説明

低分子量臭素化ポリマー、および熱可塑性配合物におけるそれらの使用

本発明は、低分子量臭素化アニオン性連鎖移動芳香族ビニルポリマー(以下、「ACTVAP」)を含む難燃性組成物に関する。該組成物は、低い熱不安定性臭素含有量をさらに示しつつ、高い臭素含有量を提供することができる。該組成物は、HIPSおよびABS系配合物基材において許容される溶融流動および熱変形温度(HDT)が予測されるガラス転移温度、Tgを持つ。該組成物は、熱可塑性配合物、たとえば、ポリスチレンおよびABS配合物における使用に適切な難燃性の候補物質である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臭素化アニオン性連鎖移動芳香族ビニルポリマー(以下、臭素化「ACTVAP」)を含む難燃性組成物に関する。該組成物は、低い熱不安定性臭素含有量をさらに示しつつ、高い臭素含有量を提供することができる。該組成物は、高耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)系配合物において許容される溶融流動が予測されるガラス転移温度、Tgを持つ。そのような配合物から製造される製品は、良好な熱変形温度を持つ。該組成物は、熱可塑性配合物、たとえば、HIPSおよびABS配合物における使用に適切な難燃性候補物質である。
【背景技術】
【0002】
臭素化ポリスチレン系(スチレン系ポリマー)組成物は、熱可塑性配合物において難燃剤として長い間使用されている。臭素化ポリスチレンは、スチレン系モノマーの遊離基重合またはアニオン重合によって誘導されるポリスチレンの臭素化によって製造することができる。たとえば、共同所有の米国特許第5,677,390号、5,686,538号、5,767,203号、5,852,131号、5,852,132号、5,916,978号、6,113,381号、6,207,765号、6,232,393号、6,232,408号、6,235,831号、6,235,844号、6,326,439号および6,521,714号を参照。
【0003】
上述の組成物はかなりの商業的成功を収めてきているが、当業者は、商業的な期待を示す次の世代の製品を常に求めている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、臭素化アニオン性連鎖移動芳香族ビニルポリマー(ACTVAP)を含む難燃性組成物であって、(i)少なくとも約72重量%の臭素を含み、かつ(ii)約1,000ppm(重量/重量)未満の熱的に不安定なBrを含み、ここで、重量%およびppmの値が、該組成物の全重量に対する値である組成物に関する。臭素化ACTVAPが臭素化アニオン性連鎖移動スチレンポリマー(ACTSP)である組成物は、本発明の範囲内である。
【0005】
本明細書で使用するとき、ACTVAPおよびACTSPは、前者は芳香族ビニルポリマーの頭文字、後者はスチレンポリマーの頭文字であり、これらは、アニオン的に誘導され、連鎖移動機構によって決定されるそれぞれの鎖長分布を有している。これらのポリマーは、次いで臭素化され、本発明の難燃性組成物を得る。連鎖移動剤はトルエンが好ましい。
【0006】
連鎖移動機構を使用することによって、従来のアルキルリチウム重合開始剤を触媒量で使用することが可能になる。また、アルキルリチウム開始剤は、スチレンの従来の重合において広く使用される。しかし、そこでは、ポリマーの成長は、連鎖移動によってではなく、むしろリチウム末端基の反応停止によって決定され、したがって、所望のポリマー鎖長を得るためには、(触媒量というより)化学量論量のリチウムアルキルを使用することが必要である。したがって、鎖長を決定するために連鎖移動機構を使用するポリマーは、本発明の組成物のコスト上の利点を見過ごすほどのかなりのコスト上の利点を享受する。
【0007】
とりわけ、本発明の難燃性組成物は、HIPS配合物およびABS配合物を難燃化するために該組成物を使用しても成形品質が損なわれないこと、および該配合物から製造される成形品が許容される熱変形温度(HDT)を有することが予測されるガラス転移温度、
すなわちTgを示す。
【0008】
好適なTgと高い臭素含有量および低い熱不安定性臭素含有量とを組み合わせることにより、本発明の特に好ましい難燃性組成物が提供される。
【0009】
より高い臭素含有量は、本発明の難燃性組成物が、より低い臭素含有量を有する同じ重量の組成物に比べ、より多くの臭素を、したがって、より高い難燃性をHIPS配合物またはABS配合物に供給することができることを意味する。この性質は、最終の熱可塑性製品の製造者にコスト削減の機会を提供する。
【0010】
配合物の調合条件および製品製造条件は、熱的に不安定な臭素をHBrとして放出する傾向があり、この気体は配合および成形装置を破壊する可能性があるので、熱不安定性臭素の含有量は低いことが望ましい。
【0011】
ここで、HIPSもしくはABS配合物、またはそれらから形成される製品中の臭素について、本発明の組成物では、全く含まない場合でなくても、本質的に吸蔵臭素は含まない(50ppm未満)。吸蔵臭素は、難燃性組成物中にBr2として捕捉されている臭素である。そのような臭素が相当量で存在することは、明らかな理由で望ましくない。
【0012】
本発明の難燃性組成物は、配合条件および成形条件では過剰に分解しない程度に熱的に安定であるが、「火炎面」で経験される、かなり高い温度では臭素置換基を充分に放出するくらい劣化することが予測される熱重量分析(TGA)プロファイルを有する。用語「火炎面」は、火と難燃化されたHIPSまたはABS製品との接近に関係する。火は、製品にまさに隣接することもあり、または製品それ自体から発生することもある。
【0013】
本発明の難燃性組成物は良好な色彩を有する。組成物は、Hunter溶液色値試験(以下の「分析方法」の項を参照)により試験した場合、水様白色または少なくとも水様白色に近い色を呈する。さらに、該組成物をASTM D1925に従って試験した場合、優れたYI値を有する。そのようなYI値は、色を固体として試験したとき、白色または白に近い色を有する組成物と関連付けられる。
【0014】
本発明の組成物で見出される臭素化ACTVAPまたはACTSPは、対応するACTVAPまたはACTSPの臭素化によって誘導される。また、臭素化されていないACTVAPまたはACTSPも、前駆体またはベースACTVAPもしくはACTSPと言うことができる。ベースACTVAPまたはACTSPは、約25までの相対GPC面積%のモノ付加物、たとえば1,3−ジアリールプロパンを有することができる。アリール基がフェニル基である場合、1,3−ジフェニルプロパンがモノ付加物である。しかし、望ましい場合は、臭素化前に、ベースACTVAPまたはACTSPがより低いモノ付加物含量を持つように改変することができる。改変は、通常、ベースACTVAPまたはACTSPからモノ付加物含量を減らす蒸留によって行われる。そのような改変は、モノ付加物が素早く臭素化され、したがって、使用可能な臭素を、ベースACTVAPまたはACTSPを構成するより高い分子量のポリマー鎖によって消費される速度より速い速度で消費する傾向があると理論化されるので望ましいと考えられるが、本発明ではそのような理論に限定されない。そのようなより速い臭素の消費は、より高い分子量のポリマーの構成成分の残りの臭素化の程度および均質性を歪めると考えられる。臭素化の均質性は、ポリマー鎖に沿うアリール臭素の分布における均一性の度合いに関係する。末端基ではないアリール基は、通常、動力学的によりゆっくり臭素化し、したがって、内部分子構造に由来する立体障害のため、末端のまたは「末端基」アリール基より高度に臭素化することが難しい。
【0015】
臭素化ACTVAPまたはACTSP中の臭素化モノ付加物とポリマー構成成分の残りとの間の臭素の不均衡な分布により、他の方法で起こるよりも、より低いガラス転移温度Tgを持つ難燃性組成物を得ることができる。十分低下されれば、そのより低いTgにより、ホストHIPSまたはABSに関しては成形性能が高められ(高メルトフローインデックス)、難燃化されたHIPSまたはABSから製造された製品に関しては熱変形温度(HDT)が低下することが予測される。
【0016】
以下の「発明の詳細な説明」において、本発明の組成物を、さらに詳しく説明する。該説明が部分または全体においてあてはまる組成物は、本明細書で開示する発明の範囲内に包含される。
【0017】
本発明の任意の1種以上の組成物を含む熱可塑性樹脂製品は、本発明の範囲内に包含される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
本発明の組成物
本発明の組成物は、臭素化ACTVAPまたはACTSPが主成分である。概して、組成物は、少なくとも約97重量%の臭素化ACTVAPまたはACTSPを含み、残りは、副生成物不純物である。そのような不純物は、大部分が、重合あるいは臭素化ACTVAPまたはACTSPを最終的に得るために使用される臭素化プロセスのどちらかの副生成物である。最も好ましい本発明の難燃性組成物は、組成物の総重量に対して約99〜約99.95+重量%のポリマーを含む。
【0019】
ベースACTVAPは、式:
Ar−CRH[−CH2CH(Ar)]n平均−CH2CH2−Ar
(式中、Arはアリール基であり、RはC1−C4アルキル基であり、n平均は、繰返し単位の平均数であり、ACTVAP分布の数平均分子量、Mnに基づく)で表わすことができる。n平均は、式:
n平均=(Mn−式量ArCRH−式量ArCH2CH2)/(式量ArCH2CH2
で計算される。
【0020】
ベースACTSPは、構造:
65-CH2[−CH2CH(C65)]n平均CH2CH2−C65
(式中、平均n平均値は、式:
n平均=(Mn−196.29)/104.15
で決定される)を有するものである。
【0021】
ACTVAPおよびACTSPのMnを決定する方法は、本明細書の「分析方法」の項で説明する。
【0022】
ベースACTVAPまたはACTSPを製造する重合方法は、一般的に、トルエン溶剤(これは、移動剤としても作用する)の存在下でのビニル芳香族/スチレンと、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)で促進される、触媒量のブチルリチウムとのアニオン重合として記載することができる。本明細書の実施例ACTSP1〜12を参照。
【0023】
先に検討した理由から、本発明におけるベースACTVAPまたはACTSPのモノ付加物含量は、約25GPC面積%を超えないモノ付加物、たとえばACTSPについては、1,3−ジフェニルプロパンが好ましい。(本明細書の「分析方法の項のGPC分析を
参照)。本発明のベースACTVAPまたはACTSPは、約10GPC面積%以下のモノ付加物を含むように設計されるものもあり、一方で他は、約5GPC面積%以下のモノ付加物を含むように設計されるものもある。殆どモノ付加物を含まないベースACTVAPまたはACTSPは、約1GPC面積%以下のモノ付加物を含む。本発明の組成物では、ベースACTVAPまたはACTSP中に存在するモノ付加物の量は、同様のGPC面積パーセントのそれらの臭素化モノ付加物含量を示しうる。たとえば、ACTVAPまたはACTSPから製造された、約25GPC面積%未満の組成物は、次に、組成物の総重量に対して、約25GPC面積%未満の臭素化モノ付加物を含むことになる。
【0024】
本発明の難燃性組成物は、少なくとも約97重量%の臭素化ACTVAPまたはACTSP、好ましくは99重量%以上の臭素化ACTVAPまたはACTSPを含むので、本発明の組成物の分子量は、臭素化ACTVAPまたはACTSP成分と同じであると考えられる。本発明の組成物および臭素化ACTVAPまたはACTSPをGPC(本明細書の「分析方法の項を参照)によるポリマー分析に供した場合、Mwは、約1,000〜約21,000ダルトンの範囲内で測定されるであろう。好ましい範囲は、約1,250〜約14,000ダルトンである。Mn値の範囲は、約860〜約18,500ダルトンの範囲内であり、好ましくは、約1070〜約8,200ダルトンの範囲である。多分散度(Mw/Mn)は2.2未満であり、一般的に約1.1〜約1.7の範囲内で見出される。
【0025】
本発明の難燃性組成物の重要な特徴は、ホスト熱可塑性基材、たとえば、HIPS配合物およびABS配合物との適合性である。適合性は、ホスト熱可塑性配合物から形成される製品内の本発明の組成物の比較的小さなドメインサイズによって証明される。適合性は、ホスト熱可塑性基材中の組成物の混和性の度合いの関数である。形成されたHIPSまたはABS製品中の本発明の組成物は、ドメインサイズが約0.5〜約2ミクロンであることを特徴とする。混和性は、ポリマーサイズおよび組成物のTgとの関数であると考えられる。一般的に、高い濃度のアリール臭素、たとえば>71重量%の臭素を含む非ポリマー難燃剤、および高分子量の臭素化ポリマーは、この適合性を享受しない。
【0026】
本発明の好ましい難燃性組成物は、約35℃〜約165℃の範囲、好ましくは約75℃〜約135℃の範囲内のTgを有する。そのようなTg値は、HIPSまたはABS中に配合されたとき良好な成形性の兆候となり、そのような配合物から成形された製品についての良好なHDT値の兆候となる。Tg値が高すぎる場合、配合物の成形品質として、低すぎる溶融流動が示され、一方Tgが低すぎる場合、最終成形品のHDT値は、許容できないくらい低い可能性がある。ガラス転移温度分析は、本明細書の「分析方法」の項に記載されている。
【0027】
本発明の難燃性組成物は、X線蛍光分析による難燃性組成物の分析(本明細書の「分析方法」の項を参照)によって測定した場合、少なくとも約65重量%の臭素を含む。本発明の組成物の臭素化ACTVAPまたはACTSP成分は、非常に効果的な、うまく設計されたベースACTVAPまたはACTSPから製造されるので、熱的に不安定な臭素の過剰な生成、および過剰な鎖分解を伴うことなく、これらのポリマーの臭素含有量を非常に高いレベルに押し上げる臭素化プロセスの条件を適用することができる。本発明の難燃性組成物は、約65重量%〜約80重量%の臭素を含む。特に商業的に魅力のある臭素の範囲は、約70重量%〜約79重量%であると考えられる。約72重量%〜約78重量%の臭素含有量は、商業的観点から、最も好適であると考えられる。本発明の難燃性組成物では、高い臭素含有量により、HIPSまたはABSの最終製品の難燃性臭素含有量を犠牲にすることなく、重量基準での難燃性負荷を低くすることができるようにすべきである。前記重量%の臭素の値は、難燃性組成物の総重量に基づくものである。
【0028】
本発明の難燃性組成物は、ポリマー分布中の1個のアリール基当たり、臭素置換基は平
均して約2〜約4.8個となる。好ましくは、ポリマー分布中の1個のアリール基当たり、臭素置換基は平均して約3〜約4.6個となる。したがって、ポリマー分布中の各アリール基は、1個のアリール基当たり(個々のアリール基であって、平均アリール基基準ではない)約2〜約5個の臭素置換基を含みうる。用語「ポリマー分布」は、難燃性組成物のGPC分析で測定される総ポリマー分布を意味し、該分布のポリマー構成成分として存在する任意の臭素化モノ付加物を含む。これは、もし存在しても、残留連鎖移動剤またはスチレンモノマーは含まない。先に記載したように、本発明の組成物は、臭素化ACTVAPまたはACTSPを非常に多く含むので、本発明の組成物中の臭素構成成分の数は、臭素化ACTVAPまたはACTSPの数と本質的に同じである。臭素置換基の平均数は、臭素の重量%対XRFおよびGPC測定によるMnを組み合わせることによって計算される。計算を以下に示す。
式:
6(5-x)BrxCH2(C6(5-x)BrxCHCH2−)CH2CH2−C6(5-x)Brx
(式中、xは、1個のフェニル基当たりの臭素原子の平均数である)を有する物質の1モルに関し、
x=Brモル/フェニル平均
臭素の総モル数(Brモル)は、
Brモル=(Mn(臭素化))・(重量%Br/80)
で与えられる。1モル中のフェニル環の平均数(フェニル平均)は、
フェニル平均=2+n平均
ここで、
n平均=(Mn(非臭素化)−196.29)/104.15、および
n(非臭素化)=Mn(臭素化)・(1−重量%Br/100)
によって与えられ、したがって、xは、
