修飾された免疫賦活性ジヌクレオチドを用いることによるオリゴヌクレオチドに基づく化合物の免疫賦活特性の調節
【課題】免疫応答を発生させるための、または免疫賦活を必要としている患者を処置するための方法において用いるためのイムノマーおよび免疫賦活性オリゴヌクレオチドを提供する。
【解決手段】イムノマーは、好ましくは、新規なプリンを含み、これらの3’末端において結合した少なくとも2つのオリゴヌクレオチド、ヌクレオチド間結合または非ヌクレオチドリンカーへの官能化された核酸塩基または糖を含み、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つは、免疫調節性オリゴヌクレオチドであり、アクセス可能な5’末端を有する。
【解決手段】イムノマーは、好ましくは、新規なプリンを含み、これらの3’末端において結合した少なくとも2つのオリゴヌクレオチド、ヌクレオチド間結合または非ヌクレオチドリンカーへの官能化された核酸塩基または糖を含み、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つは、免疫調節性オリゴヌクレオチドであり、アクセス可能な5’末端を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴヌクレオチドを免疫賦活剤として用いる免疫および免疫療法用途に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の概要
オリゴヌクレオチドは、現代の分子生物学における必須の手段となっており、診断的探索方法から遺伝子発現のアンチセンス阻害および免疫療法用途へのPCRに至るまでの、広範囲の手法において用いられている。オリゴヌクレオチドのこの広範囲の使用により、オリゴヌクレオチドを合成するための迅速、安価かつ効率的な方法に対する増大する要求がもたらされた。
【0003】
アンチセンスおよび診断用途のためのオリゴヌクレオチドの合成は、現在では常習的に達成され得る。例えば、Methods in Molecular Biology, Vol. 20: Protocols for Oligonucleotides and Analogs pp. 165-189 (S. Agrawal編、Humana Press, 1993); Oligonucleotides and Analogues, A Practical Approach, pp. 87-108 (F. Eckstein編、1991);およびUhlmann and Peyman, 同上;Agrawal and Iyer, Curr. Op. in Biotech. 6:12 (1995);およびAntisense Research and Applications (Crooke and Lebleu編、CRC Press, Boca Raton, 1993)を参照。初期の合成方法は、ホスホジエステルおよびホスホトリエステル化学を含んでいた。例えば、Khorana et al., J. Molec. Biol. 72:209 (1972)には、オリゴヌクレオチド合成のためのホスホジエステル化学が開示されている。Reese, Tetrahedron Lett. 34:3143-3179 (1978)には、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの合成のためのホスホトリエステル化学が開示されている。これらの初期の方法は、大いに、合成のための一層効率的なホスホラミダイトおよびH−ホスホネート方法に移行した。
【0004】
例えば、Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Lett. 22:1859-1862 (1981)には、ポリヌクレオチド合成におけるデオキシリボヌクレオシドホスホラミダイトの使用が開示されている。Agrawal and Zamecnik, 米国特許第5,149,798号(1992)には、H−ホスホネート方法によるオリゴヌクレオチドの最適化された合成が開示されている。これらの現代的な方法の両方を用いて、種々の修飾されたヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドが合成された。Agrawal and Goodchild, Tetrahedron Lett. 28:3539-3542 (1987)には、ホスホラミダイト化学を用いたオリゴヌクレオチドメチルホスホネートの合成が教示されている。Connolly et al., Biochem. 23:3443 (1984)には、ホスホラミダイト化学を用いたオリゴヌクレオチドホスホロチオエートの合成が開示されている。Jager et al., Biochem. 27:7237 (1988)には、ホスホラミダイト化学を用いたオリゴヌクレオチドホスホラミデートの合成が開示されている。Agrawal et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85:7079-7083 (1988)には、H−ホスホネート化学を用いたオリゴヌクレオチドホスホラミデートおよびホスホロチオエートの合成が開示されている。
【0005】
一層最近、数人の研究者により、免疫療法用途における免疫賦活剤としてのオリゴヌクレオチドの使用の有効性が例証された。ホスホジエステルおよびホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが、免疫賦活を誘発することができるという観察により、この副作用を治療手段として開発することにおける興味が生じた。これらの努力は、ジヌクレオチド天然CpGを含むホスホロチオエートオリゴヌクレオチドに集中された。Kuramoto et al., Jpn. J. Cancer Res. 83:1128-1131 (1992)には、CpGジヌクレオチドを含むパリンドロームを含むホスホジエステルオリゴヌクレオチドが、インターフェロンアルファおよびガンマ合成を誘発し、ナチュラルキラー活性を増強し得ることが教示されている。Krieg et al., Nature 371:546-549 (1995)には、ホスホロチオエートCpG含有オリゴヌクレオチドが免疫賦活性であることが開示されている。Liang et al., J. Clin. Invest. 98:1119-1129 (1996)には、このようなオリゴヌクレオチドが、ヒトB細胞を活性化することが開示されている。Moldoveanu et al., Vaccine 16:1216-124 (1998)には、CpG含有ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが、インフルエンザウイルスに対する免疫応答を増強することが教示されている。McCluskie and Davis, J. Immunol. 161:4463-4466 (1998)には、CpG含有オリゴヌクレオチドが、有効なアジュバントとして作用し、B型肝炎表面抗原に対する免疫応答を増大することが教示されている。Hartman et al., J. Immunol 164:1617-1624 (2000)には、免疫賦活性配列が種特異的であり、マウスと霊長類とで異なることが教示されている。
【0006】
CpG含有ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの他の修正はまた、免疫応答のモジュレーターとして作用するこれらの能力に影響し得る。例えば、Zhao et al., Biochem. Pharmacol. (1996) 51:173-182; Zhao et al., Biochem Pharmacol. (1996) 52:1537-1544; Zhao et al., Antisense Nucleic Acid Drug Dev. (1997) 7:495-502; Zhao et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (1999) 9:3453-3458; Zhao et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (2000) 10:1051-1054; Yu et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (2000) 10:2585-2588; Yu et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (2001) 11:2263-2267;およびKandimalla et al., Bioorg. Med. Chem. (2001) 9:807-813を参照。
【0007】
これらの報告により、免疫賦活性オリゴヌクレオチドにより生じた免疫応答を調節し、免疫賦活性配列の種特異性に打ち勝つことができる必要性が残留することが明らかになる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、オリゴヌクレオチド化合物により生じた免疫応答を調節するための方法を提供する。本発明の方法により、免疫療法用途への免疫賦活性オリゴヌクレオチドにより生じたサイトカインプロフィールの修正が可能である。本発明者らは、驚異的なことに、免疫賦活性ジヌクレオチドの修飾により、生じた免疫応答の性質における柔軟性が可能になることおよび、ある修飾により、免疫賦活性配列の現在まで観察されている種特異性に打ち勝つことを見出した。いくつかの好ましい態様において、修飾されたジヌクレオチドは、以下にさらに記載するように、「イムノマー(immunomer)」の状況にある。
【0009】
従って、第1の観点において、本発明は、少なくとも1種の修飾したプリンまたはピリミジンを含む少なくとも1種の免疫賦活性ジヌクレオチドを含む免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーを提供する。
【0010】
1つの観点において、免疫調節性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーは、式5’−Pyr−Pur−3’で表され、式中Pyrは、天然の、または非天然のピリミジンヌクレオシドであり、Purは、天然の、または非天然のプリンヌクレオシドである、免疫賦活性ジヌクレオチドを含む。他の好ましい態様において、免疫調節性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーは、式5’−Pur*−Pur−3’で表され、式中Pur*は、非天然のプリンヌクレオシドであり、Purは、天然の、または非天然のプリンヌクレオシドである、免疫賦活性ジヌクレオチドを含む。特に好ましい合成プリンは、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである。この合成プリンが、ジヌクレオチドのPur*位置にある際には、免疫賦活効果の種特異性(配列依存性)に打ち勝ち、サイトカインプロフィールは、改善される。
【0011】
他の態様において、免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーは、CpG、C*pG、CpG*およびC*pG*からなる群から選択された免疫賦活性ジヌクレオチドを含み、式中、Cの塩基は、シトシンであり、C*の塩基は、チミン、5−ヒドロキシシトシン、N4−アルキル−シトシン、4−チオウラシルまたは他の非天然ピリミジンヌクレオシドまたは2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり、ここで、塩基が、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである際には、これは、好ましくは、ペントースの1’位置に、塩基の1位を介して共有結合しており;Gの塩基は、グアニンであり、G*の塩基は、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−アミノ−6−チオプリン、6−オキソプリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されたヌクレオシド間結合である。いくつかの好ましい態様において、免疫賦活性ジヌクレオチドは、CpGではない。
【0012】
尚他の態様において、免疫調節性オリゴヌクレオチドは、式(III):
5’−Nn−N1−Y−Z−N1−Nn−3’ (III)
式中、
Yの塩基は、シトシン、チミン、5−ヒドロキシシトシン、N4−アルキル−シトシン、4−チオウラシルまたは2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり、ここで、塩基が、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである際には、これは、好ましくは、ペントースの1’位置に、塩基の1位を介して共有結合しており;
Zの塩基は、グアニン、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−アミノ−6−チオプリンまたは6−オキソプリンであり、
【0013】
N1およびNnは、各々の存在において独立して、好ましくは天然に存在するか、もしくは合成のヌクレオシドまたは脱塩基ヌクレオシド類、アラビノヌクレオシド類、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド類、β−L−デオキシリボヌクレオシド類および、ホスホジエステルもしくは修飾されたヌクレオシド間結合により、3’側上の隣接するヌクレオシドに結合したヌクレオシド類からなる群から選択された免疫賦活性部分であり、修飾されたヌクレオチド間結合は、限定されずに、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、またはメチルホスホネートヌクレオシド間結合から選択されており;
【0014】
ただし、N1またはNnの少なくとも一方は、随意に、免疫賦活部分であり;
ここで、nは、0〜30の数であり;
ここで、3’末端、ヌクレオチド間結合または官能化された核酸塩基もしくは糖は、直接、または非ヌクレオチドリンカーを介して、免疫賦活性であってもなくてもよい他のオリゴヌクレオチドに結合していてもしていなくてもよい、
で表される免疫賦活性領域を含む。免疫調節性オリゴヌクレオチドが、他のオリゴヌクレオチドに結合している際には、これを、「イムノマー」と呼ぶ。
【0015】
第2の観点において、本発明は、上記したイムノマーおよび、アクセス可能な5’末端以外の位置においてイムノマーに接合した抗原を含む、イムノマー接合体を提供する。同様に、オリゴヌクレオチドが、他のオリゴヌクレオチドに結合しておらず、このアクセス可能な5’末端以外のすべての位置において抗原に結合している場合には、これを、「免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体」と呼ぶ。
【0016】
第3の観点において、本発明は、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーもしくはイムノマー接合体またはこれらの2種もしくは3種以上の組み合わせおよび生理学的に許容し得る担体を含む、医薬製剤を提供する。
【0017】
第4の観点において、本発明は、脊椎動物における免疫応答を発生させる方法を提供し、このような方法は、脊椎動物に、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーもしくはイムノマー接合体またはこれらの2種もしくは3種以上の組み合わせを投与することを含む。いくつかの態様において、脊椎動物は、哺乳類である。
【0018】
第5の観点において、本発明は、疾患または障害を有する患者を治療的に処置する方法を提供し、このような方法は、患者に、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーもしくはイムノマー接合体またはこれらの2種もしくは3種以上の組み合わせを投与することを含む。種々の態様において、処置されるべき疾患または障害は、癌、自己免疫障害、気道炎症、喘息、アレルギーまたは病原体により生じた疾患である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の代表的なイムノマーを図式的に表す図である。
【図2】本発明のいくつかの代表的なイムノマーを示す図である。
【図3】本発明のイムノマーの直線的な合成に適する代表的な小分子リンカーの群を示す図である。
【0020】
【図4】本発明のイムノマーの平行する合成に適する代表的な小分子リンカーの群を示す図である。
【図5】本発明のイムノマーの直線的な合成のための合成スキームである。
【図6】本発明のイムノマーの平行する合成のための合成スキームである。
【0021】
【図7】図7Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー1〜3によるIL−12の誘発をグラフ的に表す図である。図7Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー1〜3によるIL−6(それぞれ完全な)の誘発をグラフ的に表す図である。図7Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー1〜3による(それぞれ完全な)IL−10の誘発をグラフ的に表す図である。
【図8】図8Aは、それぞれアクセス不能な、およびアクセス可能な5’末端を有する、種々の濃度のイムノマー5および6による、細胞培養物中でのBALB/cマウス脾臓細胞増殖の誘発をグラフ的に表す図である。図8Bは、CpGモチーフの5’隣接配列における免疫原性化学的修飾を有する、イムノマー4〜6によるBALB/cマウス脾臓の拡大をグラフ的に表す図である。
【0022】
【図9】図9Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−12の誘発を、グラフ的に表す図である。図9Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−6の誘発を、グラフ的に表す図である。図9Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−10の誘発を、グラフ的に表す図である。
【図10】図10Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー14、15および16による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。図10Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のイムノマー14および16によるIL−12による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。図10Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のイムノマー14および16によるIL−6による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。
【0023】
【図11】図11Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるオリゴ4および17並びにイムノマー19および20による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。図11Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4および17並びにイムノマー19および20によるIL−12産生の誘発を、グラフ的に表す図である。図11Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4および17並びにイムノマー19および20によるIL−6産生の誘発を、グラフ的に表す図である。
【図12】オリゴヌクレオチド4並びにイムノマー14、23および24を用いたBALB/cマウス脾臓拡大を、グラフ的に表す図である。
【0024】
【図13】オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドを図式的に表す図である。
【図14】例13において用いる化学的置換を示す図である。
【図15】例13の修飾したオリゴヌクレオチドを用いて得られたサイトカインプロフィールを示す図である。
【0025】
【図16】グリセロールリンカーについての、アミノリンカーと比較しての相対的サイトカイン誘発を示す図である。
【図17】種々のリンカーおよびリンカーの組み合わせについての相対的サイトカイン誘発を示す図である。
【図18】A〜Eは、種々のPSおよびPOイムノマー並びにオリゴヌクレオチドについての相対的ヌクレアーゼ耐性を示す図である。
【0026】
【図19】BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、PSイムノマーと比較しての、POイムノマーについての相対的サイトカイン誘発を示す図である。
【図20】C3H/Hejマウス脾臓細胞培養物における、PSイムノマーと比較しての、POイムノマーについての相対的サイトカイン誘発を示す図である。
【図21】高濃度のイムノマーにおける、C3H/Hejマウス脾臓細胞培養物における、PSイムノマーと比較しての、POイムノマーについての相対的サイトカイン誘発を示す図である。
【0027】
【図22】いくつかのピリミジンおよびプリン構造を示す図である。
【図23】本研究において用いられる数種の免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーを示す図である。
【図24】天然のCpGモチーフと、合成プリン−pGジヌクレオチドを有する免疫賦活性モチーフとの比較を示す図である。
【図25】本研究において用いた種々の免疫賦活性オリゴヌクレオチドのIL−12およびIL−6プロフィールを示す図である。
【0028】
【図26】本研究において用いた追加の免疫賦活性オリゴヌクレオチドのIL−12およびIL−6プロフィールを示す図である。
【図27】本研究において用いた免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびイムノマーのIL−12およびIL−6プロフィールを示す図である。
【0029】
【図28】免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびイムノマーにおけるマウスおよびヒトモチーフにより提供されたIL−12およびIL−6プロフィールを比較する図である。
【0030】
【図29】種々の免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびイムノマーで処理したJ774細胞におけるNF−κBの活性化およびIκ−Bαの分解を示す図である。
【図30】ヒトPBMC培養物におけるイムノマーの免疫賦活活性を示す図である。
【0031】
好ましい態様の詳細な記載
本発明は、オリゴヌクレオチドの、免疫療法用途のための免疫賦活性剤としての治療的使用に関する。本明細書中で引用した刊行された特許、特許出願および参考文献は、各々が、参照により導入されることを特別に、および個別に示すのと同様に、同一の程度で参照により本明細書中に導入される。本明細書中で引用したすべての参考文献のすべての教示と本明細書との間で矛盾がある場合には、後者が、本発明の目的のために優勢である。
【0032】
本発明は、免疫療法用途のために用いられる免疫賦活性化合物により生じた免疫応答を増強する方法を提供し、これは、例えば、癌、自己免疫障害、喘息、呼吸器アレルギー、食物アレルギー、並びに成人および小児のヒトおよび獣医学的用途における細菌、寄生生物およびウイルス感染の処置であるが、これには限定されない。従って、本発明は、さらに、免疫療法のための免疫賦活効果の最適なレベルを有する化合物およびこのような化合物を製造し、用いる方法を提供する。さらに、本発明の化合物は、DNAワクチン、抗体およびアレルゲンと組み合わせた;並びに化学療法剤および/またはアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせたアジュバントとして、有用である。
【0033】
本発明者らは、驚異的なことに、免疫調節性オリゴヌクレオチドを修飾して、この5’末端を最適に提示することにより、この免疫賦活能力が劇的に影響されることを見出した。さらに、本発明者らは、免疫応答のサイトカインプロフィールおよび種特異性を、新規なプリンまたはピリミジン構造を、免疫調節性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーの一部として用いることにより調節することができることを見出した。
【0034】
第1の観点において、本発明は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたは「イムノマー」を提供し、後者は、これらの3’末端において結合した少なくとも2つのオリゴヌクレオチド、またはヌクレオシド間結合または非ヌクレオチドリンカーへの官能化された核酸塩基もしくは糖を含み、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つは、免疫調節性オリゴヌクレオチドであり、アクセス可能な5’末端を有する。本明細書中で用いる、用語「アクセス可能な5’末端」は、オリゴヌクレオチドの5’末端が、イムノマーを認識し、これに結合し、免疫系を刺激する因子が、これへのアクセスを有するように、十分有用であることを意味する。
【0035】
アクセス可能な5’末端を有するオリゴヌクレオチドにおいて、末端糖の5’OH位置は、2つよりも多いヌクレオシド残基または5’末端との相互作用に干渉するすべての他の部分に共有結合していない。随意に、5’OHは、ホスフェート、ホスホロチオエートもしくはホスホロジチオエート部分、芳香族もしくは脂肪族リンカー、コレステロールまたはアクセス可能性に干渉しないすべての実体に結合していてもよい。本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーは、好ましくは、さらに新規なプリンまたはピリミジンを含む免疫賦活性ジヌクレオチドを含む。
【0036】
いくつかの態様において、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、リンカーにより5’から3’に結合したオリゴヌクレオチド配列、例えば図14に示すものを有することができる。
いくつかの態様において、イムノマーは、(イムノマーの状況において)同一であるかまたは異なっていてもよい、2種または3種以上の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、各々のこのような免疫調節性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのアクセス可能な5’末端を有する。
【0037】
ある態様において、1種または2種以上の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに加えて、イムノマーはまた、遺伝子またはこのRNA生成物に相補的な少なくとも1種のオリゴヌクレオチドを含む。本明細書中で用いる用語「〜に相補的な」は、オリゴヌクレオチドが、生理学的条件の下で、遺伝子の領域にハイブリダイズすることを意味する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、遺伝子の発現を下方調節する。このような下方調節オリゴヌクレオチドは、好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムオリゴヌクレオチド、小さい阻害RNAおよびデコイオリゴヌクレオチドからなる群から選択される。本明細書中で用いる用語「遺伝子を下方調節する」は、遺伝子の転写または遺伝子生成物の翻訳を阻害することを意味する。従って、本発明のこれらの態様におけるイムノマーを用いて、1種または2種以上の特定の疾患標的を標的し、一方また免疫系を刺激することができる。
【0038】
ある態様において、イムノマーは、リボザイムまたはデコイオリゴヌクレオチドを含む。本明細書中で用いる用語「リボザイム」は、触媒活性を有するオリゴヌクレオチドを意味する。好ましくは、リボザイムは、特定の核酸標的に結合し、標的を切断する。本明細書中で用いる用語「デコイオリゴヌクレオチド」は、転写因子に配列に特異的な方式で結合し、転写活性を停止するオリゴヌクレオチドを意味する。好ましくは、リボザイムまたはデコイオリゴヌクレオチドは、ステムループまたはヘアピン構造を含むがこれらには限定されない二次構造を示す。ある態様において、少なくとも1種のオリゴヌクレオチドは、ポリ(I)−ポリ(C)を含む。ある態様において、少なくとも1つの群のNnは、3〜10dGsおよび/またはGsまたは2’置換リボもしくはアラビノGsの線を含む。
【0039】
本発明の目的のために、用語「オリゴヌクレオチド」は、複数の結合したヌクレオシド単位から形成したポリヌクレオシドを意味する。このようなオリゴヌクレオチドは、ゲノムまたはcDNAを含む在来の核酸供給源から得られるが、好ましくは合成的方法により製造される。好ましい態様において、各々のヌクレオシド単位は、複素環式塩基およびペントフラノシル、トレハロース、アラビノース、2’−デオキシ−2’置換アラビノース、2’−O置換アラビノースまたはヘキソース糖基を含む。ヌクレオシド残基は、互いに、多くの既知のヌクレオシド間結合のすべてにより結合することができる。このようなヌクレオシド結合には、限定されずに、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホラミデート、シロキサン、カーボネート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋ホスホラミデート、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエート、およびスルホンヌクレオシド間結合が含まれる。
【0040】
用語「オリゴヌクレオチド」はまた、1つまたは2つ以上の立体特異的なヌクレオシド間結合(例えば、(Rp)−もしくは(Sp)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネートまたはホスホトリエステル結合)を有するポリヌクレオシドを包含する。本明細書中で用いる用語「オリゴヌクレオチド」および「ジヌクレオチド」は、結合がホスフェート基を含むか否かとは無関係に、すべてのこのようなヌクレオシド間結合を有するポリヌクレオシドおよびジヌクレオシドを含むことを明確に意図する。ある好ましい態様において、これらのヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエートもしくはホスホロジチオエート結合またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0041】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、各々、約3〜約35個のヌクレオシド残基、好ましくは約4〜約30個のヌクレオシド残基、一層好ましくは約4〜約20個のヌクレオシド残基を有する。いくつかの態様において、イムノマーは、約5〜約18個、または約5〜約14個のヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドを含む。本明細書中で用いる用語「約」は、正確な数が臨界的に重要ではないことを示す。従って、オリゴヌクレオチド中のヌクレオシド残基の数は、臨界的には重要でなく、1つもしくは2つの一層少数のヌクレオシド残基または1つないしいくつかの追加のヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドは、上記した態様の各々の等価なものとして意図される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの1つまたは2つ以上は、11個のヌクレオチドを有する。免疫賦活性オリゴヌクレオチドの状況において、好ましい態様は、約13〜約35個のヌクレオチド、一層好ましくは約13〜約26個のヌクレオチドを有する。
【0042】
用語「オリゴヌクレオチド」はまた、限定されずに、タンパク質基、親油性基、挿入剤、ジアミン、葉酸、コレステロールおよびアダマンタンを含む追加の置換基を有するポリヌクレオシドを包含する。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、限定されずに、ペプチド核酸類(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸類(PHONA)、ロックされた核酸類(LNA)、モルホリノ主鎖オリゴヌクレオチド、およびアルキルリンカーまたはアミノリンカーを有する主鎖部分を有するオリゴヌクレオチドを含むポリマーを含む、すべての他の核酸塩基を包含する。
【0043】
本発明のオリゴヌクレオチドは、天然に存在するヌクレオシド、修飾されたヌクレオシドまたはこれらの混合物を含むことができる。本明細書中で用いる用語「修飾されたヌクレオシド」は、修飾された複素環式塩基、修飾された糖部分またはこれらの組み合わせを含むヌクレオシドである。いくつかの態様において、修飾されたヌクレオシドは、本明細書中に記載したように、非天然ピリミジンまたはプリンヌクレオシドである。いくつかの態様において、修飾されたヌクレオシドは、2’置換リボヌクレオシド、アラビノヌクレオシドまたは2’−デオキシ−2’置換−アラビノシドである。
【0044】
本発明の目的のために、用語「2’置換リボヌクレオシド」または「2’置換アラビノシド」は、ペントース部分の2’位置における水酸基が置換されて、2’置換または2’−O置換リボヌクレオシドを生成するリボヌクレオシドまたはアラビノヌクレオシドを含む。好ましくは、このような置換は、1〜6個の飽和もしくは不飽和炭素原子を含む低級アルキル基での、または6〜10個の炭素原子を有するアリール基での置換であり、ここで、このようなアルキルまたはアリール基は、非置換であるか、または例えばハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシル、カルボアルコキシもしくはアミノ基で置換されていてもよい。2’−O置換リボヌクレオシドまたは2’−O置換アラビノシドの例には、限定されずに、2’−O−メチルリボヌクレオシドまたは2’−O−メチルアラビノシドおよび2’−O−メトキシエチルリボヌクレオシドまたは2’−O−メトキシエチルアラビノシドが含まれる。
【0045】
用語「2’置換リボヌクレオシド」または「2’置換アラビノシド」はまた、2’−水酸基が、1〜6個の飽和または不飽和炭素原子を含む低級アルキル基で、またはアミノもしくはハロ基で置換されているリボヌクレオシド類またはアラビノヌクレオシド類を含む。このような2’置換リボヌクレオシド類または2’置換アラビノシド類の例には、限定されずに、2’−アミノ、2’−フルオロ、2’−アリルおよび2’−プロパルギルリボヌクレオシド類またはアラビノシド類が含まれる。
【0046】
