説明

低融点等内容物用包装機及びその包装方法

【課題】低融点内容物を充填して製袋できるように構成する低融点等内容物用包装機を提供すること。
【解決手段】包装機Mの製袋部7には、フィルム材供給部5から流れてくるフィルム材Fを筒状に形成しつつ内容物供給部4から送給された内容物を充填する縦シール形成部10を配置する。縦シール形成部10は、内管12と外管13とで二重管構造を構成する充填シュート11と、フィルム材Fの送り方向に沿う両側縁部を熱融着して縦シール部を形成するヒータ装置20とを備えている。充填シュートには、内管12と外管13との間に空隙部14を形成して、水を循環させる循環経路15を形成し、空隙部14による断熱効果を発揮させるとともに内管12を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略70℃以下の低融点又は熱により変性を受けやすい内容物(以下、「低融点等内容物」という。)を製袋する包装機及びその包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スティック型包装や三方シール型包装又は四方シール型包装を製袋する際、フィルム材をシールしつつ内容物を充填して行っていた。この包装機では、フィルム材を融着するために、熱源を備えたシール形成部を配置していた。例えば、従来のスティック型包装袋の包装機は、特許文献1によって知られている。これによれば、フィルム材供給装置から送給されたフィルム材は、一定量に計量された内容物を充填する計量充填部の下方で、筒状に形成されながら下方に送られていた。一方、筒状に案内される部位には、熱源としてのヒータを備えて縦シール形成部が構成されていた。そして、縦シール形成部においては、いずれか一方にヒータを有する一対のローラが、フィルム材の送り方向に沿う側縁部どうしを圧着するようにシールすることによってスティック型包装袋の縦シール部を形成していた。また、縦シール形成部の下方において、いずれか一方にヒータを有する一対のロールが送り方向と直交する方向にフィルム材を圧着することによってスティック型包装袋の横シール部を形成していた。この縦シール形成部において、縦シールを形成しつつ、上方から内容物が筒状の内部を通って充填されていた。この際、ヒータ温度は、通常、150〜170℃に設定されていた。
【0003】
この包装機で充填される内容物は、医薬品や飲食材の顆粒状のものや粉状のものが多く、多くは融点が高い(内容物が通るシュート部の周りの温度より高い)ため、ヒータ温度が150〜170℃であっても、内容物がヒータ温度によって製袋可能かどうかの問題が起こることがなかった。
【特許文献1】特開平11−263374号公報(3〜5頁、図5参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば、脳腫瘍時の脳圧降下、頭部外傷に起因する脳圧亢進時の脳圧降下、腎、尿管結石時の利尿、縁内障の眼圧低下及びメニエール病の対症療法剤として繁用されるイソソルビドは、現在、内用液剤(イソバイド「日研化学株式会社」イリカント内用液70%「大洋薬品工業」)及びゼリー製剤(メニレット70%ゼリー20g、30g「三和化学研究所」)として開発されている。内用液剤は水に溶解した液体の状態でボトルに分注されている。このイソソルビドを携帯する場合、内用液剤がボトルに収納されていると重くて持ち歩きにくいことから、携帯性を改良してゼリー製剤が開発されていた。しかしこのゼリー製剤はカップ型であったため1回の服用が困難で何口かに分けるスプーンが必要となっていた。そのため、服用しにくく、また、包装容器に起因する廃棄物量が増大して好ましくなかった。
【0005】
この課題を解決するために、イソソルビドを飲みやすい粉末又は顆粒製剤とし、1回ずつ服用可能な粉末状の分包品とすることが望まれていた。しかし、この医薬品は内容物が低融点(例えば、融点が70℃以下)であるため、従来の包装機では、そのまま使用することができなかった。特に、ヒータ温度が150〜170で設定される従来の包装機では、縦シール形成部を通過する際に融けた粉が内容物を送給案内するシュートの内周面に付着したり、あるいは、横シール形成部に、一旦、落下して舞い上がった粉が融けてシュートの内周面に付着したりする弊害が生じていた。シュートの内周面に内容物が付着することは、その後に落下する新たな内容物の充填の妨げになり、包装袋の品質を低下させるとともに、内容物の充填量にも悪影響を及ぼすことになっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、粉末状あるいは顆粒状に形成された低融点の内容物を、品質を落とすことなく確実に製袋できる低融点等内容物用包装機及びその包装方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明に係る低融点等内容物用包装機は、上記の目的を達成するために以下のように構成するものである。すなわち、
