説明

便器の便蓋構造

【課題】 開閉操作が簡単な2つ折りタイプの便蓋を備えた洋式便器を提供する。
【解決手段】 取っ手14を握って便蓋6を持ち上げるように後方に移動する。すると、便座6の前半体8と後半体9の連結部を頂点とした山形の状態となる。この状態で、前半体8の前縁8aは略点接触の状態で便座2上面を摺接する。また、後半体9は凹部15にストッパピン16が係合しているので、揺動アーム10と略平行な姿勢を保ったまま後方に移動する。更に、取っ手14を握ったまま最後まで移動すると、図7に示すように、前半体8と後半体9とが2つ折りになった状態で自立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便蓋を背もたれとして使用できるようにした便器の便蓋構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者や身障者などが洋式便器(ポータブルトイレを含む)を使用する場合、長時間着座することがある。このような便器では、使用時に便蓋を背もたれとして使用できれば長時間着座しても使用者への負担が軽減される。そこで、特許文献1には便蓋を背もたれとして使用する提案がなされている。
【0003】
特許文献1には、実施例として一部材からなる便蓋の前後方向の中間部分を揺動アームの先端で支持した構造が記載され、さらに従来例として、図5及び図6に前半体と後半体の二部材からなる便蓋構造が開示されている。
【特許文献1】特開2004−223073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される便蓋構造のうち、一部材からなる便蓋を有するものでは、図12に示すように、使用者は、便蓋の開動作時、便蓋を持ち上げる動作を行いながら、便蓋上面が背もたれ面となるように水平な状態から正面に指向するように回転させる必要があるため、掌側が便蓋と直行する状態から上方を向くように手首を捻って便蓋を回転させるという、捻るという動作を行う必要があることから、健常者にとっては何等支障のない動作であっても関節が不自由な高齢者や身障者にとっては改善の余地が残されている構造であると言える。
【0005】
また、第11図に示すように、今度は反対に使用後に直立状態に開放させた便蓋を閉めようとする場合、通常は便蓋の上端に手をかけて手前側に引っ張るように閉めることが最も一般的な動作であるが、その場合、本構造においては便蓋が支持された揺動アーム先端の枢支点から大きく隔てた便蓋の上端位置に手を掛けて手前に引っ張る構造になるため、図11に示す通り矢印の方向に回転モーメントが発生してしまい、便蓋の表裏が反転して閉まってしまうという問題がある。そのため、一般的に行われている閉める動作を行うことかできず高齢者や身障者のみならず健常者にとっても使いづらい構造であり改善の余地があると言える。
【0006】
一方、特許文献1に開示される便蓋構造のうち、図5及び図6に開示されている2つ折りタイプの便蓋について説明を行う。この形態も作用的には先の一部材の便蓋を揺動アームで支持した形態と全く同じであり何等変わるものではない。
【0007】
後半体の後端部が便器本体に直接回動自在に枢支され、前半部を操作して2つ折り状態で便蓋を折り畳んで背もたれとして機能させつつ開放させるように構成されているものである。この構造にあっても、便蓋を開放させる際には、便蓋を持ち上げるという動作に加えて、2つ折りの状態になるように折れ軸の部分で2つ折りになるように手首を捻って力を作用させる必要があり、やはり関節が不自由な高齢者や身障者には使いづらい構造であると言える。
【0008】
ここで、便蓋の折れ軸の部分を持ち上げるようにすれば、手首を捻るという動作を強いることなく2つ折りにすることが可能であるが、その場合は、腰を屈めながら前のめりになって遠い位置にある折れ軸を上方に抱えあげるという動作を強いることになり、やはり、高齢者や身障者には使いづらい構造であり、改善の余地があると言える。
【0009】
次に便蓋を閉める動作について説明すると、この2つ折れの便蓋構造における先行技術の構造においてもやはり、便蓋の上端に手をかけて手前側に引っ張るように閉めると便蓋が支持された揺動アーム先端の枢支点から便蓋の上端が大きくオフセットしているため、便蓋の上端位置に手を掛けて手前に引っ張ると、先の図11に示した構造と同様に回転モーメントが発生してしまい2つ折りの状態のまま前方に倒れ、背もたれ面が便座に当接するような表裏が反転して閉まってしまうという課題は何ら解決されたものではなく、便蓋を閉める際の操作性面においても課題が残されていると言える。
【0010】
本発明は、清潔な面である便蓋の座面を背もたれにできるとともに、座面を背もたれにする際に、前かがみになったり手首を捻ったりする等の身体に負担を強いるような姿勢や操作を行う必要のない実用上優れた便蓋構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、請求項1記載の便器の便蓋構造においては、便座の上面を閉状態で覆う便蓋上面が座面として構成された洋式便器の便蓋構造であって、
