説明

作業機

【課題】 HSTモータに負荷がかかってエンジン回転数が下がったときにHSTポンプの斜板角が自動調整されてエンジンの負荷を減少させるアンチストール特性を簡単な構造で改善することができる作業機を提供する。
【解決手段】 エンジン29によって駆動される斜板形可変容量ポンプからなるHSTポンプ53と、HSTポンプ53と一対の変速用油路により閉回路接続されていてHSTポンプ53からの吐出油によって駆動されることにより走行装置14を駆動するHSTモータ47と、エンジン29によって駆動されるパイロットポンプP2と、パイロットポンプP2から吐出されるパイロット油によって前記HSTポンプ53の斜板を制御する走行操作装置14と、パイロットポンプP2から吐出されて前記走行操作装置14に供給されるパイロット油の一部を絞り69bを介してドレンさせるブリード回路69とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンによって駆動される斜板形可変容量ポンプからなるHSTポンプによってHSTモータを駆動するように構成したHST(静油圧トランスミッション)によって走行装置を駆動するトラックローダ、スキッドローダ等の作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行装置をHSTによって駆動する作業機として、エンジンによって駆動される斜板形可変容量ポンプからなるHSTポンプと、このHSTポンプと一対の変速用油路により閉回路接続されていて該HSTポンプからの吐出油によって駆動されることにより走行装置を駆動するHSTモータと、チャージポンプからの油を前記変速用油路に補充するためのチャージ回路と、このチャージ回路の回路圧を決定するチャージリリーフ弁と、前記変速用油路のうちの低圧側の変速用油路の作動油の一部を逃がすフラッシング弁と、このフラッシング弁からの油をドレンさせるためのフラッシング用リリーフ油路に介装されたフラッシング用リリーフ弁と、チャージポンプからの吐出流量に応じてHSTポンプの吐出容量を変化させるべく該HSTポンプの斜板を制御するサーボシリンダとを備えたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−58411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行装置をHSTによって駆動する作業機にあっては、走行中にHSTモータに大きな負荷がかかると、該負荷はHSTポンプを介してエンジンに伝達されて該エンジンの回転数が低下し、該エンジンがストールする惧れがあるが、前記特許文献1記載のものにあっては、エンジンの回転数が低下すると、チャージポンプの回転数が減少して該チャージポンプの吐出量が減少することにより、サーボシリンダの制御圧が低下し、これによってHSTポンプの回転数が減少するように該HSTポンプの斜板角が自動調整されてエンジンの負荷を減少させ、エンジンストールを防止するアンチストール特性(アンチストール機能)を備えている。
【0005】
この特許文献1記載のものにおいて、エンジンの回転数の減少に応じてサーボシリンダの制御圧をさらに素早く低下させるようにアンチストール特性を改善する方法として、フラッシング用リリーフ弁からの油の逃げの量を多くすること、または、チャージリリーフ弁からの油の逃げの量を多くすることが考えられるが、フラッシング用リリーフ弁からの油の逃げの量を多くすると、フラッシング弁への流量が多くなって該フラッシング弁が作動不良等を起こす惧れがあり、また、チャージリリーフ弁からの油の逃げの量を多くするには限界があり、これらによってアンチストール特性を改善するには限界がある。
【0006】
また、エンジンの回転数を検出し、エンジンに過負荷が作用したときに素早くHSTポンプの斜板の制御圧を落とすようにコントローラによってコントロールするように構成すると、構造が複雑化してコストアップを招くという問題が生じる。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み、アンチストール特性を簡単な構造で改善することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、エンジンによって駆動される斜板形可変容量ポンプからなるHSTポンプと、このHSTポンプと一対の変速用油路により閉回路接続されていて該HSTポンプからの吐出油によって駆動されることにより走行装置を駆動するHSTモータと、エンジンによって駆動されるパイロットポンプと、このパイロットポンプから吐出されるパイロット油によって前記HSTポンプの斜板を制御する走行操作装置と、前記パイロットポンプから吐出されて前記走行操作装置に供給されるパイロット油の一部を絞りを介してドレンさせるブリード回路とを備えていることを特徴とする。
【0008】
また、前記パイロットポンプからの油を前記変速用油路に補充するためのチャージ回路の回路圧を決定するチャージリリーフ弁と、前記変速用油路のうちの低圧側の変速用油路の作動油の一部を逃がすフラッシング弁からの油をドレンさせるためのフラッシング用リリーフ油路に介装されたフラッシング用絞りとを備えているのがよい。
