説明

保管庫

【課題】被保管物管理を容易にする保管庫用ユニットを提供すること。
【解決手段】被保管物を収納するものであって、操作者のIDを認証して扉の開閉許可を判断するID認証手段と、該ID認証手段の許可を受けて、保管庫1の扉3を開放状態とする保管庫開閉手段5とを備える保管庫1に用いられる保管庫用ユニット10であって、個々の被保管物に接触式ICチップが取り付けられ、接触式ICチップに設けられた2つの端子と接触することにより、接触式ICチップのデータを読み込むICチップデータ読取り手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被保管物を収納する保管庫用ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、被保管物を収納する保管庫は、扉に認証装置が取り付けられ、本人認証できたときに開閉扉の電子錠を開錠し、被保管物を取り出せるようにする。これにより、使用権限のない利用者が被保管物を保管庫から取り出すことができず、被保管物のセキュリティを確保する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−255313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被保管物のセキュリティを確保するためには、保管庫にどのような被保管物が収納されているのかを保管庫側に認識させておく必要があるところ、保管庫のどこに何を入れるのかは利用者が決定する事項である。そのため、保管庫に収納する被保管物をコンピュータ管理しようとする場合には、利用者が被保管物の収納位置を決めてコンピュータに登録しなければならず、手間がかかっていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、被保管物管理を容易にする保管庫用ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る保管庫用ユニットは以下の構成を有する。
(1)被保管物を収納するものであって、操作者のIDを認証して扉の開閉許可を判断するID認証手段と、該ID認証手段の許可を受けて、保管庫の扉を開放状態とする保管庫開閉手段とを備える保管庫に用いられる保管庫用ユニットであって、前記個々の被保管物に接触式ICチップが取り付けられ、前記接触式ICチップに設けられた2つの端子と接触することにより、接触式ICチップのデータを読み込むICチップデータ読取り手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
(2)(1)に記載の発明において、前記ICチップデータ読取り手段の出力を受けて、被保管物の保管状況を記憶する被保管物記憶手段と、前記被保管物記憶手段の記憶しているデータを、前記保管庫の制御装置に送信するための通信手段とを有することを特徴とする。
【0008】
(3)(1)又は(2)に記載の発明において、ベース板の大きさが、前記保管庫の棚の面積とほぼ同じであり、前記ベース板を前記保管庫の棚に固定する固定手段を有することを特徴とする。
【0009】
(4)(1)乃至(3)に記載する発明のいずれか1つにおいて、前記被保管物が、書類ファイル、鍵ホルダー、CD、MO、PC、鍵、USBのいずれか1つであることを特徴とする。
【0010】
(5)(1)乃至(4)に記載する発明のいずれか1つにおいて、前記被保管物を前記保管庫用ユニットに収納するとき、前記接触式ICチップに設けられた2つ端子を前記ICチップデータ読取り手段に向かって付勢する付勢手段を有することを特徴とする。
【0011】
(6)(1)乃至(4)に記載する発明のいずれか1つにおいて、前記被保管物を前記保管庫用ユニットに収納するとき、前記接触式ICチップを前記ICチップデータ読取り手段の電極に擦れさせるICチップ擦れ手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記構成を有する本発明の保管庫用ユニットは、ICチップデータ読取り手段が被保管物に取り付けられた接触式ICチップのデータを読み取るので、保管庫用ユニットに収納される被保管物を利用者が入力しなくても、接触式ICチップのデータに基づいて自動入力することが可能である。よって、本発明の保管庫用ユニットによれば、被保管物管理を容易にすることができる。
【0013】
また、本発明の保管庫用ユニットは、ICチップデータ読取り手段が読み取ったデータを被保管物記憶手段に記憶し、被保管物記憶手段の記憶しているデータを保管庫の制御装置に送信する。そのため、保管庫用ユニットに収納する被保管物の数が多い場合でも、被保管物記憶手段に一時的に記憶させることができ、被保管物の管理を円滑に行うことができる。
【0014】
また、本発明の保管庫用ユニットは、ベース板の大きさが、保管庫の棚とほぼ同じであり、固定手段を用いてベース板を保管庫の棚に固定するので、固定手段を外さなければ保管庫用ユニットを保管庫から持ち出すことができず、保管庫用ユニットに収納される被保管物のセキュリティを確保できる。
【0015】
また、本発明の保管庫用ユニットは、書類ファイル、鍵ホルダー、CD、MO、PC、鍵、USBの何れか1つを被保管物にするので、保管庫用ユニットを交換するだけで、保管庫に収納する被保管物の種類を簡単に変更できる。
【0016】
また、本発明の保管庫用ユニットは、被保管物を保管庫用ユニットに収納するときに、接触式ICチップに設けられた2つの端子をICチップデータ読取り手段に向かって付勢し、接触式ICチップに設けられた2つの端子をICチップデータ読取り手段に接触させるようにしたので、接触式ICチップに記憶されるデータの読み取り不良を防止することができる。
【0017】
また、本発明の保管庫用ユニットは、被保管物を保管庫用ユニットに収納するとき、接触式ICチップをICチップデータ読取り手段の電極に擦れさせるので、接触式ICチップに記憶されるデータの読み取り不良を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明に係るの一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1実施形態)
<保管庫の概略構成>
図1は、第1実施形態に係る保管庫用ユニット10Aを取り付けられた保管庫1を示す外観斜視図である。
保管庫1には、一方に開口する筐体2に一対の扉3が回動可能に保持されている。扉3には、「ID認証手段」の一例である操作パネル4が取り付けられている。操作パネル4は、ICカード(図示せず)と交信してID認証を行うものである。筐体2には、「保管庫開閉手段」の一例である電子錠5が取り付けられ、扉3の開閉状態が制御される。但し、停電などの非常時には電子錠5を制御できないため、扉3には非常開錠鍵6が設けられている。筐体2と扉3は、耐火性や耐震性などを確保するために金属で形成されている。
【0020】
