説明

偏心測定装置

【課題】測定子を径方向とこれと垂直な方向の2方向に移動可能とすることでポケットギアも検査可能な偏心測定装置を提供する。また、歯溝の平行度を検査可能な偏心測定装置を提供する。
【解決手段】偏心測定装置50によれば、測定子34を径方向(X軸方向)とこれと垂直な方向(Z軸方向)の2方向に移動する。これにより、歯溝の外側に外壁が形成されたポケットギアの検査も問題なく行うことができる。また、測定子34が2方向に移動するため、歯溝の平行度の検査と偏心度の検査とを一つの測定子34で連続して行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車の軸孔の偏心度を検査する偏心測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止の観点から化石燃料への依存度が低い電気自動車やハイブリット車等が注目されている。しかしながら、このような電気モータを動力とする機械設備では、歯車等の機械部品の加工精度によりその消費電力が左右される。従って、従来は抜き取り検査が主流であった歯車に対しても全数検査の実施が求められている。ここで、下記[特許文献1]には、従来手作業で行っていた歯車の偏心量を自動で測定する真円度測定方法に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−11332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、[特許文献1]のように歯車の径方向から測定子を差入れる従来の検査装置では、歯溝の外側に外壁が形成されたポケットギアの検査を行うことができない。また、測定子が径方向にしか移動しないため歯溝の平行度、即ち歯溝のテーパ度を検査することはできない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、測定子を径方向とこれと垂直な方向の2方向に移動可能とすることでポケットギアも検査可能な偏心測定装置を提供することを目的とする。また、歯溝の平行度を検査可能な偏心測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(1)歯車(ワーク5)を保持する保持部30と、前記歯車を回転する回転部32と、前記歯車の歯溝7に押圧することで歯溝7の底の位置を測定する測定子34と、前記測定子34の測定端34aを保持する軸体部34bと、前記測定子34を歯溝7の底方向に移動させる第1の移動手段36と、を有する偏心測定装置において、
歯車の回転軸をZ軸としたときに、前記測定子34をZ軸方向に移動させる第2の移動手段38を更に備え、前記軸体部34bがZ軸方向と略平行であるとともに、第2の移動手段38が前記測定端34aを歯溝7近傍に位置させた後に、第1の移動手段36が前記回転部32と連動して前記測定端34aを歯溝7の底に押圧することを特徴とする偏心測定装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)第2の移動手段38が測定端を歯溝7の底の両端近傍に位置させ、当該両端近傍でそれぞれ取得される第1の距離データLaと第2の距離データLbとから歯溝のZ軸方向に対する平行度を検査することを特徴とする上記(1)記載の偏心測定装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、測定子が径方向とこれと垂直な方向の2方向に移動可能なためポケットギアの偏心度の検査も行うことができる。また、歯溝の平行度の検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る偏心測定装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る偏心測定装置の検査開始位置の認識動作を説明する図である。
【図3】本発明に係る偏心測定装置の検査動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る偏心測定装置について図面に基づいて説明する。図1に示す本発明に係る偏心測定装置50は、検査対象である歯車(ワーク5)を保持する保持部30と、保持部30を回転することでワーク5を回転させる回転部32と、ワーク5の歯溝7に押圧することで歯溝7の底の位置を測定する測定子34と、測定子34を歯溝7の底方向(径方向)に移動させる第1の移動手段36と、ワーク5の回転軸をZ軸としたときに測定子34をZ軸方向に移動させる第2の移動手段38と、を有している。
