説明

位置検出システム、発信装置、位置検出方法および位置検出プログラム

【課題】受信装置の位置検出を確実に行なうことができる位置検出システムを提供する。
【解決手段】複数の発信装置1と、受信装置2と、受信装置2にネットワーク4で接続された位置情報取得装置3とを備えた位置検出システムにおいて、発信装置1は、発信装置識別情報を発信信号に変換し、所定の指向性で送信する光発信部7を備え、受信装置2は、発信信号を受信する光受信部11と、受信した発信装置識別情報と、受信装置識別情報とを関連付けて検出情報として記憶する記憶部14と、記憶部14の記憶を制御する制御演算部13と、検出情報を送信する通信部15と、を備え、位置情報取得装置3は、検出情報を受信する通信部16と、発信装置1の発信装置設置情報と発信装置識別情報とを関連付けて発信装置情報として記憶する記憶部18と、受信した検出情報と、発信装置情報とから受信装置位置情報を取得する制御演算部17と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置の位置を特定する位置検出システム、発信装置、位置検出方法および位置検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
固定された発信装置から発信された指向性を有する信号を受信して、受信装置の現在位置を特定する位置検出システムにおいて、隣接する発信装置から発信する信号が重なり合う領域が発生する場合がある。
【0003】
この様な場合、例えば、特許文献1では、図26のように、隣接する赤外線発光器100および110からの送信データ(ビーコン信号)の重なり領域(A+B)が生じて、赤外線発光器100、110の各送信データに割り当てられた符号が重なっても、その符号の論理和が重なり領域の位置を示すデータになるように送信データのパルス信号をあらかじめ設定することにより、重なり領域を識別している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−297466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、近接する3つ以上の赤外線発光器による重なり領域が発生する場合、複数の重なり領域を識別するための符号の組み合わせを考えて発信装置の設置を行なわなければならないため、設置作業が煩雑となるという問題がある。さらに、論理和による重なり領域を表現するため送信データの正確な同期機構が必要な点や、構成によっては重なり領域のビーコン数に上限があるなどの問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、受信装置の位置検出を確実に行なうことができる位置検出システム、発信装置、位置検出方法および位置検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の発信装置と、受信装置と、前記受信装置にネットワークで接続され、前記受信装置の現在位置を示す受信装置位置情報を取得する位置情報取得装置とを備えた位置検出システムにおいて、前記発信装置は、前記発信装置を識別する発信装置識別情報を発信信号に変換し、所定の指向性で送信する第1の送信手段を備え、前記受信装置は、前記発信信号である前記発信装置識別情報を受信する第1の受信手段と、受信した一つまたは複数の前記発信装置識別情報と、前記受信装置を識別する受信装置識別情報とを関連付けて検出情報として記憶する検出情報記憶手段と、前記検出情報記憶手段の記憶を制御する制御手段と、前記検出情報を送信する第2の送信手段と、を備え、前記位置情報取得装置は、前記検出情報を受信する第2の受信手段と、前記発信装置の設置位置を示す発信装置設置情報と前記発信装置識別情報とを関連付けて発信装置情報として記憶する発信装置情報記憶手段と、受信した前記検出情報と、前記発信装置情報とから前記受信装置位置情報を取得する取得手段と、を備えたこと、を特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記発信装置において、他の前記発信装置が送信した他の発信信号を受信する第3の受信手段と、前記他の発信信号を受信した場合、前記発信信号の送信を第1の所定時間だけ遅延する遅延手段をさらに備え、前記受信装置において、前記制御手段は、前記第1の所定時間より長い第2の所定時間内に受信した前記発信装置識別情報を検出情報として記憶するように前記検出情報記憶手段を制御すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記発信装置において、複数の拡散符号を生成する拡散符号生成手段と、所望の拡散符号を選択する選択手段と、前記発信装置識別情報を前記所望の拡散符号により拡散変調した発信信号を生成する信号合成手段と、をさらに備え、前記受信装置において、前記複数の拡散符号を生成する拡散符号生成手段と、前記発信信号を前記所望の拡散符号により逆拡散し、前記発信装置識別情報に復調する復調手段と、をさらに備え、前記制御手段は、第3の所定時間内に受信した前記発信装置識別情報を検出情報として記憶するように前記検出情報記憶手段を制御すること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記発信装置において、前記信号合成手段は、さらに前記発信信号の発信周期を示す発信周期情報を前記所望の拡散符号により拡散変調した発信信号を生成し、前記受信装置において、前記制御手段は、前記第3の所定時間を前記発信周期より長い時間に設定すること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記発信装置において、他の前記発信装置が送信した他の発信信号を受信する第4の受信手段と、前記他の発信信号を拡散変調した拡散符号を判定する第1の判定手段と、を備え、前記選択手段は、前記第1の判定手段が判定した前記拡散符号以外の拡散符号を、前記所望の拡散符号として選択すること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記受信装置は、前記発信信号を拡散変調した前記所望の拡散符号を判定する第2の判定手段をさらに備えたこと、を特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記受信装置において、前記検出情報記憶手段は、さらに、一つまたは複数の前記発信装置識別情報を受信した時刻を示す時刻情報を関連付けて記憶すること、を特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記位置情報取得装置において、前記取得手段は、受信した前記検出情報と、前記検出情報を受信した時刻を示す時刻情報と、前記発信装置情報とから前記受信装置位置情報を取得すること、を特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記第1の送信手段は、前記発信信号を光信号として送信し、前記第1の受信手段は、前記光信号を受信すること、を特徴とする。
【0016】
また、本発明は、一意に決まる発信装置識別情報を送信する発信装置において、前記発信装置識別情報を光信号として送信する送信手段と、他の発信装置が送信した前記光信号である他の光信号を受信する受信手段と、前記他の光信号を受信した場合、前記光信号の送信を所定時間だけ遅延する遅延手段と、を備えたこと、を特徴とする。
【0017】
また、本発明は、複数の発信装置と、受信装置と、前記受信装置にネットワークで接続され、前記受信装置の現在位置を示す受信装置位置情報を取得する位置情報取得装置とを備えた位置検出システムで実行される位置検出方法であって、前記位置情報取得装置が、前記発信装置の設置位置を示す発信装置設置情報と前記発信装置を識別する発信装置識別情報とを関連付けて発信装置情報として記憶する発信装置情報記憶手段を備え、前記発信装置が、前記発信装置識別情報を発信信号に変換し、所定の指向性で送信する第1の送信ステップと、前記受信装置が、前記発信信号である前記発信装置識別情報を受信する第1の受信ステップと、前記受信装置が、前記第1の受信ステップで受信した一つまたは複数の前記発信装置識別情報と、前記受信装置を識別する受信装置識別情報とを関連付けて検出情報として記憶する検出情報記憶ステップと、前記受信装置が、前記検出情報を送信する第2の送信ステップと、前記位置情報取得装置が、前記検出情報を受信する第2の受信ステップと、前記位置情報取得装置が、前記第2の受信ステップで受信した前記検出情報と、前記発信装置情報とから前記受信装置位置情報を取得する取得ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0018】
