保冷箱
【課題】 官製葉書古紙の紙粉末成分又は植物性粉末成分を主成分とした板状発泡体が、ダンボール箱等の箱体の内部六面を覆うようにして内蔵され、保冷効果が優れ且つ、輸送後等に前記板状発泡体は一般ゴミとして焼却可能であり、ひいては自然環境に優れた保冷箱を提供すること。
【解決手段】 紙粉末成分又は植物製粉末成分を主成分とし,且つ3枚の連続する内装板状部を有する2つの第1板状発泡内装材1と第2板状発泡内装材2とがそれぞれ略コ字形状に折曲形成されること。両内装材にて6面体として構成されること。これらが6面を有する箱体Aに収納されてなること。
【解決手段】 紙粉末成分又は植物製粉末成分を主成分とし,且つ3枚の連続する内装板状部を有する2つの第1板状発泡内装材1と第2板状発泡内装材2とがそれぞれ略コ字形状に折曲形成されること。両内装材にて6面体として構成されること。これらが6面を有する箱体Aに収納されてなること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、官製葉書古紙の紙粉末成分又は植物性粉末成分を主成分とした板状発泡体が、ダンボール箱等の箱体の内部六面を覆うようにして内蔵され、保冷効果が優れ且つ、輸送後等に前記板状発泡体は一般ゴミとして焼却可能であり、ひいては自然環境に優れた保冷箱に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、食品類、特に生鮮食料品,アイスクリーム,アイスキャンディー等の氷菓,冷凍食品については、発泡スチロール製の箱状体が、保冷効果が優れていることから保管・輸送等に盛んに使用されている。ところが、使用後においては、その発泡スチロール製の箱状体は、燃焼させるとダイオキシン等が発生することから一般ゴミとして廃棄することはできず、非燃焼ゴミとして分別して廃棄しており、これが多量に出回り、社会問題をも発生している現状である。特に、現在では、アイスクリーム,アイスキャンディー等の氷菓市場等においては、その発泡スチロール製の箱状体の使用量は莫大であり、その処理に関しては国家的にも問題視されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−94054号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、保管・輸送時において保冷効果が優れ、且つ使用後は一般ゴミとして燃焼可能な箱状体の開発が望まれている。すなわち、自然環境にやさしい保冷箱の開発が求められている。本発明の目的は、保冷効果に優れたものにするとともに、使用後は一般ゴミとして燃焼可能とし、ひいては自然環境にやさしい保冷箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、紙粉末成分又は植物製粉末成分を主成分とし,且つ3枚の連続する内装板状部を有する2つの第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材とがそれぞれ略コ字形状に折曲形成され、両内装材にて6面体として構成され、これらが6面を有する箱体に収納されてなる保冷箱としたことにより、上記課題を解決したものである。
【0006】
次に、請求項2の発明を、紙粉末成分又は植物製粉末成分を主成分とし,且つ4枚の連続する内装板状部を有する1つの第1板状発泡内装材と,2つの平板状の第2板状発泡内装材とからなり、前記第1板状発泡内装材は、略ロ字形状に折曲形成され、これら内装材にて6面体として構成され、これらが6面を有する箱体に収納されてなる保冷箱としたことにより、上記課題を解決したものである。
【0007】
次に、請求項3の発明を、前述の構成において前記第1板状発泡内装材又は第2板状発泡内装材には、隣り合う内装板状部同士が折り曲げ自在となる2本の薄肉折れ線部が形成されてなる保冷箱としたことにより、上記課題を解決したものである。また、請求項4の発明を、前述の構成において前記板状発泡材の成分は、10〜40重量%の紙粉末成分又は植物性粉末成分と、補助剤として25〜40重量%の澱粉成分と、35〜50重量%のポリオレフィン系樹脂とからなる保冷箱ととしたことにより、上記課題を解決したものである。また請求項5の発明を、前述の構成において前記ポリオレフィン系樹脂はポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂としてなる保冷箱としたことにより、上記課題を解決したものである。さらに、請求項6の発明を、前述の構成において前記板状発泡材の主成分は、官製葉書が使用されてなる保冷箱としたことにより、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
まず、請求項1の発明によれば、官製葉書古紙若しくは一般古紙の紙粉末成分又は植物性粉末成分を主成分とする第1板状発泡内装材,第2板状発泡内装材が、ダンボール箱等の箱体内部六面を覆うようにして内蔵され、箱状となった前記第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材と箱体とからなる保冷箱としたことにより、優れた保冷性能を有するものにできるし、さらに公害防止型の保冷箱を提供できる利点がある。
【0009】
特に、その第1板状発泡内装材,第2板状発泡内装材が箱体内部六面を覆うようにして内蔵され、箱状となった前記第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材とから構成された直方体状としたので、内部の保冷空隙部に食料品又はアイスクリーム,アイスキャンディー等の氷菓を入れると十分なる保冷効果を発揮でき、従来の発泡スチロールの保冷性能と同様な保管用保冷箱又は輸送用保冷箱として使用できる利点がある。また、官製葉書古紙は普通の再生紙に利用するのみであったのに対して、本発明では格段に有効利用できる。また、保冷効果が優れ且つ、使用後、廃棄する際には、前記板状発泡体を一般ゴミとして焼却可能であり、自然環境に優れたものにでき、前記の不都合又は欠点を解消したものである。
【0010】
請求項2によれば、第1板状発泡内装材は、略ロ字形状に構成するものであるから、第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材によって構成された6面体は、極めて強固な構造にすることができる。その他の効果は請求項1と略同様である。次に、請求項3の発明によれば、前記第1板状発泡内装材又は第2板状発泡内装材の隣り合う内装板状部同士の折り曲げ作業を行ないやすくできるものである。次に、請求項4の発明によれば、10〜40重量%の官製葉書古紙若しくは一般古紙の紙粉末成分又は植物性粉末成分と、補助剤として25〜40重量%の澱粉成分と、35〜50重量%のポリプロピレン樹脂成分とからなる第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材により、優れた保冷性能を有するものにでき、特に公害防止型の保冷箱にできる等の効果を奏する。
【0011】
