説明

低刺激界面活性剤組成物およびそれを含む洗浄剤組成物

【課題】 より刺激性が低く、実用上十分に高くかつ素早い起泡とすすぎ時の素早い泡切れの界面活性剤を提供する。
【解決手段】 下記の成分Aおよび成分Bからなり、かつA/(A+B)の重量比が0.5以上0.9以下であることを特徴とする界面活性剤組成物。
(A)疎水基−連結基−親水基の結合構造を有し、疎水基が炭素数7〜9の炭化水素基である界面活性剤
(B)疎水基−連結基−親水基の結合構造を有し、連結基及び親水基は成分Aと同一でありかつ疎水基の炭素数が成分Aの疎水基の炭素数に1ないし連結基結合原子数を加算した炭素数である界面活性剤

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に低刺激であり、CMC(臨界ミセル濃度)以上の濃度において優れた起泡性を有すると同時に優れたすすぎ特性を有する界面活性剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の洗浄剤配合物は、ますます皮膚に対する低刺激性を求められている。
例えばラウリルサルフェートにオキシエチレン基を導入して得られるラウリルエーテルサルフェートは、蛋白変性試験などによればオキシエチレン基を有していないラウリルサルフェートに対して優位に低刺激であり、現在多数の洗浄剤組成物において広く使用されている。
【0003】
しかし、サルフェート系界面活性剤類を低刺激化するために挿入されるオキシアルキレン基の種類、量、連結方法、並びにその低刺激化効果には、限界があり、むしろカルボキシル基又は半極性基を親水基として有する界面活性剤の方が低刺激性の点からは有効である。
【0004】
例えば単にカルボキシル基が疎水基に結合して形成された石鹸が有利であるが、石鹸は界面活性を示すpH領域がアルカリサイドにあり、さらに、硬水中においてその界面活性が極端に劣化するなどの欠点を有している。
【0005】
これらの欠点を解消するために、カルボキシル基を親水基として有する界面活性剤の改良研究が続けられ、例えば親水基を、蛋白変性の少ないアミノ酸で構成された界面活性剤(特許文献1)、及びカルボベタイン類(特許文献2)、アミドアミン型界面活性剤(特許文献3)等が開発されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−2962号公報
【特許文献2】特開昭56−10156号公報
【特許文献3】特許第1492131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これら従来の界面活性剤は、親水基部分及びそれに結合する連結基部分の変更を行って界面活性剤の性能向上を目指して開発されたもので蛋白変性が小さいものであるが、尚不十分であった。
【0008】
より刺激性が低く、実用上十分に高い界面活性を有する界面活性剤の開発が熟望されている。
【0009】
更に洗浄液をすすぐ際、いつまでも残留感のある洗浄液は使用感の面からも経済的側面からも嫌われる傾向にあり、素早い起泡とすすぎ時の素早い泡切れも求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、低刺激性界面活性剤を開発するにあたり、界面活性剤が刺激を発現するためには皮脂膜、リン脂質膜等の油相膜を通過しているはずと考え、臨界充填パラメータ(以下CPPと略称する)値の小さい構造(疎水基が短く、分子断面積(分子占有面積)が大きい)の界面活性剤を試作検討してきた。しかし、CPP値の小さい構造は低刺激を実現できるが、界面活性を著しく下げる傾向にあり、低刺激で且つ優れた界面活性性能を実現することが出来なかった。
【0011】
その後、試作サンプルを混合して使用した場合、特定の比率で低刺激性を確保しながら、優れた界面活性を有する領域を発見し、それらの混合条件を精査したところ、固有界面活性剤の連結基構造と疎水基長を特定の関係量混合することにより、問題が解決することを見出した。
【0012】
即ち本発明は、
(1) 下記の成分Aおよび成分Bからなり、かつA/(A+B)の重量比が0.5以上0.9以下であることを特徴とする界面活性剤組成物。
(A)疎水基−連結基−親水基の結合構造を有し、疎水基が炭素数7〜9の炭化水素基である界面活性剤
(B)疎水基−連結基−親水基の結合構造を有し、連結基及び親水基は成分Aと同一でありかつ疎水基の炭素数=成分Aの疎水基の炭素数+連結基結合原子数である界面活性剤
(ただし、連結基は一般式(1)〜(3)
【0013】
【化1】