図2は、図1に示す保管庫1の扉3を開いた状態を示す。
保管庫1は、複数の棚7が筐体2に対して水平に固定され、筐体2の内部空間を仕切っている。筐体2の天板には、制御装置8がネジなどで固定されている。制御装置8の配線は、筐体2に設けられた取出孔2aから外部に引き出され、図示しないLANなどを介して図示しないサーバに接続される。このような保管庫1は、棚7の間に保管庫用ユニット10が固定されている。
【0021】
図3は、保管庫用ユニット10の外観斜視図である。
保管庫用ユニット10は、ベース板10bに背板10aが垂直に固定され、ベース板10bに仕切板10cが位置調節可能に設けられている。背板10aには、「ICチップデータ読取り手段」の一例である接触電極11が固定されている。接触電極11は、水平方向に長く敷設され、複数の書類ファイル15に設けられた接触式ICチップ16が接触するようになっている。
【0022】
書類ファイル15は、取付シート24が貼り付けられている。取付シート24には、接触式ICチップ16と被保管物用接触電極17とが接着剤などで固定され、既存の書類ファイル15に接触式ICチップ16を後付けできるようにされている。接触式ICチップ16は、取付先となる書類ファイル15に関するデータを記憶しており、IC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19に接続線21を介して接続されている。また、接続線21は、書類ファイル15の背表紙に接着剤などで固定されたLED22にも接続している。尚、本実施形態では、IC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19とが、特許請求の範囲に記載する「接触式ICチップに設けられた2つの端子」を構成する。
【0023】
保管庫用ユニット10にも、保管庫用ユニット10のデータを記憶するユニット用接触式ICチップ31が取り付けられている。ユニット用接触式ICチップ31は、接続線32を介してユニット用接触電極33とLED37に接続するとともに、接触電極11にも接続している。
【0024】
図4は、図3のA部拡大断面図である。
接触電極11は、背板10aから突き出している。接触電極11は、絶縁部12を挟んでプラス電極端子13とマイナス電極端子14を設けたサンドイッチ構造をなす。プラス電極端子13の先端部とマイナス電極端子14の先端部は、肉厚にされ、断面が外向きに張り出す半円状をなすストッパ13a、14aが設けられている。
【0025】
被保管物用接触電極17は、IC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19との間に絶縁部20を挟んだサンドイッチ構造をなす。IC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19は、端部を折り曲げられ、互いに近接する方向に向かってバネ性がもたせられている。以下の説明では、IC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19が最も近接し、接触電極11に接触する部位を第1接点18aと第2接点19aという。IC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19が弾性変形していない復帰状態では、第1接点18aと第2接点19aは接触電極11の厚さより小さい隙間を空け、不意な電流を接触式ICチップ16に流さないようにしている。IC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19は、第1接点18aと第2接点19aより先端部を外向きに折り曲げられ、ガイド部18bとガイド部19bがそれぞれ設けられており、接触電極11を第1接点18aと第2接点19aとの間に挿入しやすくしている。
【0026】
図5は、保管庫用ユニット10の検出構造を示す図である。
保管庫1の内側面には、保管庫用接触電極41が突設されている。保管庫用接触電極41は、絶縁部42の両側に保管庫用プラス電極端子43と保管庫用マイナス電極端子44を設けたサンドイッチ構造をなす。保管庫用プラス電極端子43と保管庫用マイナス電極端子44は、先端部が肉厚にされ、断面半円形状のストッパ部43a、44aがそれぞれ設けられている。保管庫用プラス電極端子43と保管庫用マイナス電極端子44は、保管庫1の制御装置8に接続されている。
【0027】
一方、ユニット用接触電極33も、ユニット用プラス電極端子34とユニット用マイナス電極端子35との間に絶縁部36を設けたサンドイッチ構造をなす。ユニット用プラス電極端子34とユニット用マイナス電極端子35は、端部を折り曲げられ、互いに近接する方向に向かってバネ性がもたせられている。以下の説明では、ユニット用プラス電極端子34とユニット用マイナス電極端子35が最も近接し、保管庫用接触電極41に接触する部位を第3接点34aと第4接点35aという。ユニット用プラス電極端子34とユニット用マイナス電極端子35が弾性変形していない復帰状態では、第3接点34aと第4接点35aは保管庫用接触電極41の厚さより小さい隙間を空け、不意な電流をユニット用接触式ICチップ31に流さないようにしている。ユニット用プラス電極端子34とユニット用マイナス電極端子35は、第3接点34aと第4接点35aより先端部を外向きに折り曲げられ、ガイド部34bとガイド部35bがそれぞれ設けられており、接触電極41を第3接点34aと第4接点35aとの間に挿入しやすくしている。
【0028】
図6は、書類ファイル15を検出するために保管庫1に設けられる電気回路を示す概念図である。
保管庫1の制御装置8には、保管庫用プラス電極端子43と保管庫用マイナス電極端子44とが接続している。保管庫用プラス電極端子43には、保管庫用ユニット10のユニット用プラス電極端子34が接続し、保管庫用プラス電極端子43からユニット用プラス電極端子34へ電流供給可能にされる。
【0029】
ユニット用プラス電極端子34は、LED37と抵抗38を介してユニット用マイナス電極端子35に接続されている。また、ユニット用プラス電極端子34とユニット用マイナス電極端子35との間には、LED37と並列にユニット用接触式ICチップ31が設けられている。マイナス電極端子35は、保管庫1に設けた保管庫用マイナス電極端子44に接続され、ユニット用接触式ICチップ31のデータを保管庫用マイナス電極端子44へ出力するようになっている。
【0030】
また、保管庫用ユニット10は、ユニット用マイナス電極端子35と並列にプラス電極端子13が設けられている。プラス電極端子13は、書類ファイル15に設けられた接触式ICチップ16などを介してマイナス電極端子14に接続される。
【0031】
