説明

位置検出装置

【課題】 人や物、動物といった種々の対象に適用することができ、簡易なシステム構成で、容易に位置検出できる実用性の高い位置検出装置を得る。
【解決手段】 車載機1は、小電力データ通信可能な無線部11と、無指向性アンテナ部12と、識別情報を含む信号を生成しアンテナ部12を介して全方位に電波出力させる制御部13と、送信側制御部を駆動する操作部14を有し、移動機2は、車載機1の送信電波を受信可能な高指向性アンテナ部22と、受信電界強度を検出する無線部21と、識別情報から受信電波を判別し、受信電界強度から自動車Cとの距離およびアンテナ部22の向きに応じた位置信号を出力する制御部23と、位置信号を受けて自動車Cの遠近情報を表示する表示部25と、位置表示要求信号を出力する操作部24を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出体側の無線機と使用者側の無線機との直接通信により、検出対象を探索するための装置、詳しくは、小電力無線通信方式を利用して、駐車車両等の物や人・動物の位置を、簡易かつ効果的に探索可能な位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば広い駐車場や立体駐車場において、または車両の視認が難しい夜間等において、車両の駐車位置を探すのに手間がかかることがある。そこで所有者が携帯可能に設けられて、車両の位置確認に利用するための装置が種々提案されている。特許文献1には、自車に割り当てられた特定電波を送信する携帯用送信機と、その特定電波を受信する受信機および受信信号によって駆動される報知回路を有する車載側ユニットによって構成される駐車位置確認装置が開示されている。車載側ユニットは、受信機にカーラジオ等のFM受信機を利用し、報知回路は自車の位置をランプ点灯やブザーによって報知することにより、離れた場所からの位置確認を可能にしている。
【0003】
特許文献2には、無線通信網を介して自動車側通信手段とユーザ側端末装置とを通信可能に設けた自動車設備遠隔制御システムが開示され、自動車側通信手段がユーザ側端末装置から動作指令情報を受信すると、車両に搭載された照明装置ないし音波発生装置の少なくともいずれかを動作させる知覚出力設備制御手段を備えて、車外のユーザがその出力情報を直接認識できるように構成している。ユーザ側端末装置は、例えば携帯電話として構成され、GPSを利用して判定される車両との距離が所定以下の近距離となった時に(例えば100〜400m)、車両のホーン、ヘッドランプやハザードランプ等の知覚出力設備を動作させるようになっている。
【0004】
特許文献3には、携帯型無線機と、無線通信に基づいて携帯型無線機との相対的位置関係を検出し、その位置関係情報を携帯型無線機に送信する車載装置を備える通信システムが開示されている。携帯型無線機は、例えば車両キーとして構成され、送信元IDを含む情報を送信するとともに、車載装置からの位置情報を受信して表示するLED、LCD等の出力手段を有している。車載装置は、アンテナおよび付属装置からなる複数の送受信手段を有し、受信した3以上の電磁波の電界強度と位相差に基づいて、送信元との相対的な位置関係を検出する。さらに、その経時変化に基づいて携帯型無線機の進行方向を解析し、これを基準方向とする車載装置の方向を、携帯型無線機に送信する。
【0005】
特許文献4には、車両に搭載され、設定された複数の方位に方位識別信号を出力する車両側無線通信手段と、携帯器に設けられ、方位識別信号を受信する携帯側無線通信手段を備える車両探索システムが開示されている。方位識別信号は、絶対方位を検出する地磁気センサに基づいて方位を調整されて、複数のアンテナから各方位に出力され、携帯器は、受信信号から検出した方位を、LCDからなる表示部に画像表示し、あるいは音声出力部から音声により報知する。
【0006】
一方、車両のような物に限らず、幼児やペット、老齢者のような見守りを必要とする監視対象の位置を確認するためのシステムも提案されている。例えば、特許文献5には、監視対象者に、特定周波数域の近距離無線信号を発信する信号発信端末を携帯させ、信号監視端末により無線信号を受信して、無線信号を受信しなくなった時にアラームを出力させる信号監視方法が開示されている。信号発信端末は、PHS通信やGPSによる位置検出が可能に構成され、あるいは信号監視端末に、ネットワークを通じて位置探査要求を発信することで、位置の追跡を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−35191号公報
【特許文献2】特開2006−48091号公報
【特許文献3】特開2006−327265号公報
【特許文献4】特開2006−125983号公報
【特許文献5】特開2003−36492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1、2のように、車両側での照明点灯や音波発生によって報知するシステムは、障害物となる壁や柱が多く見通しの悪い場所、日差しの強い昼間等、位置関係や時間帯によっては、照明が点灯しても視認できず車両の位置が把握しにくいことがある。音声は、車両ブザーやホーンを繰り返し鳴らすことで、特に夜間等において他者に騒音となって迷惑をかけるおそれがあり、周囲に探索中の車両位置を知らせることになるのを使用者が好まない場合もある。また、探索のために繰り返し車載機器を操作することになり、バッテリ電力消費が大きくなる不具合がある。
【0009】
ここで特許文献2のシステムでは、無駄な動作を避けるため、ユーザとの距離が一定以下とならないと照明・音波発生装置が動作しないように構成している。しかしながら、車両との距離の特定を正確に行うために両端末にGPSを接続し、位置情報に応じて動作させる照明・音波発生装置を選択する等、システムが大がかりになり、処理も複雑となっている。
【0010】
特許文献3のシステムは、車両側の照明や音波発生装置を駆動させず、ユーザ側の携帯型無線に、車両との距離・方向が送信される。ところが、特許文献3のシステムでは、位置検出のために車両各部に少なくとも3つのアンテナおよび付属装置からなる受信手段を設置しており、車載装置の構成や処理が複雑となる。例えば、車載装置は、受信した3以上の検出要求信号から相対的位置関係とその経時変化を検出し、さらに進行方向を解析して位置情報を生成しており、送信結果が携帯型無線機に表示されるまでに応答遅れが生じる。この遅れが大きくなると使用感を損ね、あるいはユーザが移動したり向きを変えたりすることにより、正確な位置情報を表示できなくなるおそれがある。
【0011】
また、これら特許文献1ないし3のシステムは、いずれも車載装置を利用し、あるいは車両各部に機器を設置する必要があることから、車両以外の位置検出に直ちに応用することは難しい。
【0012】
特許文献4のシステムは、携帯器にて方位を受信することができるが、絶対方位を用いているため、少なくとも4つのアンテナが必要となる。また精度を高めるために、車両側さらには携帯器側に方位調整用の地磁気センサを設置し、受信信号の処理によって表示する方位の種類を増加させており、システム構成や処理が複雑になる。
【0013】
特許文献5は、信号発信端末と信号監視端末の組み合わせであり、一般的な物や人にも応用可能である。しかしながら、直接通信は10m程度の近距離であり、交信範囲外に出たことしか報知されない。交信範囲外では、PHS通信やGPSを利用した広範囲での探索システムとなるため、システムが大がかりでコスト高になりやすい。
【0014】
このように、現状では、近距離から視認が可能な程度に離れた中距離範囲においても、応答性よく位置検出をすることができ、しかも簡易な構成で汎用性のある装置は提供されていない。
【0015】
