説明

保険料査定方法、保険料査定システム、情報処理装置、および端末

【課題】実際の事故発生率を反映した走行履歴による保険料査定を可能とする。
【解決手段】保険契約者車両の走行経路の履歴データを通信手段107を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を事故情報蓄積テーブル126に照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段101に格納する通過現場特定手段110と、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段101から読み出し、保険契約者毎の事故現場通過頻度をカウントし、事故現場通過頻度が所定基準値以下である保険契約者を特定し前記保険料テーブル128における該当保険契約者の保険料を所定値だけ低減する保険料低減手段111とを備えた情報処理装置100から保険料査定システム10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険料査定方法、保険料査定システム、情報処理装置、および端末に関するものであり、具体的には、実際の事故発生率を反映した走行履歴による保険料査定を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の走行距離や運転者の属性に応じて自動車保険の料率変更を行うなど、各契約者に応じて保険内容をカスタマイズするサービスが一般的になっている。例えば、各運転者の運転の仕方やその後の警告に対する対応具合などに応じて保険料率を変更する技術などが提案されている。
【0003】
こうした技術としては、例えば、車両の運転者の運転情報、および前記車両が存在する位置情報の少なくともいずれか一つを取得する第1の取得工程と、前記第1の取得工程によって取得された運転情報および位置情報の少なくとも一つに基づいて、前記運転者にとって推奨される運転対応を予測する運転対応予測工程と、前記運転対応予測工程によって予測された運転対応に関する情報に基づいて、前記運転者への注意を喚起する注意喚起工程と、前記注意喚起工程によって前記運転者への注意が喚起された後の前記運転者の運転情報を取得する第2の取得工程と、前記第2の取得工程によって取得された運転情報と、前記運転対応予測工程によって予測された運転対応に関する情報とを比較する比較工程と、前記比較工程によって比較された結果に基づいて、前記運転者の保険料を設定する保険料設定工程と、を含んだことを特徴とする保険料設定方法(特許文献1参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2003−281375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のように、自動車の走行距離、運転手やその運転状況の属性から保険料を査定する手法では、自動車が走行した道路の安全性について考慮して保険料の査定に反映することはなかった。運転者の属性を保険料査定に反映するとしても、保険金支払いに直結する事故発生との因果関係が明瞭となっていない。したがって従来技術では、実際の事故発生率と査定結果(保険料)との対応が良くない場合もあり、安全走行車両の保険料を下げるという主旨から見ると、保険料が実態に沿っていない状況も生じるといった問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、実際の事故発生率を反映した走行履歴による保険料査定を可能とする技術の提供を主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の保険料査定方法は、他端末と通信する通信手段と、地図上における事故発生地点の位置情報を記憶した事故情報蓄積テーブルと保険契約者毎の保険料のデータを記憶した保険料テーブルとを格納した記憶手段とを備えた情報処理装置が、以下の処理を実行するものである。
【0007】
すなわち、前記情報処理装置は、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブルに照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段に格納する、通過現場特定処理を実行する。
【0008】
また、前記情報処理装置は、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、保険契約者毎の事故現場通過頻度をカウントし、事故現場通過頻度が所定基準値以下である保険契約者を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を所定値だけ低減する、保険料低減処理を実行する。
【0009】
なお、前記情報処理装置が、前記記憶手段において、事故現場通過頻度のレベルに応じた保険料削減値を記憶した基準テーブルを格納しており、前記保険料低減処理において、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、保険契約者毎の事故現場通過頻度をカウントして前記基準テーブルに照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減する、としてもよい。
【0010】
また、前記保険料査定方法において、前記情報処理装置が、前記記憶手段において、前記事故情報蓄積テーブルとして、地図上における事故発生地点の位置情報と該当事故の重大度とを記憶しており、前記基準テーブルとして、事故の重大度に応じたポイント値を設定した事故種別ポイントテーブルと、前記事故現場通過頻度としての保険契約者毎の前記ポイント値の合算値に応じた保険料削減値を記憶した安全走行ランクテーブルとを記憶しているとしてもよい。
【0011】
この場合、前記情報処理装置は、前記通過現場特定処理において、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブルに照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点と該当事故の重大度のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段に格納するとすれば好適である。
【0012】
また、前記情報処理装置は、前記保険料低減処理において、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、各事故現場通過情報が含む重大度のデータを前記事故種別ポイントテーブルに照合してポイント値を特定し、当該ポイント値を保険契約者毎に合算して前記安全走行ランクテーブルに照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減するとすれば好適である。
【0013】
また、前記保険料査定方法において、前記情報処理装置が、前記記憶手段において、前記事故情報蓄積テーブルとして、地図上における事故発生地点の位置情報と該当事故の重大度と該当事故発生時の時刻とを記憶しており、前記基準テーブルとして、事故の重大度に応じたポイント値を設定した事故種別ポイントテーブルと、車両の走行時刻に応じた前記ポイント値の割り増し係数を設定した時刻帯ポイントテーブルと、前記事故現場通過頻度としての保険契約者毎の前記ポイント値の合算値に応じた保険料削減値を記憶した安全走行ランクテーブルとを記憶しているとしてもよい。
【0014】