書類ファイル15のIC側プラス電極端子18は、LED22と抵抗23を介してIC側マイナス電極端子19に接続されている。IC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19との間には、接触式ICチップ16がLED22と並列に設けられている。IC側マイナス電極端子19は、保管庫用ユニット10のマイナス電極端子14に接続され、接触式ICチップ16のデータをマイナス電極端子14に出力するようになっている。
【0032】
マイナス電極端子14に入力されたデータは、ユニット用マイナス電極端子35から保管庫用マイナス電極端子44を介して制御装置8へ出力される。
【0033】
<保管庫用ユニットの取付>
保管庫1に設けられた棚7の間に保管庫用ユニット10を挿入する。ユニット用接触電極33のユニット用プラス電極端子34とユニット用マイナス電極端子35とが、保管庫用接触電極41の保管庫用プラス電極端子43と保管庫用マイナス電極端子44とに接触すると、制御装置8から保管庫用接触電極41に供給された電流が、保管庫用プラス電極端子43からユニット用プラス電極端子34、ユニット用接触式ICチップ31、ユニット用マイナス電極端子35を介して保管庫用マイナス電極端子44へ流れる。この電流によってユニット用接触式ICチップ31が駆動する。ユニット用プラス電極端子34に供給された電流は、LED37にも流れ、LED37を点灯させる。従って、利用者は、LED37の発光を見て、ユニット用接触式ICチップ31を保管庫用接触電極41に適切に接触させるように保管庫用ユニット10を保管庫1に挿入したことを確認する。この状態で、保管庫用ユニット10を保管庫1にボルトなどで固定する。
【0034】
尚このとき、制御装置8は、保管庫用ユニット10にレイアウト問い合わせ信号を出力し、保管庫用ユニット10に関するデータを各保管庫用ユニット10に取り付けられたユニット用接触式ICチップ31から保管庫用接触電極41を介して取得する。制御装置8は、入力したデータを記憶し、必要に応じて上位装置へ転送する。これにより、制御装置及び上位装置が保管庫1のレイアウトを把握し、利用者が保管庫1のレイアウトを入力する手間がかからない。
【0035】
<書類ファイルの収納>
上記のようにして保管庫1に保管庫用ユニット10を固定したら、書類ファイル15を保管庫用ユニット10に挿入していく。書類ファイル15に設けられた被保管物用接触電極17のIC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19が、保管庫用ユニット10に設けられた接触電極11のプラス電極端子13とマイナス電極端子14とに接触すると、ユニット用プラス電極端子34に供給された電流が、プラス電極端子13から書類ファイル15のIC側プラス電極端子18、接触式ICチップ16、IC側マイナス電極端子19を介して接触電極11のマイナス電極端子14へ流れる。この電流によって接触式ICチップ16が駆動する。IC側プラス電極端子18に供給された電流は、LED22にも流れ、LED22を点灯させる。従って、利用者は、LED22の発光を見て、接触式ICチップ16を接触電極11に適切に接触させるように書類ファイル15を保管庫用ユニット10に挿入したことを確認する。
【0036】
利用者は、このようにLED22の発光を確認しながら、書類ファイル15を保管庫1に収納していく。書類ファイル15の収納が完了したら、扉3を閉じる。制御装置8は、扉3の閉状態を確認すると電子錠5を駆動し、扉3を施錠する。
【0037】
扉3の施錠をトリガとして、制御装置8は、書類ファイル15の有無を検出するためのファイル問い合わせ信号を保管庫用ユニット10に出力する。ファイル問い合わせ信号は、保管庫用ユニット10の保管庫側接触電極41、ユニット用接触電極33、接触電極11へと出力される。
【0038】
保管庫用ユニット10に収納されている書類ファイル15は、接触電極11にIC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19とを接触させているため、接触式ICチップ16が駆動して、ファイル問い合わせ信号に対する応答信号を接触電極11へ出力する。応答信号は、接触電極11からユニット用接触電極33、保管庫用接触電極41を介して制御装置8に入力される。制御装置8は、入力した応答信号を解析し、保管庫用ユニット10に収納されている書類ファイル15を認識する。
【0039】
<書類ファイルの貸出>
利用者が書類ファイル15を借りる場合には、先ず、非接触式ICカード(図示せず)を操作パネル5にかざす。すると、操作パネル5が非接触式ICカード(図示せず)と交信して識別番号を取得し、本人認証を行う。制御装置8は、識別番号が正当であると判断したときには、電子錠5を駆動して扉3を開錠する。このとき、制御装置8は、操作パネル4に設けた表示部に暗証番号の入力画面を表示し、暗証番号の一致を確認してから電子錠5を開錠するようにしてもよい。
【0040】
電子錠5が開錠したら、利用者は扉3を開き、所望の書類ファイル15を取り出す。
【0041】
書類ファイル15の取り出しに伴って、書類ファイル15に設けられたIC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19が、保管庫用ユニット10に設けられたプラス電極端子13とマイナス電極端子14に接触しなくなり、接触電極11が、取り出された書類ファイル15の接触式ICチップ16からデータを読み取れなくなる。
【0042】
そのため、利用者が扉3を閉じて施錠した後に、制御装置8がファイル問い合わせ信号を接触電極11に出力しても、取り出された書類ファイル15の接触式ICチップ16から応答信号を入力できない。制御装置8は、扉3の開閉前後のデータを比較して検出できたくなったデータを特定し、特定したデータに対応する書類ファイル15が貸し出されたことを認識する。
【0043】
<書類ファイルの返却>
一方、利用者が借りた書類ファイル15を返却する場合には、書類ファイル15の貸出時と同様に、非接触式ICカード(図示せず)を操作パネル4にかざして本人認証を行い、開錠された扉3を開く。そして、借りていた書類ファイル15を保管庫用ユニット10に挿入する。このとき、利用者は、LED22が点灯するように書類ファイル15を保管庫用ユニット10に挿入し、書類ファイル15のIC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19とを、保管庫用ユニット10に設けられたプラス電極端子13とマイナス電極端子14とに接触させる。
【0044】
その後、利用者が扉3を閉じて施錠すると、制御装置8がファイル問い合わせ信号を接触電極11に出力する。返却された書類ファイル15の接触式ICチップ16は、IC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19が保管庫用ユニット10のプラス電極端子13とマイナス電極端子14に接触し、データを読み取られる。そのため、ファイル問い合わせ信号を受信した接触式ICチップ16は、応答信号を接触電極11へ出力する。その応答信号は、接触電極11からユニット用接触電極33、保管庫用接触電極41を経由して制御装置8に入力される。制御装置8は、扉3の開閉前後のデータを比較して増加したデータを特定し、特定したデータに対応する書類ファイル15が返却されたことを認識する。