また、前記フラッシング用リリーフ油路の、フラッシング弁とフラッシング用絞りとの間に介装されたフラッシング用リリーフ弁を有するのがよい。
また、前記HSTモータを、パイロット油を利用して斜板角を変更操作することにより1速状態と2速状態とに切換え可能な斜板形可変容量モータによって構成し、このHSTモータを1速状態から2速状態に切り換えるべく前記パイロットポンプから供給されるパイロット油の一部を絞りを介してドレンさせる第2のブリード回路を設けてもよい。
【0009】
また、基部側が機体に枢着されて上下揺動自在とされたアームの先端側にスクイ・ダンプ自在に設けられたバケットを備え、このバケットをスクイ・ダンプ動作させるチルトシリンダを制御すべくパイロット油によって切り換えられるバケット用制御弁を備え、前記バケットがスクイ動作するように前記バケット用制御弁を切り換えるべく前記パイロットポンプから該バケット用制御弁に供給されるパイロット油の一部を絞りを介してドレンさせる第3のブリード回路を設けてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パイロットポンプから吐出されて走行操作装置に供給されるパイロット油を絞りを介してドレンさせるブリード回路を設けることにより、エンジンの回転数の減少に応じて走行操作装置へのパイロット油の流量を素早く減少させて、HSTポンプの斜板を制御すべく走行操作装置から出力されるパイロット圧(HSTポンプの斜板の制御圧)を素早く減少させることが可能であり、アンチストール特性を簡単な構造で改善することができる作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】走行系の油圧システムを示す油圧回路図である。
【図2】作業機の油圧システムを示す油圧回路である。
【図3】作業系の油圧システムを示す油圧回路図である。
【図4】作業機の全体側面図である。
【図5】キャビンを持ち上げた状態の作業機の一部を示す側面断面図である。
【図6】比較例に係るアンチストールの圧力特性を示すグラフである。
【図7】他の比較例に係るアンチストールの圧力特性を示すグラフである。
【図8】本発明の一例に係るアンチストールの圧力特性を示すグラフである。
【図9】本発明の他の例に係るアンチストールの圧力特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図4、図5において、本発明に係る作業機1(トラックローダ)は、機体2と、この機体2に装着した作業装置3と、機体2を支持する左右一対の走行装置4とを備え、機体2の上部前部寄りにキャビン5(運転者保護装置)が搭載されている。
機体2は、鉄板等により構成されていて、底壁6と、左右一対の側壁7と、前壁8と、左右各側壁7の後部に設けられた支持枠体9とを備え、側壁7間は上方に開放状とされ、この機体2の後端部には、左右一対の支持枠体9間の後端開口を塞ぐ蓋部材10が開閉自在に設けられている。
【0013】
前記キャビン5は、前下端が機体2の前壁8の上縁部8aに接当載置されていると共に、背面の上下中途部が機体2の支持ブラケット11に、左右方向の支持軸12廻りに揺動自在に支持されており、前記支持軸12回りにキャビン5を上方に揺動することにより機体2内のメンテナンス等ができるよう構成されている。
キャビン5内には運転席13が設けられ、この運転席13の左右一側(例えば、左側)には、走行装置4を操作するための走行操作装置14が配置され、運転席13の左右他側(例えば、右側)には、作業装置3を操作するための作業操作装置15が配置されている。
【0014】
キャビン5は上面が屋根で塞がれ、左右の側面が多数の角孔を形成した側壁で塞がれ、背面上部がリヤガラスで塞がれ、底面の前後方向中央部が底壁により塞がれていて、前方が開口した箱形に形成され、前面側が乗降口とされている。
左右の各走行装置4は、前後一対の従動輪16と、前後の従動輪16間の上方で且つ後部寄りに配置した駆動輪17と、前後の従動輪16間に配置した複数の転輪18と、これら前後従動輪16,駆動輪17及び転輪18にわたって巻き掛けられた無端帯状のクローラベルト19とを備えてなるクローラ式走行装置により構成されている。
【0015】
前後従動輪16及び転輪18は、機体2に取付固定されたトラックフレーム20に横軸回りに回転自在に取り付けられ、駆動輪17は前記トラックフレーム20に取り付けられた油圧駆動式の走行モータ21L,21R(ホイルモータ)の回転ドラムに取り付けられ、該走行モータ21L,21Rによって駆動輪17を左右軸回りに回転駆動することによりクローラベルト19が周方向に循環回走され、これにより、作業機1が前後進するように構成されている。
作業装置3は、左右一対のアーム22と、該アーム22の先端側に装着したバケット23(作業具)とを備えている。
【0016】
左右一対のアーム22は、機体2及びキャビン5の左右両側に配置され、左右のアーム22はその前部側の中途部において連結体によって相互に連結されている。
左右の各アーム22は、該アーム22の先端側が機体2の前方側で昇降するように、その基部側(後部側)が機体2の後上部に第1リフトリンク24と第2リフトリンク25とを介して上下揺動自在に支持されている。
