説明

保持装置およびこれを有する搬送装置

【課題】 簡単な機構を有し、内ねじ部21を有する被保持体を短時間に強固に保持する、被保持体の保持装置およびこれを有する搬送装置を提供することである。
【解決手段】 筒状体11の突出部111は、外周部の少なくとも一部に外ねじが形成されている外ねじ領域111aを有し、該突出部111は、先細状態と開張状態とに弾性変形可能である。先細状態において突出部111は、摺動方向一方Z1に向かうにしたがって先細となる形状であり、開張状態において突出部111は先細状態のときよりも摺動軸線から離れた形状となる。突出部111の内部空間に摺動部131が進入することによって、先細状態の突出部111は開張状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内ねじ部を有する被保持体を保持するための保持装置およびこれを有する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、被保持体に形成される内ねじ部を利用して、被保持体を保持する保持装置がある。図17は、第1の従来技術の保持装置1を示す側面図である。第1の従来技術の保持装置1は、外ねじ部材2と、外ねじ部材2を回転させる回転手段3とを有する。回転手段3によって外ねじ部材2を回転させ、被保持体4の内ねじ部9に対して外ねじ部材2を螺合させることによって保持装置1が被保持体4を保持する。
【0003】
図18は、第2の従来技術の保持装置5を示す側面図である。第2の従来技術の保持装置5は、バルーン7と、供給源6から供給される圧縮空気をバルーンに供給する供給手段8を有する。収縮状態のバルーン7を被保持体4の内ねじ部に挿入したあと、供給手段8によって圧縮空気をバルーン7の内部空間に供給して、バルーン7を膨らませることによって、バルーン7の外表面と内ねじ部9の内面との間に摩擦力を生じさせ、該摩擦力を利用して被保持体4を保持する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1の従来技術の保持装置1では、回転させるべき外ねじ部材2の数に応じた複数の回転手段3が必要となる。また内ねじ部9に対する外ねじ部材2の螺進にあわせて、回転手段3をねじ軸線方向に移動させる直進手段が必要となる。さらに外ねじ部材2と内ねじ部9とを充分な面積でもって螺合させようとすると、外ねじ部材2を充分に螺進回転させなければならず、被保持体を保持するまでに必要な準備時間が長くなるという問題がある。
【0005】
第2の従来技術の保持装置5では、内ねじ部9のねじ溝に沿った凹凸形状に、バルーン7の外周部分を変形させる必要がある。空気圧によってバルーン7を内ねじ部9に押付けて変形させるので、被保持体を強固に保持することが困難であるという問題がある。また小さな内径を有する内ねじ部9では、内ねじ部9のねじ溝の凹凸が小さく、強固に保持することがさらに困難となる。
【0006】
したがって本発明の目的は、簡単な機構を有し、内ねじ部を有する被保持体を短時間に強固に保持することができる保持装置およびこれを有する搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内ねじ部が形成される被保持体を保持するための保持装置であって、
基体と、
基体に対して予め定められる摺動軸線に沿う摺動方向に移動可能に、基体に連結される可動体と、
基体に設けられ、可動体を摺動方向に変位駆動する駆動手段と、
可動体が摺動方向に進入可能な内部空間が形成されて、基体に連結される筒状体とを含み、
筒状体は、
摺動軸線に関して環状に形成される環状部と、
環状部の摺動方向一方の端部から摺動方向一方に突出して、外周部分の少なくとも一部に外ねじが形成される外ねじ領域を有し、かつ摺動軸線まわりに周方向に間隔をあけて並ぶ複数の突出部であって、内周部分および外周部分が摺動方向一方に進むにつれて摺動軸線に近接して延びる先細状態から、先細状態に比べて各突出部が摺動軸線に対して垂直な方向に離れる開張状態に弾性変形可能な複数の突出部とを有することを特徴とする保持装置である。
【0008】
また本発明は、先細状態では、突出部の最大外径が環状部の外径未満に設定されることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、開張状態では、各突出部の外周部分が摺動軸線に平行に延びて、各突出部のそれぞれの外ねじの軸線が1つの仮想直線に一致することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、筒状体を摺動軸線まわりに角変位駆動する角変位手段をさらに含み、
前記環状部の外周部分の少なくとも一部には、開張状態において、突出部の外周部分に形成される外ねじを前記摺動方向他方に延長した仮想的な外ねじに沿う外ねじが形成されことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記角変位手段は、
筒状体を予め定める範囲で摺動方向および摺動軸線まわりに変位可能に保持して、基体に連結される筒状体保持部と、
筒状体が筒状体保持部に対して摺動方向に変位することに伴って、筒状体保持部に対して筒状体を摺動軸線まわりに角変位させるように案内する案内部とを有することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記角変位手段は、
筒状体保持部を基体に対して、摺動方向に変位可能に弾発的に連結する連結部と、
筒状体保持部が基体に対して摺動軸線まわりに角変位することを阻止する角変位阻止部とをさらに有することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、可動体は、筒状体の内部空間に進入し筒状体の内周面に対して摺動する摺動部と、摺動部に接続され、駆動手段によって摺動方向に変位駆動されて、駆動手段から与えられる動力を摺動部に伝達する伝達部とを有し、
前記連結部は、可動体の伝達部と、筒状体保持部とを弾発的に連結することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、内ねじが形成される被保持体を保持するための保持装置であって、
基体と、
基体に対して予め定められる摺動軸線に沿う摺動方向に移動可能に、基体に連結される可動体と、
基体に設けられ、可動体を摺動方向に変位駆動する駆動手段と、
可動体が摺動方向に進入可能な内部空間が形成されて、基体に連結される筒状体とを含み、
筒状体は、
摺動軸線に関して環状に形成される環状部と、
環状部の摺動方向一方の端部から摺動方向一方に突出して、外周部分の少なくとも一部が可撓性および弾発性を有する可撓性領域を有し、かつ摺動軸線まわりに周方向に間隔をあけて並ぶ複数の突出部であって、内周部分および外周部分が摺動方向一方に進むにつれて摺動軸線に近接して延びる先細状態から、先細状態に比べて各突出部が摺動軸線に対して垂直な方向に離れる開張状態に弾性変形可能な複数の突出部とを有することを特徴とする被搬送体の保持装置である。
【0015】
また本発明は、前記保持装置と、
該保持装置の基体を移動させる移動手段とを有する搬送装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、筒状体に可動体を挿入する前の状態では、突出部は先細状態である。駆動手段によって可動体を筒状体の内部空間に挿入し、環状部の内部空間を通過した可動体をさらに突出部の内部空間に挿入すると、可動体は突出部の内周面部を摺動して、弾性復元力に抗して各突出部を外方に押出して変形させる。これによって各突出部は、先細状態に比べて各突出部が摺動軸線に対して垂直な方向に離れた開張状態となる。また駆動手段によって可動体を突出部の内部空間から脱出させると、可動体と各突出部の内周部分との当接状態が解消されて、弾性復元力によって突出部は先細状態に戻る。
【0017】
このようにして可動体を変位駆動することで、筒状体のそれぞれの突出部は、先細状態と、開張状態とに変形可能である。先細状態に対する開張状態の変形は、弾性変形範囲内の変形であるので、各突出部は、先細状態と開張状態とで変形を繰返すことができる。先細状態において筒状体は、摺動方向一方に向かうにつれて先細となる形状である。また開張状態において筒状体は、先細状態に比べて摺動軸線に対して垂直な方向に広がった形状となる。
【0018】
先細状態に維持した筒状体を移動させることで、被保持体の内ねじ部と、各突出部との接触を防いで、被保持体の内ねじ部に各突出部を挿入することができる。この状態から、可動体によって各突出部を弾性変形させて突出部を開張状態とすることで、突出部の外ねじ領域を内ねじ部に対して螺合させることができる。これによって基体に対して被保持体を保持することができる。また保持手順と逆の手順を行うことで、突出部の外ねじ領域と内ねじ部との螺合を解除することができ、基体に対する被保持体の保持を解除することができる。
【0019】
このように本発明によれば、突出部を内ねじ部に螺合させるために、突出部を内ねじの軸線まわりに螺進回転させる必要がなく、筒状体および可動体を摺動方向一方にそれぞれ直進移動するだけでよい。よって第1の従来技術のように外ねじ部材を螺進回転させる場合に比べて、各突出部の螺合および螺合解除に必要な時間を短縮することができる。したがって短い時間に被保持体の保持および保持の解除を行うことができる。また内ねじ部に螺合させた状態で突出部を内ねじの軸線まわりに回転させる必要がないので、簡単な機構によって突出部を内ねじ部に螺合させることが可能となる。また突出部の外ねじ領域の螺合によって被保持体を保持するので、第2の従来技術に比べて被保持体を強固に保持することができる。
【0020】
また本発明によれば、先細状態において、突出部の最大外径は環状部の外径未満に設定される。これによって摺動方向一方に筒状体を変位させて、内ねじ部に先細状態の筒状体を挿入するときに、突出部を内ねじ部に接触させることなく、環状部が内ねじ部に接触するまで、突出部を内ねじ部に挿入することが可能となる。したがって環状部を内ねじ部に接触させて位置決めした状態で、各突出部を先細状態から開張状態に移行させることができ、各突出部の内ねじ部に対する螺合を安定して行うことができる。
【0021】
また本発明によれば、開張状態における突出部の外周部分は、摺動軸線に平行である。これによって開張状態において複数の突出部の外周面部に形成される外ねじ領域は、全体として1つの平行ねじとして機能する。よって被保持体に形成されている内ねじが平行ねじである場合に、被保持体を、被保持体の内ねじ部に突出部の外ねじ領域全体を螺合させて保持することができる。したがって強固に被保持体を保持することができる。
【0022】
また開張状態における各突出部の外ねじ領域が、全体として1つの平行ねじとして機能することで、被保持体の内ねじに対して各突出部全てが螺合することが可能となる。よって被保持体を保持したときに、被保持体の内ねじの軸線が突出部の外ねじの軸線からずれることを防止することができ、複数の突出部が内ねじ部に対して均一な圧力をもって接触することが可能となる。したがって被保持体をさらに強固に保持することができる。
【0023】
また本発明によれば、筒状体の環状部の外周部分の少なくとも一部には、外ねじが形成されている。先細状態に維持して、突出部を接触させることなく被保持体の内ねじ部に挿入して、環状部と内ねじ部とを接触させた状態で、角変位手段によって筒状体を角変位させる。これによって突出部が内ねじ部に接触することなく、内ねじ部に環状部の外周部分を嵌合させることができる。また環状部の外周部分の外ねじは、開張状態にある突出部の外周部分に形成される外ねじを摺動方向他方に延長した仮想的な外ねじに沿う。したがって環状部が被保持体の内ねじ部に嵌合した状態で、突出部を開張状態とすると、突出部に形成される外ねじ領域と、被保持体の内ねじ部の内ねじとが確実に螺合し、それらが、ずれた状態で接触することが防がれる。
【0024】
また本発明によれば、筒状体保持部は、筒状体を、予め定める範囲で摺動方向および摺動軸線まわりに変位可能に保持する。また案内部は、筒状体が筒状体保持部に対して摺動方向に変位することに伴って、筒状体を筒状体保持部に対して摺動軸線まわりに角変位させる。筒状体が被保持体に接触して被保持体から摺動方向他方に向かう力を付与されたときに、筒状体が筒状体保持部に対して摺動方向他方に変位する。この摺動方向の変位によって筒状体は、案内部によって案内されて、筒状保持部に対して摺動軸線まわりに角変位される。したがって筒状体が被保持体の内ねじ部に押付けられることで、筒状体が摺動軸線まわりに角変位して、環状部の外ねじと内ねじ部とが嵌合する。このように本発明では、筒状体を内ねじ部に押付けるだけで筒状体を角変位させることができ、筒状体を摺動軸線まわりに角変位するための駆動源を別途必要とすることがなく、構造を簡単化することができる。
【0025】
また本発明によれば、基体に対して筒状体保持部は弾発的に連結される。これによって筒状体保持部は、筒状体から筒状体保持部に与えられる衝撃を、連結部が吸収することができる。したがって筒状体および筒状体保持部の破損を防止することができる。また筒状体が被保持体に接触して、筒状体が被保持体から衝撃を受けた場合においても、連結部によって筒状体保持部が弾発的に変位することによって、被保持体から筒状体保持部に伝えられる衝撃を軽減することができる。したがって被保持体、筒状体および筒状体保持部のいずれについても破損を防止することができる。
【0026】
また角変位手段は角変位阻止部を有しており、基体に対して筒状体保持部が摺動軸線まわりに角変位することを阻止している。これによって連結部が筒状体保持部を基体に対して弾発的に支持する場合であっても、筒状体を角変位させるときに、筒状体から受ける反作用によって筒状体保持部が基体に対して角変位することを防ぐことができる。したがって環状部の外ねじの被保持体の内ねじ部に対する嵌合を確実にすることができる。よって、開張状態となったときに突出部の外ねじ領域と内ねじ部との螺合を確実にすることができる。
【0027】
また本発明によれば、可動体は摺動部を有しており、摺動部は筒状体の内部空間に進入して筒状体の内周面に対して摺動可能である。摺動部が突出部に進入することによって、摺動部は突出部を内周面から押し広げ、先細状態から開張状態に弾性変形させることができる。また伝達部は連結部によって筒状体保持部に弾発的に連結されているので、伝達部は駆動手段からの動力を筒状体保持部に対して弾発的に伝達する。伝達部を介して伝達された動力によって筒状体保持部が摺動方向一方に変位することで、筒状体保持部に保持される筒状体が内ねじ部に接触して、かつ筒状体の環状部が内ねじ部に嵌合する。