そこで本発明の目的は、駐車車両のみならず、屋内外に保管する家財や、紛失または盗難のおそれのある物、さらには、家庭における幼児やペット、病院や介護施設における利用者のような人や動物といった種々の対象に適用することができ、しかも簡易なシステム構成で検出対象の位置を瞬時に検出し、探索を容易にする実用性の高い位置検出装置を低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願請求項1の発明は、
位置検出対象に取付けられる被検出体側無線機と、使用者に携帯される使用者側無線機とを備える位置検出装置であって、
上記被検出体側無線機に、小電力データ通信が送信可能な送信側無線部と、該送信側無線部に接続される無指向性アンテナ部と、自身の識別情報を含む信号を生成し、上記送信側無線部から上記アンテナ部を介して全方位に電波出力させる送信側制御部と、上記送信側制御部に駆動信号を出力する送信側操作部を設け、
上記使用者側無線機に、上記被検出体側無線機からの送信電波を特定方向において受信可能な高指向性アンテナ部と、該アンテナ部に接続されて受信した電波の解析を行なう受信側無線部と、上記識別情報に基づく受信電波の判別を行い、受信電波の解析結果に基づいて、被検出体との距離および上記アンテナ部の向きを反映した位置信号を出力する受信側制御部と、該受信側制御部からの位置信号に対応する被検出体の遠近情報を表示する表示部と、上記受信側制御部に位置表示要求信号を出力する操作部を設けたことを特徴とする。
【0017】
本願請求項2の発明において、上記使用者側無線機の上記受信側制御部は、上記操作部からの位置表示要求信号が解除されるまでの間、間欠的に上記位置信号を上記表示部に出力し、上記表示部の遠近情報表示を更新させる。
【0018】
本願請求項3の発明において、上記使用者側無線機の上記制御部は、上記受信側無線部にて検出可能な受信電界強度範囲を、上記表示部における遠近情報の表示手段に対応させた複数の受信電界強度レベルに分割し、上記受信側無線部から入力される受信電界強度に対応する受信電界強度レベルを判別して、該受信電界強度レベルを表わす位置信号として出力する。
【0019】
本願請求項4の発明において、上記使用者側無線機の上記表示部は、少なくとも3段階ないしそれ以上のレベル表示が可能な点灯式または画像式表示窓を有し、上記制御部は、上記受信側無線部から入力される上記受信電界強度レベルに応じて、上記表示窓の点灯数または表示画像が切替えられるように制御する。
【0020】
本願請求項5の発明において、上記使用者側無線機の上記制御部は、上記受信電界強度レベルに対応する上記受信電界強度範囲の分割幅を、上記受信電界強度レベルが小さい側では狭く、上記受信電界強度レベルが高い側では広くなるように設定する。
【0021】
本願請求項6の発明において、上記使用者側無線機の上記操作部は、被検出体との相対距離を表わす複数の距離モードを選択可能に構成されており、上記制御部は、選択されている距離モードに応じて、上記受信電界強度レベルに対応する受信電界強度範囲を変更する。
【0022】
本願請求項7の発明において、上記使用者側無線機の上記操作部は、上記複数の距離モードとして、少なくとも、被検出体が相対的に近距離に位置する際に使用される近距離モードと、相対的に遠距離に位置する時に使用される遠距離モードを有する。
【0023】
本願請求項8の発明において、上記使用者側無線機の上記アンテナ部は、上記被検出体側無線機からの送信電波を受信可能な高指向性アンテナを複数有し、上記表示部は、上記複数のアンテナの位置関係を反映する位置に、各アンテナにより受信された電波に基づく表示を行う複数の表示窓を有しており、上記制御部は、各アンテナからの受信電波に対応する受信電界強度レベルを表わす位置信号を出力して、上記複数の表示窓にそれぞれ表示させる。
【0024】
本願請求項9の発明において、上記使用者側無線機の上記受信側無線部および上記被検出体側無線機の上記送信側無線部を送受信可能に設け、上記使用者側無線機の上記受信側制御部が識別情報および送信要求を含む信号を上記受信側無線部から出力すると、上記被検出体側無線機は上記送信側無線部にて受信した電波を、上記送信側制御部が上記識別情報に基づいて判別し、識別情報および送信要求に応じた情報を含む信号を生成して、上記送信側無線部から出力する。
【0025】
本願請求項10の発明において、上記使用者側無線機に、表示画面を備える他の携帯型端末機に接続するための外部インターフェイス部を設け、上記制御部は、該外部インターフェイス部を介して上記表示部となる上記携帯型端末機の表示画面に、被検出体の位置情報を表示させる。
【発明の効果】
【0026】
本願請求項1の発明によれば、無指向性アンテナ部を有する被検出体側無線機を送信側、高指向性アンテナ部を有する使用者側無線部を受信側としており、手元の表示で確認できるので、時間帯によらず位置検出を行なうことができ、周囲に迷惑になることもない。また、高指向性アンテナ部を受信側とするので、例えば受信電波の受信電界強度に基づいて、被検出体と使用者の距離のみならず、進行方向を反映させた位置信号を得ることができる。従って、使用者が移動しながら表示を確認することで、従来装置に比べて広範囲の探索を容易に実施できる。また、小電力無線通信方式による1対1通信を採用しているので、インフラ設備やインターネット接続の必要がなく、構成が簡易であり、消費電力も少ない。よって、小型で低コストかつ高応答な位置検出装置を、容易に実現することができる。
【0027】
本願請求項2の発明によれば、使用者側無線機の表示が随時更新されるので、使用者が移動しながら探索を行なっても、追従して変化する表示を確認しながら、容易に探索を行なうことができる。
【0028】
本願請求項3の発明によれば、受信電波を解析して、表示部の表示手段、例えばLEDの点灯数に対応させた受信電界強度レベルに変換し、位置信号として出力する比較的簡単な処理で、瞬時に検出結果を表示できるので、探索が容易でシステムが簡易にできる。
【0029】
本願請求項4の発明によれば、使用者が参照する表示部を、LED等の点灯や画像によるユニークな表現方法を用いて表示窓が切り替えられるようにし、また表示窓を、3ないしそれ以上の段階表示が可能に形成することで、受信電界強度レベルの変化により位置検出を容易に行なうことができる。
【0030】
本願請求項5の発明によれば、被検出体が比較的遠くに位置し、受信電界強度レベルが小さい時に、距離や向きによる表示部の変化が大きいので、位置の特定が容易になる。
【0031】
本願請求項6の発明によれば、使用者側無線機に複数の距離モードを設け、距離モード毎に表示を変更することで、常に最適な表示を行なって位置検出を容易に行なうことができる。
【0032】
本願請求項7の発明によれば、使用者側無線機の複数の距離モードを、少なくとも2つ設け、例えば近距離モードでは近距離側の表示を細かく、遠距離モードでは遠距離側の表示を細かく設定することで、移動による表示変化を大きくし、位置検出を容易にすることができる。
【0033】
本願請求項8の発明によれば、使用者側無線機の高指向性アンテナ部を複数とし、対応する表示窓を複数設けたので、アンテナ部毎に異なる受信電界強度レベルを比較することで、より精度よく位置検出を行なうことができる。
【0034】
本願請求項9の発明によれば、使用者側無線機と被検出体側無線機との間で双方向無線通信が可能となるので、位置信号以外の情報を送受信したり、音声通信を行なったりすることで、機能性を高めることができる。
【0035】
本願請求項10の発明によれば、使用者側無線機を他の携帯型端末機に接続し、表示部を使用可能とすることで、使用者側無線機の構成を簡易にし、また、高機能な他の携帯型端末機の表示画面を利用した種々の表示が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態における位置検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の位置検出装置を車両駐車位置の検出システムに適用した場合の構成例を示す全体概略斜視図である。
