説明

低消費電力パターン生成装置、自発光表示装置、電子機器、低消費電力パターン生成方法、コンピュータプログラム及びデータ構造

【課題】既存の低消費電力化技術は、消費電力の低減効果が小さかったり、元画像と全く異なる画面に変更される。
【解決手段】同階調値が水平方向にも垂直方向にも連続して現れる同階調パターンの出現時に、当該同階調パターンを構成する一部画素の階調値だけを元の階調値より小さい階調値に変換する。具体的には、当該同階調パターンを構成する左方側外縁、右方側外縁、上方側外縁及び下方側外縁のうちいずれか1つの外縁上に位置する画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書で説明する発明は、自発光表示装置で消費される電力の削減技術に関する。
なお、発明者らが提案する発明は、低消費電力パターン生成装置、自発光表示装置、電子機器、低消費電力パターン生成方法、コンピュータプログラム及びデータ構造としての側面を有する。
【背景技術】
【0002】
全ての表示装置に共通する課題に、表示デバイスで消費される電力の抑制がある。表示デバイスにおける消費電力の抑制は、表示装置全体の消費電力を抑制する上でも非常に重要である。現在提案されている低消費電力化技術として、以下に示すものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−361497号公報 この特許文献には、減色処理により映像データの転送に必要な消費電力を低減する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献2】特開2005−115428号公報 この特許文献には、白色背景に黒文字等を表示する画面構成を、黒色背景に白文字等を表示する画面構成に変換する技術が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に示す技術は、あまり大きな削減効果を期待できない。そもそもデータ転送で消費される電力が小さいためである。
一方、特許文献2に記載の技術では、表示画像が元画像とは全く異なる画面に変更されてしまう。すなわち、元画像の視認性が大幅に低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで発明者らは、自発光表示装置の低消費電力化と視認性との両立を可能とする技術を提案する。
すなわち、同階調値が水平方向にも垂直方向にも連続して現れる同階調パターンの出現時に、当該同階調パターンを構成する一部画素の階調値だけを元の階調値より小さい階調値に変換する技術を提案する。
【0007】
ここで、階調値を低減する画素は1画素でも複数画素でも良い。また、階調値を低減する画素の表示パターン内の位置は、表示パターンの輪郭(外縁)に位置する画素でもその内側に位置する画素でも構わない。
【発明の効果】
【0008】
発明者らの提案する技術の採用により、同階調値が水平方向にも垂直方向にも連続して現れる同階調パターンの表示で消費される電力量を、変換前に比して低減することができる。また、この技術は、同階調パターン以外の表示には一切影響を与えない。このため、表示画面全体としての視認性を低下させずに済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、発明に係る低消費電力化技術を説明する。
なお、本明細書で特に図示又は記載されない部分には、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。
また以下に説明する形態例は、発明の一つの形態例であって、これらに限定されるものではない。
【0010】
(A)形態例1
(A−1)システム構成
図1に、発明者らが提案する低消費電力化技術を搭載する表示装置1の機能構成例を示す。なお、図1は、発明に関連する機能部分のみを表している。従って、表示装置1に搭載される機能の一部は省略されている。例えば、入力画像信号に対する各種の信号処理については省略して表している。
【0011】
図1に示す表示装置1は、低消費電力パターン生成部3と有機ELパネルモジュール5により構成する。
低消費電力パターン生成部3は、特定の条件を満たす表示パターンを低消費電力パターンに変換する処理デバイスである。
【0012】
この形態例の場合、「特定の条件を満たす表示パターン」とは、同階調値が水平方向にも垂直方向にも連続して現れる同階調パターン(階調値が全て同じか、階調値の差分が一定値以内の画素が水平方向及び垂直方向に連続して現れる表示パターン)をいう。
【0013】
また、この形態例の場合、「低消費電力パターン」とは、同階調パターンを構成する4方向の外縁のうち左方側外縁と上方側外縁に位置する画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に置き換えた表示パターンをいう。ユーザーには、影付きパターンとして認識される。図2に、同階調パターンと対応する低消費電力パターンの一例を示す。
【0014】
図2(A)は、同階調パターンの一例である。図2の場合、同階調パターンの外形は正方形状である。図2(B)は、この同階調パターンに対応する低消費電力パターンの生成例である。この形態例の場合、図2(B)に示すように、上辺側外縁と左辺側外縁上に位置する画素(斜線で示す部分)の階調値が低減される。この例では、元の階調値のγ倍(0.3倍〜0.9倍)程度に低減する。
【0015】
この低消費電力パターン生成部3は、特許請求の範囲における「低消費電力パターン生成装置」に対応する。一方、有機ELパネルモジュール5は、表示パネルとその駆動回路(ドライバ)を搭載する表示デバイスである。この有機ELパネルモジュール5には、既存の製品をそのまま使用する。
【0016】
まず、低消費電力パターン生成部3の構成を説明する。低消費電力パターン生成部3は、水平エッジ処理部31、ラインメモリ33及び垂直エッジ処理部35で構成する。
水平エッジ処理部31は、同階調パターンの左方側外縁に位置する画素を入力画像信号より検出し、当該画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に変換する処理デバイスである。この明細書では、この処理を左エッジ処理という。
【0017】
ラインメモリ33は、左エッジ処理された入力画像信号(階調値)を、複数ライン(走査線)分格納する記憶領域である。ラインメモリ33は、例えばRAM(Random Access Memory)で構成する。この形態例の場合、現在入力中の表示ライン分を含め3ライン分の入力画像信号(階調値)を蓄積できるものとする。
【0018】
すなわち、現在入力中の表示ラインに対して2ライン前までの入力画像信号(階調値)を蓄積できるものとする。なお、現在入力中の表示ラインの入力画像信号(階調値)は、この表示ラインに対して3ライン前に書き込まれた入力画像信号(階調値)を書き換えるように蓄積される。
【0019】
垂直エッジ処理部35は、同階調パターンの上方側外縁に位置する画素を入力画像信号より検出し、当該画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に変換する処理デバイスである。この明細書では、この処理を上エッジ処理という。
ここでの上エッジ処理は、水平エッジ処理部31から入力される現在ラインの入力画像信号とラインメモリ33から入力される前2ライン分の入力画像信号との比較処理に基づいて実行される。
【0020】
図3に、水平エッジ処理部31と垂直エッジ処理部35で使用する処理デバイスの内部構成例を示す。図3に示すように、この種の処理デバイスは、パターン判定部41と階調変換部43により実現できる。なお、階調変換部43は、パターン判定部41により外縁画素であると判定された画素の階調値を事前に設定した比率で低減変換する。
【0021】
パターン判定部41は、階調値の変換対象である同階調パターンのエッジを判定する。具体的には、パターン判定部41は、順次入力される各画素(判定対象画素)が所定のエッジパターンに合致するか否かを判定する。
【0022】
図4に、水平エッジ処理部31に搭載されるパターン判定部41の処理イメージを示す。すなわち、同階調パターンの左方側外縁に対応する画素位置を判定するパターン判定部41の処理イメージを示す。この場合、パターン判定部41は、図4(A)に示すように判定対象画素の階調値とその左側に位置する画素の階調値とを比較する。この階調差が基準値α1以上であることが、同階調パターンの左方側外縁であることの前提条件である。
【0023】
階調差が基準値α1以上の場合、パターン判定部41は、図4(B)に示すように判定対象画素の階調値とその右側に位置する画素の階調値とを比較する。比較した画素が同じ場合(階調差が基準値β1以内の場合)、パターン判定部41は、判定対象画素が同階調パターンの左方側外縁であると判定する。結果的に、図4(C)に示すように、判定対象画素の階調値が元の階調値よりも小さい階調値に変換される。図4(C)では、階調値の低下処理の実行を斜線で示す。
【0024】
図5に、垂直エッジ処理部35に搭載されるパターン判定部41の処理イメージを示す。すなわち、同階調パターンの上端側外縁に対応する画素位置を判定するパターン判定部41の処理イメージを示す。この場合、パターン判定部41は、図5(A)に示すように判定対象画素の階調値とその上側に位置する画素の階調値とを比較する。
【0025】
この階調差が基準値α2以上であることが、同階調パターンの上方側外縁であることの前提条件である。
