説明

信号処理装置、及び信号伝送方法

【課題】バスシステムにおいて伝送遅延による受信不良を回避することが可能な信号処理装置を提供すること。
【解決手段】第1のバスに接続されたマスター機器から供給されるクロックと、当該クロックに同期して前記マスター機器から送信されるデータとを受信するマスター側受信部と、前記第1のバスとは異なる第2のバスに接続されたスレーブ機器に対し、前記マスター側受信部により受信されたクロック及びデータを送信するスレーブ側送信部と、前記スレーブ側送信部により送信されたクロックに同期して前記スレーブ機器から送信されたデータを受信してバッファに格納するスレーブ側受信部と、前記マスター側受信部によりクロック及びデータが受信されるタイミングで、当該クロックに同期して前記バッファに格納されているデータを前記マスター機器に送信するマスター側送信部と、を備える、信号処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置、及び信号伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やノート型のパーソナルコンピュータ(以下、ノートPC)等の情報処理装置は、ユーザが操作する本体部分と、情報が表示される表示部分とを接続するヒンジ部分に可動部材が用いられていることが多い。ところが、ヒンジ部分には多数の信号線や電力線が配線されている。そのため、配線の信頼性を維持する観点から、ヒンジ部分を通る信号線の数を極力減らす工夫が求められている。こうした理由から、最近では、本体部分と表示部分との間で行われるデータ伝送にパラレル伝送方式を用いずに、信号線の本数を減らすことが可能なシリアル伝送方式を用いることが好ましいとされている。なお、下記の特許文献1には、シリアルデータをAMI(Alternate Mark Inversion)符号に符号化し、シリアル伝送方式で伝送する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−109843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本体部分と表示部分との間でデータのシリアル伝送を実現するには、ヒンジ部分を通るシリアル信号線のデータ入力端にパラレルデータをシリアル化するためのシリアライザを設ける必要がある。さらに、シリアル信号線のデータ出力端にシリアルデータをパラレル化するためのデシリアライザを設ける必要がある。そして、シリアル伝送方式で双方向伝送を実現するためには、シリアル信号線のデータ入出力端にシリアライザ及びデシリアライザを設ける必要がある。そのため、シリアル伝送方式で本体部分と表示部分との間のデータ伝送を行う情報処理装置には、シリアル信号線のデータ入出力端にシリアライザ/デシリアライザ(以下、SERDESと表記する場合がある。)が設けられる。
【0005】
一方、本体部分又は表示部分の内部にあるデバイス間は、例えば、複数のシリアルバスにより接続されている。そして、これら複数のシリアルバスを利用してデータやクロックが伝送される。シリアルバスによる接続方式としては、例えば、SPI(Serial Peripheral Interface)方式やIC(Inter−Integrated Circuit)方式等が知られている。これらの方式は、バスシステムの中でマスターデバイスとスレーブデバイスとを定義し、マスターデバイスが供給するクロックに同期してスレーブデバイスがデータを伝送するというモデルを採用している。これらの方式を用いると、デバイス間のデータ伝送を数本程度のシリアルバスにより実現できるため、筐体の小さい電子機器において広く利用されている。
【0006】
しかし、シリアライザ/デシリアライザを用いて本体部分と表示部分との間のシリアル伝送を行う情報処理装置においては、例えば、本体部分にあるマスターデバイスと表示部分にあるスレーブデバイスとの間でデータの送受信を行う際に遅延が生じてしまう。そのため、マスターデバイスが送信したデータに対してスレーブデバイスが応答する場合、遅延によりスレーブデバイスから送信される応答信号がクロックからずれてしまう。その結果、マスターデバイスはスレーブデバイスから応答信号を正しく受信することが困難になり、データの伝送が失敗してしまう。
【0007】
また、上記の例ではシリアライザ/デシリアライザが遅延の要因とされていたが、シリアライザ/デシリアライザ以外にも遅延の原因となりうる要素は存在する。そこで、伝送路においてクロックの同期が乱れる程度に遅延する要素が存在しても、その遅延による影響を受けずに応答信号がマスターデバイスに伝送されるようにする信号伝送方法が求められている。特に、既存のシリアルバスによる接続方式の枠組みを維持したまま、遅延要素となりうるデバイスに対して改良を加えることにより、遅延による影響を受けずに応答信号がマスターデバイスに伝送されるようにする技術が求められている。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、バスシステムに遅延要素が含まれていたとしても、その遅延要素を介して伝送される信号及びその応答信号を正しく伝送することが可能な、新規かつ改良された信号処理装置、及び信号伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1のバスに接続されたマスター機器から供給されるクロックと、当該クロックに同期して前記マスター機器から送信されるデータとを受信するマスター側受信部と、前記第1のバスとは異なる第2のバスに接続されたスレーブ機器に対し、前記マスター側受信部により受信されたクロック及びデータを送信するスレーブ側送信部と、前記スレーブ側送信部により送信されたクロックに同期して前記スレーブ機器から送信されたデータを受信してバッファに格納するスレーブ側受信部と、前記マスター側受信部によりクロック及びデータが受信されるタイミングで、当該クロックに同期して前記バッファに格納されているデータを前記マスター機器に送信するマスター側送信部と、を備える、信号処理装置が提供される。
【0010】
また、前記第2のバスには、複数の前記スレーブ機器が接続されており、前記バッファは、前記スレーブ機器毎に設けられており、前記スレーブ側受信部は、送信元の前記スレーブ機器に対応するバッファに対し、当該スレーブ機器から受信したデータを格納し、前記マスター側送信部は、前記マスター側受信部により受信されたデータの送信先となる前記スレーブ機器に対応するバッファに格納されているデータを前記マスター機器に送信するように構成されていてもよい。
【0011】
また、前記信号処理装置は、シリアル伝送路により接続された第1及び第2のモジュールにより形成されており、前記スレーブ側送信部は、前記マスター側受信部により受信されたクロック及びデータをシリアル化してシリアル信号を生成し、当該シリアル信号を前記シリアル伝送路を通じて送信する、前記第1のモジュールに設けられたシリアライザと、前記シリアル伝送路を通じて送信されたシリアル信号を受信して前記クロック及びデータを復元する、前記第2のモジュールに設けられたデシリアライザと、を含み、前記スレーブ側受信部は、前記スレーブ機器から送信されたデータをシリアル化してシリアル信号を生成し、当該シリアル信号を前記シリアル伝送路を通じて送信する、前記第2のモジュールに設けられたシリアライザと、前記シリアル伝送路を通じて送信されたシリアル信号を受信して前記データを復元する、前記第1のモジュールに設けられたデシリアライザと、を含むように構成されていてもよい。
【0012】
また、前記第1及び第2のバスは、SPI方式のシリアルバスであってもよい。
【0013】
また、前記マスター側送信部は、前記バッファにデータが格納されていない場合、所定のダミーデータを前記マスター機器に送信するように構成されていてもよい。
【0014】