【0010】
また、偏心測定装置50は各部の動作を制御する制御部20と、作業者等が偏心測定装置50を操作するための操作部22と、偏心測定装置50の操作内容や動作状況を表示する液晶ディスプレイ等の表示部26と、ワーク5の測定データ等を記録する記録部24と、を有している。
【0011】
偏心測定装置50の保持部30は、例えば径が外側に拡張してワーク5の軸孔を内側から保持する周知のチャック等が用いられる。尚、保持部30にチャックを用いる場合には、複数の径のチャックを段状に形成し軸孔の径が異なる種々のワーク5に対応可能とすることが好ましい。
【0012】
測定子34は、略球形の測定端34aと当該測定端34aを保持する軸体部34bとで主に構成されている。そして、軸体部34bはZ軸方向と平行となるように測定アーム10に固定される。尚、測定子34は検査するワーク5に応じて交換可能としても良い。
【0013】
測定アーム10はスライドレール12により可動な状態でベース部14に設置されており、ベース部14には第1の移動手段36と第2の移動手段38とが設置されている。そして、ベース部14はこの第1の移動手段36の動作により歯溝7の底の方向(X軸方向とする)に移動する。また、第2の移動手段38の動作によりX軸方向と略垂直なZ軸方向に移動する。そして、このベース部14の移動に伴い測定アーム10及び測定子34もX軸方向及びZ軸方向に移動する。第1の移動手段36、第2の移動手段38及び前述の回転部32としては、制御部20の制御により回転動作する周知のサーボモータなどが用いられる。
【0014】
また、測定アーム10とベース部14の間にはコイルばね等の周知の弾性部材18が設置され、検査時に測定子34をワーク5の方向に押圧する。尚、図1では弾性部材18として引っ張りばねを設置した例を示しているが、特にこの構成に限定されるものではない。さらに、測定アーム10は測定板16を有している。そして、測定板16と対向するベース部14には距離測定手段40が設置される。この距離測定手段40は測定板16までの距離を測定することで間接的に測定端34aの位置、即ち歯溝7の底の位置を取得し、距離データとして制御部20に出力する。距離測定手段40としては接触、非接触を問わず周知の距離測定装置を用いることができる。ただし、図1に示すように、測定による摩耗が生じない非接触式のレーザ距離測定装置を用いることが特に好ましい。この場合、測定板16はレーザ光を反射する反射板となる。
【0015】
また、ベース部14にはワーク5の検査開始位置を認識する測定位置認識手段42が設置される。測定位置認識手段42としては、距離測定手段40と同様に周知のレーザ距離測定装置を用いることが好ましい。
【0016】
次に、本発明に係る偏心測定装置50の動作を説明する。尚、偏心測定装置50ではワーク5の検査動作開始前にキャリブレーションを行い、キャリブレーションデータを予め取得しておくことが好ましい。このキャリブレーションデータは、保持部30及び回転部32自体の偏心度のデータであり検査時の距離データの補正に使用する。尚、キャリブレーションデータの取得は基本的に偏心測定装置50の立上げ時に一度行えば良い。ここでキャリブレーションデータの取得方法の好適な一例を以下に示す。先ず、高い寸法精度で作製された円筒状のキャリブレーション治具を保持部30に装着し、後述の偏心度の検査と同様の動作を行う。これによりキャリブレーション治具の全周の距離差データLn’を取得する。次に、制御部20は取得された距離差データLn’を回転部32の位置と対応させ、これをキャリブレーションデータとする。
【0017】
次に、作業者は操作部22を介して検査を行うワーク5の品種情報を設定する。ワーク5の品種情報とは、例えば、歯数、ピッチ、歯溝の長さ(ワーク5の高さ)、歯先円の径、歯底円の径等である。この品種情報の設定は作業者がその都度入力しても良いが、複数の歯車の品種情報を予め記録部24等に記録しておき、作業者が検査するワーク5(歯車)の品種情報を一覧から選択して行うことが好ましい。ワーク5の品種情報が入力されると、制御部20はこの品種情報に基づいて、以後の第1の移動手段36、第2の移動手段38、回転部32等の移動量を制御する。
【0018】