なお、判定対象画素とその上側に位置する画素の階調値は、ラインメモリ33から垂直エッジ処理部35に読み出される。
【0026】
階調差が基準値α2以上の場合、パターン判定部41は、図5(B)に示すように判定対象画素の階調値とその下側に位置する画素の階調値とを比較する。比較した画素が同じ場合(階調差が基準値β2以内の場合)、パターン判定部41は、判定対象画素が同階調パターンの上方側外縁であると判定する。
【0027】
結果的に、図5(C)に示すように、判定対象画素の階調値が元の階調値よりも小さい階調値に変換される。図5(C)では、階調値の低下処理の実行を斜線で示す。なお、判定対象画素の階調値はラインメモリ33から読み出され、判定対象画素の下側に位置する画素の階調値は現在ラインの入力画像信号として水平エッジ処理部31から与えられる。
【0028】
次に、有機ELパネルモジュール5の内部構成を説明する。有機ELパネルモジュール5は、タイミング制御部51、データ線ドライバ53、ゲート線ドライバ55及び有機ELディスプレイパネル57で構成する。
【0029】
タイミング制御部51は、階調変換部35から与えられる表示画像信号に基づいて画面表示に必要なタイミング信号を発生する制御デバイスである。
データ線ドライバ53は、有機ELディスプレイパネル57のデータ線を駆動する回路である。データ線ドライバ53は、表示画像信号をアナログ電圧に変換し、データ線に供給する動作を実行する。データ線ドライバ53は、周知の駆動回路で構成する。
【0030】
ゲート線ドライバ55は、有機ELディスプレイパネル57のゲート線を線順次走査方式により駆動する回路である。このため、ゲート線ドライバ55は、アナログ電圧の書込信号をゲート線に供給する動作を実行する。ゲート線ドライバ7も、周知の駆動回路で構成する。
【0031】
有機ELディスプレイパネル57は、表示画素がマトリクス状に配置された表示デバイスである。表示画素は、有機EL素子と画素回路とで構成される。画素回路は、書込信号により選択されたタイミングでアナログ電圧値を書き込むと共に、書き込まれたアナログ電圧に応じた大きさの電流を有機EL素子に供給する。有機EL素子は、供給される電流に応じた明るさで発光する。
【0032】
(A−2)低消費電力パターンの生成動作
ここでは、前述した低消費電力化パターン生成部3において実行される処理動作をフローチャートに従って説明する。
【0033】
(a)水平エッジ処理部の処理動作
図6に、水平エッジ処理部31の処理動作例を示す。図6では、判定対象画素が画面上端からm行目、画面左端からn列目に位置するものとし、当該画素の階調値をKm,n と表記する。
【0034】
まず、水平エッジ処理部31は、判定対象画素の階調値Km,n と左隣に位置する画素の階調値Km,n-1 との差分が基準値α1より大きいか否かを判定する(S1)。ここではエッジを検出することが目的であるので、基準値α1として十分大きな値を使用する。例えば階調値が8ビットで与えられる場合、基準値α1には「63」を使用する。勿論、これは一例であってアプリケーションに応じて適切な値を用いれば良い。
【0035】
処理S1で肯定結果が得られた場合、水平エッジ処理部31は、更に判定対象画素の階調値Km,n と右隣に位置する画素の階調値Km,n+1 との差分が基準値β1より小さいか否かを判定する(S2)。ここでは同階調値の連続を検出することが目的であるので、基準値β1として十分小さい値を使用する。例えば階調値が8ビットで与えられる場合、基準値β1には「20」を使用する。勿論、これは一例であってアプリケーションに応じて適切な値を用いれば良い。
【0036】
処理S2においても肯定結果が得られると(このことは、水平方向に同階調画素が連続する同階調パターンの左方側外縁が見つかったことを意味する。)、水平エッジ処理部31は、判定対象画素の階調値Km,n をγ1倍(例えば0.7 倍)してラインメモリ33と垂直エッジ処理部35に出力する(S3、S5)。この後、判定対象画素の位置を右隣に更新し、再び処理S1から一連の処理動作を繰り返す(S6)。
【0037】
一方、処理S1や処理S2で否定結果が得られた場合、水平エッジ処理部31は、判定対象画素の階調値Km,n を入力時のまま変更せず出力する(S4、S5)。この後、判定対象画素の位置を右隣に更新し、再び処理S1から一連の処理動作を繰り返す(S6)。
【0038】
(b)垂直エッジ処理部の処理動作
図7に、水平エッジ処理部35の処理動作例を示す。図7の場合も、判定対象画素が画面上端からm行目、画面左端からn列目に位置するものとし、当該画素の階調値をKm,n と表記する。
【0039】
まず、垂直エッジ処理部35は、判定対象画素の階調値Km,n と1ライン上に位置する画素の階調値Km-1,n との差分が基準値α2より大きいか否かを判定する(S11)。ここではエッジを検出することが目的であるので、基準値α2として十分大きな値を使用する。この形態例の場合、基準値α2には、水平方向のエッジ検出に使用する基準値α1とは同じ値を使用する。
【0040】
例えば階調値が8ビットで与えられる場合、基準値α2には「63」を使用する。勿論この場合も、この値は一例であってアプリケーションに応じて適切な値を用いれば良い。
処理S11で肯定結果が得られた場合、垂直エッジ処理部35は、更に判定対象画素の階調値Km,n と1ライン下に位置する画素の階調値Km+1,n との差分が基準値β2より小さいか否かを判定する(S12)。
【0041】
ここでは同階調値の連続を検出することが目的であるので、基準値β2として十分小さい値を使用する。なお、この場合も、基準値β2には、水平方向のエッジ検出に使用する基準値β1と同じ値を使用する。
【0042】
例えば階調値が8ビットで与えられる場合、基準値β2には「20」を使用する。勿論、これは一例であってアプリケーションに応じて適切な値を用いれば良い。
処理S12においても肯定結果が得られると(このことは、垂直方向に同階調画素が連続する同階調パターンの上方側外縁が見つかったことを意味する。)、垂直エッジ処理部35は、判定対象画素の階調値Km,n をγ2倍(例えば0.7 倍)して有機ELパネルモジュール5に出力する(S13、S15)。この後、判定対象画素の位置を右隣に更新し、再び処理S11から一連の処理動作を繰り返す(S16)。
【0043】
一方、処理S11や処理S12で否定結果が得られた場合、垂直エッジ処理部35は、判定対象画素の階調値Km,n を入力時のまま変更せず出力する(S14、S15)。この後、判定対象画素の位置を右隣に更新し、再び処理S11から一連の処理動作を繰り返す(S16)。
【0044】
(A−3)具体例及び効果
ここでは、同階調値が水平方向にも垂直方向にも連続して現れる同階調パターンの具体的な変換動作例を説明する。
図8(A)に、同階調パターンの一例を示す。この同階調パターンは同階調値が階段状に配置されるパターンである。なお、図8の場合、同階調パターン以外の領域部分は灰色(グレー)で表されるものとする。
【0045】
まず、水平エッジ処理部31が図中1ライン目の各画素について水平エッジ処理を実行する。図8の場合、1ライン目は背景部分であるので左方側外縁は検出されず、入力映像信号の階調値は入力時のままラインメモリ33と垂直エッジ処理部35に出力される。
【0046】
図8(B)は、2ライン目について水平エッジ処理の対象とされ、1ライン目が垂直エッジ処理の対象とされる場合を示す。2ライン目には、同階調値の画素が水平方向に2つ連続して現れるパターンが出現する。このため、画素Aの階調値がγ1倍され、ラインメモリ33に格納される。なお、この段階では垂直方向の外縁画素は検出されないので、1ライン目に対応する各画素の階調値がそのまま有機ELパネルモジュール5に出力される。
【0047】
図8(C)は、3ライン目について水平エッジ処理の対象とされ、2ライン目が垂直エッジ処理の対象とされる場合を示す。3ライン目にも、同階調値の画素が水平方向に2つ連続して現れるパターンが出現する。このため、画素Bの階調値がγ1倍され、ラインメモリ33に格納される。一方、2ライン目には、上方側外縁に位置する画素Cが出現する。このため、2ライン目では画素Cの階調値をγ2倍した階調値がその他の階調値と共に有機ELパネルモジュール5に出力される。
【0048】
以下同様に、図8(D)では、4ライン目の画素Dが左方側外縁と判定される。また図9(A)では、5ライン目の画素Eが左方側外縁と判定され、4ライン目の画素Fが上方側外縁と判定される。また図9(B)では、6ライン目の画素Gが左方側外縁と判定される。図9(C)及び図9(D)では、いずれも外縁画素は検出されない。
以上の処理動作により、同階調パターンには左側と上側に影を付した低消費電力パターンに変換される。
【0049】
このように、同階調パターンの左方側外縁と上方側外縁の発光輝度を部分的に低下させ、影付きパターンに変更することにより、表示パターンの視認性を維持したまま輝度低下分だけ低消費電力化を実現できる。
【0050】
勿論、同階調パターンの条件を満たさないその他の領域部分については、この低消費電力化パターン生成部3の存在は何ら影響を与えない。従って、表示画面全体としての視認性に影響が生じることはない。
【0051】
結果的に、表示画面全体で消費される電力量を低下させることができる。なお、消費電力の軽減効果により、表示装置1がバッテリー電源により動作される場合における動作時間の延長効果を期待できる。また、この表示装置1が商業電源により動作する据え置き型の装置の場合には、装置全体の消費電力を低減できる効果を発揮できる。