【0014】
[Rは水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシエチル基を示す。mは1〜3の整数であり、]で示され、連結基結合原子数とは疎水基と親水基を連結する連結基の原子数を意味する。)
【0015】
(2) 親水基が一般式(4)〜(8)
【0016】
【化2】

【0017】
[nは0又は1の整数を示し、Mは水素原子を含むカウンターイオンを示す。R、Rは水素原子又はカルボニル基、硫酸基、リン酸基若しくは水酸基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を示すが、同時に水素原子であることはない、R、R、Rは互いに独立にメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基を示す。]
で示される基である(1)に記載の界面活性剤組成物、
【0018】
(3) 連結基が式(9)
【0019】
【化3】

【0020】
で示され、親水基が一般式(10)
【0021】
【化4】

【0022】
[但し、R、Rは水素原子又は−CHCOOM基(Mは前記に同じ)を示し、同時に水素原子に成ることは無い。]
で示され、
成分Aの疎水基の炭素数が7〜9の界面活性剤であり、成分Bの疎水基の炭素数が11〜13の界面活性剤であることを特徴とする(1)または(2)に記載の界面活性剤組成物、
【0023】
(4) (1)ないし(3)のいずれか1項に記載の界面活性剤組成物を含むことを特徴とする洗浄剤組成物、
に関するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、特に希釈領域で低刺激であり、CMC以上の濃度において優れた起泡性を有すると同時に優れたすすぎ特性を有する界面活性剤組成物を得る事ができ、これを主剤とした洗浄剤は、低刺激且つ高起泡でありながらすすぎ性の優れた特徴を供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0027】
本発明は、疎水基−連結基−親水基の順で構成されている界面活性剤であって、疎水基の炭素数が7〜9である界面活性剤、すなわちCPPが小さい界面活性剤をA成分として選択し、Aと同じ構成で、連結基構造から特定される特定疎水基長の界面活性剤をB成分として選択し、AとBを特定のAが主剤となる比率で混合する特徴とするものである。
【0028】
本発明における疎水基、連結基、親水基に関して述べる。
疎水基は界面活性剤における炭化水素により構成された鎖であり、界面活性剤の水溶液自己組織化においては、水から逃げるように作用する界面活性剤の動力部に相当する。広義には不飽和結合の存在、水酸基の存在により無機性を有する疎水基を定義する場合もあるが、本発明における疎水基は単純な炭化水素鎖であり、有機概念図上も無機性値を有さない構造体に限る部分を指す。成分Bの疎水基の鎖長は、成分Aの疎水基の炭素数に後述する連結基結合原子数を足したものである。
【0029】
連結基は上記疎水基と後述親水基の間に存在して、アミド結合、エステル結合等の無機性を有する官能基を有する部分であり、以下の一般式(1)〜(3)で示される。
【0030】
【化5】

【0031】
[Rは水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシエチル基を示す。mは1〜3の整数である。]
この時この疎水基−連結基のみの構成では無機性が不足して水溶性を獲得できない。
【0032】
本発明における連結基結合原子数とは、疎水基と親水基を連結する連結基の原子数のことであり、たとえば一般式(1)〜(3)で示される連結基の連結結合原子数はm+2となる。
【0033】
親水基は無機性を有し、カルボン酸基、硫酸基、リン酸基などが代表として挙げられ多くは水溶液において電離している。
【0034】
本発明における親水基としては、一般式(4)〜(8)
【0035】
【化6】

