説明

体重管理用および血糖管理用の方法および組成物

本発明は、体重管理および血糖管理に役立つ方法、組成物、並びに加工食物および食品を提供する。一実施形態において、本発明は食前または食事中に胃および/または小腸内で膨潤する食用ポリマーヒドロゲルを経口投与するステップを含む、被験者における減量の惹起、体重の維持、血糖コントロールの強化または提供方法を提供する。好ましくは、胃排出および小腸での炭水化物や脂肪の吸収を遅らせるに十分な量の食用ポリマーヒドロゲルを投与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2008年11月18日に出願の米国特許仮出願第61/115,759号、2009年2月11日に出願の米国特許仮出願第61/151,745号、および2009年4月7日に出願した米国特許仮出願第61/167,291号の利益を主張するものである。上記出願の全ての教示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、腸及び心臓の健康を含めた肥満の予防および治療、体重および糖尿病の管理ならびに健康推進の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
公衆衛生活動と現在の抗肥満薬は、肥満の流行を抑制していない。農村部から都市部への人の移動に伴う食料の豊富さと活動レベル減少により、この疾患は先進国でますます増加している。肥満は、健康を維持する必要な量を超える過剰な体脂肪であるとおおまかに定義できる。
【0004】
肥満は、健康に悪影響がでるほどの過剰な体脂肪が蓄積した状態である。 (世界保健機関(2000年)、テクニカルレポートシリーズ894:肥満:世界的流行の予防管理)一般的には、肥満度指数(BMI=体重を身長の2乗で割る。)は30kg/m以上と定義される。過体重は、BMIが25−29.9kg/mの間として区別し定義している(Obes Res. 1998 Sep; 6 Suppl 2:51S−209S. Clinical Guidelines on the Identification, Evaluation, and Treatment of Overweight and Obesity in Adults-The Evidence Report. National Institutes of Health)。
【0005】
過剰な体重は、多くの疾患と関連があるが、特に、心血管疾患、2型糖尿病、閉塞性睡眠時無呼吸、特定の癌、及び変形性関節症などである(National Heart, Lung, and Blood Institute. Clinical Guidelines on the Identification, Evaluation, and Treatment of Overweight and Obesity in Adults NIH Publication No. 98−4083 September 1998 National Institutes of Health)。その結果、肥満は平均余命を縮めることが判明している。肥満の一次治療は食事療法と運動である。食事療法と運動がうまくいかずに、重症の場合は、抗肥満薬と肥満症治療手術が推奨されている(National Institute for Health and Clinical Excellence. Clinical Guideline 43: Obesity: The prevention, identification, assessment and management of overweight and obesity in adults and children. London, 2006)。
【0006】
肥満の病因は多元的であり、摂食行動の調節、脂肪蓄積の機序、エネルギーの摂取量と消費量の要素、ならびに遺伝的および心理的影響が含まれる。同様に、肥満治療は一般的に多元的である。残念ながら、脂肪蓄積の機序と遺伝的影響については一般的に治療に従順ではない。さらに、摂食行動の調節と心理的影響については長期治療が必要である。エネルギーの摂取量と消費量の要素は治療可能であるが、個々の肥満者の多くは彼らのエネルギー消費量を有意に増加させる活動を嫌がり、それを実施できない。従って、エネルギー摂取量の調節が肥満の治療には魅力的なアプローチである。
【0007】
有意体積に低エネルギー密度の食物を含めることが、1回の食事での全般的なカロリー摂取の減少になる(Bell et al. Am J Clin Nutr, 67:412−20, 1998; Rolls et. al. Am JCHn Nutr, 70: 448−455, 1999)。1回の食事でのカロリー摂取を減少させるために、食事療法で低エネルギー密度の食物を含めてのより長期的アプローチは長期的減量を進めることが実証されている(Ello−Martin et. al Am J Clin Nutr , 85:1465−7, 2007; Greene et. al. Obesity, 14: 1795−1801,2006)。胃の体積を満たすことによって満腹感を与える低エネルギー食物を食べるという考え方は、「ボリュメトリクス・ダイエット」と呼ばれることがあり、このアプローチを希望する人向けに非技術系の本が書かれている(Barbara Rolls, ”Volumetrics Eating Plan” Harper Collins, 2007を参照)。ボリュメトリクス・ダイエットは食物の選択幅の狭さが難点で、適応し難かった。
【0008】
食欲を抑える方法としての満腹感は広く知られており、肥満治療と減量の達成の両方に繋がっている。例えば、Acharyaらの特許文献1は、胃を消化しにくい野菜の繊維質で充満させることで誤った満腹感感覚を起こさせることを開示している。しかしながら、大量の繊維質を消化するには、患者は胃腸不快感を引き起こし得る大量の繊維質を排出する必要がある。また、他の患者は結腸細菌が繊維質を消化する結果としての膨満感のような他の理由からこのような大量の繊維質に耐えられない。比較的長い間、植物性繊維質を維持している満腹の胃の不快感を抑えるために、植物性繊維質を基にした食物レシピは低カロリーの消化しやすい製品を添加することにより改良されてきている。Kratochvilの特許文献2、Christensenらの特許文献3、Graceらの特許文献4、Wounderlichらの特許文献5および特許文献6は、ゼラチンまたはコラーゲン加水分解物、1つ以上の活性剤、および1つ以上の賦形剤(可塑剤、香り物質等)から成る物質を開示している。体重を調節する低カロリー製品は、可溶性コラーゲン、ゼラチンまたはコラーゲン加水分解物などのコラーゲン様バイオポリマーを用いて得ることができる。(特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、および特許文献11を参照)。EYI−Essentially Yours Industries, Inc. −USAが製造する「ダイエタリー・サプリメント−CALORAD(商標)」などの商品は減量コントロール用、ならびに骨粗鬆症および関節炎治療用の筋刺激剤として用いられている。
【0009】
食物の粘弾性(G’)の増加は満腹感の増加に繋がっているので、体重管理に使える可能性がある[LT. Norton, W.J. Frith and S. Ablett; Fluid gels, mixed fluid gels and satiety; Food Hydrocolloids; Volume 20, Issues 2−3, March−May 2006, Pages 229−239]。本研究およびその他は、高い弾性応答の食物は高いレベルの満腹感があることを示した。同様に、粘度は満腹感にも関係しており、低い粘度の食事と比べて満腹感と満足感は高い粘度のほうがより大きかった。[Marciani, L., Gowland, P. A., Spiller, R. C, Manoj, P., Moore, R. J. Young, P., & Fillery−Travis, A. J. (2001) Effect of meal viscosity and nutrients on satiety, intragastric dilution, and emptying assessed by MRI. American Journal of Physiology Gastrointestinology and Liver Physiology, 280: G1227−G1233]。また、粘度の増加は短期間の消化管ホルモン応答と相関関係があり、食後の満腹感に関連する生理機能の調節において食物構造の重要性を示唆している[Juvonen, K. R. et al. Viscosity of Oat Bran−Enriched Beverages Influences Gastrointestinal Hormonal Responses in Healthy Humans; Journal of Nutrition, Vol. 139, No. 3, 461−466, 2009]。加えて、満腹感は胃排出速度に繋がっており、粘度が高ければ排出時間が遅く飽食感が大きくなる。 [Hlebowicz, J. et al. Effect of commercial breakfast fiber cereals compared with corn flakes on postprandial blood glucose, gastric emptying and satiety in healthy subjects: a randomized blinded crossover trial; Nutrition Journal 2007, 6:22]
肥満の割合は、過去数年間、着実に上昇してきている。余分な体重を持つことで重大な健康問題、例えば、糖尿病だけでなく、心疾患、脳卒中、ある種の癌を引き起こす機会が増える。わが国では肥満が増えるに伴い、2型糖尿病が同時に増えている。米国糖尿病協会の推計では、2100万人が糖尿病であり、前糖尿病と診断される人が5400万人である。前糖尿病とは、空腹時血糖値が上昇しているが、2型糖尿病の値まではない状態である。
【0010】
2型糖尿病はインスリン抵抗性に関係している。インスリンはブドウ糖(糖)を我々の細胞に運ぶ大事なホルモンである。過体重の人の場合、身体の細胞が膵臓から分泌されるインスリンに対して感受性が低い。筋細胞と比べると脂肪細胞はインスリンに対して抵抗性がより強いという証拠がある。したがって筋細胞よりも脂肪細胞をより持っている人の場合、インスリンは全体的に有効でなく、ブドウ糖がエネルギーとして使う細胞に入らずに血液の中で循環し続ける。
【0011】
血糖管理は、真性糖尿病患者における血糖値(ブドウ糖)の典型的なレベルを指す医学用語である。糖尿病の長期合併症の多く、特に細小血管合併症が、長年の高血糖(血中のブドウ糖の上昇)の結果であるという証拠が多くある。治療のための「目標」であるという意味で、良い血糖管理が糖尿病診療の重要な目標になってきている一方で、最近の研究は糖尿病の合併症が遺伝的な要因で起こるか[T arnow, L; Groop; Hadjadj; Kazeem; Cambien; Marre; Forsblom; Parving et al. (2008). ”European rational approach for the genetics of diabetic complications-EURAGEDIC: patient populations and strategy”. Nephrology, dialysis, transplantation 23 (1): 161−8]または、1型糖尿病の場合では、膵臓からインスリンを生成する能力を失わせる自己免疫疾患の継続的な影響によって起こることを示唆している[Adams, D. D. (2008) ”Autoimmune destruction of pericytes as the cause of diabetic retinopathy”. Clinical ophthalmology 2 (2): 295−8]。
【0012】
「理想的な血糖コントロール」とは、ブドウ糖値が常に正常(70−130mg/dl、または3.9−7.2ミリモル/L)で糖尿病でない人と判別できないことを意味する。実際は、治療方法が不完全であり、「良い血糖コントロール」でもほとんどの時間は正常値より少し高い平均値の血糖値を示す。加えて、血糖値をコントロールする集中的な介入が生活の質を害する度合いは、中間レベルの糖尿病性合併症から生じる害と全く同等程度に重篤であると2型糖尿病についての調査の1つが示している。 [ Huang, ES; Brown; Ewigman; Foley; Meltzer (2007). ”Patient perceptions of quality of life with diabetes−related complications and treatments”. Diabetes care 30 (10): 2478−83].
特に食後の炭水化物の吸収をコントロールするいくつかの試みがなされた。新たなデータは全般的な血糖コントロールにおいて食後の血漿ブドウ糖の値の調節が重要な働きをする事を示唆する。2型糖尿病が進行する初期において、食物摂取に反応するインスリン放出の初期バーストの低下が認められ、食後高血糖が起こる。さらには、食事に関係する高血糖はインスリン抵抗性の増加とインスリン生成の減少をもたらす。食後の高い血糖レベルと血管合併症の発現との間に強い相関関係があるという証拠は、食事中の血糖を治療することの重要性を強調している。
【0013】
炭水化物の吸収速度を計測する1つの方法は、グリセミック指数スケールで定義される[http://www.glycemicindex.com/]。Heatonらは、グリセミック指数は小麦、トウモロコシ、およびオート麦の粒子径の違いで制御されると報告している(例えば, Heaton K W, Marcus S N, Emmett P M, Bolton C H: Particle size of wheat, maize, and oat test meals: effects on plasma glucose and insulin responses and on the rate of starch digestion インビトロ, Am. J. Clin. Nutr., Vol. 47, 675−682 (1988))。さらに、食物のグリセミック指数は、存在形状に依存することが知られている。例えば、ご飯のグリセミック指数は粉砕白米よりも低い。リンゴ全体のグリセミック指数は「裏ごしした」リンゴよりも低い(例えば, Kunihiro Doi and Keisuke Tsuji Eds., Shokumotsu Sen−i (Dietary Fiber), p.412−420 (Asakura−shoten, Tokyo, 1997)を参照)。また、グアーガム、ペクチン、またはグルコマンナンなどのゲル形成能を有する多糖類を使う方法が知られている。これらは食後のブドウ糖の値を低下させ、血糖コントロールを向上させる方法である。食物中の一部の多糖類の使用は、ゲル形成によりブドウ糖の胃滞留時間を延ばす(例えば、”Kagaku to Seibutsu (Chemistry and Biology),” Vol. 18, p95−105, 1980参照)。
【0014】
特許文献12と明細書中の参考文献は、食後の血糖応答を低下させるコントロールされ誘発された粘性繊維質システムを教示し、グアーガム、ペクチン、ローカストビーンガム、メチルセルロース、および僅かに加水分解したデンプンなどの中性可溶性繊維源を含む。さらに、本発明は、典型的に負の官能または物理的安定性の問題を有さない可溶性繊維質を液状製品に取り入れる方法を掲載している。また、本発明は誘発された粘性繊維質システムでの食事で満足感と満腹感をもたらす方法に関連している。
【0015】
特許文献13は炭水化物を管理して吸収する栄養製品を教示している。特許文献13で教示されている製品はタンパク質、脂肪、炭水化物、繊維質および二糖類が含まれる。特許文献14は、食物のインスリン応答を向上させる酸処理したデンプンを含む栄養製品を教示している。
【0016】
ヒトの体から分泌される体液を含めた、水または水性溶媒に対して吸収力のある材料は文献で広く知られている。これらの材料は典型的にはポリマーを基材とし、粉末、顆粒、微粒子、繊維またはフイルムの形で生産されている。水性溶媒に接触すると、これらの食用ポリマーヒドロゲルは溶解することなく構造内へ液相を吸収することで膨潤する。膨潤が平衡に達した時、典型的には、「ヒドロゲル」と呼ばれるゲルを形成する。全体の95重量%を超える水の量を吸収できるヒドロゲルは、「高吸収性」(SAP)と定義される。
【0017】
Chen Junらの「超多孔性ヒドロゲルコンポジットの胃滞留特性」J. Controlled Release, 64, 39−51, 2000および特許文献15、Park Kらの特許文献16および特許文献17は、AcDi−Sol(商標)(小さな架橋多糖類)存在下、アクリル酸、アクリルアミド、3−スルホプロピルアクリレートのカリウム塩およびN,N−メチレンビスアクリルアミドの混合物をグラフト化及び架橋することで得られたヒドロゲルは、経口投与後に胃で膨潤し、食事制限の補助として使用できることを開示している。Burnett D.R.らの特許文献18は、胃体積の一時的、非侵襲的縮小用の摂取可能な製剤を開示している。この製剤は一定の時間胃に維持することが可能なポリマー製剤からなり、小腸に入ってしまうと急速に分解される。飽食感を誘発するために胃体積を満たすポリマーを使用する考えは、他にも開示されている(例えば、特許文献19、特許文献20、特許文献21および特許文献22参照)。
【0018】
他の非生分解性ポリマーは、胃で膨潤し、胃充填材として作用してもよい。しかし、これらのポリマーは非分解性であるので、直腸またはS状結腸(中程度の毒血症症候群、便通の欠如およびしぶり腹)でパテ状のまたは硬化した糞便の存在として定義される詰まりのリスクを増やすことになる。ある場合には、ポリマーが緩下薬として作用する可能性があり、これは望ましくない作用である。緩下薬(または下剤)とは、腸の運動を誘発し、糞便を緩くする食物、化合物、または薬であり、多くの場合は便秘の治療のために摂取される。あるタイプの緩下薬はよりバルキーな糞便を出し、より水を保持する増量剤である。さらに、これらの緩下薬はエモリエントゲルを形成することで蠕動運動を起こしやすくして消化器系を通して糞便を出す。これらの増量剤は、食物繊維とポリカルボフィルカルシウム(例えば、Noveon AA−I CA−I or CA−2, Lubrizol, OH)を含むポリアクリル酸などの合成ハイドロゲルを含んでいる。このタイプのポリマーを含有するいくつかの製品は、Equalactin、FiberCon、Fiber−Lax、FiberNorm、Konsyl、Mitrolanであり、これらは1回あたり約1−1.5gの投与を推奨している。他の製品は同様の非分解性ポリマーを含んでおり、例えば、架橋ポリアクリル酸ヒドロゲル単独ポリマー(例えば、Carbopol 971P, 71G, 974P, Lubrizol, OH)などである。
【0019】
天然の非消化繊維と合成ハイドロゲルの両方とも水を吸収し、膨張効果があるので胃充填材として作用するが、消化管で分解しない。
【0020】
ラットの小腸にバルーンを挿入し膨潤させると、水分摂取量が減少したが、バルーンが特定のポイントを通過して膨潤したときに痛みを伴う反応を引き起こしたようであった(Bardos, Behav Neurosci., I l l : 834−844, 1997)。同様に、味覚嫌悪パラダイムに示されるように、小腸へのバルーンの挿入はラットから見れば好ましくない(Bardos, Physiol Behav., 74:407−413, 2001)。人間にバルーンを使うことは極めて侵襲的であり、その挿入と維持が難しい。さらに、挿入されたバルーンは連続的に刺激を小腸に与え、食物により自然に生じる一過性の刺激から起こるものではない痛みだけでなく、馴化と適応を起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第5,336,486号明細書
【特許文献2】米国特許第5,063,073号明細書
【特許文献3】米国特許第5,654,028号明細書
【特許文献4】米国特許第6,426,077号明細書
【特許文献5】米国特許第5,405,616号明細書
【特許文献6】米国特許第6,103,269号明細書
【特許文献7】米国特許第5,100,688号明細書
【特許文献8】米国特許第5,211,976号明細書
【特許文献9】米国特許第5,219,599号明細書
【特許文献10】米国特許第5,665,234号明細書
【特許文献11】米国特許第5,665,419号明細書
【特許文献12】米国特許第7,601,705号明細書
【特許文献13】米国特許第5,776,887号明細書
【特許文献14】米国特許第5,695,803号明細書
【特許文献15】米国特許第6,018,033号明細書
【特許文献16】米国特許第5,750,585号明細書
【特許文献17】米国特許第6,271,278号明細書
【特許文献18】国際公開第2004/056343A1号
【特許文献19】米国特許出願公開第20050245957号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第20060142794号明細書
【特許文献21】国際公開第2006/047882号
【特許文献22】国際公開第2006/070337号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は満腹感を増幅し、食物摂取量を減らし、かつ、血糖コントロールを向上させる組成物、食物および方法を提供する。
【0023】
一実施形態において、本発明は機械的刺激および/または粘度の増加により満腹感を与え増幅するために、胃と小腸内で膨潤する食用ポリマーヒドロゲルを提供する。
【0024】
一実施形態において、小腸では膨潤するが胃では膨潤しない食用ポリマーヒドロゲル処方物を提供する。
【0025】
一実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは胃で膨潤し、小腸で崩壊して入り、小腸で膨潤して結腸で分解する。
【0026】
一実施形態において、本発明は食前または食事中に胃および/または小腸内で膨潤する食用ポリマーヒドロゲルを経口投与するステップを含む、被験者における減量の惹起、体重の維持、血糖コントロールの強化または提供方法を提供する。好ましくは、胃排出および小腸での炭水化物や脂肪の吸収を遅らせるに十分な量の食用ポリマーヒドロゲルを投与する。
【0027】
一実施形態において、本発明は食用ポリマーヒドロゲルを含み、かつ、従来のまたは加工していない食物と比べてエネルギー密度が低い加工食物や食品を提供する。
【0028】
一実施形態において、本発明は食用ポリマーヒドロゲルを含む食物であり、食物中で膨潤する食用ポリマーヒドロゲルを提供する。
【0029】
この実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは、食物調製中に膨潤状態で材料として添加されるか、または脱水状態で添加された後、食物調製中に膨潤する。別の実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは食物調製中に形成される。この実施形態において、食物調製中に1つ以上の他の成分に食用ポリマーヒドロゲルのポリマーと架橋剤成分を添加して食用ポリマーヒドロゲルを形成形成する。
【0030】
一実施形態において、本発明は食用ポリマーヒドロゲルを含む食物を提供し、食用ポリマーヒドロゲルは脱水状態で食物に存在する。この実施形態において、摂取後、食用ポリマーヒドロゲルは胃または小腸で膨潤する。
【0031】
一実施形態において、本発明は食用ポリマーヒドロゲルを含む食物または食品を調製する方法を提供する。この方法では1つ以上の追加の成分の存在下においてポリマーが架橋剤と接触することを含み、これにより食用ポリマーヒドロゲルを含む食物または食品を形成する。
【0032】
一実施形態において、本発明は湿ったバリアーで被覆された食用ポリマーヒドロゲルを提供する。例えば、湿ったバリアーはタンパク質、脂肪、糖またはこれらの組み合せを含むことができる。好ましくは、食用ポリマーヒドロゲルは粒子の形で、かつ、粒子は湿ったバリアーで被覆される。
【0033】
一実施形態において、腸溶コーティングで被覆された食用ポリマーヒドロゲル組成物を提供する。好ましくは、食用ポリマーヒドロゲルは脱水状態でこの組成物に存在し、腸溶コーティングは胃で食用ポリマーヒドロゲルの膨潤を抑制するのに十分である。小腸内での腸溶コーティングの分解は、小腸内での食用ポリマーヒドロゲルの膨潤をもたらす。
【0034】
一実施形態において、本発明はアニオン性食用ポリマーヒドロゲルおよびpH還元剤を含む食物または飲料を提供する。好ましくは、pH還元剤は食用ポリマーヒドロゲルの膨潤が抑制されるか、または遅延されるpHまで食物または飲料のpHを減少させることが可能である。
【0035】
一実施形態において、本発明は食用ポリマーヒドロゲルおよび気泡もしくは発泡を誘導する1つ以上の薬剤を含む飲料を提供する。好ましくは、発泡は食用ポリマーヒドロゲルの膨潤を抑制または遅延することが可能である。
【0036】
一実施形態において、本発明は調理に使うことができる形の食用ポリマーヒドロゲルを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、持続的な水和作用のために、小腸に水とミネラルを長期にわたって提供することが可能な飲料の概略図である。
【図2】図2は、キャップの下の容器が食用ポリマーヒドロゲルを膨潤を開始する液体へ放出されるためにどのように破壊されるかを示す本発明の飲料の概略図である。
【図3】図3は、被覆されたキセロゲル粒子を含む本発明の飲料の概略図である。
【図4】図4は、クエン酸架橋カルボキシメチルセルロースの粘度と特定の食物繊維の粘度を比較したグラフである。
【図5】図5は、クエン酸架橋カルボキシメチルセルロースの粘度とグアーガムとオオバコの粘度を比較したグラフである。
【図6】図6は、クエン酸架橋カルボキシメチルセルロースの粘度と特定の食物繊維の弾性応答を比較したグラフである。
【図7】図7は、ラットにおけるクエン酸架橋カルボキシメチルセルロースの研究のまとめである。
【図8】図8は、ラットにおける食物摂取に関してクエン酸架橋カルボキシメチルセルロースの効果を図解したグラフである。
【図9】図9は、消化管内を通過する食用ポリマーヒドロゲルの膨潤と破壊を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は体重と体形の管理および過体重または肥満の防止または治療を目的とする満腹感を増幅しカロリー摂取を減らす方法に関する。いくつかの実施形態において、さらに本発明はインスリン抵抗性と糖尿病になるリスクを減らすための血糖コントロールを向上させる方法に関する。さらに本発明は、本発明の方法で使用することができる食物および食品を提供する。
【0039】
本発明の1つの態様は、胃内容排出時間を増やし、胃および/小腸の内容物の粘度と弾性応答を増加する方法に関する。
【0040】
別の態様において、本発明は食物と飲料を調製するために食用ポリマーヒドロゲルを使用する方法に関する。さらに、本発明はこれらの方法を使用している食物と飲料に関する。
【0041】
本発明の1つの態様は、過体重の治療、肥満の治療または被験者における体重の維持の方法に関する。別の実施形態では、本発明は被験者における血糖コントロールを強化する方法を提供する。これらの方法は、被験者に食用ポリマーヒドロゲルの有効量を経口投与するが、食用ポリマーヒドロゲルは被験者の胃および/小腸で膨潤し、食塊のエネルギー量を増やすことなく被験者の胃および/または小腸での食塊を増やすステップを含んでいる。好ましくは、このヒドロゲルは食前または食事中に投与する。いくつかの実施形態において、被験者は霊長類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、鳥類、齧歯類、ネコ、イヌである。好ましい実施形態では、被験者はヒトである。
【0042】
「食塊」という用語は、本明細書中で使用されるとき、食物摂取後の消化管、例えば口、胃、小腸または結腸等の一領域に存在している咀嚼および/または部分的に消化される食物の塊をいう。
【0043】
治療される被験者は、BMIが25未満で体重と体型の管理を必要としている可能性がある。治療される被験者は、減量または体重維持を必要としている可能性がある。被験者は、BMIが25〜30の過体重、またはBMIが30を超える肥満である可能性がある。また、被験者は、正常体重でBMIは25未満であるが、体重増加のリスクがある可能性がある。さらに被験者は、血糖コントロールを必要としている可能性がある。そのような被験者は過体重、肥満、正常あるいは低い体重(BMIは25未満)である可能性がある。被験者は糖尿病または前糖尿病である可能性がある。さらに、被験者は糖尿病、特に2型糖尿病を発症するリスクの可能性がある。例えば、被験者はインスリン抵抗性またはメタボリックシンドロームに悩まされる可能性がある。本方法は、インスリン抵抗性、メタボリックシンドロームまたは糖尿病の発症を予防し、抑制し、遅らせるのに使うことができる。
【0044】
別の実施形態においては、本発明は被験者のコレステロール値を下げて結腸癌のリスクを低くする方法を提供する。これらの方法は、この方法を必要としている被験者に対して架橋セルロースポリマーを含む食用ポリマーヒドロゲルの有効量を経口投与するステップを含む。経口投与後、食用ポリマーヒドロゲルは被験者の胃から小腸を通って結腸へ進むが、発酵して短鎖脂肪酸を生成し、この短鎖脂肪酸は結腸pHの減少で結腸癌のリスクを減らし、かつ、血漿コレステロールが低下することが示されている(Samelson SL, et al, J R Soc Med 1985; 78: 230 −233)。被験者は結腸癌または心疾患のリスクがあり得る。例えば、被験者は結腸癌の家族歴、環境曝露または結腸癌のリスクを大きくする遺伝子を有する可能性がある。
【0045】
いくつかの実施形態において、本発明の方法で用いた食用ポリマーヒドロゲルは投与後、胃で膨潤する。摂取した食物の存在下で、水または胃液を吸収および/または胃の食物と混合することで、食用ポリマーヒドロゲルは食塊のエネルギー量を大きく増やすことなく食塊の体積を増加させる。そのような実施形態において、食塊のサイズの増加は飽食感とカロリー摂取の減少となる。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは一定期間、胃で膨潤したままで、その後収縮し分解および/または崩壊する。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルが胃で膨潤し、それにより、胃排出を遅らせることでカロリー制限食の満腹効果を強くさせる。
【0046】
いくつかの実施形態において、投与後、食用ポリマーヒドロゲルは小腸では膨潤するが胃では膨潤しない。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは小腸で膨潤する。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは小腸で膨潤し、それにより、体積を多く使い、および/または小腸の腸壁に圧迫を加えている。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは小腸内の液体体積に置き換えられ、その結果、血糖コントロールの向上、飽食感およびカロリー摂取が減少する。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは小腸の腸壁に圧迫を加えて、その結果、飽食感およびカロリー摂取が減少する。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは一定期間、胃で膨潤したままで、その後収縮し分解および/または崩壊する。好ましくは、食用ポリマーヒドロゲルは少なくとも部分的に結腸で分解される。
【0047】
いくつかの実施形態において、本方法は第1期を過ぎると胃で膨潤し、収縮して小腸に運び込まれて小腸内で再び膨潤し、第2期を過ぎると収縮する食用ポリマーヒドロゲルを含む組成物を被験者に投与することを含む。別の実施形態においては、食用ポリマーヒドロゲルは胃で膨潤し、その後、小腸に運び込まれて崩壊し収縮および/または少なくとも一部は分解する。更に本発明の別の実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは胃で膨潤して小腸に運び込まれるが胃または小腸のいずれにおいても収縮しない。好ましくは、食用ポリマーヒドロゲルは少なくとも一部は結腸で分解し、好ましくは、吸収した大部分の液体を放出するに十分であることである。
【0048】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は第1期を過ぎると胃で膨潤し、収縮して小腸に運び込まれて小腸内で再び膨潤して結腸に運び込まれ、その後、収縮、崩壊、および/または分解する食用ポリマーヒドロゲルを含む組成物を被験者に投与することを含む。一実施形態においては、食用ポリマーヒドロゲルは胃で膨潤し、その後、小腸に運び込まれ、崩壊し収縮および/または少なくとも一部は分解する場所である結腸に運び込まれる。本発明の更に別の態様において、食用ポリマーヒドロゲルは胃で膨潤して小腸に運び込まれるが胃または小腸のいずれにおいても収縮しないが結腸において分解、収縮および/または崩壊する。
【0049】
好ましい実施形態では、食用ポリマーヒドロゲルは、膨潤した場合には少なくとも約100Paの弾性率で、胃腸管内環境で少なくとも20/秒、例えば、水中でSGF/水は1:8またはSIFである食用ポリマーヒドロゲルである。
【0050】
世界の一部で減量するための一般的に行われている手順、胃の体積を占める胃バルーンを使ったデータによると、効能を出すには体積の少なくとも200mL、しかし好ましくは、400mLより大きいことが必要であると示された。動物研究によって、胃で膨潤したヒドロゲルによって食物摂取が減少する量は投与した物質量と正の相関であることが実証されている。さらに、インビボデータに基づき、食物摂取の減少量は小腸における膨潤した食用ポリマーヒドロゲルの量に影響を受け、さらに「体積駆動」であることが示された。
【0051】
胃腸管内の内容物の粘度と満腹感の間に正の相関が研究で示された。好ましくは、物質は消化された食物の特性と類似したレオロジー的な特性を持ち、効能を実現するために分泌の前に分解するが、有害事象を最小限にする。満腹感(好ましくは、膨潤したとき少なくとも200mL)を出すのに必要な量での非分解性ポリマーは有害および/または副作用、例えば、下痢、脱水症および便秘を起こすので分解性ポリマーの要件は重要である。従って、消化管内で分解する物質であることは安全性と遵守のために重要である。好ましくは、食用ポリマーヒドロゲルは少なくとも一部は結腸で分解するが、胃または小腸では分解しない。
【0052】
従って、別の実施形態においては、食用ポリマーヒドロゲルは胃または小腸で体積を増やす。例えば、食用ポリマーヒドロゲルは、胃に水および/または生理液を吸収した後に満腹感を惹起し、かつ、少なくとも50、100、200、300、400、600および800mLの体積に膨潤する一方で、他の実施形態では、食用ポリマーヒドロゲルは約400mLに膨潤する。投与した食用ポリマーヒドロゲルの量は所望の膨潤した体積と、食用ポリマーヒドロゲルが胃液の存在下で胃が膨潤する程度に依存する。例えば、400mLの膨潤した食用ポリマーヒドロゲルを実現するには、100倍に膨潤する食用ポリマーヒドロゲルの4グラムが胃にあれば十分である。好ましくは、投与した食用ポリマーヒドロゲルは、SGF/水が1:8であるとき少なくとも約20倍、40倍、60倍、100倍、120倍、140倍またはそれ以上膨潤する。
【0053】
他に特記しない限り、述べられた食用ポリマーヒドロゲルの特性、例えば、膨潤比、弾性率および粘度は、そのままか精製した形の、つまり、食材を加えるか、または被覆する前の食用ポリマーヒドロゲルに言及することを理解されたい。
【0054】
投与した食用ポリマーヒドロゲルの量は所望の粘度と、胃および小腸での、つまり、胃液と腸液の存在下での食用ポリマーヒドロゲル粘度の程度に依存する。例えば、10/秒より大きい、好ましくは50/秒より大きいの食塊の粘度を実現するには、ポリマー物質取り込みは少なくとも消費する食事と飲料の合計の0.5重量%でなければならない。好ましくは、投与した食用ポリマーヒドロゲルは、胃液と腸液の存在下で食塊の粘度を2倍に増やす。好ましくは、投与した食用ポリマーヒドロゲルは、小腸での食塊の粘度を十分に増やし、栄養素の吸収を著しく遅らせる。
【0055】
好ましくは、摂取時点で、食用ポリマーヒドロゲルは、当該技術分野でよく知られた方法、例えば、視覚的アナログ尺度により測定をおこない、満腹感を増すか、食物摂取を少なくとも10%減らすために咀嚼または部分的に消化された食物と類似したレオロジー(例えば、弾性率)を維持する。
【0056】
いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲル組成物は吸収された炭水化物や脂肪のピーク血流濃度を減らし、血流に入るまでの吸収時間を延ばす。
【0057】
いくつかの実施形態において、この組成物は小腸でのみ膨潤する(つまり、他の部分の消化管(GI)では膨潤しない)食用ポリマーヒドロゲルを含む。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは小腸のpH環境(つまり、pHが約6)においてのみ曝露されるように製剤化される。例えば、食用ポリマーヒドロゲルは胃のpHで元のままであるが、小腸のより高いpHでは分解し、除去される腸溶性材料で被覆することができる。また、食用ポリマーヒドロゲルは小腸で見つかる酵素により酵素的に除去されるが、胃では除去されない材料で被覆することができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、この組成物は小腸で膨潤して、そのため、より遅い胃排出と長期にわたる満腹感が得られる食用ポリマーヒドロゲルを含む。例えば、胃内容排出時間は、食用ポリマーヒドロゲルの存在下では存在しない場合と比べて20%〜100%長くすることができる。
【0059】
一実施形態においては、本発明は、減量の惹起および/または液体の置換体積による体重増加の防止および/または非侵襲的な方法で被験者の小腸の腸壁に圧迫を加えることを含めた、好ましくは、強い痛みまたは合理的でない不快感の無い肥満治療の方法に関する。この方法は被験者に、小腸内で膨潤し腸の内容物を増加させる食用ポリマーヒドロゲルを経口投与するステップを含む。例えば、食用ポリマーヒドロゲルは腸の内容物内の半固体と液体の比率を増加することができる。この実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは、直接的、または胃内容排出時間を増やすことで飽食感を惹起するために液体の体積を置き換え、および/または小腸の腸壁に圧迫を加える。
【0060】