【図3】第1実施形態の移動機における表示部の構成例を示す図で、(a)はLEDを用いた表示部を有する移動機の正面図であり、(b)はLCDを用いた表示部を有する移動機の正面図である。
【図4】第1実施形態の位置検出装置を用いた使用者の動作フローチャートである。
【図5】第1実施形態の位置検出装置における移動機の制御フローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態における位置検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態の応用例を示す被検出機の全体概略構成図である。
【図8】(a)は、本発明の第2実施形態の応用例を示す移動機の全体概略構成図であり、(b)は、(a)の移動機を子供の見守りに用いた場合の動作を説明するための図である。
【図9】第2実施形態の位置検出装置における移動機の制御フローチャートである。
【図10】本発明の第3実施形態における位置検出装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図11】第3実施形態の移動機における表示部の構成例を示す図で、(a)はLEDを用いた表示部を有する移動機の正面図であり、(b)はLCDを用いた表示部を有する移動機の正面図であり、(c)はLEDを用いた表示部を有する移動機の正面図であり、(d)はLEDを用いた表示部を有する移動機を電子キーと一体化した多機能端末機の正面図である。
【図12】本発明の第4実施形態における位置検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図13】第4実施形態の位置検出装置を他の機器に接続可能に設けた場合の構成例を示す図で、(a)はSDIO対応モジュールとしての構成例を示す全体概略図であり、(b)はUSB対応モジュールとしての構成例を示す全体概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(第1実施形態)
以下に、図面に基づいて本発明の位置検出装置の第1実施形態について説明する。本実施形態は、自動車の駐車位置を検出するシステムへの適用例であり、図1は、位置検出装置の概念を示すブロック図、図2は、位置検出装置の具体的構成例を示す全体概略図である。図1、2において、位置検出装置は、位置検出対象となる自動車に取付けられる車載機(被検出体側無線機)1と、使用者が携帯する移動機(使用者側無線機)2とを備えている。車載機1は、送信側無線部11、無指向性アンテナ部12、送信側制御部13および送信側操作部14を有し、携帯機2は、受信側無線部21、高指向性アンテナ部22、受信側制御部23、受信側操作部24および表示部25を有している。なお、これら各部は、以降の説明中および図面中において適宜、無線部11、21、アンテナ部12、22、制御部13、23および操作部14、24と略称する。
【0038】
図2において、車載機1は、自動車Cの車室内に配置されて移動機2に向けた位置信号を送信する送信側の無線通信機であり、例えば自動車前部のダッシュボード等に載置可能に設けられた矩形本体部1Aを有している。または本体部1Aを車室天井パネル、インストルメントパネル等に着脱ないし組み込み可能な形状とすることもできる。ここでは本体部1Aの上面を、送信側無線部11および制御部13の実装面とするとともに、上面隅部に無指向性のロッドアンテナを立設してアンテナ部12とし、電源のオンオフや送信電力およびチャネル切替用の操作ボタンを設けて操作部14とする。
【0039】
車載機1の操作部14は、例えば電源スイッチを兼ねる押下げ式の操作ボタンを有し、手動による操作ボタンの押下げによって電源供給が開始され、制御部13へデータ送信のための駆動信号が出力されるようになっている。図示しない電源部は、乾電池、ボタン電池、充電式電池等の他、自動車Cのバッテリを電源とすることもできる。車載機1を自動車Cの車室パネル等に組み込む場合には、自動車Cが駐車状態となると自動的に電源オンおよび駆動信号出力がなされるように構成することもできる。この駐車状態の判別は、自動車Cの制御部にて行い、例えばイグニッションスイッチがオフとなり、ドアロックされてから所定時間が経過したことを条件として、車載機1を立ち上げる。これにより、短時間の駐停車時に不必要にバッテリ電力が消費されることを回避できる。
【0040】
車載機1の制御部13は、識別情報を含む種々のデータや制御プログラムを記憶するROM、プログラムを実行するCPU、作業領域としてのRAM等を備えており、車載機1全体を制御する。識別情報は、車載機1に予め設定された固有の情報で、移動機2が車載機1を特定するために使用される。操作部14からの駆動信号が入力すると、制御部13は、自身の識別情報を含むデータを生成して、無線部11に出力する。
【0041】
車載機1の無線部11は、例えば送信電力10mW以下の小電力データ通信信号を送信可能に構成されており、予め定めた小電力データ通信方式に基づいて、制御部13からの入力データを周波数変調し、アンテナ部12を介して電波出力させる。送信電力やチャネルの切替は操作部14によって行うことができる。移動機2との通信方式は、電波法による免許が不要な2.4GHz帯を用いるZigBee、またはこれを規定しているIEEE(米国電気電子技術者協会)の標準規格であるIEEE802.15.4規格、あるいは独自通信方式が採用される。
【0042】
ZigBeeは、比較的近距離の無線通信ネットワークに適した低速データ転送方式で、下位レイヤ(Mac(メディアアクセス制御)層、PHY(物理)層)にIEEE802.15.4を採用し、その上位にZigBeeのネットワーク層を付加するプロトコル構成となっている。ZigBee用のプロトコルスタックを採用すれば、ZigBee用のアプリケーションが使用可能となるが、IEEE802.15.4のみを使用するようにしてもよく、または標準規格ではなく独自の規格に置き換えることもできる。ZigBeeは、消費電力が小さく電池寿命が長くできる、チャネル数が多く隣接するチャネルと周波数帯が重ならないといった利点があり、低コストで実用性に優れる。
【0043】
車載機1のアンテナ部12は、電波送信方向に対して指向性を有しない無指向性アンテナであり、図示のロッドアンテナの他、スパイラルアンテナ等、種々のアンテナ形状を選択することができる。無指向性アンテナを用いることで、自動車Cの周囲360°の全方位に信号電波を発信することができ、駐車位置を探索する使用者の位置によらず、移動機2を用いた位置検出を良好に行うことができる。
【0044】
移動機2は、使用者に携帯されて車載機1からの位置信号を受信する受信側の無線通信機であり、例えば筺形本体部2Aの裏面側を、受信側無線部21および制御部23の実装面とするとともに、高指向性のフィルム型アンテナを埋設してアンテナ部22としている。表面側には、電源のオンオフや検出動作の開始または動作モードや表示モード切替用の操作ボタンを設けて操作部24とするとともに、表示手段として、例えば複数の発光ダイオード(LED)を用いた点灯式表示窓を設けて表示部25とする。使用者が、図示するように移動機2の操作部24を手前にして持つ時、表示部25のLEDの並び方向は、移動機2の長手方向、すなわち使用者の進行方向となる。
【0045】
移動機2の操作部24は、例えば電源スイッチを兼ねる押下げ式の操作ボタンを有し、手動による操作ボタンの押下げによって電源供給が開始され、制御部23へ位置検出を要求する位置表示要求信号を出力する。また、位置検出動作や検出結果を表示するための複数のモードを有している場合は、モード切替用の操作ボタンを一体にまたは別体として設けることができる。図示しない電源部には、乾電池、ボタン電池、充電式電池等が用いられる。上述した小電力通信方式は、電力消費が極めて小さいため、頻繁な電池交換が不要で経済的である。
【0046】