用語「オリゴヌクレオチド」は、ハイブリッドおよびキメラオリゴヌクレオチドを含む。「キメラオリゴヌクレオチド」は、1つより多いタイプのヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドである。このようなキメラオリゴヌクレオチドの1つの好ましい例は、ホスホロチオエート、ホスホジエステルまたはホスホロジチオエート領域および非イオン性結合、例えばアルキルホスホネートまたはアルキルホスホノチオエート結合を含むキメラオリゴヌクレオチドである(例えば、Pederson et al. 米国特許第5,635,377号および5,366,878号を参照)。
【0047】
「ハイブリッドオリゴヌクレオチド」は、1つより多いタイプのヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドである。このようなハイブリッドオリゴヌクレオチドの1つの好ましい例は、リボヌクレオチドまたは2’置換リボヌクレオチド領域、およびデオキシリボヌクレオチド領域を含む(例えば、Metelev and Agrawal, 米国特許第5,652,355号、6,346,614号および6,143,881号を参照)。
【0048】
本発明の目的のために、用語「免疫賦活性オリゴヌクレオチド」は、脊椎動物、例えば魚類、鳥類または哺乳類に投与した際に免疫応答を誘発する、上記したオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書中で用いる用語「哺乳類」には、限定されずに、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、畜牛、ウシ、ブタ、ウサギ、非ヒト霊長類およびヒトが含まれる。有用な免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、Agrawal et al., WO 98/49288、1998年11月5日刊行;WO 01/12804、2001年2月22日刊行;WO 01/55370、2001年8月2日刊行;PCT/US01/13682、2001年4月30日出願;およびPCT/US01/30137、2001年9月26日出願に記載されていることを見出すことができる。好ましくは、免疫調節性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む。
【0049】
いくつかの態様において、免疫調節性オリゴヌクレオチドは、式5’−Pyr−Pur−3’で表され、式中Pyrは、天然の、または合成のピリミジンヌクレオシドであり、Purは、天然の、または合成のプリンヌクレオシドである、免疫賦活性ジヌクレオチドを含む。いくつかの好ましい態様において、免疫調節性オリゴヌクレオチドは、式5’−Pur*−Pur−3’で表され、式中Pur*は、合成のプリンヌクレオシドであり、Purは、天然の、または合成のプリンヌクレオシドである、免疫賦活性ジヌクレオチドを含む。種々の箇所において、ジヌクレオチドは、RpG、C*pGまたはYZとして表され、この場合において、それぞれ、R、C*またはYは、合成プリンを表す。特に好ましい合成プリンは、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである。
【0050】
この合成プリンが、ジヌクレオチドのPur*位置にある際には、免疫賦活効果の種特異性(配列依存性)に打ち勝ち、サイトカインプロフィールは、改善される。本明細書中で用いる用語「ピリミジンヌクレオシド」は、ヌクレオシドの塩基成分が単環式核酸塩基であるヌクレオシドを意味する。同様に、用語「プリンヌクレオシド」は、ヌクレオシドの塩基成分が、二環式核酸塩基であるヌクレオシドを意味する。本発明の目的のために、「合成」ピリミジンまたはプリンヌクレオシドは、天然に存在しないピリミジンもしくはプリン塩基、天然に存在しない糖部分またはこれらの組み合わせを含む。
【0051】
本発明の好ましいピリミジンヌクレオシドは、構造(I):
【化1】
式中:
Dは、水素結合供与体であり;
D’は、水素、水素結合供与体、水素結合受容体、親水性基、疎水性基、電子求引基および電子供与基からなる群から選択されており;
Aは、水素結合受容体または親水性基であり;
A’は、水素結合受容体、親水性基、疎水性基、電子求引基および電子供与基からなる群から選択されており;
Xは、炭素または窒素であり;
Sは、ペントースもしくはヘキソース糖環または天然に存在しない糖である、
を有する。
【0052】
好ましくは、糖環は、ホスフェート部分、修飾されたホスフェート部分または、ピリミジンヌクレオシドを他のヌクレオシドもしくはヌクレオシド類似体に結合させるのに適する他のリンカー部分で誘導体化されている。
好ましい水素結合供与体には、限定されずに、−NH−、−NH2、−SHおよび−OHが含まれる。好ましい水素結合受容体には、限定されずに、C=O、C=Sおよび芳香族複素環の環窒素原子、例えばシトシンのN3が含まれる。
【0053】
いくつかの態様において、(I)中の塩基部分は、天然に存在しないピリミジン塩基である。好ましい天然に存在しないピリミジン塩基の例には、限定されずに、5−ヒドロキシシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、好ましくはN4−エチルシトシンおよび4−チオウラシルが含まれる。しかし、いくつかの態様において、5−ブロモシトシンは、特定的に排除される。
【0054】
いくつかの態様において、(I)における糖部分S’は、天然に存在しない糖部分である。本発明の目的のために、「天然に存在する糖部分」は、核酸の一部として天然に存在する糖部分、例えばリボースおよび2’−デオキシリボースであり、「天然に存在しない糖部分」は、核酸の一部として天然に存在しないが、オリゴヌクレオチドのための主鎖において用いることができるすべての糖、例えばヘキソースである。アラビノースおよびアラビノース誘導体は、好ましい糖部分の例である。
【0055】
本発明の好ましいプリンヌクレオシド類似体は、構造(II):
【化2】
式中:
Dは、水素結合供与体であり;
D’は、水素、水素結合供与体および親水性基からなる群から選択されており;
Aは、水素結合受容体または親水性基であり;
Xは、炭素または窒素であり;
各々のLは、独立して、C、O、NおよびSからなる群から選択された原子であり;
S’は、ペントースもしくはヘキソース糖環または天然に存在しない糖である、
を有する。
【0056】
好ましくは、糖環は、ホスフェート部分、修飾されたホスフェート部分、またはピリミジンヌクレオシドを他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体に結合させるのに適する他のリンカー部分で誘導体化されている。
好ましい水素結合供与体には、限定されずに、−NH−、−NH2、−SHおよび−OHが含まれる。好ましい水素結合受容体には、限定されずに、C=O、C=S、−NO2および芳香族複素環の環窒素原子、例えばグアニンのN1が含まれる。
【0057】
いくつかの態様において、(II)中の塩基部分は、天然に存在しないプリン塩基である。好ましい天然に存在しないプリン塩基の例には、限定されずに、2−アミノ−6−チオプリンおよび2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリンが含まれる。いくつかの態様において、(II)中の糖部分S’は、構造(I)について上記したように、天然に存在する糖部分である。
【0058】
好ましい態様において、免疫賦活性ジヌクレオチドは、CpG、C*pG、CpG*およびC*pG*からなる群から選択され、式中、Cの塩基は、シトシンであり、C*の塩基は、2’−チミン、5−ヒドロキシシトシン、N4−アルキル−シトシン、4−チオウラシルまたは他の非天然ピリミジンまたは2−オキソ−7−デアザ−8−メチルプリンであり、ここで、塩基が、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである際には、これは、好ましくは、ペントースの1’位置に、塩基の1位を介して共有結合しており;Gの塩基は、グアノシンであり、G*の塩基は、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−オキソ−7−デアザ−8−メチルプリン、6−チオグアニン、6−オキソプリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されたヌクレオシド間結合である。いくつかの好ましい態様において、免疫賦活性ジヌクレオチドは、CpGではない。
【0059】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、免疫賦活性部分を、免疫賦活性ジヌクレオチドの一方または両方の側上に含むことができる。従って、いくつかの態様において、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、構造(III):
5’−Nn−N1−Y−Z−N1−Nn−3’ (III)
式中:
Yの塩基は、シトシン、チミン、5−ヒドロキシシトシン、N4−アルキル−シトシン、4−チオウラシルまたは他の非天然ピリミジンヌクレオシドまたは2−オキソ−7−デアザ−8−メチルプリンであり、ここで、塩基が、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである際には、これは、好ましくは、ペントースの1’位置に、塩基の1位を介して共有結合しており;
Zの塩基は、グアニン、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−オキソ−7デアザ−8−メチルプリン、2−アミノ−6−チオ−プリン、6−オキソプリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり;
【0060】
N1およびNnは、各々の存在において独立して、好ましくは天然に存在するか、もしくは合成のヌクレオシドまたは脱塩基ヌクレオシド類、アラビノヌクレオシド類、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド類、β−L−デオキシリボヌクレオシド類および、ホスホジエステルもしくは修飾されたヌクレオシド間結合により、3’側上の隣接するヌクレオシドに結合したヌクレオシド類からなる群から選択された免疫賦活性部分であり、修飾されたヌクレオシド間結合は、限定されずに、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、またはメチルホスホネートヌクレオシド間結合から選択されており;
【0061】
ただし、N1またはNnの少なくとも一方は、随意に、免疫賦活部分であり;
ここで、nは、0〜30の数であり;
ここで、3’末端、ヌクレオチド間結合または誘導体化された核酸塩基もしくは糖は、直接、または非ヌクレオチドリンカーを介して、免疫賦活性であってもなくてもよい他のオリゴヌクレオチドに結合している、
で表される免疫賦活性領域を含む。
【0062】
いくつかの好ましい態様において、YZは、アラビノシチジンまたは2’−デオキシ−2’置換アラビノシチジンおよびアラビノグアノシンまたは2’デオキシ−2’置換アラビノグアノシンである。好ましい免疫賦活性部分には、天然のホスホジエステル主鎖および、限定されずにメチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホチオトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、トリエステルプロドラッグ、スルホン、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、N−メチルヒドロキシアミン、カーボネート、カルバメート、モルホリノ、ボラノホスホネート、ホスホラミデート、特に第一アミノ−ホスホラミデート、N3ホスホラミデートおよびN5ホスホラミデート、並びに立体特異性結合(例えば(RP)−または(SP)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネートまたはホスホトリエステル結合)を含むホスフェート主鎖における修飾が含まれる。
【0063】
本発明の好ましい免疫賦活性部分には、さらに、限定されずに、限定されずに2’−O−メチルリボース、2’−O−メトキシエチルリボース、2’−O−プロパルギルリボースおよび2’−デオキシ−2’−フルオロリボースが含まれる2’置換ペントース糖類;限定されずに3’−O−メチルリボースが含まれる3’−置換ペントース糖類;1’−2’−ジデオキシリボース;アラビノース;限定されずに1’−メチルアラビノース、3’−ヒドロキシメチルアラビノース、4’−ヒドロキシメチルアラビノース、3’−ヒドロキシアラビノースおよび2’置換アラビノース糖が含まれる置換アラビノース糖類;限定されずに1,5−アンヒドロヘキシトールが含まれるヘキソース糖類;並びにアルファ−アノマーが含まれる糖修飾を有するヌクレオシドが含まれる。修飾された糖が3’−デオキシリボヌクレオシドまたは3’−O置換リボヌクレオシドである態様において、免疫賦活性部分は、隣接するヌクレオシドに、2’−5’ヌクレオシド間結合により結合している。
【0064】
本発明の好ましい免疫賦活性部分は、さらに、ペプチド核酸類(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸類(PHONA)、ロックされた核酸類(LNA)、モルホリノ主鎖オリゴヌクレオチド、並びに限定されずにアルキルリンカーまたはアミノリンカーを含む、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有する主鎖リンカー部分を有するオリゴヌクレオチドを含む、他の炭水化物主鎖修飾および置換を有するオリゴヌクレオチドを含む。アルキルリンカーは、分枝状または非分枝状、置換または非置換、およびキラル的に純粋であるかまたはラセミ体混合物であってもよい。最も好ましくは、このようなアルキルリンカーは、約2〜約18個の炭素原子を有する。いくつかの好ましい態様において、このようなアルキルリンカーは、約3〜約9個の炭素原子を有する。いくつかのアルキルリンカーは、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素およびチオエーテルからなる群から選択された1種または2種以上の官能基を含む。いくつかのこのような官能化されたアルキルリンカーは、式−O−(CH2−CH2−O−)n(n=1〜9)で表されるポリ(エチレングリコール)リンカーである。いくつかの他の官能化されたアルキルリンカーは、ペプチドまたはアミノ酸である。
【0065】
本発明の好ましい免疫賦活性部分は、さらに、限定されずにβ−L−デオキシリボヌクレオシドおよびα−デオキシリボヌクレオシドを含む、DNAイソ型を含む。本発明の好ましい免疫賦活性部分は、3’修飾を包含し、さらに、限定されずに2’−5’、2’−2’、3’−3’および5’−5’結合を含む、天然ではないヌクレオシド間結合位置を有するヌクレオシドを含む。
【0066】
本発明の好ましい免疫賦活性部分は、さらに、限定されずに5−ヒドロキシシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、好ましくはN4−エチルシトシン、4−チオウラシル、6−チオグアニン、7−デアザグアニン、イノシン、ニトロピロール、C5−プロピニルピリミジンおよび限定されずに2,6−ジアミノプリンを含むジアミノプリン類を含む、修飾された複素環式塩基を有するヌクレオシドを含む。
【0067】
特定の例示により、および限定せずに、例えば構造(III)で表される免疫賦活性領域において、位置N1またはNnにおけるメチルホスホネートヌクレオシド間結合は、免疫賦活性部分であり、位置X1における約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカーは、免疫賦活性部分であり、位置X1におけるβ−L−デオキシリボヌクレオシドは、免疫賦活性部分である。免疫賦活性部分の代表的な位置および構造について、以下の表1を参照。特定の位置における免疫賦活性部分としてのリンカーへの言及は、当該位置におけるヌクレオシド残基が、この3’−ヒドロキシルにおいて、示したリンカーで置換されており、これにより当該ヌクレオシド残基と3’側上の隣接するヌクレオシドとの間の修飾されたヌクレオシド間結合が作成されることを意味することが、理解されるべきである。同様に、特定の位置における免疫賦活性部分としての修飾されたヌクレオシド間結合への言及は、当該位置におけるヌクレオシド残基が、3’側上の隣接するヌクレオシドに、引用した結合により結合していることを意味する。
【0068】
【表1】
【0069】
表2は、上流相乗作用領域を有する免疫調節性オリゴヌクレオチド内の免疫賦活性部分の代表的な位置および構造を示す。本明細書中で用いる用語「スペーサー9」は、式−O−(CH2CH2−O)n−で表され、式中nが3であるポリ(エチレングリコール)リンカーを意味する。用語「スペーサー18」は、式−O−(CH2CH2−O)n−で表され、式中nが6であるポリ(エチレングリコール)リンカーを意味する。本明細書中で用いる用語「C2〜C18アルキルリンカー」は、式−O−(CH2)q−O−で表され、式中qが、2〜18の整数であるリンカーを意味する。従って、用語「C3リンカー」および「C3アルキルリンカー」は、式−O−(CH2)3−O−で表されるリンカーを意味する。スペーサー9、スペーサー18およびC2〜C18アルキルリンカーの各々について、リンカーは、隣接するヌクレオシドに、ホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート結合により結合している。
【0070】
【表2】
【0071】
表3は、下流相乗作用領域を有する免疫調節性オリゴヌクレオチド内の免疫賦活性部分の代表的な位置および構造を示す。
【0072】
【表3】
【0073】
本発明のイムノマーは、これらの3’末端もしくはヌクレオシド間結合において結合した少なくとも2つのオリゴヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーによる官能化された核酸塩基もしくは糖を含む。本発明の目的のために、「非ヌクレオチドリンカー」は、オリゴヌクレオチドに、共有結合または非共有結合により結合することができるすべての部分である。好ましくは、このようなリンカーは、長さが約2オングストローム〜約200オングストロームである。好ましいリンカーのいくつかの例を、以下に述べる。非共有結合には、静電相互作用、疎水性相互作用、π積み重ね相互作用および水素結合が含まれるが、これらには限定されない。用語「非ヌクレオチドリンカー」は、上記したように、ヌクレオシド間結合、例えば2つのヌクレオシドの3’−水酸基に直接結合するホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート官能基を表すことを意味しない。本発明の目的のために、このような直接的な3’−3’結合(リンカーを伴わない)は、「ヌクレオチド結合」であると考慮される。
【0074】
いくつかの態様において、非ヌクレオチドリンカーは、限定されずに、金粒子を含む金属である。いくつかの他の態様において、非ヌクレオチドリンカーは、可溶性または不溶性の生分解性ポリマービーズである。
【0075】
尚他の態様において、非ヌクレオチドリンカーは、オリゴヌクレオチドへの結合を可能にする官能基を有する有機部分である。このような結合は、好ましくは、すべての好適な共有結合によるものである。非限定的な例として、リンカーは、図13に示すように、ヌクレオシド上のすべての好適な位置に結合することができる。いくつかの好ましい態様において、リンカーは、3’−ヒドロキシルに結合する。このような態様において、リンカーは、好ましくは、好ましくは3’−ヒドロキシルにホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたはホスフェートに基づかない結合により結合している、ヒドロキシル官能基を含む。
【0076】
いくつかの態様において、非ヌクレオチドリンカーは、限定されずにポリペプチド、抗体、脂質、抗原、アレルゲンおよびオリゴ糖類を含む生体分子である。いくつかの他の態様において、非ヌクレオチドリンカーは、小分子である。本発明の目的のために、小分子は、1,000Daよりも小さい分子量を有する有機部分である。いくつかの態様において、小分子は、750Daよりも小さい分子量を有する。
【0077】
いくつかの態様において、小分子は、いずれかが随意に、オリゴヌクレオチドに結合しているか、またはこれに付着している直鎖状鎖において、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素およびチオ尿素からなる群から選択された1種または2種以上の官能基を含むことができる、脂肪族または芳香族炭化水素である。小分子は、環式であっても非環式であってもよい。小分子リンカーの例には、アミノ酸、炭水化物、シクロデキストリン、アダマンタン、コレステロール、ハプテンおよび抗生物質が含まれるが、これらには限定されない。しかし、非ヌクレオチドリンカーを記載する目的のために、用語「小分子」は、ヌクレオシドを含むことを意図しない。
【0078】
いくつかの態様において、小分子リンカーは、式HO−(CH2)o−CH(OH)−(CH2)p−OHで表され、式中oおよびpは、独立して1〜約6、1〜約4または1〜約3の整数であるグリセロールまたはグリセロール相同体である。いくつかの他の態様において、小分子リンカーは、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンの誘導体である。いくつかのこのような誘導体は、式HO−(CH2)m−C(O)NH−CH2−CH(OH)−CH2−NHC(O)−(CH2)m−OHを有し、式中mは、0〜約10、0〜約6、2〜約6または2〜約4の整数である。
【0079】
本発明の数種の非ヌクレオチドリンカーにより、図1に図式的に示すように、2つよりも多いオリゴヌクレオチドの結合が可能である。例えば、小分子リンカーグリセロールは、オリゴヌクレオチドが共有結合することができる3つの水酸基を有する。従って、本発明の数種のイムノマーは、これらの3’末端において非ヌクレオチドリンカーに結合した、2つよりも多いオリゴヌクレオチドを含む。いくつかのこのようなイムノマーは、各々アクセス可能な5’末端を有する少なくとも2つの免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含む。
【0080】
本発明のイムノマーは、図5および6に図式的に示すように、並びにさらに例中に記載するように、自動合成装置およびホスホラミダイト方法を用いて、好都合に合成することができる。いくつかの態様において、イムノマーを、直線的な合成方法(図5を参照)により合成する。本明細書中で用いる用語「直線的な合成」は、イムノマーの一方の末端において開始し、他方の末端に直線的に進行する合成を意味する。直線的な合成により、同一の、または同一ではない(長さ、塩基組成および/または導入される化学的修飾の点で)モノマー単位をイムノマー中に導入することが可能である。
【0081】
合成の代替のモードは、合成が中心的なリンカー部分から外方向に進行する「平行する合成」である(図6を参照)。リンカーが結合した固体の支持体を、米国特許第5,912,332号に記載されているように、平行する合成のために用いることができる。あるいはまた、一般的な固体支持体(例えば制御された孔のガラス支持体に結合したホスフェート)を、用いることができる。
【0082】
イムノマーの平行する合成は、直線的な合成にまさるいくつかの利点を有する:(1)平行する合成により、同一のモノマー単位の導入が可能である;(2)直線的な合成とは異なり、両方(またはすべて)のモノマー単位を、同時に合成し、これにより、合成段階の数および合成に必要な時間は、モノマー単位のものと同一である;および(3)合成段階の減少により、最終的なイムノマー生成物の純度および収率が改善される。
【0083】
直線的な合成または平行する合成プロトコルのいずれかによる合成の終了時に、修飾したヌクレオシドが導入されている場合には、イムノマーを、好都合に、濃アンモニア溶液で、または、ホスホラミダイト供給者により推薦されているように脱保護する(deprotected)ことができる。生成物イムノマーを、好ましくは、逆相HPLCにより精製し、脱トリチル化し(detritylated)、脱塩し、透析する。
【0084】
表4Aおよび表4Bは、本発明の代表的なイムノマーを示す。追加のイムノマーは、例中に記載されていると見出される。
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
* G1=2’−デオキシ−7−デアザグアノシン;G2=アラビノグアノシン。
C1=2’−デオキシシチジン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチルプリン;
C2=アラビノシチジン;C3=2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン。
X=グリセロールリンカー。また、C2〜C18アルキルリンカー、エチレングリコールリンカー、ポリエチレングリコールリンカー、分枝状アルキルリンカーであってもよい。
【0090】
【表9】
【0091】
第2の観点において、本発明は、上記した免疫調節性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーおよび、アクセス可能な5’末端以外の位置においてイムノマーに接合した抗原を含む、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体およびイムノマー接合体を提供する。いくつかの態様において、非ヌクレオチドリンカーは、抗原を含み、これは、オリゴヌクレオチドに接合している。いくつかの他の態様において、抗原を、オリゴヌクレオチドに、この3’末端以外の位置において接合する。いくつかの態様において、抗原は、ワクチン効果を生じる。
【0092】
抗原は、好ましくは、病原体と関連した抗原、癌と関連した抗原、自己免疫障害と関連した抗原および他の疾患、例えば獣医学的または小児科の疾患であるが、これらには限定されない疾患と関連した抗原からなる群から選択される。本発明の目的のために、用語「〜と関連する」は、抗原が、病原体、癌、自己免疫障害、食物アレルギー、呼吸器アレルギー、喘息または他の疾患が存在する際に存在するが、病原体、癌、自己免疫障害、食物アレルギー、呼吸器アレルギーまたは疾患が存在しない際には、存在しないかまたは減少した量で存在することを意味する。
【0093】
免疫調節性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーは、抗原に共有結合するか、またはこれは、他の方法では、抗原に操作的に(operatively)関連する。本明細書中で用いる用語「〜と操作的に関連する」は、イムノマーと抗原との両方の活性を維持するすべての関連を意味する。このような操作的な関連の非限定的な例には、同一のリポソームまたは他のこのような送達ビヒクルもしくは試薬の一部であることが含まれる。イムノマーが、抗原に共有結合する態様において、このような共有結合は、好ましくは、免疫賦活性オリゴヌクレオチドのアクセス可能な5’末端以外のイムノマー上のすべての位置においてである。例えば、抗原を、ヌクレオシド間結合において結合させるか、または非ヌクレオチドリンカーに結合させることができる。あるいはまた、抗原は、これ自体、非ヌクレオチドリンカーであってもよい。
【0094】
第3の観点において、本発明は、本発明の免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーもしくはイムノマー接合体および生理学的に許容し得る担体を含む、医薬製剤を提供する。本明細書中で用いる用語「生理学的に許容し得る」は、イムノマーの有効性に干渉せず、生物学的系、例えば細胞、細胞培養物、組織または生物体と適合性である物質を意味する。好ましくは、生物学的系は、生きている生物体、例えば脊椎動物である。
【0095】
本明細書中で用いる用語「担体」は、すべての補形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、脂質または医薬製剤において用いるために業界において十分知られている他の材料を包含する。担体、補形剤または希釈剤の特性は、特定の用途のための投与の経路に依存することが、理解される。これらの材料を含む薬学的に許容し得る製剤の調製は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版、A. Gennaro編、Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990に記載されている。
【0096】
第4の観点において、本発明は、脊椎動物における免疫応答を発生させる方法を提供し、このような方法は、脊椎動物に、本発明の免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーまたはイムノマー接合体を投与することを含む。いくつかの態様において、脊椎動物は、哺乳類である。本発明の目的のために、用語「哺乳類」は、ヒトを含むことを明確に意図する。好ましい態様において、イムノマーまたはイムノマー接合体を、免疫賦活を必要としている脊椎動物に投与する。
【0097】
本発明のこの観点による方法において、免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーまたはイムノマー接合体の投与を、限定されずに非経口、経口、舌下、経皮、局所的、鼻腔内、エーロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内が含まれるすべての好適な経路により、遺伝子銃、経皮パッチにより、または点眼剤もしくは洗口形態においてとすることができる。イムノマーの治療的組成物の投与を、既知の手順を用いて、疾患の徴候または代理のマーカーを減少させるのに有効な投与量において、および期間にわたり、行うことができる。全身的に投与する際には、治療組成物を、好ましくは、約0.0001マイクロモル〜約10マイクロモルのイムノマーの血中レベルを維持するのに十分な投与量で投与する。局所的な投与について、これよりはるかに低い濃度が、有効であり得、はるかに高い濃度が、許容され得る。好ましくは、イムノマーの合計の投与量は、患者あたり1日あたり約0.001mg〜体重1kgあたり1日あたり約200mgの範囲内である。本発明の治療組成物の1種または2種以上の治療的に有効な量を、個体に、単一の処置エピソードとして、同時に、または連続して投与するのが望ましい場合がある。
【0098】
ある好ましい態様において、本発明の免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーまたはイムノマー接合体を、ワクチン、抗体、細胞毒性剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、遺伝子療法ベクター、DNAワクチンおよび/またはアジュバントと組み合わせて投与して、免疫応答の特異性または規模を増強する。これらの態様において、本発明のイムノマーは、アジュバントとして種々に作用し、および/または直接的な免疫賦活効果を生じることができる。
【0099】
免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマー、イムノマー接合体もしくはワクチンまたは両方を、随意に、免疫原性タンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、コレラ毒素Bサブユニットまたはすべての他の免疫原性担体タンパク質に結合することができる。過剰のアジュバントのすべてを用いることができ、これには、限定されずに、完全フロイントアジュバント、KLH、モノホスホリル脂質A(MPL)、ミョウバンおよびQS−21、イミキモド(imiquimod)、R848を含むサポニンまたはこれらの組み合わせが含まれる。
【0100】
本発明のこの観点の目的のために、用語「〜と組み合わせて」は、同一の患者において同一の疾患を処置する経過におけることを意味し、イムノマーおよび/またはワクチンおよび/またはアジュバントを、同時の投与および数日間隔までの時間的に間隔をおいた順序を含むすべての順序で投与することを含む。このような組み合わせ処置はまた、イムノマー、および/または独立してワクチン、および/または独立してアジュバントの単一よりも多い投与を含むことができる。イムノマーおよび/またはワクチンおよび/またはアジュバントの投与は、同一の、または異なる経路によることができる。
【0101】
本発明のこの観点による方法は、免疫系のモデル研究に有用である。この方法はまた、ヒトまたは動物疾患の予防的または治療的処置に有用である。例えば、この方法は、小児科的および獣医学的ワクチン用途に有用である。
【0102】
第5の観点において、本発明は、疾患または障害を有する患者を治療的に処置する方法を提供し、このような方法は、患者に、本発明の免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーまたはイムノマー接合体を投与することを含む。種々の態様において、処置されるべき疾患または障害は、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症障害、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である。病原体には、細菌、寄生生物、真菌類、ウイルス、ウイロイドおよびプリオンが含まれる。投与を、本発明の第4の観点について記載したように行う。
【0103】
本発明の目的のために、用語「アレルギー」には、限定されずに、食物アレルギーおよび呼吸器アレルギーが含まれる。用語「気道炎症」には、限定されずに、喘息が含まれる。本明細書中で用いる用語「自己免疫障害」は、「自己の」タンパク質が、免疫系による攻撃を受ける障害を意味する。このような用語には、自己免疫喘息が含まれる。
【0104】
本発明のこの観点による方法のすべてにおいて、免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーまたはイムノマー接合体を、イムノマーの免疫賦活効果を消失させない疾患または症状を処置するのに有用であるすべての他の剤と組み合わせて投与することができる。例えば、癌の処置において、免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーまたはイムノマー接合体を、化学療法化合物と組み合わせて投与することができることを意図する。
【0105】
以下の例は、本発明のある好ましい態様をさらに例示することを意図し、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0106】
例
例1:免疫調節性部分を含むオリゴヌクレオチドの合成
オリゴヌクレオチドを、1μmol規模で、自動DNA合成装置(Expedite 8909; PerSeptive Biosystems, Framingham, MA)を用いて、図5および6において概説した直線的な合成または平行する合成手順に従って合成した。
【0107】
