説明

低屈折率組成物、耐摩耗性反射防止コーティングおよび耐摩耗性反射防止コーティングを形成する方法

(i)少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー;(ii)多オレフィン性架橋剤;(iii)フリーラジカル重合開始剤;(iv)(iv−a)複数のナノシリカ粒子、ならびに(iv−b)炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方であって、有機酸および低級アルキルアルコールの存在下に、オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約3〜約9モルの水をオキシシランと接触させることにより形成される加水分解物および縮合物の少なくとも一方を含むナノシリカ複合体;の反応生成物を含む低屈折率組成物が提供されている。本発明は、これらの低屈折率組成物から形成された耐摩耗性反射防止コーティング、および、これらの低屈折率組成物から光学ディスプレイ基材用の耐摩耗性反射防止コーティングを形成する方法をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低屈折率組成物、これらの低屈折率組成物から形成された耐摩耗性反射防止コーティング、および光学ディスプレイ基材用の耐摩耗性反射防止コーティングをこれらの低屈折率組成物から形成する方法の分野に関する。低屈折率組成物は、少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー、多オレフィン性架橋剤、フリーラジカル重合開始剤、ならびに、ナノシリカ粒子と炭素−炭素二重結合を有するオキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物とを含むナノシリカ複合体の反応生成物である。
【背景技術】
【0002】
光学材料は、それらの屈折率によって特徴付けられる。光が1つの物質から異なる指数の他の物質に移動する際にはいつでも、いくらかの光が反射される。望ましくない反射は、実質的に、光学物品の表面上に反射防止コーティングを特定の厚さで設けることにより低減させることが可能である。屈折率nを有する光学物品について、最大の有効性をもたらすために、反射防止コーティングは、入射光の波長の約4分の1の光学的厚さ(物理的厚さにそれ自体の屈折率を乗じたもの)を有するべきであると共に、nの平方根の屈折率を有するべきである。ほとんどの光学物品は1.4〜1.6の範囲の屈折率を有する。
【0003】
低屈折率反射防止コーティングは、フッ素化ポリマーから調製することが可能であることが公知である。フッ素化ポリマーの屈折率は、ポリマー中のフッ素の量に関連する。ポリマー中のフッ素含有量を増加させるとポリマーの屈折率が低下する。フッ素化ポリマーを含む反射防止コーティングにかなりの産業的注目が向けられている。
【0004】
有機溶剤中に溶解性である、低結晶性を有するフルオロポリマーは、典型的には、低耐擦過性、ならびにフルオロポリマーコーティングとプラスチックおよびガラスなどの下位の光学ディスプレイ基材との間の低い界面接着性などの望ましくない機械特性を有するコーティングを形成する。種々の改良が、これらの耐擦過性および基材に対する接着性を改良するために調査されてきている。
【0005】
低い可視光反射率、光学ディスプレイ基材に対する良好な接着性および良好な耐擦過性を有する反射防止コーティングに対する継続的な要求が光学ディスプレイ分野における産業において存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、低い可視光反射率、光学ディスプレイ基材フィルムに対する優れた接着性および優れた耐擦過性を有する反射防止コーティングの形成に有用な低屈折率組成物を提供することによりこれらの要件を満たす。
【0007】
簡潔に規定されるところ、本発明の一態様によれば、(i)少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー;(ii)多オレフィン性架橋剤;(iii)フリーラジカル重合開始剤;(iv)(iv−a)複数のナノシリカ粒子、ならびに、(iv−b)炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方であって、有機酸および低級アルキルアルコールの存在下に、オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約3〜約9モルの水をオキシシランと接触させることにより形成される加水分解物および縮合物の少なくとも一方を含むナノシリカ複合体;の反応生成物を含む、低屈折率組成物が提供されている。
【0008】
本発明の他の態様によれば、方法1(本明細書に教示されている)による擦過の後に、方法4(本明細書に教示されている)により測定される約10以下の擦傷割合を有する耐摩耗性反射防止コーティングを有する基材を含む反射防止フィルムが提供されており、耐摩耗性反射防止コーティングは、(i)少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー;(ii)多オレフィン性架橋剤;(iii)フリーラジカル重合開始剤;ならびに、(iv):(iv−a)反射防止コーティングの少なくとも約10体積パーセントを構成する複数の中実ナノシリカ粒子;ならびに(iv−b)炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方であって、有機酸および低級アルキルアルコールの存在下に、オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約3〜約9モルの水をオキシシランと接触させることにより形成される加水分解物および縮合物の少なくとも一方を含むナノシリカ複合体;の反応生成物を含み、ここで、ナノシリカ複合体は、反応生成物の形成前に、少なくとも約25℃の温度で少なくとも約1時間熟成される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、耐摩耗性反射防止コーティングであって、方法1(本明細書に教示されている)による擦過の後に、方法4(本明細書に教示されている)により測定される約10以下の擦傷割合を有する耐摩耗性反射防止コーティングを基材上に形成するための方法が提供されており、これは:(i)(i−a)炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方であって、有機酸および低級アルキルアルコールの存在下に、オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約3〜約9モルの水をオキシシランと接触させることにより形成される加水分解物および縮合物の少なくとも一方と、(i−b)複数の中実ナノシリカ粒子とを組み合わせてナノシリカ複合体前駆体を形成する工程であって、前記複数の中実ナノシリカ粒子が耐摩耗性反射防止コーティングの少なくとも約10体積パーセントを構成している工程;(ii)ナノシリカ複合体前駆体を少なくとも約25℃の温度で少なくとも約1時間熟成させてナノシリカ複合体を形成する工程;(iii)ナノシリカ複合体、少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー、多オレフィン性架橋剤およびフリーラジカル重合開始剤を組み合わせて未硬化組成物を形成する工程;(iv)未硬化組成物のコーティングを基材上に適用して基材上の未硬化組成物コーティングを形成する工程;ならびに、(v)未硬化組成物コーティングを硬化し、これにより、耐摩耗性反射防止コーティングを基材上に形成する工程を含む。
【0010】
本発明がその好ましい実施形態に関連して記載されることとなる一方で、本発明をその実施形態に限定することは意図されていないことは理解されるであろう。それどころか、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の思想および範囲内に包含されるところ、すべての代替、改良および等価物が網羅されることが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本低屈折率組成物は、(i)少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー;(ii)多オレフィン性架橋剤;(iii)フリーラジカル重合開始剤;(iv)(iv−a)複数のナノシリカ粒子、ならびに(iv−b)炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方であって、有機酸の存在下に、オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約3〜約9モルの水をオキシシランと接触させることにより形成される加水分解物および縮合物の少なくとも一方を含むナノシリカ複合体;を含む未硬化組成物の反応生成物を含む。
【0012】
本明細書において、未硬化組成物という用語は、硬化されて本低屈折率組成物を形成する成分を含む混合物を指す。未硬化組成物の成分としては、少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー(本明細書においては、代わりに「フルオロエラストマー」とも称される)、多オレフィン性架橋剤(本明細書において、代わりに「架橋剤」とも称される)、フリーラジカル重合開始剤(本明細書においては、代わりに「開始剤」とも称される)、ならびに、ナノシリカ粒子(本明細書においては、代わりに「ナノシリカ」とも称される)と炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方(本明細書においては、代わりに「オキシシランヒドロシレートおよび/または縮合物」とも称される)とを含むナノシリカ複合体が挙げられる。未硬化組成物は、取り扱い性およびコーティングを促進させる極性非プロトン性溶剤などの他の成分をさらに含むことが可能である。
【0013】
一実施形態において、本低屈折率組成物は、約1.20〜約1.49の屈折率を有する。一実施形態において、本低屈折率組成物は、約1.30〜約1.44の屈折率を有する。
【0014】
未硬化組成物の1種の成分は、少なくとも1種の硬化部位を有するフルオロエラストマーである。実用性のある硬化部位の例としては、臭素、ヨウ素およびエテニルが挙げられる。フルオロエラストマーは少なくとも約65重量%フッ素、好ましくは少なくとも約70重量%フッ素を含有し、コポリマー主鎖中に炭素−炭素結合を有することを特徴とする実質的に非晶質のコポリマーである。フルオロエラストマーは2つ以上のタイプのモノマーに由来する繰返し単位を含み、三次元的ネットワークを形成する架橋を許容する硬化部位を有する。第1のモノマータイプは、結晶化する傾向を有する直鎖状のフルオロエラストマー鎖セグメントをもたらす。嵩高い基を有する第2のモノマータイプは、このような結晶化傾向を断絶させる間隔でフルオロエラストマー鎖に混入され、実質的に非晶質のエラストマーをもたらす。直鎖セグメント用に実用的なモノマーは、嵩高い置換基を有さないものであり、:フッ化ビニリデン(VDF)、CH=CF;テトラフルオロエチレン(TFE)、CF=CF;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、CF=CFCl;およびエチレン(E)、CH=CHが挙げられる。結晶性を阻害するために有用な嵩高い基を有するモノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、CF=CFCF;1−ヒドロペンタフルオロプロピレン、CHF=CFCF;2−ヒドロペンタフルオロプロピレン、CF=CHCF;パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(例えば、パーフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、CF=CFOCF);およびプロピレン(P)、CH=CHCHが挙げられる。フルオロエラストマーは、一般に、A.ムーア(A.Moore)によって、「フルオロエラストマーハンドブック:決定的ユーザーズガイドおよびデーターブック(Fluoroelastomers Handbook: The Definitive User’s Guide and Databook)」、ウィリアムアンドリューパブリッシング(William Andrew Publishing)、ISBN0−8155−1517−0(2006年)に記載されている。
【0015】
一実施形態においては、フルオロエラストマーは、臭素、ヨウ素(ハロゲン)およびエテニルからなる群から選択される少なくとも1種の硬化部位を有する。この硬化部位は、フルオロエラストマー主鎖上に位置されているか、またはこれに結合している基上に位置されていることが可能であり、この場合には、フルオロエラストマーを形成する重合における硬化部位モノマーの包含で誘導される。ハロゲン化硬化部位はまたフルオロエラストマー鎖末端に位置されていることも可能であり、この事例においては、フルオロエラストマーを形成する重合におけるハロゲン化連鎖移動剤の使用により生起される。硬化部位を含有するフルオロエラストマーは、硬化性(例えば熱硬化または光化学硬化)としても称される反応性条件に供され、これが、未硬化組成物中のフルオロエラストマーと他の成分との間での共有結合(すなわち架橋)の形成をもたらす。フルオロエラストマー主鎖上に位置するまたはこれに結合している基上に位置する硬化部位の形成をもたらす硬化部位モノマーは、一般に、臭素化アルケンおよび臭素化不飽和エーテル(臭素硬化部位をもたらす)、ヨウ化アルケンおよびヨウ化不飽和エーテル(ヨウ素硬化部位をもたらす)、ならびに他の炭素−炭素不飽和または炭素−酸素不飽和と共役していない少なくとも1種のエテニル官能基を含有するジエン(エテニル硬化部位をもたらす)を含む。フルオロエラストマーを形成する重合の最中での連鎖移動剤の使用の結果、さらに、またはあるいは、ヨウ素原子、臭素原子またはこれらの混合物がフルオロエラストマー主鎖末端に存在していることが可能である。実用的なフルオロエラストマーは、一般に、フルオロエラストマーを含むモノマーの重量に基づいて約0.25重量%〜約1重量%の硬化部位、好ましくは約0.35重量%の硬化部位を含有する。
【0016】
臭素硬化部位を含有するフルオロエラストマーは、フルオロエラストマーを形成する重合の最中に臭素化硬化部位モノマーをフルオロエラストマーに共重合することにより得ることが可能である。臭素化硬化部位モノマーは、二重結合または分子中の他の箇所に結合した臭素を有する炭素−炭素不飽和を有し、H、FおよびOを含む他の元素を含有することが可能である。臭素化硬化部位モノマーの例としては、ブロモトリフルオロエチレン、臭化ビニル、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレン、パーフルオロアリルブロミド、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロブテン、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、4−ブロモ−1,1,3,3,4,4,−ヘキサフルオロブテン、4−ブロモ−3−クロロ−1,1,3,4,4−ペンタフルオロブテン、6−ブロモ−5,5,6,6−テトラフルオロヘキセン、4−ブロモパーフルオロ−1−ブテン、および3,3−ジフルオロアリルブロミドが挙げられる。さらなる例としては、2−ブロモ−パーフルオロエチルパーフルオロビニルエーテルなどの臭素化不飽和エーテル、ならびにCFBrCFOCF=CFなどのクラスBrCF(パーフルオロアルキレン)OCF=CFのフッ素化化合物、ならびに、CHOCF=CFBrおよびCFCHOCF=CFBrなどのクラスROCF=CFBrおよびROCBr=CFのフルオロビニルエーテル(式中Rは低級アルキル基またはフルオロアルキル基である)が挙げられる。
【0017】
ヨウ素硬化部位を含有するフルオロエラストマーは、フルオロエラストマーを形成する重合の最中にヨウ化硬化部位モノマーをフルオロエラストマーに共重合することにより得ることが可能である。ヨウ化硬化部位モノマーは、二重結合または分子中の他の箇所に結合したヨウ素を有する炭素−炭素不飽和を有し、H、Br、FおよびOを含む他の元素を含有することが可能である。ヨウ化硬化部位モノマーの例としては、ヨードエチレン、ヨードトリフルオロエチレン、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、3−クロロ−4−ヨード−3,4,4−トリフルオロブテン、2−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(ビニルオキシ)エタン、2−ヨード−1−(パーフルオロビニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヨード−1−(パーフルオロビニルオキシ)プロパン、2−ヨードエチルビニルエーテル、および3,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−ヨードペンテンが挙げられる。さらなる例としては、式CHR=CHZCHCHRIのオレフィン(式中、各Rは独立してHまたはCHであり、Zは、任意により1つ以上のエーテル酸素原子を含有する、直鎖もしくは分岐のC〜C18(パー)フルオロアルキレンラジカル、または(パー)フルオロポリオキシアルキレンラジカルである)が挙げられる。実用的なヨウ化硬化部位モノマーのさらなる例は、式I(CHCFCFOCF=CFおよびICHCFO[CF(CF)CFO]CF=CF(式中、n=1〜3)の不飽和エーテルである。