特に、請求項5の発明における第1板状発泡内装材及び第2板状発泡内装材に含有されるポリプロピレン樹脂成分は、ベンゼン環を有しない鎖状炭化水素高分子であるので、従来多用されている発泡ポリスチレン又は発泡スチロールに比べて、燃焼処理の場合、有害なススが出ず、燃焼した後には、主に炭酸ガスと水蒸気となり、燃焼発熱量も発泡ポリスチレン又は発泡スチロールに比較して少ない。したがって、前記第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材とは、一般家庭ごみと一緒に燃焼廃棄処理することができるため、地球環境保護の点からも良好なる効果を奏する。請求項6の発明によれば、前記紙粉末成分として官製葉書が使用されることにより、古葉書の再生利用性をより一層良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の主要な構成部材は、箱体Aと2つの板状発泡内装材からなり、その一つは第1板状発泡内装材1であり、もう一つは第2板状発泡内装材2である。そして、前記第1板状発泡内装材1と第2板状発泡内装材2とを組み合わせることにより、直方体を構成することができる。まず、第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2は、原材となる板状発泡材Mから形成されるものであり、該板状発泡材Mは、約10〜40重量%の官製葉書古紙若しくは一般古紙の紙粉末成分又は植物性粉末成分と、補助剤として約25〜40重量%の澱粉(コーンスターチ等)成分と、約35〜50重量%のポリプロピレン樹脂成分とから構成されている。
【0013】
本明細書において、前記官製葉書古紙とは、官製葉書製造工程で発生する裁ち屑、汚損紙等の古紙、及び使用家庭で発生する汚損紙等をいうものである。また、植物性粉末成分としては、ふすま,茶葉殻,トウモロコシ粕,オカラ等の食物残滓等の粉末である。また、各成分の約1割程度の増減は本発明に含まれる。
【0014】
前記官製葉書古紙は、まずミキサーカッタ方式の粉砕機で粗粉砕(破砕)され、次にミル(臼)方式の粉砕機で微粉砕したものが、集塵機で粉体として収集される。このような紙粉体としての紙粉末成分が、混練機を使用して澱粉成分と混練され、ポリプロピレン樹脂成分とともに加熱溶融され、水を発泡媒体として、2軸の押出機を用いて押出されて、板状発泡材Mが製造される。前記官製葉書古紙の粉砕は、100〜200メッシュの篩を通過した程度の粉体(約150〜80μm粒径)にすることが好ましい。
【0015】
本発明の発泡体の原料組成の割合は、全体に占めるポリプロピレン樹脂成分の割合が50重量%程度であり、これにより発泡体を得ることができる。官製葉書古紙の有効利用という観点から、ポリプロピレン樹脂成分の比率は50重量%以下として、官製葉書古紙の組成比率を10重量%以上で、できるだけ多くすることが望ましい。なお、前記ポリプロピレン樹脂成分の割合は50重量%以上になっても、前述と略同様な発泡体を得ることはできる。
【0016】
次に、官製葉書古紙を主成分とする板状発泡材Mの製造法について説明する。まず、官製葉書の古紙を、ミキサーカッタ方式の粉砕機で粗粉砕し、約15〜20mm程度の断片に破砕する。そして、ミル方式の粉砕機で微粉砕し、約200メッシュ程度の官製葉書古紙の紙粉末成分とする。次いで、微粉砕した官製葉書古紙の紙粉末成分と適宜な工業用澱粉なる澱粉成分とを混合する。そして、前記紙粉末成分と澱粉成分とに対して、ポリプロピレン樹脂成分(顆粒)及び水を混合して、加熱混練する。このようにした成分を、高温加熱シリンダとしての押出機から押出すことにより、図9,図10(A),(B)等に示すように、該押出機の出口端に設けた押出用金型10及び押出型枠8を通過することで板状発泡材Mが製造できる。
【0017】
前記押出用金型6は、断面長方形をなし、適宜の長さを有した扁平立法体状をなしている。この断面の内部には、複数の孔7,7,…が長さ方向に貫通して構成されている。孔径は、約2mm乃至約3mm程度である。この複数の孔7から紐状として出たもの複数が、断面長方形状の空隙が形成された押出型枠8を通過することで互いに接着されて板状発泡材Mが形成される。この押出方向は図8における矢印のように、右から左側に向かって通過するように構成されている。
【0018】
次に、その板状発泡材Mの具体的な製造工程をフローチャート(図11参照)に基づいて説明する。まず、官製葉書古紙を、ミキサーカッター方式の粉砕機で15〜20mm程度の断片に粗粉砕する(S1参照)。粗粉砕した紙断片をミル方式の粉砕機で微粉砕する(S2参照)。この微粉末を微粉砕機の上部から、2.2kwの吸引ポンプで、吸引開口目盛を調節しながら、空気分吸して、100〜200メッシュの篩を通した程度の紙粉末(約150〜80μm粒径)として収集する。これまでが官製葉書古紙を紙粉末成分にする工程である。この紙粉末成分と工業用変性澱粉なる澱粉成分とを、重量比で4対6の割合で加えて混合する(S3参照)。そして、このような紙粉末成分24重量%と澱粉成分36重量%、ポリプロピレン樹脂成分40重量%に、水を適宜供給して混練機で良く混練しておく(S4参照)。紙粉末成分と澱粉成分とポリプロピレン樹脂成分とを押出機に投入する(S5参照)。
【0019】
上記板状発泡材Mの押出用金型6は、図9に示すように、断面が約105mmで、高さ22mmの中に、孔直径約2.5mmの円形の孔7が千鳥状配列に合計23個が開口され、金型の厚さ約10mmで、前記多数の孔7を出た直後には、円形紐状をなし、この複数が互いに密着するごとくに合わさり、且つ枠状の前記押出型枠8を通過して、若干収縮されて、幅約100mm×高さ約20mmの帯板状発泡材が押し出される(S6参照)。そして、押出用金型6及び押出型枠8を出た直後に、所望の長さ、例えば45cmでカッタによって裁断すると、板状発泡材Mを製造できる(S7参照)。また、一般古紙の紙粉末成分又は植物性粉末成分から板状発泡材Mを製造するには、官製葉書古紙を主成分とする製造法と同様であり、その説明は省略する。
【0020】
また、図10(A)に示すように、前記押出用金型6は、横幅が約80mmで高さ22mmで孔直径約2.5mmの円形の孔7が千鳥状配列に合計17個が開口された実施例も存在し、これで成形すると、幅約70mm×高さ約20mmで適宜の長さ(例えば約30cm)の帯板状発泡材が成形される。さらに、図10(B)に示すように、断面が約105mmで、高さ44mmの中に、孔直径約2.5mmの円形の孔7が千鳥状配列に合計28個が開口された実施例も存在する。これで成形すると、幅約100mm×高さ約40mmで適宜の長さ(例えば約30cm)の帯板状発泡材が成形される。このように、厚さ(高さ)が約20mm又は40mmであっても、その幅は100mmのため、所望の幅、例えば、280mmの場合には、100mmのもの2つと、80mmのもの1つを接着剤等で接着して構成される。また、押出機を大型化することで、厚さ(高さ)が約50mmで、幅200〜300mm程度で適宜の長さ50cm乃至1m程度の板状発泡材Mの製造が可能である。
【0021】
上記板状発泡材Mは、弾力性,復元性に富み、衝撃を緩衝することができる。また、板状発泡材Mは、発泡スチロールなみに軽量であり、保温性においては発泡スチロールを上回る性能を有している。さらに、燃焼してもダイオキシン等の有害ガスを生じることがなく、安全性があり、また燃焼温度が低いので焼却炉等に無理を与えるものではない。さらに変形しやすく緩衝材にも好適である。板状発泡材Mは、空気を多く含むことができ、その上,コルクのように吸湿性の質量変化に富んでおり、抜群の保冷・断熱効果を発揮することができ、箱体A内の湿度、温度を略一定に保つことが出来る。このようなことから、板状発泡材Mから形成された第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2は、アイスクリーム,アイスキャンディー等の氷菓,冷凍食品等に対して極めて優れた保温性を発揮することができる。
