低温液化ガスの気化装置
【課題】気化管間分配管の長手方向の温度の違いに起因する気化管間分配管の湾曲が生じ難い低温液化ガスの気化装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、複数の気化管21とこれら各気化管21に低温液化ガスを分配する気化管間分配管22とを有し、複数の気化管21が垂直面上に水平方向に並び且つ気化管間分配管22が水平方向に延びて各気化管21の下端部に接続されている気化管パネル16と、複数の気化管21に沿って流れ落ちるように気化管パネル16の上端部から熱交換用液体を供給する液体供給部30と、複数の気化管21が配置されている気化管間分配管22の第1領域A1における熱交換用液体からの熱伝達率よりも、第1領域A1の外側の気化管間分配管22の第2領域A2の全体における熱交換用液体からの熱伝達率を抑えるための熱伝達抑制部23と、を備えることを特徴とする。
【解決手段】本発明は、複数の気化管21とこれら各気化管21に低温液化ガスを分配する気化管間分配管22とを有し、複数の気化管21が垂直面上に水平方向に並び且つ気化管間分配管22が水平方向に延びて各気化管21の下端部に接続されている気化管パネル16と、複数の気化管21に沿って流れ落ちるように気化管パネル16の上端部から熱交換用液体を供給する液体供給部30と、複数の気化管21が配置されている気化管間分配管22の第1領域A1における熱交換用液体からの熱伝達率よりも、第1領域A1の外側の気化管間分配管22の第2領域A2の全体における熱交換用液体からの熱伝達率を抑えるための熱伝達抑制部23と、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)、液体窒素(LN2)等の低温液化ガスを海水等の熱媒体と熱交換させることにより気化させるための気化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液化天然ガス(LNG)を海水(熱交換用液体)と熱交換させて気化させる気化装置(ORV)として、特許文献1に記載されるものが知られている。
【0003】
この気化装置は、図11に示されるように、特定の垂直面に沿って広がる気化管パネル102と、気化管パネル100の表面に沿って流れ落ちるように当該気化管パネル100の上端部から海水を供給する海水供給部104と、を備える。
【0004】
気化管パネル102は、垂直方向に伸び且つ内部に流される液化天然ガス(低温液化ガス)を外部との熱交換によって気化させるための複数の気化管(伝熱管)106と、気化管パネル102内における各気化管106に液化天然ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管(供給側ヘッダー)108とを有する。気化管パネル102に含まれる複数の気化管106は、互いに平行な姿勢となるように前記特定の垂直面上において水平方向に並んでいる。気化管間分配管108は、水平方向に伸びて気化管パネル102に含まれる各気化管106の下端部にそれぞれ接続されている。
【0005】
このような気化装置においては、気化管間分配管108によって各気化管106に分配された液化天然ガスが当該気化管106内を上昇すると共に、海水供給部104から供給された海水が気化管106の外側を当該気化管106に沿って流れ落ちる。このとき、各気化管106において、当該気化管106の内部と外部とを隔てる管壁を介して液化天然ガスと海水とが熱交換し、これにより、液化天然ガスが気化されて天然ガス(NG)となる。
【0006】
また、気化装置として、特許文献2に記載されるものが知られている。この気化装置では、図12に示されるように、気化管間分配管108の第1領域a1の上側に防水カバー110が被せられている。この防水カバー110によって海水が気化管間分配管108の第1領域a1に直接当たるのが防がれ、海水の温度が比較的高く負荷が小さい場合の気化した液化天然ガスの熱量変動を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭57−57998号公報
【特許文献2】特開平08−183970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の気化装置では、低温液化ガス(液化天然ガス)を気化するときに、気化管間分配管108の当該分配管108の長手方向の端部(図11における領域a2)と中央部(図11における領域a2)とにおいて温度の違いが生じ、これに起因する各気化管106の熱伸縮量の違いにより気化管間分配管108が湾曲する場合がある。これにより、気化管間分配管108の曲がり、気化管間分配管108と各気化管106との接合部位に応力が発生する。
【0009】
具体的には、気化管間分配管108の長手方向において、複数の気化管106が配置された領域a1の外側、即ち、気化管間分配管108の長手方向における端部a2の温度が、前記領域a1の温度よりも高くなる。これは、気化管パネル102に沿って第1領域a1を流れ落ちる熱交換用液体(海水)は、気化管106内の低温液化ガスとの熱交換によって気化管間分配管108まで流れ落ちたときに十分に低温となっているのに対し、前記長手方向における気化管パネル102の外側を流れ落ちる熱交換用液体は気化管106内の低温液化ガスとの熱交換を殆ど行わずに流れ落ちるため、前記第1領域a1を流れ落ちる熱交換用液体に比べて気化管間分配管108に到達したときの温度が高いことに起因する。このように気化管間分配管108の第1領域a1と第2領域a2との間に温度の違いが生じると、当該気化管間分配管108から前記長手方向の端部位置の気化管106に分配される低温液化ガスの温度と、第1領域a1の前記長手方向の中央部位置の気化管106に分配される低温液化ガスの温度とに違いが生じる。その結果、前記端部位置の気化管106と前記中央部位置の気化管106とに熱伸縮量の差が生じ、これにより、気化管間分配管108が湾曲する。
【0010】
一方、上記特許文献2に記載の気化装置では、気化管間分配管108の第1領域a1に直接熱交換用液体が当たることを防ぐことができる。しかし、防水カバー110は、気化管間分配管108の第2領域a2において、水平方向の端部位置の気化管106と隣接する部位しか覆っていないため、当該気化装置においても、気化管間分配管108の第2領域a2に低温液化ガスと熱交換していない(温度の高い)熱交換用液体が当たる。そのため、当該気化装置においても、気化管間分配管108の第1領域a1と第2領域a2との間に温度の違いが生じ、上記特許文献1の気化装置と同様に、気化管間分配管108が湾曲することが懸念される。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、気化管間分配管の長手方向の温度の違いに起因する気化管間分配管の湾曲が生じ難い低温液化ガスの気化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、低温液化ガスを気化するための装置であって、垂直方向に延び且つ内部に流される前記低温液化ガスを外部との熱交換によって気化させるための複数の気化管とこれら各気化管に前記低温液化ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管とを有し、前記複数の気化管が垂直面上において水平方向に並び且つ前記気化管間分配管が水平方向に延びて前記各気化管の下端部にそれぞれ接続されている気化管パネルと、前記複数の気化管に沿って流れ落ちるように前記気化管パネルの上端部から熱交換用液体を供給する液体供給部と、前記複数の気化管が配置されている前記気化管間分配管の第1領域における前記熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量と比べて、前記水平方向において前記第1領域の外側の前記気化管間分配管の第2領域の全体における熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量を同程度以下に抑えるための伝熱抑制部と、を備える。尚、伝熱量が同程度以下とは、熱交換用液体から気化管間分配管を流れる低温液化ガスに熱が伝わったときに、気化管間分配管の第2領域内を流れる低温液化ガスの温度が第1領域内を流れる低温液化ガスの温度と同じ若しくは低い場合だけでなく、気化管間分配管の曲がりに影響を与えない程度で第1領域内を流れる低温液化ガスの温度よりもわずかに高くなるような場合も含む。
【0013】
本発明によれば、気化管間分配管の第1領域に向かって流れ落ちる熱交換用液体に比べて気化管間分配管の第2領域に向かって流れ落ちる熱交換用液体の温度が高くても、伝熱抑制部によって第2領域の全域における熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量が抑えられるため、前記温度の異なる熱交換用液体によって気化管間分配管の第1領域よりも第2領域が高温になることを防ぐことが可能となる。これにより、気化管間分配管から気化管パネルの水平方向における端部位置の気化管に分配される低温液化ガスと、中央部位置の気化管に分配される低温液化ガスと、の温度の違いが抑えられ、各気化管の熱伸縮量に起因する気化管間分配管の湾曲が防止される。
【0014】
具体的には、例えば、前記伝熱抑制部を前記気化管間分配管の第2領域を囲う断熱部材とし、前記断熱部材の熱伝導率を前記気化管間分配管の熱伝導率よりも小さくする。そして、この断熱部材によって気化管間分配管の第2領域を囲うことにより、気化管間分配管の第1領域における熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量に比べ、前記第2領域における熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量を容易且つ確実に抑えることができる。
【0015】
