説明

位置特定サービス能力を有する移動受信機

本明細書に開示される主題は、1つまたは複数の無線通信プロトコルに従って送信された信号を処理する能力がある受信機に関する。そのような受信機は、捕捉期間において、その受信機の位置の推定値を得ることを目的として、無線通信プロトコルのうち少なくとも1つに従って送信された信号から捕捉情報を得るための十分なリソースを有することができ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、位置特定サービスを提供するために無線通信リンクからの信号を処理するための低コストの受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
情報
携帯電話、携帯情報端末(PDA)、および/または同様のものなどの移動体通信装置は、典型的には、1つまたは複数の無線通信プロトコルに従ってセルラネットワークにおける1つまたは複数の基地局と通信する。いくつかの実装形態では、そのような移動体通信装置は、異なる複数の無線通信プロトコル、例えば、無線LAN(WLAN)で使用されるプロトコル(例えば、IEEE規格802.11のバージョン)、および/または無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)で使用されるプロトコル(例えば、Bluetooth(登録商標)、超広帯域無線、もしくはZigBeeのようなIEEE規格802.15のバージョン)を使用して、より短い無線通信リンクを介して他の装置と通信する能力も有することができ得る。一般的に、複数の通信プロトコルに従って通信する能力を有することにより、移動体通信装置の製造のコストが増すことになる。
【0003】
非限定的かつ非網羅的な特徴を以下の図面を参照して説明する。同様の参照番号は、種々の図面を通して同様の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】一態様による無線リンクを介して移動局と通信するように適合された通信ネットワークを示す概略図。
【図2】一態様による移動局の位置を決定するためのプロセスを示すフロー図。
【図3】一実装形態による受信機を示す概略図。
【図4】特定の代替実装形態による受信機を示す概略図。
【発明の概要】
【0005】
ある特定の例では、クレームされた主題はこの事項に限定されないが、受信機が無線通信プロトコルに従って送信された情報を処理するように適合され、無線通信プロトコルは、捕捉情報の送信のための捕捉期間を定義する。ある特定の実装形態では、受信機は、受信機の位置を決定する目的で、捕捉期間中に送信された捕捉情報を格納する能力がある。ただし、これは単に1つの例示的実装形態であり、クレームされた主題はこの特定の実装形態に限定されないことは理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
この明細書全体にわたって「一例(one example)」、「1つの特徴(one feature)」、「例(an example)」、または「1つの特徴(one feature)」は、特徴および/または例に関連して記述された特定の特徴、構造、または特性が、クレームされた主題の少なくとも1つの特徴および/または例に含まれることを意味する。したがって、この明細書を通して様々な箇所における「一例では」、「例」、「1つの特徴では」、または「特徴」という語句の出現は、必ずしもすべて同じ特徴および/または例を指すものではない。さらに、特定のいくつかの特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の例および/または特徴として組み合わせられることがある。
【0007】
本明細書に記載の方法は、特定の特徴および/または例に従って用途に応じて様々な手段によって実施されうる。例えば、そうした方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはこれらの組み合わせで実装されてよい。ハードウェアの実装形態では、例えば、処理装置は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書に記載の機能を実行するように設計された他の装置ユニット、ならびに/あるいは以上の組み合わせにおいて実装されうる。
【0008】
本明細書に記載の位置決定および/または推定技術は、無線広域ネットワーク(WWAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)など様々な無線通信ネットワークに使用することができ得る。用語「ネットワーク」および「システム」は、本明細書では交換可能に使用されることがある。WWANは、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、直交周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワーク、シングルキャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)ネットワークなどとすることができ得る。