説明

個人認証装置、個人認証方法、個人認証プログラム、及び端末装置

【課題】 高いセキュリティ性を有しつつ、正規のユーザの認証通過は容易とする個人認証装置を簡単かつ安価に実現する。
【解決手段】 携帯電話機内に保存されている静止画像を複数枚、ランダムに表示し、被個人認証者により、各静止画像を時系列に沿って並べ替えさせる。各静止画像を正しい順番で並べ替えられた場合、その被個人認証者を正規のユーザとして認証し、正しい順番で並べ替えできなかった場合、その被個人認証者の認証は行わず、当該携帯電話機の操作やデータに対するアクセスを禁止する。携帯電話機内に保存されている静止画像を用いることで、既存のシステムで簡単かつ安価に実現することができる。また、正規のユーザにとって馴染みの深い携帯電話機内の静止画像を用いているため、正規のユーザの認証通過を容易なものとし、第三者に対する認証通過を困難なものとして、高いセキュリティ性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話機、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機、ノート型或いはデスクトップ型のパーソナルコンピュータ装置等の端末機器の個人認証機能に適用して好適な個人認証装置、個人認証方法、個人認証プログラム、及び端末装置に関し、特に端末機器内に保存されている静止画像(或いは動画像)を無作為に複数枚表示し、ユーザが、この複数の静止画像を時系列に沿って順に並べ替えることができた場合に、そのユーザを正規のユーザとして認証するようにした個人認証装置、個人認証方法、個人認証プログラム、及び端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機やパーソナルコンピュータ装置等の端末装置の機能やデータに対して、第三者が不正にアクセスできないように、数桁の数字、英文字、若しくはその組み合わせからなるパスワードを用いて保護を図っている。セキュリティ性を考慮すると、パスワードを毎回変更することが望ましいが、現実的には、同一のパスワードを利用し続けることが多い。
【0003】
また、パスワードとしては、ユーザが忘れ難いことから、当該ユーザの生年月日や電話番号等の、当該ユーザに関係した英数字列が設定されることが多いが、このようなユーザに関係したパスワードは、第三者にとっても推測が容易である。このため、ユーザに関係したパスワードを設定した場合には、セキュリティ性が下がることは否めない。
【0004】
一方、近年においては、個人情報を保護するためにアクセス制限が必要なシステムが増加する傾向にある。このため、第三者にとっては推測し難く、正規ユーザにとっては入力が容易な認証方法の開発が強く要望されている。
【0005】
特開2002−229948号の公開特許公報(特許文献1)には、操作が容易で高いセキュリティ性を有し、簡単なシステム構成で実現可能な個人認証システムが開示されている。この個人認証システムの場合、利用者IDを入力する手段は、ユーザによって指示された利用者IDを入力し、利用者データベース110に送る。利用者認証画像と認証鍵文字列を入手する手段は、利用者IDに対応する利用者認証画像と認証鍵とを利用者データベースから入手し、その両者をリンクさせる。画像データベースから利用者認証画像以外の表示画像を選択する手段は、利用者認証画像以外の画像を画像データベースからランダムに入手する。
【0006】
画面表示手段は、前述した利用者認証画像とそれ以外の画像とを、入手した複数画像の表示位置を決める手段による表示位置の決定に基づいて、同時かつランダムに表示画面上に表示する。その後、入力装置は、ユーザの指示に基づいて画像を選択し、選択された画像に関する情報である選択画像情報を、位置及び順序の情報入力手段を介して、選択画像情報から認証鍵文字列への変換手段に入力する。
【0007】
選択画像情報から認証鍵文字列への変換手段は、選択画像情報に基づいて認証鍵文字列を作成し、認証データベースの認証データと入力認証鍵文字列を照合する手段は、認証データベースに登録された認証鍵文字列と作成された認証鍵文字列とを照合する。情報アクセス許可手段は、この照合が一致した場合のみ、情報へのアクセスを許可する。
【0008】
このような個人認証システムは、認証鍵以外の無関係な画像を多数の画像から選択できる上、画像の種類や枚数を自由に選択できるため、セキュリティの高さと利用者の利便性のバランスがとれた個人認証システムを実現することができる。
【0009】
【特許文献1】特開2002−229948号公報(第5頁、図3,図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述の特許文献1に開示されている個人認証システムは、利用者が画像を選択する際に、表示位置及び表示順序を予め覚えておく必要があり、利用者までもが入力困難となるおそれがある。
【0011】
なお、近年においては、指紋、虹彩、静脈等の個人特有の生体情報を用いた個人認証システムも実用化されているが、この個人認証システムの場合、構成が複雑化しシステムの価格が高価となる問題がある。
【0012】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、簡単かつ安価に実現することができ、高いセキュリティ性を有すると共に、正規のユーザにとっては認証通過を容易とすることができるような個人認証装置、個人認証方法、個人認証プログラム、及び端末装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る個人認証装置は、上述の課題を解決するための手段として、
それぞれ時間情報が付された複数の静止画像が記憶された記憶手段と、
個人認証時において、上記記憶手段に記憶された静止画像のうち、複数枚の静止画像を無作為に選択して表示手段に表示する静止画像無作為選択手段と、
上記静止画像無作為選択手段により上記表示手段に表示された各静止画像を、被個人認証者の並べ替え操作に対応する順序で並べ替えて表示する並べ替え表示制御手段と、