また、左右の各アーム22の基部側と機体2の後下部との間には、複動式油圧シリンダからなるリフトシリンダ26が設けられていて、左右のリフトシリンダ26を左右同時に伸縮させることにより左右のアーム22が上下に揺動動作する。
【0017】
左右の各アーム22の先端側には、それぞれ装着ブラケット27が左右軸回りに回動自在に枢支連結され、左右の装着ブラケット27にバケット23の背面側が取り付けられている。
また、装着ブラケット27とアーム22の先端側中途部との間には、複動式油圧シリンダからなるチルトシリンダ28が介装され、このチルトシリンダ28の伸縮によってバケット23が揺動動作(スクイ・ダンプ動作)するように構成されている。
バケット23は装着ブラケット27に対して着脱自在とされており、バケット23を取り外して装着ブラケット27に各種のアタッチメント(油圧駆動式の作業具)を取り付けることで、掘削以外の各種の作業(又は他の掘削作業)を行えるように構成されている。
【0018】
機体2の底壁6上の後側にはエンジン29が設けられ、機体2の底壁6上の前側には燃料タンク30と作動油タンク31とが設けられている。
エンジン29の前方には左右の走行モータ21L,21Rを駆動する油圧駆動装置32が設けられ、この油圧駆動装置32の前方に第1〜3ポンプP1,P2,P3が設けられ、機体2の右側壁7の前後方向中途部に、作業装置3用のコントロールバルブ33(油圧制御装置)が設けられている。
次に、図1〜3を参照して、作業機1の油圧システムについて説明する。
【0019】
第1〜3ポンプP1,P2,P3は、エンジン29の動力によって駆動される定容量型のギヤポンプによって構成されている。
第1ポンプP1(メインポンプ)は、リフトシリンダ26、チルトシリンダ28又はアーム22の先端側に取り付けられるアタッチメントの油圧アクチュエータを駆動するために使用される。
第2ポンプP2(パイロットポンプ、チャージポンプ)は、主として制御信号圧力(パイロット圧)の供給用に使用される。
【0020】
第3ポンプP3(サブポンプ)は、アーム22の先端側に取り付けられる油圧駆動式のアタッチメントの油圧アクチュエータが大容量を必要とする油圧アクチュエータである場合に該油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を増量するのに使用される。
走行操作装置14は、前進用のパイロット弁36と、後進用のパイロット弁37と、右旋回用のパイロット弁38と、左旋回用のパイロット弁39と、これらパイロット弁36,37,38,39について共通の(1本の)走行レバー40と、第1〜4シャトル弁41,42,43,44とを有する。
【0021】
前記第2ポンプP2の吐出油(パイロット油)を供給するメイン供給路aは分岐点bで第1供給路cと、第2供給路dと、第3供給路eとに分岐され、第3供給路eはさらに第4供給路fと第5供給路gとに分岐されている。
第1供給路cのパイロット油(第2ポンプP2の吐出油)は、電磁方式の二位置切換弁からなる走行ロック弁46を励磁することにより走行操作装置14の各パイロット弁36,37,38,39に供給可能とされ、該走行ロック弁46が消磁されることにより第1供給路cのパイロット油が走行操作装置14の各パイロット弁36,37,38,39に供給不能とされて走行操作装置14が操作不能となるように構成されている。
【0022】
左右の各走行モータ21L,21Rは、高低2速に変速可能な斜板形可変容量アキシャルモータによって構成されたHSTモータ47と、このHSTモータ47の斜板の角度を切り換えることによりHSTモータ47を高低2速に変速操作する斜板切換シリンダ48と、HSTモータ47の出力軸47a(走行モータ21L,21Rの出力軸47a)を制動するブレーキシリンダ49と、フラッシング弁50と、フラッシング用リリーフ弁51と、フラッシング用絞り67とを有する。
斜板切換シリンダ48は、該斜板切換シリンダ48に圧油が作用していないときにはHSTモータ47を1速状態とし、該斜板切換シリンダ48に圧油が作用しているときにはHSTモータ47を2速状態に切り換えるよう構成されている。
【0023】
この斜板切換シリンダ48に圧油を作用させるか否かはパイロット方式の二位置切換弁からなるシリンダ切換弁68によって行われ、このシリンダ切換弁68は電磁方式の二位置切換弁からなる2速切換弁45によって切換え操作される。
すなわち、2速切換弁45が消磁されていて該2速切換弁45によって第2供給路dが遮断されているときには、シリンダ切換弁68にパイロット圧が作用していないと共に斜板切換シリンダ48に圧油が作用していなく、HSTモータ47は1速状態とされており、そして、操作手段によって2速切換弁45を励磁することにより、前記シリンダ切換弁68に第2供給路dのパイロット圧(第2ポンプP2の吐出油)が作用するように2速切換弁45が切り換えられ、これにより圧油が斜板切換シリンダ48に作用するようにシリンダ切換弁68が切換えられて、HSTモータ47が2速状態となる。
【0024】
したがって、第2ポンプP2からのパイロット油を利用してHSTモータ47が1速状態から2速状態に切換わるように該HSTモータ47の斜板の切換えが行われる。
なお、本実施形態では、斜板切換シリンダ48には、後述する変速用油路h,iの高圧側の作動油が供給されるよう構成されているが、第2ポンプP2からのパイロット油によって直接、斜板切換シリンダ48を作動するように構成してもよい。
