説明

作業支援システムおよび作業支援方法

【課題】作業対象物品の組み立ての作業手順情報である指示画面情報と、製造部品表情報とを連動させることにより作業効率を向上できる作業支援システムを提供する。
【解決手段】表示装置25には、作業手順に添って、順に、シート#1、シート#2、シート#3、・・・・の内容が表示される。製造部品表80は、シートIDの内容と関連付けて連動して管理され、シート#2の部品表、シート#3の部品表、シート#4の部品表、・・・のように、シートIDごとの部品表から構成されている。作業手順の見直しにより、シート#3とシート#4とが入換えが必要となると、作業手順は、・・・、シート#4、シート#3、・・・の順になり、製造部品表80は、作業手順の入換えと連動して、製造部品表80の修正が必要になった箇所だけ、入換えの修正をすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業対象物品の組み立ての指示画面情報と製造部品表情報とを連動させる作業支援システムおよび作業支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組み立て製造業において、1人または数人の作業員が部品の取り付けから組み立て、加工、検査までの全工程(1人が多工程)を担当するセル生産方式がある。セル生産方式は、部品や工具などを配置したセルと呼ばれるセル作業台で作業を行う。セル生産方式の大きなメリットとして、部品箱の入れ替えやセルでの作業員の作業順序を変えるだけで、生産品目(製品バリエーションなど)を容易に変更できることで、多品種少量生産への対応に優れている。また、生産量の調整も、セル内人数の調整やセル数の増減によって対応しやすいことが特徴である。
【0003】
セル生産方式では、セル作業台に設置されたデータ表示部に、作業手順情報を表示する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。データ表示部の画面には、作業手順に関する文書、画像、および使用部品の表示データが表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-242928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セル生産方式では、作業手順の順序の良し悪しにより作業効率が大幅に変化することが知られている。このため、管理者などが作業分析を実施して、頻繁に作業手順を変更する必要がでてくる。
【0006】
従来、現場での作業内容の見直しにより、作業工程の作業手順を変更するタイミングと、製造BOM(Bills Of Materials)(以下、製造部品表、または、M−BOMという。)を修正する場合、バッチ処理などにより所定時間毎に修正したため、製造BOMの修正タイミングとが必ずしも一致せず、迅速な作業手順の変更ができない問題があった。具体的には、制御用のプリント基板の場合、部品用の組図を含めて約1万点にもおよぶため、所定時間毎にバッチ処理で製造部品表を修正していた。一方、セル作業台の表示部に表示される作業手順情報は、比較的すみやかに修正できる。このため、作業手順情報の修正時間と、製造部品表の修正時間とに乖離が生じ、生産効率を向上するのに問題があった。
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、作業対象物品の組み立ての作業手順情報である指示画面情報と、製造部品表情報とを連動させることにより作業効率を向上できる作業支援システムおよび作業支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の作業支援システムは、作業者の作業手順を管理する管理サーバ(例えば、データベースサーバ30)と、作業場所に設置され管理サーバからの作業手順に従い表示部(例えば、表示装置25)に作業指示を表示する作業端末(例えば、セル作業端末20)とを備えており、作業手順の順序の入換えと連動して、作業手順に必要な製造部品表の更新を行う。
【0009】
管理サーバの記憶部に、作業端末の表示部に表示する作業手順を識別するシートIDと画面情報とが関連付けられた指図情報(例えば、指図情報32)と、シートIDと該シートIDの作業手順に必要な部品表とが関連付けられたシート単位部品表を含み、作業手順の順序にシート単位部品表が構成された製造部品表情報(例えば、製造部品表情報33)とを有している。
【0010】
管理サーバの処理部は、作業手順の順序の入換え指令を受理すると、指図情報のシートIDに関連付けられた単位ごとに順序の入換えを行い、製造部品表情報のシート単位部品表ごとに順序の入換えを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業対象物品の組立の作業手順情報である指示画面情報と、製造部品表情報とを連動させることにより作業効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る作業表示画面と製造部品表との関係を示す説明図である。
