説明

使用済み物品回収箱

【課題】本発明は、使用済み物品の保管管理に関する顧客の管理負担を軽減することが可能な使用済み物品回収箱を提供することを目的とするものである。
【解決手段】箱本体2の上面を構成する板状体22には蓋体3が延設されており、板状体22の上面には配送伝票シート6が貼付されている。箱本体2の斜面を構成する板状体21には使用済み物品を投入する投入口5が開口している。使用状態では、蓋体3は板状体22に当接するように折り曲げられているため、配送伝票シート6は蓋体3により覆われている。配送する場合には、蓋体3を板状体21に当接するように折り曲げて投入口5が覆われるとともに配送伝票シート6が露出するようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業所等で発生する事務機器関連の使用済み物品をリサイクルするために回収するのに用いられる使用済み物品回収箱に関する。
【背景技術】
【0002】
事業所等で利用されるプリンタ、ファクシミリ及び複写機といった事務機器では、インクカートリッジやトナーカートリッジ等の消耗品が使用されることが一般的であるが、こうした消耗品は、今まで使用済みとなると廃棄されていたが、近年の環境問題への関心の高まりと共に使用済みのものをリサイクルすることが行われるようになっている。
【0003】
こうした使用済み物品のリサイクルのために、例えば、特許文献1では、回収センタに使用済み消耗品や部品を回収してトナーボトルやトナーカートリッジ等のトナー内在容器を優先的にリサイクル処理するための回収・搬送管理システムが記載されている。また、特許文献2では、使用済み商品回収箱について、投入口を容易に見分けることができるようにするために、上面にコの字状に切り込みを入れて形成されたツメ部を内側に折り込んで投入口を形成し、ツメ部に表示部を設けるようにした点が記載されている。
【特許文献1】特開2004−287632号公報
【特許文献2】特開2003−182804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、顧客から回収した使用済み消耗品や使用済み部品を販売・サービス部門の回収箱に収集し、回収箱を回収センタに回収するようにしているが、顧客である事業所では発生した使用済み物品を回収に来るまで保管する必要がある。保管する場合一般のゴミ容器で保管すると、例えばトナーカートリッジやインクカートリッジの場合トナーやインクが飛散したり漏出するおそれがあり、保管に注意しなければならない。また、回収されるまでに使用済み物品が多く集まり保管容器からオーバーフローしないようにしなければならず、顧客において保管管理する必要がある。また、回収箱としては、特許文献2のように分別回収できるものが提案されているが、こうした回収箱についても業者が引き取りに来るまで顧客が保管管理する必要があり、顧客に対して余分な管理負担を負わせることになって好ましいものではない。
【0005】
そこで、本発明は、使用済み物品の保管管理に関する顧客の管理負担を軽減することが可能な使用済み物品回収箱を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る使用済み物品回収箱は、複数の板状体により多面体に構成された箱本体と、前記箱本体の1つの面を構成する前記板状体に開口して形成された投入口と、前記投入口が形成された面に隣接する面を構成する1つの前記板状体に延設され前記投入口を被覆可能に設けられた蓋体と、前記蓋体が設けられた前記板状体の外表面に貼付された配送伝票シートとを備え、前記蓋体は、前記配送伝票シートを覆うように配置されて前記投入口が開放される使用状態又は前記投入口を覆うように配置されて前記配送伝票シートが露出される配送状態に設定されることを特徴とする。さらに、前記蓋体は、前記板状体に一体形成されており、前記板状体に対して折り曲げて前記使用状態及び前記配送状態に設定されることを特徴とする。さらに、前記箱本体は、内底面を被覆するとともに周縁部が内側面に沿って所定の高さに保持されるように固定された袋状の防水シートを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記のような構成を有することで、板状体から延設された蓋体が投入口を覆った配送状態では配送伝票シートが露出するので、そのまま回収業者に配送することができる。したがって、箱本体が投入された使用済み物品で一杯になった段階ですぐに配送することが可能で、使用済み物品でオーバーフローすることによる管理負担を顧客に負わせることがない。また、配送伝票シートが予め箱本体に貼付されているので、蓋体が投入口を覆う状態に設定するだけで配送でき配送準備作業の負担もない。そして、蓋体が配送伝票シートを覆うようにして投入口を開放すれば、容易に回収箱を使用状態に設定でき、使用中に誤って配送伝票シートを破損することも防止できる。
