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保守点検装置
説明

保守点検装置

本発明は、広い範囲に及ぶ鋼製構造物表面(200)に対する可動式支持機構を備えた保守点検装置(100)であって、支持機構は少なくとも1つの垂直支持体(10)を有し、垂直支持体には垂直支持体(10)に沿って垂直方向に移動可能な、少なくとも1つの運転室(21、24)を有する水平支持体(20)が配置され、少なくとも1つの水平支持体(20)には少なくとも2本のアーム機構(22、25)が設けられ、そのうち少なくとも一方のアーム機構(22、25)にはツール装着部が設けられている保守点検装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広範囲の鋼製構造物表面に対する可動式支持機構を備えた保守点検装置であって、前記支持機構は少なくとも1つの垂直支持体を有し、前記垂直支持体には前記垂直支持体に沿って垂直方向に移動可能な、少なくとも1つの運転室を有する水平支持体が設けられている保守点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの技術分野において、特に鋼製の広範囲の構造物の表面を点検ならびに表面処理する必要がある。たとえば、船舶の胴体は所定の期間をおいて定期的に腐食防止されなければならない。そのために、従来の破損した塗装は特別な方法で剥がされ、清浄化された船腹の鋼製表面にその後新たな塗装を行えるようになされなければならない。この方法は「リコーティング(Recoating)」と称される。ただし、人による手作業でこの方法を実施することは非常に労働集約的であると共に、作業に従事する者にとって健康上のリスクをもたらすことが多い。さらに、対象面積が広範囲であることから、船腹のあらゆる箇所に達することができるように、手間とコストを要する足場の構築が不可欠である。
【0003】
それゆえ、たとえば欧州出願公開第0640440号明細書には、特に船舶の、実質的に垂直な船腹面の表面処理を行うための装置が開示されている。これは、船舶の船腹面に対して相対可動するキャビンの配置された2本の支柱部材を備えた走行式キャリッジである。この装置は、特に船腹船首の表面処理にはむしろ不適な大型の自在性に欠ける装置である。
【0004】
米国特許第4,285,469号明細書には、船腹を清浄化するための水噴射装置を有する、埠頭岩壁に固定設置された垂直表面清浄化装置が開示されている。ただし、この種の装置は可動式装置としての使用にはまったく適さない。
【0005】
米国特許第3,548,541号明細書には、垂直支持体を有し、この垂直支持体にさらに運転室を備えた水平支持体が配置された冒頭に述べたタイプの装置が開示されている。この装置は、水平支持体の仕様によって一般に僅かな柔軟性を有するにすぎず、「リコーティング」中の1つの作業工程の実施、つまりサンドブラスチングの実施に適しているにすぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州出願公開第0640440号明細書
【特許文献2】米国特許第4,285,469号明細書
【特許文献3】米国特許第3,548,541号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、上述した従来の技術を改善し、その使用にあたって高度な自在性を有する冒頭に述べたタイプの保守点検装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記課題は、少なくとも1つの水平支持体に少なくとも2本のアーム機構が設けられ、そのうち少なくとも一方のアーム機構にはツール装着部が配置されることによって解決される。これは実質的に可動式のタワークレーンに類似した支持機構であって、少なくとも2本のアーム機構が設けられていることにより、鋼製構造物表面に対して同時に2つの異なる作業工程を実施することができる。したがって、たとえば、一方のアーム機構には水噴射によって表面を清浄化するためのツールが装備され、他方、第2のアーム機構にはサンドブラスチング用のブラスチングヘッドが備えられている。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、2本のアーム機構のうちの少なくとも一方は、自動操作式ツールの装着が可能な5軸インクリメント方式制御屈曲アーム機構である。この5軸システムによって、自動操作式ツールをほとんど接近不能な箇所にも接近させることができ、他方で、インクリメント方式制御によって、処理される鋼製構造物表面の一定の表面範囲全体にわたってツールを自動的に案内することができる。
【0010】
