説明

保護回路、及び電池パック

【課題】負荷回路の消費電力に異常が生じた場合に、二次電池の出力電圧に関わらず負荷回路を保護することができる保護回路、及びこれを備えた電池パックを提供する。
【解決手段】接続端子11,12と、接続端子11,12間の電圧を検出する端子電圧検出部217と、組電池14の放電電流を検出する電流検出部219と、端子電圧検出部217によって検出された端子電圧Vtと電流検出部219によって検出された放電時の充放電電流値Icとを乗じることにより、外部回路3の消費電力を算出する消費電力算出部211と、消費電力算出部211によって算出された消費電力Pが、外部回路3の最大消費電力Pmaxを超えた場合、外部回路3を保護する外部保護処理を実行する外部保護部212とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池から電力の供給を受ける回路を保護する保護回路、及びこれを備えた電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池に流れる電流を検出し、電流が設定電流より大きくなると、電池と直列接続された半導体スイッチング素子をオフさせて電流を遮断することにより、電池を過電流から保護する過電流保護回路を内蔵した電池パックが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、電池パックから電力供給を受けて動作する電気機器、例えば携帯型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、携帯電話機等の電子機器や、電気自動車、ハイブリッドカー等における負荷回路の消費電力は、その最大値が規定されており、電池パックは、この最大消費電力を供給できるように、設計されている。
【0004】
具体的には、例えばセル一つあたりの出力電圧が3.5V〜4.2Vの範囲で使用可能なリチウムイオン二次電池を用いた場合、出力電流値が同じでも、出力電圧が低いほど出力電力が少なくなる。そして、電池パックでは、二次電池に流れる電流、すなわち二次電池の出力電流が設定電流より大きくなると、電流を遮断して二次電池を過電流から保護するようになっている。
【0005】
従って、二次電池の保護回路は、使用可能な出力電圧下限値において、電気機器が必要とする最大消費電力を供給可能なように、過電流保護のための設定電流が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−286068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、二次電池から電力供給を受ける負荷回路において、例えば短絡故障が発生する等の異常が生じた場合、負荷回路の消費電力、すなわち二次電池の出力電力が増大し、規定の最大消費電力を超えてしまう場合がある。このような場合、負荷回路に電力を供給し続けると、負荷回路が発熱するおそれがある。
【0008】
しかしながら、上述のように、二次電池の出力電流が設定電流より大きくなった場合に電流を遮断する方法では、二次電池の出力電圧が低い場合には、負荷回路の消費電力が規定の最大消費電力を超えることで出力電流が設定電流を超えて電力供給を遮断することができるものの、二次電池の出力電圧が高い場合には、出力電流が設定電流以下であっても、二次電池の出力電力が規定の最大消費電力を超える場合がある。
【0009】
そのため、二次電池の出力電流が設定電流より大きくなった場合に電流を遮断する方法では、二次電池から電力供給を受ける負荷回路の消費電力に異常が生じた場合に負荷回路を保護することが困難であるという、不都合があった。
【0010】
本発明の目的は、負荷回路の消費電力に異常が生じた場合に、二次電池の出力電圧に関わらず負荷回路を保護することができる保護回路、及びこれを備えた電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面に従う保護回路は、外部回路と接続されて、当該外部回路との間で二次電池の充放電電流を入出力するための接続端子と、前記二次電池の出力電圧を検出する電圧検出部と、前記二次電池の放電電流を検出する電流検出部と、前記電圧検出部によって検出された前記出力電圧の値と前記電流検出部によって検出された放電電流の値とを乗じることにより、前記外部回路の消費電力を算出する消費電力算出部と、前記消費電力算出部によって算出された消費電力が、前記外部回路の消費電力における最大値以上の値に設定された電力閾値を超えた場合、前記外部回路を保護する外部保護処理を実行する外部保護部とを備える。
【0012】
この構成によれば、消費電力算出部によって、二次電池の出力電圧の値と二次電池の放電電流の値とが乗算されて、外部回路の消費電力が算出される。そして、外部保護部によって、消費電力算出部によって算出された消費電力が、外部回路の消費電力における最大値以上の値に設定された電力閾値を超えた場合、すなわち外部回路に何らかの異常が生じたと考えられる場合に、外部回路を保護する外部保護処理が実行される。これにより、負荷回路の消費電力に異常が生じた場合に、例え二次電池の出力電圧が高いために放電電流値が小さかったとしても、二次電池の出力電圧に関わらず負荷回路を保護することができる。
【0013】
また、前記接続端子と前記二次電池との間の電流経路を開閉するスイッチング部をさらに備え、前記外部保護処理は、前記スイッチング部をオフする処理を含むことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、消費電力算出部によって算出された消費電力が、外部回路の消費電力における最大値以上の値に設定された電力閾値を超えた場合、外部保護部によって、スイッチング部がオフされるので、外部回路への電流供給が遮断されて外部回路が保護される。
【0015】
また、前記電圧検出部は、前記接続端子の電圧を、前記出力電圧として検出することが好ましい。
【0016】
接続端子と二次電池との間にスイッチング部が設けられると、二次電池の出力電圧を二次電池の端子で検出した場合と、接続端子で検出した場合とでスイッチング部で生じる電圧降下による差が生じる。従って、電圧検出部が、接続端子の電圧を前記出力電圧として検出し、この電圧に基づいて外部回路の消費電力を算出することで、外部回路の消費電力の算出精度を向上させることができる。
【0017】
また、前記二次電池に充電電流が流れ始めたことを検出する充電検出部と、前記充電検出部によって前記二次電池に充電電流が流れ始めたことが検出された場合、前記スイッチング部をオフさせた状態において前記電圧検出部によって検出された前記接続端子の電圧値を、前記外部回路の出力電圧値として取得する出力電圧値取得部と、前記出力電圧値取得部によって取得された外部回路の出力電圧値が、予め設定された判定電圧に満たない場合前記スイッチング部をオンさせ、当該判定電圧を超える場合前記スイッチング部をオフさせた状態を維持する電池保護部とをさらに備えることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、充電検出部によって、二次電池に充電電流が流れ始めたこと、すなわち二次電池の充電が開始されたことが検出される。このとき、接続端子に充電電圧を印加する外部回路が故障するなど何らかの異常が生じていると、過電圧が印加されて二次電池が劣化するおそれがある。そして、出力電圧値取得部によって、スイッチング部をオフさせて二次電池の影響を排除した状態で電圧検出部によって検出された接続端子の電圧値が、外部回路の出力電圧値として取得されるので、外部回路が出力しようとしている電圧値を精度よく出力電圧値として取得することができる。また、電池保護部は、出力電圧値取得部によって取得された出力電圧値が、予め設定された判定電圧に満たない場合、すなわち二次電池を充電しても過度の電圧で充電されることがない場合、スイッチング部をオンさせて二次電池を充電する。また、電池保護部は、出力電圧値取得部によって取得された出力電圧値が、当該判定電圧を超える場合、すなわち二次電池が過度の電圧で充電されるおそれがある場合、スイッチング部をオフさせた状態を維持することにより、二次電池に過度の電圧が印加されるおそれを低減することができる。
【0019】
この場合、接続端子の電圧を検出する電圧検出部を、外部回路の出力電圧を検出するための電圧検出手段として用いることができるので、外部回路の出力電圧を検出するために別途電圧検出回路を追加する必要がない。これにより、二次電池を過度の電圧印加から保護するために必要なコストの増大を低減することができる。
