説明

信号入力装置

【課題】小型で簡単な機構により、従来のロータリーエンコーダとプッシュスイッチとによる指示信号の入力と確定と同様の手法で信号の入力ができる信号入力装置とする。
【解決手段】回動接触操作部材4の円筒状外周面にタッチセンサ5を設ける。利用者の指がこのタッチセンサ5に接触した位置を検出することにより、例えばナビゲーション装置の地図画面のスクロール方向とする。また、指の接触位置を移動させた時その移動方向を検出し、メニュー選択指示信号等に用いる。また、タッチセンサ5を分割して円周方向に列設することにより、同様の操作を可能としてもよく、また円筒状外周面は円筒面の少なくとも一部の面からなる外周面で良い。またタッチセンサ5を、接触している指の円筒軸線方向の移動も検出可能とし、更なる利用者の指示信号としても良く、また円筒状外周面に凹凸を形成しても良く、回動接触操作部材の揺動及び押し込みを検出可能としても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機器に対して指の操作等により各種指示信号を入力ための信号入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばナビゲーション装置において、メニュー選択、地図のスクロール、目的地入力等の各種の指示信号を入力し確定するために、またオーディオ装置に対する各種指示信号の入力と確定のために、従来より種々の信号入力装置が用いられており、ロータリーエンコーダとプッシュスイッチ都からなる信号入力装置が広く用いられている。このロータリーエンコーダとプッシュスイッチによって入力の選択と確定を行う信号入力手法は、上記のような装置に限らず広く各種の分野で用いられている。
【0003】
上記のようなロータリーエンコーダとプッシュスイッチによって入力の選択と確定を行う手法が、この手法が開発された後にも、例えばタッチスクリーンに指等を接触させて信号を入力する手法等、種々の信号入力手法が開発されているにもかかわらず、未だ現在も広く用いられている理由として、信号の入力を促すメニュー画面が変わっても、基本的な操作方法は同じであり、立体的で指にフィードバック感触があり、眼で常時確認しなくても操作でき、また、平面内で操作するものと異なり場所を取らないという利点がある。また、ロータリー操作はループなど始まりと終わりのないものや長いリストの選択などに適しており、且つ多くの人が種々の機器の指示信号入力手法として慣れている等々、多くの利点があるためと考えられる。
【0004】
一方、近年急速に普及している手法として、例えば携帯パソコンの信号入力手段として用いられているパッド型ポインティングデバイス、タッチパッド、或いはタッチスクリーン等と呼ばれる、表面に指等が接触したことを検出するタッチセンサを用いた手段がある(以下タッチセンサと総称する)。このタッチセンサにおいては、例えば図12(a)に示すように、平面状のタッチセンサ101には内部に多数のスイッチ機能部102を備え、この表面103に指104等の物体を接触させることにより、各スイッチ機能部が位置するX−Y軸の位置に対応する所定の信号が出力されるようになっている。
【0005】
このタッチセンサ101の内部構造は例えば図12(b)に示すように、表面に指が接触したことを検出する個々のスイッチ機能部に対応する操作検出電極105を備えた操作検出膜106と、操作検出膜106の裏側に間隔を置いて配置された対向電極膜107と、操作検出膜106と対向電極膜107との間に配置した電気絶縁性の絶縁膜108とから構成されている。操作検出電極105と対向電極膜107に電圧をかけると、その間の絶縁膜108を挟んでコンデンサを形成する。また、個々の操作検出電極105が図12(a)のスイッチ機能部102となっており、各操作検出電極105に対してX−Y方向の側部から延びている信号線によって各操作検出電極106のコンデンサとしての電圧を検出することが出来るようにしている。
【0006】
上記のようなタッチセンサ101において、表面103に指が接触、或いは接近していない状態では図10(b)に示すように操作検出電極105と対向電極膜107との間で安定した電界が生じており、この電極間には一定の電化がたまった状態で安定している。この状態で同図(c)のようにこの操作検出膜106に指が接触、或いは接近すると、指は導電体として作用し、電界の一部が指に引きつけられ、たまっていた電荷が減少する。それにより操作検出電極105部分の電圧が減少し、その信号をリード線によって導き、制御装置によってタッチセンサ101におけるどの部分のスイッチ機能部102に指が接触、或いは接近したかを検出することができ、利用者の指示信号として入力することが出来るようになっている。