請求項1記載の発明では、低融点又は熱により変性を受けやすい内容物を包装袋に充填して包装する低融点等内容物用包装機であって、包装袋を形成するためのフィルム材を供給するフィルム材供給部と、内容物を前記包装袋に供給する内容物供給部と、前記内容物を前記包装袋に充填する充填シュートと、前記フィルム材を熱融着するシール形成部と、を備え、前記シール形成部が熱融着するための熱源を有して、前記フィルム材の縁部をシール可能に構成するとともに、前記充填シュートには、前記内容物を挿通する内管と前記内管の外周に配置される外管とを備えて少なくとも二重管に構成され、前記内管と前記外管との間に空隙部を形成して、前記内管を冷却する冷却手段が構成されることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明では、前記冷却手段が、前記空隙部に冷媒を循環させて前記内管を冷却する冷媒循環経路として形成することを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の発明では、前記充填シュートは、前記熱源と対向するシール形成面を有するシュートガイドの挿通孔に挿通して配置され、前記シール形成面が前記フィルム材の側縁部を支持して前記フィルム材の側縁部を熱融着可能に形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明では、前記シュートガイドには、冷却用循環通路が形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明では、前記冷媒循環経路は、前記内管の外周に軸方向に設けた1対の肉盛部間に形成されるとともに、前記1対の肉盛部間の一方が往路として形成され他方が復路として形成され、前記往路と前記復路との一端が開通されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6記載の発明では、請求項1記載の構成による低融点等内容物用包装機を使用する包装方法である。
【発明の効果】
【0013】
本願発明によれば、フィルム材供給部から送られてきたフィルム材は、シール形成部で袋状(または筒状)に形成されるとともに熱融着によってシールされる。一方、内容物供給部から供給される内容物は、充填シュートの内管内を通過して下方に落下される。この際、充填シュートの周縁部は、フィルム材の両縁部を熱融着するために、熱源から加熱された熱が伝導されている。しかし、充填シュートが内管と外管との二重管構造を有していて、内管と外管との間には空隙部が形成されているから、断熱層が形成されて外管の熱が内管に伝達されにくくなっている。しかも、その空隙部が、内管を冷却する冷却手段として構成するから、内管自体を積極的に冷却することができる。これによって、内管内を通る内容物が、例えば、70℃以下の低融点のものであっても、内管をその融点以下の温度にすることができる。そのため、内管を通過する際の内容物や、一旦落下して舞い上がった粉状の内容物が融けることがなく、内管やフィルム材の内周面に付着することを防止できる。
【0014】
また、この発明は、冷却手段として、冷媒、特に水を循環する冷媒循環経路として形成することができるので、内管内に結露を形成することなく内管を冷却することができる。しかも複雑な構成とならずにコンパクトに構成することができる。
【0015】
さらに、この発明は、熱融着するために、熱源との対向面を有するシュートガイド自体に冷却循環通路を形成して冷却水を循環させることができることから、熱源からの熱をさらに断熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明における低融点等内容物用包装機の一形態を図面に基づいて説明する。実施形態において充填される内容物は、融点が61〜64℃と低い、例えば、イソソルビドあるいはそれに類するもの(熱により変性を受けやすいもの)が使用される。また、実施形態で製造される包装袋はスティック型のものとする。