一実施形態において、本発明の方法は、被験者に回腸抑制を引き起こす本発明の組成物を投与することを含み(MaIj aars PW, Peters HP, Mela DJ, Masclee AA., Ileal brake: a sensible food target for appetite control, Physiol Behav. 2008 Oct 20;95(3):271−81)、それによりホルモンおよび満腹感を惹起する神経伝達物質を放出する。そのようなホルモンと神経伝達物質は、コレシストキニン(CCK)、レプチン、オベスタチン、ネスファチン−1および満腹感を惹起するその他の神経系の信号を含むことができる。
【0061】
一部の実施形態では、食用ポリマーヒドロゲルは小腸の腸壁に圧迫を加えるか、小腸の内容物の体積を増加させるか、または両方がある。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは食塊内の食物を希釈して小腸の内膜と食物粒子との間の接触を減らし、これにより、血流に入る栄養素の取り込みを遅らす。
【0062】
好ましい実施形態では、食用ポリマーヒドロゲルは摂取後、食用ポリマーヒドロゲルは胃で膨潤し小腸に運び込まれ結腸に行って分解する。好ましくは、結腸内での食用ポリマーヒドロゲルの分解では大量の水分、例えば、ヒドロゲルの水分含有量の少なくとも約70%、80%、90%または95%を放出して被験者の水分バランスを維持する。
【0063】
より好ましい実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは、胃液のpHでは実質的に吸収性がない架橋アニオン性ポリマーを含む。食物摂取は胃のpHを急激に増加させて胃の中の食用ポリマーヒドロゲルを膨潤させる。食物が消化されていくと、胃のpHが下がり、食用ポリマーヒドロゲルが崩壊して小腸へ運び込まれる形状になる。小腸のpHで食用ポリマーヒドロゲルは再度膨潤し、その後、結腸に運び込まれて分解し水分の少なくとも約70%、80%、90%または95%が放出される。
【0064】
一部の実施形態では、食用ポリマーヒドロゲルは咀嚼または部分的に消化された食物と実質的に類似したレオロジー的な特性を持っている。一部の実施形態では、食用ポリマーヒドロゲルは食塊のエネルギー量を相応して増やすことなく食塊の体積を増加させるために被験者の胃または小腸に存在する食塊と結合する。好ましくは、食用ポリマーヒドロゲルは実質的にエネルギー量を有さない。
【0065】
本発明の別の態様は繊維質のレオロジー特性と実質的に類似した食用ポリマーヒドロゲルに関する。一部の実施形態では、この組成物は胃排出を遅らせ小腸でのいくつかの栄養素の吸収を遅らせ、血漿コレステロールが低下させるために被験者に存在する食塊と結合する。例えば、この組成物は血漿コレステロールが低下させ、心血管疾患の慢性疾患リスクを低下させることができる(Jacobs DR, Jr., Meyer KA, Kushi LH, Folsom AR. Whole−grain intake may reduce the risk of ischemic heart disease death in postmenopausal women: the Iowa Women’s Health Study. Am J Clin Nutr. 1998;68(2):248−257; Rimm EB, Ascherio A, Giovannucci E, Spiegelman D, Stampfer MJ, Willett WC. Vegetable, fruit, and cereal fiber intake and risk of coronary heart disease among men. JAMA. 1996;275(6):447−451; Keenan JM, Pins JJ, Frazel C, Moran A, Turnquist L. Oat ingestion reduces systolic and diastolic blood pressure in patients with mild or borderline hypertension: a pilot trial. J Fam Pract. 2002;51(4):369)、結腸癌(Track B, Lanza E, Greenwald P. Dietary fiber, vegetables, and colon cancer: critical review and meta−analyses of the epidemiologic evidence. J Natl Cancer Inst. 1990;82(8):650−661),憩室症のリスクが低くなる(結腸での小袋(憩室)の形成で特徴づけられる比較的多く見られる症状) (Korzenik JR. Case closed? Diverticulitis: epidemiology and fiber. J Clin Gastroenterol. 2006;40 Suppl 3:S112−116)。
【0066】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、通常は結腸にコロニーを作る細菌で発酵し、有益な短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)を形成した(Kumar, C. M. et al. Modulatory effect of butyric acid - a product of dietary fiber fermentation in experimentally induced diabetic rats, The Journal of Nutritional Biochemistry, Volume 13, Issue 9, Pages 522−527)。そのような短鎖脂肪酸は血漿コレステロール値を下げ、満腹感を惹起し、かつ結腸癌を予防することが示される。
【0067】
前述の方法で、食用ポリマーヒドロゲルは、例えば、食事もしくは軽食をとる前、または食事と共に投与することができる。食用ポリマーヒドロゲルは、例えば、食事を取ってから1時間か2時間以内にまたは食物摂取と共に投与することができる。食用ポリマーヒドロゲルはいろいろな形で、例えば、粉末、カプセル、タブレット、薬包、または食物または飲料の成分として投与することができる。好適な剤形ならびに加工食物と飲料を本明細書に記載した。
食物および食品
本発明は、相応する従来の食物と食品と比べてエネルギー密度が低い本発明の加工食品を用いて調製された食物を含めた食物と食品に関する。従って、相応する従来の食物と同じ体積を摂取したとき、従来の食物とくらべて実質的に同程度の満腹感を達成させながら加工食物はより低いカロリーを提供する。従って、所与の量の食物を摂取したとき、胃と小腸内の部分的に消化された加工食物の体積は増加し、満腹感が増す。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「食物」という用語は、摂取することができ、調理されていても調理されていなくてもよい、食用で口当たりの良い組成物を意味する。食物は熱いおよび冷たいシリアル、例えば、オートミールとコーンフレーク、栄養フードバー、焼き菓子類、パスタ、シロップ、ピューレ、キャンディー、飲料、シェイク、加工肉類、ペットフード、乳製品、アイスクリーム、フローズンヨーグルトなどの冷凍食品、アイスポップを含めた冷凍菓子、ポレンタ、リゾット、ハマス、クスクス等を含む。ヒト用の加工食物が好ましいが、食物はヒト、ペットおよび/または動物での使用を目的とすることができる。
【0069】
本明細書で使用されるとき、「食品」という用語は、食物を調製する際の材料として使う材料または組成物を意味する。本明細書に記載したように加工することができる食品の例は、穀物、穀粉、デンプン質の果物および野菜を含む。好適な例は、小麦、米、コーン、オート麦、イモ、モロコシ、キビ、ライ麦、ライ小麦および大麦からつくられた粉末などを含む。他の粉末はセモリナ粉、アッタ粉、そば粉、タピオカ粉、玄米粉、もち粉、麺の粉、パスタの粉、クリ粉、ナッツ粉、ひよこ豆の粉、豆粉、えんどう豆粉、スペルト小麦粉およびジャガイモデンプン粉を含む。さらに、加工られる食品はコーンスターチ、インスタントマッシュポテト、パンの練り粉、ケーキミックス、パンケーキミックス等を含めた焼き菓子類用ミックス粉を含む。本発明に従って加工ができる追加の食品は、ブルグア、キノア、ライ小麦、パースニップ、オオバコ、ポテト、カボチャ、ドングリカボチャ、バターナッツカボチャ、夏カボチャ、グリーンピース、コーン、ヤマイモ、タロイモ、キャッサバ、パンノキを含む。本発明に使用するのに好ましい食品は炭水化物を基材とした食品である。
【0070】
本明細書で使用されるとき、「加工」食物および食品という用語は、、材料または成分として食用ポリマーヒドロゲルを含む食物および食品を意味する。加工食物および食品は、相応する「従来の」または加工されていない食物および食品、つまり、食用ポリマーヒドロゲルを含まない相応する食物および食品と比較できる。食用ポリマーヒドロゲルは従来の食物または食品と比べてエネルギー密度が低いので、加工食物または食品のエネルギー量を希釈する。従って、本発明の加工食物および食品はそれらに相応する従来のものよりもエネルギー密度が低い。しかしながら、従来の食物と同様の体積を摂取することができるので、実質的に同程度の満腹感を実現することができる。また、いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは食物の中で脱水されており、胃または小腸の内容物に接触すると膨潤し、摂取された食物の体積に比べてより大きな膨満感を惹起する。
【0071】
一実施形態において、本発明は調理に使うことができる形で食用ポリマーヒドロゲルに関する。例えば、食用ポリマーヒドロゲルは、顆粒、穀物または微粉を生産するために乾燥と粉砕することができる。また、食用ポリマーヒドロゲルは脱水、膨潤、部分的に膨潤した状態、またはこれらの組合せ、ならびに粉末、顆粒、穀物、ゲル、およびフイルムの形で提供することができる。食用ポリマーヒドロゲルは販売または使用のために例えば、気密容器またはバッグにパッケージングすることができ、かつ、任意選択的に使用説明書に従い調理に使うためにパッケージングする。一実施形態において、使用説明書は食用ポリマーヒドロゲルを利用するレシピを含む。
【0072】
好ましくは、本発明の加工食物と食品は消化しやすい炭水化物成分などの炭水化物成分を含む。好ましくは、そのような加工食物および食品では、食用ポリマーヒドロゲルは少なくとも1つの炭水化物成分の少なくとも一部分に置き換わる。従来の食物または食品と比べて消化できる炭水化物の少なくとも一部分に置き換えられた食用ポリマーヒドロゲルが特に好ましい。従って、この実施形態において、加工食物または食品は相応する従来の食物または食品と比べて消化できる炭水化物の含有量が低減している。
【0073】
一実施形態において、加工食物は、膨潤した、または水和した食用ポリマーヒドロゲルを含む。この実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは膨潤状態で食物を調製する間に材料として添加するか、または、脱水または部分的に膨潤した状態で添加し、その後、食物を調製する間に膨潤する。一実施形態においては、食用ポリマーヒドロゲルは、食物を調製する間に形成する。この実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルのポリマーと架橋剤成分を食物を調製する間に食物の1つ以上の他の材料に添加することで、調製の過程の間、例えば調理中に食用ポリマーヒドロゲルを形成する。
【0074】
一実施形態においては、本発明は食用ポリマーヒドロゲルが脱水状態で食物中に存在する食用ポリマーヒドロゲルを含む食物を提供する。この実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは摂取後、胃および/または小腸で膨潤する。脱水した食用ポリマーヒドロゲルは、食物調製および/または保存の間、ヒドロゲルによる水分摂取を防止または抑制するために任意選択的に湿ったバリアーで被覆される。
【0075】
一実施形態においては、本発明は食用ポリマーヒドロゲルを含み、1つ以上の追加の材料の存在下でポリマーを架橋剤に触れさせることを含み、それにより、食用ポリマーヒドロゲルを含む食物または食品を形成して、食物または食品を調製する方法を提供する。
【0076】
一実施形態においては、本発明は、本発明の加工食物を調製するために使用できる食品を提供し、この食品は食用ポリマーヒドロゲルを含む。例えば、食用ポリマーヒドロゲルは乾燥させ粉砕することができ、それにより細かな粒子径にして粉、例えば前述したいずれかの粉末に添加して加工粉を生産する。また、食用ポリマーヒドロゲルは顆粒、穀物およびフイルムを含む他の形状で粉末に添加することができる。加工粉にした食用ポリマーヒドロゲルの量は変更することができ、典型的には、5重量%〜55重量%の範囲である。加工粉は使用説明書を添えてパッケージングすることができる。使用説明書には加工食物を調製するレシピを含めることができる。本発明の加工食物は、ケーキミックス、ブレッドミックス、クッキーミックスおよびパンケーキミックスなどの焼いた食品用、ならびに、パン生地とクッキー生地などのパッケージ生地用のパッケージ・ミックス中で使用することができる。別の方法としては、加工ミックスおよび生地は例えば、従来のミックスと比較して約5%〜約55%の範囲で少なくした量にして、残りは粉砕したか、フイルム状にした食用ポリマーヒドロゲルからなるようにして他の材料に従来の粉を添加することで調製できる。
【0077】
本発明の加工粉、ミックスおよび生地は、パン、ケーキ、マフィン、パン菓子、朝食用シリアル、パスタ、プリン、グレービーなどの焼いた食品を含めた食品種目を調製するために使用することができる。
【0078】
別の方法としては、そのような加工食物は相応する従来の食物に使われている粉の量を減らし、その減少分は脱水、膨潤、もしくは部分的に膨潤した状態、またはこれらの組合せで存在し、粉末、顆粒、穀物、フイルム等の形である食用ポリマーヒドロゲルで補い調製することができる。
【0079】
本発明は食用ポリマーヒドロゲルが材料として含まれる加工食物を提供する。好ましい加工食物は、穀物、シリアルおよび/またはデンプン質を多く含む野菜を含めた炭水化物を基材とした食物である。一実施形態においては、食用ポリマーヒドロゲルは少なくとも一部の、例えば、対応する従来の食物と比べて炭水化物の含有率の約5%〜約55%、5%〜40%、5%〜20%、または5%〜10%を置き換える。炭水化物を基材とした加工食物は焼いた食品、パン、クッキー、クラッカー、パスタ、熱いおよび冷たい朝食シリアルを含めたシリアル、マッシュポテトおよびフライドポテト、栄養フードバー、栄養補助食品を含めたポテトを基材とした食物、栄養ドリンクとシェイクを含めた飲料を含む。
【0080】
また、本発明は加工食物または食品を生成する方法を提供する。
【0081】
その方法は食物または食品の炭水化物の含有量の少なくとも一部を、食用ポリマーヒドロゲルで置き換え、それにより、加工食物または食品を形成する。炭水化物の含有量の一部は食物または食品から、もしくは食物または食品を調製するのに使う1つ以上の材料の一部を除去し、その部分を食用ポリマーヒドロゲルで置き換えることができ、好ましくは、除去した部分の体積と実質的に同様の体積である。例えば、加工パンは本発明の加工粉を使うか、または食用ポリマーヒドロゲルを使った従来のパンレシピの粉の少なくとも一部を置き換えて調製することができる。
【0082】
一実施形態においては、本発明の加工食物はペットフード、例えば、イヌ、ネコ、その他の哺乳類のペット用の食物である。ペットフードは食用ポリマーヒドロゲルを材料として含んでいる小片または顆粒の形のドライペットチュウである。別の実施形態においては、ドライペットフードは水和または脱水した形で食用ポリマーヒドロゲルの顆粒を混合する。別の実施形態においては、ペットフードは食用ポリマーヒドロゲルを含む缶入りペットフードなどの水分のある食品である。なお、本発明はペットフードと混合するのに好適である水和または脱水した形の食用ポリマーヒドロゲルを提供する。例えば、水分のあるペットフードを食用ポリマーヒドロゲルと混合すると、カロリー値を実質的に増やすことなく食品の体積を増やす。
【0083】
一実施形態においては、本発明の加工食物は水溶性及び不溶性繊維、炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラルおよび/または健康的な油脂の形で顕著な栄養的利点を提供する。また、好ましくは、加工食物は食欲をそそる味と食感があり口当たりの良いものである。
【0084】
一実施形態においては、加工食物は減量したいヒトに使用されることを意図した食事または軽食の代替として便利な手段を提供する。消費者はより健康的で体形、体重、その他の保健上の目標の管理に役立つ軽食やその他の食事を希望する一方、消費者が好む食事または軽食の官能的性質を犠牲にはしない。従って、本発明の好ましい加工食物は口当たりが良い。
【0085】
一実施形態においては、本発明の好ましい加工食物は栄養フードバーである。本発明の加工フードバーは、従来のフードバーより改善されていることを示している。
【0086】
栄養フードバーなどの本発明の加工食物は食用ポリマーヒドロゲルに加えて各種の材料を含むことができる。そのような食品材料は炭水化物、繊維、油脂、甘味料、調味料、ビタミン、およびミネラルを含む。
【0087】
一実施形態においては、加工食物は熱いおよび冷たいシリアルまたは栄養フードバーである。シリアルは小麦、コーン、オーツ、米またはコーンフレークのような他の穀物ならびに当該技術分野で公知の他のシリアルを含む冷たいシリアルであり得る。また、シリアルは小麦、コーン、オーツ、米またはオートミールのような他の穀物を含む熱いシリアルであり得る。
【0088】
他の実施形態において、加工食物は、クリームチーズ、カッテージチーズ、プロセスアメリカンチーズなどのソフトチーズを含めたヨーグルトまたはチーズなどの乳製品である。本発明の加工乳製品は、従来の対応物よりもエネルギー密度が低いが、食感および/または従来の食物の官能的性質を保っている。食用ポリマーヒドロゲルは、味および/または食感を出すのに、例えば、細かく切ったフルーツの代わりにヨーグルトなどの食物に添加することができる。食用ポリマーヒドロゲルは、例えば、フルーツ調味料などの好適な調味料を含む水溶液の中で膨潤し得る。
【0089】
別の実施形態において、加工食物はシロップ、プリン、ムース、アイスクリーム、フローズンヨーグルトまたはカスタードなどのデザートである。
更に、本発明は本発明の加工食物を製造する方法を提供する。加工食物は従来のプロセスとレシピを使って出来るが、追加の材料として、または、他の材料の全てあるいは一部の代わりとして食用ポリマーヒドロゲルを追加して調製することができる。食用ポリマーヒドロゲルは加工食物全体に完全に混合させることができ、または組成物の異なる部分、例えば、被覆、または粒子あるいはビーズに含めることができる。食物は加熱調製されていないか、または例えば、加熱、フライ、直火焼きまたは焙煎などで、調製されている。
【0090】
一実施形態においては、食用ポリマーヒドロゲルはクッキーまたはチョコレートの小片(例えば、チョコレートチップまたはチョコレートチャンク)などの食物の構成要素の中の一成分である。例えば、食用ポリマーヒドロゲルは溶かしたチョコレートに粉末として添加することができるが、その後、冷やしてチョコレートの小片にするか、食用ポリマーヒドロゲルを含む被覆を作る。
【0091】
別の実施形態において、ヒドロゲルは食物自身の成分の1つである。
【0092】
別の実施形態において、フードバーまたはクッキーなどの加工食物は加熱調理、好ましくは加熱により調製される。この方法で、食用ポリマーヒドロゲルならびに炭水化物材料、油脂、タンパク質材料および調味料などの他の材料を含む生地またはバターを調製できる。この生地は個々のクッキーまたはフードバーに、あるいは加熱前後で個々のバーまたはクッキーに切断されて大きな形に形成することができる。加熱後、バーまたはクッキーは、溶けたチョコレートまたはバニラ、ナッツ、グラノーラまたは当該技術分野で公知の他のコーティングを含めた溶融コーティングなど従来のコーティングで任意選択的に被覆することができる。
【0093】
別の実施形態において、本発明の加工食物を生成する方法は調理または加熱を含まない。この方法は熱感受性のあるビタミンやミネラルを破壊することを回避する利点がある。さらに、エネルギー必要量と工程所要時間はこのプロセスで縮小する。そのようなプロセスはバッチプロセスまたは連続プロセスであり得る。フードバーを製造する一実施形態においては、このプロセスは材料が1番に混合される連続プロセスである。原形を保とうとする材料がグラノーラ、クッキー等を含むとき、混合プロセスが実質的にこれらの小片の完全性を維持できるならば、材料を混合で結合することができる。結合した材料はコンベイヤーベルトおよびホッパーに乗せられて、Werner−Laharaバー押出機などの従来の菓子タイプのバー押出機に転送され、そこで対向するローラが混合物を金型から押し出して押出し物またはコアを形作る。好ましくは、この押出は室温程度の温度で行う。好ましい押出の形は矩形バーであるが、しかし円筒形などのスナックバー分野で公知である他の形をしたバーおよび半円筒形バーも適切な押出機を使って作ることができる。
【0094】
押出物は、ギロチン式カッターまたはワイヤーカッターなどの好適な切断手段を使って、従来の方法で提供されるときの形をした個々の小片に切断される。好ましくは、押出物は所望のサイズのバーになるように切断する。
【0095】
さらに、本発明のフードバーまたはクッキーを調製するプロセスは、フードバーまたはクッキーを被覆するステップ、例えば、溶けたコーティング材、例えば、溶けたチョコレートなどのコーティング材にバーまたはクッキーを、例えば、エンローブ、スプレーまたは浸漬して被覆するステップを含むことができる。溶けたコーティング材は被覆バーと同じである場合も、異なる場合もある。次に、表面のコーティングを冷やし、好ましくは冷却トンネルの中で冷却してコーティング材を固定化する。被覆製品は、従来の方法でグラノーラまたは砕いたナッツなどの従来のトッピングを上部に載せてもよい。
【0096】
次に、栄養バーまたはクッキーなどの加工食物は、好ましくは、従来のホイルラミネート型の食物等級のパッキングフイルムでパッケージングすることができる。ホイルラミネートフイルムによるパッキングは、製品の水分含有量を維持し、食用ポリマーヒドロゲルが貯蔵される期間の摂取する前に周囲の湿気を吸収し膨潤するのを防止する。パッケージ内の酸素含有量を減らすために従来の方法で窒素などの不活性ガスで洗浄することができる。
【0097】
一実施形態においては、本発明の加工食物では低い水分含有量、例えば、約10重量%未満であっても噛みごたえがありしっとりとした味がある。一実施形態においては、この食物冷温保存状態でなくても少なくとも6カ月〜12カ月は安定している。
【0098】
本発明の加工熱いまたは冷たい朝食シリアルは、フレークなどのシリアル小片を食用ポリマーヒドロゲルで被覆して調製することで出来る。また、食用ポリマーヒドロゲルは、ナッツ、砂糖等などの1つ以上の他の食物材料を任意選択的に混合し、異なる小片であるシリアルに添加することもできる。また、食用ポリマーヒドロゲルは、焼く前の生地またはバターに添加するようにしてシリアルの、例えば、焼いたシリアルの中で内在成分として添加することもできる。食用ポリマーヒドロゲルは湿ったバリアーで被覆、部分的に湿ったバリアーによって被覆、または被覆しなくてもよい。
【0099】
本発明の加工された熱いシリアルについては、食用ポリマーヒドロゲルをシリアル小片に被覆して脱水し、特に膨潤、または、より大きな体積を作製するために膨潤し減少させることができる。
【0100】
本発明は、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、酒石酸、リン酸またはリン酸一カリウム、およびpH感受性食用ポリマーヒドロゲルなどの酸を含んだ飲料を提供する。好ましくは、飲料のpHは、好ましくは4またはそれ以下、および、より好ましくは、2.5〜4の値である。好適な食用ポリマーヒドロゲルは、前述したようなポリ酸性ポリマーを含む食用ポリマーヒドロゲルを含む。そのような食用ポリマーヒドロゲルは飲料のpHが低い時は大量の水を吸収しないが、胃で、特に食事中に胃のpHがただちに上昇したら水分を吸収する。飲料は、例えば、フルーツ調味料またはフルーツジュースで味付けすることができる。さらに、飲料はビタミンやミネラル、タンパク質、電解質、および/またはショ糖またはブドウ糖などの砂糖などの栄養素を含むことができる。そのような栄養素は、フルーツジュース材料により調製、または、精製栄養素もしくは栄養素の混合物を添加することができる。飲料は人工甘味料、天然および/または合成色素を含めた他の調味料を含むことができる。本発明の飲料は、そのまま飲める飲料、または消費者が水を添加する濃縮物もしくは粉末として販売することができる。
【0101】
一実施形態においては、本発明は持続的な水和作用のために、小腸に水とミネラルを長期にわたって提供することが可能な飲料を提供する。膨潤する食用ポリマーヒドロゲルマイクロスフェアを飲料に添加することで、この結果が実現する。食用ポリマーヒドロゲルは飲料と一緒に摂取され、一度小腸に入ったら濃度勾配がある中で液体と塩を供給する。食用ポリマーヒドロゲルは、その後、糞便と一緒に排出される。
【0102】
この製品を提供するには、脱水状態でヒドロゲル微粒子またはマイクロスフェアの添加は、液体から、例えば、キャップ下で(図1)保護されてパッケージングされる。ヒドロゲル・マイクロスフェアには、任意選択的にタンパク質、塩および/または経口投与することを意図した分子などの添加物を投入する。飲む前には、キャップ下の容器は壊れて食用ポリマーヒドロゲルを膨潤が開始される(図2)液体へと放出する。はじめに液物質内で添加物の放出が開始されて、その後、消化管内全体を通過していく。
【0103】
保存された食用ポリマーヒドロゲルの量は、水和時間と塩と所望の栄養素投入の関数として変化する。しかしながら、ボトルに保存された食用ポリマーヒドロゲルの最大値は、バルクゲルではなくマイクロビーズ懸濁液を作製するために、全ての液相を吸収できないように調節される。
【0104】
この特別な利用分野への第2のアプローチとしては、食用ポリマーヒドロゲル材料のキャリアとして飲料、または他の液体、半液体または冷凍食物を使用して、増量剤の効果(図3)を出す。好適な食物はヨーグルト、アイスクリーム、フローズンヨーグルト、およびスープなのどの乳製品を含むが、この目的で、乾燥形態での食用ポリマーヒドロゲルはタンパク質または高分子フイルムまたはその他の好適な保護する湿ったバリアーで被覆されている。これらの被覆物は水または水溶液では溶解しないので、摂取まえに液体の中でヒドロゲルが膨潤するのを防いでいる。食用ポリマーヒドロゲルが胃に到達したら、被覆物は溶解または消化され食用ポリマーヒドロゲルが膨潤を開始し、胃に存在する液体の粘度を上げる。さらに、この皮膜保護によりキセロゲルが充填されたカプセルを大量に嚥下する必要がなく、この材料を大量に摂取することができる。
【0105】
食用ポリマーヒドロゲル
本発明の食用ポリマーヒドロゲルは、ホモポリマー、コポリマー、ポリマーブレンド、架橋ポリマー、ポリマーブレンド、超多孔性ポリマー、相互侵入ポリマー、高吸収性ポリマーおよびポリマー複合材料を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは高吸収性食用ポリマーヒドロゲルである。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは咀嚼または胃液と腸液と混合したグラウン食物と実質的に類似したレオロジー的な特性を持っている。
【0106】
本明細書で使用するとき、用語「食用ポリマーヒドロゲル」とは、乾燥ポリマーの重量の何倍もの量の水および水溶液を吸収する能力がある架橋親水性ポリマーである。用語の食用ポリマーヒドロゲルは、乾燥または「キセロゲル」状態から完全に水和したゲルの状態までの架橋ポリマーの水和状態をいう。当業者は食用ポリマーヒドロゲルの所望された水和状態は意図した用途に依存するということを理解するであろう。例えば、経口投与後の食用ポリマーヒドロゲルは膨潤する上記の方法において、食用ポリマーヒドロゲルは実質的に脱水状態、つまり、食用ポリマーヒドロゲルの実質的に全ての吸収能力を維持した状態で投与した。「脱水した」食用ポリマーヒドロゲルは、吸収能力の少なくとも約70%。80%、90%、95%または99%以上を維持する。例えば、脱水した食用ポリマーヒドロゲルは、典型的には25重量%未満の水分であり、好ましくは、約10重量%未満で、さらにより好ましくは、約5重量%以下である。
【0107】
本明細書で使用されるとき、「食用ポリマーヒドロゲル」という用語は、(1)食用ポリマーなどのポリマーと、例えば、食用架橋剤などの架橋剤とを架橋することで生成され、および/または(2)ポリカルボン酸と架橋する親水性ポリマー、である任意の水和状態でのポリマーヒドロゲルをいう。好ましくは、食用ポリマーヒドロゲルは食物等級材料、または米国食品医薬品局が定義した一般に安全と認めた(「GRAS」)材料または欧州連合により定義された食品添加物などの食用材料から調製される。食用ポリマーヒドロゲルは、食物等級またはGRASのポリマーを架橋剤と架橋することにより起因している食用材料から調製される。好ましくは、食用ポリマーヒドロゲルは結腸で分解するが胃または小腸では分解しない。食用ポリマーヒドロゲルは生分解性架橋、生分解性バックボーン、または、好ましくは、両方を有する。
【0108】
「食用ポリマー」は生分解性のバックボーンを有するポリマーである。
【0109】
「食用架橋剤」はポリマーと合わせて生分解性架橋を形成する架橋剤であり、架橋分解の製品は消費しても安全である。
【0110】
本明細書でて使用されるとき、「生分解性」という用語は、経口投与した被験者の消化管内で部分的にまたは完全に分解する材料をいう。そのような分解は消化管内での材料の滞留時間内で起こるが、好ましくは、結腸内で起こる。好ましくは、分解の範囲は、食用ポリマーヒドロゲルに吸収された液体の少なくとも70%、80%または90%以上であって被験者の消化管または結腸に放出するのに十分である。
【0111】
食用ポリマーヒドロゲルの合成に使われた全ての材料、例えば、溶媒が食用である必要はない。しかしながら、そのような非食用材料が実質的に食用ポリマーヒドロゲルに存在しないことが好ましい。例えば、食用ポリマーヒドロゲルを調製するのに使われる非食用である有機溶媒は、使用される前に実質的に材料から除去すべきである。当該技術分野では既知であるように、特性に応じて、特定の低レベルで非材料が残余してもよい。
【0112】
本明細書において使用されるときの食用ポリマーヒドロゲルを生産に架橋することができるポリマーは、メチルセルロース、エチルセルロースおよびn−プロピルセルロースを含むC−C−アルキルセルロースなどのアルキルセルロースを含むセルロースなどの多糖類と多糖誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ−n−プロピルセルロース、ヒドロキシ−n−ブチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートなどのヒドロキシーC1−C6−アルキルセルロースおよびヒドロキシーC−C−アルキル−C−C−アルキルセルロースを含む置換アルキルセルロース;コーンスターチ、ヒドロキシプロピルデンプンおよびカルボキシメチル澱粉などのデンプン;硫酸デキストラン、デキストランリン酸およびジエチルアミノデキストランなどの置換デキストラン;ヘパリン、ヒアルロナン、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸ヘパラン硫酸を含むグリコサミノグリカン;キトサン、アルジネート、カラゲニン、ペクチン、ヒアルロン酸、ポリグルクロン酸、ポリマヌロン酸、ポリガラクツロン酸およびポリアラビニック酸などのβ−グルカンとポリウロン酸を含む。好ましいポリマーはセルロース誘導体で、特にカルボキシメチルセルロースである。好適な架橋剤は、ゼラチンとコラーゲンを含めたクエン酸、リンゴ酸とタンパク質である。なお、ポリマーは直接に架橋することができ、例えば、米国特許出願公開第2008/0227944号に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0113】
構造的に、食用ポリマーヒドロゲルは2次元または3次元の高分子立体配置である。これらは、限定するわけではないが、数種類の方法で生産できる。a)モノマーからの合成(架橋重合)、b)ポリマーと重合助剤からの合成(グラフト化および架橋重合)、c)ポリマーと非重合助剤からの合成(架橋ポリマー)、d)エネルギー源があるポリマーからの合成(助剤がない架橋ポリマー)およびe)ポリマーからの合成(反応性ポリマー−ポリマー相互結合)である。合成に使われる材料とテクノロジーはヒドロゲルの基本的性質と用途の主な因子である。
【0114】
医薬および/または医療分野での潜在的用途について、3次元ポリマー立体配置がある水性溶媒に対する高純度での吸収力のある材料を得る多くの方法が知られている。a)化学的方法。イオンおよび/または配置的な相互複合体形成(例えば、Widraらの米国特許第4,570,629号およびBandらの米国特許第5,153,174号)。オリゴマーまたは二重結合または環がある反応基を有する反応性ポリマー(例えば、Franzblauらの米国特許第5,489,261号およびDoillonらの米国特許第5,863,984号)。放射を伴う架橋法(例えば、Kuamzらの米国再発行特許第33,997号。Miyataらの米国特許第4,264,155号。Bellらの米国特許第5,948,429号)。ならびに、b)物理的方法。マイクロ波を伴う架橋法(例えば、Reichmanらの米国特許第5,859,077号および同第6,168,762号)。フリーズドライ(例えば、Williamsらの米国特許第5,676,967号およびMcGregorらの米国特許第5,869,080号)。ならびにデハイドロサーモ架橋法(例えば、Bergらの米国特許第4,837,285号、Akhtarらの米国特許第4,950,485号、およびBrodskyらの米国特許第4,971,954号)。
【0115】
好ましい実施形態では、食用ポリマーヒドロゲルは、pH感受性、つまり、流体容量はpHの関数である。そのような食用ポリマーヒドロゲルは多塩基性または多酸塩ポリマーから形成されるものを含む。多酸塩ポリマーを含む食用ポリマーヒドロゲルは低いpHよりも高いpHでより大きな流体容量を示す。食物摂取したとき、または成分として、食物が胃に入ることにより胃のpHが上がると食用ポリマーヒドロゲルは膨潤し、その後、食物が摂取されると胃のpHが下がり崩壊する。一実施形態においては、流体含有量の少なくとも50%を放出して食用ポリマーヒドロゲルは胃の中で十分に崩壊する。食用ポリマーヒドロゲルが崩壊すると、胃のクリアランス機構により小腸に行く前に清浄化される。好ましくは、食用ポリマーヒドロゲルの粒子は2mm以下のサイズで胃の中で崩壊する、これにより、幽門、胃と小腸の境の括約筋を通過する。上部消化管の中性pHにより、そのような食用ポリマーヒドロゲルは小腸で膨潤し、その間に糖と脂肪の吸収を著しく減少し、従って、小腸で十分に収縮して体から排泄される前に満腹感を増し血糖コントロールを向上させる。例えば、架橋の消失を通した食用ポリマーヒドロゲルの分解によりそのような収縮が起こり、結果として、水分の放出と十分な体積の減少で身体からの排泄となる。ポリマーの分解にともなう水の放出は下痢と脱水症状の防止に役立てることができる。
【0116】
一実施形態においては、食用ポリマーヒドロゲルはポリカルボン酸と架橋した親水性ポリマーを含み、このタイプの食用ポリマーヒドロゲルは国際公開第2009/021701号と国際公開第2009/022358号に記載され、その全体が参照により、それぞれ本明細書に組み込まれる。他の実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルはポリカルボン酸と架橋した少なくとも2つの親水性ポリマーを含む。一実施形態においては、食用ポリマーヒドロゲルはイオン性ポリマー、非イオン性ポリマーおよびポリカルボン酸、好ましくは、ポリカルボン酸がイオン性ポリマーと非イオン性ポリマーを架橋しているC〜C12−ジカルボン酸、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸である。好ましくは、イオン性ポリマー対非イオン性ポリマーの重量比は約1:5〜約5:1で、より好ましくは、2:1〜約5:1であり、最も好ましくは、約3:1である。1つの好ましい実施形態においては、イオン性ポリマーはカルボキシメチルセルロース(CMC)、非イオン性ポリマーはヒドロキシエチルセルロース、ならびに、ポリカルボン酸はクエン酸である。
【0117】
1つの好ましい実施形態においては、食用ポリマーヒドロゲルは、例えば、アニオン性ポリマーまたはカチオン性ポリマーであるイオン性ポリマーである。より好ましくは、イオン性ポリマーはカルボキシメチルセルロースまたはその塩、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。特に好ましい実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは、クエン酸と架橋したカルボキシメチルセルロースを含む。
【0118】
一実施形態においては、食用ポリマーヒドロゲルは前述したように、タンパク質と架橋したセルロースポリマーを含む。タンパク質架橋剤を容易に消化するヒトの消化管には多くのタンパク質分解酵素があり、食用ポリマーヒドロゲルネットワークは溶解し消化管での衝突のリスクを除去する。
【0119】
タンパク質架橋剤は天然のタンパク質(例えば、インスリン)、プロセスタンパク質(例えば、ゼラチンまたはコラーゲン)、合成配列したタンパク質(例えば、ポリリジンまたはポリアルギニン)でありえる。上部消化管で消化されるタンパク質が好ましい。消化管のこの部分には、タンパク質分解酵素、リパーゼおよびアミラーゼを含む膵酵素がある。
【0120】
セルロースとタンパク質の間の架橋はイオン結合または共有結合でありえる。イオン性架橋は、例えば、カルボキシメチルセルローの水溶液をポリアルギニンまたはポリリジンなどのポリカチオンで処理することで実現できる。共有結合架橋はセルロースポリマー上の官能基をタンパク質上の官能基と反応させて実現できる。例えば、タンパク質はタンパク質官能基を活性化して架橋反応を起こすように活性化することができる。例えば、活性化はリシンまたはアルギニンのようなアミノ酸に対して行うこともできる。次に、活性化プロテインはセルロースポリマーと反応してエステルまたはアミド結合を形成することもでき、この結合はセルロースとタンパク質の架橋ネットワークを作製する。このエステルまたはアミド結合は、他のシステムのようにヒドロゲルが溶解するために加水分解する必要はない。むしろ、タンパク質部分は酵素により消化されていきながらヒドロゲルは溶解する。
【0121】
好ましくは、本発明の製品と方法に有用な食用ポリマーヒドロゲルは、膨潤比率が少なくとも約40である。膨潤比率(SR)は、食用ポリマーヒドロゲルが水を吸収する能力の計測である。SRは平衡状態で膨潤測定を通して得る(例えば、10− 5の感度のSartorius micro scale (Sartorius AG, Goettingen, Germany) を用いる)および以下の式で計算される。
SR=(Ws−Wd)/Wd
