説明

便座装置

【課題】 便座装置の安全動作に関わる構成で消費される電力を、安全性を低下させることなく削減し、省エネルギー性をより一層向上させた便座装置を提供する。
【解決手段】 メイン制御部10は、着座センサ56や人体センサ57の検出結果を利用して、便座装置が使用状態にあるか否かを判定し、便座装置が不使用状態であると判定したときには、漏電遮断部であるリレー機構20のコイル22への通電を遮断する。これにより、便座が使用されていないときに、便座装置は節電モードに入る。また、便座装置が使用状態となれば、コイル22への通電が回復するため、便座装置は通常モードに戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房便座や温水洗浄便座等の便座装置に関するものであり、特に、漏電遮断機能を有しており、かつ、省エネルギー性をより向上させた便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
暖房便座や温水洗浄便座等の便座装置は、衛生製品であるため水を使用する環境に設置されるが、電気製品でもあるために漏電への対策が必要となるため、漏電遮断機能を有している。具体的には、例えば、便座装置に給電するための電源プラグに漏電遮断器が一体化された構成、あるいは、便座装置本体に漏電遮断回路が含まれている構成等が知られている。一般に、漏電遮断器又は漏電遮断回路(以下、便宜上まとめて漏電遮断部と称する。)は、動作時に電気的な接続を確実に遮断するために、リレー機構に代表される機械的な手段を備えている。
【0003】
このような漏電遮断部を備える便座装置としては、従来からさまざまな構成のものが提案されている。例えば、特許文献1では、漏電遮断部が作動した状態では感電の可能性のある部位を商用電源から確実に遮断し、安全性が確実に確保される部位のみを継続して通電する構成の衛生洗浄装置が提案されている。
【0004】
ところで、便座装置の分野では、省エネルギー性を向上するためにさまざまな技術が提案され、実用化されている。例えば、本出願人は、温水洗浄便座(衛生洗浄装置)において「瞬間給湯」や「瞬間暖房便座」等のように、使用時のみ電力を使用することにより電力消費量を低減し、省エネルギー性を向上させる技術をすでに実用化している。「瞬間給湯」は、洗浄用の温水の使用時に「湯沸しユニット」に水を通すことで瞬間的に温水を供給する技術であり、「瞬間暖房便座」は、数秒単位で便座を暖める構成を採用することで、使用時にのみ便座を暖房する技術である。さらに、省エネルギー性を向上するために、待機電力をより削減するという手法も広く行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−082044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いわゆる京都議定書で各国に義務付けられた二酸化炭素の排出削減目標を達成すべく、官民挙げてさらなる省エネルギー化が推進されている。そして、日本国においては、便座装置は家庭の消費電力の約4%を占め、各種家電製品の中でも6番目に多く電力を消費することが知られている(日本国資源エネルギー庁「平成16年度電力需要の概要」より)。そこで、便座装置においてもさらなる省エネルギー化が求められる。
【0007】
ところが、便座装置の構成のうち電力消費量の大きいものについては、前述した「瞬間給湯」や「瞬間暖房便座」等の技術を採用することにより、すでに十分に待機電力が削減されており、それ以外の構成については、便座装置の基本動作や安全動作に関わるものであることから、待機電力を削減することが困難となっていた。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、便座装置の安全動作に関わる構成で消費される電力を、安全性を低下させることなく削減し、省エネルギー性をより一層向上させた便座装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題に鑑み鋭意検討した結果、便座装置が備える漏電遮断部であるリレーにおいて、その開閉に用いられるコイル(リレー接点駆動コイル)の通電を制御することにより、漏電遮断機能を妨げることなく、さらなる待機電力の削減を可能とすることを独自に見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る便座装置は、前記の課題を解決するために、便座と、前記便座を加熱する便座ヒータと、少なくとも前記便座ヒータに電力を供給する主給電路と、前記主給電路に漏電が発生した場合に、少なくとも当該主給電路を遮断する漏電遮断部と、少なくとも前記漏電遮断部を制御する制御器と、を備え、前記漏電遮断部は、リレー接点および駆動コイルを有し、当該駆動コイルに通電中は前記リレー接点が閉成し、非通電中は開成することにより、少なくとも前記主給電路を導通および遮断するリレーと、前記リレーの駆動コイルを駆動するリレー駆動部と、から少なくとも構成され、前記制御器は、前記便座が使用されていないときに、前記リレー駆動部により前記主給電路を遮断するように前記駆動コイルへの通電を遮断し、かつ、前記便座の使用が再開されたときには、前記リレー駆動部により前記主給電路を導通するように前記駆動コイルへの通電を再開する、節電動作を行うよう構成されている。
【0011】
前記構成によれば、前記便座装置が使用されていないときに、安全確保のために設けられる漏電遮断部に含まれる構成要素のうち、リレーの開閉に用いるリレー接点駆動コイルの通電を遮断することになる。そのため、前記便座装置の使用への影響や安全性を損なうことなく待機電力を低減することができる。その結果、優れた安全性と省エネルギー性とを両立することができる。
【0012】
