説明

偽造防止用粒子及びその製造方法、偽造防止用インク、偽造防止用シート、有価証券、カード

【課題】タガント粒子として用いられる、耐久性が高く、意匠性に優れた偽造防止用粒子を得る。
【解決手段】少なくとも2種の金属層が積層してなり、形状が、拡大して観察することで識別可能であることを特徴とする偽造防止用粒子である。前記偽造防止用粒子の形状が、平板状であり、前記偽造防止用粒子の輪郭及び/又は貫通部の形状が、文字、数字、記号、図形のいずれか1つ以上の形状であってもよい。また、前記金属層の表面に凹凸形状を有し、前記凹凸形状が、拡大して観察されることで識別可能であってもよい。前記凹凸形状が、文字、数字、記号、図形のいずれか1つ以上の立体的な形状であるか、回折格子またはホログラムであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカード、キャッシュカード、IDカード、会員証などのカード類、紙幣、株券、商品券、宝くじ券、手形、小切手、入場券などの有価証券・金券類、各種証明書、高額商品の下げ札などに付与し、いわゆるタガントとして用いられる偽造防止用の粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有価証券類など、偽造を防止することが必要とされる物品において、タガント(taggant、なお、タゲント(taggent)とも呼ばれる)と呼ばれる偽造防止用の添加物が用いられてきた。タガントとしては、高度に偽造が困難であること、真贋判定を容易にかつ迅速に実施できること、安価であることが求められている。
【0003】
このようなタガント粒子として、光学的な拡大装置を用いて観察可能に構成され、かつ模様化がなされた微小マーカーが開示されている。この微小マーカーは、集積回路の技術分野におけるリソグラフィーの手法によって形成されたものであるか、または他のマイクロ・マシニングの技術分野の手法によって形成されたものであって、図形、ロゴ、個人的な署名、日付、言葉等の、そのデザインの内容に基づき情報をもったものとして認識されるように構成されたものである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−230512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のタガント粒子としては、樹脂製のものが一般的であり、機械的強度が低く、物品への付与時に破損して識別できなくなるという、耐久性が低いという問題点があった。また、樹脂からなるタガント粒子では、金属光沢を必要とする用途において、意匠性が低いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、タガント粒子として用いられる、耐久性が高く、意匠性に優れた偽造防止用粒子を得ることである。
【0007】
前述した目的を達成するために、以下の発明を提供する。
(1)少なくとも2種の金属層が積層してなり、形状が、拡大して観察されることで識別可能であることを特徴とする偽造防止用粒子。
(2)前記偽造防止用粒子の形状が、平板状であり、前記偽造防止用粒子の輪郭及び/又は貫通部の形状が、文字、数字、記号、図形のいずれか1つ以上の形状であることを特徴とする(1)に記載の偽造防止用粒子。
(3)前記金属層の少なくとも1層が、アルカリ可溶性金属層であることを特徴とする(1)または(2)に記載の偽造防止用粒子。
(4)前記金属層の表面に凹凸形状を有し、前記凹凸形状が、拡大して観察されることで識別可能であることを特徴とする(1)に記載の偽造防止用粒子。
(5)前記凹凸形状により、前記偽造防止用粒子に、文字、数字、記号、図形のいずれか1つ以上の立体的な形状が形成されることを特徴とする(4)に記載の偽造防止用粒子。
(6)前記凹凸形状が、回折格子またはホログラムであり、前記回折格子または前記ホログラムにより、前記偽造防止用粒子の表面に、文字、数字、記号、図形のいずれか1つ以上が表示されることを特徴とする(4)に記載の偽造防止用粒子。
(7)前記偽造防止用粒子の輪郭の形状が、文字、数字、記号、図形のいずれか1つ以上の形状であることを特徴とする(4)〜(6)のいずれかに記載の偽造防止用粒子。
(8)サイズが10〜300μm、厚さが1〜25μmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の偽造防止用粒子。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の偽造防止用粒子が、分散媒に分散されたことを特徴とする偽造防止用インク。
(10)(1)〜(8)のいずれかに記載の偽造防止用粒子が、樹脂に分散されたことを特徴とする偽造防止用シート。
(11)(1)〜(8)のいずれかに記載の偽造防止用粒子が、表面に付与されたことを特徴とする有価証券。
(12)(1)〜(8)のいずれかに記載の偽造防止用粒子が、表面に付与されたことを特徴とするカード。