x=Brモル/フェニル平均=Mn(臭素化)・(重量%Br/80)/2+n平均
x=Mn(臭素化)・(重量%Br/80)/(2+[(Mn(非臭素化)−196.29)/104.15])
x=Mn(臭素化)・(重量%Br/80)/(2+[(Mn(臭素化)・(1−重量%Br/100)−196.29)/104.15])
によって与えられる。xの値は、表Iの臭素化実施例のそれぞれについて与えられる。
【0029】
臭素の重量%は、ベースACTVAPまたはACTSPの臭素化に関するプロセスパラメータの選択によって影響される。臭素化時間、使用する触媒、触媒量、反応溶剤、反応温度および存在する臭素の量などのパラメータは、得られる臭素化量に影響しうる(臭素化実施例1〜30を参照)。
【0030】
本発明の難燃性組成物は、比較的高い臭素含有量にもかかわらず、比較的低い熱不安定性臭素含有量を示すことが特徴である。
【0031】
本発明の組成物中の熱不安定性臭素は量が少なく、本明細書の「分析方法」の項に記載された方法に従って300℃で15分間測定した場合、該試験の検知下限界から約1000ppm(重量/重量であり、組成物の総重量に基づく)の範囲内にある。また、熱不安定性臭素含有量は、該試験の検知下限界から約750ppm、および該試験の検知下限界から約500ppmのより狭い範囲内であってもよい。臭素化実施例1〜30参照。該試験の検知下限界は、許容できない精度の損失によって立証され、通常、50ppm未満の量の熱不安定性臭素を測定しようと試みる場合に起こる。本発明の難燃性組成物は、これらの低濃度で精密および正確でありうる試験によって測定される場合、熱不安定性臭素を約50ppm未満の量で含みうることが理解されるべきである。
【0032】
熱不安定性臭素を低含有量で含むことに加え、本発明の組成物は、熱的に安定でなけれ
ばならない。該組成物は、成形または配合プロセス中に、劣化しないくらい熱的に安定でなければならない。また、該組成物は、予期される使用条件、輸送条件および保存条件下で安定でなければならない。しかし、該組成物は、ホストHIPSまたはABS基材中で難燃剤として機能するために、臭素化ACTVAPまたはACTSP構成成分が火災の恐れに直面した場合にのみ熱的に分解する必要があるため、過度に安定にすることはない。難燃性相乗剤と混合した場合、「火炎面」で予期される温度に非常に近い温度で分解し、その難燃性臭素を放出することは、アリール臭素の特徴である。そのような放出により、臭素が燃焼の化学作用を妨げ、それによって、難燃剤として機能する。
【0033】
難燃剤業界では、熱重量分析(TGA)が、実際の使用において、候補難燃剤がどのくらい働くかの指標であると考えられている。本発明の組成物は、窒素下、約290℃〜約380℃の範囲内の温度で、TGAによる5重量%の減少を有する。難燃剤業界では、窒素下、約300℃〜約370℃の範囲内の温度で、TGAによる5重量%の減少であるのが好ましいと見込んでいる。TGA分析に説明に関しては、本明細書中の「分析方法」の項を参照のこと。
【0034】
本発明の組成物は、先に記載したように、良好な色を有する。本明細書の「分析方法」の項で記載するHunter溶液色値試験によって測定した場合、組成物は約0.4〜約17の範囲内のデルタE値を得る。色を固体組成物に関してASTM D1925に従って測定した場合、約1〜約8の範囲内のYI値が得られる。好ましいYI値は、約1〜約6の範囲内である。
【0035】
本発明の組成物は、他の難燃剤、たとえば、ハロゲン化非ビニル芳香族難燃剤、たとえば、デカブロモジフェニルエタン、デカブロモジフェニルエーテルおよびテトラブロモビスフェノール−Aと混合して使用することができ、これも本発明の範囲内に包含される。ただし、そのような他の難燃剤およびそれらの量は、所望の組成物の特徴の取得を妨げないこととする。
【0036】
本発明の組成物の殆どは少なくとも97重量%の臭素化ACTVAPまたはACTSPで構成されているので、定量的な値または定性的な値が本発明の組成物に関して列挙されている場合、そのような値、たとえば、Tg、臭素の重量%含有量、熱不安定性臭素の重量%含有量、TGA、色、分子量、その他は、適用できる場合、臭素化ACTVAPまたはACTSPそれ自身に適用することも考えられることは理解されるべきである。
本発明の熱可塑性配合物
【0037】
本発明の難燃性組成物は、HIPSまたはABS系の熱可塑性配合物に使用することができる。HIPSおよびABSは、当該分野で周知であり、数社の供給会社から市販されている。
【0038】
本発明の組成物は、追加の難燃剤として使用され、HIPSまたはABS系配合物と、求められる難燃性のレベルを得るのに十分な量、一般的に、該配合物から製造される1/8インチの試験片に関し、UL94がV−0またはV−2の等級を得るのに十分な量で配合されるのが好ましい。該配合物は、他の従来の添加物を含むことができ、おそらく含むであろう。従来の添加物、たとえば、難燃性相乗剤、抗酸化剤、UV安定剤、ドリップ抑制剤、顔料、衝撃改質剤、充填剤、酸スカベンジャ、発泡剤などは、配合物において、各添加物が実施すべき機能が適切に達成されるのに適切な量で、含まれ、選択され、使用されうる。そのような選択および量は、当業者の日常の技量の範囲内である。好ましくは本発明のHIPS系配合物およびABS系配合物は、難燃性相乗剤を含む。
【0039】
難燃化されたHIPS系配合物およびABS系配合物は、約3〜約25重量%の範囲内
で本発明の難燃性組成物を含み、ここで、該重量%は、配合物の総重量に基づく。好ましい量は、約5〜約15重量%の範囲内である。
【0040】
本発明の難燃性組成物は、難燃性相乗剤とともに使用される。これらの相乗剤は、アリール臭素化難燃剤とともに一般に使用され、当該分野で周知である。該相乗剤の例示的なものとして、酸化鉄、ホウ酸亜鉛、または好ましくは三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、カリウムアンチモナイト、ナトリウムアンチモナイトなどの酸化アンチモン相乗剤が挙げられる。難燃性相乗剤の量は、使用される場合、一般的に、HIPSまたはABS系配合物の総重量に対して、約12重量%までの範囲内であろう。相乗剤の量は、約1〜約6重量%の範囲内であることが最も多い。先に記載した割合の範囲からの逸脱は、目前の特定の状況下で必要であるまたは望ましいと判断される場合はいつでも許容でき、そのような逸脱は本発明の範囲および意図の範囲内である。
【0041】
本発明は、本発明の難燃性組成物が、従来の量の一般的な添加物およびHIPSまたはABSと、たとえば、1:99〜70:30の範囲内の重量比(HIPSまたはABS:本発明の組成物)でブレンドされているマスターバッチ組成物を含む。このようなマスターバッチ配合物は、必要ではないが、少なくとも1種の難燃性相乗剤、たとえば、酸化鉄、ホウ酸亜鉛、または好ましくは三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、カリウムアンチモナイト、ナトリウムアンチモナイトなどの酸化アンチモン難燃性相乗剤を含んでもよい。このようにして形成されたマスターバッチは、HIPSまたはABSに「溶解」し、最終配合物を形成するのに適している。
【0042】
本明細書に記載するブレンドまたは配合物を製造するために、種々の公知の手法を使用することができる。たとえば、HIPSまたはABS、本発明の難燃性組成物、および最終配合物に使用される任意の他の成分を、粉末形態で一緒にブレンドし、その後、押出、圧縮または射出成形によって成形することができる。同様に、成分を、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー、ロールミル、ニーダーまたは他の類似の混合装置で一緒に混合し、次いでたとえば、押し出し、次いで粉砕して顆粒またはペレットを得る、あるいは他の公知の方法によって、目的とする形態または構造に形成することができる。
【0043】
本明細書に記載する難燃化されたHIPS配合物またはABS配合物は、少なくともUL94V0試験を通過する、3.2ミリメータ厚(1/8インチ厚)の成形試験片を形成する可能性を有するものが好ましい。しかし、UL94V2等級を得る、1.6ミリメータ(1/16インチ)厚の成形試験片を形成する可能性を有するHIPSまたはABS配合物も、これより劣るが、商業的な有用性を有する。
分析方法
【0044】
本発明の組成物および配合物の特徴の検査において、公知の分析方法を使用し、あるいは使用に適合させることができる。
総臭素含有量
【0045】
本発明の組成物は、テトラヒドロフラン(THF)などの溶剤に良好な、あるいは少なくとも満足のいく溶解性を持つので、本発明の組成物の総臭素含有量の測定は、従来のX線蛍光技術を使用することによって容易に行われる。分析されるサンプルは、希釈サンプル、たとえば、60mLのTHF中0.1g±0.05gである。XRF分光器としてPhillips PW1480分光器を使用しうる。THF中のブロモベンゼンの標準溶液を較正基準として使用する。本明細書で記載され、実施例で報告されている総臭素値は、全てXRF分析方法に基づくものである。
Hunter溶液の色値試験
【0046】
本発明の難燃性組成物の色の属性を測定するために、これらの組成物を、容易に入手しうる溶剤、たとえばクロロベンゼンに溶解する能力を利用する。使用される分析方法は比較的単純である。5g±0.1gの組成物を50mLの遠心分離管に計り入れる。該管に、45g±0.1gのクロロベンゼンも加える。管を閉じ、手首運動型振盪器により1時間振盪する。1時間の振盪時間後、溶液の溶解していない固形物に関して調べる。混濁が存在する場合、該溶液を4000rpmで10分間遠心する。溶液がまだ透明でなければ、さらに10分間遠心分離する。溶液が混濁を残していれば、正確な測定が不可能として廃棄すべきである。しかし、これが殆どの場合であるが、透明な溶液が得られれば、これをHunterLabカラークエスト球形分光比色計の試験に供する。伝達長さが20mmの伝達セルを用いる。比色計を「デルタE−lab」に設定し、色彩をΔEとして記録し、「L」、「a」および「b」の色値を得る。クロロベンゼン中の10重量%の濃度の生成物対クロロベンゼンについて、Hunter L、aおよびbスケールを使用して、生成物の色を総色差(ΔE)として測定する。
黄色度指数Hunter比色計
【0047】
本発明の組成物を、ASTM D1925に記載された分析に供した。
g
【0048】
Tg値は、TA Instruments DSC2920型を用い、DSCによって得た。サンプルを、窒素下、10℃/分の速さで400℃に加熱した。Tgは、ガラス転移からゴム転移でポリマーの比熱の変化を記録することによって測定する。これは、二次吸熱転移(転移を行うのに熱を必要とする)である。DSCにおいて、転移は、ステップ型転移として現れ、溶融転移で見られるようなピークは存在しない。The Elements of Polymer Science and Engineering,An introductory Text for Engineers and Chemist,Alfred Rudin,Academic Press,Orlando FL,1982,403頁を参照。
熱重量分析
【0049】
熱重量分析(TGA)も、本発明の難燃性組成物の熱的挙動を試験するために使用する。TGA値は、TA Instruments熱重量分析計を使用することによって得る。各サンプルを、Ptパン上で、50〜60mL/分の窒素流を用い、10℃/分で25℃から約600℃に加熱する。
熱安定性試験(熱不安定性臭素試験)
【0050】
この試験の手順は、米国特許第5,637,650号に本質的に記載されている通りである。この試験の実施では、各サンプルは2回繰り返して行う。2.00g±0.01gのサンプルを新しい透明な20mm×150mmの試験管に入れる。ネオプレン製ストッパおよびViton(R)フルオロエラストマー管とともに、試験管を窒素パージラインに接続し、試験管から出たガスを、200mLの0.1NのNaOHおよび5滴のフェノールフタレインをそれぞれ含む、3個の250mLサイドアームろ過フラスコ中の表面下ガス分散フリットに、連続して通す。0.5SCFHで連続的に窒素をパージしながら、試験管を溶融塩浴(51.3%のKNO3/48.7%のNaNO3)中、300℃で15分間加熱し、次いで周辺温度で5分間放置する。次いで、サンプルを含む試験管を、透明な乾燥試験管で置き換え、該装置を空の試験管とともに、300℃の塩浴中で、窒素を用い、さらに10分間パージする。試験管、管およびガス分散管を全て脱イオン水ですすぎ、すすいだ水を3個の捕集フラスコ中の溶液と定量的に合わせる。合わせた溶液を1:1のHNO3で酸性にし、自動電位差滴定装置(Metrohm670、716、736または等価物)を使用して、0.01NのAgNO3で滴定する。結果を、ppm HBr
ppm:HBr=(mL、終点に対するAgNO3)・(AgNO3の規定度)(809
12)/(サンプルの重量)として計算する。次の分析の前に、管を窒素で十分に乾燥する。毎日、最初のサンプルの試験前に、3個の空のきれいな試験管をブランクとして試験し、系の中に残留ハロゲン化水素がないことを確認する。
臭素化ACTVAP/ACTSPのGPC分子量
【0051】
w、Mn、Mz、MpおよびPD値を、Waters510型HPLCポンプ、検出器としてWaters屈折率検出器、410型およびPrecision Detector光散乱検出器、PD2000型を用いるGPCによって得た。カラムは、Waters、[mu]Styragel、500Å、10,000Åおよび100,000Åを使用した。自動サンプラは、Shimadzu製、Sil9A型であった。ポリスチレン標準(Mw=185,000)を、常法によって使用して、光散乱データの正確さを検証した。使用した溶剤はテトラヒドロフラン、HPLCグレードであった。単離した1,3−ジフェニルプロパンおよび1,3,5−トリフェニルペンタン付加物に基づき、分離モードはサイズ排除とし、ピークを、1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルペンタン化、1,3,5,7−テトラフェニルヘプタン化、1,3,5,7,9−ペンタフェニルノナンなどとしてそれらの溶離の順番に従って同定し、次いで、オリゴマー物質の個々のピークを、理論的な分子量値に割り当てる。これらの理論値および対応する滞留時間を使用して、較正曲線を作成する。この較正に基づいて、全体の分配データを計算し、記録する。使用した試験手順は、10mLのTHF中への0.015g〜0.020gのサンプルの溶解を伴った。この溶液のアリコートをろ過し、50Lをカラムに注入する。PD2000光散乱検出器に関するPrecision Detectorsによって提供されているソフトウェアを使用して、分離を分析した。
ベースACTVAPおよびACTSPのGPC分子量
【0052】
w、Mn、Mp、MzおよびPD値を、Shimadzu自動サンプラ(SIL−9型)、Shimadzu屈折率検出器(RID−6A型)、Waters HPLCポンプ(510型)およびWaters TCMカラムヒータによるモジュールシステムを使用するGPCによって得た。カラムは、Polymer Labs(Varian)Oligoporeカラム、300mm×7.5mm、機種番号1113−6520、あるいは等価のものであった。使用した溶剤は、テトラヒドロフラン、HPLCグレードであった。使用した試験手順は、10mLのTHF中への0.10gのサンプルの溶解を伴った。この溶液のアリコートをろ過し、50μLをカラムに注入する。計算は、Viscotek
Omnisec、バージョン4.2.0.237(または等価物)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)データ捕集および処理システムによって行った。
成形品の分析方法:
HDTはASTM D648によって、ビカットはASTM D649によって、アイゾット衝撃強さはASTM D256によって、メルトフローインデックスはASTM D1238によって、およびUL−94、1/8インチ(32mm)と等級付けはUL94によって測定した。
【0053】
以下の実施例で本発明の基本原理を説明するが、これらは本発明の一般的な範囲を限定するものではない。