移動機2の表示部25は、図3(a)に示すように、複数のLED(図では例えば8個)を一列に並べた点灯式表示窓を設け、車載機1との距離および方向に応じた検出レベルをLEDの点灯数によって表示させる。その他、図3(b)に示すように、液晶ディスプレイ(LCD)による画像を表示させた画像式表示窓を設けて、遠近情報を知ることもできる。表示画像は、例えば、図示するように扇形画像を長手方向に複数に区画して、区画片の数を検出レベルに対応させて、表示する。表示形状は適宜変更することができ、区画片ごとに色分け表示するようにすれば、より視認しやすくなる。表示は少なくとも3段階、好適には5段階以上に設定すると、位置検出が容易になる。
【0047】
移動機2のアンテナ部22は、高利得高指向性の小型アンテナで、特定方向に高い指向性を有して車載機1からの送信電波を受信する。2.4GHz帯は波長が短くアンテナの小型化が可能であり、また形状の工夫等により利得を向上させることで、通信距離を延長することができる(通常、40m〜300m)。このように本発明では、送信側に無指向性アンテナを、受信側に指向性アンテナを用いることにより、検出可能な距離範囲を拡大するとともに、被検出体の位置を容易に検出することができる。また、アンテナ部22は、指向性を有する特定の方向が、表示部25の表示方向すなわち使用者の進行方向と一致するように配設しており、使用者の移動や回転によって変化する表示を確認することで、車載機1との距離および方向を特定可能となる。
【0048】
移動機2の無線部21は、アンテナ部22にて受信した電波を解析して、制御部23へ転送する。解析は、予め定めた小電力データ通信方式に基づいて行われ、受信信号を復調して識別情報を含む受信データを得るとともに、受信信号の電界強度を検出する。この時、アンテナ部22が指向性を有することから、受信電界強度は、車載機1との距離のみならず、移動機2のアンテナ部22の方向、すなわち使用者の向いている方向によって大きく変動する。本発明では、この受信電界強度の変動をそのまま表示に反映させることで、使用者が容易に自動車Cを探索できるようにする。
【0049】
移動機2の制御部23は、受信データに含まれる識別情報を、予め記憶している情報と比較して、検出対象である車載機1から送信されたデータであるか否かを判別する。識別情報が一致した場合には、受信電界強度をサンプリングして数値に変換する。この時、複数の受信データをサンプリングし、受信電界強度の平均値を算出すると、より正確な受信電界強度の検出が可能で、表示が安定するために探索が容易になる。次いで、算出した受信電界強度を、表示部25の表示方法に応じた位置表示信号に変換する。
【0050】
例えば図3(a)に示される8個のLEDを用いた8段階の点灯式表示とする場合には、受信可能な電界強度範囲を予め5つの受信電界強度レベルに分割し、算出した受信電界強度が1から8のどの表示レベルに対応するかを判定して、その結果を位置表示信号として表示部25に出力する。位置表示信号は、受信電界強度レベルが大きいほど、LEDの点灯数が多くなるように設定されており、表示部25は、受信した位置信号に応じて、LEDを点灯させる。
【0051】
なお、表示部25の表示方法は、特に限定されるものではなく、LEDの数や画像は任意に選択することができる。また表示窓に、検出した受信電界強度をそのまま数値で表示し、または受信電界強度のレベルを数値で表示するようにしてもよい。LEDやLCDの他、有機ELやペーパディスプレイ等を用いて表示部25を構成することもできる。
【0052】
図3(c)に示すように、好適には、複数の受信電界強度レベルに対応する電界強度範囲を設定する際に、受信可能な電界強度範囲を表示レベル数に応じた均等分割とせず、受信電界強度が小さい側では、対応する電界強度範囲を狭く、大きい側では、対応する電界強度範囲がより広くなるようにするとよい。これにより、車載機1との距離が比較的離れている時に、わずかに距離が接近し、あるいは方向のずれが修正されただけで、表示される受信電界強度のレベル、例えばLEDの点灯数が変化し、探索しやすくなる。
【0053】
ただし、車載機1との距離が一定以上に近くなると、表示レベルが最大となり、方向による受信電界強度の差が表示レベルに反映されにくくなる。そこで、本実施形態では、表示部25の動作モードとして、距離に応じた複数の表示が可能な距離モードを設け、表示部25の表示に基づいて探索しながらモード切替を行う。例えば、受信可能な電界強度の全範囲を表示する遠距離モードを標準とし、距離が接近して、表示レベルがほぼ最大となったら、中距離モード、近距離モードと順次切替えることで、常に適切な表示がなされるようにする。具体的には、遠距離モードで表示レベルが中間となる程度の受信電界強度が、中距離モードにおいて、最小の表示レベルとなるように設定し、これより強度の大きい受信電界強度範囲を、表示レベル数に応じてさらに分割する。
【0054】
中距離モードにおいて、表示部25の表示レベルが最大となった場合も、同様にして近距離モードに切替える。また、これら複数のモードを用いる場合も、受信電界強度範囲を表示数に対して均等分割せず、電界強度が小さい側ほど、対応する電界強度範囲を狭く設定することで、距離や方向の変化を表示部25の表示に速やかに反映させることができる。
【0055】
次に、上記構成の本実施形態の位置検出装置を用いた自動車Cの探索方法について説明する。図4は、主に移動機2を携帯する使用者の動作フローであり、図5は、主に移動機2の制御部23で実行される制御フローを示したものである。車載機1は、駐車時に自動的に、または操作部14を手動操作することにより電源がオンとなり、操作部14からの駆動信号によって制御部13が制御を開始する。無線部11は、割り当てられた周波数を使用して識別情報を含む小電力データ通信信号を送信し、無指向性のアンテナ部12から全方位に電波出力させる。制御部13は、例えば無線部11からの電波出力が所定間隔で間欠的になされ、それ以外はスリープモードとなるように制御することで消費電力を抑えることができる。
【0056】
図4において、使用者は、移動機2の操作部24の操作ボタンを押下げて、自動車Cの駐車位置探索を開始する。これにより、ステップS1において、移動機2の電源がオンとなるとともに、ステップS2において、制御部23へ位置検出を要求する位置表示要求信号が出力される。本実施形態において、移動機2は、検出しようとする自動車Cとの距離に応じて表示を切替える距離モードを有しており、例えば、操作ボタンを繰り返し押下げることによって、モード切替えを行うように設定されている。操作部24がモード切替ボタンを別に備える場合には、ボタン操作によって任意のモードを選択することができる。操作ボタンが連続操作されず、あるいはモード切替ボタンが操作されない場合には、標準である遠距離モードによる表示要求となる。これに対して、移動機2は、図5の制御フローに従って、移動機2と車載機1との位置関係を検出する。
【0057】
図5において、移動機2は、操作部24が操作されることにより動作を開始する。操作ボタンが押されて電源が供給され、位置表示要求信号が入力すると、制御部23は、まずステップS11において、前回の動作時に一時的に記憶したデータ等を消去し、移動機2を初期化させる。次いで、ステップS12において、車載機1から送信されてくる小電力データ通信信号を、高指向性のアンテナ部22にて受信する。ステップS13において、無線部11が受信した信号を解析した後、制御部23に転送すると、制御部23はステップS14において受信データの識別情報が、予め記憶した車載機1の識別情報と一致するか否かの判定を行う。ステップS14が否定判定された場合は、受信データが車載機1のものでないと判断して本フローを一旦終了する。
【0058】
ステップS14が肯定判定された場合は、ステップS15に進み、無線部21で検出された受信電界強度を数値に変換する。さらに、表示部25にて表示される受信電界強度レベルを表わす位置表示信号に変換し、表示部25に出力する。ステップS16において、表示部25は、入力された位置表示信号に応じて、例えば点灯式表示窓のLEDの点灯数を決定し、自動車Cの遠近情報として表示する。ステップS21以降の一連のステップは、例えば移動機2の電源がオフとなるまで、所定間隔をおいて間欠的に実行され、それに応じて表示部25の表示が更新される。