上記並べ替え表示制御手段により並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序であった場合、上記被個人認証者を正規のユーザとして認証し、上記並べ替え表示制御手段により並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序ではなかった場合、上記被個人認証者の認証を拒否する認証手段と
を有する。
【0014】
また、本発明に係る個人認証方法は、上述の課題を解決するための手段として、
個人認証時において、静止画像無作為選択手段が、それぞれ時間情報が付された複数の静止画像が記憶された記憶手段から、複数枚の静止画像を無作為に選択して表示手段に表示するステップと、
上記ステップで、上記表示手段に表示された各静止画像を、並べ替え表示制御手段が、被個人認証者の並べ替え操作に対応する順序で並べ替えて表示するステップと、
上記ステップで、並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序であった場合、認証手段が、上記被個人認証者を正規のユーザとして認証するステップと、
上記ステップで、上記並べ替え表示制御手段により並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序ではなかった場合、認証手段が、上記被個人認証者の認証を拒否するステップと
を有する。
【0015】
また、本発明に係る個人認証プログラムは、上述の課題を解決するために、
個人認証時において、それぞれ時間情報が付された複数の静止画像が記憶された記憶手段から、複数枚の静止画像を無作為に選択して表示手段に表示する静止画像無作為選択手段としてコンピュータを機能させ、
コンピュータを上記静止画像無作為選択手段として機能させることで上記表示手段に表示された各静止画像を、被個人認証者の並べ替え操作に対応する順序で並べ替えて表示する並べ替え表示制御手段としてコンピュータを機能させ、
コンピュータを上記並べ替え表示制御手段として機能させることで、上記並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序であった場合、上記被個人認証者を正規のユーザとして認証し、コンピュータを上記並べ替え表示制御手段として機能させることで、上記並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序ではなかった場合、上記被個人認証者の認証を拒否する認証手段としてコンピュータを機能させること
を特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る端末装置は、上述の課題を解決するための手段として、
それぞれ時間情報が付された複数の静止画像が記憶された記憶手段と、
個人認証時において、上記記憶手段に記憶された静止画像のうち、複数枚の静止画像を無作為に選択して表示手段に表示する静止画像無作為選択手段と、
上記静止画像無作為選択手段により上記表示手段に表示された各静止画像を、被個人認証者の並べ替え操作に対応する順序で並べ替えて表示する並べ替え表示制御手段と、
上記並べ替え表示制御手段により並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序であった場合、上記被個人認証者を正規のユーザとして認証し、上記並べ替え表示制御手段により並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序ではなかった場合、上記被個人認証者の認証を拒否する認証手段と
を有する。
【0017】
このような本発明は、それぞれ時間情報が付されて記憶手段に記憶された静止画像を無作為に選択して表示手段に表示し、被個人認証者により、この表示した各静止画像が、時系列に沿った順番に並べ替え操作された際に、その被個人認証者を正規のユーザとして認証し、時系列に沿った順番に並べ替え操作されなかった場合には、その被個人認証者の認証を拒否する。
【0018】
記憶手段に記憶されている静止画像の時間情報に基づいて個人認証を行うようになっているため、既存のシステムで簡単に実現可能とすることができる。
【0019】
また正規のユーザであれば、自分の記憶や静止画像に写っている人物、景色等に基づいて、時間軸上の前後関係を容易に判断することができるが、第三者にとって、各静止画像は馴染みの薄いものであり、各静止画像の時間的な前後の関係を推測することは困難となる。このため、正規のユーザにとっては比較的容易に認証通過が可能であり、第三者にとっては認証通過を困難なものとすることができ、高いセキュリティ性を確保することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、高いセキュリティ性を有すると共に、正規のユーザにとっては認証通過容易な個人認証機能を簡単かつ安価に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、携帯電話機の個人認証機能に適用することができる。
【0022】
[携帯電話機の構成]
この実施の形態となる携帯電話機は、図1に示すように基地局との間で音声通話、テレビ電話通話、電子メール、Webデータ(Web:World Wide Web)等の無線通信を行うアンテナ1及び通信回路2と、所望のメニューやメッセージ等の入力選択操作や後述する個人認証操作等を行うための操作部3と、操作メニュー、電子メール、画像(静止画像及び動画像)や、後述する個人認証に用いる静止画像等を表示するための表示部4と、受話音声、着信音、音楽コンテンツの音響出力等を出力するためのスピーカ部5と、送話音声等を集音するためのマイクロホン部6と、発着信等を光でユーザに通知するための発光部7(LED:Light Emitting Diode)と、所望の被写体の静止画像或いは動画像を撮像するためのカメラ部8とを有している。
【0023】
また、この携帯電話機は、当該携帯電話機の筐体を振動させて発着信等をユーザに通知するためのバイブレーションユニット9と、時刻をカウントするタイマ10と、基地局を介した無線通信処理を行うためのコミュニケーションプログラムや各種アプリケーションプログラムの他、これら各アプリケーションプログラムで取り扱われる各種データ(コンテンツ)等が記憶されたメモリ11と、当該携帯電話機全体の動作を制御する制御部12とを有している。