実施例
ACTSP実施例1〜10
【0054】
一般:オイルジャケットを備えた、球状ガラス製の12リットルのひだ付き反応器に、還流冷却器、蒸留ヘッド、水中熱電対、底部ドレインバルブおよびステンレス鋼製の内部冷却コイルを取り付けた。冷却コイルへの水流を制御するPIDコントローラによって、温度を設定点に厳密に維持した。1組は傾斜し、もう1組は平らでシャフトに融合する2
組のガラスインペラを有する19mmのODガラスシャフトで構成された頂部攪拌組立品を使用して、激しい攪拌を行った。反応器には、湿ったPTFE部分または他のフッ素化ポリマー物質もしくはエラストマーは全て、本質的に含まれなかった。
【0055】
全ての実施例で、全操作の間、反応器を不活性乾燥N2雰囲気下に保った。反応器に、ダイアフラム式ポンプにより、浸漬脚部を通して連鎖移動剤(複数を含む)を投入した。アルキルリチウム、金属アルコキシド類(使用する場合)、追加の溶剤およびアミン促進剤(TMEDA)は全て、この順番で、前記浸漬脚部を通して、攪拌された連鎖移動剤(複数を含む)の表面下に供給した。計量ポンプによって、スチレンを、塩基性酸化アルミニウム(EMD Chemicals、酸化アルミニウム90、70〜230メッシュ、カラムクロマトグラフィ等級)の3インチ(76.2mm)シリンダ型カラム(直径:1.75インチ(44.45mm)、約100g)を通して反応器に入れ、2個の1/16インチ(16mm)のOD供給ノズルによって細かい流れまたは霧として、反応混合物の表面上に供給した。

実施例1
ACTSP−1 Mw=483 PD=1.32
【0056】
トルエン4323g(5.0リットル、46.92mol)を、高温オイルジャケットにより予め70℃に加熱した反応器に投入した。冷却コイルを操作するPIDコントローラを、70℃に設定した。反応器の内容物を反応温度に加熱しながら、63.94gのn−BuLi溶液(シクロヘキサン中2M、0.165mol)を、浸漬脚部を通して、穏やかに攪拌された(300rpm)トルエン反応混合物の表面下に投入した。次いで供給ラインを75mlの無水トルエンで洗い流した。次に、予め調製したカリウムt−ブトキシド(18.28g、0.163mol)、TMEDA(94.26g、0.811mol)およびトルエン(421.27g、4.7mol)を含む溶液を導入し、特徴的な明赤色のTMEDA複合ベンジルアニオンを形成させ、同時にブタンガスを放出させた。表面下ラインを、計量ポンプを介して無水トルエンの第2の75mlアリコートで洗い流した。アニオン性連鎖移動重合プロセスの間、さらに350mlの無水トルエンを一定の速度で供給した。反応器の攪拌速度を510rpmに上げ、2523gのスチレン(99+%、24.22mol)を150分間で供給した。よく較正された計量ポンプを、16.82g/分の一定速度で供給するようにプログラムした。無水シクロヘキサン(2×200ml)をスチレン供給システムに投入し、アルミナ床を洗い流し、スチレンの供給を完了した。反応器へのスチレンの供給は、反応熱がもはや観察されなくなった時が完了であると判断し、これは、反応器の冷却コイルの電磁弁の自動閉鎖によって一般的に示された。
【0057】
反応混合物を70℃で脱酸素水の50mlアリコートを用いてクエンチし、水様白色の混濁混合物を得た。該反応混合物を脱酸素水(3×650ml)で洗浄し、ある沈降時間後、相切断を起こすことができた。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレインバルブを通して除去した。
【0058】
オイルジャケットの温度を130℃に上げ、冷却コイルへのコントロールバルブをオフにした。ポット温度を65℃から115℃に上昇させながら残留水分を約2時間かけて除去し、一方で、水、シクロヘキサンおよびいくらかのトルエンを蒸留した。分析サンプルを取り除き、GPC分析により、以下のデータを得た。Mp:197、Mn:331、Mw:368、Mz:406、PD:1.11。
【0059】
粗反応混合物7027gを過剰トルエンの連続操作で取出し、3231gの濃縮生成物ストリームを得、これのGPC分析データは以下の通りであった。Mp:300、Mn:3
67、Mw:483、Mz:634、PD:1.32。連続取出しは、ワイプドフィルム蒸発器(WFE,aka.Pope Still)を用いて行った。WFE操作条件:供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=185℃、圧力=50mmHgおよび冷却器温度=0℃。さらに、440gのトルエンをドライアイストラップに集め、低温フィンガにより、トルエンおよび構造異性体を含まない1,3−ジフェニルプロパンの混合物3280gを凝縮した。