次に、作業者は保持部30に検査するワーク5の軸孔を嵌める。このときベース部14は原点位置にある。次に、作業者は操作部22を介して検査開始指示を行う。尚、偏心測定装置50がワーク搬入搬出装置と連携して動作する場合には、ワーク搬入搬出装置がワーク5を保持部30に装着し検査開始指示を行う。検査開始指示が入力すると、制御部20は保持部30を拡張動作させワーク5を保持する。
【0019】
次に、制御部20は検査開始位置の設定を行う。検査開始位置の設定は以下のようにして行う。先ず、制御部20は品種情報に基づいて第1の移動手段36を動作させ、測定位置認識手段42のレーザ光が図2の破線で示す歯溝7の略中央部分に照射されるようベース部14を移動する。次に、制御部20は測定位置認識手段42を動作させるとともに、回転部32を制御してワーク5を所定のピッチ分回転させる。これにより、測定位置認識手段42は例えば図2の破線で示すラインをスキャンして、この距離データを制御部20に出力する。制御部20は取得した距離データから図2の黒丸で示す歯と歯溝7の境界位置を認識する。次に、制御部20はこの境界位置のデータからスキャンライン上の歯溝7の幅を算出し、この歯溝7の幅の1/2の位置をこのワーク5の検査開始位置として設定する。このときの測定位置認識手段42によるスキャン動作は複数の歯溝7に対して行い、これら複数の歯溝7の幅の平均値の1/2の位置に基づいて検査開始位置を設定することが誤差低減の面から好ましい。このようにして設定された検査開始位置はワーク5をZ軸方向から見たときの歯溝7の底の位置と略一致する。そして、制御部20は回転部32を制御してX軸上にワーク5の検査開始位置を位置させる。これにより、保持部30の中心(ワーク5の軸孔の中心)と検査開始位置と測定端34aとがX軸上に並ぶこととなる。以上が偏心測定装置50における検査開始位置設定の好適な一例である。
【0020】
次に、制御部20は第1の移動手段36を動作させ、測定子34をベース部14ごと所定の待機位置に移動させる。特にワーク5がポケットギアの場合には、図3の位置Aに示すように、測定子34(測定端34a)を歯部と外壁5aとの間に位置させる。尚、現段階では測定子34はワーク5の上方に位置しているため、第1の移動手段36の動作により測定子34が外壁5aに接触することはない。
【0021】
次に、偏心測定装置50は歯溝7のZ軸方向に対する平行度(歯溝のテーパ)を検査する。尚、歯溝7の平行度の検査は、以下の例に示すように1つのワーク5に対して1回行っても良いし、全ての歯溝7に対して行っても良い。また、偏心度の検査の前後もしくは途中で45°、60°、90°、180°等の所定の角度ごと、もしくは所定のピッチごとに行っても良い。
【0022】
歯溝7の平行度の検査は以下のようにして行う。先ず、制御部20は品種情報に基づいて第2の移動手段38を動作させ、測定子34の測定端34aを歯溝7の底の一端(図3中では上端)近傍の位置B1に降下させる。これにより、ワーク5がポケットギアの場合、測定端34aが外壁5aの内側に位置する。
【0023】
次に、制御部20は品種情報に基づいて第1の移動手段36を動作させ、ベース部14を歯溝7の底方向(X軸方向)に一定量移動させる。このときのベース部14の移動量は位置B1から歯溝7の底の位置B2までの距離よりも若干長い距離とする。この第1の移動手段36の動作により測定子34の測定端34aも歯溝7の底方向に移動する。ただし、測定端34aは歯溝7の底の位置B2に当接してここで停止し、スライドレール12の介在によりこれ以上はベース部14の移動に追従しない。そして、測定端34aはこの際の弾性部材18の弾性力によって歯溝7の底に押圧される。
【0024】
距離測定手段40はこのときの測定板16までの距離を測定し、第1の距離データLaとして制御部20に出力する。制御部20は第1の距離データLaを記録部24に記録する。
【0025】
次に、制御部20は第1の移動手段36を同量逆動作させる。これにより、測定端34aは位置B1に戻る。次に、制御部20は品種情報に基づいて第2の移動手段38を動作させ、測定端34aを歯溝7の底の他端(図3中では下端)近傍の位置C1に降下させる。次に、制御部20は位置B1の時と同様に第1の移動手段36を動作させ、測定子34を歯溝7の底方向に移動させる。この第1の移動手段36の動作により、測定端34aは歯溝7の底の位置C2に当接して停止する。また、弾性部材18の弾性力によって歯溝7の底に押圧される。
【0026】