【0007】
利用者による指示信号は、利用者がモニタ等の表示部を見ながら指を操作することによって、指で指示された表示部分のカーソル、或いは他と識別可能に表示された文字や記号を見て、利用者は所定の指示入力を行うことができる。このような指示入力の後、確定信号を入力する際には、例えばこのタッチセンサ101に指を短時間接触させるクリック操作を行うとき、指が接触した部分のスイッチ機能部における指の接触時間を検出し、確定指示信号であると判断して確定信号の入力を可能としている。
【0008】
なお、前記のようなロータリースイッチにより指示信号を入力し、プッシュスイッチにより機能の選択確定入力を行う技術は例えば下記特許文献1等に開示されており、またタッチセンサによる信号入力については例えば下記特許文献2等に開示されている。
【特許文献1】特開平2−187814号公報
【特許文献2】特開平5−143235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のように、各種の機器に対する利用者の指示信号の入力と確定に際して、ロータリーエンコーダとプッシュスイッチを用いた手法は多くの利点を有し好ましいが、この手法は操作部の回転機構とその検出部、および操作部の押圧対応機構とその検出部を必要とし、全体の機構が複雑となり、単価が高くなると共に、機械的な移動部分が多くなることにより耐久性の点で問題があり、劣化を生じて故障の原因となる問題があった。
【0010】
また、前記のような平面状のタッチセンサを用いた手法は、機構が簡単であり機械的な移動部分が殆ど無いため、機械的な移動部分の劣化を生じる恐れが無く故障が少ない利点があるが、平面形状であるので充分な入力操作を検出するには広い面積が必要であり、操作部を配置するに際して充分広い面積を確保することができない機器には適さないという問題がある。
【0011】
したがって本発明は、簡単な機構により従来のロータリーエンコーダとプッシュスイッチとによる指示信号の入力と確定と同様の手法で信号入力を行うことができるようにし、また広い平面を必要とする平面状タッチスイッチを用いること無く、同様の手法で入力を行うことができるようにした信号入力装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る信号入力装置は、上記課題を解決するため、円筒面の少なくとも一部の面からなる外周面を備え、前記外周面に沿ってタッチセンサを設けることにより接触操作部材を構成し、前記タッチセンサに対して接触した物の、前記外周面の円周方向位置を検出する接触検出手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る他の信号入力装置は、前記信号入力装置において、前記接触検出手段を、1枚に形成したタッチセンサを前記外周面に設けたものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る他の信号入力装置は、前記信号入力装置において、前記接触検出手段は、複数のタッチセンサを前記外周面に沿って円周方向に列設配置したものであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る他の信号入力装置は、前記信号入力装置において、前記接触検出手段は、前記外周面の円筒軸線方向の位置も検出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る他の信号入力装置は、前記信号入力装置において、前記接触操作部材の外周面に、前記外周面の円筒軸線方向に延びる突起を、円周方向に複数設けたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る他の信号入力装置は、前記信号入力装置において、前記接触操作部材の外周面に、前記外周面の円筒軸線方向に延びる触感用部材を、円周方向に複数埋め込んだことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る他の信号入力装置は、前記信号入力装置において、前記接触検出手段は、タッチセンサに対して接触した物の、前記外周面の円周方向の移動を検出することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