【0028】
したがって駆動手段による伝達部の摺動方向の変位駆動によって、筒状体の環状部と内ねじ部との嵌合のための筒状体の摺動方向駆動および角変位駆動と、摺動部による突出部の弾性変形駆動とを1つの駆動機構によって実現することができ、簡単な機構によって被保持体の保持を行うことができる。
【0029】
本発明によれば、筒状体に可動体を挿入する前の状態では、突出部は先細状態である。駆動手段によって可動体を突出部の内部空間に挿入し、環状部の内部空間を通過した可動体をさらに突出部の内部空間に挿入すると、可動体は突出部の内周面部を摺動して、弾性復元力に抗して各突出部を外方に押出して変形させる。これによって各突出部は、先細状態に比べて各突出部が摺動軸線に対して垂直な方向に離れて開張状態となる。また駆動手段によって可動体を突出部の内部空間から脱出させると、可動体と各突出部の内周部分との当接状態が解消されて、弾性復元力によって突出部は先細状態に戻る。
【0030】
このようにして可動体を変位駆動することで、筒状体のそれぞれの突出部は、先細状態と開張状態とに変形可能である。先細状態に対する開張状態の変形は、弾性変形範囲内の変形であるので、各突出部は、先細状態と開張状態とで変形を繰返すことができる。先細状態において筒状体は、摺動方向一方に向かうにつれて先細となる形状である。また開張状態において筒状体は、先細状態に比べて摺動軸線に対して垂直な方向に広がった形状となる。
【0031】
先細状態に維持した筒状体を移動させることで、被保持体の内ねじ部と、各突出部との接触を防いで、被保持体の内ねじ部に各突出部を挿入することができる。この状態から、可動体によって各突出部を弾性変形させて突出部を開張状態とすることで、突出部の可撓性領域を内ねじ部に対して押圧変形させて、可撓性領域を内ねじ部に対して係合させることがきる。突出部を内ねじ部に係合させることによって被保持体を保持することができる。また保持手順と逆の手順を行うことで、突出部と内ねじ部との係合を解除することができ、被保持体の保持を解除することができる。
【0032】
このように本発明によれば、突出部を被保持体の内ねじ部に係合させるために、突出部を内ねじの軸線まわりに螺進回転させる必要がなく、筒状体および可動体を摺動方向一方にそれぞれ直進移動するだけでよい。よって第1の従来技術のように外ねじ部材を回転させる場合に比べて、各突出部の係合および係合解除に必要な時間を短縮することができる。したがって短い時間に被保持体の保持および保持の解除を行うことができる。また内ねじ部に係合させた状態で筒状体を内ねじの軸線まわりに回転させる必要がないので、簡単な機構によって筒状体を被保持体の内ねじ部に係合させることが可能となる。また突出部は、可動体の進入によって開張状態となったときに、可撓性領域が内ねじ部に接触して、内ねじ部のねじの形状に沿って変形される。これによって内ねじ部と突出部とが係合して摩擦力が生じ、被保持体を保持することができる。開張状態となった突出部の内部には可動体が位置するので、可撓性領域の過剰な変形が防がれる。したがって第2の従来技術に比べて、被保持体を強固に保持することができる。
【0033】
また本発明によれば、搬送装置は前記保持装置と、該保持装置の基体を移動させる移動手段とを有している。これによって保持装置の基体を移動させて予め定める保持位置に移動させて、保持装置によって被保持体を保持させた状態で、移動装置によって保持装置の基体を移動させることによって、被保持体を移動させることができる。また移動装置によって保持装置の基体を、予め定める保持解除位置に移動させた後に、保持装置による被保持体の保持を解除することによって、被保持体の搬送を完了することができる。搬送装置が、上述した保持装置を有することで、簡単な機構を有し、内ねじ部を有する被保持体を短時間に強固に保持して、被保持体を搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0035】
図1は、本発明の第1実施形態に係る保持装置10の一部を切断して示す側面図である。本発明の第1実施形態に係る保持装置10は、保持すべき対象物である被保持体20を保持する装置である。本実施の形態では、保持装置10は、被保持体20を保持した状態で、移動装置によって搬送されることによって、保持した被保持体20を搬送させることができる。また本実施の形態では、被保持体20とは、内ねじ部21が形成されるものをいう。内ねじ部21は、内ねじが形成される凹部である。内ねじは、雌ねじと称される場合もある。
【0036】
保持装置10は、内ねじ部21に対して螺合状態および螺合解除状態とに切換え可能な筒状体11と、筒状体11の状態を切換えるための可動体13とを含んで構成される。可動体13によって筒状体11に変形力を与えることで、筒状体11は、内ねじ部21に対して螺合可能な開張形状に弾性変形する。また可動体13による変形力の付与を解除することで、筒状体11は、内ねじ部21に対して螺合解除可能な先細形状に復元変形する。筒状体11が内ねじ部21に螺合することで、保持装置10は、内ねじ部21を保持することができる。
【0037】
保持装置10は、基体16と、可動体13と、駆動手段15と、筒状体11と、角変位手段12を含んで構成される。基体16は、予め定められる摺動軸線L10が設定される。以下、筒状体11内を可動体13の摺動部が摺動する方向を「摺動方向Z」と称し、摺動部の摺動方向Zに垂直な断面の重心を通る摺動方向Zの直線を「摺動軸線」と称する。摺動方向Zのうち、環状部112から突出部に向かう向きを「摺動方向一方Z1」と称し、他方の向きを「摺動方向他方Z2」と称する。第1実施形態においては、環状部112が成す円筒の軸線方向と摺動方向Zは一致しており、環状部112が成す円筒の軸線が摺動軸線である。本発明において摺動方向他方Z2側から摺動方向一方Z1に見て時計回りの回転または角変位の向きを「周方向一方R1」と称し、反時計回りの回転または角変位の向きを「周方向他方R2」と称する。
【0038】
駆動手段15は、ピストンロッドを摺動方向Zに変位駆動する復動型のエアシリンダ151およびスペーサ153を含んでいる。駆動手段15は、スペーサ153を介して基体16に設けられ、可動体13を摺動方向Zに変位駆動する。可動体13は、駆動体13を介して基体16に連結され、基体16に対して摺動方向Zに移動可能に設けられる。可動体13は、摺動方向Zに延びる棒状に形成される。また可動体13は、駆動手段15のうち、シリンダチューブ15aから露出するピストンロッド部分15bに連結される。
【0039】
筒状体11は、基体16に対して間接的に連結される。筒状体11は、駆動手段15によって変位駆動される可動体13が当接可能な位置に配置される。筒状体11は、可動体13が当接して、可動体13によって変形力が与えられることで、先細状態から開張状態に変形する。先細状態は、内ねじ部21に対する螺合を解除可能な状態に相当する。また開張状態は、内ねじ部21に対する螺合が可能な状態に相当する。
【0040】
図2は、先細状態における筒状体11を示す側面図であり、図3は、開張状態における筒状体11を示す側面図である。図4は、図3のA−A切断面線で切断して示す筒状体11の断面図である。
【0041】
筒状体11は、複数の突出部111と、環状部112と、係合突起部113と、つば部114とを含んで構成される。環状部112は、摺動軸線L10まわりに一周して筒状に形成され、摺動軸線方向Z両端が開放される。本実施の形態では、環状部112は、円筒状に形成され、その内部空間115は円柱状に形成される。突出部111は、可動体13から変形力が与えられることで、環状部112に対して螺合可能状態と螺合解除可能状態とが切換わる変形部となる。
【0042】
本実施の形態では、各突出部111は、環状部112の摺動方向一方Z1の端部111aに連なり、環状部112から摺動方向一方Z1にそれぞれ突出する。各突出部111は、図4に示すように、1つの筒状体11に対して、摺動軸線L10まわりに周方向に間隔51をあけて並ぶ。突出部111の摺動方向他方Z2の端部には、外周面部に外ねじが形成されていない領域を設ける。以下、この領域を「非ねじ領域」と称する。突出部111の非ねじ領域111bよりも摺動方向一方Z1の外周面部には、外ねじが形成される。該外ねじの形成されている領域を「外ねじ領域」と称する。
【0043】
本実施形態では、各突出部111は、それぞれ互いに同一形状に形成される。摺動部131が突出部111の内部空間に進入して開張状態となったとき、突出部111の外ねじ領域111aの外ねじは、平行ねじとなる。複数の突出部111が形成する内部空間115に可動体13の摺動部131が位置していないときには、複数の突出部111は、摺動方向他方Z2の端部から摺動方向一方Z1に進むに連れて、摺動軸線に近づく先細状の形状をしており、筒状部11のこの状態を「先細状態」と称する。複数の突出部111が形成する内部空間115に可動体13の摺動部131が位置したときには、各突出部111は摺動軸線に沿って平行に延びる。筒状体11のこの状態を「開張状態」と称する。
【0044】
本実施形態では、突出部111は、1つの環状部112に対して、摺動軸線L10まわりの周方向に関して等間隔に設けられ、摺動軸線L10に点対称となる位置にそれぞれ配置される。さらに具体的には、突出部111は、4つ設けられ、周方向に隣接する2つの突出部111は、摺動軸線L10まわりに90°の間隔をあけて配置される。また突出部111は、摺動方向一方Z1に進むにつれて、摺動軸線L10まわりの周方向寸法が縮小する先細状に形成される。本実施の形態では、突出部111は、摺動方向一方Z1に凸と成る略台形形状または略三角形状に形成される。
【0045】
図2に示すように先細状態においては、各突出部111は、全体として摺動方向一方Z1に進むにつれて、先細となる先細形状に形成される。具体的には、各突出部111は、環状部112との連結部分から、摺動軸線L10に近接する方向に半径方向内方にそれぞれ屈曲する。本実施の形態では、先細状態においては、各突出部111の摺動方向一方Z1の端部111dは、摺動軸線L10付近で、互いに当接または近接する。これによって各突出部111は、内周部分および外周部分が、摺動方向一方Z1に進むにつれて摺動軸線L10に近接してそれぞれ延びる。先細状態では、各突出部111の半径方向内側には、内部空間52が形成される。先細状態において内部空間52は、各突出部111の摺動方向一方Z1の端部111dによって摺動方向一方Z1側が覆われ、摺動方向他方Z2で環状部112の内部空間115と連通する。
【0046】
各突出部111は、可動体13から外力が与えられない自然状態では、先細状態である。また各突出部111は、可動体13から外力が与えられることで、開張状態となる。各突出部111は、先細状態から開張状態へ変形するのに必要な変形量が、弾性変形範囲内となるように、開張状態および先細状態の具体的な形状と、突出部111の材料が選択される。また突出部111は、耐消耗性を考慮して、金属であることが好ましい。本実施の形態では、各突出部111は、チタン−ニッケル(Ti−Ni)合金などの超弾性を有する合金から成る。
【0047】
図3に示すように開張状態においては、各突出部111の摺動方向一方Z1の端部111dは、先細状態での位置に比べて、摺動軸線L10に対して半径方向外方に離れて位置する。また開張状態において各突出部111は、摺動方向一方Z1に進むにつれて、摺動軸線L10と平行に延びる。したがって開張状態では、各突出部111の内径は、摺動方向Zの位置に拘わらず、それぞれ一様となる。また各突出部111の内径は、環状部112の内径と同一寸法となる。開張状態では、各突出部111の半径方向内側には、内部空間53が形成される。この内部空間53は、摺動方向一方Z1に開放するとともに、摺動方向他方Z2で環状部112の内部空間115と連通する。
【0048】
また各突出部111は、摺動軸線L10に関する外周部分の少なくとも一部に外ねじが形成される。外ねじは、雄ねじと称される場合もある。本実施の形態では各突出部111の外周面部には、外ねじ領域111aと、非ねじ領域111bとがそれぞれ形成される。非ねじ領域111bは、環状部112の摺動方向一方Z1の端部112aに連なる。また外ねじ領域111aは、非ねじ領域111bの摺動方向一方Z1の端部111cに連なる。
【0049】
詳細には、外ねじ領域111aは、図3に示す開張状態において、摺動軸線L10に関する半径方向外方側部分に外ねじが形成される領域である。外ねじは、摺動方向Zにねじ山が並んで形成され、ねじ溝が摺動軸線L10まわりに周方向に延びる。開張状態においては、各突出部111の外ねじ領域111aに形成される外ねじは、摺動軸線L10を中心とする仮想的な平行ねじに形成される仮想的な外ねじに沿う一連のねじ山形状となる。
【0050】
非ねじ領域111bは、図3に示す開張状態において、摺動軸線L10に関する半径方向外方側部分に外ねじが形成されない領域である。また開張状態において、非ねじ領域111bは、摺動軸線L10からの半径方向寸法r2が、外ねじ領域111aにおける摺動軸線L10からの半径方向寸法r1よりも小さく形成される(r2<r1)。本実施形態では、開張状態において、非ねじ領域111bは、摺動軸線L10からの半径方向寸法r2が、摺動方向Zに関して一定に形成される。本実施形態では、非ねじ領域111bで各突出部111が弾性復帰して屈曲することで、開張状態から先細状態に移行する。
【0051】
環状部112は、摺動軸線L10に関して、内径が一様な円筒状に形成される。環状部112の摺動方向一方Z1の端部112aには、外ねじが形成される。ねじは、摺動軸線L10まわりに一周以上形成されるほうが好ましい。環状部112に形成される外ねじは、摺動軸線L10を中心とする平行ねじであり、一連の外ねじ形状である。また各突出部111が開張状態であるとき、環状部112に形成される外ねじは、突出部111の外周部分に形成される外ねじを摺動方向他方Z2に延長した仮想的な外ねじに沿う形状に形成される。
【0052】
環状部112のうち、外ねじが形成される外ねじ部分以外の残余部分である肉厚部分は、外ねじ部分の外周径よりも大きい外周径を有する。また環状部112は、外ねじ部分と肉厚部分とで同一の内径を有し、この内径は、摺動方向Zに関して一様となる。また先細状態において、摺動軸線L10を中心線とした突出部111の最大外径d2は、環状部112の外径未満に設定され、最大でも環状部112に形成される外ねじ径d1よりも小さく形成される。
【0053】
つば部114は、これをZ方向に見たときの外形が円形状となるように形成され、摺動軸線L10と同軸に摺動軸線L10を一周する。またつば部114は、環状部112から摺動軸線L10の半径方向外方に突出する。具体的には、つば部114は、環状部112の肉厚部分のうち摺動方向一方Z1の端部に形成され、環状部112の外ねじ部分に対して摺動方向他方Z2に隣接する。