【0052】
加えて、低消費電力パターン生成部3は、小規模な回路構成により実現できる。このため、低消費電力パターン生成部3は、タイミング制御部51等と同じ半導体集積回路の一部分に実装することができる。従って、外観的には新たな周辺回路を表示装置1に実装する必要がない。
【0053】
(B)形態例2
(B−1)システム構成
この形態例では、図1に示した表示装置1と基本的に同じシステム構成により、同階調パターンを右下(右方向外縁と下方向外縁)方向に影を有する低消費電力パターンに変換する方法について説明する。
【0054】
図10に、この形態例で生成される低消費電力パターンの一例を示す。図10(A)は変換前の同階調パターンであり、図10(B)は同階調パターンに対応する低消費電力パターン例である。
以下では、この形態例に特有の水平エッジ処理部31と垂直エッジ処理部35の処理動作を説明する。
【0055】
この形態例で使用する水平エッジ処理部31は、同階調パターンの右方側外縁に位置する画素を入力画像信号より検出し、当該画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に変換する処理デバイスとして機能する。この明細書では、この処理を右エッジ処理という。
【0056】
図11に、水平エッジ処理部31の処理イメージを示す。この形態例の場合、水平エッジ処理部31(パターン判定部41)は、図11(A)に示すように判定対象画素の階調値とその右側に位置する画素の階調値とを比較する。この階調差が基準値α3以上であることが、同階調パターンの右方側外縁であることの前提条件である。
【0057】
階調差が基準値α3以上の場合、水平エッジ処理部31は、図11(B)に示すように判定対象画素の階調値とその左側に位置する画素の階調値とを比較する。比較した画素が同じ場合(階調差が基準値β3以内の場合)、水平エッジ処理部31は、判定対象画素が同階調パターンの右方側外縁であると判定する。結果的に、図11(C)に示すように、判定対象画素の階調値が元の階調値よりも小さい階調値に変換される。
【0058】
この形態例で使用する垂直エッジ処理部35は、同階調パターンの下方側外縁に位置する画素を入力画像信号より検出し、当該画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に変換する処理デバイスである。この明細書では、この処理を下エッジ処理という。
【0059】
勿論、下エッジ処理は、水平エッジ処理部31から入力される現在ラインの入力画像信号とラインメモリ33から入力される前2ライン分の入力画像信号との比較処理に基づいて実行される。
【0060】
図12に、垂直エッジ処理部35の処理イメージを示す。この形態例の場合、垂直エッジ処理部35(パターン判定部41)は、図12(A)に示すように判定対象画素の階調値とその下側に位置する画素の階調値とを比較する。この階調差が基準値α4以上であることが、同階調パターンの下方側外縁であることの前提条件である。
【0061】
階調差が基準値α4以上の場合、垂直エッジ処理部35は、図12(B)に示すように判定対象画素の階調値とその上側に位置する画素の階調値とを比較する。比較した画素が同じ場合(階調差が基準値β4以内の場合)、垂直エッジ処理部35は、判定対象画素が同階調パターンの下方側外縁であると判定する。結果的に、図12(C)に示すように、判定対象画素の階調値が元の階調値よりも小さい階調値に変換される。
【0062】
(B−2)低消費電力パターンの生成動作
ここでは、前述した低消費電力化パターン生成部3において実行される処理動作をフローチャートに従って説明する。
【0063】
(a)水平エッジ処理部の処理動作
図13に、水平エッジ処理部31の処理動作例を示す。図13も、判定対象画素が画面上端からm行目、画面左端からn列目に位置するものとする。
【0064】
まず、水平エッジ処理部31は、判定対象画素の階調値Km,n と右隣に位置する画素の階調値Km,n+1 との差分が基準値α3より大きいか否かを判定する(S21)。ここではエッジを検出することが目的であるので、基準値α3として十分大きな値を使用する。例えば階調値が8ビットで与えられる場合、基準値α3には「63」を使用する。勿論、これは一例であってアプリケーションに応じて適切な値を用いれば良い。
【0065】
処理S21で肯定結果が得られた場合、水平エッジ処理部31は、更に判定対象画素の階調値Km,n と左隣に位置する画素の階調値Km,n-1 との差分が基準値β3より小さいか否かを判定する(S22)。
【0066】
ここでは同階調値の連続を検出することが目的であるので、基準値β3として十分小さい値を使用する。例えば階調値が8ビットで与えられる場合、基準値β3には「20」を使用する。勿論、これは一例であってアプリケーションに応じて適切な値を用いれば良い。
【0067】
処理S22においても肯定結果が得られると(このことは、水平方向に同階調画素が連続する同階調パターンの左方側外縁が見つかったことを意味する。)、水平エッジ処理部31は、判定対象画素の階調値Km,n をγ3倍(例えば0.7 倍)してラインメモリ33と垂直エッジ処理部35に出力する(S23、S25)。この後、判定対象画素の位置を右隣に更新し、再び処理S21から一連の処理動作を繰り返す(S26)。
【0068】
一方、処理S21や処理S22で否定結果が得られた場合、水平エッジ処理部31は、判定対象画素の階調値Km,n を入力時のまま変更せず出力する(S24、S25)。この後、判定対象画素の位置を右隣に更新し、再び処理S21から一連の処理動作を繰り返す(S26)。
【0069】
(b)垂直エッジ処理部の処理動作
図14に、水平エッジ処理部35の処理動作例を示す。図14の場合も、判定対象画素が画面上端からm行目、画面左端からn列目に位置するものとし、当該画素の階調値をKm,n と表記する。
【0070】
まず、垂直エッジ処理部35は、判定対象画素の階調値Km,n と1ライン下に位置する画素の階調値Km+1,n との差分が基準値α4より大きいか否かを判定する(S31)。ここではエッジを検出することが目的であるので、基準値α4として十分大きな値を使用する。この形態例の場合、基準値α4には、水平方向のエッジ検出に使用する基準値α3とは同じ値を使用する。
【0071】
例えば階調値が8ビットで与えられる場合、基準値α4には「63」を使用する。勿論この場合も、この値は一例であってアプリケーションに応じて適切な値を用いれば良い。
処理S31で肯定結果が得られた場合、垂直エッジ処理部35は、更に判定対象画素の階調値Km,n と1ライン上に位置する画素の階調値Km-1,n との差分が基準値β4より小さいか否かを判定する(S32)。
【0072】
ここでは同階調値の連続を検出することが目的であるので、基準値β4として十分小さい値を使用する。なお、この場合も、基準値β4には、水平方向のエッジ検出に使用する基準値β3と同じ値を使用する。
【0073】
例えば階調値が8ビットで与えられる場合、基準値β4には「20」を使用する。勿論、これは一例であってアプリケーションに応じて適切な値を用いれば良い。
処理S32においても肯定結果が得られると(このことは、垂直方向に同階調画素が連続する同階調パターンの上方側外縁が見つかったことを意味する。)、垂直エッジ処理部35は、判定対象画素の階調値Km,n をγ2倍(例えば0.7 倍)して有機ELパネルモジュール5に出力する(S33、S35)。この後、判定対象画素の位置を右隣に更新し、再び処理S31から一連の処理動作を繰り返す(S36)。
【0074】
一方、処理S31や処理S32で否定結果が得られた場合、垂直エッジ処理部35は、判定対象画素の階調値Km,n を入力時のまま変更せず出力する(S34、S35)。この後、判定対象画素の位置を右隣に更新し、再び処理S31から一連の処理動作を繰り返す(S36)。
【0075】
(B−3)具体例及び効果
ここでは、同階調値が水平方向にも垂直方向にも連続して現れる同階調パターンの具体的な変換動作例を説明する。
図15(A)に、同階調パターンの一例を示す。この同階調パターンは、形態例1で説明した同階調パターン8(図8)と同じものである。なお、図15の場合も、同階調パターン以外の領域部分は灰色(グレー)で表されている。
【0076】
まず、水平エッジ処理部31が図中1ライン目の各画素について水平エッジ処理を実行する。図8の場合、1ライン目は背景部分であるので右方側外縁は検出されず、入力映像信号の階調値は入力時のままラインメモリ33と垂直エッジ処理部35に出力される。
【0077】
図15(B)は、2ライン目について水平エッジ処理の対象とされ、1ライン目が垂直エッジ処理の対象とされる場合を示す。2ライン目には、同階調値の画素が水平方向に2つ連続して現れるパターンが出現する。このため、画素Aの階調値がγ1倍され、ラインメモリ33に格納される。なお、この段階では垂直方向の外縁画素は検出されないので、1ライン目に対応する各画素の階調値がそのまま有機ELパネルモジュール5に出力される。
【0078】
図15(C)は、3ライン目について水平エッジ処理の対象とされ、2ライン目が垂直エッジ処理の対象とされる場合を示す。3ライン目にも、同階調値の画素が水平方向に2つ連続して現れるパターンが出現する。このため、画素Bの階調値がγ3倍され、ラインメモリ33に格納される。一方、2ライン目には、下方側外縁に対応する画素は現れない。このため、2ライン目に対応する各画素の階調値がそのまま有機ELパネルモジュール5に出力される。