【0020】
また、前記スイッチング部は、前記二次電池の充電方向の電流のみを遮断する充電用スイッチング素子と、前記充電用スイッチング素子と直列接続され、前記二次電池の放電方向の電流のみを遮断する放電用スイッチング素子とを含み、前記出力電圧値取得部は、前記充電検出部によって前記二次電池に充電電流が流れ始めたことが検出された場合、前記充電用スイッチング素子及び前記放電用スイッチング素子をオフさせることにより前記スイッチング部をオフさせた状態において、前記電圧検出部によって検出された前記接続端子の電圧値を、前記外部回路の出力電圧値として取得し、前記電池保護部は、前記出力電圧値取得部によって取得された外部回路の出力電圧値が、前記判定電圧に満たない場合前記充電用スイッチング素子及び前記放電用スイッチング素子をオンさせる一方、当該判定電圧を超える場合前記充電用スイッチング素子をオフ、前記放電用スイッチング素子をオンさせる充電禁止状態にすることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、二次電池の充電方向の電流のみを遮断する充電用スイッチング素子と、充電用スイッチング素子と直列接続され、二次電池の放電方向の電流のみを遮断する放電用スイッチング素子とを備え、電池保護部は、出力電圧値取得部によって取得された出力電圧値が、判定電圧に満たない場合、充電用スイッチング素子及び放電用スイッチング素子をオンさせて、二次電池の充放電を可能にする。一方、電池保護部は、出力電圧値取得部によって取得された出力電圧値が、判定電圧を超える場合、充電用スイッチング素子をオフさせて二次電池を過度の電圧から保護する一方、放電用スイッチング素子をオンさせることにより、二次電池を放電させることを可能にできる。
【0022】
また、前記電池保護部は、前記充電禁止状態にされている期間中に、前記放電電流検出部によって前記二次電池に放電電流が流れたことが検出されたとき、当該充電用スイッチング素子をオンすることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、充電禁止状態にされている期間中に、電流検出部によって検出される電流が二次電池の放電方向となったとき、すなわち二次電池に過度の電圧が印加されるおそれが解消したとき、電池保護部によって、充電用スイッチング素子がオンされるので、再び二次電池を充電することが可能となる。
【0024】
また、前記外部保護処理に含まれる前記スイッチング部をオフする処理は、前記充電用スイッチング素子をオンしたまま前記放電用スイッチング素子をオフする処理であり、前記外部保護処理、前記電池保護部、及び前記出力電圧値取得部による前記放電用スイッチング素子及び前記充電用スイッチング素子のオン、オフが競合した場合には、オフ動作が優先されることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、前記消費電力が前記電力閾値を超えた場合、充電用スイッチング素子をオンしたまま放電用スイッチング素子がオフされるので、負荷回路への電力供給は停止しつつ、二次電池を充電することが可能となる。
【0026】
また、前記外部保護処理は、前記外部回路に異常が生じていることを示す情報を、当該外部回路へ送信する処理を含むことが好ましい。
【0027】
この構成によれば、消費電力算出部によって算出された消費電力が、外部回路の消費電力における最大値以上の値に設定された電力閾値を超えた場合、すなわち外部回路に何らかの異常が生じたと考えられる場合に、外部回路に異常が生じていることを示す情報が当該外部回路へ送信されるので、当該外部回路において、例えば電源オフしたり、異常箇所への電源供給を遮断したりする等、外部回路を保護する処理を実行することが可能となる。
【0028】
また、前記消費電力算出部によって算出された消費電力が、前記電力閾値を超えた場合、前記外部回路に異常が生じていることを報知する報知部をさらに備えることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、消費電力算出部によって算出された消費電力が前記電力閾値を超えた場合、ユーザに、外部回路に異常が生じていることを報知することができる。
【0030】
また、前記外部保護部は、前記消費電力算出部によって算出される消費電力が前記電力閾値を超える状態が、予め設定された判定継続時間の間継続する判定条件が満たされた場合に、前記外部保護処理を実行することが好ましい。
【0031】
この構成によれば、一時的に消費電力が電力閾値を超えた場合であっても、判定継続時間の間継続しなければ前記外部保護処理は実行されないので、不必要な外部保護処理によって外部回路の動作を阻害するおそれが低減される。
【0032】
また、前記外部保護部は、前記消費電力算出部によって算出される消費電力が前記電力閾値を超えた場合における当該消費電力と当該電力閾値との差を、予め設定された判定継続時間の間積算することにより超過電力量を算出し、当該超過電力量が予め設定された判定閾値を超える判定条件が満たされた場合に、前記外部保護処理を実行するようにしてもよい。
【0033】
この構成によれば、一時的に消費電力が電力閾値を超えた場合であっても、判定継続時間の間における、消費電力のうち電力閾値を超えた部分の電力量に相当する超過電力量が判定閾値を超えなければ前記外部保護処理は実行されないので、不必要な外部保護処理によって外部回路の動作を阻害するおそれが低減される。
【0034】
また、前記外部保護部は、前記消費電力算出部によって算出される消費電力を、予め設定された判定継続時間において時間平均することにより平均電力値を算出し、当該平均電力値が前記電力閾値を超える判定条件が満たされた場合に、前記外部保護処理を実行するようにしてもよい。
【0035】
この構成によれば、一時的に消費電力が電力閾値を超えた場合であっても、判定継続時間の間における消費電力の時間平均値である平均電力値が電力閾値を超えなければ前記外部保護処理は実行されないので、不必要な外部保護処理によって外部回路の動作を阻害するおそれが低減される。
【0036】
また、前記外部保護部は、さらに、前記消費電力算出部によって算出された消費電力が前記電力閾値を超えたとき、当該消費電力が当該電力閾値を超えたことを示す異常通知情報を前記外部回路へ送信する異常通知処理を実行し、前記異常通知処理の実行後の前記判定継続時間において前記判定条件が満たされた場合に、前記外部保護処理を実行することが好ましい。
【0037】
この構成によれば、消費電力が電力閾値を超えたとき、異常通知情報が外部回路へ送信されるので、外部回路において、消費電力を減少させ、発熱量を減少させるように制御することが可能となる。これにより、不必要な外部保護処理によって外部回路の動作を阻害するおそれを低減しつつ、外部回路側の制御によって発熱量を減少させることが可能となる。そして、異常通知情報の送信後の判定継続時間において、なお前記判定条件が満たされた場合、外部保護部によって外部保護処理が実行されるので、外部回路側の制御による保護が困難な場合であっても当該外部回路を保護することができる。
【0038】
また、前記外部回路の温度に関する情報である温度情報を取得する温度取得部と、前記温度取得部により取得される温度情報の示す温度が上昇するほど前記電力閾値が小さな値になるように、当該電力閾値を設定する閾値設定部とをさらに備えることが好ましい。
【0039】
負荷回路においては、消費電力に応じた発熱量による温度上昇が、現時点での温度に上乗せされて、負荷回路の温度が上昇することになる。そこで、閾値設定部は、温度が上昇するほど電力閾値が小さな値になるように電力閾値を設定することで、現時点での温度に関わらず、負荷回路が発熱した後の温度を一定の温度以下に維持できるような、電力閾値を設定することが可能になる。
【0040】
また、前記外部回路の温度に関する情報である温度情報を取得する温度取得部と、前記温度取得部により取得される温度情報の示す温度が上昇するほど前記判定閾値が小さな値になるように、当該判定閾値を設定する閾値設定部とをさらに備えるようにしてもよい。
【0041】
この構成によれば、閾値設定部は、温度が上昇するほど判定閾値が小さな値になるように判定閾値を設定することで、現時点での温度に関わらず、負荷回路が発熱した後の温度を一定の温度以下に維持できるような、判定閾値を設定することが可能になる。
