説明

住宅用サッシのシール構造

【課題】組み付けが容易でコストの削減が図れ、しかもシール機能に優れる住宅用サッシのシール構造を提供する。
【解決手段】サッシ枠10内にスライドして開閉自在に嵌合された外障子22の召合せ框22Aと内障子21の召合せ框21Aとの間を塞ぐシール材であって、内障子21の召合せ框21Aに取付けられる取付基部51と、取付基部51に一体成形され、両障子21,22の閉時に、外障子22の召合せ框22Aの相対向する面24aに弾接する中空シール部51bと、中空シール部51bから突設され、両障子21,22の閉時に、外障子22の召合せ框22Aの側面24c側に弾接するヒレ片51cを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅用サッシのシール構造に関する。より詳細には、住宅用サッシのサッシ枠内にスライドして開閉自在に嵌合された外障子と内障子間の隙間を塞ぐ住宅用サッシのシール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、通常の住宅用サッシは、上枠11,下枠12,縦枠13,14からなる矩形状のサッシ枠10内に、2枚の障子21(室内側に位置する障子:内障子),22(室外側に位置する障子:外障子)が引き違いに嵌合されている。これにより、2枚の障子21,22はスライドして開閉自在で、閉鎖時には両障子21,22の召合せ框21A,22A間に設けられたロック部材100を施錠することによって両障子21,22は互いに引き寄せられる。
【0003】
このような障子21,22とサッシ枠10との間、すなわち、障子21,22の上框21B,22Bとサッシ枠10の間,障子21,22の戸先框21C,22Cとサッシ枠10の間,障子21,22の下框21D,22Dとサッシ枠10の間,あるいは、障子21,22の召合せ框21A,22Aの間には、施錠時及び無施錠時に両障子21,22を閉鎖したときに両者間の隙間を塞いで室外側から室内側に進入する音を効果的に低減するための各種シール材が設けられている。
【0004】
ここで、障子21,22の召合せ框21A,22Aの間には、例えば、図10に示すように、内障子21の召合せ框21Aに取付けられたシール材31のシール片31b及びシール材32のシール片32bを、相対向する外障子の召合せ框22Aの室内側面24aに取付けられた略板状の緩衝部材33に弾接させて両召合せ框21A,22A間を塞ぐシール構造が考えられる。
シール材31は、内障子21の召合せ框21Aにおいて室内側に露出した面23a,23dを覆うように取付けられた断面略L字状の取付基部31aとその取付基部31aに一体成形され取付基部31aから外障子22側に向かって突設されたリップ形状のシール片31bからなる。また、シール材32は、内障子21の召合せ框21Aの室外側面23bに取付けられた取付基部32aとその取付基部32aに一体成形され取付基部32aから外障子22側に向かって突設された3本のリップ形状のシール片32bからなる。
シール材31のシール片31bとシール材32のシール片32bは、内障子21の召合せ框21Aの室外側面23bに並設され、両障子21,22の閉時には外障子22の召合せ框22Aに取付けられた緩衝部材33に弾接して防音効果を発揮している。
【0005】
また、図12に示すように、内障子21の召合せ框21Aに取付けられたシール材35の中空シール部35bを、相対向する外障子の召合せ框22Aの面24aに弾接させて両召合せ框21A,22A間を塞ぐシール構造が知られている(例えば、特許文献1)。
シール材35は、内障子21の召合せ框21Aの室外側面23bに取付けられた取付基部35aとその取付基部35aに一体成形され取付基部35aから外障子22側に向かって膨出湾曲するように突設された断面環状の中空シール部35bからなり、両障子21,22の閉時には中空シール部35bが外障子22の召合せ框22Aに直接弾接して防音効果を発揮している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−77770号公報(図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図10に示したシール構造の場合、シール材31のシール片31bは断面略舌状のリップ形状をしているので、図11の点線で示すようにシール片31bが反転して部分的にシール切れが生じるといったおそれがある。なお、シール材32のシール片32bについても断面略舌状のリップ形状をしているので、図示していないが、シール材31のシール片31bと同様に部分的にシール切れが生じるおそれがある。