この場合、前記情報処理装置は、前記通過現場特定処理において、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブルに照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点と該当事故の重大度と該当事故発生時の時刻のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段に格納するとすれば好適である。
【0015】
また、前記情報処理装置は、前記保険料低減処理において、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、各事故現場通過情報が含む重大度を前記事故種別ポイントテーブルに照合してポイント値を特定し、当該ポイント値の起源となった事故現場通過情報が含む事故発生時の時刻のデータを前記時刻帯ポイントテーブルに照合して割り増し係数を特定し、前記ポイント値に前記割り増し係数を乗じて保険契約者毎に合算し、この合算値を前記安全走行ランクテーブルに照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減する、とすれば好適である。
【0016】
また、前記保険料査定方法において、前記情報処理装置が、前記記憶手段において、前記事故情報蓄積テーブルとして、地図上における事故発生地点の位置情報と該当事故の重大度と該当事故発生時の天候とを記憶しており、前記基準テーブルとして、事故の重大度に応じたポイント値を設定した事故種別ポイントテーブルと、車両の走行時の天候に応じた前記ポイント値の割り増し係数を設定した気象条件ポイントテーブルと、前記事故現場通過頻度としての保険契約者毎の前記ポイント値の合算値に応じた保険料削減値を記憶した安全走行ランクテーブルとを記憶しているとしてもよい。
【0017】
この場合、前記情報処理装置は、前記通過現場特定処理において、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブルに照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点と該当事故の重大度と該当事故発生時の天候のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段に格納するとすれば好適である。
【0018】
また、前記情報処理装置は、前記保険料低減処理において、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、各事故現場通過情報が含む重大度を前記事故種別ポイントテーブルに照合してポイント値を特定し、当該ポイント値の起源となった事故現場通過情報が含む事故発生時の天候のデータを前記気象条件ポイントテーブルに照合して割り増し係数を特定し、前記ポイント値に前記割り増し係数を乗じて保険契約者毎に合算し、この合算値を前記安全走行ランクテーブルに照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減するとすれば好適である。
【0019】
また、前記保険料査定方法において、他端末と通信する通信手段と、地図データと、搭載対象となる保険契約者の車両が備えるGPS装置から得た走行経路の位置情報と保険契約者のIDとを記憶する記憶手段とを備える端末が、前記GPS装置から所定期間中に得た走行経路の位置情報と保険契約者の情報とを、前記走行経路の履歴データとして前記通信手段により前記情報処理装置に送信する、履歴送信処理を実行するとしてもよい。
【0020】
この場合、前記情報処理装置が、前記記憶手段において、ネットワーク上における各保険契約者の端末のアドレスを記憶しており、記憶手段から保険契約者の情報をキーに該当保険契約者の事故現場通過情報を読み出し、当該事故現場通過情報が含む事故発生地点の位置情報を、該当保険契約者の端末のアドレスに宛てて前記通信手段により送信する、事故情報送信処理を実行するとすれば好適である。
【0021】
また、前記端末が、前記事故発生地点の位置情報を前記情報処理装置より受信し、記憶手段から読み出した地図データ上の該当位置に事故発生地点の情報を設定し出力インターフェイスに表示する事故情報表示処理を実行する、とすれば好適である。
【0022】
また、本発明の保険料査定システムは、他端末と通信する通信手段と、地図上における事故発生地点の位置情報を記憶した事故情報蓄積テーブルと保険契約者毎の保険料のデータを記憶した保険料テーブルとを格納した記憶手段と、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブルに照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段に格納する、通過現場特定手段と、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、保険契約者毎の事故現場通過頻度をカウントし、事故現場通過頻度が所定基準値以下である保険契約者を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を所定値だけ低減する、保険料低減手段とを備えた情報処理装置を含むことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の情報処理装置は、他端末と通信する通信手段と、地図上における事故発生地点の位置情報を記憶した事故情報蓄積テーブルと保険契約者毎の保険料のデータを記憶した保険料テーブルとを格納した記憶手段と、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブルに照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段に格納する、通過現場特定手段と、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、保険契約者毎の事故現場通過頻度をカウントし、事故現場通過頻度が所定基準値以下である保険契約者を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を所定値だけ低減する、保険料低減手段と、を備えることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の端末は、他端末と通信する通信手段と、地図データと、搭載対象となる保険契約者の車両が備えるGPS装置から得た走行経路の位置情報と保険契約者のIDとを記憶する記憶手段と、前記GPS装置から所定期間中に得た走行経路の位置情報と保険契約者の情報とを、前記走行経路の履歴データとして前記通信手段により前記情報処理装置に送信する、履歴送信手段と、保険契約者車両が過去に走行した経路中で事故発生地点の位置情報を前記通信手段により情報処理装置から受信し、記憶手段から読み出した地図データ上の該当位置に事故発生地点の情報を設定し出力インターフェイスに表示する事故情報表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明の実施の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、実際の事故発生率を反映した走行履歴による保険料査定を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の保険料査定システム10のネットワーク構成図である。図1に示す保険料査定システム10は、実際の事故発生率を反映した走行履歴による保険料査定を可能とするコンピュータシステムである。
【0028】
本実施形態において、前記保険料査定システム10が含む情報処理装置100は、保険会社が運営する保険料査定用のコンピュータであり、必要な処理機能に応じてサーバ装置をLAN等を介して組み合わせたサーバ群で構成することが想定できる(図1では情報処理装置100としては1体のコンピュータ装置のみ示した)。