【0042】
また、本発明の一局面に従う電池パックは、上述の保護回路と、前記二次電池とを備える。
【0043】
この構成によれば、二次電池を備えた電池パックにおいて、負荷回路の消費電力に異常が生じた場合に、二次電池の出力電圧に関わらず負荷回路を保護することができる。
【発明の効果】
【0044】
このような構成の保護回路、及び電池パックは、外部保護部によって、消費電力算出部によって算出された消費電力が、外部回路の消費電力における最大値以上の値に設定された電力閾値を超えた場合、すなわち外部回路に何らかの異常が生じたと考えられる場合に、外部回路を保護する外部保護処理が実行されるので、負荷回路の消費電力に異常が生じた場合に、二次電池の出力電圧に関わらず負荷回路を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態に従う保護回路を備えた電池パックの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す電池パックの動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す電池パックの動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に従う保護回路と、これを備えた電池パック及び充電システムの一例を示すブロック図である。
【図5】図1に示す保護回路の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す保護回路の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】図5に示す保護回路の動作の一例を説明するための説明図である。
【図8】図5に示す保護回路の動作の一例を説明するための説明図である。
【図9】図5に示す保護回路の動作の一例を説明するための説明図である。
【図10】図5に示す保護回路の動作の一例を説明するための説明図である。
【図11】図5に示す保護回路の動作の変形例を示すフローチャートである。
【図12】図5に示す保護回路の動作の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0047】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る保護回路4を備えた電池パック2の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す充電システム1は、電池パック2と、外部回路3とが組み合わされて構成されている。
【0048】
充電システム1は、例えば、携帯型パーソナルコンピュータやデジタルカメラ、携帯電話機等の電子機器、電気自動車やハイブリッドカー等の車両、等の電池搭載機器システムである。そして、外部回路3は、例えばこれら電池搭載機器システムの本体部分であり、負荷回路34は、これら電池搭載機器システムにおいて、電池パック2からの電力供給により動作する負荷回路である。
【0049】
負荷回路34は、正常時における消費電力の最大値が最大消費電力Pmaxとして予め規定されており、消費電力が最大消費電力Pmaxを超えないようになっている。
【0050】
充電部35は、例えば商用電源電圧から電池パック2の充電電流を生成する電源回路であってもよく、例えば太陽光、風力、あるいは水力といった自然エネルギーに基づき発電する発電装置や、内燃機関等の動力によって発電する発電装置等であってもよい。
【0051】
電池パック2は、保護回路4と、組電池14(二次電池)とを備えている。また、保護回路4は、接続端子11,12,13、制御部201、電流検出抵抗202、通信部203、LED(Light Emitting Diode)204(報知部)、放電用スイッチング素子Q1、及び充電用スイッチング素子Q2を備えている。
【0052】
なお、充電システム1は、必ずしも電池パック2と外部回路3とに分離可能に構成されるものに限られず、充電システム1全体で一つの保護回路4が構成されていてもよい。また、保護回路4を、電池パック2と外部回路3とで分担して備えるようにしてもよい。また、組電池14は、電池パックにされている必要はなく、例えば保護回路4が、車載用のECU(Electric Control Unit)として構成されていてもよい。
【0053】
外部回路3は、接続端子31,32,33、負荷回路34、充電部35、通信部36、及び制御部37を備えている。充電部35は、給電用の接続端子31,32に接続され、通信部36は、接続端子33に接続されている。
【0054】
また、電池パック2が、外部回路3に取り付けられると、電池パック2の接続端子11,12,13と、外部回路3の接続端子31,32,33とが、それぞれ接続されるようになっている。
【0055】
通信部203,36は、接続端子13,33を介して互いにデータ送受信可能に構成された通信インターフェイス回路である。充電部35は、制御部37からの制御信号に応じた電流、電圧を、接続端子31,32を介して電池パック2へ供給する電源回路である。
【0056】
制御部37は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成された制御回路である。そして、電池パック2における制御部201から通信部203によって送信された要求指示が、通信部36によって受信されると、制御部37は、通信部36によって受信された要求指示に応じて充電部35を制御することにより、電池パック2から送信された要求指示に応じた電流や電圧を、充電部35から接続端子11,12へ出力させる。
【0057】
また、制御部37は、例えば制御部201からの要求指示が、定電圧充電のための一定の電圧Vfを要求するものであった場合、充電部35によって、接続端子11,12間に電圧Vfを出力させる。
【0058】
また、制御部37は、制御部201から電圧Vfを要求されている場合であっても、充電部35から出力される電流の充放電電流値Icが、組電池14を過電流から保護するために予め設定された制限電流値Ipを超えないように、電流を制限する。この場合、充放電電流値Icが制限電流値Ipになると、電流制御が優先されて、接続端子11,12間に印加される電圧が電圧Vfを下回る場合がある。
【0059】
また、制御部37は、負荷回路34の最大消費電力Pmaxを示す情報を、通信部36によって電池パック2へ送信する。
【0060】
さらに、制御部37は、通信部36によって、負荷回路34に異常が生じていることを示す情報が受信された場合、例えば負荷回路34の電源供給を制御する図略の電源制御回路によって、負荷回路34の電源をオフさせる等の処理により、負荷回路34の保護動作を実行する。
【0061】
電池パック2では、接続端子11は、充電用スイッチング素子Q2と放電用の放電用スイッチング素子Q1とを介して組電池14の正極に接続されている。放電用スイッチング素子Q1及び充電用スイッチング素子Q2としては、例えばpチャネルのFET(Field Effect Transistor)が用いられる。そして、放電用スイッチング素子Q1及び充電用スイッチング素子Q2の直列回路によって、スイッチング部SWが構成されている。
【0062】
放電用スイッチング素子Q1は、寄生ダイオードのカソードが組電池14の方向にされており、オフすると組電池14の放電方向の電流のみを遮断するようになっている。また、充電用スイッチング素子Q2は、寄生ダイオードのカソードが接続端子11の方向にされており、オフすると組電池14の充電方向の電流のみを遮断するようになっている。
【0063】
また、接続端子12は、電流検出抵抗202を介して組電池14の負極に接続されており、接続端子11から充電用スイッチング素子Q2、放電用スイッチング素子Q1、組電池14、及び電流検出抵抗202を介して接続端子12に至る電流経路が構成されている。
【0064】
なお、接続端子11,12,13,31,32,33は、電池パック2と外部回路3とを電気的に接続するものであればよく、例えば電極やコネクタ、端子台等であってもよく、ランドやパッド等の配線パターンであってもよい。
【0065】
電流検出抵抗202は、組電池14の充電電流および放電電流を電圧値に変換する。
【0066】