【0079】
以下同様に、図15(D)では、4ライン目の画素Cが右方側外縁と判定される。また図16(A)では、5ライン目の画素Dが右方側外縁と判定される。また図16(B)では、6ライン目の画素Eが右方側外縁と判定される。図16(C)では、下方側外縁に対応する2つの画素F及びGが6ライン目に出現する。このため、図16(C)では、これら6ライン目の画素F及びGの階調値をγ4倍した階調値がその他の階調値と共に有機ELパネルモジュール5に出力される。なお、図16(D)では、再び表示ラインに対応する各画素の階調値がそのまま有機ELパネルモジュール5に出力される。
【0080】
以上の処理動作により、同階調パターンの右側と下側に影を付した低消費電力パターンに変換される。
このように、同階調パターンの右方側外縁と下方側外縁の発光輝度を部分的に低下させ、影付きパターンに変更することにより、表示パターンの視認性を維持したまま輝度低下分だけ低消費電力化を実現できる。
【0081】
勿論、この形態例の場合にも、同階調パターンの条件を満たさないその他の領域部分については、この低消費電力化パターン生成部3の存在は何ら影響を与えない。従って、表示画面全体としての視認性に影響が生じることはない。
【0082】
結果的に、表示画面全体で消費される電力量を低下させることができる。なお、消費電力の軽減効果により、表示装置1がバッテリー電源により動作される場合における動作時間の延長効果を期待できる。また、この表示装置1が商業電源により動作する据え置き型の装置の場合には、装置全体の消費電力を低減できる効果を発揮できる。
【0083】
加えて、低消費電力パターン生成部3は、小規模な回路構成により実現できる。このため、低消費電力パターン生成部3は、タイミング制御部51等と同じ半導体集積回路の一部分に実装することができる。従って、外観的には新たな周辺回路を表示装置1に実装する必要がない。
【0084】
(C)形態例3
ここでは、図1に示すシステム構成の応用により生成可能なその他の低消費電力パターン例を説明する。なお、基本的な処理手順は、形態例1及び2で説明した方法の組み合わせ又はその一部を用いることで実現することができる。
【0085】
例えば図17(A)に示すように、同階調パターンの右側と上側に影を付けることもできる。図17(B)は、形態例1及び2で使用した同階調パターンの右側と上側に影を付けた低消費電力パターンである。
また例えば図18(A)に示すように、同階調パターンの左側と下側に影を付けることもできる。図18(B)は、形態例1及び2で使用した同階調パターンの左側と下側に影を付けた低消費電力パターンである。
【0086】
この他、同階調パターンの外縁を構成する4方向のうち1つだけに影を付けることもできる。図19(A)に、同階調パターンの上側に影を付ける場合の例を示す。図19(B)は、形態例1及び2で使用した同階調パターンの上側に影を付けた低消費電力パターンである。
【0087】
勿論、他の方向にも影を付けることができる。例えば図20(A)に示すように同階調パターンの左側に影を付けることもできる。また例えば図20(B)に示すように同階調パターンの下側に影を付けることもできる。また例えば図20(C)に示すように同階調パターンの右側に影を付けることもできる。
【0088】
(D)形態例4
ここでは、前述した低消費電力パターン生成部3をキャラクタジェネレータに搭載する場合について説明する。
【0089】
(D−1)システム構成
図21に、キャラクタジェネレータ101の機能構成例を示す。このキャラクタジェネレータ101も、特許請求の範囲における「低消費電力パターン生成装置」に対応する。なお、図21には、図1との対応部分に同一符号を付して表している。
【0090】
図21に示すキャラクタジェネレータ101は、オリジナルパターンメモリ103と、低消費電力パターン生成部3と、生成パターンメモリ105によって構成される。オリジナルパターンメモリ103は、画面操作を通じて生成されたオリジナルパターンや既存のフォントパターン、アイコン、記号等が格納される記憶装置である。
【0091】
このオリジナルパターンメモリ103から低消費電力パターン生成部3に対し、変換対象としての同階調パターンに対応する画像データが供給される。
生成パターンメモリ105は、低消費電力パターン生成部3の変換処理により生成された表示パターンを格納する記憶装置である。
【0092】
これらの記憶装置には、RAM、ハードディスク装置、光学式記憶装置その他を使用する。
なお、低消費電力パターン生成部3は、前述した各形態例と同じであるので説明を省略する。
【0093】
(D−2)処理動作及び効果
このキャラクタジェネレータ101を用いて生成された表示パターンを用いて表示画像を生成すれば、自発光表示装置に低消費電力パターン生成部3が搭載されていない場合にも、すなわち既に世の中に存在する自発光表示装置についても、低消費電力パターンを含む画面の表示中に消費される電力量を同階調パターンを表示する場合に比して低減させることができる。
【0094】
(E)形態例5
ここでは、前述した処理手法とは異なる処理方式により同階調パターンを低消費電力パターンに変換する手法を説明する。
【0095】
(E−1)システム構成
図22に、発明者らが提案する低消費電力化技術を搭載する表示装置111の機能構成例を示す。なお図22は、発明に関連する機能部分のみを表している。従って、表示装置111に搭載される機能の一部は省略されている。例えば、入力画像信号に対する各種の信号処理については省略して表している。
【0096】
図22に示す表示装置111は、低消費電力パターン生成部113と有機ELパネルモジュール5により構成する。なお、有機ELパネルモジュール5には、形態例1で説明したものと同じものを使用する。
低消費電力パターン生成部113は、特定の条件を満たす表示パターンを低消費電力パターンに変換する処理デバイスであり、特許請求の範囲における「低消費電力パターン生成装置」に対応する。
【0097】
この形態例の場合も、「特定の条件を満たす表示パターン」とは、同階調値が水平方向にも垂直方向にも連続して現れる同階調パターン(階調値が全て同じか、階調値の差分が一定値以内の画素が水平方向及び垂直方向に連続して現れる表示パターン)をいう。
【0098】
また、この形態例の場合、「低消費電力パターン」とは、同階調パターンの右方側外縁と下方側外縁を構成する画素のうち両端部分を除く画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に置き換えた表示パターンをいう。ユーザーには、影付きパターンとして認識される。図23に、同階調パターンと対応する低消費電力パターンの一例を示す。
【0099】
図23(A)は、同階調パターンの一例である。図23の場合、同階調パターンの外形は正方形状である。図23(B)は、この同階調パターンに対応する低消費電力パターンの生成例である。この形態例の場合、図23(B)に示すように、右辺側外縁と下辺側外縁上に位置する画素のうち両端部分を除く画素(斜線で示す部分)の階調値が低減される。この例では、元の階調値のγ倍(0.3倍〜0.9倍)程度に低減する。
【0100】
低消費電力パターン生成部113は、ラインメモリ121及び斜めエッジ処理部123で構成する。
ラインメモリ121は、入力画像信号(階調値)を複数ライン(走査線)分格納する記憶領域である。ラインメモリ121は、例えばRAM(Random Access Memory)で構成する。この形態例の場合、現在入力中の表示ライン分を含め3ライン分の入力画像信号(階調値)を蓄積できるものとする。
【0101】
すなわち、現在入力中の表示ラインに対して2ライン前までの入力画像信号(階調値)を蓄積できるものとする。なお、現在入力中の表示ラインの入力画像信号(階調値)は、この表示ラインに対して3ライン前に書き込まれた入力画像信号(階調値)を書き換えるように蓄積される。
【0102】
斜めエッジ処理部123は、同階調パターンの右斜め下側外縁に位置する画素を入力画像信号より求め、当該画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に変換する処理デバイスである。この明細書では、この処理を右斜め下エッジ処理という。
ここでの右斜め下エッジ処理は、斜めエッジ処理部123に入力される現在ラインの入力画像信号とラインメモリ121から入力される前2ライン分の入力画像信号との比較処理に基づいて実行される。
【0103】
図24に、斜めエッジ処理部123で使用する処理デバイスの内部構成例を示す。図24に示すように、この種の処理デバイスは、パターン判定部131と階調変換部133により実現できる。なお、階調変換部133は、パターン判定部131により外縁画素であると判定された画素の階調値を事前に設定した比率で低減変換する。
【0104】
パターン判定部131は、階調値の変換対象である同階調パターンのエッジを判定する。具体的には、パターン判定部131は、順次入力される各画素(判定対象画素)が所定のエッジパターンに合致するか否かを判定する。
【0105】
図25に、パターン判定部131の処理イメージを示す。パターン判定部131は、図25(A)に示すように判定対象画素c’の階調値とその右斜め下側に位置する画素d”の階調値とを比較する。この階調差が基準値α5以上であることが、同階調パターンの右斜め下側外縁であることの前提条件である。
【0106】