(13)犠牲層、アルカリ可溶性金属層、感光性樹脂層がこの順に積層された基材を準備する基材準備工程と、前記基材上の前記感光性樹脂層を、拡大して観察することで識別可能な形状のパターンに露光する露光工程と、アルカリ性の現像液にて現像し、前記感光性樹脂層と前記アルカリ可溶性金属層とをパターニングするパターニング工程と、前記感光性樹脂層を、前記アルカリ可溶性金属層から剥離する感光性樹脂層剥離工程と、前記アルカリ可溶性金属層上に、第2の金属層を形成する第2の金属層形成工程と、前記犠牲層を溶かし、前記アルカリ可溶性金属層と前記第2の金属層を有する粒子を前記基材から剥離する剥離工程と、を具備することを特徴とする偽造防止用粒子の製造方法。
(14)前記第2の金属層が、電気めっきにより形成されることを特徴とする(13)に記載の偽造防止用粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、タガント粒子として用いられる、耐久性が高く、意匠性に優れた偽造防止用粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)〜(c)本発明にかかる粒子1a〜1cを示す斜視図。
【図2】(a)〜(f)本発明の第1の実施形態にかかる粒子1aの製造方法を示す概略断面図。
【図3】(a)〜(f)本発明の第2の実施形態にかかる粒子1b、1cの製造方法を示す概略断面図。
【図4】(a)本発明にかかる有価証券41を示す平面図、(b)(a)でのA−A’断面を示す断面図。
【図5】(a)本発明にかかるカード51を示す平面図、(b)(a)でのB−B’断面を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
(粒子1aの構成)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態にかかる粒子1aを示す図である。図1(a)に示す粒子1aは、第1の金属層3aと第2の金属層5bが積層してなり、略平板状であるが、輪郭及び貫通部5の形状が拡大して観察されることで識別可能である。すなわち、基体の輪郭や基体に施された貫通部を拡大して観察することで識別可能である。図1(a)では、円板状の基体に貫通部5からなる「DNP」の文字が形成されているが、基体の輪郭も円板に限られるものではなく、楕円形や多角形、ハート型、星型、動物の外形、文字の外形、数字の外形、記号の外形、図形の外形など、様々な形状を採用できる。また、貫通部5の形状としては、文字以外にも、様々な数字、記号、図形などを施すことができる。なお、図1では、貫通部5が設けられているが、粒子の輪郭か貫通部5のいずれかが拡大して観察することで識別可能であればよく、貫通部5は必須ではない。
【0012】
なお、形状が識別可能であるとは、人為的な形状が形成されており、意図せずに自然に形成される形状から区別できることを意味する。そのため、粒子1aを付与した物品を偽造する場合、物品の外形等の複製ができても、粒子1aの複製までは困難であるので、真正の物品と偽造された物品とを判別できる。また、形状が識別可能であるため、各物品で付与する粒子1aの形状を変更することで、真正の物品同士でも製造時期や用途などを判別可能である。
【0013】
第1の金属層3a、第2の金属層4aを構成する金属としては、特に限定されないが、入手のしやすさ、成膜の容易さ、大気中での酸化のしにくさ、原材料のコストなどから、ニッケルやアルミニウム、鉄、スズ、亜鉛が好ましい。
【0014】
粒子1aの厚さは、1μm以上であることが好ましく、25μm以下であることが好ましい。厚さが薄すぎると、強度が保てず、取り扱いの際に粒子が破損しやすい。一方、厚さが厚すぎると、製造時の感光性樹脂の厚膜の形成が困難になるほか、樹脂や分散媒への分散性が悪く、取り扱い時に不便である。
【0015】
粒子1aのサイズは、10〜300μmであることが好ましい。小さすぎると、ルーペなどの簡易な拡大器具を使用して粒子を観察することができず、顕微鏡などのより複雑な装置を使用しないと、真贋判定ができなくなる。また、大きすぎると、拡大器具を使用せずとも肉眼により粒子の特徴を認識可能となり、偽造防止効果が低下する。なお、粒子1aは、平板状であるため、厚さは、サイズの半分以下であることが好ましい。ここで、サイズとは、粒子を平面視した際の、最長の長さであり、例えば形状が四角形であればその対角線の長さであり、形状が楕円であればその長軸の長さである。
また、図1aでの「DNP」の文字は、裸眼では認識できず、ルーペなどを用いて認識できる程度の大きさである。
【0016】
(粒子1aの効果)
本発明の粒子1aは、金属層を含むため、機械的強度に優れ、優れた耐久性を持つうえ、金属光沢を持ち、意匠性に優れる。
【0017】
本発明の粒子1aは、肉眼では粒子1aの特徴が把握できず、ルーペなどの装置で初めて特徴を把握できるため、付与した物品に偽造防止技術が施されていることが容易にはわからない。そのため、粒子1aは、目視で確認できる偽造防止技術と比べて、より高い偽造防止効果を発揮することができる。
【0018】