また、気化装置において、前記断熱部材が所定の伸縮性を有することにより、気化管間分配管の熱伸縮による断熱部材の損傷を防止することができる。具体的に、気化管間分配管は、低温液化ガスが流れている状態(即ち、気化装置の運転中)と、低温液化ガスが流れていない状態(即ち、気化装置の停止中)と、の間の温度差によって熱伸縮するが、当該気化管間分配管を囲う断熱部材が所定の伸縮性を有することにより気化管間分配管の熱伸縮に合わせて伸縮する。これにより、気化管間分配管の熱伸縮(特に、径方向の熱伸縮)に起因する断熱部材の損傷を効果的に防止することができる。
【0016】
気化装置の伝熱抑制部は、前記気化管間分配管の第2領域の上側に配置され、平面視において前記分配管の第2領域を覆い隠す形状を有するカバー部材であってもよい。
【0017】
かかる構成によれば、気化管間分配管の長手方向(水平方向)における端部位置の気化管よりも外側を流れ落ち且つ当該気化管内を流れる低温液化ガスとの熱交換が殆ど行われていない熱交換用液体が、気化管間分配管の第2領域に当たることを防止することができる。これにより、気化管間分配管の第1領域と第2領域との間に温度の違いが生じることを防ぐことが可能となる。
【0018】
尚、前記気化管間分配管におけるその端部と当該端部側に位置する気化管との間の部位が仕切り壁を貫通する場合、前記第2領域は、前記仕切り壁と前記端部側に位置する気化管までの領域である。
【0019】
また、上記課題を解消すべく、本発明は、低温液化ガスを気化するための装置であって、垂直方向に延び且つ内部に流される前記低温液化ガスを外部との熱交換によって気化させるための複数の気化管とこれら各気化管に前記低温液化ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管とを有し、前記複数の気化管が特定の垂直面上において水平方向に並び且つ前記気化管間分配管が水平方向に延びて前記各気化管の下端部にそれぞれ接続されている気化管パネルと、前記複数の気化管に沿って流れ落ちるように前記気化管パネルの上端部から熱交換用液体を供給する液体供給部と、を備える。そして、前記複数の気化管が配置されている前記気化管間分配管の第1領域における管壁よりも、前記水平方向において前記第1領域の外側の前記気化管間分配管の第2領域における管壁の方が熱伝導率が小さい。
【0020】
本発明によれば、管壁の熱伝導率が気化管間分配管の第1領域に比べ第2領域の方が小さいため、気化管間分配管の第1領域よりも温度の高い熱交換用液体が気化管間分配管の第2領域に当たっても、気化管間分配管の第1領域の内部を流れる低温液化ガスの温度と第2領域の内部を流れる低温液化ガスの温度との間に温度の違いが生じることを防ぐことが可能となる。その結果、この温度の違いに起因する気化管間分配管の湾曲を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上より、本発明によれば、気化管間分配管の長手方向の温度の違いに起因する気化管間分配管の湾曲が生じ難い低温液化ガスの気化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る低温液化ガスの気化装置の概略構成斜視図である。
【図2】前記気化装置の配管の状態を示す模式図(正面図)である。
【図3】前記気化装置の配管の状態を示す模式図(側面図)である。
【図4】前記気化装置の熱伝達抑制部を説明するための部分拡大図である。
【図5】(A)は、前記気化装置の海水供給部を説明するための側面図であり、(B)は、前記気化装置の海水供給部を説明するための正面図である。
【図6】前記気化装置が設置された状態を示す図であって、一部を破断した斜視図である。
【図7】断熱部材の厚さによる供給側ヘッダー内を流れる液化天然ガスの温度の違いを示す図である。
【図8】他実施形態に係る断熱部材(熱伝達抑制部)を説明するための縦断面図である。
【図9】他実施形態の低温液化ガスの気化装置におけるカバー部材を説明するための拡大横断面図である。
【図10】他実施形態の低温液化ガスの気化装置における気化管間分配管の第2領域の拡大横断面図である。
【図11】従来の気化装置を説明するための部分拡大斜視図である。
【図12】従来の気化装置を説明するための部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0024】
本実施形態に係る低温液化ガスの気化装置(以下、単に「気化装置」とも称する。)は、供給された低温液化ガスを外部の熱交換用液体と熱交換させることにより、当該低温液化ガスを気化させるいわゆるオープンラック型の気化装置(ORV)である。本実施形態の気化装置では液化天然ガス(LNG)を気化する。また、本実施形態では、熱交換用液体として海水が用いられる。
【0025】
具体的に、気化装置は、図1〜図5に示されるように、複数(本実施形態では2個)の気化管ブロック11と、各気化管ブロック11へLNGを分配する分配管12と、各気化管ブロック11において気化されたLNGである天然ガス(NG)を集める集合管14と、各気化管パネル16の表面を伝って流れ落ちるように気化管パネル16の上部に海水を供給する海水供給部(液体供給部)30と、を備える。尚、気化装置10に設けられる気化管ブロック11の数は、複数に限定されず、1つでもよい。
【0026】
各気化管ブロック11は、複数(本実施形態では5枚)の気化管パネル16と、分配管12からのLNGを各気化管パネル16へ分配する供給側マニホールド17と、各気化管パネル16において気化したLNG(即ち、NG)を集めて集合管14に送出する送出側マニホールド19と、をそれぞれ有する。尚、1つの気化管ブロック11に含まれる気化管パネル16の数は5枚に限定されず、他の枚数であってもよい。
【0027】
各気化管パネル16は、垂直面上に互いに平行な姿勢で並べられた複数(本実施形態では90本)の気化管(伝熱管)21と、供給側マニホールド17からのLNGを各気化管21に分配する供給側ヘッダー22と、供給側ヘッダー22の両端部に設けられる伝熱抑制部23と、各気化管21において気化されたLNGを集めて送出側マニホールド19に送出する送出側ヘッダー24と、をそれぞれ有する。尚、1枚の気化管パネル16に含まれる気化管の数は90本に限定されず、他の本数であってもよい。
【0028】
各気化管21は、アルミニウム又はアルミニウム合金等の熱伝導率の高い金属材料により形成され、上下方向に延びる管である。
【0029】
供給側ヘッダー22は、気化管21が並ぶ前記垂直面に沿って水平方向に延びる管である。この供給側ヘッダー22も、気化管21同様に、アルミニウム又はアルミニウム合金等の熱伝導率の高い金属材料により形成されている。供給側ヘッダー22は、1つの気化管パネル16に含まれる各気化管21の下端部とそれぞれ接続される。また、供給側ヘッダー22は、その内部に配置されたヘッダー内管50を介して供給側マニホールド17からLNGが供給されるように、その一端が供給側マニホールド17と接続される。
【0030】
ヘッダー内管50は、供給側ヘッダー22に沿って延びる管状部材であり、供給側ヘッダー22と同軸となるように当該供給側ヘッダー22の内部に配置される(図3参照)。このヘッダー内管50は、その外径が供給側ヘッダー22の内径よりも小さく、これにより、供給側ヘッダー22の内部に配置されたときに当該ヘッダー内管50の外周面と供給側ヘッダー22の内周面との間に所定の空間が形成される。そして、ヘッダー内管50は、その内部にLNGが供給されるように供給側マニホールド17に接続され、当該ヘッダー内管50の軸方向において管壁(周壁)の各気化管21と対応する位置にそれぞれ穴51を有する。この軸方向の各気化管に対応する位置には、それぞれ複数の(本実施形態では4つの穴)が設けられる。具体的に、これら複数の穴51は、前記軸方向における各気化管21と対応する位置(本実施形態では、各気化管21の下方側の位置)において、ヘッダー内管50の周方向、より詳しくは、各穴51の中心がヘッダー内管50の下半分に位置するように前記周方向に並んでいる。
【0031】
このように、供給側ヘッダー22の内部にヘッダー内管50を設けて二重管構造とし、ヘッダー内管50の各気化管21に対応する位置に複数の穴51をそれぞれ設けることにより、各気化管21に分配されるLNGの流量が均等になる。
【0032】
また、ヘッダー内管50の各気化管21に対応する位置に複数の穴51をそれぞれ設けることにより、各気化管21に流入するLNGの流れが均一となる。即ち、各気化管21に対応する位置の複数の穴51から流れ出たLNGが供給側ヘッダー22とヘッダー内管50との間を気化管21に向かって供給側ヘッダー22の周方向上側に向かって流れてから気化管21内に流入することにより、ヘッダー内管の上部(例えば、気化管21の下端と対向する位置等)に設けられた穴から流れ出て直ぐに気化管21内にLNGが流入する場合に比べてLNGの流れが均一となる。
【0033】
伝熱抑制部23は、供給側ヘッダー22における海水からの単位面積当たりの伝熱量を抑える。具体的に、伝熱抑制部23は、供給側ヘッダー22の第2領域A2の全域(全体)において、海水供給部30から供給された海水の有する熱が当該第2領域A2に伝熱されるときの単位面積当たりの伝熱量を抑える。ここで、供給側ヘッダー22の第2領域A2とは、供給側ヘッダー22の長手方向(水平方向)における複数の気化管21が配置されている領域(第1領域)A1の外側の領域である(図3及び図4参照)。具体的に、第1領域A1は、供給側ヘッダー22の長手方向において、気化管21の配置されている領域である。即ち、前記長手方向において、供給側ヘッダー22に沿って並ぶ複数の気化管21の一端の気化管21から他端の気化管21までの領域である。一方、第2領域A2は、前記長手方向において、第1領域A1の外側の領域である。具体的には、気化管ブロック11が部屋H(図6参照)内に配置される場合には、第2領域A2は、供給側ヘッダー22の第1領域A1以外で室内に位置する部位である。尚、この場合、各気化管ブロック11は、供給側ヘッダー22の供給側マニホールド17と反対側の端部が部屋H内に位置するように配置される。
【0034】
