説明

修飾された中性脂質を被包するタンパク質及びその使用

本発明は少なくとも1つの人工的に導入されたシステインを含む修飾オレオシンを提供した。本発明は修飾オレオシンを作出するための方法及び組成物を提供した。本発明は修飾オレオシンをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含む構築物及び宿主細胞を提供する。本発明はまた生体内及び試験管内で修飾オレオシンを含む油体を作出する方法も提供する。本発明はまた宿主細胞及び植物にて油を産生する方法も提供する。本発明はまた本発明の油体、宿主細胞又は植物を含む動物飼料及びバイオ燃料原料も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の宿主細胞種における油体の産生及び修飾のための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自然界では、花をつける植物は、油、すなわち、トリアシルグリセロール(TAG)の蓄積を介してその種子にエネルギーを効率的に保存し、油体の周りにリン脂質タンパク質の単層を埋め込むことによって目立たない油体にそれを保存する。これらの種子作物は種々の農業応用で飼料として、さらに最近では、バイオ燃料の原料供給源としても用いられている。重量当たりを基準にして、脂質は、タンパク質又は炭水化物のエネルギー含量のおよそ2倍を有するので、実質的な焦点は、種々の種の、最も明白には植物の油含量を高めることに置かれている。エネルギーの側面を越えて、油体自体は、独特の特性も有し、組換えタンパク質の精製、多量体タンパク質複合体の形成、乳化及び生物活性体の送達を含むが、これらに限定されない多数のバイオテクノロジーの応用の基礎を形成する。
【0003】
残念ながら、植物種子は植物バイオマス全体のほんのわずかな比率を代表するにすぎず、改善された農業生産性と代替エネルギーへの要求と共に、費やされた多数の種子作物からの現在の油生産は不十分であることが認識されている。研究の尽力は、植物種子の内部での油の生産の生産性を高めることだけでなく、他の細胞の種類及び種における油の生産にも着目している。
【0004】
従来の育種及び変異誘発は、この領域で漸増の成功を提供してきたが、遺伝子操作は、高いレベルの油を産出するように生物を改変することにおいて最先端の歩みを行っている。あるグループが種子内での油の生産を上方調節する油の合成経路の種々の部分に沿って研究を進めている一方で、ほかのグループはバイオマスのさらに大きな部分を代表する細胞種にて油を増大させることに着目している。
【0005】
遺伝子操作が特定の標的での油の含量を高めることに若干の進歩を為している一方で、重大な難題が未だ残っている。さらなる生産性の増大は、種子における油体産生でこれから先実現可能であり、他の細胞の種類及び種において植物種子と類似の油体を産生する手段は、まだ達成されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、種々の程度の安定性を持つ油体を産生するための組成物及び方法を提供する。本発明は、人工的にシステイン残基を導入した修飾オレオシンを作出することに関与する。人工的に導入されるシステイン残基は好ましくは、修飾オレオシンのN末端及びC末端の親水性側鎖に導入される。
【0007】
修飾オレオシンの発現によって、維管束植物の生殖組織の域を超えて、新しい種類の細胞及び他の種においてさえ安定な油体の創製を可能にする。TAG合成酵素と組み合わせた場合、本発明は、安定な油体として真核細胞におけるTAGの蓄積と保存をもたらす。改変されていない細胞又はさらにTAG合成酵素だけを発現するものと比べて、本発明は、他の手段で達成される過剰レベルのTAGの蓄積を可能にする。たとえば、本発明は、種子の域を越えて維管束植物の成長部分で高いレベルの安定な油体を蓄積できることを示している。
【0008】
その成長組織で高いレベルのTAGを伴う植物は、動物原料及びバイオ燃料原料の双方の応用に有益なエネルギー源を提供する。
【0009】
加えて、宿主細胞(たとえば、E.coli,P.pastoris,S.ceriviseae,Dunaliella,C.reinhardtii)から精製された組換えの修飾オレオシンを用いて人工的な油体を生成することができる。人工的な油体における修飾オレオシン又は形質転換した細胞から精製したものを任意で作製して修飾オレオシンにおけるシステイン残基を介して架橋させることができる。酸化還元環境を操作して架橋の程度を制御することもできる。修飾オレオシンでのシステインの数を変えることによって架橋の程度を誂えることもできる。
【0010】
これらの技法の組み合わせを用いて、修飾オレオシンと共に形成した油体を乳化特性について誂え、熱安定性、化学安定性及びペプチダーゼ耐性を調節することができる。
【0011】
修飾オレオシンを目的タンパク質に融合して融合タンパク質を形成することもできる。融合タンパク質(修飾オレオシンに目的タンパク質を加えた)は、細胞又は生物にて組換え的に発現させることができる。このように、発現させた融合タンパク質を含有する油体を用いて種々の応用について目的タンパク質を精製し、送達することができる。
【0012】
加えて、油体は、動物の胃及び/又は内腔の中でTAGの分解及び/又は生体水素化を防ぎ、又は少なくとも遅らせてTAG由来の無処理の個々の脂質が動物によって腸に吸収されるのを可能にする。従って、本発明はまた、特に植物における修飾オレオシンの発現を介した動物の食事摂取という点でも有用である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
人工的に導入したシステインを持つ修飾オレオシンをコードするポリヌクレオチド
第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの人工的に導入したシステインを含む修飾オレオシンをコードするポリヌクレオチドを提供する。用語オレオシンはステロレオシン及びカレオシンも含む。従って、修飾オレオシンは、修飾オレオシン、修飾カレオシン又は修飾ステロレオシンから選択されてもよい。一実施形態では、修飾オレオシンは修飾オレオシンである。別の実施形態では、修飾オレオシンは修飾カレオシンである。別の実施形態では、修飾オレオシンは修飾ステロレオシンである。各種類のオレオシンの例(オレオシン、カレオシン及びステロレオシン)が本明細書に記載される。
【0014】
一実施形態では、修飾オレオシンは、少なくとも2つのシステインを含み、そのうちの少なくとも1つは人工的に導入される。さらなる実施形態では、修飾オレオシンは少なくとも2〜少なくとも13(すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14以上)の人工的に導入されたシステインを含む。一実施形態では、システインは、オレオシンのN末端親水性領域、又はオレオシンのC末端親水性領域に人工的に導入される。さらなる実施形態では、修飾オレオシンは、N末端親水性領域に少なくとも1つのシステイン、及びC末端親水性領域に少なくとも1つのシステインを含む。さらなる実施形態では、システインは、オレオシンのN末端親水性領域及びC末端親水性領域にわたって実質的に均一に分配される。
【0015】
さらなる実施形態では、ポリヌクレオチドは、目的タンパク質に融合した修飾オレオシンを含む融合タンパク質をコードする。
構築物
【0016】
さらなる態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む遺伝子構築物を提供する。さらなる態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む発現構築物を提供する。一実施形態では、構築物のポリヌクレオチドはプロモータ配列に操作可能に連結される。一実施形態では、プロモータ配列は植物の成長組織におけるポリヌクレオチドの発現を駆動することが可能である。さらなる実施形態では、プロモータ配列は、植物の種子におけるポリヌクレオチドの発現を駆動することが可能である。さらなる実施形態では、プロモータ配列は、植物の花粉におけるポリヌクレオチドの発現を駆動することが可能である。さらなる実施形態では、プロモータ配列は大腸菌細胞におけるポリヌクレオチドの発現を駆動することが可能である。さらなる実施形態では、プロモータ配列は、酵母細胞におけるポリヌクレオチドの発現を駆動することが可能である。さらなる実施形態では、プロモータ配列は、藻類細胞におけるポリヌクレオチドの発現を駆動することが可能である。
【0017】
別の態様では、本発明は、修飾された中性脂質タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する構築物を提供する。一実施形態では、構築物は、トリアシルグリセロール(TAG)合成酵素をコードする第2のポリヌクレオチドも含有する。種々の実施形態では、構築物は、種々の宿主細胞でその発現を駆動することが可能であるプロモータ配列に操作可能に連結される。従って、本発明はまた、宿主細胞を誘導して修飾オレオシン及び/又はTAG合成酵素を発現させる構築物の使用を提供する。種々の実施形態では、修飾オレオシンを発現する構築物とTAG合成酵素を発現する構築物は同一の又は異なったプロモータによって駆動されてもよい。さらに別の実施形態では、構築物の発現が生じるように好適な機能性内因性プロモータの適当な位置及び方向で構築物を位置づける。種々の実施形態では、構築物は細菌、植物、真菌又は藻類の細胞にて発現させることができる。構築物が植物細胞で発現する一実施形態では、細胞は、成長組織、種子、花粉又は果実組織のものであってもよい。
宿主細胞
【0018】
さらなる態様では、本発明は、本発明の構築物を含む宿主細胞を提供する。さらなる態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むように遺伝子操作された宿主細胞を提供する。さらなる態様では、本発明は本発明のポリヌクレオチドを発現するように遺伝子操作された宿主細胞を提供する。
TAG合成酵素も発現する宿主細胞
【0019】
さらなる実施形態では、宿主細胞はまた、トリアシルグリセロール(TAG)合成酵素を発現するように遺伝子操作される。さらなる実施形態では、宿主細胞は、トリアシルグリセロール(TAG)合成酵素をコードする核酸配列を含むように遺伝子操作される。さらなる実施形態では、宿主細胞は、トリアシルグリセロール(TAG)合成酵素をコードする核酸配列を含む発現構築物を含む。
【0020】
さらなる実施形態では、核酸は操作可能にプロモータ配列に連結される。さらなる実施形態では、プロモータ配列は植物の成長組織にて核酸配列の発現を駆動することが可能である。一実施形態では、プロモータ配列は植物の種子にて核酸配列の発現を駆動することが可能である。一実施形態では、プロモータ配列は植物の花粉にて核酸配列の発現を駆動することが可能である。
【0021】
さらなる実施形態では、プロモータ配列は大腸菌細胞にてポリヌクレオチドの発現を駆動することが可能である。さらなる実施形態では、プロモータ配列は酵母細胞にてポリヌクレオチドの発現を駆動することが可能である。さらなる実施形態では、プロモータ配列は藻類細胞にてポリヌクレオチドの発現を駆動することが可能である。
宿主細胞の種類
【0022】
宿主細胞はどんな種類の細胞であってもよい。一実施形態では、宿主細胞は原核細胞である。さらなる実施形態では、宿主細胞は真核細胞である。一実施形態では、宿主細胞は、細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、藻類細胞、及び植物細胞から選択される。一実施形態では、宿主細胞は細菌細胞である。さらなる実施形態では、宿主細胞は酵母細胞である。さらなる実施形態では、宿主細胞は真菌細胞である。さらなる実施形態では、宿主細胞は昆虫細胞である。さらなる実施形態では、宿主細胞は藻類細胞である。さらなる実施形態では、宿主細胞は植物細胞である。
植物
【0023】
さらなる態様では、本発明は、本発明の植物細胞を含む植物を提供する。さらなる態様では、本発明は、本発明の構築物を含む植物を提供する。さらなる態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むように遺伝子操作された植物を提供する。さらなる態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを発現するように遺伝子操作された植物を提供する。さらなる実施形態では、植物は本発明のポリヌクレオチドによってコードされる修飾オレオシンを発現する。
【0024】
さらなる実施形態では、修飾オレオシンは植物の成長組織で発現される。さらなる実施形態では、修飾オレオシンは植物の種子で発現される。さらなる実施形態では、修飾オレオシンは植物の花粉で発現される。
植物はTAG酵素も発現する
【0025】
さらなる実施形態では、植物はまたトリアシルグリセロール(TAG)合成酵素を発現するように遺伝子操作される。さらなる実施形態では、トリアシルグリセロール(TAG)合成酵素を修飾オレオシンと同一の組織で発現させる。
【0026】
さらなる実施形態では、植物はトリアシルグリセロール(TAG)合成酵素をコードする核酸配列を含むように遺伝子操作される。さらなる実施形態では、植物はトリアシルグリセロール(TAG)合成酵素をコードする核酸配列を含む発現構築物を含む。
【0027】
さらなる実施形態では、核酸はプロモータ配列に操作可能に連結される。
【0028】
さらなる実施形態では、プロモータ配列は植物の成長組織にて核酸配列の発現を駆動することが可能である。一実施形態では、プロモータ配列は植物の種子にて核酸配列の発現を駆動することが可能である。一実施形態では、プロモータ配列は植物の花粉にて核酸配列の発現を駆動することが可能である。
人工的に導入されたシステインを伴う修飾されたオレオシンポリペプチド
【0029】
さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの人工的に導入されたシステインを含む修飾オレオシンを提供する。さらなる態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされる修飾オレオシンを提供する。一実施形態では、修飾オレオシンは少なくとも2つのシステインを含むが、そのうちの少なくとも1つは人工的に導入される。さらなる実施形態では、修飾オレオシンは少なくとも2〜少なくとも13(すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14以上)の人工的に導入されたシステインを含む。
【0030】
さらなる実施形態では、修飾オレオシンは、N末端親水性領域に少なくとも1つのシステイン、及びC末端親水性領域に少なくとも1つのシステインを含む。好まれる実施形態では、システインは、オレオシンのN末端親水性領域又はオレオシンのC末端親水性領域に人工的に導入される。好ましくは、システインはオレオシンのN末端親水性領域とC末端親水性領域の間で実質的に均一に分布する。
人工的に導入されたシステインを含む修飾オレオシンとの融合タンパク質
【0031】
さらなる態様では、本発明は本発明の修飾オレオシンと目的タンパク質を含む融合タンパク質を提供する。こうした融合タンパク質は修飾オレオシン部分と目的タンパク質の部分を含む。
修飾オレオシンを含む油体
【0032】
さらなる態様では、本発明は、本発明の修飾オレオシンを含む油体を提供する。さらなる態様では、本発明は、本発明の少なくとも2つの修飾オレオシンを含む油体を提供する。一実施形態では、少なくとも2つの修飾オレオシンは、修飾オレオシンにおけるシステイン残基間のジスルフィド結合を介して互いに架橋される。さらなる実施形態では、修飾オレオシンは修飾オレオシンに人工的に導入されたシステイン残基を介して架橋される。
【0033】
さらなる実施形態では、油体はさらに融合タンパク質を含むが、融合タンパク質は目的タンパク質に融合したオレオシンを含む。この実施形態では、融合タンパク質におけるオレオシンは人工的に導入したシステインを含まなくてもよい。好ましくは、融合タンパク質中のオレオシンは人工的に導入したシステインを含まない。
【0034】
この実施形態の油体は、Robertsら(2008)で議論されたように目的タンパク質を精製し、送達するのに有用である。
【0035】
しかしながら、この実施形態では、油体における修飾オレオシンの存在によって提供される油体の安定性/完全性を変化させる選択肢を活かすことができるのでさらに厳密な精製及び送達の手順を可能にする。
修飾オレオシンとの融合タンパク質を含む油体
【0036】
さらなる態様では、本発明は、本発明の融合タンパク質を含む油体を提供し、融合タンパク質は本発明の修飾オレオシンと目的タンパク質を含む。こうした融合タンパク質は修飾オレオシンの部分と目的タンパク質の部分を含む。
【0037】
一実施形態では、油体は本発明の少なくとも2つの融合タンパク質を含む。
【0038】
一実施形態では、少なくとも2つの融合タンパク質は、融合タンパク質の修飾オレオシン部分におけるシステイン残基間のジスルフィド結合を介して互いに架橋される。一実施形態では、融合タンパク質は、融合タンパク質の修飾オレオシン部分に人工的に導入されたシステイン残基を介して架橋される。
【0039】
さらなる実施形態では、油体は本発明の少なくとも1つの修飾オレオシンを含む。さらなる実施形態では、少なくとも1つの融合タンパク質は、融合タンパク質の修飾オレオシンにおけるシステインと修飾オレオシンにおけるシステインを介して少なくとも1つの修飾オレオシンに架橋される。
【0040】
再び、この実施形態の油体は、Robertsら(2008)で議論されたように目的タンパク質を精製し、送達するのに有用である。
【0041】
しかしながら、この実施形態では、油体における修飾オレオシンの存在によって提供される油体の安定性/完全性を変化させる選択肢を活かすことができるのでさらに厳密な精製及び送達の手順を可能にする。
エマルション
【0042】
さらなる態様では、本発明は本発明の修飾オレオシンを含むエマルションを提供する。一実施形態では、エマルションは修飾オレオシンと好適なキャリアを含む。キャリアは適当な酸化還元環境にて緩衝化されてオレオシンの所望の程度の架橋を保持し得る。
【0043】
キャリアに修飾オレオシンを再懸濁するには、超音波処理又は高圧ホモジネート、次いで適当な酸化条件への暴露を必要とし得る。
組成物
【0044】
さらなる態様では、本発明は本発明の修飾オレオシンを含む組成物を提供する。一実施形態では、組成物は修飾オレオシンと好適なキャリアを含む。キャリアは適当な酸化還元環境にて緩衝化されてオレオシンの所望の程度の架橋を達成し得る。
【0045】
キャリアに修飾オレオシンを再懸濁するには、超音波処理又は高圧ホモジネート、次いで適当な酸化条件への暴露を必要とし得る。
【0046】
さらなる態様では、本発明は本発明の油体を含む組成物を提供する。一実施形態では、組成物は油体と好適なキャリアを含む。キャリアは適当な酸化還元環境にて緩衝化されて修飾オレオシンの所望の程度の架橋を保持し得る。さらなる実施形態では、本発明は本発明の油体を含む皮膚塗布のために製剤化される組成物を提供する。
本発明の油体を含む植物及びその一部
【0047】
さらなる態様では、本発明は本発明の油体を含む植物及びその一部を提供する。さらなる態様では、本発明は本発明の油体を含む植物の成長組織を提供する。さらなる態様では、本発明は本発明の油体を含む植物の種子を提供する。
本発明の油体を含む動物飼料
【0048】
さらなる態様では、本発明は本発明の油体を含む動物飼料を提供する。さらなる態様では、本発明は本発明の植物又はその一部を含む動物飼料を提供する。
油体を作出する方法
【0049】
さらなる態様では、本発明は油体を作出する方法を提供するが、方法は、
a)それぞれ少なくとも1つの人工的に導入されたシステインを含む少なくとも2つの修飾オレオシンと
b)トリアシルグリセロールと
c)リン脂質
を混ぜ合わせる工程を含む。
【0050】
一実施形態では、修飾オレオシンはそれぞれ少なくとも2つのシステインを含み、そのうちの少なくとも1つは人工的に導入される。さらなる実施形態では、修飾オレオシンはそれぞれオレオシンのN末端親水性領域に少なくとも1つのシステイン、及びオレオシンのC末端親水性領域に少なくとも1つのシステインを含む。
【0051】
さらなる実施形態では、修飾オレオシンは少なくとも2〜少なくとも13(すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14以上)の人工的に導入されたシステインを含む。
【0052】
一実施形態では、システインはオレオシンのN末端親水性領域又はオレオシンのC末端親水性領域に人工的に導入される。さらなる実施形態では、システインはオレオシンのN末端親水性領域及びC末端親水性領域の間で実質的に均一に分配される。さらなる実施形態では、修飾オレオシンはオレオシンにおけるシステイン残基間のジスルフィド結合を介して架橋される。さらなる実施形態では、修飾オレオシンはオレオシンに人工的に導入されたシステイン残基間で架橋される。
【0053】
一実施形態では、修飾オレオシンは、融合タンパク質の一部であり、融合タンパク質は修飾オレオシンと目的タンパク質を含む。
【0054】
一実施形態では、方法は、作出される油体の酸化還元環境を制御することによって油体における修飾オレオシンの架橋の程度を調節する追加の工程を含む。
生体内(生体内の油体)で組み合わせるすべての成分
【0055】
一実施形態では、a)、b)及びc)の成分を宿主細胞内で組み合わせる。この実施形態では、好ましくは宿主細胞で修飾オレオシンを発現させる。
【0056】
宿主細胞は好ましくは修飾オレオシンを発現するように遺伝子操作される。
【0057】
宿主細胞は好ましくは本発明の構築物を含む。宿主細胞は好ましくは本発明のポリヌクレオチドを含むように遺伝子操作される。宿主細胞は好ましくは本発明のポリヌクレオチドを発現するように遺伝子操作される。
宿主細胞はTAG合成酵素も発現する
【0058】
さらなる実施形態では、宿主細胞はトリアシルグリセロール(TAG)合成酵素を発現するようにも遺伝子操作される。さらなる実施形態では、宿主細胞はトリアシルグリセロール(TAG)合成酵素をコードする核酸配列を含む発現構築物を含む。
【0059】
さらなる実施形態では、核酸配列はプロモータ配列に操作可能に連結される。一実施形態では、プロモータ配列は植物の成長組織にて核酸配列の発現を駆動することが可能である。一実施形態では、プロモータ配列は植物の種子にて核酸配列の発現を駆動することが可能である。一実施形態では、プロモータ配列は植物の花粉にて核酸配列の発現を駆動することが可能である。
【0060】
さらなる実施形態では、宿主細胞はトリアシルグリセロール(TAG)合成酵素をコードする核酸配列を含むようにも遺伝子操作される。さらなる実施形態では、宿主細胞はトリアシルグリセロール(TAG)合成酵素をコードする核酸配列を発現するようにも遺伝子操作される。
【0061】
修飾オレオシンをコードするポリヌクレオチドとトリアシルグリセロール(TAG)合成酵素をコードする核酸配列は、宿主細胞を形質転換する同一の構築物又は別々の構築物に入れられ得ることが当業者によって理解されるであろう。それぞれの発現は同一のプロモータ又は異なったプロモータによって駆動することができ、それは、形質転換する構築物で誘導され得る。或いは、ポリヌクレオチド及び核酸はプロモータなしで細胞を形質転換することができるが、ポリヌクレオチド及び核酸のいずれかの発現は或るプロモータ又は形質転換された細胞の内因性プロモータによって駆動され得ることも当業者によって理解されるであろう。
【0062】
さらなる実施形態では、宿主細胞は生物の一部を形成する。好まれる実施形態では生物は植物である。
【0063】
さらなる実施形態では、油は植物の成長組織で産生される。
【0064】
方法の一実施形態では、植物は、好適な対照植物よりも約50%〜約400%多い脂質を蓄積する。方法のさらなる実施形態では、植物は、好適な対照植物よりも約100%〜約300%多い脂質を蓄積する。方法のさらなる実施形態では、植物は、好適な対照植物よりも約150%〜約250%多い脂質を蓄積する。好適な対照植物には、本発明の方法で使用される形質転換された植物と同一の品種及び/又は種の非形質転換型又は野生型が挙げられる。
【0065】
さらなる実施形態では、植物は動物飼料に加工される。
【0066】
さらなる実施形態では、植物はバイオ燃料の原料に加工される。
生体内で産生された油体を精製するための追加の方法工程
【0067】
一実施形態では、方法は細胞又は生物から油体を精製する追加の工程を含む。
生体内で産生され、精製された油体の架橋の程度を変える追加の方法工程
【0068】
さらなる実施形態では、方法は、精製された油体の酸化還元環境を制御することによって、生体内で産生され、精製された油体における修飾オレオシンの架橋の程度を調節する追加の工程を含む。一実施形態では、酸化環境の使用によって架橋の程度を高める。さらなる実施形態では、還元環境の使用によって架橋の程度を下げる。
試験管内(試験管内/人工的な油体)で組み合わせる成分
【0069】
特定の実施形態では、成分a)、b)及びc)を試験管内で組み合わせる。
【0070】
一実施形態では、b)及びc)の成分と組み合わせる前に、a)の修飾オレオシンを本発明の宿主細胞で組換え的に発現させ、宿主細胞から精製しておく。
試験管内/人工的な油体の架橋の程度を変化させる追加の方法工程
【0071】
さらなる実施形態では、方法は、a)、b)及びc)の成分を組み合わせる酸化還元環境を制御することによって架橋の程度を調節する追加の工程を含む。一実施形態では、酸化環境にてa)、b)及びc)の成分を組み合わせることによって架橋の程度を高める。さらなる実施形態では、還元環境にてa)、b)及びc)の成分を組み合わせることによって架橋の程度を下げる。油体が含有される酸化還元環境を制御することによって、油体が形成された後、架橋の程度も調節され得る。
【0072】
さらなる態様では、本発明は、好適な対照植物より多くの油を蓄積する植物を作出する方法を提供し、方法は、ポリヌクレオチドによってコードされる修飾オレオシンを発現する本発明のポリヌクレオチドによって形質転換された植物を提供することを含む。
【0073】
一実施形態では、植物は、TAG合成酵素をコードするポリヌクレオチドによっても形質転換され、TAG合成酵素を発現するのでTAGを合成する。
【0074】
一実施形態では、植物は、本発明のいずれかのポリヌクレオチド及びTAG合成酵素をコードするポリヌクレオチドの双方によって単一植物又は植物細胞を形質転換することによって作出される。
【0075】
さらなる実施形態では、植物は、本発明のいずれかのポリヌクレオチドで形質転換した第1の植物を、TAG合成酵素をコードするポリヌクレオチドで形質転換した第2の植物と交配させることによって作出され、本発明のポリヌクレオチドとTAG合成酵素をコードするポリヌクレオチドの双方で形質転換された植物を生じる。
【0076】
さらなる実施形態では、油はTAGである。さらなる実施形態では、油は植物の成長組織で産生される。
【0077】
方法の一実施形態では、植物は、好適な対照植物よりも約50%〜約400%多い脂質を蓄積する。方法のさらなる実施形態では、植物は、好適な対照植物よりも約100%〜約300%多い脂質を蓄積する。方法のさらなる実施形態では、植物は、好適な対照植物よりも約150%〜約250%多い脂質を蓄積する。
【0078】
さらなる実施形態では、植物は動物飼料に加工される。
【0079】
さらなる実施形態では、植物はバイオ燃料の原料に加工される。
【0080】
さらなる態様では、本発明は宿主細胞にて油体を産生する方法を提供し、方法は、
a)本発明の修飾オレオシンをコードする少なくとも1つの核酸分子を宿主細胞に導入することと
b)修飾オレオシンを発現させるために宿主細胞を培養することを含む。
【0081】