【0045】
<作用効果>
上記構成を有する本実施形態の保管庫用ユニット10は、接触電極11が書類ファイル15に取り付けられた接触式ICチップ16のデータを読み取り、その読み取り結果をユニット用接触電極33から保管庫用接触電極41を経由して保管庫1の制御装置8に送信するので、書類ファイル15の種別や保管位置などを保管庫1の制御装置8に認識させる。そのため、保管庫用ユニット10に収納される被保管物を利用者が入力しなくても、接触式ICチップ16のデータに基づいて保管庫1の制御装置8に自動入力することが可能である。よって、本実施形態の保管庫用ユニット10によれば、ファイル管理(被保管物管理)を容易にすることができる。
【0046】
また、本実施形態の保管庫用ユニット10は、ベース板10bの大きさが、保管庫1の棚7とほぼ同じであり、ねじなどの固定手段を用いてベース板10bを保管庫1の棚7に固定するので、固定手段を外さなければ保管庫用ユニット10を保管庫1から持ち出すことができず、保管庫用ユニット10に収納される書類ファイル15のセキュリティを確保できる。
【0047】
また、本実施形態の保管庫用ユニット10は、書類ファイル15を保管庫用ユニット10に収納するときに、第1接点18aと第2接点19aの間隔が接触電極11の幅より狭いため、IC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19が弾性変形した状態で第1接点18aと第2接点19aを接触電極11のプラス電極13とマイナス電極14に接触させる。そのため、IC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19は、自身の弾性力を用いて第1接点18aと第2接点19aを接触電極11に擦り合わせて接触させる。この意味で、IC側プラス電極端子18とIC側マイナス電極端子19は、「ICチップ擦れ手段」に相当する。よって、本実施形態の保管庫用ユニット10は、接触式ICチップ16に記憶されるデータの読み取り不良を防止することができる。
【0048】
(第2実施形態)
続いて、本発明の保管庫に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。図7は、保管庫用ユニット52を取り付けられた保管庫51を示す外観斜視図である。
本実施形態の保管庫用ユニット52は、被保管物が異なる保管庫用ユニット52A,52B,52C,52Dを組み合わせて取り付けられる点で第1実施形態と相違する。よって、ここでは第1実施形態と相違する点を中心に説明し、第1実施形態と共通する点は第1実施形態と同一符号を図面や説明に用い、説明を適宜省略することにする。
【0049】
保管庫51は、棚7の間に被保管物の異なる保管庫用ユニット52A,52B,52C,52Dを取り付けている。第1保管庫用ユニット52Aは、書類ファイル15を収納するためのものである。第2保管庫用ユニット52Bは、CD75又はMDを収納するためのものである。第3保管庫用ユニット52Cは、鍵93又はUSB99を収納するためのものである。第4保管庫用ユニット52Dは、パーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)113を収納するためのものである。第1〜第4保管庫用ユニット52A,52B,52C,52Dは、被保管物の検出方法が各々異なるので、各ユニット構造を以下に説明する。
【0050】
<第1保管庫用ユニットの構成>
第1保管庫用ユニット52Aは、棚7と略同一面積に形成されたベース板61に複数の仕切板62を着脱自在に取り付けたものである。ベース板61には、複数のICチップデータ読取部63が横一列に並んで設けられている。ICチップデータ読取部63は、第1読取部64と第2読取部65を書類ファイル15の収納方向に並べて配置している。収納方向に2つ並べて配置するのは、データの読み取り順序によって書類ファイル15の入庫と出庫を判別するためである。
【0051】
一方、書類ファイル15には、接触式ICチップ66がカバーに接着剤などで固定されている。接触式ICチップ66に設けられた第1端子67と第2端子68は、ベース板61の第1読取部64と第2読取部65に接触するように書類ファイル15のカバー下端部に設けられている。書類ファイル15には、第1接点67と第2接点68に流れる電流を利用して点灯するLED69が書類ファイル15の背表紙に取り付けられている。
【0052】
かかる第1保管庫用ユニット52Aは、第1読取部64と第2読取部65を保管庫51の制御装置8に接続するための中継装置70を備える。中継装置70は、周知のコンピュータ機能を有するものであり、第1読取部64と第2読取部65が読み取ったデータを記憶するメモリや、メモリに記憶したデータを保管庫51の制御装置8に送信する送信部を備える。
【0053】
本実施形態では、第1読取部64と第2読取部65が「ICチップデータ読取り手段」に相当し、第1接点67と第2接点68が「接触式ICチップに設けられた2つの端子」に相当する。また、中継装置70のメモリが「被保管物記憶手段」に相当し、中継装置70の送信部が「送信手段」に相当する。
【0054】
<第2保管庫用ユニットの構成>
図9は、第2保管庫用ユニット52Bを示す図である。
第2保管庫用ユニット52Bは、一方に開口する箱体71が隔壁72によって上下2段に仕切られ、上下段にそれぞれCD−ROM又はMOを60枚ずつ収納できるようにされている。本実施形態では、第2保管庫用ユニット52Bはケース76に入ったCD−ROM75を収納するものとする。尚、以下の説明では、ケースを含めてCD−ROM75というものとする。箱体71は、底面が棚7とほぼ同じ大きさにされ、棚7の間にほとんど隙間無く入り込む大きさにされている。箱体71にも仕切板74が着脱自在に設けられている。
【0055】
図10は、図9に示すCD−ROM75の収納構造を示す図である。
CD−ROM75は、ケース76に接触式ICチップ77が取り付けられている。接触式ICチップ77は、第1端子78と第2端子79がケース76の下端面から露出している。
【0056】
保管庫用ユニット52Bの箱体71には、第1端子78と第2端子79に接触する第1電極81と第2電極82が設けられている。第1電極81と第2電極82は、金属板を折り曲げたものである。第1電極81と第2電極82は、折り曲げた頂部がCD−ROM75の収納経路上に突き出すように箱体71に保持され、その突き出した頂部をCD−ROM75に押圧されることにより変形してCD−ROM75の進路を広げるように構成されている。変形した第1電極81と第2電極82は、弾性力を発生し、頂部を第1端子78と第2端子79に押しつける。この意味で、第1電極81と第2電極82は、「ICチップ擦れ手段」の役割も果たす。