組電池14は、例えば複数の二次電池141,142,143が直列接続されて構成されている。なお、組電池14は、例えば単電池であってもよく、例えば複数の二次電池が並列接続された組電池であってもよく、直列と並列とが組み合わされて接続された組電池であってもよい。二次電池141,142,143としては、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等、種々の二次電池が用いられる。
【0067】
二次電池141,142,143が、例えばリチウムイオン二次電池の単セルであった場合、上述の定電圧充電用の電圧Vfとしては、セルあたり4.2V程度になるように、例えば4.2V×3=12.6Vが用いられる。
【0068】
この場合、二次電池141,142,143、及び組電池14が、それぞれ請求項における二次電池の一例に相当している。
【0069】
制御部201は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、アナログデジタル変換回路と、これらの周辺回路等とを備えて構成されている。
【0070】
そして、制御部201は、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、消費電力算出部211、外部保護部212、充電検出部214、出力電圧値取得部215、電池保護部216、端子電圧検出部217(電圧検出部)、電池電圧検出部218(電圧検出部)、及び電流検出部219として機能する。
【0071】
端子電圧検出部217は、例えばアナログデジタル変換回路を用いて構成され、接続端子11,12間の端子電圧Vtを検出する。
【0072】
電池電圧検出部218は、例えばアナログデジタル変換回路を用いて構成され、二次電池141,142,143の各端子電圧V1,V2,V3をそれぞれ検出する。そして、電池電圧検出部218は、各端子電圧V1,V2,V3の合計電圧を組電池14の端子電圧である電池電圧Vbとして取得する。なお、電池電圧検出部218は、組電池14の端子電圧を電池電圧Vbとして直接検出するようにしてもよい。
【0073】
電流検出部219は、例えばアナログデジタル変換回路を用いて構成され、電流検出抵抗202の両端間の電圧Vrを検出し、この電圧Vrを電流検出抵抗202の抵抗値Rで除算することにより、組電池14に流れる充放電電流値Icを取得する。また、電流検出部219は、充放電電流値Icについて、例えば組電池14を充電する方向の電流値をプラスの値で、組電池14を充電する方向の電流値をマイナスの値で表すようになっている。
【0074】
消費電力算出部211は、組電池14に放電方向の電流が流れているときに、端子電圧検出部217によって検出された端子電圧Vt(出力電圧)と電流検出部219によって検出された充放電電流値Icとを乗じることにより、外部回路3の消費電力Pを算出する。
【0075】
なお、消費電力算出部211は、電池電圧検出部218によって取得された電池電圧Vb(出力電圧)と電流検出部219によって検出された充放電電流値Icとを乗じることにより、外部回路3の消費電力Pを算出するようにしてもよい。この場合、端子電圧検出部217を備えない構成としてもよい。しかしながら、電池電圧Vbと充放電電流値Icとを乗算して消費電力Pを算出した場合には、消費電力Pに、スイッチング部SWで生じた電力損失が含まれるため、端子電圧Vtと充放電電流値Icとを乗じて消費電力Pを算出した方が、消費電力Pの算出精度が向上する。
【0076】
外部保護部212は、制御部37から送信された最大消費電力Pmaxを示す情報を、通信部203によって受信させることで、最大消費電力Pmaxを取得する。なお、最大消費電力Pmaxは、例えばROMに予め記憶されていてもよい。
【0077】
そして、外部保護部212は、消費電力算出部211によって算出された消費電力Pが最大消費電力Pmaxを超えた場合、外部回路3に何らかの異常が生じていると考えられるので、例えば放電用スイッチング素子Q1をオフさせて外部回路3への電力供給を遮断したり、外部回路3に異常が生じていることを示す情報を通信部203によって外部回路3へ送信させることにより、外部回路3における制御部37によって負荷回路34の保護動作を実行させたりする外部保護処理を実行する。この場合、最大消費電力Pmaxは電力閾値の一例に相当している。
【0078】
なお、外部保護部212は、最大消費電力Pmaxの代わりに、最大消費電力Pmaxよりも大きな値に設定された電力閾値を消費電力Pと比較する構成としてもよい。
【0079】
また、外部保護部212は、消費電力算出部211によって算出された消費電力Pが最大消費電力Pmaxを超えた場合、例えばLED204を発光させて、外部回路3に異常が生じていることを、ユーザに報知する。なお、報知部は、例えばLEDに限られず、例えば液晶表示器や、ブザーのように音で異常の発生を報知するものであってもよい。
【0080】
充電検出部214は、組電池14に充電方向の電流が流れ始めたことを検出する。具体的には、充電検出部214は、例えば電流検出部219によって検出された充放電電流値Icが、ゼロからプラス方向に増加した場合やマイナスからプラスに変化した場合、組電池14に充電方向の電流が流れ始めたと判定する。
【0081】
出力電圧値取得部215は、充電検出部214によって組電池14に充電電流が流れ始めたことが検出された場合、放電用スイッチング素子Q1及び充電用スイッチング素子Q2をオフさせて、端子電圧検出部217によって接続端子11,12間の端子電圧Vtを検出させ、このようにして得られた端子電圧Vtを、充電部35の出力電圧値Voutとして取得する。
【0082】
電池保護部216は、充電検出部214によって組電池14に充電電流が流れ始めたことが検出された場合において、出力電圧値取得部215によって取得された出力電圧値Voutが、予め設定された判定電圧Vthに満たないとき放電用スイッチング素子Q1及び充電用スイッチング素子Q2をオンさせる一方、判定電圧Vthを超える場合充電用スイッチング素子Q2をオフ、放電用スイッチング素子Q1をオンさせて充電禁止状態にする。
【0083】
判定電圧Vthとしては、充電部35が正常な場合において充電部35から出力される電圧の上限値を上回る電圧値が設定されている。
【0084】
例えば、二次電池141,142,143がリチウムイオン二次電池であって、電圧Vfとして12.6Vが設定されている場合において、充電部35が正常であれば、充電部35から出力される電圧の上限は、12.6Vとなるから、判定電圧Vthとして、例えば12.6Vを超える15Vが設定される。
【0085】
また、電池保護部216は、上記充電禁止状態にされている期間中に、組電池14に放電電流が流れた場合、充電用スイッチング素子をオンする。
【0086】
なお、電池保護部216は、充電検出部214によって組電池14に充電電流が流れ始めたことが検出された場合において、出力電圧値取得部215によって取得された出力電圧値Voutが、判定電圧Vthに満たない場合、放電用スイッチング素子Q1及び充電用スイッチング素子Q2をオンさせ、判定電圧Vthを超える場合放電用スイッチング素子Q1及び充電用スイッチング素子Q2をオフさせた状態を維持するようにしてもよい。
【0087】
さらに、電池保護部216は、例えば、電池電圧検出部218によって検出された二次電池141,142,143の各端子電圧V1,V2,V3が、二次電池141,142,143の過充電を防止するために予め設定された過充電電圧を超えたとき、充電用スイッチング素子Q2をオフすることで過充電を防止し、二次電池141,142,143の過放電を防止するために予め設定された過放電電圧を下回った場合、放電用スイッチング素子Q1をオフして過放電を防止したりするようになっている。
【0088】
次に、上述のように構成された充電システム1の動作について説明する。図2、図3は、図1に示す電池パック2の動作の一例を示すフローチャートである。図2は、主に、消費電力算出部211、及び外部保護部212の動作の一例を示している。また、図3は、主に充電検出部214、出力電圧値取得部215、及び電池保護部216の動作の一例を示している。図2に示すフローチャートと、図3に示すフローチャートとは、並行して実行されるようになっている。
【0089】
まず、図2に示すフローチャートから説明する。まず、電流検出部219によって、組電池14に流れる充放電電流値Icが検出される(ステップS1)。
【0090】