【0054】
係合突起部113は、環状部112の肉厚部分に形成され、肉厚部分の外周面から半径方向外方に突出する。係合突起部113は、摺動軸線L10に対して垂直に延びる半径軸線L11を中心とする円柱状に形成され、外周面が滑らかに形成される。係合突起部113の外周部は、前記半径軸線L11まわりに回転可能に形成されることが好ましい。
【0055】
可動体13は、摺動部131と、伝達部132と、ストッパ133とを含む。伝達部132は、摺動方向Zに延びる棒状に形成される。伝達部132の摺動方向他方Z2の端部131bは、駆動手段15のピストンロッド部分13bに接続される。摺動部131は、伝達部132の摺動方向一方Z1の端部131aに接続される。伝達部132が基体16に対してZ方向に変位すると、摺動部131も基体16に対してZ方向に弾発的に変位する。
【0056】
伝達部132は、摺動軸線L10に垂直な断面形状が、摺動方向Zに一様な非円形に形成される。言換えると、伝達部132の断面形状は、摺動軸線L10まわりに周方向に進むにつれて、摺動軸線L10に対する半径方向寸法が変化する。本実施の形態では、伝達部132の断面形状は、180°以上の円周角に対応する円弧と、その円弧の周方向両端を結ぶ弦とに囲まれた形状、いわゆるD型形状となる。
【0057】
摺動部131は、摺動軸線L10を軸線とするの円柱状に形成される。摺動部131の外径寸法は、環状部112の内径に略同一に形成される。摺動部131の、摺動方向Zに垂直な断面の面積は、伝達部132の、摺動方向Zに垂直な断面の面積よりも大きく形成される。具体的には、摺動部131の直径は、伝達部132の最大直径よりも大きく形成される。また摺動部131の摺動方向一方Z1の端部132aは、摺動方向一方Z1に進むにつれて縮径する先細形状に形成される。
【0058】
ストッパ133は、伝達部132に設けられ、摺動部131よりも摺動方向他方Z2に配置される。本実施の形態では、ストッパ133は、リング状に形成され、摺動軸線L10と同軸に摺動軸線L10を一周する。またストッパ133は、伝達部132から摺動軸線L10の半径方向外方に突出する。
【0059】
筒状体11の内部空間は、可動体13の摺動部131が進入可能に形成される。具体的には、摺動部131は、環状部112と同軸に配置された状態で、筒状体11に対して、摺動方向他方Z2から摺動方向一方Z1に進むことで、環状部112の内部空間115に進入可能となる。摺動部131が環状部112内部に侵入した状態からさらに、摺動部131が、筒状体11に対して摺動方向一方Z1に進むことで、摺動部131が、図2に示す先細状態の各突出部111の内部空間52に進入し、各突出部111の内周面を摺動する。これによって各突出部111が摺動部131によって外方に押し広げられる。これによって各突出部111は、弾性変形して図3に示す開張状態に弾性変形する。
【0060】
摺動部131によって各突出部111を開張状態に変形させた状態から、摺動部131を摺動方向他方Z2に移動させることで、各突出部111は、弾性復元力によって自然状態に近づく。摺動部131と各突出部111の内周面部との当接を解除することで、各突出部111は、先細状態に復元する。上述したように、各突出部111は、先細状態から開張状態へ変形するのに必要な変形量が弾性変形範囲内となるように設定されるので、先細状態と開張状態とを、交互に繰返して切換えることができる。
【0061】
また保持装置10は、筒状体保持部121と、連結部126とを有する。筒状体保持部121は、筒状体11を基体16に対して保持する。本実施の形態では、筒状体保持部121は、筒状体11を予め定める範囲で摺動方向Zおよび摺動軸線L10まわりに変位可能に保持して、基体16に連結される。連結部126は、筒状体保持部121を基体16に対して、摺動方向Zに変位可能に弾発的に連結する。
【0062】
具体的には、筒状体保持部121には、スライダ部分125が設けられる。スライダ部分125は、基体16に設けられるスライドレール161に嵌合する。これによって筒状体保持部121は、基体16に対して摺動方向Zに移動可能に案内され、摺動方向Z以外の方向への移動が阻止される。連結部126は、筒状体保持部121と可動体13のストッパ133とを弾発的に接続する。連結部126によって筒状体保持部121は、基体16に対して摺動軸線方向Zに弾発的に変位可能に保持される。本実施形態では、連結部126は、圧縮コイルばねによって実現される。連結部12は、摺動軸線L10と同軸に配置されて、可動体13の伝達部132の一部を摺動軸線L10まわりに外囲する。連結部12の摺動方向一方Z1の端部は、筒状体保持部121の摺動方向他方Z2の端部に固定される。また連結部12の摺動方向他方Z2の端部は、ストッパ133に固定される。連結部12は、摺動方向Zに互いに離反させるばね力を、ストッパ133と筒状体保持部121とにそれぞれ与える。これによって、伝達部132が基体16に対してZ方向に変位すると、筒状体保持部121も基体16に対してZ方向に弾発的に変位する。
【0063】
スライドレール161の摺動方向一方Z1の端部には、筒状体保持部121および角変位手段12の摺動方向一方Z1への変位を防止するストッパ161aが設けられている。ストッパ161aは、スライドレール161に固定されている。筒状体保持部121のスライダ部分125がスライドレール161に対して摺動し、摺動方向一方Z1に変位しても、筒状体保持部121のスライダ部分は、ストッパ161aに摺動方向他方Z2側から当接する位置よりも、摺動方向一方Z1に変位することはない。
【0064】
連結部126の摺動方向一方Z1の端部が接触する筒状体保持部121の端部には、連結部126のコイルばねの内径に一致する外径を有する円筒状の端部121aが形成されており、連結部126のコイルばねは筒状体保持部121の円筒状の端部121aに嵌まり込む。該円筒状の端部121aよりも摺動方向一方Z1の筒状体保持部121の、摺動方向Zに垂直な断面は、筒状体保持部121の円筒状の端部121aの外径よりも長い一辺を有する正方形である。これによって連結部126の摺動方向一方Z1の端部が筒状体保持部121に対して摺動方向一方Z1に変位することは阻止される。連結部126の摺動方向他方Z2の端部が接触する可動体13のストッパ133には、連結部126のコイルばねの内径に一致する外径を有する、ストッパの円筒状の端部133aが形成されており、連結部126のコイルばねはストッパの円筒状の端部133aに嵌まり込む。該円筒状の端部133aよりも摺動方向他方Z2のストッパ133は、連結部126が嵌まり込むストッパの円筒状の端部133aの外径よりも大きい外径を有する円柱状である。これによって連結部126の摺動方向他方Z2の端部がストッパ133に対して摺動方向他方Z2に変位することは阻止される。
【0065】
図5は、本発明の第1実施形態における角変位手段12の角変位阻止部123を、図1に示す切断面線B−Bで切断して見た断面図である。筒状体保持部121は、大略的に筒状に形成される。本実施形態では、筒状体保持部121は、摺動軸線L10に同軸に配置されて、外形が四角柱状に形成される。本実施の形態では、筒状体保持部121122の外径は、摺動軸線L10に垂直な断面形状が、摺動軸線L10を中心とする正方形形状に形成され、一辺の長さが、筒状体11のつば部144の直径と等しく形成される。
【0066】
前記スライダ部分125は、筒状体保持部121の外周面部の一部分に固定される。また筒状体保持部121は、摺動軸線L10と同軸であって、摺動方向一方Z1に開放する円柱状の内部空間122が形成される。筒状体保持部121の内部空間122の内径は、筒状体11の環状部112の肉厚部分の外径と略同一に形成される。筒状体保持部121の内部空間122には、可動体13の摺動部131と、筒状体11の環状部112の肉厚部分が収納可能に形成される。
【0067】
筒状体保持部121には、その内部空間122を摺動方向他方Z2から覆う蓋部分が、筒状体保持部121の一部として形成される。蓋部分122は、外周部の摺動方向他方Z2側部分に連なる。また蓋部分122は、連結部126の軸線方向一方摺動方向一方Z1の端部が固定される。蓋部分122には、摺動方向Zに貫通する貫通孔が形成される。この貫通孔は、摺動方向Zに関して伝達部132が緩やかに嵌合可能な形状に形成される。したがって本実施の形態では、貫通孔の摺動軸線L10に垂直な断面形状は、D型形状に形成される。また貫通孔は、摺動部131の直径よりも小さく形成される。
【0068】
このように筒状体保持部121は、スライダ部分125がスライドレール161に嵌合するとともに、蓋部分122が伝達部132に嵌合する。これによって筒状体保持部121は、基体16および伝達部132に対して、摺動軸線L10まわりに角変位することが阻止される。したがって本実施形態で、スライダ部分125および蓋部分122は、筒状体保持部121が基体16に対して摺動軸線L10まわりに角変位することを阻止する角変位阻止部である。
【0069】
また貫通孔が、摺動部131の直径よりも小さく形成される。したがって摺動部131が筒状体保持部121に対して摺動方向他方Z2に移動すると、摺動部131は蓋部分122に摺動方向一方Z1から当接する。この状態から、さらに摺動部131は、摺動方向他方Z2に移動すると、蓋部分122に移動力を与えて、筒状体保持部121を摺動方向他方Z2に変位させる。
【0070】
図6は、図1の切断面線C−Cで切断して見た断面図である。筒状体保持部121には、外周部のうち一部に案内部が形成される。案内部は、摺動軸線L10の半径方向に貫通して、摺動方向Zに延びる長孔124を規定する。案内部に規定される長孔124は、筒状体保持部121内に収容される筒状体11のうちの、係合突起部113が挿入される挿入空間となる。長孔124は、摺動方向一方Z1から摺動方向他方Z2に進むにつれて、摺動軸線L10まわりに周方向に角変位する方向に延びる。長孔124の幅方向寸法は、係合突起部113の直径以上に形成される。
【0071】
案内部のうち摺動軸線L10に関して内側部分は、摺動軸線L10に関して螺旋状に延びて形成され、摺動方向一方Z1から摺動方向他方Z2に進むにつれて、摺動軸線L10まわりに角変位する。本実施形態では、摺動方向一方Z1から摺動方向他方Z2に進むにつれて、周方向一方R1に角変位する。案内部のうち長孔124の摺動方向一方Z1側部分と摺動軸線L1とを通過する平面と、長孔124の摺動方向他方Z2側部分と摺動軸線L1とを通過する平面との成す角度は、10°以上に設定される。この角度は20°程度が好ましく、本実施形態では約20°に設定される。第1実施形態において環状部112および突出部111の外周面部に形成される外ねじは、右ねじであるものとし、係合突起部113がZ2に変位したときの筒状体11の角変位は、R1に角変位する。これによって被保持体の内ねじ部21に形成されている内ねじが右ねじであるときに、被保持体を保持することが可能となる。
【0072】
筒状体保持部121の内部空間122には、筒状体11の環状部112の肉厚部分が収納され、筒状体11の突起部113の外周部が、案内部の規定する長孔124に臨む内周部に当接する。筒状体11が筒状体保持部121に対して摺動方向Zに移動することで、係合突起部113は長孔124に臨む内周面に摺動案内されて、摺動軸線L10まわりに角変位移動する。したがって筒状体11が筒状体保持部121に対して摺動方向Zに移動するとき、筒状体11は摺動軸線L10まわりに角変位する。
【0073】
筒状体11は、案内部のうち摺動方向一方Z1の端部の内周面に当接することで、さらなる摺動方向一方Z1の変位と、周方向他方R2への角変位が阻止される。また筒状体11は、案内部のうち摺動方向他方Z2の端部の内周面に当接する以前に、つば部が、筒状体保持部121の摺動方向一方Z1側端面に当接することで、さらなる摺動方向他方Z2の変位と、摺動軸線L10に関する時計まわりの角変位が阻止される。また係合突起部113が案内部のうちの摺動方向他方Z2の端部の内周面に当接することによっても、筒状体保持部121は、予め定める範囲内で、筒状体11を摺動方向Zおよび摺動軸線まわりに変位可能に保持する。
【0074】
このように本実施形態では、筒状体保持部121は、筒状体11を、予め定める範囲で摺動方向および摺動軸線まわりに変位可能に保持する。また案内部によって、筒状体11が筒状体保持部121に対して摺動方向に変位することに伴って、筒状体11を筒状体保持部121に対して摺動軸線まわりに角変位させる。
【0075】
筒状体11が被保持体に接触して被保持体から摺動方向他方Z2に向かう力を付与されたときに、筒状体11は筒状体保持部121に対して摺動方向他方Z2に変位する。この摺動方向の変位によって筒状体11は、案内部によって案内されて、筒状体保持部121に対して摺動軸線まわりに角変位される。したがって筒状体11が被保持体の内ねじ部21に押付けられることで、摺動方向一方Z1に環状部112の外ねじが螺進するときの回転方向に、筒状体保持部121は筒状体11を摺動軸線まわりに角変位させることができる。したがって本実施形態では、筒状体保持部121と、駆動体と、可動体13とによって、筒状体11を摺動軸線まわりに角変位駆動する角変位手段を実現することができる。また具体的には、角変位手段12は、角変位阻止部123と、スライダ125と、連結部126とをさらに含んで構成されている。
【0076】
図7は、本発明の第1実施形態に係る被保持体の保持装置10が被保持体20を保持する工程を表すフローチャートである。図8は、本発明の第1実施形態に係る被保持体の保持装置10が被保持体20を保持する工程を表す、被保持体の保持装置10の側面図である。第1実施形態において被保持体の内ねじ部21には、平行ねじが形成されている。本処理に先立って、被保持体の内ねじ部21は搬送手段および位置決め手段によって、突出部111の摺動方向一方Z1に位置している。
【0077】