【0008】
また、蓋体を板状体と一体形成し、板状体に対して折り曲げて使用状態及び配送状態に設定するようにすれば、蓋体を容易に製作でき、コスト負担を小さくすることが可能となる。
【0009】
また、箱本体の内底面を被覆するとともに周縁部が内側面に沿って所定の高さに保持されるように固定された袋状の防水シートを備えることで、使用済み物品としてインクカートリッジやトナーカートリッジを収納した場合にカートリッジから漏出したインク等が箱本体の外部に漏洩するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明に係る実施形態に関する斜視図を示している。使用済み物品回収箱1は、箱本体2及び蓋体3を備えており、箱本体2の内部には袋状の樹脂シート4が配設されている。箱本体2は、直方体の一部を一辺に平行に切り落として斜面が形成された七面体形状とされており、斜面を構成する板状体21に矩形状に開口した投入口5が設けられている。蓋体3は、板状体21とほぼ同じ矩形状に形成され、箱本体2の上面を構成する板状体22から延設して一体形成されている。図1では、使用済み物品回収箱1は使用状態を示しており、蓋体3は上方に折り曲げられて板状体22に当接しており、板状体22の外表面に貼付された配送伝票シート6を覆うように配置されている。配送伝票シート6には予め送り先として回収業者の住所等のデータが印字されている。また、蓋体3の前辺には、その中央部分に突出するように差込片31が形成されており、差込片31を板状体22に穿設された細幅の差込孔22aに差し込んで蓋体3が板状体22に当接した状態に保持される。
【0012】
図1の使用状態では、投入口5が開放されているので、インクカートリッジ等の使用済み物品を投入することができ、また板状体21は斜めになっているので、投入口5から箱本体2の内部を容易に確認することができる。
【0013】
図2は、使用済み物品回収箱1の配送状態を示す斜視図である。配送状態では、蓋体3の差込片31を差込孔22aから抜き出して投入口5側に折り返し、差込片31を板状体21の前辺に穿設された細幅の差込孔21aに差し込む。この状態では、蓋体3は板状体21に当接した状態となり、投入口5を覆うように配置される。また、蓋体3が板状体22から離れるため、板状体22に貼付された配送伝票シート6が露出した状態となる。
【0014】
図2の配送状態では、投入口5は蓋体3で覆われて内部の使用済み物品が外部に飛び出さないようにされ、また配送伝票シート6が露出するためそのまま配送業者に引き渡すことができる。したがって、配送のための梱包等の準備作業は不要となるとともに、利用者の都合に合せて使用済み物品回収箱を配送することができ、回収業者の回収を待つ必要もないことから、利用者の管理負担が大幅に軽減される。
【0015】
箱本体2は、段ボール紙材料を折り曲げて各板状体が形成されている。図3は、箱本体2の展開図を示している。箱本体2の側面を構成する4つの板状体23〜26は、互いに側辺が接続されており、板状体23の側辺に形成された帯状の接着片23aが板状体26の側部に接着されて組立てられる。板状体23〜26の下辺には、箱本体2の底面を形成する板状体である底フラップ23b〜26bが接続されており、これらの底フラップを折り曲げて互いに係合させることで底面が形成される。こうした係合による底面形成方法は公知のものである。
【0016】
板状体23の上辺には板状体22が接続されており、両側には差込片22b及び22cが形成されている。板状体22の上辺には蓋体3が接続されている。板状体24の上辺は、板状体21側に下方に折れ曲がった傾斜部分が形成されており、上辺部分及び傾斜部分にそれぞれ折返し片24a及び24cが形成されている。また、板状体24と折返し片24a、24cとの間には切込み24d及び24eが設けられている。板状体25の上辺には板状体21が接続されており、板状体21と板状体25との間には、差込孔21aを形成する切込み21bが設けられている。板状体21の両側には、差込片21c及び21dが形成されている。板状体21の上辺には、上フラップ27が接続されており、上フラップ27の上辺には帯状の折返し片27aが形成されている。板状体26の上辺は、板状体21側に下方に折れ曲がった傾斜部分が形成されており、上辺部分及び傾斜部分にそれぞれ折返し片26a及び26cが形成されている。また、板状体26と折返し片26a、26cとの間には切込み26d及び26eが設けられている。