【0029】
また前記情報処理装置100は、保険契約者の車両に設置された車載端末200(端末)ないしこの車載端末200から走行経路の履歴データを取得するデータ送信端末300らと、インターネットや移動体通信網などのネットワーク140で結ばれている。前記車載端末200は、GPS装置を備えてルート案内を行うカーナビゲーション装置を一例として想像することができる。また、カーナビゲーション装置たる前記車載端末200においては、走行経路の履歴データを、例えばインターフェイスを通じて接続した可搬記憶媒体50(例:USBメモリなど)に蓄積しておくことが想定できる。
【0030】
また、前記データ送信端末300としては、例えば、前記保険契約者が利用するパーソナルコンピュータや携帯端末等を想定でき、このデータ送信端末300は、例えばインターネット回線を通じて前記情報処理装置100とデータ通信可能である。また、データ送信端末300は、前記車載端末200の可搬記憶媒体用のインターフェイスを備えており、このインターフェイスに前記可搬記憶媒体50が接続された際、可搬記憶媒体50に記憶されていた走行経路の履歴データを取得して自身の記憶手段に格納する。
【0031】
こうした本実施形態における保険料査定システム10(以下システム10)を構成する情報処理装置100は、本発明を実現する機能を備えるべくハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶手段101に格納されたプログラム102をRAM103に読み出し、演算装置たるCPU104により実行する。また、前記情報処理装置100は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類などの入力インターフェイス105、ディスプレイなどの出力インターフェイス106を備えるものとできる。また、前記車載端末200ないしデータ送信端末300などとの間のデータ授受を担う通信手段107を有している。
【0032】
続いて、前記システム10を構成する前記情報処理装置100が、例えばプログラム102に基づき前記記憶手段101にて構成・保持する機能部につき説明を行う。なお、前記情報処理装置100は、記憶手段において、走行履歴テーブル125、事故情報蓄積テーブル126、評価情報テーブル127、保険料テーブル128(ネットワーク上における各保険契約者の端末のアドレス含む)、事故種別ポイントテーブル129、安全走行ランクテーブル130、時刻帯ポイントテーブル131、気象条件ポイントテーブル132、を格納している(各テーブルについては後述する)。
【0033】
こうした前記情報処理装置100は、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段107を介して他端末たる車載端末200ないしデータ送信端末300より受信して記憶手段101の走行履歴テーブル125に格納し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブル126に照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段101の評価情報テーブル127に格納する、通過現場特定手段110を備える。
【0034】
また、前記情報処理装置100は、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段101の評価情報テーブル127から読み出し、保険契約者毎の事故現場通過頻度をカウントし、事故現場通過頻度が所定基準値以下である保険契約者を特定し、前記保険料テーブル128における該当保険契約者の保険料を所定値だけ低減する、保険料低減手段111を備える。
【0035】
なお、前記情報処理装置100の前記保険料低減手段111は、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段101の評価情報テーブル127から読み出し、保険契約者毎の事故現場通過頻度をカウントして前記安全走行ランクテーブル130に照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定し、前記保険料テーブル128における該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減する、としてもよい。
【0036】
また、前記情報処理装置の前記通過現場特定手段110は、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段107を介して他端末たる車載端末200ないしデータ送信端末300より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブル126に照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点と該当事故の重大度のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段101の評価情報テーブル127に格納するとしてもよい。
【0037】
また、前記情報処理装置100の前記保険料低減手段111は、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段101の評価情報テーブル127から読み出し、各事故現場通過情報が含む重大度のデータを前記事故種別ポイントテーブル129に照合してポイント値を特定し、当該ポイント値を保険契約者毎に合算して前記安全走行ランクテーブル130に照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定し、前記保険料テーブル128における該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減するとしてもよい。
【0038】
また、前記情報処理装置100の前記通過現場特定手段110は、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段107を介して他端末たる車載端末200ないしデータ送信端末300より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブル126に照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点と該当事故の重大度と該当事故発生時の時刻のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段101の評価情報テーブル127に格納するとしてもよい。
【0039】
また、前記情報処理装置100の前記保険料低減手段111は、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段101の評価情報テーブル127から読み出し、各事故現場通過情報が含む重大度を前記事故種別ポイントテーブル129に照合してポイント値を特定し、当該ポイント値の起源となった事故現場通過情報が含む事故発生時の時刻のデータを前記時刻帯ポイントテーブル131に照合して割り増し係数を特定し、前記ポイント値に前記割り増し係数を乗じて保険契約者毎に合算し、この合算値を前記安全走行ランクテーブル130に照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定し、前記保険料テーブル128における該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減する、としてもよい。
【0040】
