説明

体外循環装置およびプライミング方法

【課題】体外循環や補助循環を迅速に開始することができる体外循環装置およびプライミング方法を提供する。
【解決手段】体外循環装置1は、血液の体外循環や補助循環を行なう装置であり、血液を循環させる血液体外循環回路2を有している。血液体外循環回路2は、血液を貯留するリザーバー6と、血液に対しガス交換を行う人工肺4と、動脈フィルター3と、液体を送液する血液ポンプ5と、脱血ライン11と、送血ライン12と、再循環ライン13と、バイパスライン14と、第1の気泡抜き用ライン15と、第2の気泡抜き用ライン16と、動脈フィルター3、人工肺4、血液ポンプ5およびリザーバー6等を接続する種々のラインとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体外循環装置およびプライミング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
心臓手術等に用いられる体外循環装置は、リザーバー(貯血槽)、人工肺、動脈フィルター、血液ポンプ、脱血ライン、送血ライン等を有する血液体外循環回路(人工心肺回路)を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の体外循環装置では、体外循環前の血液体外循環回路のプライミングの際、動脈フィルター内のフィルター部分の気泡抜きに時間を要し、体外循環開始までの時間を遅らせる要因となっている。
【0004】
動脈フィルター部分の気泡抜きを容易に行なう方法として、予め動脈フィルターを含めた回路全体に炭酸ガスを吹送する方法があるが、この方法では、炭酸ガスの吹送が終わるまでプライミングの開始を待たなければならない。
【0005】
【特許文献1】特開2003−299729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、体外循環や補助循環を迅速に開始することができる体外循環装置およびプライミング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(17)の本発明により達成される。
(1) 血液を貯血するリザーバーと、血液に対しガス交換を行う人工肺と、血液フィルターと、脱血ラインと、送血ラインとを有し、血液を循環させる血液体外循環回路を備える体外循環装置であって、
一端側が、前記血液フィルターの血液の流入口側のラインに接続され、他端側が、前記血液フィルターの血液の流出口側のラインに接続されたバイパスラインと、
一端側が、前記バイパスラインの前記血液フィルターの流出口側のラインとの接続部と、前記血液フィルターの流出口との間のラインに接続された第1の気泡抜き用ラインとを有することを特徴とする体外循環装置。
【0008】
(2) 前記人工肺の下流側に、前記血液フィルターおよび前記バイパスラインが配置されている上記(1)に記載の体外循環装置。
【0009】
(3) 前記リザーバーの下流側に、前記人工肺が配置され、前記人工肺の下流側に、前記血液フィルターおよび前記バイパスラインが配置されている上記(1)に記載の体外循環装置。
【0010】
(4) 前記血液体外循環回路の所定の部位において流路を選択する流路選択手段を有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の体外循環装置。
【0011】
(5) 前記流路選択手段は、流量を調節する流量調節手段である上記(4)に記載の体外循環装置。
【0012】
(6) 前記流量調節手段は、前記血液体外循環回路の前記バイパスラインの前記一端側における前記血液フィルターの流入口側のラインとの接続部と、前記血液フィルターの流入口との間のラインと、
前記バイパスラインと、
前記第1の気泡抜き用ラインと、
前記バイパスラインの前記他端側における前記血液フィルターの流出口側のラインとの接続部と、前記第1の気泡抜き用ラインの前記一端側における前記血液フィルターの流出口側のラインとの接続部との間のラインと、
前記バイパスラインの前記他端側における前記血液フィルターの流出口側のラインとの接続部より下流側のラインとのうちの少なくとも1箇所に設けられている上記(5)に記載の体外循環装置。
【0013】
(7) 前記流路選択手段は、前記血液体外循環回路の流路の分岐部であって、前記バイパスラインの前記一端側における前記血液フィルターの流入口側のラインとの接続部と、
前記バイパスラインの前記他端側における前記血液フィルターの流出口側のラインとの接続部と、
前記第1の気泡抜き用ラインの前記一端側における前記血液フィルターの流出口側のラインとの接続部とのうちの少なくとも1箇所に設けられている上記(4)に記載の体外循環装置。
【0014】
(8) 前記第1の気泡抜き用ラインの他端側は、前記リザーバーに接続される上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の体外循環装置。
【0015】
(9) 前記血液フィルターは、脱気口を有し、
一端側が、前記血液フィルターの前記脱気口に接続され、他端側が、前記リザーバーに接続される第2の気泡抜き用ラインを有する上記(8)に記載の体外循環装置。
【0016】
(10) 前記第1の気泡抜き用ラインおよび/または前記第2の気泡抜き用ラインの途中には、その前記他端側から前記一端側方向へと向かう流体の流れを防止する逆流防止弁が設けられている上記(9)に記載の体外循環装置。
【0017】
