説明

作業機械の吸音材及び作業機械の吸音材の製造方法

【課題】作業機械の吸音材及びその製造方法に関し、耐熱性,撥水性及び良好な吸音特性を確保しつつ、製造工程の合理化を可能とする。
【解決手段】
メチロール基を有する1価フェノール・ホルムアルデヒドポリマーとアルキル基を有する1,3−ジヒドロキシベンゼン・ホルムアルデヒドポリマーとの縮合重合物のスルホメチル化物からなるレゾルシノール樹脂を不織布に含浸又は塗布加工したものを加熱成型して硬化定着させて、樹脂硬化表皮材7を作成する。また、接着剤4を介して吸音素材6の周囲に樹脂硬化表皮材7を被覆させ糊着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械のエンジンルーム内やサイドカバー内などに貼付される吸音材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械の内部には、エンジンや冷却ファン等から発生する騒音の機体外への漏出を防止すべく、吸音材が取り付けられている。このような作業機械の吸音材には、吸音性能だけでなく、耐熱性や撥水性といった過酷な環境での使用に耐えうる性能が要求されている。
従来、このような吸音材として、塩化ビニルで被覆されたガラスクロスやアルミ箔に接着されたガラスクロスでグラスウールからなる吸音素材を覆ったものが開発されている。これらの吸音材によれば、比較的安価に耐熱性,撥水性を高めつつ騒音を吸収することができる。また、コーティングされた表皮材で吸音素材を覆うことで、内部のグラスウールの飛散を防止することも可能である。
【0003】
しかし、これらの表皮材において耐熱性,撥水性を向上させるには、ガラスクロスのコーティング(被覆膜)を厚くする必要があり、通気性を確保することが難しくなる。つまり、表皮材における音の透過性能が低下しやすく、その結果として吸音性能を確保し難いという課題がある。
そこで、上記の塩化ビニルの代わりにフッ素樹脂を用いた吸音材も提案されている。例えば、特許文献1には、表面がフッ素コーティングされたガラスクロス(グラスクロス)を吸音素材の表面に貼り付けた吸音材が記載されている。この技術では、ガラスクロスの表面にフッ素コーティングを施すことで、良好な吸遮音性能を維持することができ、かつ、耐熱性,撥水性を確保することができるとされている。
【0004】
また、このような表皮材に関し、特許文献2には、レゾルシノール樹脂を含んだ繊維集合体からなる構造材が記載されている。この技術では、熱硬化性を有する所定成分のレゾルシノール樹脂をバインダーとして用いることにより、適度の硬化時間や長い可使時間,十分な強度,柔軟性,可塑性等を実現し、他の部材との同時一体成型をも可能としている。
【特許文献1】特許第3498471号公報
【特許文献2】特許第3383367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような表皮材と吸音素材との同時一体成型の典型的な手法を図7(a)〜(c)に示す。
まず、図7(a)に示すように、熱硬化性樹脂を含んだ表皮材22で吸音素材23を両面から挟みこむ。吸音素材23としてグラスウールを用いる場合は通常、ガラス繊維同士の接着剤としての熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂)がグラスウールの内部に添加される。また、表皮材22としては、撥水性や難燃性といった要求される機能に応じた種類の樹脂成分を含んだプリプレグ製品として市販されているものが使用される。
【0006】
続いて、図7(b)に示すように、これらをプレス機の金型24間に挿入し加熱成型する。この工程により表皮材22中の熱硬化性樹脂がゲル化して溶け出したのちに硬化し、表皮材22と吸音素材23とが一体となる。また、表皮材22及び吸音素材23の形状は金型24の形状に倣ったものとなる。その後、図7(c)に示すように、一体成型された表皮材22及び吸音素材23をプレス機から取り出し、冷却又は乾燥させると、吸音材21が完成する。このような手順により、表皮材22と吸音素材23との接着工程及び形状成型を一工程で済ませることができ、さらに、熱硬化性樹脂の特性に応じて撥水性や撥油性といった機能をもその工程で付与することができる。
【0007】