自動操作式ツールとして、一般的には、水または種々の粒状物のための噴射ヘッド、塗装ヘッドおよび点検機器のうちの少なくとも1つを採用することができる。これらのツールはとりわけ上述の船腹「リコーティング」に際して使用される。本発明の実施形態の1つにおいて、2本のアーム機構は互いに独立に制御可能である。また、これに代えて、2本のアーム機構は互いに相互依存して制御するようにしてもよい。このことから、例えば、2本のアーム機構の相互依存式制御は、第1のアーム機構が表面の塗装を実施し、他方、第2のアーム機構が点検機器を備え、それにより、直前に被着された塗装被膜層の品質をチェックするという好適な使用が可能となる。互いに独立して制御されるアーム機構では、特に、2本のアーム機構が同じツールを装備し、より速やかに作業を完了させる場合に使用するとよい。
【0011】
本発明の特に好ましい実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの水平支持体の第1の端部には第1のアーム機構を備えた第1の運転室ないしは作業室が設けられ、少なくとも1つの水平支持体の第2の端部には第2の運転室ないしは作業室を備えた第2のアーム機構が設けられる。この実施形態は、好ましくは水平支持体に直接に配置されている第1の運転室が第1のアーム機構を介して鋼製構造物表面の処理を行い、他方で、第2の運転室が第2のアーム機構を介して鋼製構造物表面に直接に接近させられ、たとえば該表面に対する人力作業を可能とする作業に特に適している。一人または二人乗りの運転室は、塗膜層引き剥がし時の廃棄物の処理を保証するため、または遊離廃棄物や再塗装時の噴霧塗料による環境問題を最小化するための運転室領域の対外密閉を保証するための一切の装備を整えている。とりわけ、運転室空間の排気装置ならびにマニュアル操作によって仕上げ作業や塗装作業を実施する搭乗作業員のための作業空間や運転空間への新鮮な外気の供給設備も備えられている。
【0012】
本発明による保守点検装置の特別な自在性は、一つには、水平支持体が少なくとも部分的に水平面内を旋回可能であるために、特に運転室ないし当該ツールもまた船腹により容易に接近可能であることによっても達成される。加えて、本発明の特に好ましい実施形態において、水平支持体または垂直支持体あるいはその両方がその長さを伸縮式に変化させられることによってもこの保守点検装置の自在性が向上する。これにより、本発明による保守点検装置は、その作業空間を適宜適合させることができるため、種々の作業領域に使用することができる。
【0013】
好ましくは、支持機構は鋼製構造物表面と実質的に平行にインクリメント方式のプログラム制御で動作するように構成される。この場合、昇降機構ないしそれぞれのアーム機構は鋼製構造物表面に沿って連続的に案内され、その際特に、水平および垂直な蛇行運動が自動的に実行される。これにより処理面積の実行が迅速かつ確実になることが保証される。本発明による保守点検装置の特に自在な作業性を確保するため、支持機構は軌道上を走行する構成であることが好ましい。あるいは、支持機構が原動機付き車両上に搭載されるような構成でもよい。これは特に、短時間の表面処理用に専用の軌道を必要とせずに、保守点検装置を原動機付き車両、特にトラックのような自走台車上に搭載してそれぞれの箇所に容易に接近させることができるという利点をもつ。
【0014】
上述の保守点検装置はとりわけ船腹または鋼製タンク外壁あるいはその両方に対する、表面処理または保守点検あるいはその両方に適している。
以下、当該図面を付した非制限的な実施例を参照して、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1a】本発明による保守点検装置の第一の実施形態の斜視図である。
【図1b】図1aに示した保守点検装置の詳細図である。
【図2a】本発明による保守点検装置の第二の実施形態の第1の側面図である。
【図2b】図2aに示した保守点検装置を上方から眺めた図である。
【図2c】図2aに示した保守点検装置の第2の側面図である。
【図3】本発明による保守点検装置の第三の実施形態の側面図である。
【図4】船腹脇にて使用中の本発明による多数の保守点検装置を上方から眺めた図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1aは本発明による保守点検装置100の好ましい実施形態を表したものであり、この場合、プラットホーム11上に配置された垂直支持体10に沿って水平支持体20が垂直方向に移動する。
【0017】