(11) 前記血液フィルターのプライミングの際、前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、所定のガスを、前記第1の気泡抜き用ラインと前記第2の気泡抜き用ラインとの一方から流入させ、前記血液フィルターを経由させて、他方から流出させる上記(9)または(10)に記載の体外循環装置。
【0018】
(12) 前記血液フィルターのプライミングの際、前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、所定のガスを、前記第1の気泡抜き用ラインと前記第2の気泡抜き用ラインとの一方から流入させ、前記血液フィルターを経由させて、他方から流出させるよう構成されており、
前記所定のガスを前記第1の気泡抜き用ラインまたは前記第2の気泡抜き用ラインへ流入させる位置は、前記逆流防止弁が設けられている気泡抜き用ラインの該逆流防止弁よりも前記一端側である上記(10)に記載の体外循環装置。
【0019】
(13) 前記血液フィルターのプライミングの際、前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、前記バイパスラインの前記他端側から流出するプライミング液を、前記血液フィルターの流出口から流入させ、前記血液フィルターおよび前記第2の気泡抜き用ラインを経由させて、前記リザーバーへ流す上記(9)ないし(12)のいずれかに記載の体外循環装置。
【0020】
(14) 前記血液フィルターのプライミングの際、前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、前記バイパスラインの前記一端側へ向って流れるプライミング液を、前記血液フィルターの流入口から流入させ、前記血液フィルターおよび前記第1の気泡抜き用ラインを経由させて前記リザーバーへ流すとともに、前記血液フィルターおよび前記第2の気泡抜き用ラインを経由させて前記リザーバーへ流す上記(9)ないし(13)のいずれかに記載の体外循環装置。
【0021】
(15) 上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の体外循環装置の前記血液体外循環回路に対してプライミングを行なうプライミング方法であって、
前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、前記血液フィルターをプライミングすることを特徴とするプライミング方法。
【0022】
(16) 上記(9)ないし(14)のいずれかに記載の体外循環装置の前記血液体外循環回路に対してプライミングを行なうプライミング方法であって、
前記血液体外循環回路により、プライミング液を、前記脱血ラインから前記バイパスラインを経由させて前記送血ラインへ流し、前記脱血ラインと、前記リザーバーと、前記人工肺と、前記送血ラインとを含むラインをプライミングする第1の工程と、
前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、前記バイパスラインの前記他端側から流出するプライミング液を、前記血液フィルターの流出口から流入させ、前記血液フィルターおよび前記第2の気泡抜き用ラインを経由させて、前記リザーバーへ流し、前記血液フィルターをプライミングする第2の工程と、
前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、前記バイパスラインの前記一端側へ向って流れるプライミング液を、前記血液フィルターの流入口から流入させ、前記血液フィルターおよび前記第1の気泡抜き用ラインを経由させて前記リザーバーへ流すとともに、前記血液フィルターおよび前記第2の気泡抜き用ラインを経由させて前記リザーバーへ流し、前記血液フィルターをプライミングする第3の工程とを有することを特徴とするプライミング方法。
【0023】
(17) 前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、所定のガスを、前記第1の気泡抜き用ラインと前記第2の気泡抜き用ラインとの一方から流入させ、前記血液フィルターを経由させて、他方から流出させる工程を、前記第1の工程と前記第2の工程との間に有する上記(16)に記載のプライミング方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、気泡抜き用ラインを有しているので、動脈フィルター等の血液フィルターのプライミングを、この他の所定の血液体外循環回路のプライミングを開始した後でも、炭酸ガスなどの液体への溶解度が高く生体に安全なガスを流入させた後、行なうことができる。
【0025】
これにより、体外循環や補助循環を開始するまでに要する時間を短縮することができる。
【0026】
また、回路に付属した流路切り替え手段を使用することにより、プライミング及び体外循環時に必要な流路切り替え操作を、鉗子を使用せずに行うことができる。
【0027】
このため、例えば緊急を要する場合であっても、体外循環や補助循環を迅速に開始することができ、十分に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の体外循環装置およびプライミング方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の体外循環装置の実施形態の回路構成を模式的に示す図、図2は、図1に示す体外循環装置の動脈フィルターの近傍の回路構成を模式的に示す図である。