本発明の粒子1aは、金属層を積層しているため、仮に粒子1aの輪郭や貫通部などの拡大して観察することで識別可能な特徴を偽造することができたとしても、通常は粒子1aが積層した金属を含むことまでは分からないため、一層の金属からなる粒子を形成すると考えられる。そのため、粒子を分析し、一層の金属からなると分かる場合には、偽造品を見破ることができる。つまり、本発明に係る粒子1aはフォレンジックである。フォレンジックとは分析機器により真贋判定を行うことを示す。オバート(五感による真贋判定)、コバート(簡易器具による真贋判定)に対し、分析機器を必要とすることから、高い偽造防止効果が得られる。
【0019】
(粒子1aの用途)
粒子1aを水溶性バインダーなどの分散媒に分散すると、偽造防止用インクが得られる。このような偽造防止用インクを用いて、シルク・スクリーン印刷などで印刷することで簡便に物品に粒子を付与することができる。
【0020】
粒子1aを紫外線硬化型樹脂などに分散し、乾燥または硬化することで、偽造防止用シートが得られる。例えば、粒子が分散した透明な紫外線硬化型樹脂を物品上に塗布し、紫外線を照射し、硬化させることで、物品に、粒子が付与されたシートを形成することができる。また、粒子1aを、押出成型機や射出成型機中にてPVC、PP、ABS、AES、PS等と混合させ、押出成型や射出成型をすることで、粒子が含まれた樹脂成型品が得られる。その結果、粒子が付与され、偽造防止技術が盛り込まれたシート、カード等の各種樹脂成型品が得られる。
【0021】
また、有価証券またはカードに、粒子1aを含むインクで印刷することや、粒子1aが含まれたシートを貼付するか、塗布により形成することで、粒子が付与された有価証券、カードが得られる。例えば、図4に示すように、有価証券41は、帯状の粒子含有部43を形成する。粒子含有部43は、粒子を含むインクを帯状に印刷して形成することや、粒子が含まれた帯状のシートを貼付するか、塗布により形成することで得られる。また、図5に示すように、カード51は、斑状の粒子含有部53を形成する。粒子含有部53は、粒子を含むインクを斑状に印刷して形成することや、粒子が含まれた斑状のシートを貼付するか、塗布により形成することで得られる。なお、ATMなどの機械で取り扱いやすくするため、粒子含有部53が、カードの面より飛び出さないように、カード51の凹部に形成されている。なお、有価証券には、紙幣、株券、商品券、宝くじ券、手形、小切手、入場券が含まれ、カードには、クレジットカード、キャッシュカード、IDカード、会員証が含まれる。
【0022】
(粒子1aの製造方法)
次に、本発明にかかる粒子1aの製造方法について説明する。
図2(a)は、基材準備工程を示す。基材準備工程とは、犠牲層、アルカリ可溶性金属層、感光性樹脂層がこの順に積層された基材を準備する工程である。
図2(b)は、露光工程を示す。露光工程とは、前記基材上の前記感光性樹脂層を、拡大して観察することで識別可能な形状のパターンに露光する工程である。
図2(c)は、パターニング工程を示す。パターニング工程とは、アルカリ性の現像液にて現像し、感光性樹脂層とアルカリ可溶性金属層とをパターニングする工程である
図2(d)は、感光性樹脂層剥離工程を示す。感光性樹脂層剥離工程とは、前記感光性樹脂層を前記アルカリ可溶性金属層から剥離する工程である。
図2(e)は、第2の金属層形成工程を示す。第2の金属層形成工程とは、アルカリ可溶性金属層上に、第2の金属層を形成する工程である。
図2(f)は、剥離工程を示す。剥離工程とは、基材を水に浸し、犠牲層を溶かし、アルカリ可溶性金属層と第2の金属層とを有する粒子を基材から剥離する工程である。
【0023】
まず、図2(a)に示すように、基材9の上に、犠牲層11、アルカリ可溶性金属層13、感光性樹脂層15を形成する。
【0024】
基材9は特に限定されるものではなく、フォトリソグラフィーに一般的に用いられる基材を使用することができる。例えば、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、ホワイトサファイアなどの可撓性のない透明なリジット材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルムなどの可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。前記フレキシブル材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、シンジオタクティック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、ポリノルボルネン系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。
【0025】
犠牲層11に用いられる水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ゼラチン等が用いられる。犠牲層11は、個片化するまで粒子を基板に保持する役目を果たす。犠牲層とは、最終的に除去することを前提に形成した層であり、部分的に膜を形成したり、あるいは二つの膜を分離したりする場合によく用いられる。または、犠牲層11の代わりに、アセトンなどの有機溶剤で溶解するドライフィルムレジスト(DFR)等を犠牲層として用い、後述する粒子の剥離の際に、有機溶剤を用いて犠牲層を溶解しても良い。つまり、犠牲層としては、水溶性樹脂に限られず、粒子を形成する材料に影響を与えない溶媒で、溶解することが可能であればよい。