【0022】
さらに、上記板状発泡材Mは、空気を多く含むことができ、その上,コルクのように吸湿性の質量変化に富んでいるために、たとえば果物や野菜等から排出する腐敗臭の素になるエチレンガスの発生を防ぐことができる。特に、板状発泡材Mから形成された第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2によって、アイスクリーム,アイスキャンディー等の氷菓,冷凍食品又は果物や野菜等の湿度、温度を長期に亘って低く保つことが出来る。また、板状発泡材Mは弾力性,復元性に富み、商品を優しく保護することができ、発泡スチロールなみに軽量であり、保温性においては発泡スチロールを上回る性能を有している。さらに、燃焼してもダイオキシン等の有害ガスを生じることがなく、安全性があり、また燃焼温度が低いので焼却炉等に無理を与えるものではない。さらに変形しやすく緩衝材にも好適である。
【0023】
この板状発泡材Mから形成される第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2は、2種類のタイプが存在するものであり、その第1タイプとしては、図1乃至図4に示すように、第1板状発泡内装材1は、3面の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 と、2つの薄肉折れ線部1b,1bとから構成されている。また、ここでは前記内装板部1a1 は、内装板部1a2 ,1a3 間に位置するものとした。また、第2板状発泡内装材2も、図1(B)に示すように、前述した第1板状発泡内装材1と同様に3面の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 と、2つの薄肉折れ線部2b,2bとから構成されている。また、第1板状発泡内装材1と同様に、第2板状発泡内装材2も、内装板部2a1 は、内装板部2a2 ,2a3 間に位置するものとした。
【0024】
第1タイプでは、第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2は、図1(A),(B)に示すように、コ字形状に形成されるものであり、前記第1板状発泡内装材1の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 の各板面は、前記箱体Aの蓋部4,底部5及び4面の収容側面部3,3,…の内の一つにそれぞれ配置される。また前記第2板状発泡内装材2の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 の各板面は、前記箱体Aの残りの3面の収容側面部3,3,…に配置される。
【0025】
図6は、箱体Aへの第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2の内装状態の1例を示すものであり、図6(A),(B)は、箱体Aと収納された第1板状発泡内装材1,第2板状発泡内装材2の横断平面図及び縦断側面図である。これは、第1板状発泡内装材1が箱体Aの1つの収容側面部3,蓋部4及び底部5に対応する位置に配置され、さらに第2板状発泡内装材2が箱体Aの3つの収容側面部3,3,…に配置されたものである。そして、図6(C)は、箱体Aへの第1板状発泡内装材1と第2板状発泡内装材2の別の内装構造であり、第2板状発泡内装材2が2つの収容側面部3,3と底部5に対応する位置に配置され、第1板状発泡内装材1が箱体Aの残りの収容側面部3,3と蓋部4の対応する位置に配置されるようにいたものである。
【0026】
したがって、第1板状発泡内装材1の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 及び第2板状発泡内装材2の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 のサイズ,及び肉厚等は箱体Aのサイズに応じて設定されるものである。その第1板状発泡内装材1の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 及び第2板状発泡内装材2の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 の肉厚は、約10mm乃至約30mm程度であり、さらに通常使用されるのは、約15mm乃至約20mmとすることが多い。
【0027】
前記薄肉折れ線部1b,1b及び薄肉折れ線部2b,2bは、図5(A),(B)に示すように、他の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 及び内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 よりも肉厚が薄くなるように括れた形状としたものであり、算盤玉のようなローラを直線状に回転させて、形成されるものである。前記第1板状発泡内装材1は2つの薄肉折れ線部1bを介して隣り合う内装板状部1a1 ,1a2 同士又は内装板状部1a2 ,1a3 同士を適宜に折り曲げ、前記3面の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 が略「コ」字形状となるように形成する〔図4(A)参照〕。
【0028】
同様に、第2板状発泡内装材2もその薄肉折れ線部2b,2bを介して、前記3面の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 が略「コ」字形状となるように形成される〔図4(B)参照〕。このようにして、略「コ」字形状とした第1板状発泡内装材1と第2板状発泡内装材2とを組み合わせることにより、図2に示すように、6面体が構成される。この6面体は、主に直方体又は立方体であるが、たとえば、略平行四辺形又は台形等とした面を有する6面体等も含まれる。その内部は空隙となり、保冷空隙部Qとして構成されることになる。
【0029】
次に、第1板状発泡内装材1と第2板状発泡内装材2の第2タイプとしては、図7,図8に示すように、略「ロ」字形状に折り曲げて四角壁面を構成する第1板状発泡内装材1と、この四角壁面形状とした第1板状発泡内装材1の上下箇所に配置する2枚の平板状の第2板状発泡内装材2,2とから構成されるものである。その第1板状発泡内装材1は、図7(A)に示すように、4枚の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 ,1a4 から構成され、それぞれの隣接する内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 ,1a4 間には、前述したように、薄肉折れ線部1bが形成されている。
【0030】