【0030】
本発明において、体外循環装置における循環には、体外循環と補助循環とが包含される。体外循環とは、体外循環装置の適用対象となる患者の心臓に血液が循環せず患者の体内でガス交換が行われず、そして体外循環装置により血液の循環と血液に対するガス交換(酸素付加、二酸化炭素除去、または、これら両方)が行われることを意味する。補助循環とは、体外循環装置の適用対象となる患者の心臓に血液が循環し患者の体内でガス交換が行われるが、体外循環装置によっても血液の循環と血液に対するガス交換が行われることを意味する。
【0031】
これらの図に示す体外循環装置1は、血液の体外循環や補助循環を行なう装置であり、血液を循環させる血液体外循環回路(血液回路)2を有している。
【0032】
血液体外循環回路2は、血液を貯留するリザーバー(貯血槽)6と、血液に対しガス交換を行う人工肺(人工肺部)4と、動脈フィルター(血液フィルター)3と、液体を送液する血液ポンプ5と、脱血ライン11と、送血ライン(動脈ライン)12と、再循環ライン13と、バイパスライン14と、第1の気泡抜き用ライン15と、第2の気泡抜き用ライン16と、動脈フィルター3、人工肺4、血液ポンプ5およびリザーバー6等を接続する種々のラインとを備えている。各ラインは、それぞれ、可撓性(柔軟性)を有するチューブを備えており、そのチューブの内腔が流路を構成する。
【0033】
この血液体外循環回路2では、脱血ライン11の下流側にリザーバー6が配置され、リザーバー6の下流側に血液ポンプ5が配置され、血液ポンプ5の下流側に人工肺4が配置され、人工肺4の下流側に動脈フィルター3およびバイパスライン14がそれぞれ配置され、動脈フィルター3の下流側に送血ライン12が配置されている。
【0034】
図1では、脱血ライン11の下流側にリザーバー6が配置される例を示すが、人工肺4の種類によっては、リザーバー6が人工肺4の下流側に設けられたり、血液ポンプ5が人工肺4よりも下流側に設けられることもある。また、リザーバー6は、脱血ライン11から分岐したラインに接続されたり、再循環ライン13の途中に設けられたり、再循環ライン13から分岐したラインに接続されて設けられることもある。
【0035】
脱血ライン11は、分岐コネクタ(分岐部)81を介して接続されたチューブ111と、チューブ112とを有している。
【0036】
また、送血ライン12は、分岐コネクタ(分岐部)82、84および85を介してそれぞれ接続されたチューブ121、122、123および124とを有している。チューブ121、122、123および124は、上流側(動脈フィルター)に向って、この順序で配置されている。
【0037】
また、再循環ライン13は、チューブ131を有し、このチューブ131の一端は、分岐コネクタ81を介して、脱血ライン11の途中、すなわち、チューブ111の他端およびチューブ112の一端に接続されている。また、チューブ131の他端は、分岐コネクタ82を介して、送血ライン12の途中、すなわち、チューブ121の他端およびチューブ122の一端に接続されている。
【0038】
清潔域にて用いられる術野側回路17は、脱血ライン11と送血ライン12の末端にそれぞれ接続される。
【0039】
また、術野側回路17が予め脱血ライン11と送血ライン12に接続されている場合があるが、この場合は、再循環ライン13は必ずしも必要ではなく、術野側回路17により再循環を行なうことができる。
【0040】
リザーバー6は、例えば、血液フィルター、血液を濾過するカーディオトミーフィルター等の所定のフィルターを内臓している。このリザーバー6には、血液流入ポート(血液の流入口)61〜63と、血液流出ポート(血液の流入口)64とが、それぞれ設けられている。
【0041】
血液流入ポート61には、脱血ライン11を構成するチューブ112の他端が接続されている。
【0042】
このリザーバー6は、例えば、硬質ケースのようなハードシェルタイプのものでもよく、また、軟質バッグのようなソフトシェルタイプのものでもよい。
【0043】
人工肺4は、導入された血液に対し、ガス交換、すなわち酸素加および脱炭酸ガスを行なうことができるものであり、ケーシング内に多数本の中空糸膜が収納された構成のものである。この人工肺4には、血液流入ポート(血液の流入口)41と、血液流出ポート(血液の流出口)42と、ガスインポート(図示せず)と、ガスアウトポート(図示せず)とが設けられている。
【0044】
また、人工肺4は、熱交換器を内蔵しており、これにより、通過する血液を加温または冷却することができる。
【0045】
人工肺4は、リザーバー6に対し分離独立しているものでもよく、また、リザーバー6と人工肺4とが、図示しない連結部材により連結(または一体化)されていてもよい。
【0046】
リザーバー6の血液流出ポート64と、人工肺4の血液流入ポート41とは、チューブ71により接続されている。このチューブ71の途中には、血液ポンプ5が設けられている。血液ポンプ5の種類は、特に限定されず、例えば、遠心ポンプ、インペラー式ポンプ、ローラポンプ等を用いることができる。
【0047】
人工肺4の血液流出ポート42には、チューブ72の一端が接続され、チューブ72の他端は、分岐コネクタ(分岐部)83を介してチューブ73の一端に接続されている。
【0048】
