説明

位置決め板及びこれを用いた電気機器の梱包装置

【課題】梱包箱の底部に載置して使用することにより、梱包箱の内部で被梱包物品を緩衝保持する緩衝体を同梱物品と併せて位置決めすることができ、梱包箱の内部を有効利用した梱包を実現し得る位置決め板、及びこの位置決め板を使用した電気機器の梱包装置を提供する。
【解決手段】梱包箱2の底面20の両端部に緩衝体4,5を配し、これらの緩衝体4,5により画面フレーム1の下部を緩衝支持するテレビジョン装置の梱包において、第1の当接体6及び第2の当接体7を備える位置決め板3を使用し、第1の当接体6は、一方の緩衝体5に直接当接させる一方、第2の当接体7は、梱包箱2内に同梱される取り扱い説明書11を介して他方の緩衝体4に当接させ、これらの緩衝体4,5を夫々位置決めする構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の物品を、出荷、搬送のために梱包する梱包箱の内部に載置し、前記物品を緩衝保持する緩衝体を所定の位置に位置決めすべく用いられる位置決め板、及びこの位置決め板を用いてなる電気機器の梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン装置等の電気機器は、工場での製造後に梱包箱に梱包して出荷している。梱包箱としては、出荷後の搬送及び保管を容易にするために、単純な直方体形状を有する段ボール箱が一般的に用いられている。梱包対象となる機器(被梱包物品)は、その形状に合わせて成形された緩衝体を使用し、該緩衝体に緩衝保持された状態で梱包箱内に梱包される。
【0003】
前記緩衝体は、弾性に富む樹脂(発泡スチロール等)製のブロックであり、梱包箱の内面と被梱包物品との間の隙間を埋めるべく介装して用いられる。テレビジョン装置等の大嵩の電気機器を梱包対象とする場合、梱包箱の内側の角部に複数の緩衝体を配置し、これらにより被梱包物品の該当部分を緩衝保持することで、必要となる緩衝体の数及びサイズを最小限に抑えるようにしている。
【0004】
このような緩衝体を用いた梱包は、梱包箱の底部に予め緩衝体を配置しておき、その後に梱包箱内に被梱包物品を導入し、該機器の下部を夫々の緩衝体に設けた係止凹部に係止保持させた後、前記機器の上部の必要か所に緩衝体を配置し、梱包箱の上部の蓋を閉じる手順で実施している。
【0005】
ところが、このように実施される梱包作業においては、梱包箱の底部に配置した緩衝体が、作業中に外部から加わる種々の外力の作用により位置ずれし、その後に導入される被梱包物品の係止に支障を来す場合がある。この場合、梱包箱に導入した被梱包物品を一旦取り出し、緩衝体の位置を調節して再度導入する手間を要し、梱包作業の能率低下を招来するという問題がある。
【0006】
この問題を解消するために、従来においては、梱包箱の内部で緩衝体の位置ずれを防止するための移動防止構造が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1に記載された移動防止構造は、梱包箱の底面の4隅に配置した緩衝体(コーナーパッド)の内向きの角部に、前記底面の中央部に載置した矩形の位置決め板(底面補助緩衝材)に設けた切欠き部を係合させ、前記緩衝体夫々の位置ずれを防止している。
【0007】
特許文献2に記載された移動防止構造は、薄形テレビジョン装置を、画面フレームを横長に立てた状態で梱包する梱包箱に適用されるものであり、梱包箱の底面に載置した位置決め板の長手方向の両端部及び中央部に上向きに立ち上がる切起片を設け、梱包箱の底面の両端部に配置する端部緩衝体、及び中央部に配置する中央緩衝体を夫々の切起片に係合させて位置決めするように構成してある。
【0008】