また、前記第1のモジュールは、少なくとも表示データを出力する演算処理部をさらに有し、前記第2のモジュールは、入力された表示データを表示する表示部をさらに有し、前記第1のモジュールに設けられたシリアライザは、前記演算処理部から出力された表示データ及びクロックをシリアル化して送信し、前記第2のモジュールに設けられたデシリアライザは、前記シリアル伝送路を通じて送信されたシリアル信号を受信し、前記クロック及び表示データを復元して前記表示部に入力するように構成されていてもよい。
【0015】
また、前記信号処理装置は、無線伝送路により接続された第1及び第2のモジュールにより形成されており、前記スレーブ側送信部は、前記マスター側受信部により受信されたクロック及びデータを無線信号に変換し、前記無線伝送路を通じて送信する、前記第1のモジュールに設けられた無線送信部と、前記無線伝送路を通じて送信された無線信号を受信して前記クロック及びデータを復元する、前記第2のモジュールに設けられた無線受信部と、を含み、前記スレーブ側受信部は、前記スレーブ機器から送信されたデータを無線信号に変換し、前記無線伝送路を通じて送信する、前記第2のモジュールに設けられた無線送信部と、前記無線伝送路を通じて送信された無線信号を受信して前記データを復元する、前記第1のモジュールに設けられた無線受信部と、を含むように構成されていてもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1のバスに接続されたマスター機器から供給されるクロックと、当該クロックに同期して前記マスター機器から送信されるデータとを受信するマスター側受信ステップと、前記第1のバスとは異なる第2のバスに接続されたスレーブ機器に対し、前記マスター側受信ステップで受信されたクロック及びデータを送信するスレーブ側送信ステップと、前記スレーブ側送信ステップで送信されたクロックに同期して前記スレーブ機器から送信されたデータを受信してバッファに格納するスレーブ側受信ステップと、前記マスター側受信ステップでクロック及びデータが受信されるタイミングで、当該クロックに同期して前記バッファに格納されているデータを前記マスター機器に送信するマスター側送信ステップと、を含む、信号伝送方法が提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記の信号処理装置が備える機能を全て具備した情報処理装置、携帯電話、及び各種電子機器が提供されうる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、バスシステムに遅延要素が含まれていたとしても、その遅延要素を介して伝送される信号及びその応答信号を正しく伝送することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】携帯端末の構造の一例を示す説明図である。
【図2】SPI方式に係る携帯端末の構成例を示す説明図である。
【図3】SERDESを用いてヒンジ部の配線数を減らしたSPI方式に係る携帯端末の構成例を示す説明図である。
【図4】SERDESによる信号伝送方法を示す説明図である。
【図5】SPI方式のバスシステムにおいて伝送される信号の構成例を示す説明図である。
【図6】SERDESによる伝送遅延を説明するための説明図である。
【図7】SERDESによる伝送遅延を説明するための説明図である。
【図8】SERDESによる伝送遅延を説明するための説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る携帯端末の構成例を示す説明図である。
【図10】本実施形態に係る携帯端末が有するSERDESの構成例を示す説明図である。
【図11】本実施形態に係る信号伝送方法の一例を示す説明図である。
【図12】本実施形態に係る携帯端末の動作を示す説明図である。
【図13】本実施形態に係る携帯端末の動作を示す説明図である。
【図14】本実施形態の一変形例に係る携帯端末の構成例を示す説明図である。
【図15】本実施形態の一変形例に係るブリッジ機器の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
[説明の流れについて]
ここで、以下に記載する本発明の実施形態に関する説明の流れについて簡単に述べる。まず、図1を参照しながら、携帯端末の構造について説明する。次いで、図2を参照しながら、デバイス間をSPIバスにより接続した携帯端末の構成について説明する。次いで、図3、図4を参照しながら、ヒンジ部の配線を通る信号をシリアル化して伝送する機構を採用した携帯端末の構成について説明する。次いで、図5〜図8を参照しながら、SERDESによる伝送遅延について説明する。
【0022】
次いで、図9、図10を参照しながら、本実施形態に係る携帯端末100の構成について説明する。次いで、図11〜図13を参照しながら、本実施形態に係る信号伝送方法について説明する。次いで、図14を参照しながら、本実施形態の一変形例(第1変形例)に係る携帯端末100の構成について説明する。次いで、図15を参照しながら、本実施形態の一変形例(第2変形例)に係るブリッジ機器200の構成について説明する。最後に、本実施形態の技術的思想について纏め、当該技術的思想から得られる作用効果について簡単に説明する。
【0023】
(説明項目)
1:一般的な携帯端末の構成
1−1:パラレル伝送方式について
1−2:シリアル伝送方式について
1−3:SERDESによる遅延について
2:実施形態
2−1:携帯端末の構成
2−1−1:全体構成
2−1−2:SERDESの機能構成
2−2:信号伝送方法
2−3:(第1変形例)複数スレーブデバイスへの対応
2−4:(第2変形例)ブリッジ機器への応用
3:まとめ
【0024】
<1:一般的な携帯端末の構成>
まず、本発明の実施形態について説明するに先立ち、図1〜図8を参照しながら、一般的な携帯端末の構成、及び一般的な携帯端末が抱える課題について説明する。ここでは説明の都合上、一般的な携帯端末の一例として折り畳み式の携帯電話を想定する。
【0025】
まず、図1を参照する。図1には、一般的な携帯端末の外形が示されている。図1に示すように、携帯端末は、表示部と、ヒンジ部と、操作部とにより構成されている。表示部には、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electro Luminescence Display)等が搭載されている。以下では、表示部にLCDが搭載されるものとして説明する。また、表示部は、ヒンジ部を介して操作部に接続されている。ヒンジ部は、可動部材により構成されている。そのため、ユーザは、ヒンジ部の可動範囲内で表示部と操作部の相対位置を変更することができる。
【0026】
また、操作部には、例えば、操作キーが搭載されている。さらに、操作部の内部には、CPU(Central Processing Unit)やバッテリーが搭載されている。そして、CPUから出力される一部のデータは、操作部から表示部に伝送される。例えば、表示データは、操作部から表示部に伝送され、表示部に搭載されたLCDに入力される。また、バッテリーから出力される電流は、表示部の電源として操作部から表示部に供給される。このように、操作部から表示部へはデータや電源が伝送される。
【0027】
また、表示部には、多くの場合、カメラ、センサ、スイッチ、RFアンテナ等、様々なデバイスが搭載されている。そのため、表示部から操作部へも様々なデータが伝送される。これらのデータを伝送するため、ヒンジ部には、複数の信号線が配線される。しかし、ヒンジ部に多くの信号線が配線されると、ヒンジ部の変形に伴って配線が捻れたり、引っ張られたりするため、配線が断線してしまう恐れがある。逆に、配線の断線を避けるためにヒンジ部の可動範囲を抑制すると、表示部と操作部との位置関係を自由に変化させることが難しくなり、ユーザの利便性が低下してしまう。
【0028】
[1−1:パラレル伝送方式について]