【0017】
箱本体2の上面を組立ている場合には、折返し片24a、24c、26a及び26cを内側に折り曲げ、差込片21c及び21dをそれぞれ切込み24e及び26eに差込む。そして、上フラップ27を折り曲げて折返し片27aを板状体23に沿うように差し込む。次に、板状体22を折り曲げて差込片22b及び22cをそれぞれ切込み24d及び26dに差込み上フラップ27に板状体22が当接した状態とする。蓋体3は、折り曲げられて差込孔22a又は21aのいずれかに差し込んで使用状態又は配送状態に設定する。 図4は、図1に示す使用状態の使用済み物品回収箱1に関するA−A位置での垂直断面図を示している。箱本体2の内部には、底面を被覆するとともに周縁部が内側面に沿って所定の高さに保持される袋状の樹脂シート4が配置されている。樹脂シート4の周縁部は、側面を形成する4つの板状体23〜26に両面テープ41で固定されており、樹脂シート4内には底面に矩形状の補強板28が載置されている。補強板28は、箱本体2の底面とほぼ同じ大きさの形状となっており、補強板28を設けることで箱本体2の底面の強度を向上させるとともに樹脂シート4がばたつくのを抑えることができる。
【0018】
箱本体2、蓋体3及び補強板28は、上述した例では段ボール紙材料を用いて作られているが、梱包材料に用いられるシート材料であれば使用することができる。また、樹脂シート4は、ポリエチレン樹脂等の防水性を備えた柔軟性のあるシート材料から作ることが可能である。
【0019】
以上説明した例では、蓋体3で投入口5を覆うことで配送するようにしているが、樹脂シート4の周縁部に紐を通しておき配送する際に紐を引っ張ることで樹脂シート4内に収納された使用済み物品を密封するようにすれば、使用済み物品からのインク等の漏出をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る実施形態に関する使用状態の斜視図である。
【図2】本発明に係る実施形態に関する配送状態の斜視図である。
【図3】箱本体の展開図である。
【図4】図1のA−A位置における垂直断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 使用済み物品回収箱
2 箱本体
3 蓋体
4 樹脂シート
5 投入口
6 配送伝票シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板状体により多面体に構成された箱本体と、前記箱本体の1つの面を構成する前記板状体に開口して形成された投入口と、前記投入口が形成された面に隣接する面を構成する1つの前記板状体に延設され前記投入口を被覆可能に設けられた蓋体と、前記蓋体が設けられた前記板状体の外表面に貼付された配送伝票シートとを備え、前記蓋体は、前記配送伝票シートを覆うように配置されて前記投入口が開放される使用状態又は前記投入口を覆うように配置されて前記配送伝票シートが露出される配送状態に設定されることを特徴とする使用済み物品回収箱。
【請求項2】
前記蓋体は、前記板状体に一体形成されており、前記板状体に対して折り曲げて前記使用状態及び前記配送状態に設定されることを特徴とする請求項1に記載の使用済み物品回収箱。
【請求項3】
前記箱本体は、内底面を被覆するとともに周縁部が内側面に沿って所定の高さに保持されるように固定された袋状の防水シートを備えていることを特徴とする請求項2に記載の使用済み物品回収箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−168971(P2006−168971A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366998(P2004−366998)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(395019661)エネックス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】