る他の信号入力装置は、前記信号入力装置において、前記接触検出手段は、タッチセンサに対して接触した物の、前記外周面の円筒軸線方向の移動を検出することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る他の信号入力装置は、前記信号入力装置において、前記接触検出手段は、タッチセンサに対して接触した物の接触時間に応じて異なった信号を出力することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る他の信号入力装置は、前記信号入力装置において、前記接触操作部材を揺動自在に支持し、前記接触操作部材の揺動を検出する揺動検出手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る他の信号入力装置は、前記信号入力装置において、前記回動接触部材を円筒軸線方向に押し込み自在に支持し、該接触操作部材の押し込みを検出する押込検出手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上記のように構成したので、簡単な機構により従来より広く用いられているロータリーエンコーダとプッシュスイッチとによる指示信号の入力と確定と同様の手法で、しかも全て共通の手法によって信号を入力することができ、また広い平面を必要とする平面状のタッチスイッチを用いること無く、同様の手法で信号を入力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
小型で簡単な機構により従来のロータリーエンコーダとプッシュスイッチとによる指示信号の入力と確定と同様の手法で信号の入力を行うことができる信号入力装置とするという目的を、円筒面の少なくとも一部の面からなる外周面を備え、前記円筒状外周面に沿ってタッチセンサを設けることにより接触操作部材を構成し、前記タッチセンサに対して接触した物の、前記円筒状外周面の円周方向位置を検出する接触検出手段を備えることにより実現した。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明による信号入力装置の一実施例であり、図示実施例においてはこの信号入力装置1が取り付けられる取付部材2に、傾動押込検出スイッチ3を介して円筒状の接触操作部材4を取り付けた例を示している。接触操作部材4は図1(a)(c)に示すように、外周が円筒面をなし、その円筒面上にタッチセンサ5を備えている。このタッチセンサ5は前記図12で説明した従来の平面状のタッチセンサを例えば図1(d)のように長方形に形成し、円筒状の接触操作部材4の円筒面上に巻くことによって作成することができる。
【0026】
タッチセンサ5は前記従来のものと同様に多数のスイッチ機能部からなるが、図1に示す例においてはタッチセンサ5を接触操作部材4の外周に取り付けた状態で、接触操作部材4の軸線方向に平行に分割して配置して1次元のタッチセンサを構成しており、それにより利用者の指の少なくとも一つがこのタッチセンサ5に接触したとき、その方向の位置を検出し、また、その指が図1(b)のAに示すような円周方向に移動するとき、その移動を検出することができるようにしている。なお、従来から広く用いられている図10に示すような2次元のタッチセンサをそのまま用いることもできる。その際には上記のような接触した指の円周方向の移動のみを検出するように設定することも可能である。
【0027】
但し、必要に応じて従来の前記のような2次元の平面状タッチセンサをそのまま円筒面に用いるとき、指を前記のように円周方向に移動した操作を検出する以外に、接触した指を接触操作部材4の軸線方向に所定以上移動したことを検出して、例えば指を円周方向に移動した指示信号の確定のための別の信号として利用することもできる。
【0028】
円筒状の接触操作部材4の外周に設けたタッチセンサ5に対して指を接触させながら、その指を周方向に移動するときのタッチセンサ5からの信号は、例えば図2(b)に示すようなものが得られる。即ち図2には、同図(a)のように接触操作部材4の外周を、親指と人差し指等の2本の指Y1とY2で摘んだ状態で、回動しない接触操作部材4の外周をなぞるようにして、例えば図示矢印Aのように移動するとき、前記のようなタッチセンサからの信号を同図(b)に示している。
【0029】