階調差が基準値α5以上の場合、パターン判定部121は、図25(B)に示すように判定対象画素c’の階調値とその左斜め上側に位置する画素bの階調値とを比較する。比較した画素が同じ場合(階調差が基準値β5以内の場合)、パターン判定部121は、判定対象画素c’が階調変換用の対象画素であると判定する。結果的に、図25(C)に示すように、判定対象画素の階調値が元の階調値よりも小さい階調値に変換される。図25(C)では、階調値の低下処理の実行を斜線で示す。
【0107】
(E−2)低消費電力パターンの生成動作
ここでは、前述した低消費電力化パターン生成部113において実行される処理動作をフローチャートに従って説明する。
【0108】
図26に、斜めエッジ処理部123の処理動作例を示す。図26の場合にも、判定対象画素は画面上端からm行目、画面左端からn列目に位置するものとし、当該画素の階調値をKm,n と表記する。
【0109】
まず、斜めエッジ処理部123は、判定対象画素の階調値Km,n と右斜め下隣に位置する画素の階調値Km+1,n+1 との差分が基準値α5より大きいか否かを判定する(S41)。ここではエッジを検出することが目的であるので、基準値α5として十分大きな値を使用する。例えば階調値が8ビットで与えられる場合、基準値α5には「63」を使用する。勿論、これは一例であってアプリケーションに応じて適切な値を用いれば良い。
【0110】
処理S41で肯定結果が得られた場合、斜めエッジ処理部123は、更に判定対象画素の階調値Km,n と左斜め上隣に位置する画素の階調値Km-1,n-1 との差分が基準値β5より小さいか否かを判定する(S42)。ここでは同階調値の連続を検出することが目的であるので、基準値β5として十分小さい値を使用する。例えば階調値が8ビットで与えられる場合、基準値β5には「20」を使用する。勿論、これは一例であってアプリケーションに応じて適切な値を用いれば良い。
【0111】
処理S42においても肯定結果が得られると(このことは、右斜め下方向に同階調画素が連続する同階調パターンの右斜め下側の外縁が見つかったことを意味する。)、斜めエッジ処理部123は、判定対象画素の階調値Km,n をγ5倍(例えば0.7 倍)して有機ELパネルモジュール5に出力する(S43、S45)。この後、判定対象画素の位置を右隣に更新し、再び処理S41から一連の処理動作を繰り返す(S46)。
【0112】
一方、処理S41や処理S42で否定結果が得られた場合、斜めエッジ処理部123は、判定対象画素の階調値Km,n を入力時のまま変更せず出力する(S44、S45)。この後、判定対象画素の位置を右隣に更新し、再び処理S41から一連の処理動作を繰り返す(S46)。
【0113】
(E−3)具体例及び効果
ここでは、同階調値が水平方向にも垂直方向にも連続して現れる同階調パターンの具体的な変換動作例を説明する。
【0114】
図27(A)に、同階調パターンの一例を示す。この同階調パターンは、他の形態例と同じパターンである。図27の場合も、同階調パターン以外の領域部分は灰色(グレー)で表されるものとする。図27(A)では、図中1ライン目の各画素がラインメモリ121に格納される。
【0115】
図27(B)では、図中2ライン目の各画素がラインメモリ121に格納される。この時点で2ライン分の階調値がラインメモリ121に格納される。
図27(C)では、図中3ライン目の各画素がラインメモリ121に格納されると共に、1ライン目について斜めエッジ処理と処理結果の出力処理が実行される。図27(C)の場合、1ライン目の各画素に対応する階調値は入力時のまま有機ELパネルモジュール5に出力される。
【0116】
図27(D)では、図中4ライン目の各画素がラインメモリ121に格納されると共に、2ライン目について斜めエッジ処理と処理結果の出力処理が実行される。図27(D)の場合、同階調パターンの右側外縁は検出されるものの、左斜め上に同階調画素が存在しない。このため、2ライン目の各画素に対応する階調値も入力時のまま有機ELパネルモジュール5に出力される。
【0117】
図28(A)では、図中5ライン目の各画素がラインメモリ121に格納されると共に、3ライン目について斜めエッジ処理と処理結果の出力処理が実行される。図28(A)の場合、同階調パターンの斜め右下画素との間に十分な階調差が認められ、同時に左斜め上画素と同階調値であることが検出される。このため、3ライン目については画素Aの階調値だけがγ5倍されて有機ELパネルモジュール5に出力される。
【0118】
以下同様に、図28(B)では、4ライン目の画素Bが右斜め下側外縁と判定される。また図28(C)では、5ライン目の画素Cが右斜め下側外縁と判定される。また図28(D)では、6ライン目の画素D及びEが右斜め下側外縁と判定される。
以上の処理動作により、同階調パターンは右斜め下側に影を付した低消費電力パターンに変換される。
【0119】
なお、この低消費電力パターンでは、図28(D)に示すように、右方側外縁の上端画素と下方側外縁の左端画素については、階調値の低減処理が実行されず、入力階調値がそのまま出力される。
このように隣接する一組の外縁のうち両端位置を除く全ての画素の階調値が元の階調値より小さくなる点が前述した形態例との違いである。
【0120】
勿論、この形態例の場合も、同階調パターンの斜め右下側外縁の発光輝度を部分的に低下させ、影付きパターンに変更することにより、表示パターンの視認性を維持したまま輝度低下分だけ低消費電力化を実現できる。
【0121】
また、同階調パターンの条件を満たさないその他の領域部分については、この低消費電力化パターン生成部113の存在は何ら影響を与えない。従って、表示画面全体としての視認性に影響が生じることはない。
【0122】
結果的に、表示画面全体で消費される電力量を低下させることができる。なお、消費電力の軽減効果により、表示装置111がバッテリー電源により動作される場合における動作時間の延長効果を期待できる。また、この表示装置111が商業電源により動作する据え置き型の装置の場合には、装置全体の消費電力を低減できる効果を発揮できる。
【0123】
加えて、低消費電力パターン生成部113は、小規模な回路構成により実現できる。このため、低消費電力パターン生成部113は、タイミング制御部51等と同じ半導体集積回路の一部分に実装することができる。従って、外観的には新たな周辺回路を表示装置1に実装する必要がない。
【0124】
(F)形態例6
(F−1)システム構成
この形態例では、図22に示した表示装置111と基本的に同じシステム構成により、同階調パターンを左上(左方向外縁と上方向外縁)方向に影を有する低消費電力パターンに変換する方法について説明する。
【0125】
図29に、この形態例で生成される低消費電力パターンの一例を示す。図29(A)は変換前の同階調パターンであり、図29(B)は同階調パターンに対応する低消費電力パターン例である。
以下では、この形態例に特有の斜めエッジ処理部123の処理動作を説明する。
【0126】
この形態例で使用する斜めエッジ処理部123は、同階調パターンの左斜め上側外縁に位置する画素を入力画像信号より求め、当該画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に変換する処理デバイスとして機能する。この明細書では、この処理を左斜め上エッジ処理という。
【0127】
図30に、斜めエッジ処理部123の処理イメージを示す。この形態例の場合、斜めエッジ処理部123(パターン判定部41)は、図30(A)に示すように判定対象画素c’の階調値とその左斜め上側に位置する画素bの階調値とを比較する。この階調差が基準値α6以上であることが、同階調パターンの左斜め上側外縁であることの前提条件である。
【0128】
階調差が基準値α6以上の場合、斜めエッジ処理部123は、図30(B)に示すように判定対象画素c’の階調値とその右斜め下側に位置する画素d”の階調値とを比較する。比較した画素が同じ場合(階調差が基準値β6以内の場合)、斜めエッジ処理部123は、判定対象画素c’が同階調パターンの左斜め上側外縁であると判定する。結果的に、図30(C)に示すように、判定対象画素の階調値が元の階調値よりも小さい階調値に変換される。
【0129】
(F−2)低消費電力パターンの生成動作
ここでは、前述した低消費電力化パターン生成部113において実行される処理動作をフローチャートに従って説明する。
【0130】
図31に、斜めエッジ処理部123の処理動作例を示す。図31の場合にも、判定対象画素は画面上端からm行目、画面左端からn列目に位置するものとし、当該画素の階調値をKm,n と表記する。
【0131】
まず、斜めエッジ処理部123は、判定対象画素の階調値Km,n と左斜め上隣に位置する画素の階調値Km-1,n-1 との差分が基準値α6より大きいか否かを判定する(S51)。ここではエッジを検出することが目的であるので、基準値α6として十分大きな値を使用する。例えば階調値が8ビットで与えられる場合、基準値α6には「63」を使用する。勿論、これは一例であってアプリケーションに応じて適切な値を用いれば良い。
【0132】
処理S51で肯定結果が得られた場合、斜めエッジ処理部123は、更に判定対象画素の階調値Km,n と右斜め下隣に位置する画素の階調値Km+1,n+1 との差分が基準値β6より小さいか否かを判定する(S52)。ここでは同階調値の連続を検出することが目的であるので、基準値β6として十分小さい値を使用する。例えば階調値が8ビットで与えられる場合、基準値β6には「20」を使用する。勿論、これは一例であってアプリケーションに応じて適切な値を用いれば良い。