【0036】
[nは0又は1の整数を示し、Mは水素原子を含むカウンターイオンを示す。R、Rは水素原子又はカルボニル基、硫酸基、リン酸基若しくは水酸基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を示すが、同時に水素原子であることはない、R、R、Rは互いに独立にメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基を示す。]
で示される基である。Mのカウンターイオンとしては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、トリエタノールアミン等のアミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸を挙げることができる。
【0037】
親水基の形状、種類、pHにより、界面活性剤の分子占有面積が変化するが好ましくは35Å以上であることが好ましい。
【0038】
本発明における成分Aに関して述べる。
本発明の成分Aは疎水基が炭素数7〜9の炭化水素基である疎水基−連結基−親水基の順で構成されている界面活性剤である。通常洗浄剤に用いられる界面活性剤は疎水基の部分がC1123−である物が多く、常用される界面活性剤は室温下では最も起泡力が強い等の性質が発現される。本発明の成分Aは通常用いられる界面活性剤と比して、メチレンが2〜4個分疎水基が短い界面活性剤であり、すすぎ易いという特性を持つ反面単独では起泡量、泡質に問題がありこれを主剤として使用するのは困難である。
【0039】
本発明における成分Bに関して述べる。
【0040】
成分Bは成分Aと同じ構成の疎水基−連結基−親水基の順で構成され、連結基と親水基は成分Aと同一の界面活性剤であるが、疎水基の炭素数の長さが成分Aより最低メチレン1個分長く、その最大長は成分Aの疎水基長+連結基の大きさにより特定される長さであることを特徴とする。
【0041】
連結基の大きさは本発明においては連結基結合原子数として記述される。連結基結合原子数は、疎水基につながった連結基原子から親水基までに何個の原子が存在するかを数えることにより決定される。
【0042】
本発明効果の発現理由に関しては明らかでは無いが、現段階で得られた情報を元に以下の様な現象が起きているのではないかと推察している。
図1の上図は、疎水基長9、連結基結合原子数3の本発明のA成分が気液界面に並んでいる状態予想図示す。
【0043】
本発明A成分は疎水基長が7〜9で市場に出回る界面活性剤に比較してCPPが小さい界面活性剤(メチレン2〜4個分程短く、親水基による分子占有面積も大きい界面活性剤)を選択しているので、2分子間の疎水基同士の相互作用が弱く、例えば気泡が破泡し易い状況(すすぎ易い、泡安定性に劣る)にある。
【0044】
図1の下図は本発明のB成分を更に加えた界面状態の予想図である。最大限の疎水結合性を得(疎水基の密着性が高まる状態)、連結基が疎水基と親水基の間に挿入され、界面での疎水基のパッキング効率が上がり、界面張力をはじめとするA成分或いはB成分単独では実現できない様々な界面現象を実現することが出来ると考えている。
【0045】
図1の下図の様なパッキングに関しては、本発明者の検討によれば、界面活性剤に無機性と有機性を併せ持つ連結基を所持していることが重要であり、効果的な成分Bの疎水基長は連結基の形状・大きさに影響を受けることを見出した。
【0046】
本発明のB成分の疎水基長が成分Aの疎水基炭素数+連結基結合原子数(この場合9+3=12)を超えると、連結基による図1下図の安定構造を得るメリットが貰えず、泡質に影響が出てくる。またB成分の疎水基長が成分Aの疎水基炭素数7以下の場合、起泡に安定な疎水基の安定化を得るメリットを失いやはり起泡性能が悪化すると推定している。
【0047】
本発明の範囲にある界面活性剤の組み合わせにおいては、
(1)CMC以上で起泡初期段階でA成分が気液界面集合、次いでB成分集合が発生し安定性の良い高起泡実現し、泡質がクリーミィーな性質を帯びる
(2)CMC以上で前述の効果により単位面積あたりの界面活性剤濃度が高まり、界面活性が上昇する
(3)溶液がすすぎ時CMC以下に希釈されると全界面活性剤が自身分子占有面積で広がるので泡がもろくなり破泡が早い→すすぎ性に優れる
(4)本発明の単体では比較的大きな親水基と短めの疎水基なので油性膜を通過するのが不利であり低刺激である
等の特性が発現する。
【0048】
また上記モデルの推定ではなく、実務的にCPPが大きな界面活性剤は増粘が困難な性質も有するが、成分Bの配合によって粘度形成が容易になる等の性質を有する。
本件発明の好ましい界面活性剤に関して述べる。
【0049】
CPPが大きな界面活性剤の一例として、親水基が窒素の位置でブランチしているアミドアミン型界面活性剤について説明する。この構造の界面活性剤で原料脂肪酸にヤシ脂肪酸(疎水基長約11)を用いたものは川研ファインケミカル株式会社にてソフタゾリンCLとして市場に流通している。
【0050】
すなわち、連結基が一般式(9)
【0051】
【化7】