式中、Wsは蒸留水(SGF/水=1:8またはSIF)に1時間浸した食用ポリマーヒドロゲルの重量、ならびに、Wdは浸す前の食用ポリマーヒドロゲルの重量であり、食用ポリマーヒドロゲルはすでに乾燥させて残留水を除去してある。他に特記しない限り、本明細書で使用されるとき、「膨潤比率」という用語は、膨潤媒体として蒸留水で行われた計測であり、実施例32Cに記載のように決定する。
【0122】
好ましい実施形態では、食用ポリマーヒドロゲルは少なくとも約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100のSRを有する。例えば、いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルはSRが約10〜約100であり、約20〜約100であり、約30〜約100であり、約40〜約100であり、約50〜約100であり、約60〜約100であり、約60〜約100であり、約70〜約100であり、約80〜約100であり、約90〜約100である。他の実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルはSRが約40〜約200であり、約40〜約250であり、約40〜約300であり、または100〜約500である。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルはSRが150、200、250、300、400、500まで、またはそれ以上である。本発明により本明細書において決められた下限および上限の境界のあるSRの範囲が考えられる。
【0123】
いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは乾燥時の重量の少なくとも約30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、120倍またはそれ以上の腸液または胃液の量を吸収することができる。そのような液を吸収する食用ポリマーヒドロゲルの能力は、被験者から取得した体液の試験を含めて従来の手段を使って、または、シミュレーションされた胃液などのシミュレーションされた体液により試験することができる。いくつかの実施形態において、食用ポリマーヒドロゲルは、SIFの顕著な液量またはシミュレーションされた胃液(SGF)を8倍の水の体積で混合して調製された液を吸収することができる。SGFとSIFは当該技術分野で広く知られているUSP試験溶液手順を使って調製され得る。一部の実施形態では、本発明の食用ポリマーヒドロゲルは、SGF/水が1:8またはSIFの乾燥時の重量の少なくとも約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約120倍またはそれ以上を吸収することができる。
【0124】
材料の弾性率は、ある力が加わった場合の物体または物質が弾性的に変形(非永続的に)する傾向の数学的記述である。他に特記しない限り、本明細書で使用されるとき、「弾性率」という用語は、媒体として蒸留水を用いて行われる計測であり、実施例32Aに記載のように決定する。本明細書で使用されるときの好ましい食用ポリマーヒドロゲルは、実施例32Aの方法で計測し、弾性率が蒸留水中で少なくとも約100Pa、200Pa、300Pa、400Paまたはそれ以上である。
【0125】
粘度は剪断応力または伸長応力(材料面に対して平行または接線方向に加える応力)のいずれかにより変形された液体の抵抗性の計測である他に特記しない限り、本明細書で使用されるとき、食用ポリマーヒドロゲルなどの材料の「粘度」は、実施例32Bに記載されているプロトコルを使って蒸留水中で決定される値をいう。本明細書で使用されるときの好ましい食用ポリマーヒドロゲルは、実施例32の方法を使って計測される粘度が少なくとも約15/秒、30/秒、50/秒または100/秒の粘度である。
【0126】
一実施形態においては、本明細書で使用されるときの食用ポリマーヒドロゲルは、40を超える膨潤率、少なくとも200Paの弾性率および少なくとも30/秒の粘度がある。
【0127】
好ましくは、食用ポリマーヒドロゲルは微粒子または粉末で使われる。食用ポリマーヒドロゲル粒子のサイズは異なりえるが、典型的には約1〜1000μmである。好ましくは、粒子サイズは約10〜800μmの範囲で、より好ましくは、約50〜600μmである。適切な粒子サイズの範囲は当業者によって特定の用途に対して選択することができる。
【0128】
膨潤したとき、食用ポリマーヒドロゲルは加工食物の性質によりさまざまなレオロジー的な特性を有することができる。例えば、フードバーまたは焼いた食品などの固形組成物では、膨潤したポリマーは食物のレオロジー的な特性に合うように固くなり得る。食用ポリマーヒドロゲルのレオロジー的な特性は架橋の範囲を調節して調整することができる。例えば、高度に架橋されたヒドロゲルはより硬く、また典型的には、軽く架橋されたヒドロゲルと比べて吸水性は減少する。従って、食用ポリマーヒドロゲルは、所望するレオロジー的な特性と所望する吸収性とのバランスをとる方法を提供するように操作できる。
【0129】
一実施形態においては、本発明の加工食物を調製に使用される前に、脱水した食用ポリマーヒドロゲルは湿ったバリアーで被覆する。従って、本発明は湿った層で被覆した食用ポリマーヒドロゲルを提供する。この層は個別に、または、本発明の加工食物の成分として保存しても、および/または唾液と触れたとしても、この層は不浸透性であり、または食用ポリマーヒドロゲルの水の吸収と膨潤を防止または抑制して変わらない。2つの成分の間の被覆層を使って、複合食品の異なる水分含有量の成分間の水の輸送を防止、少なくとも抑制できることが分かっている。本発明の食用ポリマーヒドロゲルは吸湿性であるので被覆するのが望ましい。
【0130】
錠剤被覆する湿ったバリアー分野について製薬業界は広範囲な研究してきた。例えば、水分感受性である粉末材料をアルコール内でプロラミンの溶液と混合させて、その後、被覆した粉末を錠剤に加工して錠剤の水分感受性を減らすことができることを英国特許出願第756082号は開示する。
【0131】
セラックは食物に湿ったバリアーを塗布した一般的に使用される生体ポリマーであり、しばしば、ヒドロキシプロピルセルロースと組み合わせて使用する(米国特許第4,820,533号)。セラックのプロラミンとの組み合せは、(欧州特許第0 090 559号)同様に、この目的のために使われている。国際公開第95/2352号では、アイスクリームの組成物が記載されているが、糖の粒子が存在し、それが乳脂の層の中でカプセル化されている。糖の粒子は大変小さい(>100μm)。乳脂の層のおかげで、糖はアイスクリームの中での溶解から防止されている。米国特許第2006/0286264号は、特定の脂肪酸鎖長と固形分含有量をもったトリグリセリドでの粒子の被覆について詳述する。米国特許第2002/0146495号は食用、低融点オイルならびに食用、高融点脂肪を含み、食品、特に、製パンへの利用のための湿ったバリアーの形成する湿ったバリアーの組成物について詳述する。EP0471558は亜ヒ酸ナトリウム、および脂質などの生体ポリマーから湿ったバリアーの作製法を詳述する。
【0132】
食品についてのその他の被覆は「ワックス」の口当たりが無く、室温では個体を維持するが体温では急激に溶ける。その溶解の範囲は狭い範囲で制御できるものである。一実施形態においては、この被覆は食品の調製において使用される油、タンパク質または脂肪などの1つ以上の他の材料を含む。
【0133】
溶射被覆、造粒化(噴霧凝固)、流動床被覆、スパンニング、拡散、溶射、噴流、噴霧化、浸漬、ブラッシングおよび/または圧延などの当該技術分野で公知の技術を利用している食用ポリマーヒドロゲル粒子を被覆するのに、前述の技術および当該技術分野で公知の技術を用いることができる。
食用ポリマーヒドロゲルの調製
好ましい実施形態では、本発明で使用する食用ポリマーヒドロゲルは、ポリカルボン酸と架橋した親水性ポリマーを含む水溶液の架橋を含む方法で調製でき、これにより、食用ポリマーヒドロゲルを生成する。一部の実施形態では、水溶液は2またはそれ以上の親水性ポリマーを含む。例えば、水溶液は重量を基準にして同じ量または異なる量で現れることができる第1の親水性ポリマーおよび第2の親水性ポリマーを含むことができる。好ましい実施形態では、第1の親水性ポリマーはイオン性ポリマーで、第2の親水性ポリマーは非イオン性ポリマーである。
【0134】
好ましくは、架橋反応は高温で、例えば、室温(25℃)より高い温度で実施する。この反応は約30℃〜約300℃以上の温度で実施することが可能であるが、好ましくは、約50℃〜約140℃である。一実施形態においては、架橋反応を高い温度で実施する一方で反応液は水を除去して濃縮する。例えば、水の除去は蒸発で実現できる。一実施形態においては、水の一部が除去される。別の実施形態において、実質的に全ての水を除去し乾燥残査を生成する。任意選択的に、反応混合物は乾燥するまで水の除去をした後の期間は、高い温度を維持する。
【0135】
本明細書で使用するとき、「親水性ポリマー」という用語は、実質的に水溶性であり、好ましくは、水酸化されたモノマー単位を含むポリマーである。親水性ポリマーは、繰返しモノマー単位か、または、2つ以上の異なる繰返しモノマー単位を含む共ポリマーを含むホモポリマーであり得る。1つの好ましい実施形態においては、親水性ポリマーはポリアリルアルコール、ポリビニルアルコール、または多糖類のようにヒドロキシル化されている。
【0136】
使用することができる多糖類は、メチルセルロース、エチルセルロースおよびn−プロピルセルロースを含むC−C−アルキルセルロースなどのアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ−n−プロピルセルロース、ヒドロキシ−n−ブチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなどのヒドロキシ−C−C−アルキルセルロースおよびヒドロキシーC−C−アルキル−C−C−アルキルセルロースを含む置換アルキルセルロース;コーンスターチ、ヒドロキシプロピルデンプン、およびカルボキシメチル澱粉などのデンプン;硫酸デキストラン、デキストランリン酸およびジエチルアミノデキストランなどの置換デキストラン;ヘパリン、ヒアルロナン、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸ヘパラン硫酸を含むグリコサミノグリカン;および、ポリグルクロン酸、ポリマヌロン酸、ポリガラクツロン酸およびポリアラビニック酸などのポリウロン酸を含む。
【0137】
本明細書で使用するとき、「イオン性ポリマー」という用語は、カルボキシル、硫酸、スルホネート、ホスフェート、ホスホネート基、またはアミノ、置換アミノまたはグアニジル基などの塩基性官能基などの酸性官能基を有するモノマー単位を含むポリマーである。好適なpH範囲にある水溶液中で、酸性官能基を含むイオン性ポリマーはポリアニオンで、その様なポリマーは「アニオン性ポリマー」という。同様に、好適のpH範囲にある水溶液中で塩基性官能基を含むイオン性ポリマーはポリカチオンである。そのようなポリマーは「カチオン性ポリマー」である。本明細書で使用するとき、イオン性ポリマー、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの用語は酸性または塩基性官能基は帯電していない、ならびに、好適な対イオンとの組み合わせで一部または全部の酸性または塩基性官能基が帯電している親水性ポリマーをいう。好適なアニオン性ポリマーはアルジネート、硫酸デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、ポリグルクロン酸、ポリマヌロン酸、ポリガラクツロン酸、ポリアラビニック酸、コンドロイチン硫酸およびデキストランリン酸を含む。好適なカチオン性ポリマーはキトサンとジメチルアミノデキストランを含む。好ましいイオン性ポリマーは、酸性型で、または、ナトリウム、カリウムまたはカルシウムなどの好適なカチオンを有する塩として使用することができるカルボキシメチルセルロースである。
【0138】
本明細書で使用するとき、「非イオン性ポリマー」という用語は、酸性または塩基性官能基などのイオン化可能な官能基を有する非モノマー単位を含まない親水性ポリマーをいう。そのようなモノマーは水溶液中で帯電しない。本方法で使用する好適な非イオン性モノマーの実施例は、ポリアリルアルコール、ポリビニルアルコール、コーンスターチ、ヒドロキシプロピルデンプンなどの澱粉、メチルセルロース、エチルセルロースおよびn−プロピルセルロースを含むC−C−アルキルセルロースなどのアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ−n−プロピルセルロース、ヒドロキシ−n−ブチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのヒドロキシーC−C−アルキルセルロースおよびヒドロキシーC−C−アルキル−C−C−アルキルセルロースを含む置換アルキルセルロースである。
【0139】
本明細書で使用するとき、「ポリカルボン酸」という用語は、ジカルボ酸、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸などの2つ以上のポリカルボン酸官能基を有する有機酸をいい、また、そのような有機酸の無水物形態を含む。ジカルボ酸はシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、O−フタル酸、イソフタル酸、m−フタル酸、テレフタル酸を含む。好ましいジカルボ酸は、C−C12−ジカルボ酸を含む。好ましいトリカルボン酸はクエン酸、イソくえん酸、アコニット酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸を含む。好ましいテトラカルボン酸は、ピロメリト酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−テトラカルボン酸ジフェニルエーテル、2,3’,3,4’−テトラカルボン酸ジフェニルエーテル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−テトラカルボン酸ナフタリン、1,4,5,7− テトラカルボン酸ナフタリン、1,4,5,6−テトラカルボン酸ナフタリン、3,3’,4,4’−テトラカルボン酸フェニルメタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ブタンテトラカルボン酸、およびシクロペンタンテトラカルボン酸を含む。特に好ましいポリカルボン酸はクエン酸である。
【0140】
さらに、例えば、本方法は食用ポリマーヒドロゲルを水、例えば、メタノールまたはエタノール、またはそれらの組み合せのような極性有機溶媒のような極性溶媒中で洗浄して食用ポリマーヒドロゲルを精製するステップを含む。極性溶媒中に浸漬した食用ポリマーヒドロゲルは膨潤して、ポリマーネットワークに取り入れられなかった副生成物もしくは未反応ポリカルボン酸などの成分を放出する。水は極性溶媒として好まれ、蒸留水はより好まれる。ゲルの最大の膨潤率を達成するのに要求される水の量は、ゲル自身の初期の量の約10倍〜20倍である。工業的規模で大量の水を使うことと、このステップの期間に洗浄液の廃棄および/またはリサイクルを考慮すれば、合成過程においていかなる毒性副生成物を存在させないことの重要性は明らかである。食用ポリマーヒドロゲルの洗浄ステップは1回以上繰り返すことができるが、任意選択的に、ここで用いられた極性溶媒を変更する。例えば、食用ポリマーヒドロゲルはメタノールまたはエタノールで、その後で、蒸留水で洗浄することができる。この2ステップを任意選択的に1回またはそれ以上繰り返す。また、洗浄ステップはメタノールと水の比率(体積/体積)が1/10〜10/1までの間で変えることができる組成により水/メタノールの混合物を使って実施することができる。1つの好ましい実施形態においては、この組成はメタノール/水が1/5〜5/2の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態においては、この組成はメタノール/水が1/3である。
【0141】
さらに、本方法は食用ポリマーヒドロゲルの乾燥を含むことができる。乾燥ステップは、相転移として知られ、完全に膨潤した食用ポリマーヒドロゲルをセルロース非溶媒中で浸漬して実施する。例えば、好適なセルロース非溶媒液はアセトンとエタノールである。食用ポリマーヒドロゲルを相転移で乾燥させると最終の微小孔性構造になり、この構造は毛管作用により食用ポリマーヒドロゲルの吸収特性と吸収率を向上させる。さらに、孔が相互に連結または開放、つまり、微小孔が互いに連絡されている場合、ゲルの吸収/放出の速度も向上する。完全にまたは一部が膨潤したゲルを非溶媒に浸漬した場合、白色の粒子のガラス状個体の形態で析出するまで水を排出してゲルは相転移を行う。乾燥ゲルを短期間に取得するには、非溶媒中に種々の洗浄溶液が必要となるかもしれない。例えば、膨潤した食用ポリマーヒドロゲルを非溶媒であるアセトンに浸漬した場合、食用ポリマーヒドロゲルが乾燥するに従い水分で増加する水/アセトン混合物が形成される。あるアセトン/水濃度で、例えば、アセトンが約55%であれば水は食用ポリマーヒドロゲルから出ることができないので、従って、新たなアセトンを食用ポリマーヒドロゲルに添加してこの乾燥工程を進めなければならない。乾燥中のアセトン/水比率が高ければ高いほど乾燥工程が早くなる。孔の寸法(つまり、特定の乾燥法によるヒドロゲルのバルクマトリックスに作られた孔の寸法)は、乾燥工程の速度と食用ポリマーヒドロゲル粒子の当初の寸法に影響される。粒子が大きく、工程が速ければ孔を大きくする傾向がある。このサイズの孔は強い毛細管作用を示すのでマイクロスケールの範囲の孔の寸法が好ましく、高い吸収性と水分貯留能力を発揮する。
【0142】
水/メタノール混合物を使った洗浄過程の後で使用した場合、このアセトン相転移は実質的により少ない量のアセトン(最高で15倍低い)しか必要としない。これは、残渣を洗浄したとしてもメタノール/水の混合液中ではヒドロゲルは完全に膨潤しないからである。従って、相転移で乾燥させる商品の堆積は実質的に少なくなり、求められる非溶媒の乾燥量は少ない。安全管理手順と廃棄物処理の観点からアセトンの使用に関わる費用のため、これは産業上重要である。
【0143】
さらに、本発明の食用ポリマーヒドロゲルは、風乾、凍結乾燥、炉乾燥などの他のプロセスで乾燥させることができる。これらの乾燥法は、単独で、組合せで、または前述の非溶媒乾燥ステップとの組み合わせで使用できる。例えば、非溶媒の微量残留物をなくすために、食用ポリマーヒドロゲルは初めに非溶媒で乾燥させ、次に風乾、凍結乾燥、炉乾燥、またはそれらの組み合せで乾燥させる。非溶媒の微量残留物が完全に除去されるまで、炉乾燥は約30〜45℃の温度で実施できる。所望のサイズの食用ポリマーヒドロゲル粒子を生成するために、洗浄し乾燥した食用ポリマーヒドロゲルは、そのまま使うか、または粉砕することができる。
【0144】
架橋溶液は分子スペーサとなる化合物を任意選択的に含むことができる。本明細書で使用するとき、「分子スペーサ」は架橋食用ポリマーヒドロゲルネットワークを形成させる反応に広い範囲で関与していないポリヒドロキシル化化合物であり、この化合物は吸収能力が大きい食用ポリマーヒドロゲルを生成する。ある場合には、分子スペーサは狭い範囲で架橋反応に関与している可能性があり、ポリマー鎖に立体的に近接を妨げることによって分子スペーサは機能すると考えられているが、それにより、架橋反応の間ポリマー鎖間の平均距離を増加させる。従って、架橋は相互に近くない部位で起こりえるのであり、これにより、食用ポリマーヒドロゲルの吸収特性を広げ、かつ、大幅に増大させるためにポリマーネットワークの活性を向上させる。分子論から見ると、これは、ネットワーク架橋と関連して、ポリマー膨潤への弾性的(性質上はエントロピー)寄与の減少と対応する。本発明の方法において分子スペーサとして使う好適な化合物は、単糖類、二糖類、蔗糖、ソルビトール、植物グリセロール、マンニトール、トレハロース、乳糖、マルトース、エリトリトール、キシリトール、ラクチトール、ルチトール、アラビトール、グリセロール、イソマルトおよびセロビオースを含む糖アルコール類を含む。好ましくは、分子スペーサは溶媒に対して約0.5重量%〜約30重量%の量で、または、ポリマーに対して1倍〜5倍の割合で、より好ましくは、約10%〜約20%で、ならびに、より好ましくは、溶媒に対して約18重量%で架橋溶液に含まれている。
【0145】
本発明の好ましい実施態様によれば、食用ポリマーヒドロゲルの合成に使用する分子スペーサはソルビトール、蔗糖、植物グリセロールからなる群から選択される。
【0146】
本発明の方法の特に好ましい実施態様によれば、水の重量に対して0.5重量%〜24重量%の範囲内、好ましくは、水の重量に対して10重量%〜20重量%の範囲内、さらにより好ましくは、水の重量に対して18重量%の濃度では、ソルビトールは分子スペーサとして使用される。
【0147】
一実施形態においては、水溶液はイオン性ポリマー、好ましくは、アニオン性ポリマー、および最も好ましくは、カルボキシメチルセルロースを含む。特に好ましい実施形態では、アニオン性ポリマーがカルボキシメチルセルロースであり、ポリカルボン酸はクエン酸である。
【0148】
別の実施形態では、水溶液はイオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマーを含む。好ましくは、イオン性ポリマーはアニオン性ポリマーであり、最も好ましくは、カルボキシメチルセルロースである。好ましくは、非イオン性ポリマーは置換セルロース、より好ましくは、ヒドロキシアルキルセルロースまたはヒドロキシアルキルアルキルセルロースおよび最も好ましくは、ヒドロキシエチルセルロース(「HEC」)である。好ましいポリカルボン酸はクエン酸である。
【0149】
イオン性と非イオン性ポリマー(イオン性対非イオン性)の重量比は約1:10〜約10:1、好ましくは約1:5〜約5:1であり得る。好ましい実施形態では、重量比は1:1以上、例えば、約2〜約5である。特に好ましい実施形態において、イオン性ポリマーはカルボキシメチルセルロース、非イオン性ポリマーはヒドロキシエチルセルロース、および重量比(イオン性対非イオン性)は約3:1である。
【0150】
1つの好ましい実施形態においては、水溶液の総前駆体濃度は出発水溶液の水の重量に対して少なくとも2重量%であり、架橋剤の量は約0.5重量%、および前駆体の重量に対して約5重量%である。本説明では、用語「前駆体」は、食用ポリマーヒドロゲルポリマーネットワークの形成に関する前駆体として使用される親水性ポリマー意味する。いくつかの実施形態において、「前駆体の重量」は使用されたCMCの重量または使用されたCMCとHECの合わせた重量である。好ましくは、水溶液は水の重量に対して約18重量%の量のソルビトールを含む。
【0151】
好ましくは、架橋反応は約50℃〜140℃の温度で実施される。このプロセスの過程の間、温度を変えることでポリマーネットワークの架橋度を上下させることが可能となる。約80℃の架橋温度が好ましい。一実施形態においては、親水性ポリマーはカルボキシメチルセルロースであり、好ましくは、ナトリウム塩(「CMCNa」)(2〜10%)として、架橋剤はクエン酸(0.01〜5%)、分子スペーサはソルビトール(6〜24%)、架橋温度は65℃〜100℃の範囲で、および架橋時間は約0.5時間〜48時間である。
被覆
いくつかの実施形態において、組成物は1個ずつ被覆されたポリマー粒子を含む。他の実施形態において、組成物は被覆でカプセル化しているポリマー粒子を含む。いくつかの実施形態において、被覆は胃の中での膨潤を防止する。
【0152】
いくつかの実施形態において、被覆は口および/または食物の中での膨潤を防止する。好ましくは、そのような被覆は胃の中で分解し、それにより、食用ポリマーヒドロゲルが胃内容物に曝露されて胃の中で食用ポリマーヒドロゲルが膨潤する。好適な被覆は、タンパク質、脂肪、糖またはこれらの組み合せを含めた湿ったバリアー被覆を含む。
【0153】
いくつかの実施形態において、腸溶コーティングで被覆された食用ポリマーヒドロゲルを含む。用語「腸溶コーティング」は、消化器で吸収される場所を管理する経口薬に塗布されたバリアーと定義される。腸溶とは小腸を意味するので腸溶コーティングは小腸に到達する前の薬の放出を防止する。腸溶コーティングのおおくは、胃の高い酸性pHで安定であるが、より低い酸性(相対的により塩基性である)のpHで急速に破壊される表面を出すことで効く。例えば、酸性の胃の環境(pHは1.5〜5)では分解しないが、より高いpH(pHが約5.5を超える)小腸の環境では分解する。腸溶コーティングに使われる材料は、脂肪酸、ワックス、およびセラックならびにプラスチックを含む。一実施形態においては、腸溶コーティングは被験者の胃の中で消化されない、これにより、被験者の胃の中で食用ポリマーヒドロゲルの放出を防止する。一実施形態においては、腸溶コーティングは時間の経過後、消化条件下において分解するように設計されている。好ましくは、この時間の経過は約50分以上であり、これにより、被験者の胃から材料がなくなるまで食用ポリマーヒドロゲルの暴露を防止する。
【0154】
そのような、腸溶コーティングの実施例はセルロース、ビニール、アクリル性誘導体、セルロースアセタートフタラート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートサクシナートなどのヒドロキシプロピルメチルセルロースの誘導体、メタクリル酸メチルとアクリル酸エチルの共ポリマーおよびこれらの組み合せを含む。より具体的に好適なコーティングは、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセタートフタラート、セルロースアセタートサクシナート、メチルセルロースフタラート、ヒドロキシメチルエチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタート等を含むセルロース誘導体を含む。ポリビニル誘導体は、ポリビニルアルコールフタラート、ポリビニルブチラートフタラート、ポリビニルアセトアセタールフタラート等を含む。マレイン酸−ビニル化合物共ポリマーは、ポリ(ビニルアセテート、マレイン酸無水物)、ポリ(ブチルビニルエーテル、マレイン酸無水物)、ポリ(スチレン、マレイン酸モノエステル)等を含む。アクリル共ポリマーは、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸)、ポリ(スチレン、アクリル酸)、ポリ(アクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸オクチル)、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリルレート)(例えば、商品名Eudragit LおよびEudragit SはRohm Pharma, Germanyから入手できる)、およびこれらの組み合せ、ならびに、当業者に知られている同様の腸溶コーティングを含む。
【0155】
いくつかの実施形態において、組成物は厚さおよび被覆の組成物に基づいて所定の率で分解する被覆を含む。そのような被覆は、セルローズエーテル(エトセルとメトセルおよびその混合物)、Instacoat Aqua(これはHPMCとPVAに基づくシステムを含む)、およびアクリル樹脂の混合物(アクリル酸エチル/メタクリル酸メチルコポリマーなど)を含むことができる。
処方物および投与の方法
いくつかの実施形態において、組成物は経口投与を行う。好適な経口剤形は錠剤、カプセル、カプレット、チュアブル組成物、粉末、シロップ、溶液、懸濁液およびシェイクスを含む。一実施形態においては、錠剤を作成するために1つ以上の賦形剤で、任意選択的に1つ以上のpH変性剤で、および/または1つ以上の活性剤で組成物を圧縮する。錠剤の調製に使用する好適な賦形剤は、結合剤、防腐剤、潤滑剤、抗酸化剤、滑沢剤、フレーバー剤、着色剤、およびこれらの組み合せを含む。
【0156】
一実施形態においては、食用ポリマーヒドロゲルはハードまたはソフトゼラチンカプセルにカプセル化されている。カプセルの充填材料は、材料および任意選択的に1つ以上のpH変性剤および/または活性剤を含む。また、充填材料は、1つ以上の賦形剤を含有してもよい。上述したように、好適な賦形剤としては、可塑剤、結晶化抑制因子、湿潤剤、大容量充填剤、凝集阻止剤、溶解補助剤、滑沢剤、生物学的利用能増強剤、溶媒、およびこれらの組み合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
いくつかの実施形態において、緩衝化剤は炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、またはこれらの組み合せからなる群から選択される。
【0158】
賦形剤の他の例は、蔗糖、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、デンプン、一部が予備糊化したデンプン、結晶性セルロース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、沈降した炭酸カルシウム、水和化二酸化ケイ素等を含む。結合剤の例は、蔗糖、ブドウ糖、乳糖、マルトース、ソルビトール、またはマンニトールなどのオリゴ糖または糖アルコール;デキストリン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、カラゲニン、グアールガム、アラビアゴムまたはなどの多糖類;トラガカント、ゼラチンまたはグルテンなどの天然ポリマー;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸などの合成ポリマー等を含む。
【0159】
いくつかの実施形態において、剤形はスプーンが使える供給システムを形成するために半固形基剤に組み込まれる。半固形基剤は、ペクチン、グアールガム、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、カラギーナンガム、アルギン酸、オオバコハイドロコロイド、オーツムギ粉ガム、米粉ガム、グルコマンナン、トラガカントガム、カラヤゴム、タピオカ、コーンスターチ、セルロースガム、寒天、ゼラチン、ポリアクリラート、多糖類、ポリビニルピロリドン、ピロリドン、ポリオール、コラーゲン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、ポリエステル、天然または合成オイル、流動パラフィン、ミツロウ、シリコンワックス、天然または加工脂肪酸、またはこれらの組み合せからなっていてもよい。さらに、リンゴ、プルーン、アプリコット、桃、パイナップル、バナナ、ぶどう、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、ボイセンベリー、ローガンベリー、デューベリー、グーズベリー、クランベリー、マルベリー、エルダーベリー、ブルーベリーフィグ、カラント、キウイーなどの粘性があるフルーツピューレを用いてもよい。
【0160】
いくつかの実施形態において、スプーンが使える供給システムを形成するために剤形は乾燥粉末として飲むポリマー粉末を含んだ薬包とするか、半固形基剤に添加することも可能である。半固形基剤は、リンゴ、プルーン、アプリコット、桃、パイナップル、バナナ、ぶどう、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、ボイセンベリー、ローガンベリー、デューベリー、グーズベリー、クランベリー、マルベリー、エルダーベリー、ブルーベリーフィグ、カラント、キウイーまたはこれらの組み合せなどの粘性があるフルーツピューレを含むことが出来る。
【0161】
いくつかの実施形態において、組成物は食欲抑制薬または抗肥満薬と共にに投与してもよい。いくつかの実施形態において、組成物および食欲抑制薬または抗肥満薬は、同時または連続的(つまり、別々の処方物)投与する。いくつかの実施形態において、組成物および食欲抑制剤、抗肥満栄養補助食品、または抗肥満薬は同一の処方物においてである。
【0162】
いくつかの実施形態において、食欲抑制剤、抗肥満栄養補助食品、または抗肥満薬は、塩酸シブトラミン、オルリスタット、リモナバント、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドールフェンジメトラジン、フェンテルミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、ナルメフェン、フェンテルミン(Fastin, Adipex, Ionamin等);ジエチルプロピオン(Tenuate);シブトラミン(Meridia, Reductil);リモナバント(Acomplia);ベンフルオレックス;ブテノリド;ジエチルプロピオン;FG7142(N−メチルー9H−ピリド[5.4−b]インドールインドール−3−カルボキサミド);ノルプソイドエフェドリン;フェンメトラジン;フェンテルミン;フェニルプロパノールアミン;ピログルタミル−ヒスチジル−グリシン;シブトラミン;フェンジメトラジン(Prelu−2, Bontril);ベンズフェタミン(Didrex);オキシントモジュリン;メチルフェニデート;(Concerta)(Ritalin);フェニルエチルアミン(Trimspa)、ピルビン酸、DHEA,B−水酸基ーB−メチルブチラート、キトサン、共役リノール酸(CLA)、hoodia gordonii、ダイダイ(シトラスナリンジェン)、カバ、ウスニン酸、ephedraおよびこれらの組み合せからなる群から選択する。
【0163】
いくつかの実施形態において、この組成物は肥満のための外科的介入に関連して投与される。いくつかの実施形態において、肥満治療の外科的介入は、胃バンディング術、胃バイパス術、胃内バルーン留置術、埋設可能な胃の刺激装置および胃の電気刺激からなる群から選択される。
【実施例】
【0164】
次に、本発明を一般的に説明する。以下の実施例を参照することによって、本発明をより容易に理解することができるであろう。これらの実施例は、本発明の特定の態様および実施形態を説明する目的で記載したものであって、本発明を限定することを意図するものではない。
【0165】
実施例1 カルボキシメチルセルロース/ヒドロキシエチルセルロース混合物のクエン酸架橋
材料
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMCNa,分子量:700kDa,DS0.9,食品等級)、HEC(分子量:250kDa,食品等級)は、Eigenmann e Veronelli S.p.A. Milanoから購入し、クエン酸はDal Cin S.p.A.Sesto San Giovanni Milanoから供給され、そのまま使用した。
【0166】
食用ポリマーヒドロゲル合成
以下の手順で、食用ポリマーヒドロゲルのサンプルを、水の中でCMCNaおよびHECを架橋剤としてのクエン酸と反応させて得た。まず最初に、3:1に等しい重量比のCMCNaとHECとの混合物を使い、透明な溶液が得られるまで室温でゆっくりと撹拌して2重量%の水の総ポリマー濃度を蒸留水に溶解させた。(CMCNaのみを使用した場合は、高分子電解質鎖間の静電反発と、最大の反応性部位であるC6でのヒドロキシル基の高程度の置換度による2つの理由で、架橋効率の悪さが報告されている。[1])CMCNa溶解は採用した濃度では遅いので、透明な溶液が得られるまで最初にHECを水に添加し、5分後に粘度が僅かに上昇した。次に、透明な溶液が得られるまで(24時間)継続して撹拌しながらCMCNaを添加し、粘度が顕著に上昇する。最後に、種々の架橋のサンプルを得るためにクエン酸(CA)を異なる濃度(1.75%、2.75%、3.75%、10%および20%w/wポリマー)で添加した。この最終溶液を10mmの厚さのサンプルを成形するのに使用した。吸収された水の大部分を除去するために、全てのサンプルを30℃で24時間予備乾燥させておき、次に、架橋反応させるために80℃で継続した(24時間、中程度の制御)。
【0167】
さらに、CAと架橋されるそのままのHECまたはそのままのCMCNaサンプルを含有するサンプルを、HEC/CMCNa混合物に使われたのと全く同じ試験条件に従って調製した。
【0168】
全てのサンプルをFT−IR測定法により解析した。無水物の形成は、1738cm−1でのカルボニル領域にある特徴的な伸縮バンドをモニターして検出した[2]。
【0169】
膨潤比
このサンプルの場合、ザルトリウス電子天秤(感度10−5)を使って、全てのサンプルの平衡膨張の測定を蒸留水の中で実施した。膨潤比は蒸留水に24時間浸漬した前後にサンプルの重さを測って測定した。膨潤比(SR)は以下のように定義する。
SR=(Ws−Wd)/Wd
式中、Wsは膨潤した食用ポリマーヒドロゲルの重さで、Wdは乾燥させたサンプルの重さである[3]。
【0170】
示差走査熱量計
熱分析法のために示差走査熱量計(Mettler−Toledo 822e Mettler DSC)を使用した。走査温度の範囲と加熱速度はそれぞれ、10〜200℃と5℃/分である。
【0171】
使用された熱サイクルは、(1)10〜100℃で加熱、(2)100℃で3分間の等温線、(3)100℃〜10℃までの冷却、(4)10℃〜200℃までの加熱、(5)200℃での等温線、(6)室温までの冷却。空の皿を基準として使用した。
【0172】
フーリェ変換赤外線スペクトル法
全てのFT−IRスペクトルはJASCO FT−IR 660および赤外全反応吸収法(ATR法)クリスタルサンプラーを設けたスペクトロメータに記録した。フイルム状のサンプルは、ATR法クリスタルサンプラーの上で直接用いられ、分解能は4cm−1、走査は300、吸光度範囲は4000cm−1〜600cm−1までであった。
【0173】
結果および考察
無水物の脱水性に関する水損失の過程に起因して、そのままのクエン酸の示差走査熱量計(DSC)サーモグラムは約60℃で最大を示した。約160℃で開始する完全な分解が第2の走査で認められた。
【0174】
そのままのCMCNaとHEC粉末のDSC解析は、一部の水がまだポリマーに吸収されていることを示した。100℃を超えてCMCNaの可能分解ピークが認められた。100℃未満でCMCNaとHECは熱安定性を示した。
【0175】
サンプルを30℃で24時間乾燥させ、粉末にした後、CMCNa/HEC比が3対1で、クエン酸の3.75重量%のポリマーである食用ポリマーヒドロゲルがフイルム状になったものをDSCで解析した。無水物化過程でなされる水の蒸発に関した最大吸熱ピークは明らかであった。最初の大きいピークに重ね合わさる小さな発熱ピークはエステル化に起因している。第2の加熱サイクルでは架橋セルロース混合物のガラス転移(Tg=38°C)が認められた。
【0176】
このDSCによる予備試験の後、以下の手順で異なる食用ポリマーヒドロゲルのサンプルを調製した。試薬を水に混合した後、水を除去するために反応容器を30℃で24時間乾燥状態で維持した。その後、第1回目のDSC解析結果を計算して温度を60℃を超えるように上昇させてクエン酸の無水物を得た。無水物は60℃を超えるセルロースのヒドロキシル基との架橋のために利用できる。温度やCA濃度などの異なる反応条件は、合成手順を最適化するために利用し表1にまとめた。架橋過程について2つの異なる反応温度(80℃と120℃)を試みた。分解のリスクを防止するか、反応速度を制限するように80℃の反応温度はその後選択した。さらに、各化学反応ステップに関連するFT−IR信号を増幅するためにCAの非常に高い濃度(10重量%と20重量%)を当初は使用した。初めに、ポリマーのそれぞれとの反応性を調べるために、そのままのCMCNaとHECを架橋した。
【0177】
【表1】

