説明

低透過性複合ホース

【課題】 金属ラミネートシートの非透過層あるいは金属ラミネート層を有し、優れた低透過性を長く持続することのできる耐久的な低透過性複合ホースを提供する。
【解決手段】テープ状の第1の金属ラミネートシート17を内面ゴム層3の外周にスシ巻きして第1の非透過層5を形成する。第1の金属ラミネートシート17の幅方向両端縁間に若干の隙間が開くようにしておく。そして、第1の金属ラミネートシート17の外周に第1の中間ゴム層7を押し出し成形し、テープ状の第2の金属ラミネートシート19をこの第1の中間ゴム層7の外周にスシ巻きして第2の非透過層9を形成する。第2の金属ラミネートシート19の幅方向両端縁29、29間に若干の隙間31が開くようにしておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のガソリン燃料用ホース、エアコン用冷媒ホースあるいは燃料電池用ホースなどの自動車用配管に用いられる複合ホースに関し、より詳しくは、内部流体非透過層を有する低透過性複合ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車用配管では、地球環境保全の観点から、内部流体低透過性が強く求められ、例えば、ガソリン燃料や二酸化炭素冷媒などの内部流体が大気中に飛散しないような対処を施すことが必要となっている。このような内部流体低透過性の要求を満足させるためのホース構造としては、分子量が小さく、透過性が高い流体も十分に遮断することが可能な金属箔又は金属蒸着層を含んだ金属ラミネートシートを用い、この金属ラミネートシートを巻いて非透過性の金属ラミネート層をホース内に構成するといったものが知られていて、このホース構造では、細長い筒状に形成された金属ラミネート層の金属箔又は金属蒸着層により、内部流体が外部に透過するのを効果的に防止することができる。そして、金属ラミネート層に用いられる金属材は、薄膜状の金属箔又は金属蒸着層なので、金属ラミネート層の形成により、ホースの可撓性が損なわれるといったこともない。
【0003】
ところで、金属ラミネートシートを巻いて金属ラミネート層を形成する構造では、非透過性を確保するために、金属ラミネートシートの端部同士を重ね合わせ、端部間を接着剤で接着している。例えば、テープ状の金属ラミネートシートを、幅方向両端縁が長さ方向に沿って延びるように、円筒状に巻く場合には、幅方向両端部を重ね合わせ、両端部間を接着剤で接着しているし(例えば特許文献1参照)、テープ状の金属ラミネートシートを螺旋状に巻く場合にも、両側端部を重ね合わせ、両側端部間を接着剤で接着している。
【0004】
【特許文献1】特開2001−227681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的に、接着剤層は薄く、かつ、弾性又は弾力性に乏しい。したがって、金属ラミネートシートの幅方向両端部や両側端部を重ね合わせ、接着剤で接着する構造では、複合ホースが繰り返し大きく曲げ変形するうちに、金属ラミネートシートの重なり部分で剥離が生じてしまい、金属ラミネート層の非透過性が低下するし、この剥離にともない金属ラミネートシートの損傷が拡大していくおそれがある。特に、テープ状の金属ラミネートシートを、幅方向両端縁が長さ方向に沿って延びるように、円筒状に巻いたような場合には、金属ラミネートシートの強い弾性復帰力も加わるので、重なり部分の剥離にともなう金属ラミネートシートの損傷が広がりやすく、早期に金属ラミネート層の非透過性が大きく損われる可能性もあって、耐久性に問題がある。また、テープ状の金属ラミネートシートを螺旋状に巻いたような場合でも、重なり部分の全長がかなり長くなるので、剥離の生じる個所が増加しやすくなる。そうすると、重なり部分に沿って多くの個所で、剥離にともなう金属ラミネートシートの損傷の広がりが生じやすくなり、やはり、早期に金属ラミネート層の非透過性が大きく損われる可能性があって、耐久性に問題を有している。
【0006】
そして最近では、例えば燃料電池に用いられるものとして、非常に分子量の小さい水素などの流体を長期にわたって非透過状態で移送できる特性を備えた複合ホースが要求されている。
【0007】