詳しくは、第2領域A2は、前記長手方向において、第1領域A1を挟んで、供給側マニホールド17側(図3における左側)の第2領域A2と、供給側マニホールド17と反対側(図3における右側)の第2領域A2とがある。前記反対側の第2領域A2は、図4において複数の気化管21のうちの右端に配置された気化管21の外側から供給側ヘッダー22の右端までの領域である。また、前記供給側マニホールド17側の第2領域A2は、図4において複数の気化管21のうちの左端に配置された気化管21の外側から、気化管ブロック11が配置される部屋Hの仕切り壁H1までの領域である(図1、図3、図6参照)。
【0035】
本実施形態の熱伝達抑制部23は、供給側ヘッダー22の第2領域A2を囲う断熱部材である。この断熱部材23は、その熱伝導率が供給側ヘッダー22(詳しくは、供給側ヘッダー22の管壁)の熱伝導率よりも小さい。具体的に、断熱部材23は、供給側ヘッダー22の第2領域A2の表面を覆うようにウレタンフォーム等の発泡プラスチック製のテープを供給側ヘッダー22に巻き付けることにより形成される。前記テープは、所定の伸縮性を有する。そして、断熱部材23は、供給側ヘッダー22の第2領域A2における表面(外周面)からの厚さが例えば1.5mmになるまで供給側ヘッダー22の第2領域A2の全域において前記テープが巻き重ねられることにより形成される。尚、断熱部材23の厚さは、供給側ヘッダー22の第1領域A1に向けて流れ落ちる海水と第2領域A2に向けて流れ落ちる海水との温度差、及び、断熱部材の熱伝導率等に基づいて適宜設定される。
【0036】
この断熱部材23は、供給側ヘッダー22において、第2領域A2にのみ設けられ、第1領域A1には設けられない。即ち、供給側ヘッダー22の第1領域A1は外部に露出した状態であり、第2領域A2はその全域において断熱部材23によって覆われた状態になっている。
【0037】
このような断熱部材23を供給側ヘッダー22の第2領域A2に設けることにより、供給側ヘッダー22の第1領域A1における海水(詳しくは、海水供給部30から供給される海水)からの熱伝達率に比べ、供給側ヘッダー22の第2領域A2における海水からの熱伝達率を抑えることができる。これにより、海水供給部30から供給側ヘッダー22の第1領域A1に向かって流れ落ちる海水の温度よりも第2領域に向かって流れ落ちる海水の温度の方が高くても、供給側ヘッダー22の第1領域A1の管壁の温度よりも第2領域A2の管壁の温度の方が高くなることを防ぐことができる。
【0038】
また、断熱部材23は、前記伸縮性を有するテープにより形成されるため、所定の伸縮性を有する。そのため、供給側ヘッダー22が熱収縮しても、この熱収縮に伴って断熱部材23自身も伸縮し、これにより、供給側ヘッダー22の熱収縮(特に、供給側ヘッダー22の径方向の熱伸縮)に起因する断熱部材23の破れ等の損傷を効果的に防止することができる。
【0039】
送出側ヘッダー24は、供給側ヘッダー22と平行に延びる管である。この送出側ヘッダー24は、1つの気化管パネル16に含まれる各気化管21の上端部と、送出側マニホールド19と、に接続される。
【0040】
以上のように構成される複数の気化管パネル16は、互いに平行な姿勢でパネル面(気化管21が並ぶ前記垂直面)と直交する方向(図2において左右方向)に配置されている。
【0041】
供給側マニホールド17は、供給側ヘッダー22と交差する方向(本実施形態では、略直交する方向:図3における紙面と直交する方向)に延びる管であり、1つの気化管ブロック11に含まれる各供給側ヘッダー22と、分配管12と、に接続される。
【0042】
送出側マニホールド19は、送出側ヘッダー24と交差する方向(本実施形態では、略直交する方向:図3において紙面と直交する方向)に延びる管であり、1つの気化管ブロック11に含まれる各送出側ヘッダー24と、集合管14と、に接続される。
【0043】
分配管12は、供給側マニホールド17と略平行に延びる管であり、各供給側マニホールド17に接続される。また、分配管12には、外部から当該気化装置10にLNGを供給するための配管P1を接続する供給側接続部12aが設けられている。
【0044】
集合管14は、送出側マニホールド19と略平行に延びる管であり、各送出側マニホールド19に接続される。また、集合管14には、消費地等の外部へNGを送出するための配管P2を接続する送出側接続部14aが設けられている。
【0045】
海水供給部30は、各気化管パネル16の上端部近傍に配置されるトラフ31と、各トラフ31に海水を供給する海水ヘッダー32と、各海水ヘッダー32に海水を分配する海水マニホールド33と、を備える(図5(A)、図5(B)参照)。トラフ31は、気化管パネル16(詳しくは、当該気化管パネル16を構成する各気化管21)の表面に沿って海水が流れ落ちるように各気化管パネル16の上端部に海水を供給する。このトラフ31から供給されて気化管パネル16の表面を流れ落ちる海水と、各気化管21内を流れるLNGとが、気化管21の管壁を介して熱交換することにより、LNGが気化してNGとなる。
【0046】
このように構成される気化装置10の各気化管ブロック11は、図6に示されるように、コンクリート等の壁に囲まれた部屋H内にそれぞれ配置される。具体的には、各気化管ブロック11は、当該気化管ブロック11における供給側マニホールド17及び送出側マニホールド19が部屋Hの外に位置するように部屋H内に配置される。この部屋Hは、供給側ヘッダー22の長手方向において、気化管21と供給側マニホールド17との間を供給側ヘッダー22及び送出側ヘッダー24を残して室内と室外とに仕切る仕切りH1を有する。即ち、供給側ヘッダー22におけるその端部(供給側マニホールド17側の端部)と当該端部側に位置する気化管21との間の部位が仕切り壁H1を貫通すると共に、送出側ヘッダー24におけるその端部(送出側マニホールド19側の端部)と当該端部側に位置する気化管21との間の部位が仕切り壁H1を貫通する。この部屋Hの外に配置される各管12、14、17、19には、その表面全体を覆うように断熱部材が設けられている。
【0047】
以上のように構成される気化装置10は、以下のようにしてLNGを気化する。
【0048】
トラフ31から各気化管パネル16の表面に海水が供給されると共に、供給側接続部12aに接続された配管P1を通じて供給ポンプ等からLNGが分配管12に供給される。分配管12は、供給ポンプ等によって供給されたLNGを当該分配管12に接続された各供給側マニホールド17に分配し、各供給側マニホールド17は、分配管12からのLNGを当該供給側マニホールド17に接続された各供給側ヘッダー22にそれぞれ分配する。各供給側ヘッダー22は、供給されたLNGを当該供給側ヘッダー22に接続された各気化管21に分配する。各気化管21では、供給側ヘッダー22から供給されたLNGがその内部を当該気化管21の下端から上端に向けて流れる。このとき、気化管21の内部を流れるLNGは、気化管21の表面を流れ落ちる海水と当該気化管21の管壁を介して熱交換する。この熱交換により、LNGが気化してNGとなる。
【0049】
この気化装置10においてLNGの気化が行われているときに、海水供給部30は、気化管パネル16の気化管21が設けられた領域だけでなく、その幅方向(当該気化管パネル16における気化管21の並び方向)の外側の領域にも海水を供給する。これは、前記幅方向の両端部に位置する気化管21においても、全周において海水と十分に接触させるためである。これにより、LNGを気化してNGにするとき、即ち、気化装置10の運転中においては、気化管パネル16に沿って供給側ヘッダー22の第1領域A1に向けて流れ落ちる海水は、気化管21内のLNGとの熱交換によって供給側ヘッダー22の位置まで流れ落ちたときに十分に低温となっているのに対し、前記気化管の外側を流れ落ちる(即ち、供給側ヘッダー22の第2領域A2に向けて流れ落ちる)海水は、気化管21内のLNGとの熱交換を殆ど行わずに流れ落ちるため、前記第1領域A1に向けて流れ落ちる海水に比べて供給側ヘッダー22の位置に到達したときの温度が高い。そのため、供給側ヘッダー22の第2領域A2に断熱部材(熱伝達抑制部)23が設けられていなければ、この海水との熱交換によって供給側ヘッダー22の第1領域A1の管壁よりも第2領域A2の管壁の方が高温となり、この第2領域A2に隣接する気化管21(前記気化管パネルの幅方向の端部位置の気化管21)に供給されるLNG(ヘッダー内管50の穴51から流れ出て当該ヘッダー内管50と供給側ヘッダー22との間を気化管21に向かって供給側ヘッダー22の周方向上側に向かって流れるLNG)が第1領域A1の中央部位置の気化管21に供給されるLNGに比べて温度が高くなる。しかし、本実施形態の気化装置10においては、供給側ヘッダー22の第2領域A2に断熱部材23が設けられているため、当該第2領域A2の管壁におけるこの温度の高い海水からの単位面積当たりの伝熱量が抑えられ、これにより、供給側ヘッダー22の第2領域A2に隣接する気化管21に供給されるLNGと第1領域A1の中央部位置の気化管21に供給されるLNGとの間に温度の違いが生じることを防ぐことができる。
【0050】
各気化管21内において気化されたLNG、即ち、NGは、送出側ヘッダー24によって集められ、送出側マニホールド19に送出される。送出側マニホールド19に送られたNGは、集合管14を経て、送出側接続部14aに接続された配管P2を通じて消費地等に送出される。
【0051】
以上の気化装置10によれば、供給側ヘッダー22の第1領域A1に向かって流れ落ちる海水に比べて第2領域A2に向かって流れ落ちる海水の温度が高くても、断熱部材(熱伝達抑制部)23によって供給側ヘッダー22の第2領域A2の全域(各気化管ブロック11の収容されている部屋H内における供給側ヘッダー22の第1領域A1以外の領域)における海水からの単位面積当たりの伝熱量が抑えられる。そのため、前記温度の異なる海水によって供給側ヘッダー22の第1領域A1よりも第2領域A2が高温になることを防ぐことが可能となる。これにより、気化管パネル16の水平方向(幅方向)における端部位置の気化管21に分配されるLNGと、中央部位置の気化管21に分配されるLNGと、の温度の違いが抑えられ、各気化管21の熱伸縮量に起因する供給側ヘッダー22の湾曲が防止される。
【0052】