前記便座装置においては、前記構成に加えて、前記節電動作の選択を設定する節電設定器をさらに備え、前記制御器は、前記節電設定器の節電動作設定中は、前記節電動作を行い、節電動作非設定中は前記節電動作を行わないように構成されていることが好ましい。
【0013】
前記構成によれば、節電動作を行うか否かを使用者の判断により設定することができるので、前記便座装置において節電動作をより適切に実施させることができる。
【0014】
前記便座装置においては、前記構成に加えて、前記漏電遮断部には、前記主給電路の漏電を検知する漏電検知器がさらに含まれており、前記制御器は、前記漏電検知器が漏電を検知した場合、前記リレー駆動部により前記駆動コイルへの通電を遮断することで、前記主給電路を遮断するように構成されていることが好ましい。
【0015】
前記構成によれば、前記漏電検知器に漏電が検知されることで前記漏電遮断部が自動的に動作するよう構成されているため、前記便座装置において漏電遮断機能をより適切に実施させることができる。
【0016】
前記便座装置においては、前記構成に加えて、使用者を検出する使用者検出器をさらに備え、前記制御器は、前記使用者検出器により、前記便座装置が使用されていない不使用状態にあるか、又は、使用が再開されて使用状態にあることを判定するとともに、前記不使用状態にある場合には、前記節電動作を行うよう構成されていることが好ましい。
【0017】
前記構成によれば、前記便座装置が不使用状態であることを確認した上で、前記節電動作を行うよう制御されることになる。それゆえ、前記便座装置の使用を妨げることなく適切なタイミングで節電動作を行うことができる。
【0018】
前記便座装置においては、前記構成に加えて、前記便座に着座した使用者の局部を洗浄する洗浄器をさらに備え、当該洗浄器は、前記洗浄水を加熱する温水ヒータを少なくとも有しており、前記主給電路は、前記洗浄器に電力を供給する構成であることがより好ましい。
【0019】
前記構成によれば、前記便座装置が衛生洗浄機能と漏電遮断機能とを備えていることになるため、大きな電力が必要となる温水ヒータに電力を供給する前記主給電路に漏電が発生しても前記漏電遮断部が適切に遮断動作を行うことができるとともに、当該漏電遮断部についても節電動作を実施させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、便座装置の安全動作に関わる構成で消費される電力を、安全性を低下させることなく削減し、省エネルギー性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る便座装置の電気的構成の一例を示す回路図である。
【図2】図1に示す便座装置の外観の一例を示す模式的斜視図である。
【図3】図1に示す便座装置が備えるリレー駆動部及びリレー異常検出部の具体的な回路構成の一例を示す回路図である。
【図4】図3に示すリレー駆動部及びリレー異常検出部を用いた場合に行われる、節電動作及び漏電遮断機能の確認試験の制御の一例を示すフローチャートである。
【図5】(a)及び(b)は、図4に示す制御で用いられるリレー開閉動作判定信号について、リレーが正常に開閉する場合と開閉に異常が発生した場合とを対比したチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好ましい実施の形態について以下に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0023】
[便座装置の基本構成]
まず本実施の形態に係る便座装置の具体的な構成について、図1および図2を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態1に係る便座装置の電気的構成の一例を示す回路図である。図2は、図1に示す便座装置の外観の一例を示す模式的斜視図である。
【0024】
図2に示すように、本実施の形態に係る便座装置50は、本体部51、表示・操作部52、便座部53、便蓋部54、リモートコントローラ55、着座センサ56と、人体センサ57と、図示されない電源プラグ等と、を備えている。便座装置50の本体部51、便座部53及び便蓋部54は、一体的に組み付けられて便器60の上面に設置される。以下、便座30に着座した使用者から見て前方を前、後方を後ろ、左右側方を左右として説明する。
【0025】
本体部51には、便座・便蓋駆動開閉部を介して便座部53の後部が回動可能に支持されており、便座部53の後部には、同じく便座・便蓋開閉部を介して便蓋部54の後部が回動可能に支持されている。また、便座部53には図示しない便座ヒータが設けられている。
【0026】
本体部51の筐体は中空の箱状に形成されており、本体部51の右側部には便座装置50に備えられた機能のうち主要な一部を操作するとともに使用者に情報表示するための表示・操作部が設けられ、本体部51の前部には着座センサ56が設けられている。
【0027】
また、本体部51には、何れも図示しないが、便座部53に着座した使用者の局部へ洗浄水を噴出する洗浄ノズル、洗浄ノズルに洗浄水を供給する洗浄水供給機構、及び洗浄ノズルに供給される洗浄水を温める温水ヒータ、使用者の局部等を洗浄後に乾燥する乾燥ヒータ等から成る洗浄部と、表示・操作部52、着座センサ56、リモートコントローラ55、及び人体センサ57からの信号を受けて便座装置50の全体動作を制御する制御部とが内蔵されている。すなわち、本実施の形態に係る便座装置50は、便座の暖房機能に加えて、局部等の洗浄機能を備えた衛生洗浄装置となっている。また、図示しないが、本体部51は、漏電遮断部としてのリレー機構も備えており、このリレー機構は、後述するように、少なくとも便座ヒータ、温水ヒータ及び乾燥ヒータを含む主回路に電力を供給する主給電路に挿入されている。また、本体部51内には、脱臭・乾燥ファン、便座・便蓋開閉部、ノズル駆動部等もさらに設けられている。