【0017】
図1は、低融点等内容物用包装機(以下、単に包装機という)Mの全体側面図を示し、図2は、包装機Mのシール形成部及び内容物供給部の主要側面図を示すものである。また、図3は、内部にイソソルビトを充填したスティック型包装袋(以下包装袋という)Sを示すものであり、包装袋Sにおける縦方向の両側縁部を熱融着して形成される縦シール部S1と、縦方向の上下両端部を熱融着して形成される横シール部S2と、内容物を充填した充填部S3とを有して形成されている。
【0018】
図1〜2に示すように、包装機Mは、機枠1の上部に内容物を収納するホッパ2とホッパ2から供給された内容物を一定量に計量する計量部3とを有する内容物供給部4と、フィルム材供給部5から送給されるフィルム材Fを筒状(又は袋状)に形成して送り方向に対する両側縁部(縦シール部S1)、送り方向の両端部(横シール部S2)を熱融着する製袋部7とを有している。
【0019】
実施形態の包装機Mは、複数列の包装袋Sを同時に製造するように構成されている。そのため、フィルム材供給部5から送給されるフィルム材Fは、幅広いシート状のフィルム材Fを複数列分に切断するスリッタ装置8を内容物供給部4の下方に配置している。さらにスリッタ装置8の下方には、製袋部7が配置されている。
【0020】
製袋部7には、上方から順に、包装袋Sにおける縦方向に延設する縦シール部S1を形成するための縦シール形成部10と、連続して形成される包装袋Sの筒状態から1包装袋Sごと分割できるように横シール部S2を形成する横シール形成部30と、横シール部S2に沿って連続した包装袋Sを個々の包装袋Sに切断する切断装置35とを備えている。
【0021】
縦シール形成部10には、一方では、内容物を供給するために計量部3の下面側に一端を配置した上部シュート9の他端が接続されるとともに、他方には、スリッタ装置8を通ったフィルム材Fが巻回可能に送給されている。
【0022】
縦シール形成部10は、フィルム材Fを筒状に形成するとともに内容物を挿通させるために筒状に形成された充填シュート11と、フィルム材Fの両縁部(縦シール部S1)を熱融着する熱源(カートリッジヒータ)を有するヒータ装置20と、充填シュート11を機枠1に支持するとともにヒータ装置20と対向する対向面を有するシュートガイド25と、を備えている。
【0023】
充填シュート11は、図4〜6に示すように、内管12と外管13との二重管で構成され、図7に示すシュートガイド25に形成された挿通孔26に挿通されている。内管12と外管13との間には断熱効果を有する空隙部14が形成され流体の循環経路15を形成している。つまり、内管12の外周面には、空隙部14を埋めるように肉盛された山壁部121が軸方向に沿って対称的な位置の2箇所に延設して形成されている。一対の山壁部121は、一端(上端)側が繋ぎ部122を有して連結され、他端(下端)側は繋ぎ合わせられていない開放部123として形成されている。そして、内管12を外管13内に嵌入して二重管とする際、外管13には繋ぎ部122の下方に位置して流体流入口131が形成され、繋ぎ部122の上方に位置して流体流出口132が形成されている。流体流入口131及び流体流出口132には、それぞれ図示しない配管部材が接続されている。これによって、山壁部121の繋ぎ部122の下方から、流体流入口131を通って流入された流体は流入路(往路ともいう)141から開放部123で折り返されて流出路(復路ともいう)142を通り、流体流出口132から流出するように循環される。これによって、循環経路15が形成され、内管12を冷却する冷却装置として構成される。なお、循環経路の流れの方向は限定するものではない。例えば、流体流入口131と流体流出口132とは、循環経路を形成するものであれば、いずれかが、内管12の繋ぎ部122に対して上部あるいは下部に配置されていてもよい。
【0024】
内管12の上端部は、二又状の通路に分岐され、第1の通路16は、内容物が通過する上部シュート9に連結され、第2の通路17は、縦シール形成部10で筒状に形成されたフィルム材F内において舞い上がった粉を回収する図示しない吸引装置に連結される。そして外管13の外周部には、フィルム材Fが巻き付かれる。
