説明

低粘度アルギン酸塩含有水溶性薄膜

薄膜形成剤として、一価カチオンのアルギン酸塩または少なくとも1種の一価カチオンのアルギン酸塩を含有するアルギン酸塩の混合物を含有してなる薄膜であって、該薄膜形成剤が、温度20℃でのその10%水溶液をスピンドルNo.2のブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して20rpmの剪断速度で測定した場合に、100〜1000mPasの粘度を有するような形成剤である薄膜。該薄膜の製造方法。該薄膜は有効成分を哺乳動物に送達するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルギン酸塩ポリマーを含有してなるポリマー薄膜ならびにかかる薄膜の製造方法に関する。さらに、本発明は少なくとも1種の生物学的に活性な物質、例えば、治療的に活性な物質を含有してなるアルギン酸塩薄膜形状の組成物、およびかかる組成物の製造法に関する。最終的に、本発明は医薬品調製のためのアルギン酸塩ポリマーを含有してなるポリマー薄膜の使用、ならびに治療用のアルギン酸塩ポリマーを含有してなるポリマー薄膜に基づく医薬薄膜組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルギン酸塩、すなわちアルギン酸の塩は、褐藻類(Phaeophyceae;主としてコンブ(Laminaria))が天然に産生する直鎖の多糖類である。アルギン酸塩は、柔軟な鎖としてつながった典型的に100〜3000個のモノマー残基から構成される。これらの残基は2つのタイプのもの、すなわち、それぞれβ−(1→4)−結合D−マンヌロン酸(M)残基およびα−(1→4)−結合L−グルロン酸(G)残基である。これらの残基はエピマー(D−マンヌロン酸残基が重合の結果、L−グルロン酸残基に酵素的に変換される)であり、唯一C5位で異なる。しかし、ポリマー鎖において、それらは非常に異なる構造を生じ、いずれか2個のD−マンヌロン酸残基は−ジエカトリアルに結合し、一方、いずれか2個のL−グルロン酸残基を連結する結合は−ジアキシアル結合であり、それを下記の式(I)に示す。
【0003】
【化1】

【0004】
これらの残基は同一の、または厳密に交互の残基(例えば、MMMMMM....GGGGGG....またはGMGMGMGM....)の塊として組織化されている。
【0005】
異なる一価および多価のカチオン、例えば、Na、K、NH、Mg2+およびCa2+は、アルギン酸塩の負に荷電した基に対する対イオンとして存在する。
【0006】
いくつかのファクター、例えば、平均ポリマー鎖長、ポリマー成分および存在するカチオンなどに依存して、アルギン酸塩の流動的性質は、自由流動性(低粘度)から滴下しない性質(高粘度)へと大幅に変化する。
【0007】
アルギン酸塩は様々な分野で、例えば、医薬品および食料品において、例えば、増粘剤、安定化剤およびゲル化剤として適用されるなどの用途を見出す。医薬組成物におけるそれらの使用は、多くの特許および特許出願に言及されている。このように、リポシン・インク(Lipocine, Inc.)に譲渡された米国特許第6,923,988号(特許文献1)は、有効成分の送達が改善された固形医薬組成物を開示している。医薬組成物が崩壊剤としてアルギン酸塩を含有し得ることが言及されている。
【0008】
ワーナー−ランバート社に譲渡された米国特許第6,923,981号(特許文献2)は、口腔衛生用の急速溶解性口腔消費可能薄膜を開示している。薄膜形成剤のリストが提示されており、アルギン酸ナトリウムがそこに言及されている一方、プルランが好適であると述べられており、アルギン酸塩薄膜についての例は示されていない。
【0009】
ウイリアム・リグレイ・ジュニア社(Wm. Wrigley Jr. Company)に共に譲渡された米国特許第6,656,493号(特許文献3)および第6,740,332号(特許文献4)は、口腔衛生用の食用薄膜製剤を開示している。該薄膜製剤は少なくとも3種の薄膜形成剤、すなわち、マルトデキストリン、親水コロイドおよび充填剤を含有する。親水コロイドの目的は濃淡を与え、脆弱性を低下させることであり、アルギン酸塩は親水コロイドの例として言及されている。
【0010】
FMCコーポレーションに譲渡された米国特許出願第20050013847号(特許文献5)は、均一の熱可逆性ゲル薄膜を含有してなる送達システムに関しており、その場合、ゲル薄膜は、薄膜形成量の水溶性熱可逆性アルギン酸塩;および選択肢として少なくとも1種の可塑剤、第二薄膜形成剤、充填剤およびpH調節剤;並びに活性物質からなる。第二の薄膜形成剤は任意であると言うが、すべての実施例が少なくとも2種の薄膜形成剤を含有する薄膜を示している。ゲル薄膜を調製する例示された方法は、アルギン酸塩含有混合物を上昇温度に加熱し、均一溶解組成物を形成することからなる。活性物質は溶解組成物の形成前または後のいずれかで加え、次いで、活性物質を含有する溶解組成物を冷却し、さらに処理加工する。この薄膜は、投与形状の溶解プロフィールを改変するために、即時放出、腸内放出または遅延放出能力を有する固形の投与形状を創出し得る添加組成物を含有し得ることが言及されている。
【0011】
LTSローマン(Lohmann)セラピー−システムAG社に譲渡された米国特許第6,709,671号(特許文献6)は、粘膜付着性組成物から形成される単層薄膜を開示しており、該組成物は少なくとも1種の水溶性ポリマー;界面活性剤単独またはポリアルコールと可塑剤からなる群より選択される少なくとも1つと組合わせた界面活性剤、またはポリアルコールおよび可塑剤と組合わせた界面活性剤;並びに少なくとも1種の化粧品成分または医薬成分を含有してなり、口腔内に適用するためのものである。
【0012】
薬物のタイプおよび治療すべき疾患に応じて、活性な医薬成分(薬物)を身体に送達する多くの方法(まとめて製剤という)が存在する。例えば、錠剤、カプセル剤およびロゼンジなどの経口製剤;注射用のバイアルおよび事前充填シリンジ中の薬物溶液;パッチおよび軟膏ならびに経鼻スプレーなどの局所用製剤である。その他の薬物送達方法、例えば、身体に設置する埋め込みポンプおよび低速放出デポ製剤なども存在する。選択される製剤は、一般に、薬物の治療結果、その副作用、および患者自身が容易に薬物療法を使用し得ることに著しく影響を与える。
【0013】
最も広範に使用される薬物製剤は、腸内で薬物を放出させるために服用するようにした錠剤である。錠剤は、その構造と送達性を提供する数種の物質とともに機械的に圧縮した薬物から構成される。錠剤は水などの液体とともに飲み込むことが必要であり、一部の患者、例えば、子供および老人の患者はそれを飲み込むことが難しいことがある。
【0014】
経口用錠剤と関連する問題は、多くの薬物が胃の酸性環境を通過する際に、分解され得ることである。薬物が腸内に入ったとき、薬物は血流に取り込まれ、門脈を経て肝臓に運ばれ、そこで活性な医薬成分の大部分が、一般的には酵素により不活性な化学物質に代謝される。酵素は正常な場合、食物中の異物に注意を払い、すなわち、いわゆる初回通過代謝である。
【0015】