実施例2
ACTSP−2 Mw=496 PD=1.32
【0060】
トルエン4763g(5.5リットル、51.69mol)を、高温オイルジャケットにより予め80℃に加熱した反応器に投入した。冷却コイルを操作するPIDコントローラを、80℃に設定した。溶剤を反応温度に加熱しながら、111.65gのn−BuLi溶液(シクロヘキサン中2M、0.288mol)を、浸漬脚部を通して、穏やかに攪拌された(300rpm)トルエン反応混合物の表面下に投入した。次いで供給ラインを75mlの無水トルエンで洗い流した。ポット温度が80℃に達したら、49.46gのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.426mol)を、表面下供給ラインを通して反応器に投入し、特徴的な明赤色のTMEDA複合ベンジルリチウムアニオンを形成させ、同時にブタンガスを放出させた。表面下ラインを、計量ポンプを介して無水トルエンの第2の75mlアリコートで洗い流した。アニオン性連鎖移動重合プロセスの間、さらに350mlの無水トルエンを一定の速度で供給した。反応器の攪拌速度を510rpmに上げ、2951gのスチレン(99+%、28.33mol)を180分間で供給した。よく較正された計量ポンプを、16.4g/分の一定速度で供給するようにプログラムした。無水シクロヘキサン(2×200ml)をスチレン供給システムに投入し、アルミナ床を洗い流した。反応器へのスチレンの供給は、反応熱がもはや観察されなくなった時が完了であると判断し、これは、反応器の冷却コイルの電磁弁の自動閉鎖によって一般的に示された。
【0061】
PID温度コントローラを80℃のままにし、高温油の流れを反応器ジャケットを迂回するように変えながら、冷却コイルを通して水を供給した。反応混合物を80℃で脱酸素水の50mlアリコートを用いてクエンチし、水様白色の混濁混合物を得た。該反応混合物を脱酸素水(3×650ml)で洗浄した。相切断は素早く起こり、殆ど沈降時間を要しなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレインバルブを通して除去した。
【0062】
オイルジャケットの温度を130℃に上げ、冷却コイルへのコントロールバルブをオフにした。115℃のポット温度が観測されるまで、シクロヘキサン、残留水分およびトルエンを、単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。GPCによる分析のためにアリコートを取り除いた(Mp:195、Mn:300、Mw:416、Mz:624、PD:1.38)。
【0063】
粗反応混合物804gを、過剰トルエンの連続操作で取出し、4011gの中間体生成物ストリームを得、これのGPC分析データは以下の通りであった。Mp:191、Mn:314、Mw:426、Mz:615、PD:1.40。連続取出しは、ワイプドフィルム蒸発器(WFE,aka.Pope Still)を用いて行った。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=190℃、圧力=55mmHgおよび冷却器温度=0℃。さらに、918gのトルエンをドライアイストラップに集め、低温フィンガにより、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの混合物2942gを凝縮した。
【0064】
WFEによる855.4gの濃縮物の第2の経路により、698gのオリゴマー混合物を生成し、これは、以下のGPCプロファイルを有した。Mp:298、Mn:375、Mw:496、Mz:715、PD:1.32。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=200℃、圧力=10mmHgおよび冷却器温度=0℃。1,3−ジフェニルプロパンおよび微量のその構造異性体(メチル化ジフェニルエタン)の混合物(155g)を留出物として集めた。

実施例3
ACTSP−3 Mw=530 PD=1.47
【0065】
トルエン4758g(5.5リットル、51.64mol)を、高温オイルジャケットにより予め90℃に加熱した反応器に投入した。冷却コイルを操作するPIDコントローラを、90℃に設定した。溶剤を反応温度に加熱しながら、73.37gのn−BuLi溶液(シクロヘキサン中2M,0.189mol)を、浸漬脚部を通して、穏やかに攪拌された(300rpm)トルエン反応混合物の表面下に投入した。次いで供給ラインを75mlの無水トルエンで洗い流した。ポット温度が90℃に達したら、32.72gのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.282mol)を、表面下供給ラインを通して反応器に投入し、特徴的な明赤色のTMEDA複合ベンジルリチウムアニオンを形成させ、同時にブタンガスを放出させた。表面下ラインを、計量ポンプを介して無水トルエンの第2の75mlアリコートで洗い流した。アニオン性連鎖移動重合プロセスの間、さらに350mlの無水トルエンを一定の速度で供給した。反応器の攪拌速度を510rpmに上げ、2933gのスチレン(99+%、28.16mol)を150分間で供給した。よく較正された計量ポンプを、19.5g/分の一定速度で供給するようにプログラムした。無水シクロヘキサン(2×200ml)をスチレン供給システムに投入し、アルミナ床を洗い流した。反応器へのスチレンの供給は、反応熱がもはや観察されなくなった時が完了であると判断し、これは、反応器の冷却コイルの電磁弁の自動閉鎖によって一般的に示された。
【0066】
PID温度コントローラを80℃に設定し、高温油の流れを、反応器ジャケットを迂回するように変えながら、冷却コイルを通して水を供給した。反応混合物を80℃で脱酸素水の50mlアリコートを用いてクエンチし、水様白色の混濁混合物を得た。反応混合物を脱酸素水(3回、650ml)で洗浄した。相切断は素早く起こり、殆ど沈降時間を要しなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレインバルブを通して除去した。
【0067】
オイルジャケットの温度を130℃に上げ、冷却コイルへのコントロールバルブをオフにした。115℃のポット温度が観測されるまで、シクロヘキサン、残留水分およびトルエンを単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。GPCによる分析のためにアリコートを取り除いた(Mp:196、Mn:363、Mw:555、Mz:977、PD:1.53)。
【0068】
粗反応混合物8062gを、過剰トルエンの連続操作で取出し、3837gの濃縮生成物ストリームを得、これのGPC分析データは以下の通りであった。Mp:196、Mn:359、Mw:530、Mz:868、PD:1.47。連続取出しは、ワイプドフィルム蒸発器(WFE,aka.Pope Still)を用いて行った。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=175℃、圧力=70mmHgおよび冷却器温度=0℃。さらに、1182gのトルエンをドライアイストラップに集め、低温フィンガにより、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの混合物2896gを凝縮した。

実施例4
ACTSP−4 Mw=584 PD=1.50
【0069】
トルエン5801g(6.7リットル、62.95mol)を、高温オイルジャケットにより予め115℃に加熱した反応器に投入した。冷却コイルを操作するPIDコントローラを115℃に設定した。溶剤を還流温度付近に加熱しながら、78.31gのn−BuLi溶液(シクロヘキサン中2M、0.202mol)を、浸漬脚部を通して、穏やかに攪拌された(300rpm)のトルエン反応混合物の表面下に投入した。次いで供給ラインを75mlの無水トルエンで洗い流した。ポット温度が110℃に達したら、24.73gのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.213mol)を、表面下供給ラインを通して反応器に投入し、特徴的な明赤色のTMEDA複合ベンジルリチウムアニオンを形成させ、同時にブタンガスを放出させた。表面下ラインを、計量ポンプを介して無水トルエンの第2の75mlアリコートで洗い流した。アニオン性連鎖移動重合プロセスの間、さらに350mlの無水トルエンを一定の速度で供給した。反応器の攪拌速度を510rpmに上げ、2543gのスチレン(99+%、24.42mol)を120分間で供給した。よく較正された計量ポンプを、21.2g/分の一定速度で供給するようにプログラムした。無水シクロヘキサン(2×200ml)をスチレン供給システムに投入し、アルミナ床を洗い流した。反応器へのスチレンの供給は、反応熱がもはや観察されなくなった時が完了であると判断し、これは、反応器の冷却コイルの電磁弁の自動閉鎖によって一般的に示された。
【0070】
PID温度コントローラを80℃に設定し、高温油の流れを、反応器ジャケットを迂回するように変えながら、冷却コイルを通して水を供給した。反応混合物を80℃で脱酸素水の50mlアリコートを用いてクエンチし、水様白色の混濁混合物を得た。反応混合物を脱酸素水(3回、650ml)で洗浄した。相切断は素早く起こり、殆ど沈降時間を要しなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレインバルブを通して除去した。
【0071】
オイルジャケットの温度を130℃に上げ、冷却コイルへのコントロールバルブをオフにした。115℃のポット温度が観察されるまで、シクロヘキサン、残留水分およびトルエンを単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。GPCによる分析のためにアリコートを取り除いた(Mp:185、Mn:322、Mw:457、Mz:648、PD:1.42)。
【0072】
粗反応混合物8528gを、過剰トルエンの連続操作で取出し、3253gの濃縮生成物ストリームを得、これのGPC分析データは以下の通りであった。:Mp:300、Mn:389、Mw:584、Mz:887、PD:1.50。連続取出しは、ワイプドフィルム蒸発器(WFE,aka.Pope Still)を用いて行った。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=170℃、圧力=95mmHgおよび冷却器温度=0℃。さらに、1154gのトルエンをドライアイストラップに集め、低温フィンガにより、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの混合物4092gを凝縮した。

実施例5
ACTSP−5 Mw=715 PD=1.40
【0073】
トルエン5848g(6.76リットル、63.46mol)を、高温オイルジャケットにより予め115℃に加熱した反応器に投入した。冷却コイルを操作するPIDコントローラを115℃に設定した。溶剤を還流温度付近に加熱しながら、78.gのn−BuLi溶液(シクロヘキサン中2M、0.202mol)を、浸漬脚部を通して、穏やかに
攪拌された(300rpm)トルエン反応混合物の表面下に投入した。次いで供給ラインを75mlの無水トルエンで洗い流した。ポット温度が110℃に達したら、24.0gのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.207mol)を、表面下供給ラインを通して反応器に投入し、特徴的な明赤色のTMEDA複合ベンジルリチウムアニオンを形成させ、同時にブタンガスを放出させた。表面下ラインを、計量ポンプを介して無水トルエンの第2の75mlアリコートで洗い流した。アニオン性連鎖移動重合プロセスの間、さらに350mlの無水トルエンを一定の速度で供給した。反応器の攪拌速度を510rpmに上げ、2548gのスチレン(99+%、24.46mol)を110分間で供給した。よく較正された計量ポンプを23.2g/分の一定速度で供給するようにプログラムした。無水シクロヘキサン(2×200ml)をスチレン供給システムに投入し、アルミナ床を洗い流した。反応器へのスチレンの供給は、反応熱がもはや観察されなくなった時が完了であると判断し、これは、反応器の冷却コイルの電磁弁の自動閉鎖によって一般的に示された。
【0074】
PID温度コントローラを80℃に設定し、高温油の流れを、反応器ジャケットを迂回するように変えながら、冷却コイルを通して水を供給した。反応混合物を80℃で脱酸素水の50mlアリコートを用いてクエンチし、水様白色の混濁混合物を得た。反応混合物を脱酸素水(3回、650ml)で洗浄した。相切断は素早く起こり、殆ど沈降時間を要しなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレインバルブを通して除去した。
【0075】
オイルジャケットの温度を130℃に上げ、冷却コイルへのコントロールバルブをオフにした。115℃のポット温度が観察されるまで、シクロヘキサン、残留水分およびトルエンを単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。GPCによる分析のためにアリコートを取り除いた(Mp:194、Mn:382、Mw:595、Mz:998、PD:1.56)。
【0076】
粗反応混合物8660gを、過剰トルエンの連続操作で取出し、3217gの中間体生成物ストリームを得、これのGPC分析データは以下の通りであった。Mp:297、Mn:399、Mw:613、Mz:1003、PD:1.54。連続取出しは、ワイプドフィルム蒸発器(WFE,aka.Pope Still)を用いて行った。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=165℃、圧力=90mmHgおよび冷却器温度=0℃。さらに、813gのトルエンをドライアイストラップに集め、低温フィンガにより、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの混合物4600gを凝縮した。
【0077】
WFEによる濃縮物の第2の経路により、2453gのオリゴマー混合物を生成し、これは、以下のGPCプロファイルを有した。Mp:400、Mn:512、Mw:715、Mz:1084、PD:1.4。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=205℃、圧力=0.6mmHgおよび冷却器温度=0℃。1,3−ジフェニルプロパンおよびその構造異性体(メチル化ジフェニルエタン)の混合物(69g)を留出物として集めた。