動脈フィルター3は、ケーシング内に例えばプリーツ状をなすフィルター部材が収納された構成のものであり、前記フィルター部材による血液を濾過する機能と、血液中の気泡を除去する機能とを有している。動脈フィルター3は、血液流入ポート(血液の流入口)31と血液流出ポート(血液の流出口)32と、脱気ポート(脱気口)33とを有し、血液流入ポート31にチューブ73の他端が接続されている。また、血液流出ポート32には、チューブ124の一端が接続されている。
【0049】
バイパスライン14は、チューブ141を有し、このチューブ141の一端は、分岐コネクタ83を介して、人工肺4の血液流出ポート42と動脈フィルター3の血液流入ポート31との間のラインの途中(動脈フィルター3の血液流入ポート31側のライン)、すなわち、チューブ72の他端およびチューブ73の一端に接続されている。また、チューブ141の他端は、分岐コネクタ84を介して、分岐コネクタ82と分岐コネクタ85との間のラインの途中(動脈フィルター3の血液流出ポート32側のライン)、すなわち、チューブ122の他端およびチューブ123の一端に接続されている。
【0050】
このバイパスライン14により、動脈フィルター3を迂回して液体を流すことができる。
【0051】
第2の気泡抜き用ライン16は、チューブ161を有し、このチューブ161の一端は、動脈フィルター3の脱気ポート33に接続されている。チューブ161の他端部は、リザーバー6の血液流入ポート63に接続される。
【0052】
この第2の気泡抜き用ライン16により、例えば、体外循環や補助循環の際、動脈フィルター3において捕捉された血液中の気泡をリザーバー6を介して排出(除去)することができる。
【0053】
この第2の気泡抜き用ライン16の途中には、三方活栓163を設けておくことが好ましい。この三方活栓163は、後述するようにCOなどのガスを流入させたり、排出させたりする目的に用いられる。
【0054】
この第2の気泡抜き用ライン16の途中には、流体(気体や液体等)の流れを動脈フィルター3からリザーバー6方向へ規制する(他端側から一端側方向へと向かう流体の流れを防止する)逆流防止弁162を設けてもよい。この逆流防止弁162により、動脈フィルター3のプライミングが終了した後に、第2の気泡抜き用ライン16から空気が逆流して動脈フィルター3内へ気泡が混入することを防止することができる。
【0055】
前述のように三方活栓163は、ガスの流入や排出の目的で用いられるが、この三方活栓163をガスの流入の目的で用いる場合で、第2の気泡抜きライン16の途中に逆流防止弁162を設けた場合には、三方活栓163は、第2の気泡抜きライン16の動脈フィルター3と逆流防止弁162の間に設ける必要がある。三方活栓163が第2の気泡抜きライン16の逆流防止弁162とリザーバー6の間に設けられると、逆流防止弁162の働きによって動脈フィルター3側へガスが流入しないためである。
【0056】
一方、三方活栓163をガスの排出の目的で用いる場合には、三方活栓163は、第2の気泡抜きライン16の任意の位置に設けることができる。
【0057】
また、上述の三方活栓163の使用目的を限定させないよう、三方活栓163を、逆流防止弁162を挟んで動脈フィルター3側とリザーバー6側の両側に複数個設けて、使用時に使用目的を選択するようにしてもよい。
【0058】
第1の気泡抜き用ライン15は、チューブ151を有し、このチューブ151の一端は、分岐コネクタ85を介して、分岐コネクタ84と動脈フィルター3の血液流出ポート32との間のライン(バイパスライン14の動脈フィルター3の血液流出ポート32側のラインとの接続部と、動脈フィルター3の血液流出ポート32との間のライン)の途中、すなわち、チューブ123の他端およびチューブ124の他端に接続されている。チューブ151の他端部は、リザーバー6の血液流入ポート62に接続される。
【0059】
この第1の気泡抜き用ライン15の途中には、三方活栓153を設けておくことが好ましい。この三方活栓153は、後述するようにCOなどのガスを流入させたり、排出させたりする目的に用いられる。また、例えばバイパスライン14、あるいは送血ライン12に設けた分岐ラインを接続して、プライミング液を注入させるポートとして用いることもできる。
【0060】
この第1の気泡抜き用ライン15の途中には、流体(気体や液体等)の流れを動脈フィルター3からリザーバー6方向へ規制する(他端側から一端側方向へと向かう流体の流れを防止する)逆流防止弁152を設けてもよい。この逆流防止弁152により、動脈フィルター3のプライミングが終了した後に、第1の気泡抜き用ライン15から空気が逆流して送血ライン12へ気泡が混入することを防止することができる。
【0061】
前述のように三方活栓153は、ガスの流入や排出の目的で用いられるが、この三方活栓153をガスの流入の目的で用いる場合で、第1の気泡抜きライン15の途中に逆流防止弁152を設けた場合には、三方活栓153は、第1の気泡抜きライン15の動脈フィルター3と逆流防止弁152の間に設ける必要がある。三方活栓153が第1の気泡抜きライン15の逆流防止弁152とリザーバー6の間に設けられると、逆流防止弁152の働きによって動脈フィルター3側へガスが流入しないためである。
【0062】
一方、三方活栓153をガスの排出の目的で用いる場合には、三方活栓153は、第1の気泡抜きライン15の任意の位置に設けることができる。
【0063】
また、上述の三方活栓153の使用目的を限定させないよう、三方活栓153を、逆流防止弁152を挟んで動脈フィルター3側とリザーバー6側の両側に複数個設けて、使用時に使用目的を選択するようにしてもよい。
【0064】