【0025】
フィルム材Fは、充填シュート11の上部ではフィルム材Fが、外管13の一方側(流体流入口131及び流体流出口132側)を開放した半周面に巻き付かれ、流体流出口132に配置されたシュートガイド25の挿通孔26に案内されて、外管13の全周にわたって巻き付かれる。そして、全周に巻き付かれた位置において縦シール部S1が形成される。なお、充填シュート11には流体流出口132の下方に外管13から水平方向に突出した突出部材18が形成され、機枠1に支持された衝撃用レバー19(図2参照)で衝撃を受けることによって充填シュート11内を流れる内容物をスムーズに落下させる。
【0026】
シュートガイド25は、機枠1に支持されながら充填シュート11の下部の位置で充填シュート11を挿通させている。シュートガイド25は、図7に示すように、平面視、略矩形状に形成されるとともに中央部に充填シュート11の挿通孔26が形成され、一辺側において傾斜面27が形成されている。傾斜面27は包装袋Sの縦シール部S1熱融着するための支持面であり、ヒータ装置20と対向する対向面として形成されている。また、挿通孔26を間にした両側には、空気流通孔28、28が縦方向に貫通して形成されている。空気流通孔28、28には、図8に示すように、流入口281と流出口282とが形成されそれぞれワンタッチ継手29、29が装着されている。なお、実施形態において空気流通孔28は、空気を流通するものであるが、空気だけでなく冷媒として機能するもの、例えば、冷媒用ガスや水等の液体であってもよい。
【0027】
ヒータ装置20は、カートリッジヒータを内蔵したヒータブロック21が、シリンダ装置22に対して前進・後退可能に配置されている。ヒータブロック21はシュートガイド25の傾斜面27と対向する位置に配置されている。
【0028】
次に、上記のように構成された包装機Mの作用について説明する。
【0029】
内容物のイソソルビトは粉状に形成されてホッパ2に収納されている。ホッパ2から計量部3に送給された内容物は、一定量に計量されて1回分ごと間歇的に上部シュート9から製袋部7に送給される。
【0030】
一方、フィルム供給部5から送給されたフィルム材Fは、スリッタ装置8で各列分に切断されたあと、ローラガイド部(符号付記せず)を介して下方に屈曲し、製袋部7に向かって送給されている。フィルム材Fは、縦シール形成部10において充填シュート11の上部で充填シュート11の外周面に沿って半周面が開放されながら巻回され、充填シュート11の下部において、外管13の外周面及びシュートガイド25の内周面に案内されて、外管13の外周面の全面にわたって巻回されている。さらに、フィルム材Fの送り方向に沿った両縁部は、シュートガイド25の傾斜面27に支持されて、ヒータブロック21の圧接面211と対向している。この位置において、フィルム材Fは筒状に案内されるとともにヒータ装置20によって縦シール部S1が熱融着されて筒状体として形成される。
【0031】
ヒータ装置20では、シリンダブロック21がシリンダ装置22に対して、内容物が間歇的に1回ごと送出されるのと略同じ周期で前進移動し、ヒータブロック21の圧接面211がシュートガイド25の傾斜面27に向かって移動し、傾斜面27に支持されているフィルム材Fの両縁部を圧接する。この際、ヒータブロック21の圧接面211における温度は120〜180℃に加熱されていて、圧接面211がフィルム材Fの両縁部を圧接することによって熱融着することになり、包装袋Sの縦シール部S1が形成される。
【0032】
一方、上部シュート9に供給された内容物は、充填シュート11の通路16を通って内管12内を通過する。実施形態における内容物は、低融点(61〜64℃)の性質を有しているため、充填シュート11において、内管12と外管13との間の空隙部14に水を流すことによって、充填シュート11自体を冷却している。それによって内容物の融点以下の温度雰囲気に形成する。
【0033】
充填シュート11の流体流入口131に配管された配管部材から、水を流入すると、水は、充填シュート11内に形成された循環経路15を循環して内管12を冷却することになる。つまり、流体流入口131から空隙部14内の往路141に流れた水は、内管12の長手方向の下方に沿って流れ、下端部の開放部123を通って復路142内に流入される。さらに、往路141と反対側の面に形成された復路142内を内管12の長手方向に沿って逆方向に向かって循環され、流体流出口132から外部に流れる。これによって、内管12に伝導されている熱を水で奪い取って外部に運ぶことから内管12が熱変換されて冷却される。