上記の通り、多くの携帯端末には、図2に示すように、操作部側にも表示部側にも多くのデバイスが搭載されている。そして、これらのデバイスの間は、複数本のシリアルバスにより接続されている。シリアルバスによる接続方式としては、例えば、SPI方式やIC方式等が知られている。ここではSPI方式を例に挙げて説明する。図2に示すように、SPI方式の場合、4本のシリアルバス(以下、SPIバス)を用いてデバイス間でデータのやり取りが行われる。
【0029】
4本のSPIバスは、SCK(Serial Clock)、SS(Slave Select)、MOSI(Master Out Slave In)、MISO(Master In Slave Out)と呼ばれる4つの信号を伝送するために用いられる。SPIバスにより構成されるバスシステムでは、各デバイスにマスター(Master)又はスレーブ(Slave)の属性が割り当てられている。例えば、CPUはマスターデバイス、操作キー(KEY)、赤外線通信デバイス(IrDA)、カメラ、LCDはスレーブデバイスとして扱われる。このように、1つのSPIバスには、1つのマスターデバイスと、1つ以上のスレーブデバイスとが接続される。
【0030】
SCKは、SPIバスによりデータを伝送するためのクロックであり、マスターデバイスから供給される。また、SSは、マスターデバイスが通信対象のスレーブデバイスを選択するためのデータであり、マスターデバイスから送信される。MOSIは、マスターデバイスから送信され、スレーブデバイスにより受信されるデータである。逆に、MISOは、スレーブデバイスから送信され、マスターデバイスにより受信されるデータである。MOSI、MISOは、SCKに同期して送受信される。
【0031】
また、SSを伝送するためのSPIバスは、マスターデバイスから個々のスレーブデバイスに独立して配線される。従って、1つのSPIバスに複数のスレーブデバイスが接続されている場合、マスターデバイスには、スレーブデバイスの数だけSS用のSPIバスが接続される。データを送受信する際には、マスターデバイスから1つのSS用のSPIバスがアクティブな状態に遷移され、アクティブなSS用バスに接続されたスレーブデバイスだけがデータを送受信できるようになる。つまり、マスターデバイスは、SS用のSPIバスをアクティブにすることにより、通信対象のスレーブデバイスを選択することができる。
【0032】
このように、SPI方式においては、少なくとも4本のSPIバスがデータの送受信に必要とされる。さらに、スレーブデバイスの数に応じてSS用のSPIバスが増える。そのため、各SPIバスにおいてデータをシリアル伝送していても、実際には複数本のSPIバスによりパラレルにデータが伝送されている。
【0033】
このようにパラレルにSPIバスが配線されていると、図2のように操作部内のマスターデバイスと表示部内のスレーブデバイスとの間でデータの送受信を実現しようとする場合に、ヒンジ部に多数の信号線が配線されることとなってしまう。先に述べた通り、ヒンジ部に多数の信号線を配線すると、ヒンジ部の変形に伴って信号線が断線してしまう危険性がある。そのため、ヒンジ部の配線数を極力低減させる工夫が必要になる。このような問題に対する一つの解決策は、ヒンジ部を通る複数の信号(例えば、SCK、SS、MOSI、MISO等)をシリアル化することである。
【0034】
[1−2:シリアル伝送方式について]
ヒンジ部を通る信号をシリアル化するには、図3に示すように、操作部及び表示部の双方にシリアライザ/デシリアライザ(SERDES(#1)、SERDES(#2))を設ける必要がある。図3のように、シリアライザ/デシリアライザを設け、伝送信号をシリアル化して多重することにより、ヒンジ部を通る信号線を大幅に低減させることができる。例えば、伝送信号をDCフリーの符号に符号化し、シリアル化して多重すると共に電源を重畳して伝送することにより、ヒンジ部の配線を1〜2本程度の同軸ケーブルに纏めることが可能になる。
【0035】
(SERDESの動作)
ここで、図4を参照しながら、シリアライザ/デシリアライザの動作について説明する。なお、操作部側のシリアライザ/デシリアライザをSERDES(#1)と表記し、表示部側のシリアライザ/デシリアライザをSERDES(#2)と表記している。図4に示すように、シリアライザ/デシリアライザは、いずれもシリアライザ(SER)と、デシリアライザ(DES)とにより構成される。なお、以下の説明においては、操作部側にマスターデバイスが位置し、表示部側にスレーブデバイスが位置するものとする。
【0036】
まず、マスターデバイスからSCK、SS、MOSIが入力されると、SERDES(#1)は、シリアライザにより、入力されたSCK、SS、MOSIをシリアル化して多重し、シリアル伝送信号を生成する。なお、SERDES(#1)、SERDES(#2)には、シリアル化用にマスターデバイスからMCKが入力されているものとする。SERDES(#1)により生成されたシリアル伝送信号は、同軸ケーブルを通じてSERDES(#2)に伝送される。シリアル伝送信号を受信すると、SERDES(#2)は、デシリアライザにより、シリアル伝送信号をパラレル化してSCK、SS、MOSIを分離し、スレーブデバイスに向けて送信する。
【0037】
逆に、表示部側のスレーブデバイスからMISOを伝送する場合には、スレーブデバイスからMISOがSERDES(#2)に入力される。SERDES(#2)に入力されたMISOは、シリアライザによりMCKに同期するようにシリアル化され、同軸ケーブルを通じてSERDES(#1)に伝送される。SERDES(#1)では、受信したMISOのシリアル信号をMCKに同期してサンプリングし、SCKに同期してマスターデバイス向けに出力する。このように、シリアライザ/デシリアライザを設けることで、ヒンジ部を通る信号がシリアル化され、ヒンジ部の配線数を低減することができる。
【0038】
[1−3:SERDESによる遅延について]
しかしながら、SERDES(#1)、SERDES(#2)の内部で行われる処理により遅延が発生してしまい、スレーブデバイスに到達するMOSIは、SERDES(#1)に入力されたSCKと同期していない。但し、SERDES(#2)には、MOSIと共にSCKも伝送されており、スレーブデバイスは、SERDES(#2)から出力されるSCKに同期してMOSIを正しく受信することができる。
【0039】
しかし、MOSIに応じてスレーブデバイスから出力されたMISOがSERDES(#2)を経由してSERDES(#1)から出力される際には遅延が増幅しており、マスターデバイスから供給されるSCKの同期タイミングから大きく外れてしまう。その結果、マスターデバイスは、SERDES(#2)、SERDES(#1)を経由してスレーブデバイスから伝送されたMISOを正しく受信することが難しくなる。
【0040】
例えば、図5に示すMOSI、MISOのやり取りについて考えてみよう。シリアライザ/デシリアライザを経由せず、操作部内のデバイス同士でMOSI、MISOを伝送する場合には、図5の通り、SCKに同期したタイミングでMOSI、MISOの送受信が行われる。しかし、シリアライザ/デシリアライザを経由して操作部側から表示部側へと伝送されたSS、SCK、MOSIには、図6に示すように遅延が生じる。但し、SERDES(#2)からの出力をSS’、SCK’、MOSI’と表記した。
【0041】
シリアライザ/デシリアライザによる遅延は、例えば、SERDES(#1)においてMCKに同期してSS、SCK、MOSIをサンプリングする際のサンプリングタイミングにより生じる。また、SERDES(#1)、SERDES(#2)の内部で行われる処理(例えば、シリアル化、パラレル化、符号化等)により遅延が生じる。但し、SS’、SCK’、MOSI’は、それぞれ同程度に遅延しており、スレーブデバイスがSCK’に同期してMOSI’を受信する分には正しく受信を行うことができる。
【0042】