デオキシリボヌクレオシドホスホラミダイトを、Applied Biosystems (Foster City, CA)から得た。1’,2’−ジデオキシリボースホスホラミダイト、プロピル−1−ホスホラミダイト、2−デオキシウリジンホスホラミダイト、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチル)ペンチルアミジル]−2−プロパノールホスホラミダイトおよびメチルホスホラミダイトを、Glen Research (Sterling, VA)から得た。β−L−2’−デオキシリボヌクレオシドホスホラミダイト、α−2’−デオキシリボヌクレオシドホスホラミダイト、モノ−DMT−グリセロールホスホラミダイトおよびジ−DMT−グリセロールホスホラミダイトを、ChemGenes (Ashland, MA)から得た。(4−アミノブチル)−1,3−プロパンジオールホスホラミダイトを、Clontech (Palo Alto, CA)から得た。アラビノシチジンホスホラミダイト、アラビノグアノシン、アラビノチミジンおよびアラビノウリジンを、Reliable Pharmaceutical (St. Louis, MO)から得た。アラビノグアノシンホスホラミダイト、アラビノチミジンホスホラミダイトおよびアラビノウリジンホスホラミダイトを、Hybridon, Inc. (Cambridge, MA)において合成した(Noronha et al. (2000) Biochem., 39:7050-7062)。
【0108】
すべてのヌクレオシドホスホラミダイトを、31Pおよび1H NMRスペクトルにより特徴づけした。修飾したヌクレオシドを、通常のカップリングサイクルを用いて、特定の部位において導入した。合成の後に、オリゴヌクレオチドを、濃水酸化アンモニウムを用いて脱保護し、逆相HPLCにより精製し、続いて透析した。ナトリウム塩としての精製したオリゴヌクレオチドを、使用前に、凍結乾燥した。純度を、CGEおよびMALDI−TOF MSにより試験した。
【0109】
例2:脾臓細胞増殖の分析
脾細胞増殖のインビトロでの分析を、以前に記載されている標準的な手順を用いて、行った(例えば、Zhao et al., Biochem Pharma 51:173-182 (1996)を参照)。結果を、図8Aに示す。これらの結果は、一層高い濃度において、2つのアクセス可能な5’末端を有するイムノマー6により、アクセス可能な5’末端を有しないイムノマー5または、1つのアクセス可能な5’末端を有するオリゴヌクレオチド4によりもたらされるよりも大きい脾細胞増殖がもたらされることを例証する。イムノマー6はまた、LPS陽性対照よりも大きい脾細胞増殖をもたらす。
【0110】
例3:インビボでの脾腫大アッセイ
インビトロでの結果のインビボでのモデルへの適用性を試験するために、選択されたオリゴヌクレオチドを、マウスに投与し、脾腫大の程度を、免疫賦活活性のレベルの指標として測定した。5mg/kgの単一の用量を、BALB/cマウス(雌、4〜6週齢、Harlan Sprague Dawley Inc, Baltic, CT)に腹腔内に投与した。マウスを、オリゴヌクレオチド投与の72時間後に絶命させ、脾臓を収穫し、秤量した。結果を、図8Bに示す。これらの結果は、2つのアクセス可能な5’末端を有するイムノマー6が、オリゴヌクレオチド4またはイムノマー5よりもはるかに大きい免疫賦活効果を有することを例証する。
【0111】
例4:サイトカイン分析
脊椎動物細胞、好ましくはBALB/cマウス脾臓細胞またはヒトPBMC中のIL−12およびIL−6の分泌を、サンドイッチELISAにより測定した。サイトカイン抗体およびサイトカイン標準物質を含む所要の試薬を、PharMingen, San Diego, CAから購入した。ELISAプレート(Costar)を、適切な抗体と共に、PBSN緩衝液(PBS/0.05%アジ化ナトリウム、pH9.6)中で、一晩4℃でインキュベートし、次に37℃で30分間、PBS/1%BSAで遮断した。細胞培養上清液およびサイトカイン標準物質を、PBS/10%FBSで適切に希釈し、プレートに3つ1組で加え、25℃で2時間インキュベートした。
【0112】
プレートを、1μg/mLの適切なビオチニル化抗体で被覆し、25℃で1.5時間インキュベートした。次に、プレートを、PBS−T緩衝液(PBS/0.05%トウィーン(Tween)20)で頻繁に洗浄し、さらにストレプトアビジン接合ペルオキシダーゼ(Sigma, St. Louis, MO)を加えた後、25℃で1.5時間インキュベートした。プレートを、シュアブルー(Sure Blue)(登録商標)(Kirkegaard and Perry)色素生産性試薬で現像し、反応を、停止溶液(Kirkegaard and Perry)を加えることにより終了した。色変化を、セレス(Ceres)900HDI分光光度計(Bio-Tek Instruments)上で測定した。結果を、以下の表5Aに示す。
【0113】
ヒト末梢血液単核細胞(PBMC)を、健康な志願者の末梢血液から、フィコールパック(Ficoll-Paque)密度勾配遠心分離(Histopaque-1077, Sigma, St. Louis, MO)により単離した。要するに、ヘパリン処置した血液を、円錐遠心分離において、ヒストパック(Histopaque)−1077(等しい容積)上に層状に配置し、400xgで30分間室温で遠心分離した。単核細胞を含むバフィーコートを、注意深く除去し、等張リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で、250xgで10分間遠心分離することにより2回洗浄した。次に、得られた細胞ペレットを、L−グルタミンを含むRPMI 1640培地(MediaTech, Inc., Herndon, VA)中に再懸濁させ、10%熱不活性化FCSおよびペニシリン−ストレプトマイシン(100U/ml)を加えた。
【0114】
細胞を、24ウェルプレート中で、種々の時間にわたり、1×106細胞/ml/ウェルにおいて、オリゴヌクレオチドの存在または不存在下で培養した。インキュベーション期間の終了時に、上清液を収穫し、IL−6(BD Pharmingen, San Diego, CA)、IL−10(BD Pharmingen)、IL−12(BioSource International, Camarillo, CA)、IFN−α(BioSource International)およびγ(BD Pharmingen)並びにTNF−α(BD Pharmingen)を含む種々のサイトカインについて、サンドイッチELISAによりアッセイするまで、−70℃で凍結させて貯蔵した。結果を、以下の表5に示す。
【0115】
すべての例において、細胞培養上清液中のIL−12およびIL−6のレベルを、それぞれIL−12およびIL−6についての同一の実験条件の下で構成された標準曲線から、計算した。細胞培養上清液中のIL−10、IFN−ガンマおよびTNF−αのレベルを、それぞれIL−10、IFN−ガンマおよびTNF−αについての同一の実験条件の下で構成された標準曲線から、計算した。
【0116】
【表10】
D1およびD2は、ドナー1および2である。
【0117】
【表11】
【0118】
正常相は、ホスホロチオエート結合を表し;イタリック相は、ホスホジエステル結合を表す。
【表12】
【0119】
さらに、図7A〜Cに示す結果は、2個のアクセス可能な5’末端を有するオリゴヌクレオチド2が、それぞれ1個または0個のアクセス可能な5’末端を有するオリゴヌクレオチド1または3よりも低い濃度において、IL−12およびIL−6を上昇させるが、IL−10を上昇させないことを例証する。
【0120】
例5:イムノマーの免疫賦活活性に対する鎖の長さの効果
オリゴヌクレオチド鎖の長さの効果を研究するために、各々の鎖中に18個、14個、11個および8個のヌクレオチドを含むイムノマーを合成し、BALB/cマウス脾臓細胞培養物中でサイトカインIL−12およびIL−6の分泌を誘発するこれらの能力により測定して、免疫賦活活性について試験した(表6〜8)。本例において、およびすべてのその後の例において、サイトカインアッセイを、例4に記載したように、BALB/c脾臓細胞培養物中で行った。
【0121】
【表13】
【0122】
【表14】
【0123】
【表15】
【0124】
結果は、オリゴヌクレオチド鎖の長さに伴って増大するイムノマーの免疫賦活活性が、18量体から7量体まで減少することを示唆する。6量体または5量体程度に短いオリゴヌクレオチド鎖の長さを有するイムノマーは、1個の5’末端を有する18量体オリゴヌクレオチドの免疫賦活活性に匹敵する免疫賦活活性を示した。しかし、6量体または5量体程度に短いオリゴヌクレオチド鎖の長さを有するイムノマーは、リンカーが約2オングストローム〜約200オングストロームの長さである際に、増大した免疫賦活活性を有する。
【0125】
例6:非天然ピリミジンまたは非天然プリンヌクレオシドを含むイムノマーの免疫賦活活性
表9〜11に示すように、免疫賦活活性は、非天然ピリミジンヌクレオシドまたは非天然プリンヌクレオシドを免疫賦活性ジヌクレオチドモチーフ中に有する種々の長さのイムノマーについて、維持された。
【0126】
【表16】
【0127】
【表17】
【0128】
【表18】
【0129】
例7:免疫賦活活性に対するリンカーの効果
2つのオリゴヌクレオチドを結合するリンカーの長さの効果を試験するために、同一のオリゴヌクレオチドを含むが、異なるリンカーを含むイムノマーを合成し、免疫賦活活性について試験した。表12に示す結果は、リンカーの長さが、イムノマーの免疫賦活活性において作用を奏することを示唆する。最良の免疫賦活効果は、C3〜C6アルキルリンカーまたは分散したホスフェート電荷を有する脱塩基リンカーを用いて達成された。
【0130】
【表19】
【0131】
【表20】
【0132】
例8:免疫賦活活性に対するオリゴヌクレオチド主鎖の効果
一般的に、天然のホスホジエステル主鎖を含む免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート主鎖を有する同一の長さのオリゴヌクレオチドよりも免疫賦活性が低い。この比較的低い程度の免疫賦活活性は、部分的に、実験的条件下でのホスホジエステルオリゴヌクレオチドの迅速な分解のためであり得る。オリゴヌクレオチドの分解は、主に、3’末端からのオリゴヌクレオチドを消化する3’−エクソヌクレアーゼの結果である。本例のイムノマーは、遊離の3’末端を含まない。従って、ホスホジエステル主鎖を有するイムノマーは、実験的条件下で、対応するモノマーオリゴヌクレオチドよりも長い半減期を有しなければならず、従って改善された免疫賦活活性を示さなければならない。表13に示す結果は、この効果を例証し、イムノマー84および85は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物中でのサイトカイン誘発により決定されたように、免疫賦活活性を示す。
【0133】
【表21】
【0134】
例9:イムノマー73〜92の合成
オリゴヌクレオチドを、1μmol規模で、自動DNA合成装置(Expedite 8909 PerSeptive Biosystems)を用いて合成した。デオキシヌクレオシドホスホラミダイトを、Applied Biosystems (Foster City, CA)から得た。7−デアザ−2’−デオキシグアノシンホスホラミダイトを、Glen Research (Sterling Virginia)から得た。1,3−ビス−DMT−グリセロール−CPGを、ChemGenes (Ashland, MA)から得た。修飾したヌクレオシドを、通常のカップリングサイクルを用いて、特定の部位においてオリゴヌクレオチド中に導入した。合成の後に、オリゴヌクレオチドを、濃水酸化アンモニウムを用いて脱保護し、逆相HPLCにより精製し、続いて透析した。ナトリウム塩としての精製したオリゴヌクレオチドを、使用前に、凍結乾燥した。オリゴヌクレオチドの純度を、CGEおよびMALDI−TOF MS(Bruker Proflex III MALDI-TOF質量分析計)によりチェックした。
【0135】
例10:イムノマー安定性
オリゴヌクレオチドを、10%ウシ血清を含むPBS中で、37℃で4、24または48時間インキュベートした。無処置のオリゴヌクレオチドを、毛細管ゲル電気泳動により決定した。結果を、表14に示す。
【0136】
【表22】
【0137】
例11:免疫賦活活性に対するアクセス可能な5’末端の効果
BALB/cマウス(4〜8週齢)脾臓細胞を、RPMI完全培地中で培養した。マウスマクロファージ様細胞J774(American Type Culture Collection, Rockville, MD)を、10%(v/v)FCSおよび抗生物質(100IU/mLのペニシリンG/ストレプトマイシン)を加えたダルベッコ変法イーグル培地中で培養した。すべての他の培養試薬を、Mediatech (Gaithersburg, MD)から購入した。
【0138】
IL−12およびIL−6についてのELISA。BALB/cマウス脾臓細胞またはJ774細胞を、24ウェルの皿中に、それぞれ5×106または1×106細胞/mLの密度で蒔いた。TE緩衝液(10mMトリス−HCl、pH7.5、1mM EDTA)に溶解したCpG DNAを、マウス脾臓細胞培養物に、0.03、0.1、0.3、1.0、3.0または10.0μg/mLの最終濃度で、およびJ774細胞培養物中に、1.0、3.0または10.0μg/mLの最終濃度で加えた。次に、細胞を、37℃で24時間インキュベートし、上清液を、ELISAアッセイのために採集した。実験を、各々のCpG DNAについて2回または3回、各々の濃度について3つ1組で行った。
【0139】
IL−12およびIL−6の分泌を、サンドイッチELISAにより測定した。サイトカイン抗体および標準物質を含む所要の試薬を、PharMingenから購入した。ELISAプレート(Costar)を、適切な抗体と共に、PBSN緩衝液(PBS/0.05%アジ化ナトリウム、pH9.6)中で、一晩4℃でインキュベートし、次に37℃で30分間、PBS/1%BSAで遮断した。細胞培養上清液およびサイトカイン標準物質を、PBS/1%BSAで適切に希釈し、プレートに3つ1組で加え、25℃で2時間インキュベートした。
【0140】
プレートを、1μg/mLの適切なビオチニル化抗体で洗浄およびインキュベートし、25℃で1.5時間インキュベートした。プレートを、PBS/0.05%トウィーン20で頻繁に洗浄し、次にさらにストレプトアビジン接合ペルオキシダーゼ(Sigma)を加えた後、25℃で1.5時間インキュベートした。プレートを、シュアブルー(登録商標)(Kirkegaard and Perry)色素生産性試薬で現像し、反応を、停止溶液(Kirkegaard and Perry)を加えることにより終了した。色変化を、セレス(Ceres)900HDI分光光度計(Bio-Tek Instruments)上で、450nmにおいて測定した。細胞培養上清液中のIL−12およびIL−6のレベルを、それぞれIL−12およびIL−6についての同一の実験的条件の下で構成した標準曲線から計算した。
【0141】
結果を、表15に示す。
【表23】
a:化学構造b〜lについてチャート1を参照;5’−CG−3’ジヌクレオチドを、下線を付して示す。
【0142】
チャート1
【表24】
【0143】
【表25】
【0144】
総合して、ここでの結果は、CpG DNAのアクセス可能な5’末端が、この最適な免疫賦活活性に必要であり、比較的小さい基、例えばホスホロチオエート、モノヌクレオチドまたはジヌクレオチドが、CpG DNAの5’末端の、免疫賦活性経路に伴うレセプターまたは因子へのアクセス可能性を有効に遮断しないことを示唆する。しかし、CpG DNAの5’末端におけるフルオレセインと同等に大きいかまたは一層大きい分子の接合により、免疫賦活活性が抑止され得る。これらの結果は、CpG DNA−抗原/ワクチン/モノクローナル抗体(mAb)接合体の免疫賦活活性の研究に対して、直接的な影響を有する。大分子、例えばワクチンまたはmAbのCpG DNAの5’末端における接合により、CpG DNAの次善の免疫賦活活性がもたらされ得る。CpG DNAの3’末端における機能的なリガンドの接合は、増大したヌクレアーゼ安定性のみならず、インビボでのCpG DNAの増大した免疫賦活効能にも寄与する。
【0145】
例12:サイトカイン分泌に対するリンカーの効果
以下のオリゴヌクレオチドを、本研究のために合成した。これらの修飾したオリゴヌクレオチドの各々を、イムノマー中に導入することができる。
【表26】
【0146】
【表27】
a:置換1〜9の化学構造については図14を参照。すべてのCpG DNAは、修飾したホスホロチオエート主鎖である。
【0147】
免疫賦活活性の有効化のための最適なリンカーの大きさを評価するために、本発明者らは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における修飾されたCpG DNAにより誘発されたIL−12およびIL−6分泌を測定した。すべてのCpG DNAは、濃度に依存するIL−12およびIL−6分泌を誘発した。図15は、基本的なCpG DNAと比較してのCpGジヌクレオチドへの5’隣接配列における第5のヌクレオチド位置においてリンカーを有する、選択されたCpG DNA、116、119、126、130および134の1μg/mL濃度において得られたデータを示す。C2−(1)、C3−(2)およびC4−リンカー(3)を含むCpG DNAは、基本的なCpG DNA4のIL−12産生に類似するIL−12産生の分泌を誘発した。
【0148】
5’隣接配列におけるCpGジヌクレオチドからの第5のヌクレオチド位置におけるC6およびC9リンカー(4および5)を含むCpG DNAは、基本的なCpG DNAよりも低いレベルのIL−12分泌を誘発し(図15)、このことは、C4リンカーよりも長いリンカーの置換により、IL−12の一層低いレベルの誘発がもたらされることを示唆する。リンカーを有するすべての5つのCpG DNAは、基本的なCpG DNAよりも2〜3倍高いIL−6分泌を誘発した。これらのCpG DNA中のリンカーの存在により、リンカーを有しないCpG DNAと比較しての、IL−6の誘発に対する顕著な効果が示された。しかし、本発明者らは、IL−6分泌に対する長さに依存するリンカー効果を観察しなかった。
【0149】
エチレングリコールリンカーを含むCpG DNAの免疫賦活活性に対する効果を試験するために、本発明者らは、CpG DNA137および138を合成し、ここで、トリエチレングリコールリンカー(6)を、それぞれ、CpGジヌクレオチドの5’隣接配列中の第5のヌクレオチド位置において、および3’隣接配列中の第4のヌクレオチド位置において導入する。同様に、CpG DNA139および140は、それぞれCpGジヌクレオチドの5’または3’隣接配列中にヘキサエチレングリコールリンカー(7)を含んでいた。4種の修飾したCpG DNA(137〜140)のすべてを、BALB/cマウス脾臓細胞培養物において、サイトカイン誘発(IL−12、IL−6およびIL−10)について、基本的なCpG DNA4との比較において試験した。すべてのCpG DNAは、試験した濃度範囲(0.03〜10.0μg/mL)にわたり、濃度依存性サイトカイン産生を誘発した(データは示していない)。0.3μg/mLの濃度のCpG DNA137〜140において誘発されたサイトカインのレベルを、表18に示す。
【0150】
5’隣接配列においてエチレングリコールリンカーを有するCpG DNA137および139は、基本CpG DNA4よりも高いレベルのIL−12(2106±143および2066±153pg/mL)およびIL−6(2362±166および2507±66pg/mL)分泌を誘発した(表18)。同一の濃度において、137および139は、基本CpG DNAよりもわずかに低いレベルのIL−10分泌を誘発した(表18)。3’隣接配列において比較的短いエチレングリコールリンカー(6)を有するCpG DNA138は、基本的なCpG DNAのIL−12分泌と同様のIL−12分泌を誘発したが、顕著に低いレベルのIL−6およびIL−10を誘発した(表18)。比較的長いエチレングリコールリンカー(7)を有するCpG DNA140は、基本的なCpG DNAと比較して、顕著に低いレベルの試験したすべての3種のサイトカインを誘発した(表18)。
【0151】
トリエチレングリコールリンカー(6)は、C9リンカー(5)と同様の鎖の長さを有していたが、トリエチレングリコールリンカーを含むCpG DNAは、脾臓細胞培養物中でのサイトカイン分泌の誘発により決定されたように、C9リンカーを含むCpG DNAよりも良好な免疫賦活活性を有していた。これらの結果は、比較的長いアルキルリンカー(4および5)を含むCpG DNAで観察された比較的低い免疫賦活活性が、これらの増大した長さに関連せず、これらの疎水性特性に関連し得ることを示唆する。この観察により、本発明者らは、免疫賦活活性に対する親水性官能基を含む分枝状アルキルリンカーの置換を試験することを鼓舞された。
【0152】
【表28】
【0153】
分枝状アルキルリンカーを含むCpG DNAの免疫賦活活性に対する効果を試験するために、ヒドロキシル(8)またはアミン(9)官能基を含む2種の分枝状アルキルリンカーを、基本的なCpG DNA4中に導入し、得られた修飾したCpG DNA(150〜154、表19)の免疫賦活活性に対する効果を、試験した。BALB/cマウス脾臓細胞培養物中(増殖)およびインビボでの(脾腫大)種々のヌクレオチド位置においてアミノリンカー9を含む、CpG DNA150〜154について得られたデータを、表19に示す。
【0154】
【表29】
【0155】
基本的なCpG DNA4は、0.1μg/mLの濃度において3.7±0.8の増殖指数を示した。同一の濃度において、種々の位置においてアミノリンカー9を含む、修飾したCpG DNA151〜154により、基本的なCpG DNAよりも高い脾臓細胞増殖が生じた(表19)。他のリンカーで観察されたように、置換を、CpGジヌクレオチド(150)に隣接させて配置した際には、基本的なCpG DNAと比較して低い増殖指数が記録され(表19)、さらにCpGジヌクレオチドに隣接するリンカー置換の配置が、免疫賦活活性に対して有害な効果を有することが確認された。一般的に、5’隣接配列における、アミノリンカーの2’−デオキシリボヌクレオシドでの置換(151および152)の結果、3’隣接配列における置換(153および154)で見出されたよりも高い脾臓細胞増殖がもたらされた。同様の結果が、脾腫大アッセイにおいて観察され(表19)、脾臓細胞培養物中で観察された結果が確認された。グリセロールリンカー(8)を含む修飾したCpG DNAにより、アミノリンカー(9)を含む修飾したCpG DNAで観察された免疫賦活活性と同様であるかまたはこれよりわずかに高い免疫賦活活性が示された(データは示していない)。
【0156】
リンカー8および9を含むCpG DNAの免疫賦活効果を比較するために、本発明者らは、5’隣接配列における置換を有するCpG DNA145および152を選択し、BALB/cマウス脾臓細胞培養物中でのサイトカインIL−12およびIL−6分泌を誘発するこれらの能力をアッセイした。CpG DNA145および152の両方は、濃度依存性サイトカイン分泌を誘発した。図4は、基本的なCpG DNA4と比較しての、0.3μg/mLの濃度における、マウス脾臓細胞培養物中で145および152により誘発されたIL−12およびIL−6のレベルを示す。両方のCpG DNAは、基本的なCpG DNA4よりも高いレベルのIL−12およびIL−6を誘発した。グリセロールリンカー(8)を含むCpG DNAは、アミノリンカー(9)を含むCpG DNAよりもわずかに高いレベルのサイトカイン(特にIL−12)を誘発した(図16)。これらの結果は、さらに、親水性基を含むリンカーが、CpG DNAの免疫賦活活性のために一層好ましいことを確認する。
【0157】
本発明者らは、CpG DNAにおける多数のリンカー置換の2つの異なる観点を試験した。1つの群の実験において、本発明者らは、ヌクレオチド配列の長さを13量体に維持し、5’末端における1〜5個のC3リンカー(2)置換を導入した(120〜124)。これらの修飾されたCpG DNAにより、本発明者らは、リンカーの長さの増大の効果を、溶解性の問題を生じずに研究することが可能になった。第2の群の実験において、本発明者らは、同一のリンカー置換(3、4または5)の2つを、CpGジヌクレオチドへの5’隣接配列における隣接する位置において導入して、免疫賦活活性に対する付加的な効果があるか否かを研究した。
【0158】
修飾したCpG DNAを、基本的なCpG DNA4との比較においてBALB/cマウス脾臓細胞培養物中でのサイトカイン産生を誘発するこれらの能力について研究した。すべてのCpG DNAは、濃度依存性サイトカイン産生を誘発した。CpG DNAの1.0μg/mLの濃度において得られたデータを、表20に示す。このアッセイにおいて、基本的なCpG DNA4は、1μg/mLの濃度において、967±28pg/mLのIL−12、1593±94pg/mLのIL−6および14±6pg/mLのIL−10分泌を誘発した。表20に示すデータは、リンカー置換の数が減少するに従って、IL−12誘発が減少することを示唆する。しかし、CpG DNA123および124による一層低いレベルのIL−12分泌の誘発は、一層短い長さのCpG DNAの結果であり得る。15ヌクレオチドよりも短い修飾していないCpG DNAを用いた本発明者らの研究により、顕著でない免疫賦活活性が示された(データは示していない)。リンカー置換の長さおよび数のいずれも、IL−6分泌に対する比較的低い効果を有しない。IL−10分泌がリンカー置換に伴って増大したが、これらのCpG DNAによる全体のIL−10分泌は、最小であった。
【0159】
5’隣接配列における第4の、および第5の位置における、CpGジヌクレオチドに対する2つのリンカー置換(リンカー3−127;リンカー4−131;リンカー5−135)を含むCpG DNA並びにそれぞれ対応する5’短縮形態128、132および136を、BALB/cマウス脾臓細胞培養物中でのサイトカイン分泌を誘発するこれらの能力について試験した。1.0μg/mL濃度において分泌されたIL−12およびIL−6のレベルを、図17に示す。図17に示す結果は、免疫賦活活性が、導入されたリンカーの性質に依存することを示唆する。第4および第5のヌクレオシドのC4リンカー3(CpG DNA127)での置換は、基本的なCpG DNA4と比較して、サイトカイン分泌に対する顕著でない効果を有しており、これは、これらの位置における核酸塩基および糖環が、レセプター認識および/または結合に必要ではないことを示唆する。
【0160】
リンカー置換を超えてのヌクレオチドの欠失(CpG DNA128)により、CpG DNA4および127で見出されたものよりも高いIL−12およびIL−6分泌が生じた。予測されるように、2つのC6リンカー(4)の置換により、基本的なCpG DNA4により誘発されるものよりも低いIL−12分泌およびこれと同様のIL−6分泌がもたらされた。5’短縮CpG DNA132は、CpG DNA131よりも高いサイトカイン分泌を誘発した。2つのC9リンカー(5)を有するCpG DNA135および136は、顕著でないサイトカイン分泌を誘発し、上記したものと同一のリンカーを含む単置換CpG DNAを用いて得られた結果を確認する。
【0161】
例13:サイトカイン誘発に対するホスホジエステル結合の効果
イムノマーにより誘発されたサイトカイン誘発に対するホスホジエステル結合の効果を試験するために、以下の分子を合成した。
【表30】
a矢印は、各々のDNA分子におけるCpGジヌクレオチドの5’−3’−方向性を示し、XおよびYの構造を、ボックス中に示す。
bPSおよびPOは、それぞれホスホロチオエートおよびホスホジエステル主鎖を意味する。
cMALDI−TOF質量分析により決定された通り。
【0162】
PS−CpG DNA4(表21)は、対照として作用するPO−CpG DNA155を有するマウス(データは示していない)における免疫応答を誘発することが見出された。PO−イムノマー156および157は、各々グリセリルリンカーX(表21)を介してこれらの3’末端により接合された基本的なCpG DNA155の2つの同一の、短縮されたコピーを含む。156および157は、各々14個の塩基の同一のオリゴヌクレオチドセグメントを含む一方、157の5’末端は、2つのC3リンカーY(表21)を加えることにより修飾された。すべてのオリゴヌクレオチド4、155〜157は、マウス免疫系を活性化することが知られている「GACGTT」6量体モチーフを含む。
【0163】
ヌクレアーゼに対するPO−イムノマーの安定性を、CpG DNA4、155〜157を、10%胎児ウシ血清(FBS)(熱不活性化していない)を含む細胞培養培地中で、37℃で4、24および48時間インキュベートすることにより評価した。次に、反応混合物中に残留する無処置のCpG DNAを、CGEにより決定した。図18A〜Dは、10%FBS中で24時間インキュベートした、CpG DNA4、155〜157のヌクレアーゼ消化プロフィールを示す。各々の時点において残留する全長CpG DNAの量を、図18Eに示す。予測されたように、基本的なPS−CpG DNA4は、血清ヌクレアーゼに対して最も耐性である。約55%の18量体4は、48時間のインキュベーションの後に未分解のままであった。対照的に、約5%のみの全長PO−イムノマー155が、同一の実験的条件の下で、4時間後に残留し、ホスホジエステル結合を含むDNAが、迅速な分解を受けることが確認される。予測されたように、両方のPO−イムノマー156および157は、血清ヌクレアーゼに対して、155よりも耐性であった。4時間後、それぞれ約62%および73%の156および157が、無処置であり、これと比較して、約5%の155が無処置であった(図18E)。48時間後でさえも、それぞれ約23%および37%の156および157が、未分解のままであった。3’−3’−結合PO−イムノマーが、血清ヌクレアーゼに対して一層安定であることを示すことに加えて、これらの研究は、5’末端における化学的修飾により、ヌクレアーゼ安定性がさらに増大し得ることを示す。
【0164】
CpG DNAの免疫賦活活性を、BALB/cおよびC3H/HeJマウス脾臓細胞培養物において、分泌されたサイトカインIL−12およびIL−6のレベルを測定することにより、研究した。すべてのCpG DNAは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物において、濃度依存性サイトカイン分泌を誘発した(図19)。3μg/mLにおいて、PS−CpG DNA4は、それぞれ2656±256および12234±1180pg/mLのIL−12およびIL−6を誘発した。基本的なPO−CpG DNA155は、10μg/mLの濃度における以外は、サイトカインレベルを背景よりも高く上昇させなかった。この観察は、ヌクレアーゼ安定性アッセイ結果と整合する。対照的に、PO−イムノマー156および157は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物中で、IL−12およびIL−6分泌の両方を誘発した。
【0165】
図19に示す結果は、PS−およびPO−CpG DNAのサイトカイン誘発プロフィールにおける明白な区別を示す。PO−イムノマー156および157は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるPS−CpG DNA4よりも高いレベルのIL−12を誘発した(図19A)。対照的に、3μg/mLまでの濃度において、これらは、無視できる量のIL−6を産生した(図19B)。最高の濃度(10μg/mL)においてさえも、PO−イムノマー156は、PS−CpG DNA4よりも顕著に少ないIL−6を誘発した。C3リンカーが、PO−イムノマー157の5’末端に存在する結果、156と比較して、わずかに高いレベルのIL−6分泌がもたらされた。しかし、重要なことに、PO−イムノマー157により産生されるIL−6のレベルは、PS CpG DNA4により誘発されたものよりも、はるかに低い。図19Aの差込図は、3μg/mLの濃度において分泌されたIL−12対IL−6の比率を示す。増大するIL−12分泌に加えて、PO−イムノマー156および157は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物においてPS−CpG DNA4よりも高いレベルのIFN−γを誘発した(データは示していない)。
【0166】
BALB/cマウス脾臓細胞培養物においてPO−およびPS−CpG DNAにより誘発された異なるサイトカインプロフィールにより、本発明者らは、C3H/HeJマウス脾臓細胞培養物(LPS低応答性株)中のCpG DNAのサイトカイン誘発のパターンを研究することを鼓舞された。このアッセイにおいて試験した3種のCpG DNAのすべては、濃度依存性サイトカイン分泌を誘発した(図20AおよびB)。PO−CpG DNA155は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物中でサイトカイン分泌を誘発しなかったため、これを、C3H/HeJ脾臓細胞培養物中でさらに試験しなかった。PO−イムノマー156および157の両方は、PS−CpG DNA4よりも高いIL−12産生を誘発した(図21A)。しかし、3μg/mLまでの濃度において、いずれもIL−6産生を誘発しなかった。試験した最高の濃度(10μg/mL)において、両方は、PS−CpG DNA4よりも顕著に少ないIL−6を誘発した(図21B)。分泌されたIL−12対IL−6の比率を計算して、PSおよびPO CpG DNAのサイトカイン分泌プロフィールを区別する(図21A差込図)。さらに、C3H/HeJ脾臓細胞培養物の結果は、CpG DNAで観察された応答が、LPS汚染のためではないことを示唆する。
【0167】
PS−CpG DNAは、インビボで有効な抗腫瘍活性を誘発することが示された。PO−CpG DNAは、比較的高いヌクレアーゼ安定性を示し、インビトロアッセイで比較的高いレベルのIL−12およびIFN−γ分泌を誘発したため、本発明者らは、PO−イムノマーのこれらの所望の特性が、インビボで抗腫瘍活性を改善するか否かを確認することに興味があった。本発明者らは、PO−イムノマー157を、0.5mg/kgの用量で、1日おきに、野生型のp53を発現するMCF−7乳癌細胞または突然変異したp53を発現するDU−145前立腺癌細胞の腫瘍異種移植を有するヌードマウスに皮下的に投与した。PO−イムノマー157は、生理食塩水対照と比較して、15日においてMCF−7腫瘍の57%成長阻害を生じた(図22A)。これはまた、34日において、DU−145腫瘍の52%成長阻害を生じた(図22B)。これらの抗腫瘍研究は、提案された設計のPO−イムノマーが、インビボで有効な抗腫瘍活性を示すことを示唆する。
【0168】
例14:短いイムノマー
サイトカイン誘発に対する短いイムノマーの効果を試験するために、以下のイムノマーを用いた。これらの結果は、セグメントあたり5個のヌクレオチド程度に短いイムノマーが、サイトカイン産生を誘発するのに有効であることを示す。
【0169】
【表31】
【0170】
正常相は、ホスホロチオエート結合を表す。
【表32】
【0171】
例15:2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンのマウス特異性およびヒト特異性免疫賦活性モチーフ中への導入の効果
マウス脾細胞を、例4に記載したようにして調製し、処理した。培養物を、培地またはオリゴヌクレオチド170、171もしくは172で処理した(図15を参照)。すべてのオリゴヌクレオチドは、マウス特異性免疫賦活性モチーフ(GACGTT)を含んでいたが、オリゴヌクレオチド171は、RpG置換を含んでおり、オリゴヌクレオチド172は、CpR置換を含んでおり、ここで、Rは、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである。結果を、図17に示す。RpG置換は、サイトカイン産生をもたらすマウス脾臓培養物により認識され、一方、CpR置換は、認識されなかった。それぞれヒト特異性免疫賦活性モチーフGTCGTTを含むオリゴヌクレオチド173もしくは174での、またはRpG置換での培養物の処理は、RpG置換を有するマウス脾細胞により、自然のヒト配列を有する脾細胞よりも良好な認識を示した(図18)。