本処理開始後、ステップa1の摺動方向Z駆動工程に移行し、摺動方向Z駆動手段32によって、被保持体の保持装置10を摺動方向一方Z1に変位させ、筒状体11の環状部112を被保持体の内ねじ部21に接触させる。(摺動方向Z駆動手段32については図10において説明する。)次にステップa2の角変位手段の変位工程に移行し、圧縮空気供給コンプレッサ152などによってエアシリンダ151に圧縮空気を供給し、可動体13の伝達部132を摺動方向一方Z1に変位させる。伝達部132の摺動方向一方Z1への変位によって可動体13の摺動部131が摺動方向一方Z1に変位するとともに、連結体が摺動方向一方Z1に変位する。連結体の変位によって筒状体保持部121が摺動方向一方Z1に変位する。筒状体11は、その環状部112が被保持体の内ねじ部21に接触しているので、筒状体11は筒状体保持部121に対して摺動方向他方Z2に相対変位する。これによって筒状体11の係合突起部113が筒状体保持部121に対して、周方向一方R1に角変位し、筒状体11も筒状体保持部121に対して周方向一方R1に角変位する。したがって環状部112の外周面部に形成されている外ねじ部は、基体16に対して周方向一方R1に約20°角変位する。ステップa2の角変位手段の変位工程において、摺動部131は筒状体11の環状部112の内部を摺動するけれども、角変位手段の変位工程が終了した段階において、突出部111の内部にはまだ進入していない。
【0078】
ステップa2の角変位手段の変位工程において、環状部112が被保持体の内ねじ部21に接触した状態で環状部112の外周面部の外ねじ部が約20°角変位することによって、環状部112の外周面部の外ねじ部は、被保持体の内ねじ部21に容易に嵌合する。第1実施形態において環状部112の外ねじ部のねじが、被保持体の内ねじ部21のねじに対し、山と谷との位置を合わせた状態で嵌まり込むことを「嵌合」と称する。また嵌合した状態の外ねじ部と内ねじ部21とが、これらをねじの軸線方向に離反させようとする力に対して、係合による抵抗を示す場合に、この係合を「螺合」と称し、「嵌合」は「螺合」を含むものとする。
【0079】
次いでステップa3の開張状態形成工程に移行し、圧縮空気供給コンプレッサ152によってエアシリンダ151に圧縮空気をさらに供給し、可動体13の伝達部132を摺動方向一方Z1にさらに変位させる。伝達部132の摺動方向一方Z1への変位によって、可動体13の摺動部131は摺動方向一方Z1にさらに変位し、突出部111の内部空間52に進入する。摺動部131の、突出部111の内部空間52への進入によって、筒状体11の突出部111は内周面から摺動部131によって押し広げられ、先細状態から開張状態に弾性変形する。突出部111が先細状態から開張状態となることによって、突出部111の外ねじ領域111aは、被保持体の内ねじ部21に螺合する。これによって被保持体の保持装置10による被保持体20の保持が完了する。その後、本処理は終了する。
【0080】
図8に示したように、ステップa1の摺動方向Z駆動工程では、摺動方向Z駆動手段32によって、被保持体の保持装置10が第1変位量L1だけ、摺動方向一方Z1に変位する。ステップa1の摺動方向Z駆動工程が終了した段階において、筒状体保持部121と筒状体11との間には第2変位量L2の隙間があり、最大で第2変位量L2の距離だけ、ステップa2の角変位手段の変位工程において筒状体11は筒状体保持部121に対して変位できる。ステップa2の角変位手段の変位工程では、圧縮空気供給コンプレッサ152によってエアシリンダ151に圧縮空気が供給され、可動体13の伝達部132が変位し、摺動部131が第3変位量L3だけ摺動方向一方Z1に変位する。
【0081】
筒状体保持部121の摺動方向一方Z1への変位と、筒状体11の筒状体保持部121に対する摺動方向他方Z2への相対変位によって、筒状体11は筒状体保持部121に対して周方向一方R1に約20°角変位する。筒状体保持部121には、その四角柱状部分の摺動方向他方Z2側の端部に、摺動方向Zに第1距離L4だけ、D形の孔が形成されている。このD孔は、図5で示したように、摺動方向Zに垂直なD形の断面を持つ伝達部132に嵌まり込んでいるので、筒状体保持部121が伝達部132に対して摺動軸線まわりに角変位することはない。
【0082】
ステップa3の開張状態形成工程では、圧縮空気供給コンプレッサ152によってエアシリンダ151にさらに圧縮空気が供給され、可動体13の伝達部132がさらに変位し、摺動部131が第4変位量L5だけ摺動方向一方Z1に変位する。摺動部131の摺動方向一方Z1への第4変位量L5の変位によって、筒状体11の突出部111は先細状態から開張状態に変形し、外ねじ領域111aは内ねじ部21に螺合する。これによって被保持体の保持装置10による被保持体20の保持が完了する。
【0083】
図9は、本発明の第1実施形態に係る搬送装置30の側面図である。第1実施形態に係る搬送装置30は、被保持体の保持装置10を含む支持手段312と、摺動方向Z駆動手段32と、X方向駆動手段33と、装置フレーム35と、制御手段34とを含み、構成されている。摺動方向Z駆動手段32とX方向駆動手段33とは、被保持体の保持装置10を含む支持手段312の移動を行う移動装置である。
【0084】
支持手段312は、被保持体の保持装置10と、固定板312aと、アーム312bと、アーム固定板312cと、Zレールスライダ312dと、ナット固定板312eと、ナット312fとを含み、構成されている。摺動方向Z駆動手段32は、Zスライドレール321aを含むZメインフレーム321と、モータおよびボールねじ固定板322と、Z駆動部323とを含み、構成されている。Z駆動部323は、Z駆動モータ323aと、ボールねじ323bと、Z駆動タイミングベルト323cとを含み、構成されている。X方向駆動手段33は、ベースフレーム331と、X駆動部332と、Xスライドレール333とを含み、構成されている。ベースフレーム331は、Xレールスライダ331aと、タイミングベルト把持部331bとを含み、構成されている。X駆動部332は、X駆動モータ332aと、X駆動タイミングベルト332bと、タイミングプーリー332cを含み、構成されている。装置フレーム35は、柱351とX方向に延びる梁352aとを含み構成されている。
【0085】
以下、摺動方向Zに垂直な一方向を「X方向」と称し、摺動方向ZとX方向とに垂直な方向を「Y方向」と称する。本発明において、絶対的な位置の変化および対象物に対する相対的な位置の変化を「移動」と称することも「変位」と称することもあり、これらの言葉の意味を、区別しない。
【0086】
搬送装置30は、同時に4つの被保持体の保持装置10を移動させることにより、被保持体20の搬送を行う。支持手段312は、被保持体の保持装置10を支持している部分で、摺動方向Z駆動手段32が支持手段312を摺動方向Zに移動させることで、被保持体の保持装置10が摺動方向Zに移動する。固定板312aは、複数の被保持体の保持装置10をそれぞれ互いに機械的に接続し、1つの部品として全体を固定する部材である。アーム312bは、固定板312aとナット固定板312eとに機械的に接続され、固定板312aを保持し、ナット固定板312eの移動に伴って固定板312aおよび被保持体の保持装置10の移動を行う。アーム312bは摺動方向Zが長手方向となるように形成された2つの部材と、該2つの部材を互いに固定する部材とを含んでおり、梯子状の形状である。アーム312bは、角形鋼管で作製してもよいし、アングル、チャンネル、溝形鋼、H形鋼などで作製してもよい。
【0087】
アーム固定板312cは、Zレールスライダ312dとナット固定板312eとに機械的に接続され、ナット固定板312eを保持し、ナット固定板312e、アーム312b、固定板312aおよび被保持体の保持装置10の移動を行う。Zレールスライダ312dは、アーム固定板312cに固定され、Zスライドレール321aの一部を挟持し、Zスライドレール321aに対して摺動することによって摺動方向Zに移動することによって、アーム固定板312cの平行移動を可能にする。ナット固定板312eは、アーム312b、アーム固定板312cおよびZ駆動部323内のボールねじ323bに機械的に接続され、ボールねじ323bの回転によって摺動方向Zに移動し、アーム312bおよびアーム固定板312cを摺動方向Zに移動させる。ナット固定板312eはボールねじ323bに対してX方向およびY方向には変位しない。
【0088】
ボールねじ323bは摺動方向Zが長手方向となるように形成され、ボールねじ323bの外周面部には、摺動方向Zに軸線を持つ平行ねじの外ねじが形成される。ナット固定板312eは、ボールねじ323bの回転に対して摺動し、ボールねじ323bのねじの軸線に対して旋回しない。ナット312fはその結合力によって、ナット固定板312eがボールねじ323bの回転に対して摺動可能に、かつボールねじ323bに対する係合が解除されないように、ナット固定板312eを1つの部品として形成している。
【0089】
摺動方向Z駆動手段32は、被保持体の保持装置10を含む支持手段312を、摺動方向Zに駆動する働きを有する。Zメインフレーム321は、支持手段312を摺動方向Zに摺動可能に支持しており、Zメインフレーム321はZスライドレール321aを有する。Zスライドレール321aは、その一部をZレールスライダ312dに係合しており、支持手段312がZメインフレーム321に対してX方向およびY方向に変位することを阻止している。モータおよびボールねじ固定板322は、Zメインフレーム321およびX方向駆動手段33内のベースフレーム331に固定され、かつZ駆動部323に含まれるZ駆動モータ323aとボールねじ323bとを支持し、Z駆動モータ323aとボールねじ323bとがZメインフレーム321に対してX方向およびY方向に変位することを阻止している。Z駆動部323は、駆動力を生じ、ボールねじ323bおよびZメインフレーム321に係合されたナット固定板312e、Zレールスライダ312dおよびアーム固定板312cを前記駆動力によって摺動方向Zに変位させる。Z駆動モータ323aはZ駆動タイミングベルト323cに回転力を付与し、Z駆動タイミングベルト323cはZ駆動モータ323aの回転力をボールねじ323bに伝達する。
【0090】
X方向駆動手段33は、被保持体の保持装置10を含む支持手段312と、摺動方向Z駆動手段32とをX方向に移動させる働きを有する。ベースフレーム331はZメインフレーム321と、Z駆動部323に含まれるモータおよびボールねじ固定板322とに固定され、Xスライドレール333に対して摺動可能に係合し、X駆動部332内のX駆動タイミングベルト332bに係合し、ベースフレーム331が係合しているX駆動タイミングベルト332bの一部分のX方向への移動に伴い、Zメインフレーム321と、Z駆動部323に含まれるモータおよびボールねじ固定板322とをXスライドレール333に対して平行に、X方向に移動させる働きを有する。
【0091】
ベースフレーム331に含まれるXレールスライダ331aは、Xスライドレール333に対して摺動可能に係合している。ベースフレーム331に含まれるタイミングベルト把持部331bは、X駆動タイミングベルト332bの一部分を挟持し、タイミングベルトの該一部分のX方向への移動に伴い、X方向に移動する。
【0092】
X駆動部332は、ベースフレーム331が摺動方向ZおよびY方向に変位することを阻止し、ベースフレーム331をX方向に移動させる働きを有している。X駆動部332に含まれるX駆動モータ332aは、X駆動タイミングベルト332bに駆動力を与え、X駆動タイミングベルト332bの一部分をX方向に移動させる。X駆動タイミングベルト332bは、その一部がX駆動モータ332aとタイミングプーリー332cとに係合し、X駆動モータ332aの駆動力を、X駆動タイミングベルト332bの一部分を挟持するベースフレーム331内のタイミングベルト把持部331bに伝達し、ベースフレーム331をX方向に移動させる。タイミングプーリー332cは、それ自身駆動力を有しておらず、X駆動タイミングベルト332bを支持することによって、X駆動タイミングベルト332bが駆動力をタイミングベルト把持部331bに伝達することを可能にしている。
【0093】
Xスライドレール333は、装置フレーム35内のX方向に延びる梁352aに対して平行に、X方向に延びる梁352aの摺動方向他方Z2側に接触して配置される。Xスライドレール333はベースフレーム331のXレールスライダ331aと、摺動可能に係合し、ベースフレーム331が摺動方向ZおよびY方向に変位することを阻止している。
【0094】
装置フレーム35は、支持手段312と、摺動方向Z駆動手段32と、X方向駆動手段33との位置関係が安定し、該複数の手段が、制御手段34による位置決定によって精確に位置できるように前記複数の手段を支持する働きを有する。装置フレーム35は、摺動方向Zに延びる複数の柱351と、複数の柱351が摺動方向Zに安定して位置できるように柱351を互いに固定する梁352と、摺動方向他方Z2側にXスライドレール333が接触して配置され、X方向に延びる梁352aとを有している。第1実施形態において摺動方向Zは鉛直方向であるものとし、摺動方向一方Z1方向は鉛直方向のうち地面に向かう向きであるものとする。被保持体20を保持および移動した後に、被保持体20を載置すべき場所を「目的位置」と称する。
【0095】
図9には、内ねじ部21を有する被保持体20を搬送装置30に搬入するコンベア41と、搬入コンベア41上で被保持体20を載置するためのパレット51と、目的位置から被保持体20を搬出するための搬出コンベア42と、搬出コンベア上で被保持体20を受取るためのパレット52を図示している。コンベア41は、被保持体20の位置を検出する、自動位置検出手段と、被保持体20の位置決めを行う、自動位置決め手段と、被保持体20の位置決めが終了したことを搬送装置30の制御手段34に伝達する信号伝達手段とを有している。
【0096】
図10は、本発明の第1実施形態に係る搬送装置30の電気的接続関係を表したブロック図である。搬送装置30に含まれる制御手段34は、X方向駆動手段33に含まれるX駆動モータ332aと、摺動方向Z駆動手段32に含まれるZ駆動モータ323aと、圧縮空気供給コンプレッサ152とに電気的に接続される。制御手段34による制御よって、圧縮空気供給コンプレッサ152によるエアシリンダ151の駆動の時期を制御し、被保持体の保持装置10による被保持体20の保持の時期を決定する。また制御手段34による制御によって、Z駆動モータ323aによる支持手段312の摺動方向Zの変位量、および変位の時期を決定する。また制御手段34による制御によって、X駆動モータ332aによる摺動方向Z駆動手段32および支持手段312のX方向の変位量および変位の時期を決定する。
【0097】
図11は、本発明の第1実施形態に係る搬送装置30による、被保持体の搬送工程を表したフローチャートである。本処理に先立って、被保持体の内ねじ部21は搬送手段および位置決め手段によって、突出部111の摺動方向一方Z1に位置しており、制御手段34は、被保持体20の位置決めが終了したという情報信号を受信している。
【0098】