【0018】
エテニル硬化部位を含有するフルオロエラストマーは、フルオロエラストマーを形成する重合の最中にエテニル含有硬化部位モノマーをフルオロエラストマーに共重合することにより得られる。エテニル硬化部位モノマーは、他の炭素−炭素または炭素−酸素不飽和と共役していないエテニル官能基を有する炭素−炭素不飽和を有する。それ故、エテニル硬化部位は、少なくとも2つの点の炭素−炭素不飽和を有する非共役ジエンに由来することが可能であり、任意によりH、Br、FおよびOを含む他の元素を含有する。炭素−炭素不飽和の一方の点はフルオロエラストマー主鎖に組み込まれ(すなわち重合され)、他方の点はフルオロエラストマー主鎖に対する側基であり、反応性硬化(すなわち、架橋性)に利用可能である。エテニル硬化部位モノマーの例としては、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−オクタジエン等などの非共役ジエンおよびトリエンが挙げられる。
【0019】
硬化部位モノマーのうち、ブロモトリフルオロエチレン、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンおよび4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン−1が好ましい。
【0020】
一実施形態においては、フルオロエラストマーの重合の最中の臭素および/またはヨウ素(ハロゲン化)連鎖移動剤の使用の結果として、ハロゲン硬化部位がフルオロエラストマー主鎖末端に存在していることが可能である。このような連鎖移動剤としては、ハロゲンをポリマー鎖の一端または両端に結合させるハロゲン化化合物が挙げられる。実用的な連鎖移動剤の例としては、ヨウ化メチレン、1,4−ジヨードパーフルオロ−n−ブタン、1,6−ジヨード−3,3,4,4−テトラフルオロヘキサン、1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,6−ジヨードパーフルオロ−n−ヘキサン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,2−ジ(ヨードジフルオロメチル)パーフルオロシクロブタン、モノヨードパーフルオロエタン、モノヨードパーフルオロブタン、2−ヨード−1−ヒドロパーフルオロエタン、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、および1−ヨード−2−ブロモ−1,1−ジフルオロエタンが挙げられる。ヨウ素および臭素の両方を含有する連鎖移動剤が好ましい。
【0021】
硬化部位を含有するフルオロエラストマーは、フリーラジカル開始剤を利用する、不活性溶剤中の溶液中の、水性エマルジョンまたは水性懸濁液でのバルクでの適切なモノマー混合物の重合により調製することが可能である。この重合は、連続、バッチ、またはセミバッチプロセスで実施され得る。一般的な実用的な重合プロセスは、前述のムーア(Moore)、「フルオロエラストマーハンドブック(Fluoroelastomers Handbook)」において考察されている。一般的なフルオロエラストマー調製法は、米国特許第4,281,092号明細書;米国特許第3,682,872号明細書;米国特許第4,035,565号明細書;米国特許5,824,755号明細書;米国特許第5,789,509号明細書;米国特許第3,051,677号明細書;および米国特許第2,968,649号明細書に開示されている。
【0022】
硬化部位を含有するフルオロエラストマーの例としては、硬化部位モノマー、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよび、任意により、テトラフルオロエチレンのコポリマー;硬化部位モノマー、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンおよびクロロトリフルオロエチレンのコポリマー;硬化部位モノマー、フッ化ビニリデン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)および、任意により、テトラフルオロエチレンのコポリマー;硬化部位モノマー、テトラフルオロエチレン、プロピレンおよび、任意により、フッ化ビニリデンのコポリマー;ならびに硬化部位モノマー、テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、好ましくはパーフルオロ(メチルビニルエーテル)のコポリマーが挙げられる。フッ化ビニリデンに由来する重合単位を含有するフルオロエラストマーが好ましい。一実施形態においては、フルオロエラストマーは、硬化部位モノマー、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、およびテトラフルオロエチレンの共重合された単位を含む。
【0023】
Mooreによって、米国特許第4,694,045号明細書において開示されているものなどのエチレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)および臭素含有硬化部位モノマーを含むフルオロエラストマーが、本低屈折率組成物において実用的である。DuPont Performance Elastomers(DE,USA)から入手可能である、例えばViton(登録商標)GF−200Sといった、Viton(登録商標)GF−シリーズフルオロエラストマーもまた実用的である。
【0024】
未硬化組成物の他の成分は、少なくとも1種の多オレフィン性架橋剤である。「多オレフィン性」とは、互いに共役していない少なくとも2つの「炭素−炭素二重結合を含有することを意味する。
【0025】
多オレフィン性架橋剤は、硬化部位を含有するフルオロエラストマー100重量部当たり約1〜約25重量部(phr)、好ましくは約5〜約15phrの量で未硬化組成物中に存在する。実用的な多オレフィン性架橋剤としては、アクリル系(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)およびアリル系官能基を含有するものが挙げられる。
【0026】
アクリル系多オレフィン性架橋剤としては、式R(OC(=O)CR’=CH(式中:Rは直鎖もしくは分岐アルキレン、直鎖または分岐オキシアルキレン、芳香族、芳香族エーテル、または複素環であり;R’はHまたはCHであり;およびnは2〜8の整数である)により表されるものが挙げられる。アクリル系多オレフィン性架橋剤を調製することが可能である代表的なポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパンおよびジペンタエリスリトールが挙げられる。代表的なアクリル系多オレフィン性架橋剤としては、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビストリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」という記載は、アクリレートおよびメタクリレートの両方を包含することを意味する。
【0027】
アリル系多オレフィン性架橋剤としては、式R(CHCR’=CH(式中、Rは、直鎖もしくは分岐アルキレン、直鎖もしくは分岐オキシアルキレン、芳香族、芳香族エーテル、芳香族エステルまたは複素環であり;R’はHまたはCHであり;およびnは2〜6の整数である)により表されるものが挙げられる。代表的なアリル系多オレフィン性架橋剤としては、1,3,5−トリアリルイソシアヌレート、1,3,5−トリアリルシアヌレート、およびトリアリルベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレートが挙げられる。
【0028】
未硬化組成物が硬化されて、本低屈折率組成物が形成される。未硬化組成物は、フリーラジカル開始メカニズムを介して硬化されることが好ましい。フリーラジカルは、任意により、未硬化組成物中に包含される有機過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩、レドックス開始剤、およびこれらの組み合わせの熱分解によるもの、または紫外(UV)放射線、ガンマ線、もしくは電子ビーム放射線などの放射線によるものなどの数々の公知の方法により生成され得る。未硬化組成物は、紫外線の照射を介して硬化されることが好ましい。
【0029】
未硬化組成物の他の成分は、少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤である。
【0030】
紫外線開始反応が未硬化組成物を硬化させるために用いられる実施形態において、この未硬化組成物は、光開始剤を、一般に1〜10phrで含み、好ましくは5〜10phrで含む。光開始剤は、単独で、または2種以上の組み合わせで用いられることが可能である。実用的なフリーラジカル光開始剤としては、UV硬化アクリレートポリマーに対して一般に有用であるものが挙げられる。実用的な光開始剤の例としては、ベンゾフェノンおよびその誘導体;ベンゾイン、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、α−ベンジルベンゾイン;ベンジルジメチルケタール(Irgacure(登録商標)651(Ciba Specialty Chemicals Corporation(Tarrytown,NY,USA)から入手可能であるIrgacure(登録商標)製品)として市販されている)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテルなどのベンゾインエーテル;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(Darocur(登録商標)1173(Ciba Specialty Chemicals Corporation(Tarrytown,NY,USA)から入手可能であるDarocur(登録商標)製品)として市販されている)および1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure(登録商標)184として市販されている)などのアセトフェノンおよびその誘導体;2−メチル−1−[4−メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン(Irgacure(登録商標)907として市販されている);ギ酸メチルベンゾイル(Darocur(登録商標)MBFとして市販されている)などのギ酸アルキルベンゾイル;2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(Irgacure(登録商標)369として市販されている);ベンゾフェノンおよびその誘導体ならびにアントラキノンおよびその誘導体などの芳香族ケトン;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などのオニウム塩;例えば、Ciba Specialty Chemicals Corporationからまた「CGI 784 DC」として市販されているものなどのチタン錯体;ハロメチルニトロベンゼン;ならびにCiba Specialty Chemicals Corporationから、商品名Irgacure(登録商標)1700、Irgacure(登録商標)1800、Irgacure(登録商標)1850、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)2005、Irgacure(登録商標)2010、Irgacure(登録商標)2020およびDarocur(登録商標)4265で入手可能であるものなどのモノ−およびビス−アシルホスフィンが挙げられる。さらに、Ciba Specialty Chemicals Corporationから、Darocur(登録商標)ITXとして市販されている2−および4−イソプロピルチオキサントンの増感剤が、前述の光開始剤と併せて用いられ得る。
【0031】
光開始剤は、典型的には、約254nm〜約450nmの波長を有する入射光により活性化される。一実施形態において、この未硬化組成物は、波長260nm、320nm、370nmおよび430nmの周辺で強い発光を有する高圧水銀ランプからの光によって硬化される。この実施形態においては、より短い波長(すなわち245〜350nm)で比較的強い吸収を示す少なくとも1種の光開始剤と、より長い波長(すなわち350〜450nm)で比較的強い吸収を示す少なくとも1種の光開始剤との組み合わせが本未硬化組成物を硬化させるために実用的である。開始剤のこのような混合物は、UV光源から放射されるエネルギーの最も効率的な利用をもたらす。より短い波長で比較的強い吸収を示す光開始剤の例としては、ベンジルジメチルケタール(Irgacure(登録商標)651)およびギ酸メチルベンゾイル(Darocur(登録商標)MBF)が挙げられる。より長い波長で比較的強い吸収を示す光開始剤の例としては、2−および4−イソプロピルチオキサントン(Darocur(登録商標)ITX)が挙げられる。光開始剤のこのような混合物の一例は、10重量部のIrgacure(登録商標)651とDarocur(登録商標)MBFとの2:1重量比混合物対1重量部のDarocur(登録商標)ITXである。
【0032】
熱開始剤はまた、UV硬化される際に光開始剤と一緒に用いられ得る。有用な熱開始剤としては、例えば、アゾ、過酸化、過硫酸およびレドックス開始剤が挙げられる。
【0033】
本未硬化組成物のUV硬化は、一定のUV光開始剤の性能に負に作用する可能性がある酸素の実質的不在下で実施されることが可能である。酸素を排除するために、UV硬化は、窒素などの不活性ガスの雰囲気下で実施されることが可能である。
【0034】
本未硬化組成物のUV硬化は、周囲温度で実施されることが可能である。約60℃〜約85℃の高温が実用的であり、約75℃の温度が好ましい。高温でのUV硬化の実施はより完全な硬化をもたらす。
【0035】
有機過酸化物の熱分解を用いて未硬化組成物を硬化させるためのフリーラジカルが生成される場合、この未硬化組成物は、一般に、1〜10phr、好ましくは5〜10phrの有機過酸化物を含む。有用なフリーラジカル熱開始剤としては、例えば、アゾ、過酸化、過硫酸、およびレドックス開始剤ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。有機過酸化物が好ましく、有機過酸化物の例としては、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート;2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン;2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシペルオキシド;ジ−t−ブチルペルオキシド;tーブチルクミルペルオキシド;ジクミルペルオキシド;α,α'−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキセン−3;ベンゾイルペルオキシド;t−ブチルペルオキシベンゼン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)−ヘキサン;t−ブチルペルオキシマレイン酸;およびt−ブチルペルオキシイソプロピルカルボネートが挙げられる。ベンゾイルペルオキシドが好ましい有機過酸化物である。有機過酸化物は、単独でまたは2種以上の組み合わせで用いられ得る。
【0036】
未硬化組成物の他の成分はナノシリカ複合体である。
【0037】
ナノシリカ複合体の形成に用いられる1つの成分は、炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方である。ナノシリカ複合体の形成において実用的であるオキシシランヒドロシレートおよび/または縮合物は、i)官能基を含有する炭素−炭素二重結合、ii)オキシシラン官能基、およびiii)官能基を含有する炭素−炭素二重結合とオキシシラン官能基とを結合する二価有機ラジカル、を含むオキシシランから得られる。オキシシランは、式X−Y−SiRによって表すことが可能である。Xは、エテニル(CH=CH−)、アクリロイルオキシ(CH=C