【0052】
(連結基結合原子数:4)
で示され、親水基が一般式(10)
【0053】
【化8】

【0054】
[但し、R、Rは水素原子乃至は−CHCOOM基(Mは前記に同じ)を示し、同時に水素原子に成ることは無い。ただしMは水素原子を含むカウンターイオンである。]
で構成される界面活性剤が、親水基が窒素の位置でブランチして、大きな分子断面積(分子占有面積)を持ち比較的大きなCPPを有する為、本件発明の効果が発現しやすく好ましい。
【0055】
上記の好ましい界面活性剤は、以下の一般式(11)
【0056】
【化9】

【0057】
(ただし、R、Rは前記に同じであり、Rは成分Aにおいては、炭素数7〜9の炭化水素基であり、成分Bにおいては炭素数11〜13の炭化水素基である。)
で示すことができる。
【0058】
上述の好ましい界面活性剤組成物のA成分に関しては、カプリン酸を原料として、特許文献3(特許第1492131号)実施例7と同等の方法で製造することが出来る。
尚、特許文献3の製造方法は、中間体であるイミダゾリン環の開環と4級化の競合反応があり、約50%は、一般式(12)で示される構造と成る。一般式(12)で示される物質も連結基結合原子数は4である。
【0059】
【化10】

【0060】
(ただし、式中RはA成分合成時はC7〜9アルキル基、B成分合成時はC11〜13アルキル基を示し、Mは水素原子を含むカウンターイオンを示す。カウンターイオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、トリエタノールアミン等のアミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸を挙げることができる。)
【0061】
B成分はC11〜C13の脂肪酸、例えばラウリン酸を原料として、前述した成分Aと同等の方法で製造することが出来る。
【0062】
このようにして得られたA成分とB成分をA/(A+B)の重量比が0.5以上0.9以下の割合で混合することにより、本件発明界面活性剤組成物を得る。
【0063】
本発明界面活性剤組成物は上述の様に製造した成分A及び成分Bを混合して完成させるが、両者の混合において、A/(A+B)が0.5未満であると、優れた低刺激性、優れたすすぎ特性を発現できず、A/(A+B)が0.9より大きいと、起泡性の改善性が充分でなく泡安定性が悪くなり洗浄剤組成物として満足のいく性能が出ない等の問題が発生し好ましくない。
【0064】
本件発明の界面活性剤組成物を、洗浄剤組成物に配合する場合、洗浄剤組成物の総界面活性剤量(重量)の1/3以上であることが事が好ましく、1/2以上であることがより好ましい。
【0065】
本発明界面活性剤組成物が、1/3未満では、刺激緩和効果や本発明の特徴的な起泡特性が得られずこのましくない。
【0066】
洗浄剤に用いられる界面活性剤総量とは、アニオン性界面活性剤、本発明短界面活性剤組成物を除く両性界面活性剤、双性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、半極性界面活性剤から構成され、洗浄剤の材形により変化する。液体洗浄剤の場合は通常0.1%〜40%程度である。
【0067】
洗浄剤組成物として併用し得るアニオン性界面活性剤としては、
脂肪酸セッケン:セッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ヤシカリセッケン等、
高級アルキル硫酸エステル塩:ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等、
アルキルエーテル硫酸エステル塩:POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等、
N−アシルアミノ酸塩:ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイル−β−アラニンナトリウム、ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジエタノールアミン、ヤシ脂肪酸シルクアミノ酸カリウム、ラウロイルアラニンナトリウム塩等、
高級脂肪酸アミドスルホン酸塩:N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム等、
リン酸エステル塩:POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸、POEラウリルアミドエーテルリン酸ナトリウム等、
スルホコハク酸塩:ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等、
アルキルベンゼンスルホン酸塩:リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等、
高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩:硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等、
硫酸化油:ロート油等、
α−オレフィンスルホン酸塩、
高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、
二級アルコール硫酸エステル塩、
高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、
ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、
カゼインナトリウム
などを挙げることができる。
【0068】
洗浄剤組成物として併用し得るカチオン性界面活性剤としては、
アルキルトリメチルアンモニウム塩:塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム等、
ジアルキルジメチルアンモニウム塩:塩化ジステアリルジメチルアンモニウム塩等、
アルキルピリジウム塩:塩化セチルピリジウム等、
アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、
塩化ベンゼトニウム、
塩化ベンザルコニウム
などを挙げることができる。
【0069】
洗浄剤組成物として併用し得る双性界面活性剤としては、
アミドスルホベタイン型両性界面活性剤:ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等、
アルキルスルホベタイン型両性界面活性剤等
があげられる。
【0070】
洗浄剤組成物として併用し得る両性界面活性剤としては、
アミドアミン系両性界面活性剤:2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N′−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等、
アミド酢酸ベタイン型両性界面活性剤:ヤシ脂肪酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン等、
アルキルアミノ酸型両性界面活性剤:N−ラウリル−β−アラニン、POEN−ラウリル−β−アラニン、N−ラウリル−イミノジ酢酸等、
アルキル酢酸ベタイン型両性界面活性剤、
などが挙げられる。
【0071】
洗浄剤組成物として併用し得る半極性界面活性剤としては、
たとえばラウリルトリメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルアミンオキシド等が挙げられる。
【0072】
洗浄剤組成物として併用し得る非イオン界面活性剤としては、
グリセリン脂肪酸エステル類:モノステアリン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル等、
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類:モノステアリン酸、POEグリセリルモノオレイン酸POEグリセリル等、
ポリグリセリン脂肪酸エステル類:たとえばモノステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル等、
ソルビタン脂肪酸エステル類:モノラウリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン等、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類:モノヤシ脂肪酸POEソルビタン、トリステアリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン等、
ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル塩:モノラウリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビット等、
ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類:モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール等、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル類:POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル等、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類:POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル等、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類:POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POE分鎖オクチルフェニルエーテル等、
ポリオキシエチレンアルキルアミン類:POEステアリルアミン、POEオレイルアミン等、
脂肪酸アルカノールアミド類:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド等、
ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド類:POEラウリン酸モノエタノールアミド、POEヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、POE牛脂脂肪酸モノエタノールアミド、POPラウリン酸モノイソプロパノールアミド、POEPOP分枝脂肪酸モノエタノールアミド等、
一般式(13)又は(14)
【0073】
【化11】

