説明

保護デバイスによって保護された低電圧の負荷に電源を供給する方法および電子的な電源デバイス

【課題】保護デバイスによって保護された低電圧の負荷に電源を供給する電子的な電源デバイス、特にスイッチング電源装置とその電力供給方法、ならびに、過電流から低電圧の負荷を保護するデバイス、および当該保護デバイスと共に使用する補助電源デバイスを提供する。
【解決手段】本発明は、故障、例えば出力における短絡が検出された後、保護デバイスが確実に迅速に作動することが可能となる短い期間、例えば15ミリ秒にわたって電流を供給することを確実にする手段を含む。この期間は、負荷および給電路に接続された電子コンポーネントが損傷や破壊しないように選択されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護デバイスによって保護された低電圧の負荷に電源を供給する電子的な電源デバイス、特にスイッチング電源装置、およびそのための方法に関する。また、本発明は、過電流から低電圧の負荷を保護するデバイス、およびそのような保護デバイスと共に使用する補助電源デバイスにも関する。
【背景技術】
【0002】
工業生産設備では、例えば、コントローラや増幅器などの低電圧の負荷に、人には無害である好ましくは24ボルトの直流電圧が供給される。そのような直流電圧を供給する適切な電源デバイスは20A以上の出力電流を供給することができる。そのような大きい電流では、負荷、特に給電路を熱的過負荷電流や短絡電流から保護するため、例えばヒューズまたはサーキットブレーカなどの保護デバイスをそれぞれの負荷と直列に接続しなければならない。電気故障、例えば短絡が生じたときに、サーキットブレーカを電磁的に確実に作動させるためには、電源デバイスに関して指定された公称電流の約7.5倍に相当する作動電流が必要である。サーキットブレーカの作動特性は、例えばクラスB特性などの回路の時間/電流作動特性の結果である。普通の大きさである場合、短絡が生じたときに、サーキットブレーカのためのそのような大きい作動電流を電源デバイスとして使用する従来の50Hzの変圧器によって供給することが可能である。
【0003】
大きな電気損失および大きい重量に起因して、そのような50Hzの変圧器が、例えば工業用電源装置の高い周波数でクロック制御されるスイッチング電源装置や変圧器電源などの電子的な電源デバイスに取って代わられることがますます増えている。しかしながら、電子的な電源デバイスは、電気故障が生じたとき、熱的過負荷電流および短絡電流から負荷や給電路を保護するために、通常、出力電流を非常に急速に、すなわち10マイクロ秒間乃至100マイクロ秒間の範囲内で公称電流の値の1.1倍乃至1.5倍までに制限する。短い時間にわたって、つまり例えば4秒間まで、公称電流の2.5倍までの出力電流も生じさせることができる電子的な電源デバイスが市販されているが、それらの小さい電流は、サーキットブレーカを確実に安全に磁気的に作動させるのには十分でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、電子的な電源デバイスを使用するときでも、保護デバイス、特に電磁サーキットブレーカが迅速に作動することを可能にする、保護デバイスによって保護された低電圧の負荷に電源を供給する電子的な電源デバイス、保護デバイス、補助電源デバイス、および方法を提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の概念上の核心は、故障、例えば、出力における短絡が検出された後、保護デバイスが確実に迅速に作動することを可能にするような長さの短い期間、例えば15ミリ秒にわたって電流を供給することを確実にする手段を提供することにおいて見ることができる。以上のための期間は、負荷および給電路に接続された電子コンポーネントが、損傷を受けず且つ破壊されないように選択される。
【0006】
前述した技術的問題は、一方では、請求項1の諸特徴により本発明によって解決される。
【0007】
したがって、低電圧の負荷に電源を供給するために、電気電源デバイス、特に、高い周波数でクロック制御されるスイッチング電源装置または変圧器電流デバイスを提供する。電子的な電源デバイスは、変圧器と、例えば短絡などの電気事象または電気故障を検出するデバイスと、デバイスの出力電流を第1の所定の値、すなわち電源デバイスの公称電流のおよそ1.1倍乃至2倍に制限する、検出デバイスに割り当てられたデバイスとを含む。さらに、故障の検出に応答する際、電気電源デバイスに割り当てられた保護デバイスを確実に作動させることが可能であるように、所定の期間にわたって第1の所定の値より大きい第2の所定の値に出力電流を設定するデバイスが提供される。制限デバイスは、所定の時間が経過した後、出力電流を第1の所定の値に制限するように構成される。
【0008】
保護するデバイス、即ち保護デバイスは、それ自体は知られている方法で電子的な電源デバイスに外部接続され、従って低電圧の負荷と直列に接続される。保護される低電圧の負荷に電源を供給する小型電子的な電源デバイスを実現できるように、保護デバイスを電子的な電源デバイス内部に配置することもできる。