図2(b)の出力信号の例においては、接触操作部材4の円周方向位置Xに対する接触信号の強度を示しており、前記指Y1によって第1出力信号S1が得られ、指Y2によって第2出力信号S2が得られる。これらの信号は、各指がタッチセンサに指により摘む力で押しつけられるとき、いくつかのスイッチ機能部が指への電界移動によって影響を受け、指の接触位置の中心から次第に信号強度が小さくなる出力信号形状となる。このような出力信号S1およびS2が指の円周方向への移動により、同図(a)のA方向への移動に伴って、同図(b)のA方向に移動する。
【0030】
この移動を検出することにより、この信号入力装置が例えば図2(c)のようなオーディオ装置7に信号入力装置1として取り付けられているとき、音量調節を行う機能が選択されている状態で、利用者が回転不能に取り付けられている信号入力装置1の接触操作部材4の外周を摘んで前記のように円周方向になぞるとき、図2(b)の信号が入力されることにより、その信号の移動方向を検出して、表示部8に表示されている音量調節用の画面における音量設定目盛り指示を移動し、従来のロータリエンコーダを用いた回転つまみと同様の作動を行わせることができる。
【0031】
このような構成および作動を行うことにより、従来のもののように回転する部分やロータリエンコーダを設ける必要が無くなり、故障を生じにくくすると共に、従来から慣れている回転つまみの操作と同様の操作によって音量調節等の操作を行うことができるので、操作の仕方を考える必要なく、誰でもが容易に操作を行うことができる。
【0032】
また、例えば回転不能に取り付けられている接触操作部材4に対する最初の接触位置を検出することにより、利用者の指示方向を検出し、例えば地図スクロール時の方向を指示する信号等、方向の信号を出力することもできる。即ち、図3(a)に示すように、接触操作部材4の周囲を10度づつタッチセンサ5が分解可能としているとき、利用者の指が図示するいずれかの角度部分に接触したことを検出することができる。
【0033】
それにより例えば図3(b)に示すようにモニタに表示している地図を任意の方向にスクロールするとき、前記のように指が接触したタッチセンサの角度方向にカーソルを移動することができるようになる。このようなスクロール方向指示手法を用いることにより、従来のジョイスティックを傾動させて8方向の指示を行うものよりもはるかに細かな角度指示を行うことができ、利用者の意志に沿ったスクロール操作を行うことができるようになる。このような操作を行う接触操作部材4は、車両のヘッドユニット等に固定したものを用いることにより、安定した指示を行うことができる。
【0034】
また、タッチセンサ5を従来の平面上に配置するものと異なり、奥行き方向に延びるように配置しているので、従来のロータリー・ダイアル・ジョグと同様の操作性を与え、摘みながら回転操作を可能にすることにより、操作時の指のぶれを防ぎつつ、立体感や摘んだ感触を与え、自然な操作による回転動作を検知することができる。また、1次元・ストリップ式センサが使用できるので、従来の2次元・平面式のロータリーセンサーより簡単な回路で実現することができる。
【0035】
しかも必ずしも前記のように接触操作部材4を摘んで操作する必要はなく、指が1本でも接触したことを検出することによって信号入力操作を行うことができ、その1本の指が移動したことを検出して上記と同様の信号入力操作を行うこともできる。そのため、例えば図4に示すように接触操作部材4をかまぼこ型に形成し、その上面側の円筒面の部分に前記と同様のタッチセンサ5を設け、この部分を指で触ることによって操作を行うことができる。なお、このタッチセンサ5は前記のような1次元型以外に、後述するような2次元型のタッチセンサを用いることもできる。
【0036】
更に上記のようなタッチセンサを用いることにより、指をタッチスイッチ付近に近づけるだけ、または触るだけで検知できるので、現在の作動状態における操作モードなどの案内を、音声や表示で出力してフィードバックし、利用者はその案内を聴いてから実際の操作を行うことができ、操作前に誤操作を行うような操作を防止することができる。このようなことは従来の機械式ロータリースイッチでは行うことができず、実際にスイッチの操作を開始するまで検知できず、誤操作も発生してからでしか検知できなかった問題点を解消することができる。また、従来のロータリースイッチのような機械的部品を減らすことが出来、劣化と生産コストを削減することができる。
【0037】