また、前記情報処理装置100の前記通過現場特定手段110は、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段107を介して他端末たる車載端末200ないしデータ送信端末300より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブル126に照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点と該当事故の重大度と該当事故発生時の天候のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段101の評価情報テーブル127に格納するとしてもよい。
【0041】
また、前記情報処理装置100の前記保険料低減手段111は、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段101の評価情報テーブル127から読み出し、各事故現場通過情報が含む重大度を前記事故種別ポイントテーブル129に照合してポイント値を特定し、当該ポイント値の起源となった事故現場通過情報が含む事故発生時の天候のデータを前記気象条件ポイントテーブル132に照合して割り増し係数を特定し、前記ポイント値に前記割り増し係数を乗じて保険契約者毎に合算し、この合算値を前記安全走行ランクテーブル130に照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定し、前記保険料テーブル128における該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減するとしてもよい。
【0042】
また、前記情報処理装置100は、前記記憶手段101の評価情報テーブル127から保険契約者の情報をキーに該当保険契約者の事故現場通過情報を読み出し、当該事故現場通過情報が含む事故発生地点の位置情報を、該当保険契約者の端末たる車載端末200ないしデータ送信端末300のアドレスに宛てて前記通信手段107により送信する、事故情報送信手段112を備えるとしてもよい。
【0043】
続いて、前記システム10を前記情報処理装置100らと共に構成する車載端末200(端末)について説明する。この車載端末200は、例えば、GPS装置220を備えてルート案内を行うカーナビゲーション装置を一例として想像することができる。また、カーナビゲーション装置たる前記車載端末200においては、走行経路の履歴データを、例えばインターフェイス215を通じて接続した可搬記憶媒体50(例:USBメモリなど)に蓄積しておくことが想定できる。
【0044】
こうした車載端末200は、本発明を実現する機能を備えるべく不揮発性の記憶手段201に格納されたプログラム202をRAM203に読み出し、演算装置たるCPU204により実行する。また、前記車載端末200は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類などの入力インターフェイス205、ディスプレイなどの出力インターフェイス206を備えるとしてもよい。また、前記情報処理装置100との間のデータ授受を担う通信手段207を有している。或いはこの通信手段207を備えない場合、情報処理装置100への前記走行経路の履歴データの送信処理は、データ送信端末300が担うこととできる。この場合、本発明における「端末」は、データ送信端末300となる。或いは、車載端末200およびデータ送信端末300のセットを本発明の「端末」と想定しても良い。
【0045】
また、当該車載端末200がカーナビゲーション装置である場合、当然ながら前記GPS装置220と連動した通常のルート検索やルート案内の機能も備えている。
【0046】
続いて、前記車載端末200が、例えばプログラム202に基づき前記記憶手段201にて構成・保持する機能部につき説明を行う。なお、前記車載端末200は、履歴蓄積テーブル225、地図データ226、保険契約者のID227を記憶手段201ないし前記可搬記憶媒体50に格納している(履歴蓄積テーブル225のデータ構造例等については後述)。
【0047】
こうした前記車載端末200は、前記GPS装置220から所定期間中(例:保険契約期間中であり例えば保険契約開始から満了まで)に得た走行経路の位置情報と保険契約者の情報とを、前記走行経路の履歴データとして前記通信手段207により前記情報処理装置100に送信する、履歴送信手段210を備える。なお、前記GPS装置220は、GPSアンテナ(図示せず)を介してGPS衛星から保険契約者の車両について現在の緯度および経度(以下、位置情報)を収集する装置である。また履歴送信手段210は、車載端末200が備える時計機能221から、例えば一定間隔で時刻データを取得して前記履歴蓄積テーブル225に記録し、その時刻での位置情報を前記GPS装置220から取得して前記時刻に対応付けて履歴蓄積テーブル225に記録する。
【0048】
また、前記車載端末200は、保険契約者車両が過去に走行した経路中で事故発生地点の位置情報を前記通信手段207により情報処理装置100から受信し、記憶手段101から読み出した地図データ上の該当位置に事故発生地点の情報を設定し出力インターフェイス206に表示する事故情報表示手段211を備える。
【0049】
続いて、前記システム10を前記情報処理装置100らと共に構成するデータ送信端末300について説明する。このデータ送信端末300は、例えば、前記保険契約者が利用するパーソナルコンピュータや携帯端末等を想定でき、このデータ送信端末300は、例えばインターネット回線を通じて前記情報処理装置100とデータ通信可能である。また、データ送信端末300は、前記車載端末200の可搬記憶媒体用のインターフェイス315を備えており、このインターフェイス315に前記可搬記憶媒体50が接続された際、可搬記憶媒体50に記憶されていた走行経路の履歴データを取得して自身の記憶手段301に格納するものとなる。また、前記データ送信端末300は、例えばプログラム302に基づき前記記憶手段301にて構成・保持する機能部として、前記車載端末200が備える履歴送信手段210、事故情報表示手段211を備えるとしてもよい。なお、前記データ送信端末300は、前記車載端末200が保持していた履歴蓄積テーブル225を記憶手段301に格納している。
【0050】
なお、このデータ送信端末300と前記車載端末200との接続形態は、上述のように可搬記憶媒体経由であってもよいし、有線接続や無線接続であってもよい。勿論、前記データ送信端末300が前記車載端末200と一体となっていても良い。
【0051】
これまで示した前記システム10を構成する各装置における各手段110〜112、210〜211、らはハードウェアとして実現してもよいし、メモリやHDD(Hard Disk Drive)などの適宜な記憶装置に格納したプログラムとして実現するとしてもよい。この場合、各装置のCPUがプログラム実行に合わせて記憶装置より該当プログラムをRAMに読み出して、これを実行することとなる。
【0052】
−−−テーブル構造例−−−
次に、本実施形態の前記システム10が利用するテーブルの例について説明する。図2は本実施形態における(a)走行履歴テーブル125、(b)事故情報蓄積テーブル126、(c)評価情報テーブル127の各構成例を示す図である。
【0053】
前記走行履歴テーブル125は、保険契約者車両の走行経路の履歴データを格納するテーブルであり、例えば、保険契約者の契約番号(保険契約者の情報)、氏名、契約車両の車種、履歴通番、走行経路中の通過日時、通過地点緯度、および通過地点経度を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0054】