【0024】
メモリ11には、上記コミュニケーションプログラムの他、後述する静止画像を用いた個人認証処理を行うための個人認証プログラムと、電子メールの作成や送受信を制御するための電子メール管理プログラムと、カメラ部8の撮像制御を行うカメラ制御プログラムと、ユーザのスケジュールが登録されたスケジュール帳の管理を行うためのスケジュール帳管理プログラムと、電話帳の管理を行うための電話帳管理プログラムと、音楽コンテンツの再生を行うための音楽プレーヤプログラムと、コミュニケーションネットワークやインターネット等の所定のネットワーク上に設けられたサーバ装置上で公開されているWebページを閲覧するためのWebブラウジングプログラムとが記憶されている。
【0025】
また、メモリ11には、ユーザの所望のスケジュールが登録されるスケジュール帳と、ユーザの知人や友人等のユーザ名、静止画像(顔写真等)、住所、電話番号、電子メールアドレス、生年月日等が登録された電話帳と、音楽プレーヤプログラムに基づいて再生される音楽コンテンツと、カメラ制御プログラムのビューワ機能に基づいて再生され、或いは上記個人認証プログラムに基づいて実行される個人認証時に表示部4に表示される静止画像コンテンツ及び動画像コンテンツと、送受信された電子メールコンテンツと、電話及び電子メールの発着信履歴等が記憶されている。
【0026】
[個人認証処理]
このような実施の形態の携帯電話機は、当該携帯電話機のメモリ11に保存されている静止画像コンテンツと、この静止画像コンテンツ(以下、単に静止画像という。)の撮像日情報を用いて個人認証を行うことで、第三者による不正な操作やアクセス等を防止するようになっている。
【0027】
具体的には、この携帯電話機は、表示部4に表示した複数の静止画像を、個人認証を行うユーザに撮像日順に並べ替えさせて個人認証を行う「時系列静止画像認証機能」を有している。制御部12は、認証時となると、メモリ11に記憶されている個人認証プログラムに基づいて、この「時系列静止画像認証機能」を実行制御して個人認証を行う。
【0028】
〔時系列静止画像認証機能〕
この時系列静止画像認証機能を用いて個人認証を行う場合、制御部12は、図2に示すようにメモリ11の時系列認証用フォルダに記憶されている例えば11枚の静止画像(選択対象静止画像)から、例えば4枚等の既定表示枚数分の静止画像を無作為に(ランダムに)選択して表示部4に表示制御する。この時系列認証用フォルダに予め記憶される静止画像は、当該携帯電話機の正規のユーザにより、該時系列認証用フォルダに予め記憶されたものである。
【0029】
被個人認証者は、表示された各静止画像を、操作部3を操作することで、図3(a)及び図3(b)に示すように古い時間情報を有する静止画像→新しい時間情報を有する静止画像の順に並べ直す。
【0030】
各静止画像には、該各静止画像データ内に保存された静止画像撮影時若しくは保存時における年月日/時刻等の時間情報、或いは該各静止画像データ外に保存された、当該携帯電話機やアプリケーションプログラム等が管理している、当該携帯電話機で静止画像を撮影若しくは保存した年月日/時刻等の時間情報であるメタデータが付されている。なお、ネットワーク経由等の当該携帯電話機外部から取得した静止画像に対しては、例えば取得時刻の時間情報や、当該携帯電話機の正規のユーザによって付された時間情報が付されている。
【0031】
制御部12は、並べ替えられた各静止画像に付されている上記時間情報に基づいて、時間軸上における各静止画像の時間的前後関係を判定することで、該各静止画像の並び順の正誤判定を行う。そして、並べ替えられた各静止画像が、古い時間情報を有する静止画像→新しい時間情報を有する静止画像の順に正しく並べられていた場合、制御部12は、図3(c)に示すように被個人認証者を、当該携帯電話機の正規のユーザとして認証する。これに対して、並べ替えられた各静止画像が、古い時間情報を有する静止画像→新しい時間情報を有する静止画像の順に正しく並べられていなかった場合、制御部12は、被個人認証者を、当該携帯電話機の正規のユーザとしては認証せず、当該携帯電話機の操作や当該携帯電話機内の各種情報に対するアクセスを禁止制御する。
【0032】
なお、この例では、古い時間情報を有する静止画像→新しい時間情報を有する静止画像の順に各静止画像自体を並べ替えることとしたが、各静止画像に対して番号を付し、この番号のみを被個人認証者が並び替えるようにしてもよい。
【0033】
[表示する静止画像の選択動作]
ここで、メモリ11内の時系列認証用フォルダに記憶されている静止画像を単に、ランダムに選択して表示してもよいのであるが、制御部12は、この表示する静止画像を選択する際、上記個人認証プログラムに基づいて、
1.時系列上に配置した静止画像を繰り返し分割し、その中から対象となる静止画像をランダムに選択する「分割無作為選択方法」、及び
2.重み付けした静止画像の中から対象となる静止画像をランダムに選択する「偏重無作為選択方法」
のうち、いずれかの選択方法を用いて上記表示する静止画像を選択するようになっている。
【0034】
〔分割無作為選択方法〕
図4のフローチャートに「分割無作為選択方法」を用いた場合における静止画像の選択動作の流れを示す。この「分割無作為選択方法」は、ステップS1〜ステップS6の各処理である「キーとなる静止画像の抽出処理」と、ステップS7〜ステップS10の各処理である「表示する静止画像の選択処理」からなっている。
【0035】
(キーとなる静止画像の抽出処理)
まず、ステップS1では、制御部12が、図5(a)に示すように時系列認証フォルダから取得した各静止画像を時系列順に並べ替えて、処理をステップS2に進める。ステップS2では、制御部12が、図5(a)に示すように一番古い静止画像をキーとして登録し、これを参照キーとしてステップS3に処理を進める。ステップS3では、制御部12が、図5(a)に示すように一番新しい静止画像をキーとして登録し、これを基準キーとしてステップS4に処理を進める。