端部緩衝体は、画面フレームの下縁の両端部に係合可能な係合凹部を、中央緩衝体は、画面フレームを支持する支持脚に係合可能な係合凹部を夫々備えている。薄形テレビジョン装置は、画面フレームを横長に立てた状態で、支持脚を下として梱包箱内に導入し、正しく位置決めされた端部緩衝体及び中央緩衝体の係合凹部に対応部位を夫々係合させて緩衝保持される。その後は、梱包箱の上部開口を臨む画面フレームの上縁の両端部及び中央部に緩衝体を嵌め込み、上部開口の四方に設けたフラップを閉じる手順にて梱包される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−146272号公報
【特許文献2】特開2008−222268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の移動防止構造においては、梱包箱の底面の中央部に載置する底面補助緩衝材が、複数枚の段ボール板を積層して、コーナーパッドの移動を防止するための厚さを確保した大嵩な部品であり、梱包現場での保管及び取り扱いが難しいという問題がある。
【0011】
これに対し、特許文献2の移動防止構造は、位置決め板に設けた切起片が緩衝体の移動を防止する構成となっており、位置決め板は、必要部分を切り出して折り曲げ、変形不可に拘束して前記切起片を一体形成してなる一枚の板であることから、実施が容易な優れた構造である。
【0012】
一方、前述したテレビジョン装置等の電気機器を梱包対象とする場合、梱包箱の内部には、取り扱い説明書、電源線、他の機器との接続に使用する接続線等の付属物品が同梱されるが、特許文献2の移動防止構造を採用した場合、梱包箱の底部が位置決め板によって占められることから、同梱物品の収容スペースを梱包箱の底部に確保することが難しく、また確保し得たとしても、同梱物品の位置決めに専用の手段を必要とし、効率的な梱包を実現し難いという問題があった。
【0013】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、梱包箱の底部に載置して使用することにより、梱包箱の内部で被梱包物品を緩衝保持する緩衝体を、被梱包物品と同梱される同梱物品と併せて位置決めすることができる位置決め板を提供し、またこの位置決め板を使用することにより、同梱すべき付属物品が多い電気機器の効率的な梱包を可能とする梱包装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る位置決め板は、物品を梱包する梱包箱の底面に載置し、前記物品の緩衝作用をなす緩衝体を前記底面上の所定位置に位置決めすべく用いられる位置決め板において、前記梱包箱の底面上で前記緩衝体と距離を隔てて対向し、該緩衝体に、前記梱包箱の内部に前記物品と同梱される同梱物品を介して当接すべく設けられた当接体を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の位置決め板は、梱包箱の底面上に載置したとき、前記底面上に配置した緩衝体距離を隔てて対向する当接体を備えており、この当接体と前記緩衝体との間に、梱包箱内に同梱される同梱物品を介装し、該同梱物品を介して緩衝体を位置決めすると共に、底面上の余剰空間を同梱物品の収容スペースとして有効利用する。
【0016】
また本発明に係る位置決め板は、前記当接体が、夫々の該当位置から切り出した切り出し片を折り曲げ、一面上に立ち上げて構成してあることを特徴とする。
【0017】
この発明においては、位置決め板から切り出した切り出し片を折り曲げ、位置決め板の一面上に立ち上げることにより、当接体を位置決め板と一体に構成する。
【0018】
また本発明に係る位置決め板は、前記当接体が、前記切り出し片を複数回折り曲げ、該切り出し片の先端部を前記一面上に支えて、前記切り出し片及び一面の一方に設けた係合片と、他方に設けた係合穴との係合により支え形状を維持して構成してあることを特徴とする。
【0019】
この発明においては、位置決め板から切り出した切り出し片を複数回折り曲げ、先端部分を位置決め板の一面に支えて高強度の当接体を構成し、更に両者の一方に設けた係合片を他方に設けた係合穴に係合せしめて、当接体の形状を維持する。