次に、消費電力算出部211によって、充放電電流値Icがゼロより小さいか否か、すなわち組電池14に流れる電流が放電方向であるか否かが確認される(ステップS2)。そして、充放電電流値Icがゼロより小さく、従って組電池14に流れる電流が放電方向である場合(ステップS2でYES)、端子電圧検出部217によって、接続端子11,12間の端子電圧Vtが検出される(ステップS3)。
【0091】
次に、消費電力算出部211によって、端子電圧Vtと充放電電流値Icとが乗算され、その絶対値が消費電力Pとして算出される(ステップS4)。そして、外部保護部212によって、消費電力Pと最大消費電力Pmaxとが比較され(ステップS5)、消費電力Pが最大消費電力Pmax以下であれば(ステップS5でNO)、消費電力Pは正常値であるので、再びステップS1〜S5を繰り返す。
【0092】
一方、消費電力Pが最大消費電力Pmaxを超えていれば(ステップS5でYES)、例えば負荷回路34で短絡故障が生じるなどの異常が発生していると考えられるので、外部保護部212が、外部回路3に異常が生じていることを示す情報を通信部203によって外部回路3へ送信させることにより、外部回路3における制御部37によって負荷回路34の保護動作を実行させた後(ステップS6)、外部保護部212が、放電用スイッチング素子Q1をオフして外部回路3への電力供給を遮断することで、負荷回路34を保護する(ステップS7)。
【0093】
なお、ステップS6を実行しない構成としてもよい。
【0094】
また、外部保護部212は、ステップS7において、消費電力Pが最大消費電力Pmaxを超えた場合、例えば、放電用スイッチング素子Q1及び充電用スイッチング素子Q2を両方ともオフさせることで、外部回路3への電力供給を遮断するようにしてもよい。
【0095】
しかしながら、消費電力Pが最大消費電力Pmaxを超えた場合、放電用スイッチング素子Q1のみオフさせるようにすると、充電電流は遮断されないので、異常が発生したと考えられる負荷回路34への電力供給は停止しつつ、例えば発電装置の発電量に余剰が生じた場合等には、余剰電力を速やかに組電池14へ充電させることができる。
【0096】
さらに、外部保護部212は、消費電力算出部211によって算出された消費電力Pが最大消費電力Pmaxを超えた場合、例えばLED204を発光させて、外部回路3に異常が生じていることを、ユーザに報知し(ステップS8)、処理を終了する。
【0097】
なお、ステップS8を実行しない構成としてもよい。
【0098】
以上、ステップS1〜S8の処理によれば、保護回路4を備えた電池パック2は、消費電力算出部211によって算出された消費電力Pが、最大消費電力Pmaxを超えた場合、すなわち外部回路3に何らかの異常が生じたと考えられる場合に、外部回路3が保護されるので、組電池14の出力電圧に関わらず外部回路を保護することができる。
【0099】
次に、図3を参照して、充電検出部214、出力電圧値取得部215、及び電池保護部216の動作について説明する。図3に示すステップS101〜S110の動作は、図2に示すステップS1〜S8と並行して実行されている。
【0100】
まず、電流検出部219によって、組電池14に流れる充放電電流値Icが検出される(ステップS101)。
【0101】
次に、電流検出部219によって検出された充放電電流値Icに基づいて、充電検出部214によって、組電池14に充電電流が流れ始めたか否か、すなわち組電池14の充電が開始されたか否かが確認される(ステップS102)。そして、充電検出部214によって、組電池14に充電電流が流れ始めたことが検出されると(ステップS102でYES)、出力電圧値取得部215によって、放電用スイッチング素子Q1及び充電用スイッチング素子Q2がオフされる(ステップS103)。
【0102】
次に、端子電圧検出部217によって、端子電圧Vtが検出される(ステップS104)。そして、出力電圧値取得部215によって、端子電圧検出部217で検出された端子電圧Vtが、出力電圧値Voutとして取得される(ステップS105)。
【0103】
さらに、電池保護部216によって、出力電圧値Voutと判定電圧Vthとが比較され(ステップS106)、出力電圧値Voutが判定電圧Vthに満たなければ(ステップS106でYES)、充電部35から正常に充電電圧が出力されていると考えられるから、放電用スイッチング素子Q1及び充電用スイッチング素子Q2がオンされて(ステップS110)、充放電可能な状態にされる。
【0104】
一方、出力電圧値Voutが判定電圧Vth以上であれば(ステップS106でNO)、充電部35が正常な場合において出力される電圧の上限値を上回る電圧が、充電部35から出力されていることとなるから、充電部35に異常が生じていると考えられるので、放電用スイッチング素子Q1がオン、充電用スイッチング素子Q2がオフされて(ステップS107)、充電禁止状態にされる。
【0105】
これにより、組電池14に過電圧が印加されて劣化するおそれが低減される。また、放電用スイッチング素子Q1はオンされているので、充電部35の出力電圧が低下して組電池14の電池電圧Vbより低くなれば、組電池14を放電させて負荷回路34へ負荷電流を供給することが可能とされている。
【0106】
なお、ステップS107において、放電用スイッチング素子Q1及び充電用スイッチング素子Q2をオフのまま維持するようにしてもよい。
【0107】
ここで、ステップS103において、もし仮に充電用スイッチング素子Q2をオフせず、充電用スイッチング素子Q2をオンしたまま、ステップS104において端子電圧Vtを検出すると、充電部35が例えば定電圧充電のための電圧Vfを出力しようとしている場合であっても、充電部35から出力された電流が組電池14に流れるため、充放電電流値Icが制限電流値Ipを超えて、電流制御が優先されて端子電圧Vtが低下し、充電部35が電圧Vfとして出力しようとしている電圧よりも、端子電圧Vtが低くなる場合がある。
【0108】
一方、例えば充電部35が電圧Vfとして12.6Vを出力すべきところ、充電部35の故障等により、充電部35が電圧Vfとして例えば15Vを出力してしまう場合がある。このような場合、ステップS106において、充電部35の出力電圧が判定電圧Vth以上になったことで、充電部35の異常を検出しようとしているのであるが、上述のように充電部35から出力された電流が組電池14に流れて充電部35が電圧Vfとして出力しようとしている電圧よりも端子電圧Vtが低くなると、充電部35の異常を検出することができなくなってしまう。
【0109】
そこで、ステップS103において、充電用スイッチング素子Q2をオフして組電池14に流れる電流を遮断し、ステップS104において端子電圧Vtを出力電圧値Voutとして検出することで、実際に充電部35が電圧Vfとして出力しようとしている電圧を出力電圧値Voutとして検出することができる結果、ステップS106において充電部35の異常の有無を正しく判定することが可能となる。
【0110】
また、もし仮に、ステップS103において放電用スイッチング素子Q1をオフせず、放電用スイッチング素子Q1をオンしたまま、ステップS104において端子電圧Vtを検出すると、組電池14の出力電圧が接続端子11,12に回り込んで出力電圧値Voutの検出精度が低下するおそれがある。
【0111】
そこで、ステップS103において、放電用スイッチング素子Q1をオフして組電池14から接続端子11,12に回り込む電圧を遮断することで、出力電圧値Voutの検出精度を向上させるようになっている。
【0112】
次に、電流検出部219によって、組電池14に流れる充放電電流値Icが検出される(ステップS108)。
【0113】
そして、電池保護部216は、電流検出部219によって検出された充放電電流値Icがゼロ以上であれば(ステップS109でNO)、ステップS108〜S109を繰り返して充電用スイッチング素子Q2をオフのまま維持する一方、電流検出部219によって検出された充放電電流値Icがマイナスの値となり、すなわち放電方向の電流値となった場合(ステップS109でYES)、充電部35によって過電圧が印加されるおそれは解消したと考えられるので、ステップS110へ移行して、放電用スイッチング素子Q1及び充電用スイッチング素子Q2がオンされて(ステップS110)、充放電可能な状態にされる。
【0114】
以後、ステップS101〜S110の動作が繰り返される。以上、ステップS101〜S110がステップS1〜S8と並行して実行されることにより、充電部35による組電池14の充電開始時に、故障等により組電池14に過電圧が印加されるおそれを低減することができる。
【0115】