【0057】
第1電極81と第2電極82の真上には、「付勢手段」の一例である第1付勢部材83と第2付勢部材84が設けられ、第1端子78と第2端子79を第1電極81と第2電極82に向かって押しつけるようにCD−ROM75を図中下向きに付勢している。
【0058】
箱体71の奥側には、リミットスイッチ85がCD−ROM75毎に設けられている。リミットスイッチ85には、接続線86を介してLED87が接続し、リミットスイッチ85がオン状態のときにLED87が発光するようになっている。
【0059】
かかる第2保管庫用ユニット52Bは、第1電極81と第2電極82を保管庫51の制御装置8に接続するための中継装置88を備える。中継装置88は、周知のコンピュータ機能を有するものであり、第1電極81と第2電極82が読み取ったデータを記憶するメモリや、メモリに記憶されるデータを保管庫51の制御装置8に送信する送信部などを備える。
【0060】
本実施形態では、第1電極81と第2電極82が「ICチップデータ読取り手段」に相当し、第1端子78と第2端子79が「接触式ICチップに設けられた2つの端子」に相当する。また、中継装置88のメモリが「被保管物記憶手段」に相当し、中継装置88の送信部が「送信手段」に相当する。
【0061】
<第3保管庫用ユニットの構成>
図11は、第3保管庫用ユニット52Cを示す図である。
第3保管庫用ユニット52Cは、箱状の本体91に複数(本実施形態では60個)の収納凹部92が設けられている。収納凹部92は、USB99のホルダ94又は鍵93のホルダ94を収納するように設けられている。尚、本実施形態では、鍵93とホルダ94、及び、USB99とホルダ94により特許請求の範囲の「被保管物」を構成するが、以下では説明の便宜上、被保管物としての鍵93又はUSB99というときにはホルダ94をそれぞれ含むものとする。
【0062】
図12は、図11に示す鍵93の収納構造を示す図である。
ホルダ94は、樹脂成形品であって、対向する側面にガイド溝94a,94bが設けられている。ガイド溝94bには、接触式ICチップ95が埋設されている。そして、ガイド溝94a,94bには、接触式ICチップ95に接続する第1接点96と第2接点97が露出して設けられている。ガイド溝94a,94bには、クリーンテープ98が各々貼り付けられ、第1接点96と第2接点97に接触する第1電極101と第2電極102に付着した酸化膜等の汚れを擦り取るようになっている。
【0063】
図13は、図12に示す鍵93の収納構造を上方から見た図である。
本体91の収納凹部92は、内側面に開口部が形成され、その開口部から第1電極101と第2電極102が露出している。第1電極101と第2電極102は、導電性を有する金属製板材を折り曲げて弾性を持たせたものであり、本体91に変形可能に保持されている。第1電極101と第2電極102は、頂部を収納凹部92に突き出し、頂部をホルダ94に押圧されたときには収納凹部92から退避するように変形し、頂部をホルダ94に押圧されなくなると自身の弾性力によって頂部を収納凹部92に突き出すように復元する。
【0064】
図12に示すように、収納凹部92には、リミットスイッチ103が配設され、ホルダ94によってスイッチをオン・オフされるようになっている。本体91には、LED104が取り付けられ、リミットスイッチ103がオン状態にされているときに点灯するようになっている。また、本体91には、ソレノイド105の駆動によって揺動する係止レバー106が内蔵され、ホルダ94の係合凹部94cに係止レバー106を係合させることにより鍵93の入出庫を制限するようになっている。
【0065】
かかる第3保管庫用ユニット52Cは、第1電極101と第2電極102を保管庫51の制御装置8に接続するための中継装置107を備える。中継装置107は、周知のコンピュータ機能を有するものであり、第1電極101と第2電極102が読み取ったデータを記憶するメモリや、メモリに記憶されたデータを保管庫51の制御装置8へ送信する送信部などを備える。
【0066】
本実施形態では、第1電極101と第2電極102が「ICチップデータ読取り手段」に相当し、第1接点96と第2接点97が「接触式ICチップに設けられた2つの端子」に相当する。また、中継装置107のメモリが「被保管物記憶手段」に相当し、中継装置107の送信部が「送信手段」に相当する。
【0067】
<第4保管庫用ユニットの構成>
図14は、第4保管庫用ユニット52Dの外観斜視図である。
第4保管庫用ユニット52Dは、金属製の箱体111に棚112を設け、ノート型パソコン(以下「ノートPC」という。)113を収納するようになっている。ノート型パソコン113には、セキュリティワイヤ114を介してホルダ94が取り付けられている。ホルダ94の構造は上述したので説明を省略する。箱体111には、棚112の間に制御装置115,115が配設されている。制御装置115には、収納凹部92が設けられている。収納凹部92の構造は上述したので説明を省略する。
【0068】
かかる第4保管庫用ユニット52Dは、制御装置115に設けられた第1電極101と第2電極102を保管庫51の制御装置8に接続するための中継装置116を備える。中継装置116は、周知のコンピュータ機能を有するものであり、制御装置115に設けられた第1電極101と第2電極102が読み取ったデータを記憶するメモリを備える。
【0069】
本実施形態では、制御装置115の第1電極101と第2電極102が「ICチップデータ読取り手段」に相当し、ホルダ94の第1接点96と第2接点97が「接触式ICチップに設けられた2つの端子」に相当する。また、中継装置116のメモリが「被保管物記憶手段」に相当し、中継装置116の送信部が「送信手段」に相当する。
【0070】
<保管庫用ユニットの取付>
第1〜第4保管庫用ユニット52A〜52Dは、各中継装置70、88、107、116を保管庫51の制御装置8に通信線や電力線等で接続した状態で棚7の間に設置され、ボルトなどの固定部材を用いて保管庫51に固定される。
【0071】
第1〜第4保管庫用ユニット52A〜52Dは、電力線を介して制御装置8から電流を供給されると、各接触式ICチップ66、77、95、95のデータを読み取って中継装置70、88、107、116にそれぞれ記憶する。これにより、各保管庫用ユニット52A,52B,52C,52Dは収納されている被保管物のデータを各々認識する。各中継装置70,88,107,116は制御装置8から通信線を介して問い合わせがあったときに、メモリに記憶した接触式ICチップ66,77,95,95のデータをそれぞれ出力する。そのため、保管庫51の制御装置8は、自動的に被保管物のデータを認識し得る。
【0072】
尚、中継装置70,88,107,116のメモリに各保管庫用ユニット52A,52B,52C,52Dに関するデータをそれぞれ記憶させておけば、制御装置8が中継装置70,88,107,116にレイアウト問い合わせ信号を送信し、中継装置70,88,107,116からの応答信号に基づいて保管庫51のレイアウトを自動認識することが可能である。