【0172】
それぞれのイムノマー175または176(各々RpG置換を含む)と比較しての、基本的なオリゴヌクレオチド170(マウス特異性)または173(ヒト特異性)での処理により、イムノマーについての一層良好な結果が示され、RpG置換のイムノマー中への導入が、種に依存する選択性に打ち勝ち得ることが示唆される(図19)。ヒトマクロファージ様細胞培養物の、オリゴヌクレオチド170または173での、イムノマー175または176と比較しての処理により、さらに、RpG置換のイムノマー中への導入が、種に選択的な活性に打ち勝つことが示唆される(図20)。同様の結果が、J774細胞中でのNF−κBの活性化およびIκ−Bαの分解について示される(図21)。イムノマー176はまた、ヒト末梢血液単核細胞の培養物中での免疫賦活活性を示した(図22)。
【0173】
例16
ヒトB細胞および血漿細胞様(plasmacytoid)樹状細胞(pDC)の単離
新たに取り出した健康な志願者の血液からのPBMC(CBR Laboratories, Boston, MA)を、フィコール密度勾配遠心分離法(Histopaque-1077, Sigma)により単離し、B細胞を、PBMCから、陽性の選択により、CD19細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用いて、製造者の指示に従って単離した。
【0174】
例17
B細胞アッセイ
B細胞を、96ウェルプレート中に、1×106細胞/mL、200μL/ウェルを用いて蒔いた。イムノマーを、0.3、1.0、3.0または10.0μg/mLの最終濃度で、細胞培養物に加え、37℃で24時間インキュベートした。次に、上清液を収穫し、ELISAキット(PBLにより供給される)を用いてIL−6およびIL−10についてアッセイした。表23A〜23Dは、イムノマーを10.0μg/mLの最終濃度で有するドナー1〜4についての平均±SDを示す。
【0175】
【表33】
【0176】
【表34】
【0177】
【表35】
【0178】
【表36】
【0179】
例18
ヒトpDC培養
pDCを、ヒトPBMCから、BDCA−4細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用いて、製造者の指示に従って単離した。pDCを、96ウェルプレート中に、1×106細胞/mL、200μL/ウェルを用いて蒔いた。イムノマーを、0.3、1.0、3.0または10.0μg/mLの最終濃度で、細胞培養物に加え、37℃で24時間インキュベートした。次に、上清液を収穫し、ELISAキット(PBLにより供給される)を用いてIFN−α、IL−6およびTNF−αについてアッセイした。表24A〜24Dは、イムノマーを10.0μg/mLの濃度で有するドナー1〜4についての、IFN−α、IL−6およびTNF−αの平均±SDを示す。
【0180】
【表37】
【0181】
【表38】
【0182】
【表39】
【0183】
【表40】
【0184】
例19
ヒト末梢血液単核細胞(PBMC)を、健康な志願者の末梢血液から単離し、例4に上記で記載したように調製した。表25A〜25Dは、イムノマーを10.0μg/mLの濃度で有するドナー1〜4についてのIL−6およびIL−10の平均±SDを示す。
【0185】
【表41】
【0186】
【表42】
【0187】
【表43】
【0188】
【表44】
単に表23A〜23D、24A〜24Dおよび25A〜25Dの目的のために:正常相は、ホスホロチオエート結合を表し;G1=2’−デオキシ−7−デアザグアノシンであり、G2=アラビノグアノシンであり、C1=1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチルプリンであり、C2=アラビノシチジンであり、C3=2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジンであり、X=グリコールリンカーである。
【0189】
等価なもの
前述の発明を、明瞭および理解の目的のためにある詳細で記載した一方、当業者により、この開示を読むことから、形態および詳細における種々の変更を、本発明の真実の範囲および添付した特許請求の範囲から逸脱せずに行うことができることが、理解される。
【0190】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の代表的なイムノマーを図式的に表す図である。
図2は、本発明のいくつかの代表的なイムノマーを示す。
図3は、本発明のイムノマーの直線的な合成に適する代表的な小分子リンカーの群を示す。
図4は、本発明のイムノマーの平行する合成に適する代表的な小分子リンカーの群を示す。
図5は、本発明のイムノマーの直線的な合成のための合成スキームである。DMTr=4,4’−ジメトキシトリチル;CE=シアノエチル。
図6は、本発明のイムノマーの平行する合成のための合成スキームである。DMTr=4,4’−ジメトキシトリチル;CE=シアノエチル。
【0191】
図7Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー1〜3によるIL−12の誘発をグラフ的に表す図である。これらのデータは、アクセス可能な5’末端を有するイムノマー2が、モノマーオリゴ1よりも強力なIL−12の誘導原であることおよび、アクセス可能な5’末端を有しないイムノマー3が、オリゴ1と比較して、免疫賦活を生じる等しいかまたは弱い能力を有することを示唆する。
図7Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー1〜3によるIL−6(それぞれ完全な)の誘発をグラフ的に表す図である。これらのデータは、アクセス可能な5’末端を有するイムノマー2が、モノマーオリゴ1よりも強力なIL−6の誘導原であることおよび、アクセス可能な5’末端を有しないイムノマー3が、オリゴ1と比較して、免疫賦活を生じる等しいかまたは弱い能力を有することを示唆する。
図7Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー1〜3による(それぞれ完全な)IL−10の誘発をグラフ的に表す図である。
【0192】
図8Aは、それぞれアクセス不能な、およびアクセス可能な5’末端を有する、種々の濃度のイムノマー5および6による、細胞培養物中でのBALB/cマウス脾臓細胞増殖の誘発をグラフ的に表す図である。
図8Bは、CpGモチーフの5’隣接配列における免疫原性化学的修飾を有する、イムノマー4〜6によるBALB/cマウス脾臓の拡大をグラフ的に表す図である。再び、アクセス可能な5’末端を有するイムノマー(6)は、アクセス可能な5’末端を有しないイムノマー5およびモノマーオリゴ4と比較して、脾臓拡大を増大させる大きい能力を有する。
【0193】
図9Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−12の誘発を、グラフ的に表す図である。
図9Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−6の誘発を、グラフ的に表す図である。
図9Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−10の誘発を、グラフ的に表す図である。
【0194】
図10Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー14、15および16による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。
図10Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のイムノマー14および16によるIL−12による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。
図10Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のイムノマー14および16によるIL−6による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。
【0195】
図11Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるオリゴ4および17並びにイムノマー19および20による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。
図11Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4および17並びにイムノマー19および20によるIL−12産生の誘発を、グラフ的に表す図である。
図11Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4および17並びにイムノマー19および20によるIL−6産生の誘発を、グラフ的に表す図である。
【0196】
図12は、オリゴヌクレオチド4並びにイムノマー14、23および24を用いたBALB/cマウス脾臓拡大を、グラフ的に表す図である。
図13は、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドを図式的に表す図であり、これは、非ヌクレオチド結合を、核酸塩基において、3’位置において、または2’位置においてヌクレオシドに結合させることができることを示す。
図14は、例13において用いる化学的置換を示す。
【0197】
図15は、例13の修飾したオリゴヌクレオチドを用いて得られたサイトカインプロフィールを示す。
図16は、グリセロールリンカーについての、アミノリンカーと比較しての相対的サイトカイン誘発を示す。
図17は、種々のリンカーおよびリンカーの組み合わせについての相対的サイトカイン誘発を示す。
図18A〜Eは、種々のPSおよびPOイムノマー並びにオリゴヌクレオチドについての相対的ヌクレアーゼ耐性を示す。
【0198】
図19は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、PSイムノマーと比較しての、POイムノマーについての相対的サイトカイン誘発を示す。
図20は、C3H/Hejマウス脾臓細胞培養物における、PSイムノマーと比較しての、POイムノマーについての相対的サイトカイン誘発を示す。
図21は、高濃度のイムノマーにおける、C3H/Hejマウス脾臓細胞培養物における、PSイムノマーと比較しての、POイムノマーについての相対的サイトカイン誘発を示す。
【0199】
図22は、いくつかのピリミジンおよびプリン構造を示す。
図23は、本研究において用いられる数種の免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーを示す。
図24は、天然のCpGモチーフと、合成プリン−pGジヌクレオチドを有する免疫賦活性モチーフとの比較を示す。
【0200】
図25は、本研究において用いた種々の免疫賦活性オリゴヌクレオチドのIL−12およびIL−6プロフィールを示す。
図26は、本研究において用いた追加の免疫賦活性オリゴヌクレオチドのIL−12およびIL−6プロフィールを示す。
図27は、本研究において用いた免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびイムノマーのIL−12およびIL−6プロフィールを示す。
図28は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびイムノマーにおけるマウスおよびヒトモチーフにより提供されたIL−12およびIL−6プロフィールを比較する。
【0201】
図29は、種々の免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびイムノマーで処理したJ774細胞におけるNF−κBの活性化およびIκ−Bαの分解を示す。
図30は、ヒトPBMC培養物におけるイムノマーの免疫賦活活性を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴヌクレオチドを免疫賦活剤として用いる免疫および免疫療法用途に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の概要
オリゴヌクレオチドは、現代の分子生物学における必須の手段となっており、診断的探索方法から遺伝子発現のアンチセンス阻害および免疫療法用途へのPCRに至るまでの、広範囲の手法において用いられている。オリゴヌクレオチドのこの広範囲の使用により、オリゴヌクレオチドを合成するための迅速、安価かつ効率的な方法に対する増大する要求がもたらされた。
【0003】
アンチセンスおよび診断用途のためのオリゴヌクレオチドの合成は、現在では常習的に達成され得る。例えば、Methods in Molecular Biology, Vol. 20: Protocols for Oligonucleotides and Analogs pp. 165-189 (S. Agrawal編、Humana Press, 1993); Oligonucleotides and Analogues, A Practical Approach, pp. 87-108 (F. Eckstein編、1991);およびUhlmann and Peyman, 同上;Agrawal and Iyer, Curr. Op. in Biotech. 6:12 (1995);およびAntisense Research and Applications (Crooke and Lebleu編、CRC Press, Boca Raton, 1993)を参照。初期の合成方法は、ホスホジエステルおよびホスホトリエステル化学を含んでいた。例えば、Khorana et al., J. Molec. Biol. 72:209 (1972)には、オリゴヌクレオチド合成のためのホスホジエステル化学が開示されている。Reese, Tetrahedron Lett. 34:3143-3179 (1978)には、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの合成のためのホスホトリエステル化学が開示されている。これらの初期の方法は、大いに、合成のための一層効率的なホスホラミダイトおよびH−ホスホネート方法に移行した。
【0004】
例えば、Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Lett. 22:1859-1862 (1981)には、ポリヌクレオチド合成におけるデオキシリボヌクレオシドホスホラミダイトの使用が開示されている。Agrawal and Zamecnik, 米国特許第5,149,798号(1992)には、H−ホスホネート方法によるオリゴヌクレオチドの最適化された合成が開示されている。これらの現代的な方法の両方を用いて、種々の修飾されたヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドが合成された。Agrawal and Goodchild, Tetrahedron Lett. 28:3539-3542 (1987)には、ホスホラミダイト化学を用いたオリゴヌクレオチドメチルホスホネートの合成が教示されている。Connolly et al., Biochem. 23:3443 (1984)には、ホスホラミダイト化学を用いたオリゴヌクレオチドホスホロチオエートの合成が開示されている。Jager et al., Biochem. 27:7237 (1988)には、ホスホラミダイト化学を用いたオリゴヌクレオチドホスホラミデートの合成が開示されている。Agrawal et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85:7079-7083 (1988)には、H−ホスホネート化学を用いたオリゴヌクレオチドホスホラミデートおよびホスホロチオエートの合成が開示されている。
【0005】
一層最近、数人の研究者により、免疫療法用途における免疫賦活剤としてのオリゴヌクレオチドの使用の有効性が例証された。ホスホジエステルおよびホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが、免疫賦活を誘発することができるという観察により、この副作用を治療手段として開発することにおける興味が生じた。これらの努力は、ジヌクレオチド天然CpGを含むホスホロチオエートオリゴヌクレオチドに集中された。Kuramoto et al., Jpn. J. Cancer Res. 83:1128-1131 (1992)には、CpGジヌクレオチドを含むパリンドロームを含むホスホジエステルオリゴヌクレオチドが、インターフェロンアルファおよびガンマ合成を誘発し、ナチュラルキラー活性を増強し得ることが教示されている。Krieg et al., Nature 371:546-549 (1995)には、ホスホロチオエートCpG含有オリゴヌクレオチドが免疫賦活性であることが開示されている。Liang et al., J. Clin. Invest. 98:1119-1129 (1996)には、このようなオリゴヌクレオチドが、ヒトB細胞を活性化することが開示されている。Moldoveanu et al., Vaccine 16:1216-124 (1998)には、CpG含有ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが、インフルエンザウイルスに対する免疫応答を増強することが教示されている。McCluskie and Davis, J. Immunol. 161:4463-4466 (1998)には、CpG含有オリゴヌクレオチドが、有効なアジュバントとして作用し、B型肝炎表面抗原に対する免疫応答を増大することが教示されている。Hartman et al., J. Immunol 164:1617-1624 (2000)には、免疫賦活性配列が種特異的であり、マウスと霊長類とで異なることが教示されている。
【0006】
CpG含有ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの他の修正はまた、免疫応答のモジュレーターとして作用するこれらの能力に影響し得る。例えば、Zhao et al., Biochem. Pharmacol. (1996) 51:173-182; Zhao et al., Biochem Pharmacol. (1996) 52:1537-1544; Zhao et al., Antisense Nucleic Acid Drug Dev. (1997) 7:495-502; Zhao et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (1999) 9:3453-3458; Zhao et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (2000) 10:1051-1054; Yu et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (2000) 10:2585-2588; Yu et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (2001) 11:2263-2267;およびKandimalla et al., Bioorg. Med. Chem. (2001) 9:807-813を参照。
【0007】
これらの報告により、免疫賦活性オリゴヌクレオチドにより生じた免疫応答を調節し、免疫賦活性配列の種特異性に打ち勝つことができる必要性が残留することが明らかになる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、オリゴヌクレオチド化合物により生じた免疫応答を調節するための方法を提供する。本発明の方法により、免疫療法用途への免疫賦活性オリゴヌクレオチドにより生じたサイトカインプロフィールの修正が可能である。本発明者らは、驚異的なことに、免疫賦活性ジヌクレオチドの修飾により、生じた免疫応答の性質における柔軟性が可能になることおよび、ある修飾により、免疫賦活性配列の現在まで観察されている種特異性に打ち勝つことを見出した。いくつかの好ましい態様において、修飾されたジヌクレオチドは、以下にさらに記載するように、「イムノマー(immunomer)」の状況にある。
【0009】
従って、第1の観点において、本発明は、少なくとも1種の修飾したプリンまたはピリミジンを含む少なくとも1種の免疫賦活性ジヌクレオチドを含む免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーを提供する。
【0010】
1つの観点において、免疫調節性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーは、式5’−Pyr−Pur−3’で表され、式中Pyrは、天然の、または非天然のピリミジンヌクレオシドであり、Purは、天然の、または非天然のプリンヌクレオシドである、免疫賦活性ジヌクレオチドを含む。他の好ましい態様において、免疫調節性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーは、式5’−Pur*−Pur−3’で表され、式中Pur*は、非天然のプリンヌクレオシドであり、Purは、天然の、または非天然のプリンヌクレオシドである、免疫賦活性ジヌクレオチドを含む。特に好ましい合成プリンは、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである。この合成プリンが、ジヌクレオチドのPur*位置にある際には、免疫賦活効果の種特異性(配列依存性)に打ち勝ち、サイトカインプロフィールは、改善される。
【0011】
他の態様において、免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーは、CpG、C*pG、CpG*およびC*pG*からなる群から選択された免疫賦活性ジヌクレオチドを含み、式中、Cの塩基は、シトシンであり、C*の塩基は、チミン、5−ヒドロキシシトシン、N4−アルキル−シトシン、4−チオウラシルまたは他の非天然ピリミジンヌクレオシドまたは2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり、ここで、塩基が、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである際には、これは、好ましくは、ペントースの1’位置に、塩基の1位を介して共有結合しており;Gの塩基は、グアニンであり、G*の塩基は、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−アミノ−6−チオプリン、6−オキソプリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されたヌクレオシド間結合である。いくつかの好ましい態様において、免疫賦活性ジヌクレオチドは、CpGではない。
【0012】
尚他の態様において、免疫調節性オリゴヌクレオチドは、式(III):
5’−Nn−N1−Y−Z−N1−Nn−3’ (III)
式中、
Yの塩基は、シトシン、チミン、5−ヒドロキシシトシン、N4−アルキル−シトシン、4−チオウラシルまたは2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり、ここで、塩基が、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである際には、これは、好ましくは、ペントースの1’位置に、塩基の1位を介して共有結合しており;
Zの塩基は、グアニン、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−アミノ−6−チオプリンまたは6−オキソプリンであり、
【0013】
N1およびNnは、各々の存在において独立して、好ましくは天然に存在するか、もしくは合成のヌクレオシドまたは脱塩基ヌクレオシド類、アラビノヌクレオシド類、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド類、β−L−デオキシリボヌクレオシド類および、ホスホジエステルもしくは修飾されたヌクレオシド間結合により、3’側上の隣接するヌクレオシドに結合したヌクレオシド類からなる群から選択された免疫賦活性部分であり、修飾されたヌクレオチド間結合は、限定されずに、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、またはメチルホスホネートヌクレオシド間結合から選択されており;
【0014】
ただし、N1またはNnの少なくとも一方は、随意に、免疫賦活部分であり;
ここで、nは、0〜30の数であり;
ここで、3’末端、ヌクレオチド間結合または官能化された核酸塩基もしくは糖は、直接、または非ヌクレオチドリンカーを介して、免疫賦活性であってもなくてもよい他のオリゴヌクレオチドに結合していてもしていなくてもよい、
で表される免疫賦活性領域を含む。免疫調節性オリゴヌクレオチドが、他のオリゴヌクレオチドに結合している際には、これを、「イムノマー」と呼ぶ。
【0015】
第2の観点において、本発明は、上記したイムノマーおよび、アクセス可能な5’末端以外の位置においてイムノマーに接合した抗原を含む、イムノマー接合体を提供する。同様に、オリゴヌクレオチドが、他のオリゴヌクレオチドに結合しておらず、このアクセス可能な5’末端以外のすべての位置において抗原に結合している場合には、これを、「免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体」と呼ぶ。
【0016】
第3の観点において、本発明は、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーもしくはイムノマー接合体またはこれらの2種もしくは3種以上の組み合わせおよび生理学的に許容し得る担体を含む、医薬製剤を提供する。
【0017】
第4の観点において、本発明は、脊椎動物における免疫応答を発生させる方法を提供し、このような方法は、脊椎動物に、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーもしくはイムノマー接合体またはこれらの2種もしくは3種以上の組み合わせを投与することを含む。いくつかの態様において、脊椎動物は、哺乳類である。
【0018】
第5の観点において、本発明は、疾患または障害を有する患者を治療的に処置する方法を提供し、このような方法は、患者に、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーもしくはイムノマー接合体またはこれらの2種もしくは3種以上の組み合わせを投与することを含む。種々の態様において、処置されるべき疾患または障害は、癌、自己免疫障害、気道炎症、喘息、アレルギーまたは病原体により生じた疾患である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の代表的なイムノマーを図式的に表す図である。
【図2】本発明のいくつかの代表的なイムノマーを示す図である。
【図3】本発明のイムノマーの直線的な合成に適する代表的な小分子リンカーの群を示す図である。
【0020】
【図4】本発明のイムノマーの平行する合成に適する代表的な小分子リンカーの群を示す図である。
【図5】本発明のイムノマーの直線的な合成のための合成スキームである。
【図6】本発明のイムノマーの平行する合成のための合成スキームである。
【0021】
【図7】図7Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー1〜3によるIL−12の誘発をグラフ的に表す図である。図7Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー1〜3によるIL−6(それぞれ完全な)の誘発をグラフ的に表す図である。図7Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー1〜3による(それぞれ完全な)IL−10の誘発をグラフ的に表す図である。
【図8】図8Aは、それぞれアクセス不能な、およびアクセス可能な5’末端を有する、種々の濃度のイムノマー5および6による、細胞培養物中でのBALB/cマウス脾臓細胞増殖の誘発をグラフ的に表す図である。図8Bは、CpGモチーフの5’隣接配列における免疫原性化学的修飾を有する、イムノマー4〜6によるBALB/cマウス脾臓の拡大をグラフ的に表す図である。
【0022】
【図9】図9Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−12の誘発を、グラフ的に表す図である。図9Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−6の誘発を、グラフ的に表す図である。図9Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−10の誘発を、グラフ的に表す図である。
【図10】図10Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー14、15および16による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。図10Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のイムノマー14および16によるIL−12による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。図10Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のイムノマー14および16によるIL−6による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。
【0023】
【図11】図11Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるオリゴ4および17並びにイムノマー19および20による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。図11Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4および17並びにイムノマー19および20によるIL−12産生の誘発を、グラフ的に表す図である。図11Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4および17並びにイムノマー19および20によるIL−6産生の誘発を、グラフ的に表す図である。
【図12】オリゴヌクレオチド4並びにイムノマー14、23および24を用いたBALB/cマウス脾臓拡大を、グラフ的に表す図である。
【0024】
【図13】オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドを図式的に表す図である。
【図14】例13において用いる化学的置換を示す図である。
【図15】例13の修飾したオリゴヌクレオチドを用いて得られたサイトカインプロフィールを示す図である。
【0025】
【図16】グリセロールリンカーについての、アミノリンカーと比較しての相対的サイトカイン誘発を示す図である。
【図17】種々のリンカーおよびリンカーの組み合わせについての相対的サイトカイン誘発を示す図である。
【図18】A〜Eは、種々のPSおよびPOイムノマー並びにオリゴヌクレオチドについての相対的ヌクレアーゼ耐性を示す図である。
【0026】
【図19】BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、PSイムノマーと比較しての、POイムノマーについての相対的サイトカイン誘発を示す図である。
【図20】C3H/Hejマウス脾臓細胞培養物における、PSイムノマーと比較しての、POイムノマーについての相対的サイトカイン誘発を示す図である。
【図21】高濃度のイムノマーにおける、C3H/Hejマウス脾臓細胞培養物における、PSイムノマーと比較しての、POイムノマーについての相対的サイトカイン誘発を示す図である。
【0027】
【図22】いくつかのピリミジンおよびプリン構造を示す図である。
【図23】本研究において用いられる数種の免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーを示す図である。
【図24】天然のCpGモチーフと、合成プリン−pGジヌクレオチドを有する免疫賦活性モチーフとの比較を示す図である。
【図25】本研究において用いた種々の免疫賦活性オリゴヌクレオチドのIL−12およびIL−6プロフィールを示す図である。
【0028】
【図26】本研究において用いた追加の免疫賦活性オリゴヌクレオチドのIL−12およびIL−6プロフィールを示す図である。
【図27】本研究において用いた免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびイムノマーのIL−12およびIL−6プロフィールを示す図である。
【0029】
【図28】免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびイムノマーにおけるマウスおよびヒトモチーフにより提供されたIL−12およびIL−6プロフィールを比較する図である。
【0030】
【図29】種々の免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびイムノマーで処理したJ774細胞におけるNF−κBの活性化およびIκ−Bαの分解を示す図である。
【図30】ヒトPBMC培養物におけるイムノマーの免疫賦活活性を示す図である。
【0031】
好ましい態様の詳細な記載
本発明は、オリゴヌクレオチドの、免疫療法用途のための免疫賦活性剤としての治療的使用に関する。本明細書中で引用した刊行された特許、特許出願および参考文献は、各々が、参照により導入されることを特別に、および個別に示すのと同様に、同一の程度で参照により本明細書中に導入される。本明細書中で引用したすべての参考文献のすべての教示と本明細書との間で矛盾がある場合には、後者が、本発明の目的のために優勢である。
【0032】
本発明は、免疫療法用途のために用いられる免疫賦活性化合物により生じた免疫応答を増強する方法を提供し、これは、例えば、癌、自己免疫障害、喘息、呼吸器アレルギー、食物アレルギー、並びに成人および小児のヒトおよび獣医学的用途における細菌、寄生生物およびウイルス感染の処置であるが、これには限定されない。従って、本発明は、さらに、免疫療法のための免疫賦活効果の最適なレベルを有する化合物およびこのような化合物を製造し、用いる方法を提供する。さらに、本発明の化合物は、DNAワクチン、抗体およびアレルゲンと組み合わせた;並びに化学療法剤および/またはアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせたアジュバントとして、有用である。
【0033】