【0034】
なお、この循環経路15は、包装袋Sの縦シール部S1とほぼ同じ長さに形成されているから、加熱された縦方向の長さ分を効率よく冷却することができる。
【0035】
この循環経路15内を循環する流体は、内管12を冷却できるものであれば、水以外の流体(液体や気体)であってもよい。但し、内管12の内周面との温度差の大きいものは、内管12の内周面に水滴が発生する虞れがあることから、できるだけ、0℃以上のものが望ましい。
【0036】
充填シュート11内に水を循環させるとともに、シュートガイド25には、空気流通孔28に空気を循環させる。つまり、空気流通孔28の流入口281に装着されたワンタッチ継手29には配管部材が配管され、上端部の流入口281から流入された空気はシュートガイド25の長手方向に沿って流れて下端部の流出口282から外部に流出される。
【0037】
一方、シュートガイド25は、ヒータブロック21の圧接によって傾斜面27が加熱され、さらにその熱はシュートガイド25全体にわたって伝達され、内管12に伝達するものの、この熱が充填シュート11の内管12に伝達されるまでに、2各所で断熱されている。つまり、
シュートガイド25と充填シュート11の外管13との間には隙間が形成されていて、この隙間で断熱作用が行われる。
【0038】
また、内管12と外管13との間に空隙部14を形成することによって、その間で断熱作用が行われる。
【0039】
従って、実施形態の縦シール形成部10においては、上記の2箇所における断熱効果に加えて、シュート12に形成された空隙部14の循環経路15を水が循環することによって内管12を冷却し、また、シュートガイド25に形成した空気流通孔28を循環する空気によってシュートガイド25を冷却する。これによって内管12を内容物の融点以下に冷却する。
【0040】
製袋部7においては、縦シール形成部7で縦シール部S1を形成するとともに、縦シール部10の下方に配置されている横シール部30で包装袋Sの横シール部S2を形成する。そして、縦シール形成部10の内管12を通って流れる内容物は、底部の横シール部S2に落下すると、粉状の内容物は、粉体が舞い上がり内管12内周面に付着しようとする。しかし、内管12の温度は内容物の融点以下であり、水滴もないことから内管12の内周面や筒状の包装袋Sの内周面に付着することなくそのまま落下する。
【0041】
内容物が充填された包装袋Sは上部が横シールされてさらに下方に移動する。そして切断装置35で横シール部S2が切断されることによって、個々の包装袋Sが製造される。
【0042】
実施形態の包装機Mでは、上述のように、縦シール形成部10における充填シュート11が、内管12と外管13との二重管構造に形成されて、内管12と外管13との間に空隙部14を形成していることから、包装袋Sの縦シール部S1を熱融着して形成するためにシュートガイド25が加熱されていても、シュートガイド25の熱が断熱されて、内管12に伝わる熱は減少される。
【0043】
しかも、内管12自体が、水の循環によって冷却されることから、61〜64℃の融点を有する内容物(イソソルビト)であっても、内管12が熱変換されて融点以下の低温を維持することができる。
【0044】
さらに、シュートガイド25自体も空気流通孔28に空気を循環させることによってシュートガイド25自体を冷却させ、また、シュートガイド25の挿通孔26と充填シュート11の外管13との間には隙間が形成されていることから、シュートガイド25から充填シュート11に伝わる熱も減少される。
【0045】
また、充填シュート11に形成された流体循環経路15は、内管12の外周面の軸方向に沿って対称的な2位置に、肉盛した山壁部121を延設して形成するだけのことから、簡単な構成でコンパクトに構成できるとともに部品点数を少なくすることができて廉価に形成することができる。
【0046】
なお、本発明の低融点内容物の包装機は、上記の形態に限定されるものではない。例えば、内容物の融点しだいで、内管を冷却する手段が流体を循環させる流体循環経路でなく、空隙部を有して断熱効果を有するものだけであってもよい。また、シュートガイドに形成される空気流通孔に、空気以外の気体あるいは水等の流体を循環させてもよい。