【図2】作業支援システムを示す全体構成図である。
【図3】部品ボックスユニットのICタグ読み取り機能を示すブロック図である。
【図4】作業エリアのセル作業台の一例を示す外観斜視図である。
【図5】表示装置の表示画面例を示す説明図である。
【図6】表示装置の他の表示画面例を示す説明図である。
【図7】指図情報の例を示す説明図である。
【図8】製造部品表情報の例を示す説明図である。
【図9】作業指示画面の入換えからセル作業端末での作業の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】表示装置の作業進捗状況の表示画面例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る作業表示画面と製造部品表との関係を示す説明図である。図1(a)は、表示装置25(図4参照)に表示される作業手順の表示画面と、製造部品表80(M−BOM)との関係を模式的に示している。表示装置25には、作業手順に添って、順に、シート#1、シート#2、シート#3、・・・・の内容が表示される。本実施形態では、シートIDの内容と関連付けて、製造部品表80と連動して構成されている。製造部品表80は、シート#2の部品表(シート#2のシート単位部品表)、シート#3の部品表(シート#3のシート単位部品表)、シート#4の部品表(シート#4のシート単位部品表)、・・・のように、シートIDごとの部品表(シート単位部品表)から構成されている。なお、製造部品表80にシート#1の部品表がないのは、シート#1は、例えば、作業手順のガイダンスなど、実際に組み付ける部品対象がない場合を示している。IDはIDentificationの略である。
【0014】
図1(b)は、表示装置25に表示する作業手順の変更が生じた場合の処理手順を示す。例えば、シート#3とシート#4とが入換えが必要となると、作業手順は、シート#1、シート#2、シート#4、シート#3、シート#5、シート#6の順になる。この場合に、本実施形態では、作業手順の入換えと連動して、製造部品表80の修正が必要になった箇所だけ、入換えの修正をする。これにより、作業工程の作業手順を変更するタイミングと、M−BOMの修正タイミングが連動し、迅速に作業手順の修正をすることができる。
【0015】
また、セル作業台71(図4参照)に配膳される部品73(図4参照)などは、製造部品表80を基にピッキングリストが作成されるため、すでに作成されていたピッキングリストも、自動的に入換えすることが可能となる。以下、具体的に作業支援システムSの構成について、図2を参照して説明する。
【0016】
図2は、作業支援システムを示す全体構成図である。作業支援システムSは、指図管理端末10と、セル作業端末20(作業端末)と、データベースサーバ30(管理サーバ)とを備えている。指図管理端末10と、セル作業端末20と、データベースサーバ30とは、LAN(Local Area Network)などのネットワーク40で接続されている。
【0017】
指図管理端末10は、作業が必要になった際に、指図50を発行・管理する端末であり、データベースサーバ30の記憶部31に、指図内容および組付指示情報を登録する。なお、組付指示情報とは、製品・半製品を組み立てていく(組み付けていく)上で必要な部品および手順の情報をいう。ここでは、組付指示情報として、電子回路基板74(図4参照)(作業対象物品)に部品を取付ける組立工程を一例としている。
【0018】
指図管理端末10は、処理部11、入力装置13、表示装置14、ICタグリーダライタ15、およびプリンタ16を備え、処理部11には、指図50を管理する指図管理部111と、製造部品表80(図1参照)を管理するBOM管理部112とを有する。
【0019】
指図管理部111は、指図出力要求を受理すると、指図50をリライタブルのプリンタ16にて出力する。また、ICタグリーダライタ15は、指図管理部111の指示により、作業内容を特定する情報を作業特定用ICタグ51(第1のICタグ)に書き込む。また、指図管理部111は、指図50のシート入換えの指令を受理すると、指図情報32の入換え(更新)を行う。
【0020】
作業内容を特定する情報とは、例えば、指図50の指図ID、製造する製品・半製品の品名または型番、製作員数である。また、作業対象物品の作業内容を特定する情報の詳細情報として、作業員が、電子回路基板74(図4参照)に部品73(図4参照)を取付ける際の組付情報が記載されており、具体的には、部品73の種別、員数、および部品の取付け順序である。
【0021】
BOM管理部112は、指図管理部111から、指図50のシート入換え要求を受理すると、製造部品表情報33の入換えを行う。また、BOM管理部112は、部品配膳の指令を受理すると、ピッキングリストの出力を行う。さらに、セル作業台71(図4参照)に配膳された部品73の配置が適正化否かを判定することもできる。
【0022】