また、本発明は、位置検出方法をコンピュータに実行させる位置検出プログラムであること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発信装置は、発信装置の識別情報を所定の指向性を有する発信信号(ビーコン信号)で送信し、受信装置は、受信した発信装置の識別情報と受信装置の識別情報とを関連付けて検出情報として送信し、位置情報取得装置は、受信した検出情報と、記憶していた発信装置の設置情報と識別情報とを関連付けた発信装置情報とから、受信装置の現在の位置情報を取得できるので、受信装置の位置検出を確実に行なうことができるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明によれば、発信装置が他の発信装置からの発信信号(ビーコン信号)の受信の有無により、自身の発信信号(ビーコン信号)をそのまま周期的に送信したり、一定の時間遅延した後に周期的に送信したりするので、各発信装置から発信される複数の発信信号(ビーコン信号)が重なって照射される範囲でもこれらの発信信号(ビーコン信号)を重ならせずに発信装置の周期時間(発信周期)内に全て収納することができ、受信装置がこれらの発信信号(ビーコン信号)を確実に受信することができるので、発信装置が密に設置されていても受信装置の位置検出を確実に行なうことができるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明によれば、発信装置が、他の発信装置とは異なる拡散符号により自己の発信装置の識別情報を拡散変調した発信信号(ビーコン信号)を送信するので、各発信装置から発信される複数の発信信号(ビーコン信号)が重なって照射される範囲でも、受信装置が、受信した発信信号(ビーコン信号)を発信装置と同じ拡散符号により逆拡散し、発信装置の識別情報を正確に取得することができるので、発信装置が密に設置されていても受信装置の位置検出を確実に行なうことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる位置検出システム、発信装置、位置検出方法および位置検出プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示す概略図であり、図2は、第1の実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示すブロック図である。位置検出システムは、複数の発信装置1、受信装置2、および、位置情報取得装置3を備えて構成されており、さらに、受信装置2と位置情報取得装置3は、無線および有線のネットワーク4を介して互いに接続された構成となっている。
【0024】
発信装置1は、あらかじめ決められた一定の周期時間(発信周期)で所定の方向(図1では下側)にビーコンIDを含むビーコン信号5を光信号として発信する。なお、発信装置1がビーコン信号5を発信する発信周期は、全ての発信装置1で同じである。発信装置1は、天井や壁などの施設に一定の間隔で複数設置される。発信装置1は、記憶部6、光発信部7、光受信部8、遅延部9、および、制御演算部10を備えて構成されている。ここで、ビーコンIDとは、複数の発信装置1それぞれに事前に付与されているユニークな番号のことであり、複数の発信装置1それぞれを一意に識別することが可能な識別情報である。
【0025】
図3は、ビーコン信号5の構成の一例を示す図である。ビーコン信号5は、受信時に同期を取るために所定のビット長を有するプリアンブル信号20、ビーコンIDの開始位置を示すスタート信号21、ビーコンIDを示すビーコンID信号22、および、ビーコンID信号22の終了とデータの誤り訂正情報とを示すCRC信号23からなる。
【0026】
記憶部6は、ビーコンIDを記憶し、例えば、ROMやRAMなどからなる。光発信部7は、ビーコンIDを含むビーコン信号5を変調し、光信号で送信する。光発信部7は、ビーコン信号5を光信号に変調する変調回路と、変調した光信号を送信するLEDやレーザーなどの発光素子からなる。なお、信号変調方式は光通信などで一般に用いる方式でよく、例えば、消費電力や使用環境などを考慮してASK(振幅偏移変調)やPPM(パルス位置変調)方式などの光変調方式を用いればよい。
【0027】
光受信部8は、光信号を受信し、ビーコン信号5に復調する。なお、光受信部8が受信する光信号は、床面などで反射した自身のビーコン信号5の場合と床面などで反射した他の発信装置1のビーコン信号5の場合がある。光受信部8は、光信号を受信するフォトダイオードやフォトトランジスタなどの光検出素子と、受信した光信号をビーコン信号5に復調する復調回路とからなる。
【0028】
遅延部9は、光受信部8が他の発信装置1のビーコン信号5を受信すると、所定の時間だけ光発信部8から自身のビーコン信号5の送信を遅延する。制御演算部10は、発信装置1を構成する各部の制御や様々な処理を行い、処理の一つとして、ビーコン信号5の送信を制御する。遅延部9および制御演算部10は、例えば、CPUなどが使用される。
【0029】
受信装置2は、発信装置1から発信されたビーコン信号5を受信するとともに、受信したビーコン信号5から得られたビーコンIDと後述する機器IDとを関連付けた検出情報を送信する。受信装置2は、発信装置1が設置されている室内などを、受信装置2を携帯した人や受信装置2を設置した機器などが移動することにより人または機器と一緒に移動する。なお、受信装置2は、移動中も発信装置1からのビーコン信号5を受信可能な位置に配置される。受信装置2は、光受信部11、判定部12、制御演算部13、記憶部14、および、通信部15を備えて構成されている。
【0030】
光受信部11は、光信号を受信し、ビーコン信号5に復調する。光受信部11は、光信号を受信するフォトダイオードやフォトトランジスタなどの光検出素子と、受信した光信号をビーコン信号5に復調する復調回路とからなる。なお、本実施の形態では、光受信部11は、発信装置1の周期時間(発信周期)内に一つまたは複数のビーコン信号5を受信する。
【0031】
判定部12は、発信装置1の周期時間(発信周期)が経過したか否かを判定する。制御演算部13は、受信装置2を構成する各部の制御や様々な処理を行い、処理の一つとして、発信装置1の周期時間(発信周期)内に受信した一つまたは複数のビーコン信号5に含まれているビーコンIDを識別する。判定部12および制御演算部13は、例えば、CPUなどが使用される。
【0032】
記憶部14は、受信装置2の機器IDをあらかじめ記憶するとともに、受信したビーコン信号5から得られたビーコンIDと機器IDとを関連付けた検出情報を記憶する。ここで、機器IDとは、受信装置2に事前に付与されているユニークな番号のことであり、受信装置2を一意に識別することが可能な識別情報である。図4は、検出情報の構成の一例を示す図である。記憶部14は、例えば、RAMなどからなる。
【0033】
通信部15は、ネットワーク4を介して位置情報取得装置3と、例えば、無線LANなどを使用して通信を行う。通信部15は、通信機能の一つとして、記憶部14に記憶された検出情報を、位置情報取得装置3へ送信する。
【0034】
位置情報取得装置3は、受信装置2から送信された検出情報を受信するとともに、受信した検出検出情報、当該検出情報を受信した時刻情報、および、発信装置1の設置位置を示す設置情報とビーコンIDとを関連付けた発信装置情報から受信装置2の現在位置を示す位置情報を取得し、必要に応じて、これらの情報を様々な位置情報利用サービスへ提供する。位置情報取得装置3は、通信部16、制御演算部17、および、記憶部18を備えて構成されている。
【0035】
通信部16は、ネットワーク4を介して受信装置2と、例えば、無線LANなどを使用して通信を行う。通信部16は、通信機能の一つとして、ビーコンIDと機器IDとを関連付けた検出情報を、受信装置2から受信する。
【0036】
制御演算部17は、位置情報取得装置3を構成する各部の制御や様々な処理を行う。制御演算部17は、その処理の一つとして、受信装置2から受信したビーコンIDと機器IDとを関連付けた検出情報、当該検出情報を受信した時刻情報、および、発信装置1の設置位置を示す設置情報とビーコンIDとを関連付けた発信装置情報から受信装置2の位置情報を取得する。ここで、実際の位置情報とは、受信装置2が何処にいたかを時刻ごとに示す情報である。制御演算部17は、例えば、CPUなどが使用される。
【0037】
記憶部18は、発信装置1の発信装置情報をあらかじめ記憶するとともに、取得した受信装置2の位置情報を記憶する。なお、記憶部18は、ネットワーク4を介して参照可能ならば位置情報取得装置3内ではなく、例えば、単独の記憶装置としてネットワーク4に存在してもよい。記憶部18は、例えば、RAMやHDDなどからなる。
【0038】
(位置検出方法)
受信装置2の位置を検出する方法について説明する。初めに、受信装置2が発信装置1からの光信号(ビーコン信号5)を、確実に受信する仕組みについて説明する。図5は、発信装置1が光信号(ビーコン信号5)を発信する領域(照射範囲)を説明する図である。図では、隣接する2つの発信装置1(ここでは、発信装置1A、発信装置1Bとする)は、それぞれ下側に光信号(ここでは、ビーコン信号5A、ビーコン信号5Bとする)を周期的(通常は、1〜数秒の範囲)に発信しており、その指向性により発信領域(照射範囲)は、ほぼ固定されている。
【0039】
ここで、照射範囲Aは、発信装置1Aのビーコン信号5Aが照射される範囲、照射範囲Bは、発信装置1Bのビーコン信号5Bが照射される範囲を表し、さらに、照射範囲Cは、発信装置1Aのビーコン信号5Aと発信装置1Bのビーコン信号5Bとが重なって照射される範囲を表す。受信装置2は、照射範囲A〜Cのいずれかの領域におり、ビーコン信号5を受信するが、ここで、発信装置1Aおよび発信装置1Bは、互いに相手のビーコン信号5の発信周期と重ならないように、自身のビーコン信号5を周期的に発信する。
【0040】
図6は、受信装置2が各照射範囲にいる場合に、受信装置2が受信するビーコン信号5を表す図である。受信装置2は、照射範囲Aでは、発信装置1Aのビーコン信号5Aのみを発信周期ごとに1回受信し、照射範囲Bでは、発信装置1Bのビーコン信号5Bのみを発信周期ごとに1回受信する。ここで、発信装置1Aが照射範囲Aにビーコン信号5Aを発信する時間と、発信装置1Bが照射範囲Bにビーコン信号5Bを発信する時間とでは、(図の待ち時間の部分に相当する)時間差がある。従って、受信装置2は、ビーコン信号5Aとビーコン信号5Bとが重なって照射される照射範囲Cでも、ビーコン信号5Aとビーコン信号5Bとを重複して受信することなく、ビーコン信号5Aとビーコン信号5Bとを発信周期ごとに各1回受信することができる。