しかしながら、このような手順で表皮材22と吸音素材23とを一体成型したとしても、図7(c)に示すように、吸音素材23の側面の部分23aを表皮材で覆うことができない。したがって、高度な耐候性,防水性が要求される作業機械の吸音材の製造においては、このような手順を適用することができない。また、上記の手順は、形状の異なる吸音材毎に金型24を必要とするため、多品種少量生産である作業機械に用いる部品製造の手法としては不向きであり、コスト条件を満足しない。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、耐熱性,撥水性及び良好な吸音特性を確保しつつ、製造工程の合理化が可能な作業機械の吸音材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明の作業機械の吸音材は、ガラス繊維集合体のグラスウールからなる吸音素材と、レゾルシノール樹脂を不織布に含浸又は塗布加工したものを加熱成型して予め硬化定着させた樹脂硬化表皮材(表皮材)と、該吸音素材と該樹脂硬化表皮材とを接着する接着剤とを備え、該樹脂硬化表皮材が、該接着剤を介して該吸音素材の周囲を被覆して糊着されるとともに、該レゾルシノール樹脂が、メチロール基を有する1価フェノール・ホルムアルデヒドポリマーとアルキル基を有する1,3−ジヒドロキシベンゼン・ホルムアルデヒドポリマーとの縮合重合物のスルホメチル化物からなる樹脂であることを特徴としている。
【0010】
ここでいうレゾルシノール樹脂とは、メチロール基を有する1価フェノール・ホルムアルデヒドポリマーとアルキル基を有する1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)・ホルムアルデヒドポリマーとの縮合重合物のスルホメチル化物からなる樹脂のことをいう。
また、ここでいう不織布として、アラミド繊維,イミド繊維,ポリ塩化ビニル繊維,フェノール繊維,レーヨン繊維,ポリエステル繊維,ポリプロピレン繊維,ポリアミド系繊維,アクリル酸化繊維,炭素繊維,ガラス繊維,アルミナ繊維(セラミック繊維),ボロン繊維,ノボロイド繊維,フッ素繊維,金属繊維といったさまざまな繊維を基材とするものを用いることが考えられる。
【0011】
また、ここでいう接着剤として、アクリル樹脂系接着剤,ウレタン樹脂系接着剤,エポキシ樹脂系接着剤,塩化ビニル樹脂溶剤系接着剤,クロロプレンゴム系接着剤,シアノアクリレート系接着剤,シリコーン系接着剤,スチレン−ブタジエンゴム系ラテックス接着剤,フェノール樹脂系接着剤,変成シリコーン系接着剤,レゾルシノール系接着剤等の接着剤を用いることが考えられる。
【0012】
また、請求項2記載の本発明の作業機械の吸音材は、請求項1記載の構成に加え、該樹脂硬化表皮材が、ポリエステル繊維の不織布を基材とすることを特徴としている。
請求項3記載の本発明の作業機械の吸音材の製造方法は、ガラス繊維集合体のグラスウールからなる吸音素材の周面に、不織布を基材とした表皮材を接着してなる作業機械の吸音素材の製造方法であって、メチロール基を有する1価フェノール・ホルムアルデヒドポリマーとアルキル基を有する1,3−ジヒドロキシベンゼン・ホルムアルデヒドポリマーとの縮合重合物のスルホメチル化物からなるレゾルシノール樹脂を該不織布に含浸又は塗布加工したものを加熱成型して硬化定着させる硬化ステップ(ステップA20)と、該硬化ステップで得られた該表皮材を該吸音素材に糊着する糊着ステップ(ステップA30,40)とを備えたことを特徴としている。
【0013】
また、請求項4記載の本発明の作業機械の吸音材の製造方法は、請求項3記載の構成に加え、該樹脂含浸ステップにおいて、該レゾルシノール樹脂をポリエステル繊維の不織布に含浸又は塗布加工することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の作業機械の吸音材及びその製造方法(請求項1,3)によれば、レゾルシノール樹脂を予め不織布に定着させたものを表皮材として用いることで、吸音素材と表皮材とを一体にプレス成型する必要がなくなり、吸音素材の表裏だけでなく側端部も覆うことが可能となる。また、表皮材の表面にはレゾルシノール樹脂が硬化して定着しているため、防水性,耐熱性,耐候性を向上させることができ、さらに良好な吸音効果を獲得することができる。
【0015】
また、本発明の作業機械の吸音材及びその製造方法(請求項2,4)によれば、硬化したレゾルシノール樹脂によって基材繊維が難燃化することになるため、アラミド繊維やイミド繊維のような高価な不燃繊維を使用する必要がなく、ポリエステル繊維を用いることでコストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施形態に係る作業機械の吸音材及びその製造方法を説明するためのものであり、図1(a),(b)は本発明に係る吸音材の断面図、図2はその吸音材を備えた油圧ショベルの斜視図、図3はその吸音材の製造方法を説明するためのフローチャート、図4(a)〜(d)はその吸音材の製造手順を説明するための斜視図である。