【0026】
アルカリ可溶性金属層13に用いられるアルカリ可溶性金属としては、アルミニウム、亜鉛、シリコン、鉛、スズよりなる群から選ばれた少なくとも1種のアルカリ可溶性金属を用いることができるが、成膜の容易性などからアルミニウムを用いることが好ましい。アルカリ可溶性金属層13の成膜方法は、スパッタリングや真空蒸着など、公知の成膜方法を使用できる。
【0027】
感光性樹脂層15は、ポジ型またはネガ型の感光性樹脂組成物を全面に塗布して得られる。
ネガ型感光性樹脂は特に限定されることはなく、一般的に使用されるネガ型感光性樹脂を用いることができる。例えば、架橋型樹脂をベースとした化学増幅型感光性樹脂、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。また、アクリル系ネガ型感光性樹脂として、紫外線照射によりラジカル成分を発生する光重合開始剤と、分子内にアクリル基を有し、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する成分と、その後の現像により未露光部が溶解可能となる官能基(例えば、アルカリ溶液による現像の場合は酸性基をもつ成分)とを含有するものを用いることができる。上記のアクリル基を有する成分のうち、比較的低分子量の多官能アクリル分子としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、テトラメチルペンタトリアクリレート(TMPTA)等が挙げられる。また、高分子量の多官能アクリル分子としては、スチレン‐アクリル酸‐ベンジルメタクリレート共重合体の一部のカルボン酸基部分にエポキシ基を介してアクリル基を導入したポリマーや、メタクリル酸メチル‐スチレン‐アクリル酸共重合体等が挙げられる。
なお、ポジ型感光性樹脂も特に限定されるものではなく、一般的に使用されるものを用いることができる。具体的には、ノボラック樹脂をベース樹脂とした化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。
【0028】
また、感光性樹脂層15は、ドライフィルムレジスト(DFR)を貼付して形成しても良い。
【0029】
その後、図2(b)に示すように、所定のパターンを有するマスク18を介して、感光性樹脂層15を所定のパターンで露光する。感光性樹脂15は、粒子1aの輪郭と貫通部5に対応したパターンで露光される。マスク18は、透明基板19上に、遮光膜20が設けられており、露光光17が透過する透過部と、遮光膜により露光光17がほぼ透過しない遮光部とが形成されている。
【0030】
この、感光性樹脂層15を所定のパターンで露光する工程は、特に限定されないが、図2(b)に示すようなマスクを用いる方法以外に、デジタルマイクロミラーデバイスを用いて、マスクを介さずに露光をしても良い。デジタルマイクロミラーデバイス(デジタルミラーデバイス、DMDとも呼ばれる)とは、個別に駆動できる多数の微小鏡面(マイクロミラー)を平面に配列した素子である。各ミラーを個別に駆動することにより、表示画素ごとに光の投射を制御することができるため、マスクを用いずに所定のパターンで露光することができる。
【0031】
また、図2(b)に示すようなマスクを用いる方法以外に、レーザーまたは電子線による直接描画により、所定のパターンで露光することができる。
【0032】
その後、図2(c)に示すように、アルカリ性の現像液により、感光性樹脂層15を溶解し、さらにその下のアルカリ可溶性金属層13を溶解し、感光性樹脂層15とアルカリ可溶性金属層13をパターニングする。
【0033】
その後、図2(d)に示すように、有機溶剤などを用いて、感光性樹脂層15を剥離または除去する。
【0034】
その後、図2(e)に示すように、アルカリ可溶性金属層13の上に、選択的に第2の金属層4aを形成する。アルカリ可溶性金属層13の上以外の犠牲層11などに第2の金属層4aを形成しないために、第2の金属層4aは、電気めっきにより形成することが好ましい。第2の金属層4aの材料としては、電気めっきが可能な金属であれば特に限定されないが、例えば、ニッケル、クロム、鉄、コバルト、チタン、金、銀、銅、白金族などを用いることができる。なお、電気めっきを行うため、アルカリ可溶性金属層13のパターン同士は、細線パターンや細いブリッジなどで導通されている。
【0035】
その後、図2(f)に示すように、基材9を水に浸すと、水溶性樹脂からなる犠牲層11が溶解し、犠牲層11の上に形成されていたアルカリ可溶性金属層13と第2の金属層4aとからなる粒子1aが、基材9より剥離し、貫通部1aを有する粒子1aが得られる。ここで、アルカリ可溶性金属層13が粒子1aを構成する第1の金属層3aに該当する。
【0036】
本発明の第1の実施形態にかかる製造方法により、第1の金属層3aと第2の金属層4aが積層した粒子1aを得ることができる。
【0037】
また、本発明の第1の実施形態にかかる製造方法によると、一枚の基材9上に複数の粒子1aを形成でき、一回の露光・現像で大量の粒子1aを製造可能である。特に、フォトマスクを縮小投影した露光エリアを移動させながら、ウエハ全面を露光可能なステッパー露光をすることで、基板9のほぼ全面に多数の粒子を形成することが好ましい。