ブレーキシリンダ49は、バネの付勢力によってHSTモータ47の出力軸47aを制動し、電磁方式の二位置切換弁からなるブレーキ解除弁52を励磁することにより該ブレーキシリンダ49に第4供給路eのパイロット油(第2ポンプP2の吐出油)が作用して、HSTモータ47の出力軸47aの制動を解除する。
【0025】
前記走行ロック弁46及びブレーキ解除弁52には、例えば、キャビン5から降りる時に操作されるロックレバーによって同時に消磁信号が送られ、解除スイッチによって同時に励磁信号が送られる。
フラッシング弁50及びフラッシング用リリーフ弁51については後述する。
油圧駆動装置32は、左走行モータ用駆動回路32A(左用駆動回路)と、右走行モータ用駆動回路32B(右用駆動回路)とを備えており、各駆動回路32A,32Bは、一対の変速用油路h,iによって対応する走行モータ21L,21RのHSTモータ47に接続されたHSTポンプ53と、高圧側の変速用油路h,iの圧が設定以上になると低圧側の変速用油路h,iに逃がす高圧リリーフ弁54と、第2ポンプP2からの圧油をチェック弁55を介して低圧側の変速用油路h,iに補充するためのチャージ回路jとを備えている。
【0026】
油圧駆動装置32の各構成要素はハウジング内に組み込まれている。
前記チャージ回路jには、前記第1供給路cから分岐されて各チャージ回路jに接続されたチャージ圧供給路kの油(第2ポンプP2の吐出油)が供給可能とされ、左用駆動回路32Aには、各駆動回路32A,32Bのチャージ回路jの回路圧を設定するチャージリリーフ弁56が設けられている。
前記第2ポンプP2は、本実施形態では、走行操作装置14の各パイロット弁36,37,38,39、斜板切換シリンダ48及びブレーキシリンダ49にパイロット油を供給するパイロットポンプであると共に、チャージ回路jに油を供給するチャージポンプでもある。
【0027】
各駆動回路32A,32BのHSTポンプ53は、エンジン29の動力によって駆動される斜板形可変容量アキシャルポンプであると共にパイロット圧で斜板の角度が変更されるパイロット方式の油圧ポンプであり、パイロット圧が作用する前進用受圧部53aと後進用受圧部53bとを備えており、これら受圧部53a,53bに作用するパイロット圧によって斜板角度が変更されて作動油の吐出方向及び吐出量が変更され、これによって走行モータ21L,21Rの回転出力を作業機1を前進させる方向(正転方向)或いは作業機1を後進させる方向(逆転方向)に無段階に変速することができるよう構成されている。
【0028】
走行モータ21L,21Rの前記フラッシング弁50は、高圧側の変速用油路h,iの圧によって低圧側の変速用油路h,iをフラッシング用リリーフ油路mに接続するように切り換えられ、低圧側の変速用油路h,iに作動油を補充させるべく該低圧側の変速用油路h,iの作動油の一部をフラッシング用リリーフ油路mを介して走行モータ21L,21Rのハウジング内の油溜まりに逃がすものである。なお、走行モータ21L,21Rのハウジング内の油溜まりの油はドレン回路nを介して作動油タンク31に戻される。
前記フラッシング用リリーフ弁51及びフラッシング用絞り67は、フラッシング用リリーフ油路mに介装されており、フラッシング用リリーフ弁51はフラッシング弁50とフラッシング用絞り67との間に介装されている。
【0029】
走行モータ21L,21RのHSTモータ47及びフラッシング弁50等と駆動回路32A,32Bと一対の変速用油路h,iとで分離型のHST(静油圧トランスミッション)を構成している。
前記走行操作装置14の走行レバー40は、中立位置から、前後左右と前後左右の間の斜め方向に傾動操作可能とされ、該走行レバー40を傾動操作することにより、走行操作装置14の各パイロット弁36,37,38,39が操作されると共に、走行レバー40の中立位置からの操作量に比例したパイロット圧が該操作されたパイロット弁36,37,38,39から出力されるよう構成されている。
【0030】
走行レバー40を前側(図1では矢示A1方向)に傾動させると、前進用パイロット弁36が操作されて該パイロット弁36からパイロット圧が出力され、該パイロット圧は第1シャトル弁41を介して左用駆動回路32AのHSTポンプ53の前進用受圧部53aに作用すると共に第2シャトル弁42を介して右用駆動回路32Bの前進用受圧部53aに作用し、これにより左右の走行モータ21L,21Rの出力軸47aが走行レバー40の傾動量に比例した速度で正転(前進回転)して作業機1が前方に直進する。
また、走行レバー40を後側(図1では矢示A2方向)に傾動させると、後進用パイロット弁37が操作されて該パイロット弁37からパイロット圧が出力され、該パイロット圧は第3シャトル弁43を介して左用駆動回路32AのHSTポンプ53の後進用受圧部53bに作用すると共に第4シャトル弁44を介して右用駆動回路32BのHSTポンプ53の後進用受圧部53bに作用し、これにより左右の走行モータ21L,21Rの出力軸47aが走行レバー40の傾動量に比例した速度で逆転(後進回転)して作業機1が後方に直進する。
【0031】
