説明

健康測定データ中継装置およびそれに健康データを送る健康測定機器

【課題】通信可能な健康測定機器を登録するためのユーザインタフェースを備えずに簡単に健康測定機器を登録することのできる健康測定データ中継装置およびそれに健康データを送る健康測定装置を提供する
【解決手段】健康測定データ中継装置は、健康測定機器と通信を行う第1の通信手段と、インターネット通信を行う第2の通信手段と、通信可能な健康測定機器の機器識別情報を記憶している第1の記憶手段と、第1の通信手段で受信した機器識別情報と第1の記憶手段に記憶している機器識別情報とを照合する照合手段と、自身の装置識別情報を表示する第1の表示手段と、第2の通信手段で受信した機器識別情報を含むメールを解析して含まれる機器識別情報を抽出し、且つ、第1の記憶手段に該機器識別情報が記憶されていない場合には第1の記憶手段に該機器識別情報を記憶するメール解析手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家庭などで測定した健康データをデータサーバに中継する健康測定データ中継装置およびそれに健康データを送る健康測定機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線回線により接続される健康測定機器と健康測定データ中継装置は、家庭内で使用する場合、健康測定データ中継装置には、接続される健康測定機器を特定できる機器識別情報が登録されていなければならない。なぜなら、集合住宅など隣り合う家庭で共に同じシステムを導入した場合、健康測定機器から出力される健康データが隣の家の健康測定データ中継装置に送信される可能性があるためである。
そして、機器識別情報を登録する方法として、健康測定データ中継装置を受信状態に維持し、健康測定機器から識別のための固有情報を持つ登録信号を送信し、健康測定データ中継装置は受信した機器識別情報を登録する方法がある(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
例えば、健康測定機器を健康測定データ中継装置に登録するとき、登録が可能な状態にするために、特定のスイッチを押下し、健康測定機器から登録情報が送信され、登録が完了した時点でLEDなどを点灯するという簡素なユーザインタフェースを使う方法がある。
【0003】
【特許文献1】特開2006−3991号公報
【特許文献2】特開2006−26208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この方法では、測定者が登録の方法を分かっていないと登録することができないという問題がある。
また、使い勝手を良くするために健康測定データ中継装置のユーザインタフェースを充実させると、装置自体のコストが上昇したり、消費電力が増大したりという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、通信可能な健康測定機器を登録するためのユーザインタフェースを備えずに簡単に健康測定機器を登録することのできる健康測定データ中継装置およびそれに健康データを送る健康測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る健康測定データ中継装置は、健康測定機器と通信を行う第1の通信手段と、インターネット通信を行う第2の通信手段と、通信可能な上記健康測定機器の機器識別情報が記憶されている第1の記憶手段と、上記第1の通信手段で受信した機器識別情報と上記第1の記憶手段に記憶されている機器識別情報とを照合する照合手段と、上記第2の通信手段で受信した機器識別情報を含むメールを解析するメール解析手段と、自身の装置識別情報を表示する第1の表示手段と、を備え、上記メール解析手段は、上記第2の通信手段で受信した機器識別情報を含むメールを解析して含まれる機器識別情報を抽出し、且つ、上記第1の記憶手段に該機器識別情報が記憶されていない場合には上記第1の記憶手段に該機器識別情報を記憶する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る健康測定データ中継装置の効果は、通信可能な健康測定機器を登録するためのユーザインタフェースを具備していなくても、新たに通信可能な健康測定機器を登録することができる。また、ユーザが一般的に所持しているカメラ付携帯電話機の撮影機能およびメール機能を使うだけで、通信可能な健康測定機器を登録することができるので、ユーザに専用の知識を求めなくても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、この発明の実施の形態による健康測定システムの構成図である。