【0133】
処理S52においても肯定結果が得られると(このことは、右斜め下方向に同階調画素が連続する同階調パターンの左斜め上側の外縁が見つかったことを意味する。)、斜めエッジ処理部123は、判定対象画素の階調値Km,n をγ6倍(例えば0.7 倍)して有機ELパネルモジュール5に出力する(S53、S55)。この後、判定対象画素の位置を右隣に更新し、再び処理S51から一連の処理動作を繰り返す(S56)。
【0134】
一方、処理S51や処理S52で否定結果が得られた場合、斜めエッジ処理部123は、判定対象画素の階調値Km,n を入力時のまま変更せず出力する(S54、S55)。この後、判定対象画素の位置を右隣に更新し、再び処理11から一連の処理動作を繰り返す(S56)。
【0135】
(F−3)具体例及び効果
ここでは、同階調値が水平方向にも垂直方向にも連続して現れる同階調パターンの具体的な変換動作例を説明する。
【0136】
図32(A)に、同階調パターンの一例を示す。この同階調パターンは、他の形態例と同じパターンである。図32の場合も、同階調パターン以外の領域部分は灰色(グレー)で表されるものとする。図32(A)では、図中1ライン目の各画素がラインメモリ121に格納される。
【0137】
図32(B)では、図中2ライン目の各画素がラインメモリ121に格納される。この時点で2ライン分の階調値がラインメモリ121に格納される。
図32(C)では、図中3ライン目の各画素がラインメモリ121に格納されると共に、1ライン目について斜めエッジ処理と処理結果の出力処理が実行される。図32(C)の場合、1ライン目の各画素に対応する階調値は入力時のまま有機ELパネルモジュール5に出力される。
【0138】
図32(D)では、図中4ライン目の各画素がラインメモリ121に格納されると共に、2ライン目について斜めエッジ処理と処理結果の出力処理が実行される。図32(D)の場合、画素Aについて斜め左上画素との間に十分な階調差が認められ、同時に右斜め下画素と同階調値であることが検出される。このため、2ライン目については画素Aに対応する階調値だけがγ6倍されて有機ELパネルモジュール5に出力される。
【0139】
図33(A)では、図中5ライン目の各画素がラインメモリ121に格納されると共に、3ライン目について斜めエッジ処理と処理結果の出力処理が実行される。図32(A)の場合にも、画素Bについて斜め左上画素との間に十分な階調差が認められ、同時に右斜め下画素と同階調値であることが検出される。このため、3ライン目については画素Bの階調値だけがγ6倍されて有機ELパネルモジュール5に出力される。
【0140】
以下同様に、図33(B)では、4ライン目の画素Cと画素Dが左斜め上側外縁と判定される。また図33(C)では、5ライン目の画素Eが左斜め上側外縁と判定される。また図33(D)では、6ライン目の画素が入力階調値のまま有機ELパネルモジュール5に出力される。
【0141】
以上の処理動作により、同階調パターンは左斜め上側に影を付した低消費電力パターンに変換される。
このように、同階調パターンの左方側外縁と上方側外縁の発光輝度を部分的に低下させ、影付きパターンに変更することにより、表示パターンの視認性を維持したまま輝度低下分だけ低消費電力化を実現できる。
【0142】
勿論、この形態例の場合にも、同階調パターンの条件を満たさないその他の領域部分については、この低消費電力化パターン生成部3の存在は何ら影響を与えない。従って、表示画面全体としての視認性に影響が生じることはない。
【0143】
結果的に、表示画面全体で消費される電力量を低下させることができる。なお、消費電力の軽減効果により、表示装置111がバッテリー電源により動作される場合における動作時間の延長効果を期待できる。また、この表示装置111が商業電源により動作する据え置き型の装置の場合には、装置全体の消費電力を低減できる効果を発揮できる。
【0144】
加えて、低消費電力パターン生成部113は、小規模な回路構成により実現できる。このため、低消費電力パターン生成部113は、タイミング制御部51等と同じ半導体集積回路の一部分に実装することができる。従って、外観的には新たな周辺回路を表示装置1に実装する必要がない。
【0145】
(G)形態例7
ここでは、図22に示すシステム構成の応用により生成可能なその他の低消費電力パターン例を説明する。なお、基本的な処理手順は、形態例5及び6で説明した方法の組み合わせ又はその一部を用いることで実現することができる。
【0146】
例えば図34(A)に示すように、同階調パターンの左斜め下側に影を付けることもできる。図34(B)は、形態例5及び6で使用した同階調パターンに影を付した場合の低消費電力パターンである。
また例えば図35(A)に示すように、同階調パターンの右斜め上側に影を付けることもできる。図35(B)は、形態例5及び6で使用した同階調パターンに影を付した場合の低消費電力パターンである。
【0147】
(G)形態例8
ここでは、前述した低消費電力パターン生成部113をキャラクタジェネレータに搭載する場合について説明する。
【0148】
(G−1)システム構成
図36に、キャラクタジェネレータ141の機能構成例を示す。このキャラクタジェネレータ141も、特許請求の範囲における「低消費電力パターン生成装置」に対応する。なお、図36には、図22との対応部分に同一符号を付して表している。
【0149】
図36に示すキャラクタジェネレータ141は、オリジナルパターンメモリ143と、低消費電力パターン生成部113と、生成パターンメモリ145によって構成される。オリジナルパターンメモリ143は、画面操作を通じて生成されたオリジナルパターンや既存のフォントパターン、アイコン、記号等が格納される記憶装置である。
【0150】
このオリジナルパターンメモリ143から低消費電力パターン生成部113に対し、変換対象としての同階調パターンに対応する画像データが供給される。
生成パターンメモリ145は、低消費電力パターン生成部113の変換処理により生成された表示パターンを格納する記憶装置である。
【0151】
これらの記憶装置には、RAM、ハードディスク装置、光学式記憶装置その他を使用する。
なお、低消費電力パターン生成部113は、前述した各形態例と同じであるので説明を省略する。
【0152】
(G−2)処理動作及び効果
このキャラクタジェネレータ141を用いて生成された表示パターンを用いて表示画像を生成すれば、自発光表示装置に低消費電力パターン生成部113が搭載されていない場合にも、すなわち既に世の中に存在する自発光表示装置についても、低消費電力パターンを含む画面の表示中に消費される電力量を同階調パターンを表示する場合に比して低減させることができる。
【0153】
(H)他の形態例
(H−1)パターン判定部の変形例
【0154】
(a)判定条件の数
前述の形態例においては、階調値を低減変換する対象画素の検出に使用する判定条件が2つの場合について説明した。すなわち、ある方向に隣接する画素との階調差が基準値以上であること(外縁画素の判定条件)、及び、その反対方向に隣接する画素との階調差が基準値以下であること(同階調画素の連続条件)の2つを利用する場合について説明した。
【0155】
しかし、判定条件は3つ以上でも良い。判定条件の数を増やすことにより、生成される低消費電力パターンに占める階調低下画素の数を増減することができる。また、判定条件の数を増やすことで、低消費電力パターンへの変換には不適な表示パターンが検出される可能性を低減できる。
【0156】
以下では、判定条件が3種類の場合について一例を説明する。なお、説明を簡単にするため、形態例1で説明した左方側外縁の判定条件に、更に1つの判定条件を加える場合について説明する。すなわち、判定対象画素に対して2画素隣に位置する画素も判定対象画素と同一(階調差が基準値β1より小)であることを同階調パターンの判定条件に加える場合について説明する。
【0157】
図37に、これら3種類の判定条件を示す。図37(A)は、左方側外縁の判定条件を示す。図37(B)は、同階調画素の連続条件を示す。図37(B)の場合、同階調画素の連続性は、外縁画素を起点とした2画素連続(c’≒d’)と外縁画素を起点とした3画素連続(c’≒e’)の2つの判定条件を表している。図37(C)は、これら3つの判定条件が満たされる場合に、判定対象画素の階調値が低減変換されることを表している。
【0158】
図38に、2種類の判定条件と3種類の判定条件との違いを示す。図38(A)は、形態例1で説明した左方側外縁の判定条件を適用した場合に生成される低消費電力パターン例である。一方、図38(B)は、図37(A)及び(B)に示す3種類の判定条件を適用した場合に生成される低消費電力パターン例である。
【0159】
図38の場合、判定条件の増加により階調値の低減変換される画素数が2つ少なくなっていることが分かる。
なお、外縁画素の判定条件や同階調画素の連続条件として追加する条件では、判定対象画素を起点とした判定方向が別々になるように設定しても良い。
【0160】
(b)外縁幅
前述の形態例においては、同階調パターンのうち階調値を低下変換する外縁画素を1画素に設定した。しかし、階調値を低下変換する画素数を2画素以上に設定しても良い。勿論この場合には、判定条件を追加的に用意する。もっとも、階調値を低下変換する外縁幅を2画素以上に広げるには、一般に表示面積が比較的大きい同階調パターンである必要がある。
【0161】
(c)変換係数間の輝度低下率