ここで、内装板部1a1 ,1a2 ,1a3 ,1a4 は、図7(A)に示すように、第1板状発泡内装材1の長手方向の1端側から他端側に向かって配列されている。そして、内装板状部1a1 ,1a2 同士,1a2 ,1a3 同士及び1a3 ,1a4 同士が、それぞれその薄肉折れ線部1bを介して折り曲げられて図8に示すように、四壁面形状を構成し、平板状の第2板状発泡内装材2を箱体Aの底部5に配置し、且つその配置された第2板状発泡内装材2上に前述の四壁面形状とした第1板状発泡内装材1が配置され、さらに、その第1板状発泡内装材1上に第2板状発泡内装材2が配置される。その内部は空隙となり、図7(B)に示すように、保冷空隙部Qとして構成されることになる。この第2タイプにおける第1板状発泡内装材1は、ロ字形状とした四壁面形状体となるので、これを箱体の4面の収容側面部3,3,…に対応するように内装すると、極めて強固な内装材の役目を発揮するものである。
【0031】
次に箱体Aは、段ボール紙等の厚紙から形成されたものであり、図1(C)に示すように、収容側面部3,蓋部4,底部5から構成されたものである。この箱体Aは、折り畳んで略平坦板状にすることができる。前記収容側面部3は、4個の側面を有する部位であり、前記収容側面部3は、横側面及び縦側面とから形成されている。そして、収容側面部3が正方形の場合には、横側面と縦側面とは同一の寸法であり、前記収容側面部3が長方形の場合には、横側面が縦側面よりもその寸法が大となるか或いは小となる。次に、蓋部4は、図3に示すように、一対の外蓋片4a,4aと、一対の内蓋片4b,4bとから構成される。そして、先に一対の内蓋片4b,4bを閉じてから、一対の外蓋片4a,4aが閉じられる構造である。
【0032】
そして、第1タイプ又は第2タイプにおける第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2が、ダンボール箱等の箱体Aの収容側面部3,蓋部4及び底部5から構成される内部の6面を覆うようにして収納される。そして、前記第1板状発泡内装材1の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 及び第2板状発泡内装材2の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 が、前記箱体Aの収容側面部3,蓋部4,底部5に内面側に配置される。これら第1板状発泡内装材1の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 及び第2板状発泡内装材2の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 により囲まれて構成された内部スペースが前述したように保冷空隙部Qとなる。実際に使用する場合、水分が多い食料品や魚類の場合には、その保冷空隙部Q内にビニル袋等の防水用袋が使用される。該防水用袋としては、焼却してもダイオキシン等の有害ガスが発生しないPEフィルムを使用することがある。
【0033】
さらに、第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2の材質として官製葉書の故紙が使用されることにより、有益なリサイクルが実現される。それゆえに、本発明では使用後には、一般ゴミとして焼却処分が出来るうえ、燃焼温度が低く、ダイオキシン等の有害物質は発生しない、人と地球にやさしいものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(A)は第1タイプのコ字形状に折曲形成した第1板状発泡内装材の斜視図、(B)は第1タイプのコ字形状に折曲形成した第2板状発泡内装材の斜視図、(C)は箱体の斜視図である。
【図2】第1タイプにおける第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材とを組み合わせて略直方体とした斜視図である。
【図3】箱体に第1タイプにおける第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材とが収納された斜視図である。
【図4】(A)は第1タイプにおける平板状にした状態の第1板状発泡内装材の斜視図、(B)は第1タイプにおける平板状にした状態の第2板状発泡内装材の斜視図である。
【図5】(A)は第1タイプにおける第1板状発泡内装材の平板状にした状態の側面図、(B)は薄肉折れ線部箇所の拡大図である。
【図6】(A)は第1タイプの第1板状発泡内装材及び第2板状発泡内装材が収納された箱体の横断平面図、(B)は第1板状発泡内装材及び第2板状発泡内装材が収納され且つ蓋部を開いた状態の箱体の縦断側面図、(C)は箱体への第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材の別の内装構造を示す縦断側面図である。
【図7】(A)は第2タイプにおける平板状にした状態の第1板状発泡内装材の斜視図、(B)第1板状発泡内装材が箱体に収納された状態と第2板状発泡内装材との斜視図である。
【図8】第2タイプにおけるロ字形状に折曲形成した第1板状発泡内装材とその第1板状発泡内装材の上下に配置する第2板状発泡内装材の斜視図である。
【図9】押出用金型及び押出型枠の一部切除した斜視図である。
【図10】(A)は押出用金型の正面図、(B)は孔を多くした押出用金型の正面図である。
【図11】板状発泡材を製造するための工程図である。
【符号の説明】
【0035】
A…箱体
1…第1板状発泡内装材
2…第2板状発泡内装材
1a1 ,1a2 ,1a3 …内装板状部
2a1 ,2a2 ,2a3 …内装板状部
1b…薄肉折れ線部
2b…薄肉折れ線部
【技術分野】
【0001】
本発明は、官製葉書古紙の紙粉末成分又は植物性粉末成分を主成分とした板状発泡体が、ダンボール箱等の箱体の内部六面を覆うようにして内蔵され、保冷効果が優れ且つ、輸送後等に前記板状発泡体は一般ゴミとして焼却可能であり、ひいては自然環境に優れた保冷箱に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、食品類、特に生鮮食料品,アイスクリーム,アイスキャンディー等の氷菓,冷凍食品については、発泡スチロール製の箱状体が、保冷効果が優れていることから保管・輸送等に盛んに使用されている。ところが、使用後においては、その発泡スチロール製の箱状体は、燃焼させるとダイオキシン等が発生することから一般ゴミとして廃棄することはできず、非燃焼ゴミとして分別して廃棄しており、これが多量に出回り、社会問題をも発生している現状である。特に、現在では、アイスクリーム,アイスキャンディー等の氷菓市場等においては、その発泡スチロール製の箱状体の使用量は莫大であり、その処理に関しては国家的にも問題視されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−94054号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、保管・輸送時において保冷効果が優れ、且つ使用後は一般ゴミとして燃焼可能な箱状体の開発が望まれている。すなわち、自然環境にやさしい保冷箱の開発が求められている。本発明の目的は、保冷効果に優れたものにするとともに、使用後は一般ゴミとして燃焼可能とし、ひいては自然環境にやさしい保冷箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、紙粉末成分又は植物製粉末成分を主成分とし,且つ3枚の連続する内装板状部を有する2つの第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材とがそれぞれ略コ字形状に折曲形成され、両内装材にて6面体として構成され、これらが6面を有する箱体に収納されてなる保冷箱としたことにより、上記課題を解決したものである。