実施例6
ACTSP−6 Mw=740 PD=1.66
【0078】
トルエン4758g(5.5リットル、51.64mol)を、高温オイルジャケットによって予め80℃に加熱した反応器に投入した。冷却コイルを操作するPIDコントローラを80℃に設定した。溶剤を反応温度に加熱しながら、70.2gのn−BuLi溶液(シクロヘキサン中2M、0.181mol)を、浸漬脚部を通して、穏やかに攪拌し
た(300rpm)トルエン反応混合物の表面下に投入した。次いで供給ラインを75mlの無水トルエンで洗い流した。ポット温度が80℃に達したら、32.99gのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.284mol)を、表面下供給ラインを通して反応器に投入し、特徴的な明赤色のTMEDA複合ベンジルリチウムアニオンを形成させ、同時にブタンガスを放出させた。表面下ラインを、計量ポンプを介して無水トルエンの第2の75mlアリコートで洗い流した。アニオン性連鎖移動重合プロセスの間、さらに350mlの無水トルエンを一定の速度で供給した。反応器の攪拌速度を510rpmに上げ、2933gのスチレン(99+%、28.16mol)を180分間で供給した。よく較正された計量ポンプを16.3g/分の一定速度で供給するようにプログラムした。無水シクロヘキサン(2×200ml)をスチレン供給システムに投入し、アルミナ床を洗い流した。反応器へのスチレンの供給は、反応熱がもはや観察されなくなった時が完了であると判断し、これは、反応器の冷却コイルの電磁弁の自動閉鎖によって一般的に示された。
【0079】
PID温度コントローラを80℃のままにし、高温油の流れを、反応器ジャケットを迂回するように変えながら、冷却コイルを通して水を供給した。反応混合物を80℃で脱酸素水の50mlアリコートを用いてクエンチし、水様白色の混濁混合物を得た。反応混合物を脱酸素水(3回、650ml)で洗浄した。相切断は素早く起こり、殆ど沈降時間を要しなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレインバルブを通して除去した。
【0080】
オイルジャケットの温度を130℃に上げ、冷却コイルへのコントロールバルブをオフにした。115℃のポット温度が観察されるまで、シクロヘキサン、残留水分およびトルエンを単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。GPCによる分析のためにアリコートを取り除いた(Mp:192、Mn:425、Mw:727、Mz:1398、PD:1.71)。
【0081】
粗反応混合物7931gを、過剰トルエンの連続操作で取出し、3490gの濃縮生成物ストリームを得、これのGPC分析データは以下の通りであった。Mp:295、Mn:446、Mw:740、M2:1357、PD:1.66。連続取出しは、ワイプドフィルム蒸発器(WFE,aka.Pope Still)を用いて行った。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=185℃、圧力=70mmHgおよび冷却器温度=0℃。さらに、917gのトルエンをドライアイストラップに集め、低温フィンガにより、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの混合物3340gを凝縮した。

実施例7
ACTSP−7 Mw=800 PD=1.39
【0082】
トルエン4758g(5.5リットル、51.64mol)を、予め還流加熱した反応器に投入し、4時間共沸乾燥した。Karl Fisher水分分析によれば、残留H2Oは15ppmであった。乾燥トルエンをオイルジャケットで75℃に冷却し、冷却コイルを操作するPIDコントローラを両方とも該温度に設定した。設定温度に冷却し、109.3gのn−BuLi溶液(シクロヘキサン中2M、0.282mol)を、浸漬脚部を通して、穏やかに攪拌した(300rpm)トルエン反応混合物の表面下に投入した。次いで供給ラインを75mlの無水トルエンで洗い流した。次に、48.7gのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.419mol)を、表面下供給ラインを通して反応器に投入し、特徴的な明赤色のTMEDA複合ベンジルリチウムアニオンを形成させ、同時にブタンガスを放出させた。表面下ラインを、計量ポンプを介して無水トルエンの第2の75mlアリコートで洗い流した。さらに、アニオン性連鎖
移動重合プロセスの間、350mlの無水トルエンを一定の速度で供給した。反応器の攪拌速度を510rpmに上げ、2940gのスチレン(99+%、28.23mol)を180分間で供給した。よく較正された計量ポンプを、16.3g/分の一定速度で供給するようにセットした。無水シクロヘキサン(2×200ml)をスチレン供給システムに投入し、アルミナ床を洗い流した。反応器へのスチレンの供給は、反応熱がもはや観察されなくなった時が完了であると判断し、これは、冷却コイルの自動コントロールバルブの閉鎖によって一般的に示された。
【0083】
PID温度コントローラの設定点を75℃に維持し、必要な場合は冷却コイルを通して水を供給し、同時に高温油の流れを、反応器ジャケットを迂回するように変えた。反応混合物を75℃で脱酸素水の50mlアリコートを用いてクエンチし、水様白色の混濁混合物を得た。反応混合物を脱酸素水(3回、650ml)で洗浄した。相切断は素早く起こり、殆ど沈降時間を要しなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレインバルブを通して除去した。
【0084】
オイルジャケットの温度を130℃に上げ、冷却コイルへのコントロールバルブをオフにした。シクロヘキサン、残留水分およびトルエンを、単蒸留装置により蒸留した。GPCによる分析のためにアリコートを取り除いた(Mp:192、Mn:447、Mw:713、Mz:1196、PD:1.59)。
【0085】
粗反応混合物8068gを、過剰トルエンの連続操作で取出し、3380gの中間体生成物ストリームを得、これのGPC分析データは以下の通りであった。Mp:297、Mn:476、Mw:733、Mz:1191、PD:1.54。連続取出しは、ワイプドフィルム蒸発器(WFE,aka.Pope Still)を用いて行った。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=185℃、圧力=55mmHgおよび冷却器温度=0℃。さらに、1935gのトルエンをドライアイストラップに集め、低温フィンガにより、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの混合物261gを凝縮した。
【0086】
WFEによる濃縮物の第2の経路により、2715gのオリゴマー混合物を生成し、これは、以下のGPCプロファイルを有した。Mp:398、Mn:577、Mw:800、Mz:1186、PD:1.39。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=185℃、圧力=0.1mmHgおよび冷却器温度=0℃。1,3−ジフェニルプロパンおよびその構造異性体(メチル化ジフェニルエタン)の混合物(388g)を留出物として集めた。

実施例8
ACTSP−8 Mw=817 PD=1.30
【0087】
トルエン4332g(5.0リットル、47.02mol)を、高温オイルジャケットによって予め75℃に加熱した反応器に投入した。冷却コイルを操作するPIDコントローラを70℃に設定した。反応器の内容物を反応温度に加熱しながら、94gのn−BuLi溶液(シクロヘキサン中2M、0.242mol)を、浸漬脚部を通して、穏やかに攪拌した(300rpm)のトルエン反応混合物の表面下に投入した。次いで供給ラインを75mlの無水トルエンで洗い流した。次に、カリウムt−ブトキシド(27.32g、0.243mol)、TMEDA(35.95g、0.309mol)、THF(59.93g、0.831mol)およびトルエン(433.36g、4.7mol)を含む、予め調製した溶液を導入し、特徴的な明赤色のTMEDA複合ベンジルアニオンを形成させ、同時にブタンガスを放出させた。表面下ラインを計量ポンプにより無水トルエンの第2の75mlアリコートで洗い流した。アニオン性連鎖移動重合プロセスの間、さらに
350mlの無水トルエンを一定の速度で供給した。反応器の攪拌速度を510rpmに上げ、2528gのスチレン(99+%、24.27mol)を150分間で供給した。よく較正された計量ポンプを、16.81g/分の一定速度で供給するようにプログラムした。無水シクロヘキサン(2×200ml)をスチレン供給システムに投入し、アルミナ床を洗い流し、スチレン供給を完了した。反応器へのスチレンの供給は、反応熱がもはや観察されなくなった時が完了であると判断し、これは、反応器の冷却コイルの電磁弁の自動閉鎖によって一般的に示された。
【0088】
反応混合物を70℃で脱酸素水の50mlアリコートを用いてクエンチし、水様白色の混濁混合物を得た。反応混合物を脱酸素水(3回、650ml)で洗浄したが、ある沈降時間後でも、相切断は容易にはできなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレインバルブを通して除去した。
【0089】
オイルジャケットの温度を130℃に上げ、冷却コイルへのコントロールバルブをオフにした。ポット温度を65℃から115℃に上げながら、残留水分を約2時間かけて除去し、水、シクロヘキサン、THFおよびトルエンを頂部から取出した。GPCによる分析のためにアリコートを取り除き、以下のデータを得た。Mp:405、Mn:509、Mw:790、Mz:1180、PD:1.55。
【0090】
粗反応混合物7215gを、過剰トルエンの連続操作で取出し、2894gの中間体生成物ストリームを得、これのGPC分析データは以下の通りであった。Mp:402、Mn:530、Mw:767、Mz:1039、PD:1.45。連続取出しは、ワイプドフィルム蒸発器(WFE,aka.Pope Still)を用いて行った。WFE操作条件:供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=185℃、圧力=55mmHgおよび冷却器温度=0℃。さらに、1435gのトルエンをドライアイストラップに集め、低温フィンガにより、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの混合物2884gを凝縮した。
【0091】
WFEによる生成物ストリームの第2の経路により、2415gのオリゴマー混合物を生成し、これは、以下のGPCプロファイルを有した。Mp:409、Mn:645、Mw:817、Mz:1009、PD:1.27。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=185℃、圧力=0.1mmHgおよび冷却器温度=0℃。構造異性体を含まない1,3−ジフェニルプロパン271gを留出物として集めた。

実施例9
ACTSP−9 Mw=928 PD=1.43:
【0092】
トルエン4758g(5.5リットル、51.64mol)を、予め還流加熱した反応器に投入し、4時間共沸乾燥した。Karl Fisher水分分析によれば、残留H2Oは16ppmであった。乾燥トルエンをオイルジャケットで80℃に冷却し、冷却コイルを操作するPIDコントローラを両方とも該温度に設定した。設定温度に冷却し、71.00gのn−BuLi溶液(シクロヘキサン中2M、0.183mol)を、浸漬脚部を通して、穏やかに攪拌した(300rpm)トルエン反応混合物の表面下に投入した。次いで供給ラインを75mlの無水トルエンで洗い流した。次に、33.2gのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.286mol)を、表面下供給ラインを通して反応器に投入し、特徴的な明赤色のTMEDA複合ベンジルリチウムアニオンを形成させ、同時にブタンガスを放出させた。表面下ラインを、計量ポンプを介して無水トルエンの第2の75mlアリコートで洗い流した。アニオン性連鎖移動重合プロセスの間、さらに350mlの無水トルエンを一定の速度で供給した。反応器の攪拌
速度を510rpmに上げ、2939gのスチレン(99+%、28.22mol)を180分間で供給した。よく較正された計量ポンプを16.3g/分の一定速度で供給するようにプログラムした。無水シクロヘキサン(2×200ml)をスチレン供給システムに投入し、アルミナ床を洗い流した。反応器へのスチレンの供給は、反応熱がもはや観察されなくなった時が完了であると判断し、これは、反応器の冷却コイルの電磁弁の自動閉鎖によって一般的に示された。
【0093】
PID温度コントローラの設定点を80℃に維持し、必要な場合は冷却コイルを通して水を供給しながら、高温油の流れを、反応器ジャケットを迂回するように変えた。反応混合物を80℃で脱酸素水の50mlアリコートを用いてクエンチし、水様白色の混濁混合物を得た。該反応混合物を脱酸素水(3×650ml)で洗浄した。相切断は素早く起こり、殆ど沈降時間を要しなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレインバルブを通して除去した。
【0094】
オイルジャケットの温度を130℃に上げ、冷却コイルへのコントロールバルブをオフにした。115℃のポット温度が観察されるまで、シクロヘキサン、残留水分およびトルエンを単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。GPCによる分析のためにアリコートを取り除いた(Mp:306、Mn:505、Mw:824、Mz:1314、PD:1.63)。
【0095】
粗反応混合物7589gを、過剰トルエンの連続操作で取出し、3382gの中間体生成物ストリームを得、これのGPC分析データは以下の通りであった。Mp:305、Mn:539、Mw:852、Mz:1342、PD:1.58。連続取出しは、ワイプドフィルム蒸発器(WFE,aka.Pope Still)を用いて行った。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=185℃、圧力=55mmHgおよび冷却器温度=0℃。さらに、1430gのトルエンをドライアイストラップに集め、低温フィンガにより、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの混合物2634gを凝縮した。
【0096】
WFEによる濃縮物の第2の経路から、3012gのオリゴマー混合物を生成し、これは、以下のGPCプロファイルを有した。Mp:409、Mn:648、Mw:928、Mz:1390、PD:1.43。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=205℃、圧力=0.6mmHgおよび冷却器温度=0℃。1,3−ジフェニルプロパンおよびその構造異性体(メチル化ジフェニルエタン)の混合物(455g)を留出物として集めた。