CDMAネットワークは、1つまたは複数の無線接続技術(RAT)を実装することができ得、数例の無線技術を挙げれば、cdma2000、広帯域CDMA(W−CDMA)などがある。ここで、cdma2000は、IS−95、IS−2000、およびIS−856規格に従って実装される技術を含むことができ得る。TDMAネットワークは、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM(登録商標))、デジタル高度移動電話方式(Digital Advanced Mobile Phone System)(D−AMPS)、または他の何らかのRATを実装することができ得る。GSMおよびW−CDMAについては、「第3世代パートナーシップ・プロジェクト」(3GPP)と名付けられたコンソーシアムによる文書に記載されている。Cdma2000については、「第3世代パートナーシップ・プロジェクト2」(3GPP2)と名付けられたコンソーシアムによる文書に記載されている。3GPPおよび3GPP2の文書は、公開されている。例えば、WLANは、IEEE802.11xネットワークを備えることができ得、WPANは、Bluetooth、超広帯域無線(UWB)、ZigBee、またはIEEE802.15xによる他のネットワークを備えることができ得る。本明細書に記載のかかる位置決定技術は、WWAN、WLAN、および/またはWPANの任意の組み合わせに使用することもでき得る。
【0009】
一態様では、移動局の位置を決定することを多くの用途で役立てることができ得、例えば、(例えば、「911」の救難連絡に応答して)緊急の資源を時間的に効率よく輸送するために移動局(MS)の位置を使用でき得る緊急用途において役立つことがある。ここで、例えば、当業者に知られた技術を使用して、例えば、数例を挙げれば、全地球測位システム(GPS)、Galileo、およびGlonassのSPSのような衛星測位システム(SPS)から受信したナビゲーション信号の処理などのいくつかの技術のうちのいずれか1つを使用して、MSは、その位置を決定することができ得る。図1では、例えば、MS107が、衛星121から受信したナビゲーション信号を処理して、特に、衛星121に対する疑似距離の測定値を決定することができ得る。ここでは、4つ以上のそのような衛星に対する疑似距離の測定値の決定、ならびに、こうした疑似距離の測定値が決定されたときのそのような衛星の軌道位置の精密な推定値を用いて、MS107の位置を推定することができ得る。MS107は、数例を挙げるならば、例えば、移動電話、携帯情報端末(PDA)、パーソナルナビゲーションデバイス、ノートブックコンピュータのような、いくつかの移動体通信装置のうちのいずれか1つを備えることができ得る。
【0010】
一実装形態では、MS107は、前述のセルラ通信プロトコルのうちの1つまたは複数を使用して、セルラ基地局103を介して基地局暦サーバ(base station almanac server)113および位置サーバ111のようなネットワーク101上の装置と通信する能力を有することができ得る。ここで、例えば、MS107は、基地局暦サーバ113と通信して、例えば、捕捉支援情報、および/または、MS107の「視界にある」衛星の位置に関する情報を得ることができ得る。代替実装形態では、基地局暦サーバ113は、位置サーバ111に配置されかつ/または位置サーバ111を介してアクセスできる基地局暦データベース(図示せず)に置き換えることができ得る。このように、MS107は、位置サーバ111へのアクセスを介して、そのような捕捉支援および/または衛星位置に関する情報にアクセスすることができ得る。また、MS107は、位置サーバ111と通信して、例えば、MS107の位置の推定値を示す情報を提供することができ得る。
【0011】
ある種の環境では、疑似距離の測定値を決定するために衛星からのナビゲーション信号を処理することが難しいかまたは不可能なことがある。そのような環境としては、例えば、高度なマルチパスの都市環境および/または屋内環境がある。ある特定の実装形態では、MSは、そのMSの位置を推定する際に使用できる他のソースからの情報を得ることができ得る。例えば、無線アクセスポイント109および/または無線アクセスポイント105のような地上送信機から受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、MS107の位置を推定することができ得る。
【0012】