【0020】
また本発明に係る位置決め板は、前記係合片が、前記切り出し片又は一面との連続側を短底辺とする台形形状を有し、前記係合穴は、前記係合片と対応する台形形状を有してなることを特徴とする。
【0021】
この発明においては、係合片及び係合穴を台形形状とし、両者を嵌め合わせ、夫々の短底辺を沿わせるまで係合することにより当接体の形状を強固に維持する。
【0022】
また本発明に係る位置決め板は、前記当接体が、高さ方向の上端部に前記同梱物品の当接側に張り出し、該同梱物品の移動を規制する張り出し部を備えることを特徴とする。
【0023】
この発明においては、当接体の上端部に設けた張り出し部が、当接体に当接する同梱物品の上部に被さり、該同梱物品の移動を規制して、梱包箱の内部における緩衝体の位置決めを確実にする。
【0024】
また本発明に係る位置決め板は、前記張り出し部が、前記切り出し片の一部を切り起こして形成してあることを特徴とする。
【0025】
この発明においては、切り出し片の一部の切り起こしにより張り出し部を形成し、張り出し部を含めた当接体を位置決め板と一体に構成する。
【0026】
また本発明に係る位置決め板は、前記当接体が、一側端縁に沿って設けてあることを特徴とする。
【0027】
この発明においては、緩衝体と距離を隔てて対向する当接体を位置決め板の一側端縁に沿って設け、該当接体と前記緩衝体との間の部分を不要とし、位置決め板のサイズを小さくする。
【0028】
また本発明に係る電気機器の梱包装置は、電気機器を梱包する梱包箱と、該梱包箱の底面に配置した緩衝体と、前述したいずれかの位置決め板とを備え、該位置決め板の当接体は、前記電気機器と同梱される取り扱い説明書を介して前記緩衝体に当接させてあることを特徴とする。
【0029】
この発明においては、大嵩となる取り扱い説明書を当接体と緩衝体との間に介装し、梱包箱の内部空間を有効利用することにより、梱包箱の小型化を達成する。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る位置決め板においては、梱包箱の底面に載置して用いる際に位置決め対象となる緩衝体に距離を隔てて対向する当接体を備え、該当接体と前記緩衝体との間に梱包箱内に同梱すべき同梱物品を介装し得るように構成したから、梱包箱の内部に被梱包物品を緩衝支持する緩衝体を、同梱物品を介して当接する当接体により確実に位置決めすると共に、当接体と緩衝体との間を同梱物品の収容スペースとして利用することができ、梱包箱内の限られたスペースを有効利用した効率的な梱包を実現することができる。
【0031】
また本発明に係る電気機器の梱包装置においては、梱包箱の底面上に載置した位置決め板の当接体と、位置決め対象となる緩衝体との間に、電気機器の同梱物品のうちで大嵩となる取り扱い説明書を介装したから、緩衝体を確実に位置決めしつつ梱包箱の内部空間を有効利用し、梱包箱の小型化を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る位置決め板を使用したテレビジョン装置の梱包形態の説明図である。
【図2】位置決め板の組立て後の状態を示す斜視図である。
【図3】位置決め板の組立て前の状態を示す斜視図である。
【図4】第1の当接体の形成手順の説明図である。
【図5】第2の当接体の形成手順の説明図である。
【図6】位置決め板の使用状態の説明図である。
【図7】位置決め板の他の実施の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る位置決め板を使用したテレビジョン装置の梱包形態の説明図である。
【0034】
