説明

侵入・障害物検出装置及び無給電応答装置

【課題】侵入・障害物の誤認識を減少させ、低消費電力を可能とする検出装置を提供する。
【解決手段】本検出装置は、検知装置と応答装置とを有し、上記応答装置は、検知装置から受信した電波の周波数のうち特定の周波数以外の周波数をフィルタリングするフィルタと、フィルタを通過した特定の周波数の電波を増幅することなく検知装置に対して送信するアンテナとを有する。また、上記検知装置は、基準となる周波数及び特定の周波数を含む複数の周波数の電波をアンテナから応答装置に対して送信させる発信手段と、特定の周波数の電波の受信の有無と基準となる周波数の電波の受信の有無とに基づき侵入又は障害物の有無を判断する判断手段とを有する。応答装置は増幅することなく特定の周波数の電波を送信するため、消費電力を抑えることができ、無給電でも可能である。さらに、検知装置は、ほとんどのケースを取り扱うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、侵入又は障害物を検出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばレーザ検知などのアクティブな侵入又は障害物検出システムでは、検出対象の姿勢や形状、材質、色などの条件により検出の困難な状況があり、検出できない場合があった。また、レーザビームなどの極細のビーム発光装置と受光装置を使用したシステムでは、降雪や豪雨などの気象状態において、それらに遮られて正常に動作しないことがある。天候に対して影響を受けない検知方法としては、埋設したループコイルを使用した検知方法があるが、広範囲に埋設作業が必要なため、コストがかさむという欠点があった。加えてレーザビームなどの極細のビーム発光装置と受光装置を使用したシステムでは、ビームが細いため設置時に高精度な位置合わせが必要であることや、設置後に装置にわずかな衝撃が与えられても光軸がずれるため再調整作業が必須であった。
【0003】
また、レーダを用いて侵入又は障害物を検出するシステムも存在する。しかし、周囲に構造物が多数存在する環境や屋内環境において、レーダを用いて複数の目標物から検知信号を検出しようとすると、周囲の構造物からのクラッタ(検知対象物以外からの不要反射)の影響が大きく、目的とする目標物の検知信号を検出することが困難となるケースもあった。
【0004】
また、関連する技術としては、特開2000−19246号公報記載の技術がある。本技術は、障害物の種類、特に走行時に衝突等の危険性のある障害物の識別を正確に行うことが可能な障害物検知システム、及びこの障害物検知システムの構築に好適なレーダ装置、トランスポンダを提供することを目的としており、受信したレーダ波を周波数fcの変調信号Mcにて振幅変調して返送するトランスポンダを各車両に搭載させ、また、レーダ波の送受信により車両前方の障害物を検出するFMCW方式のレーダ装置に、受信信号Srにローカル信号Lを混合してなる信号IFから、周波数fc近傍の信号成分、即ちトランスポンダにて変調された信号を抽出する帯域通過フィルタと、その抽出信号IFmに周波数fcの第2ローカル信号Lcを混合して第2ビート信号Sb2を生成するミキサと、これをAD変換してECUに供給するAD変換器とを有するシステムである。本技術においては、トランスポンダが搭載された車両から変調された信号と反射波の両方を受信することを前提としており、変調された信号のみを受信するというケースを想定していない。また、車両に搭載されているため、トランスポンダの省電力については考慮されていない。
【特許文献1】特開2000−19246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、遠距離領域に侵入物体が存在する場合には直接反射波を検知できないという問題や、検知領域中に元々存在する物体と侵入物体とが近接して存在している場合にそれらを識別できないという問題がある。
【0006】
また、トランスポンダを用いる従来の技術では、トランスポンダに給電することに何らの問題も無い状態を想定しており、給電しにくい環境というものを考慮していない。また、トランスポンダからの信号のみを受信するというケースを考慮しておらず、トランスポンダからの信号及びトランスポンダが搭載されている車両からの反射波を両方受信する前提であるため、トランスポンダと当該トランスポンダに近接する他の物体との識別という観点は無い。
【0007】
従って、本発明の目的は、侵入・障害物の誤認識を減少させるための新規な侵入・障害物検出装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、低消費電力を可能とする新規の応答装置及び当該応答装置を含む侵入・障害物検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る侵入・障害物検出装置は、検知装置と応答装置とを有する。そして、上記応答装置は、検知装置から受信した電波の周波数のうち特定の周波数以外の周波数をフィルタリングするフィルタと、フィルタを通過した特定の周波数の電波を増幅することなく検知装置に対して送信するアンテナとを有する。また、上記検知装置は、基準となる周波数及び特定の周波数を含む複数の周波数の電波をアンテナから応答装置に対して送信させる発信手段と、特定の周波数の電波の受信の有無と基準となる周波数の電波の受信の有無とに基づき侵入又は障害物の有無を判断する判断手段とを有する。
【0010】
このように応答装置は、増幅することなく特定の周波数の電波を送信するため、消費電力を抑えることができ、外部から給電しにくい場所に設置することも可能となる。なお、フィルタは無給電で動作するものもあり、電源に関連するメンテナンスの手間も省ける。さらに、検知装置は、特定の周波数の電波の受信の有無及び基準となる周波数の電波の受信の有無を検出できれば、ほとんどのケースに対応できる。
【0011】
また、本発明の第2の態様に係る侵入・障害物検出装置は、検知装置と応答装置とを有する。そして、上記応答装置は、検知装置から受信した電波に係る信号を変調する変調手段と、変調手段により変調された信号に係る電波を増幅することなく検知装置に送信するアンテナとを有する。また、上記検知装置は、特定の周波数の電波をアンテナから応答装置に対して送信させる手段と、変調された信号に係る電波の受信の有無及び特定の周波数の電波の受信の有無に基づき侵入又は障害物の有無を判断する判断手段とを有する。
【0012】
このように応答装置は、増幅することなく変調された信号に係る電波を送信するため、消費電力を抑えることができ、外部から給電しにくい場所に設置することも可能となる。なお、外部電力の供給を行わずに変調を行う構成も可能であり、電源に関するメンテナンスの手間も省ける。また、検知装置は、変調された電波の受信の有無及び特定の周波数の電波の受信の有無により、例えば応答装置に近接して侵入又は障害物が存在する場合も識別することができる。
【0013】
なお、応答装置が有するアンテナが、検知装置からの電波の検知装置方向への反射を抑制する機能を有するようにしてもよい。このようにすれば、不要な反射による誤認識を減らすことができるようになる。なお、検知装置のアンテナ及び応答装置が有するアンテナを円偏波アンテナにすることにより、同じく不要反射を抑制することができる。
【0014】
本発明の第3の態様に係る無給電応答装置は、検知装置から受信した電波の周波数のうち特定の周波数以外の周波数をフィルタリングするフィルタと、フィルタを通過した特定の周波数の電波を増幅することなく検知装置に対して送信するアンテナとを有する。このような無給電応答装置を用いれば、線路付近など工事やメンテナンス作業に制約があるような場所にも設置が容易になる。なお、特定の周波数を各無給電応答装置に応じて変更して複数の無給電応答装置を設置すれば、面で侵入又は障害物を検出することができる。
【0015】
なお上で述べた構成を実現するための構成は多数存在しており、以下で述べる実施の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、侵入・障害物の誤認識を減少させることができる。
【0017】
また、本発明の別の側面として、低消費電力を可能とする新規の応答装置及び当該応答装置を含む侵入・障害物検出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[実施の形態1]
本発明の第1の実施の形態に係る侵入・障害物検出装置の設置例を図1に示す。図1は、踏切における侵入・障害物を検出するための設置例を示している。検知装置1aは線路3a付近の外側に設置され、検知装置1bは線路3b付近の外側に設置されている。検知装置1a及び1bとは道路4を挟んで反対側に、応答装置2a、応答装置2b及び応答装置2cとが設置されている。応答装置2aは線路3a付近で且つ検知装置1a側に設置されており、応答装置2bは線路3a及び3bの間で且つ中央付近に設置されており、応答装置2cは線路3b付近で且つ検知装置1b側に設置されている。検知装置1aは検知装置1bと接続されており、検知装置1bは警報機10に接続されている。
【0019】
図1では一点鎖線で示しているように、いずれの応答装置も検知装置1a及び1bの両方に応答するようになっており、検知装置1aと応答装置2aとの間、検知装置1aと応答装置2bとの間、検知装置1aと応答装置2cとの間、検知装置1bと応答装置2aとの間、検知装置1bと応答装置2bとの間、検知装置1bと応答装置2cとの間に侵入・障害物があれば検出することができる。検知装置1a及び1b、応答装置2a、2b及び2cの設置位置については、検知領域の設定状況等に応じて決定される。但し、例えば応答装置2bのように、線路3a及び3b間に設置する必要がある場合には、応答装置2bへの外部電源からの電力供給が難しい場合がある。応答装置2a及び2cについても、外部電源からの電力供給が必要となると、設置位置に大きな制限が加わる。また、応答装置2a、2b及び2cが、単に検知装置1a及び1bからのレーダ波を反射するだけであれば、誤認識(誤検知)の問題が生じ得る。