一実装形態では、無線アクセスポイント109が、IEEE規格802.11のバージョンのようなWLANで使用するための無線通信プロトコルに従って、情報を送信および/または受信することができ得る。代替実装形態では、MS107が、IEEE規格802.15のバージョンのようなWPANで使用するための無線通信プロトコルに従って、情報を送信および/または受信することができ得る。また、無線アクセスポイント109の位置は、例えば、MS107の記憶場所、暦サーバ113、および/または位置サーバ111で知られて記録されることが可能である。ある特定の実装形態では、無線アクセスポイント109は、例えば、媒体アクセス制御(MAC)アドレスのような、無線アクセスポイント109に一意に関連付けられた固有の識別情報を、捕捉期間中に送信することができ得る。ここで、MS107が、捕捉期間中に無線アクセスポイント109から送信された信号を「捕捉」して、無線アクセスポイント109に関連付けられたMACアドレスを得るための範囲内にある場合には、MS107が無線アクセスポイント109の近傍(例えば、捕捉範囲内)にあるということを、(例えば、位置サーバ111またはMS107において)決定することができる。無線アクセスポイント109の位置の知識を有することにより、無線アクセスポイント109の既知の位置に少なくとも部分的に基づいて、MS107の位置の推定値を提供することができ得る。また、MS107の位置は、当業者に知られた位置推定技術を用いて、アクセスポイント109と他の1つのアクセスポイント(図示せず)のような2つ以上のアクセスポイントからの測定値に少なくとも部分的に基づいて推定することもでき得る。
【0013】
前述のように、MS107は、セルラ基地局103と通信して、特に、特定の音声および/またはデータサービスをサポートして音声トラフィック、データ、および/または同様のものを送信および/または受信するように適合されうる。いくつかの実装形態では、MS107は、捕捉中にアクセスポイントによって送信されたMACアドレスを受信することのみを目的として、前述の短距離無線通信プロトコル(例えば、IEEE規格802.11および/またはIEEE規格802.15のバージョン)のうちの1つに従って、情報を少なくとも受信するようにも適合されうる。一実装形態では、MS107は、「捕捉期間」中に無線アクセスポイント109から信号を「捕捉する」ことができ得る。このような捕捉期間中に、例えば、MS107の位置を推定するための後続の処理を可能にするために、MS107は無線信号から十分な情報を得ることができ得る。捕捉期間中に得られるそのような「捕捉情報」は、例えば、数例を挙げれば、搬送周波数、RF位相、符号、符号位相、タイミング、ドップラー偏移、および/または受信信号強度の測定値に関する情報を含むことができ得る。いくつかの特定の実装形態では、クレームされた主題はこの事項に限定されないが、捕捉期間に得られるそのような捕捉情報はまた、捕捉された信号を送信している送信機および/または装置を識別する情報(例えば、MACアドレス)を含むこともでき得る。
【0014】
前述のIEEE規格802.11および/またはIEEE規格802.15のバージョンのような無線通信プロトコルのいくつかの実装形態では、無線信号の捕捉を成功して完了すると、携帯無線装置はさらに、通信「セッション」において無線通信ネットワークと通信することができ得る。そのような通信セッション中には、例えば、フレームおよび/またはデータパケットのような予め定義されたフォーマットに従って(例えば、いくつかの特定の実装形態ではインターネットプロトコルに従って)、携帯無線装置と無線通信ネットワークの間で情報を伝送することができ得る。そのような通信セッションを確立および/または維持するために、かかる携帯無線装置は、通信セッションの過程で受信した情報を処理する、かつ/または、無線通信プロトコルに従う無線データリンクを介する送信のための情報を処理するために、例えばメモリおよび/またはロジックなどの十分な処理リソースを備えることができ得る。
【0015】
捕捉期間中にMACアドレスを得ることおよび/または受信信号強度を測定することのみを目的とし、前述のIEEE規格802.11および/またはIEEE規格802.15のバージョンのうちの1つに合わせて受信機および/または送信機を動作させるように構成されるかつ/または適合されることによって、MS107は、セッションにおける通信のための完全な機能性を提供する必要がなくなる。MS107が(捕捉期間中に(例えば、MACアドレスを得ることおよび/または受信信号強度を測定することだけのための)そうした縮小された機能性に合わせて構成されることを可能にすることにより、前述のIEEE規格802.11またはIEEE規格802.15のバージョンのうちの1つに従ってセッションにおいて通信する完全な能力を提供する移動局を製造するコストよりも低いコストで、MS107を製造することができ得る。したがって、移動局は、セルラ通信のための完全な能力、および、MS107の位置の推定を可能にする情報を得ることを目的として他の無線通信プロトコルに従って通信する十分な能力を提供するように製造されうる。ただし、そのような移動局は、これら他の無線プロトコルに従って通信する完全な能力を有する(例えば、捕捉期間に続くこれら他の無線通信プロトコルのうちの1つでの通信セッションを確立および/または維持する完全な能力を有する)装置の費用および複雑性なしで製造されうる。
【0016】