さらなる態様では、本発明は宿主細胞にて油体を産生する方法を提供し、方法は、
a)本発明の修飾オレオシンをコードする少なくとも1つの核酸分子とTAG合成酵素をコードする核酸分子を宿主細胞に導入することと
b)修飾オレオシンとTAG合成酵素を発現させるために宿主細胞を培養することを含む。
【0082】
宿主細胞は、本明細書に記載されるような宿主細胞である。
油体
【0083】
さらなる態様では、本発明は本発明の方法によって産生される油体を提供する。
組成物
【0084】
さらなる態様では、本発明は本発明の油体を含む組成物を提供する。一実施形態では、組成物は油体と好適なキャリアを含む。キャリアを緩衝化して適当な酸化還元環境を提供し、修飾オレオシンの所望の架橋の程度を保持する。さらなる実施形態では、本発明は、本発明の油体を含む皮膚塗布用に製剤化される組成物を提供する。
本発明の油体を含む植物及びその一部
【0085】
さらなる態様では、本発明は本発明の油体を含む植物又はその一部を提供する。さらなる態様では、本発明は本発明の油体を含む植物の成長組織を提供する。さらなる態様では、本発明は本発明の油体を含む植物の種子を提供する。さらなる態様では、本発明は本発明の油体を含む植物の花粉を提供する。さらなる態様では、本発明は本発明の油体を含む植物の果実、又は子実体を提供する。
本発明の油体を含む動物飼料
【0086】
さらなる態様では、本発明は本発明の油体を含む動物試料を提供する。さらなる態様では、本発明は本発明の植物又はその一部を含む動物試料を提供する。
【0087】
一実施形態では、飼料はヒトを含む哺乳類動物に好適である。さらなる実施形態では、飼料は非ヒト哺乳類に好適である。好ましい動物には、ウシ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、ブタ、ニワトリなどの家畜が挙げられるが、これらに限定されない。
植物
【0088】
修飾オレオシンは、修飾された天然に存在するオレオシンである。非修飾のオレオシン配列が由来する植物はオレオシン及びオレオシンをコードするポリヌクレオチド配列を含有する任意の植物種に由来してもよい。
【0089】
修飾オレオシンを発現する植物細胞は、任意の植物種に由来してもよい。修飾オレオシンを発現する植物は、任意の植物種に由来してもよい。
【0090】
一実施形態では、植物細胞又は植物は、裸子植物種に由来してもよい。
【0091】
さらなる実施形態では、植物細胞又は植物は、被子植物種に由来してもよい。
【0092】
さらなる実施形態では、植物細胞又は植物は、双子葉植物種に由来してもよい。
【0093】
さらなる実施形態では、植物細胞又は植物は、単子葉植物種に由来してもよい。
【0094】
他の好まれる植物は、以下の属:Zea、Lolium、Hordium、Miscanthus、Saccharum、Festuca、Dactylis、Bromus、Thinopyrum、Trifolium、Medicago、Pheleum、Phalaris、Holcus、Glycine、Lotus、Plantago及びCichoriumを含むが、これらに限定されない群から選択される飼料植物種である。
【0095】
ほかの好まれる植物はマメ科植物である。マメ科の植物又はその一部はLeguminosae科植物又はFabaceae科植物における植物を包含してもよい。たとえば、植物は、アルファルファ、クローバを含む飼料マメ科植物;ギンゴウカン;豆、レンズ豆、ルピン、エンドウ豆、落花生、大豆を含む穀類マメ科植物;ルピン、医薬又は産業用のマメ科植物を含む開花マメ科植物;及び休閑又は緑肥のマメ科植物種から選択され得る。
【0096】
特に好まれる属は、Trifoliumである。好まれるTrifolium種には、Trifolium repens;Trifolium arvense;Trifolium affine;及びTrifolium occidentaleが挙げられる。特に好まれるTrifolium種はTrifolium repensである。
【0097】
別の好まれる属は、Medicagoである。好まれるMedicago種には、Medicago sativa及びMedicago truncatulaが挙げられる。特に好まれるMedicago種はアルファルファとして一般に知られるMedicago sativaである。
【0098】
別の好まれる属は、Glycineである。好まれるGlycine種には、Glycine max及びGlycine wightii(Neonotonia wightiiとしても知られる)が挙げられる。特に好まれるGlycine種は大豆として一般に知られるGlycine maxである。特に好まれるGlycine種は多年生大豆として一般に知られるGlycine wightiiである。
【0099】
別の好まれる属は、Vignaである。特に好まれるVigna種は、ササゲとして一般に知られるVigna unguiculataである。
【0100】
別の好まれる属は、Mucanaである。好まれるMucana種にはMucana pruniensが挙げられる。特に好まれるMucana種はビロード豆として一般に知られるMucana pruniensである。
【0101】
別の好まれる属は、Arachisである。特に好まれるArachis種は多年生落花生として一般に知られるArachis glabrataである。
【0102】
別の好まれる属は、Pisumである。好まれるPisum種はエンドウ豆として一般に知られるPisum sativumである。
【0103】
別の好まれる属は、Lotusである。好まれるLotus種には、Lotus corniculatus、Lotus pedunculatus、Lotus glabar、Lotus tenuis及びLotus uliginosusが挙げられる。好まれるLotus種はミヤコグサとして一般に知られるLotus corniculatusである。別の好まれるLotus種は細葉ミヤコグサとして一般に知られるLotus glabarである。別の好まれるLotus種はネビキミヤコグサとして一般に知られるLotus pedunculatusである。別の好まれるLotus種はスレンダーミヤコグサとして一般に知られるLotus tenuisである。
【0104】
別の好まれる属は、Brassicaである。好まれるBrassica種は、飼料ケール及びキャベツとして一般に知られるBrassica oleraceaである。
【0105】
他の好まれる種は、以下の属:Brassica、Carthumus、Helianthus、Zea及びSesamumを含むが、これらに限定されない油糧種子作物である。
好まれる油糧種子の属はBrassicaである。好まれる油糧種子の種は、Brassica napusである。
好まれる油糧種子の属はBrassicaである。好まれる油糧種子の種は、Brassica oleraceaeである。
好まれる油糧種子の属はZeaである。好まれる油糧種子の種は、Zea Maysである。
好まれる油糧種子の属はCarthumusである。好まれる油糧種子の種は、Carthamus tinctoriusである。
好まれる油糧種子の属はHelianthusである。好まれる油糧種子の種は、Helianthus annuusである。
好まれる油糧種子の属はZeaである。好まれる油糧種子の種は、Zea Maysである。
好まれる油糧種子の属はSesamumである。好まれる油糧種子の種は、Sesamum indicumである。
好まれる貯蔵牧草の属はZeaである。好まれる貯蔵牧草の種は、Zea Maysである。
好まれる穀類生産の属は、Hordeumである。好まれる穀類生産の種は、Hordeum vulgareである。
好まれる牧草の属は、Loliumである。好まれる牧草の種は、Lolium perenneである。
好まれる牧草の属は、Loliumである。好まれる牧草の種は、Lolium arundinaceumである。
好まれる牧草の属は、Trifoliumである。好まれる牧草の種は、Trifolium repensである。
好まれる牧草の属は、Hordeumである。好まれる牧草の種は、Hordeum vulgareである。
【0106】
好まれる植物には飼料又は動物飼料用の植物も挙げられる。そのような側物には、以下の属:Miscanthus、Saccharum、Panicumが挙げられるが、これらに限定されない。
好まれるバイオ燃料の属はMiscanthusである。好まれるバイオ燃料の種は、Miscanthus giganteusである。
好まれるバイオ燃料の属はSaccharumである。好まれるバイオ燃料の種は、Saccharum officinarumである。
好まれるバイオ燃料の属はPanicumである。好まれるバイオ燃料の種は、Panicum virgatumである。
【発明を実施するための形態】
【0107】
特許明細書、そのほかの外部の文書又はそのほかの情報源を参照している本明細書では、このことは、本発明の特徴を議論する文脈を提供する目的で一般的なことである。具体的に特に述べられない限り、そのような外部の文書への参照は、そのような文書又はそのような情報源が、いかなる権限においても、従来技術である又は当該技術における共通する一般的な知識を形成すると認めることとして解釈されるべきではない。
【0108】
用語「comprising」は本明細書で使用されるとき、「少なくとも部分的にconsisting of」を意味する。用語「comprising」を含む本明細書での各言及を解釈する場合、その用語によって前置きされるもの以外の特徴も存在する。「comprise」及び「comprises」のような関連する用語は同様に解釈されるべきである。
【0109】
重量基準についての重量では、脂質はタンパク質又は炭水化物いずれかのエネルギー含量のおよそ2倍を有する。世界の脂質の大半は植物によって生産され、脂質の最高密度の形態がトリアシルグリセロール(TAG)としてである。双子葉植物は、種子重量のおよそ60%をTAGとして蓄積し、それはその後発芽のためのエネルギー源として使用される。というわけで、動物の飼料及びバイオ燃料の原料の双方のための十分な脂質を持続的に生産するために油が豊富な種子を用いることを対象とする多数の尽力があった。
【0110】
種子によって産生することができるTAGの限られた量を考えて、成長組織における追加の脂質(優先的にTAG)を産生する代替のアプローチが行われつつある。これらのアプローチの大半は、TAGを合成するために植物の葉におけるKennedy経路での1又は数個の酵素の上方調節又は過剰発現を追求している。しかしながら、通常、このアプローチによって産生される追加の脂質の大半は、リパーゼとβ−酸化の組み合わせによって植物内で再動員され、その結果、脂質含量の限られた増加しか生じない(普通、DMの2〜4%)。
【0111】
発達している種子で産生されるTAGは通常、油体(OB)と呼ばれる目立たない構造内に含有され、それは、細胞が乾燥する又は凍結条件を経験する場合でさえ、非常に安定性が高く、合体することなく別々のしっかり詰め込まれた小器官として残存する(Siloto et al., 2006; Shimada et al., 2008)。OBは、タンパク質様の乳化剤によって埋め込まれたリン脂質の単層によって取り囲まれるTAGのコアから成る。前者はOBの0.5〜3.5%を構成し、この80〜90%がオレオシンであり、残りは主としてカルシウム結合(カレオシン)及びステロール結合(ステロレオシン)のタンパク質から成る(Lin and Tzen, 2004)。オレオシンの乳化特性は、両親媒性のN末端鎖と、高度に保存された疎水性のコア(約72残基)とC末端の両親媒性鎖から成る3つの機能的ドメインに由来する。同様に、カレオシン及びステロレオシンの双方も親水性のN及びC末端鎖及びそれら自体の保存された疎水性のコアを持つ。
【0112】
葉におけるTAG合成酵素によるオレオシン又はポリオレオシン(オレオシンの直列頭尾融合)の構成的な発現は、安定な油体の形成を生じ、TAGの蓄積をもたらすことは以前推測された。しかしながら、その後、我々はオレオシン及びポリオレオシンは植物の葉において有効ではなく、DGAT1と共に同時発現した場合TAGの蓄積を促進することを見い出した(Roberts et al., 未発表データ)。
【0113】
本発明は、1以上の人工的に導入されたシステイン残基を含有する修飾オレオシンを提供する。操作されたシステインを含有するオレオシンによる中性脂肪の被包は、老化するまで待つ必要がなく、過度の表現型を生じることなく葉にかなりの量のTAGを蓄積する代替のメカニズムを提供する。加えて、修飾オレオシンは、組換えタンパク質の生成及び精製と同様にOBの安定性、エマルション特性を改変することを含む多数のそのほかの適用を有する。
油体
【0114】
OBは一般に、直径0.5〜0.5μmの範囲で、タンパク質様乳化剤、主としてオレオシンに埋め込まれたリン脂質単層によって取り囲まれたTAGコアから成る(Tzen et al, 1993; Tzen, et al 1997)。OBはたった0.5〜3.5%のタンパク質から成り、この80〜90%がオレオシンであり、残りは主としてカルシウム結合(カレオシン)及びステロール結合(ステロレオシン)のタンパク質から成る(Lin and Tzen, 2004)。植物細胞におけるオレオシンとTAGの比は、細胞内での油体の大きさと数に影響する(Sarmiento et al., 1997; Siloto et al., 2006)。
【0115】
OBは、多数の植物の種子及び花粉で天然に優勢に産生されるが、幾つかのほかの器官(たとえば、特殊な塊茎)でも見られる。
【0116】
オレオシンは、OBの表面に埋め込まれる比較的小さな(15〜24kDa)タンパク質である。
油体の安定性
【0117】
上記で議論された適用について油体の好適性及び人工的油体は、とりわけ、少なくとも部分的にその安定性によって限定される。油体の安定性に対処するアプローチの1つは、いわゆるポリオレオシンを含む油体を生成することだった。ポリオレオシンは、2以上のオレオシン単位の頭尾融合体である(Roberts et al., 2008)。オレオシン単位の数を変えることによって油体の特性(熱安定性及び分解速度)を誂えるのが可能になる。植物体でのポリオレオシンの発現は、単一のオレオシン単位のように油体へのポリオレオシンの取り込みをもたらす(Scott et al., 2007)。直列の頭尾配置での複数のオレオシンを用いてポリオレオシンを創る。植物体内及び大腸菌での発現のために別々の構築物(1〜6のオレオシン反復を含有する)が具体的に設計された。組換えポリオレオシンの大半は、トランスジェニック植物の油体及び大腸菌の封入体で蓄積した。精製した原核細胞で作ったポリオレオシンを用いて人工的な油体を生成した。油体及び人工的油体の熱安定性とプロテイナーゼKにおける構造的統合性は、ポリオレオシンによって上がった。
【0118】
しかしながら、ポリオレオシンが提供できる保護/安定性の程度を決定する幾つかの限定要因があり;これらは、翻訳の過程の前に連結されることが可能である直列反復の数に関係しており、油体の標的が限定となり(Scott et al., 2007);一方で、別の限界は、頭尾の融合配置での転写物を生成することによって達成されるオレオシン融合の性質からもたらされる。これは本質的には、多数の共有結合と個々のオレオシン反復(すなわち、各末端で最大1)当たりの共有結合の位置を有する多量体オレオシン反復の直鎖タンパク質である。加えて、この配置は、N末端で分解するタンパク質に対する保護を提供するのみで、特定の内部ペプチド配列を認識するほかのタンパク質分解酵素に対する追加的な保護を提供しない。さらに、直列頭尾反復によって形成されるポリオレオシン分子におけるオレオシン単位間の結合はその場で容易に変更されない。油体又は人工油体に埋め込まれた融合ポリオレオシン分子を分解するために部位特異的な特定のプロテアーゼが結合領域で操作され得る一方で、それらは容易に再融合され得ない。
【0119】
油体に埋め込まれたオレオシンは、たとえば、グルタールアルデヒド又はゲニピンのような架橋剤の添加によって予め共有結合で架橋されているが(Peng et al., 2004 & 2006)、この無作為な架橋は、油体調製物への架橋剤の添加を必要とし、反転しにくい。
人工油体
【0120】
原核細胞で発現させた組換えオレオシンを用いて人工油体(AOB)を生成することができ、その特性は、植物由来のOBによく似ている(Peng et al. 2004; Roux et al. 2004; Chiang et al. 2005; Chiang et al. 2007)。
油体及び人工油体の応用
【0121】
油体及びその構成成分オレオシンの独特の特性は、組換えタンパク質の精製、多量体タンパク質複合体の形成、乳化、生体活性成分の送達、多価生体活性成分の生成を含む多数のバイオテクノロジー応用、及び可能性のある風味増強剤としてでさえ、その基礎を形成する(概説については、Capuano et al., 2007 and Roberts et al., 2008を参照)。
エマルション
【0122】
エマルションは、普通、異なった極性なので異なった疎水性のために別の液体では非混和性である1以上の液体がその液体で均一に懸濁される場合に作出される。例には、水に均一に分散された油滴、又は油に分散された水滴が挙げられる。相対的に安定なエマルションの生成には、液体間の界面張力を下げる乳化剤の使用が求められる。エマルションの安定性は一般に、均一な分散が特定の条件下で持続する持続時間という点で測定される。乳化剤は食物産業及び化粧品産業で一般に使用されるので、高いエマルション安定性を有し、消費及び局所塗布に安全であることが必要とされる。
【0123】
オレオシンを含有する無処理の油体は天然にて界面活性剤を含まない水中油エマルションを形成する。無処理の油体又はTAGの大半が取り除かれた油体は、食物、局所の身の回りのケア(皮膚クリーム)及び医薬製剤にて広範囲の乳化適用を有することが見い出されている(Harada et al., 2002; Deckers et al., 2003; Hou et al., 2003)。
生体水素化
【0124】
反芻動物の飼料の脂質特性は肉及び乳製品の脂質特性に影響を及ぼすことが明らかにされている(Demeyer and Doreau, 1999)。異なった植物は異なった脂質特性を有し;所望の脂質特性を持つ植物のみで選択的に動物を飼養することによって、下流にある肉及び乳製品の脂質特性に積極的に影響を与えることが可能である。反芻動物では、肉や乳になる最終的な脂質は食物脂質に影響されるだけでなく、生体水素化に大きく影響される(Jenkins and McGuire 2006; Firkins et al., 2006; Lock and Bauman, 2004)。生体水素化は、反芻胃に存在する生物相による非還元化合物(たとえば、不飽和脂肪)の水素化である。微生物分解に耐性であるタンパク質(単数)又はタンパク質(複数)に脂質を被包することによって生体水素化を防ぐ/遅らせることができる(Jenkins and Bridges 2007)。植物体内におけるポリオレオシン又はオレオシンにトリアシルグリセリドを被包することによる生体水素化の防止はScottら(2007)、Cooksonら(2009)及びRobertsら(2008)によって報告された。
オレオシン
【0125】
オレオシンは、細胞が乾燥する又は凍結条件を経験する際に合体することなくOBがしっかり詰まった別々の小器官になるのを可能にする比較的小さな(15〜24kDa)タンパク質である(Leprince et al., 1998; Siloto et al., 2006; Slack et al., 1980; Shimada et al.2008)。
【0126】
オレオシンは、両親媒性のN末端鎖と、高度に保存された疎水性のコア(約72残基)とC末端の両親媒性鎖から成る3つの機能的ドメインを有する。受け入れられている位相モデルは、N及びC末端の両親媒性の鎖がOBの外側に位置し、中央の疎水性コアがOBの内側に位置するものである(Huang, 1992; Loer and Herman, 1993; Murphy 1993)。N及びC末端の両親媒性の鎖の負に荷電した残基が水性外部にさらされ、正に荷電した残基がOB内部にさらされ、負に荷電した脂質に向く。従って、外側に向いた負の電荷を持つ両親媒性の鎖は、生体内及び単離された調製にて立体障害及び静電的な反発力を介して個々の実体としてのOBを維持することに関与する(Tzen et al, 1992)。N末端の両親媒性の鎖は可変性が高いのであらゆる例で特定の二次構造を記載できない。比較してC末端鎖は30〜40酸基のα−螺旋ドメインを含有する(Tzen et al, 2003)。中央のコアは高度に保存され、天然に存在すると知られる最長の疎水性領域であると考えられ、中央で、3つの間隔を空けたプロリンを含む保存された12残基のプロリンノットモチーフである(概説についてはFrandsen et al, 2001; Tzen et al, 2003を参照)。中央ドメインの二次、三次及び四次の構造は未だ不明のままである。多数の異なった配置について、モデル化フーリエ変換赤外線(FT−IR)及び円二色性での証拠が存在する(概説についはRoberts et al., 2008を参照)。
【0127】
主なオレオシンの特性は植物間で相対的に保存されており、以下を特徴とする。
・およそ140〜230アミノ酸残基に相当する15〜25kDa。
・タンパク質配列は、その全長に沿って4つの部分にほぼ均等に分割することができ、それは、N末端親水性領域と、2つの中央の疎水性領域(プロリンノブ又はノブによって連結された)と、C末端親水性領域に相当する。
・オレオシンのトポロジーは、親水性領域が隣接する折り畳まれた疎水性のコアを含むその物理的特性に起因する。この配置は、オレオシンに両親媒性の性質を付与し、リン脂質単層に包埋される疎水性ドメインを結果的に生じる(Tzen et al., 1992)一方で、隣接する親水性ドメインは細胞質の水性環境にさらされる。
・通常、オレオシンはシステインを含有しない。
【0128】
本発明で使用するのに好まれるオレオシンは、荷電残基が割り込まない、2つの親水性鎖が隣接する、およそ70の非極性アミノ酸残基(プロリンノットを含む)の中央ドメインを含有するものである。
【0129】
用語「オレオシン」には本明細書で使用されるとき、ステロレオシン及びカレオシンも含まれる
ステロレオシン
ステロレオシンは、14残基の疎水性アンカー領域によって接続された2つの両親媒性α−螺旋(各螺旋で912残基)を含むN末端アンカー断片を含む。可溶性のデヒドロゲナーゼドメインはNADP結合サブドメインとステロール結合サブドメインを含有する。ステロレオシンAとBの明らかな違いは、その多様なステロール結合サブドメインに存在する(Lin and Tzen, 2004)。ステロレオシンは、その疎水性ドメインにプロリンノブを有し、その親水性鎖の一方にステロール結合デヒドロゲナーゼを有する。
カレオシン
【0130】
カレオシン(Frandsen et al., 2001)は、基本のオレオシンとはやや異なったプロリンノブを有し、親水性鎖にカルシウム結合モチーフと幾つかのリン酸化部位と思われる部位を含有する。オレオシンに似て、カレオシンは、N及びC末端鎖が親水性である一方で中央のドメインが疎水性であり、油体のアンカーとして作用する3つの構造ドメインを有すると提唱されている。N末端親水性ドメインは、構造上の転換点としての不変のグリシン残基とカルシウム結合リガンドとしての5つの保存された酸素含有残基を含む28残基のヘリックスターンヘリックス・カルシウム結合EFハンドモチーフから成る(Chen et al., 1999; Frandsen et al., 2001)。C末端の親水性ドメインは、幾つかのリン酸化部位を含有し、C末端近傍はジスルフィド結合内又はジスルフィド結合間に含まれない不変のシステインである(Peng, 2004)。カレオシンの親水性のN及びC末端は、オレオシンよりもおよそ3倍長い(Lin and Tzen, 2004)。疎水性ドメインは両親媒性のα−ヘリックスとアンカー領域(プロリンノットを含む)から成ると考えられる。
【0131】
少なくとも1つの人工的に導入されたシステインの付加によって、本発明での使用のために修飾されるのに好適なオレオシン(オレオシン、ステロレオシン及びカレオシン)の配列の例を以下の表1に示す。配列(ポリヌクレオチド及びポリペプチドの双方は配列表に提供される)。
【表1】

【0132】
オレオシン、ステロレオシン及びカレオシンは当業者に周知である。当業者に周知の方法によって多数の異なった種からさらなる配列を容易に特定することができる。たとえば、用語、オレオシン、ステロレオシン及びカレオシンのいずれか1つを用いてNCBI Entrez Cross−データベースサーチ( http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/
gqueryにて利用可能)によってさらなる配列を容易に特定することができる。
植物脂質の生合成
【0133】
植物細胞はすべて色素体に局在する一般的な経路によってアセチル−CoAから脂肪酸を産生する。次いで新しく合成されたアシル鎖の一部を色素体の中で脂質の生合成に使用するが(原核細胞の経路)、大部分は、小胞体(ER)又はそのほかの部位でのグリセロ脂質の集合のために細胞質ゾルに運び出される(真核細胞の経路)。加えて、色素体外のグリセロ脂質の一部が色素体に戻り、それが色素体とERの脂質のプール間での相当な混合を生じる(Ohlrogge and Jaworski 1997)。
【0134】
脂肪酸生合成の色素体経路の最も単純な説明は、2つの酵素系:アセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACCase)と脂肪酸シンターゼ(FAS)から成る。AcCaseは、アセチル−CoAからのマロニル−CoAの形成を触媒し、FASはマロニル部分をアシルキャリアタンパク質(ACP)に移し、マロニルACPによる成長するアシル鎖の伸長を触媒する。
【0135】
最初の脂肪酸合成反応は、3−ケトアシル−ACPIII(KASIII)によって触媒され、アセチル−CoAとマロニル−ACPの縮合を生じる。その後の縮合はKASIとKASIIによって触媒される。脂肪酸合成のその後のサイクルが始まる前に、残りのFAS反応にてケトアシル−ACP中間体を飽和アシル−ACPに還元し、3−ケトアシル−ACP還元酵素、3ヒドロキシアシル−ACPデヒドラーゼ及びエノイル−ACP還元酵素によって順次還元する。
【0136】
FASの最終生成物は普通、16:0及び18:0のACPであり、植物細胞の最終的な脂肪酸組成は大部分、脂肪酸合成の終了段階でのこれらアシル−ACPを使用する幾つかの酵素の活性によって決定される。ステアロイル−ACP不飽和化酵素はC18:0−ACPの9位にてシス二重結合を挿入することによってFASの最終生成物を修飾する。脂肪酸合成の反応は、ACPからのアシル鎖の加水分解又は転移によって終了する。加水分解はアシル−ACPチオエステラーゼによって触媒され、それには2つの主な種類があり、一方のチオエステラーゼは18:1−ACPに相対的に特異的であり、第2のものは飽和アシル−ACPにさらに特異的である。チオエステラーゼによってACPから放出された脂肪酸は色素体を離れ、真核細胞の脂質経路に入り、そこでER上にて主としてグリセロ脂質にエステル化される。色素体のアシルトランスフェラーゼは、チオエステラーゼとは対照的に、ACPからのアシル部分をグリセロールに転移させることによって脂肪酸合成を終了させ、それらは、色素体のグリセロ脂質集合をもたらす原核細胞の脂質経路の必須の部分である。
トリアシルグリセロールの生合成
【0137】