本発明者らは、驚異的なことに、免疫調節性オリゴヌクレオチドを修飾して、この5’末端を最適に提示することにより、この免疫賦活能力が劇的に影響されることを見出した。さらに、本発明者らは、免疫応答のサイトカインプロフィールおよび種特異性を、新規なプリンまたはピリミジン構造を、免疫調節性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーの一部として用いることにより調節することができることを見出した。
【0034】
第1の観点において、本発明は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたは「イムノマー」を提供し、後者は、これらの3’末端において結合した少なくとも2つのオリゴヌクレオチド、またはヌクレオシド間結合または非ヌクレオチドリンカーへの官能化された核酸塩基もしくは糖を含み、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つは、免疫調節性オリゴヌクレオチドであり、アクセス可能な5’末端を有する。本明細書中で用いる、用語「アクセス可能な5’末端」は、オリゴヌクレオチドの5’末端が、イムノマーを認識し、これに結合し、免疫系を刺激する因子が、これへのアクセスを有するように、十分有用であることを意味する。
【0035】
アクセス可能な5’末端を有するオリゴヌクレオチドにおいて、末端糖の5’OH位置は、2つよりも多いヌクレオシド残基または5’末端との相互作用に干渉するすべての他の部分に共有結合していない。随意に、5’OHは、ホスフェート、ホスホロチオエートもしくはホスホロジチオエート部分、芳香族もしくは脂肪族リンカー、コレステロールまたはアクセス可能性に干渉しないすべての実体に結合していてもよい。本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーは、好ましくは、さらに新規なプリンまたはピリミジンを含む免疫賦活性ジヌクレオチドを含む。
【0036】
いくつかの態様において、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、リンカーにより5’から3’に結合したオリゴヌクレオチド配列、例えば図14に示すものを有することができる。
いくつかの態様において、イムノマーは、(イムノマーの状況において)同一であるかまたは異なっていてもよい、2種または3種以上の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、各々のこのような免疫調節性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのアクセス可能な5’末端を有する。
【0037】
ある態様において、1種または2種以上の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに加えて、イムノマーはまた、遺伝子またはこのRNA生成物に相補的な少なくとも1種のオリゴヌクレオチドを含む。本明細書中で用いる用語「〜に相補的な」は、オリゴヌクレオチドが、生理学的条件の下で、遺伝子の領域にハイブリダイズすることを意味する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、遺伝子の発現を下方調節する。このような下方調節オリゴヌクレオチドは、好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムオリゴヌクレオチド、小さい阻害RNAおよびデコイオリゴヌクレオチドからなる群から選択される。本明細書中で用いる用語「遺伝子を下方調節する」は、遺伝子の転写または遺伝子生成物の翻訳を阻害することを意味する。従って、本発明のこれらの態様におけるイムノマーを用いて、1種または2種以上の特定の疾患標的を標的し、一方また免疫系を刺激することができる。
【0038】
ある態様において、イムノマーは、リボザイムまたはデコイオリゴヌクレオチドを含む。本明細書中で用いる用語「リボザイム」は、触媒活性を有するオリゴヌクレオチドを意味する。好ましくは、リボザイムは、特定の核酸標的に結合し、標的を切断する。本明細書中で用いる用語「デコイオリゴヌクレオチド」は、転写因子に配列に特異的な方式で結合し、転写活性を停止するオリゴヌクレオチドを意味する。好ましくは、リボザイムまたはデコイオリゴヌクレオチドは、ステムループまたはヘアピン構造を含むがこれらには限定されない二次構造を示す。ある態様において、少なくとも1種のオリゴヌクレオチドは、ポリ(I)−ポリ(C)を含む。ある態様において、少なくとも1つの群のNnは、3〜10dGsおよび/またはGsまたは2’置換リボもしくはアラビノGsの線を含む。
【0039】
本発明の目的のために、用語「オリゴヌクレオチド」は、複数の結合したヌクレオシド単位から形成したポリヌクレオシドを意味する。このようなオリゴヌクレオチドは、ゲノムまたはcDNAを含む在来の核酸供給源から得られるが、好ましくは合成的方法により製造される。好ましい態様において、各々のヌクレオシド単位は、複素環式塩基およびペントフラノシル、トレハロース、アラビノース、2’−デオキシ−2’置換アラビノース、2’−O置換アラビノースまたはヘキソース糖基を含む。ヌクレオシド残基は、互いに、多くの既知のヌクレオシド間結合のすべてにより結合することができる。このようなヌクレオシド結合には、限定されずに、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホラミデート、シロキサン、カーボネート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋ホスホラミデート、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエート、およびスルホンヌクレオシド間結合が含まれる。
【0040】
用語「オリゴヌクレオチド」はまた、1つまたは2つ以上の立体特異的なヌクレオシド間結合(例えば、(Rp)−もしくは(Sp)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネートまたはホスホトリエステル結合)を有するポリヌクレオシドを包含する。本明細書中で用いる用語「オリゴヌクレオチド」および「ジヌクレオチド」は、結合がホスフェート基を含むか否かとは無関係に、すべてのこのようなヌクレオシド間結合を有するポリヌクレオシドおよびジヌクレオシドを含むことを明確に意図する。ある好ましい態様において、これらのヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエートもしくはホスホロジチオエート結合またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0041】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、各々、約3〜約35個のヌクレオシド残基、好ましくは約4〜約30個のヌクレオシド残基、一層好ましくは約4〜約20個のヌクレオシド残基を有する。いくつかの態様において、イムノマーは、約5〜約18個、または約5〜約14個のヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドを含む。本明細書中で用いる用語「約」は、正確な数が臨界的に重要ではないことを示す。従って、オリゴヌクレオチド中のヌクレオシド残基の数は、臨界的には重要でなく、1つもしくは2つの一層少数のヌクレオシド残基または1つないしいくつかの追加のヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドは、上記した態様の各々の等価なものとして意図される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの1つまたは2つ以上は、11個のヌクレオチドを有する。免疫賦活性オリゴヌクレオチドの状況において、好ましい態様は、約13〜約35個のヌクレオチド、一層好ましくは約13〜約26個のヌクレオチドを有する。
【0042】
用語「オリゴヌクレオチド」はまた、限定されずに、タンパク質基、親油性基、挿入剤、ジアミン、葉酸、コレステロールおよびアダマンタンを含む追加の置換基を有するポリヌクレオシドを包含する。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、限定されずに、ペプチド核酸類(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸類(PHONA)、ロックされた核酸類(LNA)、モルホリノ主鎖オリゴヌクレオチド、およびアルキルリンカーまたはアミノリンカーを有する主鎖部分を有するオリゴヌクレオチドを含むポリマーを含む、すべての他の核酸塩基を包含する。
【0043】
本発明のオリゴヌクレオチドは、天然に存在するヌクレオシド、修飾されたヌクレオシドまたはこれらの混合物を含むことができる。本明細書中で用いる用語「修飾されたヌクレオシド」は、修飾された複素環式塩基、修飾された糖部分またはこれらの組み合わせを含むヌクレオシドである。いくつかの態様において、修飾されたヌクレオシドは、本明細書中に記載したように、非天然ピリミジンまたはプリンヌクレオシドである。いくつかの態様において、修飾されたヌクレオシドは、2’置換リボヌクレオシド、アラビノヌクレオシドまたは2’−デオキシ−2’置換−アラビノシドである。
【0044】
本発明の目的のために、用語「2’置換リボヌクレオシド」または「2’置換アラビノシド」は、ペントース部分の2’位置における水酸基が置換されて、2’置換または2’−O置換リボヌクレオシドを生成するリボヌクレオシドまたはアラビノヌクレオシドを含む。好ましくは、このような置換は、1〜6個の飽和もしくは不飽和炭素原子を含む低級アルキル基での、または6〜10個の炭素原子を有するアリール基での置換であり、ここで、このようなアルキルまたはアリール基は、非置換であるか、または例えばハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシル、カルボアルコキシもしくはアミノ基で置換されていてもよい。2’−O置換リボヌクレオシドまたは2’−O置換アラビノシドの例には、限定されずに、2’−O−メチルリボヌクレオシドまたは2’−O−メチルアラビノシドおよび2’−O−メトキシエチルリボヌクレオシドまたは2’−O−メトキシエチルアラビノシドが含まれる。
【0045】
用語「2’置換リボヌクレオシド」または「2’置換アラビノシド」はまた、2’−水酸基が、1〜6個の飽和または不飽和炭素原子を含む低級アルキル基で、またはアミノもしくはハロ基で置換されているリボヌクレオシド類またはアラビノヌクレオシド類を含む。このような2’置換リボヌクレオシド類または2’置換アラビノシド類の例には、限定されずに、2’−アミノ、2’−フルオロ、2’−アリルおよび2’−プロパルギルリボヌクレオシド類またはアラビノシド類が含まれる。
【0046】
用語「オリゴヌクレオチド」は、ハイブリッドおよびキメラオリゴヌクレオチドを含む。「キメラオリゴヌクレオチド」は、1つより多いタイプのヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドである。このようなキメラオリゴヌクレオチドの1つの好ましい例は、ホスホロチオエート、ホスホジエステルまたはホスホロジチオエート領域および非イオン性結合、例えばアルキルホスホネートまたはアルキルホスホノチオエート結合を含むキメラオリゴヌクレオチドである(例えば、Pederson et al. 米国特許第5,635,377号および5,366,878号を参照)。
【0047】
「ハイブリッドオリゴヌクレオチド」は、1つより多いタイプのヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドである。このようなハイブリッドオリゴヌクレオチドの1つの好ましい例は、リボヌクレオチドまたは2’置換リボヌクレオチド領域、およびデオキシリボヌクレオチド領域を含む(例えば、Metelev and Agrawal, 米国特許第5,652,355号、6,346,614号および6,143,881号を参照)。
【0048】
本発明の目的のために、用語「免疫賦活性オリゴヌクレオチド」は、脊椎動物、例えば魚類、鳥類または哺乳類に投与した際に免疫応答を誘発する、上記したオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書中で用いる用語「哺乳類」には、限定されずに、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、畜牛、ウシ、ブタ、ウサギ、非ヒト霊長類およびヒトが含まれる。有用な免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、Agrawal et al., WO 98/49288、1998年11月5日刊行;WO 01/12804、2001年2月22日刊行;WO 01/55370、2001年8月2日刊行;PCT/US01/13682、2001年4月30日出願;およびPCT/US01/30137、2001年9月26日出願に記載されていることを見出すことができる。好ましくは、免疫調節性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む。
【0049】
いくつかの態様において、免疫調節性オリゴヌクレオチドは、式5’−Pyr−Pur−3’で表され、式中Pyrは、天然の、または合成のピリミジンヌクレオシドであり、Purは、天然の、または合成のプリンヌクレオシドである、免疫賦活性ジヌクレオチドを含む。いくつかの好ましい態様において、免疫調節性オリゴヌクレオチドは、式5’−Pur*−Pur−3’で表され、式中Pur*は、合成のプリンヌクレオシドであり、Purは、天然の、または合成のプリンヌクレオシドである、免疫賦活性ジヌクレオチドを含む。種々の箇所において、ジヌクレオチドは、RpG、C*pGまたはYZとして表され、この場合において、それぞれ、R、C*またはYは、合成プリンを表す。特に好ましい合成プリンは、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである。
【0050】
この合成プリンが、ジヌクレオチドのPur*位置にある際には、免疫賦活効果の種特異性(配列依存性)に打ち勝ち、サイトカインプロフィールは、改善される。本明細書中で用いる用語「ピリミジンヌクレオシド」は、ヌクレオシドの塩基成分が単環式核酸塩基であるヌクレオシドを意味する。同様に、用語「プリンヌクレオシド」は、ヌクレオシドの塩基成分が、二環式核酸塩基であるヌクレオシドを意味する。本発明の目的のために、「合成」ピリミジンまたはプリンヌクレオシドは、天然に存在しないピリミジンもしくはプリン塩基、天然に存在しない糖部分またはこれらの組み合わせを含む。
【0051】
本発明の好ましいピリミジンヌクレオシドは、構造(I):
【化1】
式中:
Dは、水素結合供与体であり;
D’は、水素、水素結合供与体、水素結合受容体、親水性基、疎水性基、電子求引基および電子供与基からなる群から選択されており;
Aは、水素結合受容体または親水性基であり;
A’は、水素結合受容体、親水性基、疎水性基、電子求引基および電子供与基からなる群から選択されており;
Xは、炭素または窒素であり;
Sは、ペントースもしくはヘキソース糖環または天然に存在しない糖である、
を有する。
【0052】
好ましくは、糖環は、ホスフェート部分、修飾されたホスフェート部分または、ピリミジンヌクレオシドを他のヌクレオシドもしくはヌクレオシド類似体に結合させるのに適する他のリンカー部分で誘導体化されている。
好ましい水素結合供与体には、限定されずに、−NH−、−NH2、−SHおよび−OHが含まれる。好ましい水素結合受容体には、限定されずに、C=O、C=Sおよび芳香族複素環の環窒素原子、例えばシトシンのN3が含まれる。
【0053】
いくつかの態様において、(I)中の塩基部分は、天然に存在しないピリミジン塩基である。好ましい天然に存在しないピリミジン塩基の例には、限定されずに、5−ヒドロキシシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、好ましくはN4−エチルシトシンおよび4−チオウラシルが含まれる。しかし、いくつかの態様において、5−ブロモシトシンは、特定的に排除される。
【0054】
いくつかの態様において、(I)における糖部分S’は、天然に存在しない糖部分である。本発明の目的のために、「天然に存在する糖部分」は、核酸の一部として天然に存在する糖部分、例えばリボースおよび2’−デオキシリボースであり、「天然に存在しない糖部分」は、核酸の一部として天然に存在しないが、オリゴヌクレオチドのための主鎖において用いることができるすべての糖、例えばヘキソースである。アラビノースおよびアラビノース誘導体は、好ましい糖部分の例である。
【0055】
本発明の好ましいプリンヌクレオシド類似体は、構造(II):
【化2】
式中:
Dは、水素結合供与体であり;
D’は、水素、水素結合供与体および親水性基からなる群から選択されており;
Aは、水素結合受容体または親水性基であり;
Xは、炭素または窒素であり;
各々のLは、独立して、C、O、NおよびSからなる群から選択された原子であり;
S’は、ペントースもしくはヘキソース糖環または天然に存在しない糖である、
を有する。
【0056】
好ましくは、糖環は、ホスフェート部分、修飾されたホスフェート部分、またはピリミジンヌクレオシドを他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体に結合させるのに適する他のリンカー部分で誘導体化されている。
好ましい水素結合供与体には、限定されずに、−NH−、−NH2、−SHおよび−OHが含まれる。好ましい水素結合受容体には、限定されずに、C=O、C=S、−NO2および芳香族複素環の環窒素原子、例えばグアニンのN1が含まれる。
【0057】
いくつかの態様において、(II)中の塩基部分は、天然に存在しないプリン塩基である。好ましい天然に存在しないプリン塩基の例には、限定されずに、2−アミノ−6−チオプリンおよび2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリンが含まれる。いくつかの態様において、(II)中の糖部分S’は、構造(I)について上記したように、天然に存在する糖部分である。
【0058】
好ましい態様において、免疫賦活性ジヌクレオチドは、CpG、C*pG、CpG*およびC*pG*からなる群から選択され、式中、Cの塩基は、シトシンであり、C*の塩基は、2’−チミン、5−ヒドロキシシトシン、N4−アルキル−シトシン、4−チオウラシルまたは他の非天然ピリミジンまたは2−オキソ−7−デアザ−8−メチルプリンであり、ここで、塩基が、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである際には、これは、好ましくは、ペントースの1’位置に、塩基の1位を介して共有結合しており;Gの塩基は、グアノシンであり、G*の塩基は、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−オキソ−7−デアザ−8−メチルプリン、6−チオグアニン、6−オキソプリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されたヌクレオシド間結合である。いくつかの好ましい態様において、免疫賦活性ジヌクレオチドは、CpGではない。
【0059】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、免疫賦活性部分を、免疫賦活性ジヌクレオチドの一方または両方の側上に含むことができる。従って、いくつかの態様において、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、構造(III):
5’−Nn−N1−Y−Z−N1−Nn−3’ (III)
式中:
Yの塩基は、シトシン、チミン、5−ヒドロキシシトシン、N4−アルキル−シトシン、4−チオウラシルまたは他の非天然ピリミジンヌクレオシドまたは2−オキソ−7−デアザ−8−メチルプリンであり、ここで、塩基が、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである際には、これは、好ましくは、ペントースの1’位置に、塩基の1位を介して共有結合しており;
Zの塩基は、グアニン、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−オキソ−7デアザ−8−メチルプリン、2−アミノ−6−チオ−プリン、6−オキソプリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり;
【0060】
N1およびNnは、各々の存在において独立して、好ましくは天然に存在するか、もしくは合成のヌクレオシドまたは脱塩基ヌクレオシド類、アラビノヌクレオシド類、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド類、β−L−デオキシリボヌクレオシド類および、ホスホジエステルもしくは修飾されたヌクレオシド間結合により、3’側上の隣接するヌクレオシドに結合したヌクレオシド類からなる群から選択された免疫賦活性部分であり、修飾されたヌクレオシド間結合は、限定されずに、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、またはメチルホスホネートヌクレオシド間結合から選択されており;
【0061】
ただし、N1またはNnの少なくとも一方は、随意に、免疫賦活部分であり;
ここで、nは、0〜30の数であり;
ここで、3’末端、ヌクレオチド間結合または誘導体化された核酸塩基もしくは糖は、直接、または非ヌクレオチドリンカーを介して、免疫賦活性であってもなくてもよい他のオリゴヌクレオチドに結合している、
で表される免疫賦活性領域を含む。
【0062】
いくつかの好ましい態様において、YZは、アラビノシチジンまたは2’−デオキシ−2’置換アラビノシチジンおよびアラビノグアノシンまたは2’デオキシ−2’置換アラビノグアノシンである。好ましい免疫賦活性部分には、天然のホスホジエステル主鎖および、限定されずにメチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホチオトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、トリエステルプロドラッグ、スルホン、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、N−メチルヒドロキシアミン、カーボネート、カルバメート、モルホリノ、ボラノホスホネート、ホスホラミデート、特に第一アミノ−ホスホラミデート、N3ホスホラミデートおよびN5ホスホラミデート、並びに立体特異性結合(例えば(RP)−または(SP)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネートまたはホスホトリエステル結合)を含むホスフェート主鎖における修飾が含まれる。
【0063】
本発明の好ましい免疫賦活性部分には、さらに、限定されずに、限定されずに2’−O−メチルリボース、2’−O−メトキシエチルリボース、2’−O−プロパルギルリボースおよび2’−デオキシ−2’−フルオロリボースが含まれる2’置換ペントース糖類;限定されずに3’−O−メチルリボースが含まれる3’−置換ペントース糖類;1’−2’−ジデオキシリボース;アラビノース;限定されずに1’−メチルアラビノース、3’−ヒドロキシメチルアラビノース、4’−ヒドロキシメチルアラビノース、3’−ヒドロキシアラビノースおよび2’置換アラビノース糖が含まれる置換アラビノース糖類;限定されずに1,5−アンヒドロヘキシトールが含まれるヘキソース糖類;並びにアルファ−アノマーが含まれる糖修飾を有するヌクレオシドが含まれる。修飾された糖が3’−デオキシリボヌクレオシドまたは3’−O置換リボヌクレオシドである態様において、免疫賦活性部分は、隣接するヌクレオシドに、2’−5’ヌクレオシド間結合により結合している。
【0064】
本発明の好ましい免疫賦活性部分は、さらに、ペプチド核酸類(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸類(PHONA)、ロックされた核酸類(LNA)、モルホリノ主鎖オリゴヌクレオチド、並びに限定されずにアルキルリンカーまたはアミノリンカーを含む、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有する主鎖リンカー部分を有するオリゴヌクレオチドを含む、他の炭水化物主鎖修飾および置換を有するオリゴヌクレオチドを含む。アルキルリンカーは、分枝状または非分枝状、置換または非置換、およびキラル的に純粋であるかまたはラセミ体混合物であってもよい。最も好ましくは、このようなアルキルリンカーは、約2〜約18個の炭素原子を有する。いくつかの好ましい態様において、このようなアルキルリンカーは、約3〜約9個の炭素原子を有する。いくつかのアルキルリンカーは、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素およびチオエーテルからなる群から選択された1種または2種以上の官能基を含む。いくつかのこのような官能化されたアルキルリンカーは、式−O−(CH2−CH2−O−)n(n=1〜9)で表されるポリ(エチレングリコール)リンカーである。いくつかの他の官能化されたアルキルリンカーは、ペプチドまたはアミノ酸である。
【0065】
本発明の好ましい免疫賦活性部分は、さらに、限定されずにβ−L−デオキシリボヌクレオシドおよびα−デオキシリボヌクレオシドを含む、DNAイソ型を含む。本発明の好ましい免疫賦活性部分は、3’修飾を包含し、さらに、限定されずに2’−5’、2’−2’、3’−3’および5’−5’結合を含む、天然ではないヌクレオシド間結合位置を有するヌクレオシドを含む。
【0066】
本発明の好ましい免疫賦活性部分は、さらに、限定されずに5−ヒドロキシシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、好ましくはN4−エチルシトシン、4−チオウラシル、6−チオグアニン、7−デアザグアニン、イノシン、ニトロピロール、C5−プロピニルピリミジンおよび限定されずに2,6−ジアミノプリンを含むジアミノプリン類を含む、修飾された複素環式塩基を有するヌクレオシドを含む。
【0067】
特定の例示により、および限定せずに、例えば構造(III)で表される免疫賦活性領域において、位置N1またはNnにおけるメチルホスホネートヌクレオシド間結合は、免疫賦活性部分であり、位置X1における約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカーは、免疫賦活性部分であり、位置X1におけるβ−L−デオキシリボヌクレオシドは、免疫賦活性部分である。免疫賦活性部分の代表的な位置および構造について、以下の表1を参照。特定の位置における免疫賦活性部分としてのリンカーへの言及は、当該位置におけるヌクレオシド残基が、この3’−ヒドロキシルにおいて、示したリンカーで置換されており、これにより当該ヌクレオシド残基と3’側上の隣接するヌクレオシドとの間の修飾されたヌクレオシド間結合が作成されることを意味することが、理解されるべきである。同様に、特定の位置における免疫賦活性部分としての修飾されたヌクレオシド間結合への言及は、当該位置におけるヌクレオシド残基が、3’側上の隣接するヌクレオシドに、引用した結合により結合していることを意味する。
【0068】
【表1】
【0069】
表2は、上流相乗作用領域を有する免疫調節性オリゴヌクレオチド内の免疫賦活性部分の代表的な位置および構造を示す。本明細書中で用いる用語「スペーサー9」は、式−O−(CH2CH2−O)n−で表され、式中nが3であるポリ(エチレングリコール)リンカーを意味する。用語「スペーサー18」は、式−O−(CH2CH2−O)n−で表され、式中nが6であるポリ(エチレングリコール)リンカーを意味する。本明細書中で用いる用語「C2〜C18アルキルリンカー」は、式−O−(CH2)q−O−で表され、式中qが、2〜18の整数であるリンカーを意味する。従って、用語「C3リンカー」および「C3アルキルリンカー」は、式−O−(CH2)3−O−で表されるリンカーを意味する。スペーサー9、スペーサー18およびC2〜C18アルキルリンカーの各々について、リンカーは、隣接するヌクレオシドに、ホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート結合により結合している。
【0070】
【表2】
【0071】
表3は、下流相乗作用領域を有する免疫調節性オリゴヌクレオチド内の免疫賦活性部分の代表的な位置および構造を示す。
【0072】
【表3】
【0073】
本発明のイムノマーは、これらの3’末端もしくはヌクレオシド間結合において結合した少なくとも2つのオリゴヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーによる官能化された核酸塩基もしくは糖を含む。本発明の目的のために、「非ヌクレオチドリンカー」は、オリゴヌクレオチドに、共有結合または非共有結合により結合することができるすべての部分である。好ましくは、このようなリンカーは、長さが約2オングストローム〜約200オングストロームである。好ましいリンカーのいくつかの例を、以下に述べる。非共有結合には、静電相互作用、疎水性相互作用、π積み重ね相互作用および水素結合が含まれるが、これらには限定されない。用語「非ヌクレオチドリンカー」は、上記したように、ヌクレオシド間結合、例えば2つのヌクレオシドの3’−水酸基に直接結合するホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート官能基を表すことを意味しない。本発明の目的のために、このような直接的な3’−3’結合(リンカーを伴わない)は、「ヌクレオチド結合」であると考慮される。
【0074】
いくつかの態様において、非ヌクレオチドリンカーは、限定されずに、金粒子を含む金属である。いくつかの他の態様において、非ヌクレオチドリンカーは、可溶性または不溶性の生分解性ポリマービーズである。
【0075】
尚他の態様において、非ヌクレオチドリンカーは、オリゴヌクレオチドへの結合を可能にする官能基を有する有機部分である。このような結合は、好ましくは、すべての好適な共有結合によるものである。非限定的な例として、リンカーは、図13に示すように、ヌクレオシド上のすべての好適な位置に結合することができる。いくつかの好ましい態様において、リンカーは、3’−ヒドロキシルに結合する。このような態様において、リンカーは、好ましくは、好ましくは3’−ヒドロキシルにホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたはホスフェートに基づかない結合により結合している、ヒドロキシル官能基を含む。
【0076】
いくつかの態様において、非ヌクレオチドリンカーは、限定されずにポリペプチド、抗体、脂質、抗原、アレルゲンおよびオリゴ糖類を含む生体分子である。いくつかの他の態様において、非ヌクレオチドリンカーは、小分子である。本発明の目的のために、小分子は、1,000Daよりも小さい分子量を有する有機部分である。いくつかの態様において、小分子は、750Daよりも小さい分子量を有する。
【0077】
いくつかの態様において、小分子は、いずれかが随意に、オリゴヌクレオチドに結合しているか、またはこれに付着している直鎖状鎖において、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素およびチオ尿素からなる群から選択された1種または2種以上の官能基を含むことができる、脂肪族または芳香族炭化水素である。小分子は、環式であっても非環式であってもよい。小分子リンカーの例には、アミノ酸、炭水化物、シクロデキストリン、アダマンタン、コレステロール、ハプテンおよび抗生物質が含まれるが、これらには限定されない。しかし、非ヌクレオチドリンカーを記載する目的のために、用語「小分子」は、ヌクレオシドを含むことを意図しない。
【0078】
いくつかの態様において、小分子リンカーは、式HO−(CH2)o−CH(OH)−(CH2)p−OHで表され、式中oおよびpは、独立して1〜約6、1〜約4または1〜約3の整数であるグリセロールまたはグリセロール相同体である。いくつかの他の態様において、小分子リンカーは、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンの誘導体である。いくつかのこのような誘導体は、式HO−(CH2)m−C(O)NH−CH2−CH(OH)−CH2−NHC(O)−(CH2)m−OHを有し、式中mは、0〜約10、0〜約6、2〜約6または2〜約4の整数である。
【0079】
本発明の数種の非ヌクレオチドリンカーにより、図1に図式的に示すように、2つよりも多いオリゴヌクレオチドの結合が可能である。例えば、小分子リンカーグリセロールは、オリゴヌクレオチドが共有結合することができる3つの水酸基を有する。従って、本発明の数種のイムノマーは、これらの3’末端において非ヌクレオチドリンカーに結合した、2つよりも多いオリゴヌクレオチドを含む。いくつかのこのようなイムノマーは、各々アクセス可能な5’末端を有する少なくとも2つの免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含む。
【0080】
本発明のイムノマーは、図5および6に図式的に示すように、並びにさらに例中に記載するように、自動合成装置およびホスホラミダイト方法を用いて、好都合に合成することができる。いくつかの態様において、イムノマーを、直線的な合成方法(図5を参照)により合成する。本明細書中で用いる用語「直線的な合成」は、イムノマーの一方の末端において開始し、他方の末端に直線的に進行する合成を意味する。直線的な合成により、同一の、または同一ではない(長さ、塩基組成および/または導入される化学的修飾の点で)モノマー単位をイムノマー中に導入することが可能である。
【0081】
合成の代替のモードは、合成が中心的なリンカー部分から外方向に進行する「平行する合成」である(図6を参照)。リンカーが結合した固体の支持体を、米国特許第5,912,332号に記載されているように、平行する合成のために用いることができる。あるいはまた、一般的な固体支持体(例えば制御された孔のガラス支持体に結合したホスフェート)を、用いることができる。
【0082】
イムノマーの平行する合成は、直線的な合成にまさるいくつかの利点を有する:(1)平行する合成により、同一のモノマー単位の導入が可能である;(2)直線的な合成とは異なり、両方(またはすべて)のモノマー単位を、同時に合成し、これにより、合成段階の数および合成に必要な時間は、モノマー単位のものと同一である;および(3)合成段階の減少により、最終的なイムノマー生成物の純度および収率が改善される。
【0083】
直線的な合成または平行する合成プロトコルのいずれかによる合成の終了時に、修飾したヌクレオシドが導入されている場合には、イムノマーを、好都合に、濃アンモニア溶液で、または、ホスホラミダイト供給者により推薦されているように脱保護する(deprotected)ことができる。生成物イムノマーを、好ましくは、逆相HPLCにより精製し、脱トリチル化し(detritylated)、脱塩し、透析する。
【0084】
表4Aおよび表4Bは、本発明の代表的なイムノマーを示す。追加のイムノマーは、例中に記載されていると見出される。
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
* G1=2’−デオキシ−7−デアザグアノシン;G2=アラビノグアノシン。