【0041】
このように、受信装置2は、ビーコン信号5の照射範囲の重なる範囲でも、確実にその範囲で受信可能な全てのビーコン信号5を受信することができる。そして、ビーコン信号5を発信した発信装置1の設置位置から、受信装置2の位置を検出することができる。特に、複数のビーコン信号5を受信した場合には、受信装置2が複数の発信装置1から発信されるビーコン信号の重なる範囲にあると判断できるため、複数の発信装置1間の設置間隔を狭めビーコン信号が重なる範囲を増やすことにより、受信装置2の位置を細かく把握することも可能である。
【0042】
本例では、2つの発信装置1のビーコン信号5の照射範囲が重なっている場合について説明したが、3つ以上の発信装置1のビーコン信号5の照射範囲が重なっている場合でも、受信装置2の位置を検出することが可能である。この場合、発信装置1がビーコン信号5を発信する発信周期は、照射範囲が重なっている発信装置1のビーコン信号5を全て周期時間(発信周期)内に収納できるように設定する必要がある。
【0043】
(発信装置の動作)
次に、各装置の動作について説明する。初めに、発信装置1の動作について説明する。図7は、発信装置1の動作を示すフローチャートである。光受信部8は、起動すると(ステップS701)、制御演算部10は、周期時間(発信周期)の測定を開始する(ステップS702)。そして、制御演算部10は、光受信部8が他の発信装置1のビーコン信号5を受信したか否かを判断する(ステップS703)。
【0044】
具体的には、光受信部8が床面などで反射した光信号を受信し、その光信号をビーコン信号5に復調し、制御演算部10が復調されたビーコン信号5を受信したか否かを判断する。なお、1回目のステップS703では、ビーコン信号5を受信したか否かの判断だけでよいが、2回目以降のステップS703では、自身のビーコン信号5を受信する可能性もあるため、復調したビーコン信号5に含まれているビーコンIDから他の発信装置1のビーコン信号5を受信したか否かを判断する必要がある。
【0045】
制御演算部10は、光受信部8が他の発信装置1のビーコン信号5を受信していないと判断すると(ステップS703:No)、制御演算部10は、記憶部6からビーコンIDを取得し(ステップS704)、ビーコンIDを含むビーコン信号5を生成する(ステップS705)。光発信部7は、生成されたビーコン信号5を変調し(ステップS706)、光信号で送信する(ステップS707)。
【0046】
制御演算部10は、ビーコン信号5の周期時間(発信周期)が経過したか否かを判定する(ステップS708)。制御演算部10は、ビーコン信号5の周期時間が経過していないと判断する間は(ステップS708:No)、何もせずに待ち、ビーコン信号5の周期時間が経過したと判断したら(ステップS708:Yes)、ステップS703へ戻り、以下のステップを繰り返す。
【0047】
ステップS703で、制御演算部10は、光受信部8が他の発信装置1のビーコン信号5を受信したと判断すると(ステップS703:Yes)、遅延部9は、周期時間(発信周期)内でランダムな待ち時間を生成し(ステップS709)、ビーコン信号5の送信を遅延する。すなわち、遅延部9は、待ち時間中に発信装置1にステップS704〜ステップS708まで動作を行わせないようにする。なお、発信装置1は、周期時間(発信周期)内にビーコン信号5を発信する必要、すなわち、周期時間(発信周期)内にビーコン信号5が収納される必要があるため、待ち時間は最大でも周期時間(発信周期)内である必要がある。
【0048】
制御演算部10は、待ち時間が経過したか否かを判断する(ステップS710)。制御演算部10は、待ち時間が経過していないと判断する間は(ステップS710:No)、何もせずに待ち、待ち時間が経過したと判断したら(ステップS710:Yes)、ステップS703へ戻り、以下のステップを繰り返す。なお、ステップS703で、再び他の発信装置1のビーコン信号5を受信した場合(ステップS703:Yes)、遅延部9は、さらに、周期時間(発信周期)内でランダムな待ち時間を生成する(ステップS709)。なお、この時の待ち時間は、前のステップS709で生成した待ち時間を加えた時間が、最大でも周期時間(発信周期)になるように設定する必要がある。
【0049】
以上のステップを実行することにより、発信装置1は、他の発信装置1のビーコン信号5の発信周期と重ならないように、自身のビーコン信号5を周期的に発信することができる。すなわち、ビーコン信号5の照射範囲の重なりの有無に関係なく安定したビーコン信号5の発信が可能になる。
【0050】
また、本例では、発信装置1が自身のビーコン信号5を発信する前に、他の発信装置1のビーコン信号5の受信の有無を判断しているが、これに限るものではない。例えば、発信装置1が自身のビーコン信号5を発信後、光受信部8が受信したビーコン信号5が、自身のビーコン信号5と他の発信装置1のビーコン信号5のどちらであるかを判断し、他の発信装置1のビーコン信号5である場合は、所定の時間経過後、自身のビーコン信号5を再び発信するようにしてもよい。
【0051】
さらに、発信装置1に警告用のLEDランプを設けておき、発信装置1が、ステップS703−ステップS709−ステップS710の再送プロセスを規定回数以上繰り返した場合には、このLEDランプを点灯させることにより、周期時間(発信周期)内に照射範囲が重なっている発信装置1のビーコン信号5を全て収納できないことをユーザに知らせてもよい。この場合、発信装置1の設置個数を減らしたり、周期期間を再設定するなどの対策をとることにより、照射範囲が重なっている発信装置1のビーコン信号5を全て周期時間(発信周期)内に収納することができる。
【0052】
さらに、待ち時間をビーコン信号5の送信時間の2倍以下に抑えるように設定すれば、重なり照射領域でのビーコン信号を効率よく周期時間(発信周期)内に収めることが可能である。
【0053】
(受信装置の動作)
次に、受信装置2の動作について説明する。図8は、受信装置2の動作を示すフローチャートである。光受信部11は、起動し(ステップS801)、判定部12は、周期時間(発信周期)の測定を開始する(ステップS802)。光受信部11は、光信号を受信すると(ステップS803)、当該信号をビーコン信号5に復調する(ステップS804)。制御演算部13は、復調されたビーコン信号5からビーコンIDを取得する(ステッS805)。
【0054】
判定部12は、周期時間(発信周期)が経過したか否かを判定する(ステップS806)。判定部12は、周期時間が経過していないと判定すると(ステップS806:No)、ステップS803へ戻り、以下のステップを行う。判定部12は、周期時間が経過していると判定すると(ステップS806:Yes)、光受信部11は、光信号を受信し(ステップS807)、当該信号をビーコン信号5に復調する(ステップS808)。制御演算部13は、復調されたビーコン信号5からビーコンIDを取得する(ステップS809)。
【0055】
制御演算部13は、周期時間(発信周期)が経過した後に最初に取得したビーコンID(ステップS809で取得したビーコンID)と、周期時間(発信周期)の測定が開始した後の最初に取得したビーコンID(ここでは、最初のステップS805で取得したビーコンID)とが同じかどうかを判断する(ステップS810)。
【0056】
図9は、受信装置2が受信するビーコン信号5を示す図である。図では、受信装置2は、隣接する2つの発信装置1Aおよび1Bが発信する光信号が重なる領域におり、それぞれの光信号を受信している。受信装置2が実線のように、周期時間(発信周期)内に2つのビーコン信号5Aおよび5Bを同じ順番で受信する場合、すなわち、最初の周期時間(発信周期)の開始後始めて受信するビーコン信号と、次の周期時間(発信周期)の開始後始めて受信するビーコン信号とが同じビーコン信号5Aである場合は、ビーコンIDの取得が成功していることがわかる。
【0057】
一方、受信装置2が点線のように、最初の周期時間(発信周期)が終了する前に次のビーコン信号5Aを受信する場合、すなわち、次の周期時間(発信周期)の開始後始めて受信するビーコン信号がビーコン信号5Bである場合は、隣接する2つの発信装置1が発信する光信号が衝突しているため、ビーコンIDの取得が失敗していることがわかる。
【0058】
制御演算部13は、2つのビーコンIDが同じであると判断すると(ステップS810:Yes)、ビーコンIDの取得が成功したと判断し、周期時間(発信周期)内に取得した全てのビーコンIDと受信装置2の機器IDとを関連付け、検出情報として記憶部18に記憶する(ステップS811)。
【0059】
ここで、周期時間(発信周期)が経過した後に最初に取得したビーコンID(ステップS809で取得したビーコンID)は、次の周期では、周期時間(発信周期)が開始した後の最初に取得したビーコンIDとなるため、そのまま保持した状態にしておく。通信部15は、記憶部14に記憶された検出情報を、位置情報取得装置3へ送信する(ステップS812)。ステップS812の終了後、ステップS803へ戻り、以下のステップを行う。
【0060】
制御演算部13は、2つのビーコンIDが同じではないと判断すると(ステップS810:No)、ビーコンIDの取得が失敗したと判断し、周期時間(発信周期)内に取得した全てのビーコンIDを全て廃棄する(ステップS813)。
【0061】
ここで、周期時間(発信周期)が経過した後に最初に取得したビーコンID(ステップS809で取得したビーコンID)は、次の周期では、周期時間(発信周期)が開始した後の最初に取得したビーコンIDとなるため、そのまま保持した状態にしておく。ステップS813の終了後、ステップS803へ戻り、以下のステップを行う。