【0074】
[但し、上一般式(13)及び(14)において、R10は炭素数6〜20のアルキル基を表し、R11、R12及びR13、R14はそれぞれ互いに独立に、水素原子又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を表し、pは0〜3の整数を表す。]
で示される化合物、
アセチレングリコール、
POEアセチレングリコール、
POEラノリン、
POEラノリンアルコール、
POEヒマシ油、
POE硬化ヒマシ油、
POEフィトステロール、
POEコレスタノール、及び、
POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物などが挙げられる。
【0075】
また、洗浄剤組成物には、保湿剤、水溶性高分子を併用してもよい。
【0076】
洗浄剤組成物として併用し得る保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸及びその塩、などが挙げられる。
【0077】
併用し得る水溶性高分子としては、グァーガム、クイーンシード、ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース及び塩、アルギン塩、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ベントナイト、キチン・キトサン誘導体、ヒアルロン酸及び塩、コラーゲン及びその誘導体などが挙げられる。
【0078】
本発明の界面活性剤組成物は、洗浄剤組成物を製造するに際して、本件発明の効果を損なわない範囲で、動物、植物、魚貝類、微生物由来の抽出物、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、被膜剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、低級アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、及び海洋深層水を必要に応じて一種乃至は2種以上用いてもよい。
【0079】
併用する動物、植物、魚貝類、微生物由来の抽出物は、たとえば、茶エキス、アロエエキス、イチョウエキス、センブリエキス、ヨモギエキス、ニンニクエキス、オウゴンエキス、ローズマリーエキス、ヘチマエキス、胎盤抽出物、乳酸菌培養抽出物、海草エキス等の抽出物を併用することができる。
【0080】
併用し得る粉末成分としては、無機粉末、例えばタルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーキュムライト、炭酸マグネシウム、珪酸ジルコニウム、珪酸アルミニウム、珪酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸亜鉛、珪酸マグネシウム、珪酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、燐酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、活性炭、薬用炭、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、窒化ホウ素等があげられ、有機粉末としては例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末が挙げられる。
【0081】
併用し得る液体油脂としては、アボガド油、ツバキ油、グレープシード油、タートル油、マカディミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ヒマワリ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリンが挙げられる。
【0082】
併用し得る固体油脂としては、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核脂、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられ、またロウ類としては、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水添ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0083】
併用し得る炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0084】
併用し得る高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
【0085】
併用し得る合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸−2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0086】
併用し得るシリコーン類としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、高重合度メチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサンテトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。
【0087】
併用し得る増粘剤としては、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアマド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアマド、ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドなどが挙げられる。
【0088】
併用し得る被膜剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カチオン化セルロース、カチオン化セルロース、シリコーンなどが挙げられる。
併用し得る紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸及び塩、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチルなどのパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸エチル、パラメトキシ桂皮酸イソプロピル、パラメトキシ桂皮酸オクチル、メトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニルなどのサリチル酸誘導体、ウロカニン酸及び誘導体、4−tert−ブチル−4′−メトキシジベンゾイルメタン、2−(ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチルなどが挙げられる。
【0089】
併用し得る消炎剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、アラントイン、酢酸ヒドロコーチゾン、アズレンなどが挙げられる。
【0090】
併用し得る金属封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸及びナトリウム塩、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0091】
併用し得る低級アルコールとしては、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。
【0092】
併用し得る糖類としては、ブドウ糖、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルデンプン、シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0093】
併用し得るアミノ酸類としては、アスパラギン酸及び塩、アラニン、アルギニン、リジン及び塩、グリシン、シスチン、スレオニン、セリン、メチオニン、タウリンなどが挙げられる。
【0094】
併用し得る有機アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
【0095】
併用し得る合成樹脂エマルジョンとしては、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0096】
併用し得るpH調整剤としては、クエン酸、塩酸、硫酸、リン酸、水酸化ナトリウム、アンモニア、などが挙げられる。
【0097】
併用し得る皮膚栄養剤としては、ビタミンA,B1,B2,B6,E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチンなどが挙げられる。
【0098】
併用し得る酸化防止剤としては、ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類などが挙げられる。酸化防止助剤としては、アスコルビン酸、フィチン酸、ケファリン、マレイン酸などが挙げられるが配合成分はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0099】
本発明を、下記実施例によりさらに説明する。
I.配合成分の調製
製造例1 成分A 式(11)混合物の製造
【0100】
【化12】

【0101】
1000mL四つ口フラスコにアミノエチルエタノールアミンAEEA(3.6mol, カプリン酸(C10酸)に対して1.3等量)、カプリン酸(2.7mol)、蒸留水7gに溶解させた亜リン酸(0.1mol)を仕込み、150℃、470mmHgで2時間、及び、180〜190℃、110mmHgで2.5時間反応させた。その後、180〜190℃、10mm Hgで40分間の脱アミンを行い合成中間体であるC10イミダゾリンを得た。
【0102】
【化13】