これらのファクターはプラスの治療効果が認められる以前に大幅に遅れを生じさせ、例えば、薬物の溶液を直接血管に注射する場合に必要とされる以上に、相当多量の薬物を投与することが必要となり、そのため胃腸での副作用の危険性が増幅される。
【0016】
注射は迅速な薬理作用を提供し、副作用の危険性を低下させるが、通常、注射は医療の専門スタッフが、医療センターまたは病院で実施しなければならず、結果としてこの投与形態の便益性を制限することとなる。
【0017】
経鼻スプレーは迅速な作用の発現を生じるが、通常は呼吸器官の局部的処置に制限される。他の形態の製剤、例えば、デポ型、パッチまたは注入装置は、通常、薬物の持続レベルが長時間にわたり要求される場合の症状に向けて適用される。
【0018】
【特許文献1】米国特許第6,923,988号明細書
【特許文献2】米国特許第6,923,981号明細書
【特許文献3】米国特許第6,656,493号明細書
【特許文献4】米国特許第6,740,332号明細書
【特許文献5】米国特許出願第20050013847号明細書
【特許文献6】米国特許第6,709,671号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の一般的な目的は、哺乳動物の湿潤体表に接着性であり、湿潤面と接触したときに急速に溶解する特徴を有する薄膜を提供することにある。
【0020】
本発明の別の一般的な目的は、調製が容易であり、上記の有利な性質のために、界面活性剤および崩壊剤などの添加物の存在を必要としない薄膜を提供することにある。
【0021】
本発明のなおさらなる目的は、生物学的に活性な物質を含有する薄膜製剤を提供することにあり、該活性物質は治療的または非治療的物質でもよく、該薄膜製剤は、哺乳動物の粘膜などの湿潤面に該薄膜製剤を塗布することにより、該哺乳動物に生物学的に活性な物質を送達するために使用し得るものである。
【0022】
本発明のなおさらなる目的は、医薬薄膜組成物を提供することにあり、該組成物は自己投与が容易かつ簡便であり、有効成分の投与量を減少させ、従って潜在的な副作用が少なく、また迅速かつ信頼し得る様式で所望の医薬効果を生じさせ得るものである。
【0023】
本発明の別の目的は、有効成分の初回通過代謝を回避することが可能な1種または数種の有効成分を含有してなる医薬薄膜組成物を提供することにある。
【0024】
本発明の別の目的は、1種または数種の有効成分の薬理作用の急速な発現を可能とする医薬薄膜組成物を提供することにある。
【0025】
本発明の別の目的は、胃腸管において分解または劣化を受け易い有効成分の投与を可能とする医薬薄膜組成物を提供することにある。
【0026】
本発明のなおさらなる目的は、哺乳動物対象に有効成分を全身的及び/又は局所的に容易にかつ簡便に投与することを可能にする医薬または非医薬薄膜組成物を提供することにある。
【0027】
本発明のなお別の目的は、哺乳動物対象の口腔粘膜に、自発的または非自発的に、対象の口腔から溶け出す前に確実に接着し、それが失われる危険性を低下させる医薬または非医薬薄膜組成物を提供することにある。
【0028】
本発明の別の目的は、室温よりも顕著に高い温度などの上昇温度で劣化し易い有効成分を含有してなる医薬または非医薬薄膜製剤を提供することにある。
【0029】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1種の有効成分を高レベルで含有し得る医薬または非医薬薄膜製剤を提供することにある。
【0030】
本発明の一つの目的は、本発明よる医薬または非医薬薄膜組成物に使用し得る薄膜の調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は、独立した薄膜形成剤として本明細書で定義したアルギン酸塩組成物を使用することにより、哺乳動物の湿潤体表面に接着し、湿潤面と接触したときに急速に溶解する特性を有する薄膜が入手し得るという驚くべき知見に基づくものである。
【0032】
非常に有利な点は、本発明の薄膜が生物接着性であることにあり、そのことは、粘膜または角膜などの湿潤面に適用したとき、それが好ましくは数秒以内でそこに接着することである。
【0033】
さらに、粘膜などの湿潤面と接触したときに、本発明の薄膜は数分未満の時間内で、例えば、2分未満以内で溶解し得る。
【0034】
従って、本発明の一側面によると、一価カチオンのアルギン酸塩または少なくとも1種の一価カチオンのアルギン酸塩を含有するアルギン酸塩類の混合物を薄膜形成剤として含有してなる薄膜であって、該薄膜形成剤が、温度20℃でのその10%水溶液をスピンドルNo.2のブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して20rpmの剪断速度で測定した場合に、100〜1000mPasの粘度を有するような形成剤である薄膜が提供される。
【0035】
本発明の一実施態様において、該薄膜は少なくとも1種の生物学的に活性な物質を含有してなる。
【0036】
本発明の他の一側面によると、薄膜調製用の組成物の使用であって、当該組成物が、1種以上の有効成分、および薄膜形成剤として一価カチオンのアルギン酸塩または一価カチオンの複数のアルギン酸塩の混合物を含有してなり、該薄膜形成剤が、温度20℃でその10%水溶液としたときに、100〜1000mPasの粘度を有するものであることを特徴とする組成物の使用が提供される。
【発明の効果】
【0037】
本発明の薄膜形成組成物の使用により、大量の1種または数種の有効成分を含有し得、また上記の切望される特性を有し得る薄膜を含有する薄膜製剤を調製し得る。従って、本発明の一側面によると、生物学的に活性な成分を含有してなる薄膜製剤が提供され、当該薄膜製剤は哺乳動物の湿潤体表面に確実に接着し、湿潤表面と接触したときに急速に溶解する特性を有し得る。
【0038】
一実施態様において、薄膜組成物は医薬組成物であり、別の実施態様において、該薄膜組成物は非医薬組成物である。
【0039】
別の側面によると、一価カチオンのアルギン酸塩または少なくとも1種の一価カチオンのアルギン酸塩を含有するアルギン酸塩類の混合物を薄膜形成剤として含有してなる組成物を調製すること、ここで、該薄膜形成剤は温度20℃でのその10%水溶液をスピンドルNo.2のブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して20rpmの剪断速度で測定した場合に、100〜1000mPasの粘度を有する形成剤である、該組成物を固体表面上に分布させること、および該組成物を該表面上で乾燥させることにより薄膜製造する方法が提供される。
【0040】
一般的には、本発明のアルギン酸塩組成物を一旦溶解させると、アルギン酸塩溶液の粘度は経時的にわずかに変化する。例えば、粘度はアルギン酸塩の溶解から10分以内に、上記のとおりに測定した。
【0041】
本発明の方法の一実施態様においては、少なくとも1種の生物学的に活性な物質が、薄膜形成組成物に加えられる。
【0042】
さらに別の側面によると、医薬品調製のための本発明に係る薄膜の使用が提供される。
【0043】