前述の形態例においては、1つの低消費電力パターンの生成に2種類の判定条件を使用する場合、各方向の外縁画素の生成に使用する輝度低下率γを同じ値に設定する場合について説明した。しかし、外縁画素の向きに応じて異なる輝度低下率γを用いることもできる。
【0162】
(H−2)階調変換部の変形例
前述の形態例においては、入力画像信号がカラー信号として与えられる場合に、カラー信号を形成する全ての原色信号の階調値を一律に階調変換する場合を前提として説明した。
しかし、変換係数を乗算して階調値を低減処理するのは、原色信号の一部のみでも良い。
例えばR(赤)信号、G(緑)信号、B(青)信号の3原色信号のうちR(赤)信号の階調値のみを低減処理しても良い。
【0163】
(H−3)電子機器への搭載例
前述した低消費電力パターン生成部は、表示装置やキャラクタジェネレータに搭載する場合だけでなく、各種の電子機器に搭載することができる。なお、ここでの電子機器は、可搬型であるか据え置き型かを問わない。また、自発光表示装置は必ずしも電子機器に搭載しなくても良い。
【0164】
(a)パターン変換装置
低消費電力パターン生成部は、放送形式や通信形態により受信端末に送信される映像信号や各種の記憶媒体に格納する映像信号に対する前処理を実行するパターン変換装置に搭載することができる。
また、低消費電力パターン生成部は、自発光表示装置や自発光表示装置を搭載する電子機器の映像入力端子に外付けされるパターン変換装置に搭載することができる。
【0165】
(b)放送波受信装置
低消費電力パターン生成部は、放送波受信装置に搭載することができる。
図39に、放送波受信装置の機能構成例を示す。放送波受信装置201は、表示パネル203、システム制御部205、操作部207、記憶媒体209、電源211及びチューナー213を主要な構成デバイスとする。
【0166】
なお、システム制御部205は、例えばマイクロプロセッサで構成される。システム制御部205は、システム全体の動作を制御する。操作部207は、機械式の操作子の他、グラフィックユーザーインターフェースも含む。
【0167】
記憶媒体209は、表示パネル203に表示する画像や映像に対応するデータの他、ファームウェアやアプリケーションプログラムの格納領域として用いられる。電源211は、放送波受信装置201が可搬型の場合にはバッテリー電源を使用する。勿論、放送波受信装置101が据え置き型の場合には商用電源を使用する。
【0168】
チューナー213は、到来する放送波の中からユーザーの選局した特定チャネルの放送波を選択的に受信する無線装置である。
この放送波受信装置の構成は、例えばテレビジョン番組受信機、ラジオ番組受信機に適用する場合に用いることができる。
【0169】
(c)オーディオ装置
図40は、再生機としてのオーディオ装置に適用する場合の機能構成例である。
再生機としてのオーディオ装置301は、表示パネル303、システム制御部305、操作部307、記憶媒体309、電源311、オーディオ処理部313及びスピーカー315を主要な構成デバイスとする。
【0170】
この場合も、システム制御部305は、例えばマイクロプロセッサで構成される。システム制御部305は、システム全体の動作を制御する。操作部307は、機械式の操作子の他、グラフィックユーザーインターフェースも含む。
【0171】
記憶媒体309は、オーディオデータの他、ファームウェアやアプリケーションプログラムの格納領域である。電源311は、オーディオ装置301が可搬型の場合にはバッテリー電源を使用する。勿論、オーディオ装置301が据え置き型の場合には商用電源を使用する。
【0172】
オーディオ処理部313は、オーディオデータを信号処理する処理デバイスである。圧縮符号化されたオーディオデータの解凍処理も実行される。スピーカー315は、再生された音を出力するデバイスである。
【0173】
なお、オーディオ装置301を記録機として用いる場合、スピーカー315に替えてマイクロフォンを接続する。この場合、オーディオ処理部301は、オーディオデータを圧縮符号化する機能を実現する。
【0174】
(d)通信装置
図41は、通信装置に適用する場合の機能構成例である。通信装置401は、表示パネル403、システム制御部405、操作部407、記憶媒体409、電源411及び無線通信部413を主要な構成デバイスとする。
【0175】
なお、システム制御部405は、例えばマイクロプロセッサで構成される。システム制御部405は、システム全体の動作を制御する。操作部407は、機械式の操作子の他、グラフィックユーザーインターフェースも含む。
【0176】
記憶媒体409は、表示パネル403に表示する画像や映像に対応するデータファイルの他、ファームウェアやアプリケーションプログラムの格納領域として用いられる。電源411は、通信装置401が可搬型の場合にはバッテリー電源を使用する。勿論、通信装置401が据え置き型の場合には商用電源を使用する。
【0177】
無線通信部413は、他機との間でデータを送受信する無線装置である。この通信装置の構成は、例えば据え置き型の電話機や携帯電話機に適用する場合に用いることができる。
【0178】
(e)撮像装置
図42は、撮像装置に適用する場合の機能構成例である。撮像装置501は、表示パネル503、システム制御部505、操作部507、記憶媒体509、電源511及び撮像部513を主要な構成デバイスとする。
【0179】
なお、システム制御部505は、例えばマイクロプロセッサで構成される。システム制御部505は、システム全体の動作を制御する。操作部507は、機械式の操作子の他、グラフィックユーザーインターフェースも含む。
【0180】
記憶媒体509は、表示パネル503に表示する画像や映像に対応するデータファイルの他、ファームウェアやアプリケーションプログラムの格納領域として用いられる。電源511は、撮像装置501が可搬型の場合にはバッテリー電源を使用する。勿論、撮像装置501が据え置き型の場合には商用電源を使用する。
【0181】
撮像部513は、例えばCMOSセンサーとその出力信号を処理する信号処理部で構成する。この撮像装置の構成は、例えばデジタルカメラ、ビデオカメラ等に適用する場合に用いることができる。
【0182】
(f)情報処理装置
図43は、携帯型の情報処理装置に適用する場合の機能構成例である。情報処理装置601は、表示パネル603、システム制御部605、操作部607、記憶媒体609及び電源611を主要な構成デバイスとする。
【0183】
なお、システム制御部605は、例えばマイクロプロセッサで構成される。システム制御部605は、システム全体の動作を制御する。操作部607は、機械式の操作子の他、グラフィックユーザーインターフェースも含む。
【0184】
記憶媒体609は、表示パネル603に表示する画像や映像に対応するデータファイルの他、ファームウェアやアプリケーションプログラムの格納領域として用いられる。電源611は、情報処理装置601が可搬型の場合にはバッテリー電源を使用する。勿論、情報処理装置601が据え置き型の場合には商用電源を使用する。
【0185】
この情報処理装置の構成は、例えばゲーム機、電子ブック、電子辞書、コンピュータ等に適用する場合に用いることができる。
【0186】
(H−4)表示装置
前述の形態例の場合、有機ELディスプレイパネルを例に説明した。しかし、この表示制御技術は、その他の自発光表示装置に広く適用できる。例えば無機ELディスプレイパネル、FEDディスプレイパネル、PDPディスプレイパネルその他にも適用できる。
【0187】
(H−5)コンピュータプログラム
前述の形態例で説明した低消費電力化技術は、処理機能の全てをハードウェア又はソフトウェアで実現するだけでなく、ハードウェアとソフトウェアの機能分担により実現することもできる。
【0188】
(H−6)低消費電力パターン
前述の形態例においては、ある判定条件を適用して同階調パターンを低消費電力パターンに変換する場合について説明した。
しかし、このように低消費電力パターン生成部を用いて生成した又は事前にこの種の関係を満たすように生成した低消費電力パターンに固有のコードを割り当てて登録すれば、新たな映像コンテンツの制作に利用できる。
【0189】
(H−7)その他
前述の形態例には、発明の趣旨の範囲内で様々な変形例が考えられる。また、本明細書の記載に基づいて創作される又は組み合わせられる各種の変形例及び応用例も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】形態例1に係る表示装置の機能構成例を示す図である。
【図2】形態例1に対応する低消費電力パターンの生成原理を説明する図である。
【図3】エッジ処理部の内部構成例を示す図である。
【図4】形態例1で使用する水平エッジ処理部の処理イメージを示す図である。
【図5】形態例1で使用する垂直エッジ処理部の処理イメージを示す図である。
【図6】形態例1で使用する水平エッジ処理部の処理動作例を示すフローチャートである。
【図7】形態例1で使用する垂直エッジ処理部の処理動作例を示すフローチャートである。
【図8】形態例1に対応する低消費電力パターンの生成手順を示す図である。
【図9】形態例1に対応する低消費電力パターンの生成手順を示す図である。
【図10】形態例2に対応する低消費電力パターンの生成原理を説明する図である。
【図11】形態例2で使用する水平エッジ処理部の処理イメージを示す図である。
【図12】形態例2で使用する垂直エッジ処理部の処理イメージを示す図である。
【図13】形態例2で使用する水平エッジ処理部の処理動作例を示すフローチャートである。