テレビジョン装置は、画面フレーム1と、該画面フレーム1を支持する支持脚10とを備えている。画面フレーム1は、液晶パネル等の画像表示パネルの周縁を、樹脂製の枠体により縁取って形成された薄肉板状の物品である。支持脚10は、使用時に画面フレーム1の下縁の中央部に取り付けることにより、該画面フレーム1を横長で起立した姿勢に支持する脚部材である。画面フレーム1と支持脚10とは、製造後に一旦取り外し、同梱物品としての取り扱い説明書11、及び部品箱12と共に梱包箱2内に梱包して出荷される。部品箱12は、図示のように、電源線、アンテナ線、他の機器との接続に使用する接続線等を含む付属部品13を収納すべく簡易に構成された段ボール製の箱体である。
【0035】
以上のようなテレビジョン装置を梱包する梱包箱2は、直方体形状を有する段ボール箱であり、物品導入のための上部開口の四方に開閉が可能なフラップ2a〜2dを備えている。梱包箱2の上部開口、及びこの開口に対応する梱包箱2の底面20は、画面フレーム1を横長にして立てた姿勢で受け入れ可能な長さ及び幅を有している。本発明に係る位置決め板3は、前記底面20の上に配置し、該底面20の長手方向両端部に2つの下部緩衝体4,5を位置決めすべく使用される。
【0036】
下部緩衝体4,5は、梱包箱2の底面20と対応する幅を有する発泡スチロール製の矩形ブロックである。図1に示すように、一方の下部緩衝体4には、前記画面フレーム1の下縁の一端部の嵌め込みが可能な係合凹部40が形成されている。また他方の下部緩衝体5には、前記画面フレーム1の下縁の他端部の嵌め込みが可能な係合凹部50と、前記支持脚10の嵌め込みが可能な係合凹部51とが形成されている。このように構成された2つの下部緩衝体4,5は、図1に示すように、係合凹部40及び係合凹部50,51の形成側を上、内向きとして梱包箱2の内部に挿入し、該梱包箱2の底面20の長手方向両端部に夫々配置して使用する。
【0037】
位置決め板3は、梱包箱2の底面20上において、両端に位置する下部緩衝体4,5の間に載置可能な長さを有する板であり、下部緩衝体5に対向する側の端部に形成された第1の当接体6と、長さ方向の略中央部に形成された第2の当接体7とを備えている。このような位置決め板3は、以下に示すように、1枚の段ボール板を材料として組立てられる。
【0038】
図2は、位置決め板3の組立て後の状態を示す斜視図であり、図3は、位置決め板3の組立て前の状態を示す斜視図である。図3に示すように、組立て前の位置決め板3には、長さ方向の一端部に第1の切り出し片60が設けてあり、また長さ方向の中央部に第2の切り出し片70が設けてある。
【0039】
第1の切り出し片60は、第1の当接体6を形成するためのものであり、位置決め板3の同側の端縁と直交する向きに延びる第1の切断線61と、該第1の切断線61の先端部に連続し、前記端縁と平行をなす向きに延びる第2の切断線62とにより、前記端縁を含めて3方を切り離され、位置決め板3の幅方向に長い矩形形状を有している。
【0040】
なお第1の切断線61は、その中途に、図示の如く屈曲しており、有し、この切断線61での切り離しにより第1の切り出し片60と一体に連続する係合片63が設けられるようになしてある。係合片63は、適宜の形状とすることができるが、図2に示すように、短底辺によって第1の切り出し片60に連続する台形形状とするのが望ましい。
【0041】
第1の切り出し片60には、基部折り線64及び頂部折り線65が、図3中に破線により示すように設けてある。基部折り線64は、矩形形状を有する第1の切り出し片60の残りの一辺に沿って設定してあり、頂部折り線65は、基部折り線64と第1の切断線61との略中間位置に、これらと平行をなすように設定してある。なお、基部折り線64及び頂部折り線65は、位置決め板3の該当か所の一面を不完全に切り込むことで設定することができる。
【0042】
以上の如き第1の切り出し片60の一側には、位置決め板3を表裏に貫通する係合穴66が形成してある。図3に示すように係合穴66は、基部折り線64から適長離れて位置し、該折り線64と平行な短底辺及び長底辺を有する台形形状の穴である。係合穴66の形状及び大きさは、第1の切り出し片60に設けた係合片63のの形状及び大きさと略同じである。
【0043】