【0028】
着座センサ56は、便座部53に使用者が着座したことを検出するものであり、本体部51の前部に設けられている。本実施の形態において、着座センサ56は反射型の赤外センサで構成されており、着座センサ56は、赤外線を本体部51の前面から便座部53の上方へ向けて投射するとともに便座部53に着座した人体で反射された赤外線を検出して、この検出信号を本体部51の制御部へ送信する。制御部では、着座センサ56から検出信号を受信して、便座部53上に使用者が存在することが検知される。
【0029】
リモートコントローラ55は、トイレットルーム内において便座部53に着座した使用者が操作可能な位置に設置される。このリモートコントローラ55には、便座装置50に備えられた機能を操作するための操作部が設けられている。リモートコントローラ55は、本体部51の制御部と無線通信可能に構成されており、リモートコントローラ55の操作部にて入力された操作信号は本体部51の制御部へ送信され、制御部では受信した操作信号に応じた便座装置50の全体動作の制御を行う。
【0030】
人体センサ57は、トイレットルーム内に使用者が入室したことを検出するものであり、トイレットルームの壁面等に設置される。本実施の形態において、人体センサ57は反射型の赤外センサで構成されており、人体センサ57は、赤外線を所定位置へ向けて投射するとともに人体で反射された赤外線を検出して、この検出信号を本体部51の制御部へ送信する。本体部51の制御部では、人体センサ57から検出信号を受信して、トイレットルーム内に使用者が入室したことが検知される。
【0031】
また、前記本体部51は、図1に示すように、便座装置50の全体動作を制御するメイン制御部(制御器)10を備えている。このメイン制御部10は、後述するように、少なくとも便座が使用されていないときに漏電遮断部が正常に遮断動作(漏電時における電気的な接続を遮断する動作)を行うか否かを確認する試験(確認試験)を行うように構成されている。このメイン制御部10の具体的構成は特に限定されないが、演算器で構成されればよく、例えば、公知のマイクロコンピュータで好適に構成することができる。ここで、本発明において、制御器とは単独の制御器のみならず複数の制御器からなる制御器群をも意味する。従って、メイン制御部10は、必ずしも単独の制御部で構成される必要はなく、複数の制御部が分散配置されてそれらが協働して制御動作する制御部群で構成されていてもよい。
【0032】
本実施の形態に係る便座装置50においては、図1に示すように、少なくともヒータから構成される主回路と、少なくともメイン制御部10から構成される制御回路との2系統の電気回路を備えている。便座装置50は、図1に示すように、電源プラグ30を通じて外部交流電源と接続される。電源プラグ30の出力端子には主給電路81と電源回路部11の入力端子とが互いに並列に接続されている。この主給電路81に乾燥ヒータ41b、温水ヒータ41a、及び便座ヒータ42が接続されおり、かつ図示されていないがファン駆動部33、開閉駆動部34、及びノズル駆動部35も主給電路81に接続されている。そして、少なくともこれらの構成要素33〜35、41a、41b、42が主回路を構成している。この構成により、主回路に主給電路81を通じて電源プラグ30からの交流電力が供給される。
【0033】
一方、電源回路部11の出力端子にはメイン制御部10が接続され、さらに図示されていないが、メイン制御異常処理部15、表示・操作部52も電源回路部11の出力端子に接続されている。そして、少なくともこれらの構成要素10、15、52が制御回路を構成している。この構成により、電源プラグ30からの交流電力が電源回路部11において所定電圧の直流電力に変換され、この直流電力が制御回路に供給される。これら主回路及び制御回路は互いに電気的に独立しており、主給電路81は、当該主給電路81を通じて漏電が検出されると漏電遮断部が遮断動作によって交流電源から遮断されるように構成されている。
【0034】
[漏電遮断部の構成および便座装置の制御系統]
次に、本実施の形態に係る便座装置50が備える漏電遮断部の具体的な構成について、便座装置の制御系統に関連付けて、図1および図2を参照して説明する。
【0035】
本発明では、漏電遮断部の遮断動作の確認を自動的に行うようになっているため、本実施の形態に係る便座装置50は、図1に示すように、漏電遮断部であるリレー機構20、リレー駆動部12、漏電検出部13、及びリレー異常検出部14を少なくとも備えており、好ましくは、メイン制御異常処理部15を備えている。つまり、本実施の形態では、少なくとも、リレー機構20、リレー駆動部12、漏電検出部13、及びリレー異常検出部14によって漏電遮断部が構成されている。この漏電遮断部としては、さらにメイン制御異常処理部15を備えていると好ましく、さらに他の構成要素を含んでいてもよい。また、便座装置50の具体的構成によっては、一部の構成要素が漏電遮断部から省かれてもよい。
【0036】
リレー機構20及びリレー駆動部12は、図1に示すように、温水ヒータ41a、乾燥ヒータ41b、便座ヒータ42等を含む主回路及び当該主回路に電力を供給する主給電路81において漏電が発生した場合に、漏電を遮断する漏電遮断部として便座装置50に設けられている。リレー機構20は、機械的なスイッチング手段であるリレー接点21と、このリレー接点21を駆動するためのコイル(リレー接点駆動コイル)22とを備えている。また、コイル22はリレー駆動部12の通電により磁場を発生するようになっている。すなわち、リレー駆動部12によりコイル22に通電及び通電停止させることでコイル22に磁場が発生及び消滅し、この磁場の発生及び消滅により接触片21aが接触端子21bに対し接触及び離隔することにより、接触片21aと接触端子21bとからなる電気的接点(リレー接点)21を閉成及び開成する。本実施の形態における漏電遮断部は、このようにして、主給電路81を導通及び遮断する。