第1の気泡抜き用ライン15と第2の気泡抜き用ライン16に設ける三方活栓153および163は、いずれか一方がガス流入用として用いられ、他方がガス排出用として用いられる。
【0065】
このような血液体外循環回路2の所定の部位には、流路を選択する流路選択手段が設けられる。
【0066】
流路選択手段としては、例えば、ワンタッチクレンメ、ローラークレンメ等の各種クレンメ等の流量を調節する(開閉のみの場合も含む)流量調節手段や、例えば、三方活栓等の流路の分岐部に設けられる手段等が挙げられ、これらを併用することもできる。後者の三方活栓等の流路の分岐部に設けられる手段を採用する場合にも、流量を調節する機能(流量調節機能)を持たすことができる。以下、具体例を挙げて説明する。
【0067】
図3は、図1に示す体外循環装置に対し流路選択手段として、複数のクレンメを設けた場合の構成例であって、動脈フィルターの近傍の回路構成を模式的に示す図である。
【0068】
図1および図3に示すように、血液体外循環回路2の所定の部位(位置)には、流路選択手段としてクレンメ(流量調節手段)91〜98が、それぞれ、設けられている。
【0069】
クレンメ91は、チューブ73(バイパスライン14の一端側における動脈フィルター3の血液流入ポート31側のラインとの接続部と、動脈フィルター3の血液流入ポート31との間のライン)の途中に設けられている。
【0070】
また、クレンメ92は、チューブ123(バイパスライン14の他端側における動脈フィルター3の血液流出ポート32側のラインとの接続部と、第1の気泡抜き用ライン15の一端側における動脈フィルター3の血液流出ポート32側のラインとの接続部との間のライン)の途中に設けられている。
【0071】
また、クレンメ93は、チューブ141(バイパスライン14)の途中に設けられている。
【0072】
また、クレンメ94は、チューブ151(第1の気泡抜き用ライン15)の途中に設けられている。
【0073】
また、クレンメ95は、チューブ122(バイパスライン14の他端側における動脈フィルター3の血液流出ポート32側のラインとの接続部より下流側のライン)の途中に設けられている。
【0074】
また、クレンメ96は、チューブ131(再循環ライン13)の途中に設けられている。
【0075】
また、クレンメ97は、脱血ライン11の再循環ライン13との分岐部より患者側の部分の途中、すなわち、チューブ111の途中に設けられている。
【0076】
また、クレンメ98は、送血ライン12の再循環ライン13との分岐部より患者側の部分の途中、すなわち、チューブ121の途中に設けられている。
【0077】
なお、術野側回路17が予め脱血ライン11と送血ライン12に接続されている場合があるが、この場合は、再循環ライン13、クレンメ96、97および98は、それぞれ、必ずしも必要ではない。
【0078】
これらクレンメ91〜98により、それぞれ、対応する流路を開閉することにより、流路を任意に選択することができる。また、各流路において、それぞれ、流量の大小の調節を行なうことができる。
【0079】
図4は、図1に示す体外循環装置に対し、流路選択手段として、複数の流路切り替えコネクタを設けた場合の構成例であって、動脈フィルターの近傍の回路構成を模式的に示す図である。
【0080】
図4に示すように、血液体外循環回路2の所定の部位(位置)には、流路選択手段として流路切り替えコネクタ101〜105が、それぞれ、設けられている。
【0081】
流路切り替えコネクタ101は、図1に示す分岐コネクタ83の箇所(バイパスライン14の一端側における動脈フィルター3の血液流入ポート31側のラインとの接続部)に設けられている。
【0082】
また、流路切り替えコネクタ102は、図1に示す分岐コネクタ84の箇所(バイパスライン14の他端側における動脈フィルター3の血液流出ポート32側のラインとの接続部)に設けられている。
【0083】
また、流路切り替えコネクタ103は、図1に示す分岐コネクタ85の箇所(第1の気泡抜き用ライン15の一端側における動脈フィルター3の血液流出ポート32側のラインとの接続部)に設けられている。
【0084】
これら流路切り替えコネクタ101〜105により、それぞれ、流路を任意に選択することができる。
【0085】
図1および図3に示すクレンメ91〜98と、図4に示す流路切り替えコネクタ101〜105とは、それぞれ、流路選択の手段として同じ効果を持つ場所で、任意に置き換えることができる。例えば、クレンメ96、97、98の組み合わせは、流路切り替えコネクタ104、105の組み合わせと等価であり、これと置き換えることができる。
【0086】
次に、体外循環装置1の作用(動脈フィルター3を除く部分のプライミングを開始してから、動脈フィルター3に炭酸ガスを吹送した後、動脈フィルター3のプライミングを行う方式の血液体外循環回路2のプライミング方法を含む使用方法)を説明する。
【0087】
この場合、代表的に、図1および図3に示すように、流路選択手段としてクレンメ91〜98を設けた場合について説明する。
【0088】
図5〜図9は、それぞれ、図1に示す体外循環装置の作用を説明するための図である。
ここで、図5〜図9の各図中、クレンメ91〜98により流路を閉鎖している(閉じている)状態を、「×」で表し、クレンメ91〜98により流路を開放している(開いている)状態を、「×」を設けないことで表す。また、各図中の矢印は、血液やプライミング液の流れを表す。
【0089】
なお、以下の説明では、第2の気泡抜き用ライン16の途中に設けた三方活栓163をガス流入用として用い、第1の気泡抜き用ライン15の途中に設けた三方活栓153をガス排出用として用いる例を示す。