さらに別の側面によると、本発明は哺乳動物の医療処置方法であって、かかる処置を必要とする哺乳動物に、本発明の医薬薄膜組成物を投与することからなる方法を提供する。
【0044】
本発明のなおさらなる目的、側面および実施態様は、以下の記載と添付の請求項から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
発明の詳細な説明
本発明の一実施態様によると、アルギン酸塩薄膜は、アルギン酸塩組成物を含有する薄膜形成組成物に基づき提供される。本発明により使用されるアルギン酸塩組成物は、少なくとも1種のアルギン酸の塩および1種または数種の一価のカチオン、好ましくはナトリウム、カリウムおよびアンモニウムイオンから選択されるカチオンを含有してなる。最も好ましくは、本発明のアルギン酸塩組成物はアルギン酸ナトリウムを含有してなる。
【0046】
本発明のアルギン酸塩組成物は、温度20℃でのその10%水溶液について、スピンドルNo.2を用いるブルックフィールド(Brookfield)LVF粘度計(ブルックフィールト・エンジニアリング・ラボラトリーズ・インク製)を使用して20rpmの剪断速度で測定した場合に、100〜1000mPas、または200〜800mPas、例えば、300〜700mPasの動的粘度を有する。
【0047】
留意すべきことは、本発明の目的にとって、また他に断りのない限り、いずれの%値も成分の重量に基づくことである。換言すると、例えば、アルギン酸塩の10%水溶液100gは、アルギン酸塩10gおよび水を含む他の成分90gを含む。
【0048】
本発明のアルギン酸塩組成物は、好ましくは、平均グルロン酸塩(G)含有率が50ないし85重量%、好ましくは60ないし80重量%、最も好ましくは65ないし75重量%を有し、平均マンヌロン酸塩(M)含有率が15ないし50重量%、好ましくは20ないし40重量%、最も好ましくは25ないし35重量%を有し、平均分子量は30,000g/molないし90,000g/mol、例えば、35,000g/molないし85,000g/mol、例えば、40,000g/molないし70,000g/molまたは40,000g/molないし50,000g/molの範囲である。
【0049】
本発明に従い使用する例示となるアルギン酸塩組成物は、FMCバイオポリマーが販売するプロタナール(Protanal,登録商標)LFR5/60である。プロタナール(Protanal,登録商標)LFR5/60はラミナリア・ヒペルボレア(Laminaria hyperborea)の茎から抽出される低分子量(低粘度)アルギン酸ナトリウムである。
【0050】
アルギン酸塩組成物の粘度を修正するために、一価のカチオンのアルギン酸塩と混合し得るアルギン酸塩の例として示し得るのは、プロタナール(Protanal,登録商標)LF10/60である。このものはFMCバイオポリマーが販売し、65〜75/25〜35のG/M%比を有し、温度20℃でのその1%水溶液について、スピンドルNo.2のブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して20rpmの剪断速度で測定した場合に、20〜70の粘度を示す。
【0051】
アルギン酸塩ポリマー組成物の平均分子量の増加は、結果として該組成物の粘度の増大に至る。粘度が高い程、アルギン酸塩マトリックスシステムの結果として生じる放出速度は低くなる。考えられることは、アルギン酸塩組成物の粘度は、異なる粘度を有する幾種類かのアルギン酸塩を混合することにより調整することができるということである。認識すべきは、アルギン酸塩の混合物を使用する場合、別々に取り込まれたアルギン酸塩のすべてが特定の範囲内の粘度を有する必要のないことである。しかし、本発明の目的に有用であるためには、1種類を超えるアルギン酸塩の組み合わせから生じるアルギン酸塩混合物が、上記に示した範囲内に粘度値をもつようにしなければならないことである。
【0052】
事実、非常に有利なことに、本発明のアルギン酸塩に基づく薄膜形成組成物は、粘膜または角膜などの湿潤表面と接触したときに、適切な溶解性を有する薄膜を生じる。この薄膜の溶解特性は、治療すべき対象の身体への、薄膜中に含まれるいずれかの有効成分の送達に大きく影響を与える。本発明の急速溶解性薄膜により、短時間内に、すなわち、本質的には薄膜の溶解時間内、すなわち、好ましくは2分未満以内に、一定量の有効成分を治療すべき被験者の身体に送達することが可能である。このことは対象の身体内で、有効成分の時間プロフィールに対して、非常に有利な濃度を与え、他の投与形態と比較しても、有効成分の比較的低い総投与量で、高いピークレベルの濃度が得られる。
【0053】
本発明の薄膜形成組成物は、さらに1種以上の充填剤または可塑剤などの適切な添加剤を含有し得る。可塑剤は、それが存在するとき、例えば、ポリエチレングリコール、グリセロールおよびソルビトールから選択することができる。好適な可塑剤は少量部のグリセロールと一緒にしたソルビトールである。適量の可塑剤は、例えば、アルギン酸塩100g当たり、10ないし85g、または30ないし70g、例えば、50ないし60gである。
【0054】
充填剤は、それが存在するとき、例えば、微結晶性セルロースである。適量の充填剤は総医薬組成物の0〜20重量%、例えば、5〜10重量%である。しかし、認識すべきことは、アルギン酸塩組成物とは別に、薄膜の物理的特性に影響する充填剤および可塑剤などの他の試剤が不要であるかまたは非常に低いレベルでよいということが、極めて有益な特徴となるということである。この特徴は本発明の薄膜組成物に含めるべき有効成分の高いレベルを可能とする。有効成分は、それが高レベルで存在する場合、それ自体、薄膜の有利な性質、例えば、適切な表面の性質に寄与し得る。
【0055】
本発明の薄膜の機械的性質は極めて満足すべきものであり、特に、該薄膜は柔軟性に富み、すなわち、壊すことなく、曲げたり畳んだりすりことが可能であり、極めて良好な引っ張り強度を有する。
【0056】
本明細書に定義するように、アルギン酸塩に基づく薄膜形成組成物の使用により、本発明による製剤は、1種または数種の生物学的に活性な成分を含有する薄膜の形状で調製し得る。
【0057】
「生物学的に活性な成分」、「有効成分」、「活性物質」および「生物学的に活性な物質」という用語は、本明細書において互換性のあるものとして用い、本発明に従って哺乳動物対象に投与した場合、所望の生物活性または作用を示す物質を包含することを意味する。有効成分/活性物質は、例えば、治療的に活性な成分であり得る。また、それは一般的には医薬と考えられない、例えば、自然療法製剤である場合であっても、生物学的に活性な成分であり得る。非医薬活性成分の例としては、刺激剤または機能性食品に言及し得るが、後者は一般に食品または食品の一部と考え得る物質と定義され、疾患の予防および処置を含む医学的または健康上の有益性を提供する。その他の生物学的に活性な物質は、治療的および非治療的用途の両方を有し得る。
【0058】
本明細書にて使用する場合、「湿潤表面」という用語は、好ましくは、哺乳動物対象の正常に水和された粘膜または角膜の湿度とできれば同様の湿度を有する表面をいうが、耳の内部に見出される幾分湿り気の少ない表面をもいう。