【0006】
次に、請求項2の発明を、紙粉末成分又は植物製粉末成分を主成分とし,且つ4枚の連続する内装板状部を有する1つの第1板状発泡内装材と,2つの平板状の第2板状発泡内装材とからなり、前記第1板状発泡内装材は、略ロ字形状に折曲形成され、これら内装材にて6面体として構成され、これらが6面を有する箱体に収納されてなる保冷箱としたことにより、上記課題を解決したものである。
【0007】
次に、請求項3の発明を、前述の構成において前記第1板状発泡内装材又は第2板状発泡内装材には、隣り合う内装板状部同士が折り曲げ自在となる2本の薄肉折れ線部が形成されてなる保冷箱としたことにより、上記課題を解決したものである。また、請求項4の発明を、前述の構成において前記板状発泡材の成分は、10〜40重量%の紙粉末成分又は植物性粉末成分と、補助剤として25〜40重量%の澱粉成分と、35〜50重量%のポリオレフィン系樹脂とからなる保冷箱ととしたことにより、上記課題を解決したものである。また請求項5の発明を、前述の構成において前記ポリオレフィン系樹脂はポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂としてなる保冷箱としたことにより、上記課題を解決したものである。さらに、請求項6の発明を、前述の構成において前記板状発泡材の主成分は、官製葉書が使用されてなる保冷箱としたことにより、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
まず、請求項1の発明によれば、官製葉書古紙若しくは一般古紙の紙粉末成分又は植物性粉末成分を主成分とする第1板状発泡内装材,第2板状発泡内装材が、ダンボール箱等の箱体内部六面を覆うようにして内蔵され、箱状となった前記第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材と箱体とからなる保冷箱としたことにより、優れた保冷性能を有するものにできるし、さらに公害防止型の保冷箱を提供できる利点がある。
【0009】
特に、その第1板状発泡内装材,第2板状発泡内装材が箱体内部六面を覆うようにして内蔵され、箱状となった前記第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材とから構成された直方体状としたので、内部の保冷空隙部に食料品又はアイスクリーム,アイスキャンディー等の氷菓を入れると十分なる保冷効果を発揮でき、従来の発泡スチロールの保冷性能と同様な保管用保冷箱又は輸送用保冷箱として使用できる利点がある。また、官製葉書古紙は普通の再生紙に利用するのみであったのに対して、本発明では格段に有効利用できる。また、保冷効果が優れ且つ、使用後、廃棄する際には、前記板状発泡体を一般ゴミとして焼却可能であり、自然環境に優れたものにでき、前記の不都合又は欠点を解消したものである。
【0010】
請求項2によれば、第1板状発泡内装材は、略ロ字形状に構成するものであるから、第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材によって構成された6面体は、極めて強固な構造にすることができる。その他の効果は請求項1と略同様である。次に、請求項3の発明によれば、前記第1板状発泡内装材又は第2板状発泡内装材の隣り合う内装板状部同士の折り曲げ作業を行ないやすくできるものである。次に、請求項4の発明によれば、10〜40重量%の官製葉書古紙若しくは一般古紙の紙粉末成分又は植物性粉末成分と、補助剤として25〜40重量%の澱粉成分と、35〜50重量%のポリプロピレン樹脂成分とからなる第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材により、優れた保冷性能を有するものにでき、特に公害防止型の保冷箱にできる等の効果を奏する。
【0011】
特に、請求項5の発明における第1板状発泡内装材及び第2板状発泡内装材に含有されるポリプロピレン樹脂成分は、ベンゼン環を有しない鎖状炭化水素高分子であるので、従来多用されている発泡ポリスチレン又は発泡スチロールに比べて、燃焼処理の場合、有害なススが出ず、燃焼した後には、主に炭酸ガスと水蒸気となり、燃焼発熱量も発泡ポリスチレン又は発泡スチロールに比較して少ない。したがって、前記第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材とは、一般家庭ごみと一緒に燃焼廃棄処理することができるため、地球環境保護の点からも良好なる効果を奏する。請求項6の発明によれば、前記紙粉末成分として官製葉書が使用されることにより、古葉書の再生利用性をより一層良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の主要な構成部材は、箱体Aと2つの板状発泡内装材からなり、その一つは第1板状発泡内装材1であり、もう一つは第2板状発泡内装材2である。そして、前記第1板状発泡内装材1と第2板状発泡内装材2とを組み合わせることにより、直方体を構成することができる。まず、第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2は、原材となる板状発泡材Mから形成されるものであり、該板状発泡材Mは、約10〜40重量%の官製葉書古紙若しくは一般古紙の紙粉末成分又は植物性粉末成分と、補助剤として約25〜40重量%の澱粉(コーンスターチ等)成分と、約35〜50重量%のポリプロピレン樹脂成分とから構成されている。
【0013】
本明細書において、前記官製葉書古紙とは、官製葉書製造工程で発生する裁ち屑、汚損紙等の古紙、及び使用家庭で発生する汚損紙等をいうものである。また、植物性粉末成分としては、ふすま,茶葉殻,トウモロコシ粕,オカラ等の食物残滓等の粉末である。また、各成分の約1割程度の増減は本発明に含まれる。
【0014】
前記官製葉書古紙は、まずミキサーカッタ方式の粉砕機で粗粉砕(破砕)され、次にミル(臼)方式の粉砕機で微粉砕したものが、集塵機で粉体として収集される。このような紙粉体としての紙粉末成分が、混練機を使用して澱粉成分と混練され、ポリプロピレン樹脂成分とともに加熱溶融され、水を発泡媒体として、2軸の押出機を用いて押出されて、板状発泡材Mが製造される。前記官製葉書古紙の粉砕は、100〜200メッシュの篩を通過した程度の粉体(約150〜80μm粒径)にすることが好ましい。
【0015】
本発明の発泡体の原料組成の割合は、全体に占めるポリプロピレン樹脂成分の割合が50重量%程度であり、これにより発泡体を得ることができる。官製葉書古紙の有効利用という観点から、ポリプロピレン樹脂成分の比率は50重量%以下として、官製葉書古紙の組成比率を10重量%以上で、できるだけ多くすることが望ましい。なお、前記ポリプロピレン樹脂成分の割合は50重量%以上になっても、前述と略同様な発泡体を得ることはできる。