HC(=O)O−)、およびメタクリロイルオキシ(CH=C(CH)C(=O)O−)などの官能基を含有する炭素−炭素二重結合を表す。Yは、官能基を含有する炭素−炭素二重結合およびオキシシラン官能基に共有結合された二価有機ラジカルを表す。Yラジカルの例としては、1〜10個の炭素原子を有する置換および未置換アルキレン基、ならびに、6〜20個の炭素原子を有する置換または非置換のアリーレン基が挙げられる。アルキレンおよびアリーレン基は、任意により、エーテル、エステル、およびアミドリンケージをその中に追加的に有する。さらなる置換基としては、ハロゲン、メルカプト、カルボキシル、アルキルおよびアリールが挙げられる。SiRは、1つ、2つまたは3つが(例えば、求核性)置換によって置換されることが可能である3つの置換基(R1〜3)を含有するオキシシラン官能基を表す。例えば、R1〜3置換基の少なくとも1つは、アルコキシ、アリールオキシまたはハロゲンなどの基であって、置換性の基は、水、オキシシラン加水分解物もしくは縮合物に存在するヒドロキシル、または基材フィルム表面上に存在する等反応性官能基などの基を含む。代表的なオキシシラン官能基置換は、RがC〜C20アルコキシ、C〜C20アリールオキシ、またはハロゲンであると共に、RおよびRが、C〜C20アルコキシ、C〜C20アリールオキシ、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C30アラルキル、C〜C30アルカリール、ハロゲン、および水素から独立して選択されるものを含む。Rは、C〜Cアルコキシ、C〜C10アリールオキシまたはハロゲンであることが好ましい。オキシシランの例としては:アリルトリメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(APTMS、HC=CHCO(CHSi(OCH)、アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、およびメタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。オキシシランのうちAPTMSが好ましい。
【0038】
オキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方がナノシリカ複合体を形成するために用いられる。オキシシラン加水分解生成物とは、R1〜3置換基の少なくとも1つがヒドロキシルで置き換えられたオキシシランを意味する。例えば、X−Y−SiROH、X−Y−SiR(OH)、およびX−Y−Si(OH)。オキシシラン縮合物とは、1種以上のオキシシランおよび/またはオキシシラン加水分解物の縮合反応により形成される生成物を意味する。例えば、縮合物としては:X−Y−Si(R)(R)OSi(R)(OH)−Y−X;X−Y−Si(R)(OH)OSi(R)(OH)−Y−X;X−Y−Si(OH)OSi(R)(OH)−Y−X;X−Y−Si(R)(OH)OSi(R)(OSi(R)(OH)−Y−X)−Y−X;およびX−Y−Si(R)(R)OSi(R)(OSi(R)(OH)−Y−X)−Y−Xが挙げられる。
【0039】
オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物は、オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約3〜約9モルの水をオキシシランと接触させることにより形成される。オキシシランの加水分解は、加水分解後のAPTMSの残存量が1重量%未満であるために、25℃で24時間後に完了したとみなされる。好ましい実施形態において、オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物は、オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約4〜約9モルの水をオキシシランと接触させることにより形成される。より好ましい実施形態において、オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物は、オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約5〜約7モルの水をオキシシランと接触させることにより形成される。特に水の量が5〜9モルである場合に、25℃で24時間後に、200gの重しで擦傷が10%未満の耐摩耗性が生じる(ただし、適切な量の加水分解シランおよびナノシリカが用いられた場合)。オキシシラン官能基に結合している官能基を含有する炭素−炭素二重結合は、オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物を形成するために用いられる条件には影響されない。
【0040】
オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物は、低級アルキルアルコール溶剤の存在下にオキシシランを水と接触させることにより形成される。代表的な低級アルキルアルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールおよびシクロペンタノールなどの脂肪族および脂環式C〜Cアルコールが挙げられる。好ましい低級アルキルアルコール溶剤はエタノールである。
【0041】
オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物は、オキシシラン置換基R1〜3の1つ、2つまたは3つの加水分解を触媒すると共に得られるオキシシランヒドロシレートの縮合をさらに触媒し得る有機酸の存在下に、オキシシランを水と接触させることにより形成される。有機酸は、アルコキシおよびアリールオキシなどのオキシシラン置換基の加水分解を触媒し、その場にヒドロキシル(シラノール)基の形成をもたらす。有機酸は元素炭素、酸素および水素、任意により窒素および硫黄を含むと共に、少なくとも1個の易動性(酸性)プロトンを含有する。有機酸の例としては、酢酸、マレイン酸、シュウ酸、およびギ酸などのカルボン酸、ならびに、メタンスルホン酸およびトルエンスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。一実施形態においては、有機酸は、少なくとも約4.7のpKを有する。好ましい有機酸は酢酸である。
【0042】
一実施形態においては、低級アルキルアルコール溶剤中の約0.1重量%〜約1重量%有機酸濃度が、オキシシランからのオキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物の形成に実用的である。一実施形態においては、低級アルキルアルコール溶剤中の約0.4重量%有機酸濃度が、オキシシランからのオキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物の形成に実用的である。
【0043】
本明細書に教示されている、有機酸および低級アルキルアルコールの存在下でのオキシシランおよび水の反応のための条件は、形成されたオキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物中に残留される未加水分解オキシシラン(X−Y−SiR)を約1mol%未満とする。
【0044】
ナノシリカ複合体を形成するために用いられる他の成分は、複数の中実および/または多孔性ナノシリカ粒子である。
【0045】
実用的な中実ナノシリカ粒子は、球状および長円形を含む任意の形状であることが可能であり、比較的均一なサイズであって、および実質的に非凝集性のままである。一実施形態において、中実ナノシリカ粒子は約1nm〜約90nmの粒径中央値d50を有する。一実施形態において、中実ナノシリカ粒子は、約5nm〜約60nmのd50を有する。一実施形態において、中実ナノシリカ粒子は、約15nm〜約30nmのd50を有する。中実ナノシリカ粒子が多孔性ナノシリカ粒子の不存在下で用いられる一実施形態において、中実ナノシリカ粒子は約30nm以下のd50を有する。中実ナノシリカ粒子が多孔性ナノシリカ粒子と一緒に用いられる一実施形態において、中実ナノシリカ粒子は約1nm〜約50nmのd50を有する。粒径中央値(d50)は、この値より小さい直径を有する粒子が粒子群の体積または質量の半分を構成すると共に、この値より大きい直径を有する粒子が粒子群の体積または質量の半分を構成する直径である。
【0046】
中実ナノシリカ粒子の凝集は、望ましくない沈殿、ゲル化、およびゾル粘度の劇的な増加をもたらし、これらは、未硬化組成物の均一なコーティングの達成を困難とし得る。中実ナノシリカ粒子は凝集してコロイド中の凝集粒子を形成し得、ここで、凝集粒子の各々は、複数のより小さなサイズの中実ナノ粒子を含む。コロイド中の平均凝集中実ナノシリカ粒径はコーティング前は約90nm未満であることが好ましい。
【0047】
ナノシリカ複合体を形成するために実用的な中実ナノシリカ粒子は、ケイ素酸化物のゾル(例えば、液体媒体中の中実ケイ素ナノ粒子のコロイド状分散体)、特に非結晶性、半結晶性および/または結晶性シリカのゾルからから形成される。このようなゾルは、多様な技術によって、ヒドロゾル(水が液体媒体となっている)、オルガノゾル(有機液体が液体媒体となっている)、および混合ゾル(液体媒体は水および有機液体の両方を含んでいる)を含む多様な形態で調製されることが可能である。例えば、米国特許第2,801,185号明細書;米国特許第4,522,958号明細書;および米国特許第5,648,407号明細書における技術および形態の記載を参照のこと。中実ナノシリカゾルが他の未硬化組成物成分(例えば、フルオロエラストマー)が不溶である非プロトン性溶剤(例えば水、アルコール)中で生成される場合、ナノシリカ複合体の形成においてゾルが用いられる前に、このようなプロトン性溶剤の少なくとも約90体積パーセント、より好ましくは少なくとも約97体積パーセントを、他の未硬化組成物成分が可溶性である溶剤で置き換えることが好ましい。例えば、減圧下での蒸留のように、このような溶剤の置き換えのための方法は公知である。中実ナノシリカ粒子は、例えば、Nissan Chemicals America Corporation(Houston,TX,USA)から入手可能であるNissan MEK−ST(約0.5重量パーセントの水を含有するメチルエチルケトン中の中実シリカコロイド、約16nmのナノシリカ粒径中央値d50、30〜31重量%シリカ)のような、他の未硬化組成物成分が可溶性である極性非プロトン性溶剤中へ分散されたコロイド状分散体またはゾルとして商業的入手が可能である。
【0048】
一実施形態においては、多孔性ナノシリカ粒子が中実ナノシリカ粒子と一緒に用いられて、本低屈折率組成物の屈折率がさらに低減される。約1.15〜約1.40、好ましくは約1.20〜約1.35の屈折率を有し、約5nm〜約90nm、好ましくは約5nm〜約70nmの粒径中央値d50を有する多孔性ナノシリカ粒子が実用的である。この文脈において用いられるところ、屈折率は、全体としての粒子の屈折率を指す。多孔性ナノシリカ粒子はいかなる形状の孔を有することも可能であるが、ただし、このような孔が、未硬化組成物中に存在する高屈折率成分がこれらの孔の中に進入することを許容するような寸法のものではないことを条件とする。一例は、孔が、ケイ素酸化物のシェル中に形成されたより低密度および低屈折率の空隙部(例えば空気を含む空隙部)を含む場合である(例えば中空ナノシリカ粒子)。シェルの厚さがナノ粒子の強度に影響する。中空シリカ粒子が低い屈折率および高い間隙率とされた場合、シェルの厚さが低減し、ナノ粒子の強度(耐破壊性)の低下がもたらされる。約1.15未満の屈折率を有する中空ナノシリカ粒子は、このような粒子は許容できない強度を有するであろうため望ましくない。粒子内部の空隙部の半径をxとすると共に粒子のアウターシェルの半径をyとしたとき、式P=(4πx/3)/(4πy/3)×100により表される間隙率(P)は、一般に約10〜約60%であり、好ましくは約20〜約60%である。
【0049】
このような中空ナノシリカ粒子を形成するための方法は公知であり、例えば、特開2001−233611号公報および特開2002−79616号公報に記載されているとおりである。
【0050】
この未硬化組成物における中実ナノシリカの量は、約1体積%〜約45体積%、好ましくは約1体積%〜約30体積%の範囲であることが可能である。本未硬化組成物中の多孔性ナノシリカの量は、約1体積%〜約60体積%の範囲であることが可能である。未硬化組成物が耐摩耗性反射防止コーティングの形成に用いられる実施形態において、中実および多孔性ナノシリカの総体積パーセントは少なくとも約10体積%、好ましくは約15〜約35体積%、より好ましくは約25体積%である。これは、方法1による擦過の後に、方法4により測定される約10以下の擦傷割合を有する硬化耐摩耗性反射防止コーティングをもたらす。ナノシリカ粒子の体積割合は、本明細書において、乾燥ナノシリカ粒子の体積を硬化部位を有する乾燥フルオロエラストマー、多オレフィン性架橋剤、およびナノシリカ粒子の体積の総和で除した商の100倍として定義される。未硬化組成物が硬化の後に低屈折率組成物中に残留する成分をさらに含む実施形態において、分母における総和はこのような乾燥成分の体積をさらに含む。
【0051】
一実施形態においては、中実ナノシリカ粒子および多孔性ナノシリカ粒子がナノシリカ複合体における形成に一緒に用いられる。これは、中実ナノシリカ粒子が単独で用いられたものよりも低いRVISを有する反射防止コーティングをもたらす。中実ナノシリカ粒子および多孔性ナノシリカ粒子は、前述の体積%および粒径中央値範囲内のいずれかの割合で一緒に用いられることが可能である。一般に、約1:10〜約10:1比の体積%中実ナノシリカ粒子対体積%多孔性ナノシリカ粒子が実用的である。
【0052】
一実施形態において、中実ナノシリカ粒子は、少なくとも約50%であるが100%未満の非反応性置換基で官能基化された反応性シラノールを有する。一実施形態において、中実ナノシリカ粒子は、少なくとも約60%であるが100%未満の非反応性置換基で官能基化された反応性シラノールを有する。一実施形態において、中実ナノシリカ粒子は、少なくとも約75%であるが100%未満の非反応性置換基で官能基化された反応性シラノールを有する。一実施形態において、中実ナノシリカ粒子は、少なくとも約90%であるが100%未満の非反応性置換基で官能基化された反応性シラノールを有する。反応性シラノールとは、求核試薬として反応に利用可能である、官能基化の前のナノシリカ粒子の表面上のシラノールを意味する。非反応性置換基での官能基化とは、このような官能基化シラノールは、官能基化シラノールと未硬化組成物のいかなる成分との反応も許容しない置換基に結合していることを意味する。非反応性置換基とは、未硬化組成物の成分のいずれに対しても反応性ではない置換基を意味する。実用的な非反応性置換基としては、トリアルキルシリル、例えば、トリメチルシリルが挙げられる。
【0053】
中実ナノシリカ反応性シラノールが非反応性置換基で置換される程度の特徴づけは、公知の方法により実施することが可能である。例えば、DRIFTS(拡散反射フーリエ変換赤外分光法)による監視を備える、ピリジンをプローブとして用いるナノシリカの気相滴定の使用は、中実ナノシリカ粒子反応性シラノールが非反応性置換基で置換される程度の特徴付けを可能とする。
【0054】
一実施形態においては、本オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物が形成されるオキシシランと、ナノシリカ複合体を形成するための実用的な中実ナノシリカ粒子との相対量は、コロイド状ナノシリカの中実ナノシリカ粒子100g当たり、平均で、約0.8g〜約110g、好ましくは約4g〜約77g、より好ましくは約7g〜約77gのオキシシランである。
【0055】
他の実施形態において、本オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物が形成されるオキシシランと、ナノシリカ複合体を形成するための実用的な多孔性ナノシリカ粒子との相対量は、コロイド状ナノシリカの多孔性ナノシリカ粒子100g当たり、平均で、約0.8g〜約120g、好ましくは約4g〜約60g、より好ましくは約6g〜約48gのオキシシランである。他の実施形態において、ナノシリカ(中実または中空またはこれら2種のブレンドのいずれか)100g当たり約18g〜約40gオキシシランの範囲が、方法1(本明細書に教示されている)による擦過の後に、方法4(本明細書に教示されている)により測定される、200gの重しで擦傷が10%未満の所望の耐摩耗性コーティング結果をもたらす。
【0056】
ナノシリカがオキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物と組み合わされてナノシリカ複合体前駆体が形成される。ナノシリカ複合体前駆体は室温または高温で熟成させられる。ナノシリカゾルがオキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物と組み合わされてナノシリカ複合体前駆体が形成され、これが、約25℃で少なくとも約1時間熟成させられて、方法1(本明細書に教示されている)による擦過の後に方法4(本明細書に教示されている)により測定される、200gの重しで擦傷が10%未満の耐摩耗性をもたらすナノシリカ複合体が形成される(ただし、適切な量のAPTMS−Hおよびナノシリカが用いられている場合)。一実施形態において、ナノシリカゾルは、オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物と組み合わされてナノシリカ複合体前駆体が形成され、これが、約25℃で約20時間〜約7日間(168時間)熟成させられてナノシリカ複合体が形成されることが可能である。熟成は、ナノシリカ複合体前駆体が熟成されていない同様のコーティングよりも高い耐摩耗性を有する硬化耐摩耗性反射防止コーティングをもたらす。一実施形態において、ナノシリカ複合体前駆体は高温で熟成される。例えば、約50℃以下の温度である。この実施形態において、熟成時間は、例えば約1〜24時間と前述のものよりも短くすることが可能であり、これは、方法1(本明細書に教示されている)による擦過の後に方法4(本明細書に教示されている)により測定される、200gの重しで擦傷が10%未満の耐摩耗性をもたらすであろう(ただし、適切な量のAPTMS−Hおよびナノシリカが用いられる場合)。