【0017】
また、図5,図6は本吸音材の吸音率を測定した試験結果を示すものである。図5は厚み25mmの吸音材に関するもの、図6は厚み50mmの吸音材に関するものである。また、それぞれの図における(a)は測定結果のグラフであり、(b)は測定時における試験体配置図である。
[全体構成]
本発明の吸音材8は、図2に示す油圧ショベル(作業機械)10に適用されている。この油圧ショベル10は、クローラ式の走行装置を装備した下部走行体11と、下部走行体11の上に旋回自在に搭載された上部旋回体12とを備えて構成される。上部旋回体12における前方側には、ブームやアーム等の作業装置13及びオペレータが搭乗するキャブ15が設けられており、上部旋回体12における後端部にはカウンタウェイト14が設けられている。また、カウンタウェイト14の直前方には、エンジンルーム16が設けられている。
【0018】
エンジンルーム16の内部には、油圧ショベル10の駆動源であるエンジンや、エンジン駆動の油圧ポンプ,冷却装置等が配置されている。また、エンジンルーム16の側方及び上面にはそれぞれ、サイドカバー9a及びエンジンフード9bが設けられており、メンテナンス時にはこれらのサイドカバー9aやエンジンフード9bを開放して整備,点検を実施できるようになっている。本発明に係る吸音材8は、エンジンルーム16の内壁やサイドカバー9aの内面,エンジンフード9bの下面(すなわち内側の面)等に貼付されている。
【0019】
[吸音材]
図1(a)に示すように、本発明に係る吸音材8は、内側の吸音素材6,その外周を被覆する表皮材(樹脂硬化表皮材)7,及びこれらの吸音素材6及び表皮材7の間に介在する接着剤4を備えて構成される。吸音素材6は、ガラス繊維を綿状に形成したガラス繊維集合体の多孔質吸音材であり、例えば市販のグラスウール吸音材をこの吸音素材6として用いることができる。なお、本吸音材8は図示しない任意の固定手段(接着剤,スタッドピン等)を用いてエンジンルーム16内等に固定されるようになっている。以下、図1(a)に示すように、サイドカバー9a等への固定面を裏面6cと呼び、その反対面を表面6aと呼び、吸音素材6の側面に符号6bを付して説明する。
【0020】
表皮材7は、吸音素材6の表面6a及び側面6bの全体を覆う材であり、不織布を基材として、これに熱硬化性樹脂を含浸又は塗布加工した後、熱硬化処理を施したものである。この表皮材7は音響透過性を有しており、表皮材7の表面に伝達された空気振動(音)が内部の吸音素材6へ伝達されるようになっている。また、図1(a)に示すように、表皮材7は吸音素材6の裏面6cの四方を部分的に覆うように設えてある。なお、吸音素材6の裏面6cのうち、表皮材7に覆われていない中央部分には、吸音素材6の飛散防止用の軟質樹脂5が塗布されている。
【0021】
表皮材7の基材となる不織布の材質は任意であり、例えばアラミド繊維やイミド繊維といった不燃繊維のシートを用いることができる。あるいは、ガラス繊維,炭素繊維等の無機繊維の不織布や、ポリエステル繊維,ポリプロピレン繊維,ポリアミド系合成繊維等の有機繊維の不織布を用いることもできる。あるいは、ポリ塩化ビニル繊維,フェノール繊維,レーヨン繊維,アクリル酸化繊維,アルミナ繊維(セラミック繊維),ボロン繊維,ノボロイド繊維,フッ素繊維,金属繊維等を用いてもよい。
【0022】
また、この不織布に含まれている熱硬化性樹脂としては、メチロール基を有する1価フェノール・ホルムアルデヒドポリマーとアルキル基を有する1,3−ジヒドロキシベンゼン・ホルムアルデヒドポリマーとの縮合重合物のスルホメチル化物からなるレゾルシノール樹脂が用いられている。レゾルシノール樹脂は、短時間で熱硬化する特性を持っており、硬化後の成形物には難燃性,撥水性,撥油性が与えられる。繊維状シートにこのようなレゾルシノール樹脂を含浸させた市販のプリプレグ製品を表皮材7の材料として用いてもよい。以下、加熱処理後の表皮材7とは区別して、加熱処理前のものを未加熱表皮材1という。
【0023】