【0020】
そこで本実施の形態においては、応答装置2a、2b及び2cに、以下に示すような構成を採用する。本実施の形態における応答装置2a(以下、応答装置を代表して応答装置2aについて説明する)は、図2に示すように、受信用アンテナ21と、当該受信用アンテナ21に接続されたアイソレータ23と、アイソレータ23が入力端子に接続された搬送波フィルタ25と、搬送波フィルタ25の出力端子に接続されたアイソレータ24と、アイソレータ24に接続された送信用アンテナ22とを有する。搬送波フィルタ25は、例えば導波管型のバンドパスフィルタ(BPF)であり、給電せずとも動作する。応答装置2aは、図2に模式的に示したように、検知装置から周波数f1(例えば周波数f1を中心とする所定の周波数帯を示すものとする)の電波と周波数f2(例えば周波数f2を中心とする所定の周波数帯を示すものとする)の電波とを受信用アンテナ21にて受信すると、周波数f1の信号と周波数f2の信号がアイソレータ23を介して搬送波フィルタ25に供給される。搬送波フィルタ25では、例えば周波数f1以外の周波数の信号をフィルタリングするため、周波数f1の信号のみアイソレータ24に供給される。すなわち、周波数f2の信号は搬送波フィルタ25により遮断される。そして、増幅することなく周波数f1の電波を送信用アンテナ22から検知装置に対して送信する。
【0021】
このような応答装置2aに対する検知装置1b(以下、検知装置を代表して検知装置1bについて説明する)は、図3に示すような構成を有する。すなわち、検知装置1bは、所定の電波(ミリ波やマイクロ波などのレーダにおいて用いられる電波)を送受信するアンテナ111及び電波の送受信を制御するレーダ制御部112を有する検知装置本体11と、検知装置本体11において送受信された電波についての信号を処理する(例えば高速フーリエ変換(FFT)処理などを実施する)信号処理部121と侵入又は障害物の存在などを判定する判定処理部122と判定処理部122が侵入又は障害物の存在ありと判定した場合に警報機10に警報信号を出力する警報処理部123とを有する判断処理部12とを有する。検知装置本体11及び判断処理部12の信号処理部121については、従来のレーダ装置と同様であり以下においても詳細な説明を省略する。
【0022】
次に、検知装置1bの動作及び処理について図4乃至図14を用いて説明する。なお、前提として、応答装置2aの搬送波フィルタは周波数f1以外の周波数の信号をフィルタリングし、応答装置2bの搬送波フィルタは周波数f2以外の周波数の信号をフィルタリングし、応答装置2cの搬送波フィルタは周波数f3以外の周波数の信号をフィルタリングするものとする。また、周波数は、中心周波数を含む、所定の幅の周波数帯を示しているものとする。まず、レーダ制御部112は、アンテナ111に周波数f0の搬送波f0(以下、簡単のため搬送波f0とのみ記する。周波数f1の搬送波f1、周波数f2の搬送波f2、周波数f3の搬送波f3についても同様とする)、搬送波f1、搬送波f2、搬送波f3を順に検知領域に送信させる(ステップS1)。応答装置2a、応答装置2b、応答装置2cは、搬送波f0、搬送波f1、搬送波f2、搬送波f3を受信すると、搬送波フィルタによりフィルタリングを行い、その搬送波フィルタが通過させた周波数の電波を検知装置1bに返信する。但し、各応答装置は、その搬送波フィルタを通過させる周波数の電波を受信できなければ返信はない。
【0023】
検知装置1bのアンテナ111は、検知領域から電波(搬送波f0、搬送波f1、搬送波f2、搬送波f3。但し、受信しないものもある。)を受信する(ステップS3)。アンテナ111からの信号はレーダ制御部112を介して信号処理部121に出力される。信号処理部121は、搬送波f0、搬送波f1、搬送波f2、搬送波f3につきFFT処理を実施する(ステップS5)。具体的には、搬送波f0のビート信号についてのFFT処理、搬送波f1のビート信号についてのFFT処理、搬送波f2のビート信号についてのFFT処理、搬送波f3のビート信号についてのFFT処理を行う。
【0024】
判定処理部122は、搬送波f0についてのFFT処理結果と搬送波f1についてのFFT処理結果が同じであるか判断する(ステップS7)。例えば、図5(a)のような状態、すなわち検知領域に侵入物又は障害物が全く存在しない状態では、図5(b)に示すように、検知装置1bから送信された搬送波f0、搬送波f1、搬送波f2、搬送波f3のうち、応答装置2aからは搬送波f1のみ(応答装置2bからは搬送波f2のみ、応答装置2cからは搬送波f3のみ)が返信される。従って、搬送波f0は検知装置1bのアンテナ111では受信されず、FFT処理結果においてもピークは発生しない。すなわち、図6(a)のようなFFT処理結果(概要)が得られる。なお、図6(a)において、横軸はビート信号のビート周波数、縦軸は強度を表す。一方、搬送波f1は検知装置1bのアンテナ111で受信されるので、FFT処理結果においてもピークは検出される。すなわち、図6(b)のようなFFT処理結果(概要)が得られる。なお、図6(b)の横軸及び縦軸は図6(a)と同じである。このように、侵入物又は障害物が検知領域に存在しなければ、図6(a)及び図6(b)に示すようなFFT処理結果を得ることができ、ステップS7においてFFT処理結果が同じではないと判断される。ステップS7においてFFT処理結果が同じではないと判断された場合には、端子Aを介して図12の処理に移行する。
【0025】
一方、図7(a)のような状態、すなわち侵入物又は障害物9が検知装置1bと応答装置2aの間に存在する状態では、図7(b)に示すように、検知装置1bから送信された搬送波f0、搬送波f1、搬送波f2、搬送波f3のうち、応答装置2aの方向からは搬送波f0及び搬送波f1(応答装置2bからは搬送波f2のみ、応答装置2cからは搬送波f3のみ)が返信される。従って、搬送波f0及び搬送波f1の両方について、同じ距離から反射波が検出されるので、同じようなピークを有するFFT処理結果が得られる。すなわち、図8(a)(搬送波f0)及び図8(b)(搬送波f1)のようなFFT処理結果(概要)が得られる。なお、図8(a)及び図8(b)の横軸及び縦軸は図6(a)と同じである。このように、侵入物又は障害物9が検知領域に存在すれば、図8(a)及び図8(b)に示すように同じようなFFT処理結果を得ることができ、ステップS7においてFFT処理結果が同じであると判断される。
【0026】
なお、検知領域のクラッタの状態によっては、図7(a)のように検知領域に侵入物又は障害物9が存在する状態においても、検知装置1bでは反射波を受信できない場合もある。しかし、搬送波f0と搬送波f1の片方だけ反射波を受信できるということはないので、必ず両方が同じように影響を受けている。従って、このような場合には、図9(a)及び図9(b)のようなFFT処理結果(概要)が得られる。なお、図9(a)(搬送波f0)及び図9(b)(搬送波f1)においても横軸及び縦軸は図6(a)と同じである。図9(a)及び図9(b)に示すように、搬送波f0及び搬送波f1のいずれにおいてもピークは検出されない。よって、ステップS7においてFFT処理結果が同じであると判断される。
【0027】
ステップS7においてFFT処理結果が同じであると判断されると、判定処理部122は、搬送波f0及び搬送波f1が両方共検出されたか判断する(ステップS9)。すなわち、FFT処理結果において搬送波f0及び搬送波f1の両方についてピークが検出されたかを判断する。図9(a)及び図9(b)に示すように搬送波f0及び搬送波f1の両方についてピークが検出されない場合には、判定処理部122は応答装置A(ここでは応答装置2a)と検知装置1bとの間に侵入物又は障害物ありと判定し(ステップS17)、その旨警報処理部123に通知する。警報処理部123は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS19)。なお、「応答装置Aとの間に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしてもよい。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Aとの間に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしても良い。
【0028】
一方、搬送波f0及び搬送波f1が両方共検出された場合には、判定処理部122は、FFT処理結果が搬送波f1の正常状態のFFT処理結果と同じであるか判断する(ステップS11)。すなわち、侵入物又は障害物までの距離が、応答装置2aまでの距離と同じであるか判断する。図8(a)及び図8(b)に示すようなFFT処理結果が今回搬送波f0及び搬送波f1について得られており、搬送波f1の正常状態のFFT処理結果が図8(c)に示すようなものである場合、搬送波f0及び搬送波f1についてのFFT処理結果が搬送波f1の正常状態のFFT処理結果と同じというようには判断できない。搬送波f0及び搬送波f1のFFT処理結果からすると、侵入物又は障害物までの距離は、応答装置2aより短い。従って、ステップS17に処理は移行する。
【0029】