また、前記事故情報蓄積テーブル126は、地図上における事故発生地点の位置情報と該当事故の重大度と該当事故発生時の時刻と該当事故発生時の天候とを記憶したテーブルである。この事故情報蓄積テーブル126は、例えば、事故通番、事故に関与した保険契約者の契約番号、氏名、事故地点住所、事故地点緯度および事故地点経度、保険金の支払額および負担割合、事故種別(重大度の情報)、事故発生時の時刻および天候といったデータが対応付けされたレコードの集合体となっている。なお、これら情報は、例えば前記情報処理装置100が、保険会社の備える所定サーバにアクセスして、保険支払時の審査情報を読み出し、この審査情報から該当データ項目を抽出して取得することが想定できる。また、前記情報処理装置100は、例えば気象予測機関のサーバ等にインターネット経由でアクセスして天候データを定期的に入手し、前記事故情報蓄積テーブル126における天候データとして設定していることを想定できる。前記天候データの例としては、例えば、降水量、天気、視程を含むことが想定できる。
【0055】
なお、前記事故情報蓄積テーブル126における天候データについては、地図上における各区画(緯度経度で区切られた所定面積の地域)の位置情報と、該当区画における前記天候データとを対応付けた、天候データ専用のテーブルを記憶手段101に備えるとしてもよい。この場合、前記情報処理装置100は、前記事故情報蓄積テーブル126における事故地点緯度および経度の情報を、この天候データ専用のテーブルにおける前記区画の位置情報に照合し、該当区画における天候データを取得することとなる。
【0056】
また、前記評価情報テーブル127は、保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて格納したテーブルである。この評価情報テーブル127は、例えば、該当保険契約者の契約番号、氏名、該当保険契約者の走行経路中で特定した事故発生地点の通番を示す走行経路上事故通番、事故発生地点の緯度および経度を示す通過地点緯度および通過地点経度、該当事故の事故種別(重大度)、およびポイント値といったデータが対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0057】
図3は本実施形態における(a)保険料テーブル128、(b)事故種別ポイントテーブル129、(c)安全走行ランクテーブル130の各構成例を示す図である。
【0058】
前記保険料テーブル128は、保険契約者毎の保険料のデータを記憶したテーブルであり、例えば、保険契約者の契約番号、氏名、保険料、およびネットワーク上における各保険契約者の端末(車載端末200ないしデータ送信端末300)のアドレスといったデータが対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0059】
また、前記事故種別ポイントテーブル129は、事故の重大度に応じたポイント値を設定したテーブルであり、例えば、事故種別(重大度)、事故名称、ポイント値といったデータが対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0060】
また、前記安全走行ランクテーブル130は、事故現場通過頻度(保険契約者毎の前記ポイント値の合算値)のレベルに応じた保険料削減値を記憶したテーブルであり、例えば、ポイント範囲、前記ポイント範囲に応じた安全走行ランク、前記安全走行ランクに応じた保険料削減値(図の場合は割引率)たる、対人賠償、対物賠償、搭乗者傷害、自損事故、無保険車障害、車両、人身傷害補償といったデータが対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0061】
図4は本実施形態における(a)時刻帯ポイントテーブル131、(b)気象条件ポイントテーブル132、(c)履歴蓄積テーブル225の各構成例を示す図である。
【0062】
前記時刻帯ポイントテーブル131は、保険契約者の車両の走行時刻に応じた前記ポイント値の割り増し係数を設定したテーブルであり、例えば、時間帯、前記時間帯に含まれる時刻、該当時間帯におけるポイント値の割り増し係数、といったデータが対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0063】
また、前記気象条件ポイントテーブル132は、保険契約者の車両の走行時の天候に応じた前記ポイント値の割り増し係数を設定したテーブルであり、例えば、気象条件とポイント値とを対応付けされたレコードの集合体の集合体となっている。
【0064】
また、前記履歴蓄積テーブル225は、前記車載端末200において、搭載対象となる保険契約者の車両が備えるGPS装置220から得た走行経路の位置情報を記憶したテーブルであり、例えば、走行経路中の通過日時、通過地点緯度、および通過地点経度といったデータが対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0065】
−−−処理フロー例1−−−
以下、本実施形態における保険料査定方法の実際手順について図に基づき説明する。なお、以下で説明する保険料査定方法に対応する各種動作は、前記システム10を構成する各装置のRAMに読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0066】
図5は本実施形態の保険料査定方法の処理フロー例1を示す図である。ここで前記車載端末200の履歴送信手段210は、前記GPS装置220から所定期間中(例:保険契約期間中であり、例えば保険契約の開始日から満了日まで)に走行経路の位置情報を取得し、例えば、インターフェイス215を介して接続されているUSBメモリ50における履歴蓄積テーブル225に格納しておく(s100)。
【0067】
前記所定期間が終了する日時(例えば、予め記憶手段201に保持)の到来を時計機能221で検知し、前記USBメモリ50の履歴蓄積テーブル225のデータを通信手段207でデータ送信端末300に送信する(s101)。或いは、前記車載端末200が前記保険契約期間の満了日時の到来を検知した際に、出力インターフェース206でその旨の情報出力(例:メッセージ出力やLED発光、ビープ音再生など)を実行し、これを認識した保険契約者が前記USBメモリ50を前記インターフェイス215から取り出して、前記データ送信端末300のインターフェイス315にセットする状況を想定してもよい。
【0068】
一方、前記データ送信端末300は、前記車載端末200から前記通信手段307を介して履歴蓄積テーブル225のデータを受信するか、或いは、前記インターフェイス315に前記可搬記憶媒体50が接続された際、可搬記憶媒体50に記憶されていた履歴蓄積テーブル225(走行経路の履歴データ)のデータを取得して自身の記憶手段301に格納する(s102)。
【0069】
また、前記データ送信端末300は、保険契約者の情報(例:契約番号。例えば、入力インターフェース305で保険契約者から指定を受け付けるか、情報処理装置100に保険契約者の属性情報をキーに問い合わせして取得)と、前記履歴蓄積テーブル225のデータを走行経路の履歴データとして前記通信手段307により前記情報処理装置100に送信する(s103)。なお、このステップs103の処理は、通信手段207を有する車載端末200において履歴送信手段210が実行するとしても勿論よい。
【0070】
他方、前記情報処理装置100の通過現場特定手段110は、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段107を介して前記データ送信端末300(ないし車載端末200)より受信して記憶手段101の走行履歴テーブル125に格納する(s104)。
【0071】