本処理開始後、ステップb1の保持工程に移行し、被保持体の保持装置10によって被保持体の内ねじ部21を保持する。この工程の詳細は、図5、図6およびこれらの図を説明した部分に記載している。被保持体の保持装置10が被保持体20を保持するための、制御手段34による圧縮空気供給コンプレッサ152の制御は、ステップb1の保持工程において行われる。次にステップb2の摺動方向Z移動工程に移行し、被保持体20を保持した状態の支持手段312を、摺動方向Z駆動手段32によって摺動方向他方Z2方向に移動させる。この工程では、Z駆動モータ323aの回転をZ駆動タイミングベルト323cでボールねじ323bに伝達し、ボールねじ323bの回転によってナット固定板312eを摺動方向他方Z2に変位させ、Zレールスライダ312dのZスライドレール321aに対する摺動を伴ってアーム固定板312c、アーム312b、固定板312aおよび被保持体の保持装置10を摺動方向他方Z2に変位させる。支持手段312を摺動方向他方Z2に移動させるための、制御手段34によるZ駆動モータ323aの制御は、ステップb2の摺動方向Z移動工程において行われる。
【0099】
次いでステップb3のX方向移動工程に移行し、摺動方向Z駆動手段32、支持手段312および被保持体20を、X方向駆動手段33によってX方向一方へ移動する。この工程では、X駆動モータ332aの回転によってX駆動タイミングベルト332bを駆動し、この駆動をタイミングベルト把持部331bを通してベースフレーム331に伝達することによって摺動方向Z駆動手段32および支持手段312をX方向に移動させる。この移動によって、搬送装置30は被保持体20を目的位置の摺動方向他方Z2側に位置させる。摺動方向Z駆動手段32、支持手段312および被保持体20を目的位置まで移動させるための、制御手段34によるX駆動モータ332aの制御は、ステップb3のX方向移動工程において行われる。
【0100】
次にステップb4の載置工程に移行し、支持手段312および被保持体20を摺動方向一方Z1に移動させ、被保持体20を目的位置に載置する。この工程では、Z駆動モータ323aの回転をZ駆動タイミングベルト323cでボールねじ323bに伝達し、ボールねじ323bの回転によってナット固定板312eを摺動方向一方Z1に変位させ、Zレールスライダ312dのZスライドレール321aに対する摺動を伴ってアーム固定板312c、アーム312b、固定板312aおよび被保持体の保持装置10を摺動方向一方Z1に変位させる。支持手段312および被保持体20を摺動方向一方Z1に移動させるための、制御手段34によるZ駆動モータ323aの制御は、ステップb4の載置工程において行われる。次いでステップb5の保持解除工程に移行し、被保持体の保持装置10による被保持体20の保持を解除する。これは、図5、図6およびこれらの図を説明した部分に記載した工程について、経時変化を遡るように、逆の工程をたどることによって行われる。
【0101】
まず突出部111の内部空間53に位置していた可動体13の摺動部131を摺動方向他方Z2に移動させる。これによって突出部111は開張状態から先細状態に弾性復帰し、突出部111の外ねじ部の内ねじ部21への螺合は解除される。次に可動体13の伝達部132を摺動方向他方Z2に移動させることによって、筒状体保持部121を摺動方向他方Z2に移動させる。筒状体11には、自重による摺動方向一方Z1への力が付与されるので、筒状体保持部121が摺動方向他方Z2に移動すれば、筒状体11は筒状体保持部121に対して摺動方向一方Z1に相対変位する。係合突起部113が長孔124に係合しているので、筒状体11は筒状体保持部121に対して周方向他方R2に角変位する。これによって環状部112の内ねじ部21への嵌合は容易に解消され、被保持体の保持装置10による保持の解除は完了する。被保持体の保持装置10が被保持体20の保持の解除を行うための、制御手段34による圧縮空気供給コンプレッサ152の制御は、ステップb5の保持解除工程において行われる。
【0102】
次にステップb6の初期位置復帰工程に移行し、支持手段312、摺動方向Z駆動手段32およびX方向駆動手段33を、本処理開始前の位置に移動させる。これは、ステップb2の摺動方向Z移動工程およびステップb3のX方向移動工程について、経時変化を遡るように、逆の工程をたどることによって行われる。すなわち、摺動方向Z駆動手段32による支持手段312の摺動方向他方Z2への移動を行い、その後X方向駆動手段33によって摺動方向Z駆動手段32および支持手段312をX方向他方へ移動させ、本処理を開始する前の位置に戻す。支持手段312を摺動方向他方Z2に移動させるための、制御手段34によるZ駆動モータ323aの制御と、摺動方向Z駆動手段32および支持手段312をX方向他方へ移動させるための、制御手段34によるX駆動モータ332aの制御とは、ステップb6の初期位置復帰工程において行われる。その後、本処理は終了する。
【0103】
本処理において、ステップb4の載置工程に先立って、被保持体20を載置するためのパレットが、搬送手段および位置決め手段によって、目的位置の摺動方向一方Z1側に位置しているものとする。また本処理について、制御手段34による圧縮空気供給コンプレッサ152、Z駆動モータ323aおよびX駆動モータ332aの駆動時期の制御は、本処理全体を通して行われる。
【0104】
第1実施形態によれば、筒状体11の突出部111は、外周部の少なくとも一部に外ねじが形成されている外ねじ領域111aを有し、該突出部111は、先細状態と開張状態とに変形可能である。先細状態において突出部111は、摺動方向一方Z1に向かうにしたがって先細となる形状であり、開張状態において突出部111は先細状態のときよりも摺動軸線から離れた形状となる。これによって先細状態においては突出部111を被保持体の内ねじ部21に螺合させず、筒状体11を摺動方向一方Z1に移動させて、突出部111を被保持体の内ねじ部21に挿入した後、突出部111を開張状態とすることで、突出部111の外ねじ領域111a全体を内ねじ部21に対して螺合させることが可能となる。突出部111の内ねじ部21への螺合は、突出部111が先細状態から開張状態に弾性変形することによって行われ、該弾性変形は、可動体13の摺動方向一方Z1への摺動変位によって行われる。可動体13が摺動方向一方Z1に変位すると、可動体13の摺動によって先細状態であった突出部111は内周面から押されて摺動軸線から離れ、開張状態となり、突出部111の外ねじ領域111aは被保持体20の内ねじと螺合することができる。
【0105】
したがって突出部111を被保持体の内ねじ部21に螺合させた状態で突出部111を内ねじの軸線まわりに回転させる必要がない。よって外ねじ部材を回転させることによって内ねじ部21に外ねじ部材を螺合させることに比べて、螺合に必要な摺動の距離を短くすることができる。したがって外ねじ部材を回転させて外ねじ部材によって被保持体20を保持することに比べて、短い時間に被保持体20の保持および保持の解除を行うことができる。
【0106】
また内ねじ部21に螺合させた状態で突出部111を内ねじの軸線まわりに回転させる必要がないので、外ねじ部材を回転させることによって内ねじ部21に外ねじ部材を螺合させる機構に比べて、簡単な機構によって突出部111を被保持体の内ねじ部21に螺合させることが可能となる。また、突出部111の外ねじ領域111a全体の螺合によって被保持体20を保持するので、バルーンの外表面を空気圧によって内ねじ部21の内面に押付け、バルーンの外表面と内ねじ部21の内面との摩擦力によって被保持体20を保持する装置に比べて、被保持体20を強固に保持することができる。
【0107】
また、突出部111は、先細状態から開張状態に弾性変形が可能である。これによって突出部111は開張状態から先細状態に弾性復帰することが可能であるので、弾性復帰によって被保持体20の保持を解除することができ、被保持体20の保持および保持の解除を繰返すことができる。したがって簡単な機構を有し、内ねじ部21を有する被保持体20を短時間に強固に保持する、被保持体の保持装置10を提供することができる。
【0108】
また第1実施形態によれば、先細状態において、突出部111の最大外径は環状部112の外径以下である。これによって摺動方向一方Z1に筒状体11を変位させて、被保持体の内ねじ部21に先細状態の筒状体11を挿入するときに、突出部111を被保持体20に接触させることなく、環状部112が被保持体20に接触するまで、突出部111を内ねじ部21に挿入することが可能となる。したがって突出部111が先細状態において被保持体20を保持しないことと、突出部111が開張状態において被保持体20を保持することと、突出部111が開張状態から先細状態へ弾性復帰することによって被保持体20の保持を解除することとを、実現することが可能となる。よって外ねじ部材を回転によって螺合させることに比べて、被保持体20に対する保持および保持の解除を短時間で行うことが可能となる。
【0109】
また第1実施形態によれば、開張状態における突出部111の外周部分は、摺動軸線に平行である。これによって開張状態において複数の突出部111の外周面部に形成される外ねじ領域111aは、全体として1つの平行ねじとして機能する。よって被保持体20に形成されている内ねじが平行ねじである場合に、被保持体20を、被保持体の内ねじ部21の内面に突出部111の外ねじ領域111a全体を螺合させて保持することができる。したがってバルーンの外表面と内ねじ部21の内面との摩擦力によって被保持体20を保持する装置に比べて、強固に被保持体20を保持することができる。
【0110】
また開張状態における各突出部111の外ねじの軸線は、1つの仮想直線に一致する。これによって開張状態において複数の突出部111の外ねじ領域111aは、全体として1つの平行ねじとして機能し、被保持体20の内ねじに対して、各突出部111全てが螺合することが可能となる。よって被保持体20を保持したときに、被保持体20の内ねじの軸線が突出部111の外ねじの軸線からずれることを防止することができ、複数の突出部111が内ねじ部21に対して均一な圧力をもって接触することが可能となる。したがって被保持体20を保持するときに、被保持体20の重量を複数の突出部111で均等に分担、支持することが可能となり、開張状態となったときに突出部111の外ねじの軸線が被保持体20の内ねじの軸線からずれる場合に比べ、被保持体20を強固に保持する、被保持体の保持装置10を提供することができる。
【0111】
また第1実施形態によれば、筒状体11の環状部112の外周部分の少なくとも一部には、外ねじが形成されている。これによって筒状体11が被保持体の内ねじ部21に接触したときに、被保持体20に形成されている内ねじ部21に環状部112の外周部分の外ねじ部が嵌合することが可能となる。また環状部112の外周部分の外ねじ部の外ねじは、突出部111の外周部分に形成される外ねじを摺動方向他方Z2に延長した仮想的な外ねじに沿う、外ねじである。これによって環状部112の外ねじ部が被保持体の内ねじ部21に嵌合することで、開張状態における外ねじ領域111aの、被保持体の内ねじ部21に対する螺合を確実することができる。
【0112】
また第1実施形態に係る被保持体の保持装置10は、角変位手段12をさらに含んでいる。これによって筒状体11を摺動軸線まわりに角変位させることができ、先細状態において筒状体11の環状部112が被保持体の内ねじ部21に接触したときに、筒状体11の角変位によって環状部112の外ねじ部と被保持体の内ねじ部21との嵌合を確実にすることができる。したがって開張状態となったときに、突出部111の内ねじ部21内壁への螺合が確実になり、被保持体20を強固に保持することのできる、被保持体の保持装置10を提供することができる。
【0113】
また第1実施形態によれば、角変位手段12は、筒状体保持部121を有しており、該筒状体保持部121は、筒状体11を、予め定める範囲で摺動方向および摺動軸線まわりに変位可能に保持している。これによって筒状体11は筒状体保持部121に対して予め定める範囲内において変位することができる。また角変位手段12は、案内部を有しており、該案内部は、筒状体11が筒状体保持部121に対して摺動方向に変位することに伴って、筒状体11を筒状体保持部121に対して摺動軸線まわりに角変位させる。これによって角変位手段12は、筒状体11が被保持体20に接触して被保持体20から力を付与されたときに、筒状体11が角変位手段12に対して摺動方向Zに変位し、該変位によって筒状体11が被保持体の内ねじ部21に対して摺動軸線まわりに角変位することを可能にすることができる。
【0114】
したがって筒状体11が被保持体の内ねじ部21に接触したときに、筒状体11の角変位によって筒状体11の外ねじ部と被保持体の内ねじ部21との嵌合を確実にすることができる。よって、開張状態となったときに突出部111の外ねじ領域111aと被保持体の内ねじ部21との螺合を確実にすることができ、被保持体20を強固に保持することのできる、被保持体の保持装置10を提供することができる。
【0115】
また第1実施形態によれば、基体16に対して筒状体保持部121は弾発的に連結される。これによって筒状体保持部121に対して筒状体11が摺動し、該摺動が阻止される位置に達したときに、筒状体11から筒状体保持部121に与えられる衝撃を、連結部126が吸収することができる。したがって筒状体11および筒状体保持部121の破損を防止することができる。また筒状体11が被保持体20に接触し、筒状体11が被保持体20から衝撃を受けた場合においても、筒状体保持部121が弾発的に変位することによって、被保持体20から筒状体保持部121に伝えられる衝撃を軽減することができる。したがって被保持体20、筒状体11および筒状体保持部121のいずれについても破損を防止することができる。
【0116】
また角変位手段12は角変位阻止部123を有しており、基体16に対して筒状体保持部121が摺動軸線まわりに角変位することを阻止している。これによって角変位手段12が筒状体11を摺動軸線まわりに角変位させたときに、角変位手段12が筒状体11から受ける反作用によって角変位手段12が基体16に対して角変位することを防ぐことができる。したがって角変位手段12による筒状体11の基体16に対する角変位を確実にすることができる。しがたって環状部112の外ねじ部の被保持体の内ねじ部21に対する嵌合を確実にすることができる。よって、開張状態となったときに突出部111の外ねじ領域111aと被保持体の内ねじ部21との螺合を確実にすることができる。
【0117】