前記洋式便器の便器本体に載置され後端が便器本体の後部に対して揺動自在に枢支された便座と、前記便器本体の後部に対して後端が揺動自在に枢支された揺動アームと、該揺動アームに幅方向の枢軸を介して回動自在に枢支され、かつ、幅方向に延びる折れ軸を介して前半体と後半体とに分割形成されているとともに、前記折れ軸を介して前記前半体と後半体のそれぞれの背面が対面する方向にのみ2つ折りされるように形成された便蓋と、を備え、該便蓋は、前記揺動アームの回動動作に伴って閉状態で前記便座上面を覆い、開状態で前記折れ軸を介して前記前半体と後半体のそれぞれの背面が対面する形で2つ折りにされるとともに、前記前半体の表面が正面を向くことで背もたれになるよう構成され、かつ該揺動アームが、前記便蓋の開放時に、前記前半部に設けられた把持部に作用する上方への持ち上げ力で前記便蓋の前半体と後半体を2つ折りにできるように前記便蓋に枢支されている。
【0012】
上記のような構造とすることにより、使用者は、便蓋の開時に過剰な前かがみの姿勢を強いることのない便蓋前半体の上面を単に持ち上げるという操作を行うだけで、揺動アームが、手首を捻るという従来行っていた操作に変わって便蓋を折れ軸上で2つ折れにするように作用してくれるため、使用者は手首を捻って2つ折れにする必要がなく、さらに、一端便蓋が揺動アームの作用で折れてしまえば後は、使用は手首を捻るのではなく押すように操作するという単純な動作で便蓋の開閉を行えるため、非常に楽な姿勢、楽な操作で便蓋を開放でき、かつ背もたれを快適に使用させ得る状態にできるという格別な効果を奏することができるものである。
【0013】
請求項2記載の便器の便蓋構造においては、請求項1において、前記揺動アームを、前記折れ軸上もしくは、折れ軸近傍で便蓋に枢支したものである。このようにすれば、便蓋の開動作を楽に行わせることができることに加えて、従来から行っている一般的な便蓋の閉操作である、便蓋の上端に手をかけて閉める方向に力を加えても、便蓋が揺動アームに支持されている位置が便蓋の折れ軸上もしくは折れ軸近傍となっているため支点と作用点のオフセット量が小さいため、その操作力で便蓋が裏表反転して閉まってしまうという問題を生じることがなく、よって極めて良好な閉操作を行わせることができるものである。さらに、言えば閉まる過程においても、便蓋は、その自重で揺動アームに吊り下げられた状態で閉まっていくような形態になるため、便蓋が裏表反転して閉まってしまうという状態になり難い構造であると言えることから、楽な操作で便蓋を確実に閉めることができるという効果を奏することができるものである。
【0014】
請求項3記載の便器の便蓋構造においては、請求項1において、前記前半体の後部に前記揺動アームが枢支されている。このようにすれば、前半体を持ち上げた際に同じ部品に揺動アームが枢支されている形態になるため、前半体を持ち上げた際に折れ軸を介して後半体に力を伝えた上で揺動アームに力を伝達するというものではないため、持ち上げ力によって折れ軸周りに無用な回転動作が発生してしまうということが抑制され、開放時における一層高い操作性を提供できるものである。
【0015】
請求項4記載の便器の便蓋構造においては、請求項3において、前記後半体は、前記便蓋の開閉動作時に、前記揺動アームに対して前記折れ軸を中心とした回動が規制されるように支持手段を介して支持されている。このようにすれば、後半体は揺動アームに直接枢支されていないため拘束力がなく折れ軸周りに自由に回動自在になっているが、後半体を揺動アームに回動が規制されるようにすることで、特に閉める時に後半体が折れ軸から自重で垂れ下がることがなく揺動アームの回動に合わせて便座を覆っていくようになるため、後半体の下端が便座の上面に早く着座してしまって閉めるの邪魔をするということがなくなりスムースに開閉動作を行わせることができる。
【0016】
請求項5記載の便器の便蓋構造においては、請求項4において、前記後半体は、便蓋の閉状態で前記揺動アームに対する支持が解除されることで後半体が便座に着座するように支持手段が構成されている。このようにすれば、便蓋の閉める時は、便蓋にかかる荷を揺動アームが支える必要がなく、確実に便座で荷重を支えさせることができるようなるため、便蓋座面上に使用者が着座した際の加重に耐え得るように揺動アームを設計する必要がなく、よって軽量にすることができるため便蓋の開閉に際して重さの面で使用者に負担を強いることがないという実用上優れた効果を奏することができるものである。
【0017】
請求項6記載の便器の便蓋構造においては、請求項4において、前記後半体は、前記揺動アームが開方向の所定回動位置となった時点で便座方向への回動が規制されるように構成される一方で、反便座方向への回動は揺動アームの回動位置に関わらず規制されないように支持手段が構成されている。このようにすれば、後半体を半便座方向に回動させれば揺動アームと後半体の接続が解除されるため、後半体や揺動アームをそれぞれ露出させることができ、簡単に揺動アームや後半体を清掃することができるという実用上優れた効果を奏することができる。
【0018】