また、本実施形態の気化装置10では、断熱部材23によって供給側ヘッダー22の第2領域A2の全域(全体)を囲うことにより、供給側ヘッダー22の第1領域A1における海水からの単位面積当たりの伝熱量に比べ、供給側ヘッダー22の第2領域A2における海水からの単位面積当たりの伝熱量を容易且つ確実に抑えることができる。
【0053】
また、本実施形態の気化装置10では、断熱部材23が所定の伸縮性を有することにより、供給側ヘッダー22の熱伸縮による断熱部材23の損傷を防止することができる。具体的に、供給側ヘッダー22は、気化装置10の運転中と気化装置10の停止中との間の温度差によって熱伸縮するが、当該供給側ヘッダー22を囲う断熱部材23が所定の伸縮性を有することにより、当該供給側ヘッダー22の熱伸縮に合わせて伸縮する。これにより、供給側ヘッダー22の熱伸縮(特に、径方向の熱伸縮)に起因する断熱部材23の損傷を効果的に防止することができる。
【実施例1】
【0054】
断熱部材の効果を確認するために、上記実施形態の気化装置10と断熱部材23を除いて同じ構成の気化装置を用い、当該気化装置の運転中の供給側ヘッダー22の第2領域を流れるLNGの温度を調べた。
【0055】
この気化装置の供給側ヘッダーは、外形が165.2mmのアルミニウム製であり、熱伝達率が5000W/mKである。断熱部材の熱伝導率は、1W/mKである。
【0056】
この供給側ヘッダーに−145℃のLNGを供給し、断熱部材がない状態、厚さが0.5mmの断熱部材を設けた状態、厚さが1.5mmの断熱部材を設けた状態の各状態における供給側ヘッダーの第2領域を流れるLNGの温度を測定した。その結果を、図7に示す。
【0057】
この図からわかるように、断熱部材が設けられていない状態に比べ、薄い断熱部材であっても当該断熱部材を供給側ヘッダーの第2領域に設けることにより、内部を流れるLNGの海水による温度上昇が抑えられることが確認できた。
【0058】
これにより、第1領域に向けて流れ落ちる海水の温度よりも第2領域に向けて流れ落ちる海水の温度が高くても、第2領域に断熱部材を設けることにより、供給側ヘッダーにおける第1領域と第2領域との間に温度差が生じることを抑えることが可能であることが確認できた。
【0059】
尚、本発明の低温液化ガスの気化装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0060】
断熱部材23の具体的構成は限定されない。例えば、上記実施形態の断熱部材23は、ウレタンフォーム等の発泡プラスチック製のテープを供給側ヘッダー22の第2領域A2に巻き重ねる(巻き付ける)ことにより構成されるが、これに限定されない。即ち、断熱部材は、図8示されるように、シリコン、ポリ塩化ビニルなどの樹脂あるいは発泡樹脂、グラスファイバーなどを織り込んだ樹脂、ゴム等の熱伝導率の小さな素材で形成された筒状又は有底筒状の部材23A、23Bであってもよい。この筒状の断熱部材23A及び有底筒状の断熱部材23Bは、供給側ヘッダー22の第2領域A2の外周面の直径(外径)に対応する直径(内径)、又は前記外径よりも大きな前記内径の内周面123をそれぞれ有する。そして、これら断熱部材23A、23Bは、筒状の断熱部材23Aを供給側ヘッダー22における供給側マニホールド17側の第2領域A2の周囲に被せられ、有底筒状の断熱部材23Bを供給側ヘッダー22における供給側マニホールド17と反対側の第2領域A2に被せられる。これにより、第2領域A2の全域が断熱部材23A、23Bによって囲まれる。
【0061】
また、断熱部材は、ウレタンフォーム等の発泡プラスチックを供給側ヘッダー22の第2領域A2の表面に所定の厚さになるまで噴きつけることにより形成されてもよい。
【0062】
また、熱伝達抑制部は、供給側ヘッダー22の第2領域A2を囲う構成に限定されない。例えば、供給側ヘッダー22の第2領域A2の上側に配置され、平面視において供給側ヘッダー22の第2領域A2を覆い隠す形状を有するカバー部材60(図9参照)であってもよい。具体的に、カバー部材60は、平面視において供給側ヘッダー22の第2領域A2を覆い隠すことができるように供給側ヘッダー22の外径よりも大きな幅(水平方向の幅)を有する。そして、このカバー部材60は、供給側ヘッダー22の第2領域A2の上側において当該第2領域A2と間隔をおいて(又は接触するように)配置される。このような構成によれば、供給側ヘッダーの長手方向(水平方向)における端部位置の気化管よりも外側を流れ落ち且つ当該気化管内を流れるLNGとの熱交換が殆ど行われていない海水が、供給側ヘッダーの第2領域に当たることを防止することができる。これにより、供給側ヘッダーの第1領域に向かって流れ落ちる海水よりも第2領域に向かって流れ落ちる海水の方が温度が高くても、気化管間分配管の第1領域と第2領域との間に温度の違いが生じることを防ぐことが可能となる。即ち、供給側ヘッダー22の第2領域A2に海水供給部30から流れ落ちてくる海水が当たらないようにカバー部材60を設けることによって当該供給側ヘッダー22の第2領域A2の内部に海水からの熱を伝わり難くし、これにより、供給側ヘッダー22の第1領域A1と第2領域A2とに流れるLNGの温度差を抑制してもよい。
【0063】
また、供給側ヘッダーの第2領域A2の管壁を第1領域A1の管壁よりも熱伝導率の小さな素材によって構成していてもよい。具体的に、例えば、第1領域A1の管壁を第1実施形態と同様に、アルミニウム又はアルミ合金等の熱伝導率の高い金属によって形成し、第2領域A2の管壁を鉄やSUSによって形成する。これにより、管壁の熱伝導率が供給側ヘッダーの第1領域A1に比べて第2領域A2の方が小さくなり、供給側ヘッダーにおいて第1領域A1よりも温度の高い海水が第2領域A2に当たっても、供給側ヘッダーの第1領域A1の内部を流れるLNGの温度と第2領域A2の内部を流れるLNGの温度との間に温度差が生じることを防ぐことが可能となる。その結果、この温度の違いに起因する供給側ヘッダーの湾曲を防止することができる。
【0064】
また、供給側ヘッダー22の第2領域A2の管壁のみを当該管壁の厚さ方向に層状に構成することによって、供給側ヘッダーの第2領域A2の表面(外周面)から当該第2領域A2の内部(供給側ヘッダーの内周面)への熱伝導率を抑えることにより、供給側ヘッダー22の第2領域A2の管壁の熱伝導率(等価熱伝導率)を第1領域A1の管壁の熱伝導率よりも小さくしてもよい。具体的には、図10に示されるように、供給側ヘッダー22の第2領域A2における管壁が複数の層(図10の例では2層)からなり、各層間には、空気若しくは断熱部材が充填された熱伝導抑制層62が形成される。このような構成によっても、供給側ヘッダー22の第2領域A2の管壁における熱伝導率(等価熱伝導率)が第1領域A1の管壁における熱伝導率よりも小さくなる。尚、管壁を構成する層は、3層以上でもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、供給側ヘッダー22の内部にヘッダー内管50が設けられているが、この構成に限定されない。即ち、ヘッダー内管50を設けることなく、供給側マニホールド17から供給側ヘッダー22に直接LNGが供給されるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 低温液化ガスの気化装置
11 気化管ブロック
12 分配管
14 集合管
16 気化管パネル
17 供給側マニホールド
19 送出側マニホールド
21 気化管
22 供給側ヘッダー(気化管間分配管)
23 熱伝達抑制部(断熱部材)
24 送出側ヘッダー
30 海水供給部(液体供給部)
50 ヘッダー内管
51 穴
A1 供給側ヘッダーの第1領域
A2 供給側ヘッダーの第2領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)、液体窒素(LN2)等の低温液化ガスを海水等の熱媒体と熱交換させることにより気化させるための気化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液化天然ガス(LNG)を海水(熱交換用液体)と熱交換させて気化させる気化装置(ORV)として、特許文献1に記載されるものが知られている。
【0003】
この気化装置は、図11に示されるように、特定の垂直面に沿って広がる気化管パネル102と、気化管パネル100の表面に沿って流れ落ちるように当該気化管パネル100の上端部から海水を供給する海水供給部104と、を備える。
【0004】
気化管パネル102は、垂直方向に伸び且つ内部に流される液化天然ガス(低温液化ガス)を外部との熱交換によって気化させるための複数の気化管(伝熱管)106と、気化管パネル102内における各気化管106に液化天然ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管(供給側ヘッダー)108とを有する。気化管パネル102に含まれる複数の気化管106は、互いに平行な姿勢となるように前記特定の垂直面上において水平方向に並んでいる。気化管間分配管108は、水平方向に伸びて気化管パネル102に含まれる各気化管106の下端部にそれぞれ接続されている。
【0005】
このような気化装置においては、気化管間分配管108によって各気化管106に分配された液化天然ガスが当該気化管106内を上昇すると共に、海水供給部104から供給された海水が気化管106の外側を当該気化管106に沿って流れ落ちる。このとき、各気化管106において、当該気化管106の内部と外部とを隔てる管壁を介して液化天然ガスと海水とが熱交換し、これにより、液化天然ガスが気化されて天然ガス(NG)となる。
【0006】
また、気化装置として、特許文献2に記載されるものが知られている。この気化装置では、図12に示されるように、気化管間分配管108の第1領域a1の上側に防水カバー110が被せられている。この防水カバー110によって海水が気化管間分配管108の第1領域a1に直接当たるのが防がれ、海水の温度が比較的高く負荷が小さい場合の気化した液化天然ガスの熱量変動を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭57−57998号公報