なお、ステップS1〜S8とステップS101〜S110との並列動作において、放電用スイッチング素子Q1、及び充電用スイッチング素子Q2のオン、オフ制御が競合した場合、オフ動作が優先される。すなわち、ステップS1〜S8の処理とステップS101〜S110の処理のうち、いずれか一方の処理によりオフにされたスイッチング素子は、他方の処理によりオンされることはない。
【0116】
また、ステップS104において端子電圧Vtを検出する端子電圧検出部217は、ステップS1においてもスイッチ電圧値Vswの算出用の端子電圧Vtを検出するために用いられており、ステップS101〜S110による電池の保護を実行するためにのみ、アナログデジタル変換器等の高価な電圧検出回路を必要とする端子電圧検出部217を新たに追加する必要がない。
【0117】
そのため、ステップS1〜S8の処理を実行する構成において、例えばROMに記憶される制御プログラムを追加するだけで、ステップS101〜S110による電池の保護を実行可能となるので、このような電池の保護を行うためのコストの増大を低減することが可能となる。
【0118】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に従う保護回路4a、及びこれを備えた電池パック2aについて説明する。図4は、本発明の第2実施形態に従う保護回路4aと、これを備えた電池パック2a及び充電システム1aの一例を示すブロック図である。
【0119】
図4に示す保護回路4aは、図1に示す保護回路4とは、制御部201aが、外部保護部212の代わりに外部保護部212aを備える点、及び温度取得部221と閾値設定部222とをさらに備える点で異なる。
【0120】
また、図4に示す外部回路3aは、図1に示す外部回路3とは、温度センサ38をさらに備える点、及び制御部37aの動作が異なる。
【0121】
その他の構成は図1に示す充電システム1と同様であるのでその説明を省略し、以下本実施形態の特徴的な点について説明する。
【0122】
温度センサ38は、例えばサーミスタや熱電対を用いて構成された温度センサである。温度センサ38は、例えば負荷回路34の近傍に、あるいは負荷回路34に接するように配設されて、負荷回路34の温度tを検出する。
【0123】
制御部37aは、温度センサ38により検出される温度tを示す温度情報を、通信部36によって電池パック2aへ送信させる点で、制御部37とは異なる。
【0124】
温度取得部221は、制御部37aから通信部36を介して通信部203へ送信された温度情報を取得する。なお、温度取得部221は、必ずしも制御部37aから送信された温度情報を取得する例に限らない。例えば温度センサ38を、電池パック2aが備えて、温度センサ38により検出された温度tを、温度情報として温度取得部221が取得するようにしてもよい。また、外気温と負荷回路34の温度とは相関関係があるので、温度センサにより外気温を温度tとして検出し、温度取得部221は、その温度tを温度情報として取得するようにしてもよい。
【0125】
閾値設定部222は、温度取得部221により取得される温度tが上昇するほど電力閾値Pthが小さな値になるように、電力閾値Pthを設定する。負荷回路34においては、負荷回路34における消費電力に応じた発熱量による温度上昇が、現時点での温度tに上乗せされて、負荷回路34の温度tが上昇することになる。
【0126】
そこで、閾値設定部222は、電力閾値Pthが最大消費電力Pmax以上であって、かつ温度tが上昇するほど電力閾値Pthが小さな値になるように電力閾値Pthを設定することで、現時点での温度tに関わらず、負荷回路34が発熱した後の温度tを一定の規定温度tmax以下に維持できるような、電力閾値Pthを設定するようになっている。規定温度tmaxとしては、例えば負荷回路34が正常に動作可能な上限値、例えば定格温度が用いられる。
【0127】
外部保護部212aは、外部保護部212とは、外部保護処理としての異常が生じていることを示す情報の送信(ステップS6)とは別に消費電力Pが電力閾値Pthを超えたことを外部回路3aへ送信する異常通知処理を行う点と、外部保護処理を実行する条件とが異なる。
【0128】
すなわち、外部保護部212aは、消費電力Pが電力閾値Pthを超えると、消費電力Pが電力閾値Pthを超えたことを外部回路3aへ送信し、さらに消費電力算出部211によって算出される消費電力Pが、閾値設定部222により設定された電力閾値Pthを超えた場合における消費電力Pと電力閾値Pthとの差を、予め設定された判定継続時間Tjの間積算することにより超過電力量Poを算出し、当該超過電力量Poが予め設定された判定閾値Pojを超えた場合に、上述の外部保護処理(ステップS6,S7)を実行する。
【0129】
負荷回路34の発熱量(Wh)は、電力(W)と時間(h)との乗算値として得られる。従って、負荷回路34の消費電力Pが、一時的に電力閾値Pthを超えた場合であっても、超えた時間が短ければ発熱量は小さく、規定温度tmaxを超えない。そこで、負荷回路34の温度tを規定温度tmaxまで上昇させる発熱量が、判定閾値Pojとして予め設定されている。
【0130】
これにより、温度tは規定温度tmaxに満たず、まだ負荷回路34が正常に動作可能であるにもかかわらず、一時的な消費電力の増加によって負荷回路34への電力供給を停止してしまうおそれが低減され、電力供給の停止によって負荷回路34の動作を停止させてしまうおそれが低減される。
【0131】
また、判定継続時間Tjは、短すぎると短時間で負荷回路34の温度tを規定温度tmaxまで上昇させるような大電力が消費されないと、外部保護処理が実行されないこととなって、負荷回路34を適切に保護できないおそれがある。一方、判定継続時間Tjは、長すぎると、放熱により現在の温度tに影響を与えなくなるほど、遠い以前の発熱量まで考慮して、不必要な外部保護処理を実行してしまうおそれがある。
【0132】
従って、判定継続時間Tjは、負荷回路34の温度tが規定温度tmaxを超えないように保護できる時間を、例えば実験的に求めることで、適宜設定される。
【0133】
なお、閾値設定部222は、電力閾値Pthの代わりに判定閾値Pojを設定してもよい。閾値設定部222は、温度tが上昇するほど判定閾値Pojが小さな値になるように判定閾値Pojを設定することで、現時点での温度tに関わらず、負荷回路34が発熱した後の温度tを一定の規定温度tmax以下に維持できるような、判定閾値Pojを設定するようにしてもよい。
【0134】
図5、図6は、図1に示す保護回路4aの動作の一例を示すフローチャートである。以下のフローチャートにおいては、同様の動作には同一のステップ番号を付してその説明を省略する。また、図5、図6に示すフローチャートと並行して、図3に示すステップS101〜S110が実行される。
【0135】
まず、保護回路4と同様、ステップS1,S2が実行される。そして、組電池14に流れる電流が放電方向である場合(ステップS2でYES)、外部保護部212aによって、例えば図略のタイマ回路を用いて経過時間Tの計時が開始される(ステップS10)。
【0136】
次に、外部保護部212aによって、超過電力量Poがゼロに初期化される(ステップS11)。次に、負荷回路34の温度tが、温度センサ38によって検出され、制御部37aによって温度情報として送信され、通信部203で受信される。そして、温度取得部221によって、通信部203で受信された温度情報から、負荷回路34の温度tが取得される(ステップS12)。
【0137】
次に、閾値設定部222によって、温度tが上昇するほど電力閾値Pthが小さな値になるように、電力閾値Pthが設定される(ステップS13)。
【0138】
具体的には、例えば、温度tが上昇するほど電力閾値Pthが小さな値になるように温度tと電力閾値Pthとを対応付けたLUT(Look Up Table)が、予めROMに記憶されている。そして、温度取得部221で取得された温度tと対応付けてLUTに記憶されている電力閾値Pthが、閾値設定部222によって取得されるようになっている。
【0139】
次に、端子電圧検出部217によって、接続端子11,12間の端子電圧Vtが検出される(ステップS3)。そして、消費電力算出部211によって、端子電圧Vtと充放電電流値Icとが乗算され、その絶対値が消費電力Pとして算出される(ステップS4)。
【0140】