【0062】
なお、次のステップS810では、制御演算部13は、周期時間(発信周期)が経過した後に最初に取得したビーコンID(今回のステップS809で取得したビーコンID)と、周期時間(発信周期)の測定が開始した後の最初に取得したビーコンID(前回のステップS809で取得したビーコンID)とが同じかどうかを判断する。
【0063】
以上のステップを実行することにより、受信装置2は、その位置で受信可能なビーコン信号5を全て受信し、その情報を位置情報取得装置3へ送信することができる。
【0064】
また、本例では、受信装置2は、最初の周期時間(発信周期)の開始後始めて受信するビーコン信号と、次の周期時間(発信周期)の開始後始めて受信するビーコン信号とが同じである場合に、ビーコンIDの取得は成功したと1回の周期だけで判断しているが、さらに、慎重を期す場合は、数周期の間受信したビーコン信号の順番が全て同じ場合に、ビーコンIDの取得は成功したと判断してもよい。
【0065】
(位置情報取得装置の動作)
最後に、位置情報取得装置3の動作について説明する。図10は、位置情報取得装置3の動作を示すフローチャートである。通信部16は、受信装置2からビーコンIDと受信装置2の機器IDとを関連付けた検出情報を受信する(ステップS1001)。
【0066】
制御演算部17は、受信したビーコンIDと受信装置2の機器IDとを関連付けた検出情報、当該検出情報を受信した時刻情報、および、記憶部18に記憶されている発信装置1の設置位置を示す設置情報とビーコンIDとを関連付けた発信装置情報に基づいて、受信装置2の位置情報を取得する(ステップS1002)。
【0067】
制御演算部13は、取得した位置情報を記憶部18に記憶すると(ステップS1003)、ステップS1001へ戻り、以下のステップを行う。以上のステップを実行することにより、位置情報取得装置3は、受信装置2の位置情報を取得することができる。
【0068】
(発信装置の設置情報とビーコンIDとの関連付け方法)
発信装置情報における設置情報とビーコンIDとの関連付け方法について説明する。図11は、発信装置1の設置情報とビーコンIDとの関連付けを説明する図である。図では、居室A内に4つの発信装置1A〜1Dが設置されている。
【0069】
発信装置1A〜1Dの設置をランダムに行いたい場合には、居室内の天井や壁などの構造物などに発信装置1A〜1Dを設置後、発信装置1A〜1Dを全て稼働させ、ある程度時間が経過し発信装置1A〜1Dの間でビーコン信号の発信周期の調整が終了した段階で、受信装置1をあらかじめ設定しておいた道順24通りに実際に移動させることによって、発信装置1A〜1Dの設置位置とビーコンIDとを関連付けることが可能である。
【0070】
例えば、図において、受信装置1が、道順24の地点25にいた時にビーコン信号5C、5Dを受信した場合、受信装置1は、発信装置1C、1Dの信号が重なる位置にいることがわかる。そして、その位置に存在する(あるいは最も近い位置にある)物、例えば、プリンタがある場合、プリンタの真上の位置を設置位置と決め、部屋の見取り図など建物情報からプリンタの位置情報を入手し、設置位置とビーコン信号5C、5Dを関連付けることができる。この方法を利用すれば、発信装置1の設置をランダムに行うことができるので、発信装置1の設置工事が簡単になる。
【0071】
また、発信装置1A〜1Dがビーコン信号5A〜5Dを照射する範囲、および、互いのビーコン信号が重なる範囲は計算で求めることできるので、発信装置1A〜1Dの設置位置が正確にわかっている場合、計算結果から発信装置1A〜1Dの設置位置とビーコンIDとを関連付けることが可能である。例えば、図において、発信装置1A、1Cのビーコン信号5A、5Cを受信できる範囲26の重心位置27を設置位置と決め、設置位置とビーコン信号5A、5Cを関連付けることができる。さらに、発信装置1A〜1Dの設置情報とビーコンIDとの関連付けの精度をあげるために、前述したように、発信装置1A〜1Dの稼働後に、受信装置1をあらかじめ設定しておいた道順24通りに移動させ、実際に受信装置1が受信したビーコン信号5A〜5Dの組み合わせに基づいて、計算結果を調整することも可能である。
【0072】
(変形例)
第1の実施の形態の変形例として、発信装置1の光発信部7に使用する発光素子としてLED照明などの照明装置を使用し、照明光(照明信号)の中にビーコン信号5を重畳させて、部屋などの照明とビーコン信号5の送信とを同時に行うことが可能である。図12は、発光素子にLEDを使用した場合に、照明光とビーコン信号5とを重畳させる方法を説明する図である。
【0073】
図のように、照明信号制御部28が生成した照明信号29(たとえばDC信号)を所望の比率、例えば、信号変調用信号30用に30%、DC成分用信号31用に70%となるように分割部32で分割する。そして、信号変調用信号30に発信装置1の制御演算部10が生成したビーコン信号5を掛け合わせて光発信部7の変調部で変調する。変調後の信号33を、DC成分用信号31と合成部34で合成し、照明駆動信号35として光発信部7のLED(発光素子)を発光させる。このように、照明信号29のうち、30%を信号変調用信号30用、70%をDC成分用信号31用として、LED照明光の変調度を30%に抑えることにより、LED照明光自体のちらつきを抑えた可視光通信によるビーコン信号5の発信が可能になる。
【0074】
また、蛍光灯のようなインバータ発光させている照明装置の場合には、インバータ信号の周期をビーコン信号で変調することにより、照明のちらつきを抑えた送信が可能で、その周波数変動を受信装置1の光受信部11で復調することによりビーコン信号を受信することができる。
【0075】
このように、第1の実施の形態にかかる位置検出システムによれば、発信装置が他の発信装置からの発信信号(ビーコン信号)の受信の有無により、自身の発信信号(ビーコン信号)をそのまま周期的に送信したり、一定の時間遅延した後に周期的に送信したりするので、各発信装置から発信される複数の発信信号(ビーコン信号)が重なって照射される範囲でもこれらの発信信号(ビーコン信号)を重ならせずに発信装置の周期時間(発信周期)内に全て収納することができ、受信装置がこれらの発信信号(ビーコン信号)を確実に受信することができるので、発信装置が密に設置されていても受信装置の位置検出を確実に行なうことが可能となる。
【0076】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態にかかる位置検出システムでは、時間分割多重による制御でビーコン信号が重なって照射される範囲の各ビーコン信号を識別しているが、第2の実施の形態にかかる位置検出システムでは、符号分割多重による制御でビーコン信号が重なって照射される範囲の各ビーコン信号を識別している。
【0077】
第2の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態にかかる位置検出システムの構成例について、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第1の実施の形態と同様であるので、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。図13は、第2の実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示す概略図であり、図14は、第2の実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示すブロック図である。
【0078】
位置検出システムは、複数の発信装置41、受信装置42、および、位置情報取得装置43を備えて構成されており、さらに、受信装置42と位置情報取得装置43は、無線および有線のネットワーク4を介して互いに接続された構成となっている。
【0079】
発信装置41は、あらかじめ決められた一定の周期時間(発信周期)で所定の方向(図11では下側)にビーコンIDを含むビーコン信号44を光信号として発信する。なお、発信装置41がビーコン信号44を発信する発信周期は、全ての発信装置41で同じである。発信装置41は、天井や壁などの施設に一定の間隔で複数設置される。発信装置41は、記憶部6、拡散符号生成部45、選択部46、信号合成部47、光発信部7、および、制御演算部10を備えて構成されている。
【0080】
拡散符号生成部45は、M系列符号やGold符号列などの拡散符号を生成する。選択部46は、設定情報をもとに、拡散符号生成部45で生成される拡散符号群から適切な拡散符号を選択する。なお、設定情報とは、発信装置41に備えられた機械スイッチ(図示せず)の位置により設定される情報である。信号合成部47は、ビーコン信号44の生成に必要なビーコンIDを含む所定のフォーマットで構成される情報信号(ベースバンド信号)を生成し、さらに、選択部46が選択した拡散符号とベースバンド信号とを拡散処理してビーコン信号44を生成する。拡散符号生成部45、選択部46、および、信号合成部47は、例えば、CPUなどが使用される。
【0081】
図15は、ビーコン信号44の構成の一例、および、信号合成部47でのビーコン信号44の生成方法を示す図である。ビーコン信号44は、受信時に同期を取るための所定のビット長およびパターンを有するスタート情報ブロック48、ビーコンIDを示すビーコンIDブロック49、および、ビーコン信号の終了を示す所定のビット長およびパターンを有するストップ情報ブロック50からなる。
【0082】