この発明の実施の形態による健康測定システムは、サービスプロバイダ3が提供するサービスを受けるためのシステムであり、このサービスは、家庭2内で測定した健康データをサービスプロバイダ3が設置するデータサーバ4に記憶することである。
そして、この発明の実施の形態による健康測定システムは、体重、血圧、体脂肪率などの健康データを測定するための体重計、血圧計、体脂肪計などの健康測定機器5、健康測定機器5で測定した健康データを収集しデータサーバ4に中継する健康測定データ中継装置としての宅内ゲートウエイ6、健康データを記憶するデータサーバ4を備える。
【0009】
また、この発明の実施の形態による健康測定システムでは、健康測定機器5と宅内ゲートウエイ6との間で無線9による通信が行われ、宅内ゲートウエイ6とデータサーバ4との間でインターネット10を介する通信が行われる。
【0010】
また、この発明の実施の形態による健康測定システムは、宅内ゲートウエイ6が健康測定機器5からの健康データを受信できるように登録するときに必要となるカメラ付携帯電話機11を備える。なお、携帯電話サービスを提供する携帯電話会社は携帯電話網を構築しインターネット10と接続している。
インターネット10に接続するデータサーバ4、宅内ゲートウエイ6およびカメラ付携帯電話機11には、IPアドレスが割り当てられている。
【0011】
健康測定機器5は、健康データを測定する測定手段21、健康データを測定するときに測定者を家族内で識別する家族内識別情報設定手段としてのユーザインタフェース22、自身に割り当てられた機器識別情報を記憶する第2の記憶手段としての機器識別情報記憶手段23、宅内ゲートウエイ6と無線通信する第3の通信手段24を備える。
ユーザインタフェース22は、例えば4個の押しボタンからなり、例えば、父親に第1の押しボタン、母親に第2の押しボタン、長男に第3の押しボタン、長女に第4の押しボタンを割り当てることができる。
機器識別情報記憶手段23は、自身に割り当てられた機器識別情報を記憶する。
【0012】
第3の通信手段24は、健康データの測定が完了すると、押されている押しボタンから家族内識別情報としての家族内IDを特定する。例えば、第1の押しボタンが押されているとき「00」、第2の押しボタンが押されているとき「01」、第3の押しボタンが押されているとき「10」、第4の押しボタンが押されているとき「11」が家族内IDとして特定される。
また、第3の通信手段24は、特定した家族内ID、測定した健康データおよび機器識別情報記憶手段23に記憶されている機器識別情報を組にして宅内ゲートウエイ6に送信する。
【0013】
図2(a)には、健康測定機器5の一種である体重計にQRコードを付けた例である。
また、健康測定機器5は、自身を他の健康測定機器5から区別するための機器識別情報が割り当てられており、割り当てられた機器識別情報が、図2(a)に示すような、ステッカ上に第2の表示手段としてのQRコード25により表示され、ステッカが健康測定機器5のカメラ付携帯電話機11で撮影できる位置に貼られている。なお、第2の表示手段としてQRコード25以外に、2次元コードであるData Matrixコード、PDF417コード、Maxi Codeコード、Veri Codeコードであっても良い。また、2次元コード以外にバーコード、テキストなどであっても良い。
【0014】
宅内ゲートウエイ6は、健康測定機器5と無線による通信を行う第1の通信手段26、インターネット10を介した通信を行う第2の通信手段27、通信可能な健康測定機器5の機器識別情報が記憶されている第1の記憶手段としての登録機器記憶手段28、家族内IDに対応する第1の測定者識別情報としての加入者IDが予め登録されている家族内ID−加入者ID対応表が記憶されている対応表記憶手段29を有する。
また、宅内ゲートウエイ6は、新たに通信可能な健康測定機器を登録するメール解析手段としての機器登録手段30、第1の通信手段26で健康測定機器5から送信される機器識別情報と登録機器記憶手段28に記憶されている機器識別情報とを照合する照合手段31、第1の通信手段26で健康測定機器5から送信される家族内IDを用いて対応表記憶手段29に記憶される家族内ID−加入者ID対応表を検索して加入者IDを抽出する検索手段32を有する。
【0015】
図2(b)には、宅内ゲートウエイ6にQRコードを付けた例である。