【0073】
<書類ファイルの管理>
書類ファイル15を保管庫51から借りるために、利用者が第1保管庫用ユニット52Aから書類ファイル15を持ち出すと、書類ファイル15の第1端子67と第2端子68が第1保管庫用ユニット52Aの第1読取部64と第2読取部65に接触しなくなり、第1読取部64と第2読取部65が接触式ICチップ66のデータを読み取れなくなる。この時点で、中継装置70のメモリから取り出された書類ファイル15に関するデータを削除する。そのため、制御装置8が中継装置70に書類ファイル15の問い合わせをしても、中継装置70は取り出された書類ファイル15のデータを制御装置8に出力できない。制御装置8は、取り出された書類ファイル15のデータを検出できなくなったことにより、書類ファイル15が保管庫51から貸し出されたことを認識する。
【0074】
このとき、取り出された書類ファイル15の第1端子67と第2端子68との間に電流が流れなくなるため、LED69が消灯し、第1端子67と第2端子68が第1読取部64と第2読取部65に接触しなくなったことを利用者に報知する。
【0075】
書類ファイル15を保管庫51に返却するために書類ファイル15を第1保管庫用ユニット52Aに挿入すると、第1読取部64と第2読取部65が書類ファイル15の第1端子67と第2端子68に接触し、接触式ICチップ66のデータを読み取る。読み取ったデータは、中継装置70に一時的に記憶され、中継装置70が制御装置8からの問い合わせに応じて記憶したデータを制御装置8に送信する。制御装置8は、受信したデータを解析し、保管庫51に収納されている書類ファイル15を認識する。
【0076】
このとき、第1端子67と第2端子68との間を流れる電流を利用してLED69が点灯し、第1端子67と第2端子68が第1読取部64と第2読取部65に適切に接触したことを利用者に報知する。
【0077】
<CD−ROMの管理>
CD−ROM75を保管庫51から借りるためにCD−ROM75を第2保管庫用ユニット52Bから取り出すと、CD−ROM75の第1端子78と第2端子79が第2保管庫用ユニット52Bの第1電極81と第2電極82に接触しなくなり、第1電極81と第2電極82が接触式ICチップ77のデータを読み取れなくなる。この時点で、中継装置88は取り出されたCD−ROM75に関するデータをメモリから削除する。そのため、制御装置8が中継装置88にCD−ROMの有無を問い合わせたときに、取り出されたCD−ROM75に関するデータが制御装置8に出力されない。これにより、制御装置8は、認識できなくなったデータに対応するCD−ROM75が貸し出されたことを認識する。尚、CD−ROM75の出庫は、第2端子79、第1端子78の順に第1,第2電極81,82が接触しなくなることによっても検出できる。
【0078】
このとき、リミットスイッチ85がオン状態からオフ状態に切り替えられ、LED87が消灯する。
そして、CD−ROM75が取り出されたときに、第1電極81と第2電極82、及び、第1付勢部材83と第2付勢部材84がそれぞれ復元し、CD−ROM75の収納経路上に突き出る。
【0079】
CD−ROM75を保管庫51に返却するためのCD−ROM75を第2保管庫用ユニット52Bに挿入すると、CD−ROM75が第1電極81と第2電極82の頂部を押圧して第1電極81と第2電極82を弾性変形させる。第1電極81と第2電極82は、自身の弾性力によって第1端子78と第2端子79に擦れ合い、第1端子78と第2端子79に押しつけられて接触する。この接触時に、第1電極81と第2電極82は接触式ICチップ77のデータを読み取る。読み取られたデータは中継装置88のメモリに記憶される。制御装置88は、中継装置88から挿入されたCD−ROM75に関するデータを入力し、当該CD−ROM75が返却されたことを認識する。尚、CD−ROM75の入庫は、第1端子、第2端子79の順に第1,第2端子81,82が接触することによっても検出できる。
【0080】
そしてこのとき、リミットスイッチ85がオフ状態からオン状態に切り替えられて、LED87が点灯し、CD−ROM75が第2保管庫用ユニット52Bの適切な位置に返却されたことを利用者に報知する。
【0081】
<鍵の管理>
【0082】
ICカード(図示せず)を操作パネル4にかざして電子錠5を開錠するときに、制御装置8はICカードに記憶される情報に基づいて利用者に使用権限が与えられている鍵93を特定し、特定した鍵93に対応するソレノイド105を駆動して係止レバー106とホルダ94の係合凹部94cとの係合状態を解除する。利用者が、係合状態を解除されたホルダ94のうち、使用したい鍵93のホルダ94を引っ張ると、ホルダ94が収納凹部92から抜き出される。これにより、第3保管庫用ユニット52Cの第1電極101と第2電極102がホルダ94の第1接点96と第2接点97に接触しなくなり、接触式ICチップ95のデータを読み取れなくなる。この時点で中継装置107は読み取れなくなったデータをメモリから削除する。そのため、制御装置8が中継装置107に鍵93の有無を問い合わせると、中継装置107は取り出された鍵93に関するデータを制御装置8に出力しない。制御装置8は、検出できなくなったデータを特定し、特定したデータに対応する鍵93が貸し出されたことを認識する。
【0083】
ホルダ94の取り出しに伴ってリミットスイッチ103がホルダ94に押圧されなくなり、LED104が消灯する。そして、ソレノイド105が係止レバー106を元の位置に復帰させ、係止レバー106の先端部をホルダ94の収納経路上に突き出させる。また第1電極101と第2電極102がホルダ94に押圧されなくなって復元し、頂部を収納凹部92内に突き出す。
【0084】
尚、扉3を開いたときに利用者が使用権限のない鍵93を取り出そうとしてホルダ94を引っ張っても、ホルダ94の係合凹部94cに係止レバー106が係合しているため、ホルダ94を収納凹部92から抜き出すことができず、鍵93を保管庫51から持ち出せない。
【0085】
一方、鍵93を保管庫51に返却するために、ICカード(図示せず)を操作パネル4にかざすと、利用者に使用権限が付与された鍵93に対応する係止レバー106が揺動し、係止レバー106の先端部をホルダ94の収納経路上から退避させる。利用者がホルダ94を第3保管庫用ユニット52Cの収納凹部92に挿入すると、保管庫用ユニット52Cの第1電極101と第2電極102がホルダ94に押圧されて弾性変形し、第1接点96と第2接点97に各々接触する。このとき、第1電極101と第2電極102は自身の弾性力によって、頂部を第1接点96と第2接点97に擦り合わせて接触させる。この接触により、第1電極101と第2電極102は接触式ICチップ95のデータを読み取る。読み取ったデータは、中継装置107に記憶され、制御装置8からの問い合わせに応じて制御装置8に出力される。制御装置8は受信したデータを解析してデータの増加を検出し、増加したデータに対応する鍵93が保管庫51に返却されたことを認識する。