【0059】
ここで、上述したように、アンテナ部22は特定の方向に対して高い指向性を有し、またこの方向は、表示部25の表示方向と一致させてあるので、使用者および移動機2の向きに応じて変化するLEDの点灯数によって、車載機1すなわち自動車Cとの距離と方向を知ることができる。
【0060】
そこで、使用者は移動部25の表示が点灯したら、図4のステップ2以降の動作を実施する。図4のステップ3においては、表示部25に表示された受信電界強度レベルが最大レベルであるか否か、例えばLEDの点灯数が最大であるか否かを判定する。最大レベルでなければ、ステップ4で、立ち位置を移動もしくはその場で回転し、ステップ5で、移動機2の表示レベルが上昇したか否かを判定する。上昇していなければ、ステップ4に戻り、再び立ち位置を移動もしくは回転して、表示レベルが立ち上がる方向を探索する。ステップ5で、移動機2の表示レベルが上昇した場合は、ステップ5でその方向へ移動し、ステップ6で、検出対象である自動車Cが視認できれば、探索を終了する。
【0061】
ステップ6で、自動車Cが視認できなければ、ステップ3に戻り、以降のステップを繰り返す。ステップ3で表示レベルが最大である場合は、ステップ7に進み、モード切替ボタンを押下げて、遠距離モードから中距離モードに切替える。これにより表示部25の点灯表示レベルが低下するので、この表示を基に、ステップ4以降を繰り返す。自動車Cが視認できず、表示レベルが再び最大となった場合は、ステップ7で中距離モードから近距離モードに切替え、自動車Cが視認できるまで、以降のステップを繰り返す。
【0062】
このように、本実施形態の位置検出装置は、車載機1の無線部11を送信側とし、移動機2の無線部21を受信側とする1対1無線通信により、車載機1が搭載される自動車Cの位置を移動機2に表示させる。特に、小電力無線通信方式を採用した1対1通信のみで位置検出を実現し、GPSや携帯通信網といった既存のインフラを使用しないので、非常にシンプルな構成となり、システムの構築が容易である。このため、容易に小型化でき、例えば車載機1、移動機2ともに、本体部1A、2Aサイズが数cm角程度ないしそれ以下の小型無線機として構成できる。また、小電力無線通信を利用し間欠送受信を行うことで、消費電力を少なくすることができ、車載バッテリの消耗が抑制され、頻繁な電池交換を要することもない。よって、製作コストおよび維持コストが大幅に低減できる。
【0063】
しかも、送信側の無指向性アンテナ部12と受信側の高指向性アンテナ部22との組み合わせにより、受信可能距離が延長されるとともに、車載機1との距離および向きを反映した位置表示を行うことができる。このため、複雑な受信データ処理が不要で、応答性が良好であり、移動機2の操作や位置変化に追従して、表示が速やかに更新されるので、操作性が良好である。本実施形態では、移動機2の動作モードに距離モードを設け、遠距離から中距離、近距離と移動しながら、モード切替えを行うことで、表示部25の表示を常に最適にして、探索を容易にすることができる。また、使用者が移動しながら、手元の表示部25を参照して位置検出を行うので、周囲に迷惑となることがなく、昼夜を問わず同条件で検知動作が可能で、容易に自動車Cの駐車位置を探すことができる。
【0064】
従って、位置探索のための大掛かりなシステムや複雑な制御が不要であり、駐車車両のように比較的広範囲の探索が必要な場合に適した、小型小電力で低コストかつ実用性に優れた位置検出装置を実現することができる
【0065】
上記第1実施形態では、車載機1の無線部11を送信側とし、移動機2の無線部21を受信側とする1対1無線通信機として構成したが、無線部11、21をいずれも送受信可能な無線部として、双方向通信可能に構成することもできる。この場合は、車載機1の位置検出だけでなく、移動機2から予め決められた検出要求信号、例えば自動車Cのドアロックの有無や、車内灯、ヘッドランプ等の点灯の有無を検出するように信号を送信することもできる。車載機1の制御部13は、信号を受信すると、予め記憶した制御プログラムに従い、例えば自動車Cの制御部との無線通信を行って必要な情報を得、移動機2に要求信号に対応する応答信号を送信する。
【0066】
また、上述したように、本発明の位置検出装置は小型であるため、車載機1を着脱可能に設け、必要に応じて取り外して人やペット、または紛失のおそれのある鍵、財布、携帯電話、その他の小物類に取り付けることもできる。あるいは、表示部25の視覚表示に加えて、音声や警告音、振動といった聴覚や触覚による位置や方向の表示が可能な構成としてもよい。この場合も、従来の車載ランプ等の点灯や、ホーン、ブザーによる表示に比較して、使用者が携帯する移動機2側で、音声等を出力させるので、音量調整が容易であり、状況に応じて操作することで周囲の迷惑にならないようにすることができる。また、音声通話可能に設けることもできる。このような任意の人や物を検出対象とし音声を利用した構成例について、次に示す。
【0067】
(第2実施形態)
図6〜8により本発明の第2実施形態を説明する。図6は基本概念を示すブロック図、図7、8は具体的構成例である。図6に示すように、本実施形態の位置検出装置は、被検出機1’および移動機2を備えている。被検出機1’は、第1実施形態の車載機1に相当するもので、自動車Cに特定されない検出対象に取り付けられる。また、本実施形態では、被検出機1’の無線部11および移動機2の無線部21を、いずれも送受信可能な無線部として、双方向通信可能に構成し、さらに被検出機1’および移動機2のそれぞれに、音声入力・出力のためのマイク・スピーカ部16、マイク・スピーカ部26を設けている。それ以外の被検出機1’および移動機2の基本構成は、第1実施形態の車載機1および移動機2と同様であり、説明を省略する。
【0068】
被検出機1’のマイク・スピーカ部16は、制御部13に接続されており、音声の入力・出力が制御されるようになっている。同様に移動機2のマイク・スピーカ部26は、制御部23に接続されて、音声の入力・出力が制御される。これにより、無線部11および無線部21を介して音声を送信および受信することができ、双方向無線通信による通話が可能である。また、制御部13、23に予め音声データを入力しておき、操作部14、24からの操作によって出力させることもできる。
【0069】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の操作により、移動機2の表示部25に、被検出機1’からの電波を解析した遠近情報を表示させ、距離モードを適宜切替えながら検出対象の位置を探索する。また、マイク・スピーカ部16、26を利用して、予め入力しておいた音声データを、必要に応じて再生したり、被検出機1’を人に携帯させている場合には、マイク・スピーカ部16、26を利用して、直接音声通話を行ったりすることもできる。
【0070】
図7は、被検出機1’を検出対象となる鍵Kに取付ける場合の具体的構成例を示すものである。図示するように、被検出機1’は、移動機2と同様の携帯可能な筺体形状の本体部1A’を有し、頂面に取付部1Bとなるキーチェーン等を設けて、鍵Kを取付け可能としている。本体部1A’は、図示する表面に、例えば電源スイッチを兼ねる押下げ式の操作ボタン14aとスライド式のモード切替スイッチ14bを有する操作部14と、音声出力または通信用のマイク・スピーカ部16を備えている。図示しない裏面は無線部11および制御部13の実装面となり、無指向性のロッドアンテナよりなるアンテナ部12は、本体部1A’の側面または内部に収容可能に設けられる。操作ボタン14aは、電源をオン状態とし、制御部13へ駆動信号を出力して、移動機2へ向けて自身の識別情報を含むデータ送信を開始するために使用される。