TAG生合成における唯一の関与工程は、最後の1つ、すなわち、第3の脂肪酸を既存のジアシルグリセロールに付加してTAGを生成することである。植物では、この工程は、アシルCoA、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1),無関係なアシルCoA、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT2)、DGAT1及びDGAT2と10%未満の同一性を有する可溶性DGAT(DGAT3)(Saha et al., 2006)、ホスファチジルコリン−ステロールO−アシルトランスフェラーゼ(PDAT)及びワックスシンターゼ(WSD1、Li et al., 2008)を含む5つのTAG合成酵素(主としてERに局在する)の1つによって優勢に(しかし、排他的ではなく)行われる。DGAT1及びDGAT2のタンパク質は、2つの異なった遺伝子ファミリーによってコードされ、DGAT1はおよそ500のアミノ酸と10の予測された膜貫通ドメインを含有し、DGAT2はたった320のアミノ酸と2つの膜貫通ドメインを有する(Shockey et al., 2006)。
【0138】
用語「トリアシルグリセロール合成酵素」又は「TAG合成酵素」は本明細書で使用されるとき、既存のジアシルグリセロールに第3の脂肪酸を付加してTAGを生成することを触媒することが可能な酵素を意味する。好まれるTAG合成酵素には、アシルCoA、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT2)、ホスファチジルコリン−ステロールO−アシルトランスフェラーゼ(PDAT)及びDGATの細胞質可溶性形態(可溶性DGAT又はDGAT3)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
内因性のDGAT1及びDGAT2が成熟した及び老化する葉で役割を担うと思われる(Kaup et al. 2002; Shockey et al. 2006)ことを考えれば、植物はそれらの活性を制御するための多数のフィードバック機構を持つと思われる。実際、Zouら(2008)は、最近、Serがリン酸化のための残基であるSNF1関連のタンパク質キナーゼ−1(SnRK1)のメンバーに典型的な標的モチーフとしてTropaeolum majus(キンレンカ)のDGAT1(TmDGAT1)の配列内にコンセンサス配列(X−Leu−X−Lys−X−X−Ser−X−X−X−Val)を特定した。SnRK1タンパク質は、植物における炭素代謝の一般的な調節、たとえば、リン酸化によるスクロースリン酸シンターゼの不活化にますます関与するとみなされているSer/Thrタンパク質キナーゼの部類である(Halford & Hardie 1998). Zou et al. (2008)。Zouら(2008)は、単一の点突然変異(TmDGAT1のSer197Ala)によるSnRK1のリン酸化部位と思われる部位の除去が種子におけるTAGの有意に高いレベルの蓄積をもたらすことを明示し続けた。この突然変異は活性を38〜80%高め、それは、シロイヌナズナにおける種子ベース当たりの油含量の20〜50%の増加をもたらした。
【0140】
リン脂質:DGAアシルトランスフェラーゼ(PDAT)は、リン脂質の分子とジアシルグリセロールの分子からTAGを形成する。PDATは酵母で発現させるとかなり活性があるが、植物種子で発現させるとTAGの収量を感知できるほど高めない。PDAT及びDAG:DAGトランスフェラーゼは、TAGを産生する中性脂質合成酵素ではあるが、Kennedy経路の一部とはみなされない。
【0141】
ワックスエステルシンターゼとDGAT酵素の組み合わせ(WS/DGAT)は、調べた限りの中性脂質を産生する原核細胞すべてで見つけられている。WS/DGATは、種々の独特の脂肪酸、アルコールに及びチオールにさえも桁外れに広い活性を有する。この酵素は推定上の膜貫通領域を有するが、真核細胞からのDGAT1及びDGAT2のファミリー又はホホバ(ホホバはワックスエステルを蓄積することが見い出されている唯一の真核生物である)由来のWEシンターゼに対して配列相同性を示さない。
【0142】
レシチン/コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)及びアシル補酵素:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)はTAGではなくステロールエステル(中性脂肪の形態)を産生する酵素であることが言及されるべきである。
【0143】
中性脂質の増加を必要とする適用では、証拠は、DGAT2に比べてDGAT1の高い活性及び広い特異性が優先的であることを示唆している。たとえば、長鎖PUFAのような特定の脂肪酸が好まれる場合、それが最適な脂肪酸を受け入れるならば、DGAT1がやはり適用可能である。植物は一般にsn−2位にて長鎖PUFAを取り込む。これが、この基質におけるLPATの高い活性によるのか、DGAT1の低い活性によるのかは分かっていない。PUFAへの改善された特異性については、これらの脂肪酸を好むDGAT2が好ましくてもよいし、又はDGAT1の特性が指向進化又は同等の手順を用いて変えられてもよい。
【0144】
幾つかの植物種のメンバーに由来する、本発明の方法及び組成物での使用に好適なこれらTAG合成酵素の例を以下の表2に提供する。配列(ポリヌクレオチド及びポリペプチドの双方は配列表に提供される)
【表2】

【0145】
本発明はまた、その特異性及び/又は活性を変えるように修飾される(たとえば、置換、挿入又は付加などによりその配列にて)修飾TAG合成酵素の使用も企図する。
葉におけるTAGの蓄積
【0146】
米国北中央部における302種の被子植物の最近のフィールド調査では、普通、葉肉細胞当たり1つの大きな油滴を伴って24%が葉において明白な細胞質油滴を有することが判った(Lersten et al., 2006 [from Slocombe et al 2009])。葉の細胞質TAGの役割は、炭素貯蔵及び/又は膜の脂質リモデリングに関与することであると考えられる(概説についてはSlocombe et al., 2009を参照)。実際、老化している葉では、色素体脂肪酸は、さらなる動員に先立ってTAGに区分化され、DGAT1がこの過程では役立つと考えられる(Kaup et al., 2002)。
【0147】
葉において高レベルのTAGを蓄積するように植物を操作する幾つかの試みがあった。蓄積されたTAGの相対的に低いレベルと場合によっては老化している葉でのみ大半のTAGが蓄積されるために、どの時点においてもTAGを蓄積している作物の収穫と比率が限定されることによって、試みの成功は幾分限定されていた(Bouvier-Nave et al, 2001; Xu et al., 2005; Winichayakul et al., 2008; Andrianov et al., 2010; Slocombe et al., 2009 及びその中の文献)。
【0148】
今までのところ、葉においてTAGを蓄積させる試みは、DGATの過剰発現(TAGの生合成)、TGD1又はCTSの成熟(脂質の再動員の防止を生じる)及びLEC1とLEC2とWRIIの過剰発現(発達中の種子における貯蔵油とタンパク質の蓄積に関与する転写因子)を含む3つの特定の遺伝子候補に主として着目している。TAG及びそのほかの中性脂質合成酵素の過剰発現は、展開している及び/又は成熟した葉における十分な基質の存在に頼っており、これは、膜のために脂質を合成する色素体(葉の場合葉緑体)によって提供されると想定される。シロイヌナズナの光合成の葉では、膜の脂質の代謝回転は1日当たり全脂肪酸の4%であると概算されている(Bao et al, 2000)。老化している葉では、既存の色素体の膜がさらなる動員に先立ってTAGに区分化するために大半の脂肪酸を提供する。
【0149】
タバコの葉におけるシロイヌナズナDGAT1遺伝子の過剰発現は、高いTAGの蓄積を生じ(Bouvier-Nave et al., 2001)、これはその後Andrianovら(2010)によって繰り返された。彼らは増加したTAGのレベルを20倍で、成熟した葉における乾物の約3〜約6%の脂質含量の倍加への優勢を算出した。誘導可能なAlcプロモータを用いて成熟した葉にてLEC2(種子の成熟と種子油の貯蔵の主な調節因子)を過剰発現させることによって6.8%までのさらなる増加を達成した(Andrianov et al., 2010)。展開している葉における抽出可能なTAGの概算はなかったし、TAG蓄積の算出もなかった。
【0150】
シロイヌナズナでのパーミアーゼ様タンパク質、TRIGALACTOSYLDIACYLGLYCEROL(TGD1)における突然変異は、TAG、オリゴガラクト脂質及びホスファチデートの蓄積を引き起こしたが;これには胚珠発育不全の高い発生と相対的に乏しい植物全体の成長が伴った(Xu et al., 2005)。
【0151】
Winichayakulら(2008)は、ライグラス(Lolium perenne)の葉においてシロイヌナズナDGAT1を過剰発現させ、これが、抽出可能な葉の脂質全体(乾物の約4〜6%)の50%上昇に至る差であることを見つけた。さらに、上昇した脂質のレベルは、2〜3週間間隔を空けた反復収穫によって生成された新しい葉に存在したことは、新しく出現する葉も追加の脂質を蓄積することが可能であったことを示している。しかしながら、これらの葉における高い脂質レベルは通常、葉が2週齢を超えると野生型のレベルまで低下し始めるということは、脂質が異化作用を介して再動員されることを示している(リパーゼ、次いでβ−酸化によるグリセロール主鎖からの放出)。
【0152】
Slocombeら(2009)は、CTSペルオキシソームABCトランスポータ(cts−2)における突然変異が特に老化の開始の間に葉において1.4%までのTAGの蓄積を招くことを明らかにした。彼らはまた、cts−2の背景のもとで老化の間にLEC2を異所性に発現させたが;これは、cts−2変異体に対してTAGの全体的な蓄積を高めなかったが、老化組織にてTAGの種子油型の種の蓄積を高めた。cts−2は脂肪酸の分解を阻止するが、難しい表現型ももたらす。Slocombeら(2009)は、再利用された膜の脂肪酸は、老化組織の種子プログラムを発現することによって又は脂肪酸の分解を阻止することによってTAGに再指向させられ得ると結論付けた。
【0153】
Scottら(2007)は、トリアシルグリセリド合成酵素とポリオレオシン(直列頭尾配置で融合した2以上のオレオシン)の同時発現が植物細胞にて脂質の貯蔵を可能にすると主張した。同様に、Cooksonら(2009)は、植物の成長組織内で単一のオレオシンとTAG合成酵素を産生させることが、成長組織における油体とTAGの数の増加に繋がると主張した。これらの技法のいずれかを用いることがおよそ50%までの脂質含量(必ずしもTAGの形態ではない)の最大増加をもたらす。さらに、このレベルは葉が成熟するにつれて;通常2週齢を超えた葉にて、低下し始める(未発表データ)。
【0154】
従って、TAGが成長組織で蓄積され得る程度は、内因性の固定炭素の回収機構がTAGを異化するという事実によってある程度限定されると思われる。
葉の老化−TAG中間体を介した脂質の再利用
【0155】
葉の老化は、細胞、組織及び最終的には器官全体の死を結局招く高度に制御された事象の順序である。これは、老化している組織から未だ成長し、発達しているほかの組織への転移と一緒に養分の調節された動員を伴う。葉緑体は、老化の兆候を示す葉肉細胞の第1の小器官であり、葉の老化カスケードにてチラコイド膜の分解が早期に開始されるが、葉緑体のエンベロープは老化の最終段階まで相対的に無傷のままである。DGAT1はシロイヌナズナの葉の老化の間、上方調節され、これは葉緑体のガラクト脂質で一般に見られるTAG含有の脂肪酸のレベルの上昇と一時的に相関する。老化している葉、特に老化している葉緑体から葉の成長している部分への膜炭素の動員は、葉の老化の鍵となる特徴であり、チラコイド脂質の脱エステル化と得られた脂肪酸の師部移動性スクロースへの変換が関与する。チラコイド脂質の脱エステル化は、1以上の老化誘導のガラクトリパーゼが介在すると思われる。TAGの形成は、老化の間の膜脂質炭素の師部移動性スクロースへの動員における中間体工程であると思われる(Kaup et al., 2002)。
人工的に導入されたシステインを含むように操作された修飾オレオシン
【0156】
本発明の又は本発明の方法で使用されるための修飾オレオシンは、少なくとも1つの人工的に導入されたシステイン残基を含有するように修飾される。好ましくは、操作されたオレオシンは少なくとも2つのシステインを含有する。
【0157】
操作されたシステインを含有するオレオシンによる中性脂質の被包は、老化するまで待つ必要がなく、極度の表現型を生成することもなく、葉における感知できる量のTAGを蓄積する代替メカニズムを提供する。
【0158】
人工的に導入されたシステインを持つ修飾オレオシンの生成に、当業者に周知の種々の方法を用いてもよい。
【0159】
そのような方法には、コードされたオレオシンにシステインを導入するようにオレオシンをコードするポリヌクレオチドを修飾する部位特異的変異誘発(米国特許第6,448,048号)が挙げられる。
【0160】
或いは、修飾されたオレオシンをコードするポリヌクレオチドを全体で合成してもよい。
【0161】
本発明の及び本発明の方法で使用するための修飾オレオシンを製造するさらなる方法は、実施例の節で提供される。
【0162】
導入されるシステインは追加のアミノ酸(すなわち、挿入)であってもよいし、既存のアミノ酸を置き換えて(すなわち、置換)もよい。好ましくは、導入されるシステインは既存のアミノ酸を置き換える。好まれる実施形態では、置き換えられるアミノ酸は荷電した残基である。好ましくは、荷電した残基は親水性ドメインにあることが予測されるので、油体の表面に位置すると思われる。
【0163】
標準の方法論(たとえば、Kyte and Doolitle (1982)を用いて、オレオシンの親水性及び疎水性の領域/鎖は当業者によって容易に特定され得る。
【0164】
本発明の修飾オレオシンは好ましくは5〜50kDa、さらに好ましくは10〜40kDa、さらに好ましくは15〜25kDaの分子量の範囲である。
【0165】
本発明の修飾オレオシンは好ましくは、100〜300アミノ酸、さらに好ましくは110〜260アミノ酸、さらに好ましくは120〜250アミノ酸、さらに好ましくは130〜240アミノ酸、さらに好ましくは140〜230アミノ酸のサイズ範囲にある。
【0166】
好ましくは、修飾オレオシンは、N末端親水性領域と、2つの中央疎水性領域(プロリンノット又はノブによって連結される)と、C末端親水性領域を含む。
【0167】
好ましくは、修飾オレオシンは、N末端親水性領域(又は鎖)と、2つの中央疎水性領域(プロリンノット又はノブによって連結される)と、C末端親水性領域(又は鎖)に相当する4つの部分にその全長をほぼ均等に分割することができる。
【0168】
好ましくは、修飾オレオシンのトポロジーは、親水性ドメインが隣接する折り畳まれた疎水性のコアを含むその物理的特性に起因する。
【0169】
好ましくは、修飾オレオシンは、トリアシルグリセロール(TAG)とリン脂質を組み合わせた場合、油体に形成することができる。
【0170】
好ましくは、トポロジーは、隣接する親水性ドメインが、たとえば、細胞質のような油体の外側の水性環境にさらされる一方で油体のリン脂質単層に埋め込まれた疎水性ドメインを生じる修飾オレオシンに両親媒性の性質を付与する。
【0171】
一実施形態では、本発明の又は本発明の方法で使用される修飾オレオシンは、上記表1で指されたオレオシンのタンパク質配列のいずれかの疎水性ドメインと少なくとも70%同一の配列を含む。
【0172】
一実施形態では、本発明の又は本発明の方法で使用される修飾オレオシンは、上記表1で指されたタンパク質配列のいずれかと少なくとも70%の同一性を持つ配列を含む。
【0173】
さらなる実施形態では、修飾オレオシンは、追加の人工的に導入されたシステイン(単数)又はシステイン(複数)は別として、上記表1で指されたタンパク質配列のいずれかと本質的に同一である。
【0174】
さらなる実施形態では、本発明の又は本発明の方法で使用される修飾オレオシンは、配列番号16のオレオシン配列と少なくとも70%の同一性を持つ配列を含む。
【0175】
さらなる実施形態では、修飾オレオシンは、追加の人工的に導入されたシステイン(単数)又はシステイン(複数)は別として、配列番号16と同一のアミノ酸配列を有する。
【0176】
さらなる実施形態では、修飾オレオシンは、配列番号16〜20のいずれか1つのアミノ酸配列を有する。
修飾オレオシンとの融合タンパク質
【0177】
本発明はまた目的タンパク質に融合した本発明の修飾オレオシンを含む融合タンパク質も提供する。
【0178】
好ましくは、目的タンパク質は融合タンパク質のN末端又はC末端である。
【0179】
融合タンパク質を組換えで発現させる方法は当業者に周知である(Papapostolou and Howorka, 2009)。本発明の融合タンパク質の製造には目的タンパク質のコーディング配列を修飾オレオシンのコーディング配列に融合することが関与する。
【0180】
そのような融合タンパク質は、本発明の油体に含まれてもよく、油体で発現されてもよく、それを使用してRobertら(2008)で議論されたように種々の適用のために目的タンパク質を精製し、送達してもよい。
【0181】
しかしながら、本発明によって、油体における修飾オレオシンの存在により提供される油体の安定性/完全性を変える選択肢を利用することが可能になるので、さらに厳格な精製及び送達の手順が可能になる。
非修飾オレオシンとの融合タンパク質
【0182】
本発明はまた、目的タンパク質に融合される非修飾オレオシンを含む融合タンパク質の使用も含む。本発明の融合タンパク質の製造には通常、目的タンパク質のコーディング配列を非修飾オレオシンのコーディング配列に融合することが関与する。
【0183】
好ましくは、目的タンパク質は融合タンパク質のN末端又はC末端である。
【0184】
そのような融合タンパク質は、本発明の油体に含まれてもよく、油体で発現されてもよく、それを使用してRobertら(2008)で議論されたように種々の適用のために目的タンパク質を精製し、送達してもよい。
【0185】
しかしながら、本発明は、油体における修飾オレオシンの存在により提供される油体の安定性/完全性を変える選択肢を利用するので、さらに厳格な精製及び送達の手順が可能になる。
【0186】
成長組織
成長組織には、芽、葉、根、茎が挙げられる。好まれる成長組織は葉である。
【0187】
成長組織に特異的なプロモータ
成長組織に特異的なプロモータの例は、米国特許第6,229,067号;及び同第7,629,454;号;及び同第7,153,953;号;及び同第6,228,643号に見い出される。
【0188】
花粉に特異的なプロモータ
花粉に特異的なプロモータの例は、米国特許第7,141,424号;及び同第5,545,546号;及び同第5,412,085号;及び同第5,086,169号;及び同第7,667,097号に見い出される。
【0189】
種子に特異的なプロモータ
種子に特異的なプロモータの例は、米国特許第6,342,657号;及び同第7,081,565号;及び同第7,405,345号;及び同第7,642,346号;及び同第7,371,928号に見い出される。
【0190】
果実に特異的なプロモータ
果実に特異的なプロモータの例は、米国特許第5,536,653号;及び同第6,127,179号;及び同第5,608,150号;及び同第4,943,674に見い出される。
ポリヌクレオチド及び断片
【0191】
用語「ポリヌクレオチド」は本明細書で使用されるとき、任意の長さの、しかし、好ましくは少なくとも15ヌクレオチドの長さの一本鎖又は二本鎖のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドのポリマーを意味し、非限定例として、遺伝子のコーディング及び非コーディング配列、センス及びアンチセンス配列の相補体、エクソン、イントロン、ゲノムDNA、cDNA、プレmRNA、mRNA、rRNA、siRNA、miRNA、tRNA、リボザイム、組換えポリペプチド、単離された及び精製された天然に存在するDNA又はRNAの配列、合成のRNA及びDNAの配列、核酸プローブ、プライマー及び断片が挙げられる。
【0192】
本明細書で提供されるポリヌクレオチド配列の断片は、目的の標的に特異的なハイブリッド形成が可能である隣接するヌクレオチドの配列、すなわち、長さ少なくとも15ヌクレオチドである配列である。本発明の断片は、開示されるポリヌクレオチドの連続ヌクレオチドの15ヌクレオチド、好ましくは少なくとも16ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも17ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも18ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも19ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも20ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも21ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも22ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも23ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも24ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも25ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも26ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも27ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも28ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも29ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも30ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも31ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも32ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも33ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも34ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも35ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも36ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも37ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも38ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも39ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも40ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも41ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも42ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも43ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも44ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも45ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも46ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも47ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも48ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも49ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも51ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも52ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも53ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも54ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも55ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも56ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも57ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも58ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも59ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも60ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも61ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも62ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも63ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも64ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも65ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも66ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも67ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも68ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも69ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも70ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも81ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも82ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも83ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも84ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも85ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも86ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも87ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも88ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも89ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも90ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも91ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも92ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも93ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも94ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも95ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも96ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも97ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも98ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも99ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも100ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも150ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも200ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも250ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも300ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも350ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも400ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも450ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも500ヌクレオチド含む。ポリヌクレオチドの断片は、アンチセンス、RNA干渉(RNAi)、遺伝子のスプライシング、三重螺旋若しくはリボザイム技術において、又はマイクロアレイにおけるプライマー、プローブとして使用することができ、又は本発明のポリヌクレオチドに基づいた選抜法で使用することができる。