【0008】
このようにシール切れが生じるおそれがあると、長期的に安定したシール性が確保されず、実際にシール切れが生じると隙間mを介して室外側から室内側に音や雨水が侵入するといった問題がある。また、シール片31b,32bは、それらの先端が、外障子22の召合せ框22Aに取付けられた緩衝部材33に対して点接触にて弾接するためシール機能は十分ではなく防音効果は低い。
さらに、シール材31,32といった2部品を使用してシールするため、組み付けに工数がかかるとともにコスト高にもなる。
【0009】
これに対して、図12に示したシール構造の場合は、中空シール部35bを有するシール材35だけであるので、2部品のものと比較して組み付けを簡易に行うことができるとともにコスト高になることも回避することができ、さらに外障子22の召合せ框22Aに対して面接触にて弾接するため、図10に示したシール構造のようにシール片31b,32bを弾接させたものと比較してシール性に優れる。
しかしながら、中空シール部35bを外障子22の平担な面の召合せ框22Aに直接、弾接させてシールするだけの構造であるため、両障子21,22の召合せ框21A,22A間の隙間にバラツキなどがあるとシール性は不十分になるといった問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的とするところは、組み付けが容易でコストの削減が図れ、しかもシール機能に優れる住宅用サッシのシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、サッシ枠(10)内にスライドして開閉自在に嵌合された外障子(22)の召合せ框(22A)と内障子(21)の召合せ框(21A)との間を塞ぐシール構造であって、
前記外障子(22)及び内障子(21)のうちいずれか一方の障子(21)の召合せ框(21A)に取付けられる取付基部(51,61)と、前記取付基部(51,61)に一体成形され、前記両障子(21,22)の閉時に、前記他方の障子(22)の召合せ框(22A)の相対向する面(24a)に弾接する中空シール部(51b,61b)と、前記中空シール部(51b,61b)から突設され、前記両障子(21,22)の閉時に、前記他方の障子(22)の召合せ框(22A)の側面(24c)側に弾接するヒレ片(51c,61c)を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記他方の障子(22)の召合せ框(22A)の相対向する面(24a)にはゴム様弾性体からなる緩衝部材(52,62)が設けられ、前記中空シール部(51b,61b)は、前記両障子(21,22)の閉時に、前記緩衝部材(52,62)に弾接することを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明は、サッシ枠(10)内にスライドして開閉自在に嵌合された外障子(22)の召合せ框(22A)と内障子(21)の召合せ框(21A)との間を塞ぐシール構造であって、
前記外障子(22)及び内障子(21)のうちいずれか一方の障子(21)の召合せ框(21A)に取付けられる取付基部(51)と、前記取付基部(51)に一体成形され、前記両障子(21,22)の閉時に、前記他方の障子(22)の召合せ框(22A)の相対向する面(24a)に弾接する中空シール部(51b)を備えるとともに、前記他方の障子(22)の召合せ框(22A)の相対向する面(24a)にはゴム様弾性体からなる緩衝部材(62)が設けられ、前記中空シール部(51b)は、前記両障子(21,22)の閉時に、前記緩衝部材(62)に弾接することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、前記緩衝部材(62)は、前記中空シール部(51b)が弾接される中空部(62b)を有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、前記緩衝部材(62)の中空部(62b)は、端部から中央部にかけて前記一方の障子(21)側への突出量を徐々に大きくした断面略円弧状であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、前記一方の障子(21)は前記内障子(21)であり、前記他方の障子(22)は前記外障子(22)であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、前記取付基部(51a)は、前記内障子(21)の召合せ框(21A)において室内側に露出した面(23a,23d)を覆うように取付けられることを特徴とする。