【0059】
本発明による薄膜製剤は、好ましくは0.1ないし2mmの厚さ、例えば、0.2ないし1mm、または0.2ないし0.6mm、例えば、0.5mmの厚さを有する。
【0060】
投与量単位は適切な表面積であり、薄膜内の有効成分の濃度および投与すべき適切な投与量を考慮したものである。例示として、1cmないし10cmの表面積を有する投与量単位は、薄膜が口腔空隙内に適用される場合に選択されるものであり、一方、より小さい表面積、例えば、0.04cmないし1cmは、薄膜を眼に適用する場合に好ましい。薄膜内の有効成分の負荷などのパラメーターを考慮した薄膜用量のサイズと形状、必要とする用量、哺乳動物対象の身体に対する投与部位などを適合させることは、当業者の知識内のことである。また、認識すべきことは、薄膜投与量単位は、有効成分の投与部位に適合する適切な形状を有し得ること、例えば、その形状は長方形、円形、楕円形、卵形などであり得ることである。
【0061】
本発明の薄膜製剤は、総製剤に対し85重量%までの1種または数種の有効成分、例えば、70重量%まで、または60重量%までを含有することができ、例えば、20重量%を超える量、または30重量%を超える量、例えば、40重量%を超える量を含有し得る。しかしながら、理解すべきことは、望まれる何らかの理由で、例えば、有効成分を極めて少量で送達すべきである場合、本発明の薄膜製剤は極めて低レベルの有効成分を含み得るものである。従って、好適である場合、薄膜製剤は極めて低レベル、例えば、0.000001重量%という低レベルで有効成分を含有し得る。有効成分は現在既知の活性物質および未来の物質、すなわち現在未知のものから選択することができる。
【0062】
従って、一側面によると、本発明は、選択された表面積と厚さを有し、且つ規定された濃度で有効成分を含有する薄膜の形状の単位投与量形状を提供する。
【0063】
活性成分は、本発明の溶解性薄膜製剤を脱離して境界面を横切り拡散し、その下の組織に、そして血液循環に達し、結果として局所のみならず、全身の投与を可能とする一方、初回通過代謝および胃腸管消化を本質的に回避する。
【0064】
有効成分に加えて、本発明の薄膜製剤は、生理学的に(例えば、加えたレベルでは非毒性)及び/又は薬理学的に許容される添加物、例えば、1種以上の芳香剤(味覚遮蔽剤)及び/又は着色剤などを含有し得る。芳香剤の例は、ソルビトール、ペパーミント、オレンジ芳香剤、サクランボ芳香剤、およびツルコケモモ抽出物である。着色剤の例は、二酸化チタンおよび緑または赤色食用色素である。
【0065】
薄膜のpHは薄膜の溶解速度に影響する。一般に、pH6ないし9、例えば、8ないし9を有する薄膜は、湿潤面と接触したときに最適の溶解速度をもつ。
【0066】
本発明による薄膜の溶解時間は、さらに薄膜の厚さと薄膜中の粒子の濃度に比例する。
【0067】
当業者は、所定の適用に望ましい溶解時間を考慮して、単純にある範囲の異なる厚さの薄膜を調製し、当該薄膜の溶解時間を試験することにより、適切な薄膜厚を選択することができる。
【0068】
活性物質は薄膜溶液に溶かすか、及び/又は溶かさずに、例えば、乳液または懸濁液としてそこに存在し得る。例えば、活性物質は粒子の懸濁液として存在し得る。この場合、上記のように、溶解時間は薄膜中に微粒子物質が存在するために、幾分長くなる。
【0069】
当業者は微粒子物質のレベルおよび所望の溶解速度を考慮して、要すれば簡単なテストを実施して、必要な厚さと単位用量表面を決定することができる。
【0070】
本発明の一実施態様において、本発明の薄膜は、印刷した文字内容または印刷イメージ、例えば、ブランド名、商標、投与量指示、シンボルなどを提供する。
【0071】
本発明の一実施態様において、薄膜製剤は医薬薄膜組成物である。「医薬薄膜組成物」または「薄膜医薬製剤」などは、本明細書にて使用する場合、本発明に係る薄膜形状の組成物を包含することを意味し、上記定義の生物学的に活性な成分のいずれか、すなわち、哺乳動物対象に投与したときに所望の生物活性又は効果を有する物質、そしてその物質が治療に有用である成分を含有するものである。
【0072】
本発明はまた治療、取分けニコチン療法および鎮痛療法のための、本発明の医薬薄膜組成物の使用に関する。
【0073】
上記のような障害の治療、ならびに当業者が容易に思い浮かべるような多くのその他の疾患の治療における本発明の医薬製剤の非常に有利な性質は、その記載に照らして明らかである。
【0074】
注目すべきことは、本発明に係る医薬薄膜組成物は、経口的、経鼻的、直腸、膣内、局所、外傷、患者の耳および眼に投与し得ることである。患者の眼を経由して投与する場合、医薬薄膜組成物は、好ましくは、眼の低位置、角膜に適用する。
【0075】
この薄膜を眼に対する有効成分の投与手段として使用する場合、これは、例えば、点眼剤または軟膏に替わり得るものであり、明らかに有利である。事実、点眼剤は均一かつ正確な用量を得るように投与することが難しい。また、軟膏または他の準液状製剤は、しばしばチューブまたはボトルなどの包装容器で提供されるが、開封後、例えば、バクテリアによる劣化のため保存期間が非常に短くなり、その結果、多くの場合に未だ空にならない内に容器ごと捨てなければならなくなる。他方、本発明の製剤は、正確な制御用量で容易に適用され、個々の投与量包装、例えば、ブリスター包装、密封包装または当業者にとって自明の他の適切な方法で提供することができる。
【0076】
本発明の薄膜は、様々な物質を身体に送達するために、また一連の異なる目的のために使用することができる。
【0077】
薄膜の性質は、湿潤組織と接触したときに、接着し、急速かつ完全に溶解し、その際に溶液中の物質を放出するため、最も明白な適用は局所的に物質を送達することである。局所障害の例は、上部気道および生殖管における微生物感染、筋肉または関節の局部炎症、乾癬などの皮膚障害、外傷治癒、または局所疼痛管理用などである。
【0078】
しかし、薄膜から放出された化合物はまた周囲の組織に取り込まれ、さらに血流を介して身体の残りの部分に分布される。僅かな副作用で急速かつ効率的に血流に送達するという概念は、物質を直腸から投与することにより、多くの物質について示されている。しかし、直腸製剤の使用は、多分、投与が不便であること、また経口送達用錠剤の使用が伝統的であるなどのために、広範には用いられてはいない。
【0079】
薄膜はある種の物質を身体に送達するためにも使用でき、該物質は、例えば、口腔空間に放出されて飲み込まれ、腸管にゆっくりと送達されることで粘膜によりゆっくりと取り込まれる。
【0080】
薄膜に基づく送達が、種々の障害にどのように使用され得るのかを説明するために、以下にいくつかの例を示す。
【0081】
薄膜は胃における障害を治療するためにも使用することができ、その場合、物質は胃の側からの代わりに「血清側」から送達されるか、または腸から取り込まれ、肝臓経由で送達される。薄膜送達を受け得る胃の代表的障害は、酸関連症候群、例えば、胃炎、潰瘍、逆流、またはヘリコバクター・ピロリが原因の感染などである。使用し得る物質のタイプは抗菌剤、ヒスタミン−2−受容体拮抗剤、およびプロトンポンプ阻害剤である。
【0082】