【0047】
また、充填シュートの構造は二重管でなくても三重管以上の多重管構造であっても冷媒循環経路を形成することができ、内管への断熱効果や熱変換して内管を冷却することができる。
【0048】
さらに、包装袋の形状としてはスティック型だけではなく、三方シール型であっても四方シール型でも、シュートを二重管構造にすることによって低融点の内容物を製袋することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一形態による包装機の全体を示す側面図である。
【図2】図1における包装機の主要部の拡大図である。
【図3】図1の包装機で製造するスティック型包装袋を示す斜視図である
【図4】図2における充填シュートを示す正面図である。
【図5】同分解斜視図である。
【図6】同断面図である。
【図7】図2における包装機の縦シール形成部を示す平面断面図である。
【図8】図7におけるシュートガイドを示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
M、包装機
1、機枠
3、計量部
4、内容物供給部
5、フィルム材供給部
7、製袋部
10、縦シール形成部
11、充填シュート
12、内管
13、外管
131、流体流入口
132、流体流出口
14、空隙部
141、流入路(往路)
142、流出路(復路)
15、循環経路
20、ヒータ装置
21、ヒータブロック
211、圧接面
25、シュートガイド
26、挿通孔
27、傾斜面
28、空気流通孔
281、流入口
282、流出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低融点又は熱により変性を受けやすい内容物(以下、「低融点等内容物」という。)を包装袋に充填して包装する低融点等内容物用包装機であって、
前記包装袋を形成するためのフィルム材を供給するフィルム材供給部と、内容物を前記包装袋に供給する内容物供給部と、前記内容物を前記包装袋に充填する充填シュートと、前記フィルム材を熱融着するシール形成部と、を備え、
前記シール形成部が熱融着するための熱源を有して、前記フィルム材の縁部をシール可能に構成するとともに、
前記充填シュートには、前記内容物を挿通する内管と前記内管の外周に配置される外管とを備えて少なくとも二重管に構成され、
前記内管と前記外管との間に空隙部を形成して、前記内管を冷却する冷却手段が構成されることを特徴とする低融点等内容物用包装機。
【請求項2】
前記冷却手段が、前記空隙部に冷媒を循環させて前記内管を冷却する冷媒循環経路として形成することを特徴とする請求項1記載の低融点等内容物用包装機。
【請求項3】
前記充填シュートは、前記熱源と対向するシール形成面を有するシュートガイドの挿通孔に挿通して配置され、前記シール形成面が前記フィルム材の側縁部を支持して前記フィルム材の側縁部を熱融着可能に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の低融点等内容物用包装機。
【請求項4】
前記シュートガイドには、冷却用循環通路が形成されていることを特徴とする請求項3記載の低融点等内容物用包装機。
【請求項5】
前記冷媒循環経路は、前記内管の外周に軸方向に設けた1対の肉盛部間に形成されるとともに、前記1対の肉盛部間の一方が往路として形成され他方が復路として形成され、前記往路と前記復路との一端が開通されていることを特徴とする請求項2記載の低融点等内容物用包装機。
【請求項6】
請求項1記載の低融点等内容物用包装機を使用することを特徴とする低融点等内容物の包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−276797(P2007−276797A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102208(P2006−102208)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(592242660)株式会社東陽機械製作所 (20)
【出願人】(000226404)興和創薬株式会社 (17)
【Fターム(参考)】