【0009】
保護デバイスは、好ましくは電磁的に作動することが可能なサーキットブレーカである。
【0010】
故障が生じたときに保護デバイスの安全で確実な作動を実現するため、電流設定デバイスまたは電流調整デバイスは、電源デバイスの公称電流のおよそ5倍乃至10倍の範囲内にある出力電流を供給する。原則として、制限デバイスは、電子的な電源デバイスの公称電流のおよそ1.1倍乃至1.5倍の範囲内にある第1の所定の電流値を供給する。
【0011】
故障、例えば短絡が生じたときに低電圧の負荷と給電路とが過負荷になるのを防止するため、電流設定デバイスは、例えば5ミリ秒乃至15ミリ秒にわたって増加した出力電流を供給する。また、この増加した出力電流を、より短い時間にわたって流すことも、より長い時間にわたって流すことも可能である。
【0012】
回路と見なされると、増加した出力電流を供給する電流設定デバイスは、制限デバイスと一緒になって電流制御デバイスを形成することができる。また、その場合、前述した技術的問題に対する問題解決法も、電子的な電源デバイス内部で通常使用される電流制御デバイスが2段階の電流制限特性を有するという点に見ることができる。その場合、電流制御デバイスは、電気故障が生じると、最初、例えば公称電流の7倍の増加した出力電流が短い時間にわたって流れ、次いで公称電流の約1.1倍の「正常な」制限された出力電流が流れることを確実にする。
【0013】
電気故障を検出する検出デバイスは、好ましくは閾値を下回る出力電圧の降下を検出する第1の検出器、および/または、閾値を下回る入力電圧の降下を検出する第2の検出器を含む。これにより、知られているとおり、電圧は短絡が生じると降下するので、短絡を検出することが可能になる。
【0014】
また、前述した技術的問題は、請求項8に記載の過電流から低電圧の負荷を保護するデバイスによっても解決される。
【0015】
したがって保護デバイスは、検出された故障に応答するときに出力電流を制限する変圧器と、電気故障を検出するデバイスと、検出デバイスに割り当てられたデバイスとを有する主電源デバイスを示す。さらに、主電源デバイスは、入りに切り替えられることが可能であり、電気故障、特に閾値を下回る主電源デバイスの出力電圧の降下を検出するデバイスおよび調整可能な時間にわたって所定の電流を供給するデバイスを示す補助電源デバイスに関連する。さらに、補助電源デバイスに電気的に接続することが可能な保護デバイスが提供され、補助電源デバイスによって供給される電流は、故障が検出されると、保護デバイスが確実に作動するような大きさである。
【0016】
特定の実施形態によれば、補助電源デバイスは、主電源デバイス内部に実装されるか、または主電源デバイスに外部接続される。
【0017】
補助電源デバイスは、任意のエネルギ・ストア(energy store)でよく、好ましくは少なくとも1つの容量エネルギ・ストアおよび/または誘導エネルギ・ストアである。
【0018】
故障が生じたときに、補助電源デバイスを主電源デバイスに自動的に接続するため、補助電源デバイスは、検出された故障に応答する際、特に閾値を下回る主電源デバイスの出力電圧の降下に応答する際に起動されるスイッチング・デバイスを示す。充電デバイスは、全く故障が生じていない時間帯にエネルギー・ストアに充電するように構成される。
【0019】
有利な発展形態は、補助電源デバイスが、容量エネルギ・ストアおよび/または誘導エネルギ・ストアを充電するデバイスの機能を示すようにする。充電デバイスが、全く故障が生じていない時間帯にエネルギー・ストアに充電するように構成される。
【0020】
主電源デバイスは、好ましくはスイッチング電源装置である。
【0021】
電気故障を検出する検出デバイスは、好ましくは、閾値を下回る出力電圧の降下を検出する第1の検出器、および/または、閾値を下回る入力電圧の降下を検出する第2の検出器を含む。これにより、短絡を検出することが可能になる。
【0022】
また、前述した技術的問題は、請求項8乃至14のいずれか1項に記載の保護デバイスと共に使用する補助電源デバイスによっても解決される。
【0023】
補助電源デバイスは、閾値を下回る主電源デバイスの出力電圧の降下を検出するデバイスと、その出力電圧の検出された降下に応答する際に、調整可能な時間にわたって所定の電流を供給し、保護デバイスを確実に作動させることを可能にするデバイスとを含む。
【0024】
さらに、前述した技術的問題は、請求項18に記載の方法によって解決される。
【0025】
したがって、保護デバイスによって保護される負荷には、電子的な電源デバイス、特にスイッチング電源装置の助けを借りて低電圧が供給される。本方法によれば、電源デバイスの入力電圧および/または出力電圧を、閾値を下回る入力電圧および/または出力電圧の降下を検出するために監視する。閾値を下回る入力電圧および/または出力電圧の降下が検出された場合、所定の電流が所定の時間にわたって供給され、その電流の大きさは、保護デバイスを確実に作動させることが可能な大きさにされている。所定の時間が経過した後、電流はより低い値に制限される。