【0037】
前記のように、リレー接点21はコイル22及びリレー駆動部12により磁気的に開閉されるように構成されているが、リレー接点21とコイル22とは電気的に独立しているので、リレー駆動部12、漏電検出部13及びメイン制御異常処理部15等と、リレー接点21及びリレー異常検出部14等とは電気的に独立した状態で連動されていることになる。このリレー機構20の具体的構成は特に限定されないが、公知の継電器を好適に用いることができる。リレー機構20は、主給電路81を構成する一対の電気配線81a、81bの各々のできるだけ電源プラグ30に近い部分に設置される。この場合、各リレー機構20の接触端子21bが主給電路81を構成する各電気配線81a、81bに挿入される。
【0038】
リレー駆動部12は、前記リレー機構20における前記リレー接点21の開閉動作を制御するものであり、メイン制御部10から出力される開閉動作制御信号に基づき、コイル22に対し通電と通電停止とを切り替えることで、リレー接点21を開閉させる。このリレー駆動部12は、さらに漏電検出部13と接続されており、漏電検出部13により漏電が検出された場合にも、リレー機構20を開閉動作させるように構成されている。リレー駆動部12の具体的な構成は特に限定されるものではなくトランジスタ等の公知のスイッチング素子を用いた駆動回路として実現することができる。本実施の形態で採用している回路構成については後述する。
【0039】
漏電検出部13は、メイン制御部10の制御により漏電の有無を検出してリレー駆動部12に出力するものであり、本実施の形態では、検出コイルを巻き回して構成された零相変流器(ZCT)を含んでいる。この構成によれば、漏電状態の生成により主給電路81を構成する一対の電気配線81a、81bに流れる電流に両者間で差が生じ、ZCTに電圧が誘起される。これによって、漏電検出部13は漏電を検出して漏電発生信号を生成し、リレー駆動部12に出力する。リレー駆動部12はこの信号を受けて、コイル22の通電を停止し、リレー接点21を開成する。その結果、主給電回路81が遮断されて、漏電が遮断される。なお、漏電検出部13としてはZCTを用いる構成が好ましく用いられるが、公知の他の構成を用いても良い。
【0040】
リレー異常検出部14は、主給電路81に接続されており、リレー接点21の開閉動作に異常があることを検出し、メイン制御部10に出力するようになっている。その具体的な構成は特に限定されないが、主給電路81とは電気的に独立している必要があるため、フォトカプラを用いてリレー開閉動作判定信号を生成する回路構成を好適に用いることができる。本実施の形態で採用している回路構成については後述する。
【0041】
メイン制御異常処理部15は、メイン制御部10とリレー機構20のコイル22との間で電気的につながっており、メイン制御部10の制御が正常であるか否かを検出し、もしメイン制御部10の制御に制御異常が生じている場合には、少なくともリレー機構20の開閉動作を停止する処理を行うようになっている。すなわち、メイン制御異常処理部15を備えることにより、便座装置50の制御の要であるメイン制御部10の機能確認を行うことで、少なくとも、リレー機構20がつかさどる漏電遮断機能が制御上の問題で機能できなくなるという事態を回避することができる。メイン制御異常処理部15の具体的な構成は特に限定されないが、メイン制御部10から出力される信号が正常であれば、リレー機構20を正常に開閉動作できるようにする回路構成を有していればよい。
【0042】
また、メイン制御異常処理部15は、メイン制御部10に制御異常が生じている場合には、リレー機構20以外の構成についても、その動作を停止する処理を行うようになっていてもよい。例えば、便座装置50全体の制御に問題があると判断されるような場合には、便座装置50の全体動作を停止する処理を行うように構成されていてもよい。
【0043】
本実施の形態に係る便座装置50は、図1に示すように、温水ヒータ41a、乾燥ヒータ41b、便座ヒータ42、脱臭・乾燥ファン43、便座・便蓋開閉部44、及び洗浄ノズル45等を備えている。温水ヒータ41aは、洗浄動作時に常温の水を加温して温水とするためのものであり、乾燥ヒータ41bは、使用者の局部等を洗浄後に乾燥するためのものであり、便座ヒータ42は、便座の暖房のために用いられるものである。これら各ヒータは、使用者の身体に接触するかその可能性のあるものであり、暖房動作又は加温動作時の電圧値が相対的に高いものであるため、これらヒータを含む主回路は、図1に示すように、リレー機構20によるリレー接点21の開成動作(つまり漏電遮断部の遮断動作)によって漏電発生時には電気的に遮断される(漏電遮断される)ように構成されている。なお、便座装置50の構成によっては、これら以外の構成についても漏電遮断されるようになっていてもよい。前記各ヒータは、メイン制御部10からの出力信号に基づき、温水ヒータ・乾燥ヒータ調節部31、又は便座ヒータ調節部32によって加熱動作及び温度調節がなされる。
【0044】
前記脱臭・乾燥ファン43は、便座装置50の使用時に脱臭したり洗浄後の局部等を乾燥したりするため送風を行うファンである。便座・便蓋開閉部44は、便座部53及び便蓋54を自動的に開閉するための開閉機構である。洗浄ノズル55は、使用していない状態では本体部51に収容されているが、使用時には本体部51から突出し、局部に向かって温水を噴射するようになっている(図2参照)。これらは、メイン制御部10からの出力信号に基づき、脱臭・乾燥ファン駆動部33、便座・便蓋開閉駆動部34、又は洗浄ノズル駆動部35によって駆動する。なお、これらヒータ、ファン、洗浄ノズル等の具体的な構成は特に限定されず、本発明の技術分野で公知の構成を好適に用いることができる。