請求項7及び8記載の便器の便蓋構造においては、請求項4において、前記支持手段は、前記後半体もしくは揺動アームのいずれか一方に設けられたピン部材と、該ピン部材に下方から当接するように他方に設けられた支持部とからなり、前記便蓋の閉状態で前記ピン部材と支持部が所定距離を隔てて位置するように形成されている。または、前記後半体は弾性部材で構成され、前記支持手段は、前記弾性部材で構成された後半体の後端上部が下部よりも後方となるように傾斜させることで形成された傾斜面部と、該傾斜面部に下面から当接するように前記揺動アームに設けられた支持面とからなり、前記便蓋の閉状態で前記弾性部材の弾性変形で前記後半体が便座に着座できるように構成されている。これらのように構成することで、便蓋の閉める状態で後半体を確実に便座に着座させることができるとともに、便座の反回動方向には規制されないように構成できるため清掃性の向上が図れ、開閉時には確実に揺動アームの回動に連動させて後半体を追従させて回動させることができるものであり、こられの機能を非常に簡単な構造で達成できる。
【0019】
請求項9記載の便器の便蓋構造においては、請求項4において、前記支持手段は、前記後半体に取り付けられた環状部材と、該環状部材に対して所定量の遊びを設けて前記揺動アームを挿通させることで構成されている。このように構成することで、便蓋の閉状態で後半体を確実に便座に着座させることができるものであり、この機能を非常に簡単な構造で達成できる。
【0020】
請求項10記載の便器の便蓋構造においては、請求項9において、前記環状部材は、前記後半体に対して着脱自在に取り付けられている。このように構成することで、清掃時は環状部材を外せば両者の拘束が解かれるようになるため、簡単に清掃を行うことができる。
【0021】
請求項11記載の便器の便蓋構造においては、請求項1において、前記前半体が前記揺動アームに枢支されているとともに、前記前半体の前後方向寸法が、前記後半体の前後方向寸法より長くなるよう構成されている。このように構成されているため、便蓋の開放時は、2つ折りになる状態において、後半体の方が短いため前半体より早く便座から離れるようになる。よって、便蓋を抱え上げて開放するのではなく便座上を滑らせて開放させる際に、後半体が離れるため摩擦抵抗が半減し操作力を軽減することができる。
【0022】
請求項12記載の便器の便蓋構造においては、請求項1において、前記前半体の先端が、略直線状に形成されている。このように構成されているため、便蓋を抱え上げるのではなく便座上面を滑らせる際に、便座上面は、着座性の見地から一般的には凹状に形成されているため、前半体の先端を略直線状に形成することで便座上面との接触面積を減らすことができるため摩擦抵抗を小さくでき、便蓋の開放時における操作力を軽減でき高齢者や障害者も簡単に操作できるという効果を奏することができる。
【0023】
請求項13記載の便器の便蓋構造においては、請求項3において、前記便蓋の開状態における前記後半体の上端の垂直方向高さが、前記枢軸の垂直方向高さと略同一となるよう構成されている。このように構成することで。便蓋を閉める際に手が掛けられる後半体背面の上端部が枢軸と略同じ高さに高さにあるということは、支点と作用点が同じもしくは、指先の位置で言えば作用点が支点より下になるため便蓋が裏表反転して閉まってしまうという問題を解消することができる。
【0024】
請求項14記載の便器の便蓋構造においては、請求項1において、前記便蓋の開状態で前記後半体を後方から支持するフレーム部材が設けられ、前記枢軸が、前記フレームの上端より所定距離上方に位置するよう構成されている。このように構成することで、便蓋を開放している状態で、便蓋の回動支点より下方に荷重を支えるフレーム部材が当接することになるため、開放されている状態で便蓋が裏表反転し難い方向にやや傾動した状態になっているため、便蓋の上端を持って閉めても便蓋が裏表反転して閉まってしまうという問題を軽減できる。また、フレームにじゃまされることなく便蓋背面を手前に引っ張るようにして閉める通常の動作を行わせることができる。
【0025】
請求項15記載の便器の便蓋構造においては、請求項1において、前記把持部は、前記前半体の表面で幅方向から手を挿入できるように構成されている。このように構成されているため、便蓋の開閉操作に際して使用者は、手首を捻ったり手のひらの向きを変えるなどの動作を行うことなく自然な状態において把持部を握ることができ、身体が不自由な高齢者や障害者においても楽に操作させることができる。
【0026】
請求項16記載の便器の便蓋構造においては、請求項1において、前記揺動アームには、前記枢軸から前方に延設されることで形成された第2把持部が設けられている。このように構成することで、便器の正面からの操作に強制するのではなく横からの操作も可能にでき、かつ、揺動アームを持ち上げることで便蓋の開閉が可能で、さらに揺動アームを持ち上げるだけで確実に便蓋を2つ折れの状態にできるものであり、極めて高い操作性を提供できるものである。
【0027】
請求項17記載の便器の便蓋構造においては、請求項1において、前記前半体の先端に第2折れ軸を介して延長面部が形成されている。このように構成することで、便蓋の開放時に延長面部が前半体の下方に位置するため背もたれ面を延長させるように働く一方で、便蓋を閉める時には、延長面部は前半体の前方で水平に延設されることなく折れ曲がるため、座面が無用に長くなることを抑制できる。よって、便蓋上面への着座性の確保と、背もたれ時の背もたれ長さの最適化を両立させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る洋式便器によれば、便蓋を開けて背もたれにする動作として、手首を捻ったりというような複雑な動作が要求されず、高齢者や身障者にとって使いやすい構造である。また、閉動作の際に便蓋の裏表が反転することもないという実用上優れた格別な効果を奏することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る洋式便器の斜視図、図2は同洋式便器の便蓋を便器のボウルを覆った全閉状態の平面図、図3は同洋式便器の便蓋が全閉した状態の側面図(模式図)である。尚、図示する洋式便器は移設可能ないわゆるポータブルタイプであるが、本発明の実施形態はこれに限られるものではない。