【0016】
次に、官製葉書古紙を主成分とする板状発泡材Mの製造法について説明する。まず、官製葉書の古紙を、ミキサーカッタ方式の粉砕機で粗粉砕し、約15〜20mm程度の断片に破砕する。そして、ミル方式の粉砕機で微粉砕し、約200メッシュ程度の官製葉書古紙の紙粉末成分とする。次いで、微粉砕した官製葉書古紙の紙粉末成分と適宜な工業用澱粉なる澱粉成分とを混合する。そして、前記紙粉末成分と澱粉成分とに対して、ポリプロピレン樹脂成分(顆粒)及び水を混合して、加熱混練する。このようにした成分を、高温加熱シリンダとしての押出機から押出すことにより、図9,図10(A),(B)等に示すように、該押出機の出口端に設けた押出用金型10及び押出型枠8を通過することで板状発泡材Mが製造できる。
【0017】
前記押出用金型6は、断面長方形をなし、適宜の長さを有した扁平立法体状をなしている。この断面の内部には、複数の孔7,7,…が長さ方向に貫通して構成されている。孔径は、約2mm乃至約3mm程度である。この複数の孔7から紐状として出たもの複数が、断面長方形状の空隙が形成された押出型枠8を通過することで互いに接着されて板状発泡材Mが形成される。この押出方向は図8における矢印のように、右から左側に向かって通過するように構成されている。
【0018】
次に、その板状発泡材Mの具体的な製造工程をフローチャート(図11参照)に基づいて説明する。まず、官製葉書古紙を、ミキサーカッター方式の粉砕機で15〜20mm程度の断片に粗粉砕する(S1参照)。粗粉砕した紙断片をミル方式の粉砕機で微粉砕する(S2参照)。この微粉末を微粉砕機の上部から、2.2kwの吸引ポンプで、吸引開口目盛を調節しながら、空気分吸して、100〜200メッシュの篩を通した程度の紙粉末(約150〜80μm粒径)として収集する。これまでが官製葉書古紙を紙粉末成分にする工程である。この紙粉末成分と工業用変性澱粉なる澱粉成分とを、重量比で4対6の割合で加えて混合する(S3参照)。そして、このような紙粉末成分24重量%と澱粉成分36重量%、ポリプロピレン樹脂成分40重量%に、水を適宜供給して混練機で良く混練しておく(S4参照)。紙粉末成分と澱粉成分とポリプロピレン樹脂成分とを押出機に投入する(S5参照)。
【0019】
上記板状発泡材Mの押出用金型6は、図9に示すように、断面が約105mmで、高さ22mmの中に、孔直径約2.5mmの円形の孔7が千鳥状配列に合計23個が開口され、金型の厚さ約10mmで、前記多数の孔7を出た直後には、円形紐状をなし、この複数が互いに密着するごとくに合わさり、且つ枠状の前記押出型枠8を通過して、若干収縮されて、幅約100mm×高さ約20mmの帯板状発泡材が押し出される(S6参照)。そして、押出用金型6及び押出型枠8を出た直後に、所望の長さ、例えば45cmでカッタによって裁断すると、板状発泡材Mを製造できる(S7参照)。また、一般古紙の紙粉末成分又は植物性粉末成分から板状発泡材Mを製造するには、官製葉書古紙を主成分とする製造法と同様であり、その説明は省略する。
【0020】
また、図10(A)に示すように、前記押出用金型6は、横幅が約80mmで高さ22mmで孔直径約2.5mmの円形の孔7が千鳥状配列に合計17個が開口された実施例も存在し、これで成形すると、幅約70mm×高さ約20mmで適宜の長さ(例えば約30cm)の帯板状発泡材が成形される。さらに、図10(B)に示すように、断面が約105mmで、高さ44mmの中に、孔直径約2.5mmの円形の孔7が千鳥状配列に合計28個が開口された実施例も存在する。これで成形すると、幅約100mm×高さ約40mmで適宜の長さ(例えば約30cm)の帯板状発泡材が成形される。このように、厚さ(高さ)が約20mm又は40mmであっても、その幅は100mmのため、所望の幅、例えば、280mmの場合には、100mmのもの2つと、80mmのもの1つを接着剤等で接着して構成される。また、押出機を大型化することで、厚さ(高さ)が約50mmで、幅200〜300mm程度で適宜の長さ50cm乃至1m程度の板状発泡材Mの製造が可能である。
【0021】
上記板状発泡材Mは、弾力性,復元性に富み、衝撃を緩衝することができる。また、板状発泡材Mは、発泡スチロールなみに軽量であり、保温性においては発泡スチロールを上回る性能を有している。さらに、燃焼してもダイオキシン等の有害ガスを生じることがなく、安全性があり、また燃焼温度が低いので焼却炉等に無理を与えるものではない。さらに変形しやすく緩衝材にも好適である。板状発泡材Mは、空気を多く含むことができ、その上,コルクのように吸湿性の質量変化に富んでおり、抜群の保冷・断熱効果を発揮することができ、箱体A内の湿度、温度を略一定に保つことが出来る。このようなことから、板状発泡材Mから形成された第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2は、アイスクリーム,アイスキャンディー等の氷菓,冷凍食品等に対して極めて優れた保温性を発揮することができる。
【0022】
さらに、上記板状発泡材Mは、空気を多く含むことができ、その上,コルクのように吸湿性の質量変化に富んでいるために、たとえば果物や野菜等から排出する腐敗臭の素になるエチレンガスの発生を防ぐことができる。特に、板状発泡材Mから形成された第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2によって、アイスクリーム,アイスキャンディー等の氷菓,冷凍食品又は果物や野菜等の湿度、温度を長期に亘って低く保つことが出来る。また、板状発泡材Mは弾力性,復元性に富み、商品を優しく保護することができ、発泡スチロールなみに軽量であり、保温性においては発泡スチロールを上回る性能を有している。さらに、燃焼してもダイオキシン等の有害ガスを生じることがなく、安全性があり、また燃焼温度が低いので焼却炉等に無理を与えるものではない。さらに変形しやすく緩衝材にも好適である。
【0023】
この板状発泡材Mから形成される第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2は、2種類のタイプが存在するものであり、その第1タイプとしては、図1乃至図4に示すように、第1板状発泡内装材1は、3面の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 と、2つの薄肉折れ線部1b,1bとから構成されている。また、ここでは前記内装板部1a1 は、内装板部1a2 ,1a3 間に位置するものとした。また、第2板状発泡内装材2も、図1(B)に示すように、前述した第1板状発泡内装材1と同様に3面の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 と、2つの薄肉折れ線部2b,2bとから構成されている。また、第1板状発泡内装材1と同様に、第2板状発泡内装材2も、内装板部2a1 は、内装板部2a2 ,2a3 間に位置するものとした。
【0024】