クエン酸、加熱前のA10反応混合物および5時間の加熱後のA10反応混合物のFT−IRスペクトルを記録した。CAスペクトル内で、ポリカルボン酸により1715cm−1を中心とする強いC=Oバンドを観察することができる。サンプルA10のFT−IRスペクトルは、セルロースの特徴である1590cm−1で強い吸収バンドを示す[4]。加熱後、約1590cm−1の吸光度バンドをまだ認めることができ、さらに、1738cm”1で新たなバンドが認められる。無水物は1758cm−1および1828cm−1近傍にあるカルボニル領域にある2つの伸縮バンドを表示する。高周波数帯域は非環状無水物においてより強い。環状無水物は高周波での伸縮バンドより強い低周波(C=O伸縮バンド)を示した[2]。1738cm−1での新たなピークは、セルロースのヒドロキシル基とCAの反応に必要な中間反応である無水物形成に関連した低周波域でのカルボニル基の特徴的な伸縮バンドに帰することができる。これに対し,より高い周波数で期待できるカルボニルピークは検出できないのは、その弱い強度によるものと思われる。
クエン酸、加熱前のB10反応混合物および6.5時間の加熱後のB10反応混合物のFT−IRスペクトルを記録した。再び、HECスペクトルは加熱前後の1590cm−1でのバンドを示す一方で、サンプルA10について1738cm−1でのカルボニル基の吸光度が80℃で加熱したときのみ現れる。
【0178】
FT−IR解析は定量的な測定技術であると一般的に考えられるが、Comaと共同研究者によってなされた文献を検討することによって、赤外線スペクトル法が架橋セルロース誘導体における架橋率の決定に第1近似で使用し得ることが示された[4]。この前提から出発して、80℃の架橋につながる異なる反応の変化を異なる反応時間でのFTIRスペクトルによる記録でモニターする。
【0179】
カルボニル基を代表している1738cm−1(A)での吸光度ピーク下面積を全てのスペクトルで不変の1592cm−1(A)での参照吸光度ピーク下の面積と比較した。無水物の変化は、反応時間の関数としてA/Aの比率で評価された。反応が80℃で実施された場合、CMCNaポリマーのFTIRスペクトルは、20%CAまたは10%CAの条件の両方とも同様な傾向を示した。加熱前に存在しない無水バンドは、初めの1時間の直後に最高点に達し、続いて3時間後には最下点にまで減少し、さらに、5時間後に2回目の最高点に達した。最後に、24時間後には減速した過程がバンド域をゼロまで減らした。20%CAの反応のスペクトルにおいて、2回目の最高点は10%CAの反応(A/A=0.04)で認められた値より高い値(A/A=0.10)に一致することは注目に値する。
【0180】
1738cm−1の近傍でのピークは、無水物カルボニル基の消失となる無水物とセルロースヒドロキシルとの1回目の縮合後の遊離CAを含む無水物化過程によるものであると想定される。次に、ポリマー上で新たに結合したカルボキシレート基は、無水物を再度形成することができるが、これが1738cm−1ピークの上昇に繋がる。この無水物の第2の反応が架橋に関与し、無水物基のさらなる除去やそれに伴う1738cm−1でのピークの減少が起こる。また、他のセルロース架橋過程について報告されているように、大きな高分子に繋がる基を含んでいるのでこの第2の反応は遅くなり、立体的に妨害される[1]。この可能性のある反応機構は膨潤測定により裏付けられる。
【0181】
また、FTIRスペクトルはHECポリマーの反応についても記録されているが、この時の反応は80℃で20%CAか10%CAのいずれかで実施した。10%CAのシナリオの場合、反応時間が0時間〜6.5時間を経たとき無水物バンド強度は0から0.098まで向上するが、反応時間が24時間となったとき0へと下がる。20%CA反応の場合も同様な傾向をたどり、5時間目で0.079の最高値を示した。架橋機構がCMCNaの場合に記載したと同じと仮定すれば、無水物化およびエステル化反応は重ね合わせられているように認められた。従って、FTIRスペクトルではHECポリマーは単一のピークを示した。この後者の結果はXieと共同研究者の結論と一致した[5]。彼らは異なる反応時間でCAと熱反応したデンプンの架橋エステル化を調べることで置換度を研究し、数時間後の最高値を発見した。
【0182】
24時間後に記録されたFTIRスペクトル全てについて観測されたデータを説明するために、炉に24時間入れられた場合には、未だ同定されていない第2の反応によりポリマーが不安定であると仮定する。このような反応はポリマー構造を修正し、さらに、エステル官能基をともなう。Xieと共同研究者[5]の研究は、置換度は最高値に到達して反応時間が7時間よりも長くなった時点でデンプンから置換基の解離が始まったので、その後減少した、と仮定した。
【0183】
最後に、CMCNaとHECのポリマーポリマー混合物は架橋される。CMCNaは溶液内の容積の変動過程を増大させるカルボン酸官能基を含む。反応経路を追跡する予備的な試みは失敗した。考えた反応システムは極端に複雑で数多くの異なる反応中心がある可能性がある。加熱前、加熱8時間後、加熱13時間後に記録されたC10反応のFTIRスペクトルを比較した。反応サンプルC20は同様なスペクトルを示した。さらに、ポリマー混合物が使用されたとき(C10およびC20)、特に高いCA濃度が反応に使われたとき、幅広い信号が約1715cm−1で認められたことは注目に値する。事実、CAが20%の場合、1715cm−1でのCAの信号は極めて幅広く、1590cm−1でポリマー信号と重なり合い、明瞭なバンドを検出できなくする。しかしながら、1715cm−1近傍のバンドは加熱前に検出できることを指摘しておかなければならない。加熱前のC10反応混合物は、他の反応(A10、A20、B10、B20)用に以前モニターした吸光度領域をカバーする1715cm−1近傍のバンドを示したので、カルボニル基への明瞭な割り当ては困難である。しかしながら、架橋反応の間に、このバンドはより高い波数へ移動することを他の2つのスペクトルは示した。特に、FTIRスペクトルは、8時間後と13時間後に1711cm−1〜1736cm−1の範囲の広帯域を示し、このバンドはカルボニル基の特徴である1737cm−1での狭い吸光度のバンドとしてより鮮明に現れた。C20反応のスペクトルで同様な結果が出た。C10とC20のサンプルが架橋されている場合にはA10カルボニル基の定量的解析は可能ではないが、そのままのポリマーの反応で認められたピークと同様なカルボニル基のピークの評価を仮定することができる。
【0184】
また、反応が進む間、膨潤挙動を研究することで架橋速度をモニタ−した。以下について、膨潤比は反応時間の関数であると計算できる。(a)10%または20%のCA濃度を伴うCMCNa、(b)10%または20%のCA濃度を伴うHEC、(c)10%または20%のCA濃度を伴うCMCNaおよびHEC(3/1)の混合物、(d)1.75%、2.75%、または3.75%のCA濃度を伴うCMCNaおよびHEC(3/1)の混合物。
【0185】
その結果、24時間後、10%クエン酸と架橋するCMCNaの膨潤は、同じクエン酸濃度であるHECよりも高い比率を示した。20%のクエン酸をセルロースに添加する場合、膨潤曲線の形はHECおよびCMCNaに対するものと同じである。この場合、架橋が進めば、HECベースサンプルの膨潤はCMCNaサンプルよりも速く減少する。これはCAとHEC間の反応速度が速いことを示している。これが起こる理由は恐らく、HECがCMCNaよりも立体的に阻害されておらずCMCNa鎖よりも速く反応することができるからである。加えて、各反復単位において、HECはCMCNaよりも多くのOH基を有する(3対2)からである。
【0186】
3時間後にゲル化の開始時点でCMCNa/CAサンプルの最大膨潤を観測する。これは2回目のエステル化反応の開始と対応する。その後、架橋過程が増加するにつれて、対応する平衡の水分収着は減少しFTIR解析の結果を裏付ける。
【0187】
CAで架橋したそのままのHECに関して、同様の反応機構を想定することができる。しかしながら、この場合は、ポリマーに結合したカルボキシル基の不在の結果として全体の挙動がわずかに異なる。CAが、高分子電解質の網目構造の形成を担う親水性のカルボキシル基を導入するということを考慮に入れて、膨潤実験の結果を解釈されたい。それ故、水分収着は大幅に増加するが、その理由はカルボキシル基が最初にHEC鎖に、その後ゲル状網目構造に結合するからである。CMCNaの食用ポリマーヒドロゲルにおいて、この効果は好ましくはなく、その理由は、大量の−COOH基、CMCNa鎖に結合するものはゲル化の開始時点において既に網目構造に結合しているからである。HECおよびCMCNaの混合物に関して、同様の傾向を観測する。
減少した濃度のクエン酸(ポリマーの1.75%、2.75%、3.75重量%)を用いて高膨潤度を示す実用的用途の食用ポリマーヒドロゲルを得た。クエン酸濃度が3.75%の場合、膨潤比は900に到達することができる。膨潤後に、この食用ポリマーヒドロゲルは十分な剛性によって特徴付けられ、合成タンクの形状を同一に保つことができる。架橋剤として毒性の試薬であるジビニルスルホンを用いて以前に合成された食用ポリマーヒドロゲル(参考文献13)、ならびにCMCNaおよびHECの間の同一の比率を200という最大膨潤比によって特徴付けた。この場合、環境に優しい架橋剤を用いてより高い膨潤比を得る。1.75%未満のCA濃度において、不十分な力学的特性に関連する弱い架橋を観測する。
【0188】
結論
この研究は、CMCNa/HECの混合物の架橋剤として、CAを上手く用いることができるということを初めて示した。無水物の中間形成に基づくエステル化機構を、CAとセルロースポリマーの反応を説明するために提唱する。
【0189】
CMCNa/HECのシステムに関する架橋反応を、DSC解析またはFTIR解析の何れかによって観測した。異なる架橋反応の発生を、過剰量のクエン酸を用いて異なる反応時間において収集したFTIRスペクトルによってモニターした。異なる反応時間においてモニターした膨潤比は、FTIR解析から解明した反応経路を裏付けた。実用的用途において最適な膨潤度(900)を、低濃度のCAを用いて実現した。この実施例1に記載されている方法を通じて得た食用ポリマーヒドロゲルは、初期費用および生産費用を減少させ、その合成過程の間に毒性を有する中間体を避ける大きな利点がある。
【0190】
実施例2:分子スペーサの存在下における、カルボキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース/ヒドロキシエチルセルロース混合物のクエン酸架橋
材料および方法
用いた全ての材料をAldrich Italia社より準備し、さらなる改変をせずに用いた。特性解析において用いた装置は、標準的な実験用ガラス器具、標準的な合成のための棚およびカウンターに加えて、走査型電子顕微鏡(SEM)であるJEOLJSM−6500F、精度が10−5gであるSartorius社製の秤、Isco社製のミキサー、およびARES血流計である。
【0191】
クエン酸(CA)を架橋剤として、ソルビトールを分子スペーサとして用い、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMCNa)およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)の水溶液を架橋することによって食用ポリマーヒドロゲルを調製した。ゲルの組成物は出発液中のわずかな量の試薬によって与えられる。前記組成物を定義するのに用いたパラメータは以下の通りである:
(i)前駆体の重量濃度(%)=溶液中のポリマーの全質量(例えば、CMCNa+HEC)(g)×100/水の質量(g)
(ii)HECに対するCMCNaの重量比=溶液中のCMCNaの質量(g)/溶液中のHECの質量(g)
(iii)架橋剤(CA)の重量濃度(%)=溶液中のCAの質量(g)×100/溶液中の前駆体の質量(g)
(iv)分子スペーサ(例えば、ソルビトール)の重量濃度(%)=分子スペーサの質量(g)×100/水の質量(g)
実験室試験は濃度2%未満のポリマーおよび濃度1%未満のCAは、ゲルの架橋を実現せず力学的特性が非常に乏しいゲルの合成をもたらすということを示した。一方、濃度が約5%よりも高いCAは、架橋度およびポリマーの安定を大幅に増加させるが高吸収性ゲルの吸収特性を極端に減らす。
【0192】
CMCNaはイオン性ポリマー種であるため、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)に対するカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMCNa)の重量比を調節することによって所望の吸収特性を実現することが可能である。最適な吸収特性を有する食用ポリマーヒドロゲルの合成を可能にする0/1および5/1の間、好ましくは、1/1および3/1の間にあるCMCNa/HECの重量比を観測した。
【0193】
本発明による異なる食用ポリマーヒドロゲルの合成に関連し、クエン酸の重量パーセント(重量%)およびポリマー前駆体の組成物が互いに異なる実施例を下記に挙げる。
【0194】
食用ポリマーヒドロゲルAの調製:蒸留水を含むビーカー中に、数分以内に完全に可溶化するまで4重量%の濃度であるソルビトールを添加し混合した。CMCNa/HECの重量比が3/1を維持して、2重量%の総濃度でCMCNaおよびHECポリマーを添加する。ポリマーの全量の可溶化が達成するまで混合を進行させると溶液が透明になった。この段階において、1重量%である濃度のクエン酸を粘性が大いに増加していた溶液に添加した。得られた溶液を容器に注ぎ、48℃で48時間乾燥させた。この過程の間、高分子は食用ポリマーヒドロゲルの骨格であるポリマーネットワークへと安定化する。架橋過程の終了時に、室温で24時間、食用ポリマーヒドロゲルを蒸留水で洗浄した。この工程の間、食用ポリマーヒドロゲルは膨潤し、それによって不純物を除去した。最大の膨潤度および全ての不純物の除去を達成するために、24時間の洗浄ステップの間に、蒸留水による洗浄を少なくとも3回行った。この洗浄ステップの終了時に、ガラス状の白色沈殿物を得るまで非溶剤としてのアセトン中の相転移によって食用ポリマーヒドロゲルを乾燥させた。その後、沈殿物を約3時間45℃の炉内に入れアセトンの微量残留物を除去する。
【0195】
食用ポリマーヒドロゲルBの調製:ポリマーがCMCNaのみでできていること、およびCMCNa濃度が蒸留水の重量に対して2重量%であることを除いては、食用ポリマーヒドロゲルBは食用ポリマーヒドロゲルAと同様に調製した。
【0196】
食用ポリマーヒドロゲルCの調製:クエン酸濃度がCMCNaの重量に対して0.04重量%であることを除いては、食用ポリマーヒドロゲルCは食用ポリマーヒドロゲルBと同様に調製した。
【0197】
食用ポリマーヒドロゲルDの調製:クエン酸濃度がCMCNaの重量に対して0.01重量%であることを除いては、食用ポリマーヒドロゲルDは食用ポリマーヒドロゲルBと同様に調製した。
【0198】
食用ポリマーヒドロゲルDの調製:クエン酸濃度がCMCNaの重量に対して0.5重量%であることのみを除いては、食用ポリマーヒドロゲルDは食用ポリマーヒドロゲルBと同様に調製した。
【0199】
食用ポリマーヒドロゲルEの調製:4重量%の総濃度でCMCNaおよびHECポリマーを添加することを除いては、食用ポリマーヒドロゲルEは食用ポリマーヒドロゲルAと同様に調製した。
【0200】
食用ポリマーヒドロゲルFの調製:クエン酸濃度がBMCNaとHECの合わせた重量に対して0.5重量%であることのみを除いては、食用ポリマーヒドロゲルFは食用ポリマーヒドロゲルAと同様に調製した。
【0201】
吸収測定
蒸留水中での食用ポリマーヒドロゲルの吸収測定をすることで上記のように調製した食用ポリマーヒドロゲルの吸収特性試験を行った。吸収測定は原則として、蒸留水中の乾燥ステップから得た乾燥サンプルを配置し、平衡状態に到達するまで膨潤させることから成る。
【0202】
ゲルの吸収特性を、上記で説明した式に従って定義した膨潤比(SR)に基づいて評価する。実験誤差の影響を最小限にするために、各ゲルからの3つのサンプルにおいて各試験を行い、その後、3つの測定結果の平均値を有効値と見なした。
【0203】
3つの乾燥サンプルを各試験ゲルから採取したが、それぞれが異なる重量および大きさを有していた。重量を記録した後、室温で大量の蒸留水中にてサンプルを膨潤させた。24時間後に平衡に到達した時、膨潤比を決定するためにサンプルをもう一度計量した。
【0204】
結果
下記の表2は、膨潤比に関して、試薬の濃度および架橋時間を変化させて(6時間、13時間、18時間、24時間)得られたいくつかの結果を報告している。
【0205】
【表2】