【0030】
様式便器は、便器本体となる椅子型のフレーム1の座部に汚物を受けるボウルとなるバケツ3が着脱自在に嵌め込まれているとともに、フレーム1の座部上面後部に洗浄ユニットUが固定されている。洗浄ユニットUは着座した使用者の局部にノズルを介して洗浄水を噴射して洗浄するものである。図中2は便座であってバケツ3の上方を覆うともに、その後端が洗浄ユニットUに軸11を介して回動自在に支持され、バケツ3の取り出し時には起立状態にできるようになっている。さらに、椅子型のフレーム1の背部4には、便蓋6上に着座する状態の通常の使用状態において背もたれとなるクッション5が取り付けられている。なお、このクッション5は便蓋6の起立時に干渉するため背もたれ角度の最適化を図る上では必要に応じて着脱できるようにすることが望ましいと言える。
【0031】
便座2の上面は、便蓋6によって覆われるように構成され、便蓋6は幅方向に延びる折れ軸Aを介して前半体8と後半体9とに分割されている。この実施例にあっては、折れ軸Aから前半体8の先端8aまでの長さL1が、折れ軸Aから後半体9の後端9aまでの長さL2よりも長くなるよう設定されている。また、両者は折れ軸Aの位置に設けられた蝶番7によって連結され、この折れ軸Aを介して前半体及び後半体が2つ折り可能となっている。
【0032】
なお、本実施例では蝶番7によって連結しているが、これに限るものではなく、便蓋6の下面に前半体8と後半体9を連結するように布部材を渡して取り付け、この布部材が折れることで蝶番の機能を発揮させても良く、また紐を渡すような構造であっても良い。但し、いずれの構造においても本発明において重要なことは、この前半体8と後半体9とは、前半体8及び後半体9それぞれの便座2側の面が対面するように2つ折れになるように構成する一方で、反対に座面側が対面するような2つ折れにはならないように構成されているものである。すなわち、座面側が対面する方向には、略水平な状態からは折れないように規制できる蝶番の機能でなければならないものである。本実施例では、便座2側の面に蝶番7を設け、便蓋6の厚さによって反対方向への2つ折れにはならないように規制されているものである。
【0033】
前半体8の表面には、自然な手の状態で開閉動作ができるように側方から手を挿入可能な取っ手14が前半体8の略長さ方向全体に渡って取り付けられている。
ここで取っ手14は、折れ軸Aに近接すればするほど、持ち上げ動作に連動して2つ折れになりやすいが、使用者が前かがみになりながら遠い位置にある取っ手14を握って辛い体制から便蓋6を上方に持ち上げる必要が生じるため、取っ手14は、前半体8の前方側に設けて楽な姿勢で持ち上げ動作ができるようにすることが望ましいと言える。しかし、前方側に取っ手14を設けると、単に上方に持ち上げただけでは前半体8と後半体9が水平な状態の直線関係を保ったまま上方に傾いて上昇するだけで2つ折れになり難いという問題が生じてしまう。その為、2つ折れにするためには手首を捻る動作が必要となる。本発明にあっては、楽な姿勢で便蓋6の持ち上げ動作ができるように前半体8の前部にも取っ手14が存在しても後述する揺動アーム10の作用によって苦労なく2つ折れにできるため、取っ手14は前半体8の全体に設けてどこを持って上方に持ち上げても何等支障がないように構成されているものである。
【0034】
便蓋6の側面から後面には、後端部を軸11に枢支された前方開放のコ字状に形成された揺動アーム10が設けられており、この揺動アーム10の先端部に設けられた軸12により、前半体8の後端部が回動自在に枢支され、便蓋6はこの揺動アーム10のみに支えられる形態になっている。この揺動アーム10によって、まず一つ大きな機能として、便蓋6の全開時に洗浄ユニットUの機能部U1を回避して便蓋6が上方に位置するようにしているとともに、座面としての機能を最適化しつつ最適な背もたれの位置となる腰位置まで便蓋6を持ち上げることができるように機能しているものである。本件発明において非常に重要な揺動アームのその他の機能については詳細に後述する。
【0035】
便蓋6の後半体9の側面には凹部15が形成されており、揺動アーム10には、この凹部15と対応する位置にストッパピン16が形成されている。後述するように、このストッパピン16は便蓋6の開動作時に揺動アーム10がある程度回動した時点で凹部15と係合するものである。
【0036】
なお、本実施例では、後半体9の側面に凹部15を、揺動アーム10にストッパピン16を設けているが、これを反対にして後半体9の側面にストッパピン16を、揺動アーム10に凹部15を設けてもよいことは言うまでもない。
【0037】