【0057】
ナノシリカ複合体において中実および多孔性ナノシリカが一緒に用いられている一実施形態において、オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物との各々のナノシリカ複合体前駆体は個別に形成されることが可能であると共に、個別に熟成させられる。ナノシリカ複合体において中実および多孔性ナノシリカが一緒に用いられている一実施形態においては、中実および多孔性ナノシリカ、ならびに、オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物の両方を含むナノシリカ複合体前駆体が形成されると共に熟成させられることが可能である。このような実施形態の各々において、ナノシリカ複合体前駆体は、他の成分と組み合わされる前に、室温でまたは高温で熟成させられて未硬化組成物が形成されることが可能である。
【0058】
オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物上の炭素−炭素二重結合含有官能基は、周囲条件下では未硬化組成物の他の成分とは反応しない。しかしながら、未硬化組成物がエネルギー(例えば、熱、光)または化学処理(例えば、過酸化物フリーラジカル重合開始剤)に露出された場合、炭素−炭素二重結合は、未硬化組成物の他の成分、例えば、フルオロエラストマー硬化部位、多オレフィン性架橋剤、光開始剤、ならびに、未硬化組成物がコートされる基材フィルムの表面上に存在する官能基と反応することが可能である。本ナノシリカ複合体は、硬化に先立って未硬化組成物反応性成分に望ましくない反応(架橋)を生じさせることなく、他の未硬化組成物反応性成分と組み合わされることが可能である。
【0059】
本発明の低屈折率組成物の形成において実用的な未硬化組成物は、任意により、コーティングならびに、取り扱いおよび輸送を容易とする溶剤などの非反応性成分を含有する。それ故、本発明は、反射防止コーティングの形成に用いられる低屈折率組成物を形成するための液体混合物をさらに含み、この液体混合物は、その中に:(i)少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー;(ii)多オレフィン性架橋剤;(iii)フリーラジカル重合開始剤;(iv)(iv−a)複数のナノシリカ粒子、ならびに(iv−b)炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方であって、有機酸の存在下に、オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約3〜約9モルの水をオキシシランと接触させることにより形成される加水分解物および縮合物の少なくとも一方を含むナノシリカ複合体が、溶解または分散された溶剤を含む。
【0060】
溶剤は、コーティングを促進させるため、未硬化組成物の粘度を低減させるために未硬化組成物中に含まれていることが好ましい。溶剤を含有する未硬化組成物の適切な粘度レベルは、反射防止コーティングの所望の厚さ、未硬化組成物を基材に適用する技術、および未硬化組成物がその上に適用される基材などの種々の要因に応じ、過度な実験無しで当業者によって決定されることが可能である。一般に、未硬化組成物中の溶剤の量は、約85重量%〜約97重量%である。
【0061】
溶剤は、未硬化組成物の硬化特性に悪影響をおよぼさず、または光学ディスプレイ基材を腐食させないよう選択される。さらに、溶剤は、未硬化組成物への溶剤の添加が例えばナノシリカの凝析またはフルオロエラストマーの沈殿をもたらさないよう選択される。しかも、溶剤は、適切な乾燥速度を有するよう選択されるべきである。すなわち、溶剤は、過度に遅く乾燥すべきではなく、これは未硬化組成物からの反射防止コーティングの形成プロセスを不当に遅延させる可能性がある。溶剤はまた、過度に急速に乾燥すべきではなく、これは、得られる反射防止コーティングにピンホールまたはクレーターなどの欠陥を生じさせる可能性がある。実用的な溶剤としては極性非プロトン性有機溶剤が挙げられ、代表例としては、脂肪族および脂環式:メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン;酢酸プロピルなどのエステル;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい溶剤としては、酢酸プロピルおよびメチルイソブチルケトンが挙げられる。低級アルキルヒドロカルビルアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)が溶剤中に存在していることが可能であるが、溶剤の約15重量%以下を構成すべきである。
【0062】
本発明による低屈折率組成物の形成における実用的な未硬化組成物は、任意により、摩擦係数を低下させる(すなわち、滑性を向上させる)ため、および/または、基材上での未硬化組成物コーティングの乾燥および硬化時の平滑化挙動を向上させるために添加剤を含有する。いくつかの実施形態において、添加剤は未硬化組成物中に可溶性である。いくつかの実施形態において、添加剤の量は、未硬化組成物の約0.01〜約3重量パーセントの範囲である。このような添加剤は当業者に公知であると共に、例えば:シリコーンオイル、高分子量ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、およびシリコーングリコールコポリマー界面活性剤などのシリコーンまたはポリシロキサンベースの化合物を含む。
【0063】
本発明は、耐摩耗性反射防止コーティングを基材上に形成する方法をさらに含み、方法1(本明細書に教示されている)による擦過の後に、方法4(本明細書に教示されている)により測定される約10以下の擦傷割合を有する前記耐摩耗性反射防止コーティングは:(i)(i−a)炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方であって、有機酸および低級アルキルアルコールの存在下に、オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約3〜約9モルの水をオキシシランと接触させることにより形成される加水分解物および縮合物の少なくとも一方と(i−b)複数の中実ナノシリカ粒子とを組み合わせてナノシリカ複合体前駆体を形成する工程であって、複数の中実ナノシリカ粒子が耐摩耗性反射防止コーティングの少なくとも約10体積パーセントを構成する工程;(ii)ナノシリカ複合体前駆体を少なくとも約25℃の温度で少なくとも約1時間熟成させてナノシリカ複合体を形成する工程;(iii)ナノシリカ複合体、少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー、多オレフィン性架橋剤、およびフリーラジカル重合開始剤を組み合わせて未硬化組成物を形成する工程;(iv)未硬化組成物のコーティングを基材上に適用して未硬化組成物コーティングを基材上に形成する工程;(v)任意により、液体混合物コーティング中の溶剤の量を低減させて(低溶剤)未硬化組成物を基材上に形成する工程;ならびに、(vi)未硬化組成物コーティングを硬化させると共に、これにより、耐摩耗性反射防止コーティングを基材上に形成する工程を含む。
【0064】
反射防止コーティングを形成するための本発明の方法は、複数の固体ナノシリカ粒子を、基材に実質的に隣接する反射防止コーティング内に位置させる。
【0065】
本方法は、オキシシランのヒドロシレートおよび/または縮合物ならびに中実ナノシリカを組み合わせてナノシリカ複合体前駆体を形成する工程を含む。このような組み合わせる工程は、適切な量の成分を計量し、これらの成分を静的なまたは掻き混ぜられた容器に移すなどの、公知の方法論により実施されることが可能である。
【0066】
本方法は、ナノシリカ複合体前駆体を熟成させてナノシリカ複合体を形成する工程を含む。ナノシリカ複合体前駆体の熟成工程は、本明細書において既に記載されている。
【0067】
本方法は、ナノシリカ複合体、少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー、多オレフィン性架橋剤、およびフリーラジカル重合開始剤を組み合わせて未硬化組成物を形成する工程を含む。このような組み合わせる工程は、適切な量の成分を計量し、これらの成分を掻き混ぜられた容器に移すなどの、公知の方法論によって実施されることが可能である。一実施形態において、未硬化組成物は、未硬化組成物の他の成分および極性非プロトン性有機溶剤を含む混合物にナノシリカ複合体を添加することにより形成される。
【0068】
本方法は、未硬化組成物のコーティングを光学ディスプレイ基材上に適用して、未硬化組成物コーティングを基材の表面上に形成する工程を含む。一実施形態において、コーティング工程は、単一のコーティング工程で実施されることが可能である。未硬化組成物コーティングを基材上に、単一のコーティング工程で適用するために有用であるコーティング技術は、例えば、米国特許出願公開第2005/18733号明細書に記載されているものなどといったマイクログラビアコーティングなどの液体の薄く、均一な層を基材上に形成することが可能であるものである。
【0069】
本方法は、未硬化コーティング中の溶剤の量を低減させて(低溶剤)未硬化組成物コーティングを基材上に形成する任意の工程を含む。未硬化組成物コーティング中の溶剤の量は、例えば、加熱、減圧およびコートされた液体混合物に近接した不活性ガス流といった公知の方法により低減されることが可能である。この実施形態においては、溶剤の少なくとも約95重量%が、硬化に先立って未硬化組成物コーティングから除去される。
【0070】
本方法は、未硬化組成物コーティングを硬化させ、これにより、反射防止コーティングを基材上に形成する工程を含む。本明細書において既述のとおり、未硬化のコーティングは、好ましくはフリーラジカル開始メカニズムにより硬化される。フリーラジカルは、任意により未硬化組成物中に含まれる有機過酸化物の熱分解によるもの、または紫外(UV)放射線、ガンマ線、または電子ビーム放射線などの放射線によるものなどの公知の方法により生成され得る。未硬化組成物は、比較的安いコストおよび工業規模で適用された場合のこの硬化技術の速度により、UV硬化されることが好ましい。
【0071】
硬化された反射防止コーティングは、約120nm未満〜約80nm超、および好ましくは約110nm未満〜約90nm超、最も好ましくは約100nmの厚さを有する。
【0072】
本発明は、耐摩耗性反射防止コーティングを有する透明基材を含む物品をさらに含み、ここで、耐摩耗性反射防止コーティングは:(i)少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー;(ii)多オレフィン性架橋剤;(iii)フリーラジカル重合開始剤;(iv)(iv−a)耐摩耗性反射防止コーティングの少なくとも約10体積パーセントを構成する複数の中実ナノシリカ粒子、ならびに(iv−b)炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一方であって、有機酸および低級アルキルアルコールの存在下に、オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約3〜約9モルの水をオキシシランと接触させることにより形成される加水分解物および縮合物の少なくとも一方を含むナノシリカ複合体;の反応生成物を含み、ここで、ナノシリカ複合体は、反応生成物の形成前に、少なくとも約25℃の温度で少なくとも約1時間熟成される。
【0073】
複数の中実ナノシリカ粒子は、基材に実質的に隣接している反射防止コーティング中に位置されている(すなわち、粒子成層反射防止コーティング)。
【0074】
本低屈折率組成物の耐摩耗性反射防止コーティングを有する基材は、ディスプレイ表面、光学レンズ、窓、光学偏光子、光学フィルタ、光沢プリントおよび写真、清透なポリマーフィルム等としての用途が見出される。基材は、透明またはアンチグレアのいずれでもよく、アセチル化セルロース(例えば、トリアセチルセルロース(TAC))、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ガラス、ビニル、ナイロン等を含む。好ましい基材はTAC、PETおよびPMMAである。基材は、任意により、基材と反射防止コーティングとの間に塗布された、特にこれらに限定されないが、アクリレートハードコートなどのハードコートを有する。
【0075】
本明細書において用いられるところ、「鏡面反射」および「鏡面反射率」という用語は、鏡面角度を中心とした約2度の頂角を有する射出コーンへの光線の反射率を指す。「拡散反射」または「拡散反射率」という用語は、上に定義の鏡面コーン外の光線の反射を指す。透明基材上の本低屈折率組成物から形成される反射防止コーティングについての鏡面反射率は約2.2%以下、好ましくは約1.7%以下である。
【0076】
本発明の低屈折率組成物は、擦過に対する優れた耐性を有すると共にディスプレイ基材上で反射防止コーティングとして用いられる場合、低いRVISを有する。本発明は、約1.3%未満のRVISおよび方法1(本明細書で教示されている)による擦過の後に、方法4(本明細書で教示されている)により測定される10以下、好ましくは7以下の擦傷割合を有する反射防止コーティングを包含する。
【実施例】
【0077】
材料/製造業者:
APTMS:アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、92%オキシシラン、Aldrich(Saint Louis,Mo,USA)から入手可能
ATMS:アリルトリメトキシシラン、95%オキシシラン、Aldrich(Saint Louis,Mo,USA)から入手可能
Darocur(登録商標)ITX:2−イソプロピルチオキサントンおよび4−イソプロピルチオキサントンの混合物、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY,USA)から入手可能な光開始剤
HTES:5−ヘキセニルトリエトキシシラン、95%オキシシラン、Gelest Inc.(Morrisville,Pa,USA)から入手可能
Irgacure(登録商標)651:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY,USA)から入手可能な光開始剤。
Irgacure(登録商標)907:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY,USA)から入手可能である光開始剤
Nissan MEK−ST:約0.5重量パーセント水、約10〜16nmの粒径中央値d50、30〜32重量%シリカ、2.30g/cmの乾燥密度を有するメチルエチルケトン(MEK)中のシリカコロイドが、Nissan Chemicals America Corporation(Houston,TX,USA)から入手可能である。固体状態29Siおよび13C NMR(核磁気共嗚)分光法によるNissan
MEK−STの試験は、MEK−STナノシリカ粒子の表面(反応性シラノール)は、トリメチルシリル置換基で官能基化されていることを明らかにする。
【0078】
Nissan MEK−ST固体ナノシリカ反応性シラノールがトリメチルシリル置換基で置換される程度の特徴づけ:
固体ナノシリカ反応性シラノールが非反応性置換基で置換される程度の特徴づけは、DRIFTS(拡散反射フーリエ変換赤外分光法)により実施されることが可能である。Nissan MEK−ST固体ナノシリカ反応性シラノールが非反応性トリメチルシリル置換基で置換される程度の特徴づけは、DRIFTSにより以下のとおり実施される。
【0079】
ナノシリカコロイド中の溶剤が蒸発により室温で除去されて、ケイ素酸化物ナノコロイド粉末が形成される。DRIFTS計測は、ハリック(Harrick)「カマキリ(praying Mantis)」DRIFTSアクセサリーをバイオレッド(Biorad)FTS6000FTIR分光計において用いて行った。サンプルは、DRIFTS分析のためにKCl中に10%の濃度に希釈される。ナノシリカの表面の性質が変化することを防ぐために、希釈物の調製中における粉砕は回避される。データ処理は、Thermo Scientific製の好適なGRAMS/32スペクトロスコピーソフトウェアを用いて実施される。ベースラインオフセット補正の後、データは、クベルカ−ムンク(Kubelka−Munk)変換を用いて変換されて、サンプル濃度に対する応答が線形化される。スペクトルは、すべての比較において1874cm−1付近のシリカ倍音帯の高さに対して正規化されて、サンプル濃度のわずかな違いについて補正される。Nissan MEK−STのサンプルは、Nissan IPA−ST(Nissan)IPA−STは、イソプロピルアルコール中の非官能基化Nissan MEK−STである)のサンプルと比較される。DRIFTSスペクトルがサンプルについて得られる。このサンプルが、次いで、APTMSの開放コンテナを含む密閉容器中に導入され、この容器中において標準状態下に1時間維持した。サンプルを抑制することなく、サンプルのDRIFTSスペクトルが次いで得られる。約3737cm−1で観察されるバンドが反応性シラノール基に対応する。Nissan IPA−STについては、このサンプルのAPTMSへの露出の結果、このバンドの強度は著しく低減されている。理論に束縛されることは望まないが、本発明者らは、これは、APTMSと相互作用する非官能基化反応性シラノールによると考える。Nissan MEK−STについては、このサンプルのAPTMSへの露出の結果、このバンドの強度の変化は実質的にない。理論に束縛されることは望まないが、本発明者らは、これは、APTMSが相互作用するためのNissan MEK−STの表面上の反応性シラノールの相対的な不在によると考える。Nissan IPA−STサンプル由来の、3737cm−1での反応性シラノールバンドの積分した強度に基づいて、Nissan MEK−STサンプル上の反応性シラノール被覆度は、Nissan IPA−STサンプルで観察された被覆度の5%未満であることが推定される。従って、Nissan MEK−STの表面上のおよそ95%以上の反応性シラノールが、非反応性置換基(トリメチルシリル)で置換されている。
