説明

便座装置

【課題】使用後に高温便座除菌するという使用者にとって有用な機能を備えたとき、この機能の終了後に熱いという不快な思いをさせない便座装置を提供すること。
【解決手段】便座1を開閉する駆動手段4を備え、使用後にヒータ2を所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、前記便座除菌モード終了後、前記便座1の開閉を所定回数行うことにより、高温になっている便座温度を短時間で適温まで下げることとなり、清潔で安全性の高い便座装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温殺菌により高温になった便座を、短時間で便座を適した温度まで下げる便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の便座装置は、特開2000−14598公報に記載されているようなものがあった。即ち室温から短時間で便座温度を上昇させることを目的とした。
【0003】
図5において従来のトイレ装置は、内部に空洞部14が形成された便座11と、空洞部14に設けられた輻射型発熱体であるランプヒーター12とを有し、輻射型発熱体であるランプヒーター12からの輻射熱を着座する便座11の表面に瞬時に伝え、採暖面をすばやく昇温させるというものであった。
【特許文献1】特開2000−14598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の便座装置では、短時間で便座を昇温させることができるが、便座が適した温度以上になったとき、直ぐに温度が下がらないという課題を有していた。
【0005】
また、便座装置の場合使用者は便座面を出来るだけ清潔に保ちたいという要求があるので、通常使用する温度よりも高めにして便座表面に付着したカビなどの菌を除く除菌機能を付加する場合があるが、この除菌機能後においても直ぐに温度が下がらないため、着座して火傷する恐れがある、という課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、便座が適した温度以上になったとき、または、除菌機能後などで便座が高温になったとき、直ぐに便座温度を適した温度まで下げる構成にした便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の便座装置は、便座を開閉する駆動手段を備え、使用後にヒータを所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、前記便座除菌モード終了後、前記便座の開閉を所定回数行うこととしたものである。
【0008】
これによって、高温になっている便座温度を短時間で適温まで下げることとなり、清潔で安全性の高い便座装置を提供することにしたものである。
【0009】
また、本発明の便座装置は、便蓋を開閉する駆動手段備え、使用後にヒータを所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、前記便座除菌モード終了後、前記便蓋の開閉を所定回数行うこととしたものである。
【0010】
これによって、高温になっている便座温度を短時間で適温まで下げることとなり、清潔で安全性の高い便座装置を提供することにしたものである。
【0011】
また、本発明の便座装置は、便器内脱臭を行う脱臭手段を備え、使用後にヒータを所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、前記便座除菌モード終了後、前記脱臭手段を所定時間駆動することとしたものである。
【0012】
これによって、高温になっている便座温度を短時間で適温まで下げることとなり、清潔で安全性の高い便座装置を提供することにしたものである。
【0013】
また、本発明の便座装置は、人体局部の乾燥を行う乾燥手段を備え、使用後にヒータを所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、前記便座除菌モード終了後、前記乾燥手段を所定時間駆動することとしたものである。
【0014】
これによって、高温殺菌により高温になっている便座温度を短時間で適温まで下げることとなり、清潔で安全性の高い便座装置を提供することとなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の便座装置は、高温除菌作用により便座が高温のとき、便座の温度を適温まで下げる機能を備えることにより、短時間で便座の温度を下げることができ、清潔で安全性の高い便座装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1の発明は便座内部に配設された便座表面を加熱するヒータと、便座の温度を検知する温度検知素子と、便座を開閉する駆動手段と、着座検知を行う着座検知手段と、制御部を備え、各部の構成部材を制御する制御部は、前記着座検知手段が使用者の便座からの起立を検知後にヒータを所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、便座除菌モード終了後、便座の開閉を所定回数行うことにより、便座内に蓄積された熱を、便座の開閉動作で発生する気流により、空気中への放散を促進することとなり、高温になった便座温度を短時間で適温まで下げることができる。