指図50は、作業者が該当する組立工程が記載された書類である。具体的には、電子回路基板74に取り付ける部品には、各種の部品73があり、1枚の電子回路基板74に部品73を取り付けて作成するための工程のルートが記載されている。例えば、CPU工程、CPU周辺部品工程、電源工程、I/Oインターフェース工程がある。作業者は、指図50により作業工程のルートを判断することができる。作業特定用ICタグ51は、RFID(Radio Frequency IDentification)などの非接触の無線用ICタグを使用し、指図50の書類に添付される。
【0023】
セル作業端末20は、投入口を有する作業管理ボックス21と、作業管理ボックス21の側面に付設され作業特定用ICタグ51を読み取るICタグリーダライタ22(第1のICタグ読取装置)と、作業に必要な部品を格納している部品ボックスユニット23と、部品ボックスユニット23に付設されたループアンテナ234を介してシート特定用ICタグ61(第2のICタグ)を読み取るユニット制御部24と、作業指示を表示する表示装置25(表示部)と、表示装置25の指示に対する作業完了指令をするためのスイッチ26と、セル作業端末20を統括する制御部27とを備えている。
【0024】
シート特定用ICタグ61には、表示装置25に表示されるシートIDの情報が記憶されており、指図情報32(図7参照)により、部品品番、画面ID(画面情報)などと関連付けられている。
【0025】
作業管理ボックス21は、指図50を、作業の開始時に投入するボックスである。また、作業者は、作業が終了すると、指図50を作業管理ボックス21から取り出し、電子回路基板74に取り出した指図50を添付して、次の工程に配送する。
【0026】
ICタグリーダライタ22は、作業管理ボックス21に指図50が投入された際、作業特定用ICタグ51との通信を確認すると、指図50に添付されている作業特定用ICタグ51の情報を読み取り、制御部27を介してデータベースサーバ30に、作業特定用ICタグ51との通信開始情報と、作業内容を特定する情報とを送信する。通信開始情報には、作業管理ボックス21のID、通信開始時刻がある。作業内容を特定する情報には、例えば、指図50の指図ID、製造する製品・半製品の品番、製作員数がある。また、ICタグリーダライタ22は、作業管理ボックス21から、指図50が取り出された際、作業特定用ICタグ51との通信の断絶を確認すると、制御部27を介してデータベースサーバ30に、作業特定用ICタグ51との通信終了情報と、作業内容を特定する情報とを送信する。通信終了情報には、作業管理ボックス21のID、通信終了時刻がある。作業内容を特定する情報には、例えば、指図50の指図ID、製造する製品・半製品の品番、製作員数がある。
【0027】
なお、ICタグリーダライタ22は、周期的にIDの読取動作をしているとき、作業特定用ICタグ51と最初に通信の開始を検知したときを通信開始時刻とし、作業特定用ICタグ51と最初に通信の断絶を検知したときを通信終了時刻とするとよい。また、作業管理ボックス21には、複数のICタグを投入してもよい。他のICタグとしては、例えば、作業者を特定する情報が書き込まれた作業者特定用ICタグ52がある。ICタグリーダライタ22は、作業者特定用ICタグ52が投入された際、作業者特定用ICタグ52の情報を読み取り、制御部27を介してデータベースサーバ30に、作業者特定用ICタグ52との通信開始情報と、作業者を特定する情報とを送信する。通信開始情報には、例えば、作業管理ボックス21のID、通信開始時刻がある。また、ICタグリーダライタ22は、作業管理ボックス21から、作業者特定用ICタグ52が取り出された際、作業者特定用ICタグ52との通信の断絶を確認すると、データベースサーバ30に、作業者特定用ICタグ52との通信終了情報と、作業者を特定する情報とを送信する。通信終了情報には、例えば、作業管理ボックス21のID、通信終了時刻がある。
【0028】
部品ボックスユニット23は、ランプ233およびループアンテナ234が設置された部品ボックス台231と、部品が格納される部品ボックス232(部品箱)とを有する。ランプ233は、組み付け作業時に部品の格納場所を知らせる報知ランプである。ループアンテナ234を利用したICタグ読み取り機能は、図3を参照して説明する。なお、本実施形態では、複数の部品ボックスユニット23を横一例に配置しているが、これに限定されるものではない。セル作業台71(図4参照)にあわせて上下2段にして配置してもよい。また、図2において、部品ボックス232は、ループアンテナ234を表示するために透明にしているが透明である必要はない。
【0029】
図3は、部品ボックスユニットのICタグ読み取り機能を示すブロック図である。部品ボックスユニット23に設置された複数のループアンテナ234は、ユニット制御部24に接続されている。ユニット制御部24には、アンテナ切替器241と、ICタグリーダライタ242(第2のICタグ読取装置)が備えられている。アンテナ切替器241が、所定時間毎にループアンテナ234を切り替えることで、部品ボックス232内のシート特定用ICタグ61を、ICタグリーダライタ242で読み取ることができる。