【0080】
OTMS:7−オクテニルトリメトキシシラン、95%オキシシラン、Gelest Inc.(Morrisville,Pa,USA)から入手可能
SR295:ペンタエリスリトールテトラアクリレート、Sartomer Co.(Exton,PA,USA)から入手可能な非フッ素化多オレフィン性架橋剤
SR247:ネオペンチルグリコールジアクリレート、Sartomer Co.(Exton,PA,USA)から入手可能な非フッ素化多オレフィン性架橋剤
SKK中空ナノシリカ:メチルイソブチルケトン(MIBK)中の「ELCOM」グレード中空ナノシリコン酸化物コロイド、約41nmの粒径中央値d50、約20〜23重量%シリカ、約1.59g/cmの乾燥密度、触媒化成工業株式会社(日本国)から入手可能
TABTC:トリアリル−1,3,5−ベンゼントリカルボキシレート、非フッ素化多オレフィン性架橋剤、Aldrich(Saint Louis,Mo,USA)から入手可能
TAC:トリアリルシアヌレート(2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン)、非フッ素化多オレフィン性架橋剤、Aldrich(Saint Louis,Mo,USA)から入手可能
TAIC:トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン)、非フッ素化多オレフィン性架橋剤、Aldrich(Saint Louis,Mo,USA)から入手可能
UTMS:10−ウンデセニルトリメトキシシラン、95%オキシシラン、Gelest Inc.(Morrisville,Pa,USA)から入手可能
Viton(登録商標)GF200S:フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよび硬化部位モノマーのコポリマー、DuPont Performance Elastomers(DE,USA)から入手可能なフルオロエラストマー。
【0081】
方法
方法1:表面擦過
本発明の反射防止コーティングでコートされた3.7cm×7.5cm片の基材フィルムが、フィルムの周縁が接着テープでプレートに固定されることによりそのコート面が上向きになるよう平坦なガラスプレートの表面上に設置される。Liberonグレードの0000番スチールウールが1×1cmよりわずかに大きいパッチに切り取られる。1×1cmに切り取った軟質(柔軟)な発泡パッドがスチールウールパッド上に置かれ、滑り嵌めDelrin(登録商標)スリーブに保持された200−グラムの黄銅ウエイトが発泡パッドの上に置かれる。このスリーブは、ステップモータ駆動式移動ステージモデルMB2509P5J−S3CO18762により移動される。ベルメックス(VELMEX)VXMステップモータコントローラがステップモータを駆動する。スチールウールおよびウエイトアセンブリはフィルム表面上に置かれ、3cmの距離にわたって5cm/秒の速度で、10回(20パス)フィルム表面上を前後にこすられる。
【0082】
方法2:鏡像反射率(RVIS)の計測
本発明の反射防止コーティングでコートされた3.7cm×7.5cm片の基材フィルムが、計測のために、一片の黒色のPVC絶縁テープ(日東電工株式会社(Nitto Denko)、PVCプラスチックテープ21番)をフィルムのコートされていない側面に、裏面反射が妨げられるように閉じ込められた気泡がないよう接着することにより調製される。このフィルムは、次いで、分光計の光路に対して垂直に保持される。法線入射の約2度以内である反射光が捕捉され、赤外拡張範囲分光計(フィルメトリックス(Filmetrics)、モデルF50)に指向される。この分光計は、裏面が粗面化されると共に黒色化されているBK7ガラスの低反射率標準で、400nm〜1700nmの間で較正される。鏡面反射は、法線入射で、約2度の受光角で計測される。反射スペクトルは、400nm〜1700nmの範囲で約1nmの間隔をもって記録される。機器が約6%反射で最大範囲または飽和であるよう長い検出器積分時間を用いることにより低ノイズスペクトルが得られる。さらなるノイズの低減は3つ以上の個別のスペクトルの計測値を平均化することにより達成される。記録されたスペクトルから報告された反射率は、x、yおよびYの色計算の結果もたらされ、ここで、Yは、鏡面反射率(RVIS)として報告される。色座標計算は、10度標準観測者についてタイプC光源で実施される。
【0083】
方法3:ヘーズ
ヘーズが、ASTM D1003法、「ヘーズおよび透明プラスチックの光透過率についての標準試験法」に準拠して、BYK−Gardner USA(Columbia,MD)から入手可能である「BYK Gardner Haze−Guard Plus」を用いて計測される。
【0084】
方法4:表面擦過の定量化
本方法は、方法1により擦過されたフィルムの撮像および画像のソフトウェア操作による擦過されたフィルム上の擦傷面積割合の定量化を包含する。
【0085】
存在するすべての可能性を網羅する単一の画像分析法はない。当業者は、実施される画像分析はきわめて特定的であることを理解するであろう。一般的な指針が、不特定のパラメータは必要以上の実験をせずに認識する当業者の能力の範囲内であることの理解と共にここに提供されている。
【0086】
この分析は、サンプルの「軸上」および「軸外」照射の両方があり、画像は、法線入射から約7度の反射光で撮られると仮定する。また、引掻き傷は画像において垂直に配向されていると仮定する。適切な画像コントラストは、不必要な実験なしで実務者または当業者により確立されることが可能である。画像コントラストは、照明輝度、カメラホワイトおよびブラック基準設定、基材の屈折率、低屈折率組成物の屈折率および厚さにより制御される。また、画像のコントラストを高めるために、一片の黒色絶縁テープが基材の裏に接着される。これは、裏面反射を妨げる効果を有する。
【0087】
方法1により形成されたフィルム上の引掻き傷領域を分析するために用いられる画像は、コンピュータ中のフレームグラッバーカードに接続したビデオカメラで得られる。この画像は、グレースケール640×480ピクセル画像である。カメラ上の光学素子が、撮像領域の幅が7.3mm(これは、擦過される1cm幅領域の大部分である)となるよう擦過領域を拡大する。
【0088】
フォトショップ(PhotoShop)用のラインディアグラフィックスイメージプロセッシングツールキット(Reindeer Graphic’s Image Processing Toolkit)がプラグインされたアドビフォトショップ(Adobe PhotoShop)V7が画像を以下に記載のとおり処理するために用いられる。
【0089】
先ず、画像がグレースケール画像に変換される(もし既にそうでなければ)。引掻き傷方向での25ピクセルのモーションブラーが実施されて、引掻き傷が強調されると共に、ノイズおよびフィルムへの外因的な損傷が軽減される。このブラーは、画像をクリーンアップするために3つのことをする。第1に、擦過方向以外の方向のフィルムへの損傷が背景と平均化されることによりきれいにされる。第2に、個別の白点が、背景と平均化されることにより除去される。第3に、引掻き傷にある小さなギャップのいずれもが、引掻き傷線間で平均化されることにより埋められる。
【0090】
画像におけるピクセルの明暗度の自動コントラスト調整用の調製において、左上のコーナー付近の4つのピクセルが選択される。これらのピクセルが、200(255のうち)の明暗度で塗りつぶされる。この工程は、明るい引掻き傷が画像中にない場合にも、擦過されていない材料暗い背景以外の画像におけるいくつかのマークを確実に存在させる。これは、自動コントラスト調整を制限する効果を有する。用いられる自動コントラスト調整は、ヒストグラムが8ビットグレースケール画像において利用可能な0〜255レベルを埋めるよう画像のコントラストを変更させる「ヒストグラムリミット:最大−最小」と呼ばれる。
【0091】
次いで、水平方向における微分を撮る特注フィルタが画像に適用され、次いで元の画像が微分画像に組み入れられる。これは、垂直な引掻き傷の縁部を強調させる効果を有する。
【0092】
バイレベル閾値が128グレーレベルで適用される。128以上のレベルでのピクセルが白色(255)に設定されると共に、128の輝度未満のピクセルが黒色(0)に設定される。この画像は、次いで、反転されて黒色ピクセルを白色にすると共に、白色ピクセルが黒色にされる。これは、黒色領域の全体的な計測の適用である最終工程において用いられる全体的な計測特質に適応させるためである。結果は、画像における黒色ピクセルの割合に関して示されている。これは、方法1により引掻かれた総面積の割合(すなわち、引掻き傷%)である。処理は1画像当たり全体で数秒かかる。この方法によれば、従来の方法において必要とされる人間のオペレータに関係なく、擦過されたサンプルの多くを迅速に、かつ、反復的に評価することが可能である。
【0093】
方法5:コーティング方法
米国特許第4,791,881号明細書に記載のとおり、日本国東京(Tokyo,Japan)の康井精機社(Yasui−Seiki Co.Ltd.)製のマイクログラビアコーティング装置を用いて、基材フィルムが未硬化組成物でコートされる。この装置は、ドクターブレードおよび20mmのロール径を有する康井精機社(Yasui−Seiki Co.)製グラビアロール230番(230ライン/インチ)、1.5〜3.5μm濡れ厚さ範囲)を含む。コーティングは、3〜11rpmのグラビアロール回転速度および0.5m/分の移動ライン速度を用いて実施される。
【0094】
方法6:硬化方法
10〜1,000ppm酸素の計測範囲にわたる制御された窒素不活性化能を備えるDRSコンベヤ/UV処理器(15cm幅)に連結された、Fusion UV Systems/Gaithersburg MD製のLH−I6P1 UV光源(200w/cm)から構成されるUV露光ユニットを用いてコートされた基材が硬化される。
【0095】
ランプ出力およびコンベヤ速度は、約0.7〜1.0m/分輸送速度で、500〜600ミリジュール/cm(UV−A照射)の計測エネルギー密度を用いてフィルムが硬化されるよう設定される。
【0096】
EIT UV Power Puck(登録商標)放射計を用いて、UV−A、UV−B、UV−CおよびUV−Vバンド幅中のUV総エネルギーが計測される。LH−I6において用いられる「H」バルブは、コートされた基材の硬化に典型的に用いられるランプ出力およびコンベヤ速度設定で、UV−A、UV−B、UV−CおよびUV−Vバンドにおいて以下の典型的なスペクトル出力を有する。
【0097】
【表1】

【0098】
コートされた基材フィルムは、ホットプレートの上で約70℃〜75℃の表面温度に予熱された金属プレート上に載せられると共に、フレームによってこのプレートとの接触が保持される。次いで、フィルムおよびフレームアセンブリがUV露光ユニットのコンベヤベルト上に載せられて、約0.9m/分の速度で露光ゾーンを通過させられる。ランプ出力は約30%に設定される。露光ゾーンは、露光ゾーンにおける酸素レベルが100ppm未満、典型的には50ppm未満であるよう窒素ガスでパージされている。
【0099】
実施例1
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0100】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、0.58g APTMSおよび9.42g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0101】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.7gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を25℃で約1時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0102】
フルオロエラストマーを含む混合物は、1.0gのViton(登録商標)GF200S、0.1gのTAICおよび0.1gのIrgacure−651を、16.85gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、3.44gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0103】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0104】
コートされおよび硬化されたフィルム片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム部分のRVISが方法2(鏡像反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム部分のヘーズが方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム部分の引掻き%が方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0105】
実施例2
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0106】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、0.58g APTMSおよび9.42g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0107】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.7gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を25℃で約1時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0108】
フルオロエラストマーを含む混合物は、1.0gのViton(登録商標)GF200S、0.1gのTAICおよび0.1gのIrgacure−651を、16.55gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、2.4gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0109】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0110】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0111】
実施例3
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0112】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.16g APTMSおよび18.84g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約72時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0113】
ナノシリカ複合体前駆体が、12.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および17.4gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を25℃で約4時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0114】
フルオロエラストマーを含む混合物は、5.0gのViton(登録商標)GF200S、0.5gのTAICおよび0.3gのIrgacure−907を、80.7gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、12.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0115】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0116】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0117】
実施例4
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0118】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.16g APTMSおよび18.84g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0119】