【0017】
第2の発明は便座内部に配設された便座表面を加熱するヒータと、便座の温度を検知する温度検知素子と、便蓋を開閉する駆動手段と、着座検知を行う着座検知手段と、制御部を備え、前記各部の構成部材を制御する制御部は、前記着座検知手段が使用者の便座からの起立を検知後にヒータを所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、前記便座除菌モード終了後、前記便蓋の開閉を所定回数行うことにより、便座内に蓄積された熱を、便蓋の開閉動作で発生する気流により、空気中への放散を促進することとなり、高温になった便座温度を短時間で適温まで下げることができる。
【0018】
第3の発明は便座内部に配設された便座表面を加熱するヒータと、便座の温度を検知する温度検知素子と、便器内脱臭を行う脱臭手段と、着座検知を行う着座検知手段と、制御部を備え、前記各部の構成部材を制御する制御部は、前記着座検知手段が使用者の便座からの起立を検知後にヒータを所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、前記便座除菌モード終了後、前記脱臭手段を所定時間駆動することにより、便座内に蓄積された熱を、脱臭手段の送風機能による送風で、空気中への放散を促進することとなり、高温になった便座温度を短時間で適温まで下げることができる。
【0019】
第4の発明は便座内部に配設された便座表面を加熱するヒータと、便座の温度を検知する温度検知素子と、人体局部の乾燥を行う乾燥手段と、着座検知を行う着座検知手段と、制御部を備え、前記各部の構成部材を制御する制御部は、前記着座検知手段が使用者の便座からの起立を検知後にヒータを所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、前記便座除菌モード終了後、前記乾燥手段を所定時間駆動することにより、便座内に蓄積された熱を、乾燥手段による送風で、空気中への放散を促進することとなり、高温になった便座温度を短時間で適温まで下げることができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における便座装置のブロック図を示すものである。
【0022】
樹脂製の便座1の中にはヒータ2が配設され、通電によって便座1を昇温することができる。同じく便座1の中に配されたサーミスターからなる温度検知素子3は便座1の温度を検知し、制御部6は便座1の表面温度が予め設定された温度になるよう温度検知素子3の検知温度に応じて、通常は設定温度以下の時はON、それ以外はOFFとなるようヒータ2への通電を制御する。
【0023】
着座検知手段5は、赤外線を照射し物体からの反射光の有無や、反射光の入射角度によって検出を行う測距センサーなどで構成し、人体が便座1に着座しているか判定することができる。
【0024】
着座検知手段5によって、人体が着座していないことを判定している時において便座除菌モードに切り換わると、約30分間便座温度を約50℃に保つ。これにより便座1の表面に付着したのカビなどの菌を熱的に除くことができる。しかしながら便座1は樹脂製であり、50℃は着座してもすぐに火傷する温度ではないが使用者を驚かすには十分な温度であるため、便座除菌モード終了後は、できるだけ短時間に便座の温度を通常の使用温度に下げることが望ましい。
【0025】
そこで本発明は、便座除菌モード終了後、便座1を開閉する駆動手段4にて便座1を所定回数開閉動作させるようにした。便座除菌モード終了時に便座温度が50℃であった場合、便座1の熱容量があるため、便座温度が45℃以下に下がるには通常2〜5分程度かかる。従って、便座温度が下がるまで待ちきれずに着座しようとする使用者がいる可能性があるため、便座1を開閉動作させることにより発生する気流で便座1を空冷し、便座温度を素早く下げることができる。
【0026】
同時に便座1が動作していることで、便座1の温度が高いことを視覚的に使用者に注意喚起する。以上により本実施の形態では、安全性を大きく損なうことなく高温除菌機能という使用者にとって極めて有用な機能を提供することを可能としている。
【0027】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態における便座装置のブロック図を示すものである。
【0028】
本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、便蓋7と便蓋を開閉する駆動手段8を備えている点である。
【0029】
なお、実施の形態1と同一符号のものは同一構造を有し、再度の説明は省略する。
【0030】
上記構成により、便座除菌モード終了後、便蓋7を開閉する駆動手段8で便蓋7を所定回数開閉動作させることにより、便蓋7を開閉動作で発生する気流で便座1を空冷し、便座温度を素早く下げることができる。
【0031】
同時に便蓋7が駆動していることで、便座1の温度が高いことを視覚的に使用者に注意喚起する。以上により本実施の形態では、安全性を大きく損なうことなく高温除菌機能という使用者にとって極めて有用な機能を提供することを可能としている。
