説明

保護管の切断工法

【課題】容易、確実且つ安全に保護管の切断作業が出来る動力工具を提供する。
【解決手段】既存の動力工具の先端を延長させて、延長部先端を略90度に折り曲げ、折り曲げ先端部にダイヤモンドディスク19を取り付けて既存の動力工具の駆動力によりダイヤモンドディスク19を回転可能とし、ダイヤモンドディスク19の外周に沿ってダイヤモンドディスク19の外周縁の一部を被う保護カバー15を、一定値以上の荷重を加えることにより回転可能に設けた動力切断工具Aを設け、保護管Bの外側面に、長手方向に一定幅を有する開口部32を設け、開口部32から、動力切断工具Aの折り曲げ先端部を挿入し、折り曲げ先端部のダイヤモンドディスク19によって、保護管Bの内側から、保護カバー15を常にケーブル33側にして保護管Bの輪切り作業を前記開口部32の端縁から行うこととした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力供給のために地中等設けられた通電中のケーブルが内部に挿通されている保護管を切断するための工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中配電線のケーブルは保護管の中に入った状態で地中に埋設されており、この保護管としては樹脂管(SVP管)乃至鉄管(SGP管)が使用されている。この様な既設の地中配電線路から分岐を設ける場合、保護管を掘り出し、この保護管の一定長幅をすっぽり切り取ってケーブルを露出させる作業を行っている。
【0003】
この様な場合、従来、前記保護管を切り取る作業はディスクグラインダー等を使用して行っている。そして、前記保護管の一定幅を外側から切り取る工法が行われている。
【特許文献1】実用新案登録第3115014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記ディスクグラインダーでは、刃に切り込み制限がないため、保護管に収められているケーブルに傷をつける可能性があった。しかも、複数の保護管が接触状態で隣接している場合もあり、この様な場合には外側からの作業も制約され非効率且つ危険な作業状態となっていた。さらに、保護管の輪切り作業は「手のこ」を使用するため、重労働且つ非効率であった。
【0005】
そこで、保護管の外側から一定幅の開口部を設け、その開口部から切断工具を保護管の中に入れ、内側から切断することが考えられている。しかし、上記ディスクグラインダー等は、刃の大きさがφ100程度と大型であり、これと比べて前記保護管の径が小さいため、当該保護管の内側からの切断作業が出来なかった。
【0006】
この発明は、これらの点に鑑みて為されたもので、内部に通電中のケーブルが挿通されている保護管を容易、確実且つ安全に切断出来る工法を提供して前記課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、通電中のケーブルが挿通された保護管であって、当該保護管のみを切断する管切断工法において、既存の動力工具の先端を延長させて、当該延長部先端を略90度に折り曲げ、当該折り曲げ先端部に回転切断歯を取り付けて前記既存の動力工具の駆動力により前記回転切断歯を回転可能とし、当該回転切断歯の外周に沿って当該回転切断歯の外周縁の一部を被う保護カバーを、一定値以上の荷重を加えることにより回転可能に設けた動力切断工具を設け、前記保護管の外側面に、長手方向に一定幅を有する開口部を設け、当該開口部から、前記動力切断工具の折り曲げ先端部を挿入し、当該折り曲げ先端部の回転切断刃によって、当該保護管の内側から、前記保護カバーを常に前記ケーブル側にして当該保護管の輪切り作業を前記開口部の端縁から行う保護管の切断工法とした。
【0008】
請求項2の発明は、前記動力切断工具は、前記延長部を長手方向に二分して接続された角度切り換え構造を有し、当該角度切り換え構造により前記折り曲げ先端部の位置を90度毎に360度変換可能とした前記請求項1に記載の保護管の切断工法とした。