【0090】
[1] 第1の工程(動脈フィルター3を除く部分のプライミング)
まず、図5に示すように、クレンメ91、92、97および98を閉じ、その流路を閉鎖する。
【0091】
そして、プライミング液を、リザーバー6からバイパスライン14を経由させてチューブ122に流し、チューブ112と、リザーバー6と、チューブ71と、血液ポンプ5と、人工肺4と、チューブ72と、バイパスライン14と、チューブ122と、再循環ライン13とを含むラインをプライミングする。次に、術野側回路17を患者側のチューブ111の開放端と、患者側のチューブ121の開放端とに接続する。そして、クレンメ96を閉じ、その流路を閉鎖するとともに、クレンメ97および98を開き、その流路を開放し、患者側のチューブ111と、患者側のチューブ121と、術野側回路17とをプライミングする。
【0092】
このとき、予め、これらの回路中の空気を炭酸ガスなどの液体への溶解度が高く生体に安全なガスで置換しておいてもよい。炭酸ガスは液体への溶解度が空気に比べて高いため、プライミングした際に回路中に気泡が残るのを防止(または、その虞を小さく)することができる。
【0093】
ここまでのプライミング操作により、動脈フィルター3、チューブ73、チューブ123および124を除く部分がプライミングされる。
【0094】
[2] ガス吹送工程(動脈フィルター3の空気の炭酸ガス置換)
次に、三方活栓153および163のそれぞれを、少なくともラインの動脈フィルター3側と大気が流通する状態(図6に示す状態)とする。
【0095】
そして、バイパスライン14を経由させて第1の工程を行ないつつ、三方活栓163から炭酸ガスなどの液体への溶解度が高く生体に安全なガスを流入させ、三方活栓153から炭酸ガスを排出させる。この炭酸ガスの吹送を所定時間、例えば、1〜5分間程度行なう。これにより、動脈フィルター3の内部の空気が炭酸ガスで置換される。炭酸ガスは液体への溶解度が空気に比べて高いため、第2の工程以降で動脈フィルター3内がプライミングされたとき、動脈フィルター3内に気泡が残るのを防止(または、その虞を小さく)することができる。
【0096】
[3] 第2の工程(動脈フィルター3の逆行性(血液流出口から血液流入口への)プライミング)
【0097】
次に、図7に示すように、三方活栓153および163のそれぞれを、ライン方向二方向のみ開の状態(ラインと大気の流通がない状態)とする。
【0098】
そして、クレンメ94を閉じ、その流路を閉鎖し、動脈フィルター3および第2の気泡抜き用ライン16を逆行的に満たすのに十分な圧力でプライミング液を循環させながらクレンメ92を開き、その流路を開放する。これにより、バイパスライン14を経由する第1の工程は続行され、これと並行して、動脈フィルター3の血液流出ポート32側からの動脈フィルター3のプライミングが開始される。
【0099】
この場合、バイパスライン14の下流側(他端側)から流出するプライミング液は、チューブ123へ流れ、血液流出ポート32から動脈フィルター3内へ流入し、その動脈フィルター3および第2の気泡抜き用ライン16を経由して、リザーバー6へ流れる。これにより、回路内の空気(気泡)は、リザーバー6を介して排出され、動脈フィルター3、チューブ123および124がプライミングされる。この血液流出ポート32側からの動脈フィルター3のプライミングを所定時間、例えば、1〜5分間程度行なう。
【0100】
[4] 第3の工程(動脈フィルター3の順行性(血液流入口から血液流出口への)プライミング)
【0101】
次に、図8に示すように、クレンメ92を閉じ、その流路を閉鎖し、クレンメ91および94を開き、その流路を開放する。これにより、バイパスライン14を経由する第1の工程は続行され、これと並行して、動脈フィルター3の血液流入ポート31側からの動脈フィルター3のプライミングが開始される。
【0102】
この場合、バイパスライン14の上流側(一端側)へ向って流れる血液やプライミング液は、チューブ73へ流れ、血液流入ポート31から動脈フィルター3内へ流入し、その動脈フィルター3および第1の気泡抜き用ライン15を経由して、リザーバー6へ流れるとともに、動脈フィルター3および第2の気泡抜き用ライン16を経由して、リザーバー6へ流れる。これにより、回路内の空気(気泡)は、リザーバー6を介して排出され、動脈フィルター3、チューブ73および124がプライミングされる。この血液流入ポート31側からの動脈フィルター3のプライミングを所定時間、例えば、1〜5分間程度行なう。以上で、血液体外循環回路2のプライミングが終了する。
【0103】
[5] 動脈フィルター3を経由する通常の体外循環工程
次に、図9に示すように、クレンメ93および94を閉じ、その流路を閉鎖し、クレンメ92を開き、その流路を開放する。これにより、バイパスライン14を経由する第1の工程は停止する。そして、術野側回路17の途中を切断するなどの手段で作った端部に、患者の術野(術創)において血管に直接挿入されるカニューレやカテーテルなどを接続し、患者と血液体外循環回路2とを接続した後、図6に示すように、血液の体外循環を開始する。
【0104】
以上説明したように、この体外循環装置1によれば、動脈フィルター3のプライミングを、この他の所定の血液体外循環回路2のプライミングを開始してから、動脈フィルター3に炭酸ガスを吹送した後、行なうことができる。
【0105】