距離測定手段40はこのときの測定板16までの距離を測定し第2の距離データLbとして制御部20に出力する。制御部20は第2の距離データLbと記録部24に記録された第1の距離データLaとの差を算出し、この差が予め設定された上限値及び下限値の範囲内にあるか否かを判定する。ここで、第1の距離データLaは歯溝7の底の上端近傍のB2の位置を間接的に示し、第2の距離データLbは歯溝7の底の下端近傍のC2の位置を間接的に示している。よって、第2の距離データLbと第1の距離データLaとの差は、歯溝7のZ軸方向に対する平行度に相当する。従って、制御部20は、第2の距離データLbと第1の距離データLaとの差が上限値及び下限値の範囲内にあれば、ワーク5の平行度は適正範囲内と判定し、このまま連続して偏心度の検査に移行する。また、この差が上限値もしくは下限値を超えている場合、制御部20はワーク5を平行度不良と判定し、作業者に報知するとともにベース部14を原点位置に戻す。また、保持部30によるワーク5の保持を解除する。作業者は不良と判定されたワーク5を取り外し、次のワーク5を保持部30に設置した上で検査開始指示を行う。また、偏心測定装置50がワーク搬入搬出装置と連携して動作する場合、ワーク搬入搬出装置が不良と判定されたワーク5を搬出して良品とは別のルートに送るとともに、次のワーク5を保持部30に装着し検査開始指示を行う。
【0027】
ワーク5の平行度が適正範囲内と判定された場合、偏心測定装置50は平行度の検査に引き続いてワーク5の偏心度の検査を行う。偏心測定装置50による偏心度の検査は以下のようにして行う。先ず、制御部20は品種情報に基づいて第2の移動手段38を動作させ、測定端34aを歯溝7の底の略中央近傍の位置D1に移動させる。次に、制御部20は品種情報に基づいて第1の移動手段36を動作させ、測定端34aを歯溝7の底方向に一定量移動させる。このときの移動量は基本的に平行度の検査時と同量である。この第1の移動手段36の動作により、測定端34aは歯溝7の底の位置D2に当接し停止する。また、弾性部材18の弾性力によって歯溝7の底に押圧される。
【0028】
距離測定手段40はこのときの測定板16までの距離を測定し、距離データL0として制御部20に出力する。制御部20はこの距離データL0を先に取得したキャリブレーションデータで補正し基準距離データL0として記録部24に記録する。次に、制御部20は第1の移動手段36を同量逆動作させる。これにより、測定端34aは位置D1に戻る。
【0029】
次に、制御部20は品種情報に基づいて回転部32を動作させ、ワーク5を1ピッチ分回転させる。これにより、測定端34aのX軸方向にはワーク5の次の歯溝7の底が位置する。次に、制御部20は基準距離データL0取得時と同様の制御を行い、次の歯溝7の距離データL1を取得する。そして、取得した距離データL1をキャリブレーションデータで補正した上で記録部24に記録された基準距離データL0との差をとり、距離差データL1’として記録部24に記録する。
【0030】
次に、制御部20は回転部32を動作させ、ワーク5をさらに1ピッチ分回転させる。そして上記の動作を繰り返し各歯溝7の底の距離データLnを取得し、上記と同様の手順で距離差データLn’を算出し記録部24に記録する。この際、表示部26に距離差データLn’を、数値もしくはグラフで随時表示するようにしても良い。また、距離測定手段40からの距離データLnを一旦記録部24に記録し、測定終了後に一括して基準距離データL0との差を算出するようにしても良い。
【0031】
ワーク5が一回転して全ての歯溝7の距離差データLn’が取得されると、制御部20はベース部14を原点位置に戻すとともに、全ての距離差データLn’が予め設定された上限値及び下限値の範囲内であるか否かを判定する。
【0032】
ここで、各距離差データLn’は、ワーク5の軸孔を中心としたときの各歯溝7の底の位置ばらつきに相当する。そして、距離差データLn’が連続的に増加もしくは減少している場合、軸孔はワーク5の中心に位置しておらず偏心していることを意味している。そして、距離差データLn’の最大値及び最小値はこの偏心の度合いと相関する。よって制御部20は全ての距離差データLn’が上限値及び下限値の範囲内にある場合、ワーク5の偏心度は適正範囲内にあるとしてこのワーク5を良品と判定する。そして、これを作業者等に報知するとともにワーク5の保持を解除する。また、制御部20は距離差データLn’が1つでも上限値及び下限値を超えた場合、このワーク5を不良品と判定する。そして、これを作業者等に報知するとともにワーク5の保持を解除する。尚、本構成によれば、1つの距離差データLn’のみが異常値を示す例えば歯溝7の加工不良等も同時に選別することができる。