【0009】
請求項3の発明、前記動力切断工具の回転切断刃の一面には当該回転切断刃の軸部の外周に、前記回転切断歯より径の小さい円盤状のカラーを設けて切り込み制限構造を備えた前記請求項1又は2に記載の保護管の切断工法とした。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、例えば、地中に埋設されている保護管に、又は複数の保護管が接触状態で隣接しており、外側から当該保護管の切断作業が出来ない場合等に、この動力切断工具を用いて、保護カバーを常時ケーブル側に位置させて、この装置の回転切断刃とケーブルとの接触を回避するようにすれば、ケーブルを挿通している保護管を、当該ケーブルを傷付ける事無く、容易、確実且つ安全に切断することが出来る。
【0011】
請求項2の発明によれば、保護管の外周囲の空間が狭く、作業位置を自由に変えて切断作業を行うのが困難な場合などに、動力工具の先端の向きを90度毎に360度変換可能としたので、作業し易い位置に回転切断刃を持ってくることが出来、切断作業を容易かつ確実に行うことが出来、便利である。
【0012】
請求項3の発明によれば、前記刃の一面には当該刃の軸部の外周に環状の突起を有するカラーを設けて切り込み制限構造を備えたので、必要以上に切り込むことが無く、保護管の近くにあるもの、特にケーブルなどを切断することが無く、安全である。よって、安心して作業を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
通電中のケーブルが挿通された保護管であって、当該保護管のみを切断する管切断工法において、既存の動力工具の先端を延長させて、当該延長部先端を略90度に折り曲げ、当該折り曲げ先端部に回転切断歯を取り付けて前記既存の動力工具の駆動力により前記回転切断歯を回転可能とし、当該回転切断歯の外周に沿って当該回転切断歯の外周縁の一部を被う保護カバーを、一定値以上の荷重を加えることにより回転可能に設けた動力切断工具を設け、前記保護管の外側面に、長手方向に一定幅を有する開口部を設け、当該開口部から、前記動力切断工具の折り曲げ先端部を挿入し、当該折り曲げ先端部の回転切断刃によって、当該保護管の内側から、前記保護カバーを常に前記ケーブル側にして当該保護管の輪切り作業を前記開口部の端縁から行うこととした。
【0014】
これにより、保護カバーを常時ケーブル側に位置させて、回転切断刃とケーブルとの接触を回避して、保護管を内側から切断すれば、外側から保護管の切断が出来ない状況の場所であっても、ケーブルを挿通している保護管を、当該ケーブルを傷付ける事無く、容易、確実且つ安全に切断することが出来る。
【実施例1】
【0015】
以下、この発明の実施例1の保護管の切断方法を図に基づいて説明する。まず、最初に、この切断方法において使用する動力切断工具Aを説明する。図1は、この発明の実施例1の動力切断工具Aの正面図である。図2は、この発明の実施例1の動力切断工具Aの底面一部断面図である。図3は、この発明の実施例1の動力切断工具Aの接続本体の断面図である。
【0016】
図1に示す様に、この発明の実施例1の動力切断工具Aは、既存の動力工具に既存の各種部材を取り付けて形成する。当該動力工具に取り付けられる各種部材は、接続本体1、アングルヘッド接続体2及び先端のディスク部3から構成される。
【0017】
前記接続本体1は、内側の前記動力工具の回転を伝える各種部材と外側の接続本体郭4から成る。図2及び3に示す様に、接続本体郭4の内側のおよそ中部にはボールベアリング6が設けられ、このボールベアリング6に、駆動接続軸5の略中部が回転自在に支持されている。この駆動接続軸5の先端に、図2及び3に示すカップリング7の後端の嵌合孔を被せて当該カップリング7が取り付けられる。このカップリング7の前端の嵌合孔には、図2及び3に示す第1アンビル接続軸8の突出した嵌合部が嵌め入れられ、この第1アンビル接続軸8の前端の平坦な一面に第2アンビル接続軸9の平坦な後端面が取り付けられてこれらが一体に設けられている。