同様に、受信機を備え送信機を備えないMSでの受信機が、そのMSの位置の推定を可能にする情報を得るように適合されることが可能である。このようなMSは、放送信号を受信するように適合された装置、例えば、数例を挙げれば、Digital TV、Digital Radio、DVB−H、DMB、ISDB−T、および/またはMediaFLOのようなフォーマットで送信された放送信号を捕捉する能力がある装置を備えることができ得る。上述のように、このようなMSは、捕捉プロセスからそうした情報を得ることができ得る。しかし、MSは、例えば、続いて受信される内容を搬送する放送信号の内容を処理するために(例えば、表示のための復号、圧縮解除、および/またはレンダリングをするために)十分な処理リソース(例えば、ロジック、メモリ、ソフトウェアなど)を有する必要はない。こうした放送信号の内容を処理する必要がないことにより、そのようなMSは、格納した捕捉情報に基づいて位置推定値を得るために十分なリソース(例えば、ハードウェアおよびソフトウェア)を依然として維持しながら、縮小されたメモリリソース、プロセッサリソース、および/またはデコーダのような縮小されたリソースを有することが可能である。
【0017】
図2は、ある特定の実装形態による、捕捉期間中に送信機から得た捕捉情報に少なくとも部分的に基づいて、MSの位置を決定するためのプロセス200を示すフロー図である。ブロック261において、MSは、そのMSの近傍にある送信機(例えば、IEEE規格802.11またはIEEE規格802.15のバージョンなどの無線通信プロトコルに従って通信する能力があるWLANまたはWPANにおける装置)から送信された無線信号を受信し検出することができ得る。ここで、MSは、検出した信号の捕捉に成功するために検出信号から十分な情報を捕捉することができ得、無線通信プロトコルに従う後続の通信セッションが可能になる。
【0018】
ブロック263では、受信した無線信号から送信機に関連付けられた識別情報(例えば、MACアドレスまたは基地局ID)を決定することができ得る。ここで、そのような識別子は、例えば、捕捉プロセス中に得ることが可能な捕捉情報から得ることができ得る。ブロック265では、識別情報を使用して、送信機に関連付けられた位置情報(例えば、WLANおよび/またはWPANにおける装置に関連付けられた位置情報の暦)を取り出すことができ得る。例えば、移動局は、送信機に関連付けられた識別情報を位置サーバに送信することができ得、位置サーバは、識別情報を使用して、送信機に関連付けられた位置情報を(例えば、データベースから、または暦サーバなど他のサーバから)取り出す。別の例では、MSは、送信機に関連付けられた位置情報をメモリに保持することができ得、したがって、位置情報は、MSのメモリから取り出すことができ得る。次いで、ブロック267では、取り出した送信機に関連付けられた位置情報に少なくとも部分的に基づいて、MSの位置を推定することができ得る。
【0019】
図3は、複数の無線通信プロトコルに従って、無線通信リンクを介して通信する能力がある受信機の概略図である。この特定の図示の例において、受信機310は、複合GPS受信機および通信トランシーバ305を備える。ここで、通信トランシーバ305は、関連する複数の無線通信プロトコルに従って、無線データリンク上の通信のための複数の受信機および送信機として実装することができ得る。特定の図示の例では、通信トランシーバ305が、前述のセルラ通信プロトコルのうちの1つまたは複数に従って、基地局352からセルラ電話信号を受信しかつ/または基地局352へセルラ電話信号を送信するためのトランシーバ部を含むことができ得るとともに、別のトランシーバ部が、例えば、IEEE規格802.11の1つまたは複数のバージョンに従って、WLANアクセスポイント362から情報を受信しかつ/またはWLANアクセスポイント362へ情報を送信するように適合される。代替実装形態では、通信トランシーバ305は、IEEE規格802.15の1つまたは複数のバージョンに従って、情報を受信しかつ/または通信リンクにおけるWPAN内の装置へ情報を送信するように適合されたトランシーバ部を備えることができ得る。捕捉および追跡回路321は、GPSアンテナ301に結合され、通信トランシーバ305は、通信アンテナ311に結合される。GPS信号(例えば、衛星303から送信された信号370)は、GPSアンテナ301を介して受信されて、捕捉および追跡回路321に供給されることができ得、そうすると、捕捉および追跡回路321は、様々な衛星についてのPN(疑似ランダムノイズ)符号を捕捉することができ得る。回路321によって生成されたデータ(例えば、相関インジケータ)は、トランシーバ305による(例えば、疑似距離測定値の)送信のために、プロセッサ333によって処理することができ得る。受信機310は、上述のように、衛星303からナビゲーション信号370を受信し処理するための捕捉および追跡回路321を含むGPS受信機ステージも含むが、いくつかの特定の環境では、受信機310はナビゲーション信号370を捕捉する能力がないことがある。
【0020】