【0018】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、サッシ枠内にスライドして開閉自在に嵌合された外障子の召合せ框と内障子の召合せ框との間を、いずれか一方の障子、例えば請求項6に記載の発明のように、内障子の召合せ框側に設けられた中空シール部を外障子の召合せ框の相対向する面に弾接させるのに加えてヒレ片を外障子の召合せ框の側面側に弾接させて塞ぐようにしたので、従来例で記載したシール片のように中空シール部及びヒレ片が反転して部分的にシール切れが生じるといった恐れはない。なお、中空シール部及びヒレ片を取付基部とともに外障子側に取付けるようにし、内障子の召合せ框側に弾接させるようにしてもよい。
特にヒレ片は、召合せ框に対して面接触により十分な弾接量を確保できるので両障子の召合せ框間の隙間のバラツキなどにも対応することができ、長期的に安定した防音効果と雨水に対する優れたシール効果が得られる。
また、住宅用サッシのシール構造が備える中空シール部及びヒレ片は取付基部とともに一部品であるので、従来のものと比較して部品点数が抑えられる。
これにより、サッシ枠に対する組み付けが容易になるとともにコストの削減を図れる。
さらに、ヒレ片は、一方の障子の召合せ框の側面側に弾接することで、両障子の召合せ框間を外側から覆う隙隠しにもなるので外観上見栄えがよい。
【0020】
また、請求項2に係る発明によれば、他方の障子の召合せ框の相対向する面にはゴム様弾性体からなる緩衝部材が設けられ、中空シール部は、両障子の閉時に、緩衝部材に弾接するようにしたので、中空シール部が他方の障子の召合せ框に直接弾接する場合と比較して防音効果及びシール効果は向上する。
【0021】
さらに、請求項3に係る発明によれば、外障子の召合せ框と内障子の召合せ框との間を塞ぐものは、中空シール部だけであり、請求項1に係る発明のようにヒレ片は存在しないが、中空シール部は、両障子の閉時に、召合せ框に直接弾接するのではなくゴム様弾性体からなる緩衝部材に弾接するようにしたので、防音効果及びシール効果に優れる。
【0022】
また、請求項4に係る発明によれば、緩衝部材は、中空シール部が弾接される中空部を有するので、中空部同士が面接触で弾接し互いの反力によって確実にシールされ、長期的で安定したシール性が得られる。
【0023】
また、請求項5に係る発明によれば、緩衝部材の中空部は、端部から中央部にかけて一方の障子側への突出量を徐々に大きくした断面略円弧状であるので、両障子が閉まるにつれてシール面積及びシール力が増加し、確実にシールされる。
【0024】
また、請求項7に係る発明によれば、取付基部は、内障子の召合せ框において室内側に露出した面を覆うように取付けられるので外観上見栄えがよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る住宅用サッシのシール構造において障子が開いた状態を示す断面図である。
【図2】図1に示す住宅用サッシのシール構造において障子が閉じた状態を示す、図9のA−A線拡大断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る別の住宅用サッシのシール構造において障子が開いた状態を示す断面図である。
【図4】図3に示す住宅用サッシのシール構造において障子が閉じた状態を示す、図9のA−A線拡大断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るさらに別の住宅用サッシのシール構造において障子が開いた状態を示す断面図である。
【図6】図5に示す住宅用サッシのシール構造において障子が閉じた状態を示す、図9のA−A線拡大断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るさらに別の住宅用サッシのシール構造において障子が開いた状態を示す断面図である。
【図8】図7に示す住宅用サッシのシール構造において障子が閉じた状態を示す、図9のA−A線拡大断面図である。
【図9】住宅用サッシの室内側から見た外観側面図である。
【図10】従来例に係る住宅用サッシのシール構造において障子が閉じた状態を示す、図9のA−A線拡大断面図である。