図4は、第1の当接体6の形成手順の説明図であり、本図には、第1の切り出し片60を設けた位置決め板3の端部近傍が拡大して示してある。第1の当接体6は、図4(a)に示すように設けられた第1の切り出し片60を、図4(b)に示すように、基部折り線64に沿って、位置決め板3の一面(梱包箱2内で上向きとなる面)に立ち上がるように折り曲げ、更に頂部折り線65に沿って同向きに折り返して、第1の切り出し片60の先頭側の端縁に突出する係合片63を係合穴66に合わせて嵌め込み、該係合穴66に係合せしめることにより、図4(c)に示すように形成される。
【0044】
以上の手順により第1の当接体6は、図2に示すように、頂部折り線65を頂点とし、位置決め板3の長手方向を軸方向とする三角形断面の柱体として、前記一面上で所定の高さを有して形成される。このように形成される第1の当接体6の形状は、係合片63と係合穴66との係合によって維持される。係合片63及び係合穴66は、前述したように台形形状を有しており、両者の係合状態は、夫々を長底辺の側で嵌め合わせ、図4(c)に示すように夫々の短底辺を沿わせることにより、容易に、しかも確実に実現することができる。
【0045】
位置決め板3の中央部に設けた第2の切り出し片70は、第2の当接体7を形成するためのものであり、幅方向に適長離れて平行をなす第1,第2の切断線71,72と、これらの一側端部(第1の切り出し片60から離れた側の端部)を連絡する第3の切断線73とにより3方を切り離し、位置決め板3と同方向に長い矩形形状を有して形成されている。
【0046】
第2の切り出し片70には、基部折り線74、頂部折り線75及び底部折り線76が、図3中に破線により示すように設けてある。基部折り線74は、矩形形状を有する第2の切り出し片70の残りの一辺に沿って設定してある。
【0047】
頂部折り線75は、基部折り線74から適長離れた位置に、該折り線74と平行をなすように設定してある。頂部折り線75の中途には、基部折り線74の側の3方を切り離して形成された矩形の張り出し片77が設けてある。底部折り線76は、頂部折り線75と第3の切断線73との略中間位置に、これらと平行をなすように設定してある。なお、基部折り線74、頂部折り線75及び底部折り線76は、第1の切り出し片60の基部折り線64及び頂部折り線65と同様に、位置決め板3の該当か所の一面を不完全に切り込むことで設定することができる。
【0048】
第2の切り出し片70には、底部折り線76と頂部折り線75との間に開口する係合穴78が設けてある。図3に示すように係合穴78は、底部折り線76の中央部に短底辺を沿わせ、頂部折り線75に向けて拡幅する台形形状を有している。
【0049】
位置決め板3には、第2の切り出し片70の一側に適長離れた位置に係合片79が形成してある。図3に示すように係合片79は、基部折り線74と平行な短底辺及び長底辺を有する台形形状を有しており、短底辺を残して位置決め板3の該当個所を切り出すことにより設けてある。係合片79の形状及び大きさは、第2の切り出し片70に設けた前記係合穴78の形状及び大きさと略同じである。
【0050】
図5は、第2の当接体7の形成手順の説明図であり、本図には、第2の切り出し片70を設けた位置決め板3の中央部近傍が拡大して示してある。第2の当接体7は、前述の如く設けられた第2の切り出し片70を、図5(a),(b)に示すように、底部折り線76、頂部折り線75及び基部折り線74の夫々に沿って順次同向きに折り曲げ、底部折り線76よりも先端側の部分を位置決め板3の一面(梱包箱2内で上向きとなる面)上に折り重ねた後、図5(c)に示すように係合片79を起こし、底部折り線76の中央部に短底辺を沿わせて設けた係合穴78に嵌め込み、該係合穴78に係合せしめることにより、図2に示すように形成される。
【0051】