【0045】
本実施の形態に係る便座装置50は、図1及び図2に示すように、表示・操作部52、着座センサ56及び人体センサ57を備えている。図1に示すように、メイン制御部10により全体動作が制御されるとともに、これらからの出力がメイン制御部10にも入力可能となっている。すなわち、表示・操作部52では、使用者の操作により各種の操作信号がメイン制御部10に出力(入力)され、メイン制御部10では、これら操作信号に基づいて便座装置50の全体制御を行う。着座センサ56は、例えば、便座部53の後方に設置されていて、便座部53への使用者の着座を検出するようになっている。人体センサ57は、例えば、便所(トイレットルーム)の入口近傍に設置されていて、便所への使用者の入室を検出するようになっている。これらのセンサ56、57の検出信号はメイン制御部10に出力され、便座装置50の使用状態の判断を含む便座装置50の全体制御に利用される。
【0046】
前記表示・操作部52の具体的な構成は特に限定されず、表示部としては、LED等の発光素子を用いたランプ等の公知の表示手段を用いることができ、操作部としては、公知の各種ボタンやスイッチを用いることができる。あるいはタッチパネルタイプの液晶表示部を用いてもよい。着座センサ56及び人体センサ57の構成も特に限定されず、本発明の技術分野や他の技術分野で人体検出技術として知られる公知の構成を好適に用いることができる。ここでは、着座センサ56及び人体センサ57として反射型の赤外線センサが用いられている。なお、本実施の形態では、表示・操作部52には、漏電遮断機能の確認試験を行うためのテストボタン58と節電スイッチ59が設けられているが、これについては後述する。
【0047】
[リレー駆動部及びリレー異常検出部の構成例]
本発明に係る便座装置は、前記構成の漏電遮断部を駆動するコイルの通電を、便座装置が使用されていないときに遮断することで、待機電力を低減している。このような節電動作の制御について、より具体的に説明する。まず、漏電遮断部が備えるリレー駆動部12及びリレー異常検出部14の具体的構成の一例について、図3を参照して詳細に説明する。図3は、便座装置50が備える漏電遮断部としてのリレー駆動部12及びリレー異常検出部14の具体的な回路構成の一例を示す回路図である。
【0048】
まず、本実施の形態に係る便座装置50では、リレー駆動部12及びリレー異常検出部14は、図3に示すように、リレー機構20を含む主給電路81とは電気的に独立した制御回路に含まれている。前述したように、リレー機構20のリレー接点21とコイル22とは、磁気的に連結されているが電気的には独立しており、コイル22はリレー駆動部12を介してメイン制御部10に電気的につながっている。一方、リレー異常検出部14は、フォトカプラ72aを介して主給電路81とつながっているが、電気的には独立している。
【0049】
本実施の形態に係る主給電路81には、図3に示すように、リレー接点21を含むリレー機構20が直列接続されているとともに、一対の電気配線81a、81bにまたがるように、温水ヒータ41a・乾燥ヒータ41b及び便座ヒータ42が並列に接続されている。本実施の形態に係る便座装置50は、暖房便座としての機能と衛生洗浄装置としての機能とを双方具備しているが、便座ヒータ42は暖房便座の構成要素であり、乾燥ヒータ41a及び温水ヒータ41bは局部等を洗浄するための洗浄器の構成要素であるので、説明の便宜上、図3では、便座ヒータ42に対して、洗浄機能に関わる温水ヒータ41a・乾燥ヒータ41bは単一の回路構成として記載する。また、主電源路81には、リレー機構20を介して交流電源が接続されている。
【0050】
温水ヒータ41a・41b及び便座ヒータ42には、それぞれトライアック71a及び71bが直列接続されており、各ヒータ41a・41b・42に交流電流が流れるタイミング(通電期間)を制御するようになっている。また、ダイオード71cと抵抗71dとの直列接続回路が、各ヒータ41a・41b・42と並列に接続されているとともに、ダイオード71cにはフォトカプラ72aの発光素子を構成する発光ダイオードが互いに並列に且つ整流方向が互いに逆方向となるように接続されている。これによって、交流電流のうち所定の一方向に通電されたときに、発光ダイオードが発光し、それを受光素子が受光することによって、当該交流電流の半サイクル毎に反転する2値信号が出力される。
【0051】
本実施の形態に係るリレー異常検出部14は、前記ダイオード71c及び抵抗71d、並びにフォトカプラ72aに加えて、フォトカプラ72aの出力側に接続されるトランジスタ72cと、当該トランジスタ72cに接続される抵抗72b及び72dを備えている。本実施の形態ではフォトカプラ72aの受光素子がフォトトランジスタで構成されており、このフォトトランジスタのエミッタが抵抗72bを介してトランジスタ72cのベースに接続されている。また、トランジスタ72cのエミッタはアースされ、コレクタには抵抗72dの一方の端子が接続されている。この抵抗72dの一方の端子とトランジスタ72cのコレクタとの接続点(ノード)72eの電圧(電位)がメイン制御部10に入力されている。また、抵抗72dの他方の端子はフォトカプラ72aのフォトトランジスタのコレクタとともに正電圧電源(VCC)に接続されている。正電圧電源(VCC)は電源回路部11の出力端子で構成されているか、もしくは当該出力端子に接続されている。
【0052】