ところが、図10(a)に示すように、応答装置2aに侵入物又は障害物9が近接している場合、図10(b)に示すように、検知装置1bから送信された搬送波f0、搬送波f1、搬送波f2、搬送波f3のうち、応答装置2aの方向からは搬送波f0及び搬送波f1(応答装置2bからは搬送波f2のみ、応答装置2cからは搬送波f3のみ)が返信される。従って、搬送波f0及び搬送波f1の両方について、搬送波f0については反射波が、搬送波f1については応答装置2aからの応答が検出されるので、同じようなピークを有するFFT処理結果が得られる。すなわち、図11(a)(搬送波f0)及び図11(b)(搬送波f1)のようなFFT処理結果(概要)が得られる。なお、図11(a)及び図11(b)の横軸及び縦軸は図6(a)と同じである。また、搬送波f1の正常状態のFFT処理結果が図11(c)(図8(c)と同じ)に示すようなものである場合、搬送波f0及び搬送波f1についてのFFT処理結果が搬送波f1の正常状態のFFT処理結果と同じと判断できる。図10(a)及び(b)に示すように、FFT処理結果においても侵入物又は障害物9までの距離は、応答装置2aとほぼ同じである。
【0030】
従って、判定処理部122は、応答装置A(ここでは応答装置2a)付近に侵入物又は障害物が存在すると判定し(ステップS13)、その旨警報処理部123に通知する。警報処理部122は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS15)。なお、「応答装置Aの付近に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしても良い。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Aの付近に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしてもよい。そして、処理は端子Aを介して図12の処理に移行する。なお、警報信号については警報機10だけではなく、他の装置に出力するようにしても良い。
【0031】
次に端子A以降の処理を図12を用いて説明する。判定処理部122は、搬送波f0についてのFFT処理結果と搬送波f2についてのFFT処理結果が同じであるか判断する(ステップS21)。ステップS21では、ステップS7における搬送波f1の代わりに搬送波f2についてのFFT処理結果を用いて判断すればよい。ステップS21においてFFT処理結果が同じではないと判断された場合には、ステップS35に移行する。
【0032】
ステップS21においてFFT処理結果が同じであると判断されると、判定処理部122は、搬送波f0及び搬送波f2が両方共検出されたか判断する(ステップS23)。すなわち、FFT処理結果において搬送波f0及び搬送波f2の両方についてピークが検出されたかを判断する。ステップS23では、ステップS9における搬送波f1の代わりに搬送波f2についてのFFT処理結果を用いて判断すればよい。搬送波f0及び搬送波f2の両方についてピークが検出されない場合には、判定処理部122は応答装置B(ここでは応答装置2b)と検知装置1bとの間に侵入物又は障害物ありと判定し(ステップS31)、その旨警報処理部123に通知する。警報処理部123は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS33)。なお、「応答装置Bとの間に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしてもよい。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Bとの間に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしても良い。
【0033】
一方、搬送波f0及び搬送波f2が両方共検出された場合には、判定処理部122は、FFT処理結果が搬送波f2の正常状態のFFT処理結果と同じであるか判断する(ステップS25)。すなわち、侵入物又は障害物までの距離が、応答装置2bまでの距離と同じであるか判断する。ステップS25では、ステップS11における搬送波f1の代わりに搬送波f2についてのFFT処理結果を用いて判断すればよい。もし、搬送波f0及び搬送波f2のFFT処理結果が搬送波f2の正常状態のFFT処理結果と一致せず、侵入物又は障害物までの距離が応答装置2bより近い場合には、ステップS31に処理は移行する。
【0034】
搬送波f0及び搬送波f2のFFT処理結果と搬送波f2の正常状態のFFT処理結果とがほぼ同じであり、侵入物又は障害物までの距離が応答装置2bとほぼ同じであると判断されると、判定処理部122は、応答装置B(ここでは応答装置2b)付近に侵入物又は障害物が存在すると判定し(ステップS27)、その旨警報処理部123に通知する。警報処理部123は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS29)。なお、「応答装置Bの付近に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしても良い。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Bの付近に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしてもよい。そして、処理はステップS35に移行する。なお、警報信号については警報機10だけではなく、他の装置に出力するようにしても良い。
【0035】
次に判定処理部122は、搬送波f0についてのFFT処理結果と搬送波f3についてのFFT処理結果が同じであるか判断する(ステップS35)。ステップS35では、ステップS7における搬送波f1の代わりに搬送波f3についてのFFT処理結果を用いて判断すればよい。ステップS35においてFFT処理結果が同じではないと判断された場合には、ステップS49に移行する。
【0036】
ステップS35においてFFT処理結果が同じであると判断されると、判定処理部122は、搬送波f0及び搬送波f3が両方共検出されたか判断する(ステップS37)。すなわち、FFT処理結果において搬送波f0及び搬送波f3の両方についてピークが検出されたかを判断する。ステップS37では、ステップS9における搬送波f1の代わりに搬送波f3についてのFFT処理結果を用いて判断すればよい。搬送波f0及び搬送波f3の両方についてピークが検出されない場合には、判定処理部122は応答装置C(ここでは応答装置2c)と検知装置1bとの間に侵入物又は障害物ありと判定し(ステップS45)、その旨警報処理部123に通知する。警報処理部123は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS47)。なお、「応答装置Cとの間に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしてもよい。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Cとの間に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしても良い。
【0037】
一方、搬送波f0及び搬送波f3が両方共検出された場合には、判定処理部122は、FFT処理結果が搬送波f3の正常状態のFFT処理結果と同じであるか判断する(ステップS39)。すなわち、侵入物又は障害物9までの距離が、応答装置2cまでの距離と同じであるか判断する。ステップS39では、ステップS11における搬送波f1の代わりに搬送波f3についてのFFT処理結果を用いて判断すればよい。もし、搬送波f0及び搬送波f3のFFT処理結果が搬送波f3の正常状態のFFT処理結果と一致せず、侵入物又は障害物9までの距離が応答装置2cより近い場合には、ステップS45に処理は移行する。
【0038】
搬送波f0及び搬送波f3のFFT処理結果と搬送波f3の正常状態のFFT処理結果とがほぼ同じであり、侵入物又は障害物までの距離が応答装置2cとほぼ同じであると判断されると、判定処理部122は、応答装置C(ここでは応答装置2c)付近に侵入物又は障害物が存在すると判定し(ステップS41)、その旨警報処理部123に通知する。警報処理部123は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS43)。なお、「応答装置Cの付近に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしても良い。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Cの付近に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしてもよい。そして、処理はステップS49に移行する。なお、警報信号については警報機10だけではなく、他の装置に出力するようにしても良い。
【0039】
ステップS49において、処理を終了するかを判断し、処理を終了しない場合にはステップS1に戻って、以上説明した処理を繰り返す。処理を終了する場合には、検知装置1bの処理は終了する。
【0040】
このような処理を実施すれば、無給電の応答装置を用いても、図10(a)及び(b)に示したような、応答装置の付近に存在する侵入物又は障害物をも検出することができ、誤認識を減らすことができる。
【0041】
なお、検知装置1aについては、上で述べた検知装置1bの処理をそのまま実施して、警報信号を検知装置1bに送信して検知装置1bの警報処理部123を介して警報機10などに警報信号を出力するようにする。但し、検知装置1aについては、検知装置1bより機能を少なくして、例えばレーダ制御部112の出力、又は信号処理部の処理結果を検知装置1bに送信して、検知装置1bにより処理するようにしても良い。
【0042】
上では本実施の形態の動作原理を分かりやすくするためにとりあえず述べなかったが、検知装置1a及び1bからは、搬送波f0、搬送波f1、搬送波f2、搬送波f3が送信されるため、応答装置2a、2b、2cのアンテナ21も搬送波f0、搬送波f1、搬送波f2、搬送波f3を受信することになるが、アンテナ21が搬送波f0、搬送波f1、搬送波f2、搬送波f3を反射すると侵入物又は障害物の誤認識につながるため好ましくない。従って、アンテナ21に以下のような構成を採用することにより、不要反射を抑制するようにすることが好ましい。