【0018】
また、これにより、駆動接続軸5、カップリング7、第1アンビル接続軸8及び第2アンビル接続軸9が接続本体郭4内で一体に接続されて回転自在に支持されている。また、この第2アンビル接続軸9の先端部には突出軸9aを設け、この突出軸9aの端面には、後述する接続軸14後端のスプライン軸を嵌合する、開口した嵌合孔を有している。この第2アンビル接続軸9の突出軸9aにフランジブッシュ10を被せ、さらに、その上から筒状のリング11を被せている。
【0019】
前記接続本体郭4は、アルミニウム製の円筒形状であり、図1、2及び3に示す様に、この接続本体郭4の基部である後端部には大径の段部が複数設けられて拡径している。また、この接続本体郭4の先端上であって端縁から少し離れた個所に、中心軸を中心に相対向する外周位置に二つの貫通孔4aが夫々設けられており、接続本体郭4の外周であって、前記貫通孔4aから後側の位置に一定長の外周ねじ切り4bが設けられている。また、前記リング11にも前記貫通孔4aに対向する位置にねじ孔11aが夫々設けられている。
【0020】
そして、これらの各貫通孔4a及びねじ孔11aにはピン22が螺着され、接続本体1の外周2個所からピン22が夫々立設されている。これらピン22の位置は、時計で言うところの12時と6時の位置とする。さらに、前記外周ねじ切り4bには、筒体の内周にねじを切った固定ナット21が螺着されている。
【0021】
次に、前記アングルヘッド接続体2を説明する。アングルヘッド接続体2は、内側の前記動力工具の回転を伝える各種部材と外側のアングル郭12から成る。図4は、この発明の実施例1の動力切断工具Aのアングル郭12の正面図である。図5は、この発明の実施例1の動力切断工具Aのアングル郭12の縦断面図である。図6は、この発明の実施例1の動力切断工具Aのアングル郭12の右側面図及び切り欠き12cの説明図である。図7は、この発明の実施例1の動力切断工具Aのアングルヘッド接続体2の第1かさ歯車13aを備えた接続軸13の正面図である。図8は、この発明の実施例1の動力切断工具Aのアングルヘッド接続体2の接続軸13の上端開口部の平面図である。図9は、この発明の実施例1の動力切断工具Aのアングルヘッド接続体2の断面図である。図10は、この発明の実施例1の動力切断工具Aのアングルヘッド接続体2の第2かさ歯車14aを備えた接続軸14の正面図である。
【0022】
図4及び5に示す様に、アルミニウム製の円筒形状で略直角に折り曲げた形状のアングル郭12を設ける。このアングル郭12の一方の開口部12aの端縁から中心軸を中心にして相対向する位置の外周に略T字型の切り欠き12cが夫々設けられており、これらの切り欠き12cの中心軸は当該アングル郭12の中心軸と平行となっており、図6に示す様に、このアングル郭12の他方の開口部12bを上方に向けて立設した時、アングル郭12の断面の右側斜め上方45度の位置となっており、また、他方の切り欠き13cの中心軸は左側斜め下方45度の位置となっている。また、このアングル郭12の開口部12bの端縁から少し離れた個所に二つの貫通孔12dを夫々設けている。また、当該各切り込み12cの横孔はアングル郭12の中心軸に対して直角方向に向き、その端部は開口部12aに向かって鉤型に曲がった奥部を有している。
【0023】
このアングル郭12の開口部12bから、図7に示す様な、接続軸13を嵌め入れる。この接続軸13は、中部に第1かさ歯車13aを設けており、この第1かさ歯車13aの先端には先端軸13bが突出しており、前記第1かさ歯車13aに隣接してボールベアリング13cを取り付けている。そして、図9に示すように、この接続軸13の第1かさ歯車13a側の先端の先端軸13bを前記アングル郭12の屈曲部の嵌合孔12eに嵌めて回転自在に軸支し、前記ボールベアリング13cでこのアングル郭12内に支持固定する。