたタグリーダの位置を中心とし、前記移動距離を半径とする円周内であることを特徴とする請求項1記載の位置推定システム。
【請求項3】
前記第1の推定位置は、固定タグの位置を中心とした前記第1の距離を半径とする円周からの距離にしたがって、異なる値の投票値が定義され、
前記第2の推定位置は、前記前回推定されたタグリーダの位置を中心とし、前記移動距離を半径とする円周内に、所定の値の投票値が定義され、
前記算出された確率は、前記第1の推定位置及び第2の推定位置において定義された投票値に基づいて決定されることを特徴とする請求項2記載の位置推定システム。
【請求項4】
前記推定位置算出手段は、
前記受信した移動可能タグからの電波強度から前記受信した移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグと前記タグリーダとの間の第2の距離を算出する手段と、
前記受信した移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグの位置を中心とした前記第2の距離を半径とする円周から所定距離にしたがって、異なる値の投票値を投票する手段と、
前記投票された投票値のうち、所定の投票値以上が定義された推定された位置の重みを、所定の投票値以上が定義された推定された位置の投票値に基づいて算出する手段と、
前記算出された重み及び確率に基づいて、前記タグリーダの位置を算出する手段と
を具備することを特徴とする請求項3記載の位置推定システム。
【請求項5】
前記移動可能タグのうち、所定の投票値以上が定義された位置に投票することのできない移動可能タグから受信した電波強度から、前記投票することのできない移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグと前記タグリーダとの間の第3の距離を算出する手段と、
前記タグリーダの位置を中心とした前記第3の距離を半径とする円周から所定距離にしたがって、異なる値の投票値を所定の推定タイミング毎に投票する手段と、
前記投票することのできない移動可能タグの属性に基づいて、所定の値の投票値を所定の位置に投票する手段と、
前記投票することができない移動可能タグについて投票された投票値から、前記投票することができない移動可能タグの位置を推定する手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項4記載の位置推定システム。
【請求項6】
タグリーダによって読み取られた予め固定位置が定められている固定タグ及び固定位置の定められておらず移動可能な移動可能タグからの電波強度及びタグの識別情報を受信し、
前記受信した固定タグからの電波強度及び固定タグの識別情報に基づいて、タグリーダの第1の推定位置を推定し、
前回推定されたタグリーダの位置と、前記タグリーダの移動速度及び推定時間間隔に基づいて推定される移動距離とに基づいて、タグリーダの第2の推定位置を推定し、
前記第1の推定位置及び前記第2の推定位置からタグリーダの位置の確率を算出し、
前記受信した移動可能タグからの電波強度、移動可能タグの識別情報及び前回推定された移動可能タグの位置とに基づいて、前記算出された確率が所定の確率以上の位置の中からタグリーダの位置を推定することを特徴とする位置推定システムにおける位置推定方法。
【請求項7】
前記第1の推定位置の推定は、前記受信した固定タグからの電波強度から前記受信した固定タグの識別情報によって示される固定タグと前記タグリーダとの間の第1の距離を算出することをさらに具備し、
前記第1の推定位置は、前記受信した固定タグの識別情報によって示される固定タグの位置を中心とした前記第1の距離を半径とする円周からの距離に基づいて推定され、
前記第2の推定位置は、前回推定されたタグリーダの位置を中心とし、前記移動距離を半径とする円周内であることを特徴とする請求項6記載の位置推定方法。
【請求項8】
前記第1の推定位置は、固定タグの位置を中心とした前記第1の距離を半径とする円周からの距離にしたがって、異なる値の投票値が定義され、
前記第2の推定位置は、前記前回推定されたタグリーダの位置を中心とし、前記移動距離を半径とする円周内に、所定の値の投票値が定義され、
前記算出された確率は、前記第1の推定位置及び第2の推定位置において定義された投票値に基づいて決定されることを特徴とする請求項7記載の位置推定方法。
【請求項9】
前記タグリーダの位置の推定は、
前記受信した移動可能タグからの電波強度から前記受信した移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグと前記タグリーダとの間の第2の距離を算出し、