【図14】形態例2で使用する垂直エッジ処理部の処理動作例を示すフローチャートである。
【図15】形態例2に対応する低消費電力パターンの生成手順を示す図である。
【図16】形態例2に対応する低消費電力パターンの生成手順を示す図である。
【図17】低消費電力パターンの他の生成原理を説明する図である。
【図18】低消費電力パターンの他の生成原理を説明する図である。
【図19】低消費電力パターンの他の生成原理を説明する図である。
【図20】低消費電力パターンの他の生成原理を説明する図である。
【図21】キャラクタジェネレータの機能構成例を示す図である。
【図22】形態例5に係る表示装置の機能構成例を示す図である。
【図23】形態例5に対応する低消費電力パターンの生成原理を説明する図である。
【図24】エッジ処理部の内部構成例を示す図である。
【図25】形態例5で使用する斜めエッジ処理部の処理イメージを示す図である。
【図26】形態例5で使用する斜めエッジ処理部の処理動作例を示すフローチャートである。
【図27】形態例5に対応する低消費電力パターンの生成手順を示す図である。
【図28】形態例5に対応する低消費電力パターンの生成手順を示す図である。
【図29】低消費電力パターンの他の生成原理を説明する図である。
【図30】形態例6で使用する斜めエッジ処理部の処理イメージを示す図である。
【図31】形態例6で使用する斜めエッジ処理部の処理動作例を示すフローチャートである。
【図32】形態例6に対応する低消費電力パターンの生成手順を示す図である。
【図33】形態例6に対応する低消費電力パターンの生成手順を示す図である。
【図34】低消費電力パターンの他の生成原理を説明する図である。
【図35】低消費電力パターンの他の生成原理を説明する図である。
【図36】キャラクタジェネレータの機能構成例を示す図である。
【図37】判定条件を追加したエッジ処理部の処理イメージ例を示す図である。
【図38】判定条件追加時の低消費電力パターン例を示す図である。
【図39】電子機器の機能構成例を示す図である。
【図40】電子機器の機能構成例を示す図である。
【図41】電子機器の機能構成例を示す図である。
【図42】電子機器の機能構成例を示す図である。
【図43】電子機器の機能構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0191】
3 低消費電力パターン生成部
31 水平エッジ処理部
33 ラインメモリ
35 垂直エッジ処理部
41 パターン判定部
43 階調値変換部
101 キャラクタジェネレータ
113 低消費電力パターン生成部
121 ラインメモリ
123 斜めエッジ処理部
131 パターン判定部
133 階調値変換部
141 キャラクタジェネレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同階調値が水平方向にも垂直方向にも連続して現れる同階調パターンの出現時に、当該同階調パターンを構成する一部画素の階調値だけを元の階調値より小さい階調値に変換する階調変換部
を有することを特徴とする低消費電力パターン生成装置。
【請求項2】
同階調値が水平方向にも垂直方向にも連続して現れる同階調パターンの出現時に、当該同階調パターンを構成する左方側外縁、右方側外縁、上方側外縁及び下方側外縁のうちいずれか1つの外縁上に位置する画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に変換する階調変換部
を有することを特徴とする低消費電力パターン生成装置。
【請求項3】
同階調値が水平方向にも垂直方向にも連続して現れる同階調パターンの出現時に、当該同階調パターンを構成する左方側外縁及び上方側外縁、左方側外縁及び下方側外縁、右方側外縁及び上方側外縁、並びに右方側外縁及び下方側外縁のうちいずれか一組の外縁上に位置する画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に変換する階調変換部
を有することを特徴とする低消費電力パターン生成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の低消費電力パターン生成装置において、
前記階調変換部は、一組の外縁上に位置する全ての画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に変換する
ことを特徴とする低消費電力パターン生成装置。
【請求項5】
請求項3に記載の低消費電力パターン生成装置において、
前記階調変換部は、一組の外縁上に位置する画素のうち両端位置を除く全ての画素の階調値を元の階調値よりも小さい階調値に変換する
ことを特徴とする低消費電力パターン生成装置。
【請求項6】
処理対象画素が左方側外縁、右方側外縁、上方側外縁及び下方側外縁のうち予め定めたいずれか1つの外縁上に位置し、かつ、当該処理対象画素が予め定めた方向に隣接する画素とほぼ同じ階調値を有する場合、処理対象画素の階調値を元の階調値より小さい階調値に変換する階調変換部
を有することを特徴とする低消費電力パターン生成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の低消費電力パターン生成装置において、
前記予め定めた方向は、水平方向である
ことを特徴とする低消費電力パターン生成装置。
【請求項8】
請求項6に記載の低消費電力パターン生成装置において、
前記予め定めた方向は、垂直方向である
ことを特徴とする低消費電力パターン生成装置。
【請求項9】
請求項6に記載の低消費電力パターン生成装置において、
前記予め定めた方向は、斜め方向である
ことを特徴とする低消費電力パターン生成装置。
【請求項10】
処理対象画素が左方側外縁、右方側外縁、上方側外縁及び下方側外縁のうち予め定めたいずれか1つの外縁上に位置し、かつ、当該処理対象画素が予め定めた方向に隣接する画素とほぼ同じ階調値を有するか否かを判定するパターン判定部と、
前記判定パターン位置を満たす場合、処理対象画素の階調値を元の階調値より小さい階調値に変換する階調変換部と
を有することを特徴とする低消費電力パターン生成装置。
【請求項11】
自発光表示素子をマトリクス状に配置した発光領域と、
処理対象画素が左方側外縁、右方側外縁、上方側外縁及び下方側外縁のうち予め定めたいずれか1つの外縁上に位置し、かつ、当該処理対象画素が予め定めた方向に隣接する画素とほぼ同じ階調値を有するか否かを判定するパターン判定部と、
前記判定パターン位置を満たす場合、処理対象画素の階調値を元の階調値より小さい階調値に変換する階調変換部と、
前記階調変換部により階調変換された画像データを対応するデータ線に供給するデータ線駆動部と、
前記画像データの書き込みタイミングを与える書込信号をゲート線に供給するゲート線駆動部と
を有することを特徴とする自発光表示装置。
【請求項12】
自発光表示素子をマトリクス状に配置した発光領域と、
処理対象画素が左方側外縁、右方側外縁、上方側外縁及び下方側外縁のうち予め定めたいずれか1つの外縁上に位置し、かつ、当該処理対象画素が予め定めた方向に隣接する画素とほぼ同じ階調値を有するか否かを判定するパターン判定部と、
前記判定パターン位置を満たす場合、処理対象画素の階調値を元の階調値より小さい階調値に変換する階調変換部と、
前記階調変換部により階調変換された画像データを対応するデータ線に供給するデータ線駆動部と、
前記画像データの書き込みタイミングを与える書込信号をゲート線に供給するゲート線駆動部と
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項13】
処理対象画素が左方側外縁、右方側外縁、上方側外縁及び下方側外縁のうち予め定めたいずれか1つの外縁上に位置し、かつ、当該処理対象画素が予め定めた方向に隣接する画素とほぼ同じ階調値を有するか否かを判定する処理と、
前記判定パターン位置を満たす場合、処理対象画素の階調値を元の階調値より小さい階調値に変換する処理と
を有することを特徴とする低消費電力パターン生成方法。
【請求項14】
入力画像データを処理するコンピュータに、
処理対象画素が左方側外縁、右方側外縁、上方側外縁及び下方側外縁のうち予め定めたいずれか1つの外縁上に位置し、かつ、当該処理対象画素が予め定めた方向に隣接する画素とほぼ同じ階調値を有するか否かを判定する処理と、
前記判定パターン位置を満たす場合、処理対象画素の階調値を元の階調値より小さい階調値に変換する処理と
を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項15】
あるコード体系で規定された表示パターンのデータ構造であって、
前記表示パターンのうち左方側外縁、右方側外縁、上方側外縁及び下方側外縁のうちいずれか1つの外縁部分に位置する各画素の階調値に対応するデータ部分であって、外縁部を除く他の画素よりも小さい階調値を与える第1のデータ部分と、
前記外縁部分を除く各画素の階調値に対応するデータ部分であって、各画素に同じ階調値を与える第2のデータ部分と
を有することを特徴とする表示パターンのデータ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2008−20502(P2008−20502A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189887(P2006−189887)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】