また、宅内ゲートウエイ6は、自身を他の宅内ゲートウエイ6から区別するための装置識別情報が割り当てられており、割り当てられた装置識別情報が、図2(b)に示すように、ステッカ上に第1の表示手段としてのQRコード33により表示され、ステッカが宅内ゲートウエイ6のカメラ付携帯電話機11で撮影できる位置に貼られている。なお、第1の表示手段としてQRコード33以外に、2次元コードのData Matrixコード、PDF417コード、Maxi Codeコード、Veri Codeコードであっても良い。また、2次元コード以外にバーコード、テキストなどであっても良い。
【0016】
家族内ID−加入者ID対応表には、家族内IDと加入者IDが対応付けられて登録されている。例えば、家族内ID「00」に対して加入者ID「AAAAAA」、家族内ID「01」に対して加入者ID「BBBBBB」、家族内ID「10」に対して加入者ID「CCCCCC」、家族内ID「11」に対して加入者ID「DDDDDD」が対応付けられている。
【0017】
検索手段32は、第1の通信手段26で受信した家族内IDを用いて家族内ID−加入者ID対応表を検索する。例えば、受信した家族内IDが「10」のときには加入者IDとして「CCCCCC」が抽出される。
第2の通信手段27は、第1の通信手段26で受信した機器識別情報に一致する機器識別情報が登録機器記憶手段28に記憶されているとき、第1の通信手段26で受信した健康データと抽出した加入者IDとを対にしてデータサーバ4のIPアドレスに送信する。
また、第2の通信手段27は、インターネット10を経由して自身のIPアドレスに送られてきたメールを受信する。
【0018】
機器登録手段30は、第2の通信手段27で受信したメールから添付されている機器識別情報を抽出し、抽出した機器識別情報が登録機器記憶手段28に既に記憶されているか否かを調べ、既に記憶されているときには抽出した機器識別情報を廃棄し、記憶されていないときには抽出した機器識別情報を登録機器記憶手段28に記憶する。
【0019】
データサーバ4は、インターネット10を介して宅内ゲートウエイ6と通信を行う第4の通信手段35、加入の申請をサービスプロバイダが受理したとき、サービスプロバイダが加入者IDのために領域が設定され、その領域に健康データが加入者ID毎に記憶される第3の記憶手段36、第4の通信手段で受信した加入者IDに基づいて第3の記憶手段36の記憶領域に、加入者IDと対で受信した健康データを書き込む書込処理手段37を有する。
【0020】
カメラ付携帯電話機11は、付いているカメラを用いて画像データを取り込む機能、QRコードを撮影した画像データからQRコードで表されている情報を電子情報に変換する変換機能および電子メール機能を有している。
【0021】
次に、測定された健康データがデータサーバ4に記憶されるまでの流れを説明する。
測定者は、自分に割り当てられた押しボタンを押してから健康測定機器を用いて測定を開始する。健康測定機器5は、健康データを得たら、押しボタンから得る家族内ID、健康データおよび機器識別情報を組にして宅内ゲートウエイ6に送信する。宅内ゲートウエイ6は、受信した機器識別情報と一致する機器識別情報が登録機器識別情報記憶手段に有るか否かを判断する。ないときには受信した組の情報を廃棄する。有るときには、受信した家族内IDを用いて家族内IDー加入者ID対応表を検索する。家族内IDに対応する加入者IDがないときには組の情報を廃棄する。家族内IDに対応する加入者IDがあるときには、健康データと加入者IDを対にしてデータサーバ4に送信する。データサーバ4は、加入者IDのための記憶領域に健康データを記憶する。
【0022】
次に、新たに健康測定機器5を購入し利用を開始するために必要となる宅内ゲートウエイ6に当該健康測定機器5を登録する手順を説明する。
宅内ゲートウエイ6に貼られているステッカのQRコードをカメラ付携帯電話機11で撮影し、撮影して得た画像データから宅内ゲートウエイ6に割り当てられているIPアドレスを求め、求めたIPアドレスをカメラ付携帯電話機11のメールアプリケーションで作成するメールの宛先に入力する。
次に、健康測定機器5に貼られているステッカのQRコードをカメラ付携帯電話機11で撮影し、撮影して得た画像データから健康測定機器5に割り当てられた機器識別情報を求め、メールアプリケーションで作成するメールに添付する。
次に、カメラ付携帯電話機11は、作成したメールを送信する。
宅内ゲートウエイ6は、機器識別情報が添付されたメールを受信し、添付されている機器識別情報が機器識別情報記憶手段に既に記憶されているか否かを調べ、既に記憶されているときには添付されていた機器識別情報を廃棄し、記憶されていないときには添付されていた機器識別情報を機器識別情報記憶手段に記憶する。
このようにして新たな健康測定機器5が宅内ゲートウエイ6と通信可能となるので、新たな健康測定機器5で測定して得た健康データがデータサーバ4に記憶することができる。
【0023】