【特許文献2】特開平08−183970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の気化装置では、低温液化ガス(液化天然ガス)を気化するときに、気化管間分配管108の当該分配管108の長手方向の端部(図11における領域a2)と中央部(図11における領域a2)とにおいて温度の違いが生じ、これに起因する各気化管106の熱伸縮量の違いにより気化管間分配管108が湾曲する場合がある。これにより、気化管間分配管108の曲がり、気化管間分配管108と各気化管106との接合部位に応力が発生する。
【0009】
具体的には、気化管間分配管108の長手方向において、複数の気化管106が配置された領域a1の外側、即ち、気化管間分配管108の長手方向における端部a2の温度が、前記領域a1の温度よりも高くなる。これは、気化管パネル102に沿って第1領域a1を流れ落ちる熱交換用液体(海水)は、気化管106内の低温液化ガスとの熱交換によって気化管間分配管108まで流れ落ちたときに十分に低温となっているのに対し、前記長手方向における気化管パネル102の外側を流れ落ちる熱交換用液体は気化管106内の低温液化ガスとの熱交換を殆ど行わずに流れ落ちるため、前記第1領域a1を流れ落ちる熱交換用液体に比べて気化管間分配管108に到達したときの温度が高いことに起因する。このように気化管間分配管108の第1領域a1と第2領域a2との間に温度の違いが生じると、当該気化管間分配管108から前記長手方向の端部位置の気化管106に分配される低温液化ガスの温度と、第1領域a1の前記長手方向の中央部位置の気化管106に分配される低温液化ガスの温度とに違いが生じる。その結果、前記端部位置の気化管106と前記中央部位置の気化管106とに熱伸縮量の差が生じ、これにより、気化管間分配管108が湾曲する。
【0010】
一方、上記特許文献2に記載の気化装置では、気化管間分配管108の第1領域a1に直接熱交換用液体が当たることを防ぐことができる。しかし、防水カバー110は、気化管間分配管108の第2領域a2において、水平方向の端部位置の気化管106と隣接する部位しか覆っていないため、当該気化装置においても、気化管間分配管108の第2領域a2に低温液化ガスと熱交換していない(温度の高い)熱交換用液体が当たる。そのため、当該気化装置においても、気化管間分配管108の第1領域a1と第2領域a2との間に温度の違いが生じ、上記特許文献1の気化装置と同様に、気化管間分配管108が湾曲することが懸念される。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、気化管間分配管の長手方向の温度の違いに起因する気化管間分配管の湾曲が生じ難い低温液化ガスの気化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、低温液化ガスを気化するための装置であって、垂直方向に延び且つ内部に流される前記低温液化ガスを外部との熱交換によって気化させるための複数の気化管とこれら各気化管に前記低温液化ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管とを有し、前記複数の気化管が垂直面上において水平方向に並び且つ前記気化管間分配管が水平方向に延びて前記各気化管の下端部にそれぞれ接続されている気化管パネルと、前記複数の気化管に沿って流れ落ちるように前記気化管パネルの上端部から熱交換用液体を供給する液体供給部と、前記複数の気化管が配置されている前記気化管間分配管の第1領域における前記熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量と比べて、前記水平方向において前記第1領域の外側の前記気化管間分配管の第2領域の全体における熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量を同程度以下に抑えるための伝熱抑制部と、を備える。尚、伝熱量が同程度以下とは、熱交換用液体から気化管間分配管を流れる低温液化ガスに熱が伝わったときに、気化管間分配管の第2領域内を流れる低温液化ガスの温度が第1領域内を流れる低温液化ガスの温度と同じ若しくは低い場合だけでなく、気化管間分配管の曲がりに影響を与えない程度で第1領域内を流れる低温液化ガスの温度よりもわずかに高くなるような場合も含む。
【0013】
本発明によれば、気化管間分配管の第1領域に向かって流れ落ちる熱交換用液体に比べて気化管間分配管の第2領域に向かって流れ落ちる熱交換用液体の温度が高くても、伝熱抑制部によって第2領域の全域における熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量が抑えられるため、前記温度の異なる熱交換用液体によって気化管間分配管の第1領域よりも第2領域が高温になることを防ぐことが可能となる。これにより、気化管間分配管から気化管パネルの水平方向における端部位置の気化管に分配される低温液化ガスと、中央部位置の気化管に分配される低温液化ガスと、の温度の違いが抑えられ、各気化管の熱伸縮量に起因する気化管間分配管の湾曲が防止される。
【0014】
具体的には、例えば、前記伝熱抑制部を前記気化管間分配管の第2領域を囲う断熱部材とし、前記断熱部材の熱伝導率を前記気化管間分配管の熱伝導率よりも小さくする。そして、この断熱部材によって気化管間分配管の第2領域を囲うことにより、気化管間分配管の第1領域における熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量に比べ、前記第2領域における熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量を容易且つ確実に抑えることができる。
【0015】
また、気化装置において、前記断熱部材が所定の伸縮性を有することにより、気化管間分配管の熱伸縮による断熱部材の損傷を防止することができる。具体的に、気化管間分配管は、低温液化ガスが流れている状態(即ち、気化装置の運転中)と、低温液化ガスが流れていない状態(即ち、気化装置の停止中)と、の間の温度差によって熱伸縮するが、当該気化管間分配管を囲う断熱部材が所定の伸縮性を有することにより気化管間分配管の熱伸縮に合わせて伸縮する。これにより、気化管間分配管の熱伸縮(特に、径方向の熱伸縮)に起因する断熱部材の損傷を効果的に防止することができる。
【0016】
気化装置の伝熱抑制部は、前記気化管間分配管の第2領域の上側に配置され、平面視において前記分配管の第2領域を覆い隠す形状を有するカバー部材であってもよい。
【0017】
かかる構成によれば、気化管間分配管の長手方向(水平方向)における端部位置の気化管よりも外側を流れ落ち且つ当該気化管内を流れる低温液化ガスとの熱交換が殆ど行われていない熱交換用液体が、気化管間分配管の第2領域に当たることを防止することができる。これにより、気化管間分配管の第1領域と第2領域との間に温度の違いが生じることを防ぐことが可能となる。
【0018】
尚、前記気化管間分配管におけるその端部と当該端部側に位置する気化管との間の部位が仕切り壁を貫通する場合、前記第2領域は、前記仕切り壁と前記端部側に位置する気化管までの領域である。
【0019】
また、上記課題を解消すべく、本発明は、低温液化ガスを気化するための装置であって、垂直方向に延び且つ内部に流される前記低温液化ガスを外部との熱交換によって気化させるための複数の気化管とこれら各気化管に前記低温液化ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管とを有し、前記複数の気化管が特定の垂直面上において水平方向に並び且つ前記気化管間分配管が水平方向に延びて前記各気化管の下端部にそれぞれ接続されている気化管パネルと、前記複数の気化管に沿って流れ落ちるように前記気化管パネルの上端部から熱交換用液体を供給する液体供給部と、を備える。そして、前記複数の気化管が配置されている前記気化管間分配管の第1領域における管壁よりも、前記水平方向において前記第1領域の外側の前記気化管間分配管の第2領域における管壁の方が熱伝導率が小さい。
【0020】
本発明によれば、管壁の熱伝導率が気化管間分配管の第1領域に比べ第2領域の方が小さいため、気化管間分配管の第1領域よりも温度の高い熱交換用液体が気化管間分配管の第2領域に当たっても、気化管間分配管の第1領域の内部を流れる低温液化ガスの温度と第2領域の内部を流れる低温液化ガスの温度との間に温度の違いが生じることを防ぐことが可能となる。その結果、この温度の違いに起因する気化管間分配管の湾曲を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上より、本発明によれば、気化管間分配管の長手方向の温度の違いに起因する気化管間分配管の湾曲が生じ難い低温液化ガスの気化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る低温液化ガスの気化装置の概略構成斜視図である。
【図2】前記気化装置の配管の状態を示す模式図(正面図)である。
【図3】前記気化装置の配管の状態を示す模式図(側面図)である。
【図4】前記気化装置の熱伝達抑制部を説明するための部分拡大図である。
【図5】(A)は、前記気化装置の海水供給部を説明するための側面図であり、(B)は、前記気化装置の海水供給部を説明するための正面図である。
【図6】前記気化装置が設置された状態を示す図であって、一部を破断した斜視図である。
【図7】断熱部材の厚さによる供給側ヘッダー内を流れる液化天然ガスの温度の違いを示す図である。
【図8】他実施形態に係る断熱部材(熱伝達抑制部)を説明するための縦断面図である。
【図9】他実施形態の低温液化ガスの気化装置におけるカバー部材を説明するための拡大横断面図である。
【図10】他実施形態の低温液化ガスの気化装置における気化管間分配管の第2領域の拡大横断面図である。
【図11】従来の気化装置を説明するための部分拡大斜視図である。
【図12】従来の気化装置を説明するための部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0024】