【0038】
また、本発明の第1の実施形態にかかる製造方法は、これまで一般的に用いられてきた設備で実現可能であり、特殊な設備の導入が不要であるため、低コストで粒子1aを製造することができる。
【0039】
なお、図2に示す本発明の第1の実施形態にかかる製造方法は、犠牲層11の表面に、後述する凹凸形状21を形成することにより、後述する粒子1b、1cを製造可能である。
【0040】
[第2の実施形態]
(粒子1bの構成)
図1(b)、(c)は、本発明の第2の実施形態にかかる粒子1b、1cを示す図である。図1(b)に示す粒子1bは、第1の金属層3bと第2の金属層4bとが積層してなる略平板状の基体上に、拡大して観察することで識別可能な凹凸形状として、文字を表示する回折格子またはホログラムの識別部6bが形成されている。識別部6bの回折格子またはホログラムは、基体の上に、光の干渉縞を深さ1μm以下の微細な凹凸加工で記録して立体画像を再現するものである。基体の形状も拡大して観察することで識別可能であり、形状は円板に限られるものではなく、楕円形や多角形、星型など、様々な形状が使用できる。また、基体上に設けられる識別部6aとしては、文字以外にも、様々な図形、数字、記号のほか、花やデザインなどを施すことができる。すなわち、基体の輪郭や基体に施された形状、模様もしくは色彩等の意匠からなる識別部6bを拡大して観察することで識別可能である。
【0041】
粒子1bは、2種以上の金属層が積層されている。製造時にアルカリ性の現像液により影響を受けない、アルカリ不溶性金属で構成されている。アルカリ不溶性金属としては特に限定されないが、製造時に電気めっきにより成膜することが好ましいため、ニッケル、クロム、鉄、コバルト、チタン、金、銀、銅、白金族などが用いられることが好ましい。特に、微細な凹凸形状を再現するために電気めっきの特性が優れ、安価に用いることができるニッケルが用いられることが好ましい。
【0042】
粒子1bの厚さは、1μm以上、25μm以下であることが好ましい。厚さが薄すぎると、強度が保てず、取り扱いの際に粒子が破損してしまう。一方、厚さが厚すぎると、製造時の金属の厚膜の形成が困難になるほか、樹脂や分散媒への分散性が悪く、取り扱い時に不便である。
【0043】
粒子1bのサイズは、10〜300μmであることが好ましい。小さすぎると、ルーペなどの簡易な拡大器具を使用して粒子1bを観察することができず、顕微鏡などのより複雑な装置を使用しないと、真贋判定ができなくなる。また、大きすぎると、拡大器具を使用せずとも肉眼により粒子1bの特徴を認識可能となり、偽造防止効果が低下する。なお、粒子1bは、平板状であるため、厚さは、サイズの半分以下であることが好ましい。ここで、サイズとは、粒子を平面視した際の、最長の長さであり、例えば形状が四角形であればその対角線の長さであり、形状が楕円であればその長軸の長さである。
また、図1(b)での「DNP」の文字は、裸眼では認識できず、ルーペなどを用いて認識できる程度の大きさである。
【0044】
(粒子1bの効果)
本発明の粒子1bは、金属製であるので、機械的強度に優れ、優れた耐久性を持つうえ、金属光沢を持ち、意匠性に優れる。
【0045】
本発明の粒子1bは、製造が困難なホログラムや回折格子などの凹凸形状を表面に有するため、偽造防止効果が向上する。
【0046】
本発明の粒子1bを物品に付与すると、肉眼では粒子の特徴が把握できず、偽造防止技術が施されていることが確認できないため、目視で確認できる偽造防止技術と比べて、より高い偽造防止効果を発揮することができる。
【0047】
本発明の粒子1bは、複数種類の金属から構成されているため、外形などの光学的に観察できる特徴以外に、複数種類の金属から構成されるという、他の分析手段を用いなければ解析できない特徴を有することとなり、フォレンジックである。フォレンジックとは分析機器により真贋判定を行うことを示す。オバート(五感による真贋判定)、コバート(簡易器具による真贋判定)に対し、分析機器を必要とすることから、高い偽造防止効果が得られる。つまり、粒子1bが、複数種類の金属から構成されているので、仮に粒子1bの形状や識別部などの特徴を複製することができたとしても、通常は粒子1bが積層した金属を含むことまでは分からないため、一層の金属からなる粒子を形成すると考えられる。そのため、粒子を分析し、一層の金属からなると分かる場合には、偽造品を見破ることができる。
【0048】
粒子1bの用途は、前述の粒子1aと同様である。
【0049】
(粒子1cの構成)
図1(c)に示す粒子1cは、第1の金属層3cと第2の金属層4cとが積層してなる略平板状の基体上に、立体的な文字の識別部6cが形成されている。図1(c)では、円板上に厚みのある文字が形成されているが、基材の形状も円板に限られるものではなく、楕円形や多角形、星型など、様々な形状が使用できる。また、基材上に設けられる形状としては、文字以外にも、様々な図形、数字、記号のほか、立体的な花やデザインなどを施すことができる。また、識別部6cの立体的な構造は、立体的に観察されるために、深さが1μm以上であることが好ましい。