ベースバンド信号51は、ビーコン信号44が拡散処理により生成される前のバイナリーデータの信号であり、ビーコン信号44と同じフォーマットで構成されている。拡散符号52は、本例では、ベースバンド信号のビット幅と等しい7チップを有するM系列符号である。そして、信号合成部47は、ベースバンド信号51と、ベースバンド信号51に同期させた拡散符号52との論理積をとる拡散処理をして、直接拡散による変調信号であるビーコン信号44を生成する。
【0083】
受信装置42は、発信装置41から発信されたビーコン信号44を受信するとともに、受信したビーコン信号44から得られたビーコンID、ビーコンIDを取得した時刻を示す時刻情報、および、機器IDを関連付けた検出情報を送信する。受信装置42は、発信装置41が設置されている室内などを、受信装置42を携帯した人や受信装置42を設置した機器などが移動することにより人または機器と一緒に移動する。なお、受信装置42は、移動中も発信装置41からのビーコン信号44を受信可能な位置に配置される。受信装置42は、光受信部11、拡散符号生成部53、復調部54、制御演算部55、記憶部56、および、通信部15を備えて構成されている。
【0084】
拡散符号生成部53は、発信装置41の拡散符号生成部45が生成した拡散符号群と同一の拡散符号群を生成する。復調部54は、拡散符号生成部53が生成した拡散符号を用いて、ビーコン信号44からベースバンド信号51を逆拡散処理で復調する。拡散符号生成部53および復調部54は、例えば、CPUなどが使用される。
【0085】
制御演算部55は、受信装置42を構成する各部の制御や様々な処理を行う。制御演算部55は、処理の一つとして、あらかじめ決められた観測時間が経過したか否かを判定したり、周期時間(発信周期)内に受信した一つまたは複数のビーコン信号44に含まれているビーコンIDを識別したりする。制御演算部55は、例えば、CPUなどが使用される。
【0086】
記憶部56は、受信装置42の機器IDをあらかじめ記憶するとともに、受信したビーコン信号44から得られたビーコンID、ビーコンIDを取得した時刻を示す時刻情報、および、機器IDを関連付けた検出情報を記憶する。図16は、検出情報の構成の一例を示す図である。
【0087】
位置情報取得装置43は、受信装置42から送信された検出情報を受信するとともに、
受信した検出情報、および、発信装置41の設置位置を示す設置情報とビーコンIDとを関連付けた発信装置情報から受信装置42の現在位置を示す位置情報を取得し、必要に応じて、これらの情報を様々な位置情報利用サービスへ提供する。位置情報取得装置43は、通信部16、制御演算部57、および、記憶部18を備えて構成されている。
【0088】
制御演算部57は、位置情報取得装置43を構成する各部の制御や様々な処理を行う。制御演算部57は、その処理の一つとして、受信装置2から受信したビーコンID、時刻情報、および、機器IDを関連付けた検出情報と、発信装置41の設置位置を示す設置情報とビーコンIDとを関連付けた発信装置情報から受信装置42の位置情報を取得する。制御演算部57は、例えば、CPUなどが使用される。
【0089】
(位置検出方法)
受信装置42の位置を検出する方法について説明する。初めに、受信装置42が発信装置41からの光信号(ビーコン信号44)を、確実に受信する仕組みについて説明する。図17は、発信装置41が光信号(ビーコン信号44)を発信する領域(照射範囲)を説明する図である。図では、隣接する2つの発信装置41(ここでは、発信装置41A、発信装置41Bとする)は、それぞれ下側に光信号(ここでは、ビーコン信号44A、ビーコン信号44Bとする)を周期的(通常は、1〜数秒の範囲)に発信しており、その指向性により発信領域(照射範囲)は、ほぼ固定されている。なお、あらかじめ、発信装置41Aと発信装置41Bは、選択部46の設定情報が異なるように設定されており、したがって、選択部46で選択される拡散符号も異なる。
【0090】
ここで、照射範囲Aは、発信装置41Aのビーコン信号44Aが照射される範囲、照射範囲Bは、発信装置41Bのビーコン信号44Bが照射される範囲を表し、さらに、照射範囲Cは、発信装置41Aのビーコン信号44Aと発信装置41Bのビーコン信号44Bとが重なって照射される範囲を表す。受信装置42は、照射範囲A〜Cのいずれかの領域におりビーコン信号44を受信するが、第1の実施の形態にかかる位置検出システムと異なり、発信装置41Aおよび発信装置41Bは互いに相手のビーコン信号44の発信を考慮せず、自身のビーコン信号44を周期的に発信する。
【0091】
図18は、受信装置42が各照射範囲にいる場合に、受信装置42が受信するビーコン信号44を表す図である。受信装置42は、照射範囲Aでは、発信装置41Aのビーコン信号44Aのみを発信周期ごとに1回受信し、照射範囲Bでは、発信装置41Bのビーコン信号44Bのみを発信周期ごとに1回受信する。
【0092】
さらに、受信装置42は、ビーコン信号44Aとビーコン信号44Bとが重なって照射される照射範囲Cでは、ビーコン信号44Aとビーコン信号44Bとが重複した信号を発信周期ごとに1回受信する。しかし、ビーコン信号44Aとビーコン信号44Bは異なる拡散符号で拡散処理されているため、受信装置42は重複した信号から各拡散符号による逆拡散処理にてビーコン信号44Aとビーコン信号44Bとを分離することが可能である。従って、信号の重複を考慮して周期時間(発信周期)より長く設定した所定時間(観測周期)内で受信した重複信号からビーコン信号44を正確に受信することが可能である。
【0093】
このように、受信装置42は、ビーコン信号44の照射範囲の重なる範囲でも、確実にその範囲で受信可能な全てのビーコン信号44を受信することができる。そして、ビーコン信号44を発信した発信装置41の設置位置から、受信装置42の位置を検出することができる。特に、複数のビーコン信号44を受信した場合には、複数の発信装置41から発信されるビーコン信号が重なる範囲に受信装置42があると判断できるため、複数の発信装置41間の設置間隔を狭めビーコン信号が重なる範囲を増やすことにより、受信装置42の位置を細かく把握することも可能である。
【0094】
本例では、2つの発信装置41のビーコン信号44の照射範囲が重なっている場合について説明したが、3つ以上の発信装置41のビーコン信号44の照射範囲が重なっている場合でも、受信装置42の位置を検出することが可能である。この場合、各発信装置41が異なる拡散符号を選択するように設定情報を設定する必要がある。
【0095】
(発信装置の動作)
次に、各装置の動作について説明する。初めに、発信装置41の動作について説明する。図19は、発信装置41の動作を示すフローチャートである。発信装置41は、起動すると、拡散符号生成部45は、拡散符号群を生成し(ステップS1901)、選択部46は、生成された拡散符号群から適切な拡散符号を一つ選択する(ステップS1902)。信号合成部47は、記憶部6からビーコンIDを取得し(ステップS1903)、ベースバンド信号51を生成する(ステップS1904)。さらに、信号合成部47は、選択部46が選択した拡散符号とベースバンド信号51とを拡散処理してビーコン信号44を生成する(ステップS1905)。
【0096】
光発信部7は、生成されたビーコン信号44を変調し(ステップS1906)、光信号で送信する(ステップS1907)。制御演算部10は、ビーコン信号44の周期時間(発信周期)が経過したか否かを判定する(ステップS1908)。制御演算部10は、ビーコン信号44の周期時間が経過していないと判定する間は(ステップS1908:No)、何もせずに待ち、ビーコン信号44の周期時間が経過したと判定したら(ステップS1908:Yes)、ステップS1901へ戻り、以下のステップを繰り返す。なお、ステップS1901へ戻るのではなく、ステップS1906へ戻り、以下のステップを繰り返してもよい。
【0097】
(受信装置の動作)
次に、受信装置42の動作について説明する。図20は、受信装置42の動作を示すフローチャートである。光受信部11が起動すると(ステップS2001)、制御演算部55は、観測周期時間の測定を開始する(ステップS2002)。なお、観測周期は、あらかじめ周期時間より長い時間(たとえば周期期間の2倍の時間)が設定されている。復調部54は、拡散符号生成部53が生成した拡散符号を一つ選択する(ステップS2003)。光受信部11は、光信号を受信すると(ステップS2004)、当該信号をビーコン信号44に復調する(ステップS2005)。
【0098】
復調部54は、検波同期処理を行い(ステップS2006)、選択した拡散符号を用いて、ビーコン信号44から信号(ベースバンド信号51)を逆拡散処理で復調する(ステップS2007)。制御演算部55は、復調された信号がベースバンド信号51であるか否かを判断する(ステップS2008)。制御演算部55は、復調された信号がベースバンド信号51であると判定すると(ステップS2008:Yes)、ベースバンド信号51からビーコンIDを取得し(ステップS2009)、ステップS2010へ進む。制御演算部55は、復調された信号がベースバンド信号51ではないと判断すると(ステップS2008:No)、そのままステップS2010へ進む。
【0099】
ステップS2010で、制御演算部55は、観測周期時間が経過したか否かを判定する。制御演算部55は、観測周期時間が経過していないと判定すると(ステップS2010:No)、ステップS2004へ戻り、以下のステップを行う。制御演算部55は、観測周期時間が経過していると判定すると(ステップS2010:Yes)、取得したビーコンIDを記憶部56に記憶する(ステップS2011)。
【0100】