そこで本発明は、金属ラミネートシートの非透過層あるいは金属ラミネート層を有し、優れた低透過性を長く持続することのできる耐久的な低透過性複合ホースの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するための本発明の低透過性複合ホースは、金属ラミネートシートから形成された非透過層を有する低透過性複合ホースであって、テープ状(矩形状を含む)の第1の金属ラミネートシートを、幅方向両端縁がホース長さ方向(低透過性複合ホースの長さ方向)に沿って延びるように、円筒状に巻いて形成した第1の非透過層と、テープ状(矩形状を含む)の第2の金属ラミネートシートを、幅方向両端縁がホース長さ方向に沿って延びるように、前記第1の非透過層の外側で、円筒状に巻いて形成した第2の非透過層と、前記第1の非透過層及び前記第2の非透過層の間に介在されたゴム弾性層と、を備え、前記第1の非透過層及び前記第2の非透過層では、前記第1の金属ラミネートシート及び前記第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁間にそれぞれ隙間が形成されていて、前記第1の金属ラミネートシートの幅方向両端縁と、前記第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁とは、周方向位置がずれて配置されているものである。すなわち、例えば、第1の金属ラミネートシートの幅方向両端縁間の隙間と、第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁間の隙間とは、周方向位置がずれている。第1及び第2の金属ラミネートシートは、例えば、金属箔又は金属蒸着層を含んだ積層用シートであり、金属箔、金属箔及び補強材あるいは金属蒸着層に樹脂フィルムを積層して構成することができる。このような第1及び第2の金属ラミネートシートは、例えば細幅のテープ状に形成され、幅方向両端縁がホース長さ方向に沿って延びるように、円筒状に巻かれてスシ巻き状態となり、第1の非透過層及びこの第1の非透過層の外側の第2の非透過層をそれぞれ形成することとなる。本発明の低透過性複合ホースは、例えば、内面ゴム弾性層と外面ゴム弾性層との間に第1の非透過層と第2の非透過層とを有して構成される。
【0009】
第1及び第2の非透過層では、第1及び第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁間にそれぞれ隙間が形成されている。したがって、複合ホースが繰り返し大きく曲げ変形しても、第1又は第2の金属ラミネートシートの幅方向両端部が剥離し、損傷が第1又は第2の金属ラミネートシートの広範囲に伝わっていくといったことはないし、第1又は第2の金属ラミネートシートの幅方向両端部が接触あるいは当接して第1又は第2の金属ラミネートシートが傷付くといったこともない。そして、第1の金属ラミネートシートの幅方向両端縁と、第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁とは、周方向位置がずれて配置されているので、第1の金属ラミネートシートの幅方向両端縁間の隙間は、第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁以外の部分によって覆われている。また、第1の非透過層と第2の非透過層との間にはゴム弾性層が介在しているので、第1の金属ラミネートシートの幅方向両端縁と第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁との間は、ゴム弾性層で気密的に塞がれている。したがって、第1の金属ラミネートシートの幅方向両端縁間を通過した内部流体は、第2の金属ラミネートシートに遮られて径方向外側に抜け出ることができず、内部流体が外側に抜け出るためには、ゴム弾性層を周方向に透過して第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁間に到達するしかない。すなわち、ここでの非透過構造は、第1の金属ラミネートシートの外側に、第2の金属ラミネートシートに代えて、内部流体が透過しなければならないゴム弾性層の距離に等しい厚さのゴム弾性層を積層した非透過構造に相当するようなものであり、第1及び第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁間に隙間が形成されていても、第1及び第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁の周方向位置を適当に設定することにより、複合ホースの低透過性は損われない。第1の金属ラミネートシートは、通常、内側のゴム弾性層及び外側のゴム弾性層(第1の非透過層と第2の非透過層との間に介在されるゴム弾性層)で挟まれた状態となっている。
【0010】