また、走行レバー40を右側(図1では矢示A3方向)に傾動させると、右旋回用パイロット弁38が操作されて該パイロット弁38からパイロット圧が出力され、該パイロット圧は第1シャトル弁41を介して左用駆動回路32AのHSTポンプ53の前進用受圧部53aに作用すると共に第4シャトル弁44を介して右用駆動回路32BのHSTポンプ53の後進用受圧部53bに作用し、これにより左走行モータ21Lの出力軸47aが正転し且つ右走行モータ21Rの出力軸47aが逆転して作業機1が右側に旋回する。
また、走行レバー40を左側(図1では矢示A4方向)に傾動させると、左旋回用パイロット弁39が操作されて該パイロット弁39からパイロット圧が出力され、該パイロット圧は第2シャトル弁42を介して右用駆動回路32BのHSTポンプ53の前進用受圧部53aに作用すると共に第3シャトル弁43を介して左用駆動回路32AのHSTポンプ53の後進用受圧部53bに作用し、これにより右走行モータ21Rの出力軸47aが正転し且つ左走行モータ21Lの出力軸47aが逆転して作業機1が左側に旋回する。
【0032】
また、走行レバー40を斜め方向に傾動させると、各駆動回路32A,32Bの前進用受圧部53aと後進用受圧部53bとに作用するパイロット圧の差圧によって、走行モータ21L,21Rの出力軸47aの回転方向及び回転速度が決定され、作業機1が前進又は後進しながら右旋回又は左旋回する(すなわち、走行レバー40を左斜め前側に傾動操作すると該走行レバー40の傾動角度に対応した速度で作業機1が前進しながら左旋回し、走行レバー40を右斜め前側に傾動操作すると該走行レバー40の傾動角度に対応した速度で作業機1が前進しながら右旋回し、走行レバー40を左斜め後側に傾動操作すると該走行レバー40の傾動角度に対応した速度で作業機1が後進しながら左旋回し、走行レバー40を右斜め後側に傾動操作すると該走行レバー40の傾動角度に対応した速度で作業機1が後進しながら右旋回する)。
【0033】
また、前記エンジン29は、アクセル装置によってアイドリング回転から定格回転へと増大可能とされ、エンジン29の回転数を増大させると、HSTポンプ53の回転数が増加して該HSTポンプ53の吐出量が上がり、走行速度が増加する。
前記チャージ圧供給路kにはブリード回路69(これを第1のブリード回路69と言う)が接続されている。
この第1のブリード回路69は、一端側がチャージ圧供給路kに接続され他端側が油圧駆動装置32のハウジングの油溜まりに連通するブリード油路69aと、このブリード油路69aに介装された絞り69bとを有する。
【0034】
油圧駆動装置32のハウジングの油溜まりの油はドレン回路nを介して作動油タンク31に戻されるよう構成されている。
前記第2ポンプP2から吐出されて第1供給路cを介して前記走行操作装置14に供給されるパイロット油は、チャージ圧供給路kを介してチャージ回路jにも供給されると共に、一部が第1のブリード回路69によって該ブリード回路69の絞り69bを介してドレンされる。
なお、第1のブリード回路69を介してドレンされる油を作動油タンク31に直接、戻すようにしてもよいが、油圧駆動装置32のハウジング(HSTポンプ53のハウジング)内に漏らすことにより、HSTポンプ53等の冷却を図ることができる。また、前記油圧システムにおいて、フラッシング用リリーフ弁51は設けられていなくてもよい。
【0035】
また、前記ブリード油路69aの他端側を、チャージリリーフ弁56から油圧駆動装置32のハウジングの油溜まりにドレンされる油を案内するリリーフ油路oに連通させてもよい。
前記構成の作業機1にあっては、例えば、作業機1を前進させて山積みされた土砂等にバケット23を突っ込ませた場合などHSTモータ47に負荷がかかった場合、該HSTモータ47にかかった負荷がHSTポンプ53を介してエンジン29に伝達して該エンジン29の回転数が低下する。
【0036】
すると、第2ポンプP2の回転数が減少して該第2ポンプP2の吐出量が減少し、この第2ポンプP2の吐出量に対する第1のブリード回路69からの油の漏れの割合が大きくなることから、走行操作装置14から出力されるパイロット圧がエンジン29の回転数低下に応じて素早く低下し、これによって、回転数を減少させるようにHSTポンプ53の斜板角が素早く自動調整されてエンジン29の負荷を減少させ、エンジン29のストールを良好に防止する。
前記第1のブリード回路69を設けない場合にあっても、図8,9に示すように、フラッシング用絞り67からの油の逃げと、チャージリリーフ弁56のオーバーライド特性(チャージリリーフ弁56からの油の逃げ)とによって、エンジン29回転数の低下とともにHSTポンプ53の斜板の制御圧を減少させるアンチストール特性を作ることができるが、それでは効果が小さい。
【0037】
これに対し、本発明にあっては、フラッシング用絞り67からの油の逃げと、チャージリリーフ弁56のオーバーライド特性に加えて、第1のブリード回路69からの油の漏れによって、図6,7に示すように、良好なアンチストール特性を作ることができるのである(良好なアンチストール特性が得られるのである)。
図6〜図9は、横軸をエンジン29の回転数とし縦軸を走行操作装置14からHSTポンプ53へと出力されるパイロット圧(HSTポンプ53の斜板の制御圧)としたアンチストールの圧力特性線図を示すグラフである。
【0038】