さらに、アングル郭12の開口部12aから、図10に示す、先端に第2かさ歯車14aを設けた接続軸14を嵌め入れ、図9に示す様に、この接続軸14は、前記接続軸13の第1かさ歯車13aと前記第2かさ歯車14aとを噛み合わせ、ボールベアリング14bでアングル郭12内に支持固定される。また、図8に示す様に、前記接続軸13の上端は開口し、この接続軸13の内側は前記開口から続く嵌合孔13dとなっており、奥部には圧縮スプリング13eにより常時嵌合孔13dの中心に付勢された2個のボール13fが備え付けられてボールロックを形成し、後述するドリルチャック18の六角形状の嵌合部がこの嵌合孔13dに嵌合されると前述のドリルチャック18の六角形状の嵌合部上端に設けられた環状凹部に前記ボールが嵌合され、ドリルチャック18は強固に把持されるようになっている。この様にしてアングルヘッド接続体2が形成されている。
【0024】
前記ディスク部3を説明する。ディスク部3は、刃部、保護カバー15、内側のディスク接続軸16と外側のディスクカバー軸17から成る。図11は、この発明の実施例1の動力切断工具Aのディスク部3の断面図である。図12は、この発明の実施例1の動力切断工具Aの、上部にダイヤモンドディスク19を取り付け、下部にドリルチャック18を取り付けたディスク接続軸16の正面図である。図13は、この発明の実施例1の動力切断工具Aのディスクカバー軸17の断面図である。図14は、この発明の実施例1の動力切断工具Aの保護カバー15の平面図である。図15は、この発明の実施例1の動力切断工具Aの保護カバー15の正面図である。
【0025】
図13に示す様に、ステンレス製の小径の円筒形状のディスクカバー軸17が用意される。このディスクカバー軸17の上端縁から少し離れた個所に相対向させて2個の貫通孔17aが設けられており、さらに、このディスクカバー軸17の下端縁から少し離れた2個所に貫通孔17bが設けられている(図13では貫通孔17a及び17bを夫々1個所のみ記載、他は省略)。
【0026】
このディスクカバー軸17の上方の開口部から、図12に示す、上部にダイヤモンドディスク19が取り付けられ、下部にドリルチャック18を取り付けられた円柱形状のディスク接続軸16を挿入する。このディスク接続軸16の上部には前記ディスクカバー軸17に設けた貫通孔17aに対向する位置に貫通孔16aが設けられている。このディスクカバー軸17の上端からは、前記ダイヤモンドディスク19が突出している。このディスクカバー軸17の内側にディスク接続軸16を挿入した状態で、前記ダイヤモンドディスク19は他のダイヤモンドディスク等に交換可能となっている。
【0027】
前記ダイヤモンドディスク19の外周半分を被う様に、図11、14及び15に示す、半円筒形状の保護カバー15が設けられており、この保護カバー15は波形ワッシャー20(図11参照)を介して、ディスクカバー軸17の先端に回転可能に取り付けられており、この保護カバー15は前記波形ワッシャー20に押さえ付けられているため、一定の力を与えなければ回転しないようになっている。また、前記ダイヤモンドディスク19の裏面には、図1、2及び11に示す様に、このダイヤモンドディスク19の軸部を中心としてその外周に円板状で環状の突起を有するカラー19aが取り付けられており、前記ダイヤモンドディスク19のカッター刃の切り込み制限構造となっている。この切り込み制限構造を成すカラー19aのサイズは、切断する保護管である、樹脂管(SVP管)等の径に合わせてφ100用、φ130用と設けることが出来る。この様にしてディスク部3は形成される。そして、前記ディスクカバー軸17の貫通孔17aとディスク接続軸16の貫通孔16aの位置を合わせ、これらの貫通孔17a、16aに外側からピン(図示省略)を挿通して、前記ディスクカバー軸17及びディスク接続軸16を支持する。また、この時、ダイヤモンドディスク19を取り付けたディスク接続軸16は、前記ディスクカバー軸17に支持されている訳では無く、遊嵌された状態となっている。
【0028】