【0043】
すなわち、図13に示すように、送信用アンテナ22及び受信用アンテナ21を所定の角度傾けて設置し、送信用アンテナ22及び受信用アンテナ21に入射する入射波1300を受ける際に検知装置1a又は1bに向けて反射波1301を返さないようにする。しかし、送信用アンテナ22からは検知装置1a又は1bに向けて応答を返さなければならない。すなわち、不要な反射波1301については別方向に反射して検知装置1a又は1bでは不要な反射が検出されないようにすると共に、送信用アンテナ22からはアンテナの向きにかかわらず検知装置1a又は1bに向けてメインビーム1302が放射されるようなアンテナを採用する。
【0044】
このため、応答装置におけるアンテナには、例えば導波管によるスロットアンテナや、マイクロストリップラインによるスロットアンテナを採用するとよい。すなわち、図14に示すように、アンテナ素子間隔d、アンテナ素子間の給電線路長Lで接続したスロットアンテナを構成する。この際、給電線の管内波長をλg、空間波長λとすれば、以下の式を満たす角度θ方向にメインビーム1302が設定される。
【0045】
【数1】

【0046】
すなわち、応答装置におけるアンテナを角度θ傾けた場合には、アンテナ素子間隔d、アンテナ素子間の給電線路長Lを調整してメインビーム1302の傾き角度もθになるようにすればよい。なお、詳しくは、「改訂 レーダ技術」、発行:社団法人電子情報通信学会;株式会社コロナ社、初版平成8年10月1日発行、128ページを参照のこと。
【0047】
またこれとは別に、検知装置及び応答装置のアンテナに同じ旋回方向(右旋回又は左旋回)の円偏波アンテナを用いることで、不要な反射を抑制することができる。これは、円偏波には一度完全反射すると旋回方向が逆転する特徴があり、円偏波アンテナは旋回方向が異なる偏波を受信しない特徴があるため、不要な反射を抑制することになる。すなわち、検知装置1b等から送信された円偏波の電波については応答装置2a等のアンテナで完全反射する場合には旋回方向が逆転するため、当該旋回方向が逆転した円偏波の電波を検知装置1b等のアンテナでは受信できない。従って、不要な反射を抑制することができる。なお、詳細については、「マイクロ波アンテナ」、株式会社オーム社、昭和34年1月10日発行、113から114ページ参照のこと。
【0048】
但し、他の方法を用いて不要な反射を抑制するようにしても良い。
【0049】
なお、本実施の形態では応答装置の数が3つの例を説明しているが、3に限定するものではない。以下でも同様である。
【0050】
[実施の形態2]
第1の実施の形態では、受信用アンテナ21と送信用アンテナ22とを有する応答装置2a、2b及び2cを示したが、必ずしもアンテナを2つ使用しなければならないわけではない。図15に示すような構成の応答装置を用いることも可能である。
【0051】
すなわち、アンテナ150は、サーキュレータ151のアンテナ接続端子に接続されている。サーキュレータ151の受信信号出力端子には搬送波フィルタ25の入力端子が接続されている。搬送波フィルタ25の出力端子は、サーキュレータ151の送信信号入力端子に接続されている。従って、アンテナ150により受信された電波についての信号はサーキュレータ151を介して搬送波フィルタ25に入力され、第1の実施の形態と同じように、特定の周波数(例えば周波数f1を中心周波数とする所定の周波数帯とする)以外の周波数をフィルタリングする。搬送波フィルタ25を通過した信号は、サーキュレータ151を介してアンテナ150に供給され、検知装置1a又は1bに対して特定の周波数の電波が送信される。
【0052】
このような構成であっても第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0053】
[実施の形態3]
第1の実施の形態では、検知装置1a及び1bは、搬送波f0、搬送波f1、搬送波f2、搬送波f3の順番に送信していたが、本実施の形態では異なる順番で送信する場合を述べる。なお、応答装置2a、2b及び2c並びに検知装置1a及び1bについては、同様の構成を有する。また、前提として、応答装置2aの搬送波フィルタは周波数f1以外の周波数の信号をフィルタリングし、応答装置2bの搬送波フィルタは周波数f2以外の周波数の信号をフィルタリングし、応答装置2cの搬送波フィルタは周波数f3以外の周波数の信号をフィルタリングするものとする。また、周波数は、中心周波数を含む、所定の幅の周波数帯を示しているものとする。
【0054】
図16及び図17を用いて本実施の形態における検知装置1bの動作・処理の流れを説明する。まず、レーダ制御部112は、アンテナ111に搬送波f0、搬送波f1、搬送波f0、搬送波f2、搬送波f0、搬送波f3を順に検知領域に送信させる(ステップS51)。応答装置2a、応答装置2b、応答装置2cは、搬送波f0、搬送波f1、搬送波f0、搬送波f2、搬送波f0、搬送波f3を受信すると、搬送波フィルタによりフィルタリングを行い、その搬送波フィルタが通過させた周波数の電波を検知装置1bに返信する。但し、各応答装置は、その搬送波フィルタを通過させる周波数の電波を受信できなければ返信はない。
【0055】
検知装置2bのアンテナ111は、検知領域から電波(搬送波f0、搬送波f1、搬送波f0、搬送波f2、搬送波f0、搬送波f3。但し、受信しないものもある。)を受信する(ステップS53)。アンテナ111からの信号はレーダ制御部112を介して信号処理部121に出力される。信号処理部121は、搬送波f0、搬送波f1、搬送波f0、搬送波f2、搬送波f0、搬送波f3につきFFT処理を実施する(ステップS55)。具体的には、搬送波f0のビート信号についてのFFT処理、搬送波f1のビート信号についてのFFT処理、搬送波f0のビート信号についてのFFT処理、搬送波f2のビート信号についてのFFT処理、搬送波f0のビート信号についてのFFT処理、搬送波f3のビート信号についてのFFT処理を行う。
【0056】
次に、判定処理部122は、搬送波f1についてのFFT処理結果と1つ前の搬送波f0についてのFFT処理結果とが同じであるか判断する(ステップS57)。ステップS57の処理は、第1の実施の形態におけるステップS7における処理と同じである。ステップS57においてFFT処理結果が同じではないと判断された場合には、端子Cを介して図17の処理に移行する。
【0057】
ステップS57においてFFT処理結果が同じであると判断されると、判定処理部122は、搬送波f0及び搬送波f1が両方共検出されたか判断する(ステップS59)。すなわち、FFT処理結果において搬送波f0及び搬送波f1の両方についてピークが検出されたかを判断する。ステップS59の処理は、第1の実施の形態におけるステップS9と同じである。搬送波f0及び搬送波f1の両方についてピークが検出されない場合には、判定処理部122は応答装置A(ここでは応答装置2a)と検知装置1bとの間に侵入物又は障害物ありと判定し(ステップS67)、その旨警報処理部123に通知する。警報処理部123は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS69)。なお、「応答装置Aとの間に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしてもよい。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Aとの間に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしても良い。
【0058】
一方、搬送波f0及び搬送波f1が両方共検出された場合には、判定処理部122は、FFT処理結果が搬送波f1の正常状態のFFT処理結果と同じであるか判断する(ステップS61)。すなわち、侵入物又は障害物までの距離が、応答装置2aまでの距離と同じであるか判断する。ステップS61の処理は、第1の実施の形態におけるステップS11と同じである。もし、搬送波f0及び搬送波f1のFFT処理結果が搬送波f1の正常状態のFFT処理結果と一致せず、侵入物又は障害物までの距離が応答装置2aより短い場合には、ステップS67に処理は移行する。
【0059】
搬送波f0及び搬送波f1のFFT処理結果と搬送波f1の正常状態のFFT処理結果とがほぼ同じであり、侵入物又は障害物までの距離が応答装置2aとほぼ同じであると判断されると、判定処理部122は、応答装置A(ここでは応答装置2a)付近に侵入物又は障害物が存在すると判定し(ステップS63)、その旨警報処理部123に通知する。警報処理部123は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS65)。なお、「応答装置Aの付近に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしても良い。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Aの付近に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしてもよい。そして、処理は端子Cを介して図17の処理に移行する。なお、警報信号については警報機10だけではなく、他の装置に出力するようにしても良い。
【0060】
次に端子C以降の処理を図17を用いて説明する。判定処理部122は、搬送波f2についてのFFT処理結果と1つ前の搬送波f0についてのFFT処理結果とが同じであるか判断する(ステップS71)。ステップS71では、ステップS57における搬送波f1の代わりに搬送波f2についてのFFT処理結果を用いて判断すればよい。搬送波f0についても2番目の搬送波f0のFFT処理結果を使用する。ステップS71においてFFT処理結果が同じではないと判断された場合には、ステップS83に移行する。