【0071】
また、モード切替スイッチ14bは、例えば、データ送信のみの通常モードとマイク・スピーカ部16の動作が可能な音声モードとの切替えに使用される。音声モードでは、移動機2からの要求信号に応じて、マイク・スピーカ部16から予め入力したビープ音等の音声出力を行う。または、被検出機1’および鍵Kを他者に携帯させることにより、移動機2を有する使用者との音声通信に使用することもできる。音声出力モードと音声通信モードを別に設けたり、操作ボタン14aの誤動作を回避するために信号出力を停止する誤動作防止モードを設けたりすることも可能である。
【0072】
図8は、検出対象となる子供の見守りに本実施形態を利用する場合であり、図8(a)は、使用者である保護者が携帯する移動機2の具体的構成例である。被検出機1’は、上述した図7の構成とし、取付部1Bを首掛け可能なロングストラップ式または持物に取付け可能なクリップ式等に構成して、子供に容易に携帯させることができる。また移動機2は、図8(a)に示すように、筺体形状の本体部2Aの頂面に、キーチェーン等により構成される取付部2Bを有し、鍵Kを取付けてキーホルダとして利用可能となっている。本体部2Aは、図示する表面に、操作部24と表示部25、音声出力または通信用のマイク・スピーカ部26を備えている。
【0073】
本体部2Aの表面に設けた操作部24は、例えば電源スイッチを兼ねる押下げ式の操作ボタン24aとスライド式のモード切替スイッチ24bに加え、音声出力を直接支持するための音声データ再生ボタン24cを有している。音声は、例えば警告、注意、呼び戻しを行なうためのもので、予め設定しておくことができる。表示部25は、多数のLEDを一列に配置した点灯式表示窓を有し、LEDの点灯数により距離モードに応じた遠近情報が表示される。図示しない裏面には無線部21および制御部23が実装され、高指向性のフィルム型アンテナを埋設したアンテナ部22を有している。
【0074】
図8(b)は、移動機2を携帯する保護者と被検出機1’を携帯する子供の位置関係を示すもので、保護者を中心とする位置検出可能な範囲を円で表わしている。円の内側はA、B、Cの3ゾーンに分かれ、それぞれ移動機2の近距離モード、中距離モード、遠距離モードに対応している。円の外側は検出圏外を表わすOBゾーンとなる。保護者は、例えば公園等において子供を離れたところから監視する際に、上記第1実施形態と同様の操作を行って、適時子供の位置を確認することができる。また、音声通話モードに切替え、マイク・スピーカ部16、26を用いて直接会話したり、移動機2の音声データ再生ボタン24cを押して、被検出機1’ のマイク・スピーカ部16から、例えば警告、注意、呼び戻しのための音声を出力させたりすることもできる。さらには、距離モードを自動的に切替えて表示させ、あるいは音声データやビープ音を自動再生するように制御することもできる。
【0075】
例えば、距離に応じて使用可能な動作モードの組み合わせ例を、以下に示す。ここで、複数の音声データを距離モードに応じて切替えたり、OBゾーンに近づいた時には、被検出機1’と移動機2の両方から警告音が出力されるようにしたり、設定を任意に変更することで、より安全な見守りが可能になる。
〈Aゾーン:近距離〉
・音声通話可能(トランシーバ機能)
・操作部24からの指示による音声データ再生(警告、注意、呼び戻し)
・音声データまたはビープ音の自動再生
〈Bゾーン:中距離〉
・場合により音声通話可能(トランシーバ機能)
・操作部24からの指示による音声データ再生(警告、注意、呼び戻し)
・音声データまたはビープ音の自動再生
〈Cゾーン:遠距離〉
・操作部24からの指示による音声データ再生(警告、注意、呼び戻し)
・音声データまたはビープ音の自動再生
〈OBゾーン:圏外〉
・表示部25のLEDやLCDを用いた圏外表示
【0076】
図9は、移動機2に、距離に応じて距離モードを切替え、音声データの自動再生を行なう自動モードを設定した場合の、制御部23で実行させる制御フローを示す。移動機2は、使用者が操作部24の操作ボタン24aを押下げると、電源がオンとなり、制御部23へ位置表示要求信号が出力される。また、モード切替スイッチ24bが操作されて自動モードに切替えられる。位置表示要求信号に対する制御部23の制御フローは、上記図5に示した通りであり、同様の手順で被検出機1’からの受信信号の解析を行なって、受信電界強度レベルを検出する。
【0077】
一方、図9のステップ21において、制御部23は、まず動作モードを検出し、ステップ22で自動モードか否かを判定する。自動モードでなければ手動モードと判断して、本処理を終了する。この場合、使用者は上記図4の動作フローに従い、距離モードを切替えながら手動で探索を続けることになる。ステップ22で自動モードであれば、ステップ23へ進み、上記図4の制御フローに従って検出された受信電界強度を読み込む。続くステップ24において、読み込んだ受信電界強度に対応する遠距離モードの表示レベルが最大か否かを判定する。最大であれば、ステップ29へ進む。
【0078】
ステップ24が否定判定された場合は、続くステップ25において、読み込んだ受信電界強度に対応する表示レベルが最低以下か否かを判定する。否定判定された場合には、本処理を終了する。この場合、被検出機1’は遠距離モードで表示可能な範囲、すなわち図8(b)のCゾーンにあると判断され、使用者は、表示部25の表示に基づいて位置を確認しながら、必要により手動で音声データ等を操作する。
【0079】
ステップ25が肯定判定された場合は、さらにステップ26において、読み込んだ受信電界強度が圏外、すなわち表示可能レベル未満か否かを判定する。否定判定された場合は、最低レベルと判断してステップ27へ進み、被検出機1’および移動機2の両方に動作信号を出力して、予め設定した音声データまたはビープ音を再生させる。例えば移動機2には警告音を連続再生させ、被検出機1’には呼び戻しのための音声を再生する等、別々に設定してもよい。ステップ26で圏外と判定された場合は、ステップ28へ進み、移動機の表示部25に圏外であることを警告表示させる。例えばLEDであれば点滅や色によって、LCDであれば画像によって圏外であることを認識させるための表示を行なう。
【0080】
ステップ29に進んだ場合は、距離モードを遠距離から中距離モードに切替える。次いでステップ30で、読み込んだ受信電界強度が、中距離モードの表示レベルにおいて最大か否かを判定する。最大であれば、ステップ33へ進み、最大でなければ、続くステップ31において、受信電界強度に対応する表示レベルが最低以下か否かを判定する。否定判定された場合には、本処理を終了する。この場合、被検出機1’は中距離モードで表示可能な範囲、すなわち図8(b)のBゾーンにあると判断され、使用者は、表示部25の表示に基づいて位置を確認しながら、必要により手動で音声データ等を操作する。
【0081】
ステップ31が肯定判定された場合は、受信電界強度が最低レベルと判断してステップ32へ進み、予め設定した音声データまたはビープ音を再生させる。この場合、被検出機1’は、まだ使用者に比較的近いBゾーンにあるので、移動機2のみにCゾーンへ接近したことを知らせる音声データを再生するようにしてもよい。
【0082】
ステップ33に進んだ場合は、距離モードを中距離から近距離モードに切替える。次いでステップ34で、読み込んだ受信電界強度が、近距離モードの表示レベルにおいて最低か否かを判定する。最低でなければ、被検出機1’は近距離モードで表示可能な範囲、すなわち図8(b)のAゾーンにあると判断し、本処理を終了する。最低であれば、続くステップ35において、予め設定した音声データまたはビープ音を再生させる。この場合、被検出機1’は、まだ使用者に近いAゾーンにあるので、移動機2のみにBゾーンへ接近したことを知らせる音声データを再生するようにしてもよい。
【0083】