また第1実施形態によれば、可動体13は摺動部131を有しており、摺動部131は筒状体11の内部空間52に進入し筒状体11の内周面に対して摺動する。これによって突出部111に摺動部131が進入し、摺動することによって、摺動部131は突出部111を内周面から押し広げ、先細状態から開張状態に弾性変形させることができる。よって突出部111を被保持体の内ねじ部21に螺合させることができる。したがって外ねじ部材を回転させることによって外ねじ部材によって被保持体20を保持する場合に比べて、螺合に必要な摺動の距離を短くすることができる。よって短時間に被保持体20の保持および保持の解除を行うことができる。
【0118】
また可動体13は摺動部131に接続される伝達部132を有しており、伝達部132は摺動方向に変位駆動される。伝達部132は連結部126によって筒状体保持部121と弾発的に連結されているので、伝達部132は駆動手段15からの動力を筒状体保持部121に対して弾発的に伝達するとともに、駆動手段15からの動力を摺動部131にも伝達する。したがって伝達部132の摺動方向への変位駆動によって、角変位手段12の筒状体保持部121の変位と、摺動部131による突出部111の弾性変形とを1つの駆動機構によって実現することができる。よって外ねじ部材の回転と並進とをその回転量と併進移動量とを調節しながらそれぞれ別の駆動機構によって行う場合に比べて、簡単な機構によって被保持体20の保持を行うことができる。
【0119】
また第1実施形態によれば、摺動部131は、摺動軸線に垂直な断面の形状および面積が、環状部112の内部空間115の、摺動軸線に垂直な断面の形状および面積と略同一となるように形成される。これによって摺動部131が摺動方向に変位して突出部111をその内周面から押し広げるときに、摺動部131が複数の突出部111に対して均等な外力を与え、各突出部111の外ねじの軸線が1つの仮想直線に一致するように複数の突出部111を同時に弾性変形させることが可能となる。
【0120】
また摺動部131は、摺動方向一方Z1に変位することによって、突出部111の内周面にそれぞれ摺動して、各突出部111を同時に弾性変形させ、開張状態を形成する。これによって突出部111の外ねじの軸線が1つの仮想直線に一致するように突出部111の弾性変形を行うことができる。したがって突出部111の外ねじ領域111a全体が被保持体の内ねじ部21に螺合することを確実にすることができ、被保持体20を強固に保持することのできる、被保持体の保持装置10を実現することができる。
【0121】
また第1実施形態によれば、搬送装置30は前記被保持体の保持装置10と、該保持装置10を移動させる移動手段とを有している。これによって前記保持装置10によって被保持体20を保持し、移動装置によって保持装置10を移動させることによって、被保持体20の移動を行うことができる。また移動装置によって保持装置10を移動させた後に保持装置10による被保持体20の保持を解除することによって、被保持体20の搬送を完了することができる。
【0122】
また第1実施形態によれば、筒状体11の環状部112の外ねじ部よりも摺動方向他方Z2側にはつば114が形成される。つば114を摺動方向Zに見たときの外形は円形状をしており、その外径は、環状部112の外ねじ径d1よりも大きい。これによって環状部112の外ねじ部が被保持体の内ねじ部21に嵌合し、嵌合によって筒状体11の位置が内ねじ部21に対して摺動方向一方Z1に変位しても、摺動方向Zの予め定める距離を超えて、筒状体11が内ねじ部21に進入しすることを防止することができる。また摺動方向Zの予め定める距離を超えて筒状体11を摺動方向一方Z1に変位させようとする力が筒状体11に作用しても、つば114が被保持体20に接触することによって、被保持体の内ねじ部21と環状部112の外ねじ部との間に生じる圧力をつば114によって分散することが可能となる。したがって被保持体の内ねじ部21と環状部112の外ねじ部との間に生じる圧力によって被保持体20および環状部112が破損することを防止することができる。
【0123】
また第1実施形態によれば、筒状体保持部121の外形は、四角柱状をしている。これによって筒状体保持部121を基体16に直接、摺動方向Zに摺動可能に接続するときに、該接続を行うための接続部位であるスライダ125を設けることが、筒状体保持部121の外形が円柱状であるときよりも、容易になる。
【0124】
また第1実施形態によれば、筒状体保持部121の筒状体保持部121の摺動方向他方Z2側の端部には、連結部126のコイルばねの内径に一致する外径を有する円筒状の端部121aが形成されており、連結部126のコイルばねは、筒状体保持部121の円筒状の端部121aに嵌まり込む。これによって可動体13の伝達部132が連結部126を変位させるときに、連結部126のコイルばねがX方向およびY方向に不安定に変位することを防止することができる。
【0125】
また第1実施形態によれば、摺動部131の摺動方向一方Z1側の面と摺動部131の円柱の側面とが交差する領域において、摺動部131は面取りされていてもよい。これによって摺動部131が筒状体11を移動し摺動して突出部111内に形成される内部空間52に進入するときに、摺動部131が突出部111の内周面から付与される圧力の摺動方向Zの成分を小さくし、X方向およびY方向の少なくとも1方向の成分を大きくすることができる。したがって摺動部131が、突出部111の内周面に対して、突出部111を摺動軸線から離反させる向きに外力を付与することが容易になる。またこれによって突出部111に対する摺動部131の摺動が容易になる。また摺動部131の摺動方向一方Z1側の端部には、摺動部131の一部を摺動方向一方Z1側に先細状に突出させた部分が設けられていてもよい。これによって被保持体の内ねじ部21が、摺動方向一方Z1側の内ねじの内径よりも摺動方向他方Z2側の内ねじの内径が大きい、テーパねじであるときに、突出部111を開張状態にして突出部111を被保持体の内ねじ部21に螺合させることができる。
【0126】
また第1実施形態によれば、駆動手段15はエアシリンダ151を含んでおり、ストッパ133よりも摺動方向他方Z2側の伝達部132はエアシリンダ151に接続される。これによって外ねじ部材を回転させて外ねじ部材によって被保持体20を保持することに比べて、可動体13を摺動方向Zに変位させることを短い時間内に行うことが可能となる。また環状部112が内ねじ部21に接触したときに、内ねじ部21から筒状体11に伝わる衝撃を、エアシリンダ151によって吸収することができる。したがって被保持体の内ねじ部21と環状部112の外ねじ部との間に生じる圧力によって被保持体20および環状部112が破損することを防止することができる。
【0127】
また第1実施形態において突出部111は非ねじ領域111bを有している。非ねじ領域111bは、突出部111が先細状態と開張状態とに変形を繰返すときに、屈曲と伸長を繰返す部分となる。したがって、外ねじの形成される外ねじ領域は変形しないので、変形を繰返しても突出部111が疲労することを防ぐことができる。
【0128】
また第1実施形態において摺動部131の摺動方向Zの長さは、開張状態における突出部111の摺動方向Zの長さ以上である。これによって、摺動部131が突出部111の内周面に摺動するときに、安定して摺動部131が突出部111を繰返して変形させることができる。
【0129】
また第1実施形態において筒状体11の少なくとも突出部111は、超弾性を有するTi−Ni合金から成るものとした。これによって、突出部111が弾性変形する範囲を大きくすることができる。したがって先細状態の突出部111が大きく変形しても、弾性復帰して開張状態に戻ることができる。また突出部111が変形を繰返しても、突出部111の疲労を防ぐことができ、変形に対して耐久性のある保持装置を実現することができる。
【0130】
また第1実施形態および第2実施形態において駆動手段は、エアシリンダを含んで構成されるものとした。これによって、複数の駆動手段を1つの圧縮空気供給コンプレッサによって同時に駆動することが容易になり、1つの駆動源によって複数の保持装置を稼動させることができる。これによって複数の内ねじ部21を有する被保持体を安定して保持することが容易になる。
【0131】
第1および第2実施形態において保持装置は、把持可能な部分がなく、構造が複雑で、メカニカルチャックでは保持が困難な被保持体であっても、保持することができる。またスリットまたは凹凸が多いために吸着可能な部分が少ない被保持体であっても、保持することができる。
【0132】
また第1実施形態および第2実施形態において摺動部131は、摺動部131の摺動軸線Zに垂直な断面の形状および面積が、環状部112の内部空間の、摺動軸線Zに垂直な断面の形状および面積と略同一に形成される。これによって、摺動部131が環状部112に進入し、突出部111の内周面に摺動して突出部111を摺動軸線L10から離れる方向に押し広げるとき、摺動部131が複数の突出部111に対して均等な外力を与え、各突出部111の外ねじの軸線が1つの仮想直線に一致するように、複数の突出部111を同時に変形させることが可能となる。したがって、突出部111の外ねじ領域111aが被保持体の内ねじ部21に螺合することを確実にすることができる。
【0133】
また他の実施形態において筒状体11は、Ti−Ni合金以外の金属であってもよい。突出部111をゴムではなく金属で形成することによって、磨耗による劣化に耐えるものとすることができる。
【0134】
第1実施形態において突出部111は、非ねじ領域111bを有しているけれども、他の実施形態において突出部111は、非ねじ領域111bを有していなくてもよい。すなわち、突出部111の外ねじ領域に形成されたねじと環状部112の外周面部に設けられたねじとが、連続して形成されていてもよい。
【0135】
また第1実施形態において、突出部111は、1つの筒状体11に4つ設けられるものとしたけれども、筒状体11に設けられる突出部111は複数であればよい。たとえば他の実施形態において筒状体11には、3つ、あるいは、5つ以上の突出部111が設けられていてもよい。
【0136】
また第1実施形態において摺動部131の摺動方向Zの長さは、開張状態における突出部111の摺動方向Zの長さ以上であるものとしたけれども、他の実施形態において摺動部131の摺動方向Zの長さは、開張状態における突出部111の摺動方向Zの長さ未満であってもよい。
【0137】
また第1実施形態において被保持体20に設けられる内ねじ部21は平行ねじとして形成されているものとしたけれども、他の実施形態において被保持体の内ねじ部21は、摺動方向一方Z1側の内ねじの内径よりも摺動方向他方Z2側の内ねじの内径が大きい、テーパねじであってもよい。
【0138】
また第1実施形態において筒状体保持部121に形成される長孔124は、係合突起部113が筒状体保持部121に対して摺動方向他方Z2に相対変位したときに、筒状体11が周方向一方R1に角変位するように設けられるけれども、他の実施形態において筒状体保持部121に形成される長孔は、係合突起部が筒状体保持部121に対して摺動方向他方Z2に相対変位したときに、筒状体11が周方向他方R2に角変位するように設けられていてもよい。
【0139】
また第1実施形態において環状部112に形成されるつば114を摺動方向Zに見たときの外形は、円形状をしているけれども、環状部112に形成されるつばは、これを摺動方向Zに見たときの断面が、開張状態における突出部111が螺合する内ねじの内部空間を、摺動方向Zに見たときの断面よりも大きければ、足りる。たとえば他の実施形態においてつばを摺動方向Zに見たときの外形は、矩形であってもよく、さらに他の実施形態においては矩形以外の多角形であってもよい。
【0140】
また第1実施形態において角変位阻止部123にはD孔が形成され、これに嵌まり込む伝達部132の摺動方向Zに垂直な断面形状はD形であるものとしたけれども、伝達部132が挿入される角変位阻止部123の孔および伝達部132の摺動方向Zに垂直な断面形状は、伝達部132に対して角変位阻止部123が、摺動軸線まわりに角変位手段が角変位することを阻止する構造を含んでいれば、足りる。たとえば他の実施形態において角変位阻止部123の孔の形状は、鍵穴状で、伝達部132がキー溝にキーが嵌まり込んだ形状であってもよい。
【0141】
また第1実施形態においてステップa1の摺動方向Z駆動工程は、摺動方向Z駆動手段32が、被保持体の保持装置10を摺動方向他方Z2に変位させるとしたけれども、他の実施形態においてステップa1の摺動方向Z駆動工程は、可動体13の摺動方向一方Z1への変位によって筒状体保持部121および筒状体11を摺動方向一方Z1に変位させ、筒状体11の環状部112を被保持体の内ねじ部21に接触させる工程としてもよい。
【0142】
また第1実施形態において搬送装置30は、4つの被保持体の保持装置10を同時に移動させることによって被保持体20の搬送を行うけれども、他の実施形態において搬送装置は、少なくとも1つの被保持体の保持装置10を搭載していればよく、搭載する被保持体の保持装置10の数は、規定しない。
【0143】
また第1実施形態においてアーム312bは、摺動方向Zが長手方向となるように形成された2つの部材と該2つの部材を互いに固定する複数の部材とを含む、梯子状の形状としたけれども、アームは、固定板をナット固定板およびアーム固定板に対して固定する部材であれば、足りる。たとえば他の実施形態においてアームは、梯子状の形状ではなく、摺動方向Zが長手方向となるように形成された部材1つから形成されていてもよい。
【0144】
また第1実施形態において筒状体11の少なくとも突出部111は、Ti−Ni合金などの超弾性を有する合金であるものとしたけれども、本発明において筒状体11の材質は、特に規定しない。たとえば他の実施形態において筒状体11は、樹脂あるいは超弾性を有していない金属から成る部材としてもよい。
【0145】
また第1実施形態において搬送装置30は、被保持体20を移動させる手段として、摺動方向Zに移動させるための摺動方向Z駆動手段32と、X方向に移動させるためのX方向駆動手段33とを有するとしたけれども、他の実施形態において搬送装置は、被保持体の保持装置10、摺動方向Z駆動手段32、X方向駆動手段33をY方向に駆動させる手段を、さらに有していてもよい。またさらに他の実施形態においては、被保持体20を旋回させる手段を有していてもよいし、摺動方向Z駆動手段32およびX方向駆動手段33を旋回させる手段を有していてもよい。また、メカニカルチャックおよび吸着パッドなどを併用する構成とすることも可能である。
【0146】