【0061】
ステップS71においてFFT処理結果が同じであると判断されると、判定処理部122は、搬送波f0及び搬送波f2が両方共検出されたか判断する(ステップS73)。すなわち、FFT処理結果において搬送波f0及び搬送波f2の両方についてピークが検出されたかを判断する。ステップS73では、ステップS59における搬送波f1の代わりに搬送波f2についてのFFT処理結果を用いて判断すればよい。搬送波f0についても2番目の搬送波f0のFFT処理結果を使用する。搬送波f0及び搬送波f2の両方についてピークが検出されない場合には、判定処理部122は応答装置B(ここでは応答装置2b)と検知装置1bとの間に侵入物又は障害物ありと判定し(ステップS80)、その旨警報処理部123に通知する。警報処理部123は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS81)。なお、「応答装置Bとの間に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしてもよい。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Bとの間に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしても良い。
【0062】
一方、搬送波f0及び搬送波f2が両方共検出された場合には、判定処理部122は、FFT処理結果が搬送波f2の正常状態のFFT処理結果と同じであるか判断する(ステップS75)。すなわち、侵入物又は障害物までの距離が、応答装置2bまでの距離と同じであるか判断する。ステップS75では、ステップS61における搬送波f1の代わりに搬送波f2についてのFFT処理結果を用いて判断すればよい。搬送波f0についても2番目の搬送波f0のFFT処理結果を使用する。もし、搬送波f0及び搬送波f2のFFT処理結果が搬送波f2の正常状態のFFT処理結果と一致せず、侵入物又は障害物までの距離が応答装置2bより近い場合には、ステップS80に処理は移行する。
【0063】
搬送波f0及び搬送波f2のFFT処理結果と搬送波f2の正常状態のFFT処理結果とがほぼ同じであり、侵入物又は障害物までの距離が応答装置2bとほぼ同じであると判断されると、判定処理部122は、応答装置B(ここでは応答装置2b)付近に侵入物又は障害物が存在すると判定し(ステップS77)、その旨警報処理部123に通知する。警報処理部123は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS79)。なお、「応答装置Bの付近に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしても良い。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Bの付近に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしてもよい。そして、処理はステップS83に移行する。なお、警報信号については警報機10だけではなく、他の装置に出力するようにしても良い。
【0064】
次に判定処理部122は、搬送波f3についてのFFT処理結果と1つ前の搬送波f0についてのFFT処理結果とが同じであるか判断する(ステップS83)。ステップS83では、ステップS57における搬送波f1の代わりに搬送波f3についてのFFT処理結果を用いて判断すればよい。搬送波f0についても3番目の搬送波f0を使用する。ステップS83においてFFT処理結果が同じではないと判断された場合には、ステップS97に移行する。
【0065】
ステップS83においてFFT処理結果が同じであると判断されると、判定処理部122は、搬送波f0及び搬送波f3が両方共検出されたか判断する(ステップS85)。すなわち、FFT処理結果において搬送波f0及び搬送波f3の両方についてピークが検出されたかを判断する。ステップS85では、ステップS59における搬送波f1の代わりに搬送波f3についてのFFT処理結果を用いて判断すればよい。搬送波f0についても3番目の搬送波f0を使用する。搬送波f0及び搬送波f3の両方についてピークが検出されない場合には、判定処理部122は応答装置C(ここでは応答装置2c)と検知装置1bとの間に侵入物又は障害物ありと判定し(ステップS93)、その旨警報処理部123に通知する。警報処理部123は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS95)。なお、「応答装置Cとの間に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしてもよい。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Cとの間に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしても良い。
【0066】
一方、搬送波f0及び搬送波f3が両方共検出された場合には、判定処理部122は、FFT処理結果が搬送波f3の正常状態のFFT処理結果と同じであるか判断する(ステップS87)。すなわち、侵入物又は障害物までの距離が、応答装置2cまでの距離と同じであるか判断する。ステップS87では、ステップS61における搬送波f1の代わりに搬送波f3についてのFFT処理結果を用いて判断すればよい。搬送波f0についても3番目の搬送波f0を使用する。もし、搬送波f0及び搬送波f3のFFT処理結果が搬送波f3の正常状態のFFT処理結果と一致せず、侵入物又は障害物までの距離が応答装置2cより近い場合には、ステップS93に処理は移行する。
【0067】
搬送波f0及び搬送波f3のFFT処理結果と搬送波f3の正常状態のFFT処理結果とがほぼ同じであり、侵入物又は障害物までの距離が応答装置2cとほぼ同じであると判断されると、判定処理部122は、応答装置C(ここでは応答装置2c)付近に侵入物又は障害物が存在すると判定し(ステップS89)、その旨警報処理部123に通知する。警報処理部123は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS91)。なお、「応答装置Cの付近に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしても良い。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Cの付近に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしてもよい。そして、処理はステップS97に移行する。なお、警報信号については警報機10だけではなく、他の装置に出力するようにしても良い。
【0068】
ステップS97において、処理を終了するかを判断し、処理を終了しない場合にはステップS51に戻って、以上説明した処理を繰り返す。処理を終了する場合には、検知装置1bの処理は終了する。
【0069】
このような処理を実施すれば、無給電の応答装置を用いても、図10(a)及び(b)に示したような、応答装置の付近に存在する侵入物又は障害物を検出することができ、誤認識を減らすことができる。
【0070】
[実施の形態4]
第1乃至第3の実施の形態において、検知装置1a及び1bでは、搬送波f0、搬送波f1、搬送波f2、搬送波f3というように、応答装置の台数に応じて多くの種類の搬送波を送信しなければならない。そこで、本実施の形態では、以下のような構成を採用することにより、検知装置1a及び1bの送信搬送波の種類を減少させる。
【0071】
応答装置2a(以下、応答装置を代表して応答装置2aについて説明する)の構成を図18を用いて説明する。応答装置2aは、受信用アンテナ181と、受信用アンテナ181に接続されたアイソレータ182と、周波数fsの信号を出力する発信器184と、アイソレータ182の出力端子及び発信器184に接続され且つアンテナ181で受信した周波数frの搬送波frに対応する信号を発信器184からの周波数fsの信号で変調する変調部183と、変調部183の出力端子に接続されたアイソレータ185と、アイソレータ185に接続された送信用アンテナ186とを含む。発信器184により生成される信号の周波数fsは、応答装置毎に異なる。また、搬送波frに対応する信号を周波数fsの信号で変調することにより生成される、周波数fmrの信号は、増幅することなく、変調搬送波fmrとして送信用アンテナ186から検知装置1a又は1bに送信される。すなわち、応答装置毎に異なる変調搬送波fmrが検知装置1a又は1bに送信される。
【0072】
本実施の形態の応答装置2aでは、発信器184と変調部183では、後に述べるような構成を除き電力が必要である。但し、増幅を行わないため、低消費電力で動作させることができる。従って、小規模な蓄電池での長時間動作や、小規模な太陽電池や風力発電機での連続動作も可能となる。従って、外部給電が難しいような環境においても応答装置の設置を行うことができる。
【0073】
これに対して本実施の形態の検知装置1b(検知装置を代表して検知装置1bについて説明する)は、図19に示すような構成を有する。検知装置1bは、所定の電波(ミリ波やマイクロ波などのレーダにおいて用いられる電波)を送受信するアンテナ1911及び電波の送受信を制御するレーダ制御部1912を有する検知装置本体191と、検知装置本体191において受信された電波についての信号を特定の周波数帯域で通過又は除去させるフィルタ(すなわち帯域通過フィルタ又は帯域除去フィルタ)1921と当該フィルタ1921を通過した信号等を処理する(例えばFFT処理などを実施する)信号処理部1922と侵入又は障害物の存在などを判定する判定処理部1923と判定処理部1923が侵入又は障害物の存在ありと判定した場合に警報機10に警報信号を出力する警報処理部1924とを有する判断処理部192とを有する。検知装置本体191並びに判断処理部192のフィルタ1921及び信号処理部1922については、従来のレーダ装置と同様であり以下においても詳細な説明を省略する。