ゴム弾性層には、第1及び第2の金属ラミネートシートとの良好な接着性を有するゴム弾性材料(ゴム材料又は熱可塑性エラストマ材料)を用いるのが好ましい。第1の非透過層及び第2の非透過層は、十分な弾性を有するこのゴム弾性層により変位可能に接着される。したがって、複合ホースが繰り返し大きく曲げ変形しても、第1及び第2の金属ラミネートシートの間で剥離は生じにくく、非透過性が簡単に低下するといったことがないだけでなく、第1及び第2の金属ラミネートシートが大きく傷付くといったおそれもない。
【0011】
第1の金属ラミネートシートの幅方向両端縁あるいは幅方向両端縁間の隙間は、第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁あるいは幅方向両端縁間の隙間の径方向反対側に位置しているのが効果的である。すなわち、第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁を、第1の金属ラミネートシートの幅方向両端縁から周方向に180度あるいはほぼ180度ずらして位置させるのが好ましい。このように構成することにより、第1の金属ラミネートシートの幅方向両端縁と、第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁との周方向距離を最も長くしておくことができる。
【0012】
本発明の低透過性複合ホースは、金属ラミネートシートから形成された非透過層を有する低透過性複合ホースであって、テープ状の金属ラミネートシートを、幅方向両端縁がホース長さ方向に沿って延びるように、円筒状に巻いて形成した複数の非透過層あるいは径方向に間隔を有する複数の非透過層と、前記非透過層の間に介在されたゴム弾性層と、を備え、それぞれの前記非透過層では、前記金属ラミネートシートの幅方向両端縁間に隙間が形成されていて、それぞれの前記金属ラミネートシートは、隣り合う前記金属ラミネートシート(径方向に隣り合う金属ラミネートシート)と、幅方向両端縁あるいは幅方向両端縁間の隙間の周方向位置がずれるように配置されているものとして構成できる。ここでは、例えば 第1の金属ラミネートシートから形成した第1の非透過層と、第2の金属ラミネートシートから形成した第2の非透過層と、第3の金属ラミネートシートから形成した第3の非透過層と、を有するように構成できる。第1の非透過層及び第2の非透過層の間、第2の非透過層及び第3の非透過層の間にはそれぞれ、ゴム弾性層が配置される。本発明の低透過性複合ホースは、例えば、内面ゴム弾性層と外面ゴム弾性層との間に、複数の非透過層を有して構成される。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の低透過性複合ホースでは、金属ラミネートシートの剥離や損傷を抑えて、優れた低透過性を長く持続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明に係る低透過性複合ホースの積層構造を示すための斜視図、図2は本発明に係る低透過性複合ホースの積層構造を示すための断面図である。
【0016】
低透過性複合ホース1は、例えば自動車の燃料電池用配管に使用されるものであり、最も内側の内面ゴム層(内面ゴム弾性層)3と、この内面ゴム層3の外周に配置された第1の非透過層5と、この第1の非透過層5の外周に形成された第1の中間ゴム層7と、この第1の中間ゴム層7の外周に配置された第2の非透過層9と、この第2の非透過層9の外周に形成された第2の中間ゴム層11と、この第2の中間ゴム層11の外周に設けられた補強層13と、この補強層13の外周に形成された、最も外側の外面ゴム層(外面ゴム弾性層)15と、を有する積層構造を備えている。低透過性複合ホース1の内径(内面ゴム層3の内径)は15mmに設定され、低透過性複合ホース1の外径(外面ゴム層15の外径)は24.3mmに設定されていて、内面ゴム層3、第1の中間ゴム層7、第2の中間ゴム層11及び外面ゴム層15はそれぞれ、1.0mm、0.7mm、0.7mm及び1.0mmの肉厚を有している。第1の中間ゴム層7の肉厚を薄くすれば、第1の非透過層5と第2の非透過層9との間の流体遮断性あるいは非透過性は向上するが、押し出し加工性は低下するので、一般的には、第1の中間ゴム層7の肉厚は、0.1mm乃至1.0mmであることが好ましい。
【0017】