【0103】
蒸留水、モノクロル酢酸(4.7mol)を3000mLの四つ口フラスコに仕込み、35℃以下で先に取り上げたC10イミダゾリン(2.4mol)を加えた。次に、48%NaOH(3.6mol)を38℃以下で1時間かけて滴下した。その後、70℃まで昇温し、48%NaOH(5.4mol)を1時間かけて滴下して、3時間熟成させた。熟成終了後、冷却し、濃塩酸でpHを7.0に調整した。最後に蒸留水で濃度調整を行い、反応を終了した。
【0104】
製造例2 成分A
カプリン酸(2.7mol)をカプリル酸(C8酸)(2.7mol)に変更した以外は全て製造例1と同様に製造した。
【0105】
製造例3 成分B
カプリン酸(2.7mol)をラウリン酸(C12酸)(2.7mol)に変更した以外は全て製造例1と同様に製造した。
【0106】
製造例4 成分B
カプリン酸(2.7mol)をミリスチン酸(C14酸)(2.7mol)に変更した以外は全て製造例1と同様に製造した。
【0107】
製造例5 比較例用
カプリン酸(2.7mol)をパルミチン酸(C16酸)(2.7mol)に変更した以外は全て製造例1と同様に製造した。
【0108】
製造例6 比較例用
カプリン酸(2.7mol)をカプロン酸(C6酸)(2.7mol)に変更した以外は全て製造例1と同様に製造した。
【0109】
II.性能評価
製造例1〜5で試作した一般式(11)形式の両性界面活性剤を各種混合して、下記の評価法に従い評価した。
【0110】
その結果を表3にまとめた。
【0111】
1. 起泡力・泡質試験法
pH=7.0、界面活性剤濃度15%において各種界面活性剤濃度を表2の割合で配合して簡易液体洗浄剤を試作して。モニター10名による毛束での洗髪官能評価を行った。
【0112】
各評価項目に関しては表1の判断基準で表3の比較例1を標準3点とした5段階相対評価で実施した。
【0113】
【表1】

【0114】
評価結果の平均点を算出し、算出された平均値が
4.0 以上の場合:非常に良好(◎)
4.0〜3.5の場合:良好(○)
3.5〜3.0の場合:普通(△)、
3.0 未満の場合:不良(×)
として行った
【0115】
2.皮膚一次刺激性試験
a) 被験試料の調整
表2の各サンプルを界面活性剤濃度5%水溶液になるように蒸留水で調整したものを皮膚一次刺激性試験用の試料とした。
【0116】
b) 皮膚一次刺激性試験試験方法
試験動物としてモルモット5匹を用い、除毛した側腹部の健常皮膚を投与部位とした。投与方法は、各投与試料をパッチテスト用絆創膏の布部に0.1 mL含浸させ、粘着性スポンジ絆創膏と粘着性伸縮包帯を用いて投与部位に24時間閉塞貼付した。なお、刺激性反応の観察は貼付除去3、24および48時間後にDraizeの判定基準に基づいて行った。その結果、試験期間中、一般状態に異常はみられなかった。
【0117】
c) 判定基準 : Draize
(1)紅斑と痂皮形成 評点
紅斑なし ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0
ごく軽度の紅斑(かすかに認められる程度) ・・・・・・・・・・ 1
明らかな紅斑 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
中等度から強い紅斑 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
深紅色の強い紅斑に軽い痂皮形成(傷害は深部に及ぶ)・・・・・・ 4

(2)浮腫形成 評点
浮腫なし ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0
ごく軽度の浮腫(かすかに認められる程度) ・・・・・・・・・・ 1
軽度の浮腫(周囲と明らかに区分可能) ・・・・・・・・・・・・ 2
中等度の浮腫(1mm程盛り上がっている) ・・・・・・・・・・ 3
強い浮腫(1mm以上盛り上がり、周囲にも広がる) ・・・・・・ 4
【0118】
d) 皮膚一次刺激性インデックス(P.C.I.)と表中の評価基準
以下の手続きでP.C.I.(皮膚一次刺激性インデックス:Primary Cutaneous Irritation Index)を求めた。
紅斑・痂皮の点数、及び浮腫の平均を求める。
=(3時間、24時間、48時間の点数の合計)/15(5検体×3測定値)
各々の平均点より
P.C.I.=(紅斑・痂皮の点数の平均値)+(浮腫の平均値)を計算する。
算出したP.C.I.評価点を表2の評価に当てはめて表3の評価欄を決定した。
【0119】
【表2】