通信トランシーバ305は、通信アンテナ311およびトランシーバ305へおよび通信アンテナ311およびトランシーバ305からの通信信号(典型的にはRF)をルーティングする送受信スイッチ331を備える。いくつかのシステムでは、送受信スイッチの代わりに、帯域分割フィルタまたは「デュプレクサ」が使用される。受信された通信信号は、まず、通信受信機332で処理され、次いで、さらなる処理のためプロセッサ333へ渡され得る。プロセッサ333から送信される通信信号は、変調器334および周波数変換器335に伝播され得る。電力増幅器336は、信号の利得を基地局352(またはWLANアクセスポイント362)への送信のための適切なレベルに増大させることができ得る。代替実施形態(図示せず)では、(電力増幅器336、IF/RF変換器、および/または変調器334のような)送信回路は、装置の位置の推定値を得ることを目的として通信プロトコルに関連付けられた捕捉プロセスでの捕捉情報を得る能力がある、低コスト、低電力、かつ/または軽量の装置を提供するために、完全に除外されてよい。
【0021】
ある特定の実装形態では、受信機310は、データ処理システム(例えば、携帯情報端末またはポータブルコンピュータ)を含む(または、それと結合する)ことができ得る。ここで、そのようなデータ処理システムは、マイクロプロセッサおよびメモリ(例えば、ROM、揮発性RAM、不揮発性メモリ)と結合されるバス(図示せず)を含むことができ得る。バスは、種々の構成要素、例えば、当技術分野で周知であるディスプレイコントローラ、表示装置、および/または入出力(I/O)装置などの周辺装置を共に相互接続することができ得る。受信機310がMSの一部分として含まれている一実装形態では、MSは、メモリとメモリに格納されたソフトウェアプログラミング命令とを使用して、WLANおよび/またはWPANにおける装置に関連付けられた位置情報を抽出し強化するために、そうした装置の位置および識別子(例えば、MACアドレス)を格納することができ得る。ある特定の実装形態では、そのようなMSは、通信接続が確立された場合、(例えば、通信ポートまたは無線通信リンクを介する)サーバへの送信のために、移動局の位置、および、WLANおよび/またはWPAN内の装置の識別子を単に格納することができ得る。
【0022】
特定の例により上に示したように、通信トランシーバ305は、異なる複数の無線通信プロトコルに従って、無線通信リンク350および360上で通信することができ得る。MSにそのような能力を実装することにより、単一の無線通信プロトコルに従う通信のためにそうした能力を実装するよりも、例えば、コスト、重量、電力消費、および/またはフォームファクタが増大するおそれがある。ある特定の実装形態では、クレームされた主題はこの事項に限定されないが、通信トランシーバ305は、少なくとも1つの無線通信プロトコルで通信する縮小された能力を有することができ得、それにより、MSでの実装に関連するコスト、重量、電力消費、および/またはフォームファクタの低減を可能にすることができ得る。例えば、通信トランシーバ305は、(例えば、MSの位置を推定することを目的として)通信プロトコルに従って送信された信号について捕捉期間中に捕捉情報を得るための十分なリソースを備えることができ得るが、成功した捕捉に続いて通信プロトコルに従って通信セッションを確立および/または維持するための十分なリソースを備えなくてもよい。
【0023】
図4は、図3に示した通信トランシーバ305の特定の実装形態による通信トランシーバの概略図である。この特定の実施形態では、通信トランシーバ305は、少なくとも1つの無線通信プロトコルで通信する縮小された能力を有することができ得る。ここでは、例えば、通信トランシーバ305は、(例えば、MSの位置を推定することを目的として)特定の通信プロトコルに従って捕捉期間中に受信される信号において提供される捕捉情報を得るための十分なリソースを備えることができ得るが、成功した捕捉に続いて特定の通信プロトコルで通信セッションを確立および/または維持するための十分なリソースを含まなくてもよい。しかし、そのような捕捉期間中に得られる捕捉情報は、捕捉された信号を送信した送信機を一意に識別する情報を含むことができ得、この情報は、上記のようにMSの位置を推定する際に使用することができ得る。
【0024】
この特定の例では、通信受信機332は、第1の無線通信プロトコルに従って(例えば、前述のセルラ通信プロトコルのうちの1つまたは複数に従って)送信された信号を処理するように適合された第1の受信機372を含むことができ得るとともに、受信機374が、第2の無線通信プロトコルに従って(例えば、IEEE規格802.11またはIEEE規格802.15の1つまたは複数のバージョン、ならびに/あるいは同様のものに従って)送信された信号を処理するように適合されうる。ここで、受信機372および374は、デジタル情報を提供するために特定の通信プロトコルに従って受信された信号を処理するように適合された、例えば、フィルタ、RF/IF復調器/ダウンコンバータ、A/D変換器、復号器、および/または類似のものを含むことができ得る。そのようなデジタル情報を提供するために受信信号を処理すると、受信機372および374は、例えば、プロセッサ333によってアクセス可能な関連するメモリ376または378に、そのようなデジタル情報を格納することができ得る。次いで、プロセッサ333がさらに、1つまたは複数のアプリケーション、例えば、音声電話技術、テキストメッセージング、場所/位置決定、TCP/IPプロトコル上に実装されるアプリケーション、および/または同様のものをサポートして、格納されたデジタル情報を取り出すことができ得る。前述のように、1つまたは複数のアプリケーションが、通信トランシーバ305と無線通信ネットワークの間に確立された通信セッションによってサポートされかつ/または関連して使用されうる。