ポリマー濃度の増加は、最終形成物の膨潤特性に対して悪影響を与え、架橋時間は、吸収特性の重大な影響を与える。
【0206】
従って、ポリマー濃度を2%に固定し続け、クエン酸濃度を変化させてさらなる実験を行った。その結果を表3にて報告する。
【0207】
【表3】

表3は、0.02%のクエン酸(CA)濃度のサンプルg22が最良の膨潤比を有することを示す。
【0208】
溶液からHECを完全に除去してさらなる実験を行った。これは食用ポリマーヒドロゲルをより親水性にし、それによって膨潤比の増加をもたらしている。表4は得られたいくつかの結果を示す。
【0209】
【表4】

最も高い膨潤比は、13時間の架橋時間および0.02%のクエン酸濃度に関連する。さらに、より短い架橋時間とともに、より高いクエン酸濃度は同様に良好な膨潤比をもたらすが反応は非常に速く、かつより制御しづらくなる。
【0210】
最後に、吸収特性を促進する材料内に細孔を作り出すことによって、膨潤比を増加させる可能性を評価した。その目的のために、12時間架橋を行ったサンプルg31を24時間蒸留水中で膨潤させ、その後、アセトン中の相転移によって乾燥させた。この手法を用いて、200の膨潤比を得た。
【0211】
実施例3人工胃液(SGF)およびSGF/水の混合物中の食用ポリマーヒドロゲルの膨潤
本実施例は、37℃の様々な媒体中での、インビトロの膨潤および崩壊の実験における実施例2で食用ポリマーヒドロゲルBと表示される超吸収性食用ポリマーヒドロゲルの評価について記載している。
【0212】
37℃での膨潤速度(100%SGF中にて)
乾燥した100gの食用ポリマーヒドロゲルを人工胃液(「SGF」)、またはSGFと水の混合物に浸漬させ平衡状態に到達するまで膨潤させた。USP試験液手順に従ってSGFを調製した。様々な時点で各液体中の膨潤比を決定した。その結果を表5および表6に記載した。
【0213】
【表5】

【0214】
【表6】

37℃での崩壊速度(SGFの添加を伴う)
水和した食用ポリマーヒドロゲルに対する消化の影響をシミュレートするために、60分後に上記(表6、SGF/水)の膨潤した食用ポリマーヒドロゲルに、100%SGFをゆっくり添加し、ゲル粒子を崩壊させた。添加したSGFの累積体積の関数としての膨潤比をモニターした。その結果を表7に記載した。
【0215】
【表7】

膨潤(1:8のSGF/水中にて)、崩壊(SGF中にて)、および再膨潤(人工腸液中にて)の動態
実験中の温度は37℃で、1:8のSGF/水中の膨潤、SGF中の崩壊、および人工腸液(SIF)中の再膨潤(その後、分解)の全サイクルを通じて、膨潤比をモニターして実験を行った。再膨潤/分解の速度に関して、行った実験および結果を表8に示す。利用可能な場合には、pH値を示した。
【0216】
【表8】