【0036】
ステップS4では、制御部12が、上記基準キー及び上記参照キーの間の、中心となる静止画像(=基準キーとした静止画像の時間情報と、上記参照キーとした時間情報との中間の時間情報を有する静止画像)を検出する。制御部12は、
1.基準キーから参照キーまでの間にある静止画像の数を求め、
2.求めた数を2で除算処理して小数点以下を切り捨て、
3.この除算処理により求められた数の静止画像を中心とすることで、
上記中心となる静止画像の検出を行う。
【0037】
次に、ステップS5では、制御部12が、上記中心として検出した静止画像を、キーとして登録し、これを新しい参照キーとしてステップS6に処理を進める。具体的には、図5(a)に示す例の場合、時系列順に並べられた静止画像が計11枚となるため、制御部12は、「11÷2=5.5」の除算処理を行い、この演算により求められた値の小数点以下を切り捨てることで「5」の値を得る。そして、図5(b)に示すように、この「5」の値に対応する静止画像5をキーとして登録し、このキーとして登録した静止画像5を新たな参照キーとして、処理をステップS6に進める。
【0038】
ステップS6では、制御部12が、このような基準キーと参照キーとの間の中心となる静止画像を検出し、この中心となる静止画像を参照キーとする処理を繰り返し実行することで、図5(c)に示すように、基準キーと参照キーとが隣接する状態となったか否かを判別する。そして、基準キーと参照キーとが隣接する状態となってはいないものと判別した場合、処理をステップS4に戻し、基準キーと参照キーとの間の中心となる静止画像を検出し、この中心となる静止画像を参照キーとする処理を、基準キーと参照キーとが隣接するまでの間、繰り返し実行する。
【0039】
(表示する静止画像の選択処理)
次に、制御部12は、図6(a)に示すように基準キーと参照キーとが隣接したタイミングで処理をステップS7に進め、図6(b)に示すように基準キー及び参照キーのうち、いずれかの静止画像を表示候補として無作為に1枚選択して、処理をステップS8に進める。なお、この図6(a)は、基準キーとなっている静止画像1及び参照キーとなっている静止画像2のうち、該参照キーとなっている静止画像2が表示候補として選択された例を示している。
【0040】
次に、ステップS8では、制御部12が、図6(b)に示すように現在の参照キーより一つ古い静止画像を基準キーとして、処理をステップS9に進める。この図6(b)に示す例の場合、参照キーとなっていた静止画像2が表示候補として選択されたため、この静止画像2よりも一つ古い静止画像3に対して基準キーが設定されたことを示している。
【0041】
次に、ステップS9では、制御部12が、図6(c)に示すように現在の参照キーより一つ古いキーを参照キーとして、処理をステップS10に進める。具体的には、図6(b)に示す例の場合、参照キーとされていた静止画像2が表示候補として選択された例であるが、この静止画像2の一つ前にキーとして登録されていた静止画像は、図6(a)に示すように静止画像5である。このため、制御部12は、ステップS9において、上記静止画像5を新たな参照キーとして、処理をステップS10に進める。
【0042】
次に、ステップS10では、制御部12が、基準キーと参照キーとの間に、表示候補として選択する静止画像が無くなったか否かを判別し、表示候補として選択する静止画像が存在する場合は、処理をステップS7に戻し、表示候補として選択する静止画像が無くなったものと判別したタイミングで処理をステップS11に進める。
【0043】
具体的には、図6(b)に示す例の場合、表示候補として選択可能な静止画像として、基準キーである静止画像3、静止画像4及び参照キーである静止画像5の計3枚が存在する。このため、制御部12は、処理をステップS7に戻し、この3枚の静止画像のうち、図6(c)に示すように例えば静止画像5を表示候補として選択する。そして、ステップS8において、図6(c)に示すように、それまで参照キーとしていた静止画像5の一つ古い静止画像6を基準キーとする。また、ステップS9において、参照キーとした静止画像5の一つ前にキーとして登録されていた静止画像11を、図6(c)に示すように新たな参照キーとして、処理をステップS10に進める。そして、ステップS10において、基準キーと参照キーとの間に、表示候補として選択する静止画像が無くなったか否かを判別する。図6(c)に示す例の場合、表示候補として選択する静止画像として、静止画像6〜静止画像11の計6枚が存在するため、制御部12は、処理をステップS7に戻し、この計6枚の静止画像のうち、図6(d)に示すように例えば静止画像8を表示候補として選択して処理をステップS8に進める。
【0044】
ここで、上述のように、このステップS8では、現在の参照キーより一つ古い静止画像を基準キーとするのであるが、この場合、図6(c)に示すように現在の参照キーは、上記11枚の静止画像の中で最も古い静止画像である静止画像11となっており、この静止画像よりも古い静止画像は、この11枚の静止画像の中には存在しない。また、ステップS9では、現在の参照キーより一つ前のキーを新たな参照キーとするのであるが、この場合、静止画像11に対して、一番最初にキーが設定されているため、この静止画像11よりも前にキーが設定された静止画像は、上記11枚の静止画像の中には存在しない。そして、この場合、図6(d)に示すように基準キーと参照キーとの間に、表示候補として選択する静止画像が存在しない状態となり、制御部12は、ステップS10において、選択する表示候補が無くなったものと判別することとなる。
【0045】
次に、上記ステップS10において、選択する表示候補が無くなったものと判別すると、制御部12は処理をステップS11に進め、表示候補として選択した静止画像の合計枚数が、例えば5枚等の規定表示枚数に達したか否かを判別し、該表示候補として選択した静止画像の合計枚数が規定表示枚数に達したタイミングで、当該図4のフローチャートに示す全処理を終了する。表示候補として選択した静止画像の合計枚数が規定表示枚数に達していない場合、制御部12は、処理をステップS12に進め、メモリ11に記憶されている全静止画像のうち、上記表示候補として選択した静止画像を間引き処理して、ステップS2に処理を戻す。具体的には、図6(a)に示す全11枚の静止画像1〜11から、図6(d)に示すように表示候補として選択した静止画像2、静止画像5及び静止画像8を除き、処理をステップS2に戻す。