また、前記通過現場特定手段110は、この履歴データが示す地図上の位置情報、つまり前記通過地点緯度・経度のデータを、前記事故情報蓄積テーブル126の各レコードの前記事故地点緯度・経度のデータに照合して、前記通過地点緯度・経度のデータと前記事故地点緯度・経度のデータが一致するレコードを特定する(s105)。
【0072】
前記通過現場特定手段110は、ここで特定した事故情報蓄積テーブル126のレコード(=前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点に対応するレコード)から、該当事故発生地点で過去に生じた事故の重大度と該当事故発生時の時刻と該当事故発生時の天候のデータを抽出し、事故現場通過情報として特定する(s106)。また、前記通過現場特定手段110は、前記事故現場通過情報を前記保険契約者の契約番号に対応付けて記憶手段101の評価情報テーブル127に格納する(s107)。
【0073】
続いて、前記情報処理装置100の保険料低減手段111は、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段101の評価情報テーブル127から読み出し、保険契約者毎の事故現場通過頻度をカウントする処理として、まずは各事故現場通過情報が含む重大度を前記事故種別ポイントテーブル129に照合して、各事故現場通過情報のポイント値を特定する(s108)。
【0074】
また、前記保険料低減手段111は、前記ステップs108で特定したポイント値の起源となった事故現場通過情報から、事故発生時の時刻のデータを抽出し、これを前記時刻帯ポイントテーブル131に照合して割り増し係数(時刻分)を特定する(s109)。また同様に、前記ポイント値の起源となった事故現場通過情報から、事故発生時の天候のデータを抽出し、これを前記気象条件ポイントテーブル132に照合して割り増し係数(天候分)を特定する(s110)。
【0075】
次に、前記保険料低減手段111は、前記ステップs108で特定した各事故現場通過情報のポイント値に、該当事故現場通過情報について特定した前記割り増し係数(時刻分および天候分)を乗じ、各保険契約者の事故現場通過情報群に関して合算する(s111)。例えば、前記ステップs108にて、事故現場通過情報が含む重大度「1」を前記事故種別ポイントテーブル129に照合してポイント値を「5」と特定したとする。また、前記ステップs109で、事故発生時の時刻のデータ「09:15」を前記時刻帯ポイントテーブル131に照合して割り増し係数(時刻分)を「1.2」と特定し、前記ステップs110で、事故発生時の天候のデータ「晴天」を前記気象条件ポイントテーブル132に照合して割り増し係数(天候分)を「0.8」と特定したとする。この場合、「5×1.2×0.8」=「4.8」が前記事故現場通過情報に関するポイント値となる。
【0076】
そして、前記保険料低減手段111は、この合算値(=該当保険契約者の事故現場通過頻度)を前記安全走行ランクテーブル130に照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定(=事故現場通過頻度が、前記所定基準値たる前記安全走行ランクテーブル130での所定のポイント範囲内である該当保険契約者を特定し、この保険契約者の保険料削減値を特定とも言える)する(s112)。前記ステップs112で保険料削減値を特定した前記保険料低減手段111は、前記保険料テーブル128における該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減する(s113)。前記保険料低減手段111は、例えば、契約番号「3456」なる保険契約者の当初の保険料「21000円」に、保険料削減値「10%」引きを適用し、新たな保険料を「18900円」などと算定する。
【0077】
また、前記情報処理装置100の事故情報送信手段112は、前記記憶手段101の評価情報テーブル127から保険契約者の情報(契約番号)をキーに該当保険契約者の事故現場通過情報を読み出し、前記保険料テーブル128から前記契約番号をキーに該当保険契約者の車載端末200ないしデータ送信端末300のアドレスを読み出し、そして前記読み出した事故現場通過情報が含む事故発生地点の位置情報を、該当保険契約者の端末たる車載端末200ないしデータ送信端末300の前記アドレスに宛てて前記通信手段107により送信する(s114)。
【0078】
一方、前記車載端末200ないしデータ送信端末300の事故情報表示手段211は、保険契約者車両が過去に走行した経路中で事故発生地点の位置情報を前記通信手段207により情報処理装置100から受信し、記憶手段101から読み出した地図データ上の該当位置(事故地点緯度・経度の対応位置)に事故発生地点の情報(例:過去に事故発生した旨のフラグやメッセージ、或いはアイコンなどで記憶手段201ないし記憶手段301に予め保持)を設定し、出力インターフェイス206ないし出力インターフェース306に表示(図7の画面700を参照)する(s115)。
【0079】
−−−処理フロー例2−−−
次に、前記処理フロー例1におけるステップs105〜s111の処理の詳細事例について説明する。図6は本実施形態の保険料査定方法の処理フロー例2を示す図である。この場合、前記情報処理装置100の通過現場特定手段110は、前記走行履歴テーブル125のレコードのうち、まずは履歴通番「1」のレコードについて、通過地点経度・緯度を10分単位で四捨五入する(s200)。また、前記通過現場特定手段110は、前記事故情報蓄積テーブル126のレコードについても同様に、事故地点経度・事故地点緯度を10分単位で四捨五入する(s201)。
【0080】
次に、前記通過現場特定手段110は、前記走行履歴テーブル125のレコード(履歴通番「1」)の通過地点緯度・通過地点経度について、前記事故情報蓄積テーブル126の各レコードの事故地点緯度・事故地点経度と一致するものがあるか検索処理を行う(s202)。
【0081】
前記検索処理の結果、前記走行履歴テーブル125のレコードのうち、通過地点緯度・通過地点経度が、前記事故情報蓄積テーブル126の各レコードにおける事故地点緯度・事故地点経度と同一であったものがヒットしない場合(s202:N)、前記通過現場特定手段110は、前記走行履歴テーブル125のレコードのうち履歴通番「2」のレコードについて、前記ステップs200〜s202の処理を実行する。
【0082】
また、前記通過現場特定手段110は、前記履歴通番「1」のレコードが示す通過地点緯度・通過地点経度と同一の事故地点緯度・事故地点経度を含むレコードが前記事故情報蓄積テーブル126にてヒットした場合(s202:Y)、前記通過現場特定手段110は、通過地点緯度・通過地点経度と同一の事故地点緯度・事故地点経度を示すレコードから、事故通番から事故種別まで1レコード全ての情報について事故情報蓄積テーブル126から評価情報テーブル127にコピーする(s203)。なお、前記通過現場特定手段110は、前記ステップ202にて同一の事故地点緯度・事故地点経度のレコードが複数ヒットした場合、前記ステップs203で全てのレコードを評価情報テーブル127にコピーし、併せて前記ステップs108(処理フロー例1)で算定したポイント値も該当レコードに対応付けて格納する。
【0083】
続いて、前記情報処理装置100の保険料低減手段111は、前記評価情報テーブル127にコピーした情報について、前記s109、s110(処理フロー例1)を実行して割り増し係数(時刻分および天候分)を求め、前記履歴通番「1」のレコードに関するポイント値に、前記割り増し係数(時刻分および天候分)を乗じてポイント値を算定する(s204)。こうして、前記情報処理装置100は、前記履歴通番「1」のレコードについての処理が終了し、次の履歴通番のレコードに関する処理に遷移する。前記走行履歴テーブル125のレコードのうち履歴通番の最終のものの処理を終了した前記保険料低減手段111は、ループから抜ける。