【0032】
(実施の形態3)
図3は、本発明の第3の実施の形態におけるおける便座装置のブロック図を示すものである。
【0033】
本実施の形態が実施の形態1および2と異なる点は、便器内の臭気を吸気して脱臭する脱臭手段9を備えている点である。
【0034】
なお、実施の形態1および2と同一符号のものは同一構造を有し、再度の説明は省略する。
【0035】
上記構成により、便座除菌モード終了後、便器内を脱臭する脱臭手段9を動作させることにより、脱臭手段の送風機能による送風で便座1を空冷し、便座温度を素早く下げることができる。
【0036】
同時に脱臭手段9が動作していることで、便座1の温度が高いことを聴覚的に使用者に注意喚起する。以上により本実施の形態では、安全性を大きく損なうことなく高温除菌機能という使用者にとって極めて有用な機能を提供することを可能としている。
【0037】
(実施の形態4)
図4は、本発明の第4の実施の形態におけるおける便座装置のブロック図を示すものである。
【0038】
本実施の形態が他の実施の形態と異なる点は、人体局部の乾燥を行う送風機能を有する乾燥手段10を備えている点である。
【0039】
なお、他の実施の形態と同一符号のものは同一構造を有し、再度の説明は省略する。
【0040】
上記構成により、便座除菌モード終了後、乾燥手段10を所定時間駆動させることにより、乾燥手段の送風機能による送風で便座1を空冷し、便座温度を素早く下げることができる。
【0041】
同時に乾燥手段10が駆動していることで、便座1の温度が高いことを聴覚的に使用者に注意喚起する。以上により本実施の形態では、安全性を大きく損なうことなく高温除菌機能という使用者にとって極めて有用な機能を提供することを可能としている。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、本発明にかかる便座装置は、高温部の温度を短時間に下げることができるので、ヒータを備えた他の熱機器等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態1における便座装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態2における便座装置のブロック図
【図3】本発明の実施の形態3における便座装置のブロック図
【図4】本発明の実施の形態4における便座装置のブロック図
【図5】従来の便座装置のブロック図
【符号の説明】
【0044】
1 便座
2 ヒータ
3 温度検知素子
4 便座駆動手段
5 着座検出手段
6 制御部
7 便蓋
8 便蓋駆動手段
9 脱臭手段
10 乾燥手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座内部に配設された便座表面を加熱するヒータと、便座の温度を検知する温度検知素子と、便座を開閉する駆動手段と、着座検知を行う着座検知手段と、制御部を備え、前記各部の構成部材を制御する制御部は、前記着座検知手段が使用者の便座からの起立を検知後にヒータを所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、前記便座除菌モード終了後、前記便座の開閉を所定回数行う便座装置。
【請求項2】
便座内部に配設された便座表面を加熱するヒータと、便座の温度を検知する温度検知素子と、便蓋を開閉する駆動手段と、着座検知を行う着座検知手段と、制御部を備え、前記各部の構成部材を制御する制御部は、前記着座検知手段が使用者の便座からの起立を検知後にヒータを所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、前記便座除菌モード終了後、前記便蓋の開閉を所定回数行う便座装置。
【請求項3】
便座内部に配設された便座表面を加熱するヒータと、便座の温度を検知する温度検知素子と、便器内脱臭を行う脱臭手段と、着座検知を行う着座検知手段と、制御部を備え、前記各部の構成部材を制御する制御部は、前記着座検知手段が使用者の便座からの起立を検知後にヒータを所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、前記便座除菌モード終了後、前記脱臭手段を所定時間駆動する便座装置。
【請求項4】
便座内部に配設された便座表面を加熱するヒータと、便座の温度を検知する温度検知素子と、人体局部の乾燥を行う乾燥手段と、着座検知を行う着座検知手段と、制御部を備え、前記各部の構成部材を制御する制御部は、前記着座検知手段が使用者の便座からの起立を検知後にヒータを所定温度に上昇させる便座除菌モードに切り換え、前記便座除菌モード終了後、前記乾燥手段を所定時間駆動する便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−314359(P2006−314359A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137026(P2005−137026)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】