次に、外部保護部212aによって、例えば単位時間毎に、消費電力Pと電力閾値Pthとが比較される(ステップS14)。そして、消費電力Pが電力閾値Pthを超えていれば(ステップS14でYES)、外部保護部212aは、通信部203から通信部36へ、消費電力Pが電力閾値Pthを超えたことを示す異常通知情報を送信させる(ステップS15)。
【0141】
そうすると、外部回路3aでは、通信部36で異常通知情報が受信されて制御部37aへ出力される。これにより、制御部37aは、異常通知情報を取得すると、例えば負荷回路34の動作を減少させるように制御して、負荷回路34の消費電力を減少させ、負荷回路34の温度tを規定温度tmax以下に維持することが可能となる。
【0142】
次に、外部保護部212aによって、消費電力Pと電力閾値Pthとの差が超過電力量Poに加算されて、超過電力量Poの積算が行われ(ステップS16)、ステップS17へ移行する。
【0143】
一方、消費電力Pが電力閾値Pthを超えていなければ(ステップS14でNO)、超過電力量Poの積算を行うことなくステップS17へ移行する。
【0144】
次に、ステップS17において、外部保護部212aによって、経過時間Tと判定継続時間Tjとが比較される(ステップS17)。そして、経過時間Tが判定継続時間Tjを超えていなければ(ステップS17でNO)、再びステップS12〜S17が繰り返される。一方、経過時間Tが判定継続時間Tjを超えていれば(ステップS17でYES)、判定継続時間Tjが経過したのでステップS18へ移行する。
【0145】
図7、図8、図9、図10は、ステップS10〜S17の動作を説明するための説明図である。図7、図8、図9、図10は、横軸が時間、縦軸が消費電力Pを示している。そして、図7、図8、図9、図10における斜線部分の面積が、判定継続時間Tjにおける超過電力量Poを示している。
【0146】
次に、ステップS18において、外部保護部212aによって、超過電力量Poと判定閾値Pojとが比較される(ステップS18)。そして、超過電力量Poが判定閾値Pojを超えなければ(ステップS18でNO)、外部保護部212aにより外部回路3は正常であると判定されて、再びステップS1〜S18を繰り返す。
【0147】
一方、超過電力量Poが判定閾値Pojを超えていれば(ステップS18でYES)、例えば負荷回路34で短絡故障が生じるなどの異常が発生していると考えられるので、外部保護部212aにより外部保護処理が実行される(ステップS6〜S8)。
【0148】
以上、ステップS1〜S18の処理によれば、消費電力Pが最大消費電力Pmaxを超えていても、即座に組電池14の放電を禁止するのではなく、判定継続時間Tjの間における超過電力量Poが判定閾値Pojを超えた場合、すなわち負荷回路34の温度tが規定温度tmaxを超えるおそれがある場合に、外部保護処理が実行されるので、外部保護処理によって不必要に外部回路3aの動作を停止させてしまうおそれが低減される。
【0149】
また、消費電力Pが電力閾値Pthを超えていれば(ステップS14でYES)、ステップS15において異常通知情報が外部回路3aへ送信されるので、制御部37aによって負荷回路34の消費電力を減少させることができれば、超過電力量Poが判定閾値Pojを超えることを回避できる結果、外部回路3aの動作を停止させてしまう機会を減少させることが可能になる。
【0150】
なお、ステップS15を実行しない構成としてもよい。また、温度取得部221や閾値設定部222を備えず、ステップS12,S13を実行することなく、電力閾値Pthとして予め設定された固定値、例えば最大消費電力Pmaxを用いる構成としてもよい。
【0151】
また、図11に示すように、外部保護部212aは、ステップS11aにおいて積算電力量Psをゼロに初期化し、ステップS14aにおいて、例えば単位時間毎に消費電力Pと電力閾値Pthとを比較し、消費電力Pが電力閾値Pthを超えていれば(ステップS14aでYES)ステップS15へ移行する一方、消費電力Pが電力閾値Pthを超えていなければ(ステップS14aでNO)ステップS16aへ移行するようにしてもよい。
【0152】
そして、外部保護部212aは、ステップS16aにおいて消費電力Pを積算することにより積算電力量Psを算出し、ステップS21において積算電力量Psを判定継続時間Tjで除算することにより平均電力値Paveを算出するようにしてもよい。
【0153】
そして、外部保護部212aが、ステップS18aにおいて平均電力値Paveと電力閾値Pthとを比較し、平均電力値Paveが電力閾値Pthを超えなければ(ステップS18aでNO)、外部保護部212aにより外部回路3は正常であると判定されて、再びステップS1〜S18aを繰り返す一方、平均電力値Paveが電力閾値Pthを超えていれば(ステップS18aでYES)、例えば負荷回路34で短絡故障が生じるなどの異常が発生していると考えられるので、外部保護部212aにより外部保護処理が実行される(ステップS6〜S8)ようにしてもよい。
【0154】
また、図11、図6に示すフローチャートと並行して、図3に示すステップS101〜S110が実行される。
【0155】
例えば、負荷回路34がモータのような動力装置や放電灯のような発光装置であった場合、負荷回路34における消費電力は、熱に変換されることなく運動エネルギーや光エネルギーに変換される場合がある。このように、負荷回路34において消費電力が熱以外の例えば運動エネルギーや光エネルギーに変換される場合には、消費電力Pのうち電力閾値Pth以下の部分は、その大半が熱以外のエネルギーに変換されて、負荷回路34の発熱には寄与しないと考えられる。
【0156】
従って、負荷回路34において消費電力が熱以外のエネルギーに変換される場合には、図5に示すステップS16に示すように、消費電力Pが電力閾値Pthを超える部分のみを積算して超過電力量Poを算出し、ステップS18に示すように超過電力量Poに基づき外部保護処理を実行するか否かを判定する方が、外部保護処理によって不必要に外部回路3aの動作を停止させてしまうおそれを低減しつつ、負荷回路34の温度tが規定温度tmaxを超えるおそれを低減する精度を向上させることができる。
【0157】
一方、負荷回路34が例えば携帯型パーソナルコンピュータのような情報処理装置であった場合のように、その消費電力の大半が最終的に熱となる場合には、消費電力Pのうち電力閾値Pth以下の部分についても、負荷回路34の発熱に寄与することになる。
【0158】
そこで、負荷回路34の消費電力の大半が最終的に熱となる場合には、図11に示すステップS16a,S21に示すように、判定継続時間Tjの期間内における平均電力値Paveを算出し、ステップS18aに示すように平均電力値Paveに基づき外部保護処理を実行するか否かを判定する方が、外部保護処理によって不必要に外部回路3aの動作を停止させてしまうおそれを低減しつつ、負荷回路34の温度tが規定温度tmaxを超えるおそれを低減する精度を向上させることができる。
【0159】
なお、図5、図11に示す動作例は、負荷回路34の性質によらず適用が可能である。しかしながら、図5に示す動作例は図11に示す動作例よりも、消費電力が熱以外のエネルギーに変換される性質を有する負荷回路との組み合わせに適しており、図11に示す動作例は図5に示す動作例よりも、消費電力の大半が熱に変換される性質を有する負荷回路との組み合わせに適している。
【0160】
なお、図12に示すように、図5におけるステップS11,S16,S18を実行せず、ステップS14bにおいて消費電力Pが電力閾値Pthを超えていなければ(ステップS14bでNO)、再びステップS1に戻ってS1〜S14bを繰り返し、ステップS17において、経過時間Tが判定継続時間Tjを超えていれば(ステップS17でYES)、消費電力Pが電力閾値Pthを超える状態が判定継続時間Tjの間継続したことになるので、外部回路3aに異常が生じたものと判定してステップS6へ移行するようにしてもよい。
【0161】
図12、図6に示すフローチャートと並行して、図3に示すステップS101〜S110が実行される。
【0162】
この場合であっても、一時的な消費電力Pの増加によって、不必要に外部回路3aの動作を停止させてしまうおそれを低減することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明に係る保護回路、及び電池パックは、携帯型パーソナルコンピュータやデジタルカメラ、携帯電話機等の電子機器、電気自動車やハイブリッドカー等の車両、太陽電池や発電装置と二次電池とを組み合わされた電源システム等、種々の電池搭載装置、システムにおいて、好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0164】