【0046】
ステップS2に処理を戻すと、制御部12は、この間引き処理することで残った各静止画像のうち、一番古い静止画像をキーとして登録して参照キーとし、ステップS3において、上記残った各静止画像のうち、一番新しい静止画像をキーとして登録して基準キーとする。そして、ステップS11において、表示候補として選択した静止画像の合計枚数が規定表示枚数に達したものと判別するまで、上記ステップS2〜ステップS12の各処理を繰り返し実行する。
【0047】
表示する静止画像を選択する際に、このような「分割無作為選択方法」を実行することで、時間軸上で新しい静止画像を、上記表示候補として重点的に選択可能とすることができる。このため、個人認証時において、当該携帯電話機の正規のユーザにとって記憶に新しい静止画像を優先的に表示可能とすることができる。
【0048】
〔偏重無作為選択方法〕
次に、上記表示候補となる静止画像を選択する際に、重み付けした静止画像の中から対象となる静止画像をランダムに選択する「偏重無作為選択方法」の説明をする。この場合、制御部12は、まず、図7に示すように最も古い静止画像と新しい静止画像との時間差を100として百分率の時間軸を形成し、この時間軸上に対して、各静止画像が有する時間情報に基づいて該各静止画像を配置する。図8に示すように、各静止画像の時間情報をtとしたとき、Log10(t)+1を各静止画像の重みとする。ただし、最も古い静止画像の重みは「0」とはせず、時間軸上の静止画像の分布に応じて最も古い静止画像の重みを「0」よりも大きな値とする。
【0049】
このように各静止画像に対してそれぞれを重み付けすることで、制御部12が表示用の静止画像を無作為に選択する際に、新しい静止画像が選択される確率を高めることができる。
【0050】
なお、上述の「分割無作為選択方法」及び「偏重無作為選択方法」は、それぞれ組み合わせて用いてもよい。この場合、「分割無作為選択方法」で基準ーと参照キーとの間にある静止画像を選択する際に、「偏重無作為選択方法」により個人認証に用いる表示候補となる静止画像を選択することとなる。
【0051】
[時系列静止画像認証選択補助機能]
次に、被個人認証者は、このようにランダムに表示された各静止画像を、撮像日が古いものから順に並べ替えて個人認証を行うのであるが、各静止画像の撮像日に対する記憶が曖昧な場合、当該携帯電話機の正規のユーザであるにもかかわらず、各静止画像を正確な順序で並べ替えることが困難となる場合がある。このため、当該実施の形態の携帯電話機は、被個人認証者による各静止画像の並べ替えを補助する「時系列静止画像認証選択補助機能」を有している。
【0052】
〔矢印による選択補助表示〕
この時系列静止画像認証選択補助機能は、当該携帯電話機の正規のユーザが、本人にとって馴染みの深い年月日を基準情報として予め登録することで利用可能となる。制御部12は、被個人認証者の個人認証時において、この予め登録された基準情報に基づいて、上記各静止画像と共に、該各静止画像の撮像日を推測するための補助情報を表示部4に表示制御する。
【0053】
具体的には、まず、当該携帯電話機の正規のユーザは、図9に示すように当該ユーザにとって馴染みの深い日付である、例えば1999年7月7日を基準情報として登録しておく。制御部12は、個人認証時となると、図9に示すように上記選択して表示した各静止画像の上の表示領域(補助表示領域)に例えば3つの矢印を表示する。この各矢印は、上から順に「撮像年」、「撮像月」、「撮像日」に対応しており、各矢印の左右の向きは、登録した基準情報を基点とする新旧を示している。
【0054】
例えば、図9に示す静止画像Cは、2007年1月1日に撮像されたものであり、基準情報として登録された1999年7月7日と比較した場合、「撮像年」は基準情報よりも当該静止画像Cの時間情報の方が新しい。このため、制御部12は、この静止画像Cの「撮像年」に対する補助表示として、右を向いた矢印を上記補助表示領域に表示制御する。また、「撮像月」は基準情報よりも当該静止画像Cの時間情報の方が古い。このため、制御部12は、この静止画像Cの「撮像月」に対する補助表示として、左を向いた矢印を上記補助表示領域に表示制御する。また、「撮像日」も基準情報よりも当該静止画像Cの時間情報の方が古い。このため、制御部12は、この静止画像Cの「撮像日」に対する補助表示として、左を向いた矢印を上記補助表示領域に表示制御する。
【0055】
同様に、図9に示す静止画像Dは、2007年3月10日に撮像されたものであり、基準情報として登録された1999年7月7日と比較した場合、「撮像年」は基準情報よりも当該静止画像Dの時間情報の方が新しい。このため、制御部12は、この静止画像Dの「撮像年」に対する補助表示として、右を向いた矢印を上記補助表示領域に表示制御する。また、「撮像月」は基準情報よりも当該静止画像Dの時間情報の方が古い。このため、制御部12は、この静止画像Dの「撮像月」に対する補助表示として、左を向いた矢印を上記補助表示領域に表示制御する。また、「撮像日」は基準情報よりも当該静止画像Dの時間情報の方が新しい。このため、制御部12は、この静止画像Dの「撮像日」に対する補助表示として、右を向いた矢印を上記補助表示領域に表示制御する。
【0056】
なお、静止画像の「撮像年」と基準情報として登録した「年」、又は静止画像の「撮像月」と基準情報として登録した「月」、或いは静止画像の「撮像日」と基準情報として登録した「日」が、同じ「年」、又は「月」、或いは「日」であった場合、制御部12は、矢印の代わりに例えば短い棒線を表示制御する。例えば、図9に示す静止画像Aは、2007年7月4日に撮像されたものであり、基準情報として登録された1999年7月7日と比較した場合、「撮像月」と基準情報の「月」とは同じ「7月」である。このような場合、制御部12は、図9に示すように短い棒線を表示制御することで、被個人認証者に対して、その静止画像の「撮像月」と、基準情報として登録されている「月」とが同じ月であることを示す。この例は、「月」に対応する補助表示であるが、「年」及び「日」に対応する補助表示も同じである。