次に、以上の接続本体1、アングルヘッド接続体2及びディスク部3を接続して動力切断工具Aを製作する。まず、接続本体1にアングルヘッド接続体2を接続する。これには、接続本体1の2本の、図3では上下に向いているピン22に、アングルヘッド接続体2の開口部12bを上にして、図6において、左側に45度傾け、アングルヘッド接続体2の開口部12aの2つの略T字型の各切り欠き12cを合わせ、当該各切り欠き12cの入り口を夫々嵌め入れ、この接続本体1の先端に、アングルヘッド接続体2の後端の開口部12aを被せて一定長嵌め入れ、その後、アングルヘッド接続体2を接続本体1上で切り欠き12cの横孔に沿って、接続本体1から見て左側に回転させ、2本のピン22が各横孔の端まで行ったら、アングルヘッド接続体2を手前に引いて各切り欠き12cの横孔から鉤型に曲がった奥部に各ピン22を係止する。
【0029】
これによりアングルヘッド接続体2は左側に直角に折り曲げられた状態で接続本体1に接続される。さらに、図1、2及び3に示す様に、接続本体1上にある前記固定ナット21を接続本体1の外周ねじ切り4bに沿って移動させて固定ナット21の端部をアングルヘッド接続体2の端部に当接させて締め付けることにより、接続本体1にアングルヘッド接続体2を固定する。
【0030】
また、この時、接続本体1の先端の開口部内にある第2アンビル接続軸9の突出軸9a先端の開口した嵌合孔内には、前記アングルヘッド接続体2の後端の開口部12a内にある接続軸14の後端の星形のスプライン軸から成る嵌合端14cが嵌合される。これは第2アンビル接続軸9の突出軸9a先端の開口部断面が星形になっており、接続軸14の断面がこれらに合った形になっているため、これらが嵌合すると第2アンビル接続軸9と接続軸14は一体に回転する。
【0031】
続いて、前記アングルヘッド接続体2の先端の開口部12b内に、ディスク部3の後端を嵌め入れる。この時、アングルヘッド接続体2の先端の開口部12b内にある接続軸13の先端の開口した嵌合孔13d内には、前記ドリルチャック18の六角形状の嵌合部が嵌合され、このドリルチャック18の後端部の凹部に2つのボール13fが嵌合し、前記ボールロックにより把持される。これにより、接続軸13とドリルチャック18は一体に回転する。その後、ディスクカバー軸17とディスク接続軸16の各貫通孔17a、16aに挿通したピンを引き抜く。さらに、アングル郭12の先端付近の2つの貫通孔12dの位置とディスクカバー軸17の後端の貫通孔17bの位置を合わせ、外側からボルト23を螺着してこれらを固定する。
【0032】
この様にして一体に設けた接続本体1、アングルヘッド接続体2及びディスク部3を既存の動力工具に取り付ける。ここで使用する動力工具は既存の電動ドリル31である。この電動ドリル31の三爪チャック部分に、前記アングルヘッド接続体2及びディスク部3を一体に設けた接続本体1を、前述の様に前記ダイヤモンドディスク19が電動ドリル31の左側に位置するようにして電動ドルル31の先端に被せ、接続本体1の後端の開口部内にある駆動接続軸5の後端を当該電動ドリル31の三爪チャックに取り付ける。その後、接続本体1の基部の段部に設けられた2つの貫通孔に2つの長ボルト24(図2参照)を夫々挿入して電動ドリル31に螺着して、電動ドリル31の前端に当該接続本体1等を支持固定する。
【0033】
図16は、この発明の実施例1の動力切断工具Aを用いて、前後を同様の管で挟まれた保護管Bに開口部32を設けた状態を示す断面図である。図17及び18は、この発明の実施例1の動力切断工具Aによって設けた開口部32からこの動力切断工具Aを管内に入れ、この保護管Bを輪切りにする様子を示す夫々断面図である。図19は、前記図18の略同じ状態を保護管Bと直交する側から見た説明図である。
【0034】
次に、図16、17、18及び19に示す様に、この動力切断工具Aを使用して、ケーブル33が挿通されている保護管Bを切断する。ここでは、前後を同様の樹脂管(SVP管)φ130で挟まれた真中の保護管Bを切断するものとする。まず、この保護管Bと直交する位置に立ち、図16及び19に示す様に、外側から、保護管Bの上面の頂点を中心に前後130度、幅を一定長にわたり切断して開口部32を作成する。この時、保護管Bの中には通電されているケーブル33が挿通されているので、このケーブル33を傷つけないように注意する。