【0030】
このため、部品ボックスユニット23に配膳された部品内容が適宜変更になった際にも、部品ボックスユニット23の識別情報(部品ボックス位置情報)と、現在配膳されているシートを特定するための識別情報(例えば、シートID)とを対応させることができる。具体的には、図2の実施形態においては、左から部品ボックスユニット23のBOX位置情報を、LB01、LB02、・・・、LB10とすると、各BOX位置情報とシートIDとを対応させることができる。
【0031】
なお、部品ボックスユニット23のBOX位置情報は、ICタグリーダライタ242内の記憶部に、ループアンテナ234およびランプ233を含む部品ボックス台231の固有の識別情報として有しているとよい。また、図3において、各部品ボックスユニット23にループアンテナ234のみを設置し、ユニット制御部24を設けた構成としたが、これに限定されるものではない。部品ボックスユニット23毎にループアンテナ234を含むICタグリーダライタを設けてもよい。
【0032】
図2に戻り、データベースサーバ30は、指図50の指図情報32(図7参照)、製造部品表情報33(図8参照)を記憶部31に記憶し、指図情報32と製造部品表情報33との対応を管理するサーバである。また、データベースサーバ30は、指図50に基づく作業実績情報を記憶し、作業実績情報を分析するサーバであり、指図管理端末10、セル作業端末20からの情報を記憶する。
【0033】
また、データベースサーバ30は、作業時には、セル作業端末20からの情報、すなわち、通信開始情報、作業内容を特定する情報、通信終了情報を受信すると、記憶部31に記憶する。受信した情報には、年月日を含む時刻情報(タイムスタンプ)が付加されて記憶される。記憶部31に記憶される時刻情報には、通信開始情報に含まれる通信開始時刻、通信終了情報に含まれる通信終了時刻、および受信された情報に付加される時刻情報(タイムスタンプ)がある。受信した情報に付加される時刻情報(タイムスタンプ)は、通信開始時刻および通信終了時刻のバックアップとして利用してもよい。また、ICタグリーダライタ22から送付された情報に、時刻情報が含まれていない場合は、受信した情報に付加される時刻情報(タイムスタンプ)が、受信した情報の管理に利用される。データベースサーバ30の演算処理部(図示せず)は、記憶部31の情報から、例えば、指図別の作業時間を演算し、演算結果を記憶部31に記憶する。
【0034】
なお、データベースサーバ30の管理者端末(図示せず)から、指図50の発行状態などの作業内の作業計画および製造工程内の作業実績について、データベースサーバ30の記憶部31を検索することにより、監視、分析することができる。
【0035】
図4は、作業エリアのセル作業台の一例を示す外観斜視図である。セル作業台71の下部には、セル作業端末20の作業管理ボックス21が設置されており、作業管理ボックス21にICタグリーダライタ22が付設されている。作業管理ボックス21は、作業者が、指図50を作業開始時に投入、作業終了時に取出しが容易なように、図面前方に傾斜している。これにより、作業者は、作業管理ボックス21内の指図50の有無も目視確認が容易になる。なお、作業管理ボックス21の投入口は、略垂直で上方向にあることが好ましい。これにより、作業管理ボックス21の設置面積を最小化することができる。
【0036】
セル作業台71の上部(上面)は、電子回路基板74の組立作業エリアであり、また、作業者の前方には、複数の部品ボックスユニット23が設置されている。表示装置25は、作業補助台72の上部に設置されており、作業特定用ICタグ51の情報が表示される。組み付け作業時には、作業者は、表示装置25に表示された情報に従い、電子回路基板74の組み付け作業を行う。
【0037】
部品ボックスユニット23のランプ233のパネル部分には、BOX位置情報(例えば、LB01、LB02)を記載しているとよい。これにより、作業者には、表示装置25に表示された部品ボックスユニット番号の情報と、実際のボックス(BOX)の位置情報とが一致しているか否かの目視確認が容易になる。
【0038】
ピッキングリストに基づき部品を供給する配膳員は、シートIDの順番に、図4の図面の左側の部品ボックス232から右方向に部品を配膳してゆく。このとき、部品ボックス232には、供給される部品とともに、シートIDが記憶されているシート特定用ICタグ61を入れる。これにより、BOX位置情報とシートIDとが関連付けられる。
【0039】
作業者は、表示装置25に表示された作業手順に従って、部品ボックス232から、部品73を取出し、電子回路基板74に組み付け作業を行う。複数の部品ボックス232には、シートIDごとに部品が配膳されているので、所定のシートIDの作業が済むと、該当する部品ボックス232が空になる。これにより、作業者は、組み付ける部品が確実に組み付けているか否かを判断することができる。なお、図4に示す状態は、図面左から2つの部品ボックス232は、すでに部品の組み付けが完了しており、空の状態を示している。