しかし、スレーブデバイスがSCK’に同期してMOSIを送信すると、MISOは、SERDES(#2)により受信された時点で既にSCKから遅延したものとなる。さらに、SERDES(#2)により受信されたMISOは、図7に示すように、SERDES(#2)、SERDES(#1)による遅延の影響を受けて伝送され、MISO’となる。その結果、SERDES(#1)から出力されるMISO’は、図8に示すように、SCKから大きく遅延したものとなる。
【0043】
このように大きな遅延が発生してしまうと、マスターデバイスにおいてMISOを正しく受信することが難しくなる。例えば、図8の例においてSCKの立ち上がりエッジに同期してMISO’をサンプリングした場合には、正しくMISO’を受信することができない。このような理由から、シリアライザ/デシリアライザを経由することにより遅延が生じたとしてもマスターデバイスでMISOを正しく受信できるようにする必要がある。
【0044】
このような課題に対し、例えば、MCKを十分に高速化し、SCKを十分に低速化することにより、サンプリングタイミングにより生じる遅延を小さくことが可能になる。しかし、MCKを高速化すると消費電力が大幅に増大してしまう。また、ヒンジ部を通過する信号の周波数が高まるため、通信電波への電磁干渉(EMI)が問題となる。さらに、SCKを低速化するとSPIバスの伝送速度が低下し、パフォーマンスが大幅に低下してしまう。また、マスターデバイスがシリアライザ/デシリアライザによる遅延を考慮してMISOを受信するようにタイミング調整を行う方法も考えられるが、遅延の原因がサンプリングタイミングや処理時間、SERDES(#1)とSERDES(#2)との間の距離にあるため、十分な精度でタイミング調整を行うことは現実的に困難である。
【0045】
以下、このような課題を解決するための具体的な手段について説明する。
【0046】
<2:実施形態>
本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、シリアライザ/デシリアライザにより遅延が発生したとしても、マスターデバイスにおいて正しくMISOを受信できるようにする信号伝送方法を提案するものである。なお、当該信号伝送方法は、SPI方式やIC方式等、既存のバスシステムの枠組みを変更せずに上記の課題を解決するものである。ここでは、説明の都合上、SPI方式のバスシステムを前提に説明するが、本実施形態に係る技術の適用範囲はこれに限定されるものではない。
【0047】
[2−1:携帯端末の構成]
以下、本実施形態に係る携帯端末100の構成について説明する。
【0048】
(2−1−1:全体構成)
まず、図9を参照しながら、本実施形態に係る携帯端末100の全体的な構成について説明する。図9は、本実施形態に係る携帯端末100の全体的な構成例を示す説明図である。なお、図9には、折り畳み式の携帯電話を模した携帯端末100の外形が記載されているが、本実施形態に係る技術の適用範囲は、折り畳み式の携帯電話に限定されるものではない。例えば、ノートPC、携帯型ゲーム機、携帯情報端末等、任意の電子機器に対して適用することが可能である。
【0049】
図9に示すように、携帯端末100は、表示部102と、ヒンジ部104と、操作部106とにより構成される。表示部102と操作部106とは、ヒンジ部104により接続されている。また、ヒンジ部104は可動部材で形成されており、ヒンジ部104の可動範囲内において表示部102と操作部106との位置関係を変更することができる。さらに、ヒンジ部104には同軸ケーブルが配線されており、表示部102と操作部106とが電気的に接続されている。
【0050】
また、表示部102には、シリアライザ/デシリアライザ150(SERDES(#2))と、スレーブデバイス152(SPI Slave(3)、SPI Slave(3))とが搭載されている。そして、操作部106には、シリアライザ/デシリアライザ120(SERDES(#1))と、マスターデバイス122(SPI Master)と、スレーブデバイス124(SPI Slave(1)、SPI Slave(2))とが搭載されている。
【0051】
マスターデバイス122としては、例えば、CPUやベースバンドプロセッサが用いられる。ベースバンドプロセッサは、通信制御やアプリケーションの実行等を行うデバイスである。また、スレーブデバイス124、152としては、例えば、操作キー、赤外線通信デバイス、カメラデバイス、ディスプレイデバイス等が用いられる。
【0052】
(マスターデバイス122−スレーブデバイス124)
ここで、マスターデバイス122とスレーブデバイス124との間でデータのやり取りが行われる際の動作について説明する。
【0053】
まず、マスターデバイス122により、SSを用いてスレーブデバイス124が選択される。マスターデバイス122からスレーブデバイス124へとデータを伝送する場合、選択されたスレーブデバイス124に向けてSCK、MOSIが送信される。一方、スレーブデバイス124からマスターデバイス122へとデータを伝送する場合、選択されたスレーブデバイス124からマスターデバイス122に向けてMISOが送信される。このとき、スレーブデバイス124には、マスターデバイス122からSCKが供給されており、SCKに同期してデータが送信される。
【0054】
スレーブデバイス124は、マスターデバイス122と同じ操作部106に設けられており、直接SPIバス110に接続されている。そのため、シリアライザ/デシリアライザ120、150をSCK、MISOが通ることはない。従って、このケースにおいて、SCK、MISOは、シリアライザ/デシリアライザ120、150により生じる遅延とは無関係である。従って、図5に示すように、MISO、MOSI共にSCKに同期して伝送される。
【0055】
その結果、マスターデバイス122は、SCKに同期して正しくMISOを受信することができる。また、スレーブデバイス124は、SCKに同期して正しくMOSIを受信することができる。従って、マスターデバイス122と同じ操作部106に設けられたスレーブデバイス124に対するデータの送受信については、シリアライザ/デシリアライザ120、150による遅延への対策を講じる必要はない。
【0056】
(マスターデバイス122−スレーブデバイス152)
次に、マスターデバイス122とスレーブデバイス152との間でデータのやり取りが行われる際の動作について説明する。
【0057】
まず、マスターデバイス122により、SSを用いてスレーブデバイス152が選択される。但し、スレーブデバイス152は表示部102に設けられているため、SSはシリアライザ/デシリアライザ120に伝送される。さらに、シリアライザ/デシリアライザ120には、SCK、MOSIが伝送される。そして、シリアライザ/デシリアライザ120は、SS、SCK、MOSIをシリアル化して多重し、シリアル信号を生成する。そして、生成されたシリアル信号は、シリアライザ/デシリアライザ150に伝送される。
【0058】
このとき、シリアライザ/デシリアライザ120によるサンプリングタイミングや各種処理等により遅延が発生する。シリアル信号を受信すると、シリアライザ/デシリアライザ150は、受信したシリアル信号からSS、SCK、MOSIを分離する。但し、シリアライザ/デシリアライザ120、150の各種処理によりSS、SCK、MOSIに遅延が生じているため、実際には遅延を含むSS’、SCK’、MOSI’が得られる。そして、得られたSS’、SCK’、MOSI’は、SPIバス108を通じてスレーブデバイス152に伝送される。
【0059】
また、スレーブデバイス152からマスターデバイス122へとMISOを伝送する場合、スレーブデバイス152は、シリアライザ/デシリアライザ120、150を通じて伝送される遅延したSCK’に同期してMISOを送信する。そのため、スレーブデバイス152から送信される時点でMISOは、SCKから遅延している。MISOは、シリアライザ/デシリアライザ150によりシリアル化されてシリアライザ/デシリアライザ120に伝送される。そのため、シリアライザ/デシリアライザ150によるサンプリングタイミングや各種処理等によりMISOの遅延が増幅してしまう。