このように、本実施形態によれば、音声入力・出力が可能なマイク・スピーカ部16、26を設けたので、表示部25の表示と併用することによって、探索が容易になる。また、図9のように自動モードを設けて距離モードの切替えや音声再生を実行させるようにすれば、使用者が移動機2を注視し続ける必要がなくなり、例えば、屋外の子供や病院・施設等の利用者のように長時間の監視が必要な場合に有効であり、安全かつ確実な見守りが可能になる。
【0084】
(第3実施形態)
図10、11に本発明の第3実施形態を示す。図10は、本実施形態の基本概念を示すブロック図であり、図11は移動機2の具体的構成例である。図10に示すように、本実施形態の位置検出装置は、上記第1実施形態と同様の自動車C探索用として構成されており、車載機1および移動機2を備えている。本実施形態では、移動機2は、複数のアンテナ部22を有しており、例えば3つのアンテナ部22a、22b、22cを有するものとして、以降説明する。これらアンテナ部22a、22b、22cと無線部21の間に、入力切替えのためのアンテナ入力切替部27を設けている。アンテナ入力切替部27の動作は、制御部23によって制御される。それ以外の移動機2の構成、および車載機1の構成は、第1実施形態と同様の構成であり、説明を省略する。
【0085】
移動機2の複数のアンテナ部22a、22b、22cは、それぞれ高指向性のフィルム型アンテナよりなり、指向性を有する方向が異なるように配設されている。例えば、中央のアンテナ部22bが指向性を有する方向が、移動機2の長手方向(すなわち使用者の進行方向)であり、アンテナ部22a、22cが指向性を有する方向が重ならないように、左右にずらして配置する。また、複数のアンテナ部22a、22b、22cが指向性を有する方向と、表示部25の表示方向とをそれぞれ対応させて配置することで、位置検出を容易にすることができる。このため、移動機2は複数の表示部25を有しており、ここではアンテナ部22に対応する3つの表示部25a、25b、25cを有するものとして、以降説明する。
【0086】
3つの表示部25a、25b、25cは、例えば図11(a)に示すように、それぞれが、複数のLED(図では例えば8個)を一列に並べた点灯式表示窓を有する構成である。そして、本体部2Aの上半部中央に長手方向に延びる表示部25bを配設し、その左方に、本体部2Aの左上隅を向くように、表示部25aを傾斜させて配置するとともに、その右方に、本体部2Aの右上隅を向くように、表示部25cを傾斜させて配置する。従って、これら表示部25a、25b、25cの配設方向に合わせて、3つのアンテナ部22a、22b、22cが指向性を有する特定方向が、ほぼ一致するように配設すれば、表示部25a、25b、25cのそれぞれが、対応するアンテナ部22a、22b、22cの受信電界強度を反映させた表示を行なうことになる。
【0087】
例えば図11(b)に示すLCDによる画像表示を行なう場合には、図示するように3つの表示部25a、25b、25cを表わす矢印を組み合わせた画像を、本体部2Aの上半部に設けた表示窓に表示する。画像中央の表示部25bは、本体部2Aの長手方向に延びる矢印であり、その左方に、左向きの矢印からなる表示部25a、その右方に、右向きの矢印からなる表示部25cを配置する。
【0088】
上記構成において、移動機2は、上記各実施形態と同様に、操作部24が操作されることにより動作を開始する。位置表示要求信号が入力すると、制御部13は、アンテナ入力切替部27を制御し、任意の時間毎にアンテナ部22a、22b、22cの1つからの入力だけを許可する。許可されたアンテナ部22からの受信電波が入力すると、無線部21は受信した小電力データ通信信号を解析した後、順次制御部23へ転送する。制御部23は、任意の時間毎に無線部11で検出された受信電界強度を数値に変換し、さらに表示のための受信電界強度レベルに変換する。また、検出された任意の時間を基に、3つのアンテナ部22a、22b、22cのどれからの入力かを判断し、対応する表示部25a、25b、25cに表示させるための位置表示信号を出力する。
【0089】
表示部25は、任意の時間毎に、入力された位置表示信号から、表示部25a、25b、25cを特定し、LED点灯またはLCD画像を用いて受信電界強度レベルを表示させる。アンテナ部22a、22b、22cは、異なる方向に指向性を有していることから、移動機2と車載機1の距離だけでなく、それぞれのアンテナ部22a、22b、22cの向きによって表示が変化する。すなわち、アンテナ部22a、22b、22cが指向性を有する方向と、車載機1の方向が一致すれば、保表示レベルが上昇し、離れるほど表示レベルが低下するので、最も高い表示レベルの表示部25a、25b、25cが示す方向へ移動することによって、車載機1を容易に探索できる。
【0090】
このように、本実施形態では、複数のアンテナ部22a、22b、22cと表示部25a、25b、25cを組み合わせることで、より精度よい位置検出が可能になる。特に、アンテナ部22a、22b、22cからの受信電界強度をそのまま対応する表示部25a、25b、25cに表示するので、方向を検出するための演算処理等が不要であり、応答性よく検出結果を表示することができる。よって、表示部25a、25b、25cの表示レベルを比較することで、使用者が瞬時に車載機1の方向を知ることができ、実用性に優れる。
【0091】
なお、本実施形態では、複数のアンテナ部および表示部として、3つのアンテナ部22a、22b、22cと表示部25a、25b、25cを用いたが、必ずしもこれに限るものではない。例えば図11(c)に示すように、2つのアンテナ部22a、22bと表示部25a、25bを組み合わせた構成とすることもでき、同様の動作によって、精度よい位置検出が可能になる。この場合も、アンテナ部22a、22bからの受信電界強度をそのまま対応する表示部25a、25bに表示するので、方向を検出するための演算処理等が不要であり、応答性よく検出結果を表示することで、使用者が瞬時に車載機1の方向を知ることができる。
【0092】
また、上記実施形態では、移動機2を位置検出のための専用機として構成しているが、持ち運び可能な他の機器、例えば自動車用や住宅用の鍵に組み込んだ多機能機として構成することもできる。この場合、自動車用や住宅用の鍵は、機械式または電子式のいずれでもよいが、例えばカード型の電子キーとしてその制御部を兼用とすれば、よりコンパクトで高機能な製品とすることができる。なお、鍵に限らず各種製品へ応用し、カード型・箱型その他任意の形状の製品とすることが可能である。
【0093】
図11(d)はその具体例を示すもので、ここでは、移動機2は、自動車用の電子キーK’と一体の多機能端末機3として設けられている。図中、点線で囲まれる部位が移動機2を構成しており、複数のアンテナ部22a、22b、22cと表示部25a、25b、25c、操作部24の構成および作動は、上記実施形態と同様である。操作ボタンK1、K2は、電子キーK’の操作部を構成し、操作ボタンK1を押下げるとドアロック信号が、操作ボタンK2を押下げるとアンロック信号がそれぞれ送信されるようになっている。信号を生成する制御部や送信用の無線部、アンテナ部は、位置検出装置の移動機2と兼用とすることができ、機能的で実用性に優れる。
【0094】
(第4実施形態)
図12、13に本発明の第4実施形態を示す。図12は、本実施形態の基本概念を示すブロック図であり、図13は移動機2の具体的構成例である。図12に示すように、本実施形態の位置検出装置は、上記第1実施形態と同様の自動車C探索用として構成されており、車載機1および移動機2を備えている。本実施形態では、移動機2は、外部接続のための外部インターフェイス部(以下、外部I/F部と略称する)28aを有している。また、操作部24および表示部25を有していない。それ以外の移動機2の構成、および車載機1の構成は、第1実施形態と同様の構成であり、説明を省略する。
【0095】
