説明

作像ユニットと画像形成装置

【課題】万が一誤った挿入部へ何度も装着を試みられた場合にも摩耗や破損が生じることのないコネクタや作像ユニットを提供する。
【解決手段】枠体内に少なくとも像担持体と現像手段とを備え、画像形成装置本体に接続するためのコネクタを有する作像ユニットにおいて、上記コネクタに、金属ピンや金属板のような補強部材が取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の静電複写プロセスによる画像形成に用いられる着脱可能な作像ユニットに関するものであり、またこの作像ユニットを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特第3312821号公報
【特許文献2】特開2006−139146号公報
【0003】
電子写真プロセスを用いる画像形成装置では、そのメンテナンス等を容易に行うことができるように、画像形成を行う全工程機器のうち特定の機器、例えば像担持体である感光ドラムや現像器やクリーニング器等をカートリッジ容器内に一括化して画像形成装置本体に対して着脱自在なユニットとすることが行われている(プロセスカートリッジ)。そして装置本体に対して着脱自在なユニットと装置本体の間での電気的接続手段として、各ユニット及び装置本体に各々コネクタを設けるようになっている(特許文献1や特許文献2)。
【0004】
各ユニット及び装置本体に各々コネクタを設ける構成により電気的接続を実現できるとともに、集積されたコネクタにより複数の接続部を有する場合でも接続部分を小型化し、ひいては装置のコストダウンを図ることもできる。
【0005】
近年のカラー化、及び生産性向上(出力枚数の向上)に対応するため、図1に示すような、複数色の作像部(以下、作像ユニットという)を並列に配置した所謂タンデム型の画像形成装置が多くなっている。一般的には、黒、マゼンタ、シアン、イエローの4色の重ね合わせによりカラー画像を得ることが多く、上記作像ユニットは、これら4色分として並列配置される。
【0006】
ここで、コスト的には4色分の作像ユニットは完全に共通した形態を有するのが望ましいが、使用するトナーによる違いや、例えば使用頻度の高い黒色作像ユニットを高寿命化させることで装置のランニングコスト低減を図る等、共通化できない要因がある。共通でない場合、装置メンテナンス等で作像ユニットを着脱する際の誤セットを防止するため、作像ユニットと装置本体の各接合部分に、作像ユニット毎に異形状な接合部、コネクタを設けることが有効である。
【0007】
一例として、本発明の前提となる図5、6に、色違いの作像ユニット及び本体コネクタの形状を示す。図5は図4の黒色作像ユニット200Bkに対する接合部分の本体コネクタであり、図6はその他の色(マゼンタ、シアン、イエローのいずれか)の作像ユニットに対するコネクタである。図5と図6のコネクタは互いに異形状である。この「異形状」は、形状的な相違以外にサイズ的な相違も含む概念である。このような異形状により、黒色作像ユニット200kは装置本体のマゼンタ、シアン、イエロー部に挿入することはできず、また他色の作像ユニット200M、200C、200Yも装置本体の黒部に挿入することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで作像ユニットは、そのユニット内の一部を部品交換することにより継続使用可能なメンテナンス形態を採用する場合もあり、その際にはコネクタやコネクタが設けられるユニットケーシングは単一のまま何度も着脱使用されることとなる。また、近年の地球環境維持のため再使用可能な部品はできるだけ再使用することが望まれており、コストダウンも図ることができる。例えばコネクタは電気的接続が確保される範囲であれば複数回着脱しても使用可能である。
【0009】
しかし、前述したコネクタの異形状部分は万が一誤った挿入部へ何度も装着を試みられた場合には摩耗や破損が生じる場合があり、破損した場合には誤った挿入部に挿入され、装置の正常動作に支障をきたすおそれもある。
【0010】
本発明は上述した問題が発生しないコネクタ及び作像ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、本発明にしたがって、枠体内に少なくとも像担持体と現像手段とを備え、画像形成装置本体に接続するためのコネクタを有する作像ユニットにおいて、上記コネクタに補強部材が取り付けられていることで、解決される。上記補強部材が、コネクタよりも剛性の高い材質からなるピンあるいはコネクタ外形を覆うプレートであれば、一層効果的である。補強部材のコネクタへの取付は、接着剤を用いてもよく、溶着させてもよく、その他、従来周知の固着方法を利用可能である。