しかもこのようなタッチセンサを用いることにより、確定動作等のためにタップアクションが必要なときには、どの部分においてでもタップ操作を行うことにより、従来の平面状のタッチセンサと同様に短時間の接触状態を検出し、その信号により確定信号等とすることができ、別途スイッチ等を設ける必要が無くなる。
【0038】
また、図1に示す例においては1次元方向に延びるタッチセンサを用いた例を示したが、その他例えば図5に示すように、従来の平面状のタッチセンサのように2次元のタッチセンサ11を用い、これを前記と同様の円筒状の接触操作部材4の周囲に巻いた構成としても良い。このような2次元タッチセンサを円筒面等の立体面で用いることにより、前記のような操作に加えて、円筒の軸線方向に指をスライドさせる動作を検出することが出来、それにより例えばナビゲーション装置の地図の縮尺ズームインとズームアウトや、オーディオ装置のフェードアウト等の機能に用いることができるようになる。更に、接触操作部材4の前記のような側面以外に正面側にも例えば円形の平面状のタッチセンサを設け、従来と同様のセンサ出力を行う以外に、円筒状のタッチセンサ5による指示を行った後の確定の際に、その部分を触る等の操作を行うようにしても良い。
【実施例2】
【0039】
前記の信号入力装置におけるタッチセンサ5は、円筒面の少なくとも一部の面からなる外周面を備えた回動接触操作検出部材4の外周に対して、1次元、或いは2次元のタッチセンサを設けた例を示したが、それ以外に例えば図6に示すように、タッチセンサを回動接触操作検出部材4に対して間欠的に配置しても良い。即ち図6に示す例においては、同図(b)に斜視図で、また同図(d)に外周表面を展開して平面で示すように、接触操作部材4の外周に対して個別のタッチセンサ5を互いに間隔を置いて列設する。
【0040】
このような接触操作部材4においては、図6(a)のように接触操作部材4の外周表面を前記と同様に摘むと、指と各タッチセンサ5との接触による出力信号が同図(c)のS1〜4ように出力される。同図(c)において出力信号S1、S2は同図(a)における指Y1が隣接するタッチセンサ5における図6(d)に示すc4、c5と接触したことにより出力されたものであり、同様に出力信号S3、S4は指Y2が隣接するタッチセンサ5におけるc12、c13と接触したことにより出力されたものである。このとき、各指が1つのタッチセンサ5のみ接触するときには、一つの信号のみが出力される。
【0041】
したがって、図6(a)において指Y1、Y2を外周に沿って接触させながら矢印A方向に移動するとき、出力信号S1〜S4が同図(c)の矢印A方向に移動する。その信号は前記図6(d)と同様にオーディオ装置の音量調節等に用いることができるが、その他例えば図6(e)に示すようなナビゲーション装置9における住所の五十音順検索に際して、モニタに列挙された地名のうちの任意のものを選択する際に、画面をスクロールしながらサーチする時等にも利用することができる。また、タッチセンサ5に最初に接触した位置を検出することにより、利用者の指示方向を検出することが出来ることも前記実施例と同様である。
【実施例3】
【0042】
また、前記のようにタッチセンサを回動接触操作検出部材4に対して間欠的に配置する手法として、例えば図7に示すような手法により配置しても良い。即ち図7に示す例においては、接触操作部材4の外周面に等間隔に多数の突出部11を形成し、各突出部11の頂部に前記実施例2と同様にタッチセンサ5を設ける。それにより、前記と同様に固定された接触操作部材4の周囲に対する指の接触位置の検出、および移動方向を検出することが出来ることは前記と同様であり、前記各実施例と同様の作動を行わせることができる。
【0043】
更にその他に、利用者の指によって接触操作部材4の周囲をなぞるように移動するとき、指に各突出部11が接触するので、単に円筒状の面をなぞるときと異なり、指の移動に対応して間欠的な刺激を受け、どの程度の移動を行ったか、どの程度の速度で移動を行ったかをその感覚で知ることが出来るようになる。
【実施例4】
【0044】
また、接触操作部材4の周囲をなぞるように移動するときに指に間欠的な刺激を与える手法として、前記の例の他、例えば図8に示すような手法を採用することができる。図8に示す例においては、前記図7に示すような周囲に突出部11を備えた接触操作部材4と同様のものを用い、各隣接する突出部11の間に形成される凹部に、棒状の触感用部材14を充填材15によって保持するように構成する。
【0045】