【0050】
粒子1cの構成は、識別部が異なる点を除いて同様である。粒子1cの効果、用途は、粒子1bと同様である。
【0051】
なお、粒子1cの厚さ、すなわち、基体のみの厚さではなく、識別部6cの厚さも含む厚さは、2μm以上であることが好ましく、25μm以下であることが好ましい。厚さが薄すぎると、強度が保てず、取り扱いの際に粒子が破損しやすいうえ、粒子に形成された三次元構造が、立体的に観察されない。一方、厚さが厚すぎると、製造時の金属の厚膜の形成が困難になるほか、樹脂や分散媒への分散性が悪く、取り扱い時に不便である。
【0052】
(粒子1b、1cの製造方法)
次に、本発明にかかる粒子1b、1cの製造方法について説明する。なお、回折格子またはホログラムの識別部6bを有する微小粒子1bと、立体的形状の識別部6cを有する粒子1cは、凹凸形状21の形状が異なるのみで、同様の製造方法により製造可能である。
【0053】
まず、図3(a)に示すように、基材23の上に、アルカリ可溶性樹脂を含む犠牲層25を形成する。犠牲層25は、アルカリ可溶性樹脂の塗布などにより形成される。基材23は基材9に使用できる基材と同様の基材を使用できる。また、アルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されないが、一般的に用いられるフォトレジスト用アルカリ可溶性樹脂を用いることができる。
【0054】
その後、図3(b)に示すように、犠牲層25に凹凸形状21を形成する。この凹凸形状21は、マスクまたは階調マスクを介したフォトリソグラフィー、デジタルマイクロミラーデバイスを用いたフォトリソグラフィー、レーザーでの直接描画によるフォトリソグラフィーなどにより形成される。
【0055】
その後、図3(c)に示すように、犠牲層25の上に、アルカリ不溶性金属を含む金属凹凸層27を形成する。金属凹凸層27は、スパッタリングや蒸着などにより形成される。
【0056】
その後、図3(d)に示すように、金属凹凸層27を形成した後に、アルカリ不溶性金属を含む第2の金属層29を形成する。第2の金属層29は、比較的厚い膜を形成する必要があるので、電気めっきにより形成されることが好ましい。金属凹凸層27や第2の金属層29を構成するアルカリ不溶性金属としては、特に限定されないが、製造時に電気めっきにより成膜することが好ましいため、ニッケル、クロム、鉄、コバルト、チタン、金、銀、銅、白金族などが用いられることが好ましい。
【0057】
その後、図3(e)に示すように、第2の金属層29の上に、粒子1b、1cの輪郭に対応する所定のパターンを有するアルカリ可溶性樹脂を含むレジスト層31を形成する。
【0058】
この、所定のパターンを有するアルカリ可溶性樹脂を含むレジスト層31を形成する工程は、所望のレジスト層が得られる限り限定されないが、以下の3つの方法が考えられる。
【0059】
第1の方法は、フォトリソグラフィーを用いてレジスト層をパターニングする方法である。本方法は、ポジ型またはネガ型の感光性樹脂組成物を全面に塗布してレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層を、所定のパターンを有するマスクを介して露光する工程と、前記レジスト層を、現像する工程と、を具備する。
【0060】
また、マスクを介して露光する代わりに、デジタルマイクロミラーデバイスを用いて、マスクを介さずに露光をしても良い。デジタルマイクロミラーデバイス(デジタルミラーデバイス、DMDとも呼ばれる)とは、個別に駆動できる多数の微小鏡面(マイクロミラー)を平面に配列した素子である。各ミラーを個別に駆動することにより、表示画素ごとに光の投射を制御することができるため、マスクを用いずに所定のパターンで露光することができる。
【0061】
第2の方法は、直接描画によるレジスト層をパターニングする方法である。本方法は、感光性樹脂組成物を全面に塗布してレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層を、レーザーまたは電子線による直接描画により所定のパターンで露光する工程と、前記レジスト層を、現像する工程と、を具備する。
【0062】
第3の方法は、印刷技術を用いて所定のパターンを有するレジスト層を直接形成する方法である。具体的には、レジスト材料をシルク・スクリーン印刷などで印刷する工程を含むことを特徴とする。印刷技法には通常の凹版印刷や孔版印刷の技法が用いられる。
【0063】
その後、図3(f)に示すように、レジスト層31をマスクとして用い、金属凹凸層27と第2の金属層29をエッチングする。このとき、金属凹凸層27と第2の金属層29を構成する金属に応じて、ウェットエッチング、ドライエッチングなどを適宜用いることができる。金属凹凸層27は、第1の金属層3b、3cに対応し、第2の金属層29は、第2の金属層4b、4cに対応する。
【0064】
その後、図3(g)に示すように、アルカリ性の現像液などにより、犠牲層25とレジスト層31を溶解させ、粒子1b、1cを基材23より剥離する。
【0065】