ナノシリカ複合体前駆体が、12.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および17.4gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を25℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0120】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAICおよび0.15gのIrgacure−907を、40.0gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、8.6gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0121】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0122】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0123】
実施例5
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0124】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.16g APTMSおよび18.84g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0125】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.7gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を25℃で約20時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0126】
フルオロエラストマーを含む混合物は、1.5gのViton(登録商標)GF200S、0.15gのTAICおよび0.09gのIrgacure−907を、24.2gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、3.6gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0127】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0128】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0129】
実施例6
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0130】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.16g APTMSおよび18.84g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0131】
ナノシリカ複合体前駆体が、12.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および17.4gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を25℃で約9日間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0132】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAICおよび0.15gのIrgacure−907を、45.5gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、8.6gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0133】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0134】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0135】
実施例7
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0136】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.16g APTMSおよび18.84g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0137】
ナノシリカ複合体前駆体が、12.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および17.4gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を25℃で約8日間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0138】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAICおよび0.15gのIrgacure−907を、45.5gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0139】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0140】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0141】
実施例8
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0142】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.74g APTMSおよび28.26g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約48時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0143】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.7gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0144】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.0gのViton(登録商標)GF200S、0.2gのTAICおよび0.12gのIrgacure−907を、36.4gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.9gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0145】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0146】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0147】
実施例9
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0148】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.74g APTMSおよび28.26g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0149】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.7gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0150】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAICおよび0.15gのIrgacure−907を、45.5gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0151】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0152】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0153】
実施例10
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0154】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.72g APTMSおよび28.3g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約72時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0155】
ナノシリカ複合体前駆体が、16.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および23.12gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約28時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0156】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAIC、0.075gのIrgacure−907および0.015gのDarocur ITXを、44.5gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0157】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0158】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0159】
実施例11
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0160】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.72g APTMSおよび28.3g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約72時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0161】
ナノシリカ複合体前駆体が、16.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および23.12gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約28時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0162】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAIC、0.053gのSR295および0.15gのIrgacure−907を、44.5gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0163】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0164】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0165】
実施例12
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0166】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.72g APTMSおよび28.3g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約72時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0167】
ナノシリカ複合体前駆体が、16.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および23.12gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約28時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0168】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAIC、0.064gのSR247および0.15gのIrgacure−907を、44.5gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0169】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0170】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0171】
実施例13
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0172】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.72g APTMSおよび28.3g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約72時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0173】
ナノシリカ複合体前駆体が、16.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および23.12gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約28時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0174】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTACおよび0.15gのIrgacure−907を、44.5gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0175】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0176】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0177】
実施例14
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0178】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.72g APTMSおよび28.3g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約72時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0179】
ナノシリカ複合体前駆体が、16.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および23.12gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約28時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0180】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTABTCおよび0.15gのIrgacure−907を、44.5gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0181】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0182】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0183】
実施例15
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0184】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.67g ATMS、1.4g蒸留水および11.93g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0185】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.68gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0186】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAICおよび0.15gのIrgacure−907を、44.35gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0187】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0188】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0189】