結論
この食用ポリマーヒドロゲルは、人工胃液(pH1.5)中にて約15倍、人工胃液/水の混合物(pH3)中にて約85倍に膨潤する。これは、ドナン効果の不在によって食用ポリマーヒドロゲルが、3未満のpHにおいては(CMCのpKaは−3.1である)、食用ポリマーヒドロゲルの膨潤が制限されるpH/膨潤の相関関係を示している。さらに、ポリマーは増加したpHの人工腸液中でも膨潤することができる。
【0217】
実施例4 クエン酸で架橋したカルボキシメチルセルロースの一般的調製
方法
クエン酸で架橋したカルボキシメチルセルロースからなる食用ポリマーヒドロゲルの別の合成方法を調べた。これらの調製方法は、ポリマー開始濃度;架橋反応の手順(真空中100℃〜大気圧中80℃に変化);洗浄手順;さらに、乾燥手順に関して前に説明した方法と異なった。本例では、一般的合成手順を記載し、続いていくつかの例を示す。
【0218】
原材料
使用した全ての材料は食品等級であり、現在広範囲の食品調製に使われている。調製において使われている原材料について最も一般的な用途のリストを以下に示す。
【0219】
1.セルロース(CAS#9004−32−4、E466):
セルロースの用途の主要な領域は、冷凍乳製品、ペットフード、ベーカリー製品、飲料、低カロリー食品、インスタント食品、並びに、サラダドレッシングの分野にある。セルロースは、医薬品、化粧品、ならびにパーソナルケア製品の分野にも使われている。粘性とレオロジーをコントロールすることに対処し、懸濁と結合の薬剤として使われている。親水性の性質によって、セルロースは、食品内の水分保持にも使われている。セルロースは、さらに結晶成長を抑制し、フィルム形状では、強く抵抗性がある。以下の実施例では、使用したセルロースポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMCNa)であり、これは食品添加物である。
【0220】
2.クエン酸(CAS#77−92−9、E330):
食品添加物としてクエン酸は、食品や飲料、特にソフトドリンクの中で調味料や保存料として使われている。クエン酸は、主要各国および国際食品管理機関から、食用として安全であると認められている。クエン酸は、殆ど全ての生命体に自然に存在し、過剰なクエン酸は、直ちに代謝され体内から除去される。
【0221】
3.ソルビトール(CAS#50−70−4、E420):
ソルビトールは、甘味と高い安定性をもった水溶性多価アルコールである(湿潤性と可塑性をさらに有する)。ソルビトールは、練り歯磨き、トニック/リキッド医薬調整剤、美顔用クリーム、ローションなどの美容品に使われている。ソルビトールは、広範囲の用途がある。主な用途は、歯磨剤、化粧クリーム、ローションおよびオーデコロンであり、これらは、現代社会の日常の消費者製品となっている。医薬品の分野では、特に、ビタミンシロップ、咳シロップ、錠剤化合物として使われている。ソルビトールは、ビタミンC精製の原材料でもあり、さらに食品、タバコ調質、高級紙などにも用途がある。
【0222】
溶液調製
ヒドロゲル合成の第1段階は、原材料を混合することである。原材料は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCNa;ポリマー)、クエン酸(クロスリンカー)とソルビトール(分子的/物理的スペーサ)である。クエン酸とソルビトールの溶解度は水溶液中できわめて高いが、カルボキシメチルセルロースナトリウムと一緒にすると問題が発生する。CMCNa溶解を促進するために使うことのできる多くの手順があり、その内のいくつかを以下に記載する。
【0223】
1.水を加える前に、原材料(特に、CMCNa)をアルコール(エタノール、メタノール、イソプロピルのアルコール)で湿潤する。この手順は、混合の第1段階における水和率を減少させ凝固形成を回避する。均質な溶液(アルコールと水との)が粒子の内部で得られると、CMCNaは水を吸収し始め迅速に溶解する。
【0224】
2.凝固形成を回避するために、CMCNaを水と迅速に混合することによって湿潤する。少量の酢酸を水の中に添加すると、セルロース溶解率(pH 3.74を、氷酢酸25mLを精製水100mLに加えることによって達成する)が改善できる。
【0225】
3.タンクを10℃に保ち、定常的に混合すると、急速にCMCNaが溶解する。
【0226】
上記の技術1〜4の組み合わせ(酢酸を使用しないで)を利用すると、CMCNaを完全に溶解するのに僅かに数時間(典型的に約6時間)しか必要としない。
【0227】
溶液乾燥プロセス
前段階で調整した溶液は、湿性フィルム内で乾燥させる。乾燥段階は、ヒドロゲルの最終的性質をコントロールするのに重要である。セルロースの架橋は、反応の副生成物としてできる水との平衡反応の手段によって起こる。これは、材料内の水分が一定の値以下の場合にのみ反応が起こることを意味する。この理由により、初期の溶液は、フィルムに流し込むために平らな容器に注ぎこまれる。フィルム厚は、水の蒸発速度と材料の架橋の反応速度を調節制御するための別の重要なパラメータである。乾燥温度は、45℃以下にすべきであり、水冷却器(乾燥チャンバーから水分を除去するために)によってプロセスの速度を早めることができる。
【0228】
架橋段階段階
材料温度がクエン酸のイントララクトン形成温度(約60℃)を超えて上昇した時に、フィルム架橋反応が起こる。重要なパラメータは、フィルム厚、材料と空気湿度、時間と温度である。
【0229】
洗浄段階
洗浄段階は、材料乾燥と組み合わさってプロセスの重要な部分をしめる。用語「洗浄」は、材料から不純物除去する行為を通常示すが、ヒドロゲルの場合、異なる意味を有する。実際には、この段階でヒドロゲルの最終的性質が制御される。架橋されたヒドロゲルが水溶液中に置かれると、膨潤し始めて周囲の溶液と平衡になる。ヒドロゲルネットワークは、反応しなかった開始材料全てを放出することができる。この理由により、洗浄培地を数回交換すべきである(約3回)。ヒドロゲルを水とアルコール(エタノールまたはメタノール)の混合物で洗浄すると、洗浄段階を加速し、必要とする溶媒の量を有意に減少させる。これは製造ラインの安全管理コストに有意に影響を与える。
【0230】
乾燥段階
乾燥段階は、ヒドロゲル(収量と膨潤比)の最終的性質に有意に影響する。いくつかの乾燥方法が適用できる。1つの方法は、ヒドロゲルネットワークに関する非溶媒中(例えば、アセトン)で、相反転法を用いて水抽出することである。いくつかの研究によって、相反転法は、増強した膨潤を有するヒドロゲルの生産に最も適していることが確認された。一方、この方法は、安全管理手順に関わる操作コストについて効果が劣る。水を蒸発することはコストがかからないが、最終的な材料の膨潤容量は一般に低い。この異なる性質は、異なる微孔質に伴う異なる毛細管の保水効果に起因する。微孔質は、相反転の場合、より高くかつ相互に結合している(スポンジ様材料)が、一方風乾によってより低くなる(塊状材料).
第3の可能性は、架橋したフィルムを水とメタノールの混合物で部分的に洗浄し、アセトンの相反転によって引き続き乾燥することである。この手順は、高性能のヒドロゲル(膨潤容量の点において)とより少量の部分的に膨張したヒドロゲルが乾燥されることによる低プロセシングコストとが得られる2倍の有利点がある。
【0231】
実施例5−15 ヒドロゲル生成
下記の実施例5−15は、ヒドロゲルのいくつかのグループを表すが、これらのグループは、CMCNa開始濃度、ソルビトール濃度、架橋時間、洗浄と乾燥の手順の内1つ以上の点において異なる。それぞれの実施例の合成は同じ合成を参照し、架橋時間のみ変更する。
【0232】
実施例5
A:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で60分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0233】

15分後の人工胃液(SGP)膨潤率=33.16
30分後のSGP膨潤率=30.46
60分後のSGP膨潤率=49.38
120分後のSGP膨潤率=33.98
B:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で90分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0234】

15分後のSGP膨潤率=32.38
30分後のSGP膨潤率=29.5
60分後のSGP膨潤率=28.4
120分後のSGP膨潤率=26.2
C:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で120分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0235】

15分後のSGP膨潤率=23.14
30分後のSGP膨潤率=24.46
60分後のSGP膨潤率=18.94
120分後のSGP膨潤率=17.7
D:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で150分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0236】

15分後のSGP膨潤率=24.54
30分後のSGP膨潤率=23.22
60分後のSGP膨潤率=26.16
120分後のSGP膨潤率=23.06
考察
架橋時間を延ばすと、従って架橋の範囲を広げると、平均膨潤率が期待どおりに減少することが観察できる。架橋温度を真空中100℃から空気雰囲気80℃まで減少させると、異なる時間(60、90、120、150分)で架橋したサンプル内の膨潤容量の差異の感受性がわずかに変化することは注目に値する。この例では、水道水が全てのヒドロゲルサンプルを合成して洗浄するのに使われたことは注目に値する。水道水で洗浄すると、最終生成物の膨潤容量を一般に約20%減少させ、同様の合成は、脱イオン水を使ってでき、最終生成物の膨潤容量の点においてより良い成果を達成する。
【0237】
実施例6
A:3%CMCNa;9%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で60分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0238】

15分後のSGP膨潤率=60.1
30分後のSGP膨潤率=63.8
60分後のSGP膨潤率=71.42
120分後のSGP膨潤率=65.26
B:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で90分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0239】

15分後のSGP膨潤率=73.5
30分後のSGP膨潤率=81.62
60分後のSGP膨潤率=64.6
120分後のSGP膨潤率=63.14
C:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で120分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0240】

15分後のSGP膨潤率=47.86
30分後のSGP膨潤率=42.14
60分後のSGP膨潤率=49.5
120分後のSGP膨潤率=42.58
D:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃ (周囲圧力)で150分間架橋させ、
水道水 (700ms)で 一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0241】

15分後のSGP膨潤率=53.32
30分後のSGP膨潤率=63.96
60分後のSGP膨潤率=61.28
120分後のSGP膨潤率=68.88
考察
使用するスペーサ(ソルビトール)量が、CMCNa(9%)の量の2倍〜3倍に増量やしたことを以外、この実施例の合成は実施例5のものと同じである。架橋時間における全てのサンプルについて膨潤容量の増大を確認した。従って化学的安定時のポリマーと鎖の平均距離が増大すると、巨大分子のネットワーク膨潤への弾性(エントロピーの)応答が減少することを裏付けた。膨潤容量について最良の結果は、60分間と90分間架橋した場合に得られるサンプルから得られた。サンプル8は、わずかにより低い膨潤容量を示しているが、長いSGP時間(120分)後、非常に安定しているようであり、時間とともに膨潤容量を増大させている。レオロジーの性質は良好であり、ゲルのリーチングは観察されなかった。
【0242】
実施例7
A:3%CMCNa;12%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で90分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0243】

15分後のSGP膨潤率=98.3
30分後のSGP膨潤率=98.68
60分後のSGP膨潤率=109.46
120分後のSGP膨潤率=91.42
B:3%CMCNa;12%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力で120分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0244】

15分後のSGP膨潤率=55.5
30分後のSGP膨潤率=64.42
60分後のSGP膨潤率=70.12
120分後のSGP膨潤率=92.94

C:3%CMCNa;12%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で150分間架橋させ、
乾燥による損失=7−10%
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0245】

15分後のSGP膨潤率=47.14
30分後のSGP膨潤率=55.84
60分後のSGP膨潤率=59.84
120分後のSGP膨潤率=60.9
考察
この実施例の合成は、スペーサ濃度(12% ソルビトール)の上昇によって特徴づけられた。これは、最終生成物の膨潤容量に関して反応混合物のスペーサ濃度に対する有意な感受性を評価してなされた。90分間架橋したサンプルAは最良の成績を示し、SGP60分後殆ど109の膨潤率までに達した。架橋時間を120分〜150分にさらに増加すると、最終生成物の膨潤容量を有意に減少させ、従って、実施例5、実施例6と比較するとこの例の合成の架橋時間に対するより高い感受性を示した。
【0246】
実施例8
A:6%CMCNa;12%ソルビトール;0.3%クエン酸(5%w/wのCMCNa)と氷酢酸25mL/水100mL(pH3.76)
80℃(周囲圧力)で60分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0247】

15分後のSGP膨潤率=62.4
30分後のSGP膨潤率=61.74
60分後のSGP膨潤率=72.92
120分後のSGP膨潤率=65.58
B:6%CMCNa;12%ソルビトール;0.3%クエン酸(5%w/w のCMCNa)と氷酢酸25mL/水100mL(pH3.76)
80℃(周囲圧力)で90分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0248】

15分後のSGP膨潤率=52.62
30分後のSGP膨潤率=56.70
60分後のSGP膨潤率=59.9
120分後のSGP膨潤率=55.54
C:6%CMCNa;12%ソルビトール;0.3%クエン酸(5%w/w のCMCNa)と氷酢酸25mL/水100mL(pH 3.76)
80℃(周囲圧力)で120分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0249】

15分後のSGP膨潤率=31.16
30分後のSGP膨潤率=37.96
60分後のSGP膨潤率=39.72
120分後のSGP膨潤率=35.54
D:6%CMCNa;12%ソルビトール;0.3%クエン酸(5%w/w のCMCNa)
と氷酢酸25mL/水100mL(pH3.76)
80℃(周囲圧力)で150分間架橋させ、
水道水(700ms)で一晩洗浄し、
アセトンで乾燥させた。
【0250】

15分後のSGP膨潤率=26.42
30分後のSGP膨潤率=30.26
60分後のSGP膨潤率=27.1
120分後のSGP膨潤率=25.32
考察
酢酸は、この実施例の合成の開始反応混合物に加えられて、溶液のpHを3.76に変え、また高いポリマー濃度(6%セルロース)をより良く溶解した。この合成に使用されたソルビトールの量は、CMCNa(12%)に対して常に2倍であり、クエン酸濃度は、全てのサンプルについて常にCMCNaの5%であった。最初の重要な結果は、CMCNaの溶解が完全で容易に達成したことのみならず、安定した架橋されたネットワークが得られたことであった。さらに、材料の膨潤率は有意であり、60分間架橋したサンプルに対して最大で約73であり、60分間SGF中で維持した。もちろん、架橋時間を増加すると付随物の膨潤率が減少する;この減少はかなり滑らかであり、従って、架橋時間の変動に対して高感度であることを示していない。
【0251】
実施例9
A:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸
80℃(周囲圧力)で60分間架橋させ、

15分後のSGP膨潤率=22.66
30分後のSGP膨潤率=22.08
60分後のSGP膨潤率=22.56
120分後のSGP膨潤率=20.74
B:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸
80℃(周囲圧力)で90分間架橋させ、

15分後のSGP膨潤率=17.3(±5%)
30分後のSGP膨潤率=16.38(±5%)
60分後のSGP膨潤率=16.76(±5%)
120分後のSGP膨潤率=15.8(±5%)
C:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸
80℃(周囲圧力)で120分間架橋させ、

15分後のSGP膨潤率=13.06
30分後のSGP膨潤率=13.4
60分後のSGP膨潤率=14.26
120分後のSGP膨潤率=12.94
D:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸
80℃(周囲圧力)で150分間架橋させ、

15分後のSGP膨潤率=12.74
30分後のSGP膨潤率=13.26
60分後のSGP膨潤率=13.8
120分後のSGP膨潤率=13.02
考察
水洗浄とアセトン乾燥の両方の段階を除いたことの評価目的で、実施例9のサンプルを、これらの2つの段階を除いた以外は実施例5と同じ組成で生成した。従って、サンプルは異なる時間で架橋し、その結果として生じた乾いた粉末を直接膨潤実験のために使った。結果は良くなく、膨潤率は最良で22を超えなかった。これは、洗浄とアセトン乾燥の2つの段階の内少なくとも1つが、所望の膨潤性質を持った生成物を得るために必要であることを示唆する。これは、おそらくは微細構造(結合した微小孔構造から粗大材料まで)、反応しなかった不純物の存在(固体状態の反応により、貯蔵時に架橋が増加するその他の副作用をも有することができる)などを含む効果の組み合わせによるものであると思われる。
【0252】
実施例10
A:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸
80℃(周囲圧力)で60分間架橋させ、
水道水(700s)で一晩洗浄し、
45℃の空気雰囲気で乾燥させた。
【0253】

15分後のSGP膨潤率=43.52
30分後のSGP膨潤率=41.44
60分後のSGP膨潤率=59.06
120分後のSGP膨潤率=58.36
B:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸
80℃(周囲圧力)で90分間架橋させ、
水道水(700s)で一晩洗浄し、
45℃の空気雰囲気でで乾燥させた。
【0254】

15分後のSGP膨潤率=57.45
30分後のSGP膨潤率=45.72
60分後のSGP膨潤率=50.7
120分後のSGP膨潤率=55.86
C:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸
80℃(周囲圧力)で120分間架橋させ、
水道水(700s)で一晩洗浄し、
45℃の空気雰囲気で乾燥させた。
【0255】

15分後のSGP膨潤率=51.94(±5%)
30分後のSGP膨潤率=74.4(±5%)
60分後のSGP膨潤率=74.76(±5%)
120分後のSGP膨潤率=85.9(±5%)
D:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸
80℃(周囲圧力)で150分間架橋させ、
水道水(700s)で一晩洗浄し、
45℃の空気雰囲気で乾燥させた。
【0256】

15分後のSGP膨潤率= 91.5
30分後のSGP膨潤率= 96.54
60分後のSGP膨潤率= 98.24
120分後のSGP膨潤率=95.98
考察
この実施例のサンプルは、アセトン乾燥段階がコストと製造に関する安全性の問題について最も高価であるので、アセトン乾燥段階を除くことを評価するために調製した。サンプルは、乾燥段階の実行を除く以外、実施例5と同じ組成でかつ同じ手順で再び調製した。サンプルは、次に架橋させた後に水で洗浄し、45℃の空気で乾燥させた。結果は非常に興味深い。実際には、膨潤容量は驚いたことに高く、最大膨潤率は実施例23の場合90より高かった、この結果は洗浄に水道水を使用し場合であり、CMCNaに関してソルビトールは2倍の濃度でしかなかった。さらに、風乾の手順により、相反転の熱力学的手法に置き換えられていたアセトン乾燥では使わなかった加温と除湿に関わる全体のプロセスにエネルギーコストが加わることがあることは注目に値する。エネルギー消費による付加コストは、乾燥最終生成物において溶媒トレースのコントロールなどに関わった関連コストと安全手順の両方に関して、アセトン操作による付加コストより少ない。
【0257】
実施例11
A:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸
80℃(周囲圧力)で90分間架橋させ、
メタノール/蒸留水(70%/30%)で3回(約24時間)洗浄し、
45℃の炉炉で一晩乾燥させた。
【0258】

15分後のSGP膨潤率=19.12
30分後のSGP膨潤率=23.96
60分後のSGP膨潤率=23.12
120分後のSGP膨潤率=24.30
B:3%CMCNa;6%ソルビトール;0.15%クエン酸
80℃(周囲圧力)で150分間架橋させ、
メタノール/蒸留水(70%/30%)で3回(約24時間)洗浄し、
45℃の炉で一晩乾燥させた。
【0259】

15分後のSGP膨潤率=21.06
30分後のSGP膨潤率=20.28
60分後のSGP膨潤率=19.09
120分後のSGP膨潤率=21.76
考察
この実施例のサンプルはアセトン乾燥をせずに合成した。メタノールも、洗浄段階の間使用した水を有意に減少させ、最終乾燥段階の前にさらに材料を精製するために、洗浄段階の間水に加えられた。SGP膨潤容量は、極めて低いことが分かった。しかしながら、膨潤容量は混合物組成を変化させることによって改善できる。関連する問題は、良い力学的性質と安定したネットワーク形状を持ったヒドロゲルを達成することである
実施例12
A:3%CMCNa;12%ソルビトール;0.15%クエン酸
80℃(周囲圧力)で90分間架橋させ、
メタノール/蒸留水(70%/30%)で3回(約24時間)洗浄し、
45℃の炉で一晩乾燥させた。
【0260】

15分後のSGP膨潤率=24.02
30分後のSGP膨潤率=24.70
60分後のSGP膨潤率=24.11
120分後のSGP膨潤率=25.73
B:3%CMCNa;12%ソルビトール;0.15%クエン酸
80℃(周囲圧力)で150分間架橋させ、
メタノール/蒸留水(70%/30%)で3回(約24時間)洗浄し、
45℃の炉で一晩乾燥させた。
【0261】

15分後のSGP膨潤率=22.80
30分後のSGP膨潤率=27.10
60分後のSGP膨潤率=26.50
120分後のSGP膨潤率=28.11
考察
この実施例のこれらのサンプルは、スペーサ濃度を高める以外、実施例11と同じ手順で得られた。膨潤容量の僅かな増大が観察された。
【0262】
実施例13
A:3%CMCNa;12%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で90分間架橋させ、
メタノール/蒸留水(70%/30%)で3回(約24時間内)洗浄し、
100%アセトンで2回乾燥/洗浄し、ついで45℃の炉で3時間乾燥させ、アセトンを完全に除去した。
【0263】

15分後のSGP膨潤率=75.38
30分後のSGP膨潤率=76.67
60分後のSGP膨潤率=124.20
120分後のSGP膨潤率=138.60
B:3%CMCNa;12%ソルビトール;0.15%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で150分間架橋させ、
メタノール/蒸留水(70%/30%)で3回(約24時間内)洗浄し、
100%アセトンで2回乾燥/洗浄し、ついで45℃の炉で3時間乾燥させ、アセトンを完全に除去した。
【0264】

15分後のSGP膨潤率=61.73
30分後のSGP膨潤率=80.47
60分後のSGP膨潤率=99.86
120分後のSGP膨潤率=116.45
考察
ここで、洗浄段階は、メタノール−水混合物で行った。洗浄後、材料は水中の洗浄段階を経ずにアセトン中で直接乾燥させた。材料は、アセトン乾燥手順の前は部分的に膨潤した状態であったので、乾燥に必要とするアセトン量は少なく、安全性問題とプロセス管理に伴うコストは低かった。一方、生産効率は最終の膨潤容量において極めて優れていた。
【0265】
実施例14
A:3%CMCNa;6%ソルビトール;0%クエン酸
水100mLに対して酢酸25mL(pH≒3.74)
80℃(周囲圧力)で30、60、90、または150分間架橋させ、
蒸留水で3回洗浄した(約24時間)

15分後のSGP膨潤率=na
30分後のSGP膨潤率=na
60分後のSGP膨潤率=na
120分後のSGP膨潤率=na
(na=膨潤しなかった)
考察
このサンプルはクエン酸を使用することなしに合成し、この合成は、クロスリンカーなしには架橋ができないことを実証する目的で行った。この仮説は、乾燥後水に浸すと材料は溶解するという事実によって実証された。
【0266】
実施例15
A:6%CMCNa;18%ソルビトール;0.3%クエン酸(5%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で90分間架橋させ、
水道水で洗浄した後、アセトンで乾燥させ、最後に45℃の空気雰囲気で
乾燥させた。
【0267】

30分後のSGP/水(1/8)膨潤率=94
60分後のSGP/水(1/8)膨潤率=98
10 rad/secでのSGP/水(1/8)の1%CMC/CAの弾性率 =1238Pa
0.5S−1でSGP/水(1/8)の1%CMC/CAの粘性 =68
B:6%CMCNa;18%ソルビトール;0.06%クエン酸(1%w/wのCMCNa)
80℃(周囲圧力)で18時間架橋させ、
水道水で洗浄した後、アセトンで乾燥させ、最後に45℃の空気雰囲気で
乾燥させた。
【0268】

15分後のSGP膨潤率=100
30分後のSGP膨潤率=105
10rad/secでのSGP/水(1/8)の1%CMC/CAの弾性率= 1300Pa
0.5S−1でSGP/水(1/8)の1%CMC/CAの粘性=140
実施例16 食用ポリマーヒドロゲルの安定性試験
実施例15Bの方法によって調製した食用ポリマーヒドロゲルのサンプルを、高温、また室温で、密封したバイアル内に置いた。それぞれのサンプルについて、SGF:水(1:8)のヒドロゲルの膨潤を予定時間で測定した。下記の結果は、食用ポリマーヒドロゲルは室温と高温度で安定していることを示す。
【0269】


25℃で6日間−SGP/水(1/8)の膨潤=102
25℃で12日間−SGP/水(1/8)の膨潤=107
25℃で20日間−SGP/水(1/8)の膨潤=104
25℃で25日間−SGP/水(1/8)の膨潤=99

70℃で3日間−SGP/水(1/8)の膨潤=87
70℃で6日間−SGP/水(1/8)の膨潤=75
70℃で10日間−SGP/水(1/8)の膨潤=82
70℃で20日間−SGP/水(1/8)の膨潤=81
70℃で25日間−SGP/水(1/8)の膨潤=79

実施例17−23 加工食品および食品
本発明は、好ましくは飽満を提供できるか、かつまたは米国農務省によって規定された日々の推奨許容ビタミンとミネラル量の一部を提供できる食品および食品を含む。これらの食品のそれぞれは、クエン酸で架橋したカルボキシメチルセルロース(”CMC/CAヒドロゲル”)を含む。
【0270】
以下で列挙される5つのグループの食品の実施例は、本発明の異なる用途を説明するために与えられている。
【0271】