復調部54は、拡散符号生成部53の生成した拡散符号が他にもあるか否かを判断する(ステップS2012)。復調部54は、拡散符号生成部53の生成した拡散符号が他にもあると判断すると(ステップS2012:Yes)、他の拡散符号を選択し(ステップS2013)、ステップS2004へ戻り、以下のステップを繰り返す。復調部54は、拡散符号生成部53の生成した拡散符号が他にはないと判断すると(ステップS2012:No)、制御演算部55は、取得した全てのビーコンID、ビーコンIDを取得した時刻を示す時刻情報、および、受信装置42の機器IDを関連付け、検出情報として記憶部56に記憶する(ステップS2014)。ここで、時刻情報の時刻は、例えば、最初の拡散符号を選択後に光信号を初めて受信した時刻とするなど、全て同じ時刻とする。
【0101】
通信部15は、記憶部56に記憶された検出情報を、位置情報取得装置43へ送信する(ステップS2015)。ステップ2015の終了後、ステップS2003へ戻り、以下のステップを行う。以上のステップを実行することにより、受信装置42は、その位置で受信可能なビーコン信号44を全て受信し、その情報を位置情報取得装置43へ送信することができる。
【0102】
(位置情報取得装置の動作)
最後に、位置情報取得装置43の動作について説明する。図21は、位置情報取得装置43の動作を示すフローチャートである。通信部16は、受信装置42からビーコンID、時刻情報、および、受信装置42の機器IDを関連付けた検出情報を受信する(ステップS2101)。
【0103】
制御演算部57は、受信したビーコンID、時刻情報、および、受信装置2の機器IDを関連付けた検出情報と、記憶部18に記憶されている発信装置41の設置位置を示す設置情報とビーコンIDとを関連付けた発信装置情報とに基づいて、受信装置42の位置情報を取得する(ステップS2102)。
【0104】
制御演算部57は、取得した位置情報を記憶部18に記憶すると(ステップS2103)、ステップS2101へ戻り、以下のステップを行う。ステップS2101からステップS2103の動作が繰り返されることにより、位置情報取得装置43は、受信装置42の位置情報を取得することができる。以上のステップを実行することにより、位置情報取得装置43は、受信装置42の位置情報を取得することができる。
【0105】
なお、発信装置情報における設置情報とビーコンIDとの関連付け方法については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0106】
このように、第2の実施の形態にかかる位置検出システムによれば、発信装置が、他の発信装置とは異なる拡散符号により自己の発信装置の識別情報を拡散変調した発信信号(ビーコン信号)を送信するので、各発信装置から発信される複数の発信信号(ビーコン信号)が重なって照射される範囲でも、受信装置が、受信した発信信号(ビーコン信号)を発信装置と同じ拡散符号により逆拡散し、発信装置の識別情報を正確に取得することができるので、発信装置が密に設置されていても受信装置の位置検出を確実に行なうことが可能となる。
【0107】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態にかかる位置検出システムでは、発信装置が他の発信装置から発信されたビーコン信号を受信し逆拡散処理した結果から、自己の発信装置のベースバンド信号を拡散処理する拡散符号を選択するとともに、受信装置が発信装置から受信したビーコン信号を受信し逆拡散処理した結果から、当該ビーコン信号におけるベースバンド信号の拡散処理に使用された拡散符号か否かを判定する。
【0108】
第3の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態にかかる位置検出システムの構成例について、第2の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第2の実施の形態と同様であるので、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。図22は、第3の実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示す概略図であり、図23は、第3の実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示すブロック図である。
【0109】
位置検出システムは、複数の発信装置61、受信装置62、および、位置情報取得装置43を備えて構成されており、さらに、受信装置62と位置情報取得装置43は、無線および有線のネットワーク4を介して互いに接続された構成となっている。
【0110】
発信装置61は、あらかじめ決められた一定の周期時間(発信周期)で所定の方向(図22では下側)にビーコンIDを含むビーコン信号44を光信号として発信する。なお、発信装置61がビーコン信号44を発信する発信周期は、全ての発信装置61で同じである。発信装置61は、天井や壁などの施設に一定の間隔で複数設置される。発信装置61は、記憶部63、拡散符号生成部45、選択部64、信号合成部47、光発信部7、制御演算部10、光受信部65、逆拡散部66、および、判定部67を備えて構成されている。
【0111】
記憶部63は、ビーコンIDおよび拡散符号を記憶し、例えば、ROMやRAMなどからなる。選択部64は、記憶部63に記憶された拡散符号と同じ拡散符号を、拡散符号生成部45で生成される拡散符号群から選択する。光受信部65は、光信号を受信し、ビーコン信号44に復調する。なお、光受信部65が受信する光信号は、床面などで反射した自身のビーコン信号44の場合と床面などで反射した他の発信装置61のビーコン信号44の場合がある。光受信部65は、光信号を受信するフォトダイオードやフォトトランジスタなどの光検出素子と、受信した光信号をビーコン信号44に復調する復調回路とからなる。
【0112】
逆拡散部66は、受信した他の発信装置61のビーコン信号44を記憶部63に記憶された拡散符号で逆拡散処理する。判定部67は、逆拡散部66が逆拡散処理した結果である相関出力値から記憶部63に記憶された拡散符号を変更すべきか否かを判定する。選択部64、逆拡散部66、および、判定部67は、例えば、CPUなどが使用される。
【0113】
受信装置62は、発信装置61から発信されたビーコン信号44を受信するとともに、受信したビーコン信号44から得られたビーコンID、ビーコンIDを取得した時刻を示す時刻情報、および、機器IDを関連付けた検出情報を送信する。受信装置62は、発信装置61が設置されている室内などを、受信装置62を携帯した人や受信装置62を設置した機器などが移動することにより人または機器と一緒に移動する。なお、受信装置62は、移動中も発信装置61からのビーコン信号44を受信可能な位置に配置される。受信装置62は、光受信部11、拡散符号生成部53、復調部54、制御演算部55、通信部15、判定部68、および、記憶部69を備えて構成されている。
【0114】
判定部68は、復調部54によりビーコン信号44を拡散符号で逆拡散処理した結果である相関出力値から、当該拡散符号で拡散処理されたビーコン信号44があるか否かを判定する。判定部68は、例えば、CPUなどが使用される。
【0115】
記憶部69は、受信装置42の機器IDをあらかじめ記憶するとともに、受信したビーコン信号5から得られたビーコンID、ビーコンIDを取得した時刻を示す時刻情報、および、機器IDを関連付けた検出情報を記憶する。さらに、記憶部69は、判定部68が拡散処理に使用されたと判定した拡散符号を記憶する。
【0116】
(発信装置の動作)
次に、発信装置61の動作について説明する。図24は、発信装置61の動作を示すフローチャートである。発信装置61の光受信部65は、起動すると(ステップS2401)、制御演算部10は、光受信部65が他の発信装置61のビーコン信号44を受信したか否かを判断する(ステップS2402)。具体的には、光受信部65が床面などで反射した光信号を受信すると、他の発信装置1のビーコン信号44を受信したと判断する。光受信部65が他の発信装置1のビーコン信号44を受信していないと判断すると(ステップS2402:No)、ステップS2406へ進む。
【0117】
光受信部65が他の発信装置61のビーコン信号44を受信したと判断すると(ステップS2402:Yes)、逆拡散部66は、受信した他の発信装置61のビーコン信号44を記憶部63に記憶された拡散符号で逆拡散処理する(ステップS2403)。判定部67は、逆拡散部66が逆拡散処理した結果である相関出力値が所定のしきい値より高いか否かを判定する(ステップS2404)。
【0118】
判定部67は、相関出力値が所定のしきい値より高い、すなわち、記憶部63の拡散符号が他の発信装置61の拡散符号と同じであると判定すると(ステップS2404:Yes)、拡散符号生成部45は、新たな拡散符号を生成し、記憶部63の拡散符号と置き換える(ステップ2405)。そして、ステップS2402へ戻り、以下のステップを繰り返す。判定部67は、相関出力値が所定のしきい値より高くない、すなわち、記憶部63の拡散符号が他の発信装置61の拡散符号と同じではないと判定すると(ステップS2404:No)、そのまま次のステップ2406へ進む。
【0119】
ステップS2406で、信号合成部47は、記憶部63からビーコンIDを取得し、次のステップS2407で、信号合成部47は、ベースバンド信号51を生成する。さらに、信号合成部47は、選択部64が選択する記憶部63に記憶された拡散符号と、ベースバンド信号51とを拡散処理してビーコン信号44を生成する(ステップ2408)。
【0120】