この発明に係る健康測定データ中継装置は、通信可能な健康測定機器5を登録するためのユーザインタフェースを具備していなくても、新たに通信可能な健康測定機器を登録することができる。
また、ユーザが一般的に所持しているカメラ付携帯電話機11の撮影機能およびメール機能を使うだけで、通信可能な健康測定機器5を健康測定データ中継装置に登録することができるので、ユーザに専用の知識を求めなくても良い。
また、カメラ付携帯電話機11で電子的に読み取れるQRコードにより機器識別情報が表示され、読み取った機器識別情報をメールに添付するので、メールを作成するときに機器識別情報をキーボードから入力するときに起こり得る誤入力によるトラブルを避けることができる。
機器識別情報が登録されている健康測定データ中継装置との間だけで通信が行われるので、通信範囲が重なり合うような集合住宅でも、自宅の健康測定機器5で測定した健康データが隣接する住宅の健康測定データ中継装置で受信されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態による健康測定システムの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態による健康測定データ中継装置および健康測定機器に付けられたQRコードの例である。
【符号の説明】
【0025】
2 家庭、3 サービスプロバイダ、4 データサーバ、5 健康測定機器、6 宅内ゲートウエイ、9 無線、10 インターネット、11 カメラ付携帯電話機、21 測定手段、22 ユーザインタフェース、23 機器識別情報記憶手段、24 第3の通信手段、25、33 QRコード、26 第1の通信手段、27 第2の通信手段、28 登録機器記憶手段、29 対応表記憶手段、30 機器登録手段、31 照合手段、32 検索手段、35 第4の通信手段、36 第3の記憶手段、37 書込処理手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康測定機器と通信を行う第1の通信手段と、
インターネット通信を行う第2の通信手段と、
通信可能な上記健康測定機器の機器識別情報が記憶されている第1の記憶手段と、
上記第1の通信手段で受信した機器識別情報と上記第1の記憶手段に記憶されている機器識別情報とを照合する照合手段と、
上記第2の通信手段で受信した機器識別情報を含むメールを解析するメール解析手段と、
自身の装置識別情報を表示する第1の表示手段と、
を備え、
上記メール解析手段は、上記第2の通信手段で受信した機器識別情報を含むメールを解析して含まれる機器識別情報を抽出し、且つ、上記第1の記憶手段に該機器識別情報が記憶されていない場合には上記第1の記憶手段に該機器識別情報を記憶することを特徴とする健康測定データ中継装置。
【請求項2】
上記照合手段は、上記第1の通信手段で対の機器識別情報と健康データを受信したとき、受信した機器識別情報が上記第1の記憶手段に記憶されている機器識別情報に一致した場合だけ、該機器識別情報と対をなす健康データを上記第2の通信手段に送り、
上記第2の通信手段は、受けた健康データをインターネット上の所定のアドレスに送信することを特徴とする請求項1に記載の健康測定データ中継装置。
【請求項3】
上記第1の表示手段は、電子的に読み取れる装置識別情報を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の健康測定データ中継装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の健康測定データ中継装置に健康データを送信する健康測定機器であって、
自身の機器識別情報が記憶されている第2の記憶手段と、
身体を測定し健康データを出力する測定手段と、
上記測定手段が出力する健康データと上記第2の記憶手段に記憶されている機器識別情報を組み合わせて上記健康測定データ中継装置に送る第3の通信手段と、
上記機器識別情報を表示する第2の表示手段と、
を備えることを特徴とする健康測定機器。
【請求項5】
上記第2の表示手段は、電子的に読み取れる機器識別情報を表示することを特徴とする請求項4に記載の健康測定機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−229124(P2008−229124A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74695(P2007−74695)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(591036457)三菱電機エンジニアリング株式会社 (419)
【Fターム(参考)】