パスタ
フードバー
熱いまたは冷たいシリアル
パンおよびケーキ
飲み物
調製の1つのタイプでは、食品調製(例えば、パスタ、ヨーグルト、デザート、飲料)の間または胃/胃腸管(フードバー、コーンフレーク)中で、食品内の食用ポリマーヒドロゲルが膨潤する。第2の調製では、ヒドロゲルが、食品加工のプロセス(パスタ、パン)の間に形成される。
【0272】
実施例17 加工栄養フードバー
本発明のこの部分は、飽満を提供でき、かつ米国農務省によって規定された日々の推奨許容ビタミンとミネラル量の一部を含む栄養スナックを提供する。
【0273】
栄養バーは、胃で分解しない食用ポリマーヒドロゲルを含有する。胃の中で膨潤すると、機械的な手段によりさらなる膨満感を得る。摂取して胃液または胃液と水の組み合わせと接触後、食用ポリマーヒドロゲルは膨潤する。従って、ヒドロゲルによって占められる胃の量は、被験者によって摂取した食用ポリマーヒドロゲルの量より遙かに多いはずである。本発明の食用ポリマーヒドロゲルは、胃から小腸へ移動し膨潤することによって量を占め、かつまたは小腸の壁の圧力を高めることもできる。
【0274】
A.タンパク質濃厚バー
材料
インスタントオート麦 2カップ
脱脂粉乳 1カップ半
食用ポリマーヒドロゲル 7g (実施例 10Dのように調製された)
低炭水化物チョコレートまたはバニラタンパク質粉末 4スクープ
無糖のメイプルシロップ 1カップ
溶き卵白 2個分
オレンジジュース 1/4カップ
バニラ 小さじ1杯
自然アップルソース 1/4カップ
1.炉を325°Fに予熱し、ベーキングシートまたは9x12ベーキング皿に非粘着スプレーをスプレーする。
2.オート麦、粉乳とタンパク質粉末をボールの中で良く混ぜ合わせる。
3.別のボウルに、卵白、オレンジジュース、アップルジュース、無糖シロップを入れ、良く混ぜ合わせる。
4.液体の混合物を乾燥材料と混ざり合うまで攪拌する。粘度は濃くなり、クッキーの生地のようになる。
5.食用ポリマーヒドロゲルを加え、5分間ホモジナイズする。
6.平鍋の上にバターを広げ、縁がパリパリとなり、かつ褐色になるまで焼く。
7.10個のバーにカットして気密容器に貯蔵し、凍結する。
【0275】
B.低脂肪バー
材料:
アーモンドまたはピーナッツバター 1カップ
ハチミツ 3/4カップ
バニラ抽出物 小さじ1/2杯
シナモン 小さじ1/4杯
伝統的な方法で引き延ばしたオート麦
炒って銀色になったアーモンド 1カップ
食用ポリマーヒドロゲル 5g(実施例 10Dで調製したように)
レーズンまたはその他の乾燥果実 1/4〜1/2カップ
1.炉を350°Fに予熱する。9インチの正方形の平鍋をアブラナ調理スプレーでスプレーする。
2.アーモンドバター、ハチミツを、中火にかけた底の厚い平鍋中で混ぜ合わせる。溶けるまで、3分〜5分泡立てる。
3.攪拌しながらバニラとシナモンを入れる。
4.オート麦、アーモンド、ならびにレーズンを加える。
5.食用ポリマーヒドロゲルを加え、5分間混ぜ合わせる。
6.15分間焼く。完全に冷やした後、9つの同サイズの四角形にカットする。
【0276】
C.被覆した食用ポリマーヒドロゲル
1.実施例10Dで調製したように食用ポリマー100gをウースター流動床に置き、アセチル化グリセリド溶液をポリマーの粒子上にスプレーし、乾燥させた。
2.食用ポリマーヒドロゲル粒子(200〜600um)、糖、脱脂固形乳およびカゼインナトリウムを、140°Fに保った3−quartホバート撹拌機で混ぜ合わせる。約1400°Fに予熱した脂肪をドライブレンドに加え、低速度の捏ねアームを使って15分間混合する。
【0277】
D.焼かないグラノーラバー
材料:
しっかりと詰め込まれる黒砂糖 1/2カップ
低カロリーコーンシロップ 1/2カップ
ピーナッツバター 1カップ
バニラ 小さじ1杯
即席押しオート麦 1カップ半
クリスプライスシリアル 1カップ半
粒径範囲200−1000umを有する被覆した食用ポリマーヒドロゲル 10g (実施例10Dで調製したように)
レーズン 1カップ
ココナッツ 1/2カップ
ヒマワリの種 1/2カップ
ゴマ種子 大さじ2杯
1.中型のソースパンで、黒砂糖とコーンシロップとを混合する。沸騰させ、絶えずかき回す。
2.火から下ろし、ピーナッツバターとバニラを加えてかき回す。充分かき混ぜる。
3.オート麦、シリアル、食用ポリマーヒドロゲル、レーズン、ココナツ、ヒマワリの種、およびゴマ種子を加え、充分混ぜる。
4.油をひいていない9インチの正方形の平鍋に押しつける。冷ます。20個のバーにカットする。
【0278】
粒子は、コーンシロップと脂肪で被覆すると膨潤しなかった。一週間後室温でバーを分析した。食用ポリマーヒドロゲルは膨潤しなかったように見えた。食用ポリマーヒドロゲルを有するバーと食用ポリマーヒドロゲルを有さないバーを水(150 mL)の入っているビーカーに入れた。食用ポリマーヒドロゲルを有さないバーは、一時間後分解し、水が自由流動性であった。一方、食用ポリマーヒドロゲル粒子を有するバーを分解し、食用ポリマーヒドロゲル粒子は200倍に膨潤し、水は粘稠性になった。
【0279】
E.ストロベリーフィリングシリアルバー
ストロベリーフィリングを調製する;
粗く刻んだ摘んだままのイチゴ 2カップ半
砂糖1/2カップ
コーンスターチ 大さじ2杯半
溶かしたバター 3/4カップ
詰め込んだ黒砂糖 1カップ
多目的小麦粉 2カップ
ベーキングソーダ 大さじ1/2杯
ゲラノーラシリアル 1カップ半
被覆食用ポリマーヒドロゲル(実施例10Dで調製したように) 10g
作り方
1.全ての材料を小さいソースパンで煮沸する。常に攪拌し、スプーンの背中でベリーを少し押しつぶす。
2.2分煮沸して煮詰め;常に攪拌し(混合物はわずかに塊りになる).
3.クリームバターと砂糖。小麦粉とソーダを一緒にかき回す。クリーム状の混合物に、グラノーラとポリマーを加え、よく混ぜる。
4.半量を油を引き小麦粉をまぶした13x9x2インチの焼き型に入れ、軽くたたいて整える。フィリングを引き延ばす。
5.残りのクラムスの混合物に大さじ1杯の水を、フィリングの頂部に振りかけて加える。冷やした手で軽く押し、柔らかい内にバーにカットする。イチゴの種は、食用ポリマーヒドロゲルの顆粒状の触感を隠す。
【0280】
F.食用ポリマーヒドロゲル含有チョコレート片を有するグラノーラバー
200〜1000umに粒経の食用ポリマーヒドロゲル(実施例10Dで調製したように) 3g
チョコレート(ダークチョコレート、Hershey、PA) 5g
チョコレートを二重のボイラーを使い低温で溶かし、200〜600umの粒径の食用ポリマーヒドロゲルをゆっくりと混ぜ入れる。チョコレートの油は粒子を被覆し、膨潤を防いだ。均質な混合物を作製した後、食用ポリマーヒドロゲル粒子を含有する溶けたチョコレートを冷たい大理石のカウンター上に注ぎ、立方体(2x1x1cm)の形にした。チョコレートキューブを冷蔵庫で一晩寝かせた。翌朝、キューブをカットして2〜3mmの小片にし、実施例16Dのフードバーを調製した。
【0281】
一週間後、室温でチョコレート粒子を分析し、食用ポリマーヒドロゲルは膨潤しなかった。だがチョコレート片を粉々に砕き、水の中に入れると、食用ポリマーヒドロゲルは200倍に膨潤した。
【0282】
実施例18 被覆したフードバー
A KelloggTMSpecialKTM栄養フードバー(KelloggNA Co.、 Battle Creek、 MI)を小片に砕き、これら片を、50℃で10分加熱して溶かした。実施例15Bのようにして調製した食用ポリマーヒドロゲルを、、溶けた片に加えた。(食用ポリマーヒドロゲル3gをフードバー片21gに加えた)。混合物を手で捏ねて、バー状にした。バーが冷えた後、バー10gを水(200mL)の入ったグラスに入れた。最初のなにもしていないバー10gも、水の入ったガラスに入れた。ヒドロゲル含有バーは、1分以内に分解し、8分後には全ての水を吸収し半流動性のゲルを形成した。最初のバーは、10分後そのままであった。
【0283】
実施例19 加工シリアル
コーンフレーク
無糖または加糖のコーンフレーク(コーンミール、濃縮果実ジュース、海塩)をCMC/CAと混合し、混合物に糖の溶液、ミネラル、ビタミン、タンパク質、香料、着色料をスプレーしてコーンフレーク上にコーティングを作り、食用ポリマーヒドロゲルをフレークの表面に付着させた。
【0284】
コーティングをした食用ポリマーヒドロゲル粒子は、ミルクにつけるとこれもミルクのタンパク質によりわずかに膨潤するが、胃液に曝露するとさらに膨潤する。
【0285】
グラノーラシリアル
CMC/CAを顆粒化して顆粒状、またはレーズン、ナッツのようなドライフルーツのような形状、またはその他の形状など所定の形状にした。顆粒状のCMC/CAに糖、ハチミツ、メープルシロップを加え、またその他の流動性甘味料を、穏やかな加熱のもと、乾燥シリアルクラスターと混合し室温にまで冷却してクラスターを形成する。
【0286】
典型的なシリアルクラスターは以下から作成されている:全粒コムギ、糖、米、全粒オート麦、コーンシロップ、小麦フレーク、米粉、ハチミツ、塩、黒砂糖シロップ、コムギ片(全粒小麦粉、コーンスターチ、コーンフラワー、砂糖、塩、リン酸三ナトリウム、ベーキングソーダ、着色)、オート麦粉、天然および人工風味剤、リン酸三ナトリウム、着色、亜鉛および鉄(ミネラル栄養)、ビタミンC(アスコルビン酸ナトリウム)、Bビタミン(ナイアシンアミド)、ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB1(チアミンモノニトラート)、ビタミンA(パルミチン酸)、Bビタミン(葉酸)、ビタミンB12、ビタミンD、無脂肪乳、自然アーモンド風味剤、ウォールナットミール。新鮮さを保存するビタミンE(混合トコフェロール)およびBHT。
【0287】
形成したグラノーラクラスターをミルク内に入れるとミルク内のタンパク質よってゆっくりとしか膨潤しない、しかし胃液に曝露するとさらに膨潤する。
【0288】
オートミール
給仕前に、オートミールシリアルを、コーティングされたかまたはコーティングされていないCMC/CAと混合する。スチールカットしたオート麦は冷水、塩、メープルシロップ、粉末ナツメグ、粉末シナモン、および粉末ショウガの中で数時間浸漬させる。混合物を最大で90分加熱および調理し、その温かい混合物にCMC/CA顆粒を加え、クリーム、ミルク、または追加の水と一緒に給仕される前に、部分的に膨潤させる。
【0289】
実施例20. 加工パスタ
本発明のこの部分は、伝統的なパスタ材料と、製品のカロリー量に応じて濃度を変更できる上述のヒドロゲルとからなる新規なタイプのパスタを記載する。ヒドロゲルは消化器官に吸収されることはないので、その機能は、製品を膨化するのみである。この膨化機能は、乾燥形では乏しいが膨潤した状態でより顕著である。ヒドロゲルは、以下の2つの場所でこの膨潤した状態を示す。2つの場所:第1は、調理中に液体と接触する時(主に水と水溶液)、第2は、胃と小腸の中(胃液と腸液)。
【0290】
この特定の用途ついては、最終生成物のヒドロゲル成分の所望の膨潤容量は、カプセル内の同じ膨化用途と比較した場合より低い。その上、この用途で摂取される生成物量は有意により高いはずである。ヒドロゲルの流体力学的性質(例えば高い粘性、高G’係数、など)は、最終生成物ができ上がる時に美味しい味覚と均一性を生み出すための重要因子である。パスタは、様々な形、サイズ、添加物のタイプおよび濃度(例えば、セモリナ、野菜、風味、など)を有する異なるタイプのパスタの生産に主に関わり合いを持つ。この生産は、工芸生産(小規模、伝統的工業と手順、低圧と高生産時間)または大規模生産(高圧、低生産時間)に分類することができる。
【0291】
乾燥型パスタ生産をするには適切な設備が必要である。設備は次の2つの構成要素から成り立つ:1.この用途に対して薬用量特異的な特定システム、および、2. このプロセスの全成分を混合する蝸牛溶液槽。蝸牛溶液槽混合は、真空中で行って内部に空気や空気気泡を有さない生成物を製造する。これによって、より緻密なまた透明な生成物、もっと重要なことに、伝統的混合物の色よりもっと鮮やかな色の生成物が導かれる。
【0292】
出発混合物は、最終生成物の必要とするカロリー量に応じて制御できる濃度の小麦粉を添加したCMCNaとクエン酸を含んでいる。ソルビトールは、小麦粉自体が分子スペーサとして作用するので出発混合物に加えない。野菜、香辛料、オリーブ油などのその他の成分またはその他の食品も、出発混合物に加えることができる。
【0293】
一度セモリナ粉が加えられると、こはく色のコロイド状の団塊(混合物)は可変長のセクションを持ったシリンダーで移されて移送された混合物を成形する。所望の形に成形した後(例えば、スパゲッティ、タリアテーレなど)、次の段階は乾燥させることであり、生成物の全湿度量はわずかに12.5%(法律許容最大湿度)を下回る値に減少する。他の食物成分が添加された場合は、得られる塊の色と湿度は、添加物の色と湿度に従って変化しうる。
【0294】
乾燥のステップは、全体のプロセスの中で最も感受性の高い部分である。このステップは、生成物の貯蔵期間を延ばし、材料の質を安定化し、生成物の味覚特徴を増し、生成物の成分間に至適な釣り合いをもたらす。乾燥のプロセスは、伝統的炉を使って行う。
【0295】
パスタ生産の第2のアプローチは、パスタ生産プロセス間にヒドロゲルは直接形成されないという事実を除いて、上記した事に似ているが、例4−13よれば、それ以前に合成され、最終生成物の所望のカロリー容量の関数で変化するある濃度で通常のパスタ生産プロセスに加えられる。
【0296】
これらの2つの異なるアプローチに関係する2つの例を以下に記載する。
【0297】
A.調理中のスパゲッティヒドロゲルの形成
材料:
セモリナ粉 2部
CMCNa 1部
水(CMC−小麦粉混合物(33%))
クエン酸(CMC−小麦粉−水混合物(5%))

1.成分を押し出し機に挿入し、水を取り除く。
2.押出プロセスの様々な段階において、徐々に水を加える。
3.押出型から混合物を押し出す。
4.45℃で一晩で押出物を乾燥させる
B.プロセス中にスパゲティヒドロゲルを添加
材料:
CMC/CAヒドロゲル 2部(実施例12の様に)
セモリナ粉 1部
水(初期小麦粉含有量33%)

1.小麦粉を押し出し機に挿入する。
2.押出プロセスの様々な段階において、徐々に水を加える。
3.食用ポリマーヒドロゲルを、押出プロセスの最終部分で加える。
4.押出型から混合物を押し出す。
5.45℃で一晩で生成物を乾燥させる。
【0298】
実施例21 加工パン
本発明のこの部分は、新規のタイプのパンならびにソフトタイプのパンとグリッシーニ様のパンの2つの型について記載する。ここで、作業概念は、上記のパスタとフードバーへの用途のために記載したものと同様である。吸収剤ヒドロゲルが、異なる濃度でパン生成物に加えられて通常のパンの構造と味覚に似せることができる複合構造を達成する、しかしヒドロゲルの添加により、一旦胃に入ると膨潤する。
【0299】
パン生成物のヒドロゲル濃度は、最終生成物の所望の熱容量と生み出される飽満効果の関数に従う変数である。任意選択で、最終生成物の味覚を改善するために野菜、オリーブ油、香辛料、並びにその他の食品を加えることができる。
【0300】

A.ソフトパン
材料:

小麦粉 2部
CMC 1 部
クエン酸(CMCの5重量%)
ナトリウム塩(小麦粉の5重量%)
水(小麦粉の40重量%)
オリーブ油(小麦粉の5重量%)
1.室内条件で水なしで全ての材料を混合する。
2.混合する間水を暖める(37℃)。
3.コロイド性混合物を所望の形に成形する。
4.混合を中止し、37℃で3時間維持する。
5.250°Fの炉でものの形に依存する時間で調理する(円筒状1kgで約1時間を要する)。
【0301】
B.グリッシーニパン
材料:
小麦粉 400g
ベーキングパウダー 20g
バニラ抽出物 小さじ 1杯半
ミルク(37℃) 200mL
オリーブ油 スプーン2杯
塩 スプーン1杯

1.小麦粉、CMC、クエン酸および塩を混合する。
2.小麦粉と塩を円形になるように置く。
3.ベーキングパウダーをミルクの中で溶かし、オリーブ油と一緒に
円形の中央に流し込む。
4.コロイドの塊が得られるまで、全て混ぜ合わせる。
5.混ぜ合わせを中止し、37度で40分間コロイドの塊を放置する。
6.カットし、薄い円柱状片に成形する。
7.200℃の炉で20分間調理する。
【0302】
実施例22 加工飲料
本発明のこの部分は、持続的な水和作用のために水とミネラルを小腸へ長期にわたって運ぶ能力を提供する新規なタイプの飲料を記載する。この結果は、膨潤した食用ポリマーヒドロゲルミクロ球を飲料に加えることによって達成する。食用ポリマーヒドロゲルは飲料と一緒に経口摂取する。一旦小腸に入ると、液体と過剰な塩は濃度勾配によって運ばれて最終的に糞便とともに排泄される。
【0303】
この生成物を提供するために、ヒドロゲルミクロ球は、ビンの中で乾いた状態であり、可能であればふたをして保管される。ヒドロゲルミクロ球は、任意選択でタンパク質、塩、かつまたは経口投与する予定である微粒子が含まれる。飲水の1分前に、ふたの下の容器が壊れ食用ポリマーヒドロゲルが液体に放出され、そこで膨潤し始める。添加物は、最初液体の中へと放出し始め、次に胃腸管の全体の経路へと流れていく。
【0304】
食用ポリマーヒドロゲルの貯蔵量は、水和時間と所望の塩と栄養の濃度の関数に従って変化する。しかしながら、ビンの中に貯蔵された食用ポリマーヒドロゲルの最大量は調節されて全ての液相を吸収することはできない。これは、バルクゲルよりもミクロビーズ懸濁液を作ることを目指している。
【0305】
この特定の分野における用途への2番目のアプローチは、食用ポリマーヒドロゲル材料のキャリアとして飲料を使用することからなり、それによりバルク薬剤の効果を生み出す。この目的ために、乾燥状態の食用ポリマーヒドロゲルは、タンパク質もしくは巨大分子フィルムまたは、水もしくは水溶液の中で溶解しないその他の適当な保護的障壁で被覆され、これによってヒドロゲルが摂取前に液体の中で膨潤するのを防ぐ。一旦食用ポリマーヒドロゲルが胃に達すると、被覆は溶解するか消化される、食用ポリマーヒドロゲルは膨潤し始める、こうして現在の胃の中に存在する液体の粘性が増加する。さらに、被覆保護により、材料は大量に摂取され、キロセゲルを充填したカプセルを何個も摂取することが不必要になる。
【0306】
A.持続性のある水和水
材料:
ミネラルウォーター 400mL
実施例10DからのCMC/CAヒドロゲル 3g

図1に表わされているように、食用ポリマーヒドロゲルは、ビンの蓋の下に水への透過性がない膜で覆われて貯蔵される。飲む前に、蓋に圧力をかけて、膜を破るとヒドロゲルが水に放出される(図2)。ヒドロゲルは水の中で膨潤し、ミクロビーズが水の中で浮遊する懸濁液ができる。この生成物は、現在飲食のために準備が整っている。
【0307】

B.飲料中の膨化薬剤
材料:
ミネラルウォーター 400mL
実施例10DからのCMC/CAヒドロゲル 3g
ユードラジット(Eudragit)(Degussaによる) 0.25g
食用ポリマーヒドロゲルは流動層に置かれ、ユーラジット溶液は食用ポリマーヒドロゲル粒子の上にスプレーされる。そして、流動層から取り除かれる前に乾燥させられる。
【0308】
図3に示されるように、被覆された食用ポリマーヒドロゲルは、使用前は、ビンの蓋の下に乾燥状態で保存される。使用直前に、それは液体に放出され、乾いた懸濁液液体が経口摂取され胃に達するまで乾燥した懸濁物のままである。
一旦胃に届くと、被覆は消滅し、ヒドロゲルは自由に膨潤する。相当量の乾燥材料が、この技術により患者になんら問題を起こすことなく経口摂取できる。
【0309】
C.タンパク質シェイク
CMC/CA粒子(10−250um)はそのまま使われるか、タンパク質で被覆被覆して使うか、かつまたは脂肪をタンパク質シェイクに加えられる(無糖のバニラミルク8オンス、1スクープのタンパク質粉末、少量のレモン、ヨーグルトスプーン山盛り、イチゴ、ブルーベリー、キイチゴ、またはブラックベリー)混合し、給仕される。
【0310】
CMC/CA粒子を含むシェイクは、胃の中で半流動性に転換し、したがって長期間胃の中に留まり、一般的なタンパク質シェイクと比較すると満腹感を高める。
【0311】
実施例23 加工ケーキとペストリー
本発明のこの部分は、ケーキのような形と味覚を保ちながら低カロリーで持続する満腹感を提供できる新規な型のケーキを記載する。この部分は、ケーキと特定のタイプのアイスクリーム:ジアシオリ(ghiaccioli)を含む。
【0312】
ケーキ生産について、上記した超吸収のヒドロゲルはすでに部分的または
完全に膨潤した状態で使われていて、潜在的な風味または着色料もある。
【0313】
A.加工カノーリ
材料:
小麦粉 500g
卵黄 2つ
アルコール 25g
スエット(脂肪) 20g
赤ワイン
CMC/CAヒドロゲル(実施例 15A.)
着色料
レモン風味料
1)カノーリシェル:
a)小麦粉を大きなボウルに入れる、卵黄、アルコールとワインを小麦粉の中央に加え、全体が強い粘性を持つまで混合する。
b)塊を30分間タオルで覆う。
c)ドウを回してシート状(2/3mm 厚さ)にし、それをカットして環状の片とする(10cm 直径)。
d)環状のシートを円柱状型の周りに包み、スエットを入れたフライパンで揚げる。
e)片を揚げたらそれらを冷やし、型を取り除く。
2)カノーリフィリング:
a)乾燥ヒドロゲル粉末をレモン風味と着色料を含有する水に浸す。ヒドロゲルが溶液を吸収し、ガラス様の乾燥状態からゲル様の膨潤した状態になる。
b)膨潤したヒドロゲルを外側の円柱状部分の内側に挿入し、冷たいまま給仕する。
【0314】
B.チョコレートスポンジケーキ1
材料:
全卵 4個
グラニュー糖 1カップ
溶かしたマーガリン 大さじ1杯半
ふるいにかけたココア 1/4カップ
沸騰水 大さじ4杯
小麦粉 小さじ1杯と1/8
Hi−maize(登録商標)260抵抗性デンプン 1/3カップ
調製:
1.炉を350°Fに予熱する。
2.9インチのケーキパンに軽く油をひき、底部にワックス紙を敷く。
3.卵を電気撹拌機でふわふわになるまで泡立て、次に徐々に砂糖を加え、15分間泡立てる。
4.バター、ココア、ならびに沸騰水を一緒にし、卵の混合物に混ぜ入れる。
5.小麦粉をふるい、また卵の混合物上にもう一度ふるう。
6.Hi−maize抵抗性デンプンを丁寧に混ぜ入れる。
7.混合物をスプーンですくって調製したケーキパンに入れる。
8.約50分間または触って堅く感じるまで焼く。
9.冷ます。
【0315】
ケーキは香り高く、濃厚であった。
【0316】
C.チョコレートスポンジケーキ2
材料:
全卵 4個
グラニュー糖 1カップ
溶かしたマーガリン 大さじ1杯半
ふるいにかけたココア 1/4カップ、
沸騰水 大さじ4杯
小麦粉 小さじ1杯と1/8
Hi−maize(R)260抵抗性デンプン 1/6カップ
CMC/CAヒドロゲル(実施例15A) 大さじ1杯
調製
1.炉を350°Fに予熱する。
2.9−インチのケーキパンに軽く油をひいて、底部にワックス紙を敷く。
3.卵を電気撹拌機でふわふわになるまで泡立て、次に徐々に砂糖を加え、15分間泡立てる。
4.バター、ココア、ならびに沸騰水を一緒にし、卵の混合物に混ぜ入れる。
5.小麦粉をふるい、また卵の混合物の上にもう一度ふるう。
6.クエン酸ポリマーで架橋したカルボキシメチルセルロースを温水1/6カップ内で膨潤させる。
7.Hi−maize抵抗性デンプンを加え、丁寧に混合する。
8.上記の材料と混合したクエン酸ポリマーで架橋したHi−maize抵抗性デンプン/カルボキシメチルセルロースをゆっくりと混ぜ入れる。
9.混合物をスプーンですくって調製したケーキパンに入れる。
10.約50分間または触って堅く感じるまで焼く。
11.冷ます。
チョコレートケーキは香りがあり、良い生地であった。
【0317】
D. 冷凍菓子
材料:
CMC/CAヒドロゲル
着色料
香料
乾燥ヒドロゲル粉末を、香料と着色料を含有する水溶液の入っているボウルの中に入れる。ヒドロゲルが溶液を吸収し、ガラス様の乾燥状態からゲル様の膨潤した状態になる。膨潤したヒドロゲルを型に流し込み、


その型を−4〜−10℃の温度のフリーザーに置く。生成物を型から外し、凍ったまま給仕する。ヒドロゲルが水を閉じ込めたままにするので室温に達しても、この冷凍菓子から水がしたたることはない。
【0318】
実施例24. CMC/CAヒドロゲルと一般の食物線維との比較


CMC/CAヒドロゲルを、実施例15Bに示されているように作る(CMCNa6%;ソルビトール18%;周囲圧力、80℃で210分間架橋したクエン酸0.06%)。このヒドロゲルの流体力学的性質を、標準的方法を使ってサイリウム、グアーガムならびにグルコマンナンとの性質と比較する。
【0319】
図4は、膨潤した超吸収ヒドロゲルが、食物線維:サイリウム、グアーガムならびにグルコマンナンと比較すると、SGFに有意により高い粘性(SIFデータは表示せず)を作り出していることを示している。
【0320】
図5および図6は、記載するSGFの濃度効果食物線維と異なり、ヒドロゲルは低い濃度でも粘性に有意な効果を有していた(同様のデータがSIFで得られた。データは表示せず)。これは、市販の線維の消費量は胃腸への逆効果によって制限されているので重要である。この逆効果は1日の摂取量を〜10gに制限するが(これは胃全体の1%に相応する)、一方同様の濃度でヒドロゲルはかなりの粘性を有する。
【0321】
食用ポリマーヒドロゲルの増加した粘性と増加した弾性は、機械的伸張、胃内容排出率を緩徐、グルコースと脂肪の吸収率を緩徐により飽満感を増やし、食物摂取を減少させ、より良い体重管理と血糖管理へ導く。
【0322】
実施例25 水中のCMC/CAとグルコマンナンの流動度
2種類のCMC/CA(短めと長めの架橋時間:CMC/CA−A005を 15時間とCMC/CA−AOOlを36時間)の流動度(G’とGOO)とグルコマンナンの流動度を、蒸留水中で測定した。
CMC/CAは、実施例15Bと同様な方法を使ってヒドロゲルを調製した。
【0323】
【表10】

この結果は、標準的な条件(水中)でもまた同様の濃度でもCMC/CAの流体力学は、グルコマンナンのものより優れていることを示す。
【0324】
実施例26−29 インビボ実験
これらの実施例の全ての実験は、動物看護と利用委員会(IACUC)と動物保護委員会のそれぞれで承認された。以下の実験で使われた手順は、許容された慣例に準じ、動物に対して、疼痛の原因、苦痛、不快感を最小限にまたは回避するように設計した。瞬間的もしくは軽微な、疼痛もしくは苦痛を伴う環境では、これらの薬剤を控えることが実験長により文書にて正当な理由が説明されて、かつ動物愛護委員会(IACUC)で承認されるのでなければ、動物は適切な鎮痛薬または麻酔薬を与えられた。
【0325】
実施例26 SAPを投与された異なる群からなるラットの食物摂取量の減少
CMC/CAヒドロゲルを調製し、実験条件は、実施例2に概略されたものと同じであった。しかしながら、実施例1と対比して、3つの異なるラットのグループが使われた。第1のラットのグループには、動物の体重増加を促進するために高脂肪食を与えた。(例えば、固形飼料の重量の20%は脂肪が占める)第2のグループは、より高齢の動物からなり、このグループもまた時間と共に体重を増やした。第3のグループは、第1のグループと年齢が一致し、かつ第2のグループより若く、通常の食餌を与え。
【0326】
第2の実施例で観察したように、被験体デザインの水コントロールと比較するとCMC/CAヒドロゲルは食物摂取に有意な減少をもたらした。
【0327】
実施例27 CMC/CAヒドロゲル投与後の食物摂取の減少