光発信部7は、生成されたビーコン信号44を変調し(ステップS2409)、光信号で送信する(ステップS2410)。制御演算部10は、ビーコン信号44の周期時間(発信周期)が経過したか否かを判定する(ステップS2411)。制御演算部10は、ビーコン信号44の周期時間が経過していないと判定する間は(ステップS2411:No)、何もせずに待ち、ビーコン信号44の周期時間が経過したと判定したら(ステップS2411:Yes)、ステップS2406へ戻り、以下のステップを繰り返す。なお、ステップS2406へ戻るのではなく、ステップS2409へ戻り、以下のステップを繰り返してもよい。以上のステップを実行することにより、発信装置61のセッティングの際の拡散符号を自動設定することが可能になる。
【0121】
(受信装置の動作)
次に、受信装置62の動作について説明する。図25は、受信装置62の動作を示すフローチャートである。光受信部11が起動すると(ステップS2501)、復調部54は、拡散符号生成部53が生成した拡散符号を一つ選択する(ステップS2502)。光受信部11は、光信号を受信すると(ステップS2503)、当該信号をビーコン信号44に復調する(ステップS2504)。
【0122】
復調部54は、検波同期処理を行い(ステップS2505)、選択した拡散符号でビーコン信号44を逆拡散処理する(ステップS2506)。判定部68は、復調部54が逆拡散処理した結果である相関出力値が所定のしきい値より高いか否かを判定する(ステップS2507)。判定部68は、相関出力値が所定のしきい値より高い、すなわち、選択した拡散符号で拡散処理されたビーコン信号44があると判定すると(ステップS2507:Yes)、記憶部69に当該拡散符号を記憶し(ステップS2508)、ステップS2509へ進む。判定部68は、相関出力値が所定のしきい値より高くない、すなわち、選択した拡散符号で拡散処理されたビーコン信号44がないと判定すると(ステップS2507:No)、そのままステップS2509へ進む。
【0123】
ステップS2509で、復調部54は、拡散符号生成部53の生成した拡散符号が他にもあるか否かを判断する。復調部54は、拡散符号生成部53の生成した拡散符号が他にもあると判断すると(ステップS2509:Yes)、他の拡散符号を選択し(ステップS2510)、ステップS2503へ戻り、以下のステップを繰り返す。復調部54は、拡散符号生成部53の生成した拡散符号が他にはないと判断すると(ステップS2509:No)、復調部54は、記憶部69に記憶された拡散符号を一つ選択する(ステップS2511)。
【0124】
光受信部11は、光信号を受信すると(ステップS2512)、当該信号をビーコン信号44に復調する(ステップS2513)。復調部54は、検波同期処理を行い(ステップS2514)、選択した拡散符号を用いて、ビーコン信号44からベースバンド信号51を逆拡散処理で復調する(ステップS2515)。制御演算部55は、ベースバンド信号51からビーコンIDを取得し、記憶部69に記憶する(ステップS2516)。
【0125】
復調部54は、記憶部69に記憶された拡散符号が他にもあるか否かを判断する(ステップS2517)。復調部54は、記憶部69に記憶された拡散符号が他にもあると判断すると(ステップS2517:Yes)、他の拡散符号を選択し(ステップS2518)、ステップS2512へ戻り、以下のステップを繰り返す。復調部54は、記憶部69に記憶された拡散符号が他にはないと判断すると(ステップS2517:No)、制御演算部55は、取得した全てのビーコンID、ビーコンIDを取得した時刻を示す時刻情報、および、受信装置62の機器IDを関連付け、検出情報として記憶部69に記憶する(ステップS2519)。ここで、時刻情報の時刻は、例えば、最初の記憶された拡散符号を選択後に光信号を初めて受信した時刻とするなど、全て同じ時刻とする。
【0126】
通信部15は、記憶部69に記憶された検出情報を、位置情報取得装置43へ送信する(ステップS2520)。ステップ2520の終了後、ステップS2502へ戻り、以下のステップを行う。
【0127】
以上のステップを実行することにより、受信装置62の送信されていない拡散符号での受信動作処理を大幅に短縮することが可能になり、受信処理の高速化および受信装置62の省エネ化が可能になる。
【0128】
なお、位置情報取得装置43の動作、および、発信装置情報における設置情報とビーコンIDとの関連付け方法については、第2の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0129】
このように、第3の実施の形態にかかる位置検出システムによれば、発信装置が他の発信装置が送信した光信号を受信し、光信号から復調したビーコン信号を拡散符号で逆拡散処理することにより得られる相関出力値が所定のしきい値より高いか否かを判定することにより、自己の発信装置のベースバンド信号を拡散処理する拡散符号を選択することができるので、発信装置で使用する拡散符号を自動設定することが可能となる。
【0130】
さらに、第3の実施の形態にかかる位置検出システムによれば、受信装置が受信したビーコン信号を拡散符号で逆拡散処理することにより得られる相関出力値が所定のしきい値より高いか否かを判定することにより、当該ビーコン信号におけるベースバンド信号の拡散処理に使用された拡散符号を判定することができるので、使用されていない拡散符号での受信動作処理を大幅に短縮することができ、受信処理の高速化および受信装置の省エネ化が可能となる。
【0131】
(変形例)
なお、第1から第3の実施の形態にかかる位置検出システムは種々の変形が可能であり、例えば、発信装置の発信周期を設置される部屋ごとに異ならせるとともに、発信装置が発信するビーコン信号に発信周期情報を挿入してもよい。この場合、受信装置が発信周期情報を取得して、適宜、周期時間(発信周期)や観測周期を変更することにより、受信装置が移動する部屋ごとに発信周期の変更が可能となる。従って、会議室などの動きが少ない部屋などでは周期間隔を長めにすることにより発信装置の消費電力を抑えることが可能になる。
【0132】
また、第1から第3の実施の形態にかかる位置検出システムでは、位置情報取得装置が、受信装置から受信した検出情報から受信装置の位置情報を取得しているが、その代わり、受信装置が、あらかじめ発信装置の設置情報とビーコンIDとを関連付けた情報を記憶しておき自身の位置情報を取得してもよい。
【0133】
また、PDAや携帯電話などの情報携帯機器に受信装置を搭載するようなシステムの場合には、位置情報取得装置の制御演算部の一部機能を受信装置内で行ってもよい。例えば、発信装置の設置情報は外部のデータベースに格納しておき、受信装置が、ビーコンIDを取得後にネットワークを介してデータベースから当該情報を入手し、情報携帯機器自身の位置情報を取得してもよい。
【0134】
また、第1から第3の実施の形態にかかる位置検出システムでは、ビーコン信号を光信号に変換して、すなわち、光を媒体として発信および受信を行っているが、指向性のある媒体であればよく、例えば、超音波や高周波の電波などを使用することが可能である。
【0135】
(ハードウェア構成)
第1から第3の実施の形態の位置情報取得装置は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0136】
第1から第3の実施の形態の発信装置、受信装置、および、位置情報取得装置で実行される位置検出プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0137】
また、第1から第3の実施の形態の発信装置、受信装置、および、位置情報取得装置で実行される位置検出プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、第1から第3の実施の形態の発信装置、受信装置、および、位置情報取得装置で実行される位置検出プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0138】
また、第1から第3の実施の形態の発信装置、受信装置、および、位置情報取得装置で実行される位置検出プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0139】
第1から第3の実施の形態の発信装置、受信装置、および、位置情報取得装置で実行される位置検出プログラムは、上述した各部(制御演算部、判定部、拡散符号生成部、信号合成部、復調部、選択部、および、逆拡散部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから位置検出プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、制御演算部、判定部、拡散符号生成部、信号合成部、復調部、選択部、および、逆拡散部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】第1の実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示す概略図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示すブロック図である。
【図3】ビーコン信号の構成の一例を示す図である。
【図4】検出情報の構成の一例を示す図である。
【図5】発信装置が光信号(ビーコン信号)を発信する領域(照射範囲)を説明する図である。
【図6】受信装置が各照射範囲にいる場合に、受信装置が受信するビーコン信号を表す図である。