【0026】
以下の文面では、本発明を、添付の図面と併せて、いくつかの例示的な実施形態によって、より詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、抵抗器30によって記号的に表される低電圧の負荷が出力端子20および21に接続された電子的な電源デバイス10を含む、例示的な電源システムを示す。低電圧の負荷30までの給電路の抵抗は抵抗器40によって考慮に入れられている。さらに、保護デバイス、この実施例では電磁サーキットブレーカ50が、低電圧の負荷30と直列に接続されている。電子的な電源デバイス10は、例えば出力端子20、21において24Vの直流電圧uをもたらす。1つだけの低電圧の負荷30が図1の電子的な電源デバイス10に接続されているが、当然、いくつかの負荷が電子的な電源デバイス10に、好ましくは並列に接続してもよい。その場合、別個のサーキットブレーカが各負荷に割り当てられることが可能である。
【0028】
電子的な電源デバイス10は、線間電圧Uを介して供給されるスイッチング電源装置でもよい。電源デバイス10は、通常入力端子70および71に関連する線路変圧器60と、整流回路70と、サーキットブレーカ80とを含む。さらに、本発明に従って変更可能な電流コントローラ90が備えられる。電流コントローラ90は、故障、例えば出力における短絡が生じた場合、通常、電源デバイス10の公称電流の1.1倍乃至1.5倍に出力電流iを制限するために使用される。この制限された出力電流は、図2に示される変更された電流コントローラ90の電流/電圧出力特性に準拠して、ikminと呼ばれる。
【0029】
サーキットブレーカ50は、熱的過負荷電流または短絡電流から、抵抗器40によって表される給電路と低電圧の負荷30を保護するために使用される。従来の電子的な電源デバイスの問題は、故障、例えば短絡が生じたときに電源デバイス10の出力電圧uが急落することがあり、そのときに、電流コントローラ90によって通常供給されている制限された出力電流ikminがサーキットブレーカ50を磁気的に作動させるのに十分でないということに存する。
【0030】
このため、本発明の目的は、故障、特に、出力において短絡が生じたときに、電源デバイスが公称電流の約5倍乃至7倍である出力電流を短い時間にわたって供給することができるように、従来の電源デバイスを変更することである。この限られた出力電流は、図2に示される変更された電流コントローラ90の電流/電圧出力特性に準拠して、ikmaxと呼ばれる。さらに、給電路40および低電圧の負荷30が損傷を受けない限りにおいて過度の出力電流ikmaxを流すことが可能となるように、電源デバイス10を構成しなければならない。
【0031】
この目的で、好ましい実施形態によれば、電流コントローラ90は、図2に示される変動を有する2段階の特性を有するように変更される。この目的で、電源デバイス10は、故障、特に、短絡が生じた場合、電流ikmaxを供給できるようにするために、短い時間、例えば、5ミリ秒乃至15ミリ秒にわたって出力電圧を動作電圧uに維持するように実装される。この出力電流ikmaxは、サーキットブレーカ50を確実、迅速に作動させることができるように要求される。増加した出力電流ikmaxが流れる時間は、対応するRC要素によって調整することが可能である。また、この時間を、サーキットブレーカ30、低電圧の負荷、および給電路の大きさに応じて、より短く選択されることも、より長く選択さすることも可能である。この期間が経過した後、電流リミッタ90は、通常の保護機構に入り、前述したとおり、公称電流の1.1倍乃至1.5倍にほぼ相当する出力電流ikminに出力電流iを制限する。この機能が、図1の機能ブロック95によって図示されている。
【0032】
図2に示された特性を実現するため、電子的な電源デバイス10、特に、電流コントローラ90に関して多種多様な回路変更が考えられる。2段階の電流/電圧出力特性は、例えば、出力電流を値ikmaxに制限する追加の演算増幅器によって従来の電流コントローラのアナログ制御型システムを広げること、ならびに、故障が生じた場合、出力電流の制限が通常の値ikminまで再び低減されることを確実にする、さらなる遅延要素を組込むことによって実現することができる。電子的な電源デバイスは、今日、マイクロプロセッサ・コントロールを使用しても機能するので、図2に示された電流/電圧出力特性を、適切なソフトウェアによって実現することも可能である。この構成では、最大出力電流ikmaxに関する公称信号は、原則としてマイクロプロセッサによって生成される。
【0033】
低電圧の負荷30および接続された線路は、数ミリ秒だけしか続かない大きさikmaxの電流パルスによっては熱的に過負荷にならない。また、例えばスイッチ80や整流回路70の整流ダイオードなどの電源デバイス10のコンポーネントも、電流の短時間の増加がコンポーネントおよび配線の大きな熱的装荷を必然的に伴わないように選択される。しかし、電流コントローラ90が周期的に制御される場合、コンポーネントは、コンポーネントの周期的装荷に起因して、過度の短絡電流ikmaxによって過負荷になる可能性がある。これに相応して、電流コントローラ90に関する周期的トリガ時間が、例えば図示されていないマイクロプロセッサによって制限される、または制御されることが可能である。