【図11】図10に示すシール構造の要部を示す拡大断面図である。
【図12】従来例に係る別の住宅用サッシのシール構造において障子が閉じた状態を示す、図9のA−A線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1,図2及び図9を参照して、本発明の実施形態に係る住宅用サッシのシール構造について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る住宅用サッシのシール構造を示すもので障子が開いた状態を示し、図2は、図1に示す住宅用サッシのシール構造において障子が閉じた状態を示すもので、図9のA−A線拡大断面図に相当する。従来例で示したものと同一部分には同一符号を付した。
【0027】
本発明の実施形態に係る住宅用サッシのシール構造は、図9に示したものと同様のサッシ枠10内にスライドして開閉自在で引き違いに嵌合された外障子22の召合せ框22Aと内障子21の召合せ框21Aとの間を塞ぐものであり、内障子21の召合せ框21A側に取付けられシール材51と、外障子22の召合せ框22A側に取付けられたゴム様弾性体からなる緩衝部材52から構成されている。
【0028】
シール材51は、内障子21の召合せ框21Aに取付けられる取付基部51aと、取付基部51aに一体成形され、両障子21,22の閉時に、外障子22の召合せ框22Aの相対向する面24aに弾接する中空シール部51bと、中空シール部51bから突設され、両障子21,22の閉時に、外障子22の召合せ框22Aの側面24c側に弾接するヒレ片51cを備えている。
【0029】
シール材51の取付基部51aは、内障子21の召合せ框21Aの延びる上下方向に沿って取付けられた断面略L字状であり、召合せ框21Aにおいて室内側に露出した面である室内側面23aと、内障子21が取付けられた側面23cとは逆側の側面23dを覆うように取付けられている。また、召合せ框21Aの室内側面23aを覆う側の取付基部51aの肉厚は側面23dを覆う側の肉厚よりも厚く、取付基部51aは召合せ框21Aに一体化されている。
【0030】
シール材51の中空シール部51bは、内障子21の召合せ框21Aの室外側面23bからさらに室外側に向けて膨出湾曲するように設けられ、相対向する外障子22の召合せ框22Aの室内側面24a側、ここでは室内側面24aに取付けられた略板状の緩衝部材52に弾接するようになっている。
また、中空シール部51bは、召合せ框21Aの室外側面23bから離間するとともにして室外側面23bに略平行に延びる水平部位Pとその水平部位Pの側面23c側端部から室外側面23bに向かって接近するように傾斜する傾斜部位Qを備えている。そして、中空シール部51bの水平部位Pの室外側面の位置は、召合せ框22Aの室内側面24aに取付けられた緩衝部材52の室内側面の位置よりも室外側になるようにしてあり、両障子21、22が閉まると中空シール部51bはその傾斜部位Qから緩衝部材52に弾接し、さらに両障子21、22が閉まるにつれて中空シール部51bは傾斜部位Qから水平部位Pに弾接位置を変化するようにしてシール面積及びシール力が徐々に増加するようにしている。
【0031】
シール材51のヒレ片51cは、召合せ框21Aの室内側面23aと側面23dのコーナー部を覆う取付基部51aの部位と中空シール部51bとの接続部分から室外側に延びる先細であり、召合せ框21Aの側面23dから内障子21が取付けられた側の側面23c側に向けて湾曲している。そして、両障子21,22の閉時にヒレ片51cは、その内面(召合せ框21Aの側面23c側の面)が、外障子22の召合せ框22Aの側面24c側、ここでは召合せ框22Aに取付けられた緩衝材52の側面に弾接するようにされている。なお、ヒレ片51cを緩衝材52の側面とともに召合せ框22Aの側面24cにも直接弾接するようにしても、あるいは、召合せ框22Aの側面24cだけに直接弾接するようにしてもよい。
【0032】
なお、シール材51や緩衝材52の材質は、特に限定されるわけではないが、ゴム様弾性体であってEPDMゴムなどのソリッドゴム材や熱可塑性エラストマーのソリッド樹脂材からなり、障子21,22の召合せ框21A,22Aに取付けたときの安定性を図るとともに、障子21,22の開閉性を良好なものにしている。