以上のような便器の便蓋構造において、図4及び図5に基づき、揺動アーム10の本発明における特徴的な機能が明確になるように便蓋6の開動作について説明する。図4は、使用者が取っ手14を掴んで便蓋6を開く際の概略の動作説明図であり、図5は図4(b)のB方向矢視図及びその比較例である。図5の便座2については、その断面図を示している。なお、取っ手14の位置は前半体8の長さ方向の全体に渡って設けられているが、ここでは、前半体8の前方位置の取っ手14を握って、2つ折れにし難い状態でも確実に2つ折れになるように機能することが理解できるように記載している。
【0038】
先ず、前半体8に設けられた取っ手14を握り、前半体8を完全に持ち上げて開操作するのが通常であるが、ここでは、持ち上げ力が弱い高齢者や障害者を例に取り、持ち上げ力が弱くても確実に開状態にできる本発明の優れた形態につき説明することにした。詳細には、前半体8を最初少し持ち上げた後に、前半体8の先端8aが便座2上を摺動するように押すような操作を行うことで便蓋6を2つ折りにして開放させる形態を示している。(図4(a)〜(b))
【0039】
図4(a)の状態に示す、便蓋6を全閉にした状態では、便座2の上面に前半体8及び後半体9ともに確実に着座し、便蓋6の座面上に着座した使用者の荷重を確実に便座2が支えるようになっており、揺動アーム10が受け持つことがないように工夫されている。具体的には、後半体9の凹部15が下方開放になっており、ストッパピン16との当接がこの全閉状態ではなされないようにしていることで、揺動アーム10に後半体9が拘束されず、フリーになっているため可能になっているものである。
【0040】
この状態から、使用者が前半体8の上面に設けられた取っ手14に指をかけて上方に少しでも持ち上げると、これに連動して前半体8に連結された揺動アーム10も上昇するように回動する。よって前半体8は、手と揺動アーム14の枢支点の2点で支えられ、言い換えると拘束されるため、後半体9との直線的な関係を保つことができなくなって、前半体8と後半体9は側面視で折れ軸Aを頂点とする三角形状にすぐに折れることになる。その後、前半体8は揺動アーム10の回動奇跡に拘束されながら上昇し、一方で、何等拘束されていない後半体9は自重で折れ軸Aを基点に垂れ下がるような形になって2つ折れ状態への進行が進むように折れていく。
【0041】
このように前半体8と後半体9とが少しでも2つ折れになれば、使用者は単に揺動アーム10の回動奇跡に沿うように押すような(b)(c)の操作をするだけで(d)のような2つ折れの状態にできる。言い換えると、持ち上げる操作力が付与される作用点と、揺動アームの支点との関係によって使用者は持ち上げるだけで手首を捻るような操作を行うことなく前半体8と後半体9は折れ軸Aで確実に折れるようになっているということである。
【0042】
さらに、本発明では、持ち上げ操作後、ずっと重い便蓋を持ち上げて開操作を行わなくても良いように工夫されており、それは前半体8の先端8aが、便座2上を摺動するようにしても便蓋6を開放できるようにしているものである。
具体的には、前半体8の方が後半体9より長さが長く作られており、これによって後半体9が先に便座2から離れることで摩擦抵抗を下げるととともに、長い時間継続的に前半体8を持ち上げることなく便座2上を摺動できるようにしているものである。
【0043】
また、前半体8が揺動アーム10に対し軸12で枢支されているため、前半体8を後方に押す力は折れ軸Aや後半体9を介して伝えるのではなく、直接的に伝えるため軸12回りの回転モーメントを安定して発生させることができ、よって確実に便蓋6を2つ折りにしながら、揺動アーム10をスムースに起立させることが可能となっている。
【0044】
さらに、前半体8の先端8aは、図5(a)に示すように略直線状とし、便座2の着座面との接触面積を小さくしている。すなわち、図5(b)に示す比較例のように、前半体8’の先端8a’が曲率の大きい円弧状に形成されている場合では、便座2の着座面との接触面積も大きくなる。したがって、前半体8を便座2上で摺動させる際に、この接触位置で大きな摩擦抵抗が発生するため、開動作に余計な力を要することになるからである。
【0045】
また、前半体8の先端8aには、上述の摩擦抵抗をより小さくするために、摩擦係数が小さい低摩擦材であるシール13を貼り付けている。
このような様々な工夫で高齢者や障害者が簡単な操作で便蓋6を開閉できるように工夫しているものである。
【0046】
また、後半体9は、開動作の途中(図4(b)〜(c))において、その凹部15に起立しようとしている揺動アーム10のストッパピン16が当接し、これにより後半体9は折れ軸Aを中心とした自重で垂れ下がる方向の回動角が規制され、揺動アーム10とともに起立していく。
【0047】
さらに後方側に前半体8を押し、揺動アーム10が完全に起立した状態(図4(d))で便蓋6の開動作は完了である。
以上の説明から判るように、使用者は掌を返すことなく、取っ手14を掴み前半体8を少しでも持ち上げれば前半体8と後半体9は揺動アームの作用で折り曲げられ、その後は奥行方向に押すという負担のない簡単な操作で開動作を行うことができる。よって、手の関節が不自由な高齢者などでも、容易に便蓋6の開動作を行うことが可能となる。
【0048】