【0193】
用語「プライマー」は、鋳型とハイブリッド形成し、標的と相補的なポリヌクレオチドの重合を誘うのに使用される、普通、遊離の3’−OHを有する短いポリヌクレオチドを指す。
【0194】
用語「プローブ」は、ハイブリッド形成に基づくアッセイにてプローブに相補的であるポリヌクレオチド配列を検出するのに使用される短いポリヌクレオチドを指す。プローブは本明細書で定義されるようなポリヌクレオチドの断片から成ってもよい。
ポリペプチド及び断片
【0195】
用語「ポリペプチド」は本明細書で使用されるとき、アミノ酸残基が共有ペプチド結合で連結される完全長のタンパク質を含む、任意の長さの、しかし、好ましくは少なくとも5アミノ酸のアミノ酸鎖を包含する。本発明の又は本発明の方法で使用されるポリペプチドは、精製された天然の生成物であってもよいし、組換え法又は合成法を用いて部分的に又は全体的に製造されてもよい。用語は、ポリペプチド、たとえば、二量体若しくはそのほかの多量体のようなポリペプチドの凝集体、融合ポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチドの変異体、又はこれらの誘導体を指す。
【0196】
ポリペプチドの「断片」は、生物活性に必要とされる機能を実行し、及び/又はポリペプチドの三次構造を提供するポリペプチドの配列である。用語は、上記酵素活性を実行することが可能であるポリペプチド、たとえば、二量体若しくはそのほかの多量体のようなポリペプチドの凝集体、融合ポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチドの変異体、又はこれらの誘導体を指す。
【0197】
用語「単離される」は、本明細書で開示されるポリヌクレオチド又はポリペプチドの配列に適用されるとき、その天然の細胞環境から取り出される配列を指すのに使用される。単離された分子は、生化学法、組換え法及び合成法を含む方法又は方法の組み合わせによって得られ得る。
【0198】
用語「組換え」は、天然の背景でそれを囲む配列から取り出される及び/又は天然の背景には存在しない配列と再結合させられるポリヌクレオチド配列を指す。
【0199】
「組換え」ポリペプチド配列は、「組換え」ポリヌクレオチド配列の翻訳によって生成される。
【0200】
特定の属又は種に由来する本発明のポリヌクレオチド又はポリペプチドに関して用語「由来する」は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドが、その属又は種で天然に見い出されるポリヌクレオチド又はポリペプチドと同様の配列を有することを意味する。従って、特定の属又は種に由来するポリヌクレオチド又はポリペプチドは、合成で又は組換えで生成され得る。
変異体
【0201】
本明細書で使用されるとき、用語「変異体」は、特別に特定された配列とは異なるポリヌクレオチド又はポリペプチドの配列を指し、その際、1以上のヌクレオチド又はアミノ酸が欠失する、置換される又は付加される。変異体は、天然に生じる対立遺伝子の変異体であってもよいし、天然には存在しない変異体であってもよい。変異体は、同一の種又は他の種に由来してもよく、ホモログ、パラログ及びオーソログを包含してもよい。特定の実施形態では、本発明のポリペプチド及びポリペプチドの変異体は、本発明のポリペプチド又はポリペプチドのものと同一である又は類似する生物活性を持つ。ポリペプチド及びポリペプチドに関する用語「変異体」は、本明細書で開示されるポリペプチド及びポリペプチドのすべての形態を包含する。
ポリヌクレオチドの変異体
【0202】
変異体ポリヌクレオチドの配列は好ましくは、本発明の配列と少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも51%、さらに好ましくは少なくとも52%、さらに好ましくは少なくとも53%、さらに好ましくは少なくとも54%、さらに好ましくは少なくとも55%、さらに好ましくは少なくとも56%、さらに好ましくは少なくとも57%、さらに好ましくは少なくとも58%、さらに好ましくは少なくとも59%、さらに好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも61%、さらに好ましくは少なくとも62%、さらに好ましくは少なくとも63%、さらに好ましくは少なくとも64%、さらに好ましくは少なくとも65%、さらに好ましくは少なくとも66%、さらに好ましくは少なくとも67%、さらに好ましくは少なくとも68%、さらに好ましくは少なくとも69%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも71%、さらに好ましくは少なくとも72%、さらに好ましくは少なくとも73%、さらに好ましくは少なくとも74%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも76%、さらに好ましくは少なくとも77%、さらに好ましくは少なくとも78%、さらに好ましくは少なくとも79%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも81%、さらに好ましくは少なくとも82%、さらに好ましくは少なくとも83%、さらに好ましくは少なくとも84%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも86%、さらに好ましくは少なくとも87%、さらに好ましくは少なくとも88%、さらに好ましくは少なくとも89%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも91%、さらに好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも93%、さらに好ましくは少なくとも94%、さらに好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも97%、さらに好ましくは少なくとも98%、及びさらに好ましくは少なくとも99%の同一性を示す。同一性は、本発明のポリヌクレオチドの少なくとも20ヌクレオチドの位置、好ましくは少なくとも50ヌクレオチドの位置、さらに好ましくは少なくとも100ヌクレオチドの位置、及び最も好ましくは全体の長さにわたる比較ウインドウにわたって見つけられる。
【0203】
ポリヌクレオチド配列の同一性は以下の方法にて判定することができる。NCBI((ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)から公的に利用可能であるbl2seq(Tatiana A. Tatusova, Thomas L. Madden (1999, "Blast 2 sequences - a new tool for comparing protein and nucleotide sequences", FEMS Microbiol Lett. 174:247-250))におけるBLASTN (プログラムバージョン2.2.5[Nov 2002]のBLASTパッケージソフト)を用いて、主題のポリヌクレオチド配列を候補ポリヌクレオチドと比較する。低い複雑性部分のフィルタリングをオフにすべきであることを除いてbl2seqの初期設定パラメータを利用する。
【0204】
以下のユニックスコマンドラインのパラメータを用いてポリヌクレオチド配列の同一性を調べてもよい。
bl2seq−iヌクレオチド1−jヌクレオチド2−FF−pblastn
パラメータ−FFは低い複雑性区分のフィルタリングをオフにする。パラメータ−pは、配列の対について適切なアルゴリズムを選択する。bl2seqは、ライン”Identities=”にて同一ヌクレオチドの数と比率の双方として配列同一性を報告する。
【0205】
配列全体の配置構造プログラム(たとえば、Needleman, S. B. and Wunsch, C. D. (1970) J. Mol. Biol. 48, 443-453)を用いて候補ポリヌクレオチド配列と主題のポリヌクレオチド配列の間で重なり合う長さ全体にわたってポリヌクレオチド配列の同一性を計算することもできる。Needleman−Wunschグローバルアライメントアルゴリズムの完全実施は、EMBOSSパッケージ(Rice,P. Longden,I. and Bleasby,A. EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Trends in Genetics June 2000, vol 16, No 6. pp.276-277) におけるニードルプログラムに見い出され、それは、http://www.hgmp.mrc.ac.uk/Software/EMBOSS/から得ることができる。European Bioinformatics Instituteのサーバーもオンラインでhttp:/www.ebi.ac.uk/emboss/align/にて2つの配列間でのEMBOSSニードルグローバルアライメントを実施するような機能も提供する。
【0206】
或いは、末端ギャップに不利益をもたらすことなく2つの配列の最適なグローバルアライメントを計算するGAPプログラムを使用してもよい。GAPは以下の論文Huang,X.(1994)On Global Sequence Alignment.Computer Applications in the Biosciences、10,227−235に記載されている。
【0207】
ポリヌクレオチドの%配列同一性を計算する好まれる方法は、ClustalX(Jeanmougin et al., 1998, Trends Biochem. Sci. 23, 403-5)を用いて比較されるアライニング配列に基づく。
【0208】
本発明のポリヌクレオチド変異体はまた、それらの配列の機能的同等性を保存すると思われる1以上の特別に特定された配列に類似性を示し、無作為な機会によって生じたとは合理的に予想できないものも包含する。ポリペプチドに関するそのような配列類似性は、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)からのプログラム(version 2.2.5 [Nov 2002])のBLASTスイートからの公的に利用可能なbl2seqプログラムを用いて判定されてもよい。
【0209】
以下のユニックスコマンドラインのパラメータを用いてポリヌクレオチド配列の同一性を調べてもよい。
bl2seq−iヌクレオチド1−jヌクレオチド2−FF−ptblastx
パラメータ−FFは低い複雑性区分のフィルタリングをオフにする。パラメータ−pは、配列の対について適切なアルゴリズムを選択する。このプログラムは、配列間の類似性の領域を見つけ、無作為配列を含有する固定参照サイズのデータベースにて偶然、そのような一致を見るように期待できる回数の予測数である「E値」をそのような各領域について報告する。このデータベースのサイズは、Bl2seqプログラムにおける初期設定によって設定される。1よりはるかに小さい、小さなE値については、E値はそのような無作為の一致のおよその確率である。
【0210】
特別に特定された配列のいずれか1つと比べると、変異ポリヌクレオチド配列は好ましくは1×10−6未満の、さらに好ましくは1×10−9未満の、さらに好ましくは1×10−12未満の、さらに好ましくは1×10−15未満の、さらに好ましくは1×10−18未満の、さらに好ましくは1×10−21未満の、さらに好ましくは1×10−30未満の、さらに好ましくは1×10−40未満の、さらに好ましくは1×10−50未満の、さらに好ましくは1×10−60未満の、さらに好ましくは1×10−70未満の、さらに好ましくは1×10−80未満の、さらに好ましくは1×10−90未満の、及び最も好ましくは1×10−100未満のE値を示す。
【0211】
或いは、本発明の又は本発明の方法で使用される変異体ポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下にて、特定されたポリヌクレオチド配列又はその相補体とハイブリッド形成する。
【0212】
用語「ストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する」及びその文法的同等物は、温度及び塩濃度の規定された条件下で標的ポリヌクレオチド分子(たとえば、サザンブロットやノーザンブロットのようなDNA又はRNAのブロット上に不動化された標的ポリヌクレオチド分子)とハイブリッド形成するポリヌクレオチド分子の能力を指す。ストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する能力は、厳密性の低い条件下で先ずハイブリッド形成を行い、次いで所望の厳密性まで厳密性を高めることによって判定することができる。
【0213】
長さ約100塩基より大きいポリヌクレオチド分子に関して、典型的なストリンジェントなハイブリッド形成条件は、天然の二本鎖の融点(Tm)より25〜30℃以下低い温度である(一般にSambrook et al., Eds, 1987, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Press; Ausubel et al., 1987, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishingを参照)。約100塩基より大きいポリヌクレオチド分子のTmは、式Tm=81.5+0.41%(G+C−log(Na)によって計算することができる(Sambrook et al., Eds, 1987, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Press; Bolton and McCarthy, 1962, PNAS 84:1390)。100塩基より大きいポリヌクレオチドについての典型的なストリンジェントな条件は、たとえば、6×SSC、0.2%SDSの溶液における予備洗浄;65℃、6×SSC、0.2%SDSにおける一晩のハイブリッド形成;その後の1×SSC、0.1%SDS、65℃での30分間の2回の洗浄及び0.2×SSC、0.1%SDS、65℃での30分間の2回の洗浄のようなハイブリッド形成条件である。
【0214】
100塩基未満の長さを有するポリヌクレオチド分子に関して、例となるストリンジェントなハイブリッド形成条件は、Tmより5〜10℃低い。平均して、100bp未満の長さのポリヌクレオチド分子のTmは、およそ(500/オリゴヌクレオチドの長さ)℃低下する。
【0215】
ペプチド核酸(PNA)として知られるDNA模倣体(Nielsen et al., Science. 1991 Dec 6;254(5037):1497-500)に関して、Tmの値は、DNA/DNAハイブリッド又はDNA/RNAハイブリッドのものより高く、Giesenら、Nucleic Acids Res.1998、Nov.1;26(21):5004−6に記載された式を用いて計算することができる。100塩基未満の長さを有するDNA/PNAハイブリッドの例となるストリンジェントなハイブリッド形成条件は、Tmより5〜10℃低い。
【0216】
本発明の、又は本発明の方法で使用される変異体ポリヌクレオチドは、本発明の配列とは異なるが、遺伝子コードの縮重の結果、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに類似した活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも包含する。ポリペプチドのアミノ酸配列を変えない配列の変化は「サイレント変異」である。ATG(メチオニン)とTGG(トリプトファン)を除いて、同一アミノ酸についてのそのほかのコドンを認識された方法によって変更し、特定の宿主生物でのコドン発現を最適化し得る。
【0217】
その生物活性を有意に変えることなく、コードされたポリペプチド配列にて1又は数個のアミノ酸の保存的置換を生じるポリヌクレオチドの配列変化も本発明に含まれる。熟練者は表現型上サイレントな置換を作製する方法を認識するであろう(たとえば、Bowie et al., 1990, Science 247, 1306を参照)。
【0218】
コードされたポリペプチド配列におけるサイレント変異及び保存的置換による変異体ポリヌクレオチドは、前に記載したtblastxアルゴリズムを介した、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)からのプログラム(version 2.2.5 [Nov 2002])のBLASTスイートからの公的に利用可能なbl2seqプログラムを用いて判定されてもよい。
ポリペプチド変異体
【0219】
ポリペプチドに関する用語「変異体」は、天然に存在する、組換え的に及び合成的に作製されるポリペプチドを包含する。変異体ポリペプチド配列は、本発明の配列に対して少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも52%、さらに好ましくは少なくとも53%、さらに好ましくは少なくとも54%、さらに好ましくは少なくとも55%、さらに好ましくは少なくとも56%、さらに好ましくは少なくとも57%、さらに好ましくは少なくとも58%、さらに好ましくは少なくとも59%、さらに好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも61%、さらに好ましくは少なくとも62%、さらに好ましくは少なくとも63%、さらに好ましくは少なくとも64%、さらに好ましくは少なくとも65%、さらに好ましくは少なくとも66%、さらに好ましくは少なくとも67%、さらに好ましくは少なくとも68%、さらに好ましくは少なくとも69%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも71%、さらに好ましくは少なくとも72%、さらに好ましくは少なくとも73%、さらに好ましくは少なくとも74%、さらに好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも76%、さらに好ましくは少なくとも77%、さらに好ましくは少なくとも78%、さらに好ましくは少なくとも79%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも81%、さらに好ましくは少なくとも82%、さらに好ましくは少なくとも83%、さらに好ましくは少なくとも84%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも86%、さらに好ましくは少なくとも87%、さらに好ましくは少なくとも88%、さらに好ましくは少なくとも89%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも91%、さらに好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも93%、さらに好ましくは少なくとも94%、さらに好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも97%、さらに好ましくは少なくとも98%、及びさらに好ましくは少なくとも99%の同一性を示す。同一性は、本発明のポリペプチドの少なくとも20アミノ酸の位置、好ましくは少なくとも50アミノ酸の位置、さらに好ましくは少なくとも100アミノ酸の位置、及び最も好ましくは本発明のポリペプチドの全体の長さにわたる比較ウインドウにわたって見つけられる。
【0220】
ポリペプチド配列の同一性は以下の方法にて判定することができる。NCBI((ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)から公的に利用可能であるbl2seqにおけるBLASTN (プログラムバージョン2.2.5[Nov 2002]のBLASTパッケージソフト)を用いて、主題のポリペプチド配列を候補ポリペプチド配列と比較する。低い複雑性領域のフィルタリングをオフにすべきであることを除いてbl2seqの初期設定パラメータを利用する。
【0221】
ポリペプチド配列の同一性は、グローバル配列アライメントプログラムを用いて候補と主題のポリヌクレオチド配列の間での重なり合いの全体の長さにわたって計算することもできる。上記で議論したようなEMBOSS/ニードル(http:/www.ebi.ac.uk/emboss/align/にて利用可能)及びGAP(Huang, X. (1994) On Global Sequence Alignment. Computer Applications in the Biosciences 10, 227-235.)もポリペプチド配列の同一性を計算するのに好適なグローバル配列アライメントプログラムである。
【0222】
ポリペプチドの%配列同一性を計算する好まれる方法は、ClustalX(Jeanmougin et al., 1998, Trends Biochem. Sci. 23, 403-5)を用いて比較されるアライニング配列に基づく。
【0223】
本発明の又は本発明の方法で使用されるポリペプチド変異体はまた、それらの配列の機能的同等性を保存すると思われる1以上の特別に特定された配列に類似性を示し、無作為な機会によって生じたとは合理的に予想できないものも包含する。ポリペプチドに関するそのような配列類似性は、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)からのプログラム(version 2.2.5 [Nov 2002])のBLASTスイートからの公的に利用可能なbl2seqプログラムを用いて判定されてもよい。以下のユニックスコマンドラインのパラメータを用いてポリペプチド配列の同一性を調べてもよい。
bl2seq−iヌクレオチド1−jヌクレオチド2−FF−pblastp
【0224】
特別に特定された配列のいずれか1つと比べると、変異ポリペプチド配列は好ましくは1×10−6未満の、さらに好ましくは1×10−9未満の、さらに好ましくは1×10−12未満の、さらに好ましくは1×10−15未満の、さらに好ましくは1×10−18未満の、さらに好ましくは1×10−21未満の、さらに好ましくは1×10−30未満の、さらに好ましくは1×10−40未満の、さらに好ましくは1×10−50未満の、さらに好ましくは1×10−60未満の、さらに好ましくは1×10−70未満の、さらに好ましくは1×10−80未満の、さらに好ましくは1×10−90未満の、及び最も好ましくは1×10−100未満のE値を示す。
【0225】
パラメータ−FFは低い複雑性区分のフィルタリングをオフにする。パラメータ−pは、配列の対について適切なアルゴリズムを選択する。このプログラムは、配列間の類似性の領域を見つけ、無作為配列を含有する固定参照サイズのデータベースにて偶然、そのような一致を見るように期待できる回数の予測数である「E値」をそのような各領域について報告する。1よりはるかに小さい、小さなE値については、これはそのような無作為の一致のおよその確率である。
【0226】
その生物活性を有意に変えることのない、記載されたポリペプチド配列の1又は数個のアミノ酸の保存的置換も本発明に含まれる。熟練者は表現型上サイレントな置換を作製する方法を認識するであろう(たとえば、Bowie et al., 1990, Science 247, 1306を参照)。
構築物、ベクター及びその成分
【0227】
用語「遺伝子構築物」は、たとえば、cDNA分子のような、しかし、これに限定されない別のポリヌクレオチド分子(挿入ポリヌクレオチド分子)に挿入されていてもよいポリヌクレオチド分子、たとえば、普通、二本鎖DNAを指す。遺伝子構築物は、挿入ポリヌクレオチド分子を転写すること、及び任意で転写物をポリペプチドに翻訳することを可能にする必要な要素を含有し得る。挿入ポリヌクレオチド分子は、宿主細胞に由来してもよいし、又は異なった細胞若しくは生物に由来してもよいし、及び/又は組換えポリヌクレオチドであってもよい。いったん宿主細胞の中に入ると、遺伝子構築物は宿主の染色体DNAと一体になり得る。遺伝子構築物はベクターに連結されてもよい。
【0228】
用語「ベクター」は、遺伝子構築物を宿主細胞に運ぶのに使用されるポリヌクレオチド分子、普通二本鎖DNAを指す。ベクターは、大腸菌のような少なくとも1つの追加の宿主系での複製が可能である。
【0229】
用語「発現構築物」は、挿入ポリヌクレオチド分子を転写すること、及び任意で転写物をポリペプチドに翻訳することを可能にする必要な要素を含む遺伝子構築物を指す。発現構築物は通常、5’から3’の方向に、
(a)構築物が形質転換される宿主細胞にて機能的なプロモータと、