また、シール材51や緩衝材52の軽量化のためにソリッド材ではなく、微発泡によるスポンジ材や発泡の気泡が明らかに見えるスポンジ材としたり、部分的にスポンジ材で構成してもよい。例えば、シール材51においてシール機能を果たす中空シール部51b及びヒレ片51cといった部位を軟質の、オレフィン系エラストマー(TPO),スチレン系エラストマー(TPS),塩ビ(PVC),EPDMスポンジ(比重0.4〜0.8)といった材料で形成し、その他の部位となる取付基部51aを、硬質の、ポリプロピレン(PP),オレフィン系エラストマー(TPO),スチレン系エラストマー(TPS),塩ビ(PVC),EPDMソリッド(比重0.8〜1.2)といった材料で形成することなどが考えられる。
【0033】
さらに、中空シール部51bの弾接部位に、水性シリコーンなどの摺動材を塗布したり、摺動材を貼着したり共押出しして両障子21,22の開閉性をさらに良好にすることもできる。
【0034】
以上のような住宅用サッシのシール構造によれば、サッシ枠10内にスライドして開閉自在に嵌合された外障子22の召合せ框22Aと内障子21の召合せ框21Aとの間を、内障子21の召合せ框21A側に設けられた中空シール部51bを外障子22の召合せ框22Aの相対向する面24a側に取付けられた緩衝材52に弾接させるのに加えてヒレ片51cを外障子22の召合せ框22Aの側面24c側に弾接させて塞ぐようにしたので、中空シール部51b及びヒレ片51cが反転して部分的にシール切れが生じるといった恐れはない。
特にヒレ片51cは、外障子22の召合せ框22Aの相対向する面24a側ではなく側面24c側に面接触により弾接するので十分な弾接量を確保することができ、両障子21,22の召合せ框21A,22A間の隙間のバラツキなどにも対応することができ、その結果、長期的に安定した防音効果と雨水や風に対する優れたシール効果が得られる。
また、中空シール部51b及びヒレ片51cは取付基部51aとともに一部品であるので、部品点数が抑えられ、これにより、サッシ枠10に対する組み付けが容易になるとともにコストの削減を図れる。
さらに、ヒレ片51cは、外障子22の召合せ框22Aの側面24c側に弾接することで、両障子21,22の召合せ框21A,22A間を外側から覆う隙隠しにもなるので外観上見栄えがよい。
【0035】
また、外障子22の召合せ框22Aの相対向する面(室内側面)24aにはゴム様弾性体からなる緩衝部材52が設けられ、シール材51の中空シール部51bは、両障子21,22の閉時に、緩衝部材52に弾接するようにしたので、中空シール部51bが外障子22の召合せ框22Aに直接弾接する場合と比較して防音効果及びシール効果更には断熱効果は向上する。
【0036】
さらに、シール材51の取付基部51aは断面略L字状であり、内障子21の召合せ框21Aにおいて室内側に露出した面となる室内側面23aと側面23dを覆うように取付けられているので外観上見栄えがよい。
【0037】
なお、本発明の実施形態では、内障子21の召合せ框21Aに取付けられたシール材51の中空シール部51bを外障子22の召合せ框22Aに取付けられた緩衝材52に弾接させるようにしたが、特に緩衝材52を取付けられていない外障子22の召合せ框22Aに直接弾接させるようにしてもよい。すなわち、両召合せ框21A,22A間には、中空シール部51bに加えてシール片51cによる二重シール構造が施されるので十分なシール性が得られる。
【0038】
また、図3及び図4に示すように、外障子22の召合せ框22Aに取付けられる緩衝材62側に、両障子21,22が閉じられたときに、シール材51の中空シール部51bが弾接される中空部62bを設けるようにしてもよい。緩衝材62は、外障子22の召合せ框22Aの室内側面24aに取付けられた取付基部62aと、取付基部62aに一体成形され、室内側にさらに膨出湾曲した中空部62bからなり、中空部62bは、端部から中央部にかけて内障子21側への突出量を徐々に大きくした断面略円弧状である。
【0039】
これによれば、シール材51の中空シール部51bと緩衝材62の中空部62bといった中空部同士が面接触で弾接するので、互いの反力によって確実にシールされ、長期的で安定したシール性が得られる。
また、緩衝部材62の中空部62bは、端部から中央部にかけて内障子21側への突出量を徐々に大きくした断面略円弧状であるので、両障子21,22が閉まるにつれてシール面積及びシール力が増加し、確実にシールされる。
【0040】
また、外障子22の召合せ框22Aに中空部62bを有する緩衝材62が取付けられ、シール材51の中空シール部51bと中空部同士が面接触で弾接するようにすれば、シール性は十分であるので、図5及び図6に示すように、シール材51にヒレ片51cを形成しないようにしてもよい。