【0033】
ワーク5の良否判定が終了すると、作業者もしくはワーク搬入搬出装置は検査終了したワーク5を取り外し、偏心測定装置50の良否判定に従って分別する。この際、作業者の人為的ミスによる不良品の混入を防止するため、不良判定時には特別な操作を行わないと次のワーク5の検査動作に移行しない構成としても良い。特別な操作とは、例えば不良品回収ボックスの開閉や、不良確認ボタンの押下、特殊なボタン操作等が挙げられる。
【0034】
上記のようにして、あるワーク5に対する平行度の検査及び偏心度の検査が終了すると、作業者もしくはワーク搬入搬出装置は次のワーク5を保持部30に装着し検査開始指示を行う。これにより、偏心測定装置50は次のワーク5の検査を検査開始位置の設定から行う。このようにして、ワーク5の平行度と偏心度の全数検査が進行する。
【0035】
尚、偏心測定装置50は検査履歴の保存等のため、検査した全てのワーク5の距離差データLn’を記録しておくことが好ましい。この場合の記録部24としては、半導体メモリに加え大容量のハードディスクを備えていることが好ましい。
【0036】
また、上記の説明ではワーク5の全ての歯溝7の距離差データLn’を取得した上で偏心度の良否判定を行う例を示したが、距離差データLn’の取得時に随時良否判定を行い、不良品と判定された時点でそのワーク5の検査を終了するようにしても良い。
【0037】
以上のように、本発明に係る偏心測定装置50によれば、測定子34を径方向(X軸方向)とこれと垂直な方向(Z軸方向)の2方向に移動する。これにより、歯溝7の外側に外壁5aが形成されたポケットギアの検査も問題なく行うことができる。また、測定子34が2方向に移動するため、歯溝7の平行度の検査と偏心度の検査とを一つの測定子34で連続して行うことができる。これにより、検査時間(タクトタイム)の短縮を図ることができる。また、測定子34が一つであるためこれに関連する装置、部材も一つで良く、装置コストの低減と制御部20の演算処理及び制御処理の簡略化、高速化を図ることができる。
【0038】
尚、前述のように本発明に係る偏心測定装置50の各部の構成、形状、動作、機構、検査開始位置の設定手順、平行度の検査手順、偏心度の検査手順等は特に上記の例に限定されるものではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
5 ワーク(歯車)
7 歯溝
30 保持部
32 回転部
34 測定子
34a 測定端
34b 軸体部
36 第1の移動手段
38 第2の移動手段
50 偏心測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯車を保持する保持部と、
前記歯車を回転する回転部と、
前記歯車の歯溝に押圧することで歯溝の底の位置を測定する測定子と、
前記測定子の測定端を保持する軸体部と、
前記測定子を歯溝の底方向に移動させる第1の移動手段と、を有する偏心測定装置において、
歯車の回転軸をZ軸としたときに、前記測定子をZ軸方向に移動させる第2の移動手段を更に備え、前記軸体部がZ軸方向と略平行であるとともに、第2の移動手段が前記測定端を歯溝近傍に位置させた後に、第1の移動手段が前記回転部と連動して前記測定端を歯溝の底に押圧することを特徴とする偏心測定装置。
【請求項2】
第2の移動手段が測定端を歯溝の底の両端近傍に位置させ、当該両端近傍でそれぞれ取得される第1の距離データと第2の距離データとから歯溝のZ軸方向に対する平行度を検査することを特徴とする請求項1記載の偏心測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−61256(P2013−61256A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200108(P2011−200108)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(311013155)システムセイコー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】