【0057】
被個人認証者は、上記矢印の方向に基づいて、基準情報として登録されている年月日に対する各静止画像の撮像年月日の新旧を認識することができる。このため、各静止画像の撮像年月日に対する記憶が曖昧な場合でも、該各静止画像を正確な順序に並べ易くすることができる。
【0058】
〔色による選択補助表示〕
次に、上述の例では、登録されている基準情報と各静止画像の撮像日との間における、相対的な時間の前後に関する情報を矢印で表示することとしたが、この相対的な時間の前後に関する情報を「色」で表示してもよい。
【0059】
この場合、制御部12は、図10に示すように各静止画像上に、それぞれ同心となる3重円状の補助表示領域を形成する。各補助表示領域のうち、中心となる円の補助表示領域は「撮像年」に対応し、一番外側の円の補助表示領域は「撮像日」に対応し、上記中心の円と一番外側の円との中間の円の補助表示領域は「撮像月」に対応しており、これら各円の補助表示領域の色は、上記登録した基準情報を基点とする新旧を示すようになっている。
【0060】
例えば、図10に示す静止画像Bは、2006年10月11日に撮像されたものであり、基準情報として登録された1999年7月7日と比較した場合、「撮像年」、「撮像月」及び「撮像日」は共に、基準情報よりも当該静止画像Bの時間情報の方が新しい。このため、制御部12は、この静止画像Bの「撮像年」、「撮像月」及び「撮像日」に対応する上記中心の円、上記中間の円及び上記一番外側の円の各補助表示領域を、それぞれ例えば「白色」に表示制御する。
【0061】
同様に、図10に示す静止画像Dは、2007年3月10日に撮像されたものであり、基準情報として登録された1999年7月7日と比較した場合、「撮像年」は基準情報よりも当該静止画像Dの時間情報の方が新しい。このため、制御部12は、この静止画像Dの「撮像年」に対応する上記中心の円の補助表示領域を例えば「白色」に表示制御する。また、「撮像月」は基準情報よりも当該静止画像Dの時間情報の方が古い。このため、制御部12は、この静止画像Dの「撮像月」に対応する上記中間の円の補助表示領域を例えば「赤色」に表示制御する。また、「撮像日」は基準情報よりも当該静止画像Dの時間情報の方が新しい。このため、制御部12は、この静止画像Dの「撮像日」に対応する上記一番外側の円の補助表示領域を例えば「白色」に表示制御する。
【0062】
なお、静止画像の「撮像年」と基準情報として登録した「年」、又は静止画像の「撮像月」と基準情報として登録した「月」、或いは静止画像の「撮像日」と基準情報として登録した「日」が、同じ「年」、又は「月」、或いは「日」であった場合、制御部12は、対応する円を上記「白」及び「赤」以外の色(例えば緑色)に表示制御する。例えば、図10に示す静止画像Aは、2007年7月10日に撮像されたものであり、基準情報として登録された1999年7月7日と比較した場合、「撮像月」と基準情報の「月」とは同じ「7月」である。このような場合、制御部12は、図10に示すように「月」に対応する円である上記中間の円の補助表示領域を、例えば「緑色」に表示制御することで、被個人認証者に対して、その静止画像の「撮像月」と、基準情報として登録されている「月」とが同じ月であることを示す。この例は、「月」に対応する補助表示であるが、「年」及び「日」に対応する補助表示も同じである。
【0063】
被個人認証者は、この各円の色に基づいて、基準情報として登録されている年月日に対する各静止画像の撮像年月日の新旧を認識することができる。このため、各静止画像の撮像年月日に対する記憶が曖昧な場合でも、該各静止画像を正確な順序に並べ易くすることができる。
【0064】
〔数値による選択補助表示〕
次に、登録されている基準情報と各静止画像の撮像日との間における、相対的な時間の前後に関する情報を「数値」で表示してもよい。この場合、制御部12は、図11に示すように各静止画像の上の補助表示領域に、登録されている基準情報と各静止画像の撮像日との間における相対的な時間の前後に関する「数値」を表示制御する。この数値のうち、一番上の段の数値は「撮像年」に対応し、一番下の段の数値は「撮像日」に対応し、一番上の段と一番下の段の中間の段の数値は「撮像月」に対応しており、各数値自体は、基準情報との時間差を示している。
【0065】
例えば、図11に示す2006年10月11日に撮像された静止画像Bは、上記基準情報である1999年7月7日に対して、「7年後」、「3ヶ月後」、「4日後」に撮像された静止画像となる。このため、制御部12は、この静止画像Bの「撮像年」に対する補助表示として「+7」の数値を、「撮像月」に対する補助表示として「+3」の数値を、「撮像日」に対する補助表示として「+4」の数値を、それぞれ上記補助表示領域の各段に表示制御する。
【0066】
同様に、図11に示す2007年3月10日に撮像された静止画像Dは、上記基準情報である1999年7月7日に対して、「8年後」、「4ヶ月前」、「3日後」に撮像された静止画像となる。このため、制御部12は、この静止画像Dの「撮像年」に対する補助表示として「+8」の数値を、「撮像月」に対する補助表示として「−4」の数値を、「撮像日」に対する補助表示として「+3」の数値を、それぞれ上記補助表示領域の各段に表示制御する。
【0067】
なお、静止画像の「撮像年」と基準情報として登録した「年」、又は静止画像の「撮像月」と基準情報として登録した「月」、或いは静止画像の「撮像日」と基準情報として登録した「日」が、同じ「年」、又は「月」、或いは「日」であった場合、制御部12は、対応する段の数値として「±0」の数値を表示制御する。例えば、図11に示す静止画像Aは、2007年7月10日に撮像されたものであり、基準情報として登録された1999年7月7日と比較した場合、「撮像月」と基準情報の「月」とは同じ「7月」である。このような場合、制御部12は、図11に示すように、この静止画像Aの「月」に対応する補助表示領域に対して「±0」の数値を表示制御することで、被個人認証者に対して、その静止画像の「撮像月」と、基準情報として登録されている「月」とが同じ月であることを示す。この例は、「月」に対応する補助表示であるが、「年」及び「日」に対応する補助表示も同じく「±0」の数値を表示制御する。