図1(b)に示すように、本発明の吸音材8では表皮材7と吸音素材8とを一体成型せず、接着剤4を用いてこれらを糊着するようになっている。つまり、吸音素材8と接着する前に表皮材7のみを単独で加熱成型している。接着剤の種類としては、アクリル樹脂系接着剤,ウレタン樹脂系接着剤,エポキシ樹脂系接着剤,塩化ビニル樹脂溶剤系接着剤,クロロプレンゴム系接着剤,シアノアクリレート系接着剤,シリコーン系接着剤,スチレン−ブタジエンゴム系ラテックス接着剤,フェノール樹脂系接着剤,変成シリコーン系接着剤,レゾルシノール系接着剤等を用いることが考えられる。なお、作業機械のエンジンルーム内に配置される吸音材の場合には、耐熱性や耐候性等を考慮して接着剤4の材料を選定することが好ましい。
【0024】
[吸音材の製造手順]
図3及び図4(a)〜(d)に本吸音材8の製造手順を示す。
まずステップA10では、図4(a)に示すように、目的とする吸音材8の最終的な大きさを踏まえて、吸音素材6を被覆する面積に応じて、未加熱表皮材1のサイズを設定し切断する。このステップでは、未加熱表皮材1に含まれているレゾルシノール樹脂が適度の粘度を持った状態であり、まだ硬化していない。
【0025】
次にステップA20では、図4(b)に示すように、未加熱表皮材1をプレス機の金型17間に挿入し加熱成型する。レゾルシノール樹脂は、およそ160℃でゲル化を開始し、180〜220℃で硬化して定着する。この工程で未加熱表皮材1が表皮材7となり、難燃性,撥水性,撥油性が付与される。また、その後の工程での施工性に係る柔軟性,適度な可塑性,十分な強度も付与される。
【0026】
さらにステップA30では、図4(c)に示すように、吸音素材6に貼り付けるための切り込みや折り曲げを表皮材7に施し、接着剤4を塗布する。接着剤4は吸音素材6側に塗布してもよいし、あるいは表皮材7と吸音素材6との双方に塗布してもよい。なお、表皮材7に覆われない吸音素材6の裏面6cには、予め軟質樹脂5を塗布して硬化させておくことが好ましい。
【0027】
そしてステップA40において、表皮材7と吸音素材6とを糊着すると、吸音材8が完成する。図4(d)に示すように、吸音素材6の表面6a及び側面6bは表皮材7に完全に覆われることになる。なお、この時点で表皮材7に覆われていない部分に軟質樹脂5を塗布してもよい。
【0028】
[吸音率の測定結果]
図5及び図6に示すように、上記の製造方法で製造された吸音材8の吸音率を測定したところ、本発明に係る吸音材8では、従来の吸音材と比較して全般的に吸音性能が向上しており、特に、1/3オクターブバンド中心周波数が500[Hz]以上の範囲における吸音率が格段に上昇していることが確認された。
【0029】
なお、本発明者は吸音性能の測定に際し、吸音素材6として密度48[kg/m3]、厚み25[mm]のグラスウールを使用した。また、表皮材7の材料となる未加熱表皮材1としては名古屋油化株式会社のDFK含浸不織布「メーユクロス」を使用した。また、測定に係る吸音材8の資料面積は16.00[m2]とした。
測定方法については、JIS A 1409:1998に準拠した。測定に係る残響室の形状は不整形七面体構造であり、室容積は451[m3]であり、室内全表面積は353[m2]であった。測定に係るマイクロホンの設置点数は6点、音源の設置点数は2点とし、測定ノイズとしてピンクノイズを使用した。また、吸音率の算出では、JIS A 1409:1998の付属書E(参考)の(6)式を用い、空気の温湿度条件による補正を行った。室内温度は25[℃]であり、室内湿度は60[%]であった。
【0030】
[効果]
このように、レゾルシノール樹脂を予め加熱して表皮材7に定着させておくことで、吸音素材6と表皮材7とを一体にプレス成型する必要がなくなり、吸音素材6の側面6bも覆うことが可能となる。したがって、吸音素材6の側面6bから水分や油分が進入することを防止することができ、吸音材8の寿命及び性能を長く保持することができる。また、表皮材7の表面にはレゾルシノール樹脂が硬化して定着しているため、吸音材8の防水性や撥水性,耐熱性,耐候性等を向上させることができ、さらに良好な吸音効果を獲得することができる。
【0031】
また、硬化したレゾルシノール樹脂によって基材繊維が難燃化することになるため、アラミド繊維やイミド繊維のような高価な不燃繊維を使用する必要がなく、ポリエステル繊維を用いることでコストを低減させることができる。
このように、本発明に係る作業機械の吸音材8及びその製造方法によれば、耐熱性,撥水性及び良好な吸音特性を確保しつつ、製造工程を合理化することができる。