【0086】
尚、ホルダ94がリミットスイッチ103をオフ状態からオン状態に切り替えると、LED104が点灯し、ホルダ94が適切な位置まで挿入されたことを利用者に報知する。その後、ソレノイド105が駆動して係止レバー106を揺動させ、係止レバー106をホルダ94の係合凹部94cに係合させ、鍵93の持ち出しを制限する。
【0087】
<ノートPCの管理>
ノートPC113は、ホルダ94の係合凹部94cに制御装置115の係止レバー106が係合した状態では、セキュリティワイヤ114とホルダ94を介して第4保管庫用ユニット52Dに連結されているため、第4保管庫用ユニット52Dから持ち出すことができない。かかるノートPC113の貸出動作と返却動作は鍵93と同様であるので説明を省略する。
【0088】
<作用効果>
上記構成を有する本実施形態の保管庫用ユニット52A,52B,52C,52Dは、第1読取部64と第2読取部65、第1電極81と第2電極82、第1電極101と第2電極102、制御装置115の第1電極101と第2電極102が書類ファイル15、CD−ROM75、鍵93、ノートPC113に取り付けられた接触式ICチップ66、77、95のデータを読み取り、その読み取り結果を中継手段70、88、107、116から保管庫51の制御装置8に送信する。そのため、保管庫用ユニット52A,52B,52C,52Dに収納される書類ファイル15、CD−ROM75、鍵93、ノートPC113を利用者が制御装置8に入力しなくても、保管庫51の制御装置8に自動登録することが可能である。よって、本実施形態の保管庫用ユニット52A,52B,52C,52Dによれば、被保管物管理を容易にすることができる。
【0089】
特に、本実施形態の保管庫用ユニット52A,52B,52C,52Dは、接触式ICチップ66,77,95のデータを中継装置70,88,107,116のメモリに記憶し、中継装置70,88,107,116のメモリに記憶しているデータを保管庫51の制御装置8からの問い合わせに応じて制御装置8に送信する。そのため、保管庫用ユニット52A,52B,52C,52Dに収納する書類ファイル15、CD−ROM75、鍵93、ノートPC113の数が多い場合でも、中継装置70,88,107,116のメモリに一時的に記憶させることができ、被保管物管理を円滑に行うことができる。
【0090】
また、本実施形態の保管庫用ユニット52は、書類ファイル15を収納する第1保管庫用ユニット52Aと、CD−ROM75又はMOを収納する第2保管庫用ユニット52Bと、鍵93、ホルダー94又はUSB99を収納する第3保管庫用ユニット52Cと、ノートPC113を収納する第4保管庫用ユニット52Dとを棚7の間に着脱自在に装着している。そのため、例えば、利用者が書類ファイル15の使用頻度が低いのに対して、鍵93の管理数が多い場合には、第1保管庫用ユニット52Aを取り外して第3保管庫用ユニット52Cに交換すれば、書類ファイル15の保管をやめて、鍵93の収納数を増やすことができる。よって、本実施形態の保管庫51によれば、第1〜第4保管庫用ユニット52A,52B,52C,52Dを交換して保管庫51のレイアウトを変えるだけで、保管庫51に収納する被保管物の種類を簡単に変更できる。
【0091】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。図15は、保管庫用ユニット122を取り付けられた保管庫121を示す図である。
本実施形態の保管庫用ユニット122は、保管庫121の正面側からボルト123で固定されている点が第2実施形態と相違する。よって、ここでは、第2実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点については図面と説明で同一符号を用い、説明を適宜省略する。
【0092】
保管庫用ユニット122A,122B,122C,122Dは、基本的に、第2実施形態の保管庫用ユニット52A,52B,52C,52Dと同一構造を有するが、正面側にボルト23を固定するためのフランジ部124A,124B,124C,124Dを有する点が相違する。尚、以下の説明で保管庫用ユニット122A,122B,122C,122Dとフランジ部124A,124B,124C,124Dを区別する必要がない場合には、添字を省略し、保管庫用ユニット122とフランジ124ということにする。
【0093】
図16は、図15に示す保管庫用ユニット122の取付構造を示す図である。
保管庫121は、棚7に変えて、保持部材125が固定される。保持部材125は、剛性の高い金属板であり、端部を折り曲げることによって、保管庫121に固定される第1固定部126と、保管庫用ユニット122を固定される第2固定部127とが設けられている。
【0094】
<保管庫用ユニットの取付>
保持部材125の第1固定部126を保管庫121を構成する本体2の側面に位置合わせし、ボルトで固定する。保持部材125を4箇所に取り付けたら、取り付けた保持部材125の間に保管庫用ユニット122を挿入し、フランジ部124を保持部材125の第2固定部127に位置合わせし、ボルト123で固定する。尚、本実施形態では、保持部材125とボルト123が「固定手段」を構成するものとする。
【0095】
<作用効果>
よって、本実施形態の保管庫用ユニット122によれば、保持部材125を保管庫121にボルト止めした後、保管庫用ユニット122のフランジ部124を保持部材125にボルト123で固定することにより、保管庫121に取り付けられるので、ボルト123を外さなければ保管庫用ユニット122を持ち出すことができず、セキュリティ性が高い。
【0096】
ここで、保管庫用ユニット122は正面側からボルト123を締結できるようにフランジ部124を設けている。そのため、保管庫用ユニット122の取付性がよい。
また、保持部材125を介して保管庫用ユニット122を保管庫121に取り付けるので、隣り合う保管庫用ユニット122の側面を接触させて保管庫121のレイアウトを決めることができ、保管庫121内に無駄なスペースができない。しかも、棚7が不要になるので、コストダウンと軽量化を図ることができる。
【0097】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
上記実施形態では、1つの保管庫に複数の保管庫用ユニットを収納したが、例えば図17に示すように、1個の保管庫用ユニット122Bを1個の保管庫131に挿入し、ボルト123で固定するようにしてもよい。この場合、保管庫用ユニット122Bを他の保管庫用ユニット122A,122C,122Dに交換するだけで、保管庫131の被保管物をセキュリティを確保しながら変更することができる。
上記実施形態では、ボルトを用いて保管庫用ユニットを保管庫に固定したが、凹凸部の係合などによって保管庫用ユニットを保管庫に位置決め固定するようにしてもよい。