棒状の触感用部材14を充填材15で保持するに際しては、触感用部材14の外周側壁の一部が露出して触感部16が形成されるように充填材15で保持する。このようにして形成された接触操作部材4において、触感用部材14を金属等の導電性材料とし、充填材15等を絶縁性部材として、触感用部材14から信号を入力可能とすることにより、利用者がこの触感用部材14を指で接触した信号を入力し、前記実施例2、3と同様の信号入力を行うことができるようになる。その他、触感用部材14を絶縁性材料とし、他の部分に前記実施例と同様にタッチセンサを間欠的に配置してもよい。
【実施例5】
【0046】
図1に示した実施例において、同図(a)において信号入力装置1が取り付けられる取付部材2に、傾動押込検出スイッチ3を介して円筒状の回動接触操作検出部材4を取り付けた例を示したが、この傾動押込検出スイッチ3としては従来から用いられている種々のこの種のスイッチを用いることができるが、例えば図9に示すような傾動押込検出スイッチ3を用いてもよい。同図に示す傾動押込検出スイッチ3においては、接触操作部材4に突設したロッド11の先端にスイッチ作動板12を備えており、その先端面には断面円弧状の作動面13を形成している。
【0047】
スイッチ作動板12はスイッチケース14内においてスプリング15により周囲の全周が、スイッチケース開口フランジ16側に押し付けられており、その状態ではスイッチ作動板12はスイッチケース14の底面に配置したスイッチには接触していない。スイッチとしては種々のものを用いることができるが、前記と同様のタッチセンサ、或いはプッシュスイッチを用いても良い。スイッチの配置は例えば図9(b)に実線で示すように中心に配置した押込検出スイッチ18と、周囲に4個等間隔で配置した傾動検出スイッチ19を設ける。なお、図中破線で示すように、更に4個の傾動検出スイッチ19を設けることにより、8方向の操作指示を検出することができるようにしても良い。なお図中20はリード線を示す。
【0048】
それにより、接触操作部材4を図9(a)の矢印Bで示すように揺動すると、スプリング15によって押圧支持されているスイッチ作動板12がスプリング15の一部を押圧して傾き、傾いた方向の傾動検出スイッチ19がスイッチ作動板12の作動面13が接触し、その傾動検出スイッチ19が前記のようなタッチセンサであるときにはその接触により接触操作部材4の傾いた方向、即ち利用者の指示方向を検出することができる。また傾動検出スイッチがプッシュスイッチであるときには、スイッチ作動板12によってそのスイッチが作動して同様に検出することができる。その後接触操作部材4の傾動操作を解除すると、圧縮していたスプリングの反発力によってスイッチ作動板12は図9(a)の元の位置に戻る。
【0049】
また、接触操作部材4を図9(a)の矢印Cで示すように接触操作部材4の円筒面の円筒軸線方向に押し込むと、スプリング15全体が圧縮され、スイッチ作動板12の作動面13が円弧状をなしていることにより、最も突出している中心部分が中心スイッチ18と接触し、その信号を入力することによって利用者が接触操作部材4を押し込み操作したことを検出することができる。上記のような傾動押込検出スイッチ3を用いることにより、例えば回動操作部材4の前記のような指によって、円筒面に設けたタッチセンサを図9(d)の矢印A方向になぞりながら操作を行い、所望の機能指示を行った後、その機能の確定を行う際にこの接触操作部材4を押し込む作動を上記のようにして検出し、確定信号入力を行うことができる。このような従来と同様の傾動押し込み検出スイッチを用いても、接触操作部材4は回動させる必要はなく、回転検出スイッチを設ける必要が無くなる等により、従来のものよりも構成を簡単にし、故障部分を減少させることができる。
【0050】
図9(b)には傾動検出スイッチ19を接触操作部材4の傾動を検出する方向に個々にタッチセンサ等のスイッチを用いた例を示したが、その他例えば図9(c)に示すように、中心スイッチ18の周囲にドーナツ状の円環状タッチセンサ21を設け、この円環状タッチセンサ21を円周方向に例えば10度ずつ分割し、各分割したタッチセンサ部分に対する前記スイッチ作動板12の接触を検出することによって、利用者が傾動検出スイッチ19を操作した方向を正確に検出するようにしても良い。
【実施例6】
【0051】
図9に示した実施例においては、接触操作部材4と別途に傾動押込検出スイッチ3を備えた例を示したが、それ以外に例えば図10に示すような接触操作部材4内に傾動押し込み検出スイッチを内蔵させることもできる。即ち図10に示す実施例においては、取付部材2に支持軸22を突設し、その先端部には支持軸22より大径で図中断面8角形をなすスイッチ固定部材23を備えている。前記実施例と同様に円筒面部分にタッチセンサ5を備えた接触操作部材4の内部には、図10(c)に示すように内部空間24を形成しており、その内部空間24の開口部周縁には断面L字型の係止部25を備えている。