図8,9は、図1に示す油圧システムにおいて、第1のブリード回路69とフラッシング用リリーフ弁51が設けられていない場合のアンチストールの圧力特性線図を示し、また、図8は標準のチャージリリーフ弁56を採用した場合を示し、図9はアンチストール強化タイプのチャージリリーフ弁56を採用した場合を示す。
この図8,9において、アンチストールの圧力特性線図の屈曲点Xから右側部分Yは、チャージリリーフ弁56が開いている状態(フラッシング用絞り67とチャージリリーフ弁56とから油が逃げている状態)を示し、アンチストールの圧力特性線図の屈曲点Xから左側部分Zは、チャージリリーフ弁56が閉じている状態(フラッシング用絞り67だけから油が逃げている状態)を示す。
【0039】
図8,9に示すものにあっては、屈曲点Xがエンジン29回転数の低い位置にあり、該屈曲点Xより右側部分Yの傾きが小さく且つ直線状であり、エンジン29の定格回転(2400rpm)からの回転数低下に対するパイロット圧の圧力降下が小さいため、エンジン29の回転数低下に対するパイロット圧の反応が遅い。
また、図9に示す圧力特性線図は、図8に示す圧力特性線図に対し、屈曲点Xより右側部分Yの傾きは大きいが、これでも理想のアンチストールの圧力特性線図にはほど遠い。なお、図9に示す圧力特性線図において、エンジン29の定格回転(2400rpm)におけるパイロット圧をある程度確保しておかないと、高負荷時においてHSTポンプ53の斜板をコントロールできないので、むやみにこのポイントWを下げることはできない。
【0040】
図6は、図1に示す油圧システムにおいて、フラッシング用リリーフ弁51が設けられていない場合のアンチストールの圧力特性線図を示す。
この図6に示すものにあっては、アンチストールの圧力特性線図の屈曲点Xから右側部分Yは、チャージリリーフ弁56が開いている状態(第1のブリード回路69とフラッシング用絞り67とチャージリリーフ弁56とから油が逃げている状態)を示し、アンチストールの圧力特性線図の屈曲点Xから左側部分Zは、チャージリリーフ弁56が閉じている状態(第1のブリード回路69とフラッシング用絞り67とから油が漏れている状態)を示す。
【0041】
この図6に示すものにあっても、図8,9と同様にアンチストールの圧力特性線図の屈曲点Xから右側部分Yの傾きが小さく、アンチストールの圧力特性線図の屈曲点Xから左側部分Zの傾きが大きいが、該図6に示すものにあっては、図8,9に示すものに比べて、屈曲点Xがエンジン29回転数の高い位置(1800rpm付近)にある。
したがって、この図6に示すものにあっては、エンジン29の回転数が低下して、エンジン29の回転数が屈曲点Xより低くなった場合、エンジン29回転数低下に対するパイロット圧の圧力降下が大きく、エンジン29の回転数の低下に応じて走行操作装置14から出力されるパイロット圧が敏感に反応してHSTポンプ53の斜板を該HSTポンプ53の回転数が減少するように素早く戻すのである。
【0042】
また、図7は、図1に示す油圧システムにおけるアンチストールの圧力特性線図を示す。
この図7に示すものにあっては、アンチストールの圧力特性線図の屈曲点Xから右側部分Yは、チャージリリーフ弁56が開いている状態(第1のブリード回路69とフラッシング用絞り67とチャージリリーフ弁56とから油が逃げている状態)を示し、アンチストールの圧力特性線図の屈曲点Xから左側部分Zは、チャージリリーフ弁56が閉じている状態を示すが、この屈曲点Xから左側部分Zのうちの、中央側部分Zaより右側の部分Zbは、フラッシング用リリーフ弁51が開いていて第1のブリード回路69とフラッシング用絞り67とから油が逃げている状態を示し、前記中央側部分Zaは、フラッシング用リリーフ弁51が閉じたり開いたりすることにより略一定のパイロット圧を保っている状態を示し、前記中央側部分Zaより左側の部分Zcは、フラッシング用リリーフ弁51が完全に閉じて第1のブリード回路69だけから油が逃げている状態を示す。
【0043】
この図7に示すものにあっても、図6と同様に、屈曲点Xがエンジン29回転数の高い位置にあり、エンジン29の回転数が低下して、エンジン29回転数が屈曲点Xより低くなった場合、エンジン29回転数低下に対するパイロット圧の圧力降下が大きく、エンジン29の回転数の低下に応じて走行操作装置14から出力されるパイロット圧が敏感に反応してHSTポンプ53の斜板を該HSTポンプ53の回転数が減少するように素早く戻す。
また、この図7に示すものでは、エンジン29の回転数が800rpm付近〜1200rpm付近の間で略一定の圧力(10kgf/cm2)を保つようにしているが、これは、エンジン29のアイドリング回転時においてもある程度の負荷がかかる場合がある為である。
【0044】
例えば、アイドリング回転時において直線走行する場合では10kgf/cm2以下のパイロット圧でもHSTポンプ53の斜板をコントロールすることはできるが、アイドリング回転時において旋回走行する場合には、ある程度の負荷がかかる為、10kgf/cm2程度のパイロット圧がなければ、HSTポンプ53の斜板をコントロールすることができないからである。
また、本実施形態にあっては、HSTモータ47を1速状態から2速状態に切り換えるべく前記第2ポンプP2から供給されるパイロット油の一部を絞り70bを介してドレンさせる第2のブリード回路70を設けている。