(b)発現されるポリヌクレオチドと、
(c)構築物が形質転換される宿主細胞にて機能的なターミネータ
を含む。
【0230】
用語「コーディング領域」又は「オープンリーディングフレーム」(ORF)は、適切な調節配列の制御下で転写産物及び/又はポリペプチドを生成することが可能であるゲノムDNA配列又はcDNA配列のセンス鎖を指す。コーディング配列は、場合によっては、5’翻訳開始コドン及び3’翻訳停止コドンの存在によって特定され得る。遺伝子構築物に挿入されると、「コーディング配列」はそれがプロモータ及びターミネータの配列に操作可能に連結された場合、発現することができる。
【0231】
「操作可能に連結される」は、発現させる配列が、プロモータ、組織特異的調節要素、一時的な調節要素、エンハンサ、リプレッサ及びターミネータを含む調節要素の制御下に置かれることを意味する。
【0232】
用語「非コーディング領域」は、翻訳開始部位の上流と翻訳停止部位の下流である非翻訳配列を指す。これらの配列もまたそれぞれ、5’UTR及び3’UTRと呼ばれる。これらの領域には、転写の開始と停止、mRNAの安定性、及び翻訳効率の調節に必要とされる要素が含まれる。
【0233】
ターミネータは、転写を終了させ、翻訳された配列の下流の遺伝子の3’非翻訳末端に見い出される配列である。ターミネータは、mRNA安定性の重要な決定基であり、場合によっては空間調節機能を有することが見い出されている。
【0234】
用語「プロモータ」は、遺伝子の転写を調節する、コーディング領域の上流の非転写シス調節要素を指す。プロモータは、転写開始位置及びたとえば、TATAボックスのような保存されたボックスを特定するシス開始要素と、転写因子によって結合するモチーフを含む。コーディング配列内のイントロンもまた転写を調節することができ、転写後プロセッシング(スプライシング、キャッピング及びポリアデニル化を含む)に影響を与えることができる。
【0235】
プロモータは、発現させるポリヌクレオチドに関して相同であってもよい。このことは、プロモータとポリヌクレオチドが天然で操作可能に連結されて見い出されることを意味する。
【0236】
或いは、プロモータは、発現させるポリヌクレオチドに関して非相同であってもよい。このことは、プロモータとポリヌクレオチドが天然で操作可能に連結されて見い出されないことを意味する。
【0237】
「導入遺伝子」は、生物の1つから取りされ、形質転換によって別の生物に導入されるポリヌクレオチドである。導入遺伝子は、導入遺伝子が導入される生物の種と同一の種又は異なった種に由来してもよい。
【0238】
「逆方向反復」は、反復の後半が、たとえば、
(5’)GATCTA…….TAGATC(3’)
(3’)CTAGAT…….ATCTAG(5’)のように、
相補鎖である反復する配列である。
【0239】
読み過ごし転写は、反復領域間に3〜5bpのスペーサーがあるという条件で相補的塩基の対合を受けてヘアピン構造を形成する転写物を生成する。
宿主細胞
【0240】
宿主細胞は、たとえば、細菌、真菌、酵母、昆虫、哺乳類、藻類又は植物の生物に由来してもよい。宿主細胞は合成細胞であってもよい。好まれる宿主細胞は真核細胞である。特に好まれる宿主細胞は植物細胞、特に植物の成長組織の植物細胞である。
【0241】
「トランスジェニック植物」は、遺伝子操作又は形質転換の結果、新しい遺伝物質を含有する植物を指す。新しい遺伝物質は、得られるトランスジェニック植物と同一種の植物又は異なった種の植物に由来してもよい。
ポリヌクレオチドを単離する又は作出する方法
【0242】
当業者に既知の種々の技法を用いて本発明のポリヌクレオチド分子を単離することができる。例証として、そのようなポリヌクレオチドは、参照によって本明細書に組み入れられるMullisら編、1994、The Polymerase Chain Reaction,Birkhauserに記載されたポリメラーゼ鎖反応の使用を介して単離することができる。本発明のポリヌクレオチドは、本明細書で定義されるような、本発明のポリヌクレオチドに由来するプライマーを用いて増幅することができる。
【0243】
本発明のポリヌクレオチドを単離するさらなる方法には、ハイブリッド形成プローブとしての、本明細書で言及される配列を有するポリペプチドのすべて又は一部の使用が含まれる。たとえば、ニトロセルロースフィルター又はナイロン膜のような固形支持体に不動化したポリヌクレオチドに標識したポリヌクレオチドプローブをハイブリッド形成させる技法を用いてゲノムDNAライブラリ又はcDNAライブラリをスクリーニングすることができる。例となるハイブリッド形成及び洗浄の条件は:5.0×SSC、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム、1×Denhardtの溶液における65℃での20時間のハイブリッド形成;0.1×SSC、1%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウムにおける洗浄(各55℃で20分間の洗浄を3回)、及び任意で0.5×SSC、1%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウムにおける60℃での洗浄を1回(20分間)である。任意のさらなる洗浄(20分間)は、60℃にて0.1×SSC、1%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウムの条件下で実施することができる。
【0244】
本発明のポリヌクレオチド断片は、たとえば、制限エンドヌクレアーゼ消化、オリゴヌクレオチド合成及びPCR増幅のような当該技術で周知の技法によって生成され得る。
【0245】
当該技術で周知の方法で部分ポリヌクレオチド配列を用いて相当する完全長のポリヌクレオチド配列を特定してもよい。そのような方法には、PCRに基づく方法、5’RACE(Frohman MA, 1993, Methods Enzymol. 218: 340-56)及びハイブリッド形成に基づく方法、コンピュータ/データベースに基づく方法が挙げられる。さらに、例証として、逆PCRによって、本明細書で開示されるポリヌクレオチド配列に隣接し、既知の領域に基づくプライマーで開始する未知の配列の獲得が可能になる(参照によって本明細書に組み入れられるTriglia et al., 1998, Nucleic Acids Res 16, 8186)。方法は幾つかの制限酵素を用いて遺伝子の既知の領域における好適な断片を生成する。次いで分子内連結によって断片を環化し、PCR鋳型として使用する。多様なプライマーが既知の領域から設計される。完全長のクローンを物理的に組み立てるために、標準的な分子生物学のアプローチを利用することができる(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Press, 1987)。
【0246】
特定の種からトランスジェニック植物を作製する場合、その種に由来する配列(単数)又は配列(複数)でそのような植物を形質転換することが有益であり得る。利益は、トランスジェニック生物を生成することにおける種間形質転換に関する一般の懸念を軽くするかもしれない。さらに、遺伝子の下方調節が所望の結果である場合、低下した発現が所望である植物におけるそれと同一の(少なくとも高度に類似した)配列を利用することが必要なのかも知れない。とりわけこれらの理由で、幾つかの異なった植物種において特定の遺伝子のオーソログを特定し、単離することができることが望ましい。
【0247】
記載される方法によって変異体(オーソログを含む)が特定されてもよい。
変異体を特定する方法
物理的方法
【0248】
PCRに基づく方法(Mullis et al., Eds. 1994 The Polymerase Chain Reaction, Birkhauser)を用いて変異体ポリヌクレオチドが特定されてもよい。通常、PCRによって本発明のポリヌクレオチド分子の変異体を増幅するのに有用なプライマーのポリヌクレオチド配列は、相当するアミノ酸配列の保存された領域をコードする配列に基づいてもよい。
【0249】
或いは、当業者に周知のライブラリスクリーニング法を採用してもよい(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Press, 1987)。プローブ配列の変異体を特定する場合、正確な配列の一致を求める場合に比べてハイブリッド形成及び/又は洗浄の厳密性を通常軽減する。
【0250】
たとえば、本発明のポリペプチドに対して産生させた抗体を用いて発現ライブラリをスクリーニングすることによって(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Press, 1987)、又はそのような抗体の助けを借りて天然の供給源からポリペプチドを特定することによって、物理的方法によりポリペプチド変異体も特定されてもよい。
コンピュータに基づく方法
【0251】
ポリヌクレオチド及びポリペプチド双方の変異体を含む本発明の変異体の配列は、パブリックドメイン配列アライメントアルゴリズム及び配列データベースを検索する配列類似性検索ツールを用いた、当業者に周知のコンピュータに基づく方法によって特定されてもよい(パブリックドメインデータベースには、Genbank、EMBL、Swiss−Prot、PIRなどが挙げられる)。オンライン情報源については、たとえば、Nucleic Acids Res.29:1−10及び11−16,2001を参照のこと。類似性検索は、解析される配列(すなわち、問い合わせ配列)との比較のために標的配列を見つけ、並べる。配列比較アルゴリズムは、スコア化マトリクスを用いて配置構造のそれぞれに全体のスコアを割り振る。
【0252】
配列データベースにて変異体を特定するのに有用なプログラムの例となるファミリーは、BLASTN、BLASTP、BLASTX、tBLASTN及びtBLASTXを含むプログラム(バージョン2.2.5[Nov2002])のBLASTスイートであり、それは、(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)から、又は米国20894、MD、ベセスダ、38Aビル、8N805号室、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の国立医学図書館から公的に利用可能である。NCBIのサーバーはまた、多数の公的に利用可能な配列データベースをスクリーニングするプログラムを使用するための施設も提供する。BLASTNはヌクレオチド配列データベースに対してヌクレオチド問い合わせ配列を比較する。BLASTPはタンパク質配列データベースに対してアミノ酸問い合わせ配列を比較する。BLASTXはタンパク質配列データベースに対して読み取りフレームすべてで翻訳されたヌクレオチド問い合わせ配列を比較する。tBLASTNは読み取りフレームすべてで動的に翻訳されたヌクレオチド配列データベースに対してタンパク質問い合わせ配列を比較する。tBLASTXはヌクレオチド配列データベースの6フレーム翻訳に対してヌクレオチド問い合わせ配列の6フレーム翻訳を比較する。BLASTプログラムは初期設定パラメータと共に使用してもよく、又はスクリーニングを純化するのに必要とされるようにパラメータを変更してもよい。
【0253】
BLASTN、BLASTP及びBLASTXを含む、アルゴリズムのBLASTファミリーの使用は、Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389−3402,1997の出版物にて記載されている。
【0254】
BLASTN、BLASTP、BLASTX、tBLASTN、tBLASTX又は類似のアルゴリズムにより生成された問い合わせ配列による1以上のデータベース配列への「ヒット」は、配列の類似した部分を並べ、特定する。類似性の程度と配列の重なり合いの長さの順にヒットが配置される。データベースの配列へのヒットは一般に問い合わせ配列の配列長さの画分にわたってのみ重なり合いを表す。
【0255】
BLASTN、BLASTP、BLASTX、tBLASTN及びtBLASTXのアルゴリズムはアライメントについての「期待」値も生成する。期待値(E)は、無作為の連続する配列を含有する同一サイズのデータベースを検索する際、偶然見るのを期待することが出来るヒットの数を示す。期待値は、データベースへのヒットが真の類似性を示すかどうかを判定するための有意な閾値として使用される。たとえば、ポリヌクレオチドのヒットに割り振られた0.1のE値は、スクリーニングされるデータベースのサイズのデータベースにて単に偶然、類似のスコアで並べた配列の部分にわたって0.1の一致を見ることを期待できることを意味すると解釈される。並べられ、一致した部分にわたって0.01以下のE値を有する配列については、データベースで偶然、一致を見つける確率は、BLASTN、BLASTP、BLASTX、tBLASTN、又はtBLASTXのアルゴリズムを用いて1%以下である。
【0256】
関連する配列の一群の複数の配列アライメントは、CLUSTALW(Thompson, J.D., Higgins, D.G. and Gibson, T.J. (1994) CLUSTALW: improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting, positions-specific gap penalties and weight matrix choice. Nucleic Acids Research, 22:4673-4680, http://www-igbmc.u-strasbg.fr/BioInfo/ClustalW/Top.html)又はT−COFFEE(Cedric Notredame, Desmond G. Higgins, Jaap Heringa, T-Coffee: A novel method for fast and accurate multiple sequence alignment, J. Mol. Biol. (2000) 302: 205-217))、又はPILEUPによって実施することができ、それは、進行性の対合アライメント(Feng and Doolittle, 1987, J. Mol. Evol. 25, 351)を使用する。
【0257】
モチーフ又は特徴的配列を見つけるのにパターン認識ソフトウエアの適用が利用可能である。たとえば、MEME(モチーフ誘出用の複数のEm)は、一連の配列でモチーフ及び特徴的配列を見つけ出し、MAST(モチーフアライメント及び検索ツール)はこれらのモチーフを用いて問い合わせ配列にて類似の又は同一のモチーフを特定する。MASTの結果は、適切な統計データと見つけたモチーフの視覚的概観と共に一連のアライメントとして提供される。MEME及びMASTはサンディエゴのカリフォルニア大学で開発された。
【0258】
PROSITE(Bairoch and Bucher, 1994, Nucleic Acids Res. 22, 3583; Hofmann et al., 1999, Nucleic Acids Res. 27, 215)は、ゲノムDNA配列又はcDNA配列から翻訳された未同定のタンパク質の機能を特定する方法である。PROSITEデータベース(www.expasy.org/prosite)は、生物学的に有意なパターンと特性を含有し、適当なコンピュータツールと共に用いてタンパク質の既知のファミリーに新しい配列を割り振ることができ、又はどの既知のドメインが配列に存在するかを判定できるように設計される(Falquet et al., 2002, Nucleic Acids Res. 30, 235)。プロサーチは、所与の配列のパターン又は特徴によってSWISS−PROT及びEMBLのデータベースを検索することができるツールである。
ポリペプチドを単離する方法
【0259】
変異体ポリペプチドを含む、本発明の、又は本発明の方法で使用されるポリペプチドは、たとえば、固相法を用いた直接ペプチド合成(たとえば、Stewart et al., 1969, in Solid-Phase Peptide Synthesis, WH Freeman Co, San Francisco California, or automated synthesis, for example using an Applied Biosystems 431A Peptide Synthesizer (Foster City, California))のような当該技術で周知のペプチド合成法を用いて調製され得る。ポリペプチドの変異のある形態も合成の間に生成され得る。
【0260】
本発明の、又は本発明の方法で使用されるポリペプチド及び変異体ポリペプチドはまた、当該技術で周知の種々の技法(たとえば、Deutscher, 1990, Ed, Methods in Enzymology, Vol. 182, Guide to Protein Purification)を用いて天然の供給源から精製され得る。
【0261】
或いは、本発明の、又は本発明の方法で使用されるポリペプチド及び変異体ポリペプチドは、好適な宿主細胞で組換え的に発現させ、以下で議論するように細胞から分離され得る。
構築物及びベクターを作製する方法
【0262】
本発明の遺伝子構築物は、1以上の本発明のポリヌクレオチド配列及び/又は本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、たとえば、細菌、真菌、昆虫、哺乳類、又は植物の生物を形質転換するのに有用である。本発明の遺伝子構築物は、本明細書で定義されるような発現構築物を含むように意図される。
【0263】
遺伝子構築物及びベクターを作製し、使用する方法は当該技術で周知であり、一般にSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Press,1987;Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing,1987に記載されている。
ポリヌクレオチド、構築物又はベクターを含む宿主細胞を作製する方法
【0264】
本発明は、本発明の遺伝子構築物又はベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0265】
本発明の発現構築物のような遺伝子構築物を含む宿主細胞は、本発明のポリペプチドの組換え作製のための当該技術で周知の方法(たとえば、Sambrook et al., Molecular Cloning : A Laboratory Manual, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Press, 1987 ; Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing, 1987)で有用である。そのような方法には、本発明のポリペプチドの発現に好適な又はその誘導性である条件にて適当な培地における宿主細胞の培養が関与し得る。任意で培養物に分泌されてもよい発現された組換えポリペプチドは当該技術で周知の方法(たとえば、Deutscher, Ed, 1990, Methods in Enzymology, Vol 182, Guide to Protein Purification)によって培地、宿主細胞、又は培養培地から分離され得る。
構築物又及びベクターを含む植物細胞及び植物を作製する方法
【0266】
本発明はさらに、本発明の遺伝子構築物を含む植物細胞、及び本発明の、又は本発明の方法で使用されるポリヌクレオチド又はポリペプチドの発現を変更するように改変された植物細胞を提供する。そのような細胞を含む植物も本発明の態様を形成する。
【0267】
植物細胞、植物及びその一部をポリペプチドで形質転換する方法は、Draperら、1988,Plant Genetic Transformation and Gene Expression.A Laboratory ManualBlackwell Sci.Pub.Oxford,p.365;Potrykus及びSpangenburg,1995,Gene Transfer to Plants.Springer−Verlag,Berlin.;及びGelvinら、1993,Plant Molecular Biol.Manual.Kluwer Acad.Pub.Dordrecht.に記載されている。形質転換法を含むトランスジェニック植物の概説は、Galun及びBreiman,1997,Transgenic Plants.Imperial College Press,Londonに提供されている。
植物の遺伝子操作の方法
【0268】
多数の植物形質転換の戦略が利用可能である(たとえば、Birch, 1997, Ann Rev Plant Phys Plant Mol Biol, 48, 297, Hellens RP, et al (2000) Plant Mol Biol 42: 819-32, Hellens R et al Plant Meth 1: 13)。たとえば、戦略は、その際/その時、それが正常に発現される場合、植物細胞、器官にて及び/又は特定の発達段階にてポリヌクレオチド/ポリペプチドの発現を高めるように設計されてもよく、又はその際/その時、それが正常に発現されない場合、細胞、組織、器官における、及び/又は特定の発達段階におけるポリヌクレオチド/ポリペプチドを異所性に発現するように設計されてもよい。発現されたポリヌクレオチド/ポリペプチドは、形質転換される植物種に由来してもよいし、又は異なった植物種に由来してもよい。
【0269】
形質転換戦略は、正常に発現される場合、細胞、組織、器官における、及び/又は特定の発達段階でのポリヌクレオチド/ポリペプチドの発現を低下させるように設計され得る。そのような戦略は遺伝子サイレンシング戦略として知られる。
【0270】
トランスジェニック植物における遺伝子の発現のための遺伝子構築物は通常、1以上のクローン化ポリヌクレオチドの発現を駆動するためのプロモータと、ターミネータと、形質転換された植物における遺伝子構築物の存在を検出するための選択可能なマーカー配列を含む。
【0271】
本発明の構築物での使用に好適なプロモータは、単子葉又は双子葉の植物の細胞、組織又は器官にて機能的であり、細胞−、組織−及び器官−に特異的なプロモータ、細胞周期特異的プロモータ、一過性プロモータ、誘導性プロモータ、ほとんどの植物組織で活性がある構成的プロモータ及び組換えプロモータが挙げられる。プロモータの選択は、そのように所望したクローン化したポリヌクレオチドの一時的な発現及び空間的な発現に左右される。プロモータは、当該導入遺伝子に正常に関連したもの、又はそのほかの植物、ウイルス、並びに植物の病原性細菌及び真菌の遺伝子に由来するプロモータであってもよい。当業者は、過度の実験を行わずに、本発明のポリヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を用いて植物の形質を改変し、調節するのに好適であるプロモータを選択することができるであろう。構成的な植物プロモータの例には、CaMV35Sプロモータ、ノパリンシンターゼプロモータ及びオクトピンシンターゼプロモータ、及びトウモロコシのUbiプロモータが挙げられる。特定の組織で活性があり、内部の発生シグナル又は外部の非生物若しくは生物のストレスに応答する植物プロモータは科学文献に記載されている。例となるプロモータは、たとえば、WO02/00894に記載されており、それは参照によって本明細書に組み入れられる。
【0272】
植物の形質転換用遺伝子構築物で一般に使用される例となるターミネータには、たとえば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sターミネータ、Agrobacterium tumefaciensのノパリンシンターゼ若しくはオクトピンシンターゼのターミネータ、Zea maysのゼイン遺伝子のターミネータ、Oryza sativaのADP−グルコースピロホスホリラーゼのターミネータ及びSolanum tuberosumのPI−IIターミネータが挙げられる。
【0273】
植物の形質転換で一般に使用される選抜可能なマーカーには、カナマイシン耐性を付与するネオマイシンホスホトランスフェラーゼII遺伝子(NPTII)、スペクチノマイシンとストレプトマイシンの耐性を付与するaadA遺伝子、Ignite(AgrEvo)及びBasta(Hoechst)の耐性のためのホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(bar遺伝子)、及びハイグロマイシン耐性のためのハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hpt)遺伝子が挙げられる。
【0274】
植物及び植物組織でのプロモータ発現解析に使用され得るレポーター遺伝子(宿主に対して外来性である活性、普通、酵素活性及び/又は視覚シグナル(たとえば、ルシフェラーゼ、GUS、GFP)を発現するコーディング配列)を含む遺伝子構築物の使用も企図される。レポーター遺伝子の文献は、Herrera−Estrellaら、1993,Nature、303,209,及びSchrott,1995,In:Gene Transfer to Plants(Potrykus,T.,Spangenberg.Eds)Springer Verlag.Berline,pp.325−336で概説されている。
【0275】
以下は、以下の植物種を遺伝的に形質転換するのに使用することができる遺伝情報プロトコールを開示する代表的な出版物である:コメ(Alam et al., 1999, Plant Cell Rep. 18, 572);リンゴ(Yao et al., 1995, Plant Cell Reports 14, 407-412);トウモロコシ(米国特許第5,177,010号及び同第5,981,840号);コムギ(Ortiz et al., 1996, Plant Cell Rep. 15, 1996, 877);トマト(米国特許第5,159,135号);ジャガイモ(Kumar et al., 1996 Plant J. 9, : 821);キャッサバ(Li et al., 1996 Nat. Biotechnology 14, 736);レタス(Michelmore et al., 1987, Plant Cell Rep. 6, 439);タバコ(Horsch et al., 1985, Science 227, 1229);綿(米国特許第5,846,797号及び同第5,004,863号);イネ(米国特許第5,187,073号及び同第6.020,539号);ペパーミント(Niu et al., 1998, Plant Cell Rep. 17, 165);柑橘植物(Pena et al., 1995, Plant Sci.104, 183);キャラウェイ(Krens et al., 1997, Plant Cell Rep, 17, 39);バナナ(米国特許第5,792,935号);大豆(米国特許第5,416,011号;同第5,569,834号;同第5,824,877号;同第5,563,04455号及び同第5,968,830号);パイナップル(米国特許第5,952,543号);ポプラ(米国特許第4,795,855号);一般の単子葉植物(米国特許第5,591,616号及び同第6,037,522号);アブラナ(米国特許第5,188,958号;同第5,463,174号及び同第5,750,871号);シリアル(米国特許第6,074,877号);西洋ナシ(Matsuda et al., 2005, Plant Cell Rep. 24(1):45-51);サクラ属(Ramesh et al., 2006 Plant Cell Rep. 25(8):821-8; Song and Sink 2005 Plant Cell Rep. 2006 ;25(2):117-23; Gonzalez Padilla et al., 2003 Plant Cell Rep.22(1):38-45);イチゴ(Oosumi et al., 2006 Planta. 223(6):1219-30; Folta et al., 2006 Planta Apr 14; PMID: 16614818);バラ(Li et al., 2003);キイチゴ(Graham et al., 1995 Methods Mol Biol. 1995;44:129-33);トマト(Dan et al., 2006, Plant Cell Reports V25:432-441);リンゴ(Yao et al., 1995, Plant Cell Rep. 14, 407−412);キャノーラ(Brassica napus L.).(Cardoza and Stewart, 2006 Methods Mol Biol. 343:257-66);ベニバナ(Orlikowska et al, 1995, Plant Cell Tissue and Organ Culture 40:85-91);ライグラス(Altpeter et al, 2004 Developments in Plant Breeding 11(7):255-250);コメ(Christou et al, 1991 Nature Biotech. 9:957-962);トウモロコシ(Wang et al 2009 In: Handbook of Maize pp. 609-639);及びActinidia eriantha(Wang et al., 2006, Plant Cell Rep. 25,5: 425-31)。そのほかの種の形質転換も本発明によって企図される。好適な方法及びプロトコールは科学文献にて入手可能である。