これにより、体外循環や補助循環を開始するまでに要する時間を短縮することができる。このため、例えば緊急を要する場合であっても、体外循環や補助循環を迅速に開始することができ、十分に対応することができる。
【0106】
また、この体外循環装置1では、通常の方法(従来の方法)、すなわち、体外循環や補助循環を行なわない状態で動脈フィルター3のプライミングを行う方式のプライミング(プライミング方法)も可能であるので、プライミングの際は、医師は、緊急の度合いや症例等に応じて、従来の方法と、本発明の方法とから、選択することができる。
【0107】
以上、本発明の体外循環装置およびプライミング方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば以上述べた方法(装置)では、炭酸ガスの流入・排出に三方活栓を用いたが、必ずしもこのような構成とする必要はなく、例えば第1の気泡抜き用ライン15および/または第2の気泡抜き用ライン16をリザーバー6や動脈フィルター3と脱着可能としておいて、これらの端部を適宜リザーバー6や動脈フィルター3から取り外して、この端部から炭酸ガスの流入・排出を行うようにしてもよい。また、ただ単に外気と連通する分岐(分岐ライン)を設けておき、使用しない場合には、この分岐をクレンメ等の手段で閉鎖しておいてもよい。同様に他の各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の体外循環装置の実施形態の回路構成を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す体外循環装置の動脈フィルターの近傍の回路構成を模式的に示す図である。
【図3】図1に示す体外循環装置に対し、流路選択手段として、複数のクレンメを設けた場合の構成例であって、動脈フィルターの近傍の回路構成を模式的に示す図である。
【図4】図1に示す体外循環装置に対し、流路選択手段として、複数の流路切り替えコネクタを設けた場合の構成例を模式的に示す図である。
【図5】図1に示す体外循環装置の作用を説明するための図である。
【図6】図1に示す体外循環装置の作用を説明するための図である。
【図7】図1に示す体外循環装置の作用を説明するための図である。
【図8】図1に示す体外循環装置の作用を説明するための図である。
【図9】図1に示す体外循環装置の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0109】
1 体外循環装置
2 血液体外循環回路
3 動脈フィルター
31 血液流入ポート
32 血液流出ポート
33 脱気ポート
4 人工肺
41 血液流入ポート
42 血液流出ポート
5 血液ポンプ
6 リザーバー
61〜63 血液流入ポート
64 血液流出ポート
71〜73 チューブ
81〜85 分岐コネクタ
91〜98 クレンメ
101〜105 流路切り替えコネクタ
11 脱血ライン
111〜112 チューブ
12 送血ライン
121〜124 チューブ
13 再循環ライン
131 チューブ
14 バイパスライン
141 チューブ
15 第1の気泡抜き用ライン
151 チューブ
152 逆流防止弁
153 三方活栓
16 第2の気泡抜き用ライン
161 チューブ
162 逆流防止弁
163 三方活栓
17 術野側回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液を貯血するリザーバーと、血液に対しガス交換を行う人工肺と、血液フィルターと、脱血ラインと、送血ラインとを有し、血液を循環させる血液体外循環回路を備える体外循環装置であって、
一端側が、前記血液フィルターの血液の流入口側のラインに接続され、他端側が、前記血液フィルターの血液の流出口側のラインに接続されたバイパスラインと、
一端側が、前記バイパスラインの前記血液フィルターの流出口側のラインとの接続部と、前記血液フィルターの流出口との間のラインに接続された第1の気泡抜き用ラインとを有することを特徴とする体外循環装置。
【請求項2】
前記人工肺の下流側に、前記血液フィルターおよび前記バイパスラインが配置されている請求項1に記載の体外循環装置。
【請求項3】
前記リザーバーの下流側に、前記人工肺が配置され、前記人工肺の下流側に、前記血液フィルターおよび前記バイパスラインが配置されている請求項1に記載の体外循環装置。
【請求項4】
前記血液体外循環回路の所定の部位において流路を選択する流路選択手段を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の体外循環装置。
【請求項5】
前記流路選択手段は、流量を調節する流量調節手段である請求項4に記載の体外循環装置。
【請求項6】
前記流量調節手段は、前記血液体外循環回路の前記バイパスラインの前記一端側における前記血液フィルターの流入口側のラインとの接続部と、前記血液フィルターの流入口との間のラインと、
前記バイパスラインと、
前記第1の気泡抜き用ラインと、
前記バイパスラインの前記他端側における前記血液フィルターの流出口側のラインとの接続部と、前記第1の気泡抜き用ラインの前記一端側における前記血液フィルターの流出口側のラインとの接続部との間のラインと、
前記バイパスラインの前記他端側における前記血液フィルターの流出口側のラインとの接続部より下流側のラインとのうちの少なくとも1箇所に設けられている請求項5に記載の体外循環装置。
【請求項7】
前記流路選択手段は、前記血液体外循環回路の流路の分岐部であって、前記バイパスラインの前記一端側における前記血液フィルターの流入口側のラインとの接続部と、