該薄膜は、圧縮した錠剤でのように水を一緒に飲む必要なしに物質を送達し得るので、本発明は、患者の障害が身体的に飲み込みを不可能とする場合、及び/又は投薬を続けることを不可能とする場合の投薬にとって非常に有用である。典型的な障害は、発作、偏頭痛、急性心臓症状および閉塞性消化チャンネルをもつ患者、船酔い、吐き気、および水を利用できないか、または飲み込むことのできないその他の状況である。多くの異なるタイプの物質を使用し得るが、取分けCNS−作用物質、例えば、セロトニン受容体拮抗剤、処方箋不要の船酔い錠剤および様々の抗炎症性物質である。
【0083】
本出願に記載した薄膜技術を使用し得るもう一つの障害は、肥満である。事実、肥満患者は腸からの物質の吸収を低下させるように、外科的に(胃または腸の一部を取り除く)処置してもよい。神経系に影響をもつ薄膜製剤による投薬送達は、患者の胃腸手術歴に影響されない。本発明による薄膜製剤において送達され得る一タイプの物質の例は、シブトラミン(sibutramin)である。
【0084】
興味深い一群の物質は、ペプチドとタンパク質からなる。この群の物質は、胃および腸の両方に存在する酵素(プロテアーゼとぺプチダーゼ)によって消化されるため、口を経由しては腸内に容易に取り込まれない。しかし、ペプチドとある種のタンパク質は、薄膜から放出された後に粘膜組織から取り込むことができ、その理由は腸管と対照的に、口腔内でのぺプチダーゼ活性が僅かだからである。
【0085】
薄膜は口腔内で溶解し、糖の添加物を含まず、飲み込む必要がないので、経口糖尿病治療に極めて適している。適切な物質群の例は、スルホンウリド類(sulfoneurides)、ビグアニド誘導体である。
【0086】
物質の薄膜送達に非常に適する候補となる患者は、老齢の人々および小児である。これら両群の患者は一般に平均よりもより頻繁に投薬を受けており、しばしば自分では適切に投薬できない。老齢の人々はしばしば睡眠のために、および加齢の過程と関連して認知症、パーキンソン病、アルツハイマー病、不安症、うつ病、およびビタミン、栄養、補助因子などの欠乏などの障害のために投薬を受ける。この群の患者にとっての物質群は、CNS−作用剤、抗菌剤および低分子量補助因子などである。
【0087】
本発明の一実施態様においては、薄膜形成剤として、一価カチオンのアルギン酸塩または少なくとも1種の一価カチオンのアルギン酸塩を含有するアルギン酸塩類の混合物を含有してなる薄膜の製造方法を提供し、該薄膜形成剤は、温度20℃でのその10%水溶液をスピンドルNo.2のブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して20rpmの剪断速度で測定した場合に、100〜1000mPasの粘度を有し、該方法は、当該薄膜形成剤の溶液を調製すること、該溶液を固体表面上に分布させること、該溶液を該表面上で乾燥させることを特徴とするものである。
【0088】
溶液または組成物を固体表面に分布させるためには、例えば、ドローダウン・ブレード(draw-down blade)または類似の器具を使用して、溶液または組成物を該表面上に単に注ぐか、及び/又は均一に薄く塗るとよい。
【0089】
本発明に係る薄膜製剤は、少なくとも1種の有効成分を含み、例えば、適切な溶媒に有効成分を溶解すること、任意工程として、有効成分溶液のpHを中性付近またはアルカリ性pHに調整すること、任意工程として、可塑剤および微結晶セルロース、ならびに他の適切な生理的及び/又は医薬的に許容される添加剤を加えること、温度20℃でのその10%水溶液が、スピンドルNo.2のブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して20rpmの剪断速度で測定した場合に、100〜1000mPasの粘度を有するようにしたアルギン酸塩組成物を加えること、そしてその溶液を薄膜を得るように処理することにより調製することができる。
【0090】
有効成分を溶解するための適切な溶媒は、例えば、水またはアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、またはt−ブタノールでよい。有効成分の溶解性と安定性により、その溶液はpH6〜10、例えば、8〜10、または8〜9に調整し得る。この目的を達成するために、意図した用途と、また該組成物の他の成分と両立し得るpH調整剤、例えば、適当な緩衝系、水性水酸化ナトリウム、水性水酸化カリウム、重炭酸ナトリウムなどが使用できる。
【0091】
少なくとも1種の有効成分を含有してなる本発明に係る薄膜製剤の調製方法の一実施態様においては、該有効成分とアルギン酸塩を共に適切な溶媒または溶媒混合物に単に溶解し、次いでその溶液を薄膜に加工処理し、乾燥させる。
【0092】
別の実施態様においては、有効成分をアルギン酸塩溶液に加え、有効成分がアルギン酸溶液中の乳液または懸濁液となるようにする。
【0093】
さらなる一実施態様において、本発明の薄膜形成組成物は溶解および非溶解の有効成分両方を含有することができる。一例として、本発明の薄膜形成組成物はアルギン酸塩溶液に溶解した有効成分と該溶液に懸濁した有効成分の組み合わせを含有し得る。
【0094】
いずれかの活性成分を任意に含む薄膜形成組成物を固体表面に配分した後、該組成物を該表面上で乾燥させる。本発明による乾燥薄膜製剤は、好ましくは溶解または懸濁した有効成分の均一な配分からなる。これは薄膜が接着している湿潤面を通して有効成分を非常に有利に送達することに寄与する。従って、粘膜または角膜などの湿潤体表面に接着した場合、薄膜は急速に溶解し、薄膜の溶解によって、有効成分の濃度勾配が、薄膜と湿潤面の界面に確立され、その界面を越えて有効成分の拡散を生じる。有効成分は、薄膜が溶解するにつれ薄膜から離脱し、身体内に侵入する。
【0095】
一実施態様において、有効成分は薄膜の形成後に本発明の薄膜に適用され、その薄膜は(別の)有効成分を含有していても、いなくともよい。従って、有効成分は、例えば、乾燥もしくは湿潤薄膜にエアゾールスプレーとして適用することができる。有効成分はまた粉末として薄膜上に適用することができる。また、同じ様式で芳香剤を適用してもよい。
【0096】
乾燥薄膜を得るための溶液の処理は、支持体上に該溶液を流し込む工程、およびその湿潤薄膜を乾燥させる工程からなる。乾燥は、好ましくは室温、例えば、17〜25℃、常圧下に、例えば、10時間、実施する。乾燥はまた乾燥気流下または大気圧より低い圧力下に実施してもよい。有効成分が熱分解の影響を受けない場合、乾燥は温度を上げて、例えば、35℃まで上げて加速することができる。
【0097】
このようにして得た薄膜は、次いで、適切なサイズと形状に、例えば、打ち抜きまたは切断により形状化できる。
【0098】
任意工程として、溶液を薄膜に加工処理する前に、空気の泡を、例えば、緩和な加熱により、または減圧を用いて除去することができる。
【0099】
本発明に係る薄膜製剤は、例えば、以下の利点を示す:
−薄膜の製造には再現性がある;
−可塑剤または充填剤を必要としない;
−該薄膜は粘着、分解または切断の危険性なしにプリーツ化またはロール化できる;
−該薄膜は非常に良好な表面引っ張り(切断)力を有する;