【0060】
また、シリアライザ/デシリアライザ120によりパラレル化される際にも遅延が発生し、シリアライザ/デシリアライザ120から出力されるMISOは、シリアライザ/デシリアライザ120、150による遅延を含むMISO’となる。ここで、MISO’をそのままマスターデバイス122に伝送すると、マスターデバイス122においてMISO’を正しく受信することが難しい。そこで、本実施形態に係るシリアライザ/デシリアライザ120は、MISO’をバッファリングし、マスターデバイス122から供給されているSCKに同期して伝送する。
【0061】
このように、MISO’をバッファリングしてSCKに同期伝送することにより、マスターデバイス122によりMISO’を正しく受信することが可能になる。以下、シリアライザ/デシリアライザ120、150の機能構成について詳細に説明し、さらに本実施形態に係る信号伝送方法(バッファリング方法)について述べる。
【0062】
(2−1−2:SERDESの機能構成)
図10を参照しながら、本実施形態に係るシリアライザ/デシリアライザ120、150の機能構成について説明する。図10は、本実施形態に係るシリアライザ/デシリアライザ120、150の機能構成例を示す説明図である。上記の通り、本実施形態に係る信号伝送方法は、シリアライザ/デシリアライザ120、150を通じて伝送されるMISOをバッファリングすることにより、遅延を含むMISO’をマスターデバイス122から供給されるSCKに同期させるというものである。
【0063】
(シリアライザ/デシリアライザ120の構成)
図10に示すように、シリアライザ/デシリアライザ120は、SPIインターフェース130と、SPIスレーブ機能提供部132と、送信部134と、PHYレイヤ機能提供部136と、受信部138と、バッファ140とを有する。なお、シリアライザ/デシリアライザ120には、マスターデバイス122からシリアル伝送用のクロックMCKが供給されているものとする。
【0064】
(シリアライザ/デシリアライザ150の構成)
また、シリアライザ/デシリアライザ150は、PHYレイヤ機能提供部160と、受信部162と、SPIマスタ機能提供部164と、SPIインターフェース166と、送信部168とを有する。なお、シリアライザ/デシリアライザ150には、マスターデバイス122からシリアル伝送用のクロックMCKが供給されているものとする。
【0065】
(動作)
以下、シリアライザ/デシリアライザ120、150の動作について説明する。シリアライザ/デシリアライザ120には、マスターデバイス122からSPIインターフェース130を通じてSCK、SS、MOSIが入力される。そして、SPIインターフェース130を通じて入力されたSCK、SS、MOSIは、SPIスレーブ機能提供部132に入力される。SSがアクティブになると、SCK、MOSIがマスターデバイス122から送信される。SCK、MOSIが送信されると、SPIスレーブ機能提供部132は、SCKに同期してMOSIを受信する。
【0066】
また、バッファ140に格納されたMISOが存在する場合、SPIスレーブ機能提供部132は、バッファ140からMISOを読み出し、SPIインターフェース130を通じてマスターデバイス122に伝送する。このとき、SPIスレーブ機能提供部132は、SCKに同期してMISOを伝送する。なお、バッファ140に格納されたMISOが存在しない場合、SPIスレーブ機能提供部132は、予め決められたダミーデータをMISOの代わりにマスターデバイス122へと伝送するように構成されていてもよい。
【0067】
さて、SPIスレーブ機能提供部132により受信されたMOSIは、SCK、SSと共に送信部134に入力される。SCK、SS、MOSIが入力されると、送信部134は、PHYレイヤ機能提供部136を通じてシリアライザ/デシリアライザ150にSCK、SS、MOSIを伝送する。このとき、SCK、SS、MOSIは、シリアル化され、多重されてシリアライザ/デシリアライザ150に伝送される。
【0068】
なお、シリアル化により生成されたシリアル信号は符号化された形で伝送されてもよい。例えば、シリアル信号をDCフリーの符号に符号化し、DC電源に重畳して伝送することにより、シリアライザ/デシリアライザ120、150間の配線数を減らすことができる。また、シリアル化の際、MCKに同期してSCK、SS、MOSIがサンプリングされるため、そのサンプリングタイミングによりSCK、SS、MOSIに遅延が生じる。さらに、シリアライザ/デシリアライザ120における各種処理により遅延が生じる。
【0069】
シリアライザ/デシリアライザ150に伝送されたシリアル信号は、PHYレイヤ機能提供部160を通じて受信部162により受信される。このとき、シリアル信号は、SCK、SS、MOSIに分離されて受信部162に入力される。但し、シリアライザ/デシリアライザ120、150の処理によりSCK、SS、MOSIに遅延が発生しているため、受信部162に入力される信号は、遅延を含むSCK’、SS’、MOSI’となる。受信部162により受信されたSCK’、SS’、MOSI’は、SPIマスタ機能提供部164に入力される。
【0070】
SCK’、SS’、MOSI’が入力されると、SPIマスタ機能提供部164は、SS’をアクティブにし、SPIインターフェース166を通じてスレーブデバイス152へとSCK’、MOSI’を送信する。このとき、SPIマスタ機能提供部164は、SCK’に同期してMOSI’を送信する。そして、スレーブデバイス152は、SPIマスタ機能提供部164から供給されるSCK’に同期してMOSI’を受信する。このとき、SCK’とMOSI’とは同じだけ遅延しているため、スレーブデバイス152においては、SCK’に同期してMOSI’を正しく受信することができる。
【0071】
また、スレーブデバイス152は、SCK’に同期してMISOを送信する。スレーブデバイス152から送信されたMISOは、SPIインターフェース166を通じてSPIマスタ機能提供部164により受信される。このとき、SPIマスタ機能提供部164は、SCK’に同期してMISOを受信する。そして、SPIマスタ機能提供部164により受信されたMISOは、送信部168に入力される。送信部168は、PHYレイヤ機能提供部160を通じてシリアライザ/デシリアライザ120にMISOを伝送する。このとき、MISOは、シリアル化されて伝送される。
【0072】
シリアライザ/デシリアライザ150から伝送されたMISOは、PHYレイヤ機能提供部136を通じて受信部138により受信される。但し、受信部138には、SCK’への同期による遅延及びシリアル伝送に伴う遅延の影響を受け、遅延を含むMISO’が入力される。そこで、受信部138は、MISO’をSPIスレーブ機能提供部132に直接入力せず、バッファ140に格納する。上記の通り、バッファ140に格納されたMISO’は、SPIスレーブ機能提供部132により読み出され、SCKに同期してマスターデバイス122に送信される。そのため、マスターデバイス122は、SCKに同期してMISO’を正しく受信することができる。
【0073】
以上、本実施形態に係るシリアライザ/デシリアライザ120、150の構成について説明した。上記の通り、スレーブデバイス152から送信されたMISOを操作部106に位置するシリアライザ/デシリアライザ120においてバッファリングし、SCKに同期して送信することにより、MISOの受信不良を回避することが可能になる。なお、SPI方式の枠組みに本実施形態の構成を適用する場合、SPIスレーブ機能提供部132は、マスターデバイス122からアクセスがあったタイミングでバッファ140に格納されていたMISOをSCKに同期して出力する。
【0074】
[2−2:信号伝送方法]