以上の手順により第2の当接体7は、頂部折り線75を頂点とし、位置決め板3の幅方向を軸方向とする三角形断面の柱体として、位置決め板3の前記一面上で所定の高さを有して形成される。このとき、基部折り線74と頂部折り線75との間の部分は、位置決め板3の一面から略垂直に立ち上がる当接壁を形成し、また、頂部折り線75の中途に設けた張り出し片77は、前記当接壁の頂部の中央に適長張り出した状態となる。
【0052】
このように形成される第2の当接体7の形状は、係合穴78への係合片79の係合によって維持される。係合穴78及び係合片79は、前述したように台形形状を有しており、両者の係合状態は、図2に示すように、位置決め板3上に重なるまで係合片79を折り曲げ、該係合片79の短底辺と係合穴78の短底辺とを沿わせることにより、容易に、しかも確実に実現することができる。
【0053】
図6は、位置決め板3の使用状態の説明図であり、位置決め板3を配置する梱包箱2の底部近傍の断面を示している。位置決め板3は、前述したように、テレビジョン装置の画面フレーム1を梱包箱2の内部で緩衝支持する2つの下部緩衝体4,5を、前記梱包箱2の底面20上の長手方向両端部に位置決めすべく使用される。
【0054】
位置決め板3は、第1,第2の当接体6,7を設けた側の一面を上向きとし、梱包箱2の内部に上部開口から挿入して、2つの下部緩衝体4,5の間で底面20上に配置する。このとき、位置決め板3の一側端部に設けた第1の当接体6は、一方の下部緩衝体5にわずかな隙間を隔てて対向し、該下部緩衝体5に直接的に当接する。第1の当接体6は、位置決め板3の一面から適宜の高さを有して立ち上げてあり、下部緩衝体5は、第1の当接体6と梱包箱2の端部側壁との間に挾持され、移動不可に拘束される。
【0055】
これに対し、第2の当接体7は、位置決め板3の中途部に設けてあり、他方の下部緩衝体4との間に距離を隔てて対向する。両者間の対向距離は、梱包箱2内に同梱すべき物品(図の場合は、取り扱い説明書11)の大きさに対応させて定めてあり、第2の当接体7と下部緩衝体4との間には、図6に示すように、取り扱い説明書11が介装してある。このように第2の当接体7は、同梱物品としての取り扱い説明書11を介して下部緩衝体4に当接しており、該下部緩衝体4は、位置決め板3の上面に略垂直に立ち上がる第2の当接体7の当接壁と、梱包箱2の端部側壁との間に挾持され、移動不可に拘束される。
【0056】
第2の当接体7の当接壁の高さは、取り扱い説明書11の厚さに対応させて定めてあり、この当接壁の頂部中央に設けた張り出し片77は、図6に示すように、下部緩衝体4との間に介装した取り扱い説明書11の上部に張り出す。従って、第2の当接体7と下部緩衝体4との間に介装された取り扱い説明書11は、十分な高さの当接壁と、該当接壁の上部に設けた張り出し片77との相乗作用により、第2の当接体7と下部緩衝体4との間での挾持姿勢を維持することができ、下部緩衝体4は、取り扱い説明書11を介して当接する第2の当接体7により確実に位置決めされる。
【0057】
以上の如く梱包箱2の底面20上に配置された下部緩衝体4,5は、上、内向きに開口する係合凹部40,50を有している。梱包箱2内に導入されるテレビジョン装置の画面フレーム1は、図1、図6に示すように、下縁の両端部を係合凹部40,50に嵌め込むことにより支持される。下部緩衝体4,5は、前述したように、位置決め板3によって底面20の両端部に位置決めされており、画面フレーム1は、正しく位置決めされた下部緩衝体4,5の係合凹部40,50に対し、容易に、しかも確実に嵌め込むことができる。
【0058】
テレビジョン装置の梱包は、以上の如く支持された画面フレーム1の上縁の両端部に、図1に示すように上部緩衝体8,9を夫々嵌め込み、梱包箱2の上部開口の四方に設けたフラップ2a〜2dを閉じることで完了する。このように梱包される画面フレーム1は、下部緩衝体4,5と上部緩衝体8,9とにより4方において緩衝支持された状態にあり、梱包箱2に梱包された状態での搬送中及び保管中に不可避に加わる振動及び外力を緩和し、損傷を含めた不具合の発生を有効に防止することができる。