−比較的大量の有効成分を薄膜内に包含することができる;
−製造工程において熱処理を必要としない;
−有効成分が胃内で破壊されることなく急速に代謝され、用量を減少させ、マイナスとなる副作用を低下させることができ、その結果、食餌の摂取に配慮することなしに、薄膜を投与できる;
−口腔内に適用した場合、薄膜は口内の粘膜に接着するので、薄膜を吐き出す危険性は少ない;
−経口または口腔内投与後に、口内に残留物がない;
−文字または数字を薄膜上に容易に印刷することができる;
−該薄膜はミリメートル程度のものであり、所望の長さおよび形状(例えば、円形、卵形、四角形、長方形など)に切断することができる;
−投与量は各患者に対して個々に容易に適合させることができる;
−糖衣または他の被覆を必要とせず、製造を簡単かつ廉価なものとする;および
−該薄膜はラクトース(これはアレルギー反応を引き起こし得る)およびゼラチンを含まない。
【0100】
以下の具体例は単なる説明と解釈されるべきであり、開示の残りの部分を如何なる方法でも制限するものではない。当業者はさらに詳細な記述がなくても、本明細書の記載に基づき、本発明を完全な範囲で利用し得る。本明細書に引用した出版物はすべて参照によりその全体を本明細書の一部とする。
【0101】
「含有してなる/含んでなる」という表現は、「含有する/含有するが限定されるものではない」ことを意味する。従って、他の成分を含み得る。
【実施例】
【0102】
(実施例1)
本発明による薄膜製剤は、以下の成分を用いて調製した:
−10%水溶液としたときに、20℃の温度で300〜700mPasの粘度を有するプロタナール(Protanal;登録商標)LFR5/60に相当するアルギン酸ナトリウム12g;
−蒸留水80g;
−ソルビトール3g;
−グリセロール2g;
−ツルコケモモ抽出物2g;
−緑色食品色素1滴;
−水酸化ナトリウム;
−パラセタモール5g(活性医薬成分として)。
【0103】
活性医薬成分を水と混合し、水性NaOHを加えてpHを約8〜8.5に調整した。可塑剤、芳香剤および着色剤を加えた。次いで、プロタナール(Protanal;登録商標)LFR5/60を上記の水溶液に室温で少量ずつ加え、均一な溶液が得られるまで混合した。
【0104】
この溶液を湿潤薄膜塗布用ドローダウン・ブレードにより、支持体としての900cmガラスプレートに塗布した。厚さは0.8〜1mmに調整した。この薄膜を室温、大気圧下で約12時間乾燥し、ほぼ30%減量した薄膜厚を得た。
【0105】
調製した薄膜の表面積は900cmであった。この薄膜から、適当なサイズの投与量単位を得ることができる。一例として、6cmの薄膜投与量単位は、約33mgのプラセタモールを含有する。
【0106】
薄膜投与量単位を口腔内の口蓋に入れると、事実上即時にそこに接着し、残留物を残さずに1.5分以内に溶解した。
【0107】
(実施例2)
全体として実施例1と同様の手順ですすめ、以下の成分を使用して、本発明に係る薄膜製剤を調製した:
−10%水溶液としたときに、20℃の温度で300〜700mPasの粘度を有するプロタナール(Protanal;登録商標)LFR5/60に相当するアルギン酸ナトリウム12g;
−蒸留水80g;
−ソルビトール3g;
−グリセロール2g;
−ツルコケモモ抽出物2g;
−緑色食品色素1滴;
−水酸化ナトリウム;
−パラセタモール12g(活性医薬成分として)。
【0108】
6cmの薄膜投与量単位は、約80mgのプラセタモールを含有する。
【0109】
(実施例3)
本発明に係る薄膜製剤は、以下の成分を用いて調製した:
−10%水溶液としたときに、20℃の温度で300〜700mPasの粘度を有するプロタナール(Protanal;登録商標)LFR5/60に相当するアルギン酸ナトリウム12g;
−蒸留水80g;
−ソルビトール3g;
−グリセロール2g;
−ツルコケモモ抽出物2g;
−緑色食品色素1滴;
−エタノールに溶解したイブプロフェン6g(活性医薬成分として)。
【0110】
イブプロフェンを少容量のエタノールに溶かし、その溶液を水と混合し、イブプロフェンの結晶を沈殿させた。可塑剤、芳香剤および着色剤を加えた。次いで、プロタナール(Protanal;登録商標)LFR5/60を室温で少量ずつ加え、イブプロフェン結晶の均一なミルク様白色懸濁液が得られるまで混合した。
【0111】
この懸濁液を湿潤薄膜塗布用ドローダウン・ブレードにより、支持体としての900cmガラスプレートに塗布した。厚さは0.8〜1mmに調整した。この薄膜を室温、大気圧下で約12時間乾燥し、ほぼ30%減量した薄膜厚を得た。
【0112】
調製した薄膜の表面積は900cmであった。この薄膜から、適切なサイズの投与量単位を得ることができる。一例として、6cmの薄膜投与量単位は約40mgのイブプロフェンを含有していた。
【0113】
薄膜投与量単位を口腔内の口蓋に入れると、事実上即時にそこに接着し、残留物を残さずに1.5分以内に溶解した。
【0114】
(実施例4)
全体として実施例1と同様の手順ですすめ、以下の成分を使用して、本発明による薄膜製剤を調製した;ただし、薄膜形成組成物のpHを調整するために、水性重炭酸緩衝液を使用した:
−10%水溶液としたときに、20℃の温度で300〜700mPasの粘度を有するプロタナール(Protanal;登録商標)LFR5/60に相当するアルギン酸ナトリウム12g;
−水性重炭酸ナトリウム緩衝液(pH8〜8.5)80g;
−ソルビトール3g;
−グリセロール2g;
−ツルコケモモ抽出物2g;
−緑色食品色素1滴;
−重炭酸ナトリウム;
−アセチルサリチル酸5g(活性医薬成分として)。
【0115】
6cmの薄膜投与量単位は、約33mgのアセチルサリチル酸を含有する。
【0116】
(実施例5)
全体として実施例1と同様の手順ですすめ、以下の成分を使用して、本発明に係る薄膜製剤を調製した:
−10%水溶液としたときに、20℃の温度で300〜700mPasの粘度を有するプロタナール(Protanal;登録商標)LFR5/60に相当するアルギン酸ナトリウム12g;
−蒸留水80g;
−ツルコケモモ抽出物2g;
−緑色食品色素1滴;
−水酸化ナトリウム;
−パラセタモール12g(活性医薬成分として)。
【0117】
6cmの薄膜投与量単位は、約80mgのパラセタモールを含有する。
【0118】
可塑剤を含まないこの薄膜はより脆弱であるが、湿潤面と接触したときに、極めて急速に溶解する。
【0119】
(実施例6)
以下の成分を使用して、本発明に係る薄膜製剤を調製した:
−10%水溶液としたときに、20℃の温度で300〜700mPasの粘度を有するプロタナール(Protanal;登録商標)LFR5/60に相当するアルギン酸ナトリウム11g;
−0.1M水性リン酸カリウム緩衝液(pH8.5)80g;
−グリセロール2g;
−ソルビトール3g;
−ニコチン・二酒石酸塩5.5g(生物学的に活性な物質として)。
【0120】
有効成分を緩衝液と混合した。グリセロールおよびソルビトールを加えた。次いで、このように得られる溶液に、プロタナール(Protanal;登録商標)LFR5/60を室温で少量ずつ加え、均一な溶液が得られるまで混合した。