【0034】
この実施例では、故障ケース、例えば出力における短絡が、出力端子20および21に接続された検出器100を使用して検出される。検出器100は、電源デバイス10の出力電圧uを監視することができ、出力電圧uが所定の閾値を下回って低下した場合、電流コントローラ90に知らせることができるように実装される。入力端子70および71に存在する電源デバイス10の入力電圧uも、好ましくは検出器105を使用して監視される。検出器105は、例えば入力電圧uが閾値を下回って降下した場合、それを検出することができるように構成される。入力電圧uが閾値を下回って降下したことを検出器105が検出するとすぐに、電流コントローラ90が起動する。
【0035】
以下の文面では、図1に示された電子的な電源デバイス10の動作を、図2に関連して、より詳細に説明する。
入力電圧uが閾値セットを下回って降下したあとに、電圧検出器105が電源デバイス10の入力において電源装置の短絡を検出したものと想定する。すると、検出器105は電流コントローラ90を起動し、コントローラ90はコントローラの電流/電圧出力特性に従って出力電流ikmaxを供給する。出力電流ikmaxが約5ミリ秒乃至15ミリ秒にわたって供給され、電磁サーキットブレーカ50が確実に作動することを保証し、その結果、低電圧の負荷30が電源デバイス10から切断される。切断の後、出力電流を値ikminに制限する電流コントローラ90の通常の制御動作が開始する。
【0036】
図3は、低電圧の負荷30に電源を供給する代替のシステムを極めておおまかに示し、図1に示されたコンポーネントに対応するコンポーネントに対して同一の符号を使用する。したがって、従来の電子的な電源デバイス110が、デバイス110の入力で、やはり線間電圧uに接続される。電子的な電源デバイス110の出力端子20および21において、サーキットブレーカ50および低電圧の負荷30が直列に接続される。低電圧の負荷までの給電路は給電路抵抗40によって記号的に表されている。図3に示された代替のシステムもやはり、電気故障、特に、短絡が生じた場合に、サーキットブレーカ50が迅速、確実に作動することが可能であるという目的を実現することを意図している。それ自体は知られている電子的な電源デバイス110は、図1に既に示されるとおり、線路変圧器、整流回路、サーキットブレーカ、および電流リミッタとして対応する電流コントローラを示すことを最初に述べておかなければならない。さらに、電気故障、例えば、短絡を検出する図1に示された検出器100および105と同様の検出器を電子的な電源デバイス内部に備えることが可能である。電気故障が生じた場合に、サーキットブレーカ50の確実な磁気的な作動を保証することができるように、補助電源デバイス120が電子的な電源デバイス110の出力端子20および21と並列に接続される。図示されるとおり、補助電源デバイス120は、1つまたは複数のキャパシタおよび/またはインダクタンスを有することが可能なエネルギ蓄積デバイス121と、エネルギ蓄積デバイス121に充電する充電デバイス122と、電気故障が検出されたときにサーキットブレーカ50が作動するような大きさの合計電流iを短い時間にわたって生じさせることができるようストア121を放電させるスイッチング・デバイス123とを含む。合計電流iは、好ましくは電源デバイス110の公称電流の5倍乃至7倍である。
【0037】
図4は、図3に示された補助電源デバイス120の技術的実装を示す。したがって、補助電源デバイス120は、スイッチング・デバイスとしてのダイオード130を示す。キャパシタ132がスイッチ131を介して入力端子と並列に接続される。コイル134が、さらなるスイッチ133を介して、エネルギー・ストアとしてキャパシタ132と並列に接続される。コイル134は、スイッチ135によってダイオード130を介して放電することが可能である。
【0038】
以下の文面では、図3に示された構成の動作を、図4に示された補助電源デバイス120に関連して、より詳細に説明する。
通常の動作では、スイッチ135は閉じている。スイッチ131はスイッチ132と相互に作用して開閉し、最初、キャパシタ132が電源デバイス110の出力電圧uを介して充電され、次に、スイッチ133を閉じることによりコイル134に放電されるようになる。閉じたスイッチ135は、コイル電流が補助電源デバイス120の中だけを流れることを確実にする。補助電源デバイス120の入力端子の間に接続された検出器136が電源デバイス110の出力電圧uを監視する。電源デバイス110の出力電圧が閾値を下回って降下したことを検出器136が検出するとすぐに、検出器136はスイッチ135を開くことを開始し、コイル134が消磁されることを可能とし、その結果、蓄積されたエネルギーは補助電流iとしてサーキットブレーカ30に流れ出ることができる。出力端子20および21における電圧降下に応答して、電源デバイス110の電流コントローラ90が、それ自体は知られている方法で、公称電流の1.1倍乃至1.5倍に出力電流iを制限する。しかし、補助電源デバイス120に起因して、制限された出力電流ikminと補助電源デバイス120の補助電流iとによって形成される合計電流iが短い時間にわたって供給される。合計電流iは、サーキットブレーカ30を確実に作動させるのに十分である。約15ミリ秒の後、補助電源デバイス120のスイッチ135は再び閉じられ、コイル134は、それに相応して充電される。必要な場合、補助電源デバイス120は、循環的に入りに切り替えられることも可能である。