実施例10
ACTSP−10 Mw=1194 PD=1.77
【0097】
トルエン5798g(6.7リットル、62.92mol)を、高温オイルジャケットによって予め110℃に加熱した反応器に投入した。冷却コイルを操作するPIDコントローラを115℃に設定した。溶剤を反応温度に加熱しながら、79.6gのn−BuLi溶液(シクロヘキサン中2M、0.205mol)を、浸漬脚部を通して、穏やかに攪拌した(300rpm)のトルエン反応混合物の表面下に投入した。次いで供給ラインを75mlの無水トルエンで洗い流した。ポット温度が110℃に達したら、24.2gのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.208mol)を、表面下供給ラインを通して反応器に投入し、特徴的な明赤色のTMEDA複合ベンジルリチウムアニオンを形成させ、同時にブタンガスを放出した。表面下ラインを、計量ポンプを介して無水トルエンの第2の75mlアリコートで洗い流した。アニオン性連鎖移動重合プロセスの間、さらに350mlの無水トルエンを一定の速度で供給した。反応器
の攪拌速度を510rpmに上げ、2544gのスチレン(99+%、24.43mol)を80分間で供給した。よく較正された計量ポンプを、31.8g/分の一定速度で供給するようにプログラムした。無水シクロヘキサン(2×200ml)をスチレン供給システムに投入し、アルミナ床を洗い流した。反応器へのスチレンの供給は、反応熱がもはや観察されなくなった時が完了であると判断し、これは、冷却コイルの自動コントロールバルブの閉鎖によって一般的に示された。
【0098】
PID温度コントローラを80℃に設定し、高温油の流れを、反応器ジャケットを迂回するように変えながら、冷却コイルを通して水を供給した。反応混合物を80℃で脱酸素水の50mlアリコートを用いてクエンチし、水様白色の混濁混合物を得た。反応混合物を脱酸素水(3回、650ml)で洗浄した。相切断は素早く起こり、殆ど沈降時間を要しなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレインバルブを通して除去した。
【0099】
オイルジャケットの温度を130℃に上げ、冷却コイルへのコントロールバルブをオフにした。115℃のポット温度が観察されるまで、シクロヘキサン、残留水分およびトルエンを単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。GPCによる分析のためにアリコートを取り除いた(Mp:397、Mn:652、Mw:1174、Mz:1853、PD:1.80)。
【0100】
粗反応混合物8967gを、過剰トルエンの連続操作で取出し、2846gの濃縮生成物ストリームを得、これのGPC分析データは以下の通りであった。Mp:295、Mn:674、Mw:1194、M2:1877、PD:1.77。連続取出しは、ワイプドフィルム蒸発器(WFE,aka.Pope Still)を用いて行った。WFE操作条件は以下の通りであった。供給速度=1.33L/時間、オイルジャケット温度=160℃、圧力=90mmHgおよび冷却器温度=0℃。さらに、1024gのトルエンをドライアイストラップに集め、低温フィンガによって、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの混合物5002gを凝縮した。

実施例11および12 連続方式
実施例11
ACTSP−11 Mw=4054 PD=2.14
【0101】
装置は、オイルジャケットの付いたガラス製の200mLバッフル円筒型反応器であって、窒素流入口の付いたオーバーフローポート、傾斜翼タービンインペラの付いた頂部ステンレス鋼製攪拌シャフト、および熱電対を備える反応器であった。また、該反応器は、2つの表面下供給ライン、(1)スチレンおよびトルエンの混合物を導入するためのステンレス鋼製の1/8インチ(32mm)O.D.ライン、および(2)ブチルリチウムTMEDAおよびトルエンから形成された混合物を供給するためのステンレス鋼製の1/16インチ(16mm)O.D.ラインも備えていた。1/16インチ(16mm)ラインを、1/4インチ(6.4mm)ラインに通し、運転中、機械的攪拌装置によるもつれを防止した。1/16インチ(16mm)供給ラインの先端を、インペラの直下に向けた。オーバーフローポートを角度22.5°で下方に向け、13mmのAce Thread(登録商標)テフロン(登録商標)接続によって、24インチの長さのグリコールジャケット式15mmO.D.ガラスチューブに取り付けた。15mmガラスチューブの他端を、2リットルのグリコールジャケット式攪拌反応器に、第2の13mmAce Thread(登録商標)テフロン(登録商標)接続(テフロン(登録商標)カップリングは、どちらも、接液部ではなかった)によって接続した。オーバーフロー反応器は、全ガラス製頂部攪拌装置、底部ドレインバルブ、冷却水冷却器および窒素油バブリング装置出口を備えた。オーバーフローラインおよび反応器は、グリコールで100℃に加熱した。
【0102】
攪拌され、オーブン乾燥された、洋ナシ形の500mlフラスコ中、不活性N2雰囲気下、周辺温度で、91.75g(106mL、1.09mol)の無水トルエン、シクロヘキサン中、42.98mLの16.5重量%(5.28g、0.0824mol、アルキルリチウムを含む)のn−ブチルリチウムおよび8.62g(11.19mL、0.0742mole)のTMEDAから有機リチウム混合物を形成し、この混合物を、ガラス被覆(PTFEなし)された磁気攪拌棒で攪拌した。該溶液の略半分を、1/16インチ(16mm)のステンレス鋼製三方ボール弁を通して、シリンジポンプ上に搭載され、オーブン乾燥された100mlのガラスシリンジに吸引した。シリンジへの注入後、該シリンジから反応器中の1/16インチ(16mm)の表面下供給ラインへの進路が開き、磁気攪拌フラスコへの進路が閉じるように、ボール弁を調整した。反応の間中、フラスコへの進路が開き、反応器への進路が閉じるように、三方ボール弁を調整することによって、混合物の残りの半分をシリンジへ注入した。
【0103】
運転開始時、反応器に100mLの無水トルエンを投入し、110℃に加熱した。一方、547g(602mL、5.25mol)のスチレンおよび1734g(2000mL、20.6mol)の無水トルエンを合わせて混合し、次いでN2で覆われた3000mlのメスシリンダー容器に投入した。トルエン−スチレン混合物を、最初の1滴または2滴が反応器に入るのが見えるまで、試験室計量ポンプを使い、無水塩基性アルミナのカラムを通して反応器に入れた。供給を止め、反応器内の攪拌を始めた(約400rpm)。シクロヘキサン中のブチルリチウムを、1.0mLのシリンジによって、反応器に滴下しながら投入した。ポリスチリルリチウムアニオンの特徴的な赤色が現れた(無水状態を示す)とき、添加を止めた。次に、約4.8g(0.012mol)の16.5重量%n−ブチルリチウムおよび1.3g(0.011mol)のTMEDAを反応器に投入した。両供給(トルエン−スチレン混合物および有機リチウム混合物)の供給速度は前もって設定し(トルエン−スチレン混合物:6.28mL/分;有機リチウム混合物:0.386mL/分)、ポンプは、30分の滞留時間の間、1時間当たり200mlの混合供給物が反応器を通過する(2個の反応器容積)ように較正した。プロセスは110℃で約195分行った。
【0104】
サンプルを、最初の45分間の後、約30分ごとに集めた。2個の反応器容積内で、系は定常状態条件に達していたことがわかった。最初に集められたフラクションのGPC分子量分布は以下の通りであった。Mw=1992、Mp=2209、Mn=716ダルトン、Mz=3512および多分散度=2.78。典型的な定常状態のフラクションは以下のように分析された。Mw=4146、Mp=4507、Mn=1656、Mz=7134ダルトンおよび多分散度=2.50。トルエンおよび1−3−ジフェニルプロパンを取出した後に分析された定常状態フラクションの複合物のGPC分析では以下の通りであった。Mw=4051、Mp=3822、Mn=1879、Mz=6897ダルトンおよび多分散度=2.15。

実施例12
ACTSP−12 Mw=2288 PD=1.91
【0105】
この実施例における手順は、ここに記載する以外、実施例11の手順を繰り返した。トルエン−スチレン混合物は、547g(602mL、5.25mol)のスチレンおよび1816g(2100mL、21.58mol)の無水トルエンから作製した。有機リチウム混合物は、177.27g(2.11mol、205mL)の無水トルエン、シクロヘキサン中16.5重量%(11.08g、0.173mol、アルキルリチウムを含む)のn−ブチルリチウム90.26mL、および24.81g(19.10mL、0.1644mole)のTMEDAから形成した。ポリスチリルリチウムアニオンの赤色が現
れた後、約10g(0.024mol)の16.5重量%のn−ブチルリチウムおよび2.6g(0.022mol)のTMEDAを反応器に投入した。両供給物の供給速度は前もって設定した(トルエン−スチレン混合物:6.28mL/分;有機リチウム混合物:0.764mL/分)。合わせた供給速度は、28.4分当たり1個の反応器容積(200ml)であった。プロセスは、110℃〜l13℃で約419分間行った。
【0106】
サンプルを、最初の45分間の後、約30分ごとに集めた。2個の反応器容積内で、系は定常状態条件に達していたことがわかった。最初に集められたフラクションのGPC分子量分布は以下の通りであった。Mw=2154、Mp=2293、Mn=953、Mz=3510ダルトンおよび多分散度=1.65。典型的な定常状態のフラクションは以下のように分析された。Mw=2395、Mp=2410、Mn=1026、Mz=4246ダルトンおよび多分散度=2.34。トルエンおよび1−3−ジフェニルプロパンを取出した後に分析された定常状態フラクションの複合物のGPC分析は以下の通りであった。Mw=2288、Mp=2094、Mn=1200、M2=3767ダルトンおよび多分散度=1.91。