【0025】
いくつかの特定の実装形態では、メモリ376および378は、情報をデジタルで格納する能力があるいくつかの媒体のうちのいずれか1つ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)を備えることができ得る。ここで、メモリ376は、第1の通信プロトコル(例えば、前述のセルラ通信プロトコルのうちの1つ)に従って送信された信号の成功した捕捉に続く通信セッションの確立および/または維持を可能にするために十分な大きさでありうる。メモリ378は、第2の通信プロトコル(例えば、IEEE規格802.11またはIEEE規格802.15のバージョンなど)に従って送信された信号を捕捉するためのプロセス中に得られた捕捉情報(例えば、MACアドレス)を格納するために十分な大きさでありうる。しかし、メモリ378のサイズは、第2の通信プロトコルに従って送信された信号の成功した捕捉に続く通信セッションを確立および/または維持するのに不十分でありうる。さらに他の実装形態では、構成要素(例えば、送信変調器、増幅器、フィルタ、およびデュプレクサ)の除外を可能にするために、MSの送信機機能を完全に除去することができ得る。さらに、これにより、上述のように、より低いコスト、重量、電力消費、および/またはフォームファクタでMSの製造を可能にすることができ得る。
【0026】
プロセッサ333は、符号化および/またはソフトウェア命令に従って、メモリ376および378から取り出されたデジタル情報を処理するように適合されたロジックおよび/または処理回路を備えることができ得る。例えば、プロセッサ333は、メモリに格納された命令を実行するように適合されたマイクロプロセッサおよび/またはマイクロコントローラ(図示せず)を含むことができ得る。そのような命令は、例えば、前述のアプリケーションの1つまたは複数を可能にするかつ/またはサポートするように適合された手順および/またはモジュールを備えることができ得る。ここで、例えば、プロセッサ333は、(例えば、受信機372に関連付けられた)第1の無線通信プロトコルに従って通信セッションを確立および/または維持することをサポートするかつ/または可能にするように命令を実行することができ得る。また、プロセッサ333は、(例えば、受信機374に関連付けられた)第2の通信プロトコルに従って送信された信号を捕捉するためのプロセス中に得られた捕捉情報を処理するために十分な手順および/またはモジュールを含むことができ得る。しかし、ある特定の実装形態では、プロセッサ333は、第2の無線通信プロトコルに従って通信セッションを確立および/または維持することをサポートするかつ/または可能にするために十分な手順および/またはモジュールを含まなくてよい。ここで、これにより、プロセッサ333によって実行可能な命令を格納するために必要なメモリの削減、ならびに/あるいは、MS機能をサポートしてプロセッサ333によって実行される手順および/またはモジュールの単純化を可能にすることができ得る。
【0027】
いくつかの実装形態では、異なる複数の無線伝送プロトコルに従って送信される信号は、異なる複数の無線周波数で送信され、かつ/または、異なる複数のプロトコル特有の変調方式に従って変調されうる。したがって、例えば、変調器334は、プロセッサ333によって決定される特定の無線通信プロトコルに従って中間周波数(IF)信号を変調するように適合させることができ得る。同様に、IF/RF変換器335は、プロセッサ333によって決定される特定の無線通信プロトコルに従ってIF信号をRF信号に変換するように適合させることができ得る。例示的一実装形態では、通信プロトコルに従って送信された信号を捕捉するためのプロセスにおいて捕捉情報を得るために、送信された信号のソースへの情報の返信を必要としなくてよい。したがって、I/F変換器335および/または変調器334は、第2の通信プロトコルに従って情報を送信する追加的能力なしでありながら、第1の通信プロトコルに従って情報を送信する(例えば、第1の通信プロトコルに従って送信された信号の成功した捕捉に続く通信セッションをサポートする)ことができるように簡略化されることができ得る。
【0028】
例示的特徴であると目下みなされるものを例示し説明したが、クレームされた主題から逸脱することなく、他の種々の変更が可能であり、均等物との置換えができ得ることは、当業者には理解されよう。さらに、本明細書に記載の中心的概念から逸脱することなく、クレームされた主題の教示に具体的な状況を適合させるために多数の変更を行うことができ得る。したがって、クレームされた主題は開示された個々の例に限定されず、このようなクレームされた主題は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての態様およびその均等物も含むことができ得るものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信プロトコルに従って送信された情報を処理するように適合された受信機を備え、前記無線通信プロトコルは、捕捉情報の送信のための捕捉期間、および、成功した捕捉に続く通信を促進するための通信セッションを定義し、