この構成により、フォトトランジスタが発光素子からの光を受光しないとOFF(遮断)して、トランジスタ72cがOFFし、ノード72eの電圧が正電源電圧(VCC)となり、一方、フォトトランジスタが発光素子からの光を受光するとON(導通)して、トランジスタ72cがONし、ノード72eの電圧が接地電位となる。これにより、フォトカプラ72aのフォトトランジスタから出力される2値信号を反転した2値信号がリレー故障検知信号としてノード72eから出力される。
【0053】
本実施の形態に係るリレー駆動部12は、抵抗73a、トランジスタ73b、抵抗73c、トランジスタ73d、トランジスタ73e、抵抗73f、ダイオード73g、ダイオード73hを備えている。トランジスタ73bのベースには抵抗73a、ダイオード73h、トランジスタ73eを介してメイン制御部10からリレー駆動信号が入力される。また、トランジスタ73bのエミッタはアースされ、コレクタには各リレー機構20のコイル22の一方の端子が接続されている。トランジスタ73bのベースは、さらに抵抗73fよりプルアップされるとともにトランジスタ73dのコレクタが接続されている。トランジスタ73dのエミッタはアースされ、ベースにはダイオード73dの整流方向の下流側が接続されている。ダイオード73dの整流方向の上流側は抵抗73cを介して漏電検出部13が接続されている。トランジスタ73eのベースには、ダイオード73hの整流方向の下流側が接続され、上流側は抵抗73aを介してメイン制御部10に接続されている。トランジスタ73eのエミッタはアースされ、コレクタは抵抗73f、トランジスタ73bのベース、及びトランジスタ73dのコレクタに接続されている。各リレー機構20のコイル22の他方の端子は、主給電路81のリレー接点21が挿入された箇所より電源プラグ30に近い側の部分に接続されている。
【0054】
メイン制御部10から、コイル22に通電してリレー接点21を閉成させる信号(以下、リレーON信号とする。)が出力されると、トランジスタ73eはOFFとなり、トランジスタ73bがONとなるので、リレー接点21は閉成される。これに対して、メイン制御部10から、リレー接点21を開成させるリレーOFF信号が出力されると、トランジスタ73eはONとなり、トランジスタ73bがOFFとなるので、リレー接点21は開成される。
【0055】
また、漏電発生時には漏電検出部13から漏電発生信号が入力される。トランジスタ73dに漏電発生信号が入力されないときは、トランジスタ73dはOFFであるため、トランジスタ73bはONとなり、リレー接点21は閉成される。これに対して、トランジスタ73dに漏電発生信号が入力されると、トランジスタ73dはONするため、トランジスタ73bはOFFとなり、リレー接点21は開成され、漏電遮断が行われる。
【0056】
[漏電遮断部における節電動作とその制御]
次に、本実施の形態における漏電遮断部の節電動作とその制御について、図3から図5に基づいて説明する。図4は、メイン制御部によって行われる節電動作の制御の一例を示すフローチャートである。図5(a)及び(b)は、図4に示す制御に伴って行われる漏電遮断部の遮断動作の確認で用いられるリレー開閉動作判定信号について、リレーが正常に開閉している場合と開閉に異常が発生した場合とを対比したチャート図である。
【0057】
本実施の形態では、リレー駆動部12及びリレー異常検出部14を前述した回路構成とすれば、リレー接点21の開成及び閉成の確認試験(すなわち漏電遮断機能の確認試験)を行ったときには、リレー接点21が正常に開成および閉成しているか否かに加えて、リレー接点21の開成又は閉成に異常が生じている場合には、その異常がどのようなものであるかも判定することができる。
【0058】
使用者が表示・操作部50に配置した節電スイッチ59を操作し、節電モードに設定した場合、設定時から所定時間が経過するまでの間(本実施の形態の場合8時間)メイン制御部101は以下に記載の節電モードの制御を行う。
【0059】
メイン制御部10は、まず、ステップS101として、前回の使用状態の確認が完了してから所定時間が経過したか否か判定する。所定時間が経過していない場合(ステップS101でNO)には所定時間が経過するまで判定を繰り返し、一連の制御を待機する。
【0060】
所定時間に達している場合あるいは所定時間が既に経過した場合(ステップS101でYES)には、ステップS102として、便座装置50が不使用状態にあるか否かを判定する。本実施の形態では、図1及び図2に示すように、便座装置50が着座センサ56及び人体センサ57を備えているので、これらセンサにより、使用者の着座や使用者の存在が一定期間検出されない場合には、不使用状態と判定する。ここで、省エネルギーのため、便座装置50の使用状態として、必要最低限の電力消費に抑える待機状態を設定できる場合には、待機状態に入ってから一定期間経過した場合を不使用状態と判定してもよい。本発明では、便座部53への着座を検出する着座検出や、便座装置50の設置場所における使用者の存在を検出する使用者検出の結果を、少なくとも使用状態の判定に用いればよく、具体的な判定手法はどのような方法であってもよい。
【0061】
なお、便座装置50の便座ヒータ42の暖房動作が行われていないときや、洗浄ノズル55の洗浄動作が行われていないときを不使用状態と判定することもできるが、本発明では、節電動作に加えて漏電遮断についても実行することを考慮すれば、使用者の身体の一部であってもそれが便座装置50に触れていない状態を、不使用状態と判定することが好ましい。したがって、本実施の形態では、メイン制御部10は、着座検出や人体検出の少なくともいずれかの検出結果を、便座装置50の使用状態の判定に用いることがより好ましい。メイン制御部10は不使用状態でない(使用状態にある)と判定した場合には不使用状態になるまで待機する(ステップS102でNO)。
【0062】