【0084】
そして、前記保険料低減手段111は、前記履歴通番「1」から最終の履歴通番までの各レコードのポイント値を合計し(s205)、当該合計ポイント値を該当保険契約者の走行距離で除算して、走行距離当たりのポイント値を算定する(s206)。前記走行距離は、例えば、前記保険料低減手段111が、前記走行履歴テーブル125における該当保険契約者の各レコードから通過地点緯度・経度のデータを読み出し、各通過地点間(=つまり各レコード間)の距離を算定し(例:座標系における距離算定の既存手法を採用すればよい)、これらを合算すればよい。
【0085】
前記保険料低減手段111は、前記走行距離当たりのポイント値を、前記安全走行ランクテーブル130に照合し、該当する安全走行ランクを決定する(s207)。
【0086】
−−−その他の例−−−
なお、前記処理フロー例1におけるステップs100の実行前に、例えば、前記車載端末200が、保険契約者の車両の制御コンピュータと適宜な通信インターフェースを介して通信して車体番号を取得したり、或いは、運転手のICチップ内蔵運転免許証のリーダ装置(車両ないし車載端末200に備わるとする)と通信して運転免許証番号を取得し、予め記憶手段201に保持している車体番号や運転免許証番号との照合による認証を行うとしてもよい。
【0087】
また、前記車載端末200は、前記事故発生地点の情報を前記情報処理装置100から取得して、カーナビゲーション機能に基づくルート検索を実行する際に、一旦検索したルート候補の緯度・経度が、前記事故発生地点の情報が含む緯度・経度の情報と一致する場合に、該当ルート候補を回避して他ルート(事故発生地点の緯度・経度を経路中に含まないもの)を再検索し、出力インターフェース206に出力するとしてもよい。
【0088】
以上、本実施形態によれば、保険料査定の際に、車載装置で採取した走行経路の履歴データと、保険会社が保持する事故履歴情報の地点データとを比較することで、事故履歴情報の対応地点の近傍を通過した回数の少ない契約者について、その保険料を優遇することができる。また、事故履歴情報の対応地点の近傍を通過したことを車載端末に表示させることにより、運転者に事故への注意喚起を行い、事故を抑制することができる。
【0089】
したがって本実施形態によれば、実際の事故発生率を反映した走行履歴による保険料査定が可能となる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施形態の保険料査定システムのネットワーク構成図である。
【図2】本実施形態における(a)走行履歴テーブル、(b)事故情報蓄積テーブル、(c)評価情報テーブルの各構成例を示す図である。
【図3】本実施形態における(a)保険料テーブル、(b)事故種別ポイントテーブル、(c)安全走行ランクテーブルの各構成例を示す図である。
【図4】本実施形態における(a)時刻帯ポイントテーブル、(b)気象条件ポイントテーブル、(c)履歴蓄積テーブルの各構成例を示す図である。
【図5】本実施形態の保険料査定方法の処理フロー例1を示す図である。
【図6】本実施形態の保険料査定方法の処理フロー例2を示す図である。
【図7】実施形態の車載端末での出力画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
10 保険料査定システム
50 可搬記憶媒体(USBメモリ等)
100 情報処理装置
101、201、301 記憶手段
102、202、302 プログラム
103、203、303 RAM(Random Access Memory)
104、204、304 CPU(Central Processing Unit)
105、205、305 入力インターフェイス
106、206、306 出力インターフェイス
107、207、307 通信手段
110 通過現場特定手段
111 保険料低減手段
112 事故情報送信手段
125 走行履歴テーブル
126 事故情報蓄積テーブル
127 評価情報テーブル
128 保険料テーブル
129 事故種別ポイントテーブル
130 安全走行ランクテーブル
131 時刻帯ポイントテーブル
132 気象条件ポイントテーブル
140 ネットワーク
200 車載端末(端末)
210 履歴送信手段
211 事故情報表示手段
215、315 インターフェイス(USBインターフェイスなど)
220 GPS装置
225 履歴蓄積テーブル
226 地図データ
227 保険契約者ID
300 データ送信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他端末と通信する通信手段と、地図上における事故発生地点の位置情報を記憶した事故情報蓄積テーブルと保険契約者毎の保険料のデータを記憶した保険料テーブルとを格納した記憶手段とを備えた情報処理装置が、
保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブルに照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段に格納する、通過現場特定処理と、
各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、保険契約者毎の事故現場通過頻度をカウントし、事故現場通過頻度が所定基準値以下である保険契約者を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を所定値だけ低減する、保険料低減処理と、
を実行することを特徴とする保険料査定方法。
【請求項2】
前記情報処理装置が、
前記記憶手段において、事故現場通過頻度のレベルに応じた保険料削減値を記憶した基準テーブルを格納しており、
前記保険料低減処理において、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、保険契約者毎の事故現場通過頻度をカウントして前記基準テーブルに照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減する、
ことを特徴とする請求項1に記載の保険料査定方法。
【請求項3】
前記情報処理装置が、
前記記憶手段において、前記事故情報蓄積テーブルとして、地図上における事故発生地点の位置情報と該当事故の重大度とを記憶しており、前記基準テーブルとして、事故の重大度に応じたポイント値を設定した事故種別ポイントテーブルと、前記事故現場通過頻度としての保険契約者毎の前記ポイント値の合算値に応じた保険料削減値を記憶した安全走行ランクテーブルとを記憶しており、
前記通過現場特定処理において、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブルに照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点と該当事故の重大度のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段に格納し、
前記保険料低減処理において、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、各事故現場通過情報が含む重大度のデータを前記事故種別ポイントテーブルに照合してポイント値を特定し、当該ポイント値を保険契約者毎に合算して前記安全走行ランクテーブルに照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減する、
ことを特徴とする請求項2に記載の保険料査定方法。
【請求項4】
前記情報処理装置が、