【0012】
枠体内に少なくとも像担持体と現像手段とを備え、画像形成装置本体に接続するためのコネクタを有する作像ユニットを、少なくとも二つ装置本体に取り外し可能に装着する画像形成装置であって、上記作像ユニットの一つのコネクタが他の作像ユニットのコネクタとは異形状の部分を有する、画像形成装置において、各作像ユニットのコネクタの異形状部分にそれぞれ補強部材が取り付けられていることで、画像形成装置的に上記課題が解決される。各作像ユニットのコネクタにそれぞれ取り付けられた補強部材が、コネクタよりも剛性の高い材質からなるピンあるいはコネクタ外形を覆うプレートであるのが好ましく、その際、各補強部材が等しく高剛性材質のピンであってもよいし、補強部材毎にピンであったり、プレートであったりしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コネクタ部分の剛性が増し、作像ユニットを画像形成装置本体へ装着する際に、コネクタが誤った挿入部に挿入されてもコネクタが破損する事態を防止でき、繰り返し利用しても確実に正しい挿入部へコネクタを挿入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明は本発明における最良の形態であって、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0015】
図1は、フルカラー画像を形成する画像形成装置一例を示す断面図である。ここに示した画像形成装置100は上から読取部110、作像部本体120、給紙部130で構成され、作像部本体120は、本体内に並列された4個のプロセスカートリッジたる作像ユニット200Bk、200M、200C、200Y、無端状の中間転写ベルト62、2次転写ローラ65、作像ユニットにトナーを供給する各色のトナーボトル59等を備えている。作像ユニット200は、図2に示す通り、プロセスカートリッジ枠体210に、像担持体である感光体10、クリーニング手段であるクリーニングモジュール20(その先端にはクリーニングブレード22が取り付けられている)、帯電手段である帯電モジュール30、現像手段である現像モジュール50等を備えている。作像ユニットと称する場合、少なくとも感光体と現像手段とを一体的にカートリッジ化して、画像形成装置本体に対して着脱可能にしたものをいい、本例のように、クリーニング手段や帯電手段等を追加的に備えることも可能である。
【0016】
中間転写ベルト62は、作像部本体120において、4つの感光体10の上方に位置し、中間転写ベルト62の下側走行辺が各感光体10の周面に当接している。中間転写ベルト62は、各感光体10の表面にそれぞれ形成された互いに異なる色のトナー像が重ねて転写される転写材の一例を構成するものである。
【0017】
感光体10上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト62に転写する構成は、各作像ユニット毎にトナー像の色が異なるだけで、実質的に全て同一である。1つの作像ユニットにおいて説明すると、感光体10は図2で見て時計方向に回転駆動され、このとき帯電電圧を印加された帯電モジュール30によって感光体10が所定の極性に帯電される。帯電後の感光体10には、図1に示された光書き込み装置40から出射する光変調されたレーザビームLが照射され、これによって感光体10に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像モジュール50によって所定色のトナー像として可視像化される。
【0018】
中間転写ベルト62を挟んで、感光体10と反対側に一次転写ローラ61が配置され、この一次転写ローラ61に転写電圧が印加されることにより、感光体10上のトナー像が、回転する中間転写ベルト62上に転写される(一次転写)。トナー像転写後の感光体10上に付着する転写残トナーはクリーニングモジュール20によって除去される。クリーニングモジュールの感光体回転下流側には感光体10上に潤滑剤を塗布して、感光体10表面の磨耗を低減し、クリーニング性を上げる潤滑剤塗布装置70が備えられている。
【0019】
図1に示す画像形成装置100内の下部には、記録媒体である転写紙を収容した給紙カセットを有する給紙装置130が配置され、所定のタイミングで中間転写ベルト62の部分と、これに対置された二次転写ローラ65との間に給送される。このとき、二次転写ローラ65には不図示の電源から所定の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト62上の合成トナー像が転写紙に転写される(二次転写)。
【0020】