【0068】
被個人認証者は、この各数値に基づいて、基準情報として登録されている年月日に対する各静止画像の撮像年月日の時間差を認識することができる。このため、各静止画像の撮像年月日に対する記憶が曖昧な場合でも、該各静止画像を正確な順序に並べ易くすることができる。
【0069】
〔色と数値による選択補助表示〕
上述の「色」と「数値」を組み合わせて、上記基準情報と各静止画像の時間情報との間の相対的な時間差を表示してもよい。この場合、制御部12は、例えば「±0」の数値は「白色」、「+1」の数値は「青色」、「+2」の数値は「緑色」、「+3」の数値は「赤色」、「−1」の数値は「黄色」、「−2」の数値は「紫色」、「−3」の数値は「黒色」・・・等のように、各数値にそれぞれ対応する複数の色で、上記基準情報と各静止画像の時間情報との間の相対的な時間差を表示する。
【0070】
これにより、上述と同様に被個人認証者は、この各数値に対応する色に基づいて、基準情報として登録されている年月日に対する各静止画像の撮像年月日の時間差を認識することができ、各静止画像の撮像年月日に対する記憶が曖昧な場合でも、該各静止画像を正確な順序に並べ易くすることができる。
【0071】
なお、上述の「矢印による選択補助表示」、「色による選択補助表示」、「数値による選択補助表示」では、「年」、「月」、「日」別に補助表示を行うこととしたが、「年」、「月」、「日」のうち、いずれか一つ或いは二つの補助表示を行ってもよい。また、基準情報に時刻情報(=時分秒の情報)を追加し、各静止画像に付加されている撮像時刻情報に基づいて、時分秒単位の選択補助表示を行うようにしてもよい。
【0072】
[実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、この実施の形態の携帯電話機は、当該携帯電話機で撮影、若しくは管理、保存されている静止画像を用いて個人認証を行う。これにより、既存のシステムで簡単に実現可能とすることができる。
【0073】
また当該実施の形態の携帯電話機の正規のユーザであれば、自分の記憶や静止画像に写っている人物や景色等に基づいて、時間軸上の前後関係を容易に判断することができるが、第三者にとって、各静止画像は馴染みの薄いものであり、各静止画像の時間的な前後の関係を推測することは困難となる。このため、正規のユーザにとっては比較的容易に認証通過が可能であるのに対し、第三者の不正な認証通過を困難なものとすることができ、高いセキュリティ性を確保することができる。
【0074】
また、選択候補として表示する静止画像は、正規のユーザにより予め指定されたフォルダから毎回、無作為に選択されるため、さらに高いセキュリティ性を確保することができる。
【0075】
また、時間の経過と共に人間の記憶は曖昧となるが、制御部12は、時間的に新しい静止画像を優先的に選択し、これらを表示候補として表示部4に表示することができるため、当該携帯電話機の正規のユーザ自身による各静止画像の並べ替えミスを軽減することができる。
【0076】
[変形例]
上述の実施の形態の説明では、個人認証に静止画像を用いることとしたが、動画像を用いてもよい。この場合、例えば再生開始時刻から数秒分等の所定時間分の各動画像を用い、被個人認証者は、各動画像の中から正解となる動画像を選択する。これにより、上述と同じ効果を得ることができる。
【0077】
また、個人認証時に並べ替える静止画像の枚数、正解とする静止画像の枚数、選択候補として表示する静止画像の枚数は、それぞれ変更可能としてもよい。このような変更により、セキュリティレベルの調整を可能とすることができる他、上述と同じ効果を得ることができる。
【0078】
また、上述の実施の形態は、本発明を携帯電話機に適用した例であったが、本発明は、この他、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、ノート型或いはデスクトップ型のパーソナルコンピュータ装置、携帯ゲーム機、デジタルカメラ装置、ビデオカメラ装置等の他の端末機器に適用してもよい。いずれの場合でも、上述と同じ効果を得ることができる。
【0079】
最後に、上述の実施の形態は、本発明の一例である。このため、本発明は上述の実施の形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明を適用した実施の形態となる携帯電話機のブロック図である。
【図2】実施の形態の携帯電話機の時系列静止画像認証機能を説明するための図である。
【図3】実施の形態の携帯電話機の時系列静止画像認証機能を用いた個人認証時における、被個人認証者の静止画像の並べ替え操作を説明するための図である。
【図4】実施の形態の携帯電話機の時系列静止画像認証機能を用いた個人認証時における静止画像の分割無作為選択方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施の形態の携帯電話機の時系列静止画像認証機能を用いた個人認証時における静止画像の分割無作為選択方法のキーとなる静止画像の抽出処理を説明するための図である。
【図6】実施の形態の携帯電話機の時系列静止画像認証機能を用いた個人認証時における静止画像の分割無作為選択方法の、表示する静止画像の選択処理を説明するための図である。
【図7】実施の形態の携帯電話機の時系列静止画像認証機能を用いた個人認証時における静止画像の偏重無作為選択方法を説明するための図である。
【図8】実施の形態の携帯電話機の時系列静止画像認証機能を用いた個人認証時における静止画像の偏重無作為選択方法の各静止画像に対する重み付け処理を説明するための図である。
【図9】実施の形態の携帯電話機の時系列静止画像認証機能を用いた個人認証時において、ランダムに表示された各静止画像の正しい順序での並べ替えを矢印の向きで補助する時系列静止画像認証選択補助機能を説明するための図である。