第1タイプでは、第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2は、図1(A),(B)に示すように、コ字形状に形成されるものであり、前記第1板状発泡内装材1の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 の各板面は、前記箱体Aの蓋部4,底部5及び4面の収容側面部3,3,…の内の一つにそれぞれ配置される。また前記第2板状発泡内装材2の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 の各板面は、前記箱体Aの残りの3面の収容側面部3,3,…に配置される。
【0025】
図6は、箱体Aへの第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2の内装状態の1例を示すものであり、図6(A),(B)は、箱体Aと収納された第1板状発泡内装材1,第2板状発泡内装材2の横断平面図及び縦断側面図である。これは、第1板状発泡内装材1が箱体Aの1つの収容側面部3,蓋部4及び底部5に対応する位置に配置され、さらに第2板状発泡内装材2が箱体Aの3つの収容側面部3,3,…に配置されたものである。そして、図6(C)は、箱体Aへの第1板状発泡内装材1と第2板状発泡内装材2の別の内装構造であり、第2板状発泡内装材2が2つの収容側面部3,3と底部5に対応する位置に配置され、第1板状発泡内装材1が箱体Aの残りの収容側面部3,3と蓋部4の対応する位置に配置されるようにいたものである。
【0026】
したがって、第1板状発泡内装材1の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 及び第2板状発泡内装材2の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 のサイズ,及び肉厚等は箱体Aのサイズに応じて設定されるものである。その第1板状発泡内装材1の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 及び第2板状発泡内装材2の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 の肉厚は、約10mm乃至約30mm程度であり、さらに通常使用されるのは、約15mm乃至約20mmとすることが多い。
【0027】
前記薄肉折れ線部1b,1b及び薄肉折れ線部2b,2bは、図5(A),(B)に示すように、他の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 及び内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 よりも肉厚が薄くなるように括れた形状としたものであり、算盤玉のようなローラを直線状に回転させて、形成されるものである。前記第1板状発泡内装材1は2つの薄肉折れ線部1bを介して隣り合う内装板状部1a1 ,1a2 同士又は内装板状部1a2 ,1a3 同士を適宜に折り曲げ、前記3面の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 が略「コ」字形状となるように形成する〔図4(A)参照〕。
【0028】
同様に、第2板状発泡内装材2もその薄肉折れ線部2b,2bを介して、前記3面の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 が略「コ」字形状となるように形成される〔図4(B)参照〕。このようにして、略「コ」字形状とした第1板状発泡内装材1と第2板状発泡内装材2とを組み合わせることにより、図2に示すように、6面体が構成される。この6面体は、主に直方体又は立方体であるが、たとえば、略平行四辺形又は台形等とした面を有する6面体等も含まれる。その内部は空隙となり、保冷空隙部Qとして構成されることになる。
【0029】
次に、第1板状発泡内装材1と第2板状発泡内装材2の第2タイプとしては、図7,図8に示すように、略「ロ」字形状に折り曲げて四角壁面を構成する第1板状発泡内装材1と、この四角壁面形状とした第1板状発泡内装材1の上下箇所に配置する2枚の平板状の第2板状発泡内装材2,2とから構成されるものである。その第1板状発泡内装材1は、図7(A)に示すように、4枚の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 ,1a4 から構成され、それぞれの隣接する内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 ,1a4 間には、前述したように、薄肉折れ線部1bが形成されている。
【0030】
ここで、内装板部1a1 ,1a2 ,1a3 ,1a4 は、図7(A)に示すように、第1板状発泡内装材1の長手方向の1端側から他端側に向かって配列されている。そして、内装板状部1a1 ,1a2 同士,1a2 ,1a3 同士及び1a3 ,1a4 同士が、それぞれその薄肉折れ線部1bを介して折り曲げられて図8に示すように、四壁面形状を構成し、平板状の第2板状発泡内装材2を箱体Aの底部5に配置し、且つその配置された第2板状発泡内装材2上に前述の四壁面形状とした第1板状発泡内装材1が配置され、さらに、その第1板状発泡内装材1上に第2板状発泡内装材2が配置される。その内部は空隙となり、図7(B)に示すように、保冷空隙部Qとして構成されることになる。この第2タイプにおける第1板状発泡内装材1は、ロ字形状とした四壁面形状体となるので、これを箱体の4面の収容側面部3,3,…に対応するように内装すると、極めて強固な内装材の役目を発揮するものである。
【0031】
次に箱体Aは、段ボール紙等の厚紙から形成されたものであり、図1(C)に示すように、収容側面部3,蓋部4,底部5から構成されたものである。この箱体Aは、折り畳んで略平坦板状にすることができる。前記収容側面部3は、4個の側面を有する部位であり、前記収容側面部3は、横側面及び縦側面とから形成されている。そして、収容側面部3が正方形の場合には、横側面と縦側面とは同一の寸法であり、前記収容側面部3が長方形の場合には、横側面が縦側面よりもその寸法が大となるか或いは小となる。次に、蓋部4は、図3に示すように、一対の外蓋片4a,4aと、一対の内蓋片4b,4bとから構成される。そして、先に一対の内蓋片4b,4bを閉じてから、一対の外蓋片4a,4aが閉じられる構造である。
【0032】
そして、第1タイプ又は第2タイプにおける第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2が、ダンボール箱等の箱体Aの収容側面部3,蓋部4及び底部5から構成される内部の6面を覆うようにして収納される。そして、前記第1板状発泡内装材1の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 及び第2板状発泡内装材2の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 が、前記箱体Aの収容側面部3,蓋部4,底部5に内面側に配置される。これら第1板状発泡内装材1の内装板状部1a1 ,1a2 ,1a3 及び第2板状発泡内装材2の内装板状部2a1 ,2a2 ,2a3 により囲まれて構成された内部スペースが前述したように保冷空隙部Qとなる。実際に使用する場合、水分が多い食料品や魚類の場合には、その保冷空隙部Q内にビニル袋等の防水用袋が使用される。該防水用袋としては、焼却してもダイオキシン等の有害ガスが発生しないPEフィルムを使用することがある。