【0074】
次に、検知装置1bの動作及び処理について図20乃至図27を用いて説明する。なお、前提として、応答装置2aの変調部は周波数fs1で変調を実施し、応答装置2bの変調部は周波数fs2で変調を実施し、応答装置2cの変調部は周波数fs3で変調を実施するものとする。まず、レーダ制御部1912は、アンテナ1911に周波数frの搬送波frを検知領域に送信させる(ステップS101)。応答装置2aは、搬送波frを受信すると、周波数fs1で変調を行い、周波数fmr1の変調搬送波fmr1を、応答装置2bは、搬送波frを受信すると、周波数fs2で変調を行い、周波数fmr2の変調搬送波fmr2を、応答装置2cは、搬送波frを受信すると、周波数fs3で変調を行い、周波数fmr3の変調搬送波fmr3を、それぞれ検知装置1bに対して送信する。但し、各応答装置は、検知装置1bから搬送波を受信できなければ返信はしない。
【0075】
検知装置1bのアンテナ1911は、検知領域から各搬送波(搬送波fr、変調搬送波fmr1、変調搬送波fmr2、変調搬送波fmr3。但し、受信しないものもある。)を受信する(ステップS103)。アンテナ1911からの信号はレーダ制御部1912を介してフィルタ1921に出力される。フィルタ1921は、最初に、応答装置A(ここでは応答装置2a)からの変調搬送波fmr1のみを通過させるようにフィルタリングを実施する(ステップS105)。例えば変調搬送波fmr1を中心周波数とする所定の周波数帯のバンドパスフィルタ(BPF)を構成して、受信した搬送波についての信号を処理する。そして、フィルタリング後の信号を信号処理部1922に出力する。信号処理部1922は、フィルタリング後の信号についてFFT処理を実施する(ステップS107)。具体的には、変調搬送波fmr1のビート信号についてのFFT処理を実施する。
【0076】
判定処理部1923は、FFT処理結果においてピークを検出したか判断する(ステップS109)。例えば、図21(a)のような状態、すなわち検知領域に侵入物又は障害物が全く存在しない状態では、図21(b)に示すように、検知装置1bから送信された搬送波frに対応して、応答装置2aからは変調搬送波fmr1(応答装置2bからは変調搬送波fmr2、応答装置2cからは変調搬送波fmr3)が返信される。従って、変調搬送波fmr1についての信号がフィルタを通過して、図22(a)に示すようなピークを有するFFT処理結果(概要)が得られる。なお、図22(a)において、横軸はビート信号のビート周波数、縦軸は強度を表す。
【0077】
一方、図23(a)のような状態、すなわち侵入物又は障害物9が検知装置1bと応答装置2aの間に存在する状態では、図23(b)に示すように、検知装置1bから送信された搬送波frに対応して、応答装置2aの方向からは搬送波frのみ(応答装置2bからは変調搬送波fmr2、応答装置2cからは変調搬送波fmr3)が返信される。従って、ステップS105におけるフィルタリングで通過する信号は無い。すなわち、図22(b)に示すようなピークの無いFFT処理結果(概要)が得られる。なお、図22(b)の横軸及び縦軸は図22(a)と同じである。
【0078】
このように、ステップS105におけるフィルタリング後の信号についてのFFT処理結果においてピークが検出されなければ、判定処理部1923は応答装置A(ここでは応答装置2a)と検知装置1bとの間に侵入物又は障害物ありと判定し(ステップS111)、その旨警報処理部1924に通知する。警報処理部1924は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS113)。なお、「応答装置Aとの間に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしてもよい。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Aとの間に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしても良い。処理は、端子Eを介して図26の処理に移行する。
【0079】
一方、ステップS109でFFT処理結果においてピークを検出した場合には、フィルタ1921は、応答装置A(ここでは応答装置2a)からの変調搬送波fmr1のみを除去させるようにフィルタリングを実施する(ステップS115)。例えば変調搬送波fmr1の周波数fmr1を中心周波数とする所定の周波数帯のみ濾過するフィルタを構成して、受信した搬送波についての信号を処理する。但し、変調搬送波fmr2及び変調搬送波fmr3の周波数帯もここでは使用しないので濾過するようなフィルタリングを行う。そして、フィルタリング後の信号を信号処理部1922に出力する。信号処理部1922は、フィルタリング後の信号についてFFT処理を実施する(ステップS117)。具体的には、変調搬送波fmr1以外の成分のビート信号についてのFFT処理を実施する。
【0080】
例えば、図21(a)のような状態、すなわち検知領域に侵入物又は障害物が全く存在しない状態では、図21(b)に示すように、検知装置1bから送信された搬送波frに対応して、応答装置2aからは変調搬送波fmr1(応答装置2bからは変調搬送波fmr2、応答装置2cからは変調搬送波fmr3)が返信される。従って、変調搬送波fmr1(及び変調搬送波fmr2及び変調搬送波fmr3)が濾過されるため、図22(b)に示すようなピークの無いFFT処理結果(概要)が得られる。
【0081】
一方、図24(a)に示すように、応答装置2aに侵入物又は障害物9が近接している場合、図24(b)に示すように、検知装置1bから送信された搬送波frに対応して、応答装置2aの方向からは搬送波fr及び変調搬送波fmr1(応答装置2bからは変調搬送波fmr2、応答装置2cからは変調搬送波fmr3)が返信される。従って、ステップS105におけるフィルタリングでは、変調搬送波fmr1についての信号のみが通過するため、FFT処理結果は、図25(a)に示すようになる。すなわち、図22(a)と同じであり、侵入物又は障害物が存在しない場合と同じFFT処理結果となる。一方、搬送波frも反射波として受信しているので、ステップS115におけるフィルタリングでは、搬送波frについての信号のみが通過するため、FFT処理結果は、図25(b)に示すようになる。すなわち、図25(a)と同じである。
【0082】
そこで、判定処理部1923は、ステップS107のFFT処理結果とステップS117のFFT処理結果において同じビート周波数(すなわちピーク)を検出したか判断する(ステップS119)。上で述べたように図21(a)及び図21(b)に示した状態であれば、図22(a)及び図22(b)の組み合わせとしてFFT処理結果が得られるので、ビート周波数は一致しない。従って、侵入物又は障害物が存在しないと判定して、端子Eを介して図26の処理に移行する。
【0083】
一方、図24(a)及び図24(b)に示した状態であれば、図25(a)及び図25(b)の組み合わせとしてFFT処理結果が得られるので、ビート周波数が一致する。従って、判定処理部1923は、応答装置A(ここでは応答装置2a)付近に侵入物又は障害物が存在すると判定し(ステップS121)、その旨警報処理部1924に通知する。警報処理部1924は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS123)。なお、「応答装置Aの付近に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしても良い。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Aの付近に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしてもよい。そして、処理は端子Eを介して図26の処理に移行する。なお、警報信号については警報機10だけではなく、他の装置に出力するようにしても良い。
【0084】
次に端子E以降の処理を図26及び図27を用いて説明する。フィルタ1921は、アンテナ1911及びレーダ制御部1912からの信号を、応答装置B(ここでは応答装置2b)からの変調搬送波fmr2のみを通過させるようにフィルタリングを実施する(ステップS125)。例えば変調搬送波fmr2を中心周波数とする所定の周波数帯のバンドパスフィルタ(BPF)を構成して、受信した搬送波についての信号を処理する。そして、フィルタリング後の信号を信号処理部1922に出力する。信号処理部1922は、フィルタリング後の信号についてFFT処理を実施する(ステップS127)。具体的には、変調搬送波fmr2のビート信号についてのFFT処理を実施する。
【0085】
判定処理部1923は、FFT処理結果においてピークを検出したか判断する(ステップS129)。ステップS129は、ステップS109と同様の処理である。上でも述べたが、ステップS125におけるフィルタリング後の信号についてのFFT処理結果においてピークが検出されなければ、判定処理部1923は応答装置B(ここでは応答装置2b)と検知装置1bとの間に侵入物又は障害物ありと判定し(ステップS131)、その旨警報処理部1924に通知する。警報処理部1924は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS133)。なお、「応答装置Bとの間に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしてもよい。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Bとの間に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしても良い。処理は、端子Gを介して図27の処理に移行する。