【0035】
そして、開口部32を作成した後は、動力切断工具Aの保護カバー15をケーブル33の側に向けて固定し、図17に示す様に、前記開口部32から動力切断工具Aを保護管Bの内側に入れ、この動力切断工具Aのダイヤモンドディスク19を前記開口部32の左側の手前の角部に合わせ(図19参照)、この個所から下方向の底部に向けて切断を始める。さらに、図18及び19に示す様に、底部から上方向へと切断を進める。この時ケーブル33を、常に前記ダイヤモンドディスク19を避けた位置、すなわち、前記ダイヤモンドディスク19とは反対の位置にさせ、さらに、保護カバー15をケーブル33に対向するように動かして保護管Bを切断していく。また、同様にして開口部32の右側の保護管Bも輪切りにする。これでケーブル33の一部は完全に露出したことになり、この後、ケーブル33の分岐作業を行う。また、前記保護カバー15は波形ワッシャー20に押されて、ディスクカバー軸17に取り付けられているので、むやみに回転しないようになっている。
【0036】
前記実施例1では、前記動力切断工具Aは、接続本体1の2本のピン22とアングルヘッド接続体2の2つの略T字形の切り欠き12cによって角度切り換え構造を形成しているが、この角度切り換え構造としては、この構成に限らず、他の構成から成るものでも良い。また、アングルヘッド接続体2を左側に折り曲げた形に設けているが、折り曲げる方向は左側に限定するものではない。前記角度切り換え構造により前記折り曲げ先端部の位置を90度毎に360度変換可能としているので、前記アングルヘッド接続体2を、例えば、右側にすることも可能である。この場合、折り曲げ方向の変更は、固定ナット21を緩め、アングルヘッド接続体2を接続本体1方向へ押し、ピン22を各切り欠き12cの奥部から外し、接続本体1とアングルヘッド接続体2の嵌合する切り欠き12cの横孔に沿って動かして、切り欠き12c入口から一旦引き抜く。その後、アングルヘッド接続体2を回転させ、実施例1では下にあった他方の切り欠き12cの入り口を上にして、これらの入り口に前記ピン22を入れ、左側に45度回転させて横孔の端に位置させ、そこで、アングルヘッド接続体2を引き、ピン22を奥部に係止し、再び固定ナット21を締め付ければよい。
【0037】
また、前後を同様の樹脂管(SVP管)φ130で挟まれた真中の保護管Bを切断する場合で説明しているが、この場合の他、例えば、前記保護管Bが地中に埋設された状態であって、内側からのみ切断作業が出来る場合などでも行える。また、電動ドリル31の回転を伝達するのに第1アンビル接続軸8及び第2アンビル接続軸9を用いているが、電動ドリルBの回転を伝達するのに必ずしもこれらの部材を用いる必要は無く、他の部材を用いてももちろん良い。さらに、特許請求の範囲の請求項1における折り曲げ先端部は、前記アングルヘッド接続体2とディスク部3を繋げたものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の実施例1の動力切断工具の正面図である。
【図2】この発明の実施例1の動力切断工具の底面一部断面図である。
【図3】この発明の実施例1の動力切断工具の接続本体の断面図である。
【図4】この発明の実施例1の動力切断工具のアングル郭の正面図である。
【図5】この発明の実施例1の動力切断工具のアングル郭の縦断面図である。
【図6】この発明の実施例1の動力切断工具のアングル郭の右側面図及び切り欠きの説明図である。
【図7】この発明の実施例1の動力切断工具のアングルヘッド接続体の第1かさ歯車を備えた接続軸の正面図である。
【図8】この発明の実施例1の動力切断工具のアングルヘッド接続体の接続軸の上端開口部の平面図である。