【0039】
また、図3に示された補助電源デバイス120を容量エネルギー・ストアによって実現することも可能である。その目的で、図5は対応する回路構成を示す。したがって、キャパシタ140が、ダイオード141を介して電源デバイス110の出力端子20および21に接続される。キャパシタ140までの給電路は、給電路抵抗器142によって記号的に表されている。充電デバイス143が、キャパシタ140に相応して充電するために使用される。サーキットブレーカ50を確実に作動させるのに要求される電流を供給することができるように、高いキャパシタンス、例えば約350Fのキャパシタンスを有するキャパシタが使用される。ダイオード141は、電源デバイス110の出力電圧uがキャパシタ140の両端に存在する電圧未満になるとすぐにキャパシタ140が放電されることを確実にする、制御されたスイッチとして使用される。したがって、カソードが電源デバイス110の出力端子20に接続され、アノードがキャパシタ140に接続されたダイオード141は、電源デバイス110の出力において短絡が検出された場合、キャパシタ140が電源デバイス110に自動的に接続されることを確実にする。同時に、ダイオード141は、キャパシタ140が通常の動作において放電されることを防止する。図3に示された補助電源デバイス120の図4および図5に示された2つの回路の変種は、故障が生じた場合にサーキットブレーカ50が確実に作動させられることを保証するために、例えば、電源デバイス110の公称電流の5倍乃至7倍である合計電流iを生じさせるために、電気故障が検出された後短い時間、つまり例えば5ミリ秒乃至15ミリ秒にわたって電源デバイス110に接続されるように構成されることを指摘することが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1の実施形態による、低電圧の負荷を保護するよう電力を供給する電源システムを示す図である。
【図2】図1に示された電源コントローラに関する2段階の電流制限特性を示す図である。
【図3】保護された方法で低電圧の負荷に給電する代替の電源システムを示す図である。
【図4】図3による電源システム内部で使用する容量型補助電源デバイスを示す図である。
【図5】図3による電源システム内部で使用する誘導型補助電源デバイスを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子的な電源デバイス(10)であって、
変圧器(60)と、
電気故障を検出する検出デバイス(100、105)と、
前記電源デバイスの出力電流を第1の所定の値に制限する、前記検出デバイス(100、105)に割り当てられた電流制限デバイス(90)とを含む、低電圧の負荷(30)に電源を供給する、特にスイッチング電源装置である電子的な電源デバイス(10)であって、
電気故障の検出に応答して、前記電源デバイス(10)に割り当てられた保護デバイス(50)が確実に作動できるように、所定の時間にわたって、前記出力電流を前記第1の所定の値より大きい第2の所定の値に設定する電流設定デバイス(95)を含み、そして前記電流制限デバイス(90)は、前記所定の時間が経過した後で前記出力電流を前記第1の所定の値に制限するように構成されていることを特徴とする電子的な電源デバイス(10)。
【請求項2】
前記保護デバイス(50)を前記電源デバイス内部に配置するか、または前記保護デバイス(50)を前記電源デバイスの外部に接続することが可能であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記保護デバイス(50)は電磁的に作動可能なサーキットブレーカであることを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の所定の値は前記電源デバイスの公称電流のおよそ1.1倍乃至1.5倍の範囲内にあり、前記第2の所定の値は前記公称電流のおよそ5倍乃至10倍の範囲内にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記電流設定デバイス(95)は例えば5ミリ秒乃至15ミリ秒にわたって増加した出力電流を供給することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記電流制限デバイスおよび前記電流設定デバイスは電流制御デバイスの一部であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記検出デバイスは、閾値を下回る前記出力電圧の降下を検出する第1の検出器(100)および/または閾値を下回る前記入力電圧の降下を検出する第2の検出器(105)を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