また本実施形態によれば、筒状体保持部121に形成される長孔は、係合突起部が筒状体保持部121に対して摺動方向他方Z2に相対変位したときに、筒状体11が周方向他方R2に角変位するように設けられていてもよい。これによって被保持体20に形成される内ねじが左ねじである被保持体20を保持することも可能となる。
【0147】
また本発明によれば、ステップa1の摺動方向Z駆動工程は、可動体13の摺動方向一方Z1への変位によって筒状体保持部121および筒状体11を摺動方向一方Z1に変位させ、筒状体11の環状部112を被保持体の内ねじ部21に接触させる工程としてもよい。これによって環状部112が内ねじ部21に接触したときに、内ねじ部21から筒状体11に伝わる衝撃を、連結部126によって吸収することができる。また該衝撃をエアシリンダ151によって吸収することができる。したがって被保持体の内ねじ部21から筒状体11に伝わる衝撃によって被保持体20および環状部112が破損することを防止することができる。
【0148】
また本発明において筒状体11を樹脂からなる部材とすることによって、筒状体11を軽量化することができるので、被保持体の保持装置の軽量化を図ることができる。
【0149】
また本発明に係る搬送装置が、被保持体の保持装置10、摺動方向Z駆動手段32、X方向駆動手段33をY方向に駆動させる手段を、さらに有するもとのすることによって、Y方向にも被保持体20を搬送することが可能となる。また被保持体20を旋回させる手段を有する、または、摺動方向Z駆動手段32およびX方向駆動手段33を旋回させる手段を有していてもよい。これによって目的位置を変更することが可能となり、汎用性の高い搬送装置を実現することができる。
【実施例】
【0150】
図12は、本発明の第1実施形態において筒状体11を作製する工程の各段階を表す、筒状体11の側面図である。図13は、本発明の第1実施形態において筒状体11を作製する工程を表すフローチャートである。本処理に先立って、筒状体11のつば114は、環状部112となる部分の外周面上の一部に設けられている。筒状体11を除けば、筒状体11は円柱状をしている。
【0151】
本処理開始後、ステップc1のねじ形成工程に移行し、つば114よりも摺動方向一方Z1側に、外ねじを形成する。該外ねじの軸線は、筒状体11の円柱の軸線に一致させる。次にステップc2のねじ山削除工程に移行し、つば114近傍の外ねじから約1周摺動方向一方Z1側に離れた外周面部のねじ山を、摺動方向Zに2〜3周、周囲360°にわたって削除する。これによって非ねじ領域111bが形成される。次いでステップc3の切除工程に移行し、突出部111となる外周面部を残し、突出部111となる外周面部とこれに隣り合う外周面部との間を切削する。これによって突出部111の外ねじ領域111aが残される。次にステップc4の内部空間形成工程に移行し、筒状体11となる部材の中心線に沿って孔を形成する。これによって開張状態と同様の形状をした部材が形成され、環状部112および突出部111が形成される。次いでステップc5の突出部折り曲げ工程に移行し、突出部111を、突出部111に外力が作用しない状態で先細状態となるように突出部111の摺動方向他方Z2側の端部を折り曲げ、突出部111の摺動方向一方Z1側の端部を筒状体11の円筒の軸線に近づける。次にステップc5の係合突起部形成工程に移行し、つば114よりも摺動方向他方Z2側の端部付近の外周面部に、係合突起部を取り付ける。これによって係合突起部113が形成される。その後、本処理は終了する。
【0152】
つば114は、筒状体11を筒状体保持部121に挿入した後に、係合突起部を取り付ける。この筒状体11の作製方法は一例であって、他の方法によって作製されてもよい。たとえば、筒状体11の内部空間を先に形成して、その後に突出部111を形成する方法であってもよい。
【0153】
図14は、本発明の第2実施形態に係る被保持体の保持装置10Aの側面図である。第2実施形態に係る保持装置10Aは、保持すべき対象物である被保持体20を保持する装置である。第2実施形態に係る保持装置10Aも第1実施形態に係る搬送装置に取付け可能である。保持装置10Aが被保持体20を保持した状態で、移動装置によって搬送されることによって、保持した被保持体20を搬送することができる。
【0154】
第2実施形態に係る保持装置10Aは、筒状体11Aと、可動体13Aと、駆動手段15と、基体16と、連結体17とを含んで構成される。これらのうち、駆動手段15と、基体16とは、第1実施形態におけるものと同じものであるとする。保持装置10Aの可動体13Aは、基体16に対して摺動方向Zに移動可能に、駆動手段15を介して間接的に基体16に連結される。筒状体11Aには、可動体13Aが摺動方向Zに進入可能な内部空間が形成され、基体16に対して連結される。
【0155】
図15は、本発明の第2実施形態における筒状体11Aを部分的に断面図で示した側面図である。筒状体11Aは、突出部111Aと、環状部112Aと、つば114Aと、筒状体11Aのスライダ116を含んで構成される。環状部112Aは、摺動軸線まわりに一周する形状である。突出部111Aは、環状部112Aの摺動方向一方Z1の端部から摺動方向一方Z1に突出して、形成される。
【0156】
1つの筒状体11A11には突出部111Aが複数形成されており、複数の突出部111Aは、摺動軸線まわりに周方向に間隔をあけて並ぶ。先細状態において突出部111Aの内周部分および外周部分は、摺動方向一方Z1に進むにつれて摺動軸線に近接して延びる形状であり、開張状態において突出部111Aの内周部分および外周部分は、先細状態に比べて摺動軸線に対して垂直な方向に離れる形状である。突出部111Aは、先細状態から開張状態に弾性変形可能であり、開張状態から先細状態に弾性復帰が可能である。突出部111A内の内部空間115Aに摺動部131Aが挿入され、摺動部131Aが環状部112Aおよび突出部111Aの内周面に摺動することによって、先細状態の突出部111Aは弾性変形し、開張状態となる。
【0157】
可動体13Aが摺動方向一方Z1に変位すると、可動体13Aの摺動によって先細状態であった突出部111Aは内周面から押されて摺動軸線から離れ、開張状態となる。突出部111Aの、内ねじ部21への係合は、突出部111Aが先細状態から開張状態に弾性変形することによって行われる。先細状態において、突出部111Aは被保持体20の内ねじ部21には係合せず、筒状体11Aを摺動方向一方Z1に移動させて突出部111Aを被保持体の内ねじ部21に挿入した後、突出部111Aを開張状態とすることで、突出部111Aは内ねじ部21に対して係合する。
【0158】
突出部111Aは、その外周部分の少なくとも一部に、可撓性および弾発性を有する可撓性領域116を含む。可動体13Aが突出部111Aを内周面から押し広げ、突出部111Aが被保持体の内ねじ部21内で開張状態となったときに、可撓性部材116は、内ねじ部21に当接し、内ねじ部21の内周面の両面から圧力を受ける。可撓性部材116は可撓性を有しているので、内ねじ部21のねじの形状に沿って変形される。これによって内ねじ部21との摩擦力が生じ、被保持体20を保持することができる。
【0159】
開張状態となった突出部111Aの内部には可動体13Aが位置するので、可撓性部材116が内ねじ部21の内周面から圧力を受けたときに、可撓性部材116は、その厚みの範囲内では変形するけれども、その範囲を超えて変形することは突出部111Aおよび可動体13Aによって阻止される。また可撓性部材116は弾発性を有するので、内ねじ部21への当接によって変形しても、被保持体20の保持を解除した後、保持する前の形状に復帰する。これによって被保持体20の保持とその解除を繰返し行うことができる。
【0160】
環状部112Aおよび複数の突出部111Aの内部には、内部空間115Aが形成される。可動体13Aは、摺動部131Aと伝達部132Aと、ストッパ133Aとを含み、構成される。筒状体11Aの環状部112Aおよび可動体13Aの摺動部131Aは四角柱状に形成されている。環状部112Aおよび突出部111Aの内部には、可動体13Aの摺動部131Aが侵入し、摺動するための内部空間115Aが形成されている。
【0161】
環状部112Aの外周面および内周面の摺動方向Zに垂直な断面形状は矩形であり、摺動部131Aの摺動方向Zに垂直な断面の形状も矩形である。摺動部131Aの四角柱の軸線方向と摺動方向Zは一致しており、摺動部131Aの四角柱の軸線が、第2実施形態における摺動軸線である。摺動部131Aの摺動方向Zに垂直な断面の面積は、環状部112Aの内部空間の摺動方向Zに垂直な断面の面積と略同一である。
【0162】
また筒状体11Aは基体16に対して摺動方向Zに摺動可能に、基体16に直接機械的に接続されており、基体16との接続部位として、筒状体11Aのスライダ116を有している。スライドレール161の摺動方向一方Z1の端部には、筒状体11Aの摺動方向一方Z1への変位を防止するストッパ161aが設けられている。ストッパ161aは、スライドレール161に固定されている。筒状体11Aのスライダ116がスライドレール161に対して摺動し、摺動方向一方Z1に変位しても、筒状体11Aのスライダ部分は、ストッパ161aに摺動方向他方Z2側から当接する位置よりも、摺動方向一方Z1に変位することはない。また筒状体11Aの環状部112Aと可動体13Aのストッパ133Aとは、連結体17によって弾発的に接続されており、連結体17の弾発性によって筒状体11Aは基体16に対して摺動方向Zに弾発的に保持される。
【0163】
筒状体11Aの環状部112Aよりも摺動方向一方Z1側には、複数の突出部111Aが形成される。環状部112Aの摺動方向一方Z1の端部の外周面部にはつば114Aが形成される。つば114Aを摺動方向Zに見たときの外形は、正方形をしており、その一辺は、環状部112Aの摺動方向Zに垂直な断面が成す正方形の一辺よりも長い。第2実施形態において環状部112Aの外周面部にはねじは形成されない。
【0164】
突出部111Aの摺動方向他方Z2側の端部は環状部112Aとつながっている。第2実施形態において突出部111Aは、1つの筒状体11Aに4つ設けられ、突出部111Aの外周面部には外ねじは形成されない。複数の突出部111Aが形成する内部空間115Aに可動体13Aの摺動部131Aが位置していないときには、複数の突出部111Aは、先細状態であり、複数の突出部111Aが形成する内部空間115Aに可動体13Aの摺動部131Aが位置したときには、各突出部111Aは開張状態となる。開張状態から先細状態への変形は、環状部112Aに連結される突出部111Aの摺動方向他方Z2側の端部が弾性復帰することによって行われる。先細状態における突出部111Aを包囲することのできる、摺動方向Zに軸線を持つ最小径の仮想的な円筒の直径は、開張状態における突出部111Aを包囲することのできる、摺動方向Zに軸線を持つ最小径の仮想的な円筒の直径以下である。
【0165】
図16は、本発明の第2実施形態における開張状態の筒状体11Aを、部分的に断面図で示した側面図である。可撓性部材117は、可撓性および弾発性を有する部材であり、第2実施形態において可撓性部材117はゴムによって形成される。可撓性部材117は、突出部111Aの外周面に固着される。突出部111Aが開張状態となると、被保持体の内ねじ部21の内周面に可撓性部材117が押付けられる。押付けられた可撓性部材117は内ねじ部21のねじに接触し、該ねじの形状に合わせて変形する。開張状態となった突出部111Aの内部には可動体13Aが位置するので、可撓性部材117が内ねじ部21の内周面から圧力を受けたときに、可撓性部材117は、その厚みの範囲内では変形するけれども、その範囲を超えて変形することは突出部111Aおよび可動体13Aによって阻止される。
【0166】
可動体13Aの摺動部131Aは伝達部132Aよりも摺動方向一方Z1側に位置しており、摺動部131Aの摺動方向Zの長さは開張状態における突出部111Aの摺動方向Zの長さ以上であるものとする。摺動部131Aの摺動方向他方Z2側には伝達部132Aが接続されている。摺動部131Aの摺動方向Zの変位は、伝達部132Aが摺動方向Zに変位することによって行われる。伝達部132Aの摺動方向Zに垂直な断面の形状および大きさは、摺動部131Aの摺動方向Zに垂直な断面の形状および大きさと同じである。伝達部132Aの外周面上の摺動方向Zの途中部分にはストッパ133Aが形成されており、伝達部132Aはストッパ133Aを介して連結体17と接続される。これによって伝達部132Aの摺動方向Zの変位は、連結体17を介して筒状体11Aに伝えられ、筒状体11Aを摺動方向Zに変位させる。ストッパ133Aよりも摺動方向他方Z2側の伝達部132Aの少なくとも一部は駆動手段15の一部に収納される。第2実施形態において駆動手段15はエアシリンダ151およびエアシリンダ151に圧縮空気を供給する圧縮空気供給コンプレッサ152であり、ストッパ133Aよりも摺動方向他方Z2側の伝達部132Aの少なくとも一部はエアシリンダ151内に収納される。
【0167】
連結体17は圧縮コイルばねで形成される。連結体17の摺動方向一方Z1側の端部は、筒状体11Aの摺動方向他方Z2側の端部に連結されており、連結体17の摺動方向他方Z2側の端部は可動体13Aのストッパ133Aに連結されている。これによって伝達部132Aが基体16に対して摺動方向Zに変位すると、筒状体11Aも基体16に対して摺動方向Zに弾発的に変位する。連結体17の摺動方向一方Z1側の端部が接触する筒状体11Aの端部には、連結体17のコイルばねの内径に一致する外径を有する円筒状の端部が形成されており、連結体17のコイルばねは筒状体11Aの円筒状の端部に嵌まり込む。該円筒状の端部よりも摺動方向一方Z1側の筒状体11Aの、摺動方向Zに垂直な断面は、筒状体11Aの円筒状の端部の外径よりも長い一辺を有する正方形である。これによって連結体17の摺動方向一方Z1側の端部が筒状体11Aに対して摺動方向一方Z1に変位することは阻止される。
【0168】
連結体17の摺動方向他方Z2側の端部が接触する可動体13Aのストッパ133Aには、連結体17のコイルばねの内径に一致する外径を有する円筒状の端部が形成されており、連結体17のコイルばねはストッパの円筒状の端部に嵌まり込む。該円筒状の端部よりも摺動方向他方Z2側のストッパ133Aは、連結体17が嵌まり込むストッパの円筒状の端部の外径よりも長い一辺を有する正方形である。これによって連結体17の摺動方向他方Z2側の端部がストッパ133Aに対して摺動方向一方Z1に変位することは阻止される。
【0169】