【0032】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態では、油圧ショベル10に適用される吸音材8が例示されているが、本発明に係る吸音材8の適用対象はこれに限定されず、ブルドーザやホイールローダ,油圧式クレーンなどのさまざまな作業機械に適用することが可能である。なお、本発明に係る吸音材8の取付位置は、エンジンルームやサイドカバーの内部以外の場所であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る作業機械の吸音材の構造を示す断面図であり、(a)は吸音材の断面図、(b)は(a)のA部を拡大した断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る作業機械の吸音材を備えた油圧ショベルを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る作業機械の吸音材の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る作業機械の吸音材の製造手順を説明するための斜視図であり、(a)は表皮材のサイズを設定する工程、(b)は表皮材のみを加熱成型する工程、(c)は加熱成型された表皮材に接着剤を塗布する工程、(d)は吸音素材を表皮材で被覆し接着する工程をそれぞれ示す。
【図5】本発明の一実施形態に係る作業機械の吸音材であって、厚み25mmの吸音材の吸音率の測定結果であり、(a)は1/3オクターブバンド中心周波数と残響室法吸音率との関係を示すグラフ、(b)は測定時における試験体の正面及び側面の寸法を示す試験体配置図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る作業機械の吸音材であって、厚み50mmの吸音材の吸音率の測定結果であり、(a)は1/3オクターブバンド中心周波数と残響室法吸音率との関係を示すグラフ、(b)は測定時における試験体の正面及び側面の寸法を示す試験体配置図である。
【図7】従来技術に係る吸音材の成型手順を説明するための斜視図であり、(a)は吸音素材を表皮材に挟装させる工程、(b)はそれらをプレス機で加熱成型する工程、(c)は完成した吸音材をそれぞれ示す。
【符号の説明】
【0034】
4 接着剤
5 軟質樹脂
6 吸音素材(グラスウール)
6a 表面
6b 側面
6c 裏面
7 表皮材(樹脂硬化表皮材)
8 吸音材
9a サイドカバー
9b エンジンフード
17 金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維集合体のグラスウールからなる吸音素材と、
レゾルシノール樹脂を不織布に含浸又は塗布加工したものを加熱成型して予め硬化定着させた樹脂硬化表皮材と、
該吸音素材と該樹脂硬化表皮材とを接着する接着剤とを備え、
該樹脂硬化表皮材が、該接着剤を介して該吸音素材の周囲を被覆して糊着されるとともに、
該レゾルシノール樹脂が、メチロール基を有する1価フェノール・ホルムアルデヒドポリマーとアルキル基を有する1,3−ジヒドロキシベンゼン・ホルムアルデヒドポリマーとの縮合重合物のスルホメチル化物からなる樹脂である
ことを特徴とする、作業機械の吸音材。
【請求項2】
該樹脂硬化表皮材が、ポリエステル繊維の不織布を基材とする
ことを特徴とする、請求項1記載の作業機械の吸音材。
【請求項3】
ガラス繊維集合体のグラスウールからなる吸音素材の周面に、不織布を基材とした表皮材を接着してなる作業機械の吸音素材の製造方法であって、
メチロール基を有する1価フェノール・ホルムアルデヒドポリマーとアルキル基を有する1,3−ジヒドロキシベンゼン・ホルムアルデヒドポリマーとの縮合重合物のスルホメチル化物からなるレゾルシノール樹脂を該不織布に含浸又は塗布加工したものを加熱成型して硬化定着させる硬化ステップと、
該硬化ステップで得られた該表皮材を該吸音素材に糊着する糊着ステップと
を備えたことを特徴とする、作業機械の吸音材の製造方法。
【請求項4】
該樹脂含浸ステップにおいて、該レゾルシノール樹脂をポリエステル繊維の不織布に含浸又は塗布加工する
ことを特徴とする、請求項3記載の作業機械の吸音材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−31579(P2010−31579A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196255(P2008−196255)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】