【0041】
また、本発明の実施形態では、シール材51の取付基部51aで内障子21の召合せ框21Aの露出面23a,23dを覆うようにしたが、図7及び図8に示すように、内障子21の召合せ框21Aの室外側面23bにシール材61の取付基部61aを配置し、取付基部61aに一体成形し室外側に膨出湾曲する中空シール部61bを設けるとともに、中空シール部61bに両障子21,22の閉時に外障子22の召合せ框22Aの側面24c側に弾接し両召合せ框21A,22A間の隙間を目隠しするヒレ片61cを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 サッシ枠
11 上枠
12 下枠
13,14 縦枠
21 内障子
22 外障子
21A,22A 召合せ框
21B,22B 上框
21C,22C 戸先框
21D,22D 下框
23a,24a 室内側面
23b,24b 室外側面
23c,24c 障子側の側面
23d,24d 障子とは逆側の側面
31 シール材
31a 取付基部
31b シール片
32 シール材
32a 取付基部
32b シール片
33 緩衝部材
35 シール材
35a 取付基部
35b 中空シール部
51 シール材
51a 取付基部
51b 中空シール部
51c ヒレ片
52 緩衝部材
61 シール材
61a 取付基部
61b 中空シール部
61c ヒレ片
62 緩衝部材
62a 取付基部
62b 中空部
100 ロック部材
m 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠内にスライドして開閉自在に嵌合された外障子の召合せ框と内障子の召合せ框との間を塞ぐシール構造であって、
前記外障子及び内障子のうちいずれか一方の障子の召合せ框に取付けられる取付基部と、
前記取付基部に一体成形され、前記両障子の閉時に、前記他方の障子の召合せ框の相対向する面に弾接する中空シール部と、
前記中空シール部から突設され、前記両障子の閉時に、前記他方の障子の召合せ框の側面側に弾接するヒレ片を備えることを特徴とする住宅用サッシのシール構造。
【請求項2】
前記他方の障子の召合せ框の相対向する面にはゴム様弾性体からなる緩衝部材が設けられ、前記中空シール部は、前記両障子の閉時に、前記緩衝部材に弾接することを特徴とする請求項1に記載の住宅用サッシのシール構造。
【請求項3】
サッシ枠内にスライドして開閉自在に嵌合された外障子の召合せ框と内障子の召合せ框との間を塞ぐシール構造であって、
前記外障子及び内障子のうちいずれか一方の障子の召合せ框に取付けられる取付基部と、
前記取付基部に一体成形され、前記両障子の閉時に、前記他方の障子の召合せ框の相対向する面に弾接する中空シール部を備えるとともに、
前記他方の障子の召合せ框の相対向する面にはゴム様弾性体からなる緩衝部材が設けられ、
前記中空シール部は、前記両障子の閉時に、前記緩衝部材に弾接することを特徴とする住宅用サッシのシール構造。
【請求項4】
前記緩衝部材は、前記中空シール部が弾接される中空部を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の住宅用サッシのシール構造。
【請求項5】
前記緩衝部材の中空部は、端部から中央部にかけて前記一方の障子側への突出量を徐々に大きくした断面略円弧状であることを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか一つに記載の住宅用サッシのシール構造。
【請求項6】
前記一方の障子は前記内障子であり、前記他方の障子は前記外障子であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか一つに記載の住宅用サッシのシール構造。
【請求項7】
前記取付基部は、前記内障子の召合せ框において室内側に露出した面を覆うように取付けられることを特徴とする請求項6に記載の住宅用サッシのシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−77569(P2012−77569A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225951(P2010−225951)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】