【0040】
図5は、表示装置の表示画面例を示す説明図である。適宜図4を参照する。図5に示す表示画面は、作業者が指図50を作業管理ボックス21に投入した際に表示される画面である。表示部251には、セル作業台71での組付指示内容の作業ガイダンスが示されており、シートIDがB0001のときである。セル作業台71のスイッチ26を押下すると、次のシートIDの画面が表示される。
【0041】
表示部251に表示される項目は、指図ID2511、指図内容2512(製造する製品・半製品の型番、品名、および員数を含む。)、組付指示情報2513、工程ID2514、作業着手日時・作業終了日時2515、作業者ID2516、完成員数2517を含む。組付指示情報2513には、作業者の組み付け手順(シートID)、作業内容、部品ボックスユニット番号2518の表示欄がある。例えば、手順(シートID)がB0001は「作業ガイダンス」、手順がB0002は「Parts001取付」、手順がB0003は「Parts002取付」である。部品ボックスユニット番号2518の欄には、BOX位置情報である「LB01」、「LB02」(図4参照)が表示される。なお、組付指示情報2513に表示する内容には、作業内容とともに、部品品番を表示してもよい。
【0042】
表示装置25の入力部252には、メニューボタン253があり、シート移動を選択すると、カーソルボタン254を利用して、必要がある場合には、これから作業開始する作業手順の画面に移動することができる。
【0043】
図6は、表示装置の他の表示画面例を示す説明図である。図6に示す表示画面には、コネクタを挿入する際の具体例を示す。表示部251(図5参照)には、取付部品欄2521、全体図欄2522、詳細欄2523、部品情報欄2524、作業経過時間欄2525、手順番号欄2526、中断ボタン2527を有している。
【0044】
作業者は、取付部品欄2521のコネクタを、全体図欄2522および詳細欄2523から取り付け位置を確認することができる。また、作業経過時間欄2525の目標時間に対し、現在、どの程度時間が経過しているか確認することができる。作業を中断するときは、中断ボタン2527を押下すると時間経過は中断することができるが、作業時間中の中断時間として、データベースサーバ30に記録される。
【0045】
図7は、指図情報の例を示す説明図である。指図情報32には、製品名(品名)、指図ID、工程ID、シートID、作業内容、セル作業の位置を示す作業場位置情報、セル作業台でのボックス(BOX)の位置を示すBOX位置情報(部品ボックス位置情報)、部品品番、表示画面に表示する際の画面ID、作業者IDなどが登録されている。具体的には、シートIDがB0001の場合は作業ガイダンスであり、シートIDがB0002の場合はParts001の取付作業である。Parts001の取付作業には、複数の部品(例えば、部品P101、P102)が使用される。また、図示はしていないが、各部品の必要な員数などは、リンクされた情報で関連付けられている。なお、作業者IDは、作業者が作業者特定用ICタグ52(図2参照)を、作業管理ボックス21に投入した場合に登録される。
【0046】
図7において、作業場位置情報とBOX位置情報とを区別しているが、これに限定されるものではない。例えば、作業場位置情報とBOX位置情報とをひとつにまとめてBOX位置情報としてもよい。この場合には、BOX位置情報は、例えばLS001LB01として固有の識別情報として管理し、セル作業端末20の制御部27において、部品ボックス232内のシート特定用ID61に記憶されているシートIDと、作業場位置情報を含むBOX位置情報とを関連付けて、データベースサーバ30に送信され、データベースサーバ30は、受信したシートIDおよびBOX位置情報が指図情報32に含まれているか否かを判定する(図9、ステップS8参照)。
【0047】
図8は、製造部品表情報の例を示す説明図である。製造部品表情報33には、製品名(品名)、指図ID、工程ID、シートID、作業内容、作業場位置情報、BOX位置情報、部品品番、倉庫内の部品位置を示す部品位置情報、配膳員ID、配膳員がピッキングする際のピッキングIDなどが登録されている。
【0048】
製造部品表情報33は、指図情報32、倉庫内管理情報などに基づいて作成される。指図情報32のシートIDの順序の入換えが生じた際には、BOM管理部112(図2参照)が、製造部品表情報33のシートIDに関連付けられた行単位で入換えを行う。
【0049】
次に、表示装置25に表示する作業手順の変更が生じた場合の処理について説明する。