【0120】
【表3】

【0121】
表3より明らかなように、本件発明の範囲内にある界面活性剤組成物は高い起泡性を持ちながら同時にすすぎ易いという官能評価を有する。また泡質はクリーミィーになり洗髪時のぬるつきが少ないということが分かる。
本発明界面活性剤組成物を用いた液体洗浄剤組成物の処方例を示す。
特に特記事項が無い限り、純分換算の重量%表記である。
【0122】
実施例7
本発明組成物を使用したパール状シャンプー
N−ラウロイルアラニンアルギニン塩 5.0
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン塩 4.0
ビスコセーフLMPE (注1) 3.5
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 1.0
製造例1の両性界面活性剤 成分A 7.0
製造例3の両性界面活性剤 成分B 5.0
ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸イソプロパノールアミド 3.0
カチオン化セルロース 0.1
カチオン化グァーガム 0.1
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
クエン酸 pH6.5とする量
メチルパラベン 0.5
ピロクトンオラミン 0.3
グリチルリチン酸ジカリウム 0.3
EDTA 0.1
塩化ナトリウム 0.5
香料 0.3
精製水 100%とする量
注1: 川研ファインケミカル社製
【0123】
実施例8
本発明組成物を使用した透明シャンプー
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(3E.O.) 5.0
製造例1の両性界面活性剤 成分A 7.0
製造例3の両性界面活性剤 成分B 5.0
ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン 1.0
ラウロイルサルコシンナトリウム 3.5
ラウロイルアミドアミンオキシド 1.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
ベヘニルアルコール 1.0
プロピレングリコール 3.0
ε−ポリリジン 0.5
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル 0.1
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
香料 0.1
リンゴ酸 pH6.5とする量
精製水 100%とする量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分Aおよび成分Bからなり、かつA/(A+B)の重量比が0.5以上0.9以下であることを特徴とする界面活性剤組成物。
(A)疎水基−連結基−親水基の結合構造を有し、疎水基が炭素数7〜9の炭化水素基である界面活性剤
(B)疎水基−連結基−親水基の結合構造を有し、連結基及び親水基は成分Aと同一でありかつ疎水基の炭素数が成分Aの疎水基の炭素数に1ないし連結基結合原子数を加算した炭素数である界面活性剤
(ただし、連結基は一般式(1)〜(3)
【化1】

[Rは水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシエチル基を示す。mは1〜3の整数であり、]で示され、連結基結合原子数とは疎水基と親水基を連結する連結基の原子数を意味する。)
【請求項2】
親水基が一般式(4)〜(8)
【化2】

[nは0又は1の整数を示し、Mは水素原子を含むカウンターイオンを示す。R、Rは水素原子又はカルボニル基、硫酸基、リン酸基若しくは水酸基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を示すが、同時に水素原子であることはない、R、R、Rは互いに独立にメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基を示す。]
で示される基である請求項1記載の界面活性剤組成物。
【請求項3】
連結基が式(9)
【化3】

で示され、親水基が一般式(10)
【化4】

[但し、R、Rは水素原子又は−CHCOOM基(Mは前記に同じ)を示し、同時に水素原子に成ることは無い。]
で示され、
成分Aの疎水基の炭素数が7〜9の界面活性剤であり、成分Bの疎水基の炭素数が11〜13の界面活性剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の界面活性剤組成物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の界面活性剤組成物を含むことを特徴とする洗浄剤組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2011−79873(P2011−79873A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230662(P2009−230662)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(390003001)川研ファインケミカル株式会社 (48)
【Fターム(参考)】