C1=2’−デオキシシチジン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチルプリン;
C2=アラビノシチジン;C3=2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン。
X=グリセロールリンカー。また、C2〜C18アルキルリンカー、エチレングリコールリンカー、ポリエチレングリコールリンカー、分枝状アルキルリンカーであってもよい。
【0090】
【表9】
【0091】
第2の観点において、本発明は、上記した免疫調節性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーおよび、アクセス可能な5’末端以外の位置においてイムノマーに接合した抗原を含む、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体およびイムノマー接合体を提供する。いくつかの態様において、非ヌクレオチドリンカーは、抗原を含み、これは、オリゴヌクレオチドに接合している。いくつかの他の態様において、抗原を、オリゴヌクレオチドに、この3’末端以外の位置において接合する。いくつかの態様において、抗原は、ワクチン効果を生じる。
【0092】
抗原は、好ましくは、病原体と関連した抗原、癌と関連した抗原、自己免疫障害と関連した抗原および他の疾患、例えば獣医学的または小児科の疾患であるが、これらには限定されない疾患と関連した抗原からなる群から選択される。本発明の目的のために、用語「〜と関連する」は、抗原が、病原体、癌、自己免疫障害、食物アレルギー、呼吸器アレルギー、喘息または他の疾患が存在する際に存在するが、病原体、癌、自己免疫障害、食物アレルギー、呼吸器アレルギーまたは疾患が存在しない際には、存在しないかまたは減少した量で存在することを意味する。
【0093】
免疫調節性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーは、抗原に共有結合するか、またはこれは、他の方法では、抗原に操作的に(operatively)関連する。本明細書中で用いる用語「〜と操作的に関連する」は、イムノマーと抗原との両方の活性を維持するすべての関連を意味する。このような操作的な関連の非限定的な例には、同一のリポソームまたは他のこのような送達ビヒクルもしくは試薬の一部であることが含まれる。イムノマーが、抗原に共有結合する態様において、このような共有結合は、好ましくは、免疫賦活性オリゴヌクレオチドのアクセス可能な5’末端以外のイムノマー上のすべての位置においてである。例えば、抗原を、ヌクレオシド間結合において結合させるか、または非ヌクレオチドリンカーに結合させることができる。あるいはまた、抗原は、これ自体、非ヌクレオチドリンカーであってもよい。
【0094】
第3の観点において、本発明は、本発明の免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーもしくはイムノマー接合体および生理学的に許容し得る担体を含む、医薬製剤を提供する。本明細書中で用いる用語「生理学的に許容し得る」は、イムノマーの有効性に干渉せず、生物学的系、例えば細胞、細胞培養物、組織または生物体と適合性である物質を意味する。好ましくは、生物学的系は、生きている生物体、例えば脊椎動物である。
【0095】
本明細書中で用いる用語「担体」は、すべての補形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、脂質または医薬製剤において用いるために業界において十分知られている他の材料を包含する。担体、補形剤または希釈剤の特性は、特定の用途のための投与の経路に依存することが、理解される。これらの材料を含む薬学的に許容し得る製剤の調製は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版、A. Gennaro編、Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990に記載されている。
【0096】
第4の観点において、本発明は、脊椎動物における免疫応答を発生させる方法を提供し、このような方法は、脊椎動物に、本発明の免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーまたはイムノマー接合体を投与することを含む。いくつかの態様において、脊椎動物は、哺乳類である。本発明の目的のために、用語「哺乳類」は、ヒトを含むことを明確に意図する。好ましい態様において、イムノマーまたはイムノマー接合体を、免疫賦活を必要としている脊椎動物に投与する。
【0097】
本発明のこの観点による方法において、免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーまたはイムノマー接合体の投与を、限定されずに非経口、経口、舌下、経皮、局所的、鼻腔内、エーロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内が含まれるすべての好適な経路により、遺伝子銃、経皮パッチにより、または点眼剤もしくは洗口形態においてとすることができる。イムノマーの治療的組成物の投与を、既知の手順を用いて、疾患の徴候または代理のマーカーを減少させるのに有効な投与量において、および期間にわたり、行うことができる。全身的に投与する際には、治療組成物を、好ましくは、約0.0001マイクロモル〜約10マイクロモルのイムノマーの血中レベルを維持するのに十分な投与量で投与する。局所的な投与について、これよりはるかに低い濃度が、有効であり得、はるかに高い濃度が、許容され得る。好ましくは、イムノマーの合計の投与量は、患者あたり1日あたり約0.001mg〜体重1kgあたり1日あたり約200mgの範囲内である。本発明の治療組成物の1種または2種以上の治療的に有効な量を、個体に、単一の処置エピソードとして、同時に、または連続して投与するのが望ましい場合がある。
【0098】
ある好ましい態様において、本発明の免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーまたはイムノマー接合体を、ワクチン、抗体、細胞毒性剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、遺伝子療法ベクター、DNAワクチンおよび/またはアジュバントと組み合わせて投与して、免疫応答の特異性または規模を増強する。これらの態様において、本発明のイムノマーは、アジュバントとして種々に作用し、および/または直接的な免疫賦活効果を生じることができる。
【0099】
免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマー、イムノマー接合体もしくはワクチンまたは両方を、随意に、免疫原性タンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、コレラ毒素Bサブユニットまたはすべての他の免疫原性担体タンパク質に結合することができる。過剰のアジュバントのすべてを用いることができ、これには、限定されずに、完全フロイントアジュバント、KLH、モノホスホリル脂質A(MPL)、ミョウバンおよびQS−21、イミキモド(imiquimod)、R848を含むサポニンまたはこれらの組み合わせが含まれる。
【0100】
本発明のこの観点の目的のために、用語「〜と組み合わせて」は、同一の患者において同一の疾患を処置する経過におけることを意味し、イムノマーおよび/またはワクチンおよび/またはアジュバントを、同時の投与および数日間隔までの時間的に間隔をおいた順序を含むすべての順序で投与することを含む。このような組み合わせ処置はまた、イムノマー、および/または独立してワクチン、および/または独立してアジュバントの単一よりも多い投与を含むことができる。イムノマーおよび/またはワクチンおよび/またはアジュバントの投与は、同一の、または異なる経路によることができる。
【0101】
本発明のこの観点による方法は、免疫系のモデル研究に有用である。この方法はまた、ヒトまたは動物疾患の予防的または治療的処置に有用である。例えば、この方法は、小児科的および獣医学的ワクチン用途に有用である。
【0102】
第5の観点において、本発明は、疾患または障害を有する患者を治療的に処置する方法を提供し、このような方法は、患者に、本発明の免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーまたはイムノマー接合体を投与することを含む。種々の態様において、処置されるべき疾患または障害は、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症障害、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である。病原体には、細菌、寄生生物、真菌類、ウイルス、ウイロイドおよびプリオンが含まれる。投与を、本発明の第4の観点について記載したように行う。
【0103】
本発明の目的のために、用語「アレルギー」には、限定されずに、食物アレルギーおよび呼吸器アレルギーが含まれる。用語「気道炎症」には、限定されずに、喘息が含まれる。本明細書中で用いる用語「自己免疫障害」は、「自己の」タンパク質が、免疫系による攻撃を受ける障害を意味する。このような用語には、自己免疫喘息が含まれる。
【0104】
本発明のこの観点による方法のすべてにおいて、免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーまたはイムノマー接合体を、イムノマーの免疫賦活効果を消失させない疾患または症状を処置するのに有用であるすべての他の剤と組み合わせて投与することができる。例えば、癌の処置において、免疫調節性オリゴヌクレオチド、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体、イムノマーまたはイムノマー接合体を、化学療法化合物と組み合わせて投与することができることを意図する。
【0105】
以下の例は、本発明のある好ましい態様をさらに例示することを意図し、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0106】
例
例1:免疫調節性部分を含むオリゴヌクレオチドの合成
オリゴヌクレオチドを、1μmol規模で、自動DNA合成装置(Expedite 8909; PerSeptive Biosystems, Framingham, MA)を用いて、図5および6において概説した直線的な合成または平行する合成手順に従って合成した。
【0107】
デオキシリボヌクレオシドホスホラミダイトを、Applied Biosystems (Foster City, CA)から得た。1’,2’−ジデオキシリボースホスホラミダイト、プロピル−1−ホスホラミダイト、2−デオキシウリジンホスホラミダイト、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチル)ペンチルアミジル]−2−プロパノールホスホラミダイトおよびメチルホスホラミダイトを、Glen Research (Sterling, VA)から得た。β−L−2’−デオキシリボヌクレオシドホスホラミダイト、α−2’−デオキシリボヌクレオシドホスホラミダイト、モノ−DMT−グリセロールホスホラミダイトおよびジ−DMT−グリセロールホスホラミダイトを、ChemGenes (Ashland, MA)から得た。(4−アミノブチル)−1,3−プロパンジオールホスホラミダイトを、Clontech (Palo Alto, CA)から得た。アラビノシチジンホスホラミダイト、アラビノグアノシン、アラビノチミジンおよびアラビノウリジンを、Reliable Pharmaceutical (St. Louis, MO)から得た。アラビノグアノシンホスホラミダイト、アラビノチミジンホスホラミダイトおよびアラビノウリジンホスホラミダイトを、Hybridon, Inc. (Cambridge, MA)において合成した(Noronha et al. (2000) Biochem., 39:7050-7062)。
【0108】
すべてのヌクレオシドホスホラミダイトを、31Pおよび1H NMRスペクトルにより特徴づけした。修飾したヌクレオシドを、通常のカップリングサイクルを用いて、特定の部位において導入した。合成の後に、オリゴヌクレオチドを、濃水酸化アンモニウムを用いて脱保護し、逆相HPLCにより精製し、続いて透析した。ナトリウム塩としての精製したオリゴヌクレオチドを、使用前に、凍結乾燥した。純度を、CGEおよびMALDI−TOF MSにより試験した。
【0109】
例2:脾臓細胞増殖の分析
脾細胞増殖のインビトロでの分析を、以前に記載されている標準的な手順を用いて、行った(例えば、Zhao et al., Biochem Pharma 51:173-182 (1996)を参照)。結果を、図8Aに示す。これらの結果は、一層高い濃度において、2つのアクセス可能な5’末端を有するイムノマー6により、アクセス可能な5’末端を有しないイムノマー5または、1つのアクセス可能な5’末端を有するオリゴヌクレオチド4によりもたらされるよりも大きい脾細胞増殖がもたらされることを例証する。イムノマー6はまた、LPS陽性対照よりも大きい脾細胞増殖をもたらす。
【0110】
例3:インビボでの脾腫大アッセイ
インビトロでの結果のインビボでのモデルへの適用性を試験するために、選択されたオリゴヌクレオチドを、マウスに投与し、脾腫大の程度を、免疫賦活活性のレベルの指標として測定した。5mg/kgの単一の用量を、BALB/cマウス(雌、4〜6週齢、Harlan Sprague Dawley Inc, Baltic, CT)に腹腔内に投与した。マウスを、オリゴヌクレオチド投与の72時間後に絶命させ、脾臓を収穫し、秤量した。結果を、図8Bに示す。これらの結果は、2つのアクセス可能な5’末端を有するイムノマー6が、オリゴヌクレオチド4またはイムノマー5よりもはるかに大きい免疫賦活効果を有することを例証する。
【0111】
例4:サイトカイン分析
脊椎動物細胞、好ましくはBALB/cマウス脾臓細胞またはヒトPBMC中のIL−12およびIL−6の分泌を、サンドイッチELISAにより測定した。サイトカイン抗体およびサイトカイン標準物質を含む所要の試薬を、PharMingen, San Diego, CAから購入した。ELISAプレート(Costar)を、適切な抗体と共に、PBSN緩衝液(PBS/0.05%アジ化ナトリウム、pH9.6)中で、一晩4℃でインキュベートし、次に37℃で30分間、PBS/1%BSAで遮断した。細胞培養上清液およびサイトカイン標準物質を、PBS/10%FBSで適切に希釈し、プレートに3つ1組で加え、25℃で2時間インキュベートした。
【0112】
プレートを、1μg/mLの適切なビオチニル化抗体で被覆し、25℃で1.5時間インキュベートした。次に、プレートを、PBS−T緩衝液(PBS/0.05%トウィーン(Tween)20)で頻繁に洗浄し、さらにストレプトアビジン接合ペルオキシダーゼ(Sigma, St. Louis, MO)を加えた後、25℃で1.5時間インキュベートした。プレートを、シュアブルー(Sure Blue)(登録商標)(Kirkegaard and Perry)色素生産性試薬で現像し、反応を、停止溶液(Kirkegaard and Perry)を加えることにより終了した。色変化を、セレス(Ceres)900HDI分光光度計(Bio-Tek Instruments)上で測定した。結果を、以下の表5Aに示す。
【0113】
ヒト末梢血液単核細胞(PBMC)を、健康な志願者の末梢血液から、フィコールパック(Ficoll-Paque)密度勾配遠心分離(Histopaque-1077, Sigma, St. Louis, MO)により単離した。要するに、ヘパリン処置した血液を、円錐遠心分離において、ヒストパック(Histopaque)−1077(等しい容積)上に層状に配置し、400xgで30分間室温で遠心分離した。単核細胞を含むバフィーコートを、注意深く除去し、等張リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で、250xgで10分間遠心分離することにより2回洗浄した。次に、得られた細胞ペレットを、L−グルタミンを含むRPMI 1640培地(MediaTech, Inc., Herndon, VA)中に再懸濁させ、10%熱不活性化FCSおよびペニシリン−ストレプトマイシン(100U/ml)を加えた。
【0114】
細胞を、24ウェルプレート中で、種々の時間にわたり、1×106細胞/ml/ウェルにおいて、オリゴヌクレオチドの存在または不存在下で培養した。インキュベーション期間の終了時に、上清液を収穫し、IL−6(BD Pharmingen, San Diego, CA)、IL−10(BD Pharmingen)、IL−12(BioSource International, Camarillo, CA)、IFN−α(BioSource International)およびγ(BD Pharmingen)並びにTNF−α(BD Pharmingen)を含む種々のサイトカインについて、サンドイッチELISAによりアッセイするまで、−70℃で凍結させて貯蔵した。結果を、以下の表5に示す。
【0115】
すべての例において、細胞培養上清液中のIL−12およびIL−6のレベルを、それぞれIL−12およびIL−6についての同一の実験条件の下で構成された標準曲線から、計算した。細胞培養上清液中のIL−10、IFN−ガンマおよびTNF−αのレベルを、それぞれIL−10、IFN−ガンマおよびTNF−αについての同一の実験条件の下で構成された標準曲線から、計算した。
【0116】
【表10】
D1およびD2は、ドナー1および2である。
【0117】
【表11】
【0118】
正常相は、ホスホロチオエート結合を表し;イタリック相は、ホスホジエステル結合を表す。
【表12】
【0119】
さらに、図7A〜Cに示す結果は、2個のアクセス可能な5’末端を有するオリゴヌクレオチド2が、それぞれ1個または0個のアクセス可能な5’末端を有するオリゴヌクレオチド1または3よりも低い濃度において、IL−12およびIL−6を上昇させるが、IL−10を上昇させないことを例証する。
【0120】
例5:イムノマーの免疫賦活活性に対する鎖の長さの効果
オリゴヌクレオチド鎖の長さの効果を研究するために、各々の鎖中に18個、14個、11個および8個のヌクレオチドを含むイムノマーを合成し、BALB/cマウス脾臓細胞培養物中でサイトカインIL−12およびIL−6の分泌を誘発するこれらの能力により測定して、免疫賦活活性について試験した(表6〜8)。本例において、およびすべてのその後の例において、サイトカインアッセイを、例4に記載したように、BALB/c脾臓細胞培養物中で行った。
【0121】
【表13】
【0122】
【表14】
【0123】
【表15】
【0124】
結果は、オリゴヌクレオチド鎖の長さに伴って増大するイムノマーの免疫賦活活性が、18量体から7量体まで減少することを示唆する。6量体または5量体程度に短いオリゴヌクレオチド鎖の長さを有するイムノマーは、1個の5’末端を有する18量体オリゴヌクレオチドの免疫賦活活性に匹敵する免疫賦活活性を示した。しかし、6量体または5量体程度に短いオリゴヌクレオチド鎖の長さを有するイムノマーは、リンカーが約2オングストローム〜約200オングストロームの長さである際に、増大した免疫賦活活性を有する。
【0125】
例6:非天然ピリミジンまたは非天然プリンヌクレオシドを含むイムノマーの免疫賦活活性
表9〜11に示すように、免疫賦活活性は、非天然ピリミジンヌクレオシドまたは非天然プリンヌクレオシドを免疫賦活性ジヌクレオチドモチーフ中に有する種々の長さのイムノマーについて、維持された。
【0126】
【表16】
【0127】
【表17】
【0128】
【表18】
【0129】
例7:免疫賦活活性に対するリンカーの効果
2つのオリゴヌクレオチドを結合するリンカーの長さの効果を試験するために、同一のオリゴヌクレオチドを含むが、異なるリンカーを含むイムノマーを合成し、免疫賦活活性について試験した。表12に示す結果は、リンカーの長さが、イムノマーの免疫賦活活性において作用を奏することを示唆する。最良の免疫賦活効果は、C3〜C6アルキルリンカーまたは分散したホスフェート電荷を有する脱塩基リンカーを用いて達成された。
【0130】
【表19】
【0131】
【表20】
【0132】
例8:免疫賦活活性に対するオリゴヌクレオチド主鎖の効果
一般的に、天然のホスホジエステル主鎖を含む免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート主鎖を有する同一の長さのオリゴヌクレオチドよりも免疫賦活性が低い。この比較的低い程度の免疫賦活活性は、部分的に、実験的条件下でのホスホジエステルオリゴヌクレオチドの迅速な分解のためであり得る。オリゴヌクレオチドの分解は、主に、3’末端からのオリゴヌクレオチドを消化する3’−エクソヌクレアーゼの結果である。本例のイムノマーは、遊離の3’末端を含まない。従って、ホスホジエステル主鎖を有するイムノマーは、実験的条件下で、対応するモノマーオリゴヌクレオチドよりも長い半減期を有しなければならず、従って改善された免疫賦活活性を示さなければならない。表13に示す結果は、この効果を例証し、イムノマー84および85は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物中でのサイトカイン誘発により決定されたように、免疫賦活活性を示す。
【0133】
【表21】
【0134】
例9:イムノマー73〜92の合成
オリゴヌクレオチドを、1μmol規模で、自動DNA合成装置(Expedite 8909 PerSeptive Biosystems)を用いて合成した。デオキシヌクレオシドホスホラミダイトを、Applied Biosystems (Foster City, CA)から得た。7−デアザ−2’−デオキシグアノシンホスホラミダイトを、Glen Research (Sterling Virginia)から得た。1,3−ビス−DMT−グリセロール−CPGを、ChemGenes (Ashland, MA)から得た。修飾したヌクレオシドを、通常のカップリングサイクルを用いて、特定の部位においてオリゴヌクレオチド中に導入した。合成の後に、オリゴヌクレオチドを、濃水酸化アンモニウムを用いて脱保護し、逆相HPLCにより精製し、続いて透析した。ナトリウム塩としての精製したオリゴヌクレオチドを、使用前に、凍結乾燥した。オリゴヌクレオチドの純度を、CGEおよびMALDI−TOF MS(Bruker Proflex III MALDI-TOF質量分析計)によりチェックした。
【0135】
例10:イムノマー安定性
オリゴヌクレオチドを、10%ウシ血清を含むPBS中で、37℃で4、24または48時間インキュベートした。無処置のオリゴヌクレオチドを、毛細管ゲル電気泳動により決定した。結果を、表14に示す。
【0136】
【表22】
【0137】
例11:免疫賦活活性に対するアクセス可能な5’末端の効果
BALB/cマウス(4〜8週齢)脾臓細胞を、RPMI完全培地中で培養した。マウスマクロファージ様細胞J774(American Type Culture Collection, Rockville, MD)を、10%(v/v)FCSおよび抗生物質(100IU/mLのペニシリンG/ストレプトマイシン)を加えたダルベッコ変法イーグル培地中で培養した。すべての他の培養試薬を、Mediatech (Gaithersburg, MD)から購入した。
【0138】
IL−12およびIL−6についてのELISA。BALB/cマウス脾臓細胞またはJ774細胞を、24ウェルの皿中に、それぞれ5×106または1×106細胞/mLの密度で蒔いた。TE緩衝液(10mMトリス−HCl、pH7.5、1mM EDTA)に溶解したCpG DNAを、マウス脾臓細胞培養物に、0.03、0.1、0.3、1.0、3.0または10.0μg/mLの最終濃度で、およびJ774細胞培養物中に、1.0、3.0または10.0μg/mLの最終濃度で加えた。次に、細胞を、37℃で24時間インキュベートし、上清液を、ELISAアッセイのために採集した。実験を、各々のCpG DNAについて2回または3回、各々の濃度について3つ1組で行った。
【0139】
IL−12およびIL−6の分泌を、サンドイッチELISAにより測定した。サイトカイン抗体および標準物質を含む所要の試薬を、PharMingenから購入した。ELISAプレート(Costar)を、適切な抗体と共に、PBSN緩衝液(PBS/0.05%アジ化ナトリウム、pH9.6)中で、一晩4℃でインキュベートし、次に37℃で30分間、PBS/1%BSAで遮断した。細胞培養上清液およびサイトカイン標準物質を、PBS/1%BSAで適切に希釈し、プレートに3つ1組で加え、25℃で2時間インキュベートした。
【0140】
プレートを、1μg/mLの適切なビオチニル化抗体で洗浄およびインキュベートし、25℃で1.5時間インキュベートした。プレートを、PBS/0.05%トウィーン20で頻繁に洗浄し、次にさらにストレプトアビジン接合ペルオキシダーゼ(Sigma)を加えた後、25℃で1.5時間インキュベートした。プレートを、シュアブルー(登録商標)(Kirkegaard and Perry)色素生産性試薬で現像し、反応を、停止溶液(Kirkegaard and Perry)を加えることにより終了した。色変化を、セレス(Ceres)900HDI分光光度計(Bio-Tek Instruments)上で、450nmにおいて測定した。細胞培養上清液中のIL−12およびIL−6のレベルを、それぞれIL−12およびIL−6についての同一の実験的条件の下で構成した標準曲線から計算した。
【0141】
結果を、表15に示す。
【表23】
a:化学構造b〜lについてチャート1を参照;5’−CG−3’ジヌクレオチドを、下線を付して示す。
【0142】
チャート1
【表24】
【0143】
【表25】
【0144】
総合して、ここでの結果は、CpG DNAのアクセス可能な5’末端が、この最適な免疫賦活活性に必要であり、比較的小さい基、例えばホスホロチオエート、モノヌクレオチドまたはジヌクレオチドが、CpG DNAの5’末端の、免疫賦活性経路に伴うレセプターまたは因子へのアクセス可能性を有効に遮断しないことを示唆する。しかし、CpG DNAの5’末端におけるフルオレセインと同等に大きいかまたは一層大きい分子の接合により、免疫賦活活性が抑止され得る。これらの結果は、CpG DNA−抗原/ワクチン/モノクローナル抗体(mAb)接合体の免疫賦活活性の研究に対して、直接的な影響を有する。大分子、例えばワクチンまたはmAbのCpG DNAの5’末端における接合により、CpG DNAの次善の免疫賦活活性がもたらされ得る。CpG DNAの3’末端における機能的なリガンドの接合は、増大したヌクレアーゼ安定性のみならず、インビボでのCpG DNAの増大した免疫賦活効能にも寄与する。
【0145】
例12:サイトカイン分泌に対するリンカーの効果
以下のオリゴヌクレオチドを、本研究のために合成した。これらの修飾したオリゴヌクレオチドの各々を、イムノマー中に導入することができる。
【表26】
【0146】
【表27】
a:置換1〜9の化学構造については図14を参照。すべてのCpG DNAは、修飾したホスホロチオエート主鎖である。
【0147】
免疫賦活活性の有効化のための最適なリンカーの大きさを評価するために、本発明者らは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における修飾されたCpG DNAにより誘発されたIL−12およびIL−6分泌を測定した。すべてのCpG DNAは、濃度に依存するIL−12およびIL−6分泌を誘発した。図15は、基本的なCpG DNAと比較してのCpGジヌクレオチドへの5’隣接配列における第5のヌクレオチド位置においてリンカーを有する、選択されたCpG DNA、116、119、126、130および134の1μg/mL濃度において得られたデータを示す。C2−(1)、C3−(2)およびC4−リンカー(3)を含むCpG DNAは、基本的なCpG DNA4のIL−12産生に類似するIL−12産生の分泌を誘発した。
【0148】
5’隣接配列におけるCpGジヌクレオチドからの第5のヌクレオチド位置におけるC6およびC9リンカー(4および5)を含むCpG DNAは、基本的なCpG DNAよりも低いレベルのIL−12分泌を誘発し(図15)、このことは、C4リンカーよりも長いリンカーの置換により、IL−12の一層低いレベルの誘発がもたらされることを示唆する。リンカーを有するすべての5つのCpG DNAは、基本的なCpG DNAよりも2〜3倍高いIL−6分泌を誘発した。これらのCpG DNA中のリンカーの存在により、リンカーを有しないCpG DNAと比較しての、IL−6の誘発に対する顕著な効果が示された。しかし、本発明者らは、IL−6分泌に対する長さに依存するリンカー効果を観察しなかった。
【0149】
エチレングリコールリンカーを含むCpG DNAの免疫賦活活性に対する効果を試験するために、本発明者らは、CpG DNA137および138を合成し、ここで、トリエチレングリコールリンカー(6)を、それぞれ、CpGジヌクレオチドの5’隣接配列中の第5のヌクレオチド位置において、および3’隣接配列中の第4のヌクレオチド位置において導入する。同様に、CpG DNA139および140は、それぞれCpGジヌクレオチドの5’または3’隣接配列中にヘキサエチレングリコールリンカー(7)を含んでいた。4種の修飾したCpG DNA(137〜140)のすべてを、BALB/cマウス脾臓細胞培養物において、サイトカイン誘発(IL−12、IL−6およびIL−10)について、基本的なCpG DNA4との比較において試験した。すべてのCpG DNAは、試験した濃度範囲(0.03〜10.0μg/mL)にわたり、濃度依存性サイトカイン産生を誘発した(データは示していない)。0.3μg/mLの濃度のCpG DNA137〜140において誘発されたサイトカインのレベルを、表18に示す。
【0150】
5’隣接配列においてエチレングリコールリンカーを有するCpG DNA137および139は、基本CpG DNA4よりも高いレベルのIL−12(2106±143および2066±153pg/mL)およびIL−6(2362±166および2507±66pg/mL)分泌を誘発した(表18)。同一の濃度において、137および139は、基本CpG DNAよりもわずかに低いレベルのIL−10分泌を誘発した(表18)。3’隣接配列において比較的短いエチレングリコールリンカー(6)を有するCpG DNA138は、基本的なCpG DNAのIL−12分泌と同様のIL−12分泌を誘発したが、顕著に低いレベルのIL−6およびIL−10を誘発した(表18)。比較的長いエチレングリコールリンカー(7)を有するCpG DNA140は、基本的なCpG DNAと比較して、顕著に低いレベルの試験したすべての3種のサイトカインを誘発した(表18)。
【0151】
トリエチレングリコールリンカー(6)は、C9リンカー(5)と同様の鎖の長さを有していたが、トリエチレングリコールリンカーを含むCpG DNAは、脾臓細胞培養物中でのサイトカイン分泌の誘発により決定されたように、C9リンカーを含むCpG DNAよりも良好な免疫賦活活性を有していた。これらの結果は、比較的長いアルキルリンカー(4および5)を含むCpG DNAで観察された比較的低い免疫賦活活性が、これらの増大した長さに関連せず、これらの疎水性特性に関連し得ることを示唆する。この観察により、本発明者らは、免疫賦活活性に対する親水性官能基を含む分枝状アルキルリンカーの置換を試験することを鼓舞された。
【0152】
【表28】
【0153】
分枝状アルキルリンカーを含むCpG DNAの免疫賦活活性に対する効果を試験するために、ヒドロキシル(8)またはアミン(9)官能基を含む2種の分枝状アルキルリンカーを、基本的なCpG DNA4中に導入し、得られた修飾したCpG DNA(150〜154、表19)の免疫賦活活性に対する効果を、試験した。BALB/cマウス脾臓細胞培養物中(増殖)およびインビボでの(脾腫大)種々のヌクレオチド位置においてアミノリンカー9を含む、CpG DNA150〜154について得られたデータを、表19に示す。
【0154】
【表29】
【0155】
基本的なCpG DNA4は、0.1μg/mLの濃度において3.7±0.8の増殖指数を示した。同一の濃度において、種々の位置においてアミノリンカー9を含む、修飾したCpG DNA151〜154により、基本的なCpG DNAよりも高い脾臓細胞増殖が生じた(表19)。他のリンカーで観察されたように、置換を、CpGジヌクレオチド(150)に隣接させて配置した際には、基本的なCpG DNAと比較して低い増殖指数が記録され(表19)、さらにCpGジヌクレオチドに隣接するリンカー置換の配置が、免疫賦活活性に対して有害な効果を有することが確認された。一般的に、5’隣接配列における、アミノリンカーの2’−デオキシリボヌクレオシドでの置換(151および152)の結果、3’隣接配列における置換(153および154)で見出されたよりも高い脾臓細胞増殖がもたらされた。同様の結果が、脾腫大アッセイにおいて観察され(表19)、脾臓細胞培養物中で観察された結果が確認された。グリセロールリンカー(8)を含む修飾したCpG DNAにより、アミノリンカー(9)を含む修飾したCpG DNAで観察された免疫賦活活性と同様であるかまたはこれよりわずかに高い免疫賦活活性が示された(データは示していない)。
【0156】
リンカー8および9を含むCpG DNAの免疫賦活効果を比較するために、本発明者らは、5’隣接配列における置換を有するCpG DNA145および152を選択し、BALB/cマウス脾臓細胞培養物中でのサイトカインIL−12およびIL−6分泌を誘発するこれらの能力をアッセイした。CpG DNA145および152の両方は、濃度依存性サイトカイン分泌を誘発した。図4は、基本的なCpG DNA4と比較しての、0.3μg/mLの濃度における、マウス脾臓細胞培養物中で145および152により誘発されたIL−12およびIL−6のレベルを示す。両方のCpG DNAは、基本的なCpG DNA4よりも高いレベルのIL−12およびIL−6を誘発した。グリセロールリンカー(8)を含むCpG DNAは、アミノリンカー(9)を含むCpG DNAよりもわずかに高いレベルのサイトカイン(特にIL−12)を誘発した(図16)。これらの結果は、さらに、親水性基を含むリンカーが、CpG DNAの免疫賦活活性のために一層好ましいことを確認する。
【0157】
本発明者らは、CpG DNAにおける多数のリンカー置換の2つの異なる観点を試験した。1つの群の実験において、本発明者らは、ヌクレオチド配列の長さを13量体に維持し、5’末端における1〜5個のC3リンカー(2)置換を導入した(120〜124)。これらの修飾されたCpG DNAにより、本発明者らは、リンカーの長さの増大の効果を、溶解性の問題を生じずに研究することが可能になった。第2の群の実験において、本発明者らは、同一のリンカー置換(3、4または5)の2つを、CpGジヌクレオチドへの5’隣接配列における隣接する位置において導入して、免疫賦活活性に対する付加的な効果があるか否かを研究した。
【0158】