【図7】発信装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】受信装置が受信するビーコン信号を示す図である。
【図10】位置情報取得装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】発信装置の設置情報とビーコンIDとの関連付けを説明する図である。
【図12】実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示すブロック図である。
【図13】第2の実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示す概略図である。
【図14】第2の実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示すブロック図である。
【図15】ビーコン信号の構成の一例、および、信号合成部でのビーコン信号の生成方法を示す図である。
【図16】検出情報の構成の一例を示す図である。
【図17】発信装置が光信号(ビーコン信号)を発信する領域(照射範囲)を説明する図である。
【図18】受信装置が各照射範囲にいる場合に、受信装置が受信するビーコン信号を表す図である。
【図19】発信装置の動作を示すフローチャートである。
【図20】受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図21】位置情報取得装置の動作を示すフローチャートである。
【図22】第3の実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示す概略図である。
【図23】第3の実施の形態にかかる位置検出システムの構成を示すブロック図である。
【図24】発信装置の動作を示すフローチャートである。
【図25】受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図26】従来技術を説明する図である。
【符号の説明】
【0141】
1、1A、1B、41、41A、41B、61 発信装置
2、42、62 受信装置
3、43 位置情報取得装置
4 ネットワーク
5、5A、5B、44、44A、44B ビーコン信号
6、14、18、56、63、69 記憶部
7 光発信部
8、11、65 光受信部
9 遅延部
10、13、17、55、57 制御演算部
12、67、68 判定部
15、16 通信部
20 プリアンブル信号
21 スタート信号
22 ビーコンID信号
23 CRC信号
24 道順
25 地点
26 範囲
27 重心位置
28 照明信号制御部
29 照明信号
30 信号変調用信号
31 DC成分用信号
32 分割部
33 信号
34 合成部
35 照明駆動信号
45、53 拡散符号生成部
46、64 選択部
47 信号合成部
48 スタート情報ブロック
49 ビーコンIDブロック
50 ストップ情報ブロック
51 ベースバンド信号
52 拡散符号
54 復調部
66 逆拡散部
100、110、120 赤外線発光器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発信装置と、受信装置と、前記受信装置にネットワークで接続され、前記受信装置の現在位置を示す受信装置位置情報を取得する位置情報取得装置とを備えた位置検出システムにおいて、
前記発信装置は、
前記発信装置を識別する発信装置識別情報を発信信号に変換し、所定の指向性で送信する第1の送信手段を備え、
前記受信装置は、
前記発信信号である前記発信装置識別情報を受信する第1の受信手段と、
受信した一つまたは複数の前記発信装置識別情報と、前記受信装置を識別する受信装置識別情報とを関連付けて検出情報として記憶する検出情報記憶手段と、
前記検出情報記憶手段の記憶を制御する制御手段と、
前記検出情報を送信する第2の送信手段と、を備え、
前記位置情報取得装置は、
前記検出情報を受信する第2の受信手段と、
前記発信装置の設置位置を示す発信装置設置情報と前記発信装置識別情報とを関連付けて発信装置情報として記憶する発信装置情報記憶手段と、
受信した前記検出情報と、前記発信装置情報とから前記受信装置位置情報を取得する取得手段と、を備えたこと、
を特徴とする位置検出システム。
【請求項2】
前記発信装置において、
他の前記発信装置が送信した他の発信信号を受信する第3の受信手段と、
前記他の発信信号を受信した場合、前記発信信号の送信を第1の所定時間だけ遅延する遅延手段をさらに備え、
前記受信装置において、
前記制御手段は、前記第1の所定時間より長い第2の所定時間内に受信した前記発信装置識別情報を検出情報として記憶するように前記検出情報記憶手段を制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記発信装置において、
複数の拡散符号を生成する拡散符号生成手段と、
所望の拡散符号を選択する選択手段と、
前記発信装置識別情報を前記所望の拡散符号により拡散変調した発信信号を生成する信号合成手段と、をさらに備え、
前記受信装置において、
前記複数の拡散符号を生成する拡散符号生成手段と、
前記発信信号を前記所望の拡散符号により逆拡散し、前記発信装置識別情報に復調する復調手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、第3の所定時間内に受信した前記発信装置識別情報を検出情報として記憶するように前記検出情報記憶手段を制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記発信装置において、
前記信号合成手段は、さらに前記発信信号の発信周期を示す発信周期情報を前記所望の拡散符号により拡散変調した発信信号を生成し、
前記受信装置において、
前記制御手段は、前記第3の所定時間を前記発信周期より長い時間に設定すること、
を特徴とする請求項3に記載の位置検出システム。
【請求項5】
前記発信装置において、
他の前記発信装置が送信した他の発信信号を受信する第4の受信手段と、
前記他の発信信号を拡散変調した拡散符号を判定する第1の判定手段と、を備え、
前記選択手段は、前記第1の判定手段が判定した前記拡散符号以外の拡散符号を、前記所望の拡散符号として選択すること、
を特徴とする請求項3または4に記載の位置検出システム。
【請求項6】
前記受信装置は、
前記発信信号を拡散変調した前記所望の拡散符号を判定する第2の判定手段をさらに備えたこと、
を特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の位置検出システム。
【請求項7】
前記受信装置において、
前記検出情報記憶手段は、
さらに、一つまたは複数の前記発信装置識別情報を受信した時刻を示す時刻情報を関連付けて記憶すること、
を特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の位置検出システム。
【請求項8】
前記位置情報取得装置において、
前記取得手段は、
受信した前記検出情報と、前記検出情報を受信した時刻を示す時刻情報と、前記発信装置情報とから前記受信装置位置情報を取得すること、
を特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の位置検出システム。
【請求項9】
前記第1の送信手段は、前記発信信号を光信号として送信し、
前記第1の受信手段は、前記光信号を受信すること、
を特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の位置検出システム。
【請求項10】
一意に決まる発信装置識別情報を送信する発信装置において、
前記発信装置識別情報を光信号として送信する送信手段と、
他の発信装置が送信した前記光信号である他の光信号を受信する受信手段と、
前記他の光信号を受信した場合、前記光信号の送信を所定時間だけ遅延する遅延手段と、を備えたこと、
を特徴とする発信装置。
【請求項11】
複数の発信装置と、受信装置と、前記受信装置にネットワークで接続され、前記受信装置の現在位置を示す受信装置位置情報を取得する位置情報取得装置とを備えた位置検出システムで実行される位置検出方法であって、
前記位置情報取得装置が、前記発信装置の設置位置を示す発信装置設置情報と前記発信装置を識別する発信装置識別情報とを関連付けて発信装置情報として記憶する発信装置情報記憶手段を備え、
前記発信装置が、前記発信装置識別情報を発信信号に変換し、所定の指向性で送信する第1の送信ステップと、
前記受信装置が、前記発信信号である前記発信装置識別情報を受信する第1の受信ステップと、
前記受信装置が、前記第1の受信ステップで受信した一つまたは複数の前記発信装置識別情報と、前記受信装置を識別する受信装置識別情報とを関連付けて検出情報として記憶する検出情報記憶ステップと、
前記受信装置が、前記検出情報を送信する第2の送信ステップと、
前記位置情報取得装置が、前記検出情報を受信する第2の受信ステップと、
前記位置情報取得装置が、前記第2の受信ステップで受信した前記検出情報と、前記発信装置情報とから前記受信装置位置情報を取得する取得ステップと、を含むこと、
を特徴とする位置検出方法。
【請求項12】
請求項11に記載の位置検出方法をコンピュータに実行させる位置検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−222417(P2009−222417A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64447(P2008−64447)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】