前記受信した移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグの位置を中心とした前記第2の距離を半径とする円周から所定距離にしたがって、異なる値の投票値を投票し、
前記投票された投票値のうち、所定の投票値以上が定義された推定された位置の重みを、所定の投票値以上が定義された推定された位置の投票値に基づいて算出し、
前記算出された重み及び確率に基づいて、前記タグリーダの位置を算出することを特徴とする請求項8記載の位置推定システムにおける位置推定方法。
【請求項10】
前記移動可能タグのうち、所定の投票値以上が定義された位置に投票することのできない移動可能タグから受信した電波強度から、前記投票することのできない移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグと前記タグリーダとの間の第3の距離を算出し、
前記タグリーダの位置を中心とした前記第3の距離を半径とする円周から所定距離にしたがって、異なる値の投票値を所定の推定タイミング毎に投票し、
前記投票することのできない移動可能タグの属性に基づいて、所定の値の投票値を所定の位置に投票し、
前記投票することができない移動可能タグについて投票された投票値から、前記投票することができない移動可能タグの位置を推定することをさらに具備することを特徴とする請求項9記載の位置推定システムにおける位置推定方法。
【請求項1】
タグリーダによって読み取られた予め固定位置が定められている固定タグ及び固定位置の定められておらず移動可能な移動可能タグからの電波強度及びタグの識別情報を受信する手段と、
前記受信した固定タグからの電波強度及び固定タグの識別情報に基づいて、タグリーダの第1の推定位置を推定する第1の推定手段と、
前回推定されたタグリーダの位置と、前記タグリーダの移動速度及び推定時間間隔に基づいて推定される移動距離とに基づいて、タグリーダの第2の推定位置を推定する第2の推定手段と、
前記第1の推定位置及び前記第2の推定位置からタグリーダの位置の確率を算出する手段と、
前記受信した移動可能タグからの電波強度、移動可能タグの識別情報及び前回推定された移動可能タグの位置とに基づいて、前記算出された確率が所定の確率以上の位置の中からタグリーダの位置を推定する推定位置算出手段と
を具備することを特徴とする位置推定システム。
【請求項2】
前記第1の推定手段は、前記受信した固定タグからの電波強度から前記受信した固定タグの識別情報によって示される固定タグと前記タグリーダとの間の第1の距離を算出する手段をさらに具備し、
前記第1の推定位置は、前記受信した固定タグの識別情報によって示される固定タグの位置を中心とした前記第1の距離を半径とする円周からの距離に基づいて推定され、
前記第2の推定位置は、前回推定されたタグリーダの位置を中心とし、前記移動距離を半径とする円周内であることを特徴とする請求項1記載の位置推定システム。
【請求項3】
前記第1の推定位置は、固定タグの位置を中心とした前記第1の距離を半径とする円周からの距離にしたがって、異なる値の投票値が定義され、
前記第2の推定位置は、前記前回推定されたタグリーダの位置を中心とし、前記移動距離を半径とする円周内に、所定の値の投票値が定義され、
前記算出された確率は、前記第1の推定位置及び第2の推定位置において定義された投票値に基づいて決定されることを特徴とする請求項2記載の位置推定システム。
【請求項4】
前記推定位置算出手段は、
前記受信した移動可能タグからの電波強度から前記受信した移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグと前記タグリーダとの間の第2の距離を算出する手段と、
前記受信した移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグの位置を中心とした前記第2の距離を半径とする円周から所定距離にしたがって、異なる値の投票値を投票する手段と、
前記投票された投票値のうち、所定の投票値以上が定義された推定された位置の重みを、所定の投票値以上が定義された推定された位置の投票値に基づいて算出する手段と、
前記算出された重み及び確率に基づいて、前記タグリーダの位置を算出する手段と
を具備することを特徴とする請求項3記載の位置推定システム。
【請求項5】
前記移動可能タグのうち、所定の投票値以上が定義された位置に投票することのできない移動可能タグから受信した電波強度から、前記投票することのできない移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグと前記タグリーダとの間の第3の距離を算出する手段と、