過電流から低電圧の負荷(30)を保護する装置であって、
変圧器と、電気故障を検出するデバイスと、検出された電気故障に応答して前記出力電流を制限する、前記検出デバイスに割り当てられた電流制限デバイスとを有する主電源デバイス(110)と、
入りに切り替えられることが可能であり、そして電気故障を検出する検出デバイス(136、141)と、調整可能な時間にわたって所定の電流を供給する電流供給デバイス(134、140)とを含む、前記主電源デバイス(110)と関連する補助電源デバイス(120)と、
前記補助電源デバイス(120)に電気的に接続可能な保護デバイス(50)とを含み、前記補助電源デバイス(120)が供給する電流は、電気故障が検出されたときに前記保護デバイス(50)が確実に作動するような大きさであることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記補助電源デバイス(120)を前記主電源デバイス(110)の内部に配置するか、または前記補助電源デバイス(120)を前記主電源デバイス(110)の外部に接続することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記補助電源デバイス(120)の電流供給デバイスは、少なくとも1つの容量エネルギ・ストアおよび/または誘導エネルギ・ストア(134、140)を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記補助電源デバイス(120)は、検出された電気故障に応答して、前記補助電源デバイス(120)を自動的に入りに切り替えるスイッチング・デバイス(135、141)を含むことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記補助電源デバイス(120)は、前記容量エネルギ・ストアおよび/または誘導エネルギ・ストアを充電する充電デバイス(132、143)を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記主電源デバイス(110)はスイッチング電源装置であることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記検出デバイスは、閾値を下回る前記出力電圧の降下を検出する第1の検出器および/または閾値を下回る前記入力電圧の降下を検出する第2の検出器を含むことを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
閾値を下回る主電源デバイスの前記出力電圧の降下を検出する検出デバイス(136、141)と、
前記出力電圧の検出された降下に応答して調整可能な時間にわたって所定の電流を供給し、保護デバイス(50)が確実に作動可能となるようにするデバイス(134、140)とを含むことを特徴とする、請求項8乃至14のいずれか1項に記載の前記保護デバイスと共に使用する補助電源デバイス。
【請求項16】
少なくとも1つの容量エネルギー・ストアおよび/または誘導エネルギー・ストア(134、140)を含むことを特徴とする請求項15に記載の補助電源デバイス。
【請求項17】
前記容量エネルギー・ストアおよび/または誘導エネルギー・ストアを充電する充電デバイス(132、143)を含むことを特徴とする請求項16に記載の補助電源デバイス。
【請求項18】
電子的な電源デバイス(10、110)の入力電圧および/または出力電圧の閾値を下回る電圧降下を検出するために監視される、前記電源デバイス、特にスイッチング電源装置の助けを借りて、保護デバイス(50)によって保護される低電圧の負荷(30)に電源を供給する方法であって、
前記閾値を下回る前記入力電圧および/または前記出力電圧の降下が検出されたときには、前記保護デバイス(50)が確実に作動するような大きさである電流を所定の時間にわたって供給し、そして前記所定の時間が経過した後には前記電流はより低い値に制限されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−20390(P2007−20390A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−186162(P2006−186162)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(504019733)フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー (72)
【Fターム(参考)】