実施例16
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0190】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.67g ATMS、1.4g蒸留水および11.93g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0191】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.68gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0192】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAIC、0.065gのSR247および0.15gのIrgacure−907を、44.35gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0193】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0194】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0195】
実施例17
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0196】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.04g ATMS、0.58g蒸留水および13.38g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0197】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.68gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0198】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAICおよび0.15gのIrgacure−907を、44.35gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0199】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0200】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0201】
実施例18
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0202】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.04g ATMS、0.58g蒸留水および13.38g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0203】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.68gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0204】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAIC、0.065gのSR247および0.15gのIrgacure−907を、44.35gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0205】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0206】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0207】
実施例19
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0208】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、0.63g ATMS、0.03g蒸留水および14.34g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0209】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.67gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0210】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAICおよび0.15gのIrgacure−907を、44.35gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0211】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0212】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0213】
実施例20
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0214】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、0.63g ATMS、0.03g蒸留水および14.34g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0215】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.67gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0216】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAIC、0.065gのSR247および0.15gのIrgacure−907を、44.35gの酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.0gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0217】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0218】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0219】
実施例21
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0220】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、0.87g HTESおよび14.13g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0221】
ナノシリカ複合体前駆体が、2.46gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および4.26gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0222】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAICおよび0.15gのIrgacure−907を23.8g酢酸プロピルおよび15.9gメチルイソブチルケトン中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、6.7gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0223】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0224】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0225】
実施例22
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0226】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、0.87g OTMSおよび14.13g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0227】
ナノシリカ複合体前駆体が、2.46gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および3.41gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0228】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAICおよび0.15gのIrgacure−907を、24.3g酢酸プロピルおよび16.2gメチルイソブチルケトン中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、5.9gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0229】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0230】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0231】
実施例23
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0232】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、0.87g UTMSおよび14.13g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0233】
ナノシリカ複合体前駆体が、2.46gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および3.41gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0234】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAICおよび0.15gのIrgacure−907を、24.3g酢酸プロピルおよび16.2gメチルイソブチルケトン中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、5.9gのナノシリカ複合体が添加されて未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0235】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0236】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0237】
比較例A
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0238】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、0.58g APTMSおよび9.42g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約72時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0239】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.7gの混合物第1番を25℃で組み合わせることにより形成される。この混合物は熟成させず、混合後すぐに用いた。
【0240】
フルオロエラストマーを含む混合物は、1.0gのViton(登録商標)GF200S、0.1gのTAICおよび0.1gのIrgacure−651を、16.0g酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、3.43gの新たに調製されたナノシリカ複合体前駆体を添加して未硬化組成物を形成した。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0241】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0242】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0243】
比較例B
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0244】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、0.58g APTMSおよび9.42g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約72時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0245】
ナノシリカ複合体前駆体が、6.0gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)および8.7gの混合物第1番を25℃で組み合わせることにより形成される。この混合物は熟成させず、混合後すぐに用いた。
【0246】
フルオロエラストマーを含む混合物は、1.0gのViton(登録商標)GF200S、0.1gのTAICおよび0.1gのIrgacure−651を、16.1g酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、2.4gの新たに調製されたナノシリカ複合体前駆体を添加して未硬化組成物を形成した。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0247】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0248】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0249】
比較例C
ビニル変性/HMDS粒子は、以下のとおり、(3Mに対する)米国特許出願公開第2006/0147177 A1号明細書、[0127]の手法を用いて調製される。
【0250】
0.57gビニルトリメトキシシラン(Aldrich)を含有する1−メトキシ−2−プロパノール10gの溶液を調製すると共に、15gの穏やかに攪拌しているNalco 2327(水中の40.9重量%コロイダルシリカ、アンモニウム安定化、Nalco(Naperville,IL)から入手可能)に周囲温度で徐々に添加した。追加の5.42g(5ml)の1−メトキシ−2−プロパノールを用いて、シラン溶液容器をすすいでシリカ混合物に入れた。この反応混合物を90℃でおよそ20時間加熱した。
【0251】
この反応混合物を周囲温度にまで冷却し、次いで、窒素流を表面上に流過させることにより、乾燥するまで穏やかに蒸発させた。得られた白色の粒状の固形分を、50mlテトラヒドロフランおよび2.05gヘキサメチルジシラザン(HMDS、Aldrich)と組み合わせ、次いで、超音波浴に10時間入れて、再分散させると共に反応させた。得られたわずかに濁った分散体を、ロータリーエバポレータで減圧下に乾燥するまで蒸発させた。得られた固形分を100℃エアオーブン中に約20時間入れた。これは、6.52gのビニル変性/HMDS粒子をもたらした。
【0252】
ビニル変性/HMDS粒子の分散体を、3.00gのビニル変性/HMDS粒子を12.00gのメチルエチルケトン(MEK)と組み合わせ、次いで、超音波浴中に12時間入れて分散させることにより調製した。少量の沈降物が分散体中にあったために、粒子のすべては分散されなかった。分散体は0.45ミクロンガラスマイクロファイバフィルタを通して容易にろ過され、これにより、沈降物を除去すると共に、MEK中に20.4重量%ビニル変性/HMDS粒子を含有する分散体を得た。
【0253】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAICおよび0.15gのIrgacure−907を、46.5g酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、MEK中に20.4重量%ビニル変性/HMDS粒子を含有する3.83gの分散体が添加されて未硬化組成物が形成される。
【0254】