【0121】
この溶液を湿潤薄膜塗布用ドローダウン・ブレードにより、支持体としての1200cmガラスプレートに塗布した。湿潤薄膜の厚さは約0.3mmに調整した。この薄膜を室温、大気圧下に約12時間乾燥し、ほぼ30%減量した薄膜厚を得た。
【0122】
この薄膜から、約0.2mmの乾燥薄膜厚をもつ3cmの投与量単位を切り出した。
【0123】
薄膜投与量単位を口腔内の口蓋に入れると、事実上即時にそこに接着し、残留物を残さずに1.5分以内に溶解した。
【0124】
(実施例7)
実施例6と同じ薄膜形成組成物と手法を用いて、約0.15mmの湿潤薄膜厚および約0.1mmの乾燥厚をもつニコチン二酒石酸塩薄膜を調製した。3cmの投与量単位は、口腔内に入れたとき、残留物を残さずに45秒以内に溶解した。
【0125】
(実施例8)
全体として実施例1と同様の手順ですすめ、以下の成分を使用して、本発明に係る薄膜製剤を調製した:
−10%水溶液としたときに、20℃の温度で300〜700mPasの粘度を有するプロタナール(Protanal;登録商標)LFR5/60に相当するアルギン酸ナトリウム11g;
−蒸留水80g;
−ソルビトール3g;
−グリセロール2g;
−パラセタモール6g(活性医薬成分として)。
【0126】
異なる乾燥薄膜厚の薄膜を調製し、口内口蓋の湿潤面と接触したときの溶解時間について試験した。その結果を下記表1に示す。
【0127】
【表1】

【0128】
同じ薄膜をまた、芳香剤としてペパーミントオイルを加えて調製した。芳香剤は薄膜の溶解時間に明白な影響を与えることなしに、パラセタモールの味を効率的に遮蔽した。
【0129】
一般に、本発明に係る薄膜製剤によって有効成分を送達することは、驚くべきことに、例えば、経口製剤の使用によるよりもより効率的である。一例として、上記に例示した有効成分の薄膜単位投与量は、例えば、成人対象に送達した場合、痛覚脱失など、同じレベルの治療効果を得るために、経口ルートで通常投与される量の何分の一かに相当する量の有効成分を含有する限り、所望の治療効果を示す。
【0130】
(実施例9)
本発明による粘度を有するアルギン酸塩の使用により得られる薄膜を、本発明によらないアルギン酸塩の使用により得られる薄膜と比較した。
【0131】
以下の成分を使用した:
−アルギン酸塩A、BまたはC(下記表2に定義)11g;
−グリセロール3g;
−ソルビトール4g;
−蒸留水80g。
【0132】
グリセロールとソルビトールの水溶液を調製し、混合容器の底部で羽根を回転させることにより、ゆるやかに攪拌しながらアルギン酸塩を加えた。この溶液を均一になるまで混合し、その際、要すればさらに水を加えた。
【0133】
この溶液を湿潤薄膜塗布用ドローダウン・ブレードにより、支持体としての900cmガラスプレートに塗布した。湿潤薄膜の厚さは1mmに調整した。この薄膜を室温、大気圧下に約12時間乾燥した。アルギン酸塩A、BおよびCそれぞれを使用することにより得られる薄膜の特徴を表2に示す。
【0134】
【表2】

【0135】
(実施例10)
異なる治療用途と異なる化学的性質の5種類の化合物を選択し、それらが薄膜投与形状に含まれているか、また送達性が保持されているか(薄膜構造の完全さ、粘膜への接着強度、湿潤条件下での急速な溶解性、溶解したときの物質の放出)について検討した。
【0136】
物質1:パラセタモール(N−アセチル−p−アミノフェノールまたは4′−ヒドロキシアセトアニリド)
pKa9.5、Mw151.2
僅かに水に溶ける
【0137】
【化2】

【0138】
物質2:アセチルサリチル酸;2−アセトキシベンゾエシラ(2-Acetoxibensoesyra)
pKa3.5、Mw180.16
1g/100gの水
【0139】
【化3】

【0140】
物質3:イブプロフェン;p−イソブチルヒドロアトロパ酸(p-Isobutylhydratropic acid)
pKa4.8、Mw206.29
水に僅かに可溶
【0141】
【化4】

【0142】
物質4:ニコチン;(S)−3−(1−メチル−2−ピロリジニル)ピリジン
pKa8.5、Mw162.23
水と混和する液体
【0143】
【化5】

【0144】
物質5:リドカイン;ジアセチルアミノアセト−2,6−キシリジド(Dietylaminoacet-2,6-xylidide)
pKa7.9、Mw234.34
塩酸塩、水に可溶
【0145】
【化6】

【0146】
化学式から明らかなように、これらの化合物は、サイズ、pKa、水溶性、環系のタイプ、塩基性基(アミノ基)および酸性基(カルボキシル基)の存在(すべての物質は完全にプロトン化したとして示される)などで異なっている。
【0147】
プラセタモール、ニコチンおよびリドカインは高いpKa値、7.9〜9.5を有する。イブプロフェンおよびアセチルサリチル酸は低いpKa値、3.5〜4.8を有する。
【0148】
pKa値は前者の3種の物質が塩基性であるのに対し、後者の2種の化合物は酸性であることを示している。パラセタモールとイブプロフェンはほんの僅か水に可溶であり、塩基性および酸性の物質は低いか、または高いpHにあることが必要であると報告されている。
【0149】
これらの物質の異なる溶解性に反映される物理的性質における卓越した多様性にもかかわらず、すべてが、いずれものプラスの性質を保持したまま、本発明に係る薄膜製剤に成功裏に製剤化することが可能であり、このことは本発明の薄膜製剤が本質的にそこに包含される有効成分のpKa値と無関係に有用であることを示している。従って、一般的にpKa値が約1ないし14、例えば、2ないし12など、または3ないし10、例えば、3.5ないし9.5である物質は、本発明の薄膜技術により製剤化することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜形成剤として、一価カチオンのアルギン酸塩または少なくとも1種の一価カチオンのアルギン酸塩を含有するアルギン酸塩類の混合物を含有してなる生体接着薄膜であって、該薄膜形成剤が、平均グルロン酸塩(G)含有率が50ないし85重量%、平均マンヌロン酸塩(M)含有率が15ないし50重量%、平均分子量が30,000g/molないし90,000g/molであって、且つ、温度20℃でその10%水溶液をスピンドルNo.2のブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して20rpmの剪断速度で測定した場合に100〜1000mPasの粘度を有するような形成剤である生体接着薄膜。
【請求項2】
一価のカチオンが、Na、KおよびNHから選択されるものである請求項1記載の薄膜。
【請求項3】
一価カチオンのアルギン酸塩が、25ないし35重量%のβ−D−マンヌロン酸塩を含有してなる請求項1または請求項2に記載の薄膜。
【請求項4】
一価カチオンのアルギン酸塩が、65ないし75重量%のα−D−グルロン酸塩を含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜。
【請求項5】
可塑剤を含有してなる請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜。