1,1a 充電システム
2,2a 電池パック
3 外部回路
3a 外部回路
4,4a 保護回路
11,12,13,31、32、33 接続端子
14 組電池
34 負荷回路
35 充電部
36 通信部
37,37a,201,201a 制御部
38 温度センサ
141,142,143 二次電池
202 電流検出抵抗
203 通信部
204 LED
211 消費電力算出部
212,212a 外部保護部
214 充電検出部
215 出力電圧値取得部
216 電池保護部
217 端子電圧検出部
218 電池電圧検出部
219 電流検出部
221 温度取得部
222 閾値設定部
Ic 充放電電流値
Ip 制限電流値
P 消費電力
Pave 平均電力値
Pmax 最大消費電力
Po 超過電力量
Poj 判定閾値
Ps 積算電力量
Pth 電力閾値
Q1 放電用スイッチング素子
Q2 充電用スイッチング素子
SW スイッチング部
T 経過時間
Tj 判定継続時間
Vb 電池電圧
Vout 出力電圧値
Vsw スイッチ電圧値
Vt 端子電圧
Vth 判定電圧
tmax 規定温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部回路と接続されて、当該外部回路との間で二次電池の充放電電流を入出力するための接続端子と、
前記二次電池の出力電圧を検出する電圧検出部と、
前記二次電池の放電電流を検出する電流検出部と、
前記電圧検出部によって検出された前記出力電圧の値と前記電流検出部によって検出された放電電流の値とを乗じることにより、前記外部回路の消費電力を算出する消費電力算出部と、
前記消費電力算出部によって算出された消費電力が、前記外部回路の消費電力における最大値以上の値に設定された電力閾値を超えた場合、前記外部回路を保護する外部保護処理を実行する外部保護部と
を備えることを特徴とする保護回路。
【請求項2】
前記接続端子と前記二次電池との間の電流経路を開閉するスイッチング部をさらに備え、
前記外部保護処理は、
前記スイッチング部をオフする処理を含むこと
を特徴とする請求項1記載の保護回路。
【請求項3】
前記電圧検出部は、
前記接続端子の電圧を、前記出力電圧として検出すること
を特徴とする請求項2記載の保護回路。
【請求項4】
前記二次電池に充電電流が流れ始めたことを検出する充電検出部と、
前記充電検出部によって前記二次電池に充電電流が流れ始めたことが検出された場合、前記スイッチング部をオフさせた状態において前記電圧検出部によって検出された前記接続端子の電圧値を、前記外部回路の出力電圧値として取得する出力電圧値取得部と、
前記出力電圧値取得部によって取得された外部回路の出力電圧値が、予め設定された判定電圧に満たない場合前記スイッチング部をオンさせ、当該判定電圧を超える場合前記スイッチング部をオフさせた状態を維持する電池保護部とをさらに備えること
を特徴とする請求項3記載の保護回路。
【請求項5】
前記スイッチング部は、
前記二次電池の充電方向の電流のみを遮断する充電用スイッチング素子と、
前記充電用スイッチング素子と直列接続され、前記二次電池の放電方向の電流のみを遮断する放電用スイッチング素子とを含み、
前記出力電圧値取得部は、
前記充電検出部によって前記二次電池に充電電流が流れ始めたことが検出された場合、前記充電用スイッチング素子及び前記放電用スイッチング素子をオフさせることにより前記スイッチング部をオフさせた状態において、前記電圧検出部によって検出された前記接続端子の電圧値を、前記外部回路の出力電圧値として取得し、
前記電池保護部は、
前記出力電圧値取得部によって取得された外部回路の出力電圧値が、前記判定電圧に満たない場合前記充電用スイッチング素子及び前記放電用スイッチング素子をオンさせる一方、当該判定電圧を超える場合前記充電用スイッチング素子をオフ、前記放電用スイッチング素子をオンさせる充電禁止状態にすること
を特徴とする請求項4記載の保護回路。
【請求項6】
前記電池保護部は、
前記充電禁止状態にされている期間中に、前記放電電流検出部によって前記二次電池に放電電流が流れたことが検出されたとき、当該充電用スイッチング素子をオンすること
を特徴とする請求項5記載の保護回路。
【請求項7】
前記外部保護処理に含まれる前記スイッチング部をオフする処理は、
前記充電用スイッチング素子をオンしたまま前記放電用スイッチング素子をオフする処理であり、
前記外部保護処理、前記電池保護部、及び前記出力電圧値取得部による前記放電用スイッチング素子及び前記充電用スイッチング素子のオン、オフが競合した場合には、オフ動作が優先されること
を特徴とする請求項5又は6記載の保護回路。
【請求項8】
前記外部保護処理は、
前記外部回路に異常が生じていることを示す情報を、当該外部回路へ送信する処理を含むこと
を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項9】
前記消費電力算出部によって算出された消費電力が、前記電力閾値を超えた場合、前記外部回路に異常が生じていることを報知する報知部をさらに備えること
を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項10】
前記外部保護部は、
前記消費電力算出部によって算出される消費電力が前記電力閾値を超える状態が、予め設定された判定継続時間の間継続する判定条件が満たされた場合に、前記外部保護処理を実行すること
を特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項11】
前記外部保護部は、
前記消費電力算出部によって算出される消費電力が前記電力閾値を超えた場合における当該消費電力と当該電力閾値との差を、予め設定された判定継続時間の間積算することにより超過電力量を算出し、当該超過電力量が予め設定された判定閾値を超える判定条件が満たされた場合に、前記外部保護処理を実行すること
を特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項12】
前記外部保護部は、
前記消費電力算出部によって算出される消費電力を、予め設定された判定継続時間において時間平均することにより平均電力値を算出し、当該平均電力値が前記電力閾値を超える判定条件が満たされた場合に、前記外部保護処理を実行すること
を特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項13】
前記外部保護部は、
さらに、前記消費電力算出部によって算出された消費電力が前記電力閾値を超えたとき、当該消費電力が当該電力閾値を超えたことを示す異常通知情報を前記外部回路へ送信する異常通知処理を実行し、
前記異常通知処理の実行後の前記判定継続時間において前記判定条件が満たされた場合に、前記外部保護処理を実行すること
を特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項14】
前記外部回路の温度に関する情報である温度情報を取得する温度取得部と、
前記温度取得部により取得される温度情報の示す温度が上昇するほど前記電力閾値が小さな値になるように、当該電力閾値を設定する閾値設定部とをさらに備えること
を特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項15】
前記外部回路の温度に関する情報である温度情報を取得する温度取得部と、
前記温度取得部により取得される温度情報の示す温度が上昇するほど前記判定閾値が小さな値になるように、当該判定閾値を設定する閾値設定部とをさらに備えること
を特徴とする請求項11記載の保護回路。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の保護回路と、
前記二次電池と
を備えることを特徴とする電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−263772(P2010−263772A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55559(P2010−55559)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】