次いで、得られた未硬化組成物は0.45μガラスマイクロファイバメンブランフィルタを通してろ過されると共に、調製から24時間以内にコーティングに用いられる。
【0255】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0256】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0257】
比較例D
A−174/HMDS粒子は、以下のとおり、(3Mに対する)米国特許出願公開第2006/0147177 A1号明細書、[0128]の手法を用いて調製される。
【0258】
0.47gの3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(A−174、Aldrich)を含有する1−メトキシ−2−プロパノール10gの溶液を調製すると共に、15gの穏やかに攪拌しているNalco 2327(水中の40.9重量%コロイダルシリカ、アンモニウム安定化、Nalco(Naperville,IL)から入手可能)に周囲温度で徐々に添加した。追加の5.42g(5ml)の1−メトキシ−2−プロパノールを用いて、シラン溶液容器をすすいでシリカ混合物に入れた。この反応混合物を90℃でおよそ20時間加熱した。
【0259】
この反応混合物を周囲温度にまで冷却し、次いで、窒素流を表面上に流過させることにより、乾燥するまで穏やかに蒸発させた。得られた白色の粒状の固形分を、50mlテトラヒドロフランおよび2.05gヘキサメチルジシラザン(HMDS、Aldrich)と組み合わせ、次いで、超音波浴に10時間入れて、再分散させると共に反応させた。得られたわずかに濁った分散体を、ロータリーエバポレータで減圧下に乾燥するまで蒸発させた。得られた固形分を100℃エアオーブン中に約20時間入れた。これは、5.0gのA−174/HMDS粒子をもたらした。
【0260】
A−174/HMDS粒子の分散体を、3.00gのA−174/HMDS粒子を12.00gのメチルエチルケトン(MEK)と組み合わせ、次いで、超音波浴中に12時間入れて分散させることにより調製した。少量の沈降物が分散体中にあったために、粒子のすべては分散されなかった。分散体は0.45ミクロンガラスマイクロファイバフィルタを通して容易にろ過され、これにより、沈降物を除去すると共に、MEK中に20.4重量%のA−174/HMDS粒子を含有する分散体を得た。
【0261】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.5gのViton(登録商標)GF200S、0.25gのTAICおよび0.15gのIrgacure−907を、46.5g酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、MEK中に20.4重量%のA−174/HMDS粒子を含有する3.83gの分散体が添加されて未硬化組成物が形成される。
【0262】
次いで、得られた未硬化組成物は0.45μガラスマイクロファイバメンブランフィルタを通してろ過されると共に、調製から24時間以内にコーティングに用いられる。
【0263】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0264】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0265】
実施例24
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0266】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、2.32g APTMS、1.0g蒸留水および16.7g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0267】
ナノシリカ複合体前駆体が、1.92gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)、3.78gのSKK中空ナノシリカ(MIBK中に22.1重量%SiO)および2.77gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を25℃で約20時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0268】
フルオロエラストマーを含む混合物は、1.5gのViton(登録商標)GF200S、0.15gのTAICおよび0.15gのIrgacure−651を、33.5g酢酸プロピル中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、8.47gのナノシリカ複合体のすべてを添加して未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0269】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0270】
コートされおよび硬化されたフィルム片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム部分のRVISが方法2(鏡像反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム部分のヘーズが方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム部分の引掻き%が方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表1に報告されている。
【0271】
実施例25
酸性エタノールが、0.4g氷酢酸および100gエタノール(95体積%、7.7重量%水を含有)を組み合わせることにより形成される。
【0272】
オキシシラン加水分解物および縮合物溶液である混合物第1番は、1.44g APTMSおよび23.57g酸性エタノールをプラスチックボトル中で組み合わせると共に約25℃で約24時間攪拌することにより形成される。ガスクロマトグラフィ分析は、24時間の攪拌の後、残留する未加水分解オキシシランは1%未満であることを示した。
【0273】
ナノシリカ複合体前駆体が、2.55gのNissan MEK−ST(MEK中に31.8重量%のSiO)、5.04gのSKK中空ナノシリカ(MIBK中に22.1重量%のSiO)および7.46gの混合物第1番を組み合わせることにより形成される。この混合物を50℃で約24時間維持してナノシリカ複合体を形成した。
【0274】
フルオロエラストマーを含む混合物は、2.0gのViton(登録商標)GF200S、0.2gのTAICおよび0.12gのIrgacure−907を26.0g酢酸ブチルおよび16.55gメチルイソブチルケトン中に組み合わせると共に溶解させることにより形成される。この混合物に、15.05gのナノシリカ複合体のすべてを添加して未硬化組成物が形成される。次いで、この未硬化組成物が0.45μガラスマイクロファイバフィルタを通してろ過されると共に、コーティングに用いられる。
【0275】
アクリレート硬質コートトリアセチルセルロースフィルムの60cm×10.2cmストリップが、方法5(コーティング方法)により未硬化組成物でコートされる。このコートされたフィルムが、各々が30cm×10.2cmの2枚の切片に切断されると共に、方法6(硬化方法)により硬化される。
【0276】
コートされると共に硬化されたフィルム切片が方法1(表面擦過)により擦過される。擦過されたフィルム切片のRVISは方法2(鏡面反射率の計測)により計測される。擦過されたフィルム切片のヘーズは方法3(ヘーズ)により計測される。擦過されたフィルム切片の擦傷%は方法4(表面擦過の定量化)により計測される。結果が表2に報告されている。
【0277】
表1:
表1は、実施例1〜23および比較例A〜Dについてのパラメータおよびデータを表す。表1の表題欄は以下のとおり定義される:「phrナノシリカ」(100重量部のフルオロエラストマー当たりの、乾燥ナノシリカの重量部);「体積%ナノシリカ」(乾燥ナノシリカの体積を、乾燥ナノシリカと、フルオロエラストマーと、多オレフィン性架橋剤との体積の総和によって除した商の100倍;「オキシシラン」(用いられたオキシシラン);「当量の水/加水分解性Si−OR」(加水分解されたオキシシランのモル数とオキシシラン上の加水分解性Si−OR基の数とを乗じた積により除したオキシシラン加水分解物および縮合物溶液の形成に用いた水のモル数の比);「pphオキシシランvs.ナノシリカ」(オキシシランの重量部/100重量部の乾燥ナノシリカ);「ナノシリカ処理温度/オキシシランとの時間」(ナノシリカ複合体前駆体が熟成されてナノシリカ複合体が形成される温度およびその温度での時間);「Rvis(%)」(方法2により測定される鏡面反射率);「ヘーズ(%)」(方法3により測定されるヘーズ);「擦傷(%)」(方法1により擦過された後に方法4により測定される表面擦過の定量化)。
【0278】
表2:
表2は、実施例24〜25についてのパラメータおよびデータを表す。表2の表題欄は以下のとおり定義される:「phr中実ナノシリカ」(乾燥中実ナノシリカの重量部/100重量部のフルオロエラストマー);「体積%中実ナノシリカ」(乾燥中実ナノシリカの体積を、乾燥中実ナノシリカと、乾燥中空ナノシリカと、フルオロエラストマーと、多オレフィン性架橋剤との体積の総和によって除した商の100倍);「phr中空ナノシリカ」(乾燥中空ナノシリカの重量部/100重量部のフルオロエラストマー);「体積%中空ナノシリカ」(乾燥中空ナノシリカの体積を、乾燥中実ナノシリカと、乾燥中空ナノシリカと、フルオロエラストマーと、多オレフィン性架橋剤との体積の総和によって除した商の100倍);残りの表題欄は表1の表題欄と同様に定義されている。
【0279】
【表2】

【0280】
【表3】

【0281】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー;
(ii)多オレフィン性架橋剤;
(iii)フリーラジカル重合開始剤;
(iv)
(iv−a)複数のナノシリカ粒子、および
(iv−b)炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一つであって、ここで該オキシシランを、有機酸および低級アルキルアルコールの存在下、該オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約3〜約9モルの水と接触させることにより形成される、上記加水分解物および縮合物の少なくとも一つ
を含むナノシリカ複合体;
の反応生成物を含む低屈折率組成物。
【請求項2】
複数のナノシリカ粒子が複数の中実ナノシリカ粒子を含み、そしてここで該複数の中実ナノシリカ粒子が、低屈折率組成物の少なくとも約10体積%を占める、請求項1に記載の低屈折率組成物。
【請求項3】
複数の中実ナノシリカ粒子が、少なくとも約50%であるが100%未満の非反応性置換基で官能化された反応性シラノールを有する、請求項2に記載の低屈折率組成物。
【請求項4】
ナノシリカ複合体が、反応生成物の形成の前に少なくとも約25℃の温度で少なくとも約1時間熟成される、請求項1に記載の低屈折率組成物。
【請求項5】
有機酸が、25℃の水中で少なくとも約4.7のpKを有する、請求項1に記載の低屈折率組成物。
【請求項6】
複数のナノシリカ粒子が複数の中実ナノシリカ粒子を含み、そしてここで加水分解物および縮合物の少なくとも一方を形成するために用いられるオキシシランの量および上記複数の中実ナノシリカ粒子の量が、100gの上記複数の中実ナノシリカ粒子当たり約0.8g〜約110gの上記オキシシランである、請求項1に記載の低屈折率組成物。
【請求項7】
複数のナノシリカ粒子が複数の多孔性ナノシリカ粒子を含み、そしてここで加水分解物および縮合物の少なくとも一方を形成するために用いられるオキシシランの量および該複数の多孔性ナノシリカ粒子の量が、100gの該複数の多孔性ナノシリカ粒子当たり約0.8g〜約120gの該オキシシランである、請求項1に記載の低屈折率組成物。
【請求項8】
方法1による擦過の後に方法4により測定して、約10以下の擦傷割合を有する耐摩耗性反射防止コーティングを有する基材を含む物品であって、該耐摩耗性反射防止コーティングが:
(i)少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー;
(ii)多オレフィン性架橋剤;
(iii)フリーラジカル重合開始剤;ならびに
(iv)
(iv−a)上記耐摩耗性反射防止コーティングの少なくとも約10体積パーセントを占める複数の中実ナノシリカ粒子;および
(iv−b)炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一つであって、ここで該オキシシランを、有機酸および低級アルキルアルコールの存在下、該オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約3〜約9モルの水と接触させることにより形成される、上記加水分解物および縮合物の少なくとも一つ
を含むナノシリカ複合体
の反応生成物を含み;そしてここで該ナノシリカ複合体が該反応生成物の形成前に少なくとも約25℃の温度で少なくとも約1時間熟成される物品。
【請求項9】
複数の中実ナノシリカ粒子が、少なくとも約50%であるが100%未満の、非反応性置換基で官能化された反応性シラノールを有する、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
有機酸が、25℃の水中で少なくとも約4.7のpKを有する、請求項8に記載の物品。
【請求項11】
加水分解物および縮合物の少なくとも一つを形成するために用いられるオキシシランの量および複数の中実ナノシリカ粒子の量が、100gの該複数の中実ナノシリカ粒子当たり約0.8g〜約110gの該オキシシランである、請求項8に記載の物品。
【請求項12】
複数の中実ナノシリカ粒子が複数の多孔性ナノシリカ粒子をさらに含み、そしてここで加水分解物および縮合物の少なくとも一つを形成するために用いられるオキシシランの量ならびに該複数の多孔性ナノシリカ粒子の量が、100gの該複数の多孔性ナノシリカ粒子当たり約0.8g〜約120gの該オキシシランである、請求項8に記載の物品。
【請求項13】
方法1による擦過の後に方法4により測定して、約10以下の擦傷割合を有する耐摩耗性反射防止コーティングを基材上に形成する方法であって:
(i)
(i−a)炭素−炭素二重結合を有するオキシシランの加水分解物および縮合物の少なくとも一つであって、ここで該オキシシランを、有機酸および低級アルキルアルコールの存在下、該オキシシランのケイ素に結合している加水分解性官能基1モル当たり約3〜約9モルの水と接触させることにより形成される、上記加水分解物および縮合物の少なくとも一つと、
(i−b)複数の中実ナノシリカ粒子と
を組み合わせてナノシリカ複合体前駆体を形成させる工程であって、該複数の中実ナノシリカ粒子が上記耐摩耗性反射防止コーティングの少なくとも約10体積パーセントを占める工程;
(ii)該ナノシリカ複合体前駆体を少なくとも約25℃の温度で少なくとも約1時間熟成させてナノシリカ複合体を形成させる工程;
(iii)該ナノシリカ複合体、少なくとも1つの硬化部位を有するフルオロエラストマー、多オレフィン性架橋剤、およびフリーラジカル重合開始剤を組み合わせて未硬化組成物を形成させる工程;
(iv)該未硬化組成物のコーティングを上記基材上に塗布して、未硬化組成物コーティングを該基材上に形成する工程;ならびに
(v)該未硬化組成物コーティングを硬化させて、これにより、上記耐摩耗性反射防止コーティングを該基材上に形成する工程、
を含む方法。
【請求項14】
複数の中実ナノシリカ粒子が、少なくとも約50%であるが100%未満の、非反応性置換基で官能化された反応性シラノールを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
有機酸が、25℃の水中で少なくとも約4.7のpKを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
加水分解物および縮合物の少なくとも一つを形成するために用いられるオキシシランの量および複数の中実ナノシリカ粒子の量が、100gの該複数の中実ナノシリカ粒子当たり約0.8g〜約110gの該オキシシランである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ナノシリカ複合体前駆体が複数の多孔性ナノシリカ粒子をさらに含み、そしてここで加水分解物および縮合物の少なくとも一つを形成するために用いられるオキシシランの量および該複数の多孔性ナノシリカ粒子の量が、100gの該複数の多孔性ナノシリカ粒子当たり約0.8g〜約120gの該オキシシランである、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2011−505465(P2011−505465A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536098(P2010−536098)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/084528
【国際公開番号】WO2009/073441
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】