【図9】この発明の実施例1の動力切断工具のアングルヘッド接続体の断面図である。
【図10】この発明の実施例1の動力切断工具のアングルヘッド接続体の第2かさ歯車を備えた接続軸の正面図である。
【図11】この発明の実施例1の動力切断工具のディスク部の断面図である。
【図12】この発明の実施例1の動力切断工具の、上部にダイヤモンドディスクを取り付け、下部にドリルチャックを取り付けたディスク接続軸の正面図である。
【図13】この発明の実施例1の動力切断工具のディスクカバー軸の断面図である。
【図14】この発明の実施例1の動力切断工具の保護カバーの平面図である。
【図15】この発明の実施例1の動力切断工具の保護カバーの正面図である。
【図16】この発明の実施例1の動力切断工具を用いて、前後を同様の管で挟まれた保護管に開口部を設けた状態を示す断面図である。
【図17】この発明の実施例1の動力切断工具によって設けた開口部からこの動力切断工具を管内に入れ、この保護管を輪切りにする様子を示す断面図である。
【図18】この発明の実施例1の動力切断工具によって設けた開口部からこの動力切断工具を管内に入れ、この保護管を輪切りにする様子を示す断面図である。
【図19】前記図18の略同じ状態を保護管と直交する側から見た説明図である。
【符号の説明】
【0039】
A 動力切断工具 B 保護管
1 接続本体 2 アングルヘッド接続体
3 ディスク部 4 接続本体郭
5 駆動接続軸 6 ボールベアリング
7 カップリング 8 第1アンブル接続軸
9 第2アンビル接続軸 10 フランジブッシュ
11 リング 12 アングル郭
13 接続軸 14 接続軸
15 保護カバー 16 ディスク接続軸
17 ディスクカバー軸 18 ドリルチャック
19 ダイヤモンドディスク 20 波形ワッシャー
21 固定ナット 22 ピン
23 ボルト 24 長ボルト
31 電動ドリル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電中のケーブルが挿通された保護管であって、当該保護管のみを切断する管切断工法において、
既存の動力工具の先端を延長させて、当該延長部先端を略90度に折り曲げ、当該折り曲げ先端部に回転切断歯を取り付けて前記既存の動力工具の駆動力により前記回転切断歯を回転可能とし、当該回転切断歯の外周に沿って当該回転切断歯の外周縁の一部を被う保護カバーを、一定値以上の荷重を加えることにより回転可能に設けた動力切断工具を設け、
前記保護管の外側面に、長手方向に一定幅を有する開口部を設け、当該開口部から、前記動力切断工具の折り曲げ先端部を挿入し、当該折り曲げ先端部の回転切断刃によって、当該保護管の内側から、前記保護カバーを常に前記ケーブル側にして当該保護管の輪切り作業を前記開口部の端縁から行うことを特徴とする、保護管の切断工法。
【請求項2】
前記動力切断工具は、前記延長部を長手方向に二分して接続された角度切り換え構造を有し、当該角度切り換え構造により前記折り曲げ先端部の位置を90度毎に360度変換可能としたことを特徴とする、前記請求項1に記載の保護管の切断工法。
【請求項3】
前記動力切断工具の回転切断刃の一面には当該回転切断刃の軸部の外周に、前記回転切断歯より径の小さい円盤状のカラーを設けて切り込み制限構造を備えたことを特徴とする、前記請求項1又は2に記載の保護管の切断工法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−86302(P2012−86302A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234600(P2010−234600)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000144108)株式会社三英社製作所 (35)
【出願人】(591050361)三英電業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】