本実施形態に係る低温液化ガスの気化装置(以下、単に「気化装置」とも称する。)は、供給された低温液化ガスを外部の熱交換用液体と熱交換させることにより、当該低温液化ガスを気化させるいわゆるオープンラック型の気化装置(ORV)である。本実施形態の気化装置では液化天然ガス(LNG)を気化する。また、本実施形態では、熱交換用液体として海水が用いられる。
【0025】
具体的に、気化装置は、図1〜図5に示されるように、複数(本実施形態では2個)の気化管ブロック11と、各気化管ブロック11へLNGを分配する分配管12と、各気化管ブロック11において気化されたLNGである天然ガス(NG)を集める集合管14と、各気化管パネル16の表面を伝って流れ落ちるように気化管パネル16の上部に海水を供給する海水供給部(液体供給部)30と、を備える。尚、気化装置10に設けられる気化管ブロック11の数は、複数に限定されず、1つでもよい。
【0026】
各気化管ブロック11は、複数(本実施形態では5枚)の気化管パネル16と、分配管12からのLNGを各気化管パネル16へ分配する供給側マニホールド17と、各気化管パネル16において気化したLNG(即ち、NG)を集めて集合管14に送出する送出側マニホールド19と、をそれぞれ有する。尚、1つの気化管ブロック11に含まれる気化管パネル16の数は5枚に限定されず、他の枚数であってもよい。
【0027】
各気化管パネル16は、垂直面上に互いに平行な姿勢で並べられた複数(本実施形態では90本)の気化管(伝熱管)21と、供給側マニホールド17からのLNGを各気化管21に分配する供給側ヘッダー22と、供給側ヘッダー22の両端部に設けられる伝熱抑制部23と、各気化管21において気化されたLNGを集めて送出側マニホールド19に送出する送出側ヘッダー24と、をそれぞれ有する。尚、1枚の気化管パネル16に含まれる気化管の数は90本に限定されず、他の本数であってもよい。
【0028】
各気化管21は、アルミニウム又はアルミニウム合金等の熱伝導率の高い金属材料により形成され、上下方向に延びる管である。
【0029】
供給側ヘッダー22は、気化管21が並ぶ前記垂直面に沿って水平方向に延びる管である。この供給側ヘッダー22も、気化管21同様に、アルミニウム又はアルミニウム合金等の熱伝導率の高い金属材料により形成されている。供給側ヘッダー22は、1つの気化管パネル16に含まれる各気化管21の下端部とそれぞれ接続される。また、供給側ヘッダー22は、その内部に配置されたヘッダー内管50を介して供給側マニホールド17からLNGが供給されるように、その一端が供給側マニホールド17と接続される。
【0030】
ヘッダー内管50は、供給側ヘッダー22に沿って延びる管状部材であり、供給側ヘッダー22と同軸となるように当該供給側ヘッダー22の内部に配置される(図3参照)。このヘッダー内管50は、その外径が供給側ヘッダー22の内径よりも小さく、これにより、供給側ヘッダー22の内部に配置されたときに当該ヘッダー内管50の外周面と供給側ヘッダー22の内周面との間に所定の空間が形成される。そして、ヘッダー内管50は、その内部にLNGが供給されるように供給側マニホールド17に接続され、当該ヘッダー内管50の軸方向において管壁(周壁)の各気化管21と対応する位置にそれぞれ穴51を有する。この軸方向の各気化管に対応する位置には、それぞれ複数の(本実施形態では4つの穴)が設けられる。具体的に、これら複数の穴51は、前記軸方向における各気化管21と対応する位置(本実施形態では、各気化管21の下方側の位置)において、ヘッダー内管50の周方向、より詳しくは、各穴51の中心がヘッダー内管50の下半分に位置するように前記周方向に並んでいる。
【0031】
このように、供給側ヘッダー22の内部にヘッダー内管50を設けて二重管構造とし、ヘッダー内管50の各気化管21に対応する位置に複数の穴51をそれぞれ設けることにより、各気化管21に分配されるLNGの流量が均等になる。
【0032】
また、ヘッダー内管50の各気化管21に対応する位置に複数の穴51をそれぞれ設けることにより、各気化管21に流入するLNGの流れが均一となる。即ち、各気化管21に対応する位置の複数の穴51から流れ出たLNGが供給側ヘッダー22とヘッダー内管50との間を気化管21に向かって供給側ヘッダー22の周方向上側に向かって流れてから気化管21内に流入することにより、ヘッダー内管の上部(例えば、気化管21の下端と対向する位置等)に設けられた穴から流れ出て直ぐに気化管21内にLNGが流入する場合に比べてLNGの流れが均一となる。
【0033】
伝熱抑制部23は、供給側ヘッダー22における海水からの単位面積当たりの伝熱量を抑える。具体的に、伝熱抑制部23は、供給側ヘッダー22の第2領域A2の全域(全体)において、海水供給部30から供給された海水の有する熱が当該第2領域A2に伝熱されるときの単位面積当たりの伝熱量を抑える。ここで、供給側ヘッダー22の第2領域A2とは、供給側ヘッダー22の長手方向(水平方向)における複数の気化管21が配置されている領域(第1領域)A1の外側の領域である(図3及び図4参照)。具体的に、第1領域A1は、供給側ヘッダー22の長手方向において、気化管21の配置されている領域である。即ち、前記長手方向において、供給側ヘッダー22に沿って並ぶ複数の気化管21の一端の気化管21から他端の気化管21までの領域である。一方、第2領域A2は、前記長手方向において、第1領域A1の外側の領域である。具体的には、気化管ブロック11が部屋H(図6参照)内に配置される場合には、第2領域A2は、供給側ヘッダー22の第1領域A1以外で室内に位置する部位である。尚、この場合、各気化管ブロック11は、供給側ヘッダー22の供給側マニホールド17と反対側の端部が部屋H内に位置するように配置される。
【0034】
詳しくは、第2領域A2は、前記長手方向において、第1領域A1を挟んで、供給側マニホールド17側(図3における左側)の第2領域A2と、供給側マニホールド17と反対側(図3における右側)の第2領域A2とがある。前記反対側の第2領域A2は、図4において複数の気化管21のうちの右端に配置された気化管21の外側から供給側ヘッダー22の右端までの領域である。また、前記供給側マニホールド17側の第2領域A2は、図4において複数の気化管21のうちの左端に配置された気化管21の外側から、気化管ブロック11が配置される部屋Hの仕切り壁H1までの領域である(図1、図3、図6参照)。
【0035】
本実施形態の熱伝達抑制部23は、供給側ヘッダー22の第2領域A2を囲う断熱部材である。この断熱部材23は、その熱伝導率が供給側ヘッダー22(詳しくは、供給側ヘッダー22の管壁)の熱伝導率よりも小さい。具体的に、断熱部材23は、供給側ヘッダー22の第2領域A2の表面を覆うようにウレタンフォーム等の発泡プラスチック製のテープを供給側ヘッダー22に巻き付けることにより形成される。前記テープは、所定の伸縮性を有する。そして、断熱部材23は、供給側ヘッダー22の第2領域A2における表面(外周面)からの厚さが例えば1.5mmになるまで供給側ヘッダー22の第2領域A2の全域において前記テープが巻き重ねられることにより形成される。尚、断熱部材23の厚さは、供給側ヘッダー22の第1領域A1に向けて流れ落ちる海水と第2領域A2に向けて流れ落ちる海水との温度差、及び、断熱部材の熱伝導率等に基づいて適宜設定される。
【0036】
この断熱部材23は、供給側ヘッダー22において、第2領域A2にのみ設けられ、第1領域A1には設けられない。即ち、供給側ヘッダー22の第1領域A1は外部に露出した状態であり、第2領域A2はその全域において断熱部材23によって覆われた状態になっている。
【0037】
このような断熱部材23を供給側ヘッダー22の第2領域A2に設けることにより、供給側ヘッダー22の第1領域A1における海水(詳しくは、海水供給部30から供給される海水)からの熱伝達率に比べ、供給側ヘッダー22の第2領域A2における海水からの熱伝達率を抑えることができる。これにより、海水供給部30から供給側ヘッダー22の第1領域A1に向かって流れ落ちる海水の温度よりも第2領域に向かって流れ落ちる海水の温度の方が高くても、供給側ヘッダー22の第1領域A1の管壁の温度よりも第2領域A2の管壁の温度の方が高くなることを防ぐことができる。
【0038】
また、断熱部材23は、前記伸縮性を有するテープにより形成されるため、所定の伸縮性を有する。そのため、供給側ヘッダー22が熱収縮しても、この熱収縮に伴って断熱部材23自身も伸縮し、これにより、供給側ヘッダー22の熱収縮(特に、供給側ヘッダー22の径方向の熱伸縮)に起因する断熱部材23の破れ等の損傷を効果的に防止することができる。
【0039】
送出側ヘッダー24は、供給側ヘッダー22と平行に延びる管である。この送出側ヘッダー24は、1つの気化管パネル16に含まれる各気化管21の上端部と、送出側マニホールド19と、に接続される。
【0040】
以上のように構成される複数の気化管パネル16は、互いに平行な姿勢でパネル面(気化管21が並ぶ前記垂直面)と直交する方向(図2において左右方向)に配置されている。
【0041】
供給側マニホールド17は、供給側ヘッダー22と交差する方向(本実施形態では、略直交する方向:図3における紙面と直交する方向)に延びる管であり、1つの気化管ブロック11に含まれる各供給側ヘッダー22と、分配管12と、に接続される。
【0042】
送出側マニホールド19は、送出側ヘッダー24と交差する方向(本実施形態では、略直交する方向:図3において紙面と直交する方向)に延びる管であり、1つの気化管ブロック11に含まれる各送出側ヘッダー24と、集合管14と、に接続される。
【0043】
分配管12は、供給側マニホールド17と略平行に延びる管であり、各供給側マニホールド17に接続される。また、分配管12には、外部から当該気化装置10にLNGを供給するための配管P1を接続する供給側接続部12aが設けられている。
【0044】
集合管14は、送出側マニホールド19と略平行に延びる管であり、各送出側マニホールド19に接続される。また、集合管14には、消費地等の外部へNGを送出するための配管P2を接続する送出側接続部14aが設けられている。
【0045】