ここで、図11〜図13を参照しながら、本実施形態に係る信号伝送方法について説明する。図11は、シリアライザ/デシリアライザ120(操作部側)とシリアライザ/デシリアライザ150(表示部側)との間で伝送される信号の伝送タイミングを示す説明図である。図12は、シリアライザ/デシリアライザ120(操作部側SERDES)により実行される処理の流れを示す説明図である。図13は、シリアライザ/デシリアライザ150(表示部側SERDES)により実行される処理の流れを示す説明図である。
【0075】
(送信タイミング)
まず、図11を参照する。図11の例では、マスターデバイス122からMOSI(A、B、C、D)が送信され、スレーブデバイス152からMISO(W、X、Y、Z)が送信される処理の流れが想定されている。また、マスターデバイス122がMOSIを送信する時点で、バッファ140にMISO(P、Q、R、S)が格納されているものとする。なお、マスターデバイス122がMOSI(A、B、C、D)を送信する以前に、スレーブデバイス152からMISOが送信されていない場合、MISO(P、Q、R、S)としてはダミーデータが用いられる。
【0076】
まず、操作部側では、マスターデバイス122によりスレーブデバイス152向けにSSがアクティブにされ、SCK、MOSIの送信が開始される。このとき、MOSIは、SCKに同期して送信される。そして、シリアライザ/デシリアライザ120では、SCKに同期してMOSIが受信され、SS、SCKと共にシリアライザ/デシリアライザ150にシリアル伝送される。また、シリアライザ/デシリアライザ120は、バッファ140に格納されているMISO(P、Q、R、S)をマスターデバイス122に送信する。このとき、MISO(P、Q、R、S)は、SCKに同期して送信される。
【0077】
シリアライザ/デシリアライザ150にシリアル伝送されたSS、SCK、MOSIは、遅延によりSS’、SCK’、MOSI’となる。そして、シリアライザ/デシリアライザ150によりSS’がアクティブにされ、スレーブデバイス152に向けてSCK’、MOSI’が送信される。このとき、MOSI’は、SCK’に同期して送信される。
【0078】
また、スレーブデバイス152は、SCK’に同期してMISO(W、X、Y、Z)を送信する。スレーブデバイス152により送信されたMISO(W、X、Y、Z)は、シリアライザ/デシリアライザ150により受信され、シリアライザ/デシリアライザ120にシリアル伝送される。そして、シリアライザ/デシリアライザ120にシリアル伝送されたMISO(W、X、Y、Z)は、バッファ140に格納される。そして、バッファ140に格納されたMISO(W、X、Y、Z)は、次にマスターデバイス122からMOSIが送信されたタイミングで送信される。
【0079】
(操作部側SERDESの処理フロー)
次に、図12を参照する。図12に示すように、まず、シリアライザ/デシリアライザ120は、スレーブデバイス152向けのSS(SSx)がアクティブか否かを判断する(S102)。SSxがアクティブな場合、シリアライザ/デシリアライザ120は、ステップS104の処理に進行する。一方、SSxがアクティブでない場合、シリアライザ/デシリアライザ120は、再びステップS102の処理を繰り返す。
【0080】
ステップS104の処理に進行した場合、シリアライザ/デシリアライザ120は、マスターデバイス122からSCKに同期してMOSIを受信すると共に、マスターデバイス122へとSCKに同期してMISOを送信する(S104)。次いで、シリアライザ/デシリアライザ120は、SSxがアクティブか否かを判断する(S106)。SSxがアクティブな場合、シリアライザ/デシリアライザ120は、再びステップS104に進行する。一方、SSxがアクティブでない場合、シリアライザ/デシリアライザ120は、ステップS108の処理に進行する。
【0081】
ステップS108の処理に進行した場合、シリアライザ/デシリアライザ120は、マスターデバイス122から受信したMISOをシリアライザ/デシリアライザ150へとシリアル伝送する(S108)。次いで、シリアライザ/デシリアライザ120は、スレーブデバイス152から送信され、シリアライザ/デシリアライザ150によりシリアル伝送されたMISO(MISO’)を受信したか否かを判断する(S110)。MISO’を受信した場合、シリアライザ/デシリアライザ120は、ステップS112の処理に進行する。一方、MISO’を受信していない場合、シリアライザ/デシリアライザ120は、再びステップS110の処理を繰り返す。
【0082】
ステップS112の処理に進行した場合、シリアライザ/デシリアライザ120は、シリアライザ/デシリアライザ150からシリアル伝送されたMISO’をバッファ140に格納する(S112)。そして、シリアライザ/デシリアライザ120は、再びステップS102の処理に進行し、一連の処理を繰り返す。
【0083】
なお、図12の例では、毎回4ビットのデータを伝送しているが、実際には任意のビット数のデータが伝送される。そのため、マスターデバイス122からMOSIが送信される際に要求されるMISOのデータ量とバッファ140に格納されているデータ量とが異なることがある。その場合、SPIスレーブ機能提供部132は、適宜MISOのデータ量を調整する。
【0084】
例えば、マスターデバイス122から要求されるデータ量がバッファ140に格納されたMISOのデータ量よりも多い場合、SPIスレーブ機能提供部132は、データ量が足りない分だけ所定の値(例えば、“0”)を付加して送信する。一方、マスターデバイス122から要求されるデータ量がバッファ140に格納されたMISOのデータ量よりも少ない場合、SPIスレーブ機能提供部132は、データ量が余る分だけ残ったデータを破棄する。このような構成にすることで、データ量の過不足を調整することができる。
【0085】
(表示部側SERDESの処理フロー)
次に、図13を参照する。図13に示すように、まず、シリアライザ/デシリアライザ150は、シリアライザ/デシリアライザ120からMOSIを受信したか否かを判断する(S202)。MOSIを受信した場合、シリアライザ/デシリアライザ150は、ステップS204の処理に進行する。一方、MOSIを受信していない場合、シリアライザ/デシリアライザ150は、再びステップS202の処理を繰り返す。
【0086】
ステップS204の処理に進行した場合、シリアライザ/デシリアライザ150は、シリアライザ/デシリアライザ120からシリアル伝送されたMOSIをスレーブデバイス152へと送信すると共に、スレーブデバイス152からMISOを受信する(S204)。次いで、シリアライザ/デシリアライザ150は、シリアライザ/デシリアライザ120からシリアル伝送された全てのMOSIをスレーブデバイス152に伝送し、全てのスレーブデバイス152からMISOを受信したか否かを判断する(S206)。
【0087】
全データの処理が完了した場合、シリアライザ/デシリアライザ150は、ステップS208の処理に進行する。一方、全データの処理が完了していない場合、シリアライザ/デシリアライザ150は、再びステップS204の処理に進行する。ステップS208の処理に進行した場合、シリアライザ/デシリアライザ150は、スレーブデバイス152から受信したMISOをシリアライザ/デシリアライザ120へとシリアル伝送する(S208)。そして、シリアライザ/デシリアライザ150は、再びステップS202の処理に進行し、一連の処理を繰り返す。
【0088】
以上、本実施形態に係る信号伝送方法について説明した。上記のように、シリアライザ/デシリアライザ120、150による遅延を受けたMISOをバッファリングし、SCKに同期して送信することにより、遅延によるMISOの受信不良を回避することが可能になる。
【0089】
[2−3:(第1変形例)複数スレーブデバイスへの対応]