その結果、図3(h)に示すとおり、個片化した粒子1b、1cが得られる。
【0066】
本発明の第2の実施形態にかかる製造方法によると、表面に凹凸を有する粒子1b、1cが得られる。
【0067】
本発明の第2の実施形態にかかる製造方法により、二種以上の金属が積層した粒子1b、1cを得ることができる。
【0068】
また、本発明の第2の実施形態にかかる製造方法によると、一枚の基材23上に複数の粒子1b、1cを形成でき、一回の露光・現像で大量の粒子1b、1cを製造可能である。特に、フォトマスクを縮小投影した露光エリアを移動させながら、ウエハ全面を露光可能なステッパー露光をすることで、基板23のほぼ全面に多数の粒子を形成することが好ましい。
【0069】
また、本発明の第2の実施形態にかかる製造方法は、これまで一般的に用いられてきた設備で実現可能であり、特殊な設備の導入が不要であるため、低コストで粒子1b、1cを製造することができる。
【0070】
なお、図3に示す本発明の第2の実施形態にかかる製造方法において、犠牲層23に凹凸形状21を設けずに、レジスト層31を、粒子1aの輪郭と貫通部5に対応するパターンに形成するようにすることで、第1の実施形態にかかる粒子1aを製造可能である。
【実施例】
【0071】
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
ガラス基板上(HOYA製NA−35)に、ポリビニルアルコールの1wt%水溶液を、バーコーターにて全面に塗布した。90℃で5分間、乾燥させ、厚さ0.2μmのポリビニルアルコールからなる犠牲層を得た。
犠牲層の上に、アルミニウムをスパッタし、厚さ40nmのアルミニウムからなるアルカリ可溶性金属層を得た。
アルカリ可溶性金属層の上にネガ型感光性樹脂(DNPファインケミカル製IT−G R1501−5)をスピンコート(成膜条件:スロープ2秒−550rpmで3秒−スロープ2秒)し、常温で5分間真空乾燥した後、80℃で10分間ベークした。厚さ2.5μmの感光性樹脂層を得た。
アライナーを用いて、60mJ/cmでパターン露光した後、10wt%水酸化カリウム水溶液で15秒間現像した。この際、露光されていないネガ型感光性樹脂を溶解し、さらに下層のアルミニウムを溶解し、パターニングした。
露光したネガ型感光性樹脂層を剥離した後、パターニングされたアルカリ可溶性金属層の上にニッケルを電気めっき(電鋳)し、厚さ6μmのニッケルからなる第2の金属層を形成した。
この基板を水に浸すと犠牲層が溶解し、アルミニウムの第1の金属層とニッケルの第2の金属層が積層してなる粒子を得た。その後、粒子を回収し、純水に分散し、水分散体を得た。
これらの粒子の大きさが200μmであり、厚さは6μmであった。
【0072】
水溶性紫外線硬化樹脂(荒川化学製AQ−9)5gに対し、開始剤(Merck製ダロキュア1173)0.5g添加し、攪拌し、できた液にタガント水溶液を1g添加し攪拌した。スピンコーターにてガラス基材(HOYA製NA−35)上にバーコーターにて塗布した。UVアライナーにて照射(20mW/s 360sec)し、成膜した。印刷された偽造防止用インクは、肉眼では粒子の形状を把握できなかったが、ルーペを用いて拡大すると、粒子が識別できた。
【0073】
[実施例2]
支持体フィルムとして、厚み16μmのポリエステル樹脂フィルム(東レ社製、ルミラー)を用いた。支持体フィルム上に犠牲層として、ネガ型のドライフィルムレジスト(東京応化工業社製ORDYL PR、厚さ20μm)を用いて成膜した。
その後、回折格子パターンが刻まれたフォトマスクを介して、平行紫外光照射装置により露光し、アルカリ現像液(水酸化ナトリウムを主成分とした水溶液:濃度1wt%)にて現像することにより、犠牲層の表面に凹凸形状として、ホログラム用の回折格子パターンを形成した。
さらに、前述の犠牲層の表面に、金属凹凸層としてクロムを40nmの厚さで真空蒸着した。
さらに、前述の金属凹凸層の上に厚さ10μmのニッケル層を電気めっきにより形成した。
さらに、ネガ型フォトレジスト(東京応化製アクリル系レジストPMER−N)を塗布し、70℃で30分乾燥加熱処理し、厚さ10μmの均一なレジスト膜を得た。その後、所望のパターンを露光できるようにしたフォトマスクを介して、平行紫外光照射装置により365nmの紫外線を250mJ/cm2の露光量で露光し、アルカリ現像液(水酸化ナトリウムを主成分とした水溶液:濃度1wt%)にて現像して、金属粒子の輪郭を形成する所望のパターンのレジスト層を形成し、130℃にて乾燥させた。
その後、エッチング液(硝酸:リン酸:酢酸:水=7:10:10:3)に浸し、レジスト層をマスクとしてニッケル層とクロム層をエッチングした。
さらに、アルカリ現像液(水酸化ナトリウムを主成分とした水溶液:濃度5wt%)にて現像し、レジスト層と犠牲層を溶解させた。
このとき、現像液中に、表面に回折格子が刻まれたニッケルとクロムが積層してなる金属粒子を得た。
この現像液を水に置換することにより、金属粒子水分散液を得た。
【0074】