【0045】
この第2のブリード回路70は、一端側が第2供給路kの、2速切換弁45とシリンダ切換弁68との間に接続され、他端側が作動油タンク31に開放状とされたブリード油路70aと、このブリード油路70aに介装された絞り70bとから構成されている。
HSTモータ47が2速状態で、エンジン29に負荷がかかったときには、さらにエンジン29がストールし易く、前記第1のブリード回路69を設けるだけでは対処できない場合も考えられるが、前記第2のブリード回路70を設けることにより、HSTモータ47が2速状態のときに作業機1を前進させて山積みされた土砂にバケット23を突っ込んだ場合に、第1のブリード回路69からのパイロット油の漏れに加えて第2のブリード回路70からのパイロット油の漏れによって、走行操作装置14から出力されるパイロット圧が速やかに降下し、エンジン29のストールを防止する。
【0046】
前記作業操作装置15は、アーム上げ用パイロット弁57と、アーム下げ用パイロット弁58と、バケットダンプ用パイロット弁59と、バケットスクイ用パイロット弁60と、これらパイロット弁57,58,59,60について共通の(1本の)操作レバー61とを有する。
作業操作装置15の各パイロット弁57,58,59,60には、電磁方式の二位置切換弁からなる作業ロック弁62を励磁することにより第5供給路gの(第2ポンプP2からの)パイロット油が供給可能とされ、前記作業ロック弁62が消磁されることにより第2ポンプP2からの圧油が供給不能とされて作業操作装置15が操作不能となるように構成されている。
【0047】
作業ロック弁62には、例えば、前記走行ロック弁46及びブレーキ解除弁52と同様に、降車時に操作されるロックレバーによって消磁信号が送られ、解除スイッチによって励磁信号が送られる。
作業装置用コントロールバルブ33は、リフトシリンダ26を制御するアーム用制御弁63と、チルトシリンダ28を制御するバケット用制御弁64と、アーム22の先端側等に取り付けられるアタッチメントの油圧アクチュエータを制御する予備用制御弁65(これをSP用制御弁という)とを有し、前記各制御弁63,64,65は、パイロット方式の直動スプール形三位置切換弁から構成されている。
【0048】
アーム用制御弁63、バケット用制御弁64及びSP用制御弁65は、第1ポンプP1の吐出路qに接続された作業系供給油路rに、上流側からアーム用制御弁63、バケット用制御弁64、SP用制御弁65の順で設けられており、第1ポンプP1からの作動油が、アーム用制御弁63を介してリフトシリンダ26に、又はバケット用制御弁64を介してチルトシリンダ28に、或いはSP用制御弁65を介してアタッチメントの油圧アクチュエータにそれぞれ供給可能とされている。
作業系供給油路rはSP用制御弁65を経た後にドレン油路sに接続されている。
【0049】
作業系供給油路rの、アーム用制御弁63より上流側には、バイパス油路tの一端側が接続され、該バイパス油路tの他端側は、作業系供給油路rの、SP用制御弁65よりも下流側に接続されており、バイパス油路tには、該作業系供給油路rの回路圧を設定するリリーフ弁66が設けられている。
前記作業操作装置15の操作レバー61は、中立位置から、前後左右と前後左右の間の斜め方向に傾動操作可能とされ、該操作レバー61を傾動操作することにより、作業操作装置15の各パイロット弁57,58,59,60が操作されると共に、操作レバー61の中立位置からの操作量に比例したパイロット圧が該操作されたパイロット弁57,58,59,60から出力されるよう構成されている。
【0050】
また、操作レバー61を後側に(図2では矢示B1方向に)傾動させると、アーム上げ用パイロット弁57が操作されて該パイロット弁57からパイロット圧が出力され、該パイロット圧がアーム用制御弁63の一方の受圧部に作用して該制御弁63が操作されることでリフトシリンダ26が伸長し、操作レバー61の傾動量に比例した速度でアーム22が上がる。
操作レバー61を前側に(図2では矢示B2方向に)傾動させると、アーム下げ用パイロット弁58が操作されて該パイロット弁58からパイロット圧が出力され、該パイロット圧がアーム用制御弁63の他方の受圧部に作用して該制御弁63が操作されることでリフトシリンダ26が縮小し、操作レバー61の傾動量に比例した速度でアーム22が下がる。
【0051】
また、操作レバー61を右側に(図2では矢示B3方向に)傾動させると、バケットダンプ用パイロット弁59が操作されて該パイロット弁59からパイロット圧が出力され、該パイロット圧がバケット用制御弁64のダンプ側の受圧部64aに作用して該制御弁64が操作されることでチルトシリンダ28が伸長し、操作レバー61の傾動量に比例した速度でバケット23がダンプ動作する。
また、操作レバー61を左側に(図2では矢示B4方向に)傾動させると、バケットスクイ用パイロット弁60が操作されて該パイロット弁60からパイロット圧が出力され、該パイロット圧がバケット用制御弁64のスクイ側の受圧部64bに作用して該制御弁64が操作されることでチルトシリンダ28が縮小し、操作レバー61の傾動量に比例した速度でバケット23がスクイ動作する。
【0052】