次に、図14を参照しながら、本実施形態の一変形例(第1変形例)に係るシリアライザ/デシリアライザ120、150の機能構成について説明する。図14は、表示部102に複数のスレーブデバイス152を設けるために、シリアライザ/デシリアライザ120、150の構成を拡張した変形例を示す説明図である。なお、以下の説明において、図10に示したシリアライザ/デシリアライザ120、150と実質的に同一の機能を有する構成要素については詳細な説明を省略する。
【0090】
図14に示すように、本変形例に係るシリアライザ/デシリアライザ120、150には、表示部102に設けられたスレーブデバイス152の数(例えば、3)だけSS用のSPIバス108、110(例えば、SS1〜3)が接続されている。また、SPI方式の場合、SSがアクティブにされたスレーブデバイス152だけがMISO、MOSIの送受信を行うことができる。そのため、複数のスレーブデバイス152を想定する場合には、バッファ140に格納されたMISOの送信タイミングに注意する必要がある。
【0091】
例えば、SS1がアクティブな状態で受信したMISOをマスターデバイス122に送信するタイミングは、マスターデバイス122によりSS1がアクティブな状態にされたタイミングになる。そのため、シリアライザ/デシリアライザ120は、各SSがアクティブな状態で受信したMISOを区別してバッファ140に格納しておくことが必要になる。そこで、本変形例に係るシリアライザ/デシリアライザ120には、各SSに対応する複数のバッファ140が設けられている。そして、受信部138は、MISOの受信時にアクティブな状態にあるSSを判別し、そのSSに対応するバッファ140にMISOを格納する。
【0092】
一方、SPIスレーブ機能提供部132は、マスターデバイス122からMOSIを受信し、マスターデバイス122にMISOを送信する際、アクティブな状態のSSに対応するバッファ140からMISOを読み出してマスターデバイス122に送信する。このような構成にすることにより、マスターデバイス122がアクティブにしたSSのスレーブデバイス152から、正しくMISOをマスターデバイス122に伝送することが可能になる。以上説明したように、本変形例を適用することにより、複数のスレーブデバイス152が表示部102に設けられていても、SPI方式の枠組みを何ら変更することなく、本実施形態の技術を適用することが可能になる。
【0093】
[2−4:(第2変形例)ブリッジ機器への応用]
次に、図15を参照しながら、本実施形態の一変形例(第2変形例)に係るブリッジ機器200の機能構成について説明する。これまではシリアライザ/デシリアライザ120、150を搭載した携帯端末100を想定して説明してきた。しかし、バスシステムにおいて伝送遅延が発生する要因は、必ずしも信号のシリアル伝送に伴う処理に限らない。例えば、マスターデバイスとスレーブデバイスとの間で電圧変換する場合や、マスターデバイスとスレーブデバイスとの間の物理的距離(例えば、配線距離)が長い場合等、信号の伝送過程において伝送遅延が発生することがある。本変形例は、このような場合に利用されるブリッジ機器200への応用に関するものである。
【0094】
図15に示すように、ブリッジ機器200は、主に、SPIインターフェース202と、SPIスレーブ機能提供部204と、バッファ206と、SPIマスタ機能提供部208と、SPIインターフェース210とにより構成される。但し、SPIインターフェース202の側にマスターデバイスが位置し、SPIインターフェース210の側にスレーブデバイスが位置するものと仮定する。また、ブリッジ機器200とスレーブデバイスとの間の伝送過程において伝送遅延が発生するものと仮定する。
【0095】
まず、マスターデバイスによりSSがアクティブな状態にされる。次いで、マスターデバイスからSCKが供給されると共に、SCKに同期してMOSIが送信される。マスターデバイスから送信されたSS、SCK、MOSIは、SPIインターフェース202を通じてSPIスレーブ機能提供部204に入力される。SS、SCK、MOSIが入力されると、SPIスレーブ機能提供部204は、バッファ206からMISO又はダミーデータを読み出し、SPIインターフェース202を通じてMISO又はダミーデータをマスターデバイスへと送信する。
【0096】
SPIスレーブ機能提供部204に入力されたSS、SCK、MOSIは、SPIマスタ機能提供部208に入力され、SPIインターフェース210を通じてスレーブデバイスに送信される。このとき、MOSIは、SCKに同期して送信される。また、SCKに同期してスレーブデバイスから送信されたMISOは、SPIインターフェース210を通じてSPIマスタ機能提供部208に入力される。MISOが入力されると、SPIマスタ機能提供部208は、入力されたMISOをバッファ206に格納する。そして、バッファ206に格納されたMISOは、次にマスターデバイスからアクセスを受けた場合にSPIスレーブ機能提供部204により送信される。
【0097】
以上、ブリッジ機器200の機能構成について説明した。上記の通り、ブリッジ機器200の場合も、スレーブデバイスから受信した遅延を含むMISOをバッファリングすることにより、スレーブデバイスとブリッジ機器200との間の伝送遅延を吸収することが可能になる。その結果、SCKに同期してマスターデバイス向けにMISOが送信されるため、マスターデバイスにてMISOを正しく受信することが可能になる。なお、スレーブデバイスが複数存在する場合への拡張は、図14と同様であるため、説明を省略する。
【0098】
以上、本実施形態に係る信号伝送方法、及びその変形例について説明した。当該信号伝送方法を用いることにより、マスターデバイスは、受信したいデータ長のアクセスを少なくとも2回行うことにより所望のデータを正しく受信することができるようになる。また、当該変形例を適用することにより、複数のスレーブデバイスが存在するバスシステムの構成に対しても容易に本実施形態の信号伝送方法を拡張することが可能になる。また、シリアル伝送用のクロックMCKを高速化したり、SCKを低速化したりする必要が無いため、システムのパフォーマンスを低下させずに済む。
【0099】
なお、これまでSPI方式を例に挙げて説明してきたが、SPI方式と同様の仕組みを利用する他のバスシステムに対しても、本実施形態に係る技術を適用することができる。もちろん、このような他のバスシステムへの適用例についても、本実施形態の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【0100】
<3:まとめ>
最後に、本実施形態に係る技術内容について簡単に纏める。ここで述べる技術内容は、例えば、PC、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯情報端末、情報家電、カーナビゲーションシステム等、種々の電子機器に対して適用することができる。
【0101】
上記の電子機器の機能構成は次のように表現することができる。当該電子機器は、第1のバスに接続されたマスター機器から供給されるクロックと、当該クロックに同期して前記マスター機器から送信されるデータとを受信するマスター側受信部と、前記第1のバスとは異なる第2のバスに接続されたスレーブ機器に対し、前記マスター側受信部により受信されたクロック及びデータを送信するスレーブ側送信部と、前記スレーブ側送信部により送信されたクロックに同期して前記スレーブ機器から送信されたデータを受信してバッファに格納するスレーブ側受信部と、前記マスター側受信部によりクロック及びデータが受信されるタイミングで、当該クロックに同期して前記バッファに格納されているデータを前記マスター機器に送信するマスター側送信部と、を有する。
【0102】
このように、マスター機器から供給されるクロックに同期してデータを伝送するシステムにおいて、スレーブ機器から送信されるデータをバッファリングすることにより、スレーブ機器との伝送過程においてデータの遅延が発生しても、マスター機器が正しくデータを受信することができるようになる。このような構成は、カスケード接続されるバスシステムにおいて好適に用いることができる。