次に、本発明の便蓋構造において、図6及び図7に示す第2に実施例に基づき、揺動アーム10の採用によって、便蓋6が裏表反転することなく確実に便蓋6を閉めることができるように工夫した特長的な観点が明確になるように便蓋6の閉動作について説明する。図1に示す実施例ではなく、図6及び、図7に示す第2の実施例で便蓋6の閉動作を説明する理由は、図1のように、便蓋6の起立状態でフレーム1に設けられた背もたれとなるクッション5が便蓋6の上方まで覆うような形態になっているものでは、便蓋6を閉める操作は、正面から取っ手14を持って引っ張ることしかなく、この形態では如何に操作しても便蓋6が反転することがないためである。以上の理由から便蓋6の上端を持って閉める操作をさせる形態の第2実施例に基づいて説明を行う。なお、同一部品については同一番号を付して詳細は省略する。
【0049】
図6は閉動作時に使用者が便蓋6に手をかけて力を加える状態を、図7は力を加えられた後、便蓋6が閉まるまでの状態を示している。
本第2の実施例に基づく便蓋構造では、全開状態において後半体9の後方からフレーム部材5によって支持されている。ここで後半体9の上端9bは、フレーム部材の上端5aより上方に位置するとともに、軸12と垂直方向高さが略同一となるよう構成されている。これによって、便蓋6の起立された全開状態から便蓋6を閉める時には、便蓋6の後半体9の上端9bを手前に引っ張るようにして簡単に閉めることができるように配慮しているものである。
【0050】
ここで、便蓋6が反転して閉まることがないように工夫している1点目を説明する。
後半体9をフレーム部材5で後方から支持するに際し、図6に示すように便蓋6の全開状態において前半体8は鉛直方向に対し背もたれ時の使用に差し支えない程度で角度θだけ傾斜させている。すなわち、便蓋6が裏表反転する方向とは反対方向に傾斜しているため、使用者の手に押され閉まる際に反転し難くくできているものである。
【0051】
次なる工夫点は、便蓋6を閉める際に指先が図のようにフレーム5と軸12との間に入るようにしたことである。これによって、指先からの閉める際に付与する力が便蓋6を反転させないようにする方向のモーメント力として作用するように工夫したものである。
【0052】
3点目の工夫点は、後半体9の上端9bの高さが、軸12と垂直方向で高さが略同一となるように構成したことである。これによって図6に示すように閉動作時に使用者が後半体9の後部に手をかけて力を加えても、便蓋6に裏表反転するような回転モーメントが発生しないようにしている点である。
【0053】
以上のような3つの工夫によって便蓋6の座面を背もたれとして使用する場合にネックとなっていた、便蓋6を閉める際に裏表反転して閉まってしまうという問題を解決しているものである。これによって、清潔な座面の方を背もたれに使用でき、閉める際も何等の苦労をせずに確実に裏表反転することなく便蓋6閉状態にできるものである。
【0054】
ここで、便蓋6が閉状態になるまでの状態を説明する。使用者から力を加えられ、揺動アーム10は軸11を中心に回動を開始する(図7(a))。この際、前半体8は軸12により揺動アーム10に吊り下げられた状態となるが、自重の作用により裏表反転する方向に回動することはない。また上述のように、後半体9はその凹部15で起立しようとしている揺動アーム10のストッパピン16と係合しているため自重で垂れ下がる方向に回動して、後半体9が便座2上に当接してしまって便蓋6の閉動作を規制してしまうという問題が生じることはない。
【0055】
揺動アーム10がさらに回動し、前半体8の先端8aが便座2に当接すると(図7(b))、前半体8は便座2の上面を摺動しながら前方へ進み、便蓋6の閉動作が完了する(図7(c))。
【0056】
図8に示す第3の実施例につき説明する。同一部品については同一番号を付して詳細は省略する。この実施例は、便蓋前半体8の先端部に錘17を取り付けている。このように錘17を取り付けることで、図7(a)に示した前半体8を吊り下げた状態において、前半体8が裏表となる方向に回転しないよう、安定させることができる。
【0057】
さらに、この実施例では、揺動アーム10の先端を更に延長し、この部分を第2の取っ手18としている。このような構成とすることで、使用者は側方から便蓋6の開閉動作を行えるものであり、その操作も揺動アーム10を回動させるという操作で確実に先の実施例同様に2つ折りにできるものである。
【0058】
図9に示す第4の実施例につき説明する。同一部品については同一番号を付して詳細は省略する。この実施例は、第1実施例の後半体9に設けた凹部15と揺動アーム10に設けたストッパピン16の構造を変更したものである。図9(a)は要部平面図、図9(b)は要部の側部断面図における便蓋6を閉じた状態を示し、図9(c)は要部の側部断面図における便蓋6を2つ折れ状態で起立させた状態を示している。
【0059】
具体的には、後半体9の後端を上方が後方に傾斜する傾斜面41を形成する一方で、揺動アーム10の前端面42を後半体9の傾斜面に対向させるように傾斜させているものである。これによって、便蓋6の閉時に使用者が便蓋6の座面に着座するとその重さによって、弾性材料からなる後半体9の弾性変形が生じて揺動アーム9の前端傾斜面42から図9(b)に示すとおり下方に後半体9が突出して便座2の上面にストッパ43を介して確実に着座するように構成しているものである。
【0060】