海水供給部30は、各気化管パネル16の上端部近傍に配置されるトラフ31と、各トラフ31に海水を供給する海水ヘッダー32と、各海水ヘッダー32に海水を分配する海水マニホールド33と、を備える(図5(A)、図5(B)参照)。トラフ31は、気化管パネル16(詳しくは、当該気化管パネル16を構成する各気化管21)の表面に沿って海水が流れ落ちるように各気化管パネル16の上端部に海水を供給する。このトラフ31から供給されて気化管パネル16の表面を流れ落ちる海水と、各気化管21内を流れるLNGとが、気化管21の管壁を介して熱交換することにより、LNGが気化してNGとなる。
【0046】
このように構成される気化装置10の各気化管ブロック11は、図6に示されるように、コンクリート等の壁に囲まれた部屋H内にそれぞれ配置される。具体的には、各気化管ブロック11は、当該気化管ブロック11における供給側マニホールド17及び送出側マニホールド19が部屋Hの外に位置するように部屋H内に配置される。この部屋Hは、供給側ヘッダー22の長手方向において、気化管21と供給側マニホールド17との間を供給側ヘッダー22及び送出側ヘッダー24を残して室内と室外とに仕切る仕切りH1を有する。即ち、供給側ヘッダー22におけるその端部(供給側マニホールド17側の端部)と当該端部側に位置する気化管21との間の部位が仕切り壁H1を貫通すると共に、送出側ヘッダー24におけるその端部(送出側マニホールド19側の端部)と当該端部側に位置する気化管21との間の部位が仕切り壁H1を貫通する。この部屋Hの外に配置される各管12、14、17、19には、その表面全体を覆うように断熱部材が設けられている。
【0047】
以上のように構成される気化装置10は、以下のようにしてLNGを気化する。
【0048】
トラフ31から各気化管パネル16の表面に海水が供給されると共に、供給側接続部12aに接続された配管P1を通じて供給ポンプ等からLNGが分配管12に供給される。分配管12は、供給ポンプ等によって供給されたLNGを当該分配管12に接続された各供給側マニホールド17に分配し、各供給側マニホールド17は、分配管12からのLNGを当該供給側マニホールド17に接続された各供給側ヘッダー22にそれぞれ分配する。各供給側ヘッダー22は、供給されたLNGを当該供給側ヘッダー22に接続された各気化管21に分配する。各気化管21では、供給側ヘッダー22から供給されたLNGがその内部を当該気化管21の下端から上端に向けて流れる。このとき、気化管21の内部を流れるLNGは、気化管21の表面を流れ落ちる海水と当該気化管21の管壁を介して熱交換する。この熱交換により、LNGが気化してNGとなる。
【0049】
この気化装置10においてLNGの気化が行われているときに、海水供給部30は、気化管パネル16の気化管21が設けられた領域だけでなく、その幅方向(当該気化管パネル16における気化管21の並び方向)の外側の領域にも海水を供給する。これは、前記幅方向の両端部に位置する気化管21においても、全周において海水と十分に接触させるためである。これにより、LNGを気化してNGにするとき、即ち、気化装置10の運転中においては、気化管パネル16に沿って供給側ヘッダー22の第1領域A1に向けて流れ落ちる海水は、気化管21内のLNGとの熱交換によって供給側ヘッダー22の位置まで流れ落ちたときに十分に低温となっているのに対し、前記気化管の外側を流れ落ちる(即ち、供給側ヘッダー22の第2領域A2に向けて流れ落ちる)海水は、気化管21内のLNGとの熱交換を殆ど行わずに流れ落ちるため、前記第1領域A1に向けて流れ落ちる海水に比べて供給側ヘッダー22の位置に到達したときの温度が高い。そのため、供給側ヘッダー22の第2領域A2に断熱部材(熱伝達抑制部)23が設けられていなければ、この海水との熱交換によって供給側ヘッダー22の第1領域A1の管壁よりも第2領域A2の管壁の方が高温となり、この第2領域A2に隣接する気化管21(前記気化管パネルの幅方向の端部位置の気化管21)に供給されるLNG(ヘッダー内管50の穴51から流れ出て当該ヘッダー内管50と供給側ヘッダー22との間を気化管21に向かって供給側ヘッダー22の周方向上側に向かって流れるLNG)が第1領域A1の中央部位置の気化管21に供給されるLNGに比べて温度が高くなる。しかし、本実施形態の気化装置10においては、供給側ヘッダー22の第2領域A2に断熱部材23が設けられているため、当該第2領域A2の管壁におけるこの温度の高い海水からの単位面積当たりの伝熱量が抑えられ、これにより、供給側ヘッダー22の第2領域A2に隣接する気化管21に供給されるLNGと第1領域A1の中央部位置の気化管21に供給されるLNGとの間に温度の違いが生じることを防ぐことができる。
【0050】
各気化管21内において気化されたLNG、即ち、NGは、送出側ヘッダー24によって集められ、送出側マニホールド19に送出される。送出側マニホールド19に送られたNGは、集合管14を経て、送出側接続部14aに接続された配管P2を通じて消費地等に送出される。
【0051】
以上の気化装置10によれば、供給側ヘッダー22の第1領域A1に向かって流れ落ちる海水に比べて第2領域A2に向かって流れ落ちる海水の温度が高くても、断熱部材(熱伝達抑制部)23によって供給側ヘッダー22の第2領域A2の全域(各気化管ブロック11の収容されている部屋H内における供給側ヘッダー22の第1領域A1以外の領域)における海水からの単位面積当たりの伝熱量が抑えられる。そのため、前記温度の異なる海水によって供給側ヘッダー22の第1領域A1よりも第2領域A2が高温になることを防ぐことが可能となる。これにより、気化管パネル16の水平方向(幅方向)における端部位置の気化管21に分配されるLNGと、中央部位置の気化管21に分配されるLNGと、の温度の違いが抑えられ、各気化管21の熱伸縮量に起因する供給側ヘッダー22の湾曲が防止される。
【0052】
また、本実施形態の気化装置10では、断熱部材23によって供給側ヘッダー22の第2領域A2の全域(全体)を囲うことにより、供給側ヘッダー22の第1領域A1における海水からの単位面積当たりの伝熱量に比べ、供給側ヘッダー22の第2領域A2における海水からの単位面積当たりの伝熱量を容易且つ確実に抑えることができる。
【0053】
また、本実施形態の気化装置10では、断熱部材23が所定の伸縮性を有することにより、供給側ヘッダー22の熱伸縮による断熱部材23の損傷を防止することができる。具体的に、供給側ヘッダー22は、気化装置10の運転中と気化装置10の停止中との間の温度差によって熱伸縮するが、当該供給側ヘッダー22を囲う断熱部材23が所定の伸縮性を有することにより、当該供給側ヘッダー22の熱伸縮に合わせて伸縮する。これにより、供給側ヘッダー22の熱伸縮(特に、径方向の熱伸縮)に起因する断熱部材23の損傷を効果的に防止することができる。
【実施例1】
【0054】
断熱部材の効果を確認するために、上記実施形態の気化装置10と断熱部材23を除いて同じ構成の気化装置を用い、当該気化装置の運転中の供給側ヘッダー22の第2領域を流れるLNGの温度を調べた。
【0055】
この気化装置の供給側ヘッダーは、外形が165.2mmのアルミニウム製であり、熱伝達率が5000W/mKである。断熱部材の熱伝導率は、1W/mKである。
【0056】
この供給側ヘッダーに−145℃のLNGを供給し、断熱部材がない状態、厚さが0.5mmの断熱部材を設けた状態、厚さが1.5mmの断熱部材を設けた状態の各状態における供給側ヘッダーの第2領域を流れるLNGの温度を測定した。その結果を、図7に示す。
【0057】
この図からわかるように、断熱部材が設けられていない状態に比べ、薄い断熱部材であっても当該断熱部材を供給側ヘッダーの第2領域に設けることにより、内部を流れるLNGの海水による温度上昇が抑えられることが確認できた。
【0058】
これにより、第1領域に向けて流れ落ちる海水の温度よりも第2領域に向けて流れ落ちる海水の温度が高くても、第2領域に断熱部材を設けることにより、供給側ヘッダーにおける第1領域と第2領域との間に温度差が生じることを抑えることが可能であることが確認できた。
【0059】
尚、本発明の低温液化ガスの気化装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0060】
断熱部材23の具体的構成は限定されない。例えば、上記実施形態の断熱部材23は、ウレタンフォーム等の発泡プラスチック製のテープを供給側ヘッダー22の第2領域A2に巻き重ねる(巻き付ける)ことにより構成されるが、これに限定されない。即ち、断熱部材は、図8示されるように、シリコン、ポリ塩化ビニルなどの樹脂あるいは発泡樹脂、グラスファイバーなどを織り込んだ樹脂、ゴム等の熱伝導率の小さな素材で形成された筒状又は有底筒状の部材23A、23Bであってもよい。この筒状の断熱部材23A及び有底筒状の断熱部材23Bは、供給側ヘッダー22の第2領域A2の外周面の直径(外径)に対応する直径(内径)、又は前記外径よりも大きな前記内径の内周面123をそれぞれ有する。そして、これら断熱部材23A、23Bは、筒状の断熱部材23Aを供給側ヘッダー22における供給側マニホールド17側の第2領域A2の周囲に被せられ、有底筒状の断熱部材23Bを供給側ヘッダー22における供給側マニホールド17と反対側の第2領域A2に被せられる。これにより、第2領域A2の全域が断熱部材23A、23Bによって囲まれる。
【0061】
また、断熱部材は、ウレタンフォーム等の発泡プラスチックを供給側ヘッダー22の第2領域A2の表面に所定の厚さになるまで噴きつけることにより形成されてもよい。
【0062】