プラットホーム11は軌道30に沿って可動し、かつ、垂直支持体10に沿って給電線ないしは供給管(不図示)を介して水平支持体20と連結された給電装置12、給水装置13、圧縮空気供給装置14または砂や塗料等の材料供給装置15あるいはそれらの組み合わせを有している。さらに、プラットホーム11の下側には、プラットホーム11と、垂直支持体10とを、処理される鋼製表面に沿って所要の方法で整合させることのできる高さ調整機構16が設けられていると共に、他方で、軌道30に沿ったスライドにより、処理される鋼製表面と実質的に平行な移動が可能である。
【0018】
ここに図示した本発明の実施形態において、水平支持体20の一端には、鋼製表面を処理するための自動操作式ツール23たとえばサンドブラストヘッドが先端に装着された第1のアーム機構22を有する第1の運転室ないしは作業室21が配置されている。この第1のアーム機構22は好ましくは5軸インクリメント方式制御屈曲アーム機構であり、これによって、ツール23は処理される鋼製表面に接近させられ、該表面に沿って案内され、これにより、該表面からたとえばワニス、塗料などを除去し清浄化する。
【0019】
水平支持体20の反対側の端部には、第2のアーム機構25を経てポジション変更が可能な第2の運転室24が配置されている。この第2の運転室24は特に、手作業による表面処理用に設計された作業室であり、図1bから理解できるように、処理される表面にピストン27を介して接近させられ該表面に適合されるシール装置付き繰り出しエレメント26を有している。これにより、特に、処理される表面に塗装を行うために設けられた、換気システム28を介して換気される気密密閉された作業空間がつくり出される。処理される領域がこうして気密密閉されることにより、この作業空間は実質的に塵や汚れがないように保たれ、他方で、噴霧塗料が外部に漏出するという望ましくない現象も防止される。
【0020】
図1aおよび図1bに示した本発明による保守点検装置100の実施形態はさらに水平支持体20の下側面に、第1の運転室21ないし該運転室のアーム機構22ならびに第2の運転室24のそれぞれの動きに同期しておもり29、29’が調節される釣合いおもりシステムを有している。
ここに示した保守点検装置100によれば、たとえば第1のステップで第1の運転室ないしは作業室21に搭乗した第1の作業員がサンドブラスチングによる表面の清浄化を行い、他方、第2の運転室ないしは作業室24に搭乗した第2の作業員が爾後の表面塗装を実施するという方式による同時表面処理が可能である。
【0021】
本発明による保守点検装置100のさらに別の実施形態は図2a〜2cから看取できる。ここに示した実施形態は、特に、先の実施形態とは異なり伸縮式に繰り出し可能な水平支持体20の第2のアーム機構25に第2の運転室24が配置されているという点で、先の実施形態とは相違している。特に図2bから看取されるように、第1の運転室21の第1のアーム機構22はたとえばサンドブラスチングヘッドを装備しており、その際、第1のアーム機構22は120°までの角度αだけ旋回可能であるために、プラットホーム11を介して垂直支持体10をスライドさせる必要なしに、広範囲の表面を処理することができる。同時に、第1のアーム機構22も同じく伸縮式に延長し得るように形成されている。第2の運転室24は、さらに、処理される表面に対して45°までの角度βだけ旋回可能な伸縮アーム25上に配置されている。
【0022】
図2cは船腹200の表面処理に際する本発明による保守点検装置100の使用状況を示しており、その際、この保守点検装置は省スペース式の柔軟なタイプであるため、たとえば船腹200とドック壁面300の間に配置することができる。
【0023】
図3に示した保守点検装置100は、それぞれ手作業による表面処理のために設けられた2個の運転室21、24を有している。これらの運転室21、24はそれぞれ伸縮アーム22、25上に配置されており、この場合、これらのアーム機構22、25のそれぞれは互いに独立に延長および旋回可能である。
【0024】
図4には、本発明による5台の保守点検装置100によって同時に表面処理される船腹200の一部を上方から眺めた様子が示されている。これらの保守点検装置100の各々はそれぞれの領域において、一方で、もともと船腹200に塗装されていた塗料を取り去り、次のステップにおいて、船腹に新たな塗料を塗装する。同じく、たとえば、高圧水噴射によって船腹表面200の清浄化を行う清浄化装置が第1のアーム機構22に配置され、他方、第2の運転室24では、清浄化された表面の欠陥箇所の有無がチェックされるようになされていてもよい。
【0025】