そして、不使用状態であると判定した場合あるいは不使用状態になると(ステップS102でYES)、ステップS103として、メイン制御部10は、リレー駆動部12に対して、リレー駆動信号として、コイル22への通電を停止してリレー接点21を開成させるリレーOFF信号を出力する。
【0063】
ここで、ステップS103において、リレーOFF信号が出力されると、リレー駆動部12のトランジスタ73bがOFFする。もし、リレー機構20が正常に開成動作していればコイル22の通電が遮断することによって、リレー接点21が開成する。
【0064】
リレーOFF信号が出力される前はコイル22が通電されているので、主給電路81には、交流電源から所定周期の交流電流が通電することになるが、既述のように、リレー異常検出部14のフォトカプラ72aによってこの交流電流が検出され、ノード72eからリレー開閉動作判定信号としてこの交流電流の周期に対応する(半サイクル毎に反転する)2値信号がメイン制御部10に入力される。その結果、リレー機構20が正常に開閉動作している場合には、図5(a)に示すように、リレーON信号が出力されている間(図中中段)、交流電流(図中上段)の周期に合わせて2値信号が出力され(図中下段左側)、メイン制御部10に出力されることになる。ここで、リレーOFF信号とは、コイル22へ通電してリレー接点21を開成させるリレー駆動信号を便宜上このように呼ぶものである。
【0065】
したがって、ステップS103でリレーOFF信号が出力されると、リレー機構20が正常に開成動作するのであれば、リレー接点21は開成されるため、主給電路81には交流電流が通電されず、リレー開閉動作判定信号としての2値信号はHレベル又はLレベルのいずれか一方(ここではHレベル)に固定された信号となる。一方、リレー接点21が溶着等によって閉成されており、リレーOFF信号が出力されたときにリレー接点が開成されず閉成状態のままで維持されると、図5(b)に示すように、リレーON信号からOFF信号へ切り替っても交流電流の周期に応じた2値信号が出力され続ける。この異常を、以下、リレー接点21の「ON故障」と称する。
【0066】
そこで、メイン制御部10は、ステップS104でリレー異常検出部14からリレー開閉動作判定信号を取得し、ステップS105において、リレー開閉動作判定信号が交流電源の周期に対応しているか否かを判定し、対応していれば(ステップS105でYES)、前記のとおり、リレー接点21にON故障が発生したと判定する(ステップS106)。一方、対応していなければ(ステップS105でNO)、リレー接点21は正常に開成したため、ステップS107に進み、メイン制御部10は、便座装置50全体を節電状態に切り替え、節電モードを開始する。
【0067】
通常、節電モードでは、より多くの電力を消費する温水ヒータ41a、乾燥ヒータ41b、便座ヒータ42等の通電を遮断するが、本発明の節電モードでは、リレー接点21を開成することにより、前記各ヒータ41a、41b、42だけではなく、リレー接点21を駆動させるコイル22の通電も遮断する。それゆえ、より一層の省エネルギー効果を挙げることができる。
【0068】
次のステップS108では、便座装置50が使用状態にあるか否かを判定する。すなわちメイン制御部10は、節電動作を維持し続けるか否かを判定する。すなわち、便座装置50が使用状態でなければメイン制御部10は不使用状態が継続していると判断し、リレーOFF信号のまま節電動作を継続する(ステップS108でNO)が、便座装置50が使用状態にあると判定あるいは使用状態になれば(ステップS108でYES)、節電モードから通常モードに切り替えるべく、ステップS109に進む。
【0069】
ステップS109では、メイン制御部10は、リレー駆動部12に対して、リレーOFF信号を、上述のリレーON信号に切り替えて出力する。
【0070】
ここで、ステップS109でリレーON信号が出力されると、リレー機構20が正常に開閉動作する場合には、リレー接点21は閉成されるため、主給電路81には交流電流が通電され、前述したようにリレー開閉動作判定信号として交流電流の周期に合わせて2値信号が出力され、メイン制御部10に出力されることになる。一方、リレー機構20の開閉動作に異常が生じた場合には、リレーON信号が出力されてもリレー接点21が閉成されず開成状態のまま維持されるため、主給電路81に交流電流が通電されず、交流電源の周期に応じた2値信号が生成されない事態となる。それゆえ、例えば、図5(a)に示すように、2値信号は上述のようにHレベルに固定された信号となる(図中下段右側)。この異常を、以下、リレー接点21の「OFF故障」と称する。
【0071】
そこで、メイン制御部10はリレー開閉動作判定信号を取得し(ステップS110)、この取得したリレー開閉動作判定信号が交流電流の周期に対応するか否か判定する(ステップS111)。メイン制御部10は、リレー開閉動作判定信号が交流電源周期に対応していると判定すると(ステップS111でYES)、ステップS112進み、リレー接点21はリレーOFF信号に応じて開成しかつリレーON信号に応じて閉成したことになるので、メイン制御部10は、節電モードを終了し、通常モードに切り替える。その後、メイン制御部10はこの制御を終了する。
【0072】
一方、リレー開閉動作判定信号が交流電源周期に対応していないと判定すると(ステップS111でNO)、ステップS113進み、リレー接点21にOFF故障が発生したと判定する。メイン制御部11は、ステップS106及びステップS113の後、ステップS114に進み、表示・操作部52において、漏電遮断機能が異常である旨を報知する。この報知を行う具体的な手法は特に限定されるものではなく、例えば、前述したようにLEDや液晶表示部等を用いて報知すればよい。具体的には、異常時に点灯するLED等として報知してもよいし、液晶表示部にて、漏電遮断機能に異常があることを文字情報や画像情報として報知してもよい。さらには、音声情報として警告音や警告メッセージを発するようになっていてもよい。つまり、リレー機構20の開閉動作に異常が生じた場合には、メイン制御部10によって、報知器によって漏電遮断機能に異常があることを使用者に報知できるようになっていれば、報知器の構成や報知の手法は公知のどのようなものでも用いることができる。その後、メイン制御部10は、この制御を終了する。