前記タグリーダの位置を中心とした前記第3の距離を半径とする円周から所定距離にしたがって、異なる値の投票値を所定の推定タイミング毎に投票する手段と、
前記投票することのできない移動可能タグの属性に基づいて、所定の値の投票値を所定の位置に投票する手段と、
前記投票することができない移動可能タグについて投票された投票値から、前記投票することができない移動可能タグの位置を推定する手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項4記載の位置推定システム。
【請求項6】
タグリーダによって読み取られた予め固定位置が定められている固定タグ及び固定位置の定められておらず移動可能な移動可能タグからの電波強度及びタグの識別情報を受信し、
前記受信した固定タグからの電波強度及び固定タグの識別情報に基づいて、タグリーダの第1の推定位置を推定し、
前回推定されたタグリーダの位置と、前記タグリーダの移動速度及び推定時間間隔に基づいて推定される移動距離とに基づいて、タグリーダの第2の推定位置を推定し、
前記第1の推定位置及び前記第2の推定位置からタグリーダの位置の確率を算出し、
前記受信した移動可能タグからの電波強度、移動可能タグの識別情報及び前回推定された移動可能タグの位置とに基づいて、前記算出された確率が所定の確率以上の位置の中からタグリーダの位置を推定することを特徴とする位置推定システムにおける位置推定方法。
【請求項7】
前記第1の推定位置の推定は、前記受信した固定タグからの電波強度から前記受信した固定タグの識別情報によって示される固定タグと前記タグリーダとの間の第1の距離を算出することをさらに具備し、
前記第1の推定位置は、前記受信した固定タグの識別情報によって示される固定タグの位置を中心とした前記第1の距離を半径とする円周からの距離に基づいて推定され、
前記第2の推定位置は、前回推定されたタグリーダの位置を中心とし、前記移動距離を半径とする円周内であることを特徴とする請求項6記載の位置推定方法。
【請求項8】
前記第1の推定位置は、固定タグの位置を中心とした前記第1の距離を半径とする円周からの距離にしたがって、異なる値の投票値が定義され、
前記第2の推定位置は、前記前回推定されたタグリーダの位置を中心とし、前記移動距離を半径とする円周内に、所定の値の投票値が定義され、
前記算出された確率は、前記第1の推定位置及び第2の推定位置において定義された投票値に基づいて決定されることを特徴とする請求項7記載の位置推定方法。
【請求項9】
前記タグリーダの位置の推定は、
前記受信した移動可能タグからの電波強度から前記受信した移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグと前記タグリーダとの間の第2の距離を算出し、
前記受信した移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグの位置を中心とした前記第2の距離を半径とする円周から所定距離にしたがって、異なる値の投票値を投票し、
前記投票された投票値のうち、所定の投票値以上が定義された推定された位置の重みを、所定の投票値以上が定義された推定された位置の投票値に基づいて算出し、
前記算出された重み及び確率に基づいて、前記タグリーダの位置を算出することを特徴とする請求項8記載の位置推定システムにおける位置推定方法。
【請求項10】
前記移動可能タグのうち、所定の投票値以上が定義された位置に投票することのできない移動可能タグから受信した電波強度から、前記投票することのできない移動可能タグの識別情報によって示される移動可能タグと前記タグリーダとの間の第3の距離を算出し、
前記タグリーダの位置を中心とした前記第3の距離を半径とする円周から所定距離にしたがって、異なる値の投票値を所定の推定タイミング毎に投票し、
前記投票することのできない移動可能タグの属性に基づいて、所定の値の投票値を所定の位置に投票し、
前記投票することができない移動可能タグについて投票された投票値から、前記投票することができない移動可能タグの位置を推定することをさらに具備することを特徴とする請求項9記載の位置推定システムにおける位置推定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−303871(P2007−303871A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130359(P2006−130359)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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