修飾したCpG DNAを、基本的なCpG DNA4との比較においてBALB/cマウス脾臓細胞培養物中でのサイトカイン産生を誘発するこれらの能力について研究した。すべてのCpG DNAは、濃度依存性サイトカイン産生を誘発した。CpG DNAの1.0μg/mLの濃度において得られたデータを、表20に示す。このアッセイにおいて、基本的なCpG DNA4は、1μg/mLの濃度において、967±28pg/mLのIL−12、1593±94pg/mLのIL−6および14±6pg/mLのIL−10分泌を誘発した。表20に示すデータは、リンカー置換の数が減少するに従って、IL−12誘発が減少することを示唆する。しかし、CpG DNA123および124による一層低いレベルのIL−12分泌の誘発は、一層短い長さのCpG DNAの結果であり得る。15ヌクレオチドよりも短い修飾していないCpG DNAを用いた本発明者らの研究により、顕著でない免疫賦活活性が示された(データは示していない)。リンカー置換の長さおよび数のいずれも、IL−6分泌に対する比較的低い効果を有しない。IL−10分泌がリンカー置換に伴って増大したが、これらのCpG DNAによる全体のIL−10分泌は、最小であった。
【0159】
5’隣接配列における第4の、および第5の位置における、CpGジヌクレオチドに対する2つのリンカー置換(リンカー3−127;リンカー4−131;リンカー5−135)を含むCpG DNA並びにそれぞれ対応する5’短縮形態128、132および136を、BALB/cマウス脾臓細胞培養物中でのサイトカイン分泌を誘発するこれらの能力について試験した。1.0μg/mL濃度において分泌されたIL−12およびIL−6のレベルを、図17に示す。図17に示す結果は、免疫賦活活性が、導入されたリンカーの性質に依存することを示唆する。第4および第5のヌクレオシドのC4リンカー3(CpG DNA127)での置換は、基本的なCpG DNA4と比較して、サイトカイン分泌に対する顕著でない効果を有しており、これは、これらの位置における核酸塩基および糖環が、レセプター認識および/または結合に必要ではないことを示唆する。
【0160】
リンカー置換を超えてのヌクレオチドの欠失(CpG DNA128)により、CpG DNA4および127で見出されたものよりも高いIL−12およびIL−6分泌が生じた。予測されるように、2つのC6リンカー(4)の置換により、基本的なCpG DNA4により誘発されるものよりも低いIL−12分泌およびこれと同様のIL−6分泌がもたらされた。5’短縮CpG DNA132は、CpG DNA131よりも高いサイトカイン分泌を誘発した。2つのC9リンカー(5)を有するCpG DNA135および136は、顕著でないサイトカイン分泌を誘発し、上記したものと同一のリンカーを含む単置換CpG DNAを用いて得られた結果を確認する。
【0161】
例13:サイトカイン誘発に対するホスホジエステル結合の効果
イムノマーにより誘発されたサイトカイン誘発に対するホスホジエステル結合の効果を試験するために、以下の分子を合成した。
【表30】
a矢印は、各々のDNA分子におけるCpGジヌクレオチドの5’−3’−方向性を示し、XおよびYの構造を、ボックス中に示す。
bPSおよびPOは、それぞれホスホロチオエートおよびホスホジエステル主鎖を意味する。
cMALDI−TOF質量分析により決定された通り。
【0162】
PS−CpG DNA4(表21)は、対照として作用するPO−CpG DNA155を有するマウス(データは示していない)における免疫応答を誘発することが見出された。PO−イムノマー156および157は、各々グリセリルリンカーX(表21)を介してこれらの3’末端により接合された基本的なCpG DNA155の2つの同一の、短縮されたコピーを含む。156および157は、各々14個の塩基の同一のオリゴヌクレオチドセグメントを含む一方、157の5’末端は、2つのC3リンカーY(表21)を加えることにより修飾された。すべてのオリゴヌクレオチド4、155〜157は、マウス免疫系を活性化することが知られている「GACGTT」6量体モチーフを含む。
【0163】
ヌクレアーゼに対するPO−イムノマーの安定性を、CpG DNA4、155〜157を、10%胎児ウシ血清(FBS)(熱不活性化していない)を含む細胞培養培地中で、37℃で4、24および48時間インキュベートすることにより評価した。次に、反応混合物中に残留する無処置のCpG DNAを、CGEにより決定した。図18A〜Dは、10%FBS中で24時間インキュベートした、CpG DNA4、155〜157のヌクレアーゼ消化プロフィールを示す。各々の時点において残留する全長CpG DNAの量を、図18Eに示す。予測されたように、基本的なPS−CpG DNA4は、血清ヌクレアーゼに対して最も耐性である。約55%の18量体4は、48時間のインキュベーションの後に未分解のままであった。対照的に、約5%のみの全長PO−イムノマー155が、同一の実験的条件の下で、4時間後に残留し、ホスホジエステル結合を含むDNAが、迅速な分解を受けることが確認される。予測されたように、両方のPO−イムノマー156および157は、血清ヌクレアーゼに対して、155よりも耐性であった。4時間後、それぞれ約62%および73%の156および157が、無処置であり、これと比較して、約5%の155が無処置であった(図18E)。48時間後でさえも、それぞれ約23%および37%の156および157が、未分解のままであった。3’−3’−結合PO−イムノマーが、血清ヌクレアーゼに対して一層安定であることを示すことに加えて、これらの研究は、5’末端における化学的修飾により、ヌクレアーゼ安定性がさらに増大し得ることを示す。
【0164】
CpG DNAの免疫賦活活性を、BALB/cおよびC3H/HeJマウス脾臓細胞培養物において、分泌されたサイトカインIL−12およびIL−6のレベルを測定することにより、研究した。すべてのCpG DNAは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物において、濃度依存性サイトカイン分泌を誘発した(図19)。3μg/mLにおいて、PS−CpG DNA4は、それぞれ2656±256および12234±1180pg/mLのIL−12およびIL−6を誘発した。基本的なPO−CpG DNA155は、10μg/mLの濃度における以外は、サイトカインレベルを背景よりも高く上昇させなかった。この観察は、ヌクレアーゼ安定性アッセイ結果と整合する。対照的に、PO−イムノマー156および157は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物中で、IL−12およびIL−6分泌の両方を誘発した。
【0165】
図19に示す結果は、PS−およびPO−CpG DNAのサイトカイン誘発プロフィールにおける明白な区別を示す。PO−イムノマー156および157は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるPS−CpG DNA4よりも高いレベルのIL−12を誘発した(図19A)。対照的に、3μg/mLまでの濃度において、これらは、無視できる量のIL−6を産生した(図19B)。最高の濃度(10μg/mL)においてさえも、PO−イムノマー156は、PS−CpG DNA4よりも顕著に少ないIL−6を誘発した。C3リンカーが、PO−イムノマー157の5’末端に存在する結果、156と比較して、わずかに高いレベルのIL−6分泌がもたらされた。しかし、重要なことに、PO−イムノマー157により産生されるIL−6のレベルは、PS CpG DNA4により誘発されたものよりも、はるかに低い。図19Aの差込図は、3μg/mLの濃度において分泌されたIL−12対IL−6の比率を示す。増大するIL−12分泌に加えて、PO−イムノマー156および157は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物においてPS−CpG DNA4よりも高いレベルのIFN−γを誘発した(データは示していない)。
【0166】
BALB/cマウス脾臓細胞培養物においてPO−およびPS−CpG DNAにより誘発された異なるサイトカインプロフィールにより、本発明者らは、C3H/HeJマウス脾臓細胞培養物(LPS低応答性株)中のCpG DNAのサイトカイン誘発のパターンを研究することを鼓舞された。このアッセイにおいて試験した3種のCpG DNAのすべては、濃度依存性サイトカイン分泌を誘発した(図20AおよびB)。PO−CpG DNA155は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物中でサイトカイン分泌を誘発しなかったため、これを、C3H/HeJ脾臓細胞培養物中でさらに試験しなかった。PO−イムノマー156および157の両方は、PS−CpG DNA4よりも高いIL−12産生を誘発した(図21A)。しかし、3μg/mLまでの濃度において、いずれもIL−6産生を誘発しなかった。試験した最高の濃度(10μg/mL)において、両方は、PS−CpG DNA4よりも顕著に少ないIL−6を誘発した(図21B)。分泌されたIL−12対IL−6の比率を計算して、PSおよびPO CpG DNAのサイトカイン分泌プロフィールを区別する(図21A差込図)。さらに、C3H/HeJ脾臓細胞培養物の結果は、CpG DNAで観察された応答が、LPS汚染のためではないことを示唆する。
【0167】
PS−CpG DNAは、インビボで有効な抗腫瘍活性を誘発することが示された。PO−CpG DNAは、比較的高いヌクレアーゼ安定性を示し、インビトロアッセイで比較的高いレベルのIL−12およびIFN−γ分泌を誘発したため、本発明者らは、PO−イムノマーのこれらの所望の特性が、インビボで抗腫瘍活性を改善するか否かを確認することに興味があった。本発明者らは、PO−イムノマー157を、0.5mg/kgの用量で、1日おきに、野生型のp53を発現するMCF−7乳癌細胞または突然変異したp53を発現するDU−145前立腺癌細胞の腫瘍異種移植を有するヌードマウスに皮下的に投与した。PO−イムノマー157は、生理食塩水対照と比較して、15日においてMCF−7腫瘍の57%成長阻害を生じた(図22A)。これはまた、34日において、DU−145腫瘍の52%成長阻害を生じた(図22B)。これらの抗腫瘍研究は、提案された設計のPO−イムノマーが、インビボで有効な抗腫瘍活性を示すことを示唆する。
【0168】
例14:短いイムノマー
サイトカイン誘発に対する短いイムノマーの効果を試験するために、以下のイムノマーを用いた。これらの結果は、セグメントあたり5個のヌクレオチド程度に短いイムノマーが、サイトカイン産生を誘発するのに有効であることを示す。
【0169】
【表31】
【0170】
正常相は、ホスホロチオエート結合を表す。
【表32】
【0171】
例15:2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンのマウス特異性およびヒト特異性免疫賦活性モチーフ中への導入の効果
マウス脾細胞を、例4に記載したようにして調製し、処理した。培養物を、培地またはオリゴヌクレオチド170、171もしくは172で処理した(図15を参照)。すべてのオリゴヌクレオチドは、マウス特異性免疫賦活性モチーフ(GACGTT)を含んでいたが、オリゴヌクレオチド171は、RpG置換を含んでおり、オリゴヌクレオチド172は、CpR置換を含んでおり、ここで、Rは、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである。結果を、図17に示す。RpG置換は、サイトカイン産生をもたらすマウス脾臓培養物により認識され、一方、CpR置換は、認識されなかった。それぞれヒト特異性免疫賦活性モチーフGTCGTTを含むオリゴヌクレオチド173もしくは174での、またはRpG置換での培養物の処理は、RpG置換を有するマウス脾細胞により、自然のヒト配列を有する脾細胞よりも良好な認識を示した(図18)。
【0172】
それぞれのイムノマー175または176(各々RpG置換を含む)と比較しての、基本的なオリゴヌクレオチド170(マウス特異性)または173(ヒト特異性)での処理により、イムノマーについての一層良好な結果が示され、RpG置換のイムノマー中への導入が、種に依存する選択性に打ち勝ち得ることが示唆される(図19)。ヒトマクロファージ様細胞培養物の、オリゴヌクレオチド170または173での、イムノマー175または176と比較しての処理により、さらに、RpG置換のイムノマー中への導入が、種に選択的な活性に打ち勝つことが示唆される(図20)。同様の結果が、J774細胞中でのNF−κBの活性化およびIκ−Bαの分解について示される(図21)。イムノマー176はまた、ヒト末梢血液単核細胞の培養物中での免疫賦活活性を示した(図22)。
【0173】
例16
ヒトB細胞および血漿細胞様(plasmacytoid)樹状細胞(pDC)の単離
新たに取り出した健康な志願者の血液からのPBMC(CBR Laboratories, Boston, MA)を、フィコール密度勾配遠心分離法(Histopaque-1077, Sigma)により単離し、B細胞を、PBMCから、陽性の選択により、CD19細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用いて、製造者の指示に従って単離した。
【0174】
例17
B細胞アッセイ
B細胞を、96ウェルプレート中に、1×106細胞/mL、200μL/ウェルを用いて蒔いた。イムノマーを、0.3、1.0、3.0または10.0μg/mLの最終濃度で、細胞培養物に加え、37℃で24時間インキュベートした。次に、上清液を収穫し、ELISAキット(PBLにより供給される)を用いてIL−6およびIL−10についてアッセイした。表23A〜23Dは、イムノマーを10.0μg/mLの最終濃度で有するドナー1〜4についての平均±SDを示す。
【0175】
【表33】
【0176】
【表34】
【0177】
【表35】
【0178】
【表36】
【0179】
例18
ヒトpDC培養
pDCを、ヒトPBMCから、BDCA−4細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用いて、製造者の指示に従って単離した。pDCを、96ウェルプレート中に、1×106細胞/mL、200μL/ウェルを用いて蒔いた。イムノマーを、0.3、1.0、3.0または10.0μg/mLの最終濃度で、細胞培養物に加え、37℃で24時間インキュベートした。次に、上清液を収穫し、ELISAキット(PBLにより供給される)を用いてIFN−α、IL−6およびTNF−αについてアッセイした。表24A〜24Dは、イムノマーを10.0μg/mLの濃度で有するドナー1〜4についての、IFN−α、IL−6およびTNF−αの平均±SDを示す。
【0180】
【表37】
【0181】
【表38】
【0182】
【表39】
【0183】
【表40】
【0184】
例19
ヒト末梢血液単核細胞(PBMC)を、健康な志願者の末梢血液から単離し、例4に上記で記載したように調製した。表25A〜25Dは、イムノマーを10.0μg/mLの濃度で有するドナー1〜4についてのIL−6およびIL−10の平均±SDを示す。
【0185】
【表41】
【0186】
【表42】
【0187】
【表43】
【0188】
【表44】
単に表23A〜23D、24A〜24Dおよび25A〜25Dの目的のために:正常相は、ホスホロチオエート結合を表し;G1=2’−デオキシ−7−デアザグアノシンであり、G2=アラビノグアノシンであり、C1=1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチルプリンであり、C2=アラビノシチジンであり、C3=2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジンであり、X=グリコールリンカーである。
【0189】
等価なもの
前述の発明を、明瞭および理解の目的のためにある詳細で記載した一方、当業者により、この開示を読むことから、形態および詳細における種々の変更を、本発明の真実の範囲および添付した特許請求の範囲から逸脱せずに行うことができることが、理解される。
【0190】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の代表的なイムノマーを図式的に表す図である。
図2は、本発明のいくつかの代表的なイムノマーを示す。
図3は、本発明のイムノマーの直線的な合成に適する代表的な小分子リンカーの群を示す。
図4は、本発明のイムノマーの平行する合成に適する代表的な小分子リンカーの群を示す。
図5は、本発明のイムノマーの直線的な合成のための合成スキームである。DMTr=4,4’−ジメトキシトリチル;CE=シアノエチル。
図6は、本発明のイムノマーの平行する合成のための合成スキームである。DMTr=4,4’−ジメトキシトリチル;CE=シアノエチル。
【0191】
図7Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー1〜3によるIL−12の誘発をグラフ的に表す図である。これらのデータは、アクセス可能な5’末端を有するイムノマー2が、モノマーオリゴ1よりも強力なIL−12の誘導原であることおよび、アクセス可能な5’末端を有しないイムノマー3が、オリゴ1と比較して、免疫賦活を生じる等しいかまたは弱い能力を有することを示唆する。
図7Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー1〜3によるIL−6(それぞれ完全な)の誘発をグラフ的に表す図である。これらのデータは、アクセス可能な5’末端を有するイムノマー2が、モノマーオリゴ1よりも強力なIL−6の誘導原であることおよび、アクセス可能な5’末端を有しないイムノマー3が、オリゴ1と比較して、免疫賦活を生じる等しいかまたは弱い能力を有することを示唆する。
図7Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー1〜3による(それぞれ完全な)IL−10の誘発をグラフ的に表す図である。
【0192】
図8Aは、それぞれアクセス不能な、およびアクセス可能な5’末端を有する、種々の濃度のイムノマー5および6による、細胞培養物中でのBALB/cマウス脾臓細胞増殖の誘発をグラフ的に表す図である。
図8Bは、CpGモチーフの5’隣接配列における免疫原性化学的修飾を有する、イムノマー4〜6によるBALB/cマウス脾臓の拡大をグラフ的に表す図である。再び、アクセス可能な5’末端を有するイムノマー(6)は、アクセス可能な5’末端を有しないイムノマー5およびモノマーオリゴ4と比較して、脾臓拡大を増大させる大きい能力を有する。
【0193】
図9Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−12の誘発を、グラフ的に表す図である。
図9Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−6の誘発を、グラフ的に表す図である。
図9Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4並びにイムノマー7および8によるIL−10の誘発を、グラフ的に表す図である。
【0194】
図10Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるイムノマー14、15および16による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。
図10Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のイムノマー14および16によるIL−12による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。
図10Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のイムノマー14および16によるIL−6による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。
【0195】
図11Aは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物におけるオリゴ4および17並びにイムノマー19および20による細胞増殖の誘発を、グラフ的に表す図である。
図11Bは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4および17並びにイムノマー19および20によるIL−12産生の誘発を、グラフ的に表す図である。
図11Cは、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における種々の濃度のオリゴ4および17並びにイムノマー19および20によるIL−6産生の誘発を、グラフ的に表す図である。
【0196】
図12は、オリゴヌクレオチド4並びにイムノマー14、23および24を用いたBALB/cマウス脾臓拡大を、グラフ的に表す図である。
図13は、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドを図式的に表す図であり、これは、非ヌクレオチド結合を、核酸塩基において、3’位置において、または2’位置においてヌクレオシドに結合させることができることを示す。
図14は、例13において用いる化学的置換を示す。
【0197】
図15は、例13の修飾したオリゴヌクレオチドを用いて得られたサイトカインプロフィールを示す。
図16は、グリセロールリンカーについての、アミノリンカーと比較しての相対的サイトカイン誘発を示す。
図17は、種々のリンカーおよびリンカーの組み合わせについての相対的サイトカイン誘発を示す。
図18A〜Eは、種々のPSおよびPOイムノマー並びにオリゴヌクレオチドについての相対的ヌクレアーゼ耐性を示す。
【0198】
図19は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物における、PSイムノマーと比較しての、POイムノマーについての相対的サイトカイン誘発を示す。
図20は、C3H/Hejマウス脾臓細胞培養物における、PSイムノマーと比較しての、POイムノマーについての相対的サイトカイン誘発を示す。
図21は、高濃度のイムノマーにおける、C3H/Hejマウス脾臓細胞培養物における、PSイムノマーと比較しての、POイムノマーについての相対的サイトカイン誘発を示す。
【0199】
図22は、いくつかのピリミジンおよびプリン構造を示す。
図23は、本研究において用いられる数種の免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたはイムノマーを示す。
図24は、天然のCpGモチーフと、合成プリン−pGジヌクレオチドを有する免疫賦活性モチーフとの比較を示す。
【0200】
図25は、本研究において用いた種々の免疫賦活性オリゴヌクレオチドのIL−12およびIL−6プロフィールを示す。
図26は、本研究において用いた追加の免疫賦活性オリゴヌクレオチドのIL−12およびIL−6プロフィールを示す。
図27は、本研究において用いた免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびイムノマーのIL−12およびIL−6プロフィールを示す。
図28は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびイムノマーにおけるマウスおよびヒトモチーフにより提供されたIL−12およびIL−6プロフィールを比較する。
【0201】
図29は、種々の免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびイムノマーで処理したJ774細胞におけるNF−κBの活性化およびIκ−Bαの分解を示す。
図30は、ヒトPBMC培養物におけるイムノマーの免疫賦活活性を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3’末端もしくはヌクレオシド間結合において結合した少なくとも2つのオリゴヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーへの官能化された核酸塩基もしくは糖を含むイムノマーであって、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、アクセス可能な5’末端を有し、構造RpGを有する免疫賦活性ジヌクレオチドを含む免疫調節性オリゴヌクレオチドであり、ここでRが、図15に示す構造を有し、Gが、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、2’デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’置換アラビノグアノシン、2’−O置換アラビノグアノシンまたは他の非天然プリンヌクレオシドからなる群から選択されている、前記イムノマー。
【請求項2】
構造RpGを有し、ここでRが、図15に示す構造を有し、Gが、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、2’デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’置換アラビノグアノシン、2’−O置換アラビノグアノシンまたは他の非天然プリンからなる群から選択されている免疫賦活性ジヌクレオチドを含む、免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項3】
構造
5’−Nn−N1−Y−Z−N1−Nn−3’ (III)
式中、
Yの塩基は、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり、
Zの塩基は、グアニン、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−アミノ−6−チオプリン、6−オキソ−プリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、
各々の存在におけるN1およびNnは、天然に存在するか、もしくは合成のヌクレオシドまたは脱塩基ヌクレオシド類、アラビノヌクレオシド類、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド類、β−L−デオキシリボヌクレオシド類および、ホスホジエステルもしくは修飾されたヌクレオシド間結合により、3’側上の隣接するヌクレオシドに結合したヌクレオシド類からなる群から選択された免疫賦活性部分であり、修飾されたヌクレオチド間結合が、限定されずに、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、またはメチルホスホネートヌクレオシド間結合から選択されており、ここで、引用したオリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドに直接的に、または間接的に結合している、
を有する、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項4】
構造
5’−Nn−N1−Y−Z−N1−Nn−3’ (III)
式中、
Yの塩基は、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり、
Zの塩基は、グアニン、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−アミノ−6−チオプリン、6−オキソ−プリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、
各々の存在におけるN1およびNnは、天然に存在するか、もしくは合成のヌクレオシドまたは脱塩基ヌクレオシド類、アラビノヌクレオシド類、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド類、β−L−デオキシリボヌクレオシド類および、ホスホジエステルもしくは修飾されたヌクレオシド間結合により、3’側上の隣接するヌクレオシドに結合したヌクレオシド類からなる群から選択された免疫賦活性部分であり、修飾されたヌクレオチド間結合が、限定されずに、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、またはメチルホスホネートヌクレオシド間結合から選択されている、
を有する、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項5】
免疫賦活性部分が、脱塩基ヌクレオシド類、アラビノヌクレオシド類、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド類、β−L−デオキシリボヌクレオシド類および、変性ヌクレオシド間結合により、3’側上の隣接するヌクレオシドに結合したヌクレオシド類からなる群から選択されており、修飾されたヌクレオチド間結合が、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)結合、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、メチルホスホネートヌクレオシド間結合;メチルホスホノチオエート類、ホスホトリエステル類、ホスホチオトリエステル類、ホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類、トリエステルプロドラッグ、スルホン類、スルホンアミド類、スルファメート類、ホルムアセタール、N−メチルヒドロキシルアミン、カーボネート、カルバメート、モルホリノ、ボラノホスホネート、ホスホラミデート類、特に第一アミノ−ホスホラミデート類、N3ホスホラミデート類およびN5ホスホラミデート類、並びに立体特異性結合、糖変性を有するヌクレオシド、2’−O−メチルリボース、2’−O−メトキシエチルリボース、2’−O−プロパルギルリボースおよび2’−デオキシ−2’−フルオロリボースが含まれるがこれらには限定されない2’置換ペントース糖類;3’−O−メチルリボースが含まれるがこれには限定されない3’−置換ペントース糖類;1’,2’−ジデオキシリボース;アラビノース;置換アラビノース糖類、ヘキソース糖類、並びにアルファ−アノマー類、ペプチド核酸類(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸類(PHONA)、ロックされた核酸類(LNA)、モルホリノ核酸類、並びに約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有する主鎖リンカー部分を有するオリゴヌクレオチド、アルキルリンカーまたはアミノリンカー、DNAイソ型、β−L−デオキシリボヌクレオシド類、α−デオキシリボヌクレオシド類、非天然ヌクレオシド間結合位置を有するヌクレオシド類、並びに修飾された複素環式塩基を有するヌクレオシド類からなる群から選択されている、請求項3に記載のイムノマー。
【請求項6】
免疫賦活性部分が、脱塩基ヌクレオシド類、アラビノヌクレオシド類、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド類、β−L−デオキシリボヌクレオシド類および、変性ヌクレオシド間結合により、3’側上の隣接するヌクレオシドに結合したヌクレオシド類からなる群から選択されており、修飾されたヌクレオチド間結合が、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)結合、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、メチルホスホネートヌクレオシド間結合;メチルホスホノチオエート類、ホスホトリエステル類、ホスホチオトリエステル類、ホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類、トリエステルプロドラッグ、スルホン類、スルホンアミド類、スルファメート類、ホルムアセタール、N−メチルヒドロキシルアミン、カーボネート、カルバメート、モルホリノ、ボラノホスホネート、ホスホラミデート類、特に第一アミノ−ホスホラミデート類、N3ホスホラミデート類およびN5ホスホラミデート類、並びに立体特異性結合、糖変性を有するヌクレオシド、2’−O−メチルリボース、2’−O−メトキシエチルリボース、2’−O−プロパルギルリボースおよび2’−デオキシ−2’−フルオロリボースが含まれるがこれらには限定されない2’置換ペントース糖類;3’−O−メチルリボースが含まれるがこれには限定されない3’−置換ペントース糖類;1’,2’−ジデオキシリボース;アラビノース;置換アラビノース糖類、ヘキソース糖類、並びにアルファ−アノマー類、ペプチド核酸類(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸類(PHONA)、ロックされた核酸類(LNA)、モルホリノ核酸類、並びに約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有する主鎖リンカー部分を有するオリゴヌクレオチド、アルキルリンカーまたはアミノリンカー、DNAイソ型、β−L−デオキシリボヌクレオシド類、α−デオキシリボヌクレオシド類、非天然ヌクレオシド間結合位置を有するヌクレオシド類、並びに修飾された複素環式塩基を有するヌクレオシド類からなる群から選択されている、請求項4に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項7】
イムノマーが、遺伝子に相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項8】
イムノマーが、少なくとも1つのリボザイムまたはデコイオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項9】
イムノマーが、G3〜G10領域を含む少なくとも1つのNn部分を含む、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項10】
免疫賦活性ジヌクレオチド中の1つのプリンヌクレオシドが、構造(II):
【化1】
式中:
Dは、水素結合供与体であり;
D’は、水素、水素結合供与体および親水性基からなる群から選択されており;
Aは、水素結合受容体または親水性基であり;
Xは、炭素または窒素であり;
各々のLは、独立して、C、O、NおよびSからなる群から選択された原子であり;
S’は、ペントースもしくはヘキソース糖環または天然に存在しない糖である、
を有する、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項11】
糖環が、ホスフェート部分、修飾されたホスフェート部分または、プリンヌクレオシドを他のヌクレオシドもしくはヌクレオシド類似体に結合させるのに適する他のリンカー部分で誘導体化されている、請求項10に記載のイムノマー。
【請求項12】
水素結合供与体が、−NH−、−NH2、−SHおよび−OHからなる群から選択されている、請求項10に記載のイムノマー。
【請求項13】
水素結合受容体が、C=O、C=S、−N=および芳香族複素環の環窒素原子からなる群から選択されている、請求項10に記載のイムノマー。
【請求項14】
天然に存在しないプリンが、2−アミノ−6−チオプリン、6−オキソプリンまたは2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリンである、請求項10に記載のイムノマー。
【請求項15】