植物
【0276】
用語「植物」は、植物全体、植物の一部、植物の種子、果実、珠芽、及び子孫を含めることが意図される。
【0277】
用語「珠芽」は、種子及び挿し木を含めて有性又は無性のいずれかで生殖又は伝搬に使用され得る植物の一部を意味する。
【0278】
本発明の植物は、自分自身で成長してもよいし、成長して異なった植物株と交配してもよく、所望の表現型の特徴を持つ、得られる交配種が特定されてもよい。2以上の世代を成長させて、主題の表現型の特徴が安定して維持され、遺伝することを確保してもよい。そのような標準的な育種法で生じる植物も本発明の態様を形成する。
【0279】
略記
オレオシン(又はOle)_0−0は操作されたシステインを含まないオレオシンを意味する。
オレオシン(又はOle)_1−1は各親水性鎖に操作されたシステインを1つ持つオレオシンを意味する。
オレオシン(又はOle)_1−3はN末端の親水性鎖に操作されたシステインを1つとC末端の親水性鎖に操作されたシステインを3つ持つオレオシンを意味する。
オレオシン(又はOle)_3−1は、N末端の親水性鎖に操作されたシステインを3つとC末端の親水性鎖に操作されたシステインを1つ持つオレオシンを意味する。
オレオシン(又はOle)_3−3はN末端の親水性鎖に操作されたシステインを3つとC末端の親水性鎖に操作されたシステインを3つ持つオレオシンを意味する。
オレオシン(又はOle)_5−6はN末端の親水性鎖に操作されたシステインを5つとC末端の親水性鎖に操作されたシステインを6つ持つオレオシンを意味する。
オレオシン(又はOle)_6−7はN末端の親水性鎖に操作されたシステインを6つとC末端の親水性鎖に操作されたシステインを7つ持つオレオシンを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0280】
【図1】オレオシン_0−0とDGAT1(S205A)の構築物の構造を示す図である。CaMV35はカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモータである。attB1はGATEWAY(商標)組換え部位である。UBQ10はシロイヌナズナのUBQ10遺伝子からのイントロンである。OCSターミネータはオクトピンシンターゼのターミネータである。
【図2】シロイヌナズナで形質転換する場合のオレオシン_1−1とDGAT1(S205A)の構築物の配置を示す図である。
【図3】オレオシン_1−3とDGAT1(S205A)の構築物の配列を示す図である。CaMV35はカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモータである。attB1はGATEWAY(商標)組換え部位である。UBQ10はシロイヌナズナのUBQ10遺伝子からのイントロンである。OCSターミネータはオクトピンシンターゼのターミネータである。
【図4】オレオシン_3−1とDGAT1(S205A)の構築物を示す図である。CaMV35はカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモータである。attB1はGATEWAY(商標)組換え部位である。UBQ10はシロイヌナズナのUBQ10遺伝子からのイントロンである。OCSターミネータはオクトピンシンターゼのターミネータである。
【図5】オレオシン_3−3とDGAT1(S205A)の構築物を示す図である。CaMV35はカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモータである。attB1はGATEWAY(商標)組換え部位である。UBQ10はシロイヌナズナのUBQ10遺伝子からのイントロンである。OCSターミネータはオクトピンシンターゼのターミネータである。
【図6】植物を形質転換するのに使用される構築物pRSh1のマップを示す図である。マップは、CaMV35Sプロモータの制御下にあるシロイヌナズナDGAT1(S205A)と同様にCaMV35Sプロモータの制御下にある人工的に導入されたシステイン(この場合、Oleo_3−3)を持つオレオシンの配置を示す。そのほかのオレオシン配列及びTAG合成酵素の配列は当然それぞれOleo_3−3及びDGAT1について置換され得る。
【図7】操作されたシステイン残基を伴った及び伴わない精製組換えゴマ種子オレオシンに結合する抗ゴマ種子オレオシン抗体のドットブロットの比較を示す図である。
【図8】大腸菌で発現させたAOBでのオレオシンのシステインタンパク質を検出する免疫ブロット解析を示す図である。等容量のAOB(還元剤なしでの2×SDS負荷色素を含む7.5μl)をレーン当たり負荷した。mMでのGSSGの濃度を各レーンの上に示す。
【図9】大腸菌で発現させたOle_0−0、Ole_1−1及びOle_3−3のSDS及びSDS−尿素PAGE/免疫ブロット解析を示す図である。試料は、還元剤(DTT及びβ−ME)又は酸化剤(GSSG)の存在下又は非存在下で封入体(IB)及び人工油体(AOB)から調製し、その際、等量のタンパク質を隣接するレーンに負荷した。
【図10】CaMV35Sプロモータの制御下でDGAT1(S205A)とゴマのオレオシンの双方を発現しているトランスジェニックシロイヌナズナの種子に蓄積されたオレオシン(Ole_0−0、Ole_1−3、Ole_3−1及びOle_3−3、配列番号11〜20)の免疫ブロット解析を示す図である。
【図11】CaMV35Sプロモータの制御下でDGAT1(S205A)とゴマのオレオシンの双方を発現しているトランスジェニックシロイヌナズナの油体に蓄積されたオレオシン(Ole_0−0、Ole_1−3、Ole_3−1及びOle_3−3、配列番号11〜20)の免疫ブロット解析を示す図である。酸化剤(+)の存在下でのオリゴマーのオレオシンのバンド(二量体及び三量体)の出現はジスルフィド結合が天然の油体の外側で形成し得ることを示す。
【図12】CaMV35Sプロモータの制御下でDGAT1(S205A)とゴマのオレオシンの双方を発現しているトランスジェニックシロイヌナズナの葉に蓄積されたオレオシン(Ole_0−0、Ole_1−3、Ole_3−1及びOle_3−3、配列番号11〜20)の免疫ブロット解析を示す図である。
【図13】トランスジェニックシロイヌナズナの葉における組換えオレオシンの蓄積(黒い矢印)の免疫ブロットを示す図である。
【図14】DGAT1(S205A)とOle_3−3を過剰発現しているシロイヌナズナの葉における追加の脂質(黒い矢印)の蓄積をしめすFAMES GC/MSの結果を示す図である。
【図15】DGAT1(S205A)とOle_3−3を含有するトランスジェニックシロイヌナズナの野生型株と独立株の葉の総脂質の特徴についてのGC/MSの結果を示す図である。灰色の矢印は内部標準を示す。黒色の矢印は追加の中性脂質(ワックスエステル、ステロールエステル及びTAG)を示す。白抜きの矢印は野生型(及び50A株)に比べて葉に相当量の中性脂質を蓄積する3つの株(41S、18A及び47C)を示す。
【図16】発芽後2、3、4及び5週間目の野生型及びトランスジェニックシロイヌナズナ(DGAT1(S205A)とOle_3−3を含有する)の総TAGの特徴を示すGC/MSの結果を示す図である。
【図17】野生型及びトランスジェニックシロツメクサ(DGAT1(S205A)とOle_3−3を含有する)の葉の総脂質の特徴を示すGC/MSの結果を示す図である。
【図18】野生型及びトランスジェニックシロツメクサ(DGAT1(S205A)とOle_3−3を含有する)の葉のC18:1及びC18:2の脂質の特徴を示すFAMES GC/MSの結果を示す図である。
【実施例】
【0281】
以下の非限定例を参照して本発明を説明する。
実施例1:ウサギ抗ゴマ種子オレオシン抗体の創製
【0282】
ウサギ抗ゴマ種子オレオシン抗体の生成
C末端のHisタグを含有する完全長のゴマ種子オレオシン(ヌクレオチド配列は配列番号1に示す)を大腸菌で発現させ、常法によって封入体を調製した。封入体を結合緩衝液(100mMのリン酸緩衝液、pH8.0、500mMのNaCl、8Mの尿素、及び10mMのイミダゾール)にて可溶化し、平衡化したイオン金属アフィニティクロマトグラフィ(IMAC)Niアガロース(Invitrogen)を含有するカラムに負荷した。6容の洗浄緩衝液(100mMのリン酸緩衝液、pH8.0、500mMのNaCl、6Mの尿素、及び50mMのイミダゾール)で洗浄することによって結合しなかったタンパク質をカラムから取り除いた。溶出緩衝液(100mMのリン酸緩衝液、pH8.0、500mMのNaCl、6Mの尿素、及び250mMのイミダゾール)の1容アリコートでタンパク質を溶出した。溶出した分画をSDS−PAGE/クマシー染色によって分析し、Bradfordのアッセイを用いてタンパク質濃度を測定した。265μgのIMAC精製した組み換えオレオシンタンパク質を等量のフロインド完全アジュバントと混合して最終容量0.5mlとした。採血前の採血に続いて、1回目の注射をウサギの首の後ろ及び肩にて複数部位に投与した。77μgの精製オレオシンを含有する追加免疫注射を感作の後3週間と7週間で行い、9週目に予備解析のために約3mlの試験採血を行った。0.25%v/vのフェノールと0.01%v/vのメルチオレートの添加によって血清を保護し、200μlのアリコートにて−20℃で保存した。
【0283】
免疫ブロットによってウサギ抗ゴマ種子オレオシン抗体の感度を評価し、それは、抗体の1/2,000の希釈によって0.25ngのゴマ種子オレオシンを恒常的に検出できることを示した(図7)。
実施例2:1以上の人工的に導入したシステイン残基を含有する修飾オレオシンの設計及び大腸菌での発現
【0284】
大腸菌での発現のための構築物の設計
大腸菌での発現のための多数の修飾オレオシン構築物を設計した。これらは、N末端及びC末端の親水性の鎖に1又は3のシステイン残基を含有した。構築物は、システイン残基を含有しないGenBankクローンAF091840であるゴマ種子オレオシン(配列番号16)のヌクレオチド配列及び翻訳されたポリペプチド配列に基づいた。
【0285】
操作したNdeI/XhoI部位を用いてクローンすべてをpET29bにてサブクローニングした。加えて、C末端の親水性鎖の3’末端のコーディング領域にProTrpコーディング配列を付加して、Pengら(2006)Stability enhancement of native and artificial oil bodies by genipin crosslink.台湾特許I 250466によって以前操作されたNcoI部位によってコードされるアミノ酸残基を模倣した。
【0286】
ここで記載されるN末端及びC末端双方の親水性領域にシステイン残基を含むように変異させたオレオシン/システインタンパク質は、Ole−1−1、Ole−1−3、Ole−3−1及びOle−3−3(それぞれ配列番号2、3、4及び5)と命名されるが、最初と2番目の数字はそれぞれN末端及びC末端におけるジスルフィド結合の数に相当する。システイン残基を持たない標準のオレオシンを対照として用い、Ole−0−0(配列番号1)と名付けた。
【0287】
油体の表面にあると予測された荷電残基についてシステインを置換したが、それを以下に列記する。
N末端の単一システイン(Ole−1−x) Glu3Cys
N末端の3個のシステイン(Ole−3−x) Glu3Cys、Arg12Cys、Gln23Cys
C末端の単一システイン(Ole−x−1) Gln137Cys
C末端の3個のシステイン(Ole−x−3) Gln112Cys、Lys123Cys、Gln137Cys
【0288】
構築物は、NcoI/XhoI消化と連結を介してGENEARTが提供した主鎖(pCR4Blunt−TOPO)からpET29b(Novogen)に相対的に単純にサブクローニングできるように設計した。これによってオレオシンのコーディング配列をpET29のN末端S・タグ融合の下流でC末端Hisタグの上流に置いた(図1〜5、及び配列番号1〜10)。使用したオレオシン及び修飾オレオシンの配列は、配列表の要約に要約される。
少なくとも1つの人工的に導入したシステインを含有する修飾オレオシンの大腸菌における発現と精製
【0289】
SDS−PAGE/クマシーブリリアントブルー染色及びゴマ種子オレオシンに対して産生させた抗体(実施例1に記載した)を用いたSDS−PAGE/免疫ブロット解析によって、大腸菌発現系における組換えゴマ種子オレオシン(操作したシステインを伴った及び伴わない)の発現を評価した。
【0290】
pET29発現ベクターにオレオシン(操作したシステイン残基を伴った及び伴わない)コーディング配列を含有する大腸菌(BL21 Rosetta-Gami)を新鮮に播種した10mlの培養物にて組換え修飾オレオシンの発現を誘導した。37℃、220rpmにて中間対数期(OD600=0.5〜0.7)まで培養物を増殖させ、1mMの最終濃度でIPTGを添加することによって発現を誘導した。誘導した培養物を37℃、220rpmにてさらに2〜3時間インキュベートした。修飾オレオシンの特性を考えて、本出願者らは、可溶性形態で発現させることを試みず、むしろ封入体から抽出するように選択した。培養物のアリコート(1ml)を1.5mlの微量遠心管に移し、遠心(2655×gで4℃にて5分間)によって細胞を沈殿させた。
【0291】
40μg/mlでのDNA分解酵素の添加と共に5ml/g湿潤細胞沈殿物にて沈殿した細胞をBugBuster(登録商標)試薬(Merck)に再浮遊し、回転装置上で30分間穏やかに混合し、その後、8000gにて4℃で10分間遠心した。得られた細胞沈殿物を上記のようにBugBuster(登録商標)とDNA分解酵素で再処理した。8000gにて4℃で10分間遠心することによって、残りの可溶性タンパク質と浮遊した細胞残渣を不溶性の封入体から分離した。
【0292】
D’Andreaら(2007)から適合させた手順を用いて組換えオレオシンを封入体からさらに精製した。手短には、200mMの炭酸ナトリウム緩衝液pH11(元々の細胞沈殿物のg当たり5ml)における再浮遊によって封入体調製物を洗浄し、8000gにて4℃で10分間遠心することによって再沈殿させた。洗浄した封入体の沈殿物を再び、沈殿物のグラム当たり5mlの200mMの炭酸ナトリウム緩衝液に再浮遊させ、9容量の新鮮に調製したクロロホルム:メタノールの混合物(5:4、v/v)に加え、5:4:1(クロロホルム:メタノール:緩衝液)の最終比を得た。浮遊液を穏やかに5分間混合し、乳白色の単相の混合物を形成したが、これを10,000×gにて4℃で10分間遠心し、修飾オレオシンを含有する上清を沈殿物から慎重に分離し、新しいチューブに移した。上清のアリコートを窒素気流のもとで乾燥させ、タンパク質を8Mの尿素に再可溶化し、Qubit(商標)(Invitrogen)によって定量した。
【0293】
実施例3:人工的に導入されたシステインを伴ったゴマ種子オレオシンに結合させるための抗ゴマ種子オレオシン抗体の使用
ドットブロットを用いて、システインを伴わないオレオシンに結合する実施例1に記載した抗ゴマ種子オレオシン抗体(Ab)の能力を、システインを含有するオレオシン(実施例2に記載)に対して比較した。事前に平衡化したHybond−PPVDF転移膜上で12〜0.25ngに連続希釈したOle−0−0とOle−1−3とOle−3−1のスポットを作った。これを一次抗体としての1:2000の抗ゴマ種子オレオシン抗体と共にインキュベートした。次いでブロットを適当な二次抗体と共にインキュベートし、化学発光によって発色させた(図7)。結果は、免疫ブロットでは、抗ゴマ種子オレオシン抗体は、システイン残基を伴ったオレオシンよりもシステイン残基を伴わないオレオシンに対して一桁感度が高いことを示す。異なった感度の結果として、免疫ブロットによる解析のためのゲルには異なった量の組換えタンパク質を負荷することが必要だった。均一ではないレーンの負荷にもかかわらず、単量体とオリゴマーの形態の間での相対的な分布という点でレーン間にて異なったオレオシンを比較することは未だ可能である。
実施例4:少なくとも1つの人工的に導入されたシステインを含有し、架橋の程度を変えている大腸菌で発現させた修飾オレオシンを伴った人工的な油体の創製
【0294】
人工的な油体の調製
次いで150μg又は1mgの組換えオレオシンを含有するように計算した実施例3に記載された上清のアリコートを乾燥させることによって人工的な油体(AOB)を調製した。
【0295】
AOBを生成する方法には、PLとTAGと組換えオレオシン/修飾オレオシンを組み合わせることが関与した。強力なカオトロピック剤の非存在下では、精製した分画から個々の組換えオレオシンを解離するのに必要とされる崩壊力には、超音波処理と冷却の数回のサイクルが関与した。150μgのPL(Sigma,Cat#P3644)を含有する20μlのクロロホルムに150μg及び1mgのオレオシン/修飾オレオシン試料を可溶化することによってこれを達成し、60μlの精製ゴマ種子油(Tzen and Huang 1992)及び940μlのAOB緩衝液(50mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH8.0、100mMのNaCl)と混合した。次いで完全な混合物を30秒間で3回超音波処理した(Sonics & Materials Vibra〜Cell VC600,600W,20kHz;”先細りのマイクロチッププローブ、出力設定#3)。
【0296】
本出願者らはまた、精製手順は上手く規模拡大でき、50gの細胞沈殿物を出発材料として使用した場合、クロロホルムと大半のメタノールを取り除くのに窒素気流を回転真空エバポレータに置き換えることが必要であることを見い出した。この時点で、オレオシン/修飾オレオシンの大半は共沸溶媒の外で沈殿し、12,000rpmにて10分間の遠心により分離された。
【0297】
封入体を1mlのAOB緩衝液(50mMのリン酸ナトリウム、pH8.0、100mMのNaCl、20mMのβ−メルカプトエタノール、10mMのDTT及び5%[v/v]のゴマ油)に浮遊させ、次いで4回超音波処理した。12,000rpmにて10分間の遠心によりAOBを濃縮し、これによって水性分画を覆うAOB浮遊の形成を生じた。下にある水性分画をピペットで取り除き、残ったAOBを、1mlのAOB緩衝液III(50mMのリン酸ナトリウム、pH8.0、100mMのNaCl)での穏やかな撹拌によって洗浄した(可溶性タンパク質及び還元剤を取り除くために)。洗浄の後、遠心によってAOBを再構築し、下にある水性分画を取り除き、次いでAOB緩衝液IV(50mMのリン酸ナトリウム、pH8.0、100mMのNaCl、1mMのGSSG)にてボルテックスすることによって再浮遊させ、さらなる解析のためにAOBを4℃で保存した。
【0298】
組換えのOle_0−0及びオレオシン/システインの変異体すべては、大腸菌の封入体で上手く発現し、局在した(図9)。Ole_0−0は主として単量体で存在し(AOBと同様に双方の封入体で);これは、20kDaの分子量マーカーよりも速く分画として移動した(還元型及び非還元型のSDS及びSDS−尿素−PAGEにて)。二量体オレオシンの2つの形態に相当すると思われるおよそ35と36kDaの2本のゆっくり移動する免疫反応性のバンドも存在した。Ole_0−0はシステイン残基を含有するとは予測されないが、2つの見かけの二量体の全体の強度及び比率は、還元剤(β−MW@試料負荷緩衝液の5%、及び10mMのDTT)の存在によって影響を受けた。
【0299】
封入体では、Ole_1−1の優勢な形態は単量体である。たった1つの二量体形態が存在すると思われたが、これは還元剤又は尿素によって影響を受けなかった。AOBからのOle_1−1(還元剤の存在下、ついで酸化剤の存在下で生成された)は、三量体、四量体及びたぶん五量体のオリゴマー(これらのオリゴマーの電気泳動上の焦点はSDS−UREAゲルでかなり改善された)の形成と同様に二量体と単量体の比で大きな増大を示した。GSSGの除去とAOBへの還元剤の再導入によって、封入体で見られる類似の比率での単量体と二量体のみの存在を生じた。Ole_1−1で生成したAOB(還元剤とGSSG双方の非存在下で)は、ほとんど同等の部分の単量体と二量体及び少量の三量体の存在を示したということは、AOBが形成される条件は幾分還元能を有することを示している。その後のGSSGの添加は、四量体の出現と同様にオリゴマー部分の増加を生じた。
【0300】
単量体は封入体におけるOle_3−3の優勢な形態であったが、複数のオリゴマー形態にて比較的高い比率も存在した。オリゴマーの比率は、還元剤の添加によってわずかに低下したが、還元剤とカオトロピック剤双方の添加によってやや増えた。組換えタンパク質をAOBから抽出した場合、三量体より大きいOle_3−3のオリゴマー形態はあまり分解されなかった。GSSGの添加及び還元剤やカオトロピック剤の非存在によって大きなオリゴマー形態の創製は促進されるが、これらオリゴマー形態の一部は濃縮用ゲルに入ることができなかった。合わせて、これらの結果は、AOBではOle_3−3は高度の架橋されており、架橋の一部は、封入体から回収されたOle_3−3に比べてさらに変わりやすかったことを示している。このことは、相当な既存の架橋(封入体内での)にもかかわらず、AOBでは、Ole_3−3は架橋に対する多数の相方と思われるものへのアクセスを有することを示唆している。同様に、Ole_1−3及びOle_3−1については、親水性領域の一方又は双方に1を超えるシステインかあった場合、架橋される種の数は増加した(図8及び9)。
【0301】
非還元型のSDS−PAGEでは、同一数のオレオシンを含有するが、異なった位置でジスルフィド結合を持つオリゴマーは互いに異なって移動することが十分に理解されればよい。実際、これは図8で見ることができ、その際、データは互いに対するオレオシン鎖の位置が油体にて異なった位置であることを示している。たとえば、Ole_1−1は鎖当たりジスルフィド結合を1つしか形成できず、これは同一位置で形成しなければならないが、3つのシステインの存在によって1を超えるジスルフィド結合を形成するのが可能になるので、それはまた、異なった程度の親水性鎖の重なり合いを持つジスルフィド結合を形成することも可能にするとともに、同じ鎖に結合する複数のオレオシンを有することを可能にする(図8及び9)。
【0302】
SDS及び還元剤(DTT及びβ−ME)の添加はオリゴマー複合体の数を減らした(図9)。SDS及び尿素の添加は、予め分解された複数の二量体形態が1つとして移動したことと、三量体及び四量体の形態も対応して強度を高める単一バンドとして移動しているのでおそらくさらに豊富であると思われることを除いて、SDSのみのパターンと類似するパターンを生じる(図9)。それに対して、SDSと還元剤と尿素の存在は、Ole_1−1とOle_1−3のわずかなオリゴマー形態を生じたが、Ole_3−1又はOle_3−3のオリゴマーは生じなかった(図9)。Ole_3−1及びOle_3−3については、尿素はジスルフィドオレオシンを完全に変性させるわけではなく、実際、ジスルフィド結合の完全な還元を抑え得ると思われる。これらの結合が封入体の生成の間に形成されることはあり得ることである(還元された及び非還元の封入体の沈殿物を見る必要がある)。さらに、操作されたシステインの非存在下で形成された二量体オレオシンの存在(図8及び9)は、オリゴマー形成の一部が、他の種類の引き付ける力、たとえば、SDSによっては完全には壊れないが、SDSと尿素双方の組み合わせによってほぼ完全に壊される強力な疎水性結合によることを示している(図8及び9)。
【0303】
AOBの完全性とエマルションの安定性に対するオレオシンペプチドにおける架橋と思われる部位の数の増加の影響は以下で評価することができる。
AOBの完全性の定量的判定
【0304】
吸収(OD600)、血球計算盤を用いたAOBの直接計数、又は顕微鏡を用いた合体の視覚評価を用いたAOBの安定性及び完全性の評価は、高度に可変性であることが判明し、とりわけ、予備試料採取の撹拌の程度、取り出した試料の質、顕微鏡下に置かれた時間に影響を受けた。これを回避するために、本出願者らは、完全性を比較する手段として、種々の処理の間、AOBから周辺の媒体に放出されるTAGの量を定量する単純な方法を考案した。AOB緩衝液(250μlのGCガラス挿入チューブにてOB又はAOBの試料中プロテイナーゼK[PNK]と総タンパク質の比が1:1で使用するときPNKを含有する)を用いて、本質的に等量の(TAGとタンパク質のBradfords測定のFAMES−GC/MS概算に基づく)AOB調製物を総容量200μlで作製し、プラスチックの蓋で覆った。処理(温度の上昇又はPNKへの暴露)に続いて、15μlの魚油(Vitamax(登録商標)、オーストラリア)を試料に加え、ボルテックスで混合し、その後、5,200gにて1分間遠心した。魚油の添加とその後のボルテックスによって、AOBから漏れ出したTAGが添加された魚油と混合するのが可能になり、短い遠心により浮かばせることができる。4μlの油相を採取し、脂肪酸メチルエステル化(FAME)に供し、次いで、Browseら(1986)によって記載されたように、GC−MS(島津、モデル番号、50mQC2/BPX70−0.25GCキャピラリーカラム(SGE)を装着した)によって解析する。添加した魚油の非存在下では、AOBから漏れ出したTAGの量が少なすぎて遠心の後でさえ、採取可能な眼に見える層を形成できなかったが;そのような場合、最大容量は6μlだった。魚油とゴマ油の非常に異なった液体特性によって我々は、添加したTAGから漏れ出したTAGを容易に区別することができた。
【0305】
内部C15:0及びC17:0の標準を用いて、本出願者らは処理の後回収されたC18:2(ゴマ種子油の主な液体)の絶対量を算出することができる。
【0306】
高温でのAOB完全性とエマルション安定性の判定
水中油エマルションは高温ではあまり安定ではない;従って、種々の数の導入システインを持つ修飾オレオシンが高温でのAOBの完全性に影響するかどうかを検討するのは興味深い。これを達成するために、本出願者らは95℃のリン酸緩衝液(50mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH8、100mMのNaCl)にてOB及びAOB(異なったオレオシンを含有する)の完全性を判定する(上記方法を用いて)。AOBを2時間加熱する。完全性は上記のように判定する。