【0059】
梱包箱2に同梱される支持脚10は、図1に示すように、画面フレーム1の一側背面に沿って梱包箱2内に導入し、下部緩衝体5に設けた係合凹部51と、同側の上部緩衝体9の下面に設けた係合凹部(図示せず)とに嵌め込むことにより、上下両側から挾持された状態で緩衝支持される。また梱包箱2に同梱される部品箱12は、図1に示すように、他側の上部緩衝体8の下面に設けた係合凹部(図示せず)に嵌め込み固定してあり、該上部緩衝体8を画面フレーム1の上縁に嵌め込むことにより、画面フレーム1の他側の背面に沿って垂下支持した状態で同梱される。
【0060】
更に、梱包箱2の内部には、テレビジョン装置の取り扱い説明書11が同梱されるが、この取り扱い説明書11は、前述したように、梱包箱2の底面20に配置された位置決め板3上面に載置し、第2の当接体7との相乗作用により下部緩衝体4を位置決めしている。従って、梱包箱2の内部に、同梱物品としての取り扱い説明書11を収容するための専用の空間を確保する必要がなく、前記梱包箱2を小型化することができる。
【0061】
なお以上の実施の形態においては、第2の当接体7と下部緩衝体4との間に取り扱い説明書11を介装しているが、この介装物品としては、梱包箱2内に同梱すべき適宜の物品を採用することができる。例えば、付属部品13を収納する部品箱12を平坦な箱体とし、この部品箱12を第2の当接体7と下部緩衝体4との間に介装してもよく、更には、取り扱い説明書11と部品箱12とを上下に重ね、これらを第2の当接体7と下部緩衝体4との間に介装してもよい。
【0062】
また近年のテレビジョン装置においては、取り扱い説明書に代えて、取り扱い説明の内容を、CD(コンパクトディスク)、DVD(ディジタルビデオディスク)等の記録媒体に収めて同梱することがあるが、この場合においても、前記記録媒体を簡易な箱体に収容し、該箱体を第2の当接体7と下部緩衝体4との間に介装すればよい。
【0063】
図7は、本発明に係る位置決め板の他の実施の形態を示す斜視図である。本図に示す位置決め板3は、図2に示す位置決め板3と同様に、長手方向の一側端部に形成された第1の当接体6を備える一方、図2に示す位置決め板3とは異なり、長手方向の他側端部に形成された第2の当接体7を備えている。第1,第2の当接体6,7の構成、及び位置決め板3の長さ方向の第1,第2の当接体6,7の位置関係は、図2に示す位置決め板3と同じである。即ち、図7に示す位置決め板3は、図2に示す位置決め板3において、第1の当接体6と第2の当接体7との間だけを残し、他の部分(図中に2点鎖線により示した部分)を除去した構成である。
【0064】
このように構成された位置決め板3は、図2に示す位置決め板3と全く同様に、梱包箱2の底面20上に配置し、第1の当接体6を一方の下部緩衝体5に直接的に当接させ、第2の当接体7を取り扱い説明書11を介して他方の下部緩衝体4に当接させて、これらの下部緩衝体4,5を、底面20の長手方向両端部に夫々位置決めすべく用いられる。
【0065】
図7に示す位置決め板3において、前述の如く除去された部分は、図6に明らかなように、使用状態において取り扱い説明書11の下に重なり、下部緩衝体4,5の位置決めに寄与しない部分である。従って、図7の位置決め板3によっても下部緩衝体4,5を確実に位置決めすることができる。
【0066】
図7に示す位置決め板3は、図2に示す位置決め板3よりも十分に小さいから、位置決め板3の材料コスト、保管コスト等を含めた梱包コストを低減することができる。
【0067】
なお、以上の実施の形態においては、位置決め板3に第1,第2の切り出し片60,70を設け、これらを三角柱状に折り曲げることにより第1,第2の当接体6,7を構成しているが、第1,第2の当接体6,7は、実施の形態に示す構成に限らず、位置決め板3の一面上に所定の高さを有して立ち上がる適宜の構成とすることができる。また、位置決め板3は、実施の形態に示す段ボール板に限らず、適宜の材料の板材とすることができる。