【0033】
さらに、第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2の材質として官製葉書の故紙が使用されることにより、有益なリサイクルが実現される。それゆえに、本発明では使用後には、一般ゴミとして焼却処分が出来るうえ、燃焼温度が低く、ダイオキシン等の有害物質は発生しない、人と地球にやさしいものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(A)は第1タイプのコ字形状に折曲形成した第1板状発泡内装材の斜視図、(B)は第1タイプのコ字形状に折曲形成した第2板状発泡内装材の斜視図、(C)は箱体の斜視図である。
【図2】第1タイプにおける第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材とを組み合わせて略直方体とした斜視図である。
【図3】箱体に第1タイプにおける第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材とが収納された斜視図である。
【図4】(A)は第1タイプにおける平板状にした状態の第1板状発泡内装材の斜視図、(B)は第1タイプにおける平板状にした状態の第2板状発泡内装材の斜視図である。
【図5】(A)は第1タイプにおける第1板状発泡内装材の平板状にした状態の側面図、(B)は薄肉折れ線部箇所の拡大図である。
【図6】(A)は第1タイプの第1板状発泡内装材及び第2板状発泡内装材が収納された箱体の横断平面図、(B)は第1板状発泡内装材及び第2板状発泡内装材が収納され且つ蓋部を開いた状態の箱体の縦断側面図、(C)は箱体への第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材の別の内装構造を示す縦断側面図である。
【図7】(A)は第2タイプにおける平板状にした状態の第1板状発泡内装材の斜視図、(B)第1板状発泡内装材が箱体に収納された状態と第2板状発泡内装材との斜視図である。
【図8】第2タイプにおけるロ字形状に折曲形成した第1板状発泡内装材とその第1板状発泡内装材の上下に配置する第2板状発泡内装材の斜視図である。
【図9】押出用金型及び押出型枠の一部切除した斜視図である。
【図10】(A)は押出用金型の正面図、(B)は孔を多くした押出用金型の正面図である。
【図11】板状発泡材を製造するための工程図である。
【符号の説明】
【0035】
A…箱体
1…第1板状発泡内装材
2…第2板状発泡内装材
1a1 ,1a2 ,1a3 …内装板状部
2a1 ,2a2 ,2a3 …内装板状部
1b…薄肉折れ線部
2b…薄肉折れ線部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙粉末成分又は植物製粉末成分を主成分とし,且つ3枚の連続する内装板状部を有する2つの第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材とがそれぞれ略コ字形状に折曲形成され、両内装材にて6面体として構成され、これらが6面を有する箱体に収納されてなることを特徴とした保冷箱。
【請求項2】
紙粉末成分又は植物製粉末成分を主成分とし,且つ4枚の連続する内装板状部を有する1つの第1板状発泡内装材と,2つの平板状の第2板状発泡内装材とからなり、前記第1板状発泡内装材は、略ロ字形状に折曲形成され、これら内装材にて6面体として構成され、これらが6面を有する箱体に収納されてなることを特徴とした保冷箱。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記第1板状発泡内装材又は第2板状発泡内装材には、隣り合う内装板状部同士が折り曲げ自在となる2本の薄肉折れ線部が形成されてなることを特徴とした保冷箱。
【請求項4】
請求項1,2又は3において、前記第1板状発泡内装材及び第2板状発泡内装材の成分は、10〜40重量%の紙粉末成分又は植物性粉末成分と、補助剤として25〜40重量%の澱粉成分と、35〜50重量%のポリオレフィン系樹脂とからなることを特徴とした保冷箱。
【請求項5】
請求項4において、前記ポリオレフィン系樹脂はポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂としてなることを特徴とする保冷箱。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5において、前記第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2の主成分は、官製葉書が使用されてなることを特徴とする保冷箱。
【請求項1】
紙粉末成分又は植物製粉末成分を主成分とし,且つ3枚の連続する内装板状部を有する2つの第1板状発泡内装材と第2板状発泡内装材とがそれぞれ略コ字形状に折曲形成され、両内装材にて6面体として構成され、これらが6面を有する箱体に収納されてなることを特徴とした保冷箱。
【請求項2】
紙粉末成分又は植物製粉末成分を主成分とし,且つ4枚の連続する内装板状部を有する1つの第1板状発泡内装材と,2つの平板状の第2板状発泡内装材とからなり、前記第1板状発泡内装材は、略ロ字形状に折曲形成され、これら内装材にて6面体として構成され、これらが6面を有する箱体に収納されてなることを特徴とした保冷箱。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記第1板状発泡内装材又は第2板状発泡内装材には、隣り合う内装板状部同士が折り曲げ自在となる2本の薄肉折れ線部が形成されてなることを特徴とした保冷箱。
【請求項4】
請求項1,2又は3において、前記第1板状発泡内装材及び第2板状発泡内装材の成分は、10〜40重量%の紙粉末成分又は植物性粉末成分と、補助剤として25〜40重量%の澱粉成分と、35〜50重量%のポリオレフィン系樹脂とからなることを特徴とした保冷箱。
【請求項5】
請求項4において、前記ポリオレフィン系樹脂はポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂としてなることを特徴とする保冷箱。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5において、前記第1板状発泡内装材1及び第2板状発泡内装材2の主成分は、官製葉書が使用されてなることを特徴とする保冷箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−62691(P2006−62691A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245957(P2004−245957)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(500271351)トキワ印刷株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(500271351)トキワ印刷株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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