便蓋6の開放時には、後半体9は傾斜面41及び42によって揺動アーム10の回動動作に連動するように、自重で垂れ下がるY方向の回動が規制されている。一方、後半体は図9(c)に示すとおり、矢印Z方向への回動は規制されていないため、後半体9をZ方向に回動させることで揺動アーム10の傾斜面42や、後半体41の傾斜面を容易に清掃できるようにものである。
【0061】
図中44は、延長パッドであって、これは、前半体8の前端に布製部材からなるヒンジ部材45を介して折れ軸Bを形成し、前半体8に対して折れ曲がり自在に連結されている。これによって、便蓋6の起立時には図9(c)で示すとおり、揺動アームの前面を覆うような延長背もたれとして機能してくれるため、腰が揺動アーム10に当接する等の問題を解消できる。一方でこのように背もたれ面を延長すると図9(b)に示す便蓋6の閉時には座面が先方に延長されるようなことになるため着座性が低下してしまうが、本発明では、この延長パッド44を折れ曲がり自在にしているためこのような問題が発生することがない。また、便蓋6の下面の隙間をこの延長パッド44で遮蔽できるため見栄えの向上も図れる。
【0062】
なお、本実施例においては、折れ軸を構成するヒンジ機構を金属製の蝶番7に変えて布製部材を前半体8と後半体9に渡すように連結固定することで構成しているものであり、これによって、安全性並びに軽量化を図っているものである。
【0063】
図10に示す第5の実施例につき説明する。同一部品については同一番号を付して詳細は省略する。この実施例も、第1実施例の後半体9に設けた凹部15と揺動アーム10に設けたストッパピン16の構造を変更したものである。図10(a)は要部平面図、図10(b)は前半体8の前端側から見た便蓋6を閉じている状態における要部正面図を示している。
【0064】
以下具体的に説明すると、後半体9の両側面に揺動アーム10より大きめの径を持つ布製の環状部材51を設け、この環状部材51内に揺動アーム10が遊び52を持った状態で挿通されるようにしたものである。これによって、便蓋6の閉時は遊び52の範囲内において後半体9が揺動アームに規制されることなく相対変位できることから確実に便座2上に着座できるようにしたものである。一方で、便蓋6の開放時には、後半体9は遊び52分の揺動アーム10の回動動作後に揺動アーム10と環状部材51が当接して、これによって後半体9が自重で垂れ下がるような回動方向の動きが規制されるものである。なお、環状部材51は少なくとも一方が着脱自在なファスナー53を介して後半体9に固定されており、このファスナー53を外すことによって、後半体9と揺動アーム10の規制は解除され容易に後半体9や揺動アーム10が容易に清掃できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る洋式便器の斜視図
【図2】同洋式便器の便蓋を全閉させた状態の平面図
【図3】同洋式便器の便蓋を全閉させた状態の側面図
【図4】同洋式便器の便蓋を開放させる際の概略動作説明図
【図5】図4(b)のB方向矢視図
【図6】本発明に係る第2の実施例に基づく洋式便器の便蓋を閉める際の側面図
【図7】第2実施例に係る洋式便器の便蓋を閉める際の側面図
【図8】第3の実施例の概略図
【図9】第4の実施例の概略図
【図10】第5の実施例の概略図
【図11】従来例の問題点を説明した図
【図12】従来例の問題点を説明した図
【符号の説明】
【0066】
1…椅子型のフレーム(便器本体)、2…便座、3…ボウル、4…背部、5…クッション、6…便蓋、7…蝶番、8…前半体、8a…前半体の先端、9…後半体、10…揺動アーム、11,12…軸、13…シール、14…取っ手、15…凹部、16,18…ストッパピン、17…錘、18…第2の取っ手、41,42…傾斜面、43…ストッパ、44…延長パッド、45…ヒンジ部材、51…環状部材、52…遊び、53…ファスナー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座の上面を閉状態で覆う便蓋上面が座面として構成された洋式便器の便蓋構造であって、
前記洋式便器の便器本体に載置され後端が便器本体の後部に対して揺動自在に枢支された便座と、
前記便器本体の後部に対して後端が揺動自在に枢支された揺動アームと、
該揺動アームに幅方向の枢軸を介して回動自在に枢支され、かつ、幅方向に延びる折れ軸を介して前半体と後半体とに分割形成されているとともに、前記折れ軸を介して前記前半体と後半体のそれぞれの背面が対面する方向にのみ2つ折りされるように形成された便蓋と、を備え、
該便蓋は、前記揺動アームの回動動作に伴って閉状態で前記便座上面を覆い、開状態で前記折れ軸を介して前記前半体と後半体のそれぞれの背面が対面する形で2つ折りにされるとともに、前記前半体の表面が正面を向くことで背もたれになるよう構成され、かつ該揺動アームが、前記便蓋の開放時に、前記前半部に設けられた把持部に作用する上方への持ち上げ力で前記便蓋の前半体と後半体を2つ折りにできるように前記便蓋に枢支されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項2】
請求項1に記載の便器の便蓋構造において、前記揺動アームを、前記折れ軸上もしくは、折れ軸近傍で便蓋に枢支したことを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項3】