【請求項6】
充填剤を含有してなる請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜。
【請求項7】
0.1ないし2mmの厚さを有する請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜。
【請求項8】
湿潤面と接触した薄膜が、2分未満の時間以内に溶解するものである請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜。
【請求項9】
少なくとも1種の生物学的に活性な物質を含有してなる請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜。
【請求項10】
少なくとも1種の治療的に活性な物質を含有してなる請求項1〜9のいずれかに記載の薄膜。
【請求項11】
抗菌剤、ヒスタミン−2−受容体拮抗剤、プロトンポンプ阻害剤、セロトニン受容体拮抗剤、抗炎症性物質、CNS−作用剤、ペプチド、タンパク質、ニコチン、ニコチン類似体および鎮痛剤から選択される少なくとも1種の生物学的に活性な物質及び/又は治療的に活性な物質を含有してなる請求項1〜10のいずれかに記載の薄膜。
【請求項12】
組成物が、当該組成物総重量の0.000001重量%ないし85重量%の濃度で、生物学的に活性な物質及び/又は治療的に活性な物質を含有してなる請求項1〜11のいずれかに記載の薄膜。
【請求項13】
前記濃度が、組成物総重量の30重量%ないし80重量%である請求項12記載の薄膜。
【請求項14】
前記濃度が、組成物総重量の50重量%ないし70重量%である請求項13記載の薄膜。
【請求項15】
少なくとも1種の医薬的に及び/又は生理学的に許容される添加物を含有してなる請求項1〜14のいずれかに記載の薄膜。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれかに記載の薄膜を含有してなる投与量単位。
【請求項17】
生体接着薄膜の製造方法であって、
薄膜形成剤として、一価カチオンのアルギン酸塩または少なくとも1種の一価カチオンのアルギン酸塩を含有するアルギン酸塩類の混合物を含有してなる組成物を調製すること、ここで該薄膜形成剤は、平均グルロン酸塩(G)含有率が50ないし85重量%、平均マンヌロン酸塩(M)含有率が15ないし50重量%、平均分子量が30,000g/molないし90,000g/molであって、且つ、温度20℃でのその10%水溶液をスピンドルNo.2のブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して20rpmの剪断速度で測定した場合に100〜1000mPasの粘度を有するような形成剤であり、
該組成物を固体表面上に分布させること、及び
該組成物を該表面上で乾燥させることを特徴とする方法。
【請求項18】
一価のカチオンが、Na、KおよびNHから選択されるものである請求項17記載の方法。
【請求項19】
一価カチオンのアルギン酸塩が、25ないし35重量%のβ−D−マンヌロン酸塩を含有してなる請求項17または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
一価カチオンのアルギン酸塩が、65ないし75重量%のα−D−グルロン酸塩を含有してなる請求項17〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、可塑剤を含有してなる請求項17〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、充填剤を含有してなる請求項17〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、少なくとも1種の生物学的に活性な物質を含有してなる請求項17〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、少なくとも1種の治療的に活性な物質を含有してなる請求項17〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が、少なくとも1種の医薬的に及び/又は生理学的に許容される添加物を含有してなる請求項17〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、抗菌剤、ヒスタミン−2−受容体拮抗剤、プロトンポンプ阻害剤、セロトニン受容体拮抗剤、抗炎症性物質、CNS−作用剤、ペプチド、タンパク質、ニコチン、ニコチン類似体および鎮痛剤から選択される少なくとも1種の生物学的に活性な物質を含有してなる請求項17〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、当該組成物総重量の0.000001重量%ないし85重量%の濃度で、生物学的に活性な物質及び/又は治療的に活性な物質を含有してなる請求項17〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記濃度が、組成物総重量の30重量%ないし80重量%である請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記濃度が、組成物総重量の50重量%ないし70重量%である請求項28記載の方法。
【請求項30】
薄膜投与量単位を調製することを含む請求項17〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
哺乳動物の治療処置方法であって、当該哺乳動物に請求項9〜15のいずれかに記載の薄膜を投与することを特徴とする方法。
【請求項32】
生体接着薄膜調製用の組成物の使用であって、当該組成物が、薄膜形成剤として、一価カチオンのアルギン酸塩または少なくとも1種の一価カチオンのアルギン酸塩を含有するアルギン酸塩類の混合物を含有してなり、該薄膜形成剤は、平均グルロン酸塩(G)含有率が50ないし85重量%、平均マンヌロン酸塩(M)含有率が15ないし50重量%、平均分子量が30,000g/molないし90,000g/molであって、且つ、温度20℃でのその10%水溶液をスピンドルNo.2のブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して20rpmの剪断速度で測定した場合に100〜1000mPasの粘度を有するような形成剤である組成物の使用。

【公表番号】特表2009−521433(P2009−521433A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547188(P2008−547188)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/SE2006/050626
【国際公開番号】WO2007/073346
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(508178504)
【出願人】(508178515)
【Fターム(参考)】