前記バイパスラインの前記他端側における前記血液フィルターの流出口側のラインとの接続部と、
前記第1の気泡抜き用ラインの前記一端側における前記血液フィルターの流出口側のラインとの接続部とのうちの少なくとも1箇所に設けられている請求項4に記載の体外循環装置。
【請求項8】
前記第1の気泡抜き用ラインの他端側は、前記リザーバーに接続される請求項1ないし7のいずれかに記載の体外循環装置。
【請求項9】
前記血液フィルターは、脱気口を有し、
一端側が、前記血液フィルターの前記脱気口に接続され、他端側が、前記リザーバーに接続される第2の気泡抜き用ラインを有する請求項8に記載の体外循環装置。
【請求項10】
前記第1の気泡抜き用ラインおよび/または前記第2の気泡抜き用ラインの途中には、その前記他端側から前記一端側方向へと向かう流体の流れを防止する逆流防止弁が設けられている請求項9に記載の体外循環装置。
【請求項11】
前記血液フィルターのプライミングの際、前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、所定のガスを、前記第1の気泡抜き用ラインと前記第2の気泡抜き用ラインとの一方から流入させ、前記血液フィルターを経由させて、他方から流出させる請求項9または10に記載の体外循環装置。
【請求項12】
前記血液フィルターのプライミングの際、前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、所定のガスを、前記第1の気泡抜き用ラインと前記第2の気泡抜き用ラインとの一方から流入させ、前記血液フィルターを経由させて、他方から流出させるよう構成されており、
前記所定のガスを前記第1の気泡抜き用ラインまたは前記第2の気泡抜き用ラインへ流入させる位置は、前記逆流防止弁が設けられている気泡抜き用ラインの該逆流防止弁よりも前記一端側である請求項10に記載の体外循環装置。
【請求項13】
前記血液フィルターのプライミングの際、前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、前記バイパスラインの前記他端側から流出するプライミング液を、前記血液フィルターの流出口から流入させ、前記血液フィルターおよび前記第2の気泡抜き用ラインを経由させて、前記リザーバーへ流す請求項9ないし12のいずれかに記載の体外循環装置。
【請求項14】
前記血液フィルターのプライミングの際、前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、前記バイパスラインの前記一端側へ向って流れるプライミング液を、前記血液フィルターの流入口から流入させ、前記血液フィルターおよび前記第1の気泡抜き用ラインを経由させて前記リザーバーへ流すとともに、前記血液フィルターおよび前記第2の気泡抜き用ラインを経由させて前記リザーバーへ流す請求項9ないし13のいずれかに記載の体外循環装置。
【請求項15】
請求項1ないし13のいずれかに記載の体外循環装置の前記血液体外循環回路に対してプライミングを行なうプライミング方法であって、
前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、前記血液フィルターをプライミングすることを特徴とするプライミング方法。
【請求項16】
請求項9ないし14のいずれかに記載の体外循環装置の前記血液体外循環回路に対してプライミングを行なうプライミング方法であって、
前記血液体外循環回路により、プライミング液を、前記脱血ラインから前記バイパスラインを経由させて前記送血ラインへ流し、前記脱血ラインと、前記リザーバーと、前記人工肺と、前記送血ラインとを含むラインをプライミングする第1の工程と、
前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、前記バイパスラインの前記他端側から流出するプライミング液を、前記血液フィルターの流出口から流入させ、前記血液フィルターおよび前記第2の気泡抜き用ラインを経由させて、前記リザーバーへ流し、前記血液フィルターをプライミングする第2の工程と、
前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、前記バイパスラインの前記一端側へ向って流れるプライミング液を、前記血液フィルターの流入口から流入させ、前記血液フィルターおよび前記第1の気泡抜き用ラインを経由させて前記リザーバーへ流すとともに、前記血液フィルターおよび前記第2の気泡抜き用ラインを経由させて前記リザーバーへ流し、前記血液フィルターをプライミングする第3の工程とを有することを特徴とするプライミング方法。
【請求項17】
前記血液体外循環回路により前記バイパスラインを経由させてプライミング液を循環させつつ、所定のガスを、前記第1の気泡抜き用ラインと前記第2の気泡抜き用ラインとの一方から流入させ、前記血液フィルターを経由させて、他方から流出させる工程を、前記第1の工程と前記第2の工程との間に有する請求項16に記載のプライミング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−236564(P2007−236564A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61868(P2006−61868)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】