また、操作レバー61を斜め方向に傾動させると、アーム22の上げ又は下げ動作と、バケット23のスクイ又はダンプ動作とを複合した動作が行える。
また、この実施形態の油圧システムにあっては、バケット用制御弁64のスクイ側の受圧部64bに供給される第2ポンプP2からのパイロット油の一部を絞り71bを介してドレンさせる第3のブリード回路71を設けている。
この第3のブリード回路71は、バケットスクイ用パイロット弁60とバケット用制御弁64のスクイ側の受圧部64bとを接続するスクイ側パイロット油路uに一端側が接続され他端側が作動油タンク31に開放状とされたブリード油路71aと、このブリード油路71aに介装された絞り71bとから構成されている。
【0053】
作業機1を前進させて山積みされた土砂にバケット23を突っ込むと共に該バケット23をスクイ動作させた場合にあっては、前記第1のブリード回路69を設けるだけでは対処できない場合も考えられるが、前記第3のブリード回路71を設けることにより、作業機1を前進させて山積みされた土砂にバケット23を突っ込むと共に該バケット23をスクイ動作させた場合に、第1のブリード回路69からのパイロット油の漏れに加えて第3のブリード回路71からのパイロット油の漏れによって、走行操作装置14から出力されるパイロット圧が速やかに降下し、エンジン29のストールを防止する。
【符号の説明】
【0054】
2 機体
4 走行装置
14 走行操作装置
22 アーム
23 バケット
28 チルトシリンダ
29 エンジン
47 HSTモータ
50 フラッシング弁
51 フラッシング用リリーフ弁
53 HSTポンプ
56 チャージリリーフ弁
64 バケット用制御弁
67 フラッシング用絞り
69 第1のブリード回路
69b 絞り
70 第2のブリード回路
70b 絞り
71 第3のブリード回路
70c 絞り
P2 第2ポンプ(パイロットポンプ)
h 変速用油路
i 変速用油路
j チャージ回路
m フラッシング用リリーフ油路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(29)によって駆動される斜板形可変容量ポンプからなるHSTポンプ(53)と、このHSTポンプ(53)と一対の変速用油路(h,i)により閉回路接続されていて該HSTポンプ(53)からの吐出油によって駆動されることにより走行装置(4)を駆動するHSTモータ(47)と、エンジン(29)によって駆動されるパイロットポンプ(P2)と、このパイロットポンプ(P2)から吐出されるパイロット油によって前記HSTポンプ(53)の斜板を制御する走行操作装置(14)と、前記パイロットポンプ(P2)から吐出されて前記走行操作装置(14)に供給されるパイロット油の一部を絞り(69b)を介してドレンさせるブリード回路(69)とを備えていることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記パイロットポンプ(P2)からの油を前記変速用油路(h,i)に補充するためのチャージ回路(j)の回路圧を決定するチャージリリーフ弁(56)と、前記変速用油路(h,i)のうちの低圧側の変速用油路(h,i)の作動油の一部を逃がすフラッシング弁(50)からの油をドレンさせるためのフラッシング用リリーフ油路(m)に介装されたフラッシング用絞り(67)とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記フラッシング用リリーフ油路(m)の、フラッシング弁(50)とフラッシング用絞り(67)との間に介装されたフラッシング用リリーフ弁(51)を有することを特徴とする請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記HSTモータ(47)を、パイロット油を利用して斜板角を変更操作することにより1速状態と2速状態とに切換え可能な斜板形可変容量モータによって構成し、このHSTモータ(47)を1速状態から2速状態に切り換えるべく前記パイロットポンプ(P2)から供給されるパイロット油の一部を絞り(70b)を介してドレンさせる第2のブリード回路(70)を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項5】
基部側が機体(2)に枢着されて上下揺動自在とされたアーム(22)の先端側にスクイ・ダンプ自在に設けられたバケット(23)を備え、このバケット(23)をスクイ・ダンプ動作させるチルトシリンダ(28)を制御すべくパイロット油によって切り換えられるバケット用制御弁(64)を備え、前記バケット(23)がスクイ動作するように前記バケット用制御弁(64)を切り換えるべく前記パイロットポンプ(P2)から該バケット用制御弁(64)に供給されるパイロット油の一部を絞り(71b)を介してドレンさせる第3のブリード回路(71)を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−223256(P2010−223256A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68456(P2009−68456)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】