臭素化
一般的記載
【0107】
ブロモクロロメタン(BCM)を共沸乾燥した(5〜10ppmの水分率、Karl Fisherによる)。供給ライン、供給タンクおよびガラス器具は全て乾燥し(適切な場合、130℃で2時間オーブン乾燥)、臭素化反応に使用する前に一晩パージした。ガラス器具、供給ラインおよび供給タンクは、全て、臭素化反応器の設定および操作の間、N2雰囲気下で維持した。
【0108】
0.25モル%(式:[モルAlBr3/モルBr2*100%=0.25%モル%AlBr3を使用して計算した)の活性触媒溶液を作製するのに必要なAlBr3触媒(市販品)の量を秤量し、次いで、窒素パージしたグローブボックス内のオーブン乾燥した試薬ビンに移した。活性触媒は、臭素自身または臭素化反応に関与する他のプロセス蒸気における水分によってさもなければ不活性化されうる追加の量を超える触媒の量を意味する。臭素(5〜10ppmの水分率)を、AlBr3を含む試薬ビンにポンプで供給し、次いでPTFEで被覆された磁気攪拌棒で30分攪拌し、触媒を確実に均質に溶解させた。次いで、0.25モル%のAlBr3の臭素溶液を、大容量の実験室用天秤に設置された目盛りの付いた供給容器に移した。
【0109】
使用するアニオン性連鎖移動スチレンポリマー(ACTSP)を、乾燥(5〜10ppmの水分率)BCMに溶解し、25重量%溶液とした。次いで、該溶液を目盛り付き供給容器に投入した。臭素中の0.25モル%のAlBr3およびBCM溶液中の25重量%のACTSPを、別々のぜん動ポンプを用い、1/8インチ(32mm)O.D.供給ラインを通して、0℃〜10℃で、無水BCMのよく攪拌された新しいまたは再生残留物に、共供給する。求電子性臭素化反応の間中、相対供給速度を、2つの試薬の供給の比が一定に、または一定に近くなるように、常時モニターする。
臭素化装置のセットアップ:
【0110】
5Lのオイルジャケット型フラスコ(臭素化反応器)に、頂部ガラス製攪拌シャフト、PTFE攪拌翼、水冷式冷却器、サーモウェル、窒素導入口、および底部ドレインバルブを備えた。該反応器を、硫酸カルシウム水分トラップからよく攪拌された苛性スクラバに通気し、副生物HBrおよび混入Br2を吸収した。さらに、該反応器に、3つの入口ライン、1)BCMの反応器への最初の供給のための1/4インチ(6.4)O.D.PTFE BCM供給口(BCMは新しいものでも、先の運転で得たBCM再生残留物でもよ
い)、2)1/8インチ(32mm)O.D.基材/BCM表面下供給ライン、および3)1/8インチ(32mm)O.D.Br2/AlBr3表面下供給ラインを装着した。AlBr3/Br2供給ラインおよびACTSP/BCM供給ラインは、両入口ラインがごく接近して内容物を排出し、局所的に高い試薬濃度を作るように固定する。臭素化反応器をアルミニウムフォイルで完全に覆い光を遮断し、反応を暗い排気フード内で行った。
【0111】
臭素化反応器を、6リットル水クエンチポットであって、該臭素化反応器の底部ドレインバルブを該クエンチポットに接続する3/8インチ(9.5mm)O.D.PTFEドレインラインを持つクエンチポットの上に置き、臭素化反応器の内容物を直接移すことを可能にした。クエンチポットは、オイルジャケット型で、頂部攪拌機構、サーマルウェル、亜硫酸水素ナトリウム添加漏斗を備え、有機相と水相との均質混合のためのバッフルを有した。該クエンチポットは、窒素導入口を有し、苛性スクラバにパージした。クエンチポットは、該ポットの内容物を中間の5リットル保存容器に移送することができる底部ドレインバルブを有していた。
【0112】
中間保存容器を、その内容物を洗浄ケトルに移送するように配管した。洗浄ケトルは6リットルのオイルジャケット型バッフル反応器で、頂部攪拌器、逆相ディーン−スタークトラップ、熱電対および底部ドレインバルブを備えた。
【0113】
代わりの装置は、臭素化生成物を固体として回収するのに適していて、本質的にBCMを含まない。生成物の回収は、オイルジャケット型樹脂ケトル中のBCMを留去し、濃縮物を形成することによって行うことができる。ケトルを、濃縮生成物が次に溶融物としてよく攪拌された(高せん断)冷水のバケツに落ちることができるように配置する。攪拌によって、顆粒状(細断された)生成物(オーブン乾燥後)が製造され、これは、配合物に混合するのに適している。代わりのセットアップは、BCMの同時共沸除去が同時に起こる、非濃縮生成物を供給する水含有容器を備える。第1段階からの顆粒および第2段階から析出物を、100℃未満のガラス転移温度(Tg)を持つ物質を乾燥するための真空オーブンに通し、メタノールですすぎ、その後、それらのTgより15℃低い温度のオーブンで乾燥する。
【0114】
それぞれの臭素化実施例に含まれる最終組成物に関するプロセスパラメータおよび分析データの概括を表Iに示す。

臭素化実施例1
【0115】
先に記載した5Lの臭素化反応器に、867gの乾燥BCM(共沸乾燥して5〜10ppmの水分率にした、Karl Fisher)を投入した。BCMを暗闇で−1℃に冷却し、予め調製した、334gのACTSP−1(ACTSP実施例1から、Mw=483、PD=1.32)および1002gの乾燥BCMを含む25重量%溶液を、シリンダの内容物をぜん動計量ポンプによって臭素化反応器に移送するように配置された1/8インチ(32mm)PTFE供給ラインを備える、N2で覆った乾燥2000mlメスシリンダーに投入した。予め調製した、臭素(1356g)中のAlBr3(0.25モル%)を、ぜん動ポンプによって1.5リットルのメスシリンダーに移送した。この供給容器は、N2雰囲気下に維持され、所望量の臭素溶液をぜん動計量ポンプによって臭素化反応器に移送するように配置された、1/8インチ(32mm)PTFE供給ラインを備えた。
【0116】
2つの供給の全内容物が投入されて180分で同時に完了するように、2種の試薬を、予め決められた相対速度で共供給する。共供給を中断し、反応器の全内容物を、60分間隔でクチンチポットに移送し、結果として該試薬に30分の平均滞留時間をもたらした。
共供給の再開の前ごとに、867gの乾燥BCMを含む臭素化フラスコにおいて、新しい残留物が生成された。反応温度を−3℃付近いに保つように、操作の間中、十分冷却した。供給が完了すると、反応物をさらに5分間攪拌し、未反応臭素を消費させた。反応混合物を、底部ドレインバルブおよび3/8インチ(9.5mm)O.D.PTFE移送ラインを通して、6Lクエンチポットに(重力で)移送した。
【0117】
クエンチポットに、予め1000mlの水道水(25℃)を投入し、400rpmで攪拌して、有機相と水相とを確実に均質混合した。移送が完了すると、赤色が消え、水様白色に近い混合物が観察されるまで、10%Na2SO3溶液を加えた。クエンチは発熱性であり、10℃の温度上昇が観察された。攪拌を止め、有機相を沈降させた。下部の有機相を1000mlの10%NaOHおよび1.0gのNaBH4を含む5Lの保存容器に移した。
【0118】
次いで、この2相系を6Lの洗浄ケトルに移し、30分間還流(62℃)した。攪拌を中断し、底部の有機層を反応器から取り除いた。有機層を完全に排出されたケトルに戻し、1000mlの水道水で2回洗浄し、pH10とした。次いで、溶液を、逆相ディーン−スタークトラップによって共沸乾燥した。大気圧でBCMを取出しながら、反応器の内容物を1リットルの樹脂ケトルにポンプで入れた。移送が完了すると、BCM取出しを、大気圧で、ポット温度が150℃に達するまで続けた。次いで、BCMをさらに真空除去し、最終状態を150℃および<5mmHgとした。
【0119】
樹脂ケトルの内容物を、素早く攪拌されている(非常に鋭い刃、2100rpm)冷水の入った2.5ガロンのプラスチック製バケツに排出し、生成物を粗粉末に粉砕した。生成物を3000mlの目の粗いガラス製ブフナー漏斗に集め、メタノールですすぎ、次いで真空オーブン(25℃)で乾燥し、955gの臭素化生成物を得た。

臭素化実施例2
【0120】
乾燥BCM中のACTSP−1(ACTSP実施例1から、Mw=483、PD=1.32)の25重量%溶液2000gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 257gとともに、3850gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を、真空オーブン中、45℃で乾燥した。該手順により1688gの生成物を得た。

臭素化実施例3
【0121】
乾燥BCM中のACTSP−1(ACTSP実施例1から、Mw=483、PD=1.32)の25重量%溶液2000gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2846gとともに、3850gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を、真空オーブン中、65℃で乾燥した。該手順により1823gの生成物を得た。
臭素化実施例4
【0122】
乾燥BCM中のACTSP−2(ACTSP実施例2から、Mw=496、PD=1.32)の25重量%溶液1500gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2895gとともに、3500gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が90分となるように、一定の連続した相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。粗生成物の混合物は不均一であり、得られた乳化液を破壊し、所望の相切断を達成するために、0.125gのドデシル硫酸ナトリウムを各洗浄水に添加する必要があった。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中
、130℃で乾燥した。該手順により1645gの生成物を得た。

臭素化実施例5
【0123】
乾燥BCM中のACTSP−2(ACTSP実施例2から、Mw=496、PD=1.32)の25重量%溶液1165gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2330gとともに、3200gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が90分となるように一定の連続した相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。共供給が完了した後、反応混合物を、さらに60分攪拌した。粗生成物の混合物は不均一であり、得られた乳化液を破壊し、所望の相切断を達成するために、0.125グラムのドデシル硫酸ナトリウムを各洗浄水に添加する必要があった。洗浄した生成物の混合物をろ過し、得られたろ過ケーキをBCMで洗浄し、真空オーブン中、150℃で乾燥し、557gの白色固体を得た。ろ液およびBCM洗浄液を合わせ、生成物の可溶性部分を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。BCM−可溶性生成物フラクションを真空オーブン中130℃で乾燥し、693gの白色固体を得た。

臭素化実施例6
【0124】
乾燥BCM中のACTSP−3(ACTSP実施例3から、Mw=530、PD=1.47)の25重量%溶液2000gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2846gとともに、4000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を真空オーブン中、65℃で乾燥した。該手順により1730gの生成物を得た。

臭素化実施例7
【0125】
乾燥BCM中のACTSP−3(ACTSP実施例3から、Mw=530、PD=1.47)の25重量%溶液2000gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2704gとともに、4000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を真空オーブン中、45℃で乾燥した。該手順により1751gの生成物を得た。

臭素化実施例8
【0126】
乾燥BCM中のACTSP−3(ACTSP実施例3から、Mw=530、PD=1.47)の25重量%溶液2000gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2846gとともに、4200gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を真空オーブン中、45℃で乾燥した。該手順により1853gの生成物を得た。

臭素化実施例9
【0127】
乾燥BCM中のACTSP−4(ACTSP実施例4から、Mw=584、PD=1.50)の25重量%溶液1336gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 1356gとともに、2600gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を真空オーブン中、30℃で乾燥した。該手順により933gの生成物を得た。

臭素化実施例10
【0128】
乾燥BCM中のACTSP−4(ACTSP実施例4から、Mw=584、PD=1.50)の25重量%溶液2000gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2333gとともに、4000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を真空オーブン中、35℃で乾燥した。該手順により1540gの生成物を得た。

臭素化実施例11
【0129】
乾燥BCM中のACTSP−4(ACTSP実施例4から、Mw=584、PD=1.50)の25重量%溶液2000gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2846gとともに、4200gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を真空オーブン中、60℃で乾燥した。該手順により1677gの生成物を得た。

臭素化実施例12
【0130】
乾燥BCM中のACTSP−4(ACTSP実施例4から、Mw=584、PD=1.50)の25重量%溶液2000gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 3167gとともに、3850gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を真空オーブン中、65℃で乾燥した。該手順により1640gの生成物を得た。

臭素化実施例13
【0131】
乾燥BCM中のACTSP−5(ACTSP実施例5から、Mw=715、PD=1.40)の25重量%溶液2000gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2125gとともに、3800gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を真空オーブン中、60℃で乾燥した。該手順により1462gの生成物を得た。

臭素化実施例14
【0132】
乾燥BCM中のACTSP−5(ACTSP実施例5から、Mw=715、PD=1.40)の25重量%溶液2000gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2571gとともに、4000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を真空オーブン中、70℃で乾燥した。該手順により1601gの生成物を得た。

臭素化実施例15
【0133】
乾燥BCM中のACTSP−5(ACTSP実施例5から、Mw=715、PD=1.40)の25重量%溶液1600gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2276gとともに、3500gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、90℃で乾燥した。該手順により1427gの生成物を得た。

臭素化実施例16
【0134】
乾燥BCM中のACTSP−6(ACTSP実施例6から、Mw=740、PD=1.
66)の25重量%溶液2000gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2846gとともに、4200gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を92℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、90℃で乾燥した。該手順により1820gの生成物を得た。

臭素化実施例17
【0135】
乾燥BCM中のACTSP−7(ACTSP実施例7から、Mw=800、PD=1.39)の25重量%溶液1500gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 1836gとともに、3000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が90分となるように、一定の連続した相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、90℃で乾燥した。該手順により1250gの生成物を得た。