合計21の雄のSDラットが、ヒドロゲルまたは媒体投与(ヒドロゲル(水10mLに対して100mg)は、水中で前もって膨潤させた。)の前に、ランダム化され2つのグループ(10−11 perグループ)に分けられた。ラットは、秤量約400グラムで、標準のケージに入れ、ラット固形標準飼料を与えた。この動物は12時間ごとの明暗のサイクルのもとに置かれた。消灯4時間前に、餌はラットから取り除かれた(図7)。ラットが実験処置されている間、消灯前、動物は経管栄養の前に水で膨潤したヒドロゲルまたはほぼ同量の水を経管栄養された(例えば、ポリマー8mLまたは水8mLが用いられた)。3日後、古典的な被験者内計画では、水を摂取した動物はポリマーを摂取し、その逆も行った。食物と水分摂取(計数的バランス)は自発運動活性(連続したビームブレーキ)と同様にポスト−投薬40時間の間毎5分オンラインモニターした。食物と水分摂取データは、MaNiFeedWin(デジタル細胞秤量を使ったコンピュータ化フィディングシステム)を使って収集した。2種類のベースライン食物摂取(計数的バランス)となめる回数をモニターした。全てのデータは、エクセルスプレッドシートに入力し、引き続いて関連する統計的解析を行った。図6の結果は、別に述べていなければ、平均±標準誤差で表現してある。データの統計的評価は、一元または二元分散分析分散分析(ANOVA)を使って行った。
【0328】
図8は典型的な実験結果を表す。累積食物摂取は時間に対してグラフ化してある。ベースライン(時間=0)におけるグループ間の差はなかった。経管栄養ヒドロゲル8mLは有意に食物摂取量の減少を招いた。示されているように、ヒドロゲルが18時間にわたり食物摂取量の顕著な減少を誘発した。これらのデータは、ヒドロゲルの投与は、胃充填効果、より緩慢な胃内容排出時間、ならびに小腸の効果によって食物摂取量の減少を招いたが、これら全ての効果を合わせたものが、胃賦形剤が提供するより長い期間渡って哺乳類における満腹感を誘発することを示唆する。さらに、以前の実験(例20)からラットの胃は60−120分間後空であったことに気がついた。
(例えば、 Tomlin et al.胃が半分空になる時間は、20分より以下であると報告している;Tomlin. 1. et al.Gut. 1993、 34(9): 1177−1181も参照)拡張した効果は、より緩慢に空にする時間と小腸内のポリマー再膨潤によって得られた満腹感によって達成した。
【0329】
実施例28 CMC/CAヒドロゲルを投与された異なる群からなるラットの食物摂取の減少
実験条件は実施例26に概略が示されているのと同じようにした。しかしながら、3つの異なるグループのラットを実施例26と比較するために使った。3つの異なるグループのラットがこの実験で使われた。第1のグループのラットは、動物の体重増加を促進するために高脂肪食(例えば、固形飼料の重量の20%は脂肪であった)が与えられた。第2のグループは比較的高齢の動物から成り立ち、これらも時間と共に体重が増えた。第3のグループは、第1のグループと年齢が一致するか、第2のグループより若く、通常の食餌を与えた。
【0330】
被験体デザインの水コントロールと比較するとCMC/CAヒドロゲルは食物摂取に有意な減少をもたらした。
【0331】
実施例29 エネルギー消費、尿産生、糞便産生へのCMC/CAヒドロゲルの急性効果
ヒドロゲルの行動特異性は、エネルギー消費、尿および糞便の産生を同時に検査することによって評価した。ヒドロゲルの経口投与に依って亜慢性(1日1回の経管栄養10mL)によりSDラットを実験した。
【0332】
4日間のヒドロゲルの亜慢性投与は、尿もしくは糞便の産生、または糞便の含水率に影響を及ぼさなかった。これらのデータは、投与されたヒドロゲルが胃腸管で分解されそのままでは放出されなかった事を指し示す。
【0333】
ラットはいっそう少ない餌を消費した(図8)。この結果は、これらのヒドロゲルの投与が十分な期間にわたって体重減少をもたらすことを示した。
【0334】
実施例30 CMC/CAヒドロゲルのGI移行生体外モデリング
図9は、試験管内の研究実験で膨潤−崩壊−再膨潤−分解のサイクルが観察されたことを図解する。使用したポリマーはCMC/CAヒドロゲルであった。
【0335】
人工胃液(SGF)は、蒸留水中で塩化ナトリウム2.0g、ペプシン3.2gおよび濃縮した(37%)HCl 7.0mLを溶解することによって調整して総容積1Lの溶液を得た。(USPテスト溶液方法)(USP Test Solution Method)
上記のSGF溶液は、SGF:水の比がそれぞれ1:8の水と混合し空腹の胃(胃液50mL)にグラス2杯の水(400mL)と一緒に食事をする人を模倣した。
人工腸液(SIF)は、0.2N NaOH 190mL、 蒸留水400mL、およびパンクレアチン10gを水性カリウムリン水素溶液に加え、結果得られる溶液のpHを7.5に調節し蒸留水を加えて調整して総容積1Lの溶液を得た。(USPテスト溶液方法)。人工結腸液(SCF)は、上記の人工腸液の調剤の中でパンクレアチンをペクチナーゼで置換することで調整した。
【0336】
図9によって、ヒドロゲルがpH環境に応答する独特の性質が実証された。胃の中でヒドロゲルが膨潤し、続いて胃液体の排泄に呼応し崩壊する。崩壊したヒドロゲルは小腸で再膨潤し、結腸では分解するのみである。線維は膨潤しないが(しかしながら粘性には影響する、例20を参照)、 一方ヒドロゲルは、胃腸管環境(水中で500〜3000)で50〜150倍に膨潤する。
【0337】
実施例31 CMC/CAヒドロゲルのヒト満腹度研究
CMC/CAヒドロゲルの有効性を測定するために、ヒトの研究が行われた。試験は、合計で97患者を含み、患者は盲検的に3つのグループに分けた。食事時に、 1つのグループには、研究中のヒドロゲルを2g用量投与し、一方、他のグループは、重さ、生地、色がヒドロゲルと同じプラセボ(ショ糖)を投与した。
【0338】
表9に示すように使用した方法に従い、3つのグループのそれぞれの被験者には、3食(朝食、昼食、夕食)の内1食のみにCMC/CAヒドロゲルを投与し、他の2食にはプラセボを与えた。それぞれの食事に対して、ヒドロゲルを与えられたグループは表9の内アステリスクで指し示す。週のうち3日間より正確には3日置きに(第1日目、第4日目、第7日目)、各グループがヒドロゲルを各食事時に受け取るように実験を行った。
【0339】
【表9】

被験者は健康なボランティア(学生、医師、病院内勤職員)と極度の肥満の影響を受けていない外来患者であった。イタリアで実験がなされた。通常、被験者はごく少量の朝食と少量の昼食を摂った。夕食は1日のメインミールであった。
【0340】

i) 実験計画概要:
(1)平均BMI約31の被験者 97人
(2) CMC/CAヒドロゲル 2 g
(3) 二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバーデザイン。
【0341】
実証実験からの結果を検討するために記述的統計解析を行った。この解析により、いくつかの場合には、異常値の存在によって結果を歪んだことが示された。異常値の効果を分離して、記述的解析からの結果をもたらすために、推論解析を行った。
【0342】
特に、プラセボに関してヒドロゲルの漸増の効果とBMI、性別年齢、肥満度、投与時刻(朝食、昼食、夕食)ならびに各食事前の空腹度などの独立変数との従属性を実験するために線形回帰を行った。
したがって回帰モデルは以下の形である:
ΔE =α+βBMI+βGEN+βETA’+β0BE+βPASTO+βFAME+ε

上式で、
―ΔE=プラセボと対比したヒドロゲルの漸増の効果、ヒドロゲル投与直後、30 分後と60 分後の満足度の差として計算され、プラセボ投与後の満足感と対比;
―α=モデル切片;
―βBMI=漸増効率に対するBMIの効果;
―βGEN=漸増効率に対する女性遺伝子の効果。変数GENは、男性被験者は0値、女性被験者は1であるダミーとして作った;
―βAGE =漸増効率に対する年齢の効果;
―β0BE=漸増効率に対する肥満度の効果;
―βMEAL =漸増効率に対するヒドロゲル投与時刻の効果。この変数は、朝食前に投与する時は値1、昼食前は値2、また夕食前は値3である;
―βHUNGER =漸増効率に対する投与時の空腹感の効果
―ε=モデル内の不明な残余効果
ii)結果
(1)優れた安全性特性
(2)ここで患者は、各食事前の空腹感、その次に、食事の直後、30分後ならびに60分間後の満腹感について聞かれた自己評価アンケートに基づき、統計的有意差が食事後の満腹度をプラセボと比較すると、視覚的アナログスケール(VAS)で測定して〜16%増加した。
【0343】
実施例32 弾性係数、粘性および膨潤率の測定
A.弾性係数の測定
弾性係数を、下記に説明している方法を使って測定した。標準的な膨潤培養液は、特に他を指定しなければ蒸留水である。膨潤培養液は人工胃液(SGF)水混合物1:8または人工腸液(SIF)であろう。
【0344】
他に指定しなければ、培養液のテストしたポリマーの材料の濃度は0.67%である。150mLビーカーに、テストしたポリマーの材料300mgを加え、次に膨潤培養液(45mL)を加える。ビーカーはパラフィルムでカバーし、溶液は、室温25℃でマグネチックスターラを使って、60分間高ずり速度で(600RPM)攪拌する。
【0345】
テストは、室温でプレート(直径25mm)レオメータ(ARES 509953791T、 Rheometric Sientific、 Inc.)を使って行った。サンドペーパーは、テスト中材料とプレートの間がずり落ちるのを防ぐために、各プレートの表面に固定する。
【0346】
膨潤したサンプルは、内径25mLのステンレススチールリング(後でリングを取り除く)駆動による円柱状レオメータのプレートの間に置かれる。頻度スウィープテストは、0.1〜50rad/sの範囲のひずみ1%で行う。
【0347】
ソフトウェア (RSI Orchestrator by Rheometric Scientific Inc.)は、レオメータトランスデューサから来るシグナル獲得し、PCディスク上に保存する。G’とG’’は、次の式によるソフトウェア経由によって計算する。
【0348】
【数1】

【0349】
【数2】

ωを頻繁に適用すると、τは得られたトルクであり、γは適用した歪みであり、δは変位である。
【0350】
B.粘性の測定
粘性は下記に説明してある方法を使用して測定する。
【0351】
標準的な膨潤培養液は、とくに他を指定しなければ蒸留水である。
膨潤培養液は人工胃液(SGF)水混合物1:8または人工腸液(SIF)であろう。他に指定しなければ、培養液のテストしたポリマーの材料の濃度は0.67%である。150mLビーカーに、テストしたポリマーの材料300mgを加え、次に膨潤培養液(45mL)を加える。ビーカーはパラフィルムでカバーし、溶液は、室温25℃でマグネチックスターラを使って、60分間高ずり速度で(600RPM)攪拌する。
【0352】
テストは、室温(25℃)で平プレート(直径25mm)レオメータ(ARES 509953791T、Rheometric Sientific Inc.)を使って行った。サンドペーパーは、テスト中材料とプレートの間がずり落ちるのを防ぐために、各プレートの表面に固定する。
膨潤したサンプルは、内径25mLのステンレススチールリング(後でリングを取り除く)駆動による円柱状レオメータのプレートの間に置かれる。頻度スウィープテストは、頻度スウィープ範囲ひずみ0.05%〜10%で行う。
他に指定がなければ、ここで示された粘性値は歪み0.5%で測定された結果である。
【0353】
C. 膨潤率の測定
標準的な膨潤培養液は、特に他を指定しなければ蒸留水である。
膨潤培養液は人工胃液(SGF)水混合物1:8または人工腸液(SIF)であろう。
【0354】
他に指定しなければ、培養液のテストしたポリマーの材料の濃度は0.67%である。150mLビーカーに、テストしたポリマーの材料300mgを加え、次に膨潤培養液(45mL)を加える。ビーカーはパラフィルムでカバーし、溶液は、室温(25℃)でマグネチックスターラを使って、60分間高ずり速度で(600RPM)攪拌する。ビーカーの内容は、フィルタフンネルに送られ、約300mBarで3分間減圧する。
【0355】

参考文献

[1]Sannino A. et al.polymer 2005;46:4676
[2]Silverstein R.M.et al. Spectrometric Identification of Organic Compounds,Wiley,1991,pp120−130.
[3]Peppas NA,edible polymer hydro−gels in Medicine and Pharmacy; CRCPress、Boca Raton,Florida,1987,p.29
[4]Coma Vet ai.,Carbohydrate polymers 2003;51:265−271
[5]Xie XS and Liu Q,Starch 2004,56:364

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用ポリマーヒドロゲルを含む、加工食物または食品。
【請求項2】
前記食用ポリマーヒドロゲルが40以上の膨潤比を有する、請求項1に記載の加工食物または食品。
【請求項3】
前記食用ポリマーヒドロゲルが80以上の膨潤比を有する、請求項1に記載の加工食物または食品。
【請求項4】
前記食用ポリマーヒドロゲルが少なくとも200Paの弾性率を有する、請求項1に記載の加工食物または食品。
【請求項5】
前記食用ポリマーヒドロゲルが少なくとも15s−1の粘度を有する、請求項1に記載の加工食物または食品。
【請求項6】
前記食物または食品が炭水化物を含み、食用ポリマーヒドロゲルが、対応する従来の食物または食品と比べて、炭水化物体積の少なくとも一部に置き換わる、請求項1に記載の加工食物または食品。
【請求項7】
前記食物または食品が穀物、シリアルまたはデンプン質を多く含む野菜を含む、請求項6に記載の加工食物または食品。
【請求項8】
親水性ポリマーとポリカルボン酸および食用ポリマーヒドロゲルを架橋して形成された食用ポリマーヒドロゲルから選択された食用ポリマーヒドロゲルを含む加工粉。
【請求項9】
前記粉が小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、えん麦粉、じゃがいも粉、ソルガム粉、キビ粉、ライ麦粉、大麦粉、セモリナ粉、アッタ粉、そば粉、タピオカ粉、玄米粉、もち粉、麺の粉、パスタの粉、クリ粉、ナッツ粉、ひよこ豆の粉、豆粉、えんどう豆粉、スペルト小麦粉およびジャガイモ澱粉粉を含む群から選択される、請求項8記載の加工粉。
【請求項10】
前記食物または食品が熱いおよび冷たいシリアル、フードバー、焼き菓子類、焼きグードミックス、焼き菓子の生地、パスタ、乳製品、プロセスミート、食事代替飲料およびシェイクを含む群から選択される、請求項1記載の加工食物または食品。
【請求項11】
前記食物がウエットまたはドライペットフードである、請求項1記載の加工食物または食品。
【請求項12】
食用ポリマーヒドロゲルがポリカルボン酸と架橋した親水性ポリマーを含む、請求項1記載の加工食物または食品。
【請求項13】
親水性ポリマーがアニオン性ポリマーである、請求項12記載の加工食物または食品。
【請求項14】
前記アニオン性ポリマーがカルボキシメチルセルロースであり、ポリカルボン酸はクエン酸である、請求項13記載の加工食物または食品。
【請求項15】
前記クエン酸とカルボキシメチルセルロースの重量比が約0.5%〜約5%である、請求項14記載の加工食物または食品。
【請求項16】
食用ポリマーヒドロゲルは調理用仕様書と併せてパッケージされる。
【請求項17】
食用ポリマーヒドロゲルが40以上の膨潤比を有する、請求項16記載の食用ポリマーヒドロゲル。
【請求項18】
食用ポリマーヒドロゲルが80以上の膨潤比を有する、請求項17記載の食用ポリマーヒドロゲル。
【請求項19】
前記食用ポリマーヒドロゲルが少なくとも200Paの弾性率を有する、請求項17記載の食用ポリマーヒドロゲル。
【請求項20】
前記食用ポリマーヒドロゲルが少なくとも15s−1の粘度を有する、請求項16記載の食用ポリマーヒドロゲル。
【請求項21】
ポリカルボン酸と架橋した親水性ポリマーを含む、請求項16記載の食用ポリマーヒドロゲル。
【請求項22】
親水性ポリマーがアニオン性ポリマーである、請求項21記載の食用ポリマーヒドロゲル。
【請求項23】
前記アニオン性ポリマーがカルボキシメチルセルロースであり、ポリカルボン酸はクエン酸である、請求項22記載の食用ポリマーヒドロゲル。
【請求項24】
前記クエン酸とカルボキシメチルセルロースの重量比が約0.5%〜約5%である、請求項23記載の食用ポリマーヒドロゲル。
【請求項25】
前記食用ポリマーヒドロゲルが被験者の胃の中で膨潤し、この方法を必要としている被験者に食用ポリマーヒドロゲルの有効量を経口投与するステップを含む、被験者の減量の惹起または体重管理の方法。
【請求項26】
前記食用ポリマーヒドロゲルを食事の前の最長2時間前に食物と一緒に被験者に投与する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記食用ポリマーヒドロゲルが40以上の膨潤比を有する、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記食用ポリマーヒドロゲルが少なくとも200Paの弾性率を有する、請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記食用ポリマーヒドロゲルが少なくとも15s−1の粘度を有する、請求項25記載の方法。
【請求項30】
前記食用ポリマーヒドロゲルが被験者の胃と小腸の両方で膨潤する、請求項25記載の方法。
【請求項31】
前記食用ポリマーヒドロゲルが被験者の小腸では膨潤するが被験者の胃では膨潤しない、請求項25記載の方法。
【請求項32】
前記食用ポリマーヒドロゲルが腸溶コーティングで投与される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
被験者が肥満、過体重または正常体重である、請求項25記載の方法。
【請求項34】
前記食用ポリマーヒドロゲルが胃腸管内の内容物の粘度および弾性率を上昇させ、胃排出および被験者の小腸内で炭水化物と脂肪の吸収を遅くするのに十分な量を投与する、請求項27記載の方法。
【請求項35】
前記食用ポリマーヒドロゲルがポリカルボン酸と架橋した親水性ポリマーを含む、請求項25記載の方法。
【請求項36】
前記親水性ポリマーがアニオン性ポリマーである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記アニオン性ポリマーがカルボキシメチルセルロースであり、ポリカルボン酸はクエン酸である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記クエン酸とカルボキシメチルセルロースの重量比が約0.5%〜約5%である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記食用ポリマーヒドロゲルが錠剤、カプセル、チュアブル組成物または食物の材料として投与される、請求項25記載の方法。
【請求項40】
この方法を必要としている被験者に食用ポリマーヒドロゲルの有効量を経口投与するステップを含む、被験者の減量の惹起または体重管理の方法であるが、前記食用ポリマーヒドロゲルが、i.被験者の胃の中で膨潤し、その後、少なくとも一部は崩壊する、ii.被験者の小腸の中で再膨潤し、かつ、iii.被験者の結腸の中で少なくとも一部は分解する。
【請求項41】
前記食用ポリマーヒドロゲルが十分崩壊して水分の少なくとも50%を放出する、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記食用ポリマーヒドロゲルが40以上の膨潤比を有する、かつ、少なくとも200Paの弾性率がある、請求項40記載の方法。
【請求項43】
前記食用ポリマーヒドロゲルが結腸で分解されて水分の少なくとも70%を放出する、請求項40記載の方法。
【請求項44】
前記食用ポリマーヒドロゲルがポリカルボン酸と架橋した親水性ポリマーを含む、請求項40記載の方法。
【請求項45】
親水性ポリマーがアニオン性ポリマーである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記アニオン性ポリマーがカルボキシメチルセルロースであり、ポリカルボン酸はクエン酸である、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記クエン酸とカルボキシメチルセルロースの重量比が約0.5%〜約5%である、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記食用ポリマーヒドロゲルは、錠剤、カプセル、薬包、チュアブル組成物食物または飲料の成分として投与される、請求項40記載の方法。
【請求項49】
前記食用ポリマーヒドロゲルは被験者の胃、被験者の小腸または両方で膨潤し、食用ポリマーヒドロゲルの有効量を被験者に経口投与するステップを含む、これを必要としている被験者における血糖コントロールを強化する方法。
【請求項50】
前記食用ポリマーヒドロゲルを食事の前の最長2時間前に食物と一緒に被験者に投与する、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記食用ポリマーヒドロゲルが40以上の膨潤比を有する、請求項49記載の方法。
【請求項52】
前記食用ポリマーヒドロゲルが少なくとも200Paの弾性率を有する、請求項49記載の方法。
【請求項53】
前記食用ポリマーヒドロゲルが少なくとも15s−1の粘度を有する、請求項49記載の方法。
【請求項54】
前記食用ポリマーヒドロゲルが被験者の胃と小腸の両方で膨潤する、請求項49記載の方法。
【請求項55】
前記食用ポリマーヒドロゲルが被験者の小腸では膨潤するが被験者の胃では膨潤しない、請求項49記載の方法。
【請求項56】
前記食用ポリマーヒドロゲルが腸溶コーティングで投与される、請求項55記載の方法。
【請求項57】
被験者が肥満、過体重または正常体重である、請求項49記載の方法。
【請求項58】
前記食用ポリマーヒドロゲルが胃腸管内の内容物の粘度および弾性率を上昇させ、胃排出および被験者の小腸内で炭水化物と脂肪の吸収を遅くするのに十分な量を投与する、請求項49記載の方法。
【請求項59】
前記食用ポリマーヒドロゲルはポリカルボン酸と架橋した親水性ポリマーを含む、請求項49記載の方法。
【請求項60】
親水性ポリマーがアニオン性ポリマーである、請求項59記載の方法。
【請求項61】
前記アニオン性ポリマーがカルボキシメチルセルロースであり、ポリカルボン酸はクエン酸である、請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記クエン酸とカルボキシメチルセルロースの重量比が約0.5%〜約5%である、請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記食用ポリマーヒドロゲルは、錠剤、カプセル、薬包または食物の成分として投与される、請求項49記載の方法。
【請求項64】
被験者が糖尿病、インスリン抵抗性であるか、またはインスリン抵抗性または糖尿病を発症するリスクを有する、請求項49記載の方法。
【請求項65】
被験者が過体重、肥満またはメタボリックシンドロームに悩まされる、請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記食用ポリマーヒドロゲルが被験者の胃腸管内の内容物の粘度を上昇させ、胃排出および被験者の小腸内で炭水化物と脂肪の吸収を遅くするのに十分な量を投与する、請求項49記載の方法。
【請求項67】
前記食用ポリマーヒドロゲルが錠剤、カプセル、チュアブル組成物、薬包または食物の成分として投与される、請求項49記載の方法。
【請求項68】
食用ポリマーヒドロゲルの有効量を被験者に経口投与するステップを含み、前記食用ポリマーヒドロゲルが以下の投与のようにある、これを必要としている被験者における血糖コントロールを強化する方法であって、i.被験者の胃で膨潤し、その後、少なくとも一部は崩壊し、ii.被験者の小腸で再膨潤し、およびiii.被験者の結腸で少なくとも一部が分解する、方法。
【請求項69】
前記食用ポリマーヒドロゲルが胃の中で十分崩壊して少なくとも水分の50%を放出する、請求項68記載の方法。
【請求項70】
前記食用ポリマーヒドロゲルが結腸の中で十分に分解して少なくとも水分の約70%を放出する、請求項68記載の方法。
【請求項71】
前記ポリマゲルがポリカルボン酸と架橋した親水性ポリマーを含む、請求項68記載の方法。
【請求項72】
前記食用ポリマーヒドロゲルが食用ポリマーヒドロゲルは、40以上の膨潤率、少なくとも200Paの弾性率および少なくとも30s−1の粘度がある、請求項68記載の方法。
【請求項73】
親水性ポリマーがアニオン性ポリマーである、請求項71記載の方法。
【請求項74】
前記アニオン性ポリマーがカルボキシメチルセルロースであり、ポリカルボン酸はクエン酸である、請求項73記載の方法。
【請求項75】
前記クエン酸とカルボキシメチルセルロースの重量比が約0.5%〜約5%である、請求項74記載の方法。
【請求項76】
前記食用ポリマーヒドロゲルは、錠剤、カプセル、薬包または食物の成分として投与される、請求項68記載の方法。
【請求項77】
酸および脱水したアニオン性食用ポリマーヒドロゲルを含む飲料。
【請求項78】
酸はクエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、酒石酸、リン酸またはりん酸一カリウムである、請求項77記載の飲料。
【請求項79】
前記飲料のpHが4またはそれ以下である、請求項77記載の飲料。
【請求項80】
前記食用ポリマーヒドロゲルがクエン酸架橋カルボキシメチルセルロースである、請求項77記載の飲料。
【請求項81】
膨潤する食用ポリマーヒドロゲルマイクロスフェアを含む飲料。
【請求項82】
前記食用用ポリマーヒドロゲルがクエン酸架橋カルボキシメチルセルロースである、請求項81記載の飲料。
【請求項83】
膨潤する食用ポリマーヒドロゲルマイクロスフェアが1つ以上のタンパク質または塩を含む、請求項81記載の飲料。
【請求項84】
前記微粒子が湿ったバリアーで被覆されている、脱水した食用ポリマーヒドロゲルの微粒子を含む飲料。
【請求項85】
湿ったバリアーが脂肪、タンパク質またはそれらの組み合せを含む、請求項84記載の飲料。
【請求項86】
前記飲料が発泡性である、脱水した食用ポリマーヒドロゲルの微粒子を含む飲料。
【請求項87】
前記飲料が炭化される、請求項86に記載の飲料。
【請求項88】
前記微粒子が湿ったバリアーで被覆される、親水性ポリマーとポリカルボン酸および食用ポリマーヒドロゲルを架橋して形成された食用ポリマーヒドロゲルから選択された脱水した食用ポリマーヒドロゲルの微粒子を含む組成物。
【請求項89】
前記組成物は飲料、プロテイン・シェーク、アイスクリーム、ヨーグルト、冷凍カスタードまたはスープである、請求項88記載の組成物。
【請求項90】
湿ったバリアーが脂肪、タンパク質、糖およびこれらの組み合せを含む、請求項88記載の組成物。
【請求項91】
結腸で発酵することで短鎖脂肪酸を形成し、結腸内容物のpHを低下させる食用ポリマーヒドロゲルの有効量を被験者に経口投与するステップを含む、被験者の心血管または腸の健康を向上させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−509069(P2012−509069A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536618(P2011−536618)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/064988
【国際公開番号】WO2010/059725
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(511120060)ワン エス.アール.エル. (1)
【出願人】(511120071)ジェレシス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】