合成トナー像を転写された転写紙は更に上方に搬送され、定着装置90を通り、その際、転写紙上のトナー像が熱と圧力の作用により定着される。定着装置90を通過した転写紙は、排紙ローラ対91によって、画像形成装置100の筐体上面の排紙部に排出される。
【0021】
本実施形態では、クリーニング手段、帯電手段、現像手段等の各プロセス手段をそれぞれモジュール化し、作像ユニット(プロセスカートリッジ)を画像形成装置本体から取り外した状態において各プロセスモジュールをモジュール単位で交換できるようになっている。その構造については公知なので、ここでは詳述しないが、そのようにモジュール化することで、なお使用可能であるプロセス手段を作像ユニットの寿命と共に廃棄して資源の無駄が生じることを防止できる。モジュール化した各プロセス手段を交換可能に作像ユニットに組み込み、作像ユニットを画像形成装置本体に着脱自在とすることで、ユーザー又はサービスマンは作像ユニット単位での交換も、プロセスモジュール単位での交換もでき、非常に使い勝手がよい。
【0022】
図3、4は、プロセスカートリッジの一例としての黒色作像ユニット200Bkを互いに異なる方向から見た外観を示しており、図5は黒色作像ユニットの従来公知のコネクタ1と、それに対応する本体コネクタ2を示している。一方、図6はマゼンタ、シアン、イエローのプロセスカートリッジの一例としての作像ユニットの従来公知のコネクタ3と本体コネクタ4を示している。コネクタ1とコネクタ3には互いに異形状部分があり、本体コネクタ2、4もそれに対応した形状となっているため、誤って作像ユニットが異なる個所に挿入されることが防止される。
【0023】
本発明では、図7に示すように、コネクタ5は、上述した異形状部分に金属ピン6を設置されている。このため異形状部分の剛性が増し、誤った挿入部に何度も挿入された場合も、コネクタの破損が防止される。金属ピンの断面形状は丸でも矩形でも効果は変わらない。図8に示す例では、コネクタ7が異形状部分を金属の薄板8で覆われている。このため図7のコネクタ5と同様に剛性が増し、コネクタが破損することがない。図9に示す例では、コネクタの異形状部分に金属板9が接着されており、剛性が増して、コネクタの破損を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】画像形成装置の概略構成図である。
【図2】プロセスカートリッジの概略構成図である。
【図3】プロセスカートリッジの斜視図である。
【図4】プロセスカートリッジの別の角度の斜視図である。
【図5】黒ユニットと本体コネクタを示す図である。
【図6】イエローユニットと本体コネクタを示す図である。
【図7】異形状部分に金属ピンを取り付けたコネクタを示す図である。
【図8】異形状部分を金属薄板で覆われたコネクタを示す図である。
【図9】異形状部分に金属板を接着したコネクタを示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1,3,5,7 プロセスカートリッジ側コネクタ
2,4 本体コネクタ
6 金属ピン
8 金属薄板
9 金属板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体内に少なくとも像担持体と現像手段とを備え、画像形成装置本体に接続するためのコネクタを有する作像ユニットにおいて、上記コネクタに補強部材が取り付けられていることを特徴とする作像ユニット。
【請求項2】
上記補強部材が、コネクタよりも剛性の高い材質からなるピンあるいはコネクタ外形を覆うプレートであることを特徴とする請求項1に記載の作像ユニット。
【請求項3】
枠体内に少なくとも像担持体と現像手段とを備え、画像形成装置本体に接続するためのコネクタを有する作像ユニットを、少なくとも二つ装置本体に取り外し可能に装着する画像形成装置であって、上記作像ユニットの一つのコネクタが他の作像ユニットのコネクタとは異形状の部分を有する、画像形成装置において、各作像ユニットのコネクタの異形状部分にそれぞれ補強部材が取り付けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
各作像ユニットのコネクタにそれぞれ取り付けられた補強部材が、コネクタよりも剛性の高い材質からなるピンあるいはコネクタ外形を覆うプレートであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−310013(P2008−310013A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157453(P2007−157453)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】