図9は、作業指示画面の入換えからセル作業端末での作業の処理の流れを示すフローチャートである。適宜図2を参照する。管理者が作業手順の変更の必要性があるときは、指図管理端末10の入力装置13から指図のシート入換え指令をする。指図管理部111は、シート入換え指令を判定し(ステップS1)、指図のシート入換え指令の場合には(ステップS1,Yes)、指図情報32の入換えを行い(ステップS2)、BOM管理部112にシートの入換え指令の通知をする。次に、シートの入換え指令の通知を受理したBOM管理部112は、製造部品表情報33の入換えをする(ステップS3)。具体的には、図8に示す製造部品表情報33のシートIDで関連付けられた行単位で入換えを行う。これにより、改めて製造部品表情報33を作成するのではなく、行単位の入換えの処理時間で済むことになる。なお、ステップS1において、指図のシート入換え指令でない場合(ステップS1,No)、ステップS1に戻り、入力装置13からの入力指示を待つ。
【0050】
ステップS3において、既に、製造部品表情報33に基づいてピッキングリストが作成されている場合には、BOM管理部112は、製造部品表情報33のシートIDで関連付けられた行単位で入換えに伴い、自動的にピッキングリストもシートIDの入換え順に入換えられる。
【0051】
BOM管理部112は、部品の配膳指令を判定し(ステップS4)、部品の配膳指令の場合(ステップS4,Yes)、ピッキングリストの出力を行う(ステップS5)。このピッキングリスト出力の際、ピッキングタグであるシート特定用ICタグ61(図2参照)に、ピッキングID、シートIDを記憶する。そして、BOM管理部112は、配膳員が所有する携帯端末などに、ピッキング指令および配膳指令を通知する。なお、ステップS4において、部品の配膳指令でない場合(ステップS4,No)、ステップS4に戻り、入力装置13からの入力指示を待つ。
【0052】
通知を受けた配膳員は、倉庫からピッキングリストに基づき、部品をピッキングし、指定された作業場位置、BOX位置の部品ボックス232に部品を供給(配膳)する(ステップS6)。このとき、シート特定用ICタグ61も該当する部品ボックス232に入れる。なお、配膳員は、複数の空の部品ボックス232を台車に載せて倉庫に行き、部品ボックス232ごとに、所定のシート特定用ICタグ61を入れ、そして、ピッキングリストに基づき、ピッキングした部品を該当する部品ボックス232に入れてもよい。この場合には、配膳員は、指定された作業場位置において、部品ボックス232ごと交換するとよい。
【0053】
一方、データベースサーバ30は、セル作業端末20からの情報を受理すると、作業管理ボックス21の指図50の投入の検知であるか否かを判定する(ステップS7)。指図50の投入の検知であると(ステップS7,Yes)、データベースサーバ30は、投入指令に含まれる作業場位置情報、BOX位置情報、シートIDが、指図情報32と一致しているかの部品配置の適正を判定する(ステップS8)。部品配置が適正であるとき(ステップS8,Yes)、ステップS9に進む。部品配置が適正でないとき(ステップS8,No)、部品配置が適正でない旨の警告を、指図管理端末10の表示装置14およびセル作業端末20の表示装置25に送信し(ステップS11)、ステップS8に戻る。作業者は、表示装置25に部品配置が適正でない旨の警告が表示された場合、部品位置の確認を行う作業が発生する。
【0054】
なお、ステップS7において、投入の検知でない場合は(ステップS7,No)、ステップS7に戻る。ステップS8において、部品配置が適正でないとき(ステップS8,No)、ステップS11において、配膳員の携帯端末に警告を通知してもよい。
【0055】
そして、ステップS9において、データベースサーバ30は、作業手順を順次、表示装置25に表示する。データベースサーバ30は、セル作業端末20からの情報を受理すると、作業管理ボックス21の指図50の取出しの検知であるか否かを判定し(ステップS10)、取出しの検知のとき(ステップS10,Yes)、一連の作業が終了する。なお、取出しの検知でないとき(ステップS10,No)、ステップS10に戻る。
【0056】
図10は、表示装置の作業進捗状況の表示画面例を示す説明図である。図10において、図5と同一構成品には同一符号を付しており、説明を省略する。組付指示情報2513には、手順、作業内容、および詳細作業時刻2519を有している。作業着手日時・作業終了日時2515には、指図50が作業管理ボックス21(図2参照)に投入された時刻、および作業管理ボックス21から取り出された時刻が表示される。完成員数2517には、製作員数のうち何枚完成したかが表示され、組付指示情報2513の手順が全て終了した際に、制御部27(図2参照)が完成員数を表示する。
【0057】
詳細作業時刻2519には、各手順の終了時刻が表示され、制御部27が、スイッチ26(図2参照)が押下された時刻を表示する。このように、作業者は、表示装置25(図2参照)の表示画面の作業内容の指示に従い、確認しながら作業を進めることができる。具体的には、手順番号B0003の場合、セル作業端末20の制御部27は、手順番号B0003に該当するBOX位置情報のランプ233(図2参照)が点灯し、作業者は、取り出すべき部品の部品ボックス232を容易に判別することができる。なお、図10に示す表示画面は、メニューボタン253から選択することができる。