【0103】
(備考)
上記のSPIインターフェース130、202、SPIスレーブ機能提供部132、204は、マスター側受信部及びマスター側送信部の一例である。また、上記のSPIインターフェース166、210、SPIマスタ機能提供部164、208は、スレーブ側受信部及びスレーブ側送信部の一例である。上記のシリアライザ/デシリアライザ120は、第1のモジュールの一例である。上記のシリアライザ/デシリアライザ150は、第2のモジュールの一例である。上記のSPIバス110は、第1のバスの一例である。上記のSPIバス108は、第2のバスの一例である。
【0104】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0105】
例えば、上記説明においては、シリアライザ/デシリアライザ120、150間の伝送路を同軸ケーブルで構成する例を示したが、シリアライザ/デシリアライザ120、150に代えて無線送受信部を設けることにより、伝送路を無線に変更することができる。この場合、シリアライザ/デシリアライザ120、150の構成の中で、シリアル化/パラレル化する要素を無線変調/無線復調する要素に置き換えることで、上記説明と同様に本実施形態に係る信号伝送方法を適用することが可能になる。
【符号の説明】
【0106】
100 携帯端末
102 表示部
104 ヒンジ部
106 操作部
108、110 SPIバス
120 シリアライザ/デシリアライザ
122 マスターデバイス
124 スレーブデバイス
130 SPIインターフェース
132 SPIスレーブ機能提供部
134 送信部
136 PHYレイヤ機能提供部
138 受信部
140 バッファ
150 シリアライザ/デシリアライザ
152 スレーブデバイス
160 PHYレイヤ機能提供部
162 受信部
164 SPIマスタ機能提供部
166 SPIインターフェース
168 送信部
200 ブリッジ機器
202 SPIインターフェース
204 SPIスレーブ機能提供部
206 バッファ
208 SPIマスタ機能提供部
210 SPIインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のバスに接続されたマスター機器から供給されるクロックと、当該クロックに同期して前記マスター機器から送信されるデータとを受信するマスター側受信部と、
前記第1のバスとは異なる第2のバスに接続されたスレーブ機器に対し、前記マスター側受信部により受信されたクロック及びデータを送信するスレーブ側送信部と、
前記スレーブ側送信部により送信されたクロックに同期して前記スレーブ機器から送信されたデータを受信してバッファに格納するスレーブ側受信部と、
前記マスター側受信部によりクロック及びデータが受信されるタイミングで、当該クロックに同期して前記バッファに格納されているデータを前記マスター機器に送信するマスター側送信部と、
を備える、信号処理装置。
【請求項2】
前記第2のバスには、複数の前記スレーブ機器が接続されており、
前記バッファは、前記スレーブ機器毎に設けられており、
前記スレーブ側受信部は、送信元の前記スレーブ機器に対応するバッファに対し、当該スレーブ機器から受信したデータを格納し、
前記マスター側送信部は、前記マスター側受信部により受信されたデータの送信先となる前記スレーブ機器に対応するバッファに格納されているデータを前記マスター機器に送信する、請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記信号処理装置は、シリアル伝送路により接続された第1及び第2のモジュールにより形成されており、
前記スレーブ側送信部は、
前記マスター側受信部により受信されたクロック及びデータをシリアル化してシリアル信号を生成し、前記シリアル伝送路を通じて当該シリアル信号を送信する、前記第1のモジュールに設けられたシリアライザと、
前記シリアル伝送路を通じて送信されたシリアル信号を受信して前記クロック及びデータを復元する、前記第2のモジュールに設けられたデシリアライザと、
を含み、
前記スレーブ側受信部は、
前記スレーブ機器から送信されたデータをシリアル化してシリアル信号を生成し、前記シリアル伝送路を通じて当該シリアル信号を送信する、前記第2のモジュールに設けられたシリアライザと、
前記シリアル伝送路を通じて送信されたシリアル信号を受信して前記データを復元する、前記第1のモジュールに設けられたデシリアライザと、
を含む、請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のバスは、SPI方式のシリアルバスである、請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記マスター側送信部は、前記バッファにデータが格納されていない場合、所定のダミーデータを前記マスター機器に送信する、請求項4に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記第1のモジュールは、少なくとも表示データを出力する演算処理部をさらに有し、
前記第2のモジュールは、入力された表示データを表示する表示部をさらに有し、
前記第1のモジュールに設けられたシリアライザは、前記演算処理部から出力された表示データ及びクロックをシリアル化して送信し、
前記第2のモジュールに設けられたデシリアライザは、前記シリアル伝送路を通じて送信されたシリアル信号を受信し、前記クロック及び表示データを復元して前記表示部に入力する、請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記信号処理装置は、無線伝送路により接続された第1及び第2のモジュールにより形成されており、
前記スレーブ側送信部は、
前記マスター側受信部により受信されたクロック及びデータを無線信号に変換し、前記無線伝送路を通じて送信する、前記第1のモジュールに設けられた無線送信部と、
前記無線伝送路を通じて送信された無線信号を受信して前記クロック及びデータを復元する、前記第2のモジュールに設けられた無線受信部と、
を含み、
前記スレーブ側受信部は、
前記スレーブ機器から送信されたデータを無線信号に変換し、前記無線伝送路を通じて送信する、前記第2のモジュールに設けられた無線送信部と、
前記無線伝送路を通じて送信された無線信号を受信して前記データを復元する、前記第1のモジュールに設けられた無線受信部と、
を含む、請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項8】
第1のバスに接続されたマスター機器から供給されるクロックと、当該クロックに同期して前記マスター機器から送信されるデータとを受信するマスター側受信ステップと、
前記第1のバスとは異なる第2のバスに接続されたスレーブ機器に対し、前記マスター側受信ステップで受信されたクロック及びデータを送信するスレーブ側送信ステップと、
前記スレーブ側送信ステップで送信されたクロックに同期して前記スレーブ機器から送信されたデータを受信してバッファに格納するスレーブ側受信ステップと、
前記マスター側受信ステップでクロック及びデータが受信されるタイミングで、当該クロックに同期して前記バッファに格納されているデータを前記マスター機器に送信するマスター側送信ステップと、
を含む、信号伝送方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−39931(P2011−39931A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188575(P2009−188575)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】