前記受信機は、前記捕捉期間中に送信された捕捉情報を格納する能力があり、前記成功した捕捉に続く前記通信セッションを確立および/または維持するための十分なリソースを備えない、装置。
【請求項2】
前記装置はさらにプロセッサを備え、前記プロセッサは、
緊急イベントに応答して、前記受信機に、前記捕捉期間中に前記捕捉情報を捕捉することを開始させ、
前記格納された捕捉情報の位置サーバへの送信を開始するように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記捕捉情報を格納するための、前記受信機によってアクセス可能なメモリをさらに備え、前記受信機によってアクセス可能な前記メモリは、前記受信機が前記通信セッションを確立および/または維持することを可能にするために十分ではない、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の通信プロトコルとは異なる第2の無線通信プロトコルに従って情報を送信および受信するように適合された少なくとも1つのトランシーバをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのトランシーバは、前記第2の無線通信プロトコルによって定義される通信セッションにおいて情報を送信および受信するように適合される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記捕捉情報は、デバイスに関連付けられた一意の識別情報を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記一意の識別情報は、前記デバイスに関連付けられた媒体アクセス制御(MAC)アドレスを備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記捕捉情報は、受信信号強度の測定値を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記無線通信プロトコルは、IEEE規格802.11および/またはIEEE規格802.15のバージョンによる無線通信プロトコルを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記受信機は、成功した捕捉に続く通信セッションを確立および/または維持するための十分なリソースを有する受信機を製造するコストよりも低いコストで、製造されることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
装置は、前記格納された捕捉情報に少なくとも部分的に基づいて、前記受信機の位置の推定値を得るように適合されたプロセッサをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、前記通信プロトコルに従って情報を送信するように適合された送信機を含まない、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも第1の無線通信プロトコルおよび第2の無線通信プロトコルに従って送信された信号を処理するように適合された受信機であって、前記第1および第2の無線通信プロトコルのそれぞれは、捕捉情報の送信のための関連する捕捉期間と成功した捕捉に続く通信を促進するための関連する通信セッションとを定義する、受信機と、
少なくとも前記第1の無線通信プロトコルに従って送信される信号を送信するように適合された送信機と、
前記第1の無線通信プロトコルに従って通信セッションを使用して1つまたは複数のアプリケーションを可能にするように適合されたプロセッサとを備える移動局であって、
前記移動局は、前記第2の無線通信プロトコルによって定義された前記捕捉期間中に受信された捕捉情報を格納する能力があり、前記第2の無線通信プロトコルによって定義された前記通信セッションを確立および/または維持するための十分なリソースを有していない、移動局。
【請求項14】
前記移動局は、前記プロセッサによってアクセス可能なメモリを定義し、前記第2の無線通信プロトコルに従って受信された情報を処理するために割り当てられた前記メモリの部分は、前記第2の無線通信プロトコルの捕捉期間中に受信された捕捉情報を格納するために十分であり、前記第2の無線通信プロトコルに従って通信セッションを確立および/または維持するためには十分ではない、請求項13に記載の移動局。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記第1の無線通信プロトコルに従って通信セッションを使用して前記1つまたは複数のアプリケーションを可能にするために、メモリに格納された符号化命令を実行するように適合され、前記移動局は、前記第2の無線通信プロトコルに従って通信セッションを確立および/または維持するための符号化命令を含まない、請求項13に記載の移動局。
【請求項16】
前記捕捉期間中に受信される前記捕捉情報は、デバイスに関連付けられた一意の識別情報を備える、請求項13に記載の移動局。