【0086】
一方、ステップS129でFFT処理結果においてピークを検出した場合には、フィルタ1921は、応答装置B(ここでは応答装置2b)からの変調搬送波fmr2のみを除去させるようにフィルタリングを実施する(ステップS135)。例えば変調搬送波fmr2の周波数fmr2を中心周波数とする所定の周波数帯のみ濾過するフィルタを構成して、受信した搬送波についての信号を処理する。但し、変調搬送波fmr1及び変調搬送波fmr3の周波数帯もここでは使用しないので濾過するようなフィルタリングを行う。そして、フィルタリング後の信号を信号処理部1922に出力する。信号処理部1922は、フィルタリング後の信号についてFFT処理を実施する(ステップS137)。具体的には、変調搬送波fmr2以外の成分のビート信号についてのFFT処理を実施する。
【0087】
そして、判定処理部1923は、ステップS127のFFT処理結果とステップS137のFFT処理結果において同じビート周波数(すなわちピーク)を検出したか判断する(ステップS139)。上でも述べたように、ビート周波数が一致しない場合には、侵入物又は障害物が存在しないと判定して、端子Gを介して図27の処理に移行する。一方、ビート周波数が一致する場合には、判定処理部1923は、応答装置B(ここでは応答装置2b)付近に侵入物又は障害物が存在すると判定し(ステップS141)、その旨警報処理部1924に通知する。警報処理部1924は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS143)。なお、「応答装置Bの付近に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしても良い。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Bの付近に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしてもよい。そして、処理は端子Gを介して図27の処理に移行する。なお、警報信号については警報機10だけではなく、他の装置に出力するようにしても良い。
【0088】
次に端子G以降の処理を図27を用いて説明する。フィルタ1921は、アンテナ1911及びレーダ制御部1912からの信号を、応答装置C(ここでは応答装置2c)からの変調搬送波fmr3のみを通過させるようにフィルタリングを実施する(ステップS145)。例えば変調搬送波fmr3を中心周波数とする所定の周波数帯のバンドパスフィルタ(BPF)を構成して、受信した搬送波についての信号を処理する。そして、フィルタリング後の信号を信号処理部1922に出力する。信号処理部1922は、フィルタリング後の信号についてFFT処理を実施する(ステップS147)。具体的には、変調搬送波fmr3のビート信号についてのFFT処理を実施する。
【0089】
判定処理部1923は、FFT処理結果においてピークを検出したか判断する(ステップS149)。ステップS149は、ステップS109と同様の処理である。上でも述べたが、ステップS145におけるフィルタリング後の信号についてのFFT処理結果においてピークが検出されなければ、判定処理部1923は応答装置C(ここでは応答装置2c)と検知装置1bとの間に侵入物又は障害物ありと判定し(ステップS151)、その旨警報処理部1924に通知する。警報処理部1924は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS153)。なお、「応答装置Cとの間に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしてもよい。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Cとの間に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしても良い。処理は、ステップS165に移行する。
【0090】
一方、ステップS149でFFT処理結果においてピークを検出した場合には、フィルタ1921は、応答装置C(ここでは応答装置2c)からの変調搬送波fmr3のみを除去させるようにフィルタリングを実施する(ステップS155)。例えば変調搬送波fmr3の周波数fmr3を中心周波数とする所定の周波数帯のみ濾過するフィルタを構成して、受信した搬送波についての信号を処理する。但し、変調搬送波fmr1及び変調搬送波fmr2の周波数帯もここでは使用しないので濾過するようなフィルタリングを行う。そして、フィルタリング後の信号を信号処理部1922に出力する。信号処理部1922は、フィルタリング後の信号についてFFT処理を実施する(ステップS157)。具体的には、変調搬送波fmr3以外の成分のビート信号についてのFFT処理を実施する。
【0091】
そして、判定処理部1923は、ステップS147のFFT処理結果とステップS157のFFT処理結果において同じビート周波数(すなわちピーク)を検出したか判断する(ステップS159)。上でも述べたように、ビート周波数が一致しない場合には、侵入物又は障害物が存在しないと判定して、ステップS165に移行する。一方、ビート周波数が一致する場合には、判定処理部1923は、応答装置C(ここでは応答装置2c)付近に侵入物又は障害物が存在すると判定し(ステップS161)、その旨警報処理部1924に通知する。警報処理部1924は、侵入物又は障害物ありとの通知を受けると、警報信号を警報機10に出力する(ステップS163)。なお、「応答装置Cの付近に侵入物又は障害物あり」という通知を出力するような場合には、それに応じた警報信号を警報機10に出力するようにしても良い。警報機10は、警報信号に応じて警報を出力する。「応答装置Cの付近に侵入物又は障害物あり」に応じた警報を出力するようにしてもよい。そして、処理はステップS165に移行する。なお、警報信号については警報機10だけではなく、他の装置に出力するようにしても良い。
【0092】
ステップS165において、処理を終了するかを判断し、処理を終了しない場合にはステップS101に戻って、以上説明した処理を繰り返す。処理を終了する場合には、検知装置1bの処理は終了する。
【0093】
このような処理を実施すれば、省電力の応答装置を用いても、応答装置の付近に存在する侵入物又は障害物をも検出することができ、誤認識を減らすことができる。なお、自然エネルギーを用いることができる場合には、応答装置へは外部から給電を行わずに済み、実質的に無給電と言える場合もある。
【0094】
なお、応答装置2a等の発信器184については、PN信号発生器を用いるようにして、変調部183ではPN信号発生器が生成するPN信号に応じた変調を実施するようにしても良い。この場合検知装置側もPN信号に応じた変調に対応した信号処理を実施するようにする。また、不要反射を抑制する必要性は本実施の形態でも同じであり、第1の実施の形態において説明した構成を本実施の形態においても適用することができる。
【0095】
さらに、応答装置2a等については、図28に示すような構成を採用することも可能である。すなわち、発信器184に代わって、風などにより回転するプロペラ等を有し、当該プロペラ等の回転に応じたスイッチングを変調部183aに対して行うスイッチング部281を用いるものである。なお、プロペラ等の回転数を例えば機械的に調整して一定の周期でスイッチングできるような構造を有する方が好ましい。変調部183aは、スイッチング部281によるスイッチングに応じて、受信した搬送波frに対応する信号を変調する。このような構成を採用することにより、搬送波を給電なしに変調することが可能となる。スイッチングによる変調なので、検知装置側においてもスイッチングによる変調の有無を、受信した搬送波についての信号において検出できるように構成を変更する必要がある。
【0096】
また、図15に示したように応答装置のアンテナを1つにする構成についても本実施の形態における応答装置に採用することができる。
【0097】
さらに、検知装置1a及び1bの連携についても第1の実施の形態と同様に行うことができる。
【0098】
[実施の形態5]
第1乃至第4の実施の形態では、侵入物又は障害物の高さについては特に検討していなかった。しかし、踏切などにおいてはどの程度の高さの侵入物又は障害物が存在しているのかを検出する必要がある場合もある。
【0099】
そのような場合には例えば図29に示すような構成を採用する。すなわち、検知装置1bを地上からの高さhに設置する。また、応答装置291、応答装置292及び応答装置293を同じ地点に設置するが、応答装置291を地上からの高さh3に、応答装置292を地上からの高さh2に、応答装置293を地上からの高さh1に設置するものとする。なお、h1<h<h2<h3とする。
【0100】
例えば、図29に示すように、侵入物又は障害物9が存在する場合には、応答装置293及び292からの搬送波は検出できず、応答装置291からの搬送波のみが検出されるようになる。また、応答装置292は、検知装置1bより高いので、侵入物又は障害物9が検知装置1bより高ければ、応答装置292からの搬送波は遮断される。そうすると、h1<h<h2<h3という関係から、侵入物又は障害物9は、hからh3の高さを有することが推定される。また、検知装置1bと応答装置292とを結ぶ線分の水平に対する角度θは、定常状態において既知であるから、侵入物又は障害物9までの距離rが分かれば、侵入物又は障害物9の高さはh+r×sinθ以上であることが推定できる。但し、応答装置の数は3に限定されない。また、第1乃至第4の実施の形態との組み合わせも可能である。