この金属粒子の水分散体を、水溶性紫外線硬化型樹脂(荒川化学社製AQ−9)と混合させ、偽造防止用インクを製造した。このとき、インク1Lあたり6500万個の金属粒子が入るように調整した。この偽造防止用インクを、180メッシュ版を用いたシルク・スクリーン印刷にて、商品券に印刷した。印刷された偽造防止用インクは、肉眼では金属粒子の形状は把握できなかったが、100倍のルーペを用いて拡大すると、金属粒子を識別できた。金属粒子の大きさが100μmであり、厚さは10μmであった。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しえることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0076】
1a、1b、1c………粒子
3a、3b、3c………第1の金属層
4a、4b、4c………第2の金属層
5………貫通部
6b、6c………識別部
9………基材
11………犠牲層
13………アルカリ可溶性金属層
15………感光性樹脂層
17………露光光
18………マスク
19………透明基板
20………遮光膜
21………凹凸形状
23………基材
25………犠牲層
27………金属凹凸層
29………第2の金属層
31………レジスト層
41………有価証券
43………粒子含有部
51………カード
53………粒子含有部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種の金属層が積層してなり、
形状が、拡大して観察されることで識別可能である
ことを特徴とする偽造防止用粒子。
【請求項2】
前記偽造防止用粒子の形状が、平板状であり、
前記偽造防止用粒子の輪郭及び/又は貫通部の形状が、文字、数字、記号、図形のいずれか1つ以上の形状であることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止用粒子。
【請求項3】
前記金属層の少なくとも1層が、アルカリ可溶性金属層であることを特徴とする請求項1または2に記載の偽造防止用粒子。
【請求項4】
前記金属層の表面に凹凸形状を有し、
前記凹凸形状が、拡大して観察されることで識別可能であることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止用粒子。
【請求項5】
前記凹凸形状により、前記偽造防止用粒子に、文字、数字、記号、図形のいずれか1つ以上の立体的な形状が形成されることを特徴とする請求項4に記載の偽造防止用粒子。
【請求項6】
前記凹凸形状が、回折格子またはホログラムであり、
前記回折格子または前記ホログラムにより、前記偽造防止用粒子の表面に、文字、数字、記号、図形のいずれか1つ以上が表示されることを特徴とする請求項4に記載の偽造防止用粒子。
【請求項7】
前記偽造防止用粒子の輪郭の形状が、文字、数字、記号、図形のいずれか1つ以上の形状であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の偽造防止用粒子。
【請求項8】
サイズが10〜300μm、厚さが1〜25μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の偽造防止用粒子。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の偽造防止用粒子が、分散媒に分散されたことを特徴とする偽造防止用インク。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の偽造防止用粒子が、樹脂に分散されたことを特徴とする偽造防止用シート。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の偽造防止用粒子が、表面に付与されたことを特徴とする有価証券。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の偽造防止用粒子が、表面に付与されたことを特徴とするカード。
【請求項13】
犠牲層、アルカリ可溶性金属層、感光性樹脂層がこの順に積層された基材を準備する基材準備工程と、
前記基材上の前記感光性樹脂層を、拡大して観察することで識別可能な形状のパターンに露光する露光工程と、
アルカリ性の現像液にて現像し、前記感光性樹脂層と前記アルカリ可溶性金属層とをパターニングするパターニング工程と、
前記感光性樹脂層を、前記アルカリ可溶性金属層から剥離する感光性樹脂層剥離工程と、
前記アルカリ可溶性金属層上に、第2の金属層を形成する第2の金属層形成工程と、
前記犠牲層を溶かし、前記アルカリ可溶性金属層と前記第2の金属層を有する粒子を前記基材から剥離する剥離工程と、
を具備することを特徴とする偽造防止用粒子の製造方法。
【請求項14】
前記第2の金属層が、電気めっきにより形成されることを特徴とする請求項13に記載の偽造防止用粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−250357(P2012−250357A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122198(P2011−122198)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】