請求項1に記載の便器の便蓋構造において、前記前半体の後部に前記揺動アームが枢支されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項4】
請求項3に記載の便器の便蓋構造において、前記後半体は、前記便蓋の開閉動作時に、前記揺動アームに対して前記折れ軸を中心とした回動が規制されるように支持手段を介して支持されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項5】
請求項4に記載の便器の便蓋構造において、前記後半体は、便蓋の閉状態で前記揺動アームに対する支持が解除されることで後半体が便座に着座するように支持手段が構成されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項6】
請求項4に記載の便器の便蓋構造において、前記後半体は、前記揺動アームが開方向の所定回動位置となった時点で便座方向への回動が規制されるように構成される一方で、反便座方向への回動は揺動アームの回動位置に関わらず規制されないように支持手段が構成されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項7】
請求項4に記載の便器の便蓋構造において、前記支持手段は、前記後半体もしくは揺動アームのいずれか一方に設けられたピン部材と、該ピン部材に下方から当接するように他方に設けられた支持部とからなり、前記便蓋の閉状態で前記ピン部材と支持部が所定距離を隔てて位置するように形成されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項8】
請求項4に記載の便器の便蓋構造において、前記後半体は弾性部材で構成され、前記支持手段は、前記弾性部材で構成された後半体の後端上部が下部よりも後方となるように傾斜させることで形成された傾斜面部と、該傾斜面部に下面から当接するように前記揺動アームに設けられた支持面とからなり、前記便蓋の閉状態で前記弾性部材の弾性変形で前記後半体が便座に着座できるように構成されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項9】
請求項4に記載の便器の便蓋構造において、前記支持手段は、前記後半体に取り付けられた環状部材と、該環状部材に対して所定量の遊びを設けて前記揺動アームを挿通させることで構成されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項10】
請求項9に記載の便器の便蓋構造において、前記環状部材は、前記後半体に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項11】
請求項1に記載の便器の便蓋構造において、前記前半体が前記揺動アームに枢支されているとともに、前記前半体の前後方向寸法が、前記後半体の前後方向寸法より長くなるよう構成されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項12】
請求項1に記載の便器の便蓋構造において、前記前半体の先端が、略直線状に形成されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項13】
請求項3に記載の便器の便蓋構造において、前記便蓋の開状態における前記後半体の上端の垂直方向高さが、前記枢軸の垂直方向高さと略同一となるよう構成されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項14】
請求項1に記載の便器の便蓋構造において、前記便蓋の開状態で前記後半体を後方から支持するフレーム部材が設けられ、前記枢軸が、前記フレームの上端より所定距離上方に位置するよう構成されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項15】
請求項1に記載の便器の便蓋構造において、前記把持部は、前記前半体の表面で幅方向から手を挿入できるように構成されていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項16】
請求項1に記載の便器の便蓋構造において、前記揺動アームには、前記枢軸から前方に延設されることで形成された第2把持部が設けられていることを特徴とする便器の便蓋構造。
【請求項17】
請求項1に記載の便器の便蓋構造において、前記前半体の先端に第2折れ軸を介して延長面部が形成されていることを特徴とする便器の便蓋構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−104832(P2008−104832A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318337(P2006−318337)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【特許番号】特許第4013079号(P4013079)
【特許公報発行日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】