移動機2の外部I/F部28aは、例えば公知のSDIO規格に対応するSDカード形状、あるいはUSB規格に対応するUSBコネクタ形状を有し、対応するSDスロット、あるいはUSBポートとして構成される携帯型端末機2’の外部I/F部28bに接続可能となっている。携帯型端末機2’は、移動機2と接続されて情報のやり取りが可能な操作部24’、LCD等の表示画面を表示部25’として備えるもの、例えば携帯電話、PDA(携帯情報端末)、PND(ポータブルナビゲーション機器)等を用いることができる。
【0096】
上記構成において、移動機2は、外部I/F部28a、28bを介して、携帯型端末機2’に接続され、操作部24’および表示部25’を動作させるためのソフトウェアをインストール後、操作部24’および表示部25’を利用して、位置検出を行なう。携帯型端末機2’の操作部24’が操作されて、動作開始信号が出力されると、移動機2の電源がオンし、初期化されて位置検出を開始する。移動機2は、アンテナ部12により車載機1から送信される小電力データ通信信号を受信し、無線部21で解析した後、制御部23に転送する。制御部23は、検出された受信電界強度を数値に変換し、さらに表示のための受信電界強度レベルに変換する。これを位置表示信号として、外部I/F部28aに出力する。
【0097】
携帯型端末機2’は、外部I/F部28bを介して、位置表示信号を受取り、表示部25’に表示させる。使用者は、この携帯型端末機2’の表示部25’を参照して、表示レベルが強くなる方向へ移動しながら、検出対象を探し出す。
【0098】
このように、本実施形態では、他の携帯型端末機2’の操作部24’、表示部25’を利用して、移動機2のオンオフや動作モードの切替えといった操作を行ない、検出結果を表示させるので、移動機2の構成が簡易になり、位置検出装置の小型化、低コスト化が可能になる。また、携帯型端末機2’の表示部25’を使用することで、表示手段を増すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の位置検出装置は、駐停車中の自動車の探索、その他、紛失や盗難が懸念される物、さらには子供や病人、老齢者等の人、ペット等の動物といった任意の検出対象に応用することができる。また、検出対象を複数として、それぞれに被検出体側無線機を携帯させ、1つの使用者側無線機によって個々の検出対象位置を把握し、または表示に従って探索することもできる。
【符号の説明】
【0100】
C 自動車(検出対象)
1 車載機(検出体側無線機)
1’ 被検出機(検出体側無線機)
11 送信側無線部
12 送信側アンテナ部
13 送信側制御部
14 送信側操作部
16 マイク・スピーカ部
2 移動機(使用者側無線機)
21 受信側無線部
22 受信側アンテナ部
123 受信側制御部
24 受信側操作部
25 表示部
26 マイク・スピーカ部
27 アンテナ入力切替部
28a 外部インターフェイス部
28b 外部インターフェイス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出対象に取付けられる被検出体側無線機と、使用者に携帯される使用者側無線機とを備える位置検出装置であって、
上記被検出体側無線機に、小電力データ通信が送信可能な送信側無線部と、該送信側無線部に接続される無指向性アンテナ部と、自身の識別情報を含む信号を生成し、上記送信側無線部から上記アンテナ部を介して全方位に電波出力させる送信側制御部と、上記送信側制御部に駆動信号を出力する送信側操作部を設け、
上記使用者側無線機に、上記被検出体側無線機からの送信電波を特定方向において受信可能な高指向性アンテナ部と、該アンテナ部に接続されて受信した電波の解析を行なう受信側無線部と、上記識別情報に基づく受信電波の判別を行い、受信電波の解析結果に基づいて、被検出体との距離および上記アンテナ部の向きを反映した位置信号を出力する受信側制御部と、該受信側制御部からの位置信号に対応する被検出体の遠近情報を表示する表示部と、上記受信側制御部に位置表示要求信号を出力する操作部を設けたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
上記使用者側無線機の上記受信側制御部は、上記操作部からの位置表示要求信号が解除されるまでの間、間欠的に上記位置信号を上記表示部に出力し、上記表示部の遠近情報表示を更新させる請求項1記載の位置検出装置。
【請求項3】
上記使用者側無線機の上記制御部は、上記受信側無線部にて検出可能な受信電界強度範囲を、上記表示部における遠近情報の表示手段に対応させた複数の受信電界強度レベルに分割し、上記受信側無線部から入力される受信電界強度に対応する受信電界強度レベルを判別して、該受信電界強度レベルを表わす位置信号として出力する請求項1または2記載の位置検出装置。
【請求項4】
上記使用者側無線機の上記表示部は、少なくとも3段階ないしそれ以上のレベル表示が可能な点灯式または画像式表示窓を有し、上記制御部は、上記受信側無線部から入力される上記受信電界強度レベルに応じて、上記表示窓の点灯数または表示画像が切替えられるように制御する請求項3記載の位置検出装置。
【請求項5】
上記使用者側無線機の上記制御部は、上記受信電界強度レベルに対応する上記受信電界強度範囲の分割幅を、上記受信電界強度レベルが小さい側では狭く、上記受信電界強度レベルが高い側では広くなるように設定する請求項3または4記載の位置検出装置。
【請求項6】
上記使用者側無線機の上記操作部は、被検出体との相対距離を表わす複数の距離モードを選択可能に構成されており、上記制御部は、選択されている距離モードに応じて、上記受信電界強度レベルに対応する受信電界強度範囲を変更する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項7】
上記使用者側無線機の上記操作部は、上記複数の距離モードとして、少なくとも、被検出体が相対的に近距離に位置する際に使用される近距離モードと、相対的に遠距離に位置する時に使用される遠距離モードを有する請求項6記載の位置検出装置。
【請求項8】
上記使用者側無線機の上記アンテナ部は、上記被検出体側無線機からの送信電波を受信可能な高指向性アンテナを複数有し、上記表示部は、上記複数のアンテナの位置関係を反映する位置に、各アンテナにより受信された電波に基づく表示を行う複数の表示窓を有しており、上記制御部は、各アンテナからの受信電波に対応する受信電界強度レベルを表わす位置信号を出力して、上記複数の表示窓にそれぞれ表示させる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項9】
上記使用者側無線機の上記受信側無線部および上記被検出体側無線機の上記送信側無線部を送受信可能に設け、上記使用者側無線機の上記受信側制御部が識別情報および送信要求を含む信号を上記受信側無線部から出力すると、上記被検出体側無線機は上記送信側無線部にて受信した電波を、上記送信側制御部が上記識別情報に基づいて判別し、識別情報および送信要求に応じた情報を含む信号を生成して、上記送信側無線部から出力する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項10】
上記使用者側無線機に、表示画面を備える他の携帯型端末機に接続するための外部インターフェイス部を設け、上記制御部は、該外部インターフェイス部を介して上記表示部となる上記携帯型端末機の表示画面に、被検出体の位置情報を表示させる請求項1ないし9のいずれか1項に記載の位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−230410(P2010−230410A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76834(P2009−76834)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(503443153)株式会社豊通エレクトロニクス (4)
【Fターム(参考)】