【0101】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明の上で述べた実施の形態に限定されるものではない。例えば、検知装置についての機能ブロック構成は、あくまで機能を説明するための機能ブロック分けについて説明しており、必ずしもプログラム又は部品などに分解できるものではない。
【0102】
なお、上で述べた実施の形態では、侵入物又は障害物までの距離の値については特に触れなかったが、必要に応じて当該距離の値を、記録又は出力するようにしても良い。
【0103】
(付記1)
検知装置と応答装置とを有する侵入・障害物検出装置であって、
前記応答装置は、給電されておらず、
前記検知装置から受信した電波の周波数のうち特定の周波数以外の周波数をフィルタリングするフィルタと、
前記フィルタを通過した特定の周波数の電波を増幅することなく前記検知装置に対して送信するアンテナと、
を有し、
前記検知装置は、
基準となる周波数及び前記特定の周波数を含む複数の周波数の電波をアンテナから前記応答装置に対して送信させる発信手段と、
前記特定の周波数の電波の受信の有無と前記基準となる周波数の電波の受信の有無とに基づき侵入又は障害物の有無を判断する判断手段と、
を有する
侵入・障害物検出装置。
【0104】
(付記2)
検知装置と応答装置とを有する侵入・障害物検出装置であって、
前記応答装置は、
前記検知装置から受信した電波に係る信号を変調する変調手段と、
前記変調手段により変調された信号に係る電波を増幅することなく前記検知装置に送信するアンテナと、
を有し、
前記検知装置は、
特定の周波数の電波をアンテナから前記応答装置に対して送信させる手段と、
前記変調された信号に係る電波の受信の有無及び前記特定の周波数の電波の受信の有無に基づき侵入又は障害物の有無を判断する判断手段と、
を有する
侵入・障害物検出装置。
【0105】
(付記3)
前記応答装置が有するアンテナが、前記検知装置からの電波の前記検知装置方向への反射を抑制する機能を有する付記1又は2記載の侵入・障害物検出装置。
【0106】
(付記4)
前記判断手段が、
受信電波の発信源の距離にさらに基づき侵入物又は障害物の有無を判断する
ことを特徴とする付記1記載の侵入・障害物検出装置。
【0107】
(付記5)
前記特定の周波数が前記応答装置毎に設定されており、
前記発信手段が、
前記アンテナに、前記基準となる周波数の電波及び前記特定の周波数の電波の対を前記応答装置の分だけ順番に送信させる
ことを特徴とする付記1記載の侵入・障害物検出装置。
【0108】
(付記6)
前記特定の周波数が前記応答装置毎に設定されており、
前記発信手段が、
前記アンテナに、前記基準となる周波数の電波と各前記応答装置についての前記特定の周波数の電波との組み合わせを送信させる
ことを特徴とする付記1記載の侵入・障害物検出装置。
【0109】
(付記7)
検知装置から受信した電波の周波数のうち特定の周波数以外の周波数をフィルタリングするフィルタと、
前記フィルタを通過した特定の周波数の電波を増幅することなく前記検知装置に対して送信するアンテナと、
を有する無給電応答装置。
【0110】
(付記8)
検知装置と応答装置とを有する侵入・障害物検出装置であって、
前記応答装置は、アンテナを有し、
前記検知装置から受信した電波の周波数とは異なる周波数に係る電波を増幅なしに前記検知装置に対して送信し、
前記アンテナが、前記検知装置からの電波の前記検知装置方向への反射を抑制する機能を有し、
前記検知装置は、
前記応答装置に対して送信した電波の反射波の受信の有無及び前記応答装置から送信される電波の受信の有無に基づき侵入又は障害物の有無を判断する
ことを特徴とする侵入・障害物検出装置。
【0111】
(付記9)
前記応答装置が、無給電であることを特徴とする付記1乃至6及び8のいずれか1つ記載の侵入・障害検出物装置。
【0112】
(付記10)
前記応答装置が有するアンテナが、円偏波アンテナであり、
前記検知装置のアンテナも円偏波アンテナであることを特徴とする付記3記載の侵入・障害検出物装置。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態における検知装置及び応答装置の設置例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における応答装置の機能ブロック図である。
【図3】第1の実施の形態における検知装置の機能ブロック図である。
【図4】第1の実施の形態における処理フローの第1の部分を示す図である。
【図5】(a)及び(b)は、第1の実施の形態において、侵入物又は障害物が存在しない場合の状態を示すための模式図である。
【図6】(a)及び(b)は、第1の実施の形態において、侵入物又は障害物が存在しない場合のFFT処理結果(概要)を示す図である。
【図7】(a)及び(b)は、第1の実施の形態において、侵入物又は障害物が応答装置と検知装置の間に存在する場合の状態を示すための模式図である。
【図8】(a)、(b)及び(c)は、第1の実施の形態において、侵入物又は障害物が検知装置と応答装置との間に存在する場合のFFT処理結果(概要)の一例を示す図である。
【図9】(a)及び(b)は、第1の実施の形態において、侵入物又は障害物が検知装置と応答装置との間に存在する場合のFFT処理結果(概要)の一例を示す図である。
【図10】(a)及び(b)は、第1の実施の形態において、侵入物又は障害物が応答装置付近に存在する場合の状態を示すための模式図である。
【図11】(a)、(b)及び(c)は、第1の実施の形態において、侵入物又は障害物が応答装置付近に存在する場合のFFT処理結果(概要)を表す図である。
【図12】第1の実施の形態における処理フローの第2の部分を示す図である。
【図13】不要反射を抑制する機能を有する応答装置の概要を示す図である。
【図14】不要反射を抑制するためのアンテナの一例を示す図である。
【図15】第2の実施の形態における応答装置の機能ブロック図である。
【図16】第3の実施の形態における処理フローの第1の部分を示す図である。
【図17】第3の実施の形態における処理フローの第2の部分を示す図である。
【図18】第4の実施の形態における応答装置の機能ブロック図である。
【図19】第4の実施の形態における検知装置の機能ブロック図である。
【図20】第4の実施の形態における処理フローの第1の部分を示す図である。
【図21】(a)及び(b)は、第4の実施の形態において、侵入物又は障害物が存在していない場合の状態を示すための模式図である。
【図22】(a)及び(b)は、FFT処理結果(概要)を示す図である。
【図23】(a)及び(b)は、第4の実施の形態において、侵入物又は障害物が応答装置と検知装置との間に存在する場合の状態を示すための模式図である。
【図24】(a)及び(b)は、第4の実施の形態において、侵入物又は障害物が応答装置付近に存在する場合の状態を示すための模式図である。
【図25】(a)及び(b)は、FFT処理結果(概要)を示す図である。
【図26】第4の実施の形態における処理フローの第2の部分を示す図である。
【図27】第4の実施の形態における処理フローの第3の部分を示す図である。
【図28】第4の実施の形態における応答装置の他の例を示す機能ブロック図である。
【図29】第5の実施の形態における応答装置、検知装置、侵入物又は障害物の位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0114】
1a,1b 検知装置
2a,2b,2c 応答装置
3a,3b 線路
4 道路
9 侵入物又は障害物
10 警報機
11,191 検知装置本体
12,192 判断処理部
21,181 受信用アンテナ
22,186 送信用アンテナ
23,24,182,185 アイソレータ
25 搬送波フィルタ
151 サーキュレータ
150 アンテナ
183,183a 変調部
184 発信器
111,1911 検知装置のアンテナ
112,1912 レーダ制御部
121,1922 信号処理部
122,1923 判定処理部
123,1924 警報処理部
1921 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知装置と応答装置とを有する侵入・障害物検出装置であって、
前記応答装置は、アンテナを有し、
前記検知装置から受信した電波の周波数とは異なる周波数に係る電波を増幅なしに前記検知装置に対して送信し、
前記アンテナが、前記検知装置からの電波の前記検知装置方向への反射を抑制する機能を有し、
前記検知装置は、
前記応答装置に対して送信した電波の反射波の受信の有無及び前記応答装置から送信される電波の受信の有無に基づき侵入又は障害物の有無を判断する
ことを特徴とする侵入・障害物検出装置。
【請求項2】
前記応答装置が、無給電であることを特徴とする請求項2記載の侵入・障害検出物装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2006−153895(P2006−153895A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65445(P2006−65445)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【分割の表示】特願2004−129512(P2004−129512)の分割
【原出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】