【0052】
係止部25は支持軸22に対するスイッチ固定部材23の突出した部分に係止可能としており、スイッチ固定部材23の端面26と接触操作部材4内部空間24における内端面27との間に縮設したスプリング28の力により、係止部25がスイッチ固定部材23の裏面に係止している。スイッチ固定部材23の8面の各側面30には傾動検出プッシュスイッチ31を固定しており、各プッシュスイッチの作動面が内部空間24を形成する8面の内側壁面32と間隙をもって対向することにより、接触操作部材4を図10(b)中の矢印B方向に傾動させるとき、傾動させた方向と逆側の傾動検出プッシュスイッチ31が内側壁面32と接触し押圧され、傾動信号を得ることが出来るようにしている。
【0053】
接触操作部材4の端面26における中心位置には押込検出プッシュスイッチ33を固定しており、この押し込み検出プッシュスイッチ33に近接するように、接触操作部材4の内部空間24における内端面27から作動突起34を突出させている。それにより、接触操作部材4を図中C方向に押し込むとき、作動突起34が押込検出プッシュスイッチ33を押し込み、それにより前記実施例と同様に利用者の確定指示信号等に用いることができる。
【実施例7】
【0054】
本発明において、前記のような装置を用い、図2(b)のようなタッチセンサからの出力によって、センサ出力最大値部分を指示信号値とすることができ、また図6(c)のようなタッチセンサからの出力のときにおいて、複数のタッチセンサから出力が存在するときにはそれらの中間位置を指示信号値とし、1つだけの出力のときにはそれを指示信号とすることができるが、接触操作部材の円筒面に図6と同様の個別のタッチセンサを多数用い、指で多数のタッチセンサに接触したときの出力信号の場合は、図11に示す手法により、接触操作部材を摘んで左方向に移動する左回転操作をしたか、移動させないか、或いは右方向に移動する右回転操作をしたかを判別することができ、したがって所定時間毎に各センサからの出力値を入力することによって、利用者の指の動きを正確に監視し、移動の検出をすることができる。
【0055】
即ち図11に示す例においては、各個別のタッチセンサc1〜12から、同図(a)に示すように前回(t−1)の出力値が図中のグラフのように得られ、その値を数値化し、例えば「6、19、9・・・1、1、1」としたとき、そのときのタッチセンサの状態から1ポジションずつ手前の出力値(A)を求めると、タッチセンサを1つ手前にずらした値として、「19、9、1・・・1、1、6」が得られ、同一のポジションの出力値(B)として先と同一のデータである「6、19、9・・・1、1、1」が得られ、逆に1ポジションずつ先の出力値(C)を求めると、タッチセンサを1つ先にずらした値として、「1、6、19・・・9、1、1」のデータを得る。
【0056】
このような状態から例えば0.05秒後の(t)において、図11(a)のように、今回(t)出力値(1)として「18、8、1・・・1、1、5」の出力が得られたとき、今回は前回のタッチセンサへの接触状体からどのように移動したかを検出するため、出力値(1)に前記(A)の値を乗算すると「342、72、1・・・1、1、30」となり、同様に(B)の値を乗算すると「108、152、9・・・1、1、5」となり、また(C)の値を乗算すると「18、48、19・・・9、1、5」となる。この演算結果について各々c1〜c12を合計した値「1353、1005、487」を比較し、最高値を選択すると図中(1)×(A)であることがわかり、今回の出力結果から前回から1ポジション手前に移動していることが判別される。
【0057】
同様に図11(b)に示すように、今回(t)の出力値(2)が「5、18、8・・・1、1、1」であったとき、前記と同様にこの値と(A)(B)(C)を乗算して図示のようなデータを得る。それらの合計値「1002、1353、1005」を比較し、最大値が(B)のポジションであると判別し、前回と指が移動していないことがわかる。更に図11(c)に示すように、今回(t)の出力値(3)が「1、5、18・・・8、1、1」であったとき、前記と同様にこの値と(A)(B)(C)を乗算して図示のようなデータを得る。それらの合計値「484、1010、1353」を比較し、最大値が(C)のポジションであると判別し、全快と指が1ポジション先に移動したことがわかる。