非ヌクレオチドリンカーが、長さが約2オングストローム〜約200オングストロームのリンカー、金属、可溶性または不溶性生分解性ポリマービーズ、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドへの結合を可能にする官能基を有する有機部分、生体分子、環式または非環式小分子、いずれかが随意に、オリゴヌクレオチドに結合した直鎖状鎖において、またはこれに付着して、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素およびチオ尿素からなる群から選択された1種または2種以上の官能基を含むことができる、脂肪族または芳香族炭化水素;アミノ酸、炭水化物、シクロデキストリン、アダマンタン、コレステロール、ハプテン抗生物質、式HO−(CH2)o−CH(OH)−(CH2)p−OHで表され、式中oおよびpは、独立して1〜約6の整数である、グリセロールまたはグリセロール類似体、並びに1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンの誘導体からなる群から選択されている、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項16】
ヌクレオシド間結合が、本質的にホスホジエステル結合からなる、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項17】
請求項1に記載のイムノマーおよび、アクセス可能な5’末端以外の位置においてイムノマーに接合した抗原を含む、イムノマー接合体。
【請求項18】
Gが、アラビノグアノシンまたは2’−デオキシ−2’置換アラビノグアノシン、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンまたは2’−デオキシ−6−チオグアノシンまたは2’−デオキシイノシンである、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項19】
オリゴヌクレオチドが、遺伝子に相補的である、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項20】
オリゴヌクレオチドが、リボザイムまたはデコイオリゴヌクレオチドを含む、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項21】
G3〜G10領域を含む少なくとも1つのNn部分を含む、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項22】
免疫賦活性ジヌクレオチド中の1つのプリンヌクレオシドが、構造(II):
【化2】
式中:
Dは、水素結合供与体であり;
D’は、水素、水素結合供与体および親水性基からなる群から選択されており;
Aは、水素結合受容体または親水性基であり;
Xは、炭素または窒素であり;
各々のLは、独立して、C、O、NおよびSからなる群から選択された原子であり;
Sは、ペントースもしくはヘキソース糖環または天然に存在しない糖である、
を有する、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項23】
糖環が、ホスフェート部分、修飾されたホスフェート部分または、プリンヌクレオシドを他のヌクレオシドもしくはヌクレオシド類似体に結合させるのに適する他のリンカー部分で誘導体化されている、請求項22に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項24】
水素結合供与体が、−NH−、−NH2、−SHおよび−OHからなる群から選択されている、請求項22に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項25】
水素結合受容体が、C=O、C=S、−N=および芳香族複素環の環窒素原子からなる群から選択されている、請求項22に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項26】
天然に存在しないプリンが、2−アミノ−6−チオプリンまたは2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリンである、請求項22に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項27】
非ヌクレオチドリンカーが、長さが約2オングストローム〜約200オングストロームのリンカー、金属、可溶性または不溶性生分解性ポリマービーズ、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドへの結合を可能にする官能基を有する有機部分、生体分子、環式または非環式小分子、いずれかが随意に、オリゴヌクレオチドに結合した直鎖状鎖において、またはこれに付着して、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素およびチオ尿素からなる群から選択された1種または2種以上の官能基を含むことができる、脂肪族または芳香族炭化水素;アミノ酸、炭水化物、シクロデキストリン、アダマンタン、コレステロール、ハプテン抗生物質、式HO−(CH2)o−CH(OH)−(CH2)p−OHで表され、式中oおよびpは、独立して1〜約6の整数である、グリセロールまたはグリセロール類似体、並びに1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンの誘導体からなる群から選択されている、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項28】
ヌクレオシド間結合が、本質的にホスホジエステル結合からなる、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項29】
請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド、およびアクセス可能な5’末端以外の位置においてイムノマーに接合した抗原を含む、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体。
【請求項30】
Gが、アラビノグアノシンまたは2’−デオキシ−2’置換アラビノグアノシン、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンまたは2’−デオキシ−6−チオグアノシンまたは2’−デオキシイノシンである、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項31】
請求項1に記載のイムノマーおよび生理学的に許容し得る担体を含む、医薬製剤。
【請求項32】
請求項1に記載のイムノマーの、脊椎動物における免疫応答を発生させるための医薬の製造のための使用。
【請求項33】
請求項17に記載のイムノマー接合体の、脊椎動物における免疫応答を発生させるための医薬の製造のための使用。
【請求項34】
請求項1に記載のイムノマーの、疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための医薬の製造のための使用。
【請求項35】
処置されるべき疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性障害、皮膚障害、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
請求項17に記載のイムノマー接合体の、疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための医薬の製造のための使用。
【請求項37】
請求項10に記載のイムノマーの、疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための医薬の製造のための使用。
【請求項38】
処置されるべき疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である、請求項36に記載の使用。
【請求項39】
処置されるべき疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である、請求項37に記載の使用。
【請求項40】
ワクチンがさらに投与可能である、請求項32に記載の使用。
【請求項41】
イムノマーもしくはワクチンまたは両方が、免疫原性タンパク質に結合している、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
アジュバントがさらに投与可能である、請求項40に記載の使用。
【請求項43】
請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチドの、脊椎動物における免疫応答を発生させるための医薬の製造のための使用。
【請求項44】
請求項29に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体の、脊椎動物における免疫応答を発生させるための医薬の製造のための使用。
【請求項45】
請求項4に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチドの、疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための医薬の製造のための使用。
【請求項46】
処置されるべき疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性障害、皮膚障害、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
請求項29に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体の、疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための医薬の製造のための使用。
【請求項48】
請求項22に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチドの、疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための医薬の製造のための使用。
【請求項49】
処置されるべき疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である、請求項47に記載の使用。
【請求項50】
処置されるべき疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である、請求項48に記載の使用。
【請求項51】
ワクチンがさらに投与可能である、請求項44に記載の使用。
【請求項52】
イムノマーもしくはワクチンまたは両方が、免疫原性タンパク質に結合している、請求項51に記載の使用。
【請求項53】
アジュバントがさらに投与可能である、請求項44に記載の使用。
【請求項54】
他の治療剤がさらに投与可能である、請求項48に記載の使用。
【請求項55】
他の治療剤が、ワクチン、抗体、アレルゲン、抗生物質および化学療法剤からなる群から選択されている、請求項54に記載の使用。
【請求項56】
非ヌクレオチドリンカーにより5’から3’に共有結合した2つまたは3つ以上のオリゴヌクレオチドセグメントを含む、免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項1】
3’末端もしくはヌクレオシド間結合において結合した少なくとも2つのオリゴヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーへの官能化された核酸塩基もしくは糖を含むイムノマーであって、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、アクセス可能な5’末端を有し、構造RpGを有する免疫賦活性ジヌクレオチドを含む免疫調節性オリゴヌクレオチドであり、ここでRが、図15に示す構造を有し、Gが、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、2’デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’置換アラビノグアノシン、2’−O置換アラビノグアノシンまたは他の非天然プリンヌクレオシドからなる群から選択されている、前記イムノマー。
【請求項2】
構造RpGを有し、ここでRが、図15に示す構造を有し、Gが、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、2’デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’置換アラビノグアノシン、2’−O置換アラビノグアノシンまたは他の非天然プリンからなる群から選択されている免疫賦活性ジヌクレオチドを含む、免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項3】
構造
5’−Nn−N1−Y−Z−N1−Nn−3’ (III)
式中、
Yの塩基は、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり、
Zの塩基は、グアニン、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−アミノ−6−チオプリン、6−オキソ−プリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、
各々の存在におけるN1およびNnは、天然に存在するか、もしくは合成のヌクレオシドまたは脱塩基ヌクレオシド類、アラビノヌクレオシド類、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド類、β−L−デオキシリボヌクレオシド類および、ホスホジエステルもしくは修飾されたヌクレオシド間結合により、3’側上の隣接するヌクレオシドに結合したヌクレオシド類からなる群から選択された免疫賦活性部分であり、修飾されたヌクレオチド間結合が、限定されずに、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、またはメチルホスホネートヌクレオシド間結合から選択されており、ここで、引用したオリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドに直接的に、または間接的に結合している、
を有する、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項4】
構造
5’−Nn−N1−Y−Z−N1−Nn−3’ (III)
式中、
Yの塩基は、2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンであり、
Zの塩基は、グアニン、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−アミノ−6−チオプリン、6−オキソ−プリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、
各々の存在におけるN1およびNnは、天然に存在するか、もしくは合成のヌクレオシドまたは脱塩基ヌクレオシド類、アラビノヌクレオシド類、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド類、β−L−デオキシリボヌクレオシド類および、ホスホジエステルもしくは修飾されたヌクレオシド間結合により、3’側上の隣接するヌクレオシドに結合したヌクレオシド類からなる群から選択された免疫賦活性部分であり、修飾されたヌクレオチド間結合が、限定されずに、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)リンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、グリセリルリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、またはメチルホスホネートヌクレオシド間結合から選択されている、
を有する、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項5】
免疫賦活性部分が、脱塩基ヌクレオシド類、アラビノヌクレオシド類、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド類、β−L−デオキシリボヌクレオシド類および、変性ヌクレオシド間結合により、3’側上の隣接するヌクレオシドに結合したヌクレオシド類からなる群から選択されており、修飾されたヌクレオチド間結合が、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)結合、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、メチルホスホネートヌクレオシド間結合;メチルホスホノチオエート類、ホスホトリエステル類、ホスホチオトリエステル類、ホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類、トリエステルプロドラッグ、スルホン類、スルホンアミド類、スルファメート類、ホルムアセタール、N−メチルヒドロキシルアミン、カーボネート、カルバメート、モルホリノ、ボラノホスホネート、ホスホラミデート類、特に第一アミノ−ホスホラミデート類、N3ホスホラミデート類およびN5ホスホラミデート類、並びに立体特異性結合、糖変性を有するヌクレオシド、2’−O−メチルリボース、2’−O−メトキシエチルリボース、2’−O−プロパルギルリボースおよび2’−デオキシ−2’−フルオロリボースが含まれるがこれらには限定されない2’置換ペントース糖類;3’−O−メチルリボースが含まれるがこれには限定されない3’−置換ペントース糖類;1’,2’−ジデオキシリボース;アラビノース;置換アラビノース糖類、ヘキソース糖類、並びにアルファ−アノマー類、ペプチド核酸類(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸類(PHONA)、ロックされた核酸類(LNA)、モルホリノ核酸類、並びに約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有する主鎖リンカー部分を有するオリゴヌクレオチド、アルキルリンカーまたはアミノリンカー、DNAイソ型、β−L−デオキシリボヌクレオシド類、α−デオキシリボヌクレオシド類、非天然ヌクレオシド間結合位置を有するヌクレオシド類、並びに修飾された複素環式塩基を有するヌクレオシド類からなる群から選択されている、請求項3に記載のイムノマー。
【請求項6】
免疫賦活性部分が、脱塩基ヌクレオシド類、アラビノヌクレオシド類、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド類、β−L−デオキシリボヌクレオシド類および、変性ヌクレオシド間結合により、3’側上の隣接するヌクレオシドに結合したヌクレオシド類からなる群から選択されており、修飾されたヌクレオチド間結合が、C2〜C18アルキルリンカー、ポリ(エチレングリコール)結合、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、2’−5’ヌクレオシド間結合、メチルホスホネートヌクレオシド間結合;メチルホスホノチオエート類、ホスホトリエステル類、ホスホチオトリエステル類、ホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類、トリエステルプロドラッグ、スルホン類、スルホンアミド類、スルファメート類、ホルムアセタール、N−メチルヒドロキシルアミン、カーボネート、カルバメート、モルホリノ、ボラノホスホネート、ホスホラミデート類、特に第一アミノ−ホスホラミデート類、N3ホスホラミデート類およびN5ホスホラミデート類、並びに立体特異性結合、糖変性を有するヌクレオシド、2’−O−メチルリボース、2’−O−メトキシエチルリボース、2’−O−プロパルギルリボースおよび2’−デオキシ−2’−フルオロリボースが含まれるがこれらには限定されない2’置換ペントース糖類;3’−O−メチルリボースが含まれるがこれには限定されない3’−置換ペントース糖類;1’,2’−ジデオキシリボース;アラビノース;置換アラビノース糖類、ヘキソース糖類、並びにアルファ−アノマー類、ペプチド核酸類(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸類(PHONA)、ロックされた核酸類(LNA)、モルホリノ核酸類、並びに約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有する主鎖リンカー部分を有するオリゴヌクレオチド、アルキルリンカーまたはアミノリンカー、DNAイソ型、β−L−デオキシリボヌクレオシド類、α−デオキシリボヌクレオシド類、非天然ヌクレオシド間結合位置を有するヌクレオシド類、並びに修飾された複素環式塩基を有するヌクレオシド類からなる群から選択されている、請求項4に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項7】
イムノマーが、遺伝子に相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項8】
イムノマーが、少なくとも1つのリボザイムまたはデコイオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項9】
イムノマーが、G3〜G10領域を含む少なくとも1つのNn部分を含む、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項10】
免疫賦活性ジヌクレオチド中の1つのプリンヌクレオシドが、構造(II):
【化1】
式中:
Dは、水素結合供与体であり;
D’は、水素、水素結合供与体および親水性基からなる群から選択されており;
Aは、水素結合受容体または親水性基であり;
Xは、炭素または窒素であり;
各々のLは、独立して、C、O、NおよびSからなる群から選択された原子であり;
S’は、ペントースもしくはヘキソース糖環または天然に存在しない糖である、
を有する、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項11】
糖環が、ホスフェート部分、修飾されたホスフェート部分または、プリンヌクレオシドを他のヌクレオシドもしくはヌクレオシド類似体に結合させるのに適する他のリンカー部分で誘導体化されている、請求項10に記載のイムノマー。
【請求項12】
水素結合供与体が、−NH−、−NH2、−SHおよび−OHからなる群から選択されている、請求項10に記載のイムノマー。
【請求項13】
水素結合受容体が、C=O、C=S、−N=および芳香族複素環の環窒素原子からなる群から選択されている、請求項10に記載のイムノマー。
【請求項14】
天然に存在しないプリンが、2−アミノ−6−チオプリン、6−オキソプリンまたは2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリンである、請求項10に記載のイムノマー。
【請求項15】
非ヌクレオチドリンカーが、長さが約2オングストローム〜約200オングストロームのリンカー、金属、可溶性または不溶性生分解性ポリマービーズ、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドへの結合を可能にする官能基を有する有機部分、生体分子、環式または非環式小分子、いずれかが随意に、オリゴヌクレオチドに結合した直鎖状鎖において、またはこれに付着して、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素およびチオ尿素からなる群から選択された1種または2種以上の官能基を含むことができる、脂肪族または芳香族炭化水素;アミノ酸、炭水化物、シクロデキストリン、アダマンタン、コレステロール、ハプテン抗生物質、式HO−(CH2)o−CH(OH)−(CH2)p−OHで表され、式中oおよびpは、独立して1〜約6の整数である、グリセロールまたはグリセロール類似体、並びに1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンの誘導体からなる群から選択されている、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項16】
ヌクレオシド間結合が、本質的にホスホジエステル結合からなる、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項17】
請求項1に記載のイムノマーおよび、アクセス可能な5’末端以外の位置においてイムノマーに接合した抗原を含む、イムノマー接合体。
【請求項18】
Gが、アラビノグアノシンまたは2’−デオキシ−2’置換アラビノグアノシン、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンまたは2’−デオキシ−6−チオグアノシンまたは2’−デオキシイノシンである、請求項1に記載のイムノマー。
【請求項19】
オリゴヌクレオチドが、遺伝子に相補的である、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項20】
オリゴヌクレオチドが、リボザイムまたはデコイオリゴヌクレオチドを含む、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項21】
G3〜G10領域を含む少なくとも1つのNn部分を含む、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項22】
免疫賦活性ジヌクレオチド中の1つのプリンヌクレオシドが、構造(II):
【化2】
式中:
Dは、水素結合供与体であり;
D’は、水素、水素結合供与体および親水性基からなる群から選択されており;
Aは、水素結合受容体または親水性基であり;
Xは、炭素または窒素であり;
各々のLは、独立して、C、O、NおよびSからなる群から選択された原子であり;
Sは、ペントースもしくはヘキソース糖環または天然に存在しない糖である、
を有する、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項23】
糖環が、ホスフェート部分、修飾されたホスフェート部分または、プリンヌクレオシドを他のヌクレオシドもしくはヌクレオシド類似体に結合させるのに適する他のリンカー部分で誘導体化されている、請求項22に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項24】
水素結合供与体が、−NH−、−NH2、−SHおよび−OHからなる群から選択されている、請求項22に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項25】
水素結合受容体が、C=O、C=S、−N=および芳香族複素環の環窒素原子からなる群から選択されている、請求項22に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項26】
天然に存在しないプリンが、2−アミノ−6−チオプリンまたは2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリンである、請求項22に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項27】
非ヌクレオチドリンカーが、長さが約2オングストローム〜約200オングストロームのリンカー、金属、可溶性または不溶性生分解性ポリマービーズ、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドへの結合を可能にする官能基を有する有機部分、生体分子、環式または非環式小分子、いずれかが随意に、オリゴヌクレオチドに結合した直鎖状鎖において、またはこれに付着して、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素およびチオ尿素からなる群から選択された1種または2種以上の官能基を含むことができる、脂肪族または芳香族炭化水素;アミノ酸、炭水化物、シクロデキストリン、アダマンタン、コレステロール、ハプテン抗生物質、式HO−(CH2)o−CH(OH)−(CH2)p−OHで表され、式中oおよびpは、独立して1〜約6の整数である、グリセロールまたはグリセロール類似体、並びに1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンの誘導体からなる群から選択されている、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項28】
ヌクレオシド間結合が、本質的にホスホジエステル結合からなる、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項29】
請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド、およびアクセス可能な5’末端以外の位置においてイムノマーに接合した抗原を含む、免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体。
【請求項30】
Gが、アラビノグアノシンまたは2’−デオキシ−2’置換アラビノグアノシン、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンまたは2’−デオキシ−6−チオグアノシンまたは2’−デオキシイノシンである、請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド。
【請求項31】
請求項1に記載のイムノマーおよび生理学的に許容し得る担体を含む、医薬製剤。
【請求項32】
請求項1に記載のイムノマーの、脊椎動物における免疫応答を発生させるための医薬の製造のための使用。
【請求項33】
請求項17に記載のイムノマー接合体の、脊椎動物における免疫応答を発生させるための医薬の製造のための使用。
【請求項34】
請求項1に記載のイムノマーの、疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための医薬の製造のための使用。
【請求項35】
処置されるべき疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性障害、皮膚障害、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
請求項17に記載のイムノマー接合体の、疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための医薬の製造のための使用。
【請求項37】
請求項10に記載のイムノマーの、疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための医薬の製造のための使用。
【請求項38】
処置されるべき疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である、請求項36に記載の使用。
【請求項39】
処置されるべき疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である、請求項37に記載の使用。
【請求項40】
ワクチンがさらに投与可能である、請求項32に記載の使用。
【請求項41】
イムノマーもしくはワクチンまたは両方が、免疫原性タンパク質に結合している、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
アジュバントがさらに投与可能である、請求項40に記載の使用。
【請求項43】
請求項2に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチドの、脊椎動物における免疫応答を発生させるための医薬の製造のための使用。
【請求項44】
請求項29に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体の、脊椎動物における免疫応答を発生させるための医薬の製造のための使用。
【請求項45】
請求項4に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチドの、疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための医薬の製造のための使用。
【請求項46】
処置されるべき疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性障害、皮膚障害、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
請求項29に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチド接合体の、疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための医薬の製造のための使用。
【請求項48】
請求項22に記載の免疫調節性オリゴヌクレオチドの、疾患または障害を有する患者を治療的に処置するための医薬の製造のための使用。
【請求項49】
処置されるべき疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である、請求項47に記載の使用。
【請求項50】
処置されるべき疾患または障害が、癌、自己免疫障害、気道炎症、アレルギー、喘息または病原体により生じた疾患である、請求項48に記載の使用。
【請求項51】
ワクチンがさらに投与可能である、請求項44に記載の使用。
【請求項52】
イムノマーもしくはワクチンまたは両方が、免疫原性タンパク質に結合している、請求項51に記載の使用。
【請求項53】
アジュバントがさらに投与可能である、請求項44に記載の使用。
【請求項54】
他の治療剤がさらに投与可能である、請求項48に記載の使用。
【請求項55】
他の治療剤が、ワクチン、抗体、アレルゲン、抗生物質および化学療法剤からなる群から選択されている、請求項54に記載の使用。
【請求項56】
非ヌクレオチドリンカーにより5’から3’に共有結合した2つまたは3つ以上のオリゴヌクレオチドセグメントを含む、免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2011−101647(P2011−101647A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272747(P2010−272747)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【分割の表示】特願2005−516401(P2005−516401)の分割
【原出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【出願人】(398032717)イデラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】Idera Pharmaceuticals, Inc.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【分割の表示】特願2005−516401(P2005−516401)の分割
【原出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【出願人】(398032717)イデラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】Idera Pharmaceuticals, Inc.
【Fターム(参考)】
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