内面ゴム層3、第1の中間ゴム層7及び第2の中間ゴム層11には、水素などに対する耐透過性に優れ、十分な弾性を有し、しかも、第1あるいは第2の非透過層5、9(第1あるいは第2の非透過層5、9の樹脂フィルム)と接着性が良好なハロゲン化IIR(ブチルゴム)が用いられているが、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム(FKM)、塩素化ポリエチレン(CM)、クロロスルフォン化ゴム(CSM)、ニトリルゴムとポリ塩化ビニルとの混合ゴム(NBR+PVC)あるいはアクリルゴム(ACM)などを用いてもよい。特に、第1の非透過層5と第2の非透過層9との間で流体遮断性あるいは非透過性を確保する第1の中間ゴム層7の材質の耐透過性は重要であり、第1の中間ゴム層7には、ハロゲン化IIRあるいはIIRを用いるのが効果的であるが、低透過性複合ホース1がガソリン燃料配管に用いられる場合には、第1の中間ゴム層7に、NBR、(NBR+PVC)又はFKMなどを用いるのが好ましい。
【0018】
第1の非透過層5は、第1の金属ラミネートシート17を内面ゴム層3の外周にスシ巻きすることにより構成され、第2の非透過層9は、第2の金属ラミネートシート19を第1の中間ゴム層7の外周にスシ巻きすることにより構成されている。第1の金属ラミネートシート17及び第2の金属ラミネートシート19はそれぞれ、金属箔であるアルミ(AL)箔の両側から、樹脂フィルムであるポリアミド(PA)製フィルムを融着、溶着又は接着して積層したものであり、内面ゴム層3、第1の中間ゴム層7の外周長さよりも多少短い幅の細長いテープ状に形成されているが、AL箔にワイヤーメッシュ、補強布材あるいは高強度樹脂製フィルムなどの補強材を沿わせておいてもよく、また、樹脂フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム、エチレンビニルアルコール(EVOH)製フィルムあるいはポリエチレン(PE)製フィルムなどを用いることもできる。さらに、樹脂フィルムの一方に、金属蒸着層であるAL蒸着層を形成しておき、このAL蒸着層を樹脂フィルムの他方で覆ったものを用いることもできる。
【0019】
補強層13は、中間ゴム層11の外周で、補強糸あるいは金属ワイヤをブレード編組したり、あるいはスパイラル巻きしたりして設けられる。補強糸の材料としては、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アラミド、PA、ビニロンあるいはレーヨンなどを用いることができる。
【0020】
外面ゴム層15には、耐侯性に優れたEPDMが用いられているが、クロロプレンゴム(CR)、IIR、ハロゲン化IIR、CSM、CM、エチレンオキシドとエピクロロヒドリンとのゴム状共重合体(ECO)、EPM、あるいは(NBR+PVC)などを用いてもよい。
【0021】
図3は低透過性複合ホース1の製造過程を概略的又は概念的に示す図であり、第1の非透過層5から第1の中間ゴム層7までを積層する工程を説明する図、図4は低透過性複合ホース1の製造過程を概略的又は概念的に示す図であり、第2の非透過層9を積層する工程を説明する図である。
【0022】
まず、テープ状の第1の金属ラミネートシート17を、未加硫の内面ゴム層3の外周に配置し(図3a)、内面ゴム層3の全長にわたってスシ巻きして第1の非透過層5を形成する(図3b)。第1の金属ラミネートシート17の幅は、内面ゴム層3の外周長さよりも多少短いので、第1の金属ラミネートシート17の幅方向両端部21、21は重ならず、幅方向両端縁23、23間には若干の隙間25が形成される。形成される隙間25は、円周長さの1%乃至20%であることが好ましい。例えば、第1の非透過層5の円周長さの1%乃至20%あるいは内面ゴム層3の外周長さの1%乃至20%に設定される。隙間25が1%よりも狭いと、第1の金属ラミネートシート17の幅方向両端縁が衝突して損傷するおそれがあり、隙間25が20%よりも広いと、非透過性が損われるおそれがある。次に、第1の金属ラミネートシート17のスシ巻き状態を維持したままで、この第1の金属ラミネートシート17の外周に第1の中間ゴム層7を押し出し成形する(図3c)。なお、第1の中間ゴム層7は、予め、第1の金属ラミネートシート17の外面に薄出しして貼り付けておいてもよい。
【0023】
第1の金属ラミネートシート17の外周に第1の中間ゴム層7を成形したら、テープ状の第2の金属ラミネートシート19を、この未加硫の第1の中間ゴム層7の外周に配置し(図4a)、第1の中間ゴム層7の全長にわたってスシ巻きして第2の非透過層9を形成する(図4b)。第2の金属ラミネートシート19の幅は、第1の中間ゴム層7の外周長さよりも多少短いので、第2の金属ラミネートシート19の幅方向両端部27、27は重ならず、幅方向両端縁29、29間には若干の隙間31が形成される。形成される隙間31はやはり、円周長さの1%乃至20%であることが好ましい。例えば、第2の非透過層9の円周長さあるいは第1の中間ゴム層7の外周長さの1%乃至20%に設定される。隙間31が1%よりも狭いと、第2の金属ラミネートシート19の幅方向両端縁が衝突して損傷するおそれがあり、隙間31が20%よりも広いと、非透過性が損われるおそれがある。第2の金属ラミネートシート19は、隙間31が、第1の金属ラミネートシート17の隙間25の径方向反対側に位置するように、スシ巻きされる。なお、ここでは、第2の金属ラミネートシート19の幅を、第1の金属ラミネートシート17の幅よりも若干太く設定し、隙間25と隙間31とが同じ幅となるようにしているが、第2の金属ラミネートシート19の幅を、第1の金属ラミネートシート17の幅と同一にしてもよい。