【0073】
なお、メイン制御部10は、漏電遮断機能に異常が生じたという判定を受けて、便座装置50の全体動作を停止する制御を行ってもよい。すなわち、確認試験の結果、リレー機構20の開閉に異常が検出されたりメイン制御部10に制御異常が生じたりしたときに、便座装置50の全体動作を停止させてもよい。これによって、使用者にとっての安全性をより一層高めることができる。
【0074】
このように、本発明によれば、これまで待機電力の削減の対象となっていなかった漏電遮断部の消費電力を削減することによって、より一層の省エネルギー効果を達成することが可能となっている。
【0075】
本発明が適用可能な便座装置は、前記構成の漏電遮断部を備えている便座装置全般であるが、特に、「瞬間式」の衛生洗浄装置に好ましく適用することができる。「瞬間式」の衛生洗浄装置とは、前述した「瞬間給湯」および「瞬間暖房便座」を備える衛生洗浄装置であり、使用時のみ電力を使用することにより電力消費量を低減し、省エネルギー性を向上させることができるものである。この「瞬間式」の衛生洗浄装置では、すでに十分に待機電力が削減されているが、本発明を適用することにより、漏電遮断部の消費電力を節電することができるので、より一層の省エネルギー効果を得ることができる。
【0076】
例えば、本出願人の従来の便座装置と本発明を適用した便座装置とについて、電気便座分野において日本国経済産業省が定めた2012年度の省エネ率(省エネルギーの達成基準)の算定を行うと、従来の便座装置の省エネ率が167%であるに対して、本発明に係る便座装置の省エネ率は175%にまで向上した。なお、省エネ達成率は、「省エネ基準値÷その製品のエネルギー消費効率×100」という計算式で算出される。したがって、省エネ基準値と同じエネルギー消費効率を実現すれば、省エネ達成率は100%となり、省エネ基準値を上回れば、省エネ達成率は100%を超えることになる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明によれば、便座装置の省エネルギー性をより一層向上させることができる。したがって、本発明は、暖房便座や温水洗浄便座等の各種便座装置、衛生洗浄装置の分野に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0078】
10 メイン制御部(制御器)
12 リレー駆動部
14 リレー異常検出部(リレー異常検出器)
20 リレー機構
21 リレー
50 便座装置
56 着座センサ
57 人体センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座と、
前記便座を加熱する便座ヒータと、
少なくとも前記便座ヒータに電力を供給する主給電路と、
前記主給電路に漏電が発生した場合に、少なくとも当該主給電路を遮断する漏電遮断部と、
少なくとも前記漏電遮断部を制御する制御器と、を備え、
前記漏電遮断部は、リレー接点および駆動コイルを有し、当該駆動コイルに通電中は前記リレー接点が閉成し、非通電中は開成することにより、少なくとも前記主給電路を導通および遮断するリレーと、前記リレーの駆動コイルを駆動するリレー駆動部と、から少なくとも構成され、
前記制御器は、前記便座が使用されていないときに、前記リレー駆動部により前記主給電路を遮断するように前記駆動コイルへの通電を遮断し、かつ、前記便座の使用が再開されたときには、前記リレー駆動部により前記主給電路を導通するように前記駆動コイルへの通電を再開する、節電動作を行うよう構成されている、便座装置。
【請求項2】
前記節電動作の選択を設定する節電設定器をさらに備え、
前記制御器は、前記節電設定器の節電動作設定中は、前記節電動作を行い、節電動作非設定中は前記節電動作を行わないように構成されている、請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記漏電遮断部には、前記主給電路の漏電を検知する漏電検知器がさらに含まれており、
前記制御器は、前記漏電検知器が漏電を検知した場合、前記リレー駆動部により前記駆動コイルへの通電を遮断することで、前記主給電路を遮断するように構成されている、請求項1または2に記載の便座装置。
【請求項4】
使用者を検出する使用者検出器をさらに備え、
前記制御器は、前記使用者検出器により、前記便座装置が使用されていない不使用状態にあるか、又は、使用が再開されて使用状態にあることを判定するとともに、前記不使用状態にある場合には、前記節電動作を行うよう構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項5】
前記便座に着座した使用者の局部を洗浄する洗浄器をさらに備え、
当該洗浄器は、前記洗浄水を加熱する温水ヒータを少なくとも有しており、
前記主給電路は、前記洗浄器に電力を供給するものである、請求項1から4のいずれか1項に記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−51793(P2010−51793A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179539(P2009−179539)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】