臭素化実施例18
【0136】
乾燥BCM中のACTSP−7(ACTSP実施例7から、Mw=800、PD=1.39)の25重量%溶液1500gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2135gとともに、3000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が90分となるように、一定の連続した相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、110℃で乾燥した。該手順により1400gの生成物を得た。

臭素化実施例19
【0137】
乾燥BCM中のACTSP−7(ACTSP実施例7から、Mw=800、PD=1.39)の25重量%溶液1500gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2135gとともに、3000gのBCMの残留物に、共供給が180分で完了するように、一定の連続した相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。供給が完了したら、反応混合物を1時間で25℃に温め、このようにして120分を超える平均滞留時間を得た。生成物の混合物をクエンチポットに移し、亜硫酸塩を加えずに未反応臭素を処理した。苛性NaBH4洗浄の間に、未反応臭素を臭化物に変換した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、110℃で乾燥した。該手順により1401gの生成物を得た。

臭素化実施例20
【0138】
乾燥BCM中のACTSP−7(ACTSP実施例7から、Mw=800、PD=1.39)の25重量%溶液1500gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2375gとともに、3000gのBCM残留物に、共供給が180分で完了するように、一定の連続した相対供給速度で共供給したこと以外は臭素化実施例1の手順を使用した。供給が完了したら、反応混合物を1時間で25℃に温め、このようにして120分を超える平均滞留時間を得た。粗生成物の混合物は不均一であり、得られた乳化液を破壊し、所望の相切断を達成するために、0.125グラムのドデシル硫酸ナトリウムを各洗浄水に加える必要があった。生成物の混合物をクエンチポットに移送し、亜硫酸塩を加えずに未反応臭素を処理した。苛性NaBH4洗浄の間に、未反応臭素を臭化物に変換した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、110℃で乾燥した。該手順により1460gの生成物を得た。

臭素化実施例21
【0139】
乾燥BCM中のACTSP−8(ACTSP実施例8から、Mw=817、PD=1.26)の25重量%溶液1500gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 1836gとともに、3000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が90分となるように、一定の連続した相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、100℃で乾燥した。該手順により1230gの生成物を得た。

臭素化実施例22
【0140】
乾燥BCM中のACTSP−8(ACTSP実施例8から、Mw=817、PD=1.26)の25重量%溶液1500gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2135gとともに、3000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が90分となるように、一定の連続した相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、110℃で乾燥した。該手順により1320gの生成物を得た。

臭素化実施例23
【0141】
乾燥BCM中のACTSP−8(ACTSP実施例8から、Mw=817、PD=1.26)の25重量%溶液1500gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2659gとともに、3000gのBCM残留物に、反応器中の平均滞留時間が90分となるように一定の連続した相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。粗生成物の混合物は不均一であり、得られた乳化液を破壊し、所望の相切断を達成するために、0.125グラムのドデシル硫酸ナトリウムを各洗浄水に加える必要があった。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、130℃で乾燥した。該手順により1440gの生成物を得た。

臭素化実施例24
【0142】
乾燥BCM中のACTSP−9(ACTSP実施例9から、Mw=928、PD=1.43)の25重量%溶液1500gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 1836gとともに、3000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が90分となるように、一定の連続した相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、100℃で乾燥した。該手順により1250gの生成物を得た。

臭素化実施例25
【0143】
乾燥BCM中のACTSP−9(ACTSP実施例9から、Mw=928、PD=1.43)の25重量%溶液1500gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2135gとともに、3000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が90分となるように、一定の連続した相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、110℃で乾燥した。該手順により1388gの生成物を得た。

臭素化実施例26
【0144】
乾燥BCM中のACTSP−9(ACTSP実施例9から、Mw=928、PD=1.
43)の25重量%溶液1500gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2659gとともに、3000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が90分となるように、一定の連続した相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。粗生成物の混合物は不均一であり、得られた乳化液を破壊し、所望の相切断を達成するために、0.125グラムのドデシル硫酸ナトリウムを各洗浄水に加える必要があった。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、130℃で乾燥した。該手順により150gの生成物を得た。

臭素化実施例27
【0145】
乾燥BCM中のACTSP−10(ACTSP実施例9から、Mw=1194、PD=1.77)の25重量%溶液1400gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 1800gとともに、3200gのBCM残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、105℃で乾燥した。該手順により89gの生成物を得た。

臭素化実施例28
【0146】
乾燥BCMのACTSP−10(ACTSP実施例9から、Mw=1194、PD=1.77)の25重量%溶液1400gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 2045gとともに、4000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、120℃で乾燥した。該手順により1245gの生成物を得た。

臭素化実施例29
【0147】
乾燥BCM中のACTSP−11(ACTSP実施例11から、Mw=4051、PD=2.15)の25重量%溶液1392gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 1479gとともに、3000gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、130℃で乾燥した。該手順により980gの生成物を得た。

臭素化実施例30
【0148】
乾燥BCM中のACTSP−12(ACTSP実施例12から、Mw=2288、PD=1.91)の25重量%溶液1360gを、臭素中の0.25モル%AlBr3 1445gとともに、3200gのBCMの残留物に、反応器中の平均滞留時間が30分となるように、一定の相対供給速度で共供給したこと以外は、臭素化実施例1の手順を使用した。生成物を95℃で水から析出させ、同時にBCMを取出した。生成物を真空オーブン中、115℃で乾燥した。該手順により1002gの生成物を得た。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

HIPSおよびABS配合物
【0149】
調合、射出成形およびCLASP物質が配合されたHIPSおよびABSの試験の一般的な手順
HIPS
【0150】
押出前に、HIPS樹脂および難燃剤、それに酸化アンチモンを、タンブルミキサを使用して、プラスチック袋中で約10分間混合した。調合は、Werner&PfleidererZSK30 2軸押出機を用い、175rpmで行った。供給速度は8kg/時間であった。温度プロファイルは、175−175−190−215−215℃であった。中には、供給口でこう着が起こるのを防ぐため、第1ゾーン温度を125〜150℃に下げることもあった。もし少しでも存在するとすれば、いかなる揮発分も捕捉するために
トラップを使用した。押出されたストランドを、先ず氷水浴に通して冷却し、次いでオンラインでペレット化した。全ての配合物をBattenfeld BA350CD射出成形機で射出成形した。サンプルの殆どの温度プロファイルは、195−195−205℃であった。ある場合は、190℃のより低い供給ゾーン温度を使用することもあった。モールド温度は40℃であった。
ABS
【0151】
押出前に、ABS樹脂、難燃剤、酸化アンチモンおよび抗酸化剤を、タンブルミキサを使用して、プラスチック袋中で約10分間混合した。調合は、Werner&PfleidererZSK30 2軸押出機を用い、175rpmで行った。供給速度は8kg/時間であった。温度プロファイルは、190−210−210−220−220℃であった。中には、供給口でこう着が起こるのを防ぐため、第1ゾーン温度を125〜150℃に下げることもあった。もし少しでも存在するとすれば、いかなる揮発分も捕捉するためにトラップを使用した。押出されたストランドを、先ず氷水浴に通して冷却し、次いでオンラインでペレット化した。全ての配合物をBattenfeld BA350CD射出成形機で射出成形した。温度プロファイルは、204−216−221℃であった。モールド温度は40℃であった。
【0152】
以下のASTM標準試験法に従って、HIPSサンプルおよびABSサンプルの試験を行った。ビカット(ASTM D649);荷重下における熱変形温度(ASTM D648)1/8インチ(32mm)、264psiで;ノッチ付きアイゾット衝撃強さ(ASTM D256方法A);およびメルトフローインデックス(ASTM D1238手順A)、200℃/5kg。UL−94燃焼性試験は、1/8インチ(32mm)バーでおこなった。結果を表IIに報告する。
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
臭素化アニオン性連鎖移動芳香族ビニルポリマー(ACTVAP)を含む難燃性組成物であって、(i)少なくとも約72重量%の臭素を含み、かつ(ii)約1,000ppm(重量/重量)未満の熱的に不安定なBrを含み、ここで、重量%およびppmの値が、該組成物の全重量に対する値である組成物。
【請求項2】
窒素下、約280℃〜約380℃の温度で、TGAによる5重量%の減少を有する請求項1の組成物。
【請求項3】
臭素化ACTVAPが、全組成物重量の少なくとも約97重量%を構成する請求項1の組成物。
【請求項4】
組成物の全重量に対し25重量%未満の臭素化モノ付加物を含む請求項1の組成物。
【請求項5】
約1〜約8の範囲内の黄色度指数(ASTM D1925)をで有する請求項1の組成物。
【請求項6】
GPCにより、約1250〜約14,000ダルトンのMw、約1070〜約8,200ダルトンのMn、および約2.2未満のPDを得る請求項1の組成物。
【請求項7】
臭素化ACTVAPは、臭素化アニオン性連鎖移動スチレンポリマー(ACTSP)である請求項1の組成物。
【請求項8】
約290〜約380℃の温度で、5%の、TGAによる重量%減少を有する請求項7の組成物。
【請求項9】
臭素化ACTSPが、全組成物重量の少なくとも約97重量%を構成する請求項7の組成物。
【請求項10】
約1〜約8の黄色度指数(ASTM D1925)を有する請求項7の組成物。
【請求項11】
GPCにより、約1250〜約14,000ダルトンのMw、約1,070〜約8,200ダルトンのMn、および約2.2未満のPDを得る請求項7の組成物。
【請求項12】
難燃量の請求項1〜7の組成物を含むHIPS系配合物。
【請求項13】
難燃量の請求項1〜7の組成物を含むABS系配合物。
【請求項14】
さらに、相乗的な量の難燃性相乗剤を含む請求項12の配合物。
【請求項15】
さらに、相乗的な量の難燃性相乗剤を含む請求項13の配合物。
【請求項16】
臭素化アニオン性連鎖移動芳香族ビニルポリマー(ACTVAP)を含む難燃性組成物であって、(i)約35℃〜約165℃の範囲内のガラス転移温度(Tg)を有し、(ii)少なくとも約65重量%の臭素を含み、(iii)約1,000ppm(重量/重量)未満の熱的に不安定なBrを含み、ここで、重量%およびppmの値は、組成物の全重量に対する値である組成物。
【請求項17】
約75℃〜約135℃の範囲内のガラス転移温度(Tg)を有する請求項16の組成物

【請求項18】
約290℃〜約380℃の温度で、TGAによる5重量%の減少を有する請求項16の組成物。
【請求項19】
臭素化ACTVAPが、全組成物重量の少なくとも約97重量%を構成する請求項16の組成物。
【請求項20】
組成物の全重量に対し約25重量%未満の臭素化モノ付加物を含む請求項16の組成物。
【請求項21】
約1〜約8の範囲内の黄色度指数(ASTM D1925)を有する請求項16の組成物。
【請求項22】
GPCにより、約1,000〜約21,000ダルトンのMw、約850〜約18,500のMn、および約2.2未満のPDを得る請求項16の組成物。
【請求項23】
臭素化ACTVAPは、臭素化アニオン性連鎖移動スチレンポリマー(ACTSP)である請求項16の組成物。
【請求項24】
約70℃〜約160℃の範囲内のガラス転移温度を有する請求項23の組成物。
【請求項25】
約290℃〜約380℃の温度で、5%の、TGAによる重量%減少を有する請求項23の組成物。
【請求項26】
臭素化ACTSPが、全組成物重量の少なくとも約97重量%を構成する請求項23の組成物。
【請求項27】
約1〜約8の黄色度指数(ASTM D1925)を有する請求項23の組成物。
【請求項28】
GPCにより、約1,000〜約21,000ダルトンのMw、約850〜約18,500のMn、および約2.2未満のPDを得る請求項23の組成物。
【請求項29】
難燃量の請求項16または23の組成物を含むHIPS系配合物。
【請求項30】
難燃量の請求項16または23の組成物を含むABS系配合物。
【請求項31】
請求項1、7、16または23の組成物のいずれか1つ以上を含む熱可塑性製品。

【公表番号】特表2010−529264(P2010−529264A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511395(P2010−511395)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/066218
【国際公開番号】WO2008/154453
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】