【請求項17】
前記一意の識別情報は、前記デバイスに関連付けられた媒体アクセス制御(MAC)アドレスを備える、請求項16に記載の移動局。
【請求項18】
前記捕捉情報は、受信信号強度の測定値を備える、請求項13に記載の移動局。
【請求項19】
前記第2の無線通信プロトコルは、IEEE規格802.11および/またはIEEE規格802.15のバージョンによる無線通信プロトコルを備える、請求項13に記載の移動局。
【請求項20】
前記移動局は、前記第2の無線通信プロトコルによって定義された前記通信セッションを確立および/または維持するための十分なリソースを有する移動局を製造するコストよりも低いコストで、製造されることができる、請求項13に記載の移動局。
【請求項21】
前記プロセッサはさらに、前記格納された捕捉情報に少なくとも部分的に基づいて、前記移動局の位置の推定値を得るように適合される、請求項13に記載の移動局。
【請求項22】
第1の無線通信プロトコルおよび第2の無線通信プロトコルに従って送信された情報を処理するための符号化命令を格納したメモリを備え、前記第1および第2の無線通信プロトコルのそれぞれは、捕捉情報の送信のための関連する捕捉期間と成功した捕捉に続く通信を促進するための関連する通信セッションとを定義し、前記命令は、
前記第1の無線通信プロトコルに従って通信セッションを使用して1つまたは複数のアプリケーションを可能にするための命令と、
前記第2の無線通信プロトコルによって定義された前記捕捉期間中に受信された捕捉情報を格納するための命令と、
前記メモリに結合され、前記命令を取り出し実行するように適合された回路とを備え、
前記メモリは、前記第2の無線通信プロトコルに従って通信セッションを確立および/または維持するための符号化命令を含まない、プロセッサ。
【請求項23】
前記捕捉期間中に受信される前記捕捉情報は、デバイスに関連付けられた一意の識別情報を備える、請求項22に記載のプロセッサ。
【請求項24】
前記一意の識別情報は、前記デバイスに関連付けられた媒体アクセス制御(MAC)アドレスを備える、請求項23に記載のプロセッサ。
【請求項25】
前記捕捉情報は、受信信号強度の測定値を備える、請求項22に記載のプロセッサ。
【請求項26】
前記第2の無線通信プロトコルは、IEEE規格802.11および/またはIEEE規格802.15のバージョンから本質的になる無線通信プロトコルの群から選択される、請求項22に記載のプロセッサ。
【請求項27】
前記命令はさらに、前記格納された捕捉情報に少なくとも部分的に基づいて前記プロセッサの位置の推定値を得るための命令を備える、請求項22に記載のプロセッサ。
【請求項28】
無線通信プロトコルに従って送信された情報を処理するように適合された受信機を備え、前記無線通信プロトコルは、成功した捕捉に続く放送信号の受信を可能にするための捕捉情報の送信のための捕捉期間を定義し、
前記受信機は、前記捕捉期間中に送信された捕捉情報を格納する能力があり、前記成功した捕捉に続いて放送信号内の放送内容を処理するための十分なリソースを備えない、装置。
【請求項29】
前記受信機はさらに、前記格納された捕捉情報に少なくとも部分的に基づいて、前記受信機の位置の推定値を得るように適合される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記受信機は、前記成功した捕捉に続いて、Digital TV、Digital Radio、DVB−H、DMB、ISDB−T、および/またはMediaFLOフォーマットに従って送信された前記放送信号を受信するように適合される、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記装置はさらにプロセッサを備え、前記プロセッサは、
緊急イベントに応答して、前記受信機に、前記捕捉期間中に前記捕捉情報を捕捉することを開始させ、
前記格納された捕捉情報の位置サーバへの送信を開始するように適合される、請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記捕捉情報は、デバイスに関連付けられた一意の識別情報を備える、請求項28に記載の装置。
【請求項33】
前記一意の識別情報は、前記デバイスに関連付けられた媒体アクセス制御(MAC)アドレスを備える、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記捕捉情報は、受信信号強度の測定値を備える、請求項28に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−506670(P2012−506670A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533259(P2011−533259)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/061225
【国際公開番号】WO2010/048110
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】