【図10】実施の形態の携帯電話機の時系列静止画像認証機能を用いた個人認証時において、ランダムに表示された各静止画像の正しい順序での並べ替えを、該各静止画像に付す色で補助する時系列静止画像認証選択補助機能を説明するための図である。
【図11】実施の形態の携帯電話機の時系列静止画像認証機能を用いた個人認証時において、ランダムに表示された各静止画像の正しい順序での並べ替えを、予め登録された基準情報と各静止画像の時間情報との間における、相対的な時間差を示す数値を表示して補助する時系列静止画像認証選択補助機能を説明するための図である。
【符号の説明】
【0081】
1 携帯電話機のアンテナ、2 通信回路、3 操作部、4 表示部、5 スピーカ部、6 マイクロホン部、7 発光部(LED)、8 カメラ部、9 バイブレーションユニット、10 タイマ、11 メモリ、12 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ時間情報が付された複数の静止画像が記憶された記憶手段と、
個人認証時において、上記記憶手段に記憶された静止画像のうち、複数枚の静止画像を無作為に選択して表示手段に表示する静止画像無作為選択手段と、
上記静止画像無作為選択手段により上記表示手段に表示された各静止画像を、被個人認証者の並べ替え操作に対応する順序で並べ替えて表示する並べ替え表示制御手段と、
上記並べ替え表示制御手段により並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序であった場合、上記被個人認証者を正規のユーザとして認証し、上記並べ替え表示制御手段により並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序ではなかった場合、上記被個人認証者の認証を拒否する認証手段と
を有する個人認証装置。
【請求項2】
請求項1に記載の個人認証装置であって、
上記静止画像無作為選択手段は、時系列上に配置した各静止画像を繰り返し分割して、その中からランダムに選択した複数の静止画像を上記表示手段に表示すること
を特徴とする個人認証装置。
【請求項3】
請求項1に記載の個人認証装置であって、
上記静止画像無作為選択手段は、重み付けした各静止画像の中からランダムに選択した複数の静止画像を上記表示手段に表示すること
を特徴とする個人認証装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうち、いずれか一項に記載の個人認証装置であって、
正規のユーザにより指定された所望の時間を示す基準時間情報が記憶された基準時間情報記憶手段と、
上記表示手段に表示された複数の静止画像が有する各時間情報と、上記基準時間情報記憶手段に記憶された上記基準時間情報との相対的な時間差を示す表示を行う補助表示手段と
を有することを特徴とする個人認証装置。
【請求項5】
個人認証時において、静止画像無作為選択手段が、それぞれ時間情報が付された複数の静止画像が記憶された記憶手段から、複数枚の静止画像を無作為に選択して表示手段に表示するステップと、
上記ステップで、上記表示手段に表示された各静止画像を、並べ替え表示制御手段が、被個人認証者の並べ替え操作に対応する順序で並べ替えて表示するステップと、
上記ステップで、並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序であった場合、認証手段が、上記被個人認証者を正規のユーザとして認証するステップと、
上記ステップで、上記並べ替え表示制御手段により並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序ではなかった場合、認証手段が、上記被個人認証者の認証を拒否するステップと
を有する個人認証方法。
【請求項6】
個人認証時において、それぞれ時間情報が付された複数の静止画像が記憶された記憶手段から、複数枚の静止画像を無作為に選択して表示手段に表示する静止画像無作為選択手段としてコンピュータを機能させ、
コンピュータを上記静止画像無作為選択手段として機能させることで上記表示手段に表示された各静止画像を、被個人認証者の並べ替え操作に対応する順序で並べ替えて表示する並べ替え表示制御手段としてコンピュータを機能させ、
コンピュータを上記並べ替え表示制御手段として機能させることで、上記並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序であった場合、上記被個人認証者を正規のユーザとして認証し、コンピュータを上記並べ替え表示制御手段として機能させることで、上記並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序ではなかった場合、上記被個人認証者の認証を拒否する認証手段としてコンピュータを機能させること
を特徴とする個人認証プログラム。
【請求項7】
それぞれ時間情報が付された複数の静止画像が記憶された記憶手段と、
個人認証時において、上記記憶手段に記憶された静止画像のうち、複数枚の静止画像を無作為に選択して表示手段に表示する静止画像無作為選択手段と、
上記静止画像無作為選択手段により上記表示手段に表示された各静止画像を、被個人認証者の並べ替え操作に対応する順序で並べ替えて表示する並べ替え表示制御手段と、
上記並べ替え表示制御手段により並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序であった場合、上記被個人認証者を正規のユーザとして認証し、上記並べ替え表示制御手段により並べ替えて表示された各静止画像の時間情報が、時間軸に沿った順序ではなかった場合、上記被個人認証者の認証を拒否する認証手段と
を有する端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−69932(P2009−69932A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234996(P2007−234996)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】