【0024】
そして、第2の金属ラミネートシート19の外周に、第2の中間ゴム層11を押し出し成形し、この第2の中間ゴム層11の外周に補強層13を設けてから、最も外側に外面ゴム層15を押し出し成形し、内面ゴム層3、第1の中間ゴム層7、第2の中間ゴム層11及び外面ゴム層15を加硫して低透過性複合ホース1を構成する。なお、第2の中間ゴム層11は、予め、第2の金属ラミネートシート19の外面に薄出しして貼り付けておいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の低透過性複合ホースは、例えば自動車用配管に利用され、内部流体を、長期にわたって外部に飛散させることなく移送することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る低透過性複合ホースの積層構造を示すための斜視図である。
【図2】本発明に係る低透過性複合ホースの積層構造を示すための断面図である。
【図3】低透過性複合ホースの製造過程を概略的又は概念的に示す図であり、第1の非透過層から第1の中間ゴム層までを積層する工程を説明する図である。
【図4】低透過性複合ホースの製造過程を概略的又は概念的に示す図であり、第2の非透過層を積層する工程を説明する図である。
【符号の説明】
【0027】
1 低透過性複合ホース
5 第1の非透過層
7 第1の中間ゴム層
9 第2の非透過層
17 第1の金属ラミネートシート
19 第2の金属ラミネートシート
21 第1の金属ラミネートシートの幅方向両端部
27 第2の金属ラミネートシートの幅方向両端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ラミネートシートから形成された非透過層を有する低透過性複合ホースであって、
テープ状の第1の金属ラミネートシートを、幅方向両端縁がホース長さ方向に沿って延びるように、円筒状に巻いて形成した第1の非透過層と、
テープ状の第2の金属ラミネートシートを、幅方向両端縁がホース長さ方向に沿って延びるように、前記第1の非透過層の外側で、円筒状に巻いて形成した第2の非透過層と、
前記第1の非透過層及び前記第2の非透過層の間に介在されたゴム弾性層と、を備え、
前記第1の非透過層及び前記第2の非透過層では、前記第1の金属ラミネートシート及び前記第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁間にそれぞれ隙間が形成されていて、
前記第1の金属ラミネートシートの幅方向両端縁と、前記第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁とは、周方向位置がずれて配置されている、ことを特徴とする低透過性複合ホース。
【請求項2】
前記第1の金属ラミネートシートの幅方向両端縁は、前記第2の金属ラミネートシートの幅方向両端縁の径方向反対側に位置している、ことを特徴とする請求項1記載の低透過性複合ホース。
【請求項3】
金属ラミネートシートから形成された非透過層を有する低透過性複合ホースであって、
テープ状の金属ラミネートシートを、幅方向両端縁がホース長さ方向に沿って延びるように、円筒状に巻いて形成した複数の非透過層と、
前記非透過層の間に介在されたゴム弾性層と、を備え、
それぞれの前記非透過層では、前記金属ラミネートシートの幅方向両端縁間に隙間が形成されていて、
それぞれの前記金属ラミネートシートは、隣り合う前記金属ラミネートシートと、幅方向両端縁の周方向位置がずれるように配置されている、ことを特徴とする低透過性複合ホース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−175682(P2006−175682A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370252(P2004−370252)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】