前記記憶手段において、前記事故情報蓄積テーブルとして、地図上における事故発生地点の位置情報と該当事故の重大度と該当事故発生時の時刻とを記憶しており、前記基準テーブルとして、事故の重大度に応じたポイント値を設定した事故種別ポイントテーブルと、車両の走行時刻に応じた前記ポイント値の割り増し係数を設定した時刻帯ポイントテーブルと、前記事故現場通過頻度としての保険契約者毎の前記ポイント値の合算値に応じた保険料削減値を記憶した安全走行ランクテーブルとを記憶しており、
前記通過現場特定処理において、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブルに照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点と該当事故の重大度と該当事故発生時の時刻のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段に格納し、
前記保険料低減処理において、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、各事故現場通過情報が含む重大度を前記事故種別ポイントテーブルに照合してポイント値を特定し、当該ポイント値の起源となった事故現場通過情報が含む事故発生時の時刻のデータを前記時刻帯ポイントテーブルに照合して割り増し係数を特定し、前記ポイント値に前記割り増し係数を乗じて保険契約者毎に合算し、この合算値を前記安全走行ランクテーブルに照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減する、
ことを特徴とする請求項3に記載の保険料査定方法。
【請求項5】
前記情報処理装置が、
前記記憶手段において、前記事故情報蓄積テーブルとして、地図上における事故発生地点の位置情報と該当事故の重大度と該当事故発生時の天候とを記憶しており、前記基準テーブルとして、事故の重大度に応じたポイント値を設定した事故種別ポイントテーブルと、車両の走行時の天候に応じた前記ポイント値の割り増し係数を設定した気象条件ポイントテーブルと、前記事故現場通過頻度としての保険契約者毎の前記ポイント値の合算値に応じた保険料削減値を記憶した安全走行ランクテーブルとを記憶しており、
前記通過現場特定処理において、保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブルに照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点と該当事故の重大度と該当事故発生時の天候のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段に格納し、
前記保険料低減処理において、各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、各事故現場通過情報が含む重大度を前記事故種別ポイントテーブルに照合してポイント値を特定し、当該ポイント値の起源となった事故現場通過情報が含む事故発生時の天候のデータを前記気象条件ポイントテーブルに照合して割り増し係数を特定し、前記ポイント値に前記割り増し係数を乗じて保険契約者毎に合算し、この合算値を前記安全走行ランクテーブルに照合し、保険契約者毎の保険料削減値を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を前記保険料削減値だけ低減する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の保険料査定方法。
【請求項6】
他端末と通信する通信手段と、地図データと、搭載対象となる保険契約者の車両が備えるGPS装置から得た走行経路の位置情報と保険契約者のIDとを記憶する記憶手段とを備える端末が、
前記GPS装置から所定期間中に得た走行経路の位置情報と保険契約者の情報とを、前記走行経路の履歴データとして前記通信手段により前記情報処理装置に送信する、履歴送信処理を実行し、
前記情報処理装置が、
前記記憶手段において、ネットワーク上における各保険契約者の端末のアドレスを記憶しており、
記憶手段から保険契約者の情報をキーに該当保険契約者の事故現場通過情報を読み出し、当該事故現場通過情報が含む事故発生地点の位置情報を、該当保険契約者の端末のアドレスに宛てて前記通信手段により送信する、事故情報送信処理を実行し、
前記端末が、
前記事故発生地点の位置情報を前記情報処理装置より受信し、記憶手段から読み出した地図データ上の該当位置に事故発生地点の情報を設定し出力インターフェイスに表示する事故情報表示処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保険料査定方法。
【請求項7】
他端末と通信する通信手段と、
地図上における事故発生地点の位置情報を記憶した事故情報蓄積テーブルと保険契約者毎の保険料のデータを記憶した保険料テーブルとを格納した記憶手段と、
保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブルに照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段に格納する、通過現場特定手段と、
各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、保険契約者毎の事故現場通過頻度をカウントし、事故現場通過頻度が所定基準値以下である保険契約者を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を所定値だけ低減する、保険料低減手段とを備えた情報処理装置を含むことを特徴とする保険料査定システム。
【請求項8】
他端末と通信する通信手段と、
地図上における事故発生地点の位置情報を記憶した事故情報蓄積テーブルと保険契約者毎の保険料のデータを記憶した保険料テーブルとを格納した記憶手段と、
保険契約者車両の走行経路の履歴データを、前記通信手段を介して他端末より受信し、この履歴データが示す地図上の位置情報を前記事故情報蓄積テーブルに照合して、前記保険契約者の車両が走行した経路中に含まれる事故発生地点のデータを事故現場通過情報として特定し、保険契約者に対応付けて記憶手段に格納する、通過現場特定手段と、
各保険契約者の事故現場通過情報を記憶手段から読み出し、保険契約者毎の事故現場通過頻度をカウントし、事故現場通過頻度が所定基準値以下である保険契約者を特定し、前記保険料テーブルにおける該当保険契約者の保険料を所定値だけ低減する、保険料低減手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
他端末と通信する通信手段と、
地図データと、搭載対象となる保険契約者の車両が備えるGPS装置から得た走行経路の位置情報と保険契約者のIDとを記憶する記憶手段と、
前記GPS装置から所定期間中に得た走行経路の位置情報と保険契約者の情報とを、前記走行経路の履歴データとして前記通信手段により前記情報処理装置に送信する、履歴送信手段と、
保険契約者車両が過去に走行した経路中で事故発生地点の位置情報を前記通信手段により情報処理装置から受信し、記憶手段から読み出した地図データ上の該当位置に事故発生地点の情報を設定し出力インターフェイスに表示する事故情報表示手段と、
を備えることを特徴とする端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−157054(P2010−157054A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334210(P2008−334210)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】