本発明は上述の実施形態に制限されるものでないことは言うまでもない。特に、第1の運転室のアーム機構にはきわめて多様なツールが設けられていてよい。同じく、双方の運転室がそれぞれのツールの装着が可能な専用のアーム機構を有するようになされていてもよい。これらのツールには、洗浄または清浄化、表面処理たとえば表面の粗化または塗装あるいはその両方を実施するために設けられた一切の機器ならびに表面点検を行うための装置および器具が含まれる。本発明による保守点検装置は特に、実質的に垂直な、とりわけ鋼製表面の自動処理にも適しており、その場合、たとえば全自動「リコーティング」工程の監視に人員1名のみが要するだけとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動式支持機構を備えた、広い範囲に及ぶ鋼製構造物表面(200)に対する保守点検装置(100)であって、
前記支持機構は少なくとも1つの垂直支持体(10)を有し、前記垂直支持体には前記垂直支持体(10)に沿って垂直方向に移動可能な、少なくとも1つの運転室(21、24)を有する水平支持体(20)が配置され、
前記少なくとも1つの水平支持体(20)には少なくとも2本のアーム機構(22、25)が設けられ、そのうち少なくとも一方のアーム機構(22、25)にはツール装着部が設けられていることを特徴とする保守点検装置。
【請求項2】
前記2本のアーム機構(22、25)の少なくとも一方は自動操作式ツール(23)の装着が可能な5軸インクリメント方式制御屈曲アーム機構であることを特徴とする請求項1に記載の保守点検装置。
【請求項3】
前記自動操作式ツール(23)は、水または種々の粒状物のための噴射ヘッド、塗装ヘッドおよび点検機器のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の保守点検装置。
【請求項4】
前記2本のアーム機構(22、25)は互いに独立に制御可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の保守点検装置。
【請求項5】
前記2本のアーム機構(22、25)は互いに相互依存して制御可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の保守点検装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの水平支持体(20)の第1の端部には第1のアーム機構(22)を備えた第1の運転室が設けられ、前記水平支持体(20)の第2の端部には第2の運転室(24)を備えた第2のアーム機構(25)が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の保守点検装置。
【請求項7】
前記第2の運転室(24)は前記第2のアーム機構(25)を介して直接に鋼製構造物表面(200)に近接可能であることを特徴とする請求項6に記載の保守点検装置。
【請求項8】
前記水平支持体(20)は少なくとも部分的に水平面内を旋回可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の保守点検装置。
【請求項9】
前記水平支持体(20)または前記垂直支持体(10)あるいはその両方はそれぞれの長さが伸縮式に延長可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の保守点検装置。
【請求項10】
前記支持機構は鋼製構造物表面(200)と平行にインクリメント方式のプログラマブル可動することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の保守点検装置。
【請求項11】
前記支持機構は軌道(30)上を移動可能であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の保守点検装置。
【請求項12】
前記支持機構は原動機付き車両上に設置できることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の保守点検装置。
【請求項13】
船腹(200)または鋼製タンク外壁あるいはその両方に対して、表面処理または保守点検あるいはその両方を行うように構成されている請求項1〜12のいずれか一項に記載の保守点検装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−509219(P2012−509219A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536863(P2011−536863)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065444
【国際公開番号】WO2010/057942
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(511123898)パルフィンガー・システムズ・ゲー・エム・ベー・ハー (1)
【Fターム(参考)】