【0058】
本実施形態では、指図管理端末10の処理部11が指図管理部111およびBOM管理部112を有するとして説明したがこれに限定されるものではない。データベースサーバ30(管理サーバ)の処理部(図示せず)が指図管理部111およびBOM管理部112を有していてもよい。この場合には、指図管理端末10の入力装置13からの指令により、データベースサーバ30の処理部が、指図情報32および製造部品表情報33の登録/更新/削除などの処理を行う。
【0059】
本実施形態では、作業支援システムSの管理サーバ(例えば、データベースサーバ30)の記憶部31には、指図情報32が記憶されており、指図情報32には、シートIDと関連付けられて部品ボックス位置情報が登録されている。
【0060】
作業端末(セル作業端末20)は、作業対象物品(例えば、電子回路基板74)の作業内容を特定する情報が書き込まれた第1のICタグ(例えば、作業特定用ICタグ51)を読み取る第1のICタグ読取装置(例えば、ICタグリーダライタ22)と、作業者が取り出す部品(例えば、部品73)の部品箱(例えば、部品ボックス232)を識別するランプ(例えば、ランプ233)と、部品箱に入れられたシート単位部品表を識別するシートIDが書き込まれた第2のICタグ(例えば、シート特定用ICタグ61)を読み取る第2のICタグ読取装置(例えば、ICタグリーダライタ242)と、を有する。
【0061】
作業端末は、第1のICタグ読取装置が第1のICタグを読み取ると、その読み取った情報を管理サーバに送信し(例えば、ステップS7)、第2のICタグ読取装置が第2のICタグを読み取ると、シートIDとランプに割り付けられた部品ボックス位置情報とを関連付けて、管理サーバに送信する。
【0062】
管理サーバは、受信した第2のICタグの部品ボックス位置情報およびシートIDと、記憶部に登録されている指図情報のうち受信した第1のICタグの部品ボックス位置情報およびシートIDとが一致するか否かを判定し(例えば、ステップS8)、判定が一致しない場合、作業端末に部品の配置が適切でない旨の警告をし(例えば、ステップS11)、作業端末は、判定が一致する場合、管理サーバの記憶部に登録されている指図情報の作業手順を受信して、表示部(例えば、表示装置25)に受信した作業手順を含む画面情報を表示し、作業手順に基づいて、作業手順ごとの部品ボックス位置情報に該当するランプを点灯させる(例えば、ステップS9)ことができる。
【0063】
本実施形態によれば、下記の特徴を有する。
(1)作業対象物品の組み立ての作業手順情報である指示画面情報(例えば、指図情報32のシートIDに関連付けられた情報)と、製造部品表情報(例えば、製造部品表情報33)とを連動させることにより作業効率を向上できる。具体的には、製造部品表情報33は、シートIDごとの部品情報を含んで構成されている。このため、表示装置25の指示画面情報の作業手順の入換えが必要になった際には、指図管理部111が指図情報32のシートIDの行の入換えを行うとともに、BOM管理部112は、製造部品表情報33のシートIDに関連付けられた製造部品表の入換えを行うことができる。
【0064】
(2)ピッキングリストは、シートIDの部品表ごと順番に出力され、ピッキングされた部品群は、セル作業台71に配置された部品ボックス232に、シートIDごとに関連付けられて順番に配膳される。データベースサーバ30(管理サーバ)は、セル作業端末20から送信された配膳されたシートID、作業場位置情報、部品ボックス232のボックス位置情報(BOX位置情報)を有する情報が、指図情報32と一致するか否かを判定し、配膳された部品が適正に配置されているかを判定することができる。
【0065】
(3)セル作業端末20は、表示装置25に作業手順情報を提示すると共に、その各作業手順情報である指示画面情報に関連付けられているBOX位置情報に対応したランプ233を点灯させることができる。これにより、作業者は、容易に作業に必要な部品の取出しができる。また、作業者または作業管理者は、既に作業が終了している部品ボックス232内の部品の有無により部品の組み付け忘れなどの作業不良を確認することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 指図管理端末
11 処理部
13 入力装置
14 表示装置
20 セル作業端末(作業端末)
21 作業管理ボックス
22 ICタグリーダライタ(第1のICタグ読取装置)
23 部品ボックスユニット
24 ユニット制御部
25 表示装置(表示部)
26 作業スイッチ
27 制御部
30 データベースサーバ(管理サーバ)
31 記憶部
32 指図情報
33 製造部品表情報
40 ネットワーク
50 指図
51 作業特定用ICタグ(第1のICタグ)
52 作業者特定用ICタグ
61 シート特定用ICタグ(第2のICタグ)
73 部品
74 電子回路基板(作業対象物品)
80 製造部品表
111 指図管理部
112 BOM管理部
231 部品ボックス台