【0068】
但し、実施の形態に示す位置決め板3は、使用前の状態では、第1,第2の切り出し片60,70を設けた一枚の段ボール板であり、安価であると共に、保管が容易であるという利点を有しており、また、前述の如く三角柱状に折り曲げて形成した第1,第2の当接体6,7は、十分な高さ及び強度を有しており、下部緩衝体4,5の位置決めを確実に実施し得るという利点も有している。
【0069】
また以上の実施の形態においては、第2の当接体7が同梱物品としての取り扱い説明書11を介して下部緩衝体4に当接するように構成してあるが、第1の当接体6は、同梱物品を介して下部緩衝体5に当接するように構成してもよく、更には、第1,第2の当接体6,7の両方が、各別の同梱物品を介して夫々の下部緩衝体4,5に当接するように構成してもよい。
【0070】
更に以上の実施の形態においては、電気機器としてのテレビジョン装置の梱包における適用形態について述べたが、本発明に係る位置決め板は、梱包箱の内部での緩衝支持が要求される適宜の物品の梱包用途全般に適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
1 画面フレーム(被梱包物品)
2 梱包箱
4 緩衝体
5 緩衝体
6 第1の当接体
7 第2の当接体
11 取り扱い説明書(同梱物品)
60 第1の切り出し片
70 第2の切り出し片
63,79 係合片
66,78 係合穴
77 張り出し片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を梱包する梱包箱の底面に載置し、前記物品の緩衝作用をなす緩衝体を前記底面上の所定位置に位置決めすべく用いられる位置決め板において、
前記梱包箱の底面上で前記緩衝体と距離を隔てて対向し、該緩衝体に、前記梱包箱の内部に前記物品と同梱される同梱物品を介して当接すべく設けられた当接体を備えることを特徴とする位置決め板。
【請求項2】
前記当接体は、夫々の該当位置から切り出した切り出し片を折り曲げ、一面上に立ち上げて構成してある請求項1に記載の位置決め板。
【請求項3】
前記当接体は、前記切り出し片を複数回折り曲げ、該切り出し片の先端部を前記一面上に支えて、前記切り出し片及び一面の一方に設けた係合片と、他方に設けた係合穴との係合により支え形状を維持して構成してある請求項2に記載の位置決め板。
【請求項4】
前記係合片は、前記切り出し片又は一面との連続側を短底辺とする台形形状を有し、前記係合穴は、前記係合片と対応する台形形状を有してなる請求項3に記載の位置決め板。
【請求項5】
前記当接体は、高さ方向の上端部に前記同梱物品の当接側に張り出し、該同梱物品の移動を規制する張り出し部を備える請求項2から請求項4のいずれか1つに記載の位置決め板。
【請求項6】
前記張り出し部は、前記切り出し片の一部を切り起こして形成してある請求項5に記載の位置決め板。
【請求項7】
前記当接体は、一側端縁に沿って設けてある請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の位置決め板。
【請求項8】
電気機器を梱包する梱包箱と、該梱包箱の底面に配置した緩衝体と、請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の位置決め板とを備え、該位置決め板の当接体は、前記電気機器と同梱される取り扱い説明書を介して前記緩衝体に当接させてあることを特徴とする電気機器の梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−254370(P2010−254370A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109938(P2009−109938)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】