第2実施形態によれば、筒状体11Aの突出部111Aは、先細状態と開張状態とに変形可能である。先細状態において突出部111Aは、摺動方向一方Z1に向かうに従って先細となる形状であり、開張状態において突出部111Aは先細状態のときよりも摺動軸線から離れた形状となる。これによって先細状態においては筒状体11Aを被保持体の内ねじ部21に係合させず、筒状体11Aを摺動方向一方Z1に移動させて突出部111Aを被保持体の内ねじ部21に挿入した後、突出部111Aを開張状態とすることで、筒状体11Aを内ねじ部21に対して係合させることが可能となる。筒状体11Aの内ねじ部21への係合は、突出部111Aが先細状態から開張状態に弾性変形することで行われる。可動体13Aが摺動方向一方Z1に変位すると、可動体13Aの摺動によって先細状態であった突出部111Aは内周面から押されて摺動軸線から離れ、開張状態となり、筒状体11Aは被保持体20の内ねじと係合することができる。したがって筒状体11Aを被保持体の内ねじ部21に係合させた状態で筒状体11Aを内ねじの軸線まわりに回転させる必要がない。
【0170】
よって外ねじ部材を回転させることによって内ねじ部21に外ねじ部材を螺合させることに比べて、螺合に必要な摺動の距離を短くすることができる。したがって外ねじ部材を回転させて外ねじ部材によって被保持体20を保持することに比べて、短い時間に被保持体20の保持および保持の解除を行うことができる。また内ねじ部21に係合させた状態で筒状体11Aを内ねじの軸線まわりに回転させる必要がないので、外ねじ部材を回転させることによって内ねじ部21に外ねじ部材を螺合させる機構に比べて、簡単な機構によって筒状体11Aを被保持体の内ねじ部21に係合させることが可能となる。
【0171】
また筒状体11Aは、突出部111Aの外周面上に、可撓性部材117を有している。該可撓性部材117は可撓性および弾発性を有しているので、可動体13Aが突出部111Aを内周面から押し広げ、突出部111Aが被保持体の内ねじ部21内で開張状態となったときに、可撓性部材117が突出部111Aと内ねじ部21との両方に接触し、突出部111Aの外周面および内ねじ部21の内周面の両面から圧力を受ける。可撓性部材117は可撓性を有しているので、内ねじ部21のねじの形状に沿って変形される。これによって内ねじ部21との摩擦力が生じ、被保持体20を保持することができる。開張状態となった突出部111Aの内部には可動体13Aが位置するので、可撓性部材117が内ねじ部21の内周面から圧力を受けたときに、可撓性部材117は、その厚みの範囲内では変形するけれども、その範囲を超えて変形することは突出部111Aおよび可動体13Aによって阻止される。
【0172】
したがってバルーンの外表面を空気圧によって内ねじ部21の内面に押付け、バルーンの外表面と内ねじ部21の内面との摩擦力によって被保持体20を保持する装置に比べて、被保持体20を強固に保持することができる。また開張状態での係合状態において、被保持体の内ねじ部21の内周面に接するのは可撓性部材117であるので、被保持体の内ねじ部21のねじ溝の深さ、フランク角、ねじのピッチが異なる、複数の種類の内ねじに対応し、複数の種類の被保持体20を保持することができる。したがって突出部111Aの外側に可撓性部材117を有することで汎用性の高い、保持装置10Aを実現することができる。
【0173】
また可撓性部材117は弾発性を有するので、内ねじ部21との接触によって変形しても、被保持体20の保持を解除した後、保持する前の形状に復帰する。したがって被保持体20の保持とその解除を繰返し行うことができる。また、突出部111Aは、先細状態から開張状態に弾性変形が可能である。これによって突出部111Aは開張状態から先細状態に弾性復帰することが可能であるので、弾性復帰によって被保持体20の保持を解除することができ、被保持体20の保持および保持の解除を繰返すことができる。したがって簡単な機構を有し、内ねじ部21を有する被保持体20を短時間に強固に保持する、保持装置10Aを提供することができる。
【0174】
第2実施形態において可撓性部材117はゴムとしたけれども、可撓性部材は可撓性と弾発性を有していれば、足りる。たとえば他の実施形態において可撓性部材は、樹脂から形成されるスポンジ状の部材でもよく、さらに他の実施形態においては布であってもよい。
【0175】
また第2実施形態において筒状体11Aの環状部112Aおよび可動体13Aの摺動部131Aは四角柱状としたけれども、第1実施形態における環状部112および摺動部131と同様に、円柱状としてもよい。また第2実施形態に係る保持装置10Aは、筒状体11Aと、可動体13Aと、連結体17と、駆動手段15と、基体16とを含み、構成されるとしたけれども、第1実施形態における角変位手段12をさらに有していても良い。また第2実施形態において筒状体11Aの環状部112Aの外周面部にはねじは形成されていないけれども、第1実施形態における環状部112と同様に、環状部112の外周面部に外ねじが形成されていてもよい。
【0176】
また本発明によれば、可撓性部材117は可撓性と弾発性を有していれば、足りる。たとえば他の実施形態において可撓性部材は、樹脂から形成されるスポンジ状の部材でもよく、さらに他の実施形態においては布であってもよい。これによって被保持体の内ねじ部21に接触する部分を、ゴムよりもさらに小さな力で大きく変形する部材とすることができる。したがって内ねじ部21を傷つけることなく被保持体20を保持することが容易となる。
【0177】
また本発明によれば、筒状体11Aの環状部112および可動体13Aの摺動部131Aは、第1実施形態における環状部112および摺動部131と同様に、円柱状としてもよく、筒状体11Aは、基体と直接機械的に接続されるための筒状体11Aのスライダを省略してもよい。また被保持体の保持装置は、第2実施形態の構成に加えて、第1実施形態における角変位手段12をさらに有していても良い。また筒状体11Aの環状部112は、第1実施形態における環状部112と同様に、外周面部に外ねじが形成されていてもよい。これによって角変位手段が筒状体11Aを摺動軸線まわりに角変位させることが可能となり、筒状体11Aの環状部112が被保持体の内ねじ部21に嵌合することが可能となる。したがって筒状体11Aが被保持体の内ねじ部21に接触するときに、内ねじ部21と筒状体11Aの突出部111との位置関係を、精確に決定することが容易となる。
【0178】
第1および第2実施形態における角変位手段12は、筒状体保持部121、スライダ125、連結部126を含んで構成されるとしたけれども、他の実施形態において角変位手段は、筒状体11を基体に対して角変位させることができれば、足りる。たとえば、モータ、またはソレノイドを用いた機構によって実現されていてもよい。
【0179】
第1および第2実施形態に係る保持装置および搬送装置は、被保持体を保持および搬送するための装置として、説明したけれども、他の実施形態において保持装置は、内ねじを有する
第1および第2実施形態において駆動手段は、エアシリンダを含んで構成されたけれども、他の実施形態において駆動手段はリニアモータを含んで構成されていてもよい。
【0180】
第1および第2実施形態において摺動方向は鉛直方向であるものとしたけれども、他の実施形態において摺動方向は、鉛直方向に対して角度を成して設定されていてもよい。
【0181】
第1および第2実施形態についての図面において、ねじは三角ねじで表されているけれども、ねじの種類については規定しない。たとえば、二条ねじ、インチねじ、メートル並目ねじ、角ねじ、丸ねじなどであってもよい。
【0182】
また他の実施形態において保持装置は、筒状体11のつば114と筒状体保持部121との間に圧縮コイルばねを設け、筒状体11のつば114と筒状体保持部121とを圧縮コイルばねによって離反させる機構を備えていてもよい。これによって摺動方向Zが鉛直方向に対して角度を成す場合にも、被保持体を保持することが可能となり、汎用性の高い保持装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明の第1実施形態に係る保持装置10の一部を切断して示す側面図である。
【図2】先細状態における筒状体11を示す側面図である。
【図3】開張状態における筒状体11を示す側面図である。
【図4】図3のA−A切断面線で切断して示す筒状体11の断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態における角変位手段12の角変位阻止部123を、図1に示す切断面線B−Bで切断して見た断面図である。
【図6】図1の切断面線C−Cで切断して見た断面図である
【図7】本発明の第1実施形態に係る被保持体の保持装置10が被保持体20を保持する工程を表すフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施形態に係る被保持体の保持装置10が被保持体20を保持する工程を表す、被保持体の保持装置10の側面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る搬送装置30の側面図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る搬送装置30の電気的接続関係を表したブロック図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る搬送装置30による、被保持体の搬送工程を表したフローチャートである。
【図12】本発明の第1実施形態において筒状体11を作製する工程の各段階を表す、筒状体11の側面図である。
【図13】本発明の第1実施形態において筒状体11を作製する工程を表すフローチャートである。
【図14】本発明の第2実施形態に係る被保持体の保持装置10Aの側面図である。
【図15】本発明の第2実施形態における筒状体11Aを部分的に断面図で示した側面図である。
【図16】本発明の第2実施形態における開張状態の筒状体11Aを、部分的に断面図で示した側面図である。
【図17】第1の従来技術の保持装置1を示す側面図である。
【図18】第2の従来技術の保持装置5を示す側面図である。
【符号の説明】
【0184】
10 被保持体の保持装置
11 筒状体
12 角変位手段
13 可動体
15 駆動手段
16 基体
17 連結体
20 被保持体
21 被保持体の内ねじ部
30 搬送装置
32 摺動方向Z駆動手段
112 環状部
113 係合突起部
114 つば
121 筒状体保持部
123 角変位阻止部
124 長孔
126 連結部
131 摺動部
132 伝達部
151 エアシリンダ
312 支持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内ねじ部が形成される被保持体を保持するための保持装置であって、
基体と、
基体に対して予め定められる摺動軸線に沿う摺動方向に移動可能に、基体に連結される可動体と、
基体に設けられ、可動体を摺動方向に変位駆動する駆動手段と、
可動体が摺動方向に進入可能な内部空間が形成されて、基体に連結される筒状体とを含み、
筒状体は、
摺動軸線に関して環状に形成される環状部と、
環状部の摺動方向一方の端部から摺動方向一方に突出して、外周部分の少なくとも一部に外ねじが形成される外ねじ領域を有し、かつ摺動軸線まわりに周方向に間隔をあけて並ぶ複数の突出部であって、内周部分および外周部分が摺動方向一方に進むにつれて摺動軸線に近接して延びる先細状態から、先細状態に比べて各突出部が摺動軸線に対して垂直な方向に離れる開張状態に弾性変形可能な複数の突出部とを有することを特徴とする保持装置。
【請求項2】
先細状態では、突出部の最大外径が環状部の外径未満に設定されることを特徴とする請求項1記載の保持装置。
【請求項3】
開張状態では、各突出部の外周部分が摺動軸線に平行に延びて、各突出部のそれぞれの外ねじの軸線が1つの仮想直線に一致することを特徴とする請求項1または2記載の保持装置。
【請求項4】
筒状体を摺動軸線まわりに角変位駆動する角変位手段をさらに含み、
前記環状部の外周部分の少なくとも一部には、開張状態において、突出部の外周部分に形成される外ねじを前記摺動方向他方に延長した仮想的な外ねじに沿う外ねじが形成されことを特徴とする請求項3記載の保持装置。
【請求項5】
前記角変位手段は、
筒状体を予め定める範囲で摺動方向および摺動軸線まわりに変位可能に保持して、基体に連結される筒状体保持部と、
筒状体が筒状体保持部に対して摺動方向に変位することに伴って、筒状体保持部に対して筒状体を摺動軸線まわりに角変位させるように案内する案内部とを有することを特徴とする請求項4記載の保持装置。
【請求項6】
前記角変位手段は、
筒状体保持部を基体に対して、摺動方向に変位可能に弾発的に連結する連結部と、
筒状体保持部が基体に対して摺動軸線まわりに角変位することを阻止する角変位阻止部とをさらに有することを特徴とする請求項5記載の保持装置。
【請求項7】
可動体は、筒状体の内部空間に進入し筒状体の内周面に対して摺動する摺動部と、摺動部に接続され、駆動手段によって摺動方向に変位駆動されて、駆動手段から与えられる動力を摺動部に伝達する伝達部とを有し、
前記連結部は、可動体の伝達部と、筒状体保持部とを弾発的に連結することを特徴とする請求項6記載の保持装置。
【請求項8】
内ねじが形成される被保持体を保持するための保持装置であって、
基体と、
基体に対して予め定められる摺動軸線に沿う摺動方向に移動可能に、基体に連結される可動体と、
基体に設けられ、可動体を摺動方向に変位駆動する駆動手段と、
可動体が摺動方向に進入可能な内部空間が形成されて、基体に連結される筒状体とを含み、
筒状体は、
摺動軸線に関して環状に形成される環状部と、
環状部の摺動方向一方の端部から摺動方向一方に突出して、外周部分の少なくとも一部が可撓性および弾発性を有する可撓性領域を有し、かつ摺動軸線まわりに周方向に間隔をあけて並ぶ複数の突出部であって、内周部分および外周部分が摺動方向一方に進むにつれて摺動軸線に近接して延びる先細状態から、先細状態に比べて各突出部が摺動軸線に対して垂直な方向に離れる開張状態に弾性変形可能な複数の突出部とを有することを特徴とする被搬送体の保持装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の保持装置と、
該保持装置の基体を移動させる移動手段とを有する搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−183637(P2008−183637A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17019(P2007−17019)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】