232 部品ボックス(部品箱)
233 ランプ
234 ループアンテナ
241 アンテナ切替器
242 ICタグリーダライタ(第2のICタグ読取装置)
S 作業支援システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の作業手順を管理する管理サーバと、作業場所に設置され前記管理サーバからの前記作業手順に従い表示部に作業指示を表示する作業端末とを備え、前記作業手順の順序の入換えと連動して、前記作業手順に必要な製造部品表の更新を行う作業支援システムであって、
前記管理サーバは、
前記作業端末の表示部に表示する作業手順を識別するシートIDと画面情報とが関連付けられた指図情報と、
前記シートIDと該シートIDの前記作業手順に必要な部品表とが関連付けられたシート単位部品表を含み、前記作業手順の順序に前記シート単位部品表が構成された製造部品表情報とを記憶部に有し、
前記作業手順の順序の入換え指令を受理すると、
前記指図情報の前記シートIDに関連付けられた単位ごとに順序の入換えを行い、
前記製造部品表情報の前記シート単位部品表ごとに順序の入換えを行う
ことを特徴とする作業支援システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、
ピッキングリストの出力指令を受理すると、前記製造部品表情報に基づいて前記シート単位部品表ごとにピッキングリストを出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記指図情報には、前記シートIDと関連付けられて部品ボックス位置情報が登録されており、
前記作業端末は、
作業対象物品の作業内容を特定する情報が書き込まれた第1のICタグを読み取る第1のICタグ読取装置と、
作業者が取り出す部品の部品箱を識別するランプと、
前記部品箱に入れられた前記シート単位部品表を識別するシートIDが書き込まれた第2のICタグを読み取る第2のICタグ読取装置と、を有し、
前記第1のICタグ読取装置が第1のICタグを読み取ると、その読み取った情報を前記管理サーバに送信し、
前記第2のICタグ読取装置が第2のICタグを読み取ると、前記シートIDと前記ランプに割り付けられた部品ボックス位置情報とを関連付けて、前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、
受信した第2のICタグの部品ボックス位置情報およびシートIDと、前記記憶部に登録されている前記指図情報のうち受信した第1のICタグの部品ボックス位置情報およびシートIDとが一致するか否かを判定し、
前記判定が一致しない場合、前記作業端末に部品の配置が適切でない旨の警告をし、
前記作業端末は、前記判定が一致する場合、
前記管理サーバの記憶部に登録されている前記指図情報の作業手順を受信して、前記表示部に前記受信した作業手順を含む前記画面情報を表示し、
前記作業手順に基づいて、前記作業手順ごとの部品ボックス位置情報に該当する前記ランプを点灯させる
ことを特徴とする請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記作業端末は、前記第1のICタグ読取装置が前記第1のICタグとの通信ができた場合に前記管理サーバに情報を送信し、前記第1のICタグとの通信が断絶した場合に前記管理サーバに情報を送信し、
前記管理サーバは、前記通信ができた場合に送信される情報に含まれる時刻を、通信開始時刻として登録するとともに、前記通信が断絶した場合に送信される情報に含まれる時刻を、通信終了時刻として登録する
ことを特徴とする請求項3に記載の作業支援システム。
【請求項5】
作業者の作業手順を管理する管理サーバと、作業場所に設置され前記管理サーバからの前記作業手順に従い表示部に作業指示を表示する作業端末とを備える作業支援システムにおいて、前記作業手順の順序の入換えと連動して、前記作業手順に必要な製造部品表の更新を行う作業支援方法であって、
前記管理サーバは、
前記作業端末の表示部に表示する作業手順を識別するシートIDと画面情報とが関連付けられた指図情報と、
前記シートIDと該シートIDの前記作業手順に必要な部品表とが関連付けられたシート単位部品表を含み、前記作業手順の順序に前記シート単位部品表が構成された製造部品表情報とが記憶部に記憶されており、
前記作業手順の順序の入換え指令を受理すると、
前記指図情報の前記シートIDに関連付けられた単位ごとに順序の入換えを行い、
前記製造部品表情報の前記シート単位部品表ごとに順序の入換えを行う
ことを特徴とする作業支援方法。
【請求項6】
前記管理サーバは、
ピッキングリストの出力指令を受理すると、前記製造部品表情報に基づいて前記シート単位部品表ごとにピッキングリストを出力する
ことを特徴とする請求項5に記載の作業支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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