【0307】
第一胃液におけるAOBの安定性に対する架橋オレオシン:TAGの高い比率の効果は以下のように対処することができる。
【0308】
第一胃液におけるAOB完全性の判定
ジスルフィドの狙いの1つは、第一胃の微生物叢による生体水素化からのある程度の保護を提供することである。第一胃液によるAOB安定性の評価は以下のように評価することができる。AOBを等量の第一胃液(25μl)に加える。39℃にて試料を0、15、30、60、120及び240分間インキュベートし、インキュベートの終了時に等量の負荷緩衝液(Invitrogen)を加え、混合し、70℃にて1時間加熱する。SDS−PAGE/免疫ブロットによって15μlの各試料/負荷緩衝液混合物を比較する。完全性は上記のように判定する。
【0309】
プロテイナーゼKにおけるAOB完全性の解析
制御可能で反復可能な高度に分解性の環境にて修飾オレオシンの影響を検討するために、1:1(g/gタンパク質)のプロテイナーゼK(Invitrogen)を含有するリン酸緩衝液(50mMのリン酸ナトリウム、pH8、100mMのNaCl)にて37℃で4時間インキュベートした後、AOB(異なった修飾オレオシンを含有する)の完全性を判定する(上記の方法を用いて)。プロテイナーゼKの最大活性は65℃未満で達成されるが、AOBの不安定性に対する温度の影響を減らすためにさらに低い温度を用いる。完全性は上記のように判定する。
実施例5:1以上の人工的に導入されたシステインを含有する修飾オレオシンの設計及び植物体内での発現
【0310】
植物体内での発現のための構築物の設計
本出願者らは、N及びCの末端鎖で異なった数のシステインを持つゴマ種子オレオシンの個々のコーディング配列(GenBankクローンAF091840に基づく)を合成した。コーディング配列には5’NotI部位と3’NdeI部位が隣接した。attL1部位、NotI部位及びNdeI部位に続くnos停止配列、前向きCaMV35Sプロモータ、シロイヌナズナのDGAT1(S205A)(配列番号11〜20及び図1〜5)に加えてそれ自体のUBQ10イントロン、attL2部位を含有する別個のアクセプターカセットを合成した。異なった数のシステインを持つゴマ種子オレオシンはNotI部位とNdeI部位を介して個々にアクセプターカセットに移した。次いでLR組換え反応を介して、これら完成したカセットのそれぞれを植物バイナリーベクターpRSh1、図6に移した(Winichayakul et al., 2008)。これによってオレオシンをCaMV35Sプロモータ(pRSh1の中にすでに含有された)の下流に置き、nosターミネータ(pRSh1の中にすでに含有された)をシロイヌナズナのDGAT1(S205A)(図1〜5)の下流に置いた。ゴマ種子オレオシン(システインを伴った)とDGAT1をコードするヌクレオチド配列をシロイヌナズナでの発現について最適化し、これには、コドン頻度、GC含量の最適化、隠れたスプライス部位の除去、mRNA不安定配列の除去、ポリアデニル化部位と思われる部位の除去、及び3ヌクレオチド停止コドンの付加が含まれた(Brown et al, 1990; Beelman and Parker, 1995; Rose, 2004; Rose and Beliakoff, 2000; Norris et al., 1993)。
【0311】
使用されるオレオシン配列は例示のためのみであることが留意されるべきである。オレオシン又はステロレオシン又はカレオシンの配列はいずれも架橋領域を含有するように操作されてもよい。元々のオレオシン翻訳配列の反復に対して完全なORF(スプライシング後)のコーディング配列を点検してオレオシンのコーディング領域にわたって同一であることを見い出した。
システインを含有するゴマ種子オレオシンによるシロイヌナズナの形質転換
【0312】
シロイヌナズナの野生系統Columbiaの(上記の構築物による)形質転換、修飾オレオシンについてのT2種子の解析、異なった数のシステインを持つゴマ種子オレオシンを含有するシロイヌナズナ油体の免疫ブロット解析は以前記載された(Scott et al., 2007)ように実施した。
【0313】
バイナリー構築物を含有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)GV3101によるシロイヌナズナの形質転換には、フローラル・ディップ法(Clough, 1998)及びフローラル・ドロップ法(Martinez-Trujillo, 2004)の双方を用いた。T1種子は、発芽後14及び21日目にBasta(登録商標)を噴霧することによって処理した発芽し、選抜した植物から回収した。Basta(登録商標)耐性のT1植物(それぞれ単一のゴマ種子オレオシン及び修飾オレオシン構築物を含有する71、62及び23形質転換体)を移植し、自家繁殖し、種を播くようにし、T2種子を回収した。Basta(登録商標)耐性のシロイヌナズナからの等量の種子抽出物を抗ゴマ種子オレオシン抗体によるSDS−PAGE/免疫ブロットで解析し;試料の大半にて、適切なサイズの組換えゴマ種子オレオシンと修飾オレオシンを認めた(図10)。選抜したT2株にてサザンブロット解析を行い、挿入部位の数を決定した。
実施例6:少なくとも1つの人工的に導入されたシステインを含有する修飾オレオシンを持つ油体のシロイヌナズナ種子からの抽出及び精製
【0314】
シロイヌナズナ種子からの粗精製油体の調製
砂のヘラ先と750μlの抽出緩衝液(600mMのスクロースを含有する10mMのリン酸緩衝液、pH7.5)を含有する乳鉢と乳棒により200mgの種子を粉砕することによって、又はWiggenhauserD-130ホモゲナイザーを用いて300μlの抽出緩衝液中で25mgの種子をホモジネートすることによって、実施例5に記載されたように作出された植物の種子から粗精製のOB調製物を調製した。さらなる750μlの抽出緩衝液を加え、乳鉢中のスラリーを2mlの微量遠心管に移し、ホモゲナイザー先端を抽出緩衝液ですすぎ、この容量をホモジネートした種子に加えた。次いで試料を20,000×gで5分間遠心し、これによって、沈殿物と、遊離のTAGと同様に無傷の及び崩壊した双方の油体を含有する非混和性の油層が重層した水性上清が残った。上部の油層を穏やかにチューブの横に寄せ、水性層と沈殿物を捨てた。次いで抽出緩衝液にてボルテックスすることによって油層をチューブの側面から再び再懸濁し、新しい2mlの微量遠心管に入れた。最終容量を抽出緩衝液で0.5mlに合わせた。
【0315】
シロイヌナズナ種子からの精製油体調製物及び操作したオレオシン間の架橋システイン残基
WiggenhauserD-130ホモゲナイザーを用い、300μlの抽出緩衝液(600mMのスクロースを含有する10mMのリン酸緩衝液、pH7.5)にて25mgのシロイヌナズナ種子(実施例5に記載されたように形質転換した植物の)を粉砕した。種子が粉々になるまで粉砕し、試料は種子からデンプンが放出されるにつれて「クリーム状」で泡だって見えた。ホモゲナイザー先端を1mlの緩衝液ですすぎ、この容量を砕いた種子に加えた。ここまでで試料を4つのロットで調製し、14,000rpmにて5分間遠心した。細いゲル負荷用の先端を用いて油層をチューブの側面に穏やかに寄せ、水性層を新しいチューブに取り移した。抽出緩衝液を用いて油層をチューブの側面から再び懸濁し、新しい2mlのチューブに入れた。最終容量を抽出緩衝液で0.5ml(チューブの側面で読み取って)に合わせ、試料を2つに分け、酸化剤(3mMのGSSG)を一方のチューブに加え、室温にて10分間インキュベートした。次いで油体調製物を等量の2×ゲル負荷緩衝液に加え、5分間煮沸した後、ゲルに負荷した。
【0316】
Criterionゲルリグ方式(Bio−Rad)上の事前作製されたNuPAGE Novex、4−12%、Bis−Tris Midiゲル(Invitrogen)、又はNuPAGE(登録商標)MES SDS泳動緩衝液(Bis−Trisゲルのみ用)(20X),カタログ番号NP0002−02を伴ったNuPAGE(登録商標)Novex12% Bis−Tris勾配ゲル、1.0mm,15ウェル、カタログ番号NP0343BOX、又はその場で作製したTris−HClゲルのいずれかにて試料を泳動した。SafeStain(Invitrogen)でゲルを染色し、負荷した全タンパク質を示すか、又はiBlot方式(Invitrogen)を用いてゲルをニトロセルロース膜上にブロットした。各場合、陰性対照は野生型Columbia株の種子から抽出した試料であり、陽性対照は、野生型ゴマ種子で実施した同一抽出法(粉砕は乳鉢と乳棒によったが)だった。10μlの各試料と陰性対照をゲルに負荷し、5μlは陽性対照に使用した。
【0317】
ブロットに続いて、TBST(50mMのトリス、pH7.4、100mMのNaCl、0.2%のTween)中12.5%の脱脂粉乳の溶液にて少なくとも1.5時間、膜をブロックした。次いでTBSTにて5分間、膜を3回洗浄し、その後、TBST中1/1000の一次抗体(抗ゴマ)と共に室温で1時間インキュベートした。3回のTBSTによる洗浄の後、1/5000での二次抗体(抗ウサギ)と共に室温にて1時間インキュベートした。次いで膜をさらに3回洗浄し、標準の化学発光プロトコールを用いてシグナルを発生させた。
【0318】
図11はCaMV35Sプロモータの制御のもとでの油体におけるゴマ種子オレオシン単位の蓄積を示す。組換えオレオシンとポリオレオシンがシロイヌナズナの種子で蓄積するのが見られ、正確に油体を標的としたことが理解され得る(図11)。加えて、野生型や非酸化トランスジェニック油体ではなく、これらの試料におけるオリゴマーの出現と単量体形態の相当する消失によって証拠付けられるように、10分間の酸化剤の存在下で、システインを含有する組換えオレオシンは架橋を形成することも理解され得る。
【0319】
植物体内でのOBの完全性とエマルションの安定性に対するオレオシンペプチドにおける架橋と思われる部位の数の増加の影響は以下のように評価することができる。
【0320】
OB完全性の定量的判定
吸収(OD600)、血球計算盤を用いたAOBの直接的計数、又は顕微鏡による合体の視覚的評価のいずれかを用いたOBの安定性と完全性の評価は、高度に変化しやすいことを示し、とりわけ、試料採取前の撹拌の程度、取り出した試料の量、顕微鏡下に置かれた時間によって影響を受けた。これを回避するために、本出願者らは、完全性を比較する手段として、種々の処理の間、OBから周辺媒体に放出されるTAGの量を定量するための試料採取法を考案した。AOB緩衝液(250μlのGCガラス挿入チューブにてOBの試料中プロテイナーゼK[PNK]と総タンパク質の比が1:1で使用するときPNKを含有する)を用いて、本質的に等量の(TAGとタンパク質のBradfords測定のFAMES−GC/MS概算に基づく)OB調製物を総容量200μlで作製し、プラスチックの蓋で覆った。処理(温度の上昇又はPNKへの暴露)に続いて、15μlの魚油(Vitamax(登録商標)、オーストラリア)を試料に加え、ボルテックスで混合し、その後、5,200gにて1分間遠心した。魚油の添加とその後のボルテックスによって、OBから漏れ出したTAGが添加された魚油と混合するのが可能になり、短い遠心により浮かばせることができる。4μlの油相を採取し、脂肪酸メチルエステル化(FAME)に供し、次いで、Browseら(1986)によって記載されたように、GC−MS(島津、モデル番号、50mQC2/BPX70−0.25GCキャピラリーカラム(SGE)を装着した)によって解析する。添加した魚油の非存在下では、OBから漏れ出したTAGの量が少なすぎて遠心の後でさえ、採取可能な眼に見える層を形成できなかったが;そのような場合、最大容量は6μlだった。魚油とゴマ油の非常に異なった液体特性によって我々は、添加したTAGから漏れ出したTAGを容易に区別することができた。
【0321】
内部C15:0及びC17:0の標準を用いて、本出願者らは処理後に回収したC18:2(ゴマ種子油における主な液体)の絶対量を算出することができる。
【0322】
高温でのOBの完全性とエマルションの安定性の判定
水中油エマルションは高温ではあまり安定ではない;従って、種々の数の導入システインを持つ修飾オレオシンが高温でのOB及びAOBの完全性に影響するかどうかを検討するのは興味深い。これを達成するために、本出願者らは95℃のリン酸緩衝液(50mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH8、100mMのNaCl)にてOB(異なったオレオシンを含有する)の完全性を判定する(上記方法を用いて)。AOBを2時間加熱する。完全性は上記のように判定する。
【0323】
架橋オレオシン:TAGの高い比率の効果が第一胃液中のOBの安定性を高めることは以下のように評価することができる。
【0324】
第一胃におけるOB完全性の判定
ジスルフィドの狙いの1つは、第一胃の微生物叢による生体水素化からのある程度の保護を提供することである。第一胃液によるOB安定性の評価は以下のように評価することができる。OBを等量の第一胃液(25μl)に加える。39℃にて試料を0、15、30、60、120及び240分間インキュベートし、インキュベートの終了時に等量の負荷緩衝液(Invitrogen)を加え、混合し、70℃にて10分間加熱する。SDS−PAGE/免疫ブロットによって15μlの各試料/負荷緩衝液混合物を比較する。完全性は上記のように判定する。
【0325】
プロテイナーゼKにおけるOB完全性の解析
制御可能で反復可能な高度に分解性の環境にて修飾オレオシンの影響を検討するために、1:1(g/gタンパク質)のプロテイナーゼK(Invitrogen)を含有するリン酸緩衝液(50mMのリン酸ナトリウム、pH8、100mMのNaCl)にて37℃で4時間インキュベートした後、OB(異なった修飾オレオシンを含有する)の完全性を判定する(上記の方法を用いて)。プロテイナーゼKの最大活性は65℃未満で達成されるが、OBの不安定性に対する温度の影響を減らすためにさらに低い温度を用いる。完全性は上記のように判定する。
実施例7:シロイヌナズナの葉における油体の産生
【0326】
成長組織で油体を産生するために、そのような組織(たとえば、葉)ではトリアシルグリセロールを産生することが必要である。
【0327】
植物の成長部分におけるトリアシルグリセロールの産生
ほとんどの植物(Lolium perenneを含む)では、葉の脂質の大半はグリセロールに結合し、ジアシルグリセロールとして存在する。それらは脂質二重層に取り込まれ、そこで複数の細胞内小器官の膜として又は細胞自体の膜として機能する。葉における脂質二重層の大半は葉緑体チラコイド膜である。少量の葉脂質はクチクラ外層ワックスとして存在し、さらに小さな比率がトリアシルグリセロール(TAG)の形態で存在する。
【0328】
ほとんどの植物は、発達している胚及び花粉細胞でTAGを合成し、貯蔵し、そこで、その後それは、発芽及び花粉管成長の間に異化可能なエネルギーを提供するのに利用される。双子葉植物は種子重量のおよそ60%までをTAGとして蓄積することができる。通常、このレベルは、エネルギー貯蔵の主な形態が炭水化物(たとえば、デンプン)である単子葉植物の種子では相当に低い。TAG生合成の唯一の関与段階は最後の1つ、すなわち、既存のジアシルグリセロールへの第3の脂肪酸の付加、従ってTAGの生成である。植物では、この工程は、アシルCoAジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)、無関係のアシルCoAジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT2)、及びリン脂質ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(Zou et al., 1999; Bouvier-Nave et al., 2000; Dahlqvist et al., 2000; Lardizabal et al., 2001)を含む3つの酵素のうち1つのよって実行される。植物の成長部分におけるこれら遺伝子のいずれかの転写領域の過剰発現は、Bouvier−Naveら(2000)によるタバコにおけるシロイヌナズナDGAT1;Shockeyら(2006)による酵母及びタバコにおける油桐DGAT2;Stahlら(2004)によるシロイヌナズナにおけるシロイヌナズナPDATの過剰発現によって実証されたように、葉細胞の細胞質におけるTAG液滴の形成をもたらす。シロイヌナズナのDGAT1は場合によっては総脂質レベルを高めることが実証されたが、たとえば、Lotus japonicus hairyの根 (Bryan et al., 2004)及びLolium perenneの葉 (Cookson et al., 2009)におけるTAGの蓄積によって必ずしもそうではない。
【0329】
これらの葉におけるTAGの蓄積を明らかにするために、これらの植物の葉から抽出した脂質の総量を形質転換しなかった植物又は空のバイナリーベクターで形質転換した植物と比較することができる。植物が同一の環境条件下で生長すること及び採取される葉が生理的に同等であることを保証すること。適切な内部標準と共に、脂質の総抽出物の定量は、FAMES GC/MS解析(Winichayakul et al, 2008 Delivery of grasses with high levels of unsaturated, protected fatty acids. Proceedings of the New Zealand Grassland Association, 70:211-216によって記載されたように)を用いて達成することができる。或いは、総脂質は、Folsch法(Folsch et al., 1957 J. Folsch, M. Lees and G.A. Slone-Stanley, A simple method for the determination of total lipid extraction and purification, Journal of Biological Chemistry 226 (1957), pp. 497−507)を用いて抽出し、Restek(Restek Corp., Bellefonte, PA)RTX65TGカラムを装着したGC/MSと共に適切な内部標準を用いて定量することができる。
【0330】
シロイヌナズナのDGAT1(S205A)とゴマ種子オレオシン構築物(Oleo_0−0又はOleo_1−1又はOleo_1−3又はOleo_3−1又はOleo_3−3のいずれか、配列番号11〜20、図1〜5)を過剰発現している植物から葉を採取し、ポリクローナル抗ゴマ種子オレオシン抗体を用いたSDS−PAGE/免疫ブロットによって解析した。組換えオレオシンがシロイヌナズナの葉に蓄積するのが見られたことが理解され得る(図12)。
【0331】
同一細胞(たとえば、葉細胞)におけるオレオシン/修飾オレオシンタンパク質の同時の発現と蓄積は、オレオシンに埋め込まれたリン脂質単層によって被包されたトリグリセリド油体の産生を生じるが;これは、酵母(Ting et al., 1997)及び種子(Abell et al., 2004))における非修飾のオレオシンで明らかにされている。
【0332】
トランスジェニックシロイヌナズナの葉からの油体の調製
DGAT1(S205A)とゴマ種子オレオシン構築物(Oleo_0−0又はOleo_1−1又はOleo_1−3又はOleo_3−1又はOleo_3−3のいずれか、配列番号11〜20、図1〜5)を過剰発現しているトランスジェニックシロイヌナズナの葉から油体を抽出することができる。
【0333】
そのような植物のOBに対するオレオシンペプチドにおける架橋と思われる部位の数の増加の効果は、OB完全性を測定することによって評価することができ、エマルションの安定性は実施例6に記載されたとおりに評価することができる。
【0334】
各親水性鎖に3を超えるシステイン残基を含有するオレオシンの設計及び構築
Ole_3−3株は、DGAT1(S205A)と同時発現させた場合、TAGの形態で高い脂質レベルの相当なレベルを有したが、Ole_0−0を含有する株はDGAT1過剰発現対照を超える高い脂質レベルを有さなかった。Ole_1−1、Ole_1−3及びOle_3−1は、葉における脂質蓄積のレベルと各鎖で操作されたシステインの数の増加との間に相関があることを示した(表3)。
【0335】
【表3】

【0336】
総脂質(TAGであると示された)の増加と親水性ドメインで操作されたシステインの数との間の相関は、システインの数が所望のTAGのレベルに影響を及ぼす手段であり得ることを示した。その結果、親水性鎖当たり3を超えるシステインを含有する新しい構築物を設計した。システイン/親水性鎖の無限の数を記入するのは可能ではないが、限定には以下が含まれる:
・鎖の長さ−追加の残基が付加してシステインのための空間を作ると、OBを移動する自由度によって接触する能力が限定されるので、結局のところ、疎水性ドメインの相互作用の程度は低下する。
・+、−、及び両親媒性の残基の比率を維持すること−これら残基の均衡とこれら残基の分布が劇的に変化すると、親水性鎖がOBの表面と実際には相互作用しなくなるので、リパーゼや合体に対する保護を提供しなくなる。
・イオウの利用性−オレオシン分子当たりのシステインの数を増やすことは、イオウが限定されていれば、植物を栄養的ストレス下に置くことになる。
【0337】
アミノ酸と、主として中性である又は荷電しているが、疎水性ではないと予測されるものを置き換えることによって元々のシステイン/オレオシンは相対的に均一な間隔を空けた対ではない3つのシステインを各鎖に持つように操作された。
【0338】
オレオシンは多分、特定のレベルの負の電荷を有することを必要とし、C末端ではこれはK(Lys)によって達成されると思われるので、荷電した又は中性の残基を追加のシステインと交換する戦略を継続することは、合体を防ぐという点で乏しい安定性を生じ得る。さらに、N末端の親水性領域では、正及び負に荷電したアミノ酸の間の空間と振動を維持する一方でさらなる残基の置換を可能にする、操作されたシステイン間に残る残基が少なすぎると思われる。従って、N及びC末端について、既存の残基をシステインで置換するのではなく、追加の残基(システイン)が付加される。或いは、さらに長い親水性鎖を持つオレオシンが使用され得る。
【0339】
2つの追加の構築物(Ole_5−6及びOle_6−7)も設計した。これらは鎖当たりのシステイン残基という点で意図的に不均衡なのではないが、各システイン間に通常4〜5の残基を付与しようとして構成される。実際、N末端鎖でシステインを6つに増やすために(既存のシステインの置換とは対照的に)追加の残基を生成する必要があったが;これは、Ole_3−3からの最初の6つの残基を複製することによって達成した。
【0340】
設計された全く新しいヌクレオチド配列を有するのではなく、システインをコードするトリプレットTGTを(適宜)付加してOle_5−6を生成した。追加のグルタミン残基については、コドントリプレットGGAを使用した。Ole_6−7の追加のN末端6残基については、Ole_3−3のN末端を複製し、インフレームで融合した。
【0341】
最初のシステインオレオシンと同一であるようにサブクローニング戦略を設計し、すなわち、NotI/NdeIによってオレオアクセプターにサブクローニングした。次いでこれをLR反応によってpRSh1(Winichayakul et al., 2008)に組み換える。シロイヌナズナのDGAT1(S250A)とオレオシン双方をそれ自体のCaMV35SプロモータとOCSターミネータのもとに原則として置く。DGA1とオレオシンのクローンは双方共、UBQ10イントロンを含有する。
【0342】
NetGene2を用いてOle_6−5−6とOle_6−7のスプライシングパターンを予測した。双方は、正鎖にてたった1つのドナーとアクセプターの部位を有し(双方共、認識の非常に高い確率を有する)、相補鎖では部位を有さないと予測された。
【0343】
データは、1−3又は3−1のシステインを含有するオレオシンは検出可能なレベルのTAGを蓄積するが、これは3−3システインのオレオシンよりも確かに少ないことを示している(1−1は微量を蓄積したが、0−0は蓄積しなかった)。このことは、5−6及び6−7オレオシンが3−3構築物よりもさらに多くのTAGを蓄積すると思われることを一層さらに強く示唆している。5−6及び6−7の構築物からの最初のデータは間もなく入手可能である。
【0344】
操作されたシステインを含有するオレオシンとDGAT1による野生型シロイヌナズナの形質転換
5つのジスルフィド・オレオシン/DGAT1(S205A)遺伝子構築物と対照1つ(DGAT1(S205A)を含有するが、オレオシンを含有しない構築物)を植物バイナリーベクターpRSh1に移し(Winichayakul et al., 2008)、アグロバクテリウムが介在する形質転換によって野生型シロイヌナズナを形質転換した。
【0345】
種菌における界面活性剤の存在のために微生物叢の浸漬は発達している長角果を損傷する傾向がある(Martinez-Trujillo et al., 2004)ので従来のフローラル・ディップ法の改変に従った。従って、マイクロピペットを用いて花ごとに一滴ずつの接種を行った。1週間後接種を繰り返して新しく発達した花に種菌を導入した。長角果が乾燥した際、種子を回収し、次いで清浄し、形質転換体のスクリーニングのために植え込んだ。
【0346】
BASTA選抜によって形質転換体のスクリーニングを行い、BASTA耐性についての分離比解析を用いて均質な形質転換体を選抜した。
【0347】
操作されたシステインを含有するオレオシンとDGAT1による野生型シロツメクサの形質転換
シロツメクサ(白クローバ)の形質転換は、Voiseyら(1994)の手順に従って実施した。
【0348】
種子を秤量し、精査(0.06gm=100種子)当たり約400〜500の子葉(すなわち、200〜250の種子)を提供した。遠心管内で70%のエタノールにて種子を1分間すすいだ。循環ミキサーで15分間振盪することによって漂白剤(5%利用可能な塩素)にて表面を滅菌し、その後無菌水で4回洗浄した。4℃で一晩種子に水分を吸収させた。
【0349】
シロイヌナズナを形質転換するのに使用した同様の構築物をアグロバクテリウム株GV3101で維持し、100mg/Lの濃度でストレプトマイシンを含有する25mlのMGLブロス(表4)に植菌した。28℃にて回転振盪器上で(200rpm)一晩(16時間)培養物を増殖させた。遠心(3000×g、10分間)によって細菌培養物を回収した。上清を取り除き、細胞を5mlの10mMのMgSO溶液に再浮遊させた。
【0350】
分離用顕微鏡を用いて子葉を種子から分離した。先ず、種子の外皮と内胚乳を取り除いた。子葉間に刃を入れ、残りの柄を介して細片することによって外科用メスにより子葉を基から分離した。子葉外植片をCR7培地にて無菌フィルター盤上で回収した。
【0351】
形質転換のために、アグロバクテリウム懸濁液の3μlアリコートを各分離子葉に分配した。プレートを封止し、16時間明期のもとで25℃にて培養した。72時間の同時培養に続いて、グルホシネートアンモニウム(2.5mg/L)とチメンチン(300mg/L)を補完したCR7培地を含有するプレートに形質転換した子葉を移し、培養室に戻した。
【0352】
芽の再生に続いて、グルホシネートアンモニウム(2.5mg/L)とチメンチン(300mg/L)を補完したCR5培地に外植片を移した。新しいCR5培地を含有する選抜まで週3回再生している芽を継代した。
【0353】