【0058】
前記の数値は判別手法をわかりやすくするために、今回(t)出力値を前回(t−1)出力値と全体的に若干出力値が低い順送りのデータが得られたことを仮定した例を示したが、実際にはそれぞれ接触状体が異なってくるため、単なる順送りデータとはならない。そのときにおいても、上記のような手法を用いて演算し、最高値のポジションを求めることにより、接触操作部材4を摘んだ指の移動方向を正確に、しかも単純な演算で得ることにより判別することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明による信号入力装置は、従来から用いられていたロータリーエンコーダを用いた信号入力装置、またロータリーエンコーダとプッシュスイッチの組み合わせからなる信号入力装置等に代えて広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例1の説明図である。
【図2】同実施例の作動及びその適用例を示す図である。
【図3】同実施例の他の作動及びその適用例を示す図である。
【図4】同実施例の他の態様を示す図である。
【図5】同実施例の更に他の態様を示す図である。
【図6】本発明の実施例2の説明図である。
【図7】本発明の実施例3を示す図である。
【図8】本発明の実施例4を示す図である。
【図9】本発明の実施例5を示す図である。
【図10】本発明の実施例6を示す図である。
【図11】本発明の実施例7を示す図である。
【図12】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 信号入力装置
2 取付部材
3 傾動押込検出スイッチ
4 接触操作部材
5 タッチセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒面の少なくとも一部の面からなる外周面を備え、前記外周面に沿ってタッチセンサを設けることにより接触操作部材を構成し、
前記タッチセンサに対して接触した物の、前記外周面の円周方向位置を検出する接触検出手段を備えたことを特徴とする信号入力装置。
【請求項2】
前記接触検出手段は、1枚に形成したタッチセンサを前記外周面に設けたものであることを特徴とする請求項1記載の信号入力装置。
【請求項3】
前記接触検出手段は、複数のタッチセンサを前記外周面に沿って円周方向に列設配置したものであることを特徴とする請求項1記載の信号入力装置。
【請求項4】
前記接触検出手段は、前記外周面の円筒軸線方向の位置も検出することを特徴とする請求項1記載の信号入力装置。
【請求項5】
前記接触操作部材の外周面に、前記外周面の円筒軸線方向に延びる突起を、円周方向に複数設けたことを特徴とする請求項1記載の信号入力装置。
【請求項6】
前記接触操作部材の外周面に、前記外周面の円筒軸線方向に延びる触感用部材を、円周方向に複数埋め込んだことを特徴とする請求項1記載の信号入力装置。
【請求項7】
前記接触検出手段は、タッチセンサに対して接触した物の、前記外周面の円周方向の移動を検出することを特徴とする請求項1記載の信号入力装置。
【請求項8】
前記接触検出手段は、タッチセンサに対して接触した物の、前記外周面の円筒軸線方向の移動を検出することを特徴とする請求項4記載の信号入力装置。
【請求項9】
前記接触検出手段は、タッチセンサに対して接触した物の接触時間に応じて異なった信号を出力することを特徴とする請求項1記載の信号入力装置。
【請求項10】
前記接触操作部材を揺動自在に支持し、前記接触操作部材の揺動を検出する揺動検出手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の信号入力装置。
【請求項11】
前記回動接触部材を円筒軸線方向に押し込み自在に支持し、該接触操作部材の押し込みを検出する押込検出手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の信号入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−200732(P2007−200732A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18450(P2006−18450)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】