また、熱伝達抑制部は、供給側ヘッダー22の第2領域A2を囲う構成に限定されない。例えば、供給側ヘッダー22の第2領域A2の上側に配置され、平面視において供給側ヘッダー22の第2領域A2を覆い隠す形状を有するカバー部材60(図9参照)であってもよい。具体的に、カバー部材60は、平面視において供給側ヘッダー22の第2領域A2を覆い隠すことができるように供給側ヘッダー22の外径よりも大きな幅(水平方向の幅)を有する。そして、このカバー部材60は、供給側ヘッダー22の第2領域A2の上側において当該第2領域A2と間隔をおいて(又は接触するように)配置される。このような構成によれば、供給側ヘッダーの長手方向(水平方向)における端部位置の気化管よりも外側を流れ落ち且つ当該気化管内を流れるLNGとの熱交換が殆ど行われていない海水が、供給側ヘッダーの第2領域に当たることを防止することができる。これにより、供給側ヘッダーの第1領域に向かって流れ落ちる海水よりも第2領域に向かって流れ落ちる海水の方が温度が高くても、気化管間分配管の第1領域と第2領域との間に温度の違いが生じることを防ぐことが可能となる。即ち、供給側ヘッダー22の第2領域A2に海水供給部30から流れ落ちてくる海水が当たらないようにカバー部材60を設けることによって当該供給側ヘッダー22の第2領域A2の内部に海水からの熱を伝わり難くし、これにより、供給側ヘッダー22の第1領域A1と第2領域A2とに流れるLNGの温度差を抑制してもよい。
【0063】
また、供給側ヘッダーの第2領域A2の管壁を第1領域A1の管壁よりも熱伝導率の小さな素材によって構成していてもよい。具体的に、例えば、第1領域A1の管壁を第1実施形態と同様に、アルミニウム又はアルミ合金等の熱伝導率の高い金属によって形成し、第2領域A2の管壁を鉄やSUSによって形成する。これにより、管壁の熱伝導率が供給側ヘッダーの第1領域A1に比べて第2領域A2の方が小さくなり、供給側ヘッダーにおいて第1領域A1よりも温度の高い海水が第2領域A2に当たっても、供給側ヘッダーの第1領域A1の内部を流れるLNGの温度と第2領域A2の内部を流れるLNGの温度との間に温度差が生じることを防ぐことが可能となる。その結果、この温度の違いに起因する供給側ヘッダーの湾曲を防止することができる。
【0064】
また、供給側ヘッダー22の第2領域A2の管壁のみを当該管壁の厚さ方向に層状に構成することによって、供給側ヘッダーの第2領域A2の表面(外周面)から当該第2領域A2の内部(供給側ヘッダーの内周面)への熱伝導率を抑えることにより、供給側ヘッダー22の第2領域A2の管壁の熱伝導率(等価熱伝導率)を第1領域A1の管壁の熱伝導率よりも小さくしてもよい。具体的には、図10に示されるように、供給側ヘッダー22の第2領域A2における管壁が複数の層(図10の例では2層)からなり、各層間には、空気若しくは断熱部材が充填された熱伝導抑制層62が形成される。このような構成によっても、供給側ヘッダー22の第2領域A2の管壁における熱伝導率(等価熱伝導率)が第1領域A1の管壁における熱伝導率よりも小さくなる。尚、管壁を構成する層は、3層以上でもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、供給側ヘッダー22の内部にヘッダー内管50が設けられているが、この構成に限定されない。即ち、ヘッダー内管50を設けることなく、供給側マニホールド17から供給側ヘッダー22に直接LNGが供給されるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 低温液化ガスの気化装置
11 気化管ブロック
12 分配管
14 集合管
16 気化管パネル
17 供給側マニホールド
19 送出側マニホールド
21 気化管
22 供給側ヘッダー(気化管間分配管)
23 熱伝達抑制部(断熱部材)
24 送出側ヘッダー
30 海水供給部(液体供給部)
50 ヘッダー内管
51 穴
A1 供給側ヘッダーの第1領域
A2 供給側ヘッダーの第2領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温液化ガスを気化するための装置であって、
垂直方向に延び且つ内部に流される前記低温液化ガスを外部との熱交換によって気化させるための複数の気化管とこれら各気化管に前記低温液化ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管とを有し、前記複数の気化管が垂直面上において水平方向に並び且つ前記気化管間分配管が水平方向に延びて前記各気化管の下端部にそれぞれ接続されている気化管パネルと、
前記複数の気化管に沿って流れ落ちるように前記気化管パネルの上端部から熱交換用液体を供給する液体供給部と、
前記複数の気化管が配置されている前記気化管間分配管の第1領域における前記熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量と比べて、前記水平方向において前記第1領域の外側の前記気化管間分配管の第2領域の全体における熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量を同程度以下に抑えるための伝熱抑制部と、を備える低温液化ガスの気化装置。
【請求項2】
前記伝熱抑制部は、前記気化管間分配管の第2領域を囲う断熱部材であり、
前記断熱部材の熱伝導率が前記気化管間分配管の熱伝導率よりも小さい請求項1に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項3】
前記断熱部材は、所定の伸縮性を有する請求項2に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項4】
前記伝熱抑制部は、前記気化管間分配管の第2領域の上側に配置され、平面視において前記分配管の第2領域を覆い隠す形状を有するカバー部材である請求項1に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項5】
前記気化管間分配管におけるその端部と当該端部側に位置する気化管との間の部位が仕切り壁を貫通し、
前記第2領域は、前記仕切り壁と前記端部側に位置する気化管までの領域である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項6】
低温液化ガスを気化するための装置であって、
垂直方向に延び且つ内部に流される前記低温液化ガスを外部との熱交換によって気化させるための複数の気化管とこれら各気化管に前記低温液化ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管とを有し、前記複数の気化管が特定の垂直面上において水平方向に並び且つ前記気化管間分配管が水平方向に延びて前記各気化管の下端部にそれぞれ接続されている気化管パネルと、
前記複数の気化管に沿って流れ落ちるように前記気化管パネルの上端部から熱交換用液体を供給する液体供給部と、を備え、
前記複数の気化管が配置されている前記気化管間分配管の第1領域における管壁よりも、前記水平方向において前記第1領域の外側の前記気化管間分配管の第2領域における管壁の方が熱伝導率が小さい低温液化ガスの気化装置。
【請求項1】
低温液化ガスを気化するための装置であって、
垂直方向に延び且つ内部に流される前記低温液化ガスを外部との熱交換によって気化させるための複数の気化管とこれら各気化管に前記低温液化ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管とを有し、前記複数の気化管が垂直面上において水平方向に並び且つ前記気化管間分配管が水平方向に延びて前記各気化管の下端部にそれぞれ接続されている気化管パネルと、
前記複数の気化管に沿って流れ落ちるように前記気化管パネルの上端部から熱交換用液体を供給する液体供給部と、
前記複数の気化管が配置されている前記気化管間分配管の第1領域における前記熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量と比べて、前記水平方向において前記第1領域の外側の前記気化管間分配管の第2領域の全体における熱交換用液体からの単位面積当たりの伝熱量を同程度以下に抑えるための伝熱抑制部と、を備える低温液化ガスの気化装置。
【請求項2】
前記伝熱抑制部は、前記気化管間分配管の第2領域を囲う断熱部材であり、
前記断熱部材の熱伝導率が前記気化管間分配管の熱伝導率よりも小さい請求項1に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項3】
前記断熱部材は、所定の伸縮性を有する請求項2に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項4】
前記伝熱抑制部は、前記気化管間分配管の第2領域の上側に配置され、平面視において前記分配管の第2領域を覆い隠す形状を有するカバー部材である請求項1に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項5】
前記気化管間分配管におけるその端部と当該端部側に位置する気化管との間の部位が仕切り壁を貫通し、
前記第2領域は、前記仕切り壁と前記端部側に位置する気化管までの領域である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項6】
低温液化ガスを気化するための装置であって、
垂直方向に延び且つ内部に流される前記低温液化ガスを外部との熱交換によって気化させるための複数の気化管とこれら各気化管に前記低温液化ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管とを有し、前記複数の気化管が特定の垂直面上において水平方向に並び且つ前記気化管間分配管が水平方向に延びて前記各気化管の下端部にそれぞれ接続されている気化管パネルと、
前記複数の気化管に沿って流れ落ちるように前記気化管パネルの上端部から熱交換用液体を供給する液体供給部と、を備え、
前記複数の気化管が配置されている前記気化管間分配管の第1領域における管壁よりも、前記水平方向において前記第1領域の外側の前記気化管間分配管の第2領域における管壁の方が熱伝導率が小さい低温液化ガスの気化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−189125(P2012−189125A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52378(P2011−52378)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]