上記第1、第2実施形態では、保管庫用ユニット10,52を固定したが、被保管物の入出庫に支障がなければ必ずしも保管庫用ユニット10,52を固定しなくてもよい。
【0098】
上記第1実施形態の保管庫用ユニット10に中継装置を設けてもよい。この場合、予め保管庫用ユニット10の書類ファイル15を収納し、書類ファイル15のデータを中継装置に記憶させておき、保管庫用ユニット10を保管庫1の制御装置8に接続したときに、中継装置のデータを制御装置8に提供するようにしてもよい。これによれば、書類ファイル15を制御装置8に登録する手間と時間を少なくすることができる。
上記第2実施形態では、ホルダ94を介して鍵93を第3保管庫用ユニット52Cに収納したが、鍵93に接触式ICチップ95を取り付け、接触式ICチップ95に設けた2つの端子を保管庫用ユニット52の第1電極101と第2電極102に接触させて接触式ICチップ95に記憶された鍵93のデータを読み取るようにしてもよい。
【0099】
上記実施形態では、保管庫用ユニット52C,52Dに被保管物の入出庫を制限するソレノイド105と係止レバー106を設けたが、他の保管庫用ユニットにも被保管物の入出庫を制限する入出庫制限機構を設け、使用権限のない者が被保管物を保管庫から持ち出すことを防止してセキュリティ性を高めてもよい。入出庫制限機構としては、例えば、図10に示す箱体71の開口部にプランジャを突出又は退避するようにソレノイドを取り付け、使用権限のあるCD−ROMについてソレノイドのプランジャを退避させてCD−ROMを取り出せるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1実施形態において、保管庫用ユニットを取り付けられた保管庫を示す外観斜視図である。
【図2】同じく、保管庫用ユニットの取付構造を示す図である。
【図3】同じく、保管庫用ユニットの外観斜視図である。
【図4】同じく、図3のA部拡大断面図である。
【図5】同じく、保管庫用ユニットの検出構造を示す図である。
【図6】同じく、ファイルを検出するために保管庫に設けられる電気回路を示す概念図である。
【図7】本発明の第2実施形態において、保管庫用ユニットを取り付けられた保管庫を示す外観斜視図である。
【図8】同じく、第1保管庫用ユニットを示す図である。
【図9】同じく、第2保管庫用ユニットを示す図である。
【図10】同じく、図9に示すCD−ROM(又はMO)の収納構造を示す図である。
【図11】同じく、第3保管庫用ユニットを示す図である。
【図12】同じく、図11に示す鍵の収納構造を示す図である。
【図13】同じく、図12に示す鍵の収納構造を上方から見た図である。
【図14】同じく、第4保管庫用ユニットを示す図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る保管庫用ユニットを取り付けられた保管庫を示す図である。
【図16】同じく、図15に示す保管庫用ユニットの取付構造を示す図である。
【図17】本発明の保管庫用ユニットの変形例である。
【符号の説明】
【0101】
1,51,121 保管庫
3 扉
4 操作パネル(ID認証手段)
5 電子錠(保管庫開閉手段)
10,52,122 保管庫用ユニット
11 接触電極(ICチップデータ読取り手段)
15 書類ファイル(被保管物)
16,66,77,95,116 接触式ICチップ
18 IC側プラス電極端子(端子、ICチップ擦れ手段)
19 IC側マイナス電極端子(端子、ICチップ擦れ手段)
70,88,107,116 中継装置(被保管物記憶手段、送信手段)
75 CD−ROM(被保管物)
81 第1電極(端子、ICチップ擦れ手段)
82 第2電極(端子、ICチップ擦れ手段)
83 第1付勢部材(付勢手段)
84 第2付勢部材(付勢手段)
93 鍵(被保管物)
94 ホルダ(鍵ホルダ)
99 USB(被保管物)
101 第1電極(端子、ICチップ擦れ手段)
102 第2電極(端子、ICチップ擦れ手段)
113 ノートPC(被保管物)
123 ボルト(固定手段)
125 保持部材(固定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保管物を収納するものであって、操作者のIDを認証して扉の開閉許可を判断するID認証手段と、該ID認証手段の許可を受けて、保管庫の扉を開放状態とする保管庫開閉手段とを備える保管庫に用いられる保管庫用ユニットであって、
前記個々の被保管物に接触式ICチップが取り付けられ、
前記接触式ICチップに設けられた2つの端子と接触することにより、接触式ICチップのデータを読み込むICチップデータ読取り手段と、を有することを特徴とする保管庫用ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載する保管庫用ユニットにおいて、
前記ICチップデータ読取り手段の出力を受けて、被保管物の保管状況を記憶する被保管物記憶手段と、
前記被保管物記憶手段の記憶しているデータを、前記保管庫の制御装置に送信するための通信手段とを有することを特徴とする保管庫用ユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する保管庫用ユニットにおいて、
ベース板の大きさが、前記保管庫の棚の面積とほぼ同じであり、
前記ベース板を前記保管庫の棚に固定する固定手段を有することを特徴とする保管庫用ユニット。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載する保管庫用ユニットのいずれか1つにおいて、
前記被保管物が、書類ファイル、鍵ホルダー、CD、MO、PC、鍵、USBのいずれか1つであることを特徴とする保管庫用ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載する保管庫用ユニットのいずれか1つにおいて、
前記被保管物を前記保管庫用ユニットに収納するとき、前記接触式ICチップに設けられた2つ端子を前記ICチップデータ読取り手段に向かって付勢する付勢手段を有することを特徴とする保管庫用ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4に記載する保管庫用ユニットのいずれか1つにおいて、
前記被保管物を前記保管庫用ユニットに収納するとき、前記接触式ICチップを前記ICチップデータ読取り手段の電極に擦れさせるICチップ擦れ手段を有することを特徴とする保管庫用ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−13332(P2008−13332A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187820(P2006−187820)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(391020322)東海理研株式会社 (42)
【Fターム(参考)】