根の形成が起きると、グルホシネートアンモニウム選抜を含有するCR0培地を含有する槽に未発育の植物を移した。この段階で再生体の大きな塊を個々の未発育植物に分けた。次いで選抜下で成長している根のついた全植物を無菌ピートプラグに鉢植えした。ピートプラグでいったん定着すると植物を次いで温室に移した。
【0354】
【表4】

【0355】
FAMES GC/MSの結果は、トランスジェニックシロツメクサ(DGAT(S205A)とOle_3−3、Ole_5−6又はOle_6−7のいずれかを含有する)が、野生型と比べて葉の高い総脂質特性を有することを示した(図17)。葉脂質の高いレベルとオレオシンで操作されたシステインの最高数との間に一般的な相関があった。
【0356】
FAMES GC/MSの結果は、トランスジェニックシロツメクサ(DGAT(S205A)とOle_3−3、Ole_5−6又はOle_6−7のいずれかを含有する)が、シロイヌナズナでも見られたように、野生型と比べて高いC18:1及びC18:2の葉脂質特性を有することを示した(図18)。葉のC18:1及びC18:2の最高レベルは最高数の操作したシステインを含有するオレオシンで形質転換した植物にて見い出された。
葉(及び種子)における油体集合体の判定
【0357】
免疫ブロット解析(抗ゴマ種子オレオシン抗体による、Scott et al., 2007)を用いてさらなるスクリーニングを行ってオレオシンタンパク質を過剰発現する株を決定した。この方法を用いて、スクロース密度勾配を用いて油体(OB)を推定上の形質転換体のT2種子から抽出し、又は変性/還元緩衝液にて葉から全タンパク質を抽出し、又はタンパク質をSDS−PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に移し、ゴマオレオシンに対して産生させた抗体によって検証した(Scott et al., 2007)。
【0358】
500μlのOB緩衝液(600mMのスクロースを含有する10mMのリン酸ナトリウム、pH7.5)にて25mgの種子から粗精製の油体(OB)を抽出した。13,000×gで遠心した後、水性層を慎重に吸い取り、底の沈殿物を壊すことなく脂肪パッド層を200μlのOB緩衝液に再懸濁した。20μlの各OB抽出物を4×負荷色素及び10×還元剤に加え、70℃で5分間加熱し、免疫ブロット解析用の4〜12%ポリアクリルアミドゲル上に負荷した。1:750希釈の抗ゴマオレオシン抗体(1°Ab)と1時間、二次抗体(1:10,000)とさらに1時間、ブロットをインキュベートした。
【0359】
オレオシンは天然にて種子では発現されるが、葉では発現されない。しかしながら、我々は双方共CaMV35Sプロモータの制御下でオレオシンとのDGAT1の同時発現を有するので、これによって検出可能なレベルのオレオシンが葉に蓄積することが可能になることが期待され得る。ゴマオレオシンに対して産生させた抗体を用いた免疫ブロットによって、種子で組換えオレオシンの高い発現を伴う形質転換株からの葉を解析した。
【0360】
以下の表5は、生成された推定上の形質転換体の数及び種子と葉で組換えオレオシンを発現する植物の数を要約する。
【表5】

【0361】
葉に蓄積した組換えオレオシンのレベルは種子よりもかなり低いことに留意すべきである。しかしながら、双方の葉で検出可能なレベルを蓄積している個々の株の比率は、オレオシンを単独で発現させた場合よりもはるかに大きい(Robertsラボ、未発表データ)ということは、葉におけるDGAT1とオレオシンの同時発現がオレオシンのさらに高い発現を招いたことを示している。
【0362】
DGAT1(S205A)とジスルフィドオレオシンを同時発現しているトランスジェニック植物からの葉の分析
種子にてオレオシンタンパク質を過剰発現するホモ接合性株の種子を発芽させて2、3、4又は5週間成長させた。誘導体化させることなく、遊離の脂肪酸、ジアシルグリセリド、ワックスエステル、ステロールエステル及びトリアシルグリセリドの分離と特定を可能にするRTX65TG Restekカラムを用いたGC/MSと同様にFAMES GC/MSのために十分な葉材料を回収した。
【0363】
FAMES GC/MS解析のための材料の調製
10mgの凍結乾燥した葉粉末を13×100mmのネジ蓋付きチューブに入れ、10μlの非メチル化内部標準(C15:0FA、4mg/ml、ヘプタンに溶解した)を加えた。この混合物に、水スカベンジャーとしての5%の2,2−ジメトキシプロパンで処理した1mlのメタノール性HCl試薬(無水メタノールを用いて1Mに希釈した3M溶液の1ml)を加えた。次いでN気体でチューブをフラッシュし、次いでテフロン(登録商標)製の蓋で直ちに封をし、80℃で1時間加熱した。チューブを室温に冷却した後、10μlの事前にメチル化した標準(ヘプタンに溶解したC17:0の4mg/ml)を加えた。この混合物に0.6mlのヘプタンと1.0mlの0.9%(w/v)NaClを加え、ボルテックスによって十分に混合した。室温にて500rpmで1分間遠心した後、100μlの上層(ヘプタンを含有する)を回収し、GC/MS解析用の茶色のバイアルに組み込んだ平底のガラス製インサートに移した。
【0364】
FAMES GC/MS解析
SGEキャピラリーカラムBPX70(50m×0.22mm×0.25μm)を用いてFAMES GC/MSを解析した。GC/MSの条件は以下のとおりであった:温度は、15℃/分で80℃から150℃まで、次いで8℃/分で250℃までにプログラムし、10分間等温に保持した。試料はスプリット方式で注入し;28.4ml/分の全流量;0.82ml/分のカラム流量;及び3.0ml/分のパージ流量。圧力は150kPaで保持し、イオン源温度は200℃であり、界面温度は260℃保持した。50m/zで開始し、350m/zで終了する走査方式で質量分光法によって標的化合物を取得した。
【0365】
TAG及び極性脂質の抽出
Ruiz−Lopezら(2003)の改変された方法を用いてTAGを抽出した。手短には、各TAGの解析について、風袋重量を測ったネジ蓋付きチューブに34〜80mgの間の凍結乾燥した葉粉末を入れ、秤量し、MeOH中0.17MのNaClを2.4ml加え、ボルテックスによって混合した。4.8mlのヘプタンと10μlの内部標準(C14:0、10μg/μl)を加えた後、懸濁液を穏やかに混合し、振盪することなく80℃の水槽にて2時間インキュベートした。室温に冷却した後、上相(脂質を含有する)を新しいネジ蓋付きチューブに移し、N気体のもとで乾燥するまで蒸発させた。最終的に、乾燥させた粉末を100μlのヘプタンに再懸濁し、十分に混合し、TAG分析用の茶色のガラスバイアルに組み込んだ平底のガラス製インサートに移した。
【0366】
TAGのGC/MS解析
Hewlett Packard(HP)のGCとShimadzu Scientific Instruments社のMS(QP2010)にてTAGの分析を行った。分析はすべて、電子衝撃(EI)イオン化方式におけるRESTEKキャピラリーカラムMXT−65TG(65%ジフェニル/35%ジメチルポリシロキサン、30.0m×0.10μm厚さ×0.25mm直径)にて行った。キャリア気体としてヘリウムを使用した。試料はすべて、1.0μlアリコート及び1.2ml/分のカラム流量にてスプリットレス方式で注入した。ガスクロマトグラフは、15℃/分で200℃から370℃までプログラムし、370℃で15分間等温を保持した。試料注入ポートの温度は350℃、カラムオーブンの温度は200℃に維持し、131.1kPaの圧力及び3.0ml/分のパージ流量とした。質量分光法の条件は以下のとおりであった:イオン源温度はGC・MS実行の間260℃で維持し、質量スペクトルは、70eVのイオン化電圧、60μAの放射電流及び350℃の界面温度で得た。取得方式は走査当たり5000、0.25秒の速度での走査によった。45m/z〜1090m/zの電荷比まで質量によるクロマトグラフのピークを9分に開始し、25分に終了して回収した。
実施例8:N及びC末端の親水性鎖にて追加のシステイン残基を含有するように操作したさらなるオレオシン、カレオシン及びステロレオシン
【0367】
オレオシン、カレオシン及びステロレオシンのN及びC末端の親水性鎖にてシステインを操作するために本出願者らは、ゴマ種子オレオシン、受入番号AAD42942(すなわち、OBの表面にあると予測される荷電残基をシステインで置換している)と同じ戦略を用いた。場合によっては、相対的に均一に空間を空ける負に荷電したアミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)のみを置換することが可能だった。ゴマのオレオシン、AAD42942の場合、時には電荷の置換に関して妥協することが必要だった。以下の実施例では、2つのオレオシン(AAB71227及びAAF13743)がC末端鎖で2つの外因性システインを含有することが留意されるべきである。これらは操作後、変わらず残る。
【0368】
アミノ酸置換の位置を決定するために、親水性鎖当たり1又は3のシステインを含有する形態(すなわち、Ole_0−0、Ole_1−1、Ole_3−1、Ole_1−3、Ole_3−3)と同様に元々の形態でのゴマのオレオシン(AAD42942)によって各タンパク質を並べた。親水性鎖(疎水性プロットにより決定した)のそれぞれのN末端又はC末端におけるグルタミン酸及びアスパラギン酸を次いで、関連するリジン、アルギニン及びグルタミンの残基(ゴマのオレオシン(AAD42942)ではすべて上手く変えた)のように、灰色の四角で強調した。次いで互いの空間と共に、これら残基のシステインへの変異を考慮した。次いで、元々のペプチド配列と操作した配列のみによって最終的な置換を示す。この場合、各鎖でたった3つのシステインが操作されたが、数は多かったり少なかったりであり得る。代わりのやり方は、単離における各タンパク質と共に機能するが、疎水性プロットによる親水性領域の特定によって単に始まり、次いで最適な荷電アミノ酸による置換の工程を始める。
【0369】
表6は、本出願者らが親水性部分にシステインを導入するように修飾した追加のオレオシン及びカレオシンを示す。
【表6】

【0370】
以下の表7は修飾オレオシンの配列番号を参照する
【表7】

上記実施例に記載されたように修飾された配列を発現させて、油体、エマルション、トランスジェニック宿主細胞、植物などを作出し、それぞれの特性を調べることができる。
【0371】
本発明の範囲を前述の実施例のみに限定することは意図するものではない。当業者によって十分に理解されるように、本発明の範囲から逸脱することなく多数の変異が可能である。


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【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工的に導入されたシステインを持つ修飾オレオシンをコードするポリヌクレオチド
少なくとも1つの人工的に導入されたシステインを含む修飾オレオシンをコードするポリヌクレオチド。
【請求項2】
修飾オレオシンが、そのうちの少なくとも1つが人工的に導入される少なくとも2つのシステインを含む請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項3】
修飾オレオシンがそれぞれ、
i)少なくとも2つの人工的に導入されたシステイン、
ii)少なくとも3つの人工的に導入されたシステイン、
iii)少なくとも4つの人工的に導入されたシステイン、
iv)少なくとも5つの人工的に導入されたシステイン、
v)少なくとも6つの人工的に導入されたシステイン、
vi)少なくとも7つの人工的に導入されたシステイン、
vii)少なくとも8つの人工的に導入されたシステイン、
viii)少なくとも9つの人工的に導入されたシステイン、
ix)少なくとも10の人工的に導入されたシステイン、
x)少なくとも11の人工的に導入されたシステイン、
xi)少なくとも12の人工的に導入されたシステイン、
xii)少なくとも13の人工的に導入されたシステイン、又は
xiii)少なくとも14の人工的に導入されたシステインを含む請求項3のポリヌクレオチド。
【請求項4】
修飾オレオシンがN末端親水性領域で少なくとも1つのシステイン及びC末端親水性領域で少なくとも1つのシステインを含む請求項2又は3のポリヌクレオチド。
【請求項5】
システインがオレオシンのC末端及びN末端の親水性領域の間で実質的に均一に分布する請求項4のポリヌクレオチド。
【請求項6】
ポリヌクレオチドが、目的タンパク質に融合された修飾オレオシンを含む融合タンパク質をコードする請求項1〜5のいずれか1項のポリヌクレオチド。
構築物
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項のポリヌクレオチドを含む遺伝子構築物又は発現構築物。
【請求項8】
ポリヌクレオチド構築物がプロモータ配列に操作可能に連結される請求項7の遺伝子構築物又は発現構築物。
【請求項9】
プロモータ配列が植物におけるポリヌクレオチドの発現を駆動することが可能である請求項8の遺伝子構築物又は発現構築物。
宿主細胞
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1項のポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドの発現産物を発現するように遺伝子操作される宿主細胞。
【請求項12】
請求項7〜9のいずれか1項の構築物を含む宿主細胞。
TAG合成酵素も発現する宿主細胞
【請求項13】
トリアシルグリセロール(TAG)合成酵素を発現するようにも遺伝子操作される請求項10〜12のいずれか1項の宿主細胞。
【請求項14】
トリアシルグリセロール(TAG)合成酵素をコードする核酸配列を含む発現構築物を含む請求項13の宿主細胞。
【請求項15】
核酸がプロモータ配列に操作可能に連結される請求項14の宿主細胞。
【請求項16】
トリアシルグリセロール(TAG)合成酵素をコードする核酸に連結されるプロモータ配列が植物において核酸配列の発現を駆動することが可能である請求項15の宿主細胞。
宿主細胞の種類
【請求項17】
細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、藻類細胞及び植物細胞から選択される宿主細胞である請求項10〜16のいずれか1項の宿主細胞。
【請求項18】
植物細胞である請求項10〜16のいずれか1項の宿主細胞。
植物
【請求項19】
請求項18の植物細胞を含む植物。
【請求項20】
請求項1〜6のいずれか1項のポリヌクレオチドによってコードされる修飾オレオシンを発現する請求項19の植物。
【請求項21】
植物の成長組織で修飾オレオシンを発現する請求項19の植物。
【請求項22】
植物の種子で修飾オレオシンを発現する請求項19の植物。
【請求項23】
植物の花粉で修飾オレオシンを発現する請求項19の植物。
TAG酵素も発現する植物
【請求項24】
トリアシルグリセロール(TAG)合成酵素を発現するようにも遺伝子操作される請求項20〜23のいずれか1項の植物。
【請求項25】
トリアシルグリセロール(TAG)合成酵素が修飾オレオシンと同じ組織で発現される請求項24の植物。
【請求項26】
好適な対照植物の約0.5〜約4倍多い総脂質を発現する請求項19〜25のいずれか1項の植物。
人工的に導入されたシステインを伴う修飾オレオシンポリペプチド
【請求項27】
請求項1〜6のいずれか1項のポリヌクレオチドによってコードされる修飾オレオシン。
【請求項28】
少なくとも1つの人工的に導入されたシステインを含む修飾オレオシン。
【請求項29】
そのうちの少なくとも1つが人工的に導入される少なくとも2つのシステインを含む請求項28の修飾オレオシン。
【請求項30】
i)少なくとも2つの人工的に導入されたシステイン、
ii)少なくとも3つの人工的に導入されたシステイン、
iii)少なくとも4つの人工的に導入されたシステイン、
iv)少なくとも5つの人工的に導入されたシステイン、
v)少なくとも6つの人工的に導入されたシステイン、
vi)少なくとも7つの人工的に導入されたシステイン、
vii)少なくとも8つの人工的に導入されたシステイン、
viii)少なくとも9つの人工的に導入されたシステイン、
ix)少なくとも10の人工的に導入されたシステイン、
x)少なくとも11の人工的に導入されたシステイン、
xi)少なくとも12の人工的に導入されたシステイン、
xii)少なくとも13の人工的に導入されたシステイン、又は
xiii)少なくとも14の人工的に導入されたシステインを含む請求項29の修飾オレオシン。
【請求項31】
N末端親水性領域で少なくとも1つのシステイン及びC末端親水性領域で少なくとも1つのシステインを含む請求項29又は30の修飾オレオシン。
【請求項32】
システインがオレオシンのC末端及びN末端の親水性領域の間で実質的に均一に分布する請求項31の修飾オレオシン。
人工的に導入されたシステインを含む修飾オレオシンとの融合タンパク質
【請求項33】
請求項27〜32のいずれか1項の修飾オレオシンと目的タンパク質を含む融合タンパク質。
修飾オレオシンを含む油体
【請求項34】
請求項27〜32のいずれか1項の修飾オレオシンを含む油体。
【請求項35】
請求項27〜32のいずれか1項の修飾オレオシンを少なくとも2つ含む油体。
【請求項36】
修飾オレオシンのシステイン残基間の少なくとも1つのジスルフィド結合を介して少なくとも2つの修飾オレオシンが互いに架橋する請求項35の油体。
【請求項37】
修飾オレオシンが架橋しない請求項35の油体。
【請求項38】
目的タンパク質に融合したオレオシンを含む融合タンパク質をさらに含む請求項34〜36のいずれか1項の油体。
【請求項39】
融合タンパク質におけるオレオシンが人工的に導入されたシステインを含まない請求項38の油体。
修飾オレオシンとの融合タンパク質を含む油体
【請求項40】
融合タンパク質のオレオシンがオレオシン部分にて人工的に導入されたシステインを含む請求項38の油体。
【請求項41】
それぞれ人工的に導入されたシステインを含む少なくとも2つの融合タンパク質を含む請求項40の油体。
【請求項42】
融合タンパク質の修飾オレオシン部分におけるシステイン残基間のジスルフィド結合を介して融合タンパク質の少なくとも2つが互いに架橋する請求項41の油体。
(修飾オレオシンを含む)エマルション
【請求項43】
請求項27〜32のいずれか1項の修飾オレオシンを含むエマルション。
(油体を含む)エマルション
【請求項44】
請求項34〜42のいずれか1項の油体を含むエマルション。
(修飾オレオシンを含む)組成物
【請求項45】
請求項27〜32のいずれか1項の修飾オレオシンを含む組成物。
(油体を含む)組成物
【請求項46】
請求項34〜42のいずれか1項の油体を含む組成物。
【請求項47】
油体と好適なキャリアを含む請求項46の組成物。
【請求項48】
適当な酸化還元環境によってキャリアが緩衝化され、修飾オレオシンの所望の程度の架橋を達成する請求項47の組成物。
【請求項49】
皮膚塗布用に製剤化される請求項45〜48のいずれか1項の組成物。
本発明の油体を含む植物及びその一部
【請求項50】
請求項34〜42のいずれか1項の油体を含む植物又はその一部。
【請求項51】
請求項34〜42のいずれか1項の油体を含む植物の成長組織。
【請求項52】
請求項34〜42のいずれか1項の油体を含む植物の種子。
本発明の油体を含む動物飼料
【請求項53】
請求項34〜42のいずれか1項の油体を含む動物飼料。
【請求項54】
請求項19〜26及び50〜52のいずれか1項の植物又はその一部又はその組織を含む動物飼料。
方法
油体の作出方法
【請求項55】
油体を作出する方法であって、前記方法が、
a)請求項27〜32のいずれか1項の修飾オレオシンを少なくとも2つ、トリアシルグリセロールと
b)リン脂質
を組み合わせる工程を含む方法。
【請求項56】
作出される油体の酸化還元環境を制御することによって油体における修飾オレオシンの架橋の程度を調節する追加の工程を含む請求項55の方法。
【請求項57】
修飾オレオシンの少なくとも一部が融合タンパク質の一部であり、前記融合タンパク質は修飾オレオシンと目的タンパク質を含む請求項55又は56の方法。
生体内で混ぜ合わせられる全成分(生体内油体)
【請求項58】
a)、b)及びc)の成分が宿主細胞内で混ぜ合わせられる請求項55〜57のいずれか1項の方法。
【請求項59】
修飾オレオシンが宿主細胞で発現される請求項58の方法。
【請求項60】
宿主細胞が修飾オレオシンを発現するように遺伝子操作される請求項58又は59の方法。
宿主細胞がTAG酵素も発現する方法
【請求項61】
宿主細胞がトリアシルグリセロール(TAG)合成酵素を発現するようにも遺伝子操作される請求項58〜60のいずれか1項の方法。
【請求項62】
宿主細胞が生物の一部を形成する請求項58〜61のいずれか1項の方法。
【請求項63】
生物が植物である請求項62の方法。
【請求項64】
植物が好適な対照植物より約50%〜約400%多い脂質を蓄積する請求項62の方法。
生体内で産生された油体を精製するための追加の方法工程
【請求項65】
細胞又は生物から油体を精製する追加の工程を含む請求項58〜64のいずれか1項の方法。
生体内で産生された精製油体の架橋の程度を変化させる追加の方法工程
【請求項66】
精製油体の酸化還元環境を制御することによって、生体内で産生された精製油体における修飾オレオシンの架橋の程度を調節する追加の工程を含む請求項58〜65のいずれか1項の方法。
試験管内(試験管内での/人工的な油体)で混ぜ合わせられる成分
【請求項67】
a)、b)及びc)の成分を試験管内で混ぜ合わせる請求項55〜57のいずれか1項の方法。
試験管内での/人工的な油体の架橋の程度を変化させる追加の方法工程
【請求項68】
a)、b)及びc)の成分を混ぜ合わせる酸化還元環境を制御することによって架橋の程度を調節する追加の工程を含む請求項67の方法。
【請求項69】
油体が含有される酸化還元環境を制御することによって、油体が形成された後、架橋の程度を調節する請求項68の方法。
油体
【請求項70】
請求項65〜69のいずれか1項の方法によって産生される油体。
油の産生方法
【請求項71】
油を産生する方法であって、油の産生を導く条件にて請求項10〜18のいずれか1項の宿主細胞又は請求項19〜26のいずれか1項の植物を培養することを含む方法。
【請求項72】
好適な対照植物よりも多い油を蓄積する植物を作出する方法であって、請求項1〜6のいずれか1項のポリヌクレオチドによってコードされる修飾オレオシンを発現するポリヌクレオチドで形質転換された植物を提供することを含む方法。
【請求項73】
TAG合成酵素を発現するのでTAGを合成するTAG合成酵素をコードするポリヌクレオチドでも植物が形質転換される請求項72の方法。
【請求項74】
請求項1〜6のいずれか1項のポリヌクレオチド及びTAG合成酵素をコードするポリヌクレオチドの双方によって単一植物又は植物細胞を形質転換することにより植物が作出される請求項73の方法。
【請求項75】
請求項1〜6のいずれか1項のポリヌクレオチドで形質転換された第1の植物を、TAG合成酵素をコードするポリヌクレオチドで形質転換された第2の植物と交配させて、請求項1〜6のいずれか1項のポリヌクレオチドとTAG合成酵素をコードするポリヌクレオチドで形質転換された植物を作出することによって植物を作出する請求項72の方法。
【請求項76】
植物が、好適な対照植物よりも約50%〜約400%多い脂質を蓄積する請求項72〜75のいずれか1項の方法。
【請求項77】
油がTAGである請求項71〜76のいずれか1項の方法。
【請求項78】
植物の成長組織で油が産生される請求項71〜77のいずれか1項の方法。
【請求項79】
植物が動物飼料に加工される請求項71〜78のいずれか1項の方法。
【請求項80】
植物がバイオ燃料供給原料に加工される請求項71〜78のいずれか1項の方法。
【請求項81】
宿主細胞にて油体を産生する方法であって、
a)請求項1〜6のいずれか1項の少なくとも1つのポリヌクレオチドを宿主細胞に導入することと、
b)修飾オレオシンを発現させるために前記宿主細胞を培養することを含む方法。
【請求項82】
宿主細胞にて油体を産生する方法であって、
a)請求項1〜6のいずれか1項の少なくとも1つのポリヌクレオチドとTAG合成酵素をコードする核酸分子を宿主細胞に導入することと、
b)修飾オレオシンとTAG合成酵素を発現させるために前記宿主細胞を培養することを含む方法。
【請求項83】
宿主細胞が油分画に加工される請求項71、77、81又は82の方法。
【請求項84】
油が、燃料、オレオケミカル、又は栄養用若しくは化粧用の油、ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)、又はそれらの組み合わせに加工される請求項83のいずれか1項の方法。

【図8】
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【図10】
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【図13】
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【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図1−7】
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【図1−8】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図2−6】
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【図2−7】
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【図2−8】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図3−6】
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【図3−7】
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【図3−8】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図4−5】
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【図4−6】
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【図4−7】
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【図4−8】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図5−6】
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【図5−7】
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【図5−8】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2013−509178(P2013−509178A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536739(P2012−536739)